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1956-04-06 第24回国会 参議院 本会議 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月六日(金曜日)    午後一時四十八分開議   ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十三号   昭和三十一年四月六日    午前十時開議  第一 罹災都市借地借家臨時処理   法第二十五条の二の災害及び同   条の規定を適用する地区を定め   る法律案衆議院提出)           (委員長報告)  第二 計量法の一部を改正する法   律案内閣提出)(委員長報告)  第三 地方自治法第百五十六条第   六項の規定に基き、繊維製品検   査所の出張所設置に関し承認   を求めるの件(衆議院送付)           (委員長報告)  第四 積雪寒冷特別地域における   道路交通の確保に関する特別措   置法案(衆議院提出)           (委員長報告)  第五 官庁営繕法の一部を改正す   る法律案衆議院提出)           (委員長報告)  第六 労働省設置法等の一部を改   正する法律案内閣提出、衆議   院送付)    (委員長報告)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般報告は、朗読を省略いたします。    ————————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
  4. 曾禰益

    曾祢益君 私は、この際、原子力研究所敷地選定に関する緊急質問動議を提出いたします。
  5. 剱木亨弘

    剱木亨弘君 私は、ただいまの曾祢益君の動議賛成いたします。
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 曾祢益君の動議に御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって、これより発言を許します。曾祢益君。   〔曾祢益登壇拍手
  8. 曾禰益

    曾祢益君 私は、日本社会党を代表いたしまして、原子力研究所敷地選定に関する政府態度について質問いたしたいと存じます。  政府は、四月三日の閣議において、原子力研究所諸般事情から武山設置しないことに了解が成立し、正式決定原子力担当正力国務大臣の帰京の後に行うことになったようでありましたが、いよいよ今朝の閣議において、武山最適地とは認めるが、防衛体制整備に重大な関係があるという理由で、原子力委員会差し戻し再考を促す趣旨決定を行なったごとくでございます。そもそも、原子力研究所敷地については、当初から種々の思わくのもとに、いろいろな誘致運動が行われ、その結果、わが国最初原子力平和利用という国家的事業が、政治的な策動の道具に供せられるおそれがあったのでございまするが、幸いにいたしまして、科学者の公正な判断の結果、まず二月八日、原子力研究所土地選定委員会において、また、次いで三月九日、原子力委員会において、それぞれ武山最適地であると折紙が付せられ、国民はようやく愁眉を開いたのでございます。しかしながら武山は、言うまでもなく目下米軍基地に提供せられておりますために、その接収解除ができるかどうか、ないしは、その条件がどうであるかというような不安定な要素が存在しておったために、三月九日の武山決定に至るまでに、総理府の原子力局調達庁を通じ、また地元横須賀市、神奈川県等においても、みずからそれぞれ米軍意向打診を試みたのでございます。  私は、ききにも本院の予算委員会において政府に申し上げたのでございまするが、元来、政府方針も定めずに、まずこのような打診を行うこと自体が、あくまでも純粋に科学的な決定をなすべき原子力実験炉敷地選定に、好ましからざる性質の政治の介入を許す原因であるばかりでなく、アメリカ側との折衝上も、わが方の威信をそこなうきわめて卑屈な態度であって、断じて策を得たものではないのであります。よろしく政府は、まず科学的根拠に基いて武山決定した上、正式に米国政府に対し、大所高所から接収解除を申し入れるべきであったと信じます。米軍接収解除の見通し、あるいはその条件についての打診が行われ、その都度日本側関係者が一喜一憂して参りましたが、早くも私の憂えましたような不明朗な事態発生して参りました。その一つは、防衛庁横やりでございます。その二つは、武山以外の候補地への誘致運動でございます。これらはいずれも、武山接収解除が困難だという前提の上に立って、その一抹の不安定要素につけ込んで、自己の野望を遂げようとするそのあまり、日本自主性を傷つけ、わが国における原子力研究と開発がもっぱら平和的であるべき目標を失わしめ、科学尊厳を冒涜するものであることは言うを待たないところであります。  このような不明朗な事態を放置しておいた正力国務大臣は、一方においては、アメリカ側としても接収解除には比較的好意的であり、その条件も決して困難でないことがわかって参りますとともに、正力国務大臣自身のあいまいな態度に対する世論の攻撃、あるいは科学者の不満、これらに当面いたしましたため、ついに原子力委員会決定、すなわち武山選定総理に正式に報告し、閣議に諮る措置をとらざるを得なくなったのでございます。ところが、閣議におきましては賛否両論が戦わされまして、なかなか決定に至らず、再三遷延して参りましたが、前に申し上げましたように、四月三日及び六日の閣議において、遂に事実上武山否定に決したのであります。しかも奇怪千万なことは、正力国務大臣は三日の閣議には出席されない。しかもあらかじめ白紙委任状根本官房長官に渡しておいたよしでございます。これは責任回避というよりも、みずから下手人たらずして、しかも武山を謀殺するにひとしいと言われても弁解の余地がないと存じます。  私どもがこの問題を重視するゆえんのものは、武山と他の候補地との間の誘致競争に加わり、その一方に加担するというようなことにつき身をやつしたいためでは断じてございません。原子力平和利用の問題の門出に当りまして、日本政治がいかにあらねばならないか、このテストケースであるからでございます。かくのごとき不明朗な政治が横行するならば、原子力基本法根本精神がじゅうりんされ、科学の自由は悪質な政治的策謀に圧殺され、原子力研究が平和の目的から軍事的に乱用される端緒をつくることが明らかであるからであります。(拍手)  さらに、アメリカ軍事基地接収解除のために最も適合しましたケースが、遂にアメリカ政府に持ち出されずして、やみからやみへと葬り去られるがごときことは、日本尊厳を傷つけるもはなはだしい卑屈きわまる態度であるからであります。今ここに政府防衛体制整備の名のもとに、最終的に科学者意思を無視し、平和目的軍事目的が優先するという重大な段階に立ち至ったこの際、私は最も厳粛な心持をもちまして、政府反省を強く促すものでありますとともに、政府反省がない場合においては、原子力平和利用に対して、なし得る限り超党派的な態度をもって対処いたして参りましたわが党従来の方針は、根本的にこれを再検討するに至るであろうことをあわせて警告しておきます。  以上の前提に立って、以下、総理並びに関係閣僚に若干の点について御質問申し上げたいと思います。どうか、例の通り通り一ぺんの答弁でなく、真情を吐露し、進んでその所信を中外に明らかにする気概をもってお答えを願いたいと存じます。  まず、鳩山総理にお尋ねいたします。総理は、原子力基本法並びに原子力委員会設置法第三条に基いて、原子力委員会報告を尊重すべき義務を持っておられます。しかるに、今日まであなたは正力国務大臣の不明朗、あいまいな態度をひたすら見送ってこられました。そうして遂に日本決定のごとく、国防に名をかるところの、原子力委員会決定を否定する閣議決定を行われました。あなたは保守合同以来、予算編成、小選挙区制度問題、日ソ国交調整等において、閣議を主宰し、名実ともにリーダーシップを発揮すべきであったにかかわらず、常に逃避的な態度に終始してこられました。これに対しまして、世論のごうごうたる非難を浴びていることは御承知のところと信じます。あなたは昨日保守党の総裁に就任され、その新しい権威と自信の上に立って、不明朗な政治的暗躍を排し、科学と平和の目的が優先するルールの確立のために英断を下すべきであったにかかわらず、またもや責任回避態度に出でられたことは遺憾千万でございます。あなたは世論に耳を傾け、再考されるお考えはないか、もし原子力委員会が再び武山を推すならば、これを尊重すべきが当然と思うが、いかにお考えであるか、以上の点に関し明確にお答えを願いたいと存じます。  次に、正力国務大臣にお尋ねいたします。あなたは原子力平和利用出発点において、科学者の一致した建議を尊重し、これを貫徹するために熱意ある態度を示さないのみか、かえって武山以外にきまることに傾いて、その方向に向って不明朗な行動をとっておられる。少くとも国民はさように見ております。新聞紙は、原子力委員会政府との全くの対立と伝え、科学者の間にも激しい非難が起りつつあります。朝日、毎日は社説において、政府の不明朗な態度を攻撃しております。あなたの実行力と強引さについては定評がございます。その正力氏が今回とってきたはなはだ直線的でない行動の裏には、何かの原因がなければなりません。あなたは表面上の理由として、先には接収解除の困難や代替施設提供のための経費の過大なことなどをあげられました。しかし接収解除は確実となったし、経費云々は、正式の交渉の暁初めて取り上げられる問題でございましょう。そこでついに原子力平和利用責任者にもあるまじき態度をとって、国防上の要請をあげられるに至りました。しかし国防上の理由その他は口実であって、実はあなたが、武山を葬るための他の種類の圧力に屈したのではないかと国民は疑っております。いな、あなた御自身武山と高崎、志村代議士中曽根代議士けんか両成敗見地から、第三の候補地決定せんとしておる旨を漏らしたという信頼すべき情報を私は持っております。私はあえてこの際、わが党並びに同僚志村君の名誉のために一言述べておきたいのでございまするが、われわれは断じて科学的根拠のないいわゆる誘致運動に片棒をかつぐものではございません。と同時に、もし政府が、そしてあなたが、このような科学を抹殺する低級な政治的取引見地から問題を処理されんとするならば、われわれはどこまでもその企図を暴露し、その責任を糾弾して戦うものであります。(拍手)この際、正力国務大臣の明確な所信表明を求めます。  いま一つ正力さんに伺っておきます。政府は、ついに本日の閣議決定のように国防上の要請という名目に屈服し、事実上原子力委員会決定を否定しながら、差し戻しというような、政治的責任原子力委員会に負わすような卑怯な態度をとられたが、しからば私は、原子力委員としてのあなたにお尋ねいたします。あなたは原子力委員会の従来の正しい態度を押し通されるお考えであるかどうか。あなたは原子力委員会が、あなたの意向にかかわらず、再び武山を推す場合には、いかなる態度閣僚としておとりになるか。さらに原子力委員会政府との対立が、原子力平和利用のスタートにおいて発生したことに関し、かかる不祥な事態を招いた責任をお感じにならないか。以上の点についてお答えを願いたいのであります。  外務大臣にお尋ねします。外務大臣は御出席でないようでありますから、あとの機会に本会議においてお答え願いたいと思います。武山は、科学的に見て最適地であるにかかわらず、武山接収解除の困難が原因になって断念するがごときことがあったならば、濃縮ウラン受け入れ日米協定の建前からいって、日米関係の大局を憂うる外務大臣立場から、当然無関心ではあり得ないと私は信じます。従ってあなたは、従来あなたがとってこられたように、日本政府武山決定したならば、アメリカ側に対して接収解除方交渉を行うというような、消極的な事務的な態度をとるべきではなく、進んで閣議において武山決定に賛意を表し、交渉は引き受けたというくらいの積極性を発揮すべきではないかと思うが、いかがでございましょう。  一萬田大蔵大臣にお尋ねします。あなたは一国の財政を預かる責任者として、当然に原子力研究所設置については、最小の費用をもって最大の効果をあげることを目途としてお考えになっておられることと信じます。この見地からすれば、武山官有地であり、しかも交通が便利でございます。最適地として強く推してこられたと信じますが、今後いかにお考えであるか、今後の対策についてのあなたのお考えを伺いたいと存じます。もっともアメリカ軍側条件等については、これは外務大臣の善処を待てばいいと存じます。  さらに蔵相にお尋ねいたしたいのは、防衛庁側横やりを入れてきたことについてであります。防衛庁としては、まだ閣議決定も見ない一方的な防衛力拡張計画を基礎として、予算裏づけもないにかかわらず、武山の旧海軍海兵団施設を全面的に防衛庁において独占するという意図をもって、施設の全部または一部の平和的利用に反対しておることに対しまして、蔵相は、財産の管理責任者として、また予算編成責任者として、いかにお考えであるか、お答え願います。  最後に、船田防衛庁長官にお尋ねいたします。あなたは、予算裏づけもない、また閣議決定も経ない一方的な防衛庁希望的計画をたてとして、武山の一部でも平和的目的に利用されることに反対してこられました。そしてついに今日の閣議決定国防優先の横車を押し通した発頭人でございます。あなたは大いに主張の貫徹を誇っておられると思いますが、ところがこの国防上の要請なるものが、決定的な、確信のあるものでないことは、あなた御自身の口がこれを語っております。すなわち、四日の新聞紙の伝うるところによれば、神奈川県知事の談として、あなたは内山知事に対し、武山の全部は必要でないから研究所のじゃまはしないと約束した由であります。また横須賀市長談によれば、増原次長は昨夜、すなわち閣議決定後、市長に対し、武山を使うかと聞かれれば使うと答える、しかし原子力研究所設置をじゃましたり、原子力委員会けんかまでして使う気持はない、このことは長官にも伝えてあると答えた由であります。果して船田長官真意那辺にありゃ、ますます不明朗ではございませんか、いかにお考えになるか、お尋ねいたします。国民は、国防上の理由武山を否定する道具として使ったにすぎないのではないかと疑っております。それではあまりにも防衛庁のために不名誉ではございませんか、何と弁明されるのでございましょう。あなたはあくまで自衛隊の施設として独占を主張されるか、あるいは半分くらいでがまんする腹であるか、明確な態度を御表明を願いたいのであります。  あなたは、今回防衛庁横やり原子力平和利用計画の最も効果的な実現が阻害されようとしておることに対し、国民は、かつての軍部横暴の再現だと深く憂慮しており、かかる傾向に強く反対しておることを御承知でござるか。知っておられるとすれば、深く反省すべきではないかと考えまするが、あなたの明快なるお答えを願いまして、私の質問を終ります。   〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  9. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 曾祢君の御質問お答えをいたします。  原子力委員会決定は、でき得るだけ尊重することは当然であります。閣議では、委員会とは別に国策的な総合的な立場からも検討することが必要でありまするから、必ずしも常に原子力委員会決定に服従するわけには参りません。  第二の御質問に、政治軍事科学と平和に優先させたというような御質問がありましたが、そういう考えは全然持っておりません。また、両者を対立的な立場考えたくはないと私は考えます。  逃避的な立場をとったというお話でありますが、決して逃避的な立場はとりません。決定すべきときには決定をいたします。むろん、決定に対しては責任をとります。  以上をもって答弁を終ります。(拍手)   〔国務大臣正力松太郎登壇拍手
  10. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 原子力委員会の勧告を党内事情で否定したことはありません。武山は、原子力研究所敷地として適当であるが、一方防衛体制整備上にも重要な関係があり、その決定には慎重な考慮を必要とします。しかし研究所敷地決定は急を要しますので、あらためて原子力委員会再考をわずらわしたのであります。委員会再考をわずらわしたのであります。   〔国務大臣萬田尚登登壇拍手
  11. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 原子力研究所設置につきまして、最も費用が少くして効果の最も上るというところを選ぶ、これはもうその通りであるのでありまして、この目的にかなうような国有施設がありますれば、私としてはこれを利用してもらいたい、かように考えておるのでありまするが、しかし、この原子力研究所を、そういう意味においてどこに置くかということがまだきまっておりませんで、関係者の間でただいま検討を加えておるというのであります。さよう御了承願います。  なおまた、予算編成権に関連して、防衛庁長官がいろいろと御意見があったような御質問でありますが、そういうことは私なかったと思います。ただし武山土地について、防衛庁との関係において、いろいろ御意見があったかもしれぬ、これはかりにあったといたしましても、私はごうも差しつかえない、もっともなことであると考えておるわけであります。  御答弁いたします。(拍手)   〔国務大臣船田中登壇拍手
  12. 船田中

    国務大臣船田中君) 武山基地の問題につきましては、予算委員会におきましても、当時、曾祢委員お答え申し上げておきましたように、防衛責任者といたしましては、あの施設防衛体制整備の上において使いたいという強い希望は持っております。しかし、さればと言いまして、決して原子力委員会決定し、そうして、もしそれが政府において承認されるということになりまするならば、私は、これにあえて反対をするということはいたしません、かような趣旨を御答弁申し上げておったのでございますが、今日もなお同じ考えを持っておるのでございまして、決して防衛庁があの敷地決定横やりを入れるというようなことは毛頭考えておりません。(拍手
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 外務大臣は、他日出席の際答弁されるおもむきであります。    ————————
  14. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程に入ります。  日程第一、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案衆議院提出)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。法務委員長高田なほ子君。   —————————————   〔高田なほ子登壇拍手
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいま議題となりました罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する、地区を定める法律案委員会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  もともとこの罹災都市借地借家臨時処理法は、戦争によって罹災した建物の旧借主に優先的に借地権を取得させ、あるいは逆に、今後存続させる意思がないと認められる借地権については、これを消滅させる等の道を開き、戦災地等における借地借家権利関係を調整して、そのすみやかな復興を促進することを目的として立法されたものであります。その後、同法は改正され、第二十五条の二におきましては、かような戦争による罹災の場合だけに限らず、別に法律で定める火災、震災その他の災害の場合にも、その法律で指定する地区に限り、この臨時処理法の諸規定を準用し得ることと定められているのでございます。  そこで、最近におきましては、相次いで発生しました新潟市並びに名瀬市の大火災に対しましても、この第二十五条の二を適用すべき法律がそれぞれ制定されましたことは御承知の通力であります。本法律案は、先般三月二十日に発生しました秋田県能代市の大火にもこの規定を適用し、同市における借地借家権利関係を調整し、もって同市の急速な再建をはからんとするものでございます。すなわち、この能代市の場合、去る昭和二十四年二月にも大火発生があり、当時やはり同条の規定を適用すべき法律が制定せられ、すでに所期の効果をあげているのであります。その際の同市における罹災地域は、市内の北半分であったに対し、このたびのそれは、遺憾ながら南半分に及ぶ九万五千余坪にわたって約千五百戸を灰じんに帰したのであります。その焼失家屋借家率は一六%、焼失地域における借地率は三六%という状態でございます。  従いまして、復興に当る地元市当局等からの要望も数多いことでございますが、当委員会といたしましては、今後の住宅商店等の建設に当り、借地借家権利関係からの紛争が予想されますので、まず、この面から罹災者を保護するため本法律案による措置を講じ、これとともに、その他災害救助等の諸施策がなされることによりまして、同市が一日もすみやかに復興されるようにひたすらに念願いたしている次第でございます。  かような事情にかんがみまして、委員会におきましては熱心に審議に努め、一松、羽仁、中山、藤原各委員から、「本市の場合、最近二回にわたって大火に見舞われているが、その発生原因は判明しているのか、また、本市のみならず、全国にわたる昨今における火災の頻発に対処し、国家の資源の減耗を防ぐため、その原因の究明、不燃住宅対策都市計画防火施設等についても抜本的な対策を講ずる要はないか」等の質疑もなされたのでございます。なお、一松委員より、「不幸なる火災を未然に防ぐため、諸般検討を、今後当委員会といたしまして十分考究すべきである」という提案がございまして、本委員会としてこの提案を全面的に支持し、これに基いて十分考究すべきことを決定いたしました。  討論に入りましたところ、別に発言はなく、採決いたしましたが、全会一致で可決すべきものと決定いたした次第でございます。  以上、御報告を終ります。(拍手
  16. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  17. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。    ————————
  18. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、計量法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。商工委員長三輪貞治君。   —————————————   〔三輪貞治登壇拍手
  20. 三輪貞治

    三輪貞治君 ただいま議題となりました計量法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件につきまして、当商工委員会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  最初に、計量法の一部改正案について申し上げます。  本改正案のおもなる改正点は次の通りでございます。その第一は、正確に計量する義務についての改正でございます。すなわち現行規定では、長さとか、質量とかいうものを政令で定めまして、たとえば質量により取引する場合は、すべて政令で定める誤差をこえないように計量する義務を課しているのでございます。この誤差量目公差と言っておりますが、現行規定のごとく、この量目公差を全商品一律に定めるのはきわめて困難なため、とりあえず生活物資のような重要商品から順次定めるように改正しておるのでございます。第二の改正点は、現行容量検査制度を廃止いたしまして、これにかわる制度として、以下述べまするような制度を代置したものであります。すなわち容器、それはおもにガラスびんでありますが、この容器型式を定め、その型式に適合する容器で、容量の正確なものを自動的に製造し得る設備を持った容器の製造業者を指定いたします。さらに、その指定事業者に自己検査をさせ、これに合格した容器にその旨の表示を行わせるのであります。この表示をしてある容器に、一定の高さまで商品を入れて販売する場合は、計量器が一々計量する必要がないことといたしておるのでございます。この制度の適用商品政令で定めることになっておりますが、さしあたり酒、しょうゆ、ビール、牛乳等、ガラスびんに入れて大量に取引される商品を予定しておるのであります。その他の改正点は、棒はかり等の販売事業者に対し、簡易なはかりの修理権限を与えること、次に、自動制御等合理化に使用される計量器については、メーカーがアフターサービスを自由に行い得るようにしたこと、並びに定期検査にかわる検査を受けることのできる期間を広げること等であります。  本改正案につきましては、当委員会におきまして慎重なる審議を行なったのでありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくして質疑を終了し、討論に入りましたが、別に発言もございませんでしたので、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  次に、繊維製品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。  御承知通り繊維製品検査所は、輸出絹、人絹織物の検査表示を行いますとともに、その他の輸出繊維製品につきましては、民間の検査機関で行う検査表示の監督をする国の行政機関でありますが、現在、京都以下八カ所に本所を、東京以下二十五カ所に支所及び出張所設置してございます。今回新しく繊維製品検査所出張所設置しようとする和歌山県の高野口地方は、輸出入絹シール織物の主産地でありまして、戦前に引き続き、戦後も昭和二十五年ごろより輸出の引き合いがあり、昭和三十年における同地の輸出検査高は約四百五十万ヤードに達し、戦前の最高時に比べて約五倍の検査高であります。しかるに、現在同地方の輸出入絹シール織物の検査表示は、神戸繊維製品検査所の大阪支所より毎日出張して行なっておりまして、その所要旅費は、受託出張規則に基きまして、表示を申請する業者より徴収している次第であります。それがため結局輸出品のコストを高めて生産を阻害し、他面また、大阪支所より高野口まで、往復約四時間を要して検査の不円滑を来たしておりますので、業務の能率化等を期するため、新たに神戸繊維製品検査所高野口出張所設置することの承認を求めて参ったものであります。  当委員会では、質疑を終り、討論に入りましたところ、別に発言もなく、次いで採決に入りましたが、本件は全会一致をもって、原案通力承認すべきものと決定いたした次第であります。  右、御報告いたします。(拍手
  21. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  まず、計量法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  22. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。    ————————
  23. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件全部を問題に供します。  委員長報告通り、本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  24. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認することに決しました。    ————————
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第四、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法案  日程第五、官庁営繕法の一部を改正する法律案(いずれも衆議院提出)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。建設委員会理事石井桂君。   —————————————   〔石井桂君登壇拍手
  27. 石井桂

    ○石井桂君 ただいま議題となりました積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法案並びに官庁営繕法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法案について申し上げます。  本法案は、衆議院議員の提出にかかるものでありまして、北海道、東北等積雪寒冷地域において、除雪、防雪あるいは凍結融解時における路層の破損防止等による道路の交通確保のため、主要道路に一定の計画を樹立し、これらの事業に要する経費に対しまして、国庫補助の特別措置を講じようとするものであります。  その内容について申し上げますと、第一に、積雪寒冷特別地域道路交通確保上特に必要と認められる道路は、建設大臣が運輸大臣の意見を聞いて指定することとし、その基準は別に政令で定めることになっております。第二に、建設大臣は、昭和三十二年度以降毎五カ年を各一期として、当該地域の道路交通確保五カ年計画の案を作成し、閣議決定を求めることになっております。第三に、この五カ年計画に基いて実施する事業の費用については、国は予算の範囲内で三分の二以内を道路管理者に対して補助することになっております。  本法案は、去る三月十日、本委員会に付託されまして、数回にわたり質疑を行なって参ったのでありますが、そのおもなる点を申し上げますと、第一は、積雪寒冷特別地域の指定及び道路交通確保五カ年計画の内容に関してであります。これにつきまして提案者及び政府委員から、指定地域として北海道、東北、北陸及びその他地域を想定しているが、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等を勘案の上決定するようにしたい。また、五カ年計画案については、法案の成立に従って研究し、立案したいとのことでありました。第二は、道路交通確保五カ年計画と道路整備五カ年計画との関係であります。この点につきましては、政府委員から、「凍雪害等の防止に関する道路の改良工事は、現在の道路整備五カ年計画の中に入れて実施しているが、その占める割合がきわめて少いこと、また現行道路法においては、除雪、防雪のうち、維持に属するものは北海道だけはできるが、その他の地域についてはできない」との答弁でありました。第三は、財源についてでありますが、この点につきましては、大蔵省、建設省並びに提案者の見解を詳細にただしたのでありますが、提案者及び建設当局は、「この道路交通確保五カ年計画に基く事業に要する費用は、揮発油税相当額以外の一般財源をもって充当するようにしたい」との答弁でありました。本案は四月四日、質疑を終了、討論を省略して採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  次に、官庁営繕法の一部を改正する法律案について申し上げます。  現行官庁営繕法は、営繕計画の統一と、官庁建物の集約化、庁舎の不燃構造化を推進し、公衆の利便と公務の能率増進をはかる目的をもって、昭和二十六年、第十回国会において制定せられたものであります。  本改正案は、衆議院議員の提出によるものでありますが、同法実施の状況にかんがみ不備な点を改正し、さらに計画的、統一的な営繕を推進しようとするものであります。  その内容は、第一に、都市の一定地区に、国家機関の建築物と地方公共団体の建築物とを、それぞれの機能に応じて集中配置するよう、都市計画として決定する一団地の官庁施設規定を設け、その境域内の官公庁施設以外の建築物については、都道府県知事の許可を要することとし、建築制限の要件を明示したことであります。第二は、建設省の施行する営繕工事の範囲を定め、営繕施行の原則的統一を行い、建設計画の統一調整等をはかったことであります。第三は、国家機関の建築物の保全の適正化をはかるため、その技術的基準を定め、各省庁の長をして励行せしめるようにしたことであります。  本案の審議における提案者並びに建設省に対する質疑のおもなる点を申し上げますと、第一は、建設省の施行する事業量の増大と定員との関係でありますが、「この点は配置転換によって調整して行きたい」ということでありました。第二は、一団地の官公庁施設の境域の規模と私権の制限に関する点でありますが、「境域の規模については、幹線街路に区画された必要最小限の一ブロックを想定の上、できる限り国有地及び公有地を対象として、民有地は避ける方針であり、本法によって直ちに私権を制限するようなことはない」との答弁でありました。  かくて質疑を終了し、討論を省略して採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  28. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  29. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。    ————————
  30. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第六、労働省設置法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。内閣委員長小柳牧衞君。   —————————————   〔小柳牧衞君登壇拍手
  31. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ただいま議題となりました労働省設置法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案は、労働者の福祉の向上をはかる目的をもって、労災補償の事務を整備してその円滑な遂行を期するために、本省の労働基準局に労災補償部を設置し、また労働衛生に関する専門的調査研究を行うために、付属機関として労働衛生研究所設置することが改正の要点でありまして、なお、付属機関の特殊技能試験審議会は、すでにその設置目的を達成いたしましたので、これを廃止するため所要の改正を行わんとするものであります。  内閣委員会は、前後三回委員会を開き、この間、倉石労働大臣及び関係政府委員出席を求めまして、本法律案の審議に当りましたが、本省の労働基準局に労災補償部を新設する点に関しまして、島村、千葉、堀の三委員より、「国家行政組織法第七条及び第二十四条の規定趣旨よりすれば、今回本省の労働基準局に新たに恒久的性格の労災補償部を設置することは、行政機構簡素化及び行政責任の明確化の点より見て適当であるかいなかに疑問があるのみならず、前示の国家行政組織法の規定にも抵触するものではないか」との点について政府の所見をただされましたところ、倉石労働大臣及び行政管理庁政府委員より、「今回労災補償部を設置せんとするのは例外的な措置であって、政府は行政組織として部の設置を正常な形に整えるため、最近の機会に、国家行政組織法に所要の改正を行う方針である」旨の言明がなされました。これらの詳細は委員会会議録に譲りたいと存じます。  昨日の委員会におきまして、質疑を終り、討論に入りましたところ、千葉委員より、「労災補償部設置の直接の端緒である労働保険審査官及び労働保険審査会法案における失業保険及び労災保険の審査機関の改正は、官僚統制の傾向を助長し、民主化に逆行するものであり、また、労災補償部の設置は、国家行政組織法第七条に抵触すると思うが、政府は、近くこの点に関し国家行政組織法を改正する旨言明しておるので、この際これを了承し、本法律案賛成する」旨、次いで、緑風会を代表して島村委員より、「労災補償部の設置について、千葉委員と同様の趣旨発言のほか、局と課の間に部を設けることは、かえって事務の渋滞を来たすおそれがあるから、むしろ部にかえて、機動性を持った参事官制度によって事務執行の円滑をはかるよう、政府において考慮されたい旨の希望を添えて、本法律案賛成する」との発言がありました。  かくて討論を終り、直ちに本法律案について採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと議決せられました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  32. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  33. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時四十三分散会    ———————— ○本日の会議に付した案件  一、原子力研究所敷地選定に関する緊急質問  一、日程第一 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律  一、日程第二 計量法の一部を改正する法律案  一、日程第三 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件  一、日程第四 積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法案  一、日程第五 官庁営繕法の一部を改正する法律案  一、日程第六 労働省設置法等の一部を改正する法律案