○戸叶武君 ただいま
議題となりました
飼料需給安定法の一部を改正する
法律案及び
農業協同組合整備特別措置法案について、農林水産
委員会における
審議の経過及び結果を
報告いたします。
まず、
飼料需給安定法の一部を改正する
法律案について申し上げます。
飼料需給安定法は、
政府が輸入飼料の買い入れ、保管及び売り渡しを行うことによって、飼料の需給及び価格の安定をはかり、もって畜産の振興に寄与することを目的として、
昭和二十八年三月から施行せられたものでありまして、本
昭和三十
年度は、
政府の輸入飼料の売買差損を
食糧管理特別会計中に織り込むこととし、すでに輸入ふすま十万五千トンを初め、総計で二十五万九千トンの輸入飼料の買い入れを行うことができたのであります。さらにまた、昨年の豊作の影響もありまして、最近の飼料事情は比較的安定した状況を示し、従って
政府の売り渡しは十二万五千トンにとどまり、ふすまのごときは、本
年度末において
政府の手持ちは計画量を約七万トンも上回って九万トンに達するものと予定されております。しかして、明三十一
年度においても、この
法律の定めるところによって、
政府は輸入飼料の買い入れ、保管及び売り渡しを行うことになっておるのでありますが、保管中の輸入飼料、特にふすまなどは梅雨期の高温多湿など、主として気象上の影響により品質が低下し、国損をきたすおそれが予想されますので、これを未然に防ぐ
措置を講ずるため、今回この改正
法律案が提出されることになったのであります。
しかしてこれが
内容は、現行法におきましては、国内産飼料は
政府の買い入れ、保管及び売り渡しの対象から除外されておるのでありますが、
政府がその保管する輸入飼料の品質の低下により、著しい
損失を生ずるおそれがある場合においては、その保管している輸入飼料を、輸入または国内産のいかんにかかわらず、同一の品目で同一の数量の飼料と買いかえ、または交換することができることとし、なお、かかる
措置に伴って
関係の
規定に必要な改正を行おうとするものであります。
委員会におきましては、まず提案理由の
説明を聞き、次に本
法律案審査の前提である飼料の需給状況及び価格その他の参考事項並びに
法律案の
内容及び予算
関係等について補足
説明を求め、続いて質疑に入り、飼料の
政府及び民間手持ちの現況、飼料の需給推算の立て方及びその当否、飼料需給調整のやり方及びその影響、並びに需給調整上
政府の適正保管量及びその決定方法、大法の実施とともに直ちに買いかえが予定されている飼料の種類及びその数量、並びに買いかえの方法、麦価とふすまの価格との
関係及びその調整等、諸般の事項について当局の所見がただされたのでありまして、これが
内容の詳細は
会議録に譲ることを御了承願いたいと存じます。しかし、ここで一言、本法実施の場合、「急速に買いかえが必要と見らるる飼料は、今のところふすまのみであって、その数量は約三万トンと予定せられておる」と述べられていることを申し添えておきます。
かくして質疑を終り、
討論に入り、別に
発言もなく、続いて
採決の結果、本
法律案は、
全会一致をもって原案
通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、
農業協同組合整備特別措置法案について申し上げます。
農業協同組合の再建整備につきましては、すでに
昭和二十六
年度から農林
漁業組合再建整備法によってその実施が進められ、この再建整備
措置は、本年三月末をもって終了することになっております。しかし、農業協同組合の中においては、今なおその経営が不振で、本来の目的を十分果し得ないものがある実情にありますので、かような組合について、おおむね五カ年間にこれが整備をはかることにしようとするのが、この
法律案が提出された理由でありまして、その目的とするところは、整備計画を立て、これに基いて自主的に整備を行う農業協同組合に対し、国及び都道府県が助成を行う等の
措置によって、農業協同組合の整備の促進をはかり、もってその健全な
発展に資することにしようとするのであります。
しかして、本
法律案のおもな
内容は、大略次のようであります。すなわち第一は、整備計画の樹立でありまして、経営不振の農業協同組合であって、この
法律によって整備を行おうとする場合は、
昭和三十三年三月三十一日までに、都道府県知事の指定の日、すなわち指定日現在によって貸借対照表を作成し、これに基いて所定の方法及び手続に従って整備計画を立て、これを都道府県知事に提出し、これが適否の認定を受けることになっております。しかして、それが適当であるという認定を受けた組合を整備組合ということになっております。第二は、整備の目標でありまして、これは指定日から起算して五カ年間に固定した債務の全部を整理し、欠損金の全部を補てんしなければならないことになっております。第三は、
政府の助成
措置でありまして、
政府は毎
年度予算の範囲内において、都道府県が行う信用農業協同組合連合会が整備組合に対する債権の利息を減免することとし、その場合、その減免した利子の補給、都道府県農業協同組合中央会が整備組合に駐在指導員を派遣して指導を行うこととし、その経費に対する
補助及び都道府県知事が過小農業協同組合に勧告し、その勧告によって農業協同組合が合併した場合において、この合併して成立し、または合併後存続する組合に対して、合併奨励金を交付することとし、その奨励金等のために必要な経費につき、都道府県に対して
補助金を交付することになっております。第四は、法人税法に特例を設けたことでありまして、整備組合につきましては、所得の計算上、整備期間中欠損金の繰り越しを認めることとし、その税負担を軽減して整備の促進に資することとしたのであります。
委員会におきましては、まず、
政府当局から提案理由の
説明を聞き、次に、本
法律案審査の前提である農業協同組合及びこれが再建整備の現況、その他の参考事項、並びに
法律案の
内容及びその予算
関係等に関し補足的
説明を求め、続いて質疑に入り、農林当局との間に、さきに第十九回国会において成立した農林
漁業組合連合会整備促進法の改正法によって
措置された金融機関再建整備法の特例による調整勘定における利益金の国庫納付金の処分状況、並びにこれら納付金と本
法律案実施のための経費予算の財源との
関係、農業協同組合の現況及びこれが刷新振興方策・並びにこれらの方策と本
法律案による
措置との
関係、本
法律案の対象から森林組合及び
漁業協同組合が除外されている理由及びその当否等について熱心な質疑感答が行われ、そのうち、森林組合及び
漁業協同組合が除外されている理由については、
政府当局から、「考え方としては農業協同組合とこれらの両組合とは同列に取り扱うべきものと思われるが、諸般の事情から農業協同組合から着手する必要を認めた、しかして農業協同組合に対する
措置を完了した後において、これらの両組合を追加したいと考えている。これらの両組合については、農業協同組合とその実体において事情を異にしている点があり、これらの点について調査が不備であったから、今回は農業協同組合のみにとどめることにしたが、できるだけ早い
機会にこれらの両組合に対しても同様
措置することにしたい」という
趣旨の
答弁が述べられており、その他の
内容の詳細については、
会議録によって御了承を願いたいのであります。
かくして質疑を終り、
討論に入りましたところ、三浦
委員から、次のような付帯
決議、すなわち
一、森林組合及び
漁業協同組合の現況にかんがみ、
政府は、従来の取り扱いにならい、ひとり農業協同組合のみならず、経営不振の森林組合及び
漁業協同組合に対しても、すみやかに、本法案に準ずる法制的かつ予算的
措置を講ずべきである。
一、農業協同組合の再建整備に関し、本法案によるような
措置と合せて、農業協同組合に対する農民の認識を高め、農業協同組合
精神の作興を期し、組合役職員陣容の刷新をはかり、もって農業協同組合の自主的再建の実をあげるよう、
政府においても遺憾なく
措置すべきである。
との付帯
決議の
動議が提出され、続いて
採決の結果、本
法律案は
全会一致をもって、三浦
委員の提案にかかる付帯
決議を付して原案
通り可決すべきものと決定いたしました。なお、右の付帯
決議に対し、農林政務次官から、「
決議の
趣旨にのっとって万全の
措置を講じたい」旨の
発言があったことを申し添えます。
以上、御
報告申し上げます。(
拍手)