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国務大臣(
清瀬一郎君) あれは、こういうことなんです。たしか、時は三月の八日と思います。今御
審議願っておる
教育委員会法を
衆議院に提出した日であるのです。
松沢君は私に夜
会見をお申し出になったことを私家へ帰って聞いたんです。しかし、夜のことでもあり、
会見は、私の私宅ですからね、適当ならずと思って断わりましたです。あすでも
国会で会うたらどうだと断わりましたが、しかし、
電話で話をすることになりまして、それじゃ
電話で聞こうというんで、聞きましたです。私は宴会から帰ったときでありますから、私は実は幾らか
酒気を帯びておりました。(「
自分が帯びていた」「
相手は」と呼ぶ者あり)
相手のことはわからない、
電話ですから。しかしながら、私と同じように早口で大きな声で同じことを繰り返しておっしゃるのです。ね、そういう情勢であったんです。私の言うことに対して適切なる
お答えもなく、また、私も
向うの言うことに対して適切な
答えをせず、同じようなことを言い合っておったのです。それは
趣意は——そういう場合ですから、幾らか違うかわかりませんよ。
趣意は、われわれは
一体選挙を受けた
委員だ、
内閣が提案するのに僕らに黙って、諮問せずに提案するのはけしからぬ、こういうふうの私に対する叱責です。古いなじみでもありませんけれども、近時懇意に願って、君、僕の
言葉づかいですから、そこで私は幾らか冗談のつもりで、あるたとえをしたのでございます。たとえの
内容は今日あなた方御
承知でありまするけれども、まあ言わない方がいいんです。それでその晩は寝て、
約束通り翌日会いましたんです。会うた場所は、
参議院の自由党の第八
控室と思いまするが、会うていきなり、
松沢君、きのうは失敬した、あれは君
取り消しだよ、私いきなり言ったんです。軽く言いました。それで
松沢君ともう二人ほど
同行者がありましたが、そこで今度は丁寧な
言葉で
教育委員会のことをおっしゃって、ずっと私は聞きましたです。だがしかし、だんだん
自分の
言葉で
自分で興奮されて、私にちょっと無礼なことをおっしゃったんです。それで私は、聞き捨てならぬ、おれは政治で意見が間違っておるということは非難されるが、道徳的のことをおっしゃるという非常に残念だ、といったようなことを私言って反撃したんです。そうすると、
松沢君は、それに対して断わりのような、まあ謝罪のような
言葉をお使いになったから、それは君必要ない、
友だち同士だ、そんな君
言葉をあやまる必要はない、そのかわりに、君の今言うた
言葉も、僕の昨晩言うた
言葉も、どっちもなかったことにしようと言って握手をして、そうしてな
お話を続けて別れたんです。そういうことなんです。だから、一ぺん
取り消して、またなかったことにしようという
約束をしておるのです。ところが、どういうわけか、そのことが文書に載りましたから、そこで
予算委員会で、たしか
矢嶋さんじゃなかったですかね、そのことの有無をただされましたから、これは単に
取り消しじゃなく、
お互いになかったことにしよと
約束しておるから、
松沢君も人に聞かれたら、おそらくなかったと言われるだろう。そうすれば、私の方から言い出すのも悪いということで、それはなかったことですという
答え一本で私通しておるんです。大へんその時分には
質問者は御不満でありましたけれども、
男子と
男子の間でなかったことにしようということを、あったように表現できませんから、ございませんと、
衆議院でも
委員会で同じようなことがあったから、それはないんです、こう言って通してきておるんです。今の
場面は、その後四月の七日、九日に
公聴会がありまして、
衆議院の席のやり方は、
公述人が話す横にいすをずっといつもの
大臣席と同じように置いておいて、そうして私は一番左の方、
松沢君は右の方でありましたが、ともかく同じ列でありましたから、
松沢君が
公述する前に、
二つ、
三つ椅子を
向こうへ寄って、
松沢君、この間のことはないことにしたのだぞということを注意したのです。そうしたら、
向こうも人に聞こえんように頭でうなずいて、そうして
公述に立ったわけなんです。むろん
衆議院の
公聴会はこの案のメリットによることで、そんな
友人同士の
言葉のかけ合いなどは
質問は万されまいと思いますけれども、私がなかったことと言って、たびたび拒絶しておるのに、片一方があったことと言うと、そこからもつれるから、省略したがよかろう、といったような軽い心持であって、果して
松沢君はその
公述のうちで、たしか
文部大臣と何か話をしなかったかといったようなことの
質問もあったと思います。
松沢君は果して、いや、そんなことはございませんと私と同じ
答弁をしておるんです。それで
松沢君を、まあ男の
約束として
約束を守られたなと思って、私の心じゃ、これはりっぱな
態度だと思って、ありがとうということは言っておるのです。あなたのお
問いがそれを含んでの
問いでありましたら、そのことはむろんあったと言うのでありまするけれども、あのときの
場面で、あなたがそういうことまでも含んでお
問いになったということが気がつきませんでしたから、総凡的に
公述人に
圧迫を加えたなんということはないと
答えたんです。
松沢君に、
圧迫を加えたのじゃありませんが、それだけの私語したことはございます。