運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-05-19 第24回国会 参議院 文教委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十九日(土曜日)    午前十時二十一分開会     —————————————   委員の異動 五月十九日委員村尾重雄君辞任につ き、その補欠として成瀬幡治君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加賀山之雄君    理事            有馬 英二君            吉田 萬次君            湯山  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            剱木 亨弘君            白井  勇君            田中 啓一君            中川 幸平君            三浦 義男君            三木與吉郎君            秋山 長造君            安部キミ子君            荒木正三郎君            成瀬 幡治君            矢嶋 三義君            高橋 道男君            竹下 豐次君   国務大臣    文 部 大 臣 清瀬 一郎君   政府委員    内閣官房副長官 田中 榮一君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       工樂 英司君   説明員    文部省社会教育    局社会教育課長 蒲生 芳郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会運営に関する件 ○地方教育行政組織及び運営に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○地方教育行政組織及び運営に関す  る法律施行に伴う関係法律整理  に関する法律案内閣提出衆議院  送付)     —————————————
  2. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) これより文教委員会開会いたします。  先刻の理事会の経過について御報告いたします。  昨日の委員会でも御報告いたしました通り、今後の審議の進め方については、三つ意見が出ておりますが、いまだ意見一致を見るに至っておりません。明日委員会開会につきましては、野党からは、まだ質疑もかなり残っているという御意見があり、与党よりは、強い開会要望がありましたので、委員長からもぜひ御勉強願うよう要望申し上げたのでありますが、ただいまのところ決定いたさないまま、時間が参りましたので、委員会開会いたすことにいたした次第でございます。  本日村尾重雄君が辞任せられ、その補欠として成瀬幡治君が選任されました。
  3. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 地方教育行政組織及び運営に関する法律案及び同法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 質疑に入る前に、若干委員長お尋ねをしたいと思いますが、理事会は今後の審議日程に関しての問題について三つ意見があって、なお、意見一致を見るに至らない、こういうお話しでございました。私はこれははなはだ遺憾なことであるというふうに考えておるわけなんです。当文部委員会としては、当初から委員長もしばしばおっしゃっておるように、円満に議事進行をはかりたい、こういうお話しでございましたし、そういう線に沿うように委員長としても努力をしてこられたことを、私どもは了承しておるわけなんです。しかし、きのうもそういう報告があり、きょうもまたそういう報告がある。これでは今後委員会運営が正常に行われるというふうには、なかなか受け取りにくい面があります。私はこういう食い違いを、もっと委員長並びに理事の皆さんで協議をいただいて、そうして納得の上で議事が進められ、委員会進行が進められる、そういうふうにありたいというふうに考えておるわけですが、どういうわけでこの意見一致を見ないのですか。きのうもきょうも見ない、私どもには十分わからないのです。その点お尋ねをいたします。
  5. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 御意見一致がないから一致を見ないのでございます。両方の御主張が食い違っておるのです。これについてきめてしまうということは、かえって今の段階としては、この委員会運営支障をきたすのではないか、当面の問題はこの法律案に対してあくまでも審議を尽すことでございますので、そのために委員会審議時間に支障をきたすということは、どうかと思いまして、実は午前中の理事会は、そういうことで留保したままで委員会開会になった。なお、委員会終了理事会でできるだけ御意見をまとめるように委員長努力をいたしたいと思っております。
  6. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると委員長としては、この委員会終了理事会においてさらに審議日程の問題については意見をまとめるように考えている、そういうふうに了承してよろしいですか。
  7. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 努力いたしたいと思うということを申し上げます。
  8. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はきのう委員会終了後、理事会が開かれたように聞いております。これは私の間違いであるかもしれませんが、しかしその理事会は非常に短時間であった、きょうもけさ理事会が開かれておりまするが、九時半から。十時から委員会が始まる、やはり私はもう少し時間をかけて、まとめるというなら、もう少し時間をかけてやるべきだ、そうでないと、まとまっていないというそういう結果だけお話願っても、了承できないのですよ。私ども加賀山委員長の従来の努力に対して敬意を表しております。しかし、今お話を聞いても、その点ははっきりしておらない、そういう点私は委員長としてもう少しはっきりしてもらいたい。
  9. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) お答えいたします。理事会といえども、各委員の御意図を無視して勝手にきめてしまえということでございますれば、理事会といたしましてたとえば多数の意見だということできめてしまうことは簡単でございますけれども理事会といたしましては、慣例もそうではございませんし、理事会の性質も、そうして勝手にきめてしまうということではいけないというふうに考えております。従いましてできるだけ大ぜいの委員のお気持をそんたくしながら、理事会運営していかなければならぬと思いますので、御承知のように連日委員会を開いておりますので、理事会はなるほど長い時間をかけておらないことはおっしゃる通り。しかしきょうなり、また時間を見まして、理事会でとっくりその点について話し合いをして参りたい、かように考えて、ただ理事会を開いた結果を、何もしなかったのではないので、論議をいたしておりますので、その結果を結果として、きまらなかったことはきまらなかったとして委員会報告するのが、別に委員長として私は間違ったことをしているとは考えておらないんです。
  10. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は委員長報告が間違っているとか、そういうことを言っておるのではないんです。私は当初から文教委員会が円満に、そうして十分に審議されることを期待し、少くともそういう考えで私は臨んできたつもりであります。しかし、私はけさ聞いたんですが、自由党の方できょう質疑打ち切りをしたい、こういう考えがあるということを聞いたんです。これは容易ならぬ問題だと私は思う。で、そういうことが考えられておって、そうして理事会において結論を得ないと、そういうことでもしこの委員会進行されるということであれば、私は正常なこの文教委員会運営することはできないと思う、そういうふうに憂慮しているものであります。そういう点について、何か理事会において話があったかどうか私は承わりたいと思う。私は湯山理事から、けさ理事会の模様についてお話を聞く時間的余裕がなかった。これは私非常に重大なことであるので、私は明確にしてもらいたい。
  11. 吉田萬次

    吉田萬次君 それは私どもは初めから十分な日にちをかけて、そうして十分な審議をしてもらいたいということは望んでおりました。大体どうだと、われわれとしては、きょうあたりでもう質疑を打ち切ってもらいたいというように思っておるということを述べただけのものであって、何もそれほど今声を荒らげてどうするとおっしゃるほどのことは、私はないと思う。ただ、私どもはそういう意思であったというだけのものです。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は今の吉田委員発言について、はっきりと確めておかないと、これは私は委員会運営を円満に進めるために私は申しておるんです。それは声が大きくなったということは、申しわけないかもしれません。それは私も十分気をつけてやりたいと思いますが、私の聞いたところでは、きょうは質疑打ち切りをともかく出すんだというお話があったというんです。そういうことははっきりしてもらわないと、私ども委員会に臨むに当って、これは非常に重要な問題ですから、はっきりしてもらいたいと思うのです。ともかくも質疑打ち切りを出すんだ、そういうように私は伺ったんです。そうするとこれは重大な問題ですからね、自然声も大きくなりますよ。これはその点を明確にしていただきたいと思います。
  13. 吉田萬次

    吉田萬次君 私は大体十七日までにこの問題を解決したいというような意見を持っておりましたのと、またいろいろとその間に日にちが、公聴会に続いて参考人を呼ぶというようなふうにして、時間もつぶれまするのと、大体私は初めのときに、私の独断的な考えから、メーデーの前後両日を休むというようなことを引き受けたりしておりまする関係上、早くこの問題を十分に検討していただき、その結果が表われるようにしたいという点から、再々もう今日あたりで、今日あたりで大体質問は尽きたのではないか、あるいはどうだというと、こういうふうのやり方であったならば、いつまで日にちがかかっても際限がないじゃないかというようなふうのことで、私は自分の意思を、この辺のところでというようなことを言ったのでありまして、あながちきょう質疑を打切ってもらいたいと、はっきりそういうふうの意思表示をしたわけではありません。これは個人といたしまして、また、そういうふうにきょうにでも私の方は打ち切りたいというようの考えを持っておりましたと、持っておるというふうのことを表示しただけで、別にその間はっきりと、それによって迫ったと……、委員長に私はこういうふうの意見を持っておるというふうのことを述べただけでありまして、そこまでのことは言っておらぬと思います。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、それじゃ私の聞き違いであるということになると思うのですが、自民党としては、きょう質疑打切りの動議を出すと、こういうことはないということに了解してよろしいですか。
  15. 吉田萬次

    吉田萬次君 それはあなたの、今私の述べたことに対しての、私の述べたことに対するお考えはあなたの御随意だと思います。しかしながら、私は党を代表して、今日打切れというような、そういうふうの要望はいたしておりません。私としましては、繰り返して言うようですけれども、再三再四この辺でどうですか、この辺でどうですかということを言っており、きょうもこの辺でやめてもらいたいという希望を持っておるというふうのことに対して、このことを委員長に申し上げておいたのです。
  16. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) いかがですか……。
  17. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私の了解できない点は、私は湯山理事からこういうように聞いております。一般質問も相当進んできた、だからもう何時間くらいやったら終るのか、打ち切るのか、そういうことについて社会党意見をまとめて早く出してもらいたい、こういう強い要請が自民党の方からあった、こういうように聞いておる。そこで、われわれもこれは当然なことであるというふうに考えて、湯山理事からわれわれの考えを正式に提案されているはずであると思うのです。しかし、今吉田理事お話を聞きまして、もう質疑は終ったのだから、もういいかげんに打ち切ってもらったらどうか、そういうことを言っておる。これは私は全く二重の言い回し方をしておられるのじゃないか、一方で一般質問も相当やったのだから、時間をきめて、そうしていつ幾日上げるということを社会党ですぐきめろ、こういうお話があった。今お活を聞くと、もう質問はだいぶ終った、だから質問打ち切りをいっするか、そういう話になっている。これは全く私ども了解できませんよ。
  18. 吉田萬次

    吉田萬次君 私は、それは一方的なお考えかと思いますが、私はとにかくじんぜんとして日が延びてきたことに対して、大体あなたの方はいつ、これで総括質問を終って、あるいは逐条に入る意思か、あるいはどういうふうになっておるか、こういうふうだったら際限がないじゃないかというようなことを聞くのに、私は何も差しつかえはない。私はそれを聞いただけのものであって、何もあなたの方がいつ幾日にどうこうせられなければならぬとか、そういうことを要望するとか、そういうようなふうのことについては、私は言及しておりません。
  19. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) まあそれぞれの御意見を持っておられるわけでございますので、お聞きの通り意見がまだ統一しておりません。
  20. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは私ども湯山理事を通じて、一般質疑をどの程度で打ち切るのか、こういう自民党からのお話があったと、こういうことを聞いているわけなんです。だからこれには答えなければならぬということで、具体的に社会党考え方をお示ししているわけであります。しかし聞きますと、そういうことについてどういう結着がついたのか、先ほど委員長からお伺いすると、意見が分れてきまらない。しかし、これはお互いに話し合えばきまることなんです。しかし、今お話を聞くと、その問題を飛び離れているのですよ。もう質問は大体終ったからやめたらいいじゃないか、こういう論に発展をしている。私どもはまあ非常に不可解千万ですよ、これは。これははっきりしないと、私ども非常に困るわけです。この点吉田委員からはっきりしてもらいたい。
  21. 吉田萬次

    吉田萬次君 私は、大体今まで私の述べたことにおいて私は尽きていると思うのです。これ以上私はもう言う必要もないと思います。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はただいまの委員長理事打合会についての報告について質疑をいたします。また、要望も出るかと思います。私はただいまこういう問題が出ましたので、所見の一端を述べ、委員長理事打合会の今後の運営についてお願い申し上げたいのですが、私もこの国会に席を得てから六年になります。ずいぶんといろいろの法案審議いたしました。しかし、それらの審議をやるに当っては、委員長理事打合会のまとまった結果について、どの委員会運営されて参ったと思います。この法案審議始めてから本日に至るまで、委員長理事打合会努力されたことは認めますし、多といたします。しかし、私は努力は不足されているのじゃないかと思うのです。ということは、今まで委員長理事打合会というものは、大がい本委員会の開かれる三十分前ぐらいにやられて、まとまらないからといって委員会をやられる。まあそういう場合もいたし方ありますまい。しかし昨日朝諮られた時に、まとまらないで取りあえず委員会をやって、午後委員長理事打合会をやられるということです。従ってそのときに私は相当時間をかけて打ち合せすると思いましたところが、十分か十五分ぐらいで終られたようです。そうしてけさまた同じことを繰り返されているわけなんですね。と、そこに私はもう少し努力していただきたいということを要望申し上げたい。その意図の根拠は、この総括質問について、わが社会党では湯山理事から具体的に何日程度でこちらも精力的にやるからという正式な意思表示がされているわけです。それも決定されない。それから日曜日に委員会をぜひ開きたいという委員長さんの御要望と承わっているわけですが、それを日曜日にやるかやらぬかということも決定されない、昨日において。しかし昨日の午後の理事会において十分か十五分ぐらいで終っちゃってきまらない、けさもやられてまたきまらない、また委員会をやられると、こういう姿というものは、私は今後の委員会の円満なる運営という立場から、もう少し私は委員長理事打合会においては努力していただきたい。これは私は強い要望です。そういう努力は十分なされずに、その審議も十分尽されないまま、突如としてこの質疑打ち切りというような形が出てきた場合ば、私は本委員会運営上非常に遺憾千万にたえない次第です。そういう懸念なきにしもあらずというところが、私はただいま荒木委員の御発言に出ていると思うのです。私もその意味においては荒木君と同感でございます。従って少くとも私ども委員長のあざやかな運営に協力し、従ってきたつもりです。そうしてわれわれはただしたいことをただしているつもりです。で、ずいぶんと今までがんばって参りました。理事会でもお願いしたわけですが、日曜日は私はわれわれの方に研究の時間と休養の時間としてお与え願いたいと思う。少くともそういう事柄と、それから要望によって社会党から出した一般質問を、いつころまでに精力的に打ち上げたいと思うという、そういうような問題を十分話し合ってその結論を一応出されて、そうして私は委員会というものを進めていただきたい、かように私は特に委員長さんに要望申し上げる次第であります。
  23. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 各理事にも大へん御努力を願っております。今矢嶋君の御発言は、まことにごもっともしごくで、委員長も最善を尽して理事会運営をはかりたいと存じます。ただ、理事会をまとめていきますには、できるだけ各派、特に与野党で歩みよりいただかないと、これはきめろきめろとおっしゃいましても、一方的な御主張だけでは話はこれはきまらない。従いまして委員長といたしましては、与党要望もある、野党の強い御要望もある。そこで委員長といたしましては、実は大へん不敏でございますので、御両派をどうしてとりまとめをしたらいいかということに苦慮をいたしておる次第でございます。どうぞ各派におかれましてもそういう意味で、理事理事会に出られて決定しやすいように、一つ各派の各委員におかれましても御努力、御尽力を賜わりたい、これが委員長からのお願いでございます。(「われわれの理事は権限持って出ていますよ、十分権限持って出ています。」と呼ぶ者あり)
  24. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 荒木君や矢嶋君、あるいは吉田萬次君、あるいは委員長等お話が出ておりますが、私は一つ委員長の心がまえをお尋ねしておきたいと思います。御承知のようにこの法案衆議院においては中間報告を求められてやってきた私は大事な問題だと思うのです。そうしてまた、今度参議院で中途で質疑打ち切りが出て、そうしてごたごたやって、そうしていったというような私は幕切れにしたくないと思うのです。委員長もその点では御同感ではないかと思うのです。委員長が今まで努力されたのは、私はやはり円満に事を運ぶ、そういう点だと思うのでございますから、一つその点に立って私は審議日程等理事会でやっぱりきめていただきたい。十分や十五分ではきまらないと思う。ちょうど小選挙区法案を十分やって意見が対立したから委員会できめるという、そういう態度でなくて、いま少し今委員長等要望をされたように各党がそれぞれ委員長の意を体し、委員長もやはり審議日程をあくまでもきめる、こういう態度一つ事を運んでいただきたい。お聞きしますと、審議日程という問題につきましては関連がないということでございますが、私は前に文部委員会におりましたから、やはりなるほど中間報告を求められて上げられるような、そういう重要法案については私は審議日程というものはやはり作ったと思う。そうでなくてやはりほんとうに子供のためになるというもので、各党一致する問題についてはあらためて審議日程を作らないでやった、そういうことはあると思いますけれども、やはりこういう重要法案については円満に事を運ぶということになれば、私は何といっても審議日程等を作って、それで行なっていくというのが原則だと思うんですが、委員長一つ基本的なお考え方、腹がまえを伺いたいと思います。
  25. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 今まで御出席の各委員には、基本的な態度はよく申し上げております。成瀬君はきょう初めて御出席でございますので、御存じないかもしれませんが、申すまでもなく重要法案でございますこの法案に対しましては、この委員会参議院にふさわしく合理的、能率的に、しかも精力的に一つ委員の御勉強を願って十分審議しようじゃないか、そういうことを申し合せて、これは各委員も御了承され、御意見も全く一緒でございます。そういう態度で本日まで委員会運営して参っておりますので、この基本的な態度は今後においてももちろん変るものではございません。
  26. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それでは一つ了承いたしましたから、日程を作ることについて、委員長においても格段の御努力を願いたい。たとえば今日お聞きしますと、委員会をやって後、時間的の問題から理事会でおやりになるということですが、このようなことを十分御検討願えれば、私どもは幸いだと思います。そうすれば委員長の今まで努力された点も実を結ばれると、こう考えます。一つ努力を重ねて要望します。
  27. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) もちろん成瀬君の発言もございますので、委員長におきましても、その通りに今後計画をしっかり立てていかなければならない、かように考えておりますが、日程をきめますにつきましては、これは両派に無関係にきめることができませんことはもちろんでございます。各派においてもよく一つこの日程を立てることに、理事以外の各委員も御尽力を賜わりたい、逆になるかもしれませんが、かように委員長からお願い申し上げます。
  28. 秋山長造

    秋山長造君 私は二、三点、委員長にお伺いします。まず第一点は、せんだっての十五日の午後開かれた理事会におきまして取り上げられた問題は、せんだっての公聴会における林参考人の公述をめぐる参考人の喚問という問題、これは一昨日この委員会において実現を見たわけであります。もう一つの問題は松澤一鶴氏の問題です。この問題については、その日の理事会でも林参考人を呼ぶ問題とは一応切り離して、そしてできるだけ早い機会に拡大理事会を、委員長のこのお言葉によれば、拡大理事会のようなものを開いて、そうしてその席でやろう、こういうお話がありまして、そしてこれはもう全員それでやりましょうということで納得し、確認を得ておるわけです。ところがこの問題についてはその後、何回か理事会があったようでありますけれども、われわれ委員には委員長から何らの御報告を聞かせていただいておりません。ただいまの理事会報告におきましても、この問題には全然お触れになっていないのでございますが、この点はその後、理事会でどういうように運ばれておるのかまた、委員長としてどういうお運びをなさっておるのか、また、これはどういうように今後処理されるおつもりか、その点まずお伺いしたい。
  29. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 拡大理事会と申しますのは、どうも妙な言葉で、これはあまり正式に使える言葉でないと思いますが、実はそのことにつきましては松澤一鶴君の御都合を伺うことが先決だと考えましたので、委員部を通じて御都合を伺いましたところが、旅行に出かけて日曜日まではだめだという御返答で、実は昨日夕方になりまして松澤一鶴君が例の三十団体の昨日の会合の関係で院内に見えましたので、私直接実はお目にかかりましてお願いをいたしましたが、先ほど申し上げたようなわけで行けないということで、それで一つ来週帰られたら早々お願いするからということで御了承を得ておきました次第で、これは理事会の御報告を落しておりますが、さようなことになっております。それで今後御都合を聞いて、来週できるだけ早く先ほどお話が出たようにいたしたい、かように考えます。
  30. 秋山長造

    秋山長造君 大体わかりました。そういたしますと、委員長としてはこの法案審議の過程において、そして時期は来週早々できるだけ早くこの十五日の理事会における決定通り、いわゆる拡大理事会を開いて、この問題についての締めくくりをつけたい、そういうお考えと承わります。
  31. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) できるだけまあこういうふうに各委員の、特に野党側各委員お話を承われば、質疑もたくさんまだあるというお話をいただいておりますので、まあこの委員会を開くことが、何しろ委員会において質疑を尽すということが、非常に当面の重要な問題だと考えますので、できるだけ委員会支障を与えないように、まあ端的に申せば、できるだけ時間をセーブして、そしてこの委員会の間にそういう会合、まあ性質は懇談会のようなことでいこうじゃないかという申し合せをしておりますが、そういうようなことでいきたいと、これは委員長の腹づもりであります。
  32. 秋山長造

    秋山長造君 そして、このまあ日にちをいつやるということは、松澤さんの御都合を伺ってからということにはなっておるわけですけれども、まあ日にちの点はともかくとして、とにかくこの審議過程においてこの問題はこの法案審議と全然別問題というわけにはいかないんでやはり法案審議一つの部門をなす問題ですから、やはり審議の過程において、この拡大理事会は必ず開いて、そしてこの問題についての締めくくりをつけるということは、これは委員長の、単に委員長個人の腹づもりということではなくして、委員長の腹づもりであると同時に、各派を代表する理事会においても確認されておることだというように了解してよろしゅうございますか。
  33. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) けっこうだと思います。
  34. 秋山長造

    秋山長造君 その点は了承いたしました。第二点は、先ほど委員長は、けさほどの理事会の御報告がございましたが、結局この委員会開会時間までに今後の日程その他についての具体的な話し合いができないまま時間が来たので、あくまでこの重要法案審議を続けることが重要だから、理事会は休憩にして、そして本日午前中昨日の理事会できまった通り質問を続けて、そしてそれが終ったあとで、今後の審議日程について理事会で十分相談したい、こういうような御報告だったのですけれども、この点はもちろん理事会各派理事がこれはもう全員了承し、確認をされたことだろうと思うんですけれども、その点もう一度確認していただきたいと思いますので、お伺いしたい。
  35. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 今秋山委員の言われる通りであります。
  36. 秋山長造

    秋山長造君 その点は何ですね、そうすると、きょう総括質問を午前中やって、そしてそれを終えたあとで今後の審議日程について理事会でさらに相談をされるということですから、当然この法案審議は、きょうだけでなしに、今後も、その何日やるということは別問題として、今後もこれはあくまで慎重審議をお続けになると、この方針だけは、これは皆さん御確認になっていることだろうと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  37. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 慎重審議についてば、各派異存はございません。異議はないわけでございます。ただ、こういう意見が出て、ただその理事会で出た御意見並びに私が申し上げた意見をここであれするわけでございますが、この慎重ということはもちろん必要だが、やはり客観的な見方、尺度も必要だろうと、主観だけでいきますと、これはなかなかいかぬから、ここにやはり客観性を持った尺度をもって判断しなければならぬこともあるではないかという意見も出ております。これは私も特に、私の意見としてもそういうことを理事の各位にも申し上げたのであります。
  38. 秋山長造

    秋山長造君 その点で、先ほど荒木さんから自民党の方へ御質問になった点、私もこれを聞きまして、これは非常に重大なショックを受けたのです。一体われわれはあくまでこの委員会を平穏に円満に、そうして慎重審議を今日までやってきたつもりです。また、今後もわれわれはそういう態度でやりたいと思っておったところへ、今日質問の過程において、自民党の方から質疑打ち切りの動議を出されるということを承わった。そういうことがもし事実だといたしますならば、これはまあ全く七首を忍ばせながら仲よくやりましょうという態度だと思う。そういうことでは、私どもはほんとうに専心この法案についての審議を続けていくという気持にどうしてもなり切れない。先ほど荒木さんから自民党の方に対しまして、そういうことが事実かどうかというお問いがあったわけですが、それに対するお答えも、どうもそこのところがはっきりしない。その点は私もう言葉にきぬを着せないで率直にお伺いします。ただいま委員長からけさほどの理事会の御報告があったところを、そのまま受け取るといたしまするならば、自民党の方から午後の理事会も開かない前に、この委員会が終る以前に突如としてそういう動議をお出しになるということは、これはとうてい考えられないことだと思うのですけれども、しかしまた、自民党の方には自民党の方としての、理事会の申し合せなり、長の議事運営のお考えなりとは別に、独自のお考えもこれはあり得ることですから、あえてお伺いするのですが、自民党の方では、そういう質疑打切りの動議をお出しになるというようなことは絶対にないのかどうか、その点私お伺いしたい。はなはだ失礼ですけれども、しかし、これはきょうの審議を続ける上においてわれわれとして重大な問題だと思いますから、あらためてその点を一つ端的にお伺いしたい。
  39. 吉田萬次

    吉田萬次君 私は先ほど申しましたので尽きておると思いまして、もうあらためてここで述べる必要はない。まあその点はあなたもよく御了承だと存じます。
  40. 湯山勇

    湯山勇君 議事進行……。私はやはりこの問題は重大な問題で、実は今の情勢は私ども理事会をやっておる間に起った情勢のように思います。けさになりまして、私ども理事会をやっておる間に、どこからか自民党の方できょう打ち切るのではないかという情報が流れてきた。このことに対する心配は、衆議院のやり方から見まして、必ずしも杞憂ではないと思います。ところが委員長の御報告は、一方にはこういう意見もあって、きょうで終ったらどうかという意見もある、それから一方には、こういう意見もあって、理事会ではきまらない、こういう御報告があったので、これはますますどうも心配だと、こういう状態ではどうも質疑に入っても不安で質疑が続けられない。こういう懸念が突如として理事会の間に出て参ったと思います。委員長の御報告からも、それに対して何ら安委員心できるような材料はなくて、自民党の方はこういう御意見だと言われてみれば、一そうその懸念が深まってくる。そこで委員長としては、理事会の模様をなまのままお伝え下さったことからも、そういう懸念が一そう増しておると思いますので、しかしながら、質疑質疑として続けなければならないと思いますから、そこで委員長の方から、はっきりこういう点を御言明になられれば、質疑に入れるのじゃないかと思うのです。この一般質問をいつまでやるか、そういうことについては後刻の理事会で決定する、こういうことを委員長の方から明確にお示しになれば、これは各委員も安心すると思うので、そういうふうに当委員会として御確認願って、すみやかに質疑に入るように、委員長において措置されるようにしていただきたいと思います。
  41. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 湯山理事の御発言通り委員長考えておりますので、また、こういう問題を長く未解決にしておいては、前申しましたように、どういうことが起るか、これは委員長としてもちょっと会派のことでございますので、責任を持てませんが、従って早く一つその問題をきめていただくことが先決だと思います。しかし、委員長の本日理解いたしておりますところでは、先ほどの吉田委員の御発言通り、これをそのまま御解釈になれば、この中に何と申しますか、きょう御心配になっておるような事態を具体的に考えておられるのではないのじゃないかというふうに私は解釈しておりますので、その点は御心配なく一つ質疑にお入り願いたいと思います。
  42. 湯山勇

    湯山勇君 そこで話は話として、わからないこともないのですけれども、やはり何か不安な点が残ります。そこで当委員会として明確になっておることは、また理事会で明確になっておることは、一般質疑をいつまでやるかということについては、後刻の理事会できめる、こういうことになっておるわけですから委員長としては一般質問をいつまでやるかということについては、後刻の理事会で決定することにする、このことについて各委員委員会で諮っていただいて、そのことに異議ないかどうか、異議ないということになれば、直ちに質問に入れると思いますから、そうお計らいを願いたいと思います。
  43. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ただいま湯山君の御発言通り理事会において諮りたいと思いますが……。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 御異議ないと思いますので、さよう取り計らいます。
  45. 湯山勇

    湯山勇君 それでは質疑に入って下さい。
  46. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それでは質疑に入ります。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 社会教育局長ないしそれに代るべき人、出席なさっておりますね。
  48. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 課長が見えております。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 重ねてお願いしておきますが、委員長理事打合会がまとまらないまま委員会を開くと、せっかくお互いに集まっておっても、かように質疑に入ることがおくれますので、今後ぜひとも委員長理事打合会でまとまった上で、委員会を開いていただくように、重ねてお願いいたしておきます。  本日、私は昨日質問しようと思って質問に入れなかった点、すなわちこの法案がわが国の社会教育に及ぼす影響、そういう立場から伺いたいと思います。いつぞや、文部大臣がこの法律案を提案するに至った動機の第二の、政治的中立性が保てないという問題に関連があり、その角度からお伺いするわけでございます。まず承わりたいことは、今のわが国の社会教育というものを、文部大臣はいかように現状把握をいたしておるか、その点まず伺いたいと思います。
  50. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 私にですか。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さようです。
  52. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 社会教育のことは、まだちょっと日が浅いのでありまするけれども、着々効をおさめておるように思っております。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう少しその点を承わりたいのですが、少くともあなたから、わが国の現代のこの社会教育をながめた場合に、こういう方面は非常にうまくいっていますか。こちらの方はどうも相当に努力しなければならないというような点があると思いまするので、そういう点、いかように現状を把握されておられるか、承わりたいと思います。
  54. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 現状においては社会教育の各部門とも、まだ初めではありまするが、相当均斉を得て発達しつつあると思っております。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 戦後においてこの社会教育の重要性というものが非常に認識されたと私は考えております。それが立法府においては、昭和二十四年六月十日に社会教育法というものが成立したことによっても、私は明らかだと思うのでございますが、社会教育で最も大切な、その自主性と中立性という言葉からこれをながめるときに、少くとも戦後、本日まで展開されて参りました社会教育は、戦前、あるいは戦時中のそれよりは、自主性と中立性を、戦前、戦時中に比べて確保できて本日に至っておる。しかも、それは今後も維持、さらに推進させなくちゃならんものだと、かように私は見ている次第ですが、大臣はどういうふうな御所見を持っておられますか、承わりたいと思います。
  56. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 同感です。あなたのおっしゃる通りに思っております。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでやや具体的に入って参りますが、全国のこの社会教育の横の、さらに縦の連絡調整というものは今のままでいいというお考えですか。それとも、もう少しその連絡調整を緊密にいたしたい、こういうようなお考えを持っておられますか。その辺のところを承わりたいと思います。
  58. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 一そう緊密にいたしたいと思っております。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨日質疑のときに、ちょっと出たわけでございますが、都道府県の教育長の任命に当って、文部大臣が承認をする、その理由は、全国の教育をもう少し文部省の手によって連絡調整をはかりたい、かような意図のもとにそういうことを考えたのだと答弁されておりましたが、それはこの社会教育の面を非常にその必要ありという、重視した立場から出されたものと推測されるのでございますが、そうでございましょうか。
  60. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) かのことは、社会教育も、学校教育も含めたことであります。一そう緊密な連絡を必要とすると思います。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あとほどさらに具体的に伺いますが、婦人会とか、あるいは青年団とか、こういうものの連絡調整という形における全国的な画一的社会教育、さらに運動へ進む方向を意図をされておるのではないかと、かように推測される面があるのですが、そういう点はどういうふうにお考えになっておられますか。
  62. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 社会教育は、その性質上、地域社会の状況にもよることでありまして、これを画一的にやろう、こういう考えは持っておりません。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 話を一つ戻して、例の新生活運動ですね、これは昭和三十年度においては文部省の所管にされておりましたが、そうしてその予算は五千万円でした。昭和三十一年度においては、これを内閣官房に移して、予算は倍額になっておりますが、まず文部省所管から内閣官房に移された理由は、どういうところにあるのか、官房副長官の方から承わりたいと思います。
  64. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 私の方から御説明申し上げます。昭和三十年度は、社会教育特別助成費の一部として五千万円を文部省予算に計上いたしまして、本年度は新たに内閣官房に移しまして、一億の予算を計上いたしたのでございます。そこで、前年度において文部省に計上して、本年度内閣官房に計上したのはどういう理由であるかというごもっともな御質問でございまして、本件につきましては、実は松村前文部大臣が、国会におきましてたびたび御説明申し上げました通りに、三十年度予算編成に際しましては、この予算をどこにつけるかということにつきまして、予算編成の際に十分に打ち合せが完全にできませんで、社会教育の一環としてこれを行うという意味からいたしまして、一応文部省の予算にこれを計上いたしたのでございます。しかしながら、この新生活運動の実態をよく検討いたしますと、この新生活運動は国民生活の諸般の面にわたるものでございまして、かつ関係各省の行政施策とも密接な関係がございます。そういう点から申しますると、たとえば、農山漁村の中における新生活運動、あるいは衛生関係、あるいはその他のいろいろな、今までの間違った宗教的な慣習を矯正するとか、こういう面から申しますと、ひとりこれは文部省の社会教育だけの面から考えられないのでございまして、いずれも各省の行政施策に非常に密接な関係がございますので、かような点から各省行政の総合調整を行う立場にある内閣官房につけまして、この新生活運動を各省に関係した広い面からこれを取り扱った方が妥当ではないか、かような考えからいたしまして、内閣官房に本年度からはこの予算の計上をいたした次第でございます。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が質問するに当って、私の質問の趣旨を明確にすることは、質問意図を明確にすることはいかがかと思いますが、私が尋ねんとすることは、最近の社会教育団体が、戦前、戦時中と同等とは申しませんが、そういう官製的なものに移行する傾向がある今日、この教育委員会法が成立した場合に、委員の任命制、あるいは教育長の文部大臣による承認、こういう形から、さらに社会教育の中立性、政治性が相当に懸念されるのではないか、こういうことがこの法案研究の結果考えられまするので、それでこれから質疑をして参ろうと考えておる次第でございます。  そこで、少し明確にするために伺いますが、新生活運動を推進するところの協議会、協会、これと政府との関係はどの程度の、どういう関係に相なっておりますか。
  66. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) この新生活運動の協議会と政府との関係は、ただいまのところは全然切り離されております。新生活運動協議会には、その決議機関、あるいはいろいろな重要事項を審議するために理事会が持たれておりまして、この理事会におきまして新生活運動のいろいろな基本的な問題、あるいは諸般の重要事項につきまして審議検討をいたしまして、この理事会の方針に基きまして、新生活運動協会としましては、その事業を執行いたしております。しこうして、理事会にはもちろん政府を代表いたしまして、ただ一人官房長官だけが理事として、その名前を連ねておりまするが、ほとんどこの理事会の決議を中心にして行われておりまして、政府自体といたしましては、この新生活運動の事業の内容そのものにつきましては、かれこれ干渉もいたしませんし、またこれに対して指導もいたしません。ただ、新生活運動協会は何分にも一億の予算を計上いたしておりますので、ただ予算執行の面についてのみ、一応政府として監督権を持っておる、こういう状況でございます。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 簡単に申しますというと、新生活運動協会というものは、昭和三十年度では五千万円、昭和三十一年度では一億円という、この助成費配分のトンネル機関みたいになっておるわけですね。
  68. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 新生活運動の現在のあり方といたしましては、今お話しのような助成費のトンネルということではないのでありましてもちろんこの新生活運動を助成いたしますには、十分にその新生活運動の行われておる実態を検討いたしまして、そうしてなおよりよいものにこれを指導してゆくという意味におきまして助成をいたします。それからまた、新生活運動協会自体といたしましても、全国的によい新生活運動が行われておりましたならば、その地域の運動状況を広く各方面にこれを紹介いたしまして、そうしてこれを手本とし、また、これにならうようなことを勧奨いたしまして、ただわれわれの注意すべきことは、新生活運動協会自体が指導精神を持って、これによって全国的にこの運動に右へならえするような、さような指導者的言動のようなことは絶対に排撃をいたしまして、あくまで地方の盛り上る自主的な新生活運動を助成する、こういうことになっておりまして、単に右から左に助成費をお取り次するというようなものでは絶対にないのでございます。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部省の社会教育局長に伺いますが、この中央における新生活運動協会の都道府県における末端組織と都道府県教育委員会との関係は、いかようになり、いかように運営されておるか、その点伺います。
  70. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) お答えいたます。県によりまして異りますけれども、県自体で県単位の新生活運動のための組織ができている県も十数県ございますし、その組織の中に知事部局なり、教育委員会部局、あるいは社会教育関係団体とか、あるいは厚生関係団体、こういう人が入りまして県単位のそうした組織ができておるというふうに存じております。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 繰り返して伺いますが、この都道府県で行われている新生活運動に、教育委員会の社会教育課、さらに都道府県庁の機構の中にある社会教育課ですね、こういう方々が関与していることは間違いないですね。これに無関係で運動を展開している府県がありますが、それはありませんね。
  72. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) 大体社会教育関係の人がその中に関係しているところが多いと思いますけれども……。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはその通りでございます。そこで、官房副長官に伺いますが、そして次の質問に入って参りますが、一体昭和三十年度の五千万円というのはいかようにこれを予算執行されておられるか、時間の関係もありますので、概要でよろしいですから、お答え願いたいと思います。
  74. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 三十年度は一応文部省予算に計上されておりますので、監督は文部省の方に一応まかされてございますので、文部省に答えていただく方が妥当でございますので、文部省の方からお答えいたします。
  75. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) 三十年度の新生活運動のための予算でございますが、これは当初予算額は五千万円ございまして、三月三十一日までに支出いたしましたのが約三千六百六十万円、残りの千三百三十万円ばかりが余りまして、これは国庫に返納いたしております。で、その三千六百六十万円の内訳を大きく申し上げますと、創設費として四百十二万円、事務費といたしまして約四百五十万円でございます。それから事業費が二百八十万円、計三千六百六十七万円、こういうことに相なっております。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は昭和三十年度の五千万円の予算が約千四百万円残っている、しかも今度はこれを総理府に移して予算を倍の一億円にした。それから今の新生活運動の実態、これとこの教育委員会法案というものは、実は関連があるものと私は考えているわけです。それだけに私はたださなくちゃならぬので、今伺っているわけですが、昭和三十年度に約一千四百万円の予算未執行のものが出てきたわけですが、それを倍額の一億円に予算を増額されたということは、これはどういう考えでそうなされたのか、これは官房副長官から伺います。
  77. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) お答えいたします。御承知通り新生活運動は昨年の実際に発足いたしましたのが十月の初めでございまして、発足当初におきましては機構の整備であるとか、いろいろな準備事務におわれまして、実質的に新生活運動の事業の内容につきまして、十分に各府県の運動状況も検討する時間的に非常に余裕がなかったのと、それからまた、設立早々でございましたので、十分に協会自体といたしましても、事業を執行する上におきまして十分なことの検討ができませんでした。従いましてせっかく五千万円の予算をいただきましたが、しかし、これをただ無計画に使用することも、なるべく避けた方がいいというような考えから、良心的に予算の執行につきましては協会自体としましても、ただ有効適切な予算の執行に当りたいというような考えからいたしまして、五千万円の予算のうち、一千三百万円だけは一応残されたわけであります。
  78. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ではまあ質問を続けますが、この社会教育法の第十条に言われるところの社会教育団体の中に新生活運動の団体は入るとお考えになっていますか、入らぬとお考えになっておられますか。
  79. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) ちょっとお伺いいたしますが、各種の社会教育団体はこの新生活運動協会の中に入っておるかという御質問でございますか。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この社会教育法の第十条にですね、「社会教育関係団体」というのがあるわけですね。その「社会教育関係団体」というこの定義の中に、この新生活運動協会というのは含まれるものと考えられておるか、それともこれと無関係のものとお考えになっておられるか、一つ念のため承わっておきたい。
  81. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) これは含まれないという解釈でございます。
  82. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その根拠はどういうことなんですか、説明して下さい。
  83. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) この新生活運動協会はこの定款の目的にもございます通り、現在の日常生活をより民主的な、合理的な、文化的に高めよう。健康で住みよい日本を建設しようというようなことで、ございまして、単にこれを社会教育運動として実施いたしますよりは、もっと広い意味のいわゆる社会生活改善運動と申しまするか、これを単に教育運動に限らずに、もっと広い意味の運動団体としてこれを考えております。従って文部省につけなかったのも、そこにあるのでございます。文部省につけますと、単に社会教育運動と一般にみなされまして、一般の民衆からも単に教育運動じゃないか、かように一応みなされまして非常に視野が狭いことになりまするので、むしろ、もっとよりよい広いものにしたい、かような意味から今の社会教育団体ではなくして、もっと広い意味の生活改善運動の団体である、こういうように考えます。
  84. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではまず文部省に伺いますが、この社会教育法の第十条の「社会教育関係団体」とは、いかなるものと規定されておられますか。
  85. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) 社会教育法の第十条にございますように、「公の支配に属しない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするもの」とございますので、その社会教育の事業を主として行う団体でありまして、しかも公けの支配に属しない団体、それがここに言う社会教育団体であると、さように解しております。
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 例をあげなさい、具体的に。
  87. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) たとえば婦人団体でありますとか、あるいは地域青年団体でありますとか、これらはこの十条に言う社会教育団体、かように考えております。
  88. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほど文部省の説明員が説明されたように、実際末端においてはこれは社会教育関係者がイニシアをとってこの運動を展開されているのですね。で、私はこの第十条に言う「公の支配に属しない団体」、そういう形でこれは推進されていると思うのですが、従って当然この社会教育関係団体としてのワク内に入れられるべきものと私は考えるのですが、文部省としてはどういう見解を持っておられるのですか。
  89. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) 先ほど官房副長官がおっしゃいましたように、この十条に申します社会教育関係団体よりも、この新生活運動の団体はもっと広いものであると私ども考えております。なお、私先ほど申し上げました、社会教育関係の人が、その新生活運動に関係はしておりますけれども、ただし、それが社会教育団体であるというふうには考えておりません。
  90. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この新生活運動の予算を見ればですね、三十年度では事業委託費というのが一千万円、それから三十一年度では事業委託費というのを四千七百万円計上しているようですが、一体これはどういうことに使うのか。しかも、これがこの社会教育関係団体でないということに相なりますれば、まあ第十条に言う「公の支配に属しない」とあるのですが、これがこういう一千万円あるいは四千七百万円というこの助成費をその団体に助成することによって、非常に政府の息がかかってくる私は運動になるおそれがある。しかも、これを実際に末端において主導権を握ってこの運動を展開しているのは、教育委員会あるいは都道府県側の社会教育関係者だということに相なりますれば、その監督をするところの、また指導するところの教育長が文部大臣の承認を得て任命された人であり、その責任者が任命制によるところの教育委員ということに相なりますれば、この新生活運動というものが五千万円の予算を一億円に非常に増額しているだけに、よほどこの運用に戒心しなければ、私はその新生活運動を通しての、これは社会教育の一部も負担するわけですが、その自主性と中立性というものはそこなわれてくる危険が非常に私は大きいと思うのですが、そういう点については文部大臣はいかように考え、また官房副長官は一億円の予算執行に当って、どういう考えを持っておられるのか、まず文部大臣から、次に副長官から承わりたいと思います。
  91. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 先刻以来官房副長官及び説明員よりお聞き取りの通り、新生活運動はそれ自身社会教育団体ではないのでございまして、それよりも広い国民運動の一つでございます。この運動協会の規約第三条には、これは作る時分に私も理事でありましたが、「国民が自らの創意と良識により、物心両面にわたって、日常生活をより民主的、合理的、文化的に高めることをめざして」というので、国民の方からの活動を予定しておる団体でございます。それゆえにその構成員に先刻も申す通り教育委員会関係の者が入り、また、教育長もそれに関係する場合がありましても、新生活運動自身が政府からの指示とか、あるいは指導とかといったような官製の運動になることはないと、かように思っております。
  92. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) ただいま文部大臣がお話し申し上げました通りに、まだ設立されましてから日がなお浅いのでありまするが、まあ政府自体として新生活協会に対してあれをやれ、これをやれといったような指示は絶対にやっておりません。それからまた、新生活協会自体といたしましても、地方の盛り上ってくる、国民から盛り上ってくるこの新生活運動に対しまして干渉がましいことは絶対にやってはいけないと、むしろこれを助成するというような立場において運動を展開してもらいたいと、また地方におきまして、たとえば村役場の村当局の協力を求めるとか、あるいはまた関係方面のいろいろな協力を求めるというときには喜こんで一つこの運動に協力してもらいたい。むしろ官公庁側がこの運動の展開に喜こんで協力をするというような態度をとっておりまして、官公庁みずからが、この運動の先頭に立って指導的な立場になるということは、絶対にこれは避けなくてはならないものだと、かように私は考えております。
  93. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委託事業費はどういうことに使うのか説明して下さい。
  94. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 委託事業費の使い方につきましては、大体各地方におきまする新生活運動を展開する場合におきまして、まあいろいろな費用が必要とし、また、費用がかかったものがあると思います。そういう場合に新生活運動協会に対してこの運動の展開に必要な経費の助成をしてほしいというような一応申請があると思うのであります。その場合におきましては一応その新生活協会の会員が十分に、その現場に参りまして、果してその運動が下から盛り上ってきておるものであるかどうか、それからまた実際に有効にその運動が展開されているものであるかどうか。線香花火式のものではなくして、今後恒久的にこうした運動が展開される可能性があるかどうか、またその部落とか、あるいは町村民の非常な協力があるかどうかというような点を十分に検討いたしまして、この運動が真に適切なものであるという場合において、これに対して助成をいたすことになっております。
  95. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ下から盛り上る適正なる新生活運動は、私も大事なことと考えておりますが、少くとも三十年度における五千万円のこの予算の執行状況については、ずいぶんと鋭い国民的な批判があるということは御承知通りであります。で、私はこの予算を一億円に増額し、この内閣官房に移されたわけですが、下からなかなか盛り上ってこないと、従ってですね、私は今後こういうことが予想されるのではないかと思うのです。文部大臣が承認を与えて任命されたところの教育長にですね、かような新生活運動に、今まで以上に関心を寄せてほしいというような、かような指示、あるいは指導、助言というものを文部省側としては考えておられるのではないか、こういう点を私は一応考えているわけですが、そういう考えは持っているのかいないのか、これを明確にこの際承わっておきたいと思うのです。
  96. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) そういう考えは毛頭持っておりません。
  97. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは承わっておきます。この点についてもう一つ承わりたい点は、この新生活運動では、ずいぶんと講師を派遣して講演会等を開いているのですが、あの講師はいかようにして、いかなる基準によって選定されているのか、まあ少くとも私らの眼から見ますというと、中央においても、地方においても、その講師というものは政府側の見解を代弁するがごとき方々が多くて、政府の政策その他について批判的見解を持っているような講師というものはほとんど見受けられないように私は考えているのですが、そういう反省は持っておられないかどうか、承わります。
  98. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 私どもも中央から地方へ講師を派遣する場合の講師の選択というものが非常にむずかしいものと存じております。また、この講師のいかんによりましては、非常に新生活運動そのものが誤解を受けるおそれがあるのでございまして、さような点から、新生活運動協会におきましても、講師派遣のいわゆる基準的なものを、ここには持ち合せておりませんけれども、大体作っておりまして、なおこの講師派遣につきましては、関係各方面を代表いたしまする理事会等に十分諮りまして、理事会においてこの人ならよかろうと、こういうような方方を講師として派遣をいたしておる次第でございます。その標準として、あくまで中立でなくてはならん、一党一派に偏してはいけない、また、片寄った宗教的なものでもいけない。と同時にまたあまり教訓的なものでもいけない、それからさらにまた、営利を目的とするような広告宣伝であってはいけない、そのほか講師の選択につきましては非常に苦慮いたしておりまして、新生活運動そのものを頭から宣伝するようなことでも、これもまたまずいと思うのです。要するに、盛り上ってくる地方の新生活運動をできるだけ激励する、また、足りない点があったならば、これに対して十分な注意を与えるというようなまあ講師そのものもりっぱな方でなくてはならんと思いますが、さような意味から、講師の選択につきましては十分に注意をいたしております。ただ発足早々でございましたので、あるいは講師の中に多少どうかと思うものもあったのではないかと思いますが、もしそうしたことがありますれば、われわれも今後十分注意して、さらに講師の選択には、最善の注意をいたすように注意をいたしたいとかように考えております。
  99. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は一億円のこの予算の執行と、それからかりに今われわれが審議しているこの法律案の成立後におけるその動向とには、重大な関心を払っていくものでありますが、念のために今まで中央協会で依頼し、派遣した講師の一覧表を次の委員会に資料として出していただくことをお願いいたしておきます。  次に承わりますが、社会教育法の第十二条、「国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、いかなる方法によっても、不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない。」また同十三条、「国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、補助金を与えてはならない。」この二カ条、特に第十三条は相当に最近無視されている傾向があるのではないかと私は考えておりますが、文部当局はいかように把握されておりますか。
  100. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) この十三条については、いろいろ議論がございますが、文部省といたしましては現行規定を尊重いたしまして、社会教育関係団体に対しまして国の補助金は与えておりません。
  101. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第十三条の国の場合はあなたがそういうふうに答弁されれば、それで一応承わっておきますが、地方公共団体の方はいかように現状把握されておりますか。
  102. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) 地方公共団体におきましても、その団体に対して直接補助金は支出していないと私ども考えております。
  103. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 実態を非常に把握されておりません。ことに選挙前なんかになれば、地方公共団体の実態というものは、先ほど社会教育関係団体とあなたが例としてあげました婦人団体、青年団体のようないろいろな形で、県の予算内から支出されておりますよ、何らそういう状況をあなた方はつかまれておりませんか。そういうものを、婦人団体あるいは青年団体に県の予算内から補助金を出しておられないところの都道府県知事というのは、おそらく私はないと思う、どうですか。
  104. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) 十三条の規定を尊重して県はやっておられると私考えております。
  105. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その程度の認識で、教育委員を任命制にしてもあるいは教育長を文部大臣承認の形にしても、教育、その中の社会教育はその自主性、中立性を侵されないというような、その程度の認識で私はこういう法律案を立案されるということはとんでもないことだと思う。どこの都道府県知事でも、この十三条違反を堂々とやっております。この補助金と助成という手を通じて社会教育というものが曲げられるおそれがあるわけです。ましてやその教育委員が任命制になりますと、その傾向はさらに強くなる。これは私は学校教育に及ぼす以上にこれには懸念される面がある、かように私は考えているわけですが、現状の実態把握というものが非常に不十分である。文部大臣はこれをどうお考えになりますか。
  106. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 課長より答えた通りと思います。あるいはこの十条の、社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とする団体が社会教育団体で麦って、私は地方の府県知事かいかなることをやっておるかは、いまだつまびらかにいたしておりませんけれども、やはり団体の性質ということについて、あなたと地方庁との間に幾分意見が違うのじゃございませんか。それでこの問題が起るのじゃないかと思っております。婦人等の集まる団体でも、社会教育を主たる目的としない婦人の団体もあろうと思います。そういうことじゃございませんか。
  107. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その社会教育関係団体という定義については、第十条に規定されているわけですが、この婦人会とかあるいは青年団とか、そういうものを除けば、社会教育関係団体としてはどういうものがございますか。わが国における社会教育関係団体といったならば、先ほど説明員が述べられました婦人団体あるいは青年団というようなものが中核をなすべきものではございませんか。それ以外に積極的にどういう関係団体がございますか。文部大臣、お答え願いたいと思います。
  108. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 社会教育を主たる目的とするやいなやは、一つ一つの団体によって私は違うものと思っております。青年団と名前がつくからといって、全国一斉のものじゃございませんし、けれども、この問題についちゃ、あなたのお問いから起ったんで、私要らぬ説明をしておるかもわかりません。その団体の性質の認識が違うのであなたのような質問が起るのじゃないかというのは、私余分のリマークであります。
  109. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そんなら、主たる目的とする団体、どういうのを御承知でございますか、若干あげていただきたい。
  110. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) 社会教育の事業を主たる目的とする団体で、先ほど大臣が申されましたように、それを目的といたします婦人団体でありますとか、あるいは青年団体でありますとかございますが、そのほかに、例といたしましては、たとえばPTAでありますとか、あるいはボーイ・スカウトでありますとか、ガール・スカウトでありますとか、こういうようなのを社会教育関係団体として把握しております。
  111. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 PTAなどは、社会教育関係団体としては、青年団とか婦人団体よりは低位ですよ。何といっても社会教育団体の中核をなすものは、わが国においては婦人会並びに青年団、これが中核ですよ。これが今の首長によって補助金というルートをもって若干影響を受けているということは、事実ですよ。しかし、今の教育委員は公選である。そうして公選された教育委員会が監督しているところの社会教育課によってこれらを指導していますから、中立性と自主性を侵されずに、だんだんと健全な発達をしつつあるわけです。これが、教育委員が首長の任命制ということになって参りますと、非常に影響が多くなってきて、中立性、自主性というものは非常に侵される。現在においても、選挙前になると、相当の影響があるのです。この前も公聴会のときに私ちょっと伺いましたけれども、大がい選挙前になると、首長は社会教育課長を自分の腹心に入れかえるのが、大体常道ですよ。そうして青年団とか婦人団体へのルートを開くわけです。こういうのが現実なんです。公選の教育委員会制度においてすらそうなんです。これが任命制になりますと、ようやく自主性と中立性を確保して参りました日本の社会教育というものは、再び戦前、戦時中の画一的な、あるいは中央集権的な、自主性を喪失したところの社会教育に逆戻りするおそれが多分にある。そういう懸念は、あなた方はこの法案を立案されるに当ってはされなかったのですか。検討されなかったんじゃないですか。ここに私は重大な問題があると思う。先ほど、青年団あるいは婦人団体に各県の予算から知事を通じてどの程度の助成がなされているかということについて、説明員は、そういうことはないということを言われたのですが、これは現状の把握、実態の把握というものが非常に私は甘く、間違っていると思うのです。文部大臣、いかがでしょう。
  112. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 説明員の説明した通りと思います。
  113. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その実態把握は間違っているのですからね。実態把握が間違って、それを基礎にして立案されているのだったら、そういうところは再検討をされなければ、あなた方の立案趣旨と反する結果になってくると思うのです。
  114. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 間違っておらぬと思います。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ、あなたが間違っておらぬといえば、それは重大なる誤りなんです。事実あるのです。
  116. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) というのは、あなたがおっしゃる……
  117. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは次に伺いますが、文部省の予算の中に、婦人学級の助成予算として、昭和三十年度にはなかったのですが、今年度は四百四十九万八千円予算化されておりますが、これは第十三条違反ではありませんか。私はこういうことを推察し、また承わっておるのです。母親と女教師の会、こういう会が全国にほうばいとして起ってきた。そうして子供の教育を担当している女教師とそれから子供の母親とが、子供の教育、成長と幸福を念願して、はっきり強く結びついた。その会で扱われていることは、やはり教育を守るという立場から、今の政府の文教予算に批判を加える、あるいは文教政策について鋭いところの批判、検討をなす。こういう状況下にある対抗手段として、自民党の政調会でも努力をされているようですが、それに対抗するところの婦人団体を作っていこうという意図与党側にすでに現われて、実行に移されております。その一つの現われが、いまだかつてない婦人学級への助成金としての約五百万円が予算に計上されてきたわけです。この婦人学級というのは、明らかに私は社会教育関係団体だと思うのです。これは私は第十三条違反になると思うのです。私は、わが国の社会教育関係団体、特に青年団とか婦人団体が、さらにこの運動というものが躍進していかなければならんということを考えております。しかし、こういう青年団とか婦人団体を一党一派が支配し、特に国家の予算をもって自分の政党に引きつけようというこういう考え方というものは、少くともその低流があると思うのです。これは私はゆゆしい事柄だと思うのですね。その考え方と今度の教育委員会法案の教育委員の任命制、あるいは昨日かなり議論されましたけれどもどうしても理解できないところの、地方公務員であるところの教育長を政府の責任者文部大臣が承認しなければ任命できないという案、これと相通ずるものがあると思うのです。これは私は、その中立性と自主性を維持して健全なる社会教育が進展する立場から、かなり懸念される重大問題だと考えますので、伺っているわけです。
  118. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 婦人学級は青年学級とともに、社会教育法第六条によって、各都道府県の教育委員会または地方の教育委員会運営にかかるものでございまして、私の教育関係団体がやるものではございません。各方面より婦人学級、青年学級の拡大はたいへん要望されておりますので、私ども金額が少いのを憂えとしておるような次第でございます。
  119. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、婦人学級が盛んになることがいけないとかなんとか言っているのではありません。婦人学級というのは、社会教育関係団体でしょう、そういうものの部類に入るでしょう。それ以外の何に入りますか。
  120. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) そうじゃございませんので、社会教育関係の私の団体ではなくして、教育委員会の設けるところの青年学級と同じ性質のものでございます。
  121. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 社会教育法の第六条の都道府県の教育委員会の事務という中に、「青年学級の奨励に関すること。」というのがあるのです。この青年学級の流れというものは戦前、戦時中の青年学校にその源を発しているのです。ところが、この中に婦人学級云々というものはないのですよ。だから、青年学級と婦人学級を同一視するということは、私は間違いだと思うのです。なぜ婦人学級というのをこれに入れないのです、第六条に。
  122. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 社会教育法を立案した執筆者のことは私知りませんけれども、同法の第五条で「青年学級の開設及び運営に関すること。」、それから第七に「講座の開設及び討論会、講習会、講演会、展示会その他の集会の開催並びにこれらの奨励に関すること。」という規定がございまして、婦人学級もまたこの規定の中で運営されるのであります。もし婦人の中で若い婦人があれば青年学級ということにも当りまするが、しかしそれが一般の婦人、青年、壮年にかかわらず開設する場合には、講座の開設ということでやっておりまするので、私の団体が私に開く場合の助成はいたしません。しかし第五条及び第六条によりまして教育委員会がおのおの公けの営みとしてやる場合に補助をいたす、こういうことでございます。
  123. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは何ですか、本年度の予算に計上されている婦人学級というのは、これは自治体が正式に公立として設けられた場合に限ると、こういうことなんですか。
  124. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 公共団体の中にありまする教育委員会の主催に関するものでございます。私の篤志家が青年学級をやろうといってなさる場合のことについては、この助成は対象といたしておりません。
  125. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう対象になる婦人学級というのは、どのくらいございますか。
  126. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) 大体今婦人学級の数は、数にいたしますと、市町村で設けております数は約一万五千ぐらいでございますが、しかし補助の対象になりますものは、補助金の額からいたしましても、もっとずっと減ると思います。
  127. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは社会教育法の第十条にいう社会教育関係団体には入りませんか。
  128. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) これは先ほど大臣も申されましたように、これは団体ではございませんので、あくまでも婦人を——たとえば婦人学級でありまするならば、婦人を対象といたします教養講座、かように解釈いたします。
  129. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあそういう解釈も一応成り立ちましよう。しかし、私は実質面から、実態の面からこれは把握すべきだと思うのです。そういう立場からすれば、この婦人学級とか婦人団体なんかは明らかに日本の社会教育関係団体の中核をなすものですよ。そういうものを今の政府が支配しよう、その言葉が悪ければ、自分らの政策に協力するような性格のものに持っていこう、この意図があるところを私は問題にしたいのです。で、現状でもその意図は出てきております。それが今後教育長の文部大臣の承認による任命、それから教育委員が公選をやめてそうして議会の承認を得て市長が任命するという形になりますというと、これは私は社会教育の受ける影響というものは大きいと思うのです。特に選挙前後となりますと、助成金等の配付を中心として非常にこの中立性と自主性がそこなわれていくであろうということは、これはかなり明白な事柄ではないかと考えます。そういう傾向を是正していくに当つては、もしこの法律案が通過した後に、具体的な方策としてどういう考えを持っておられますか、伺っておきます。
  130. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) この法律案のうちには、教育長の任命には、地方教育長については都道府県の教育委員会、都道府県の教育長については文部大臣の承認を要する規定があることば、御承知通りであります。しかしながら、全体の方針として、この承認の規定があるからといって、またほかの規定で指導助言の規定があるからといって、統一的、画一的の教育をやろうとは考えておらず、いわんやこの連絡をもって一党一派の政策を実行するの具に供そうという考えは毛頭ございません。明らかに申し上げておきます。
  131. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっと関連してお尋ねしたいのですが、文部省の方で、この二月か三月ごろ、社会教育関係者あるいは青年団関係者、指導者をお集めになって、前文部大臣の松村さんを講師にして会をやられたことはございませんか。
  132. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) これは青少年の関係者の会合がございましたときに、松村前文部大臣が御講演をなすったことがございます。
  133. 湯山勇

    湯山勇君 その松村文部大臣はどういう資格でお出になりましたか。現在はっきり清瀬文部大臣という方がおられるのに、前文部大臣を講師としてお呼びになった。私ちょっとあの書類を見たのですけれども、たしか講師となっておりました。時間は三十分程度じゃなかったかと思います。それはどういう趣旨でお呼びになったのか、そのときの講演の内容はどういう内容であったか、関連してお尋ねいたしたいと思います。
  134. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) 前文部大臣は非常にこの青少年教育に御関心が深くて、御熱意がございました。そうしてお説きになることが、きわめて公正な立場で、青少年教育のことを常々お説きになっておられました。そこでこの大会のときにも、これは前文部大臣とかどうとかいう立場を離れまして、松村先生のお話をお聞きしようということでお呼びしたわけでありますが、そのときの話の内容は、要するにこの青少年の、何と申しますか、新しい進み方と申しますか、そういうことについて非常に示唆に富んだお話を伺ったと記憶しております。
  135. 湯山勇

    湯山勇君 その内容というのは、その点が重要だと思いますが、新しい青年の進み方というのは、その重点はどこにあるというように御説明になりましたでしょうか。これはお尋ねすると長くなると思いますから、資料として出していただきたいと思います、当時の記録があったと思いますから。  それから文部大臣にお尋ねいたしますが、そのときの講師の選定の責任はやはり文部大臣にあると思います。そこでどうして前文部大臣を、文部大臣という資格ではないにしても、講師でお呼びになったか、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  136. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) かつて文部大臣の職をとったということが講師たる資格を失わしめるものとも私は考えておりません。あの方は公正な方でありまするから、個人として私も尊敬しておる人であります。
  137. 湯山勇

    湯山勇君 その青年団の指導者の講習会の講師として、政党人である、しかも政党内閣の閣僚であった文部大臣を講師にしなければ、他に適任者は見当りませんでしたでしょうか。
  138. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 広い日本でありまするから、他にも適任者があろうと存じまするけれども、松村君が資格に欠けておる人とは思いませんです。
  139. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 逐条審議のときにさらに伺いますが、ここで一言承わっておきたいことは、例の三十三条は、自治体が開設する婦人学級あるいは青年学級等にはこれは適用されないものと考えられますが、適用されるのですかされないのですか、そこのところを明確にお答え願いたいと思います。
  140. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 法律の解釈でございまするから私からお答えいたしますが、ことに申します「学校その他の教育機関」とございますので、婦人学級はこれに入りません。公民館、図書館、かようなものでございます。
  141. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その公民館、図書館で扱うものはその中に入るわけなんですね、三十三条の適用を受けるわけなんですね。
  142. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 教育機関の中に入ります。
  143. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 青年学級は。
  144. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 青年学級は入りません、この場合には。
  145. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 青年団、婦人会は入りませんね、もちろん。
  146. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) もちろん入りません。
  147. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さらに詳細な点は逐条審議のところに持っていきまして、さらに伺いたい点は、本年度の文部省の予算の中に、青少年団体活動促進に必要な経費として四千二百三十万円計上されています。この予算は昨年度の六千九百二十九万六千円から約二千七百万円ほど減額されているんですが、これはさっきの婦人学級と関連して伺っているんですが、どういう取扱い方をされているわけですか。またこんなに大幅に三割も減額されたというのは、どういうお考えで、特別何かお考えがあって三割も減額をされたのですか。先ほど青少年団体の活動は非常に大事で、松村文部大臣は特に関心を持っておられるというようなお話がありましたので、承わりたいと思います。
  148. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) 昨年度の団体活動のワクが七千万円でございました。そのうちで昨年度のやった事業で本年度はやらない事業がございましたりいたしまして、そういう面の部分が予算が本年度は減っております。本年度の分といたしましては、昨年やりました青少年の教育キャンプでありますとか、あるいは青少年向きの巡回文庫の費用でありますとか、それから団体の活動のための講習会でございますとか、そういうものが含まれております。
  149. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はね、こういうことを質問しているのは、青年団、婦人団の活動が官製化されてはならない、その傾向があるところから、承わっているわけですが、そのいわば不当な支配を受けない自主的な青年団活動、それから婦人会の活動というものをきわめて積極的に推進していかなくちゃならぬと思うんですが、ただこの法的に若干疑義があるのは、先ほどあなたが社会教育法の第十条で社会教育関係団体は青年団等を含むんだ、こう言われましたね、そうすると、予算に青年団体活動云々というこの四千万円ばかりの予算ですね、これが昨年度は七千万円あったのですが、これが四千万円に減らされたのは、こんなところから減額されたのかなあというようなちょっと感じを持ちましたので、承わったわけですが、これと社会教育法の十条とはどういう関係にお考えになっておられるわけですか。
  150. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) この十条ないしは十三条のいわゆる社会教育関係団体に対して補助はしてはならない、公金を補助してはならないということでございますが、今の青年団体活動の予算は補助金ではございませんが、先ほども申しましたように、県の教育委員会が主催でやりますところの青年の教育キャンプ事業でありますとか、巡回文庫でありますとか、こういうものに対しまして国が負担をするという経費でございまして、直接そうした団体に対して補助金を与えるという支出の方法はとっておりません。
  151. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その説明並びに予算の編成方針は了解します。しかし、ここに文部大臣に重ねて伺いますが、この都道府県教育委員会の教育長の任命に当って文部大臣の承認を必要とするということと、それから市町村の教育委員会の教育長が任命されるに当っては都道府県教育委員会の承認を要する、この点はですね、提案者であるあなたの方から修正されるか、また具体的には与党を通じて修正される御意図はございませんか。私はどうしてもその必要があると思います。御所見を承わりたいと思います。
  152. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) これは運用については、過日以来皆様の貴重なる御意見はよく参考にいたしておりますが、この法案自身を修正するという考えは私は持っておりません。党の委員の方に、また他の方々の御意見は別であります。私は御意見を拝聴いたしましても、この修正の必要はまだ感じておりません。
  153. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政府はずいぶん慎重な立場で立法作業をやられて法案を国会に出されるとは思いますが、しかし審議している間に若干の過誤を発見した場合には、私はすなおに再考されてしかるべきではないかと思うのです。今私は社会教育の立場から伺ったわけですが、今の教育長の問題とそれから教育委員の任命制の問題ですね、ここで再びいわゆる森戸構想というものが出てきますが、少くとも審議の経過からいって、提案者であるあなたは心静かに考えられて、私は教育委員の任命制は森戸構想のあの線まで今は下っておられるのじゃないか、かようなお考えをひそかに持っておられるのじゃないか、かように私は考えるのですが、あえて伺いましょう。もしそうしなければ、教育委員を原案の通り任命制の形に持っていき、それから教育長の任命を承認という形をとっておれば、今の社会教育には若干官製的な画一的なものが出てきているのですが、また与党の方からしかられるかもしれませんが、与党としてはこれをさように与党びいきに持っていこうというこういう私は意図というものは、最近相当はっきり出てきていると思うのです。それだけに、私は社会教育の自主性と中立性を堅持するためには、少くとも今申しました二点というものはどうしても改めなければ、今後のわが国の社会教育に非常に懸念される面があると、かように私は判断せざるを得ないのでありますが、あまり面子なんかにとらわれないで、日本の社会教育の健全なる発展を祈念する立場から、私は再考されてしかるべきではないかと思うのですが、いかがでございましょうか、お伺いいたします。
  154. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 過日以来の議事は、多く私に対する質問でありました。しかしながら、質問の前提としての御意見も、すなおに私は拝聴しております。ますます日本の国の教育の全体的連係を保つためには、あれだけのことは大へん必要なことと、その信念は少しも動きません。しかし教育全般についてのことだけではなく、ほかのことについても、法律運営について皆さんの御意見は大へんりっぱな参考で、私はこれに敬意を表するのでありまするが、あの機構というものはやはり私の信念では正しいものだ、それからしてよく運営されるならば国のために非常になる、こういう信念は微動だにいたしません。
  155. 湯山勇

    湯山勇君 そこで今の矢嶋委員質問と関連いたしまして、昨日、教育長承認の条件として、大臣はその教育長についていろいろ調査をするということをおっしゃいましたが、その調査内容についてはまだ御説明をいただいておりません。その御説明をいただきたい点が第一点。  第二点は、教育長を大臣が承認するというそういう手続だけで、全国の教育水準をそろえていくということができるかどうか。これにもやはり具体的なものがつかなければ、果して承認するということだけでもってレベルが整ってくるということには、直ちに納得できないものがあります。もっと端的に言えば、ちょうど風が吹けば桶屋さんがもうかるというのに近いような、ずいぶんその間にはたくさんの条件が入らなければ、教育長を承認したことによって全国の教育のレベルがそろってくる、こういうことにはならないのじゃないかと思いますので、その間に介在するいろいろな条件を、こういうふうになってこうなってこうなるのだから、全国のレベルはそろってくるのだ、こういう二点について、大臣から納得のいくような御説明を願いたいと思います。
  156. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) お話の前段のことは、昨日も繰り返して申した通りであります。ひとりこの承認のみならず、現在も大学の学長その他の任命は承認をしております。教授会できめたものを、ほとんど毎日参りますのを承認しております。その他のことにおいても、大臣が承認すべき仕事は多々あります。けれど、どんな仕事でも、承認という以上は、文部省の責任でこれは一応いいと認めた上で承認するのですから、各ケース・バイ・ケースでやることでありまして、承認をするけれども一切めくら判だということを、ここで明言するわけには参りません。どういう程度、どういう手続ということは、もうその承認する人のところできまることであります。しかし、きのうからの御心配で、非常にせんさくして、何か警察の機関でも使って、またスパイでも使ってやるといった、そういうふうな帝政ロシアのやったようなことは、りっぱな紳士に向ってすべきことじゃございませんので、一般の行政事務の執行と同じようにお考えを願いたい。  それから水準のことは、この承認一つで日本の教育の水準が保てるということには考えておりませんよ。そんな暴想を抱いておりませんが、しかしながら、やはり各都道府県の教育長を一応文部省へ持ってきてもらう、拝見するといったようなことは、やはり水準を維持する上において寄与することははなはだ大と、こう思っているのであります。はんとうの水準の維持は、それからの実際の行政運営のことであります。
  157. 湯山勇

    湯山勇君 どうもわかりかねるわけですが、やはりわからないから、繰り返してお尋ねしなければなるまいと思います。それは今おっしゃったように、教育長については警察を使うとか、スパイを使うとか、これはまあもちろんやるべきことではないと思います。しかし、それ以外に、教育委員会でいろいろその教育長について検討した結果これを推薦して参った、その教育長について、文部大臣が教育委員会が知った以上に知り得るかどうか。結局教育委員会の推薦した形式なり、検討した形式なりが妥当であるかどうかということを見るだけなのか、その点にはまだお触れになっていらっしゃいませんので、具体的にどういう手続をどうするのだ、そうしてどういう点についてはどういうふうに調べるのだ、こういうことについてはやはり一応明確にしていただきたいと思います。  それから承認ということが直ちに水準の維持ということにはならないのだということでございますけれども、それにはいろいろな問題がついてきて、それによって維持できるのだということでございますが、これには文部省としては法律も作ることができますし、指導要領も文部省でお出しになっているし、それから教科書についても現行法においては文部大臣の検定ということがございます。またこれを扱う教員につきましても国立の機関において養成するわけですから、教育長の承認ということが教育の水準の維持ということにつながるということについては、今のように簡単に御説明になったのでは、少しもつながりが発見できません。やはりもう少し納得のいくような御説明が願いたいと思います。
  158. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 承認をする場合の手続でございます、これはその件々、ケース、ケースによるので、ほかの文部省その他行政庁における承認その他の行政行為をする場合と同じことであります。承認する以上は、承認したものの責任があるのです。責任を尽すためにはやはり一応の考慮、調査はしないというわけにはいかぬのです。御了解を願いたい。千篇一律の手続をするのではございません。  それからして水準維持のことは、あなたの仰せの通り、国の制度としていろいろございますけれども、これを実際に運営するのには、これだけの連絡をつけた方が私はよかろう。さきには寄与するという言葉を使いましたが、その通りでございます。
  159. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点について伺うのですがね。この全国的な水準の維持向上を期しておる、その中には、私はこういうことをお考えになっておられるのだろうと思うのです。四十六都道府県があるわけですがね、教育長を紹介、あっせんをする、そういうこともお考えの中にあって、それを通じてこの各都道府県の水準の維持向上をはかられる、こういうことも一つの私は要素になっていると思うのですが、いかがですか。
  160. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 都道府県の委員会から、教育長の紹介、あっせんといったようなことは考えてはおりません。しかしながら、国のためにいいことであったら、それは何人から言うてきましても、骨は折ります。教育に関することは、法律に違反せざる範囲において、文部省は尽したいとは思っておりまするけれども、この承認ということとそれは何ら関係ございません。
  161. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国のためにいいことをするなと言ったのではないので、国のためにいいことをお互いにしようと思っているのですが、今まで都道府県の教育長選任に当って、紹介してほしいとか、あるいはあっせんしてほしいというような働きかけが、文部大臣にあったことはございませんか。ありませんか、今までは。
  162. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 私が直接受けた話としては、ございません。私は記憶いたしません。何と申しますか、内々いろいろ話はあることはあるかもわかりませんけれども、具体的のそういう事案はございません。
  163. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部省の方では、A県の教育長のあの人の抱負それから経綸、それから執行機関の長としての業績、手腕等から、あの人物をBなる県の教育長に任命してもらったらよさそうだなあ、こういうようなお考えですね、全国的水準の維持向上という立場から、教育長の更迭、転任と申しますか、そういうものが必要であるというお考えが私はあられるのじゃないかと思うのですが、いかがでございますか。そういう必要があるのじゃないですか、どうですか。
  164. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 実際上に必要があって御相談があれば、国のためにいいと思えば、それはやらぬこともなかろうと思います。今約束するわけじゃございませんけれども。その承認ということは、そんなこととは関係ございませんです。
  165. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 秋山委員から質問があるようですから、総括的なんですから、この点は私はこの程度にしておきます。あと昼食に入る前に、社会教育局の方がおいでになっておるから、最後に一つお聞きしたいことがあることだけ保留しておきます。
  166. 秋山長造

    秋山長造君 時間が過ぎてはなはだ恐縮ですけれども、ちょっと一、二点、今の両委員の御質問に関連してお伺いしますが、この承認の問題について、調査するのは、承認した以上は責任を負わなければいかんということをおっしゃったのですが、その責任を負わなければいかんというのは、具体的にはどういうことなんですか、責任という内容はそれをちょっと。
  167. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 承認が間違っておれば、やはりそれは文部大臣の責任であります。責任の限度がいかなるものになるかは、それも事件々々によりましよう。非常な間違いをして国家に損害を来たしたということならば、皆さんの御糾弾も受けましょうし、またそうでなくても、適当ならざる場合には、あるいは進退の伺いをせんならんようなこともありましょうし、正しい行政をいたすつもりでございます。
  168. 秋山長造

    秋山長造君 結局責任を負わなければならんとおっしゃる責任というのは、抽象的なことですね。
  169. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) さようでございます。
  170. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますとたとえばこの承認をされた教育長がとんでもない人間だったというような場合、まあそういう場合もあり得るわけですね。
  171. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) あり得ますね。
  172. 秋山長造

    秋山長造君 そういう場合にはどうされるのですか。承認の取り消しというようなこともなさるのですか、それとも文部大臣の方がこれはもう責任を負っておやめになるということになるのですか、どっちが先になるのですか。
  173. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) それは具体的の事件によるよりいたし方ないじゃございますまいか。そのあやまちの様相によって根本に、たとえば強盗殺人でもしたような者を知らずに教育長に任命したというようなことなら、もう何はさておいても、事実上取りかえの方法にかからなければなりませんね。また手続が完備しておらんだけであって、人はよかったのだという、手続上の問題もございましょうし、その他程度のあり方もいろいろとありましょうから、今一口にお尋ね下さいましても、正確な後に役に立つようなお答えは困難でございます。
  174. 秋山長造

    秋山長造君 まあこの問題も、その条文に行き当ったときにもう少し掘り下げてお尋ねするつもりですが、この何ですね、承認が間違ったときには責任をとらなければならんという場合は、どう責任をとるにしろ、責任をとらなければならんということは、これははっきりしておる。その責任をとる一つの方法として、一旦承認したものを取り消すというようなこともあり得るわけですね。
  175. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 私は行政上は取り消しはできないと思うのです、行政上は……。もっとも行政法でも、私法でも、私がその時分に心神でも喪失しておって無効というのなら、これは別ですけれども、当りまえの正常の意思をもってやった時分には、文部省から命じて前の承認を取り消しはできない。しかしながら、世の中のことはいろいろ扱いもあることでありまするから、地方と協議して何とかその結果を除かなければならんというようなことは、百年に一ぺんあることもなかろうと思いまするけれども、世の中にあり得ないということはありませんわね。実に思いもよらんことがあるものですから、偽名で、人違いで、とっても悪いやつだったということもあり得るのですね、小説みたいな話ですけれども。一々のことで違いまするから、今それを一律に、役に立つようなお答えをする力は、私はございません。
  176. 秋山長造

    秋山長造君 じゃ、この法律の建前としては、一旦承認したものをまた取り消すというようなことは、これはもう予想しておられないわけですね。
  177. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) それは予想いたしておりません。
  178. 秋山長造

    秋山長造君 それからこの法律の条文から考えますと、予想してもおらないが、同時にまた、承認を取り消すというようなことも、法律上しようとしてもできないわけですね。その点もはっきりしておる。承認を取り消すということはできない、法律で。(「声を出さなければ記録に残らん」と呼ぶ者あり)
  179. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君)は、正常な意思状態で文部大臣が承認したものを、文部省の都合で取り消すことはできませず、またいたしません。
  180. 湯山勇

    湯山勇君 今の点でなおお尋ねしたいのは、清瀬文部大臣が承認した教育長についての責任は、清瀬文部大臣がおかわりになっても、次の文部大臣がこれを継承するということになるのでございましようか。
  181. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) その通りでございます。
  182. 湯山勇

    湯山勇君 それから先ほどへちょっと帰りますが、文部大臣が、都道府県の教育委員会委員五名、これがいろいろ審査したこと以上に、その教育長について知識を持ち、あるいは人物評定その他ができるとお考えになられますか。
  183. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 必ずしもそうとも考えておりません。またそうでないとも考えておりません。それもケース、ケースのことであります。
  184. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  185. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 速記を始めて。
  186. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 きょう私は社会教育の立場から伺ったのでありますが、私は社会教育の重大性というものをつくづく感じているものです。そしてこの社会教育に携わる社会教育課の教育に関する考え方、感覚というものを、私は学校教育以上に非常に関心を払っております。ちょうど文部省の社会教育局の方がおいでになったから、この法律と直接関係ないのですが、社会教育の重大性と社会教育課の感覚という立場から、この際聞いておきたいと思うのです。  それは、四月三日に義宮様が長崎に旅行されましたのです。そのときに、あそこの社会教育課で所管している国際文化会館というのがあって、そこに原爆症ケロイドの模型が陳列されてあるのです。それを、義宮様がおいでになった場合に、隠してお見せしなかったということが伝、えられているのです。私は長崎で原爆を受けた一人なんですが、そういう義宮様がおいでになったときにそれを隠してお見せしない、こういう社会教育課の感覚というものは、私はずれているんじゃないかと思うのです。きょう私は社会教育のことを承わりましたので、若い文部省の社会教育担当のあなたに、どういうお考えを持っておられるか、もし今後指導と助言を求められたら、どういう指導と助言をされようとするのか、私はこの際に承わっておきたいと思うのです。これはささいな問題のようで、私は決してそうではないと思う。ことに社会教育というものは、それに携わっている教育課の役人の感覚というものが、私は非常に今後の日本の社会教育のあり方に影響が大きいと思いますので、伺っておきます。
  187. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) ただいまの長崎での義宮様の国際文化会館においでになったときの事情は、初めて私今承わりますので、具体的に存じておりませんけれども、それが社会教育課の方でそういうことをいたしましたのかどうか、その辺のこともわかりませんので、もし必要がございますれば、これをよく問い合せました上で、また見解を述べたいと思います。(「原爆のことを知らぬという、そんな課長ではだめじゃないか」と呼ぶ者あり)
  188. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今こちらからあなたは詰問されておるように、あれほど大きく報ぜられたことを社会教育課の行政官が知らないということは、私はおかしいと思う。この前、銀座における原爆展で、天皇陛下に長崎の原爆の悲惨なお写真をお見せしなかったということがあった。少くとも文部省の社会教育課に席を置いて、しかも説明員として局長にかわってこの立法府の委員会においでになったあなたが、そういう記事が目にとまっていないということはないはずだと思う。もしそれが真実だとすれば、あなたはその怠慢さを指摘されても、釈明の余地がないと思う。まあそれはそれとして、これは判断がつくことだと思うので伺います。そういう悲惨な原爆の写真とか、原爆ケロイドの模型というものを、たとえば義宮様にお見せした方がいいか、それともそれをお隠ししてお見せしない方が適当でしょうか、あなたの感覚ではどういうふうに御判断なされますか、それをお答え下さい。
  189. 蒲生芳郎

    説明員(蒲生芳郎君) それをお見せすることによって特に非常に義宮様が、何と申しますか、不愉快な念を起されるというふうなことで、取り除いたならば、これは別でございますけれども、私はそういうものを特にお隠しして見せないようにする必要はないじゃないか、かように私個人的には考えます。
  190. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの答弁はそれでよろしいと思います。  文部大臣に伺いますが、あの理由は、非常にどぎついお感じを与えるから隠したというわけです。ところが、長崎の文化会館にある模型というものは、小学校の生徒でも全部旅行に来て見ておるのです。むしろ私は義宮様はそういうものを見たいのじゃないかと思う。それらを隠すというのは、旧憲法下における役人の感覚だと思うが、大臣はどういう御見解を持っておりますか。
  191. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) あなたと同様に考えております。他の委員会でもこの問題が出ましたので、私はその通り答えておきました。それから先刻説明員が申したのは、もう少し正確なことという意味で初めに申したのでありまして、あの新聞の通りだとすれば、今お聞きの通り説明員も私もあなたと同意見であります。
  192. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ほかに御質疑ございませんか。  それでは、この二法案に対する質疑は本日はこの程度として、十七日の委員会報告いたしました通り、ただいままで付託されておる二法案に関する請願の趣旨について、報告を聴取することにいたします。
  193. 湯山勇

    湯山勇君 これは文部大臣におっていただかなければ、文部大臣に聞かすためにこれをやるのですから、ちょっと失念しておりました。
  194. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ちょっと速記をとめて。    午後零時四十九分速記中止      —————・—————    午後一時速記開始
  195. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君)速記をつけて。  この程度にしておきまして、本日の委員会を終了いたします。    午後一時一分散会