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国務大臣(
牧野良三君) お答えを申します。
亀田さんの御
意見には全面的に賛成です。大体ちょっと
反対があるからといってわきへ持っていくなんて、そんな不見識なことじゃいかぬ、それはおっしゃる
通り。当時の
法務当局が頭が少し古かったんじゃないかということが
一つ。それからまた当時の
法務委員会というものがはなはだあなたの意思に沿わないものであったのじゃないかということが
一つ。ここの
請願がパスしなければあれはやったでしょう。この
請願を採択されたでしょう、それがいかぬのですよ、それがね。参議院と衆議院が
請願を採択しているのを、よほどの
大臣でなければいけませんよ。もう一ぺん
請願委員会を開いてくれということはできません。だからそれほどの
法務大臣はいなかったな。これが
一つの原因。だからまず今の制度のもとにおいては、大体において国会が頭を切りかしえなければならぬ。この点においてむやみに下から
請願して頼んできたからといって、
紹介して、それに
反対したらいかぬ。政府がまず大体を
決定して敷地まで買っているなら、政府を支持するということから私は進んでいただきたい。これを私は欲するな。あなたの御
意見は正しい、どこまでも。過去において政府当局が誤りをなし、過去において衆参両議院の
法務委員会に、何かそこに及ばざるところがあったのではないか、かように思います。が、今後はお言葉を深くあとにまで残して、方針をわずかなことで霧散にしてはならぬが、国会の意思だけは尊重しなければならぬと思いますから、この点は過去の当局者も弱かったことをお許しを願いたいと思います。
第二は、そのために
拘置所というようなもの、監獄というようなものは、国民からきらわれるのは当りまえだというような思想を持っているのじゃないか、持っていちゃならぬと思います。のみならず、
亀田さん、あなたのおっしゃった
通り、
拘置所はいい所へ、りっぱなものをこしらえなければならぬ。そしてそのためには
責任をもって私は予算を取ります。これは現に私やあなたが一番入る危険性が多いでしょう。(笑声)ここの
委員は一番危険性が多いと思います。だからいい
拘置所をこしらえて、私ども入っても人権蹂躪のような圧迫感を受けない、そして還境のいい所、健康的な所で、そして敷地を
相当豊かに取って、そしてりっぱな設備をして、十日や二週間入っても、われわれが圧迫感を受けない、従って取調べに対する供述も自由意思に基いて不安なく述べられるようなところにしたい。そのモデル・ケースとして私は
大阪を行いたい。その点において
亀田さんの御
意見に賛成して、御希望に沿うことに努めたい。こう思います。そこで、従って前の敷地をかえたということに対する
内容の話は、これで御破算にして下さい。今度の所のことは、私は主張するだけのまだ決心はいたしておりませんが、これには皆さんが
反対だ、けれども
反対意見の根拠が私は
反対でございます。学校が近くに見える、刑務所の近くの学校は風紀がいい、常に刑務所を見ておりますから。これは統計的の事実であります。それを国民が誤まっておるから、あなたのような思想を徹底せしめたい。ことに私は皆さんに申し上げた
通りに、法務行政は文化行政である。文部省の行政よりももっと文化行政でなければならぬ、そうでなければ人権を尊重していくなんということは決してないと思う。人権の尊重ということは、私は法務行政の中心にしていかなければならぬ。それには私は
拘置所だの刑務所だのというものを忌まわしいものと思わしてはならぬ。これは社会の病院だと、互いにこの病院というものを守って、中でも私は人権が尊重されなければならないと思う。同時に周囲の者も学校教育のこれは範にしなければならぬ。そういう
考えをどうしても私は根本に持たせなければならぬ。従って学校の近くに建てたい。むしろあればますますいい。小学校、中学校、高等学校、
義務教育
関係のところはかえっていいじゃないかと思います。同時に、そこに出入りする際にも、妙な編み笠をかぶせるとかなんとかいうようなことはしないで、これは自由にして、顔を隠したい人には何でも欲する顔を隠す
方法をとらしてやるようにして、出入りはできる限り自動車を用いて心配のないようにするばかりではなく、自分たちもああいうことになってはならないぞという戒めを、幼いうちから与えておかなければならぬ、これがいいことだと、同時に中では人権蹂躪が決してないようにしなければならぬ。そういうことはPTAの人や何かも一緒になって、そういうことのないようにということに私は努めていかなければならぬと、こう思う。この点において、全面的にあなたの御
意見を支持申し上げて私の法務行政をりっぱに
実現していきたいと存じます。
次に、関連いたしまして、現在の
裁判所、
検察庁のある敷地を用いたらどうか、これは
一松先生から詳細な
説明を受けまして非常に私は賛成でございます。それで私はもう一ぺん見直したのでありますが、これは絶対に不可能であることがわかった。私はできるよと言って、当局者を抑えておった、ところが何かまあ、建築基準法に制限されまして、あそこに高層建築が立たないのです。困った。こいつには致命的な打撃を受けてへこたれて帰ってきたのです。私はあなたと一緒に、あそこに地下一階、地上八、九階の
建物……それには経験があるのです。私がなにを立てておるのです。今の
法務省の構内に。それはいい
建物です。あれを文化センターと、皆私をからかって名前をつけたそうですが、私が文化丸々と言うものですから、法務行政を。いい
建物です。一番上は映画ができて、会合ができて、皆さんと一緒に食事もできて、めいめいが何ら今までのような
法務省の中だという感じが起きない、むしろ
法務省は実にいい所だと思わせるように。それで実にいいのです。それでこしらえたいと思っていたところが、どうも建築の方の問題で、四階以上はできない、従って敷地がどうしてもうまく行かない、だからあれを全部壊して、
裁判所まで壊してあそこにダーッとやればいいが、そうは行かぬ。それまでの発展的なことはできぬ。それで議論ではなく、専門的に不可能だということが明らかになったので困った。そうしてどうしてもあなたのおっしゃるようにいろいろのものを、
拘置所はよくしたいのです。まず運動する所を置きたいのです。通風、換気それらの設備をよくして、とにかく一
通りモデル・ケースとしてあそこにこしらえるとなると、どうしてもせっかく
一松さんが図面をこしらえて買収予定地まで当って下さって、うまく話が進むかと思っていたが、なかなかいかぬ。これはどうも絶望です。
拘置所庁舎は定員が二千五百くらい要ります。それに持っていって職員の三分の一はどうしても官舎その他をこしらえなければならぬ。それを見ますと、まあどうしても不可能、不可能らしいのではなく、私は絶望して帰ってきたのです。運動場の設備と通風と採光と保安の
方面にも心配がないというようなことでやると。
亀田さん困ったね、これは。そうしてこう持ち歩いて、
反対陳情があると、あっちこっちということでは、こんなことをしていては、日本の行政はできません。いわんやことしは一千万円からの予算をもらっておる、あなた方からいただいておる、そうして今度あなた方から三千六百万円またいただくことになっておる。そうするともう四千、五千万円近い金が目の前にぶら下っている。あの敷地交換費が二億円以上になる。それを一日も早くやってここはどうも羽仁さんあなたの言われたような所に、
大阪をまずやりたいのです。だから
法務委員会はどうか
現地調査というよりは、現地を説いて下さい。君らの
考えは徳川封建時代の
考えだ。よくいっても明治時代だ。われわれ昭和における容疑者を扱うというのは、そんな
考えじゃいかぬぞと言って――。いい所らしいよ。今の所がいいからいけないと言うのですからね、学校があるからいけないと言うのだから。
委員の皆さんどうか
考えて下さい。今私は
亀田さんから過去の当局者がしかられた。再び私はしかられたくない、後の人に。そうしてどうか私はせめて
拘置所と、それに付属の
建物だけは模範的なものをこしらえたい。予算があるのだから。こんな時代ありませんよ。だから
亀田さんの御難言を機会に、
委員の皆さんにどうかこの点においては法務行政を新たな
方面に向けるという
意味から、この間から羽仁さんが言われるあの
趣旨を、どうか一日も早く
実現するように。そうして目の前に予算、金を、国費を持っているのでありますから、この機会に何とか解決さしていただきたい。ただし衆議院と参議院の
反対は尊重いたしまして、すべての方針を曲げることは、私が曲げるのじゃない、国会を尊重するために余儀なく曲げなきゃならぬということをお許しをいただきたいと存じます。