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中山福藏君 これは
政務次官の御
説明で、これまでの
日本在留の被
抑留者が
韓国民であるということを
韓国政府みずから
連合国の
連合会ですか、そこで表明しておるのでありまするが、今日
日本から船に乗せて
抑留者を送り返しますというと、おれの方には被送還者の
国籍がないといってずいぶん拒絶して、入国
管理局でもお困りになっておるわけであります。それで無
国籍者であればこれは
交換するということ
自体が矛盾撞着してきて、
交換するという
発言はできないわけですね、自分の
国民でなければ。それを送り帰せば、おれの方の
国民じゃないといって突っ返して、
大村にもう一ぺん送り返してくる。そうして今度は外交談判になりまするというと、
交換問題を起しておる、自
国民でない者を
交換するということそれ
自体が、これは実に矛盾撞着しておると私は思う。自
国民であればこそ、わしの方の国の
国民とお前さんの方の
国民とを
交換してくれということはできる、しかるに便利のいいときは自分の方の
国民だ、便利の悪いときはおれの方には送り返された人間の
国籍はないのだ、これはもう全くむちゃくちゃですよ、こういうことは。私はこういうふうな不合理な立場をとっておられまするものをうのみにして、弱い政治的な処置を
日本と
韓国との間に講ずるということは、これは非常な私は国威にも関する問題だと考えておりますが、しかしどうも近ごろの新聞論調なんかの傾向から判断いたしますというと、相当に
外務省は、私は弱くなっておるのじゃないかと思うのです。どうも
法務省の理屈の方が私は通っておるように考える、それで事がむずかしくなると、これは大局的だとか大乗的に事を判断いたしまして、あつれきの生じないような方法を講じなければならぬと。これは一種の逃げ口上だと私は見ておる、いかに国が弱くても、たとえばセイロン島のコテラワラじゃございませんがジャイェワルデネという人が、サンフランシスコの条約のときに、あの小さい共和国の
代表者でありながら、実に堂々たる
主張をいたしております。
日本のためにもなったこれは
主張でありますが、また先だってのバンドン会議におきましても、セイロン島の
代表者は実に堂々たる
主張をしておる。しかしあとには何もあつれきが生じないのです、大国との間に。だからどうも
日韓というものが、あのひょっとしたら
先方の持っておる五十万の陸兵というものが
日本にやってくるのじゃないかというような恐怖心を持って外交に臨むということは、実にけしからぬ問題だと私は思っておるのです。それで婦女子においてもですよ、私はよく映画でも見るのですが、婦女子が自分の全貌を打ち込んで男子に対するときのあの立場というものは、それはほんとうにいかなる男子といえ
ども指一本さわることのできない
権威を持っておると思う、婦女子でも。女の方は肉体は弱いですから暴力的に扱われると何でもないことですけれ
ども、魂の動きというものは人を威圧する力を持っておると思う。
日本が今ほとんど無防備であって、実に軍備、防備の点からいっちゃお話にならぬ立場にあるけれ
ども、
権威を持って、精神力をもって筋を通すというところに私は国の
権威は
一つの光輝を発するものであると考えておるのです。大乗的にとか、国際的にどうの、
日韓が衝突すればいけないとかというような小さな問題を考える必要は私はないと思うが、どうですか。きょうは外務大臣、法務大臣はお見えになっておらないのですが、法務次官は相当気骨のある人と私は確信しておるのですが、私は心中しましたように、
国籍があるというのなら、これは聞こえるのです。これは
交換問題が起ってくるのです、
国籍がないという議論には
交換問題は起り得ない、これはばかでない限りは、私はそういうことは言えないと思うのです。
国籍があってこそその
国民を擁護するという
法律上の私は
政府の責任が出てくると思うのです。
国籍がない、送り返すというような立場にある人が、
交換問題を持ち出しておるときに、それについていろいろと私は思案投げ首なさる必要はないだろうと、こう考える。そのいわゆる
国籍があるなしということを向うの方に、そういう今お読み上げになったところの
参考資料を提供して、一体
国籍があると思うのか、ないのか、その点から
一つ明確にしなさい。それからその確定次第によって
交換問題というものが私は生きてくると思うのですが、そういう点はどうですか。私はこれは一応
法務省の見解を承わっておきたいのです。
〔
委員長退席、
理事亀田得治君着席〕