運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-05-24 第24回国会 参議院 文教委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十四日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   委員の異動 五月二十四日委員成瀬幡治君辞任につ き、その補欠として岡三郎君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加賀山之雄君    理事            有馬 英二君            吉田 萬次君            湯山  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            剱木 亨弘君            白井  勇君            田中 啓一君            中川 幸平君            三浦 義男君            三木與吉郎君            秋山 長造君            安部キミ子君            荒木正三郎君            岡  三郎君            矢嶋 三義君            高橋 道男君            竹下 豐次君   国務大臣    文 部 大 臣 清瀬 一郎君   政府委員    法制局長官   林  修三君    法制局第二部長 野木 新一君    文部政務次官  竹尾  弌君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   法制局側    法 制 局 長 奥野 健一君    参     事    (第二部長)  岸田  實君   説明員    文部省初等中等    教育局地方課長 木田  宏君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会運営に関する件 ○地方教育行政組織及び運営に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○地方教育行政組織及び運営に関す  る法律施行に伴う関係法律整理  に関する法律案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) これより文教委員会開会いたします。  まず、昨晩の理事会の経過について報告いたします。昨日の委員会休憩後の審議の進め方については、当初自民党側は、直ちに委員会を再開して、逐条質疑を続行することを主張されました。社会党側は、なお四日間の逐条質疑を承認することが先決であることを主張され、両方の意見が強く対立いたしました。そこで委員長から二十五日、金曜日本会議上程を目途として審議に最善を尽すことを提案いたしましたところ、各会派に持ち帰って相談をされることとなり、委員会は同日は休憩のまま散会すること、本日午前十時に委員会開会することを決定し、委員長提案については、委員会開会までに各会派から回答することとなった次第であります。  本朝自民党からは委員会の正常な運営を確約することを前提として、委員長提案に賛成することの回答がありしまたが、社会党からは昼ごろまでには回答するというお申し出がございました。従って先刻理事会を開き、委員会を直ちに開会し、昼の休憩理事会においてあらためて協議を行うことに決定いたしました。   —————————————
  3. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 地方教育行政組織及び運営に関する法律案及び同法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 湯山勇

    湯山勇君 私は昨日本法規定する教育内容について御質問を申し上げたのですけれども、その御答弁が十分なされておりませんし、昨夜理事会委員長にもお話したのですが、それはやっぱり明確にせよというようなお話もありましたので、その問題について重ねてお尋ねいたします。それは本法規定しておる教育内容には教育学術文化、こういうものを教育定義するということになっております。このことはこの法律現行法も同様でございます。政府側説明によれば、この教育という言葉の中には宗教も含まれておる。こういう御答弁によって関係法整理の中の文部省設置法、この大臣措置要求の中に教育学術文化宗教と入れたことの間には矛盾はない、しかもその宗教が含まれておるということの根拠は、現行法の第五十条の七項に「教育に関する法人」、そう規定した下にカッコに入れて「(私立学校を設置する法人及び宗教法人を除く。)」というただし書きによって宗教が入っておるんだ、こういうことの論拠にされております。そこでお尋ねしたいのは、もし昨日の御答弁通りとすれば、ただいま審議しておる法律の第二十三条の第十六項「教育に関する法人に関すること。」こう規定して、この条文には宗教法人を除くとも、あるいは私立学校法人を除くとも書いてございません。そうすれば、もしも昨日の答弁を肯定するならば、教育委員会宗教法人に関することも、教育委員会職務の中に入っておる、こういうことになります。緒方局長の昨日の御答弁通りと肯定するとすれば、どうしても十六項の下には宗教法人を除くという規定が必要である。もしこのままで宗教法人を除いておると、こういうふうに判断するならば、文部省設置法宗教を入れたことが誤まりになる。そのいずれかになるわけでございまして、その点について局長から重ねて御答弁を願いたい。
  5. 木田宏

    説明員木田宏君) お答え申し上げます。現行教育委員会法五十条で、宗教に関する法人を除くと、こういうふうに入りましたのは、これも当初からではございませんで、途中で改正をいたしたのでございます。そして教育委員会法制定当初にありましては、現行教育学術文化に関する事務の中に宗教も含めまして、当初は宗教に関する事務教育委員会で扱って参りました。ところがその後宗教につきましては、特に宗教法人法による宗教法人に関する事務につきましては、これを地方公共団体の長に移すことにいたしまして、宗教法人法が作られたのでございます。その際に現行の五十条に「宗教法人を除く。)」という除外措置がとられました。で、そのことにつきましては、今回の法律が同じ建前をとりまして、教育学術文化、こう押えて参りましたので、言葉考え方としては同様と考えておるわけでございます。ただいま御指摘のように、なぜ二十三条十六号の教育に関する法人にそういう除外規定を設けなかったと、こういうことでございますが、これは今回の広 の建前がそれぞれの団体にあります教育委員会と長との仕事の分担ということを重点に考えて、二十三条、二十四条を並べてあるのでございます。で、個々の具体的な法律によりまして、特に国の機関委任事務として、具体的な法の規定のあるものにつきましては、どちらがやるかということは、その法によって明らかにせられておるわけでございます。従いまして、教育に関する法人でありましても、私立学校法人は、これは私立学校法規定によりまして長が担当することとされております。また、宗教法人につきましては、宗教法人法規定によりまして知事が担当するものとされておるのであります。そこで、そういう個々法規に具体的な定めのあるものは、それによってどちらが担当するかということは、明確になっておるわけでございます。従いまして、二十三条、二十四条は、地方公共団体における執行機関として、長と教育委員会との仕事の割り振りは一応このようになっておる。しかしながら、二十五条を設けましてそれぞれの仕事をやるにつきましては、具体的な個々法令規定によって処理をするということにいたしたのでございます。そのようなわけで、教育に関する法人を一般的には書いてございましても、これは二十三条の柱を一つごらんいただきたいのでありまして、「教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務」、これは団体教育事務でございます。「及び法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務で、次の各号に掲げるもの」、こうしぼっておるわけであります。宗教法人に関します事務は、「法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務」、機関委任事務の方に入っておるわけでございます。従いまして、ここで宗教法人法規定によって、これは教育委員会に属さないことが明らかでございますから、十六号の頭書きの、この法律又はこれに基く政令によりその権限に属しない事務として、宗教法人事務並びに私立学校法人事務というものが考えられるのでございます。その柱の立て方からいたしまして、当然に十六号の教育に関する法人という中に、私立学校関係のもの、すなわち現在の宗教法人法なり、私立学校法によりまして、明瞭に教育委員会事務権限外とされておるものは入ってこないのであります。そこで現行法の立て方と、今回の二十三条の柱の立て方とを区別いたしました関係上、カッコ書きを落してしまった、こういうわけでございます。
  6. 湯山勇

    湯山勇君 それでは緒方局長にお尋ねいたしますが、昨日は、局長は、この現行法宗教法人を除くという除外規定がある、そのことが教育の中に宗教を含むという根拠になるんだという御説明をなさいましたが、それが今のお話しではそれとはまた別個のようですが、昨日の御答弁はそのままでございますか。
  7. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 昨日御説明いたしましたのは、現行法並びにこの法案教育という内容規定しております考え方につきましては、変りはないということを御説明いたしたわけでございます。そこで現行法の五十条の第七号を特にここに入れてありますから、そのことを端的に、その考え方内容として出ておりますから、それを一つ論拠として申し上げたわけでございますけれども、ただいま課長からも御説明いたしましたように、教育という中に宗教が入るという考え方は、現行法本法変りはありません。本法案におきましてもその考え方をとっておるわけでございます。概念としては現行法をそのまま受け継いでとっておるということに相なります。ただいま課長から御説明申し上げましたように、宗教法人に関することは、これは宗教法人法によりまして、長に対しまして機関委任事務として法律規定されております。そこでこの新法案をごらんいただきますと、第二十五条という規定をここにあげておりますが、第二十三条、第二十四条は、おのおの教育委員会並びに長の職務権限ワクをここで規定しております。そうして二十五条にそれらのことを具体的に執行するにつきましては、それぞれの法律に基いて行わなければならぬということを、まあ二十五条にわざわざ規定したわけでございます。そういう関係からいたしましても、この新法ではそれを特に規定する必要はないと、カッコ書きをつけまして、これを除外するという必要はないというふう  に考えたのであります。考え方といたしましては、教育という中に、その概念の中に宗教を含むということは、きのうの御説明と何ら変りはございません。
  8. 湯山勇

    湯山勇君 そうすると「教育に関する法人に関すること。」という規定の中には、宗教も含んでおる、宗教法人も含まれる、法文の通りにいけば。そうなりますね。
  9. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) そういうことを申し上げておるわけじゃございません。教育というその意味の中に、宗教という、その一般的には入っておるということでございます。私はこの二十三条にわざわざカッコ書をして除外をする必要は、この法律の立て方ではなくなったのだということを申し上げておるわけでございます。
  10. 湯山勇

    湯山勇君 ですから、十六号の「教育に関する法人に関すること。」という言葉通りにいけば、この言葉通りにいけば、当然宗教法人私立学校法人も含まれると、こういうことになりますねということを念を押しておるわけです。
  11. 木田宏

    説明員木田宏君) 十六号の表現につきましては、そういうお考えをお持ちになることも、ごもっともだと思いますけれども、二十三条の頭に先ほど申し上げましたように、「教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務及び法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務」というふうに規定が、限定があるわけでございます。で、その「事務で、次の各号に掲げるものを管理し、及び執行する。」ということになっておりまして、この二十三条の各号の中の事務には、国の機関委任事務も、それから団体事務も両方書いてございますけれども、法人事務は国の機関委任事務と、こう考えられておるわけでございますから、「法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務」、こういう範疇に入るべきものなのでございます。そこで現行宗教法人法私立学校法によります、いわゆる宗教法人または私立学校法人につきましては、この頭の柱の中にもう含まれてこない、従いまして十六号は当然にそれらのものが実体的には抜けてしまっておると、こういうことでございます。
  12. 湯山勇

    湯山勇君 その御答弁は承服できません。これは議論じゃなくて、文字の通りに申します。二十三条の頭書きはこういうふうになっております。「教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務」です。それと、「及び」ですから、それと「法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務で、」この二つになっておるのです。あなたのような説明にすれば、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務のうちと、こういうことならば話がわかります。おっしゃる通りです。けれども、この法律地方公共団体が処理する教育事務は、全部これを教育委員会でやるとなっておる。それと別に、法律または政令によるものと、二つですから、あなたのような説明ならば「及び」じゃなくて事務のうちとならなくちゃならない、その通りでしょう。
  13. 木田宏

    説明員木田宏君) 二十三条の柱は教育委員会が担当いたします事務につきましては、一つは「地方公共団体が処理する教育に関する事務」それからもう一つは、「法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務」こういう二種類の事務をあげてございます。先の「地方公共団体が処理する教育に関する事務」と申しますのは、いわゆる団体事務といわれておるものでございます。ところで法人に関します事務は、もともとその団体事務とは観念されておらないのでございます。法人に関します事務は、一般法人につきましては民法の規定がございますし、特殊法人につきましては、それぞれその特殊法規に基く根拠規定がございまして、それを教育委員会が担当いたしますのは、これは後段の方の「法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務」こういう範疇と考えられておるわけでございます。従いまして、先ほどから繰り返して申し上げておるような建前をとっておるわけでございます。
  14. 湯山勇

    湯山勇君 まだ間違っておるように思いますから、こまかくお尋ねいたします。宗教に関することが、あとの規定か前の規定かというところが問題だと思います。そこで二十三条の頭書きの「当該地方公共団体が処理する教育に関する事務」これは一区切りです。これは教育委員会がやらなければなりません。いいですね。そうするとこの教育の中には学術文化、小さい意味教育、それから宗教が入っております。そうすると、これを読みかえれば当該地方公共団体が処理する教育学術文化宗教に関する事務と、これは委員会がやらなければならないことになっておる。そこでそれを受けてその内容として教育に関する法人となれば、当然教育に関する法人ですから宗教法人が入るんです。その範疇以外に法令その他で権限に属する事務をやる、こうなるので、もう少しまともに法律を読んでいただきたい。そうすればあなたのような論が出てこないです。
  15. 木田宏

    説明員木田宏君) 宗教に関する法人事務が、団体事務として「当該地方公共団体が処理する教育に関する事務」の中に入るのじゃないか、こういう御指摘だと思うのでございます。しかし、この団体が処理する事務と申しますのは、本来自治法規定によりまして普通地方公共団体として処理する事務ということでございます。また、国から委任いたしました事務にいたしましても、これは団体に委任した事務でございまして、機関に委任した事務ではないのでございます。ところが宗教法人に関しまする事務は、都道府県という団体が処理するのではなくて、知事という機関が国の機関委任を受けて処理する機関委任事務なのでございます。ですから宗教法人という具体的な法人に関する事務は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務と、こういう団体事務範疇には入ってこない、こういうふうに御説明申し上げておるわけでございます。
  16. 湯山勇

    湯山勇君 それでは私立学校法人はどうなりますか。
  17. 木田宏

    説明員木田宏君) 私立学校法人も同様でございます。ですからこれは団体事務ではございませんので、私立学校法によりまして、私立学校法人に関しまする事務知事機関委任された事務、こういう立て方になっておるわけでございます。
  18. 湯山勇

    湯山勇君 それでは先ほどの御答弁とまた食い違って参るわけですが、現行法においては教育に関する法人という中には、私立学校法人言葉定義から言えば宗教法人も入る、こういう説明を昨日までしてこられました。で、きょうお聞きすると、きのう言ったことは間違いではない、こういうことです。そこで昨日まではその中に入ると言ってこられたんだから、そうするとその昨日までの御答弁をそのまま肯定していけば、「教育に関する法人に関すること。」というこの定義の中には、それは入ると、いいですか、そしてしかも、これも教育に関する事務の中に入ります。そうすると今のようなお話しならばこの中には入れなくていいものを、昨日は入れることを肯定しておられるのだし、きょうはまたそうでないと、こういう御説明であって、その間はなはだしい食い違いがございます。こういう御答弁では困ります。実施するときに、この前は抜かれておったのが今度入っておる。今度はこれもやらなくちゃならない。こういうことになるわけで、非常にむずかしい問題が起って参ります。さらに、それとの関連において、今あなたは長の職務権限とおっしゃったけれども、長の職務権限に入るのであれば、今度二十四条の中に、教育という概念宗教が入れば、この中へ入れなければならない。今のことを肯定すれば、明らかに「私立学校に関すること。」に入っております。にもかかわらず、宗教に関することは入れてない。こういう不備ができてくるので、ここを今のようにつくろえば、今度こちらに穴があく。また、ここをつくろえば、ここに穴があく。どうしたってこれは率直に認めなければしようがない問題だと思う。どうですか。
  19. 木田宏

    説明員木田宏君) 昨日は言葉定義として、現行教育委員会法で言います教育学術文化の中には宗教も含められておる。その用語定義は、この法案においてもそのまま踏襲したということを御説明申し上げました。そこで先ほど御説明申し上げましたのは、この法案の二十三条の十六号の中に、宗教法人私立学校法人を具体的に含むかというお尋ねでございますから、それは二十三条の事務書き方なんで、これは用語定義の問題ではございません。事務の具体的な規整の仕方が、「法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務で、次の各号に掲げるもの」機関委任事務であって、左の各号に掲げる、こういう絞り方をしたから、教育に関する法人と、こう書いてありましても、宗教法人私立学校法人は入っていないのだということを御説明申し上げたのでございますので、そのことにつき、ただいま二十四条の私立学校との関係で御指摘がございました。二十四条に「私立学校に関すること。」こう書いてございますのは、私立学校法人に関することではないのでございます。これは、私立学校法によって私立学校法人以外のことにつきまして団体が関与する、団体として関与する事務が若干あげられておるのでございます。そこで、二十四条はその柱の立て方が二十三条と違っておりますように「地方公共団体の長は、次の各号に掲げる教育に関する事務を管理し、及び執行する。」とこう書いてございますが、これは長の団体における長としての立場から、団体事務の中で教育に関するものをどれだけ扱うか、こういう書き方をいたしたわけでございます。従いまして地方公共団体の長が、このほかに、国の機関委任に基きまして教育事務を担当する例はまだございます。たとえば免許法によりまして、私立学校教職員に対する免許状を出すことも、これは知事仕事でございます。しかしながら、そういう国の具体的な個々法律によりまして、これは知事がやるんだ、機関委任としてやるんだ、こういう書き方をいたしたものにつきましては、この二十四条にはあげなかったのでございます。で、二十三条は教育委員会権限規定であります関係上、団体事務とそれから機関委任事務と両方やると、こういう書き方をいたしましたけれども、二十四条は長権限規定ではございません。教育委員会と……、権限規定ではないと申し上げたのはちょっと誤解があるかもしれませんが、(「それは間違いですよ。」と呼ぶ者あり)教育委員会と長との事務の分配の規定でございまして、長の実体的な権限は、自治法その他の法によって確立されておるわけでございます。その限界線団体事務について引いたわけでございますから、国の機関委任事務につきましては、二十四条から落したわけでございます。ですから、二十四条の長の権限と書いてありますことのほかに、地方公共団体の長は個々の具体的な法律または政令定めによりまして、機関委任された事務を担当いたしますことは、免許事務等あるわけでございます。
  20. 湯山勇

    湯山勇君 また新しいほころびが出て参りましたので、また申し上げなければなりません。あなたは今この二十三条は権限規定だと、二十四条は権限規定ではないというようなことを大体の前提としておっしゃった。で、二十四条の見出しには、明らかに長の職務権限とあります。権限規定です。こういうことに関する権限を、やはりこの条項は含んでおるわけです。だとするれば、今おっしゃったことは前提がくずれております。こういうふうにつくろっていっても、どうしたってこれは直さなくちゃならない。さらに申し上げますならば、二十四条の「次の各号に掲げる教育に関する事務を管理し、及び執行する。」となっているのですから、たとえどういう形でなされたにしても、長はこれをやらなくちゃならないわけです。そうすれば、この中には先ほどの言葉通り宗教も入っておると、こういうことになるわけですから、宗教に関することも入れなくちゃならない。それを入れる入れないということになると、今度はこれは権限規定ではない。で、これは権限規定でないと言ったのはまずいからと言って、言い直されましたけれども、とにかくそういうふうな行き方ではとうていこれはつくろいきれません。(「参議院法制局長を呼べ。」と呼ぶ者あり)法制局長を呼んでいただきたい。
  21. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 法制局第二部長は見えておりますが……。
  22. 湯山勇

    湯山勇君 いや参議院法制局長
  23. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 今呼ぶように手配しました。
  24. 湯山勇

    湯山勇君 それまで待ちます。次に、これも昨日途中でとめておりました問題ですけれども、例の助役教育長兼務期間です。これは法律建前からお尋ねいたしますが、関係法整理というのは、この地方教育行政組織及び運営に関する法律施行するに伴って必要な限度において、この法律ワクを逸脱しないように、これの施行に伴って必要な関係法律規定整理をしたと、こうちゃんとこの提案理由にも、それから大臣説明にもあったわけです。だからその原則が現在この二つ法律の間には守られておるかどうか、教育行政組織及び運営に関する法律施行するために必要な部分だけをこれには規定してあるかどうか、大臣から伺います。その通りならその通り、違うなら違うと……。
  25. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) その通りであります。それを施行するに、かくのごとく……。
  26. 湯山勇

    湯山勇君 はっきり言うて下さい。
  27. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) あなたのおっしゃる通りです。
  28. 湯山勇

    湯山勇君 だとすれば、助役教育長兼任期間を三十二年の三月まで延ばさなければならないという規定は、この法律のどこにございますか。昨日の御説明では、この法律とは関係なく、地方財政の関係だという御答弁がございました。しかし今大臣の御答弁では、この法律を実施する必要なものだけをこれにしてある、こういう御答弁です。そこで、この法律のどこに助役教育長兼務期間を来年の三月三十一日まで延ばさなければならないという規定があるか、それのもとになる規定があるか、御説明願いたい。ないです。
  29. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) この法律をそのままにして施行すれば、助役の兼務はなくなるのです。しかしながら、それが実際において都合の悪いところがありまするから、そういう規定を設けておるわけで、これはやはり実施に必要な規定であります。
  30. 湯山勇

    湯山勇君 大臣助役の兼務がなくなるとおっしゃいましたが、なりません。九月の三十日までは助役の兼務は認められます。それ以後、助役を任命しなければならない、あるいは市町村において教育委員以外の人を教育長に任命するという規定は、これにはありません。あればおっしゃっていただきたい。これがあって初めて助役の兼任ということが出てくるので、これに九月三十日以降教育委員以外の教育長を置いてもよいという規定があって、初めて助役期間延長があるわけです。それがなければ、このことは意味をなしません。もしこれがこの整理法の方が主導性を持つということになれば、先ほど大臣がおっしゃった必要なということの範囲を逸脱して参ります。そこで、九月三十日以降において教育委員以外の教育長が市町村に作られてもよいという規定をこの法律から御指摘願いたい。
  31. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) この本法だけでありましたら、助役教育長兼任は九月末日でしまいで、十月以後においてはこの間うちから問題になっておるような教育長を作らなければならぬ。ところが、それをそのままやっては運営上都合が悪いのでありまするから、そこで昭和三十二年三月までは本則に反するけれども、助役の兼任は認めるという必要が起ったので、やはりこの法律施行するがために起った問題であります。
  32. 湯山勇

    湯山勇君 その最後の御答弁は、これは一般的、抽象的な御答弁で、なぜそうなったかということは、大臣みずからお認めになっておるように、この地方教育行政組織及び運営に関する法律では、九月三十日以降助役教育長というものは出てこない、こうおっしゃっておるのですが、これは間違いございませんか。
  33. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) この法律だけで、別のこれを助ける法律がなければ、そうなると思います。この組織法、運営法などをやる時分には、よくそういう必要が起ってくるのです。憲法を施行したときもそうです。あのままでもとの裁判官がなくなる、やはりもとの同じ官職につけるといったようなことは、どの法律を実行する場合もできてくるのです。やはりこれは法律施行の必要から生じたものです。
  34. 湯山勇

    湯山勇君 この法律では、助役教育長兼務は九月三十日までしか認められておりません。
  35. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) さようです。
  36. 湯山勇

    湯山勇君 こちらでは認められておるのではなくて、教育長に任命された場合には、それまでやってもいいという規定です。これはよろしゅうございますね。
  37. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) はい。
  38. 湯山勇

    湯山勇君 だから九月三十日以降、教育長に任命されるという規定がないのです、どこにも……。だからその期間就任してもいいという規定はあっても、教育長に助役を九月三十日以降任命してもいいという規定がありませんから……この法律にですね、可能性だけあっても実施されない状態です。これは大臣の御答弁通りを申し上げて、そういうことになります。
  39. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) だいぶこれは言葉のことのようでありますが、九月三十日まではまず助役教育長の職務をとっていていい、もし助ける方の法律がなかったならば、十月一日からは教育長を作るといえば、町村の階段においてはいわゆる互選のようなことにせんならん。助役教育長はありません。しかしながらわが国の地方情勢全体から見て、それではいきにくいことがある。そこで例外ではあるけれども、しかし本予算年度、今これはマッチしておるのでありまするが、三月末まではやはり助役をもって、本法である互選の委員から出すところの教育長はやめて、そうはしないで、この年度だけは助役さんにやってもらおうということをつけませんというと、この予算の執行が工合が悪いこととなる。それで出てきた法律でありますから、これは運営のために必要なる法律だと私は考えておる。それだけ単行法にしたらよろしいとおっしゃるのですか。(「経過措置で書けばいい」と呼ぶ者あり)そんな必要もなかろうと私は考えます。
  40. 湯山勇

    湯山勇君 大臣がおっしゃることは、こういうことなら私は了解できます。市町村の教育長を教育委員以外から選ぶ場合には、全部助役を選ばなければならないとか、あるいは市町村では助役が必ず教育長を兼ねなくてはならないということならば、それはおっしゃることも理由になると思います。しかし、助役教育長兼務規定は、助役がもし教育長にされた場合には、という前提がつかなければなりません、助役教育長にしなければならないという規定はないわけですから。かりに、いろいろの教育長の仕方があります。その中で、助役教育長にされた場合には三月三十一日までよろしいという、こういうことであって、助役が必ずしも教育長になるという規定ではありません。そこでされた場合には、大臣がおっしゃるように三月三十一日までということはわかりますけれども、それじゃ十月一日以降そのされた場合のされた、されるという規定がどこにもないのです。だからされた場合にはそうなりますけれども、されるという場合がないのに、そういうことをきめても無意味であるし、それによってこの法律はちっとも生きてこない、こういうことになることを申し上げております。
  41. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) この整理法の関係でございますが、ただ形式的に本法の実施について抵触する部分とか、関連のある部分を整理するというだけじゃなしに、実質的にもその関連のある部分につきまして整理をいたすことがあるのでありまして、今お話しになっております第一条の、附則の第六条での改正によりまして、それからさらにその後段を改めましてここに改正をいたしておるわけであります。この改正によりまして、この整理によりまして、ただいまお話しのような結果が生れてきておるわけであります。十六条第三項の規定にもかかわらず、三十二年三月三十一日までの間に限り任命することができる、兼ねることができる、そうしてその場合には、「市町村の教育委員会は、都道府県の教育委員会の承認を得て、助役教育長に任命するものとする。」かように規定しておりますことによりまして、その以降におきまする、任命された場合の規定がこれにあると思います。
  42. 湯山勇

    湯山勇君 これは「規定にかかわらず」という除外規定は、それはちゃんと適用されますが、現行法でどこまでかというと、それは九月三十日までのことです。それだって、やはりこういう除外規定がなければ工合が悪いわけですから、それは肯定するわけです。おっしゃるところを私は少しも否定いたしません。けれども九月三十日以降に助役教育長にしてもいいという規定はどこにありますか。
  43. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ただいま申し上げましたこの規定で、十月一日以後も教育長にしていいという規定に相なります。
  44. 湯山勇

    湯山勇君 そういうことにはなりません。先ほど大臣もお認めになったように、助役教育長は九月三十日で切れる、この法律によれば。本法によれば切れるのだということをはっきりおっしゃっておるのですよ。
  45. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) これがなかったらですよ。
  46. 湯山勇

    湯山勇君 本法です。
  47. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) そういうことに相なりますので、この第一条の改正を、地方自治法の改正をやった、かように考えております。
  48. 湯山勇

    湯山勇君 そこで最初にお尋ねしたように、この法律を実施するための、いいですか、この法律を実施施行する、この必要限度においてやっておるわけじゃなくて、それ以外にもし今おっしゃったようなことをすればはみ出してくる、こういうことになることをお認めにならなければならないわけです。そうでなければ、今おっしゃったことはみな間違いになって参ります。これはどうですか。
  49. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 本法実施の関連におきまして、実質的に必要になった事項につきまして、この整理法の第一条を規定した、かようなことでございます。
  50. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちょっと関連して……。逆の側から伺いますが、現行教育委員会法の中に、助役教育長になれるという規定はどこに書いてありますか。
  51. 木田宏

    説明員木田宏君) 附則の七十八条に上っております。それから自治法の附則六条であります。
  52. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そこで私が伺うのは、現行教育委員会法に、この助役教育長になれるということの規定がなければ、今度のこの本法、新法案の中にその規定がなくて、そしてこの整理法のところには、九月三十日だけにしておいて、いや九月三十日になっているのを、整理法の自治法の改正の部分で三十二年三月三十一日で、それで私は納得できると思うのだけれども、現行法の中に助役教育長になれるということがあれば、さっき湯山委員が述べられたのとあわせ考えるときに、なぜこの本法の中の附則か、あるいは雑則のところに、教育長として助役は三十二年三月三十一日まで在職することができると、任命することができると、そういうふうになぜ書かないのですか。これは落ちていると思うのだがね、僕は。
  53. 木田宏

    説明員木田宏君) 現行法の七十八条は、助役につきましては、教育公務員特例法に規定している任用資格がなくてもかまわないという特例規定規定しておるのでございますが、これは便宜分けてこの委員会法に入れたということでございまして、自治法の附則に一緒に書いて悪いということではないと考えております。
  54. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、自治法に書いて悪いということは言うていないのだよ。
  55. 湯山勇

    湯山勇君 この牴触規定は、ただ単に十六条だけの問題ではなくて、たとえば兼職禁止とか、いろいろなものに触れて参ります。助役が兼ねる場合には……。ただ単に十六条だけの除外規定では、助役教育長というものはそこだけは認められるにしても、兼職禁止で禁じられておりますし、あるいは附則の第十一条でも、九月三十日以降は委員以外からは作ってはならないことになっておる。ただ単に従来やっておった助役の承認の期間を延ばしたということだけでは、助役教育長になり得るということだけをやったのでは、その助役はほかの条文との牴触で、なるほどそれはそこは認められるにしても、ここではだめだ、ここではだめだということになれば、どちらが優先するかという問題が起って参ります。そこで何らかの規定本法に入れなければ、そのことについては、この関係法整理だけでは実施できない、関係法説明だけならおっしゃる通りだけれども、この二つを並べてみたときに実施できないような状態が起り得る、こういうことがあなた方はおわかりにならないかどうか。
  56. 木田宏

    説明員木田宏君) 助役が一般的に兼職禁止の職であることは、御指摘通りでございまして、従いまして、自治法の附則第六条では、「助役は、第百六十六条第二項において準用する第百四十一条第二項の規定にかかわらず、」と、こうその兼職禁止規定をはずしておるのでございます。今回の改正は、そこの次に、今度はそれだけでなくて、この地方教育行政組織及び運営に関する法律第十六条第三項にかかわらずというのを加えまして、この附則六条によって助役の兼職禁止なりに対する一般的な例外、教育長になれるということについての完全な独立の例外規定をここに設けたというわけでございまして、他の関係規定との牴触は、附則六条で完全に解決をしておるものでございます。
  57. 湯山勇

    湯山勇君 そういうことにはなっていないので、助役教育長を兼ねるということは、従来から引き続き、そのことに関する限りは、新しくここに設けたものではありません。そこでこの教育長については、今度は地公法の適用を受けます。そうなってきますと、地公法の除外規定も必要になってくる。この方が新しくできたのですから、今審議しておる方が新しくできたものですから、従来の慣例がそのまま残っておったとしても、新しくできた法律でそれを許容する規定がなければできないはずですよ。
  58. 木田宏

    説明員木田宏君) 今お話しのございました教育長につきまして、地方公務員法の一般職としての規定の適用があるという点は、その通りでございます。従いまして、助役教育長を兼ねました場合には、その兼ねた教育長の職につきましては、地方公務員法の一般職の規定の適用は考えられるわけでございます。その間に矛盾牴触はないと考えております。
  59. 湯山勇

    湯山勇君 だいぶありますよ。たとえば政治活動なら政治活動、家へ帰って選挙運動なら選挙運動をやります。助役としてやっておるのだからいいとか、おれは教育長だからやれないとか、そういう使い分けは一人の人でできるものではありません。助役として、地方公務員法は勤務時間中だけの規定ではありません。寝ておるときも、やはり公務員法の適用を受けておるのです。勤務してないときも受けております。あなたの言うように、教育長として勤務しておるときだけ地公法の適用を受ける。助役として勤務しておるときには、地公法の適用を受けない、こういう形式的な論議ではこの問題は解決いたしません。じゃ一体寝ているときは助役ですか、教育長ですか、それからはっきりしてもらおう、今の問いから。
  60. 木田宏

    説明員木田宏君) 一般的に特別職と一般職とを兼ねました場合には、そういう問題があり得ることは当然だと考えております。
  61. 湯山勇

    湯山勇君 当然だから、これでは困るわけでしょう。今言いましたように、助役として、教育長のときは地公法の適用を受ける。だけれども、一人の人間だから簡単に使い分け、できない。休んでおるときだって、地公法の適用を受けています。そこで今おっしゃったように、その通りだと、こういうのですから、そうだとすれば、実際はそういう規定があったにしても、それらに対する除外規定がなければ、実際できないわけですね。それを今お認めになったわけです。だから寝ておるときは助役教育長か、どっちです。
  62. 木田宏

    説明員木田宏君) ただいま御指摘のような、実際に服務の事例につきましてそういう重複が考えられるということではございますけれども、それは任用することができないということではないと思っております。
  63. 湯山勇

    湯山勇君 任用することができても、そういう使い分けができないのだから、結局仕事ができないことなんです。何にもできないことなんです。そこで形式的にそういうのじゃなくて、実質的にあなたがお認めになった通り不可能です。その不可能な規定を何とか除外規定を設けておかなければできない。そういう除外規定が必要じゃないかというのですから、必要なら必要、要らないなら要らない、はっきりしてもらいたい。
  64. 木田宏

    説明員木田宏君) 一般的に二つの職を兼ねまして、そうしてそのそれぞれの職について服務規定が異なっておる。一方が服務規定の適用が厳格で、他が寛容であるという場合には、それはその一人の人につきましては、当然重い方の限界でもって日常の勤務というものを処すべきであろう。法律上の建前としてはそう考えざるを得ないものと思います。
  65. 湯山勇

    湯山勇君 そうすると、今あなたがおっしゃった助役のときは、助役教育長のときは教育長、こういうことは言えないわけですね。
  66. 木田宏

    説明員木田宏君) 私は教育長のポストについての規制は、教育長としての規定の適用がある、こういうことを申し上げたわけであります。そこで、それでは日常の服務についてはどうかというお尋ねがございましたが、服務については助役よりも一般職としての教育長の規制の方がより厳格であります。兼ねた場合には、そのより厳格な方の規制に従わざるを得ない、こうなるであろうということをお答えしたわけでございます。
  67. 湯山勇

    湯山勇君 法制局からお見えになりましたからお尋ねいたしたいと思います。それは、順序を立ててお尋ねいたしますが、地方教育行政組織及び運営に関する法律、その法律の第四条に、「人格が高潔で、教育学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、」その「教育学術及び文化」を、「以下単に教育という。」こういうふうに規定してあります。そこでずっとあとに参りまして、二十三条の十六におきまして、「教育に関する法人に関すること。」となっておれば、これは先ほどの定義によって、「教育学術及び文化」に関すること、こういうことになると思います。そこで、文部省の説明によれば、さきに述べた教育、つまり教育学術文化という中には、宗教も含んでおると、こういうことでございます。そうすれば、十六の「教育に関する法人」という中には、当然宗教法人も含まれておる、あるいは私立学校法人も含まれておる、こう解釈すべきだと思いますが、御見解いかがでしょう。
  68. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) ただいまお示しのように、第四条において、教育ということは、学術及び文化を含めて教育といっておりまして、宗教文化のうちに入ると一応解釈いたされますので、いわゆる教育といううちには、宗教も一応は含むと解釈されるというふうに存じます。従いまして、二十三条の十六の「教育に関する法人」というその文字だけを見ますと、その教育宗教もやはり含むのでありますから、宗教法人に関することも表面的にはそこに一応入るというふうに文字の上からは考えられます。ただ二十三条の頭書きに、「教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務及び法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務で、次の各号に掲げるものを管理し、及び執行する。」と書いておりまして、「その権限に属する事務」というのは教育委員会権限に属する事務と読まれますので、しこうして宗教法人に関する事務宗教法人法によって知事に委任されておりますので、教育委員会権限を属せしめられておらないので、その初めの方の二十三条の頭書きの方からすでにその宗教法人に関する事務は除かれるということになると考えられますので、十六号の文字からは一応入るように見えますが、結局二十三条の頭書きであらかじめ除かれておるから入らないということに解釈すべきではないかと思われます。
  69. 湯山勇

    湯山勇君 そういうことをどこからお聞きになったのか存じませんけれども、それではその次の二十四条です。二十四条に今の御答弁によって「(長の職務権限)」、その中に今の御答弁によれば当然宗教法人は入らなければなりません。なぜかというと、「次の各号に掲げる教育に関する事務を管理し、」とちゃんとありますから、この教育の中に宗教が入るのであれば、これは「(長の職務権限)」で教育の中に宗教を含んでおるわけですから、「私立学校に関すること。」は入っておるのですから、当然宗教に関することも入るはずでございます。これはいかがでしょう。
  70. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) 宗教法人法によって知事権限に属せしめられておる、その点をこの二十四条ではこれを変更するような趣旨ではないと考えます。
  71. 湯山勇

    湯山勇君 答弁が変ですから、もう一度お尋ねいたします。お尋ねしていることにお答え願いたいので、二十四条では「次の名号に掲げる教育に関する事務を管理し、及び執行する。」、その条文の見出しには「(長の職務権限)」となっております。そこでこの宗教法人に関することは委任された権限だと今おっしゃいましたが、委任された権限だから「(長の職務権限)」の中に入ります。当然ここへは教育に関する事務を長は職務権限として管理し、執行するわけですから、教育という定義の中に宗教が入るということになれば、この「(長の職務権限)」の中には私立学校のはちゃんとあるのですから、当然宗教のことも入るということになるのではないでしょうか。
  72. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) ここに書いてないので、この二十四条の中に次の長としての職務権限を全部ここに書いてないのではないかというふうに思います。
  73. 湯山勇

    湯山勇君 そういうことをお尋ねしているのではないので、書いている、書てないじゃなくて、その中に入るか入らないか、実質的にそれをお尋ねしているわけです。
  74. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) 二十四条に掲げられてないんですから……、(「入る、入らない」と呼ぶ者あり)それは二十四条では触れてない……。
  75. 湯山勇

    湯山勇君 触れる触れないの問題じゃなくて、局長は先ほどは、その二十三条の十六号で「教育に関する法人」という中には、教育というのが宗教も含むんだから当然宗教法人も入るということを御答弁になりました。二十四条では「(長の職務権限)」と、「教育に関する事務を管理し」、「教育に関する事務ですから、そこで先の十六号で、前条十六号で、「教育に関する法人」は宗教法人も入るとおっしゃったんだから、当然「(長の職務権限)」の中の「教育に関する事務」の中には宗教も入りましょうか、こう聞いているのだから、これは入るとお答えになればそれでいいのです。
  76. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) 「次の各号に掲げる教育に関する事務」という限定があるので、それはここからは漏れているというふうに解釈すべきじゃないかと思います。
  77. 湯山勇

    湯山勇君 ところがです、長は宗教法人のことをやらなければならないのです。「教育に関する事務」、しかも長はそれをやらなくちゃならない。そうするとこれはあげなくちゃならないわけです。
  78. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) 長はお説のように、宗教法人のことをやらなければならないのでありますが、それは宗教法人法によってやるのでありまして、でありますから、ここへ書くことの方が、まあ重複するきらいはありますが、ここへ書いてもいいのではないかと思いますが、この二十四条では、「次の各号に掲げる教育に関する事務」というものだけを拾っておりますので、二十四条ではその点に触れてないということになるわけであります。
  79. 湯山勇

    湯山勇君 触れてないということをお認めになればそれで一応いいわけですが、局長の御答弁では、先ほどはちょっとこういう御答弁だったんです。次の各号にあげたものだけを、それは教育の中にはいろいろな事務はあるだろうけれども、その中で次にあげたものだけをやる、だから掲げてないという意味の御答弁があったから、それで、それは長がやるんだということになったから、当然掲げられなくちゃならないことになるわけですね、今の御論旨から言えば。どうですか。
  80. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) それは書けば明白になりますが、書かなくても宗教法人法で、まあその点は動かないことであろうと思います。
  81. 湯山勇

    湯山勇君 それでは……、ちょっとよくお聞き願いたいんですよ。「私立学校に関すること。」もまた同じです、これは。書かなくても書いてもいいのです、別なところでやられているわけですから。そうすると一つは書くし、一つは書かない、片手落ちでしょう。
  82. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) その点は、私は立案者でありませんから……。
  83. 秋山長造

    ○秋山長造君 議事進行……。この問題は、これは今法制局長がおっしゃる通り法制局長はこの立法者でないのですから、責任者でないのですから、やはり立法の責任者である法制局長官をこの席に呼んでいただいて、そうしてこれは責任をもって明確にしていただくべきだと思いますので、一つさようにお取り計らいを願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  84. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 法制局第二部長野木君は出席しておられますが、まず野木君の答弁を求めたらいかがかと思いますが……。それでもし足りなければ法制局長官にも御出席をお願いいたしましょう。
  85. 湯山勇

    湯山勇君 最高責任者が来ないと、きのうの緒方局長の御答弁ときょうの課長答弁と違っておりますし、それからまた今の院の法制局長の御答弁ともまた違って参っております。そこでこの段階ではやはり最高責任者をお呼びいただいて、そこで明確な御回答を得てさらに進めたいと思います。
  86. 秋山長造

    ○秋山長造君 今委員長のせっかくのお言葉ですけれども、これはやっぱりこれだけの重要法案ですからね、これは何も法制局長官を呼ぶことを遠慮することはないので、法制局長官にすぐ来てもらって、すぐ隣りの部屋におるのですから、一つ来てもらって、責任を持って解明をしていただきたいと思います。そうしないとこれはもう質問がちっとも進みませんよ。そのようにお取り計らいを願いたいと思います。
  87. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 責任を持ってとおっしゃると、私が責任を持っておるのであります。しかしながら、立法の経過等をお聞きになることを妨げるわけじゃありません。ここにおります私ども、政府委員の答えは政府の答えとして認めておるのであります。(「文部大臣答弁ではわからないから……」「じゃまするな」と呼ぶ者あり)違っておればあなたの方で御批判下さればいいんで、私どもの方の答えはこれで尽きておるのです。(「ともかく長官を呼んで下さいよ」と呼ぶ者あり)
  88. 秋山長造

    ○秋山長造君 文部大臣は、私が今委員長提案しているのに対して、そんな横合いから口を入れられる必要はないのですよ。そんな権限はないです。(「あなたの答弁で満足できぬから……」と呼ぶ者あり)これは何もあなたに関係のないことですよ。私の今言っていることは……。
  89. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) ちょっと待って下さい。
  90. 秋山長造

    ○秋山長造君 だからこの委員会として法律の専門家に……。
  91. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 私もその呼ぶことをとめると言ってないのです。責任を僕がとると言っているのです。
  92. 秋山長造

    ○秋山長造君 要らぬことですよ。今湯山委員があなた方に聞いてわからないから、政府の法律の専門家の一番上の人は法制局長官でしょうが、だから法制局長官をここに呼んで聞くというのに何が悪いのですか。
  93. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 何も悪いとは言いませんよ。政府の責任者を呼べと言うから、責任者は私だと言うたのです。(「法律の責任者だよ、立法措置の」と呼ぶ者あり)。
  94. 湯山勇

    湯山勇君 今の大臣の御発言は私は納得できない。われわれの説明はこれだけだ、あとはあなた方勝手にしろ、こういうことがありますか、一体。わからないから聞いているのだ。(「陳謝陳謝」と呼ぶ者あり)大体けさからの答弁を見てごらんなさい。二十三条の柱はこれこれだ。それじゃ二つになって、あなた方の言うように、この中になると言うことがならないじゃないかと言えば、今度はこうだと言う。二十四条どうかと言うと、二十四条は職務権限じゃないと、こう言う。いや、権限だと、こう言う。答弁がぐらぐらしてちっともわからない。局長答弁してくれと言えば課長にさせるし、大臣にしてくれと言えば局長にやらして、そうしてもうこれで言うことはないのだから勝手にしろと、これが一体大臣の態度ですか。わからないから長官を呼べと言うのに、それを、長官を呼んで聞くのは勝手だけれども、おれたちはもう言うことは言ったと、何ですか、一体。(「審議する必要はない……」と呼ぶ者あり)それが一体審議ですか。大臣、そういうことであなたはこの法案をわれわれに審議さそうとするのですか。(「陳謝々々」と呼ぶ者あり)
  95. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ただいま。
  96. 湯山勇

    湯山勇君 委員長、待って下さい……。
  97. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 法制局長官の出席をただいま連絡をしております。御報告いたします。
  98. 湯山勇

    湯山勇君 今の大臣の態度じゃ困ります。取り消しを願いたい。
  99. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) それは速記を一つ後日調べますが、私は法制局長官のお出ましを阻止するのじゃございませんよ。(「いや、呼ばぬでいいと言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)呼ばぬでいいとは言いやせぬです。政府の最高責任者を呼べとおっしゃるから、法制局長官は責任大臣でないので、私が責任者ですからということを申し上げたのです。それがお気にさわりましょうか。なおつけ加えて、立法の経過等をお聞き下さることはけっこうです。ちっとも法制局長官のここへお出ましになることを私は妨げるものじゃないという、言葉を尽して言っておるわけです。後日一ぺん速記を見ましょう。
  100. 秋山長造

    ○秋山長造君 文部大臣はけんか腰になって速記々々とおっしゃるけれども、速記にはっきり書いてあることでもあなたはお認めにならぬことがこの間もあったじゃないか。そんな大きなことを言いなさんなよ。何もそんなことあなた言っておるのじゃない。あなたがまたさっき第三者として湯山君の議論を聞いておられて、われわれの議論を聞いておられて、この場に法制局長官を呼ぶということは、これは当り前のことじゃないですか。
  101. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) だからそれを阻止はしませんよ。
  102. 秋山長造

    ○秋山長造君 阻止するようなことを言っておるじゃありませんか。要らぬことを言わないで下さいよ。
  103. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣がそういうことを言えば発言せざるを得ない。第一あなたはそんなことを発言するときじゃない。法制局長官を呼ばなくてももう事が尽きているという気持があればこそああいう発言をするのでしょう。あなた方は長官を呼んでいるけれどもそんな必要はありませんよ、私が一切責任を持ちますよ、すべてはわれわれが言ったことで尽きているのだ、呼ぶ必要がないというあなたに気持があるからこそああいう発言になってくるのでしょう。問題は最後の言葉ですよ。湯山委員がこのあなた方の答弁で満足できないので、この法案を国会に出すまでには法制局とあなた方と十分立法作業の段階で打ち合せることははっきりしておる。その立法作業についてのこの責任は何と言ったってこれは長官が持つのです、どの法律案についても。そういう点を湯山委員が満足できぬからただそうというのに、大臣の最後の言葉が問題ですよ。政府の責任者はわしである、言うべきことは全部これで尽きておるのだ、これ以上長官呼んで云々というのはあなた方の過ぎたことだという気持があって、ああいう発言になっておる。ともかくああいうときにあなたが発言をする時期じゃないですよ。それを何か逆襲的な答弁をするのはけしからぬですよ。もう少し謙虚になって陳謝しなさい。取り消しなさい、さっきの、取り消してもらいたい。(「取り消しなさいよ」と呼ぶ者あり)
  104. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 御意見に基きまして、委員長はただいま法制局長官の出席をされるように連絡をいたしました。
  105. 秋山長造

    ○秋山長造君 私はね、こういう際に委員長はもう少し文部大臣に対して注意をしていただきたいと思うのだ。大体委員長のすぐそばにおって、委員長は私どもの質問内容についてはいろいろ批評がましいことをおっしゃるけれども、あんたこの委員会始まって以来今日まで文部大臣はいろいろなことをおっしゃっておる。ときによるとずいぶん人をばかにしたことをおっしゃる。またときによるとサギをカラスというふうな、まことにこれは牽強附会なことさえもこれは平然としておっしゃっておるのですよ。そういう態度に対して委員長一口くらいは注意なさったらどうですか。すぐ隣におられるのですから。社会党の質問の内容ばかりにこだわってですね、あとのことは全部言い散らかしですよ。駄ぼらの言いほうだいということもときにはある。これは委員長やっぱりこの会議を主宰していかれる責任者として、政府に対してもう少しきっぱりした態度をとっていただきたい。御見解をお伺いしたいと思います。(「委員会の権威のためにも……」と呼ぶ者あり)
  106. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 委員長は公平に(「何が公平だ」と呼ぶ者あり)この委員会運営いたしております。(「今の言葉委員長何にも考えないの。」と呼ぶ者あり)大臣大臣の考えで答弁されているものと私は考えております。(「そんなことじゃない、答弁要求していない」と呼ぶ者あり)
  107. 湯山勇

    湯山勇君 大臣に質問していないのです。少しも大臣に対して質問はしておりません。大臣は議事進行みたいな発言ですよ、あれは。質問に答えたのじゃないはずです。大臣どうですか。だれか質問がありましたか、大臣に。
  108. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) それは私が発言を求めたんです。(「勝手なことを言うてはいけない」と呼ぶ者あり)しかしながら法制局長官をお呼びになることを阻止する言葉は一言も出しておりません。(「全体が阻止する言葉だよ。」と呼ぶ者あり)しかしながら責任は私がとるのでありまして、法制局長官は政府部内の長官であります。「政府の言うことはこれで尽きておると言ったじゃないか、それはどういう意味か」と呼ぶ者あり)責任を私がとると言ったんです。(「政府の言うことはこれで尽きているということを言ったじゃないか。」と呼ぶ者あり)政府の言葉……法制局長官を呼ぶことは必要ない(「それが問題だと言っている」と呼ぶ者あり)ということを言っているのじゃない。(「要らぬことを言うな」と呼ぶ者あり)呼ぶなということは言わない。責任は僕がとると言っているじゃありませんか。責任は僕が持つのだと、こういうことですよ。
  109. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 じゃなぜ手を出したのだ。こうやって尽きていると手を出したじゃないか。それを委員長注意せぬのはおかしいですよ。委員長は国会の役員じゃないですか。(「おかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)
  110. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) それは冷静にいきましょう。(「冷静はそっちだ。」「何が冷静だ」と呼ぶ者あり)
  111. 湯山勇

    湯山勇君 法律の問題ですから、こちらはこれだけ冷静にお聞きしているでしょう、政府の方で一向でたらめばかりおっしゃって、権限じゃないとかあるとか、いやこれは入っておるとか、きのうは現行法を材料にしておっしゃって、きょうはこの法律にはないと言えば、それは二十三条の頭書きだ、頭書きの及びというのはこの中にじゃないといいんじゃないかと言うと、それは長の権限だ、長のところで、これでこうじゃないか、長の権限じゃない……。
  112. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 矢嶋さん、もう一度文部省の見解を説明いたさせましょうか。
  113. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もうあなたは済んだと言うのだから、文部省の見解は終ったと言うのじゃないか。
  114. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 済んだとは言いませんけれどもね。(「言ったよ、手を出して言ったじゃないか、両手を出して」「もう終ったところに聞かなくてもいいです。大臣が終ったというのですから」と呼ぶ者あり、其の他、発言する者多し)……もういいですか。われわれの方の考え方はずっと木田君と緒方君で答えているのですから(「委員長雑音が皆入っちゃうじゃないか、速記をとめなくちゃ」と呼ぶ者あり)
  115. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  116. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 速記を始めて。
  117. 湯山勇

    湯山勇君 法制局にお尋ねします。それは今の法律の四十七ページの附則の十一条です。この十一条は教育長任命の経過措置になっておりまして、第一項の最後の方で「十六条第三項の規定にかかわらず、市町村委員会は、都道府県委員会の承認を得て、委員以外の者のうちから教育長を任命することができる。」こうなっております。これは十六条三項では委員の中から教育長を選ぶという規定になっておるわけですけれども、ここで除外規定を設けてあります。そうしてその第二項においては「前項の規定により任命された教育長は、昭和三十一年九月三十日までの間在任するものとする。」こうなっておるので、そうすると市町村教育委員会には九月三十日以降において委員以外の教育長というものは存在しないことになる、こうなりますが、いかがでしょうか、御見解は。
  118. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) 助役に関するものは別にありますが、それ以外はそういうふうになっております。
  119. 湯山勇

    湯山勇君 助役に関するものは本法のどこにありますか。
  120. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) 本法にはありません。
  121. 湯山勇

    湯山勇君 そこでお尋ねしたいのは十六条三項の除外規定は、この附則の第十条で、「前項の規定にかかわらず、」こういうふうにして委員外の助役をやってもよろしい、こういうことになっておりますから、そこであなたが今指摘されようとした関係法の二ページにあります附則第六条中の改正は、当分の間、つまり十六条三項の規定にかかわらず助役教育長になってもいい、こういうこと、これは助役というのは本来教育長になれないのをこういうようになれるようにしただけのことなんで、そこで、十六条三項を加え、つまり十六条三項の規定にかかわらずというのは、当然第十一条第一項、四十八ページの第一行、新しいのができても十六条三項の規定にかかわらず、委員外から教育長を任命することができる、ここを受けた条文だと思いますか、いかがでしょうか。
  122. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) こちらの施行に伴う関係法律整理に関する法律案の方を見ますと、助役の兼任を「昭和三十二年三月三十一日までの間に限り、」というふうにこれの方を長くしておきますから、その間やはりこれが働いてくるというふうに考えます。
  123. 湯山勇

    湯山勇君 そうすると、今のいいですが、よく聞いていていただきたいのですがね。ただいまおっしゃった関係法の附則第六条ですね、その改正は本法十一条の第一項を受けたものか、第二項を受けたものか、どうなりますか。
  124. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) これは十六条の第三項の特例を書いたものだと思います。
  125. 湯山勇

    湯山勇君 それは、先ほど申し上げましたように、十六条三項の特例というのは、附則第十一条の一項に該当するわけで、附則の第十一条第一項はただいまの関係法整理がなければ、これも助役は兼務できないのです。おわかりになりますね。だから、当然第一項を受けてこれが修正されたと、この修正がなければ第一項は適用できないわけですから、だから、第一項を受けた修正だと、こういうことにはなりませんか。
  126. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 法制局長は、参議院法制局長で、法律の専門家ですよ。だから、あなたの見解は、これは法律を条文化する場合には常識的なものがあるわけですから、こうするのが適当だというあなたの私見を持っているはずですよ。何かいうと、これは立案者の意向を聞かないと、と言う。立案者の意向は、立案者に聞くのですから、参議院法制局長として、専門家としてのあなたの見解を聞かしていただけばいいわけですから、立案者に何も遠慮なさることはないと思うのです。立案者の御見解は、立案者に聞きますから。
  127. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) この助役に関する兼務の規定は、必ずしも十一条と対応したものではなく、助役の方は助役の方として別に「三十二年三月三十一日まで」という、まあいわば特別な、十一条と必ずしも関連ないものというふうに考えていいものと思います。
  128. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 法制局長、私はどうしても納得できんですがね。教育長はどんな人が教育長になれるかということを本法に書いてある。その本法の中で教育長と助役との関係というのは、第十一条の一項にはっきり書いてある。これ以外の人はなれないことになっているわけでしょう。そうしてその二項で「昭和三十一年九月三十日まで」ときまっているわけですよ。本法にはないといっている。いろいろなほかの法律のところで教育長になれるようになっているのはおかしいじゃないですか。立法技術上おかしいと思うのですね。そういう法律を読む国民は迷惑しやせんでしょうかね。当然ここのところに何か書いておくべきじゃないですか。
  129. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) それは、立法技術としては、あちこち見るというよりも、そのところに系統的に書いた方がはっきりすると思います。ただ、ちょうど地方自治法の附則に「当分の間、」とあるそこをつかまえて、それを「三十二年三月三十一日」というふうにそこを動かすために向こうの方へ書いた方が便宜じゃないかということで書かれたのではないかと思いますが、そこはまあ非常にわかりやすくということであれば、一本に関連する事項をまとめた方がいいのじゃないかと思います。
  130. 湯山勇

    湯山勇君 今あなたは十一条とは関係ないということをおっしゃいましたが、附則第十一条の第一項、これはこの自治法の修正がなければ実施できないと思います。助役教育長というものは実現しないと思うのです。だから、関係法自治法の修正は、十一条の一項を実施するためには、そうして十一条の一項で助役教育長にするためには、どうしても十六条三項の規定にかかわらず教育長をこうこうしなくちゃならない。それからその文章で追加している分は、十一条一項のおしまいと同じです。都道府県委員会の承認を得てこうこうと、その委員以外というものの中へ助役を入れた規定です、これは。だから本法とこの整理法との関係は、十一条一項との関係、こうなるわけです。違いましょうか。そうですよ。
  131. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) 地方自治法の附則では、こちらの地方教育行政組織及び運営に関する法律案の十一条をオーバーして三十二年云々とある。それについてまたその任命方法も別に規定しておるので、一致——一致といいますか、対応する点もありますが、それ以外の自治法の方ではオーバーして規定しておるものと思います。
  132. 湯山勇

    湯山勇君 おっしゃる通りでございまして、そこが問題だと思うのです。これは今局長は立法技術の問題とおっしゃいましたけれども、実際は助役が九月三十日以降教育長になれるかなれないか、助役教育長が実現するかしないかという実現にかかっておるわけですから、それを一つ頭に置いて御答弁願いたいと思うのです。もしそうならなければ、なれないということになれば、今の地方の町村の財政は非常に影響を受けますから、そういう実質的な問題を含んでおるので、単に立法技術とかそういう問題じゃありませんから。そこでこの関係法整理の方は助役が三十二年の三月の末まで教育長になることができるという規定だけです。なろうがなるまいが、それは任命されたときになるわけで、任命されなければそれだけの期間なる必要はありません。ところが本法の十一条第二項によって、第一項の規定による委員以外の教育長は九月三十日までに全部やめなくちゃならない、こうなっておるわけです。任命された場合には三月の末までに就任することができますけれども、こっちではやめなくちゃならないのですから、九月三十日以降委員以外の者から教育長を任命することができるという規定がなければ、これはここでこの関係法の方に誤まりありませんけれども、三月三十一日まで延ばすということが無意味になってくるわけです。可能性はあるけれども、実際には適用されないということになるわけです。これはいかがでしょう。
  133. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) それはやはり三十二年三月三十一日までの間は助役を任命ができる……。
  134. 湯山勇

    湯山勇君 ということはどこにありますか。
  135. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) それはこの一条の一番末項で「市町村教育委員会は、都道府県の教育委員会の承認を得て、助役教育長に任命するものとする。」ということで……。
  136. 湯山勇

    湯山勇君 するものとするじゃない、することができる……。
  137. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) 三月三十一日までの間に任命することができる、その場合には都道府県の教育委員会の承認を得て任命するということが一番の末項で現われておると思います。
  138. 湯山勇

    湯山勇君 助役教育長に任命する場合にはこういう手続をしてこうせよと、この規定は附則の第十一条第一項です。委員以外の者から教育長を任命する、その委員以外の中にたまたま助役が含まれておったときにはこういう手続をとってこうしろと、こういうことですね。そこでそういうふうにして任命された者は、当然どんなにがんばったって九月三十日でやめなくちゃなりません。それ以後規定がないのです。
  139. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) 助役の点については十月一日以降この規定によって新しく助役に兼任をせしめることができるということであります。
  140. 湯山勇

    湯山勇君 そういう規定がなければこの修正は無意味でございましょう。そのことをはっきりおっしゃって下さい。
  141. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) さようでございます。
  142. 湯山勇

    湯山勇君 そういう規定はどこにございますか。十月一日以降助役教育長に任命することができるという規定はどこにございますか。
  143. 奥野健一

    法制局長(奥野健一君) 「昭和三十二年三月三十一日までの間に限り、」というのがその趣旨でございます。
  144. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 岸田部長さんよく知っておるはずだが、局長さん突然だからよく御承知ないと思う。明敏なる局長にしては非常に答弁が不明確だと思うのですが、こうなんですよ。現行教育委員会法施行下において、助役教育長になれるということは現行教育委員会法のどこかに書いてあるわけです。そうして地方自治法にそれが規定されておるわけなんですね。ところが現行法では捨ててしまっておる、全部消してしまったわけです。そこで今度できた法律ではさっきから指摘しておるように、町村の教育長は教育委員の中から必ず選ばなければならぬと規定した。しかしこの附則のところで、教育委員の中から教育長を選ばなければならぬけれども、特例の場合として教育委員会の外から教育長を選ぶことができる。しかしそういう教育長は三十一年九月三十日までしか在任はできない、それ以外は絶対できないということを現行法は捨ててしまって、新しい鉄管をかぶしておるわけです。従って現行法下にできておる自治法の附則のところですね、三十二年三月三十一日でちょっと直して、そうして教育長をさせるということは、新たにできたこの方の本法から言っておかしいですよ。そこを指摘しておるわけです。だからあなたがもしこれを立法される場合はどういうふうに表現されますか、条文化するか、それをお伺いすればはっきりしてくると思う。
  145. 岸田實

    法制局参事(岸田實君) この本法の方の附則第十一条と今の整理法の方の附則第六条との関係を、私局長と同意見でございますが、一応御説明申し上げますが、本法の十六条第三項の市町村委員会の任命の規定に関する特例といたしまして、この附則の第十一条というものがまずあるわけでございます。これはこの法律が公布になりましてから、新しい委員会が発足して九月三十日までの間に教育長が欠員になりました場合の暫定措置に関する規定でございます。そこでその場合においては本法の十六条第三項によりますれば、必ず委員が兼ねなければならぬと書いてあるけれども、しかしこの暫定的な期間においては委員以外の者から教育長を選んでもよろしい、しかし十月一日以降になりましたならば、本法が働いてそうして必ず委員を兼務させなくちゃならないから、従ってこの十一条の附則、この第二項におきまして、その選ばれた人はそこで任期が終るのだということを書いてあるのだと思うのであります。そこでこれで一応九月三十日までの経過措置はここで完結しておるわけでございます。ところが今度はこちらの整理法の第六条のところに参りまして、助役は一般の禁止規定にかかわらず、それからさらに今度の本法の十六条第三項の規定にかかわらず、すなわち委員をもって教育長に兼ねしめるという規定にかかわらず兼務することができる、兼ねることができるということに改めまして、そうしてその兼ねることのできる期間は昭和三十二年三月三十一日までの間である、こういっておるのでありますから、従ってこの三月三十一日まで兼ねることができるという規定によりまして、十月一日以降も兼ねることができるということが一応法律上現われておるわけでございます。そうしてさらに、しかし十六条第三項では、その教育長の任命の規定としては、委員のうちから任命すると書いてありますから、兼ねることができる期間を延ばしただけでは、十六条第三項が働いてくるかどうか非常に疑義がある。そこでこの後段で、この場合においては、市町村の教育委員会は都道府県の教育委員会の承認を得て助役を任命することができるという規定を、ここに任命の規定を置いておるわけでございます。そうしますと、昭和三十二年三月三十一日までの間に兼ねることができる。その助役教育長を兼ねる場合においては、任命はこういうふうにしてやるんですよと法律に書いてあるのでございますから、結局、これはできるとは書いてありませんけれども、助役が兼務する場合にはこの任命形式をとるのであるという、まあいわば宣言的な書き方をしておりますけれどもですね、この規定の趣旨とするところは、やはり十月一日以降昭和三十二年三月三十一日までの間も引き続き助役を兼務することができ、その任命手続は、十六条第三項の場合と同様に、都道府県の承認を得てやるんであるという意味がここに現われておると思うのでございます。そこでこの立法技術として、それではこういうこの任命するものとするという、こういう規定を、従前の教育委員会法の附則にあるがごとく、この今度の法律の附則の方に書いたらいいじゃないかというようなことも、立法技術としてはいろいろございます。しかしこういうふうに法律上現われて参りますればですね、解釈上この附則第六条の規定が無意味規定だとはとても読めないわけです。解釈上はどうしてもこの規定によりましてですね、やはり昭和三十二年三月三十一日までは助役の兼務は許され、その任命は、この後段において書かれておるのであるというふうに解釈せざるを得ない。ここに任命の規定を入れたのはどういうわけで入れたかどうかということは、私たち立案者じゃございませんから、その点は何とも申し上げようがないのですが、解釈としては、そうならざるを得ないのじゃないかというのが、私たちの解釈でございます。
  146. 湯山勇

    湯山勇君 御解釈はよくわかりました。そこでまた非常に大きい問題が出てきたのは、現在の自治法の附則第六条は、これは現行教育委員会法の七十八条を受けております。それは現行教育委員会法の第七十八条に「市町村の教育委員会は、教育公務員特例法第十六条の規定にかかわらず、当分の間、その市町村の助役を当該教育委員会教育長に任命することができる。」という法律があって、その法律を受けてこの附則第六条が生まれてきておるのです。だからこの七十八条がなくなれば、この附則第六条があってもですね、附則の第六条で教育長を助役が兼ねることが認められておっても、七十八条がなければ、助役教育長は実現しません。これを受けてですよ、この七十八条で教育長に助役がなることができるというのが本法にあるんですから、そこでその場合の規定自治法に示されてあるわけです。(「その通り」と呼ぶ者あり)だからこの自治法とは全く関係法整理です、純粋な意味において整理法になっている。その場合にはこうこうで、当分の間だとかというようなことで、極端にいえば七十八条をここで繰り返した程度です。だからそれはそれで正しいと思うんです。そこでそういうふうにこれを受けた整理法律が受けるものがもうなくなったのです。今の御答弁によれば、受けるものがなくなって期間だけ書いているわけです。手続は問題ありません。受けるものがなくなって期間だけ書いて果して生きるものか、生きないものかどうか、これは私は大いに疑問があると思います。そこでもとになる法律がないのだから、ここで期間だけ延ばしても、これは適用されないということになれば空文化して、これがなるほどこれを受ける附則第十一条の一項がありますから、九月の末日まで有効です。この修正も有効です。けれどもそれ以降は空文化する、こということになるのではないか、こういうことなんです。
  147. 岸田實

    法制局参事(岸田實君) 従前の七十八条の規定は、教育公務員特例法第十六条の規定にかかわらず、教育長を任命することができる、こう書いてありまして、これは従前の教育公務員特例法第十六条の資格に関する規定、選考に関する規定等によらないで任命することができるという特例を書いているわけでございます。しかしこの第七十八条のこの規定が、何と申しますか、助役の任命規定をこれによって作ったというよりは、今の特例にかかわらず、やめるという趣旨がここに強く現われているわけでございます。その意味で七十八条は、教育公務員特例法の附則に入れて置く必要があったわけでございますが、今度の法律によりますと、助役の資格に関すること、あるいは選考に関すること等の特例を設ける必要がないという趣旨で御立案になっているようでございます。何らそういう規定がはいわけでございますから、当然選考に関する規定も働くということになっているわけでございますけれども、そういうことで特にそういう除外例を設ける必要がなかったということ、それが一つあるわけでございます。それからこれは感じでございますが、なぜ附則第六条の方にこの任命の規定を置いて、本法の附則の方に置かなかったかということの感じございますが、本来、本法の十六条では助役の兼務というようなことは本来考えておらない。なるべくそれはもう除外、例外の例外であるというような気持が相当に強く働いておられるのじゃないかと思うんですが、そこでこの自治法の附則で兼務することができるという規定のところにですね、そのごく異例の兼務の場合の任命はこういうふうにしてやるのだということを書くことによって、暫定的でもあるし、当分の間の本法に対する例外規定をここに設けるということにされたのではないかと思うのでございます。そこで助役教育長に任命することができるという規定本法の附則に書かなければ、ほかの法律で書いても絶対に動かないものかということになりますと、それは法律は双方皆相関連して解釈すべきものでございますから、必ずしも附則にその規定がなくても、自治法の方にこういう規定があればですね、その規定の存在意義というものはやはり認めざるを得ないので、今いろいろお言葉がございましたけれども、やはり私どもとしては、この附則六条の今度の改正は、本法の附則十一条をオーバーして、十月一日以降においても、翌年の三月三十一日までは兼務を当分見ていく、例外的に見ていくのだということになるのではないかと思うのでございます。
  148. 湯山勇

    湯山勇君 それではあなたの御解釈は、では、こういうことになります。もしこの附則の修正を認めるということになったときの母法との関係ですけれども、附則の十一条をごらん願いたいんです。附則の第十一条ではですね、第十六条第三項の規定にかかわらず、委員以外、ですから助役も受けております。助役も含めて教育長を任命することができる。この任命された教育長は新しい委員によって任命されれば無期限です。いつまででもやれます。九月であろうが、十月であろうが、十二月であろうが、来年の三月であろうが、これは場合によれば助役の任期一ぱい、あるいはそれ以上いけるのです、この規定だけで。附則第十一条一項によりまして、とにかくこの法律の改正によって公選の委員が全部欠けて、任命による委員ができて、その任命による委員が任命さえすれば都道府県の教育委員会の承認を得るので、その教育長には任期がないのです。ただ委員が兼ねた場合には、つまり教育委員が兼ねた場合には、たまたま委員の任期がありますから、その委員の任期をもって終了ということになりますけれども、委員以外から教育長が出た場合には、都道府県と同じになりますから、その者には任期がありません。いつまででもやれるのです。そこでいつまででもやれるのだけれども、ここでそれは三十二年の三月三十一日までとすると、それ以後はたとえ助役教育長の任期があってもやれないのだ、こういうことになるのです。それはそうですよ。それは附則のその前の条文をずっとお読みいただけばわかります。こういうことになっているのです。公選による、つまり現在在任しておる教育長ですね、これは公選委員が全部なくなる場合と、それから教育長の任期が切れた場合と、それ以外は九月三十日まで在任するわけです、現在在任しておるものは。それから現在欠けておる場合、それから途中で今のように教育長が変った場合は、この法律によって、市町村の場合は、県教育委員会の承認を得て任命します。県教育委員会であれば、文部大臣の承認を経て任命します。その文部大臣の承認を受け、県教育委員会の承認を受けたものにはやめる期間はありません。任期はないのです。これにも問題があるのです。これはどういうことかと申しますと、今にも任期の切れそうな都道府県の教育長を、公選委員が三月までだからかわいそうだからというので一日やめさしておいて、それから文部省の承認手続をとれば、その教育長は任期はいつまでも続きます。こういう欠点がありますけれども、それはそれとして、この附則第十一条によって任命された教育長は、助役だろうが、何だろうが任期がないのです。いつまででもいけるのです。そこでその期限はこうだということならそれはわかります。けれども、それについては、附則の第二項によって、九月三十日までだと規定してあるのです。その教育長に関する規定二つあるわけです。一つは三月まで、一つは九月、二つあるわけで、これで九月と切ってある以上、これはしようがないじゃないか、こういうことなんです。ですから、こういうことがなくても、十一条の第一項だけによって、助役教育長はいつまででもあるのですから、ここで新たに助役教育長になれるということを規定しなくていいわけです。
  149. 岸田實

    法制局参事(岸田實君) 十一条の第一項によって任命されました教育長は、第二項によりまして、前項の規定により任命された教育長は、「九月三十日までの間、在任するものとする」と規定されておりますから、第一項の規定によって任命されました者が助役であろうと、そのほかの者であろうと、第二項の規定の、この頭のところの規定によりまして、どうしてもこれは九月三十日までを暫定的な任期として任命されるものと解釈せざるを得ないと思います。そこでこの暫定的な期間の間に任命された、かりに助役が任命されましたといたしましても、この規定によりまして、どうしてもそれは九月三十日で一応切れてしまうというふうに思われるのでございますが、それが今度は整理法の方で、自治法附則第六条によりまして、昭和三十二年三月三十一日までの間兼ねることができると、この場合においては、教育長は市町村教育委員会が任命するのである。すなわち十一条の第一項の任命の規定以外に、さらに附則第六条の後段で任命の規定を設けているのでございますから、一応九月三十日で助役の任期が切れましたといたしましても、その後また附則六条の方の規定によりまして任命することができるというふうにやはり解釈せざるを得ないのじゃないかと、こういうふうに思います。
  150. 湯山勇

    湯山勇君 そういうふうな解釈をしますと、この附則第六条というのは、この通りいきますと、本法十六条三項の規定にかかわらず、三十二年三月三十一日まではやれるわけですから、そうするとその助役教育長というものはいつ任命されても、七月に任命されようが、八月に任命されようが、九月に任命されようが、この附則だけからいけば、いつまででも、どこで任命されても、とにかく三月三十一日まであり得ると、こういうことになりますね。つまり八月に任命されてもですよ、こういう手続をとって任命されるわけですから、手続はおっしゃる通りの手続で任命される、それから期限は三十二年三月三十一日までとなっているわけですから、七月に任命されようが、八月に任命されようが、この手続で任命された以上は、この十六条三項の規定にかかわらずですから、この手続をとって任命された助役教育長は来年の三月三十一日まで任期があるわけなんです、こういうことになるでしょう。
  151. 岸田實

    法制局参事(岸田實君) ただいまの御質問は、実は私もその点までは深く調べておりませんで、ちょっとはっきり今確信をもってお答えができないのでございますが、助役の兼務の場合につきまして、附則第十一条と全然無関係に、自治法の附則第六条のこちらの任命の規定によって任命するということになりますと、あるいは御趣旨のように、ずっと公布の日以後に任命したものが三月三十一日まで続くというふうにもとれるような感じもいたしますし、それからこの暫定期間中は、何分従前の公選委員が構成している委員会を暫定的に新法の市町村委員会としているのでございますから、従ってその委員が選ぶ委員以外の教育長は一応九月三十日までで切ってしまう、そうして十月一日以降新法によって新しくできました委員によって、さらにその後の教育長を助役にするか、あるいは委員以外の委員から兼ねることにするかということを判断させる必要があるという点を強く解釈すれば、十一条の方の任命で暫定的な期間助役の兼務をさせて、一応切って、新委員会ができましたときに、助役の兼務をさらに三月三十一日まで続けるか、ないしは委員が兼ねていくかということを判断をするというふうにすることになるのか、この法律の立法の趣旨によって、その点がいずれかに解釈される余地があるんじゃないかと思うのでございますけれども、もう少し研究さしていただきたいと思います。
  152. 湯山勇

    湯山勇君 それは御研究していただくよりも、こういうふうになると思います。それは附則第六条は本法をそのまま受けておるのではなくて、附則の第六条には独自な権限がある、独自の効果を持っておる、こう解釈しなければ、さっきいったような助役の兼務ということは出てこないわけですから、独自の権限を認めておるわけです、こういう手続で。それからこういうふうにして任命された教育長は、本法関係なく、本法にはそういう要素はないわけですから、本法関係なく三月三十一日まで在任することができるということにしなければ、本法との関連において考える場合には、十月一日以降は存在しない、こういうことになるので、あなた方も、それはこの法律にはこういう手続で、そしてこういうふうにして任命されたものは、本法規定いかんにかかわらず、これは三月三十一日まで存任することができると、こうおっしゃったわけですから、そこでとにかく、三月三十一日までの期間においてはこの手続を踏まれた助役に関する限りは、そのままずっと続けてやれるということしか言えないので、もしそれを否定されれば、十月一日以降の教育長というものは存在しない、こういうことになると思うのです。いかがでしょう。当然の理屈ですよ。
  153. 岸田實

    法制局参事(岸田實君) 附則六条のこの任命の規定は、一応附則十一条の暫定的任命の規定と別個の規定でございますから、ただいまおっしゃいましたように、附則六条の方の任命によりまして、引き続いて三十二年の三月三十一日までの任期の任命ができるのではないかという感じがいたします。
  154. 湯山勇

    湯山勇君 感じじゃなくて、そうならそうとはっきりおっしゃっていただきたいのです。今もう感じというような段階ではなくして、これを読んでどう判断するかという段階ですから、一つ現在のところそうだと、いかがですか。これぜひ御答弁願いたいと思うのですがね。大事なところですから。この附則第六条に独自の権限を認めなければ、もうそれは問題になりません。この改正全体が、法律権限を認めるか認めないかということが問題の焦点です。認めるか認めないかということが論議になるから、具体的な例として申し上げたわけで、もしそれがあやふやなら、あなた方が今までおっしゃったことは全部うそなんです、極端な言い方をすれば。そこで今私が言ったようなことは、そうならそうと、違うなら違うと言っていただかなければ、先ほどからの御答弁も皆そういう感じになってしまいます。
  155. 岸田實

    法制局参事(岸田實君) 自治法の附則第六条のこの任命の規定は、やはり独自の任命の規定をしたものであろうと存じます。
  156. 湯山勇

    湯山勇君 そこでただいま申し上げましたように、こういう規定、手続によって承認された教育長というものは、任命の時期いかんにかかわらず、これ独立の文章ですから、任命の時期いかんにかかわらず、これは三月三十一日までは在任できると、こういうことになりますね。
  157. 岸田實

    法制局参事(岸田實君) さようだろうと思います。
  158. 湯山勇

    湯山勇君 これで明確になりましたように、現に在任している教育長も助役の場合は、よろしゅうございますか、現に在任している教育長も、あるいは経過措置の間において任命された助役教育長も、全部これはもう三月三十一日までは必ずやれるということが明確になりました。ところが昨日緒方局長の御答弁は、一応やめるのだ、九月三十日で任期が切れてやめるのだということをおっしゃって、明瞭に十月一日からまた任命しかえるという答弁をしておられます。これは附則十一条の問題についてですけれども、あるいは現に在任しているもの、そういうものについてもこれ独立で働くのですから、そういうことになるわけなんで、昨日の答弁と矛盾して参ります。このことを指摘します。きのうそういったでしょう、そのことだけ、まずそう言ったか言わないか。それからですよ。
  159. 木田宏

    説明員木田宏君) 昨日は、現に在任している助役がいつまでずっと在任したままでおれるかという点につきましては、現に在任している助役は九月三十日までで一ぺん切れるということを申し上げました。しかしこの法律公布の後に、新たに兼任できることになる助役につきましては、それは附則六条の規定によりまして、三月三十一日まで在任することができることは当然でございます。
  160. 湯山勇

    湯山勇君 あなたはそういう詭弁を使っては困ります。私が尋ねたのは、そんなこと聞いたのではないのですよ。附則第十一条の第一項の手続によって任命された教育長はいつやめるのかと言ったら、九月の三十日とおっしゃったのです。間違いないでしょう。そういうことを言っちゃ困りますよ。私が昨日から尋ねている焦点はそこなんだから、焦点をはずしてそういうところへ飛ばしては困ります。そんなこと聞いていなかったのだ。
  161. 木田宏

    説明員木田宏君) 昨日お答え申し上げましたのは、ただいま私が申し上げたと同様の意味をお答えしたものと私は考えております。もしそうでなくて、今御指摘のように十一条によって任命されたものだという御説明があったわけでございますが、この十一条によって任命されたものという点でかぶることでございましたならば、やはり十一条の二項によって、九月三十日までという規定は働くわけでございます。しかしながら助役の兼任につきましては、同時に自治法の附則六条の改正規定が、公布の日以後働くことでございますから、どちらの規定によって選任されるかという点になれば、附則六条の規定の適用によって、助役の新たな任命行為がこの法律施行後行われるものと考えます。しかしそれは附則十一条によって、この法律施行後新たに任命された助役ではないことになると思います。
  162. 湯山勇

    湯山勇君 現に在任しておろうが、していなかろうが、自治法の改正は、本法ワクをはみ出た改正ですから、こういう手続がとられさえすれば、現に在任している者があすにでもこの人を教育長にしようと思って……、公布になりさえすればすべて手続できるのですから、その手続によって任命された者は、いつどうなろうがみなそうなるわけで、あなたの言うような論法は出て参りません。それからきのうの焦点は、あなたはぼやかしちゃ困るので、私が尋ねたのは、現に在任しておる教育長がどうなるかとか、こうなるかということを聞いておったんではありません。こういうふうになって助役教育長ができても、委員会助役教育長を任命しても、その助役教育長は、これは九月三十日で切れるんじゃないかと、それ以後は存在しないんじゃないかといったら、それは一応は切れますと、けれどもまた新たに任命できると、こういう答弁をしているんです。間違いないでしょう。それを一項によってできたものをどうとかというのじゃなくて、一般的に、いいですか、助役教育長というものは九月三十日で切れるんじゃないかといえば、それは切れるけれども、しかし自治法によって、十月一日からこうなるんだと、こういう御判断で、現に在任しておろうがどうだろうが、そんなことは問題じゃありません。ところが今の法制局の御見解では、この手続さえとられれば、公布以後においてこの手続さえとられれば、九月の三十日で切れるということはないと、こういうことです。だからどうであろうが、この点に関しては、昨日の御弁答と、本日の法制局の御見解とは違っておる。事実です。これだけ指摘してこの問題一応終ります。
  163. 木田宏

    説明員木田宏君) 昨日お答えいたしましたのは、助役であろうとそうでなかろうと、現在この法律施行の際に、現に教育長を兼ねておる者については、九月三十日までであるということを御説明いたしました。ですからその点については、助役も同様にこの法律施行の際、現に助役教育長を兼ねておる者は、一応九月三十日で切れますという御答弁を申し上げました。  それから附則十一条の第一項の規定によって任命された者は、その二項の規定によりまして、九月三十日までの間ということは明らかでございます。食い違っておらないと私は思います。
  164. 湯山勇

    湯山勇君 あなたが答えたんではなくて、緒方局長がお答えになったことですから、あなたはとやかく言わなくていいと思います。尋ねたのは、私ちゃんと書いてありますから、読んでみますから、尋ねた要旨はどういうことかというと、十六条に関係して、助役教育長というのは困るじゃないかと、矢嶋委員は、そういうことは教育軽視だということを質問したんです。そのときにそれと関連して、自治法附則第六条の改正、これは助役を三十二年三月三十一日までとしておるが、その理由は何かというと、これは財政上の理由だと、そこでそうであれば、本法附則第十一条では、九月三十日になっておる、この本法附則第十一条の助役というのは、現に在任しておる助役じゃありませんよ。いいですか、あなたは今現に在任していると言いましたけれども、本法の第十一条のは、現に在任しておる者じゃないんです。(「その通り」と呼ぶ者あり)そこでその者は九月三十日に切れるか——在任している者は九月三十日に切れるということはわかっております。これは切れるかというと、それは切れますと、はっきりおっしゃった。ですから、あなたは今そういうごまかしをここでやらないで、事実を率直に認めればいいのです。そしてまた任命するんだと言われるから、その任命する根拠法律はどこにあるかというと、この自治法だと、ところがこの自治法というのは、今おっしゃったように、これはそういうことの規定ではないのだと、十月一日とか、九月の三十日とか、七月というのではなくて、この手続を踏みさえすればそれでいい、そうすると十一条の第一項にも同じ手続を踏んでいるんですから、当然その中に入ると、こういうことになったわけです。
  165. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 私きのうお答えいたしましたのは、第十条の関係で、現に在任する教育長につきましてお答えしたように記憶しております。
  166. 湯山勇

    湯山勇君 違うのですよ。速記も調べなければなりませんし、けさほどお尋ねしたときの答弁も同じような意味のことを言っておられるのです。やめるやめぬということは別にして、ともかく十月任命するということをおっしゃっておるんです。ですからこれは十月になって任命するということは、九月にやめるという前提ですから、これはもうその以外にとれません。それで、もしですね、今のようにこのどちらの解釈が正しいかどうかによって、実質は十月以降教育長が存在するかしないかの問題になってきます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)することができるかできないか。自治法ではワクはあるけれども、実際はできないという事態が起るわけなので、このことをきのうからお尋ねしておるわけですから。これは重要な問題です。それから先ほどの問題もこれもやはり重要な問題だし、また私はこういう観点から、ただ単に字句だけではなくて、ただしたい問題が幾つかあります。用意しております。
  167. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行。先刻から湯山委員から質疑が行われたわけですが、政府委員法制局長官の出席はない。また従って政府委員答弁も適正を欠いて、質問者湯山委員答弁を十分尽されていないようでありますので、時間も一時でありますから、ここで昼食、休憩にいたしまして、午後再開、午前中の質疑法制局長官出席の上、さらに文部当局も検討されて質疑を継続されるよう、さように本委員会運営を取り運んでいただきたいことを提案いたします。
  168. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ただいまの議事進行に対する発言に対して御異議ありませんか。(「異議なし」「委員長」と呼ぶ者あり)
  169. 田中啓一

    ○田中啓一君 ここで御休憩になるのについては異議ありませんが、けさほどの理事会のときのお取りきめのように、ただちに理事会をお開きになることをお願いいたします。
  170. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは理事会は夕刻でも、晩でもいつでも開くのはけっこうです。われわれも応じますが、今の質疑は継続中なんだ。(「そうだよ」と呼ぶ者あり)継続中で、これは解明されてない。これが解明されないで、途中で理事会を開いて何のかんのということは、これは質疑者の質疑権を封殺するもので了承できません。これは法制局長官がここにこなかったことは、何も質問者湯山委員の悪いことではなくて、政府側がおいでにならなかったのだから、早急に午後出席いただいて、そうしてこの問題の解明ができて、あとで何か理事会を開いて相談しようというならそのときであって、いやしくも質疑を持っている委員質疑をして、政府側答弁が不十分で、しかも政府委員が出席しないままで途中で本委員会運営を変えるなんということは、とんでもないことだ。
  171. 秋山長造

    ○秋山長造君 私は、ただいまの矢嶋委員提案に賛成です。もう時間も時間だし、それから理事会を開くということはさまっておることなんで、午後の委員会の再開前に理事会を開くということになっておるんですから、これはその通りおやりになってけっこうだと思うのです。ただ、ただいまの田中さんの御発言を聞きますとですね、何かいつもとは違うこの雰囲気のもとに御発言をされておるんですが、何か特殊なおつもりでもあって、そういう御発言をなさるのではないかというように私考えざるを得ないのですが、一つこの際は、あっさりただいまの矢嶋委員の御発言通り休憩にされて、そうして飯でも食って午後の委員会の再開前に、約束通り理事会をお開きになって御相談願う、こういうことにされたらどうでしょうか。
  172. 田中啓一

    ○田中啓一君 今の質疑の続きを必ずやると、そういうことはこの際お約束できません。(「そんなばかな話があるか」と呼ぶ者あり)それはあなたの方の御意見です。御意見は御意見でけっこうでありますが、私の方はそれで賛成をしてこの際休憩するのではなくて、委員長が本委員会開会の冒頭にお話しになった通り、ここで休憩をして理事会を開くことにいたしたいと思います。
  173. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ただいまの湯山委員の質問に対して、委員長は先ほど法制局長官の出席を求めるように措置されたはずであります。従って午後の委員会法制局長官の出席を求めて、この質疑を行うということは当然の措置であります。それを認める認めないという問題ではなしに、当然なことである。だからこの際、委員長はこういう問題について諮る必要はないのであって、委員長の責任として、このことはおきめになって、そうして休憩せらるべきである、かように思います。
  174. 田中啓一

    ○田中啓一君 それは社会党の御希望として伺っておきますけれども、私どもはあくまで……(「当り前だよ」「むちゃなことを言うな」 「速記をとめたらどうです」と呼ぶ者あり)
  175. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  176. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 速記を始めて。  午前中の委員会休憩いたします。    午後一時十五分休憩    ————・————    午後六時五十七分開会
  177. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。
  178. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの際、委員長に要請したいことがございます。それは昭和三十一年五月二十二日全国都道府県教育委員会委員協議会の総会が開かれました。この総会においてきわめて重大な決議が行われております。私は皆さんにも御承知いただくために、非常に短かいものでありますから、この決議を読ましていただきたいと思います。  こういう内容のものでございます。私はこの決議を見まして、まことに事態は重大であると考えております。特にこの法案が成立いたしました暁においては、こういう教育委員の諸君が総辞職をするという事態が起ることは、教育に、教育行政に空白を生ずるという重大な事態が起るのであります。さらに教育委員の総意が、この法案に対して、総辞職をもってしてもこの法案に反対しなければならないというこのことは、私は教育委員の諸君が、日本の教育の民主主義を守らんとする非常な決意に出ているものと確信するものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)そういう意味において、本決議はきわめて重大でございますので、明日の委員会において、総理大臣の出席を求め、総理に対するこの問題についての質疑をいたしたいと考えておるものであります。従って委員長におかれては、私のこの要請にこたえるように処置していただきたい、このことを要請するものでございます。
  179. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいま荒木委員から明日の本委員会に総理の出席を求めて、そしてこの全教委の諸君の総辞職という事態が招来されようとすることについての、総理大臣のこれに対する御見解並びにいかに善処するかという点、並びにそういう総辞職という事態が起った場合に、いかにしてわが国の地方教育行政に混乱が起らないで済むかどうかという点について、総理大臣並びに文部大臣質疑を必要とすると思いますので、ただいまの荒木委員提案に賛成いたします。委員長におかれては、本委員会に諮られて、ぜひとも、短時間でけっこうだと思いますので、明日鳩山総理大臣が本委員会に出席されて、委員会開会されますようお取り計らい願いたいと存じます。
  180. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ただいまの御発言に対して御意見はございませんか。
  181. 田中啓一

    ○田中啓一君 私は右の件につきまして、総理の御出席をわずらわす必要はないと存じます。この御動議には反対をいたします。
  182. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私は田中さんの説に賛成いたします。今日、今晩のあり方につきましても、すでに、どうかということはいろいろな関係がありまして延びたのでありまして、もちろんあしたということになりましたなら、せっかくの審議ということに対して非常な渋滞を来たすというようなことも考えられる。その場合において、総理に出席の必要は私はないと思います。によって田中さんの説に賛成いたします。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)
  183. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいま自民党さんから賛成いたしかねるというような御発言がございましたけれども、全国の教育委員の諸君が総辞職を決意するに至ったことはきわめて私は重大だと思う。私どもこの法案を検討いたしましたが、そういう事態が一都道府県に起りましても、その都道府県の地方教育行政はきわめてこれは重大事態に相なります。これはこの法案を提出された政府の最高責任者である鳩山総理にぜひともたださなければならない事柄だと、かように考えるわけでございまするから、ただいまのところこれを議論していますというと時間がかかりまして、湯山委員質疑が十分尽されませんので、明日理事会を開いて御協議願いたいと思います。(「反対反対」「反対する理由がないじゃないですか」と呼ぶ者あり)
  184. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私の提案に対しまして、矢嶋委員は一歩譲歩せられまして、そして明日の理事会でこの問題を協議してもらいたい、こういうことでございます。私も先ほどからの自民党さんの御意見を伺いまして、これは譲歩いたしまして、明日の理事会において協議をしていただくということに同意いたしますから、この点はせめてわれわれの意見を採用していただきたいと思います。先ほども申し上げましたように、教育委員の総辞職ということは、これは容易ならん私は事態であると思います。この事態に対して総理大臣としてもいろいろ御所見があると思います。この際この御所見を伺い、そうして国民に安心を与えるということがきわめて重要な問題であると考えます。そういう意味において、理事会においてもやらないということであれば、これは私どもとしても非常に困りますので、この点は一つ十分お考え願いたいと思います。
  185. 田中啓一

    ○田中啓一君 ただいまの矢嶋君の動議に賛成いたします。どうぞ理事会において御協議あらんことをお願いいたします。
  186. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 委員長から一つ希望を……。
  187. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 明日の理事会でこれを協議されることが確認されたわけでありますが、つきましては、提案者として委員長に御要望申し上げておく点は、本日直ちに内閣の方に、明日文教委員会で総理の出席が要求されるはずであるから、そのつもりでおるように、直ちに委員長からあらかじめ連絡しておいていただきたいと思います。(「明日でよい」と呼ぶ者あり)そうでなければ何じゃないかね、きまったときにすぐ総理はくるわけにいがんだろう、私親切心で言っているんだ、あなたたちもそれで助かるじゃないか、きょう連絡しておけば、その心持でおると、あしたくるとさっと呼べるじゃないか、ところがあす(「わかりました」「わかった」と呼ぶ者あり)あなた方が総理を見つけるのに骨が折れるだろう、私は親切で言っているんだ。
  188. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それではさように取り計らいます。質疑のある方は御発言を願います。
  189. 湯山勇

    湯山勇君 法制局長官がお見えになりましたので、午前中の法制局長官にお尋ねしなければならない点で留保されておった分をお尋ねいたします。法制局長官ですから、順序を立ててお尋ねいたしますから、一つ適切な御答弁を願いたいと思います。なお私の方はずいぶん肉体的にも、精神的にも疲れておりますから、できるだけよくわかるように御説明を願いたいと思います。  そこで疑点の発端は、今提案されております第四条に、教育学術及び文化、これを総称して教育という、というような規定がございます。教育学術文化、こういう言葉は他の法律案にもしばしば出てくる言葉でございますから、まず法制局の方で、つまり法律教育とはどういう定義を持っておるものか、学術とはどういう定義を持っておるものか、文化とはどういう定義を持っておるものか、そういう一応お使いになる法律用語としての教育学術文化定義を長官からお伺いいたしたいと思います。
  190. 林修三

    政府委員(林修三君) これは一般的に申し上げまして、その法律に使います言葉は、社会通念上用いられております言葉を大体そのまま使うことが普通の例でございます。特に法律上問題になりますところにつきましては、また重要な問題につきましては、特別に法律定義をいたすこともございますけれども、一般に申しまして社会通念として用いられる、そういう観念を取り入れる、また言葉意味として取り入れる、そういうふうに考えておるわけでございます。従いましてこの教育というのは、大体御承知かと思いますが、学校教育あるいは社会教育、普通言われておるものを教育というと思います。学術と申しますのは、学問についてのいろいろの研究と申しますか、こういうこと、あるいは学問上のいろいろなテクニック、そういうものをさすものと考えます。文化というのは、これはまあいろいろ社会通念上問題でございますけれども、簡単な言葉で申し上げるならば、少しむずかしいかと思いますけれども、社会における、何と申しますか、文明と申しますか、そういうものの発達に役立つようないろいろなあるいは社会の思想的、あるいは学問的、あるいは技術的、芸術的なことに役立つようないろいろな事柄、そういうものを総称していうものと考えております。
  191. 湯山勇

    湯山勇君 そこでお尋ねいたしたいのは、これは非常にこまかいようですけれども、疑点を明らかにするために一つずつ解明していく必要があると思いますからお尋ねいたします。社会通念というものは、今の社会通念に二つあるとか、そういうものではありませんから、現在使っておる学術という言葉は、どの法律に表わしても、大体同じような通念を持っておるし、あるいは文化なら文化という言葉は、いろいろ定義をすればむずかしいかもしれませんけれども、その含んでおる内容というものは大体どの法律も一致しておると、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  192. 林修三

    政府委員(林修三君) これは社会通念もございますけれども、法律に使います場合には、おのおのその法律の目的とか、あるいはその法律の実現せんとする趣旨というものと相応して言葉を使うわけでありまして、場合によりましては、言葉の社会通念として使われます場合にも、広い意味もあれば狭い意味もあるわけであります。法律によりまして、多少そこにニュアンスの違いが出てくるということは、これはやむを得ないと私たちは思うわけであります。ただその場合でも、適用範囲等について厳密な規定を要する場合にはまた定義をいたしますけれども、それほど厳密な規定を要しない場合には、法律の目的とか趣旨と相応して解釈し得る範囲においては、多少言葉意味に社会通念上言葉の使われる意味の狭い場合も広い場合もありますが、大体そのまま使う場合が多いのであります。
  193. 湯山勇

    湯山勇君 そこで今の御答弁は了解できるわけですが、たとえばこの四条にありますように教育という言葉を特に広い意味に使う、この法律だけで特にこういう意味に使うのだという場合には、当然その法律に断り書きがあるべきだ、そこでニュアンスというのは、これは本質的な違いではなくして、あるいは大きい違いではなくして、ごくそれの取り方といったような、色合いといったようなものであるから、それがその本質的な差異とかあるいは著しい相違とかいうものを含まないものだと、こういうふうに把握いたしまして、次のお尋ねに移りたいと思います。  今のような考え方から参りますと、五十二条の文部大臣の行う措置要求、これははっきり教育本来の目的達成を阻害しているものがあると認められるとき、あるいは教育に関するもの、こういうふうに限られて文部大臣措置要求が認められております。そこで文部大臣措置要求のできる範囲というのは、教育に関することでございますから、当然本法第四条の規定による教育学術文化、この範囲内のことであるというように解釈するのですけれども、それでよろしいでしょうか。
  194. 林修三

    政府委員(林修三君) 第四条には今御指摘通りに、「教育学術及び文化(以下単に教育という。)」と略称で使うようにしておりますが、従いまして、このあとで出てくる教育という言葉はここの、大体においてこの規定をそのまま受けておるものと、かように考えていいものと存ずるわけであります。あるいは私も全部厳密に検討した上で申し上げるべきかもしれませんが、その条文の論理からいって、多少これより狭くなる場合もあり得るかもしれませんが、しかしその言葉定義しているところから言えば、今おっしゃる通りだと思います。
  195. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっとお尋ねしておきたいのは、私もその点若干気になるのですが、この法律の論理から言って若干狭くなるという意味は、長官の方はどの点をおさしになっておられるのでしょうか。
  196. 林修三

    政府委員(林修三君) 私はただ抽象的に申し上げただけでありまして、この条文を一々読んでいった場合に、その本来の文字とか、あるいは文章の使い方からいって、そこまで書いて、実際上含む余地のないという場合も、場合としてはあり得るかもしれませんが、そういう意味でございます。
  197. 湯山勇

    湯山勇君 大へんはっきりお答えいただいたのでよくわかりました。そこでこの教育関係のあることについてというわけでございますから、先ほどお尋ね申し上げましたようにこれは社会通念による教育、社会通念による学術、社会通念による文化、こういうものに対して措置要求がなされるのであって、特に本法教育組織運営でございますから、宗教措置要求の対象にはならない、こう判断するのが社会通念からいっても当然だと思いますが、これについての御意見を伺いたいと思います。
  198. 林修三

    政府委員(林修三君) この点につきましては、前にあるいは政府委員からもお答えいたしておると思いますが、この法案を立案するにつきましては、従来の教育委員会法等の関係もございまして、文化という言葉の中に宗教という観念も入れて考えておるわけでございます。このことは必ずしも私は社会通念と反するものじゃないと、かように考えております。
  199. 湯山勇

    湯山勇君 さっきいただいた御答弁では、それぞれの用語というのは社会通念を中心にしてやっておるのだ、だからニュアンスの相違はあってもそう大きな相違はない、それぞれの言葉には。そこで通常分ける場合には、学問、あるいは教育、あるいは文化とか、こういうふうに並列する場合には、これと並べて宗教というのをいう場合が普通だと思います、通念的には。だから長官が最初私がお尋ねしたときに例示された中にも、文化というのはいろいろあるけれども、その中にはこういうものと、こういうものと、こういうものがあると例示をされた中にも宗教は入っておりませんでした。そういう宗教というような大きいものが入る、入らないということが、果してニュアンスの相違というようなことで片づけられるかどうか、この点についての御所見を伺いたいと思います。
  200. 林修三

    政府委員(林修三君) その点につきましては、実は初めにも私そのことについては意識して実はお答えしたつもりでございましたが、文化という言葉は実にこれは社会通念から申しましても、いろいろな意味に使われておる言葉でございまして、私の申し上げましたつもりでは、社会生活において、あるいは文明の発達上役立つような思想、芸術、あるいは学問、そういう面におけるいろいろの事柄を含むものだろうと思うと、こう申し上げました。宗教というものも、思想という観念に私は実は入れて申し上げたつもりでございました。で普通に教育学術文化と並べた場合には、宗教という観念は入れて私はそれほどおかしいものじゃない。また入る、観念として普通使われているのじゃないかと、かように考えるわけであります。もちろん宗教という言葉を取り除いて別に特掲することも、もちろんこれは私はできることと思います。その場合にはもちろんその文化とは多少違った意味で使ったということになりましょうし、あるいはまた、たとえば教育という言葉学術という言葉もある場合によっては重複しようと思います。教育の中で、普通使われる場合には教育は学校教育だけをさす場合もございます。社会教育を含める場合もございましょうし、これはおのおのその言葉の使い方、法律との関連等においてこれは社会通念上解決すべきだ、かように私は考える次第であります。
  201. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点ですが、さっき長官はこの教育本来の目的達成を阻害して云々という、この教育は狭まる場合も考えられると答弁されたのですね。それを宗教まで含ませるということになれば、ずいぶんと反対に拡大されることに相なりはしませんか。それと今、文化という中に宗教を含ませて云々と言われますが、この文部省設置法の中には、この第五条を見ればわかりますが、教育学術文化宗教というのは、個々別々に違って活字を用いていますね。たとえばこの第五条の第十二項には「教育(学校教育及び社会教育をいう。以下同じ。)、学術及び文化」とこう書いてある。それから十三項に参りますと、「教育学術文化及び宗教」かように——それから第十四項に参りましても、「教育学術文化又は宗教」、さらに今度は第二十項にいきますと、「教育学術及び文化」これははっきりと区別して使われています。この文部省設置法によりますと、そうすると、この方ではさっき湯山委員指摘されたように、第四条で教育というものをはっきり「教育学術及び文化」と規定してあるのだから、従って第五十二条のこの教育というものは第四条を受けて宗教を含んでいない。そういうふうに解釈して初めてこの文部省設置法との、文部省設置法に書かれてある教育学術文化宗教というのと一致するわけで、それをここに宗教を含めているということはどうも第四条と第五十二条の関係からいっても、または文部省設置法との関係からいっても用語の使い方がでたらめで理解しかねるのですが、どういうふうにそれを説明いたしますか。
  202. 林修三

    政府委員(林修三君) 先ほど私が第五十二条の関係で申し上げましたのは、第四条で定義したところを受けておると、しかしこの第五十二条について特に申し上げたわけではございませんので、この法律の中で、あるいはその条文の論理からいって、第四条では教育学術文化ということになっておるのでありますけれども、論理からいってもそういうことが全然適用のない範囲のものもあるかもしれない。こういうことを申し上げただけでありまして、従いまして、その点はそれで御了承を願いたいと思います。  それからこの文化という言葉宗教が入るか入らぬかということでございますが、先ほどから申し上げましたように、文化という言葉は社会通念上宗教という観念を含めての観念だと私は思っております。現在の教育委員会法も大体そういう考え方の下にできておると思います。で、今実は文部省設置法を、例示をおあげになりました。確かに文化宗教とを対照させて書いてございます。これはやはり私はこの文部省設置法規定の趣旨から申しまして、御承知のように文部省設置法におきましては、宗教関係仕事の所属する部局、それから文化関係仕事の所属するいわゆるそれ以外の文化関係文化財ということの、あるいは文化関係仕事の所属する部局が多少区別されている。そういうところから私は文部省設置法ではこのように規定しておるものと、かように考えております。
  203. 湯山勇

    湯山勇君 今矢嶋委員に対する長官の御答弁は、文部省の職務内容あるいは権限等にお触れになりましたので、実質的な面から一応お尋ねいたします。それはこの教育というものの定義の中に宗教を含むか含まないかは、これはあなたの御答弁によれば、そのときそのときの解釈任意のようでございます。そこでこの地方教育行政組織及び運営に関する法律案で特に文化というものの中に宗教を含まなければならないと、宗教を含めて解釈しなければならないという実質的な理由はどこにございましょうか。むしろ逆に文部省設置法の方こそ文部省は宗教にも関係するし、宗教事務にも当るわけですから、宗教を含めた教育というものが必要かもしれません。しかし本法では、あるいは前の教育委員会法におきましても、宗教をこの中に含まなければならないという要素はほとんどないと思うのですが。にもかかわらず宗教を含めた教育だというように定義づけなければならない理由はどこにあるか、それを御説明願いたいと思います。
  204. 林修三

    政府委員(林修三君) 先ほどから申し上げました通りに、文化という言葉をただ使った場合には私は宗教というものの観念を含み得るものだと、かように思うということを申し上げたわけでございます。文部省設置法のごとく特に文化宗教とを並べて書けば、その場合にはもちろん文化という言葉宗教を含まないということに相なるかと思います。そういう意味で申し上げたわけでございます。普通にただ使えば私は含み得るかと、かように考えるということを申し上げたのでございます。
  205. 湯山勇

    湯山勇君 文部省設置法と同じような定義に立ちまして、文部省設置法でいう教育学術文化、これを教育ということに規定した場合には、この法律ではどこに不都合ができてくるか、それをお伺いしたいのです。
  206. 林修三

    政府委員(林修三君) 特別に法律的に不都合というものはあるいはないかも存じません。存じませんけれども、これは従来の前身から見ますと、教育委員会法も大体そういう規定書き方をやっておりますし、また先ほどから申し上げます通りに、文化という観念で特に宗教というものを除かない限り、私は含み得る観念だと考まして特に支障はないものと、かように考えたわけでございます。
  207. 湯山勇

    湯山勇君 御答弁了解できません。それはですね、文化という言葉の使い方はこの設置法と委員会法とで違っております。現在審議中の法案とでは違っております。そこでどちらを使うかはこれは自由です。その自由に選択する場合に、この法律には、現在審議しておる法律の中には文化の中に宗教を含む必要はないかもしれないという御答弁でございます。ないかも知れないじゃなくて、もしあればその点を明示していただきたいと思うのですが、私の見たところでは宗教を含まなければ都合が悪いというふうにとれる条文はどこにもございません、この中には……。そこで、そうだとすれば、自由にとれる場合には不都合のないように、誤解のないように学問あるいは文化教育、にそういうものの最も適切な用語を使うのが普通だと思うのですけれども、その点について長官はどうお考えになるか、御答弁願いたい。
  208. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 本法の二十三条でございまするが、ここに教育委員会職務権限規定いたしております。で、きょうの午前中にも御論議が出ました十六条でございますけれども、教育に関する法人に関することは、これは現行法の、いわゆる旧法にもこれと対応する規定が見受けられまするが、旧法におきましては、これにカッコがございまして、宗教法人に関する事務を特に除いたと申しますることは、教育という観念の中に宗教を含めておることは一つのこれで例示もできるということを昨日も実はお答えいたしたわけでございますが、これと同じ観念をこの新法にも引いてきているということをきょう午前中に御説明申し上げたわけでございます。そこで現在この教育委員会が所管いたしまする宗教関係事務でございますが、宗教法人はこれは午前中に御説明申しましたように、長に対しまする機関委任事務でございまするからここには入りません。しかし民法によりまするその宗教に関しまする法人が現に教育委員会の所管事務としてあるわけでございます。これは宗教法人法によるものじゃございません。いろいろ宗教関係の後援の団体とか、あるいは宗教に関しまする仕事をしておりまする民法の法人、民法で言う法人、これが教育委員会が所管いたしておるわけでございます。かように申し上げます通り、この教育というものの観念の中には宗教を含めませんと、ここにやはり工合の悪いことがございます。この規定の中には宗教の観念を含んでおる建前で新法を規定いたしておるわけでございます。
  209. 林修三

    政府委員(林修三君) 私に対するお問いでございますので、私からもお答えいたしますが、先ほどから申し上げましたように、言葉としてはあるいは文部省設置法のように文化宗教というものを別の観念として扱えば、あるいは文化及び宗教、あるいは宗教及び文化と書けば、その場合の文化という言葉の中に宗教はおのずから出てくるだろうと思います。しかし先ほどから申し上げましたように、そういうことを対照させないで文化という言葉を使えば、私は宗教という観念が含み得るものだということを何回も申し上げたわけでございます。従いまして、この新しい地方教育組織及び運営に関する法律案におきましては、その文化という言葉の中に特に宗教を除くということを書くだけの必要性がなかった、こういうことから特にそこを回避させた、こういうことでやったわけでございます。立法論としての御批評はあろうと思いますけれども、その意図はそういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
  210. 湯山勇

    湯山勇君 立法論としての批評ではなくて、私はやはりわからない点があるものですからお尋ねしているのですが、その前に、局長の御答弁は昨日はこういう御答弁をしておるのです。これは私がちょっと問題だと思うのですけれども、教育本法の中に宗教教育というのがある、だから宗教関係があるのだというような、非常な乱暴な議論をなさっております。それから本日の局長の御答弁も、前法において宗教を含んでおったということがあのカッコ内のただし書きによって明らかであるから、だからやはり今回の場合も含むのだということでございますけれども、その点については私は昨日の最終段階におきまして、前法が今回は廃止されて新しい法律になるのだから、そのときに今のような点は改めればいいのだ。もし前法を踏襲するのだとすれば、二十三条の教育委員会の行う事務、その中に十六号として「教育に関する法人に関すること。」というのがあります。これには、前法の通り踏襲しておるのだとすれば、局長の言われるように、当然宗教法人を除く、あるいは宗教法人を除く、そういう規定が必要である。こういうことが成り立つわけでございます。そこでこの法律にですね、教育の中に宗教を含まなければならないというそういう要素は出て参らないのであって、法律の中に教育というものを含まなければどうしても困るというようなことがあれば、この条文で一つお示しを願いたい。どの条文のどこが困る……。
  211. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 私、ただいま申し上げたつもりでございます。旧法におきましても、新法におきましても、教育委員会が所管いたしまする宗教に関する事項がございますので、この教育という中には、この教育という概念の範囲の中には宗教は含んでおるということを、これは今日の午前中にも申し上げましたように、二十三条の立て方が、これは団体事務と、それから法律または政令によって委任された事務と、両方ここに、教育委員会に委任をされました事務とを——、委任じゃございません。その権限に属する事務を、両方ここに書いておるわけでございます。その「教育に関する法人に関すること。」ということのうちに宗教法人を含むということは、これはそれなりの法人宗教法人法にありますから、旧法と対象いたしますと落ちておりますけれども、観念といたしましては、旧法、新法変わりはない。それは先ほどもやはり申し上げましたように、宗教に関する民法法人、これは現に包含しておりますし、先ほどちょっとお話がございました旧法のことを先ほど出しましたけれども、これは教育の面からいえば当然でありますけれども、学校が宗教活動をしてはいけない、こういう規定がございます。それらの点から申しまして、関連がある事例として申し上げました。現にただいま申し上げましたような教育委員会の所管いたします宗教に関する民法法人、これがございます。教育という観念の中には宗教を含みますと、さように考えます。
  212. 湯山勇

    湯山勇君 私がお尋ねしておるのは、そういうことではなくて、この法律の条文内で、この法律の条文内で宗教を含めなければ困る、含めて解釈しなければ困るという条文があれば、それをお示し願いたい、こう言っておるのです。
  213. 林修三

    政府委員(林修三君) 私に対する御質問でなかったかわかりませんが、私、今実は湯山先生と緒方局長との質疑応答を伺っておりまして、ちょっと私からお答えいたしたいと思いますが、これは結局、今湯山先生からのお話は、この法律の中に、文化の中に宗教を含ませなければならない理由はないのではないか、ここにないではないかという御質問であろうと思います。従って、文化の中から宗教を除くと入れるべきではないかという御質問じゃないかと、私どもは拝承いたしました。  これは先ほどから申し上げましたように、文化という言葉に大体宗教というものを含めると考えておる。従いまして、もし宗教を除くとすれば、文化カッコして宗教を除くとでもはっきり書かなければならないかと思います。しかしその場合に、今緒方局長から御答弁いたしました通りに、二十三条あるいはその他の点からいって、宗教という言葉が除かれては困るのだと、こういうふうにお答えしておるように実は聞いたのであります。私どもがこの法案審議するに当りましても、そういう見地から、ここに特に宗教を除くということにはいたさなかったわけであります。
  214. 湯山勇

    湯山勇君 お尋ねしておることとちょっと逆になりまして、答弁と食い違ったものですから……。私がお尋ねしておるのは、文化の中から宗教を除くとただし書きをしなくても、文部省設置法では除いた用例がございますから、その用例をそのまま使ってなぜ不都合なのか、それによる不都合が起る条文をお示しを願いたい、こういうことなのです。一方においては、ちゃんと教育学術文化という言葉宗教を含まないという用例があるわけです、こちらには。その用例をそのまま踏襲して特に使ったとして、それじゃこの条文が非常に困るとか、この法律施行できないとかいうのがあれば、それをお示し願いたい。もしそれがなければ、こちらの方にそういう用例が明瞭にあるのですから、こちらの用例をそのまま、使っても差しつかえないじゃないか、こういうことをお尋ねしておるのです。
  215. 林修三

    政府委員(林修三君) ここで言っております「教示目、学術及び文化」という観念、特に文化という観念の中には宗教という観念を含まなければ困るということは、先ほど来の緒方局長からの御答弁によって了解いったことだと思います。そういたしますと、今湯山先生のお話でございますと、それならばここに「教育学術文化及び宗教」と、こう書くべきじゃないか、こういうお話になろうかと思いますが、そこの点は、先ほど御答弁いたしました通り、立法政策としてはあるいはそういう行き方もありますかと思いますけれども、私どもの考え方といたしましては、従来の教育委員会法の使い方もございますし、これでわかるものと、かように考えたわけでございます。
  216. 湯山勇

    湯山勇君 私が言っておることとちょっと違うのですがね、長官の言われることとは。私の言っておることは、文部省設置法では四つに分けております。こちらでは三つに分けております。四つに分けた中の三つだけを、つまりほかの法律でもどの法律でも、教育学術文化及び宗教を、教育という定義をしたのはないのです、法律には。ないでしょう。その四つを教育の中に含んでおる用例はないようですから、そうだとすれば、この四つここではっきり示してあるものだから、わざわざその中の三つをとってここで規定したと考えられるのです。教育学術文化としてありますから、そうとった場合にこの条文で実施上不都合が起るかどうか、起りませんければそれでいいじゃないか、起る条文があればそれをお示し願いたい、こういっておるのです。
  217. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは先ほどの御説明で、現に教育委員会宗教に関しまする事務を一部扱っておる、所管をいたしております。これは御承知のことだと思います。そこでこの用語の使い方でございますけれども、旧法におきまして、これも御説明申し上げますように、旧法の観念の中には宗教を含めて扱ってきたのです。今度の新法におきましても、大体二十三条におきまして、旧法の原則をそのまま受けついできておるわけでございます。ただ二十四条との関連におきまして、つまり長の職務権限の中におきまして調整をいたしました部分につきましては、特にここに掲げたわけでございますけれども、大体旧法のそのままを踏襲しまして、二十三条あるいは二十四条をここに規定いたしておりますので、同じ概念をここに持ってきませんとやはり工合が悪い。私も先ほど申しますように、宗教に関します事務教育委員会が所管しておる現実でございますので、不都合が起りますので、そのようにしたわけでございます。
  218. 湯山勇

    湯山勇君 その御説明が私には了解できません。それはなぜかと申しますと、死んだ法律と生きている法律との関係で、旧法を一部修正なさったことはおっしゃる通りです。けれども、そうじゃなくて、はっきりこういうふうに新しいものに生まれ変らしたわけで、その中には実質的にはずいぶん大きな変化があります。そこでそういう変化があるんだから、必ずしも旧法でどう使ったから新法でどう使わなくてはならぬか——法律としては全然別なものですから、新たにこの分は生まれたわけです。この新たに生まれたものが文部省設置法内容を合わしておくということにして不都合が起らなければ、その方がいいと思います。  で、まして問題になるのはその次のことでへそうすると、長官にお尋ねしたいのは、二十三条十六項「教育に関する法人に関すること。」、この中には、今言われたように、教育宗教を含むと仮定すれば、当然教育に関する法人ですから、私立学校法人宗教法人も含まれる、こういうことになると思いますが、間違いでしょうか。
  219. 林修三

    政府委員(林修三君) 言葉だけで申せば、おっしゃる通りだと思います。教育というものが「教育学術及び文化」ということの意味だということを第四条で規定してありますから、そういうことに相なるわけでございます。しかし、これは二十三条の初めの頭書きをお読み下さればわかります通りに、この教育委員会法律または政令で委任された事務、こういうもの及び当該地方公共団体において処理すべき事務、こういうことに範囲がなっておるわけでありまして、御承知のように、私立学校法によりまして、学校法人は長の職務に関することは長の職務になっております。また宗教法人に関する事務も、都道府県知事に対する委任事務になっております。そういうことで、法律に基いてそういう事務は都道府県知事の方に委任されておりますので、教育委員会の方には結果として入ってこない、こういうことになろうと思います。
  220. 湯山勇

    湯山勇君 今の長官の御説明でその意味はわかりました。けさほどの説明は二度違った説明がなされまして、第一回目にはこういう説明があったのです。教育委員会当該地方公共団体が処理する教育に関する事務だけれども、そのうちで法律またはこれに基く政令によって云々、こういう御説明があった。で、私はそれは一本じゃなくて二つじゃないかとお尋ねをした。すると、まあ二つだというふうに御答弁がありました。そうすると、宗教法人に関するのは前段の事務に関するのか、後段の方に属するのか、これも長官から一つ答弁願います。
  221. 林修三

    政府委員(林修三君) 現在の宗教法人法あるいは私立学校法におきまして、私立学校法人あるいは宗教法人に関する事務を都道府県知事に委任しておりますのは、私は国の事務機関委任だと考えます。従いまして、それはそれぞれの法律に従いまして都道府県知事に委任せられておるわけでございまして、従いまして、その法律規定がある以上、二十三条におきましては、前段も後段も、どちらからもその仕事が抜ける、こういうことに相なるわけでございます。
  222. 湯山勇

    湯山勇君 その点はよくわかりました。そこで次に第二十四条に移りまして、今度は「長の職務権限」、この長の職務権限の中には「長は、次の各号に掲げる教育に関する事務を管理し、及び執行する。」と、こうなっております。そうすると、この教育に関する事務の中には、もちろん宗教も入るし、それから私立学校のことも入って参ります。にもかかわらず、長の職務権限の中に私立学校は入っておりますけれども、宗教に関する、特に宗教法人に関すること等が抜けているようでございます。これはけさほどお尋ねすると、これもあいまいな御答弁で、それは長の権限事項でないというような御説明があったわけなんですが、これはまたあとで御訂正になりました。が、当然そういった問題も二十四条では取り上げられなければならないと思うんですが、これについての御見解を伺いたい。
  223. 林修三

    政府委員(林修三君) この点は、実は多少この二十三条及び二十四条の立て方がおわかりにくい点があるのではないかとも思うのでありまして、あるいは立法政策としてお叱りを受けるかもわかりませんが、こう立てました趣旨は、大体この二十三条、二十四条におきまして、地方公共団体におきまして、教育委員会と長と両方の仕事の分野をここではっきりさせよう、こういう考え方でございます。そこで主として考えましたことは、いわゆる団体事務地方公共団体が管理及び執行すべき団体事務、これについて、どの範囲が教育委員会に行き、どの範囲が長に行くか、そういうことをまず分けておるわけでございます。それに加えて、二十三条の方では、教育委員会に対して政令によりまして機関委任された仕事も実は加えてあるわけであります。それと同じ考え方で申せば、二十四条の方にも、長に機関委任された仕事を実は書けばよかったのでありますが、その点はこれは書いてないわけでございます。これは法律政令をごらんになれば当然出てくるわけであります。ここに書いてある仕事以外に長に機関委任された仕事、それがたとえば教育委員関係仕事についても当然これはあるわけであります。宗教法人私立学校法人に関する仕事は当然ほかの法律によって含まれておるわけでございます。なぜそういうことをしたかとおしかりを受けるかもわかりませんが、これは最初に申し上げました通りに、多少これはわかりにくくなっているということをお断わり申し上げたわけでありますが、二十三条の方は従来の教育委員会法における権限規定を大体そのまま受けまして、団体事務といわゆる機関委任事務と両方実は書いたわけであります。同じように長の方もこれを受けて書けばよかったのでありますが、それが主として代表すべきものが団体事務である、そういう観点から、機関委任仕事は各法律を見ればわかる、あるいは地方自治法の別表を見ればわかる、こういうことで抜かしたわけでございます。その点、あるいはちょっとおわかりにくい点があったかと思いますが、そういう趣旨でございます。
  224. 湯山勇

    湯山勇君 長官はそういう形で認めてくれということでございますが、実は二十三条、二十四条というのは、これは端的にいえば、一目瞭然とわかりやすく書いただけのものです。これらの条文の中には、他の関係法で明らかになっておることがたくさんあります。それを全部抜いてあればともかくもですが、今のようにお話しになりますと、この両者のワク外に、法律を一目してこの両者のいずれにも属しないところに宗教法人がある、こういうことになるようにとれますし、そうとればそうとるべきだともしこのまま見れば、十六項の中に宗教法人を除くというただし書きもありませんし、そうかといって、二十四条に宗教法人ということも書いてない。だとすれば、まともに読めば、この教育という概念の中には宗教を含んでないと解釈するのが、この法律の条文からは適切だと思うのです。まあ長官が、それは確かにおしかりを受けるかもしれないということですから、その点はお認めになったようですから、私はその点を指摘いたしまして、さらに続いてその点と関連した事項をお尋ね申し上げたいと思います。  それは五十二条で、今の教育本来の目的あるいは教育に関する事務管理、これらについて文部大臣措置要求ができる、こういうことですけれども、今のように宗教教育というものの定義からはずした場合、あるいははずして考える場合の考え方もできると思います。そこでお尋ねしたいのは、地方自治法第二百四十六条の二の規定による措置要求は、文部大臣は行うことができるのかできないのか、それをまず伺いたいと思います。
  225. 林修三

    政府委員(林修三君) これは先ほど来申し上げました通りに、教育という言葉の中には宗教という観念も含み得るということをお答えいたしたわけでございます。従いまして、ここで長あるいは教育委員会がそれぞれ所管しております仕事につきましても、措置要求規定でございますから、それぞれの長または教育委員会が所掌している範囲において、その措置要求の中には宗教というものに関する行政事務も含み得るものだと、こういうふうに考えるわけでございます。
  226. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっとこれはお答えが違っておりまして、私がお尋ねしたのは地方自治法による、つまり総理大臣の行う措置、それに対する要求です。これは文部大臣もすることができるのかできないのか、それをお尋ねしておるのです。
  227. 林修三

    政府委員(林修三君) 地方自治法の二百四十六条の二、これは今度ただいま政府が御提案申し上げております地方自治法の改正法案の中に入っておる規定でございます。これは「内閣総理大臣は、普通地方公共団体事務の処理又はその長の事務の管理及び執行が法令規定に違反している」等々の場合におきまして、改善のための必要な措置要求を求めるという規定でございまして、これは総理大臣がここの場合ではやることになっておるわけでございます。ただ、これは都道府県に対しては総理大臣、市町村に対しては都道府県知事がやることになっておったと思いますが、そういうような規定でございます。この地方教育行政組織及び運営に関する法律案の第五十二条は、これに対する特則でございまして、「第二百四十六条の二の規定にかかわらず、」と書いてございますので、この範囲につきましては文部大臣がやる、かように考えるわけでございます。
  228. 湯山勇

    湯山勇君 そこで文部大臣は総理大臣に対して、総理大臣措置要求を請求することができるのかできないのか。
  229. 林修三

    政府委員(林修三君) これは地方自治法第二百四十六条の二の本来の法から申しまして、文部大臣の請求があれば総理大臣もやり得ることだと思います。
  230. 湯山勇

    湯山勇君 それでは、その文部大臣の総理大臣に対する要求はやはり教育学術文化、こういうものに対してもなされるということになるのでございます。
  231. 林修三

    政府委員(林修三君) この、先ほどちょっと私御質問の趣旨を間違ってお答えをいたしたと思うのでございますが、その前に申し上げたことが実は私の趣旨でございまして、第五十二条は地方自治法第二百四十六条の二の特別規定である。従いまして、第五十二条に書いてある範囲におきましては文部大臣がやる、こういうことを地方自治法に対する特則として認めた、かようなことに相なると思います。ここに書いてあること以外の文部大臣の所管事項がもしあるとすれば、地方自治法の二百四十六条の二の方に属する、こういう意味です。
  232. 湯山勇

    湯山勇君 それで大へんよくわかりましたし、私も同じように考えておりました。ところが、昨日はそういう御答弁がなかったので、で文部大臣宗教についてやれない。もしこの教育の中にそれを含んでいなければ困るという御答弁があったのですけれども、今のように教育定義を三つに限って、宗教を含まないというふうにした場合には、これはその宗教に関しては、今のように地方自治法による総理大臣措置要求を文部大臣が請求する、そういうことによって落ちたところがなくなるわです。昨日は落ちたところがで透るというお話があった。それがなくなります。だから、そういうふうに解釈しても一向、宗教を除けたからといって、この分だけが取り除けられるというものはなくなるわけです。  そこでまたもとへ帰りますけれども、教育というものの定義の中に宗教というものを含まない規定にしても一向差しつかえないのじゃないかということを考えますが、そについての長官の御見解は……。
  233. 林修三

    政府委員(林修三君) これはお言葉を返すようになりますが、先ほど来お答えいたしました通りに、やはりここの地方教育行政組織及び運営に関する法律案におきまして、教育という観念にはやはり宗教を含めないと、条文上困る点がある、特に教育委員会の所掌事務等の範囲において困る場合がある、この点については緒方局長からお話しいたしました通りであります。そうだといたしますれば、結局この第四条において宗教というものの観念が含み得るように書かなければならないのでございます。そこで書く方法といたしましては、あるいは文部省設置法のような形によって「教育学術文化及び宗教」というふうに、これを教育というふうに書く方法もございますけれども、私ども、先ほどから申します通りに、ただ文化と書けば宗教も含み得るものだと、かように考えていたしたわけであります。結論といたしましては、この法律案の中に、教育という観念には宗教を含ませないと困るのだ、こういう点はちょっと御意見と違うかもわかりませんが、そういう趣旨からこれを書いたわけであります。
  234. 湯山勇

    湯山勇君 お尋ねしたこととちょっとやはり違うのですけれども、その違う点をただすためにもう一度お尋ねいたしますが、教育に関して、本法でいう教育に関しても文部大臣は総理大臣措置要求をすることができますか、できませんか。
  235. 林修三

    政府委員(林修三君) このここで御審議願っておる第五十二条に書いてありますことにつきましては、地方自治法の方からは抜ける。これは特則でございますから、この五十二条でやり得る範囲のことは自治法の二百四十六条の二には入ってこないと、かように考えるわけであります。
  236. 湯山勇

    湯山勇君 そこで私は、これは解釈の仕方ですけれども、普通そういう場合は矛盾概念といいますか、その概念が一方はできないけれども、これはできるというような何々を、こういうことはできないにもかかわらず、たとえば教育長は、教育委員は常勤であることはできないにもかかわらず、市町村の教育長はそれができるといったように、一方はできないで、一方ではできる場合には、おっしゃる通り明確になって参ります。けれども、この場合は自治法規定もこれはできる規定です。肯定の規定です。それから本法もまた肯定の規定です。ですから、その接続する言葉として、「かかわらず」という言葉があったとしても、さっき御飯を食べたにもかかわらず、また食べておる、これは重なってできるわけです。「かかわらず」ということが否定だということでなくて、「かかわらず」というのは、関係しないということですから、一方が否定の場合にあとのものを肯定する、あるいは一方が肯定の場合にあとのものを否定するというときには、その概念ははっきり矛盾概念として把握されます。両方が肯定と肯定の場合には、今おっしゃったように、この条文からは、ここに書いたことは、教育に関することはできないという規定は出てこないので、教育に関することについても文部大臣は総理大臣措置要求ができると、なお特にこのことについては総理大臣に諮られれば文部大臣単独でもできる、こういうことであって、長官のおっしゃるように、これを、文部大臣のやったことは総理大臣はできない、こういうことにはならないと思いますが、これはどうでしょう。
  237. 林修三

    政府委員(林修三君) これは地方自治法及びこの地方教育行政組織及び運営に関する法律案、両方の読み方の問題になると思うわけであります。この法案の第五十二条におきまして「地方自治法第二百四十六条の二の規定にかかわらず、」と書いた趣旨は、私はそういう趣旨で書かれておるものと考えるわけであります。今おっしゃいましたように、ある事項を否定して、それにもかかわらず他の事項ができると書く場合にも、もちろん「かかわらず」という言葉は使いますけれども、あることがある法律ではある機関職務に、しかしそれを他の機関の、ある特定の事項を限って、他の機関職務に移すという場合にも、それは立法技術としてはこういうふうに「かかわらず」と書くほか方法がないわけであります。これは先ほど来申し上げましたような趣旨でできているものと、かように考えておる次第であります。
  238. 湯山勇

    湯山勇君 そういう御説明でございましたらば、長または文部大臣は、こういうことになると思います。今おっしゃったようなことを肯定すれば、「二百四十六条の二の規定にかかわらず」というので、もう文部大臣は地方自治法の二百四十六条の二の規定は全然使えないのだ、そういうことを「かかわらず」で規定して、今おっしゃった通りに解釈すれば、そのかわりこれだけができるのだ、こういうふうな説明になりますか、そうなりますか。
  239. 林修三

    政府委員(林修三君) 大体おっしやる通りだと思いますが、文部大臣はここに第五十二条に書いてある範囲におきましてはこの方法でやる、こういうことがこの法案の趣旨だと、かように考えるわけでございます。
  240. 湯山勇

    湯山勇君 それだとすれば、文部大臣はこれこれのことについては地方自治法第何条の規定にかかわらずとすれば、おっしゃる通りです。つまり事項を規定して、これこれの事項については地方自治法の何々の規定にかかわらず、これこれこうとできるということならば、長官のおっしゃる通りです。けれども、「かかわらず」という言葉は、それよりも前のことを長官は先ほど打ち消しているのだ、そういう場合にも使うのだという御説明でございました。そうすれば、そこまでで切ってみます、「かかわらず」で切ってみますと、明らかに地方自治法第二百四十六条の二の規定は、「かかわらず」で、文部大臣には適用されないということになっております。そのかわり、あとのことだけができると。そこでその間にこの文部大臣のやらなければならないことで教育という範疇に入らないものがあるとすれば、かりにそのものは総理大臣措置要求もできないし、文部大臣措置要求もできない。そういう宙ぶらりんのものができてくるわけです。これはどういうふうになりますか。
  241. 林修三

    政府委員(林修三君) この条文の書き方についてのいろいろ御教示を賜わったわけでございますが、また私どもとしては、この規定の趣旨から申しまして、さっき申しましたような実は趣旨が出てくるものと、かように考えておるわけでございます。で、今お示しのここの第五十二条に入らない事務の範囲で、しかもなお文部大臣の所管する事務があった場合に、それは地方自治法で行けるかどうかという御質問でございますか。
  242. 湯山勇

    湯山勇君 そうです。
  243. 林修三

    政府委員(林修三君) それは行けるものと考えておるわけでございます。
  244. 湯山勇

    湯山勇君 私どもは普通の法律を読むようにこの法律を読みますと、たとえば地方公務員法第何条の規定にかかわらずといえば、その規定は適用しないと。適用しないで、これを否定する、こういうふうにとります。何々についてはこれを適用せずに、何々にかかわらず何々をするという場合には、それはまた、その何々についてはということだけについては、やはり否定の判断をするのが常識です。違いますかね、今の。
  245. 林修三

    政府委員(林修三君) だれだれは何とかの規定にかかわらずといえば、もちろんその規定を一応排除するわけでございます。しかしその規定全体の趣旨から申しまして、その後できる範囲のことをここに書いてあるわけでございます。その範囲に入らないことは、やはりほかに法律があればその規定で、必ずしもここでは排除しておらない、こういうように読むべきものだろうと私は思うわけでございます。
  246. 湯山勇

    湯山勇君 ここで排除しておるのは、この地方自治法二百四十六条二の規定を排除しておるのでございましょう。
  247. 林修三

    政府委員(林修三君) おっしゃる通りに、地方自治法二百四十六条の二の規定を排除しておるわけでございますが、およそ文部大臣がやることをすべて排除したとこれは考えられないわけでありまして、この第五十二条の一項をごらんになれば、こういうこと、この教育に関する事務について、これこれのことが二百四十六条の二の規定にかかわらず、文部大臣はできる、総理大臣でなくて文部大臣ができるのだ、こういうことをここは強く規定してあるのであります。従いまして、ここで文部大臣ができると書いてない仕事は、これは私はやはり地方自治法による、かように考えるわけであります。
  248. 湯山勇

    湯山勇君 そこで長官にお尋ねいたしますが、それでは今のような御説明で、この教育という言葉の中に宗教も含めた場合ですね、そのほかにそれでは文部大臣の、この範疇外の文部大臣の行う仕事というのは何がございますか。
  249. 林修三

    政府委員(林修三君) 先ほど私が申し上げましたのは、まあ理屈としてもしあればということを申し上げました。また将来これはあるいは、今文部省に聞きますと、現在ほとんどないんじゃないかと考えております。私も全部文部省の設置法を暗記いたしましてお答えいたしたわけではございませんので、もしあればということで申し上げたのであります。あるいは将来、文部大臣職務権限にそれが付加されればそういうものは自動的に加わってくる。現在ちょっと予想ができないと文部省が言っておりますから、そういうことになろうと思います。
  250. 湯山勇

    湯山勇君 その点文部省の方から一つ正確にお答え願います。
  251. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ただいま長官からお答えがありました通りでございまして、現在まず考えられるものはございません。現実の問題として考えられるものはないと考えます。
  252. 湯山勇

    湯山勇君 そうすると法制局長官が、この「かかわらず、」という言葉は、文部大臣に関しての地方自治法規定の全部を排除したものではないという御答弁でございましたけれども、実質的には文部大臣は、地方自治法によって、総理大臣措置要求を要請するということはないということでございますか。
  253. 林修三

    政府委員(林修三君) 今文部当局からお答えいたしました通りに、その五十二条に書いてありますところ以外に、文部大臣職務権限がなければ、結果としてはこういうことに相なろうかと思います。
  254. 湯山勇

    湯山勇君 文部省は今の通りでよろしゅうございますか、全くないと……。
  255. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) まず私考えます範囲におきましては、ないと考えております。
  256. 湯山勇

    湯山勇君 法制局長官はそういう点は御検討になりませんでしたでしょうか、立案の過程において。
  257. 林修三

    政府委員(林修三君) 当然法制局の当局においては、いろいろ検討をしておるわけでございますが、この条文といたしましては、先ほど来申しましたのは、理屈として申し上げたわけでございまして、実質的には文部省担当の参事官はもちろん文部省設法等を検討いたしまして、現在の文部省のもとにおいて、あるかないかということは検討したと思います。私は理屈の問題だけ申し上げたわけでございます。
  258. 湯山勇

    湯山勇君 そうすると文部大臣は、地方自治法による、他の大臣は全部主管大臣として総理大臣に対する措置要求を請求することができます。ところが文部大臣は、現在の段階においては一つもそれをすることができない、こういうことになりますね、事実問題として。
  259. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ただいま申し上げましたような前提に立ちまして申し上げますと、みずから措置要求はいたすことに相なります。
  260. 湯山勇

    湯山勇君 みずからの措置要求はありますけれども、他の主管大臣のすべてに認められた、他の大臣のすべてに認められている総理大臣を通じての措置要求は、文部大臣一つもできない、こういうことになりますかということをお尋ねしているので、その通りならその通り……。
  261. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 教育委員会並びにこれは地方公共団体の長または教育委員会教育に関する事務の管理及び執行についての措置要求でございます。その範囲におきましては、現在のところ文部大臣がいたすのでございまして、総理大臣がするという範囲はないと考えております。
  262. 湯山勇

    湯山勇君 そういうふうに範囲をつけないで私が申し上げたのは、長官との問答は、そういう範囲があるかないかということをお尋ねしている。理屈の上からは範囲があるようだ、長官の御答弁です。理論的には範囲があるようだけれども、実質的にはそういうものがあるかどうかということをお尋ねしたところが、文部省の方から、実質的にはそういうものがない、こういうお答弁があったわけです。だから、まあ前提は条件がなくなった。実質的にゼロなんですから、実質的にゼロであるということになれば、今局長答弁教育云々という条件をつけようがつけまいが、前提条件を抜きにして、現在の文部大臣は、他の各省大臣、他の国務大臣のすべてが持っておる総理大臣を通じての措置要求をすることができないという規定に、この条文は実質的にはなっておりますね。こういうことを尋ねておる。
  263. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) それは先ほどから申し上げる通りでございまして、現在の文部省設置法で考えます場合に、そういうことはないと存じます。総理大臣措置要求をいたすことはないわけでございまして、そのかわりに文部大臣措置要求をするという規定があるわけでございます。
  264. 湯山勇

    湯山勇君 今度はイエスかノーかで答えて下さい、簡単ですから、他の大臣のすべてが持っておる総理大臣措置を請求するという権利は、あるいはそういうことは現在では文部大臣一つもできない。いいですか、総理大臣措置要求を請求することは、今の文部大臣が、また法律が変れば別ですけれども、法律が変らない限りできない、こういうことになりますね、一つ……。
  265. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これはその通りでございます。それは総理大臣に請求する必要がございませんので、さようなことに相なります。
  266. 湯山勇

    湯山勇君 それでわかりました。問題はまた元へ返りますけれども、この法律の条文を理論的に解釈すれば、文部大臣は総理大臣を通じての措置、要求を求めることができるんですね。できる部分もあるわけです、理論的には。そして、もしこの教育という範疇の中に宗教というのを入れないことにしておけば、それは文部大臣は、宗教法人等に関しては、総理大臣を通じての措置ができるわけです。これはそう解釈して間違いでしょうか。
  267. 林修三

    政府委員(林修三君) 今、湯山先生のおっしゃる通りに、教育あるいは四条の中から宗教という観念をのけてお考えになれば、結果としてそういうことになってくるかと存じます。
  268. 湯山勇

    湯山勇君 そういうふうにすれば、教育という言葉の中に宗教を含まなくても、宗教だけがはずれてしまう、宗教だけが取り残されるということはないと思いますが、長官の御意見を伺います。
  269. 林修三

    政府委員(林修三君) この自治法の二百四十六条の二、あるいはこの法案の第五十二条の関係においては、片っ方は入らなくても片っ方に入る、そういうことに相なるかもわかりません。しかしこの地方教育行政組織及び運営に関する法律案全体から申しまして、先ほど来緒方局長からも申し上げました通りに、この法案といたしまして宗教という観念を除くのは困る、当然含むという観念でこれは貫かれておる、かように申し上げておるのでございまして、第五十二条だけの関係だけではないのでございます。その点御了承を願いたいと思います。
  270. 湯山勇

    湯山勇君 昨日お尋ねしたときには、そういう御答弁ではなくて、宗教は取り残されるから困る、宗教をのけたならば……。そういう御答弁があって今の点をお尋ねしたわけです。それで大体私も、もう長官のような人を相手にして、疲れたところでやりますと、頭の方も非常に混乱して参りまして、非常に質問も変な格好になりました、大体二十三条、二十四条関係、長官がただいまのように、確かにまあこれは首尾一貫していない、二十三条と二十四条は一貫していないということをお認めになって、しかし他の法律であるから、それでどうにか差しつかえがないとは思うというようなお話でございましたが、私はこれはですね、やはり運営していくためには、この法律はやはり見て、それからあと他の関係法を見る場合には見ると思います。当然この規定からいって入れていいわけですから、また入れておく方が自然でもあるし、入れておく方が、今の長の職務権限の中で二十四条のそれを入れておかなければ、いろいろ私が昨日来お尋ねしておるような疑問が、私はここで今のようにただしましたからわかりますけれども、国民の、使う人のすべてがそういう疑義ができ、あるいはそういう混乱が起る、あるいは間違えて教育委員会宗教法人にタッチするかもしれません。前の法律には宗教法人を除くとなっておったのに、今度のは書いてありません。そこでこれはやらなければいかぬじゃないかということでやるようなことが起るかもしれません。そしてそういうことをやったために、措置要求を受けるかもしれません、間違っておるというので。こういうことを考えますと、法の体裁からいっても、実質からいっても、やはりこの点はこの法律において明確にしておく必要があると思うのですが、最後に長官の御答弁を伺います。
  271. 林修三

    政府委員(林修三君) 立法論としては、いろいろまあ議論もあることかもわかりません。しかし先ほど来申し上げました通りに、法律的にはこれではっきりわかるようになっておるつもりでございます。これはむしろ先ほど申し上げました通りに、二十三条と二十四条は、地方公共団体における教育委員会団体の長あるいは団体機関としての職務権限を対比させることを目途としてこれは実は書き出した条文でございます。その意味において二十三条の方に機関委任仕事が書いてあることが、あるいは少しよけいなことを書いたのかもしれません。これは他の法律で当然実はわかるわけであります。ただこれは御了解願いたいのは、現在の教育委員会法でもここまでみな書いたものだったものでありますから、実はそのままここに、教育委員会権限があたかも減少したかのごとく思われるのはどうかということもございまして、ここに書いたわけでございまして、地方の方におきましては、もちろんこれも書いて決して悪いというものではございませんれども、先ほど来申し上げました通りに、これは他の法律でも当然読み得ることである、かように考えまして、こちらの方は抜かしたという実情でございます。当然初めから意識してこういうような形にしたわけでございまして、それについての御批評はあろうかと思いますけれども、趣旨はそういう事情だったのでございます。
  272. 秋山長造

    ○秋山長造君 湯山委員の御質問に関連してちょっとお伺いしますが、遠方の方から聞いておりますと、長官と湯山委員との質疑応答でよくわからない点があったのですが、長官のおっしゃるのはこういうことだったのですか。今度の新法の五十二条というのは地方自治法二百四十六条の二の例外規定、こういうような解釈でいいのですか。
  273. 林修三

    政府委員(林修三君) 例外と申しますか、特別規定と申しますか、この五十二条に書かれております範囲においては地方自治法二百四十六条の二を排除している、こういうことでございます。
  274. 秋山長造

    ○秋山長造君 その点、私はむしろそうでなしに、これは排除するのでなしに、これは二百四十六条の二の規定は、大体国が地方公共団体に対して措置要求ができるのは、これは総理大臣だけだ、こういう規定じゃないかと思う。だから措置要求というものは、本来は、原則としては、内閣総理大臣がその権限を持つのだ、ただしこの教育についてだけは、文部大臣も同じような権限を持てるのだ、こういうように解釈しておったのですけれども、それは間違いですか。
  275. 林修三

    政府委員(林修三君) この規定の趣旨は、先ほども申し上げました通りに、一般的には、この地方自治法で国の立場としては、内閣総理大臣から措置要求をするという立場でございますけれども、この教育に関する関係においては、ただいま御審議を願っております法案に基いて、特にその権限を文部大臣に与えるのが適当であろう、そういう趣旨から文部大臣に与えたものと、かように御了解を願いたいと思います。
  276. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、やはり教育に関する限りは、二百四十六条の二による内閣総理大臣措置要求権というものは排除されるわけですね。
  277. 林修三

    政府委員(林修三君) おっしゃる通りでございます。
  278. 秋山長造

    ○秋山長造君 この二百四十六条の二は、今度新しく提案されているわけですから、この二百四十六条の二に対する排除規定というものは、ほかに例がありますか、この文部大臣以外に。
  279. 林修三

    政府委員(林修三君) 現在のところ、ほかにはございません。この部面だけでございます。
  280. 秋山長造

    ○秋山長造君 将来教育以外の問題について、この五十二条に類似するような規定ができ得るわけですね。そこらはどうなんですか。私は考えるのは、そうやって教育は特殊性があるから文部大臣がやる、その限りにおいて総理大臣権限は排除される、また教育以外の何か問題については、それぞれ担当の、たとえば農林大臣なりあるいは建設大臣、大蔵大臣というようなものが、それぞれ五十二条のような権限を持つことも考えられるのですね。そうやってその限りにおいてみな排除していくと、結局二百四十六条の二の内閣総理大臣という、これはきわめて包括的な規定ですが、これはもう有名無実になってしまうように思うのですけれども、そういうおそれはないんですか。
  281. 林修三

    政府委員(林修三君) これは将来の立法政策の問題になりますけれども、地方自治法で一般的な二百四十六条の二の規定が置かれました以上は、よほど特別の理由がない限りは、これをあとで排除するということは、よほど慎重な考慮を要することだと思うわけでございます。教育に関することであろうが、まあ教育に関する事務が非常に特殊的なものであり、やはり文部大臣がやるのが適当であろうということが第一の考えでございます。もう一つは、二百四十六条の二をごらんになりますとおわかりになりますように、措置要求は、将来地方公共団体または長に対してやるということになっております。従いまして教育委員会のことは、これは実は二百四十六条の二にはうたっておらないわけであります。教育に関する事務は、実は教育委員会仕事が相当大きな部面を占めております。そういう関係からここに特色を設けて、ついでに——ついでといっては語弊がありますが、教育に関する同じ事務でございますから、長に対する措置要求もここに一緒に加えた、かような立法趣旨と考えておるわけであります。
  282. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、五十二条によって排除された二百四十六条の二の該当部門というのは、五十二条に書いてある「地方公共団体の長」、そこのところだけが排除されたわけですね。それで教育委員会というところは、新しく五十二条によってつけ加わったわけですね。
  283. 林修三

    政府委員(林修三君) 自治法の二百四十六条の二には入っておらない部面があるわけでございます。特に教育委員会機関委任事務については、おっしゃる通りでございます。
  284. 湯山勇

    湯山勇君 せっかく長官がお見えになっておるついでに、簡単のことですから一つだけお尋ねしておきたいと思います。それは今文部省設置法のことをお尋ねしたわけですが、この文部省設置法に、今の五十二条との関係において文部大臣措置要求とは出ております。今度整理されております。ところが五十二条の二項による「自ら当該措置を行う」、要求の方はありますけれども、設置法には、みずから行うという方は出ておりません、五十二条第二項のですね。
  285. 林修三

    政府委員(林修三君) これはこの施行法の方に、整理法の方の第五条でございますが、第五条の一項に十九号の二というものを加えまして、文部大臣の職権として、この「必要な措置を講ずべきことを求めること。」、求める相手方は地方公共団体の長であり、あるいは教育委員会である、かように考えておりまして、これは五十二条を受けたものだと考えておるわけであります。
  286. 湯山勇

    湯山勇君 今のはこういうことなんです、お尋ねしておるのは。文部省設置法の十九の二ですね、これでは、その最後をごらんいただくと、長または教育委員会に対して、「措置を講ずべきことを求めること。」、求めるのだから要求だけです。ところがこの要求すること以外に、文部大臣には自分で措置をする——みずから措置を行うという権限があるわけです。それは五十二条の第二項です。
  287. 林修三

    政府委員(林修三君) これは現在の文部省設置法の第五条をごらんいただきますと、「文部省は、この法律規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律に従ってなされなければならない。」ということがまず書いてございまして、その最後の号に、第三十二号でございますが、「前各号に掲げるものの外、法律に基き文部省に属させられた権限」と、こういうことで、いわゆるセーヴィング・クローズと私呼んでおりますが、こういうふうにおもなものは、この第五条の各号で文部大臣権限は列挙いたしますけれども、法律権限を全部網羅してあるわけではございません。最後に三十二号におきまして、その他の法律に基いて文部大臣に与えられておる権限というものは当然行使し得ると、かように立法としてはやってあるわけでございます。
  288. 湯山勇

    湯山勇君 御説明でわかりましたけれども、それではこの十九の二も、「措置を講ずべきことを求めること。」というのも、これもやはりもし書いてなければ、そこで説明がつくと、こういうことですね。
  289. 林修三

    政府委員(林修三君) そういうことになりますが、ただちょっと今お答えを落したのでございますが、この五十二条の第一項、これはつまり必要な措置を講ずべきことを長または教育委員会に対して求めることができると、で、第二項は、これは市町村の長または市町村教育委員会に関することについては、都道府県委員会法律的に委任してやらせるんだということを書いてあるわけでございます。ただし、そのただし書きは「文部大臣は、必要があると認める場合においては、自ら当該措置を行うことができる。」という意味は、自分でいわゆる代執行を認めるという意味ではございませんで、自分で直接市町村長または市町村の教育委員会に対して一項の措置ができるという意味でございます。同じく求めることの範囲でございます。先ほど御答弁に漏らしましたけれども、二項のただし書きの趣旨は、文部大臣が自分でやる、その都道府県委員会にやらせるんではない。場合によってまたそういうこともできるということでございまして、そういう措置内容は、一項で認められておる範囲でございます。文部大臣が自分でいわゆる代執行をするという権限を与えられておるものではございません。
  290. 湯山勇

    湯山勇君 私は今、設置法の方を見ておってひょっと気がついたのですが、今の御説明だと、求めることができる範疇に入ると、求めることができるということと、みずから行うことができるということとは、私は違うと思うのですけれども……。
  291. 林修三

    政府委員(林修三君) 今御説明いたしました通りに、五十二条の二項の「自ら当該措置を行うことができる。」というのは、この前段を受けておりまして、「文部大臣の前項の規定による措置は、」と書いてございますこの「措置は、」という言葉は、第一項の「必要な措置」を受けたわけではないのでございまして、「必要な措置を講ずべきことを求めることができる。」と、ここの「求める」という最後を受けまして、「文部大臣の前項の規定による措置は、」と、これを二項で受けたわけでございます。それをただし書きで、そういう措置は場合によってはできる、そういうことでございますから……。(「それははっきりしているんでしょうね、その点」と呼ぶ者あり)
  292. 湯山勇

    湯山勇君 わかりました。そういう御説明ならよくわかります。
  293. 秋山長造

    ○秋山長造君 これは自治法の方も同じことでしょうね。
  294. 林修三

    政府委員(林修三君) 自治法も同じことでございまして、もちろんこれは総理大臣に代執行権を認めたものではございません。
  295. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 委員長、ちょっと速記をとめて……
  296. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  297. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 速記をつけて。
  298. 秋山長造

    ○秋山長造君 今の長官のような御説明を聞きますと、その第四項ですね、「文部大臣は、自ら地方公共団体の長に対して第一項の規定による措置を行おうとする場合においては、あらかじめ内閣総理大臣に協議しなければならない。」、こう書いてありますね。その「自ら地方公共団体の長に対して」という場合は、第一項の府県知事並びこ府県の教育委員会措置の要求をする場合と、それから第二項に書いてある直接市町村長並びに市町村の教育委員会に要求する場合、この両方を四項はうたっているわけですか。
  299. 林修三

    政府委員(林修三君) これは五十二条の一項と、二項の後段、両方受けているわけでございます。ただ、教育委員会についてはこの問題は入っておりませんので、長に対する部分だけが総理大臣、いわゆるこれは自治庁長官が代表する総理大臣であると思いますが、そこに協議をすると、そういう趣旨でできております。
  300. 秋山長造

    ○秋山長造君 第四項のような規定を特に設けたのは、やはり大体地方公共団体の長に対する措置要求というのは、原則は二百四十六条の二にうたってあるので、文部大臣が、総理大臣の本来権限に属していることを、この五十二条の例外規定と申しますか、特別規定と申しますか、それによって行うから、それで本来地方公共団体の長に対する措置要求権というものを包括的に持っている総理大臣に対して協議をする、こういう理由でできているこれは条文でしょうか。
  301. 林修三

    政府委員(林修三君) これは趣旨といたしましては、やはり文部大臣がやるということは、法律権限としては一項では与え、二項では特別の場合には与えているわけでありますが、やはり文部大臣地方公共団体の長に対してやるということは、自治行政全般にわたることでございますから、やはり総理大臣に協議するのが適当であると、こういう趣旨で、具体的には総理大臣の協議のもとでやる、そういうことにしたわけであります。そこで立法措置として、そういうことにするのが適当であろう、こういうことで入れたわけでございます。
  302. 湯山勇

    湯山勇君 法制局長官に対するお尋ねは終ったのですけれども、確認しておいていただきたいことは、他の大臣がすべてできる。総理大臣措置を要求する。そうして総理大臣を通じて措置する。そういうことは文部大臣一つもできない。もちろん文部大臣がやることは別にありますけれども、総理大臣を通じてやることは、文部大臣には一つも現在はできない。これは局長がお認めになった通りです。なぜそうなったかというようなことは、これは私はやはり文部大臣だけからお聞きしたのでははっきりしないと思いますので、こういう点については、やはり最高責任者であり、そして総理大臣措置要求を文部大臣からはなくしたというような点については、総理からも聞きたいと思います。法案の持つ意味ははっきりしましたけれども、今度はそういう実質的な点については、やはり総理に聞きたいと思いますから、これは委員長の方でも一つお含みおきを願いたいと思います。
  303. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  304. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) では速記を始めて。  内閣法制局長官に対する質疑は、今日はこれで終了いたします。  委員会は散会いたします。    午後八時三十九分散会