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寺本広作君 私は自由民主党を代表して、ただいま
議題となっております
健康保険法等の一部を
改正する
法律案等について二、三の
質問をいたしたいと思います。
私どもは与党
議員として、
政府提出の
法律案については、ともに
責任を分たねばならぬ立場に立っているものでございます。しかしながら、社会保障制度の確立に関する問題は、先ほどここで
議題となりましたああいう
決議案とは性質が違いまして、保守革新の両陣営を通じ、共通の広場における問題として取り上げてよい問題であり、またその取り扱い方いかんによっては、直ちに院外の大衆運動を誘発しやすい微妙な問題でもあると思いますので、
審議の当初において、十分原案者にその意を尽させ、問題点を整理しておくことが、
わが国におきまする社会保障計画の展開を円滑にするためにも、また院外における無用の混乱や摩擦を防止するためにも必要なことではないかと思うのでございます。その意味で、私どもがあえて与党
質問を行うことについて、皆様の御了解をいただきたいと思うのでございます。
まず初めに、現在起っている医療問題をめぐる種々の混乱を厚生大臣はどういうふうに観察し、どういうふうに対策をとろうとしておられるのであるかについてお伺いしたいのであります。現在行われております保険医の総辞退宣言や、一日休診など、医療問題をめぐる種々の混乱は、目睫の間に迫っております医薬分業問題、その実施のために必要だとされる新医療費体系の問題、さらには昨年度から引き続き懸案となっております
政府管掌健康保険の赤字対策など、あまりにも多くの問題が時を同じうして一時に殺到したことに起因するのではないかと思われるのであります。これがため、新医療費体系が、
政府管掌健康保険の赤字対策の
一つではないかと受け取られたり、またその新医療費体系が、実施期日を目前に控えながら、いまなお不確定であるために、医薬分業そのものの実施期日が、さらに延期されるのではないかという疑心暗鬼を生じたり、これらの事情が相いからみあって混乱を惹起しつつあることは、いなみがたい事実であると思うのであります。厚生大臣は、この際、医薬分業は全会派一致で成立した立法の経緯にかんがみ、予定の
通り実施の方針であること、新医療費体系は医薬分業の実施のためにのみ必要であり、従って
政府管掌健康保険の赤字対策とは全く無関係なものであること、こういうことを疑問の余地がないまでに明らかにされ、当面の混乱した
事態を解きほぐさるべき義務があると思うのでございますが、その御用意があるかどうか、まずこれをお伺いしたいと思うのでございます。
こうして医薬分業の問題、新医療費体系の問題が、
政府管掌健康保険の赤字対策とは、本来無関係のものであることが明らかになりますれば、私どもは
政府管掌健康保険の赤字対策を、そのもの自体としてすっきりした姿において取り上げることができるわけであります。しかしながら、ここに提出されておりまする
健康保険法等の一部を
改正する
法律案に盛られた
内容を拝見し、また、ただいま厚生大臣が行われました提案
理由説明を拝聴いたしますれば、これらの
内容は、必ずしも一時的な
政府管掌健康保険の赤字対策というわけのものではなく、恒久的な医療保障制度の一環として確立されようとしているもののごとくでございます。本法案中に含まれております標準報酬月額の引き上げ、被扶養者の範囲の制限、継続給付の受給資格の引き締め、保険医療機関の指定、保険医の登録、監査等に関する諸規定は、いずれもそらした恒久的な制度化をねらった規定であると思われるのでありますが、それはしばらくおくとしても、この
法律案中、国庫が予算の範囲内において
政府管掌健康保険事業の執行に要する費用の一部を補助するという規定も、また恒久的な制度としてこれを取り入れられたものであるかどうか。すでに提出されております
昭和三十一年度予算の参照書によれば、一般会計から厚生保険特別会計の健康保険勘定へ繰り入れられる三十億円は、保険財政の再建をはかるための補給金であると説明されておりますが、この
法律案によれば、必ずしもそうではなく、これを恒久的なものとして制度化しようとされているもののごとくであります。
政府は予算提出当時は、暫定措置として出されたものを、この
法律案提出の際には、どうして恒久的な補助金として制度化されたものでありますか。そこには
政府としていろいろ考究されたしかるべき事由があることと思いますが、大蔵大臣並びに厚生大臣から、その経緯を明らかにしていただきたいと思うのでございます。
政府管掌健康保険に対する国庫の補助金が、単なる財政再建のための赤字補助金ではなく、恒久的に制度化された一般会計からの補助金であるといたしますならば、そこには医療費の患者一部負担の増額問題ともからんで、
わが国における医療保障計画の今後における進め方の問題ともからんで、たださるべき幾つかの本質的な問題があると思うのでございます。
お伺いしたいことのまず第一点は、この
法律に基き、一般会計から
政府管掌健康保険の医療費に対して補助される三十億円は、医療保障全般にわたり、国が支出する他の予算との関係において、均衡を失わないものであるかどうかということであります。厚生大臣御承知の
通り、
わが国九千万人の同胞を医療保障の見地から大別いたしますならば、多少の例外はあるとしても、おおよそ四つの階層に分類することができると思うのでございます。その
一つは、大規模の事業に従事し、みずから健康保険組合を組織している人々で、本人、家族合せて、およそ九百四十万人、月額一万七千円をこえる平均標準報酬を受けている人々であります。その二は、五人以上の従業者を使っている中規模の事業に従事し、
政府管掌の健康保険に参加している人々で、本人、家族合せて、おおよそ一千二百万人、月額一万一千余円の平均標準報酬を受けている人々であります。その三は、五人未満の従業者を
使用している小規模の事業に従事し、あるいは自家労力により、農業、工業、商業等、各種の事業を営み、
国民健康保険に加入している人々で、その数おおよそ三千万人でございます。この階層に属する人
たちが、最低賃金制が施行されれば、その適用の対象となるべき低額所得者を含むものであることは申すまでもないところでございます。その四は、かかる
国民健康保険の恩典にも浴しない残余の三千数百万人の人々、疾病にかかった場合には、全額自費で、全額
自分の金で医者にかかるか、または全然医者にかからないか、あるいは生活保護法による公的な医療扶助に頼るかのほかに
方法のない人々でございます。われわれ九千万の同胞を、医療保障の見地から分類すれば、およそ以上の四階層に分つことができるのでありますが、明年度予算の一般会計から、これら四階層に属する人々のために、医療保障費として国が支出する予算を概観いたしますれば、第一階層の組合管掌健康保険には国庫負担がございません。第二階層の
政府管掌健康保険に対しては、ただいまここに提案されておりますこの
法律により三十億円、第三階層の
国民健康保険には六十四億円、第四階層の、これは生活保護法による医療扶助でございますが、その医療扶助に対しては、およそ百八十億円の国費が支出されることになっておるのでございます。
組合管掌健康保険が、一般に財政状態が良好であり、被保険者の負担も
政府管掌より軽く、その上付加給付まで行なっている事例が少くない現状において、第一階層に属する恵まれた九百四十万人の人々に対し、国庫が一般会計より事務費として四億五千万円を支出するにとどめ、医療費自体に対しては何らの補助も行なっていないことについては、この際論ぜらるべき問題はあるまいと思います。問題は、第二、第三、第四の階層に属する残余七千数百万の人々に対する、国としての医療保障の進め方にあると思うのでございます。今、問題をきわめてわかりやすくするため、明年度予算において国庫が医療保障費として一般会計から第二、第三の各階層に対して支出する金額を、その階層に属する人々の頭数で割って一人当りに直してみますと、第二階層千二百万人に対する三十億円は、一人当り二百五十円となり、第三階層三千万人に対する六十四億円は、一人当り二百十円にしかならぬのでございます。ただいま上程されておりますこの
健康保険法等の一部を
改正する
法律案によって、第三階層に属する人々が、第二階層に属する人々に比較し、国庫より冷遇される結果となることは明らかであります。その第三階層に属する人々は、前に申し述べました
通り、第二階層に属する人々よりもはなはだしい低額所得者を含むものであるだけでなく、従来から保険料の納入、医療費の本人負担、医療給付の
内容等において、第二階層に属する人々とは比較にならぬ不遇な立場に立ってきた人々であるのでございます。すなわち第一、第二階層に属する人々が保険料の半額を負担すれば足りるのに対し、第三階層に属する人々は保険料の全額を
自分で負担しなければならぬ。現実に医者にかかる場合、第一、第二階層の人々は、家族を除き、本人は軽微な一部負担をすれば足りるが、第三階層の人々は、ほとんどすべての場合に半額負担を余儀なくされる。保険から受ける医療給付の
内容においても、第三階層の人々は、入院や歯科補綴の除外を初め、第一、第二階層の人々に属する健康保険に比べ、はるかに劣るのでございます。従来第一、第二階層の人々の属する健康保険の医療費に対しては国庫の補助がなぐ、ただ第三階層の人々の属する
国民健康保険の医療保障費に対してのみ国庫負担が行われてきたのは、かかる
理由に基くものであると私どもは理解し、これを是認してきたわけでございます。
この第三階層の医療保障費に対する国庫負担が不十分であるため、
国民健康保険が多くの問題をはらんだまま伸び悩み、その普及率は今日なお組織対象の五〇%に足らず、多数の
国民が医療保障における第四階層として放置されているのが現在の実情であることは、おおいがたい事実であると思われるのであります。第四階層に対して国が支出する百八十億の予算は、生活保護法に基く医療扶助の予算でございまして、金額においてこそ相当巨額に上っているものの、それはすでに生活能力を喪失している人々に対する公的扶助として支給されるものにほかならず、医療保障としては最も望ましからざる形態の支出であると申さなければならぬのでございます。その望ましからざる形態の医療扶助が年々増加し、今や生活保護に要する国費の半ばを占める百八十億円に達しておりますことは、問題の多い第三階層に対する医療保障の施策が未解決のままに放置され、そこに画期的な進展が見出されないために生ずる必然的な結果にほかならぬと思われるのであります。
かように医療保障における第三階層に対する問題、すなわち
国民健康保険をめぐる諸問題は、第二階層に対する国の施策との均衡の見地からいっても、第四階層に対する国費支出の健全化の観点から見ても、実に
わが国の全医療保障体系の中心課題をなすものであると思われるのであります。内閣に置かれました社会保障制度
審議会、厚生省に置かれました七人
委員会等の学識経験者が、いずれも一致して
国民健康保険の全面的な設置をもって
政府管掌健康保険に対する国庫補助制度創設の前提であるとしているのは、かような
理由に基くものにほかならぬのでございます。
政府がこの前提たるべき医療保障の中心課題の解決をあと回しにし、今回
政府管掌健康保険に対してのみ均衡を失した恒久的国庫補助の道を開かれたのは、いかなる
理由に基くものでございましょうか。また学識経験者が現在提唱しておられますように、
国民健康保険を全面的に強制設立するとしても、今日のごとく多くの問題をはらんだ
国民健康保険を、そのままの姿で
国民に強制することが、果して妥当であると
政府は考えられるでございましょうか。一部には、
政府管掌健康保険に対して二割、
国民健康保険に対して三割の医療費国庫補助を行うべしとの主張も行われておりますが、その
通り実行するとすれば、一人当りの国庫補助は、第二階層と第三階層との間において、ますますその較差を増大し、両階層間の不均衡をはさみ状に拡大していくことは必至であります。
国民所得再配分の機能をも果すべきものといわれる社会保障制度の展開に当って、かような主張を取り入れる余地があると
政府は考えられるのでございましょうか。
私どもは、今度の
政府管掌健康保険に対する国庫補助制度の創設並びにこれをめぐる諸問題について、以上のような疑問を持つものでございます。この疑問に対する回答を中心に、将来における医療保障計画の進め方について、
政府の抱かれる明確なる構想が明かにされない限り、今度の
改正に当り、経費を分担するだけでその恩典に浴せざる六千余万の
国民が、釈然たる心持で、この
法律案を受け入れることは不可能であろうと思われるのでございます。厚生大臣並びに大蔵大臣から、この点に関する明確なる御所見を伺いたいと思うのであります。
次にお伺いしたいことは、医療費一部負担の増加についてでございます。先刻来申し上げます
通り、今回の
改正は、
政府管掌健康保険に対し、一人当り
国民健康保険に対する国庫補助を上回る国庫補助の道を開いたものであるにもかかわらず、一部負担の増加あるがゆえをもって、これを改悪なりとする非難の声が高くあげられつつあるのでございます。
政府は、これを当初政令に譲り、社会保険
審議会の議を経て決定するという含みを残しておかれるやに見えたのでございますが、その具体的
内容をあえて本法に盛り込み、ここに提案してこられたわけでございますから、その
内容については十分の確信をお持ちのことと存じます。
内容の細部については、いずれ
委員会で伺うこととし、ここではただ
政府がこの一部負担の増加に対する当面の
反対運動を、どういうふうに理解し、これに対していかなる対策をお持ちであるかについて伺うにとどめたいと思うのであります。
厚生大臣がこの
法律案の作成に当り諮問せられました社会保険
審議会は、一部負担に関する当時の
政府案に対し、多数意見をもって賛意を表し、その実施に当っては、被保険者の負担が過重にならないように留意すべきこと、これを条件として要望しているのであります。この一部負担に関し、被保険者の負担が過重にならないようにという条件は、一九五二年第三十五回国際労働
会議で採択されました社会保障の最低基準に関する条約の第十条で、医療保障の受給者に課する費用分担に関する規則は、過重な負担となることを避けるように立案されなければならないと規定しているのと、その
趣旨を同じうするもののようでございます。一体過重な負担とはどの程度の負担をいうものであるかということになりますと、立場々々によって意見は分れると思うのでございます。しかしながら、この社会保障の最低基準に関する条約案が提出されましたとき、オーストリアの労働代表スタークを先頭に、世界六十余カ国の労働代表が、本人の費用負担を最大限三分の一に制限するようにという修正案を提出し、それがなお実行不可能な修正案として、国際労働
会議の総会で否決せられた当時のことを私どもは思い起さざるを得ないのでございます。また第二次大戦の後、英国に徹底した社会保障制度をしいた労働党のアトリー内閣が、当時の労働大臣のベヴァンの職を賭しての
反対にもかかわらず、入れ歯等について本人負担の制度を採用し、社会保障経済の健全化をはかったことも、まだ私どもの記憶に新たなところでございます。英国における一部負担の首唱者であった当時の大蔵大臣ゲーッケルが、広く英国労働界からの支持を受けつつ、現在労働党の党首となっていることも意義深いことであると考えます。フランス、スエーデン、ニュージーランド等、社会保障制度の先進諸国において、それぞれ五分の一、四分の一、三分の一の一部負担制をとっていることについては、あらためて申し上げるまでもないことと存じます。明年度における
政府管掌健康保険の医療費総額は四百四十三億円であります。そのうち従前施行されてきた政令による初診料の一部負担六億五千万円を除けば、今度の
法律改正により、新たに本人負担となるものは、厚生大臣御説明の
通り、二十三億五千万円でございます。医療費総額から、従前の政令による一部負担を除いた四百三十六億五千万円に対する一部負担の新規増加分二十三億五千万円の比率は五・四%であります。従前の一部負担と新規増加分との合計三十億円の、総医療費四百四十三億円に対する比率をとってみても、六・八%に達しないのであります。すでに
わが国の保険料率が世界的に見て高い料率となっていること、及び今般の
改正に当り、別途、標準報酬の引き上げが行われている事実などを
理由として、こめ程度の一部負担でも過重な負担であるとする議論も一応成り立ち得るものと思われますが、他面
わが国の一人当り
国民所得はきわめて低位であるにもかかわらず、健康保険においては世界の最高水準を行く医療給付が行われつつあり、一般
国民間では千人に一人も手が出せないような医療
内容すら健康保険では給付されつつあるという見解が七人
委員会から表明されていることも、この際私どもの見のがしがたいところでございます。また今度の国庫補助によって、
政府管掌健康保険よりも冷遇されることになった
国民健康保険の関係者が、はるかに劣る医療給付についてすら、ほとんどすべての場合、そのつど五〇%の自己負担を余儀なくされつつあることも、この際比較の対象としては見落すわけに参らぬのでございます。もっとも
政府管掌健康保険でも、現在家族は半額の自己負担をしているではないかという反駁があるかもしれませんが、
昭和二十九年度の決算から拾ってみますと、医療費の家族給付は全医療費の五分の一に過ぎませんので、この健保、国保の一部負担比較論の大筋は変らぬはずであります。こうした今度の一部負担の増加問題を、国際的にも国内的にも広い視野に立って筋道を立てて検討してみるとき、私どもは
政府がこの程度の一部負担を過重なものにあらずと信じ、その具体的
内容をあえて本法の
改正に盛り込んでこられた確信のほどを察するに決してやぶさかではないのでございます。しかしながら一方私どもは、現在
国民の各階層を動員して展開されつつあります一部負担増額の
反対運動が、必ずしもいわれなきものであるとは信じないのでございます。
私どもの見るところによれば、現在展開されつつある
反対運動には、そのよってきたる当然の原因が二つあると思うのでございます。その
一つは、今回の措置が
政府管掌健康保険の赤字対策に端を発し、これに関連する部分の
改正案のみが
政府原案として独走し、医療保障計画の全般にわたる他の重要問題がことごとく伏せられておるために、世論形成の材料が著しくゆがめられた姿で提供されつつあるということでございます。一部負担の増加に対する目下の
反対論が、健康保険の恩典に浴せざる六千余万の一般
国民の利害はこれを度外視し、もっぱら組合管掌健康保険と
政府管掌健康保険との比較論に終始しておる事実は、何よりも雄弁にこのことを物語っておると思うのでございます。ここでも私どもは、
政府の持たれる医療保障計画の全貌を明確にされることの必要性を、さらに強調せざるを得ないのでございます。一部負担増加
反対運動のよって起る他の
一つの原因は、そうしてこれがおそらく最も有力な原因であると思われるのでありますが、それは
政府とともに、医療保障の一方のにない手であるべき医師の協力が失われつつあるという点にあると思うのであります。冒頭において述べました
通り、あまりに多くの問題が一時に殺到し、医療界が混乱に陥りつつある現在、
政府は医薬分業及び新医療費体系等に関する諸問題について、それぞれの立場より解決を急ぎ、まず当面の混乱した
事態を収拾さるべきでありますが、それとともに、この
健康保険法等の
改正に当っても、医療保障の一方のにない手としての医師の立場を十分に尊重し、その協力的態勢を挽回されることが肝要であると思うのでございます。一部負担の徴収が可能であるか、不可能であるかというような議論になれば、しょせんは水かけ論になるのでありますが、診察、処置等のつど、医師に十円玉一個を請求させようというがごとき案は、元来専門的な職業として尊敬される医師に、未熟練労働者といえども、いざぎよしとしないようなことをしいるのではないかと私どもは懸念するものであります。一部負担分を通常の保険料徴収と同じ
手続で徴収するか、その他医師の手をわずらわさずに徴収する
方法が工夫されれば、かような問題は解決されるはずでございます。また今後十分論議を尽してみなければならぬところでありますが、伝えられるごとく、乱診乱療、不正請求の防止という観点から、保険医に対する指定、登録、監査等の措置を強化することが真に止むを得ないものといたしましても、行政機関が直接保険医を取締るがごときぎごちないやり方を避け、医師が自主的に組織する団体の仲介を認める等の
方法により、摩擦を緩和して、実効を収めるだけの工夫があってしかるべきではないかと思われるのであります。これらの点につきましては、もし厚生大臣がそうした決意をされるならば、その
手段については種々の
方法がありましょうが、行政的措置をもって解決し得るところも多いと思うのであります。こうした諸問題に対する対策をも含め、厚生大臣が当面の
健康保険法等改正反対運動をどういうふうに理解し、これに対し、どういうふうに対処される方針であるのか、それをお伺いしたいのであります。
以上をもって、私は
わが国の医療保障制度の確立に関する本質的な問題から、当面の
事態収拾方策に至るまで、この
法律案の
審議に入るに当って必要な諸問題についての
質問を試みました。
質問者の企図するところは、初めに申し上げました
通りでございますので、
政府側におかれましては、問題点の所在がきっちり整理されるよう、明確な御
答弁あらんことをお願いいたします。
以上をもって私の
質問を終ります。(
拍手)
〔国務大臣小林英三君
登壇、
拍手〕