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羽仁五郎君
大臣が御健康を回復していただくことを心から希望いたします。
で、はなはだ恐縮でありますが、久しぶりにお
見えになりましたので、三点簡単に伺わせていただきたいと思います。
第一は、いつもお顔を拝見するたびに申し上げるので心苦しいのでもございますが、実は
大臣御
病気になりました間、非常に不安を感じました気持も御了察下さいまして、
監獄法の
改正ということをぜひできるだけ早く軌道に乗せていただきたいというふうに
お願いをいたす次第であります。これはあなたのような
最高権威が格段の御尽力をいただかなければ、チャンスは去ったらなかなかまたとは得られないと思います。またその
当局者はいろいろな点を苦労されておることはよく私も了解はいたしますが、しかしそういうさまつなことに手をかけて時間を延ばしておられることが、多数の
方々の
人権を不当にじゅうりんしているという点から、実際一刻も早いことを希望いたすのであります。
続けて申し上げますが、第二は、新聞でもごらんになりますように、最近また特に
人権じゅうりんの事実が頻発いたしております。なかんずく私
ども法務委員としても、
国民に対して全くわびの申し上げようがないことは、
真犯人が名乗って出ることによって
誤判が明らかになっておるようなことが続出していることであります。これはあたかも
言葉を激しくすることを許されまするならば、
警察なり
検察なりというものの
あり方が、全く間違っているということを
真犯人によって示されているものだといって過言でないように思うのであります。この点については私はかなり現
法相のような識見の高い方が
英断をもって、そしてある程度まで高い
レベルで
責任をとらなければ、根絶はできないものだというふうに
考えております。
外国においてこういう
人権じゅうりんが根絶されましたのは、やはり必ずしもその
第一線の
方々、間違いを犯されました
方々だけの
責任にとどまらず、それを直接監督されております高い
レベルにおいて
責任がとられたために、
第一線の
方々がすべて戦標せられて、いやしくもそういう
人権じゅうりんということが行われないように、一人の
人権をじゅうりんすることは国の根本的問題であるということを認識されておるのだと思う。
日本では現場ぐらいで解決されているために、あっちで何とかおさまれば、また別のところで起るということがあるのじゃないか。それで、そういう意味で、私はこれは
検察における
最高責任者の態度というようなものについても
考えていただかなければならぬ点があるのではないかと思います。
検事総長は先ごろ
死刑廃止の問題について朝日新聞に論文を書かれで、
日本には幸いにして
誤判がないというようなことを言っておられる。こういう感覚は私は現在の
日本の
あり方にそぐっているものであるかという非常に不安を感じます。そういう点において
人権じゅうりんが重大な問題であり、
第一線の
方々が誤りを犯された場合には、その指導監督の
責任者がやはりその進退を明らかにすべきであるというように
考えておりますが、御高見を伺わせていただきたいと思います。
それから最後に時間がないので簡単に申し上げますが、最近
法律時報の四月号に逮捕状の発付と
人権の保障という共同研究が、あるいは最高裁、あるいは地検、あるいは警視庁、あるいは
弁護士その他の
方々がいろいろ
意見をお述べになっておられます。この中で、私
ども法務委員として一刻もゆるがせにすることができないと思いますのは、やはり逮捕状の乱発の問題であります。なかんずくこの逮捕状を請求すべき資格のある方が、必ずしもその
責任を十分自覚しておられないのじゃないか。それで
警察官の方からお出しになったのにめくら判存押して、そうして合法的な
手続ができたものだと
考えられ、逮捕状を請求すべきかどうかその
内容をその
責任を負っておられる方が御自身で
検討なさっていないのじゃないかということが、ただいまの
法律時報に現われております。これはまことに重大な問題でありまして、われわれが逮捕状を請求する資格と
責任とを認めている方が、その資格と
責任との自覚がないということであるならば、これは全く
国民に対して相済まない、こういうような点が、軽々しく逮捕状を出すというふうなことが行われていることは、
日本の現在の
あり方として一日も許さるべきことでないと思いますので、この点についてもどうぞお示しをいただきたいというふうに
考えます。
御健康回復の途中でお引きとめをして長く申し上げることははなはだおそれ入りますが、いずれもはなはだ悲しい問題でありますので、簡単でけっこうでございますから、御方針を伺わせていただきたいと思います。