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1956-04-28 第24回国会 参議院 文教委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十八日(土曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加賀山之雄君    理事            有馬 英二君            吉田 萬次君            湯山  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            笹森 順造君            白井  勇君            田中 啓一君            中川 幸平君            三浦 義男君            三木與吉郎君            秋山 長造君            荒木正三郎君            矢嶋 三義君            竹下 豐次君   国務大臣    内閣総理大臣  鳩山 一郎君    文 部 大 臣 清瀬 一郎君   政府委員    法制局長官   林  修三君    法制局次長   高辻 正巳君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会運営に関する件 ○地方教育行政組織及び運営に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○地方教育行政組織及び運営に関す  る法律施行に伴う関係法律整理  に関する法律案内閣提出衆議院  送付) ○公聴会開会に関する件   —————————————
  2. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) これより文教委員会開会いたします。  理事会の経過について御報告いたします。  まず、前回残りました総理に対する総括質疑を継続して行います。総理出席時間は一応一時間ということになっております。  次に、矢嶋委員から提案されました全国都道府県教育委員会委員協議会申入書に対する関係者出席の件は、協議の結果、この際見合せることといたしたいという意見が強く、留保いたしました。  臨時教育制度審議会設置法案に関する委員外発言につきましては、本日開かれる内閣委員会理事会決定を待って、当委員会としての態度決定いたしたいと思いますが、いずれにせよ、当委員会審議に支障をきたさないよう、委員長において取り計らいたいと存じます。  栃木県黒羽第二中学校の廃校問題につきましては、まず調査室をして実地調査せしめ、その報告を聴取した後、協議することに決定いたしました。  中央教育審議会委員参考人として本委員会において意見を聞く件については、いずれ開催を予定されておる公聴会公述人として出席を求めることがよいという強い御意見もありましたが、最後的な決定に至りませんでしたので、次回の理事会においてさらに協議いたします。  ただいまの報告通り取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  4. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 地方教育行政組織及び運営に関する法律案地方教育行政組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案、以上二件を一括して議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 わが国に二大政党が誕生して、その第一党の総裁が即総理という形態が生じたことを私は非常に喜ぶものでございますが、しかしその以後における国会運営並びに政治動向を見ますというと、二大政党下になって多数党は何でもできるというような考え方が、かなり大きく支配しているように思われます。私はこの二大政党下において国会運営を円滑にし、さらに民主政治の健全な発展を期するためには、二大政党下における近似性と、それから共通広場を得るべく努力しなければならない。特に第一党である政党総裁並びに総理は、格段のその心がけが必要と考える次第でありますが、総理はいかようにお考えになっていらっしゃいますか。まずお答え願いたいと思います。
  6. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 矢嶋さんと同様な考えを持っております。二大政党になりましたならば、政局に立った政党が必ず相当の期間にはかわって、野党がかわるという形なのでありまするから、両党の間の近似性、いわゆる共同の広場というものがよけいできておるということが非常に必要だと私も考えております。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に質問を続けますが、ただいま議題となっておりますところの法律案件につきましては、わが国内においてずいぶんと賛否両論が大きく対立をいたしております。特に教育関係者学者さらに報道関係等は、この法律案件に鋭どい批判反対をいたしておることは、総理御承知の通りでございます。こういう本法律案件に対する批判並びに反対は、学者並びに報道関係方々が、この法律案件について誤解をしている、十分認識しないで誤解に基くところの批判あるいは反対であると、かように総理は把握されておりますかどうか、承わりたいと思います。
  8. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 政府としては、本法案も他の教育関係法でも、みんな教育基本法の理念を前提とすべきものであって、決して悪いものと思っていません。やはり誤解というか、まだ政府考え方が徹底しないことに、起因するものと思います。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点については私理解に苦しむ点がございます。昨日も文部大臣は、学者並びに報道関係報道による論説等は、法律案件内容誤解に基くものであるという、こういう御見解をとられておりますが、総理自身もそういう御見解のようでございますが、これについては私は大きな不満を表明いたします。決して私は日本学者並びに報道関係方々、いわば日本の良識というものは、決してこの法律案件内容を十分検討することなくあるいは論じ、あるいはこれを活字にしているのではないということを、総理はよく御反省いただきたいと思います。そして次に私は質問を続けますが、それはこの教育委員会法改正案については、昨年の総選挙当時に、当時の自由党並び民主党というものは明確な政策として打ち出しておりません。当時のわが国のこの言論界は、総選挙に臨むに当って、各政党教育委員会制度をいかにすべきかということを明確に国民の前に提示して選挙をやらないのはずるい、こういう批評をなしたことを私は記憶しているわけでございます。特に当時の自由党は明確でありました。これは現行教育委員会制度育成強化すると、はっきりといたしておった次第でございます。このことから考えますというと、その当時民主党自由党は、その後自由民主党の名に統一がなされたわけでございますが、私は昨年の総選挙当時を考えるときに、今直ちにかくのごとき育成強化するのでなくて、むしろその教育委員会立法精神を逆行させる、弱化するような法律案を出すということは、民主主義原則に私は反すると思いますが、総理の御見解はいかがでございましょうか。
  10. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は民主主義原則に退化するというようには考えません。民主主義原則民主主義というものを児童の頭にぶち込まなくてはならないのでありまするから、これに退化する態度を、政府はとるはずがないと思っております。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一言続けて次の質問を発しますが、それは総理は、本法律案現行教育委員会法部分的改正とお考えになっていられますかどうか、その点を伺います。
  12. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 教育基本法の第一条は教育目的を明示しておりまして、教育行政運営に当っては、常にその目的根本とすべきものと考えておりますので、原則は決して変っておらないと思っております。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の質問のポイントをはずれておりますが、総理は今の答弁では、本法律案件現行教育委員会法部分的改正だというような御見解に立っておられるように思うのですが、そうですか。
  14. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そうではないと申したつもりであります。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 根本的改正ですよ。
  16. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 原則は変えておらないと思っております。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうすると、部分的改正ということですね。
  18. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そういうことになります。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは時間の関係で論じませんが、総理は大きな認識を誤まっておられます。決してこれは部分的改正でございません。それは時間の関係上突っ込んで申しませんが、ここで私は一つの総括的な質問をいたします。それは今度の教育委員会法改正案というものは、先ほど申し上げましたように、昨年の総選挙当時に、国民に対しては明確にその政策政党は打ち出していないのです。自由党民主党は相違しておったのです。しかも、当時の自由党育成強化と強く打ち出されておったわけでございます。これは現在私は本案件について学者並びに報道関係等について、少しせっかちに急ぎ過ぎるという批判が出てくる一番大きな原因だと思う。さらに、今衆議院において非常に緊迫状況下において審議されておりますところの小選挙法案についても、昨年の選挙当時は明確でございませんでした。これについても、わが国の国論というものは、ずいぶんと沸騰しておるわけでございますが、二大政党下政治運営していくに当りましては、かくのごとき重要案件については、先ほど総理が認められました近似性共通広場を作るという立場から、慎重にも慎重な態度をとられ、私は党首会談等でまとめるなり、あるいは学者諸君が指摘されておるように、一応この法律案を撤回して、そうしてこういう政策を掲げて、来たるべき参議院選挙を戦った後にあらためてやられるというような、こういう態度が、私は二大政党下共通広場を確保して、そうして民主政治育成していくに当って、最も民主的な方法考える次第でございますが、総理の御所見は  いかがでございましょう。
  20. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) あなたの考え方一つ考え方だと私は思います。わが党におきましては、できるだけ早く民主主義政治に沿うところの制度をとりたいというので、教育についても、小選挙区制についても、両方ともそういう見地から着手いたしたいと思っております。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この重要案件本国会継続審議程度にしておいて、参議院選挙後にあらためてやられるというような、こういう考えはございませんか、私はそれが適当だと思うのですが。
  22. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいまのところ、そういう考えを持っておりません。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では次に質問を続けます。それは教育重視教育優先に関する件でございますが、まず伺いたい点は、最近のわが国文教政策傾向から、多数の国民は次の点を懸念いたしております。従ってここに国民の前に総理の御見解を明確にしていただきたいのでございます。それは憲法第十九条の思想の自由、二十一条の言論の自由、二十三条の学問の自由、こういうものを何らかの形で、ある程度制限する考えを持っておるのではないか、かような懸念を持っておる国民は非常に多いわけでございます。総理の御見解はいかがでございますか。
  24. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 憲法の保障しておりますただいま御例示の自由については、むろん尊重しなくてはならないものと考えております。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 続けて承わりますが、このたびの法律案件について、東京大学矢内原総長以下大学学長が象牙の塔から総決起されました。そうして政治動向について、特にわが国の現在における文教政策傾向について、国民に、あるいは自己の教え子に強く訴えられております。かような態度というものは、私は日本文化国家建設民主主義国家建設という立場から、まことに適切なる措置と考えておる次第でございますが、あるいは政府においてこの学者の、ことに大学総長学長のかような傾向を抑制しようとする意図を一部で持たれているのではないかと推測される面がございますが、私は鳩山総理においてはそういう考えは毛頭ないと考える次第でございますが、念のために承わると同時に、これらの学者動向について、どういう御見解を持っているかもあわせて御答弁いただきたいと存じます。
  26. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 先刻申しました通りに、憲法に保障されておりまする自由について、憲法精神に立って行われることは言うまでもないのでありまして、学校先生たちが言う、言論に対してむろん束縛だとか、制肘だとかする意思は持っておりません。むろん尊重いたしまして参考とすべきものと思います。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 繰り返して承わりますが、矢内原東大総長以下東大総長学長諸君がとられている行動というものは、適切なものと総理はお認めいただいている次第でございますね。
  28. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 一般に適切だということを言うわけには参りませんが、尊重して検討すべき、参考にすべきものと思います。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に伺いますが、それは教育重視教育機会均等についてでございますが、最近地方財政の窮迫と、これに伴う再建策として、教師の身分、生活が非常に脅かされ、生徒は十分な教師が与えられないという傾向が非常に強く出て参りました。また、学校建築補助金は減額され、父兄の負担は増大すると同時に、父兄が血の出るような醵出をして建てたところの中学校が、住民意思に反して学校の統廃合が行われるというようなことで、父兄が非常に懸念を、心配をいたしております。これは私は教育重視教育機会均等ということを具現する立場から、非常に嘆かわしい傾向と思いまするが、総理はこれらの解決策について、どういうお考えを持っているか、承わりたいと思います。
  30. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいま矢嶋君の言われたようないろいろな不都合な点が生ずるかもしれないと思います。しかしながら、政府としてはむろん戦後の教育を、非常に大事な政府の仕事と考えておりまして、これの発達については、できるだけの努力を払っておるつもりでございます。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理答弁少し具体性がないので不満ですが、時間がかかると工合が悪いので、次に質問を進めますが、それは教育基本法と本法律案との関係についてでございますが、総理教育基本法教育委員会法とはどちらが先に公布されたと記憶なさっておりますか。
  32. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 基本法の方が先です。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは教育基本法の第一条の教育目的のところの「勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民育成を期して行われなければならない。」と書いてあるが、これを総理はどういうふうに把握なさっておられるか、お答え願いたいと思います。
  34. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) もう一度言って下さい、失礼ですが。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第一条の目的に「心身ともに健康な国民育成を期して行われなければならない。」と書いてある……。
  36. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) わかりました。「自主的精神に充ちた心身ともに、健康な国民育成していかなければならない、その通りと思います。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その通りと思いますでは答えにならない……。
  38. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) これは必要だと思うというのです。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国民というのは日本国民ですからね。これで足らないという人があるのですが、どうしてこれで足らないのですか、総理は他の委員会で足りないということを言われておりますが、国民育成ということをはっきり書いてあるから、私はこれで、日本国民で十分だと思うのですが、どの点が足りないというのでしょうか。詳しくお答え願いたい。総理答弁
  40. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はこの間聞いていたときには、文部大臣はこのほかに日本国民の伝統というものを、やはりそういう自負心を持たなくてはいけない、そういう自覚を持たなくちゃいけないというような答弁をされておる、もっともだと考えておりました。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この国民育成という中には、そういうことは含まれていないと、総理は御解釈なさっておられるのですか。
  42. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 広い意味においては、その中に入っておるとも考えられましょう。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従って、私はこれで十分だという見解を持っておるわけですが、討論になりますから、ここで次に質問を続けますが、あなたがお認めになりました通りに、教育基本法が二十三年の三月三十一日に公布され、教育委員会法はそれを受けて二十三年の七月十五日に公布されております。従って、この教育基本法の前文並びに教育基本法の第十条というものが教育委員会法の第一条にそのまま大きく打ち出されておるわけでございます。この一番大きな眼目は、教育委員公選にあるということはきわめて明白でございます。で、総理に承わりますが、公正な民意というものは、自由な意思によるところの投票で最もよく表われる、かように私は考える次第でございますが、総理はどういうふうにお考えになっておられますか、お答え願います。
  44. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) その問題につきましては、前回にこの席で説明をしたと思っておりますが、やはりそういうような直接選挙による方法もあるけれども、間接選挙によっても差しつかえはないだろうと考えます。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 教育基本法を受けた教育委員会法というものは、そういう間接選挙ということを考えてこれは立法されておるのではございません。それを明確に申し上げておきます。で、これに関連して承わりたい点は、総理衆議院の本会議において、公選されたところの地方公共団体首長が任命するのであるから、だから住民による直接公選に準ずるものであって、民主主義を破壊するものでないと、かような答弁をなされております。
  46. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そう。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで私は伺いますが、憲法第九十三条に、首長住民が直接選挙するということになっておりますが、この首長を直接選挙するというこの制度は絶対に変えないという大前提のもとにこの法律案件は立案され、それに基いてあなたは答弁されておるものと考えられるわけですが、いかがでございますか。
  48. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) その通りと思っております。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ということは、知事市町村長の官選とかいうようなことは考えていないということですね。
  50. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 考えていないということです。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に承わりたい点は、都道府県知事は、従来われわれは教育行政不適任者として追放になったんだということを選挙のとき等演説をしておられます。その都道府県首長教育行政に関与させる、今度は大きく権限が移ったわけですが、これは私は問題があると思うのですが大臣はどうお考えになられますか。
  52. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はあのときの追放というのは、占領軍がまあでたらめといっては語弊があるかもしれませんけれども、根拠のあまりない薄弱な理由によって追放したものと思います。つまり追放ということをどういう理由でどういう的確な証拠によって追放したかということは私にはよくわかりません。私も自分が追放されたのですけれども、どういうわけで私が追放されたか今日全然理解が、わからぬわけです。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の質問を取り違えられて困るのですがね、ということは都道府県知事教育行政に関与しないことに教育委員会法でなっているわけなんです。で、今まで都道府県知事公選される選挙等に臨むときに、私はただ予算を議会で何するだけであって、教育については、教育行政として私は不適任者だということを演説しながら、あの人は当選しているのです。そういう人にあらためて選挙することなくここに教育行政に関与させるということは、私はこれは住民意思に反することだと思う。それともう一点は、今の教育委員諸君はこの任期までは現行教育委員会法、これは相当権限が付与されているわけですが、そのもとにおいて住民にその地域の教育行政の負託を受けているわけなのです。そういう方々をこの十月一日から任期中にその教育委員権限を大きく剥奪するということは、これは住民投票権等考えるときに住民を無視するものであると同時に、教育委員諸公については権限の剥奪になると思うのですが、これは立法上大きな私は疑義があると思いますが、いかがでございますか。
  54. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 現在でも都道府県知事は、私立学校教育行政所管をしております。教育についての不適格者とは私は考えません。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長官……、そんなメモを持ってだめですよ。私立学校にはその通りなんだ、問題は公立学校のことについて論じている。だから総理が何だったら長官はちょっとそれをお答え願いたい。教育委員権限を途中で剥奪する点と都道府県知事公立学校教育については関与しないことになっておったのに、今ここで大きく関与するというようなことになることは、私はこれは立法上大きな問題があると思うのです。
  56. 林修三

    政府委員林修三君) 先ほどの御質問都道府県知事教育行政、一般的な教育行政について不適格者ではないかというような御質問だったので、現在の都道府県知事私立学校については教育行政責任を持っておるということを申したわけであります。で、現在もちろん公立学校について教育行政責任者ではございませんが、これはもちろん立法政策の問題でございまして、都道府県知事にある範囲の教育行政責任を与えるかどうかということは、立法によって解決すべきものと、必ずしも今の知事教育についての不適格者だと断定するまでのことはないであろうとかように考えるわけであります。  それから教育委員会委員の問題でございますが、これも一つ制度としてそういうことを考えることが適当かどうかという、これは立法政策の問題だと思うわけでありまして、必ずしもこれは制度としてある制度を作るということに関連いたしまして、委員任期を場合によっては、そこで打ち切るということは、私は不可能なことじゃないと、立法政策の問題だと思うわけでございます。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 不満ですが、次承わります。それは文部省地方教育行政とのあり方についてでありますが、総理に伺います。国民育成を期して国が教育基本を確立して、さらにそれに基いて必要な法律基準等を定めて、それに基いて国の機関が指導行政をやるのが望ましいのか、監督行政をやるのが望ましいのか、いずれとお考えになられますか。
  58. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 一般的にお返事するのはちょっとむずかしいのですけれども、教育についての指導を与えるということは必要だと思います。干渉はむろんいけませんと思いますけれども、指導は必要だと思います。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 どうもピンと来ないのですが、従来教育委員会法というのは指導行政が筋になっておったのです。このたびの制度からいくと、国が監督行政に転換するのです。そこに私は大きな問題がある。総理としては指導行政の方が適当だという御見解を持っているようですから、これはそれにいたしまして、これに関連して最近私学私立学校、これに対する文相の権限を強化するという動きがあるわけでありますが、私は私学はその自主性が尊重され、独特の学風の高揚というものが期待されなければならないと思うんです。監督官庁教育内容に関与するということは好ましくないと思いますが、私学については相当の御見解を持っていらっしゃる総理としては、必ずや一つの見識を持たれていると思いますが、どういう御見解でございますか、承わりたいと思います。
  60. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私学についても、やはりその学校学風というものが必要だと私は思っているのです。どの学校も、大きく言えば慶応ならば慶応学風早稲田早稲田学風がおのおのその学風を立てることに努力しておるわけでありまするが、そのことをくつがえすような干渉は、文部省のすべきことではないと思います。文部省もそういうことはしないと私は確信しております。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私学についての関与権を強化するような、そういう立法はなさいませんね。
  62. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そういう必要はないと思っております。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に、社会教育の面について承わります。昨年鳩山内閣はこの新生活運動助成費として五千万円を文部省所管下に予算化しました。このたびはこれを内閣官房に移してその金額も一億円にしたようでございます。したようでございますじゃない、しております。これはどういうことを、どういうお考えのもとにかような所管がえをされたのか。これを承わると同時に、私は時間がないから多くを聞きませんが、このたびの教育委員会法の改正の結果、私は社会教育というものが非常にその自主性と中立性を喪失して、政治権力が介入してくるおそれがあると思います。具体的に申し上げますというと、都道府県知事あるいは市町村長が自己の選挙の場合にこれを利用するような傾向というものが現在すらあるわけです。さらにさらにそれが濃厚になってくるおそれがあって、私は日本社会教育がその自主性を喪失するおそれがある、かように考える次第でございますが、鳩山内閣としては学校教育、特に社会教育を通じて、そうして日本教育をあなた方が考えられている政策に迎合できるような体制に、内容をととのえようとする意図のもとに、文教政策を推進しているのではないかとかように考えられていたし方ございません。御所見を承わりたいと思います。
  64. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 学校中立化というか、政治に関与せしめないということは私は非常な必要なことだと思いまして、ただいまおっしゃるような憂いがあるようなことは、政府としてはやる気はございません。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 他の委員質問もありますからこれで終りますが、あなたの答弁は抽象論としては聞こえるわけなのですが、学校教育にしても、社会教育にしても、私が憂えてあなたにお伺いしたことが、この法律案件施行によって実現される可能性が非常に強いわけです。従って私が冒頭に伺いましたように、二大政党において共通広場を持って、そして日本民主主義育成していくという立場からも、今国内を大きく対立さしているこの法律案件を今ここで数の力で強引に押し切るという態度でなくて、もう一歩あなたは第一党の総裁総理として、退いてそして慎重審議される態度をとられることは、私は日本民主政治育成のために最も大切なことと考える次第でございますが、あらためてそれを承わりたいと思います。
  66. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私のただいまの意見ですか。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ええ。
  68. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 教育の二法案を、私どもは必要なものと思いまして、決してこれを政治的に活動せしめるとか、学校の中立化をくつがえすとかいう意味は毛頭持っていない、また急いでおらないのでありまして、誤解がその点にあって、激しい争いが生じてきたものと思います。まず話し合いが足りなかったということを、残念に考えているだけです。
  69. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私からも二、三の問題につきまして総理大臣見解を伺っておきたいと思います。  第一点は、鳩山内閣は占領政策の是正ということを強く主張されております。しかし占領政策の是正ということに対しまして、私は非常に大きな危惧を持っておるものでございます。政府が今日とっておられるいろいろの諸政策を見まするときに、それは民主主義とは逆行する、民主主義にブレーキをかける、こういう方向に進んでおるように感じられるのであります。そういう意味におきまして、私は占領政策の是正ということに対しまして、非常な危惧を持ってわるわけでございますが、特に教育の問題につきましては、私から申し上げるまでもなく、敗戦後の日本教育は非常な刷新が行われたのでございます。その刷新の基本になった点は、申すまでもなく日本民主主義を育て上げるという点にあったと思うのであります。そういう立場に立って教育のいろいろな制度考えられて、そうして実行せられて参ったのでございます。しかし、民主主義というのは、私は日本国民がみずからの努力によってかち得たと言い切ることは困難だと思うのであります。やはり戦争、敗戦という結果によって与えられた部面も少くないと思うのであります。そういう意味から申しまして、今日日本の現状はすべての国民が必ずしも民主主義を身につけて、そうして血となり肉となっているとは考えられない節もあると思うのです。そういう意味において、今日こそ政治家といわず、学者といわず、あらゆる人が民主主義を育てることにさらにさらに努力すべきであると、かように考えておるのでございます。このことはおそらく私は総理大臣も異論を持っておられるとは思わないのでございます。そういう情勢のもとにおいて、民主主義というものを基盤にしていろいろのこしらえられた制度、そういう制度をまだ民主主義が十分成熟していない今日、運営の面において若干の遺憾な点がある、あるいは国情に合わないというようなことで、にわかにこの制度を改変していくということは、私は民主主義の発展のために非常な障害をもたらしてくるのじゃないかというふうに考えているのでございます。今日問題になっている地方の教育行政についても、相当大きな変革を加えられようと政府はしておられるわけです。特に、教育委員会制度は、発足してからまだ日が浅いのであります。この運営が十分にいっていない面もあるということは、これは私も認めます。しかし、そういうことだけをもって、今日直ちにこの制度に大きな変革をきたすような改変を行う、こういうことでは、せっかく民主主義的な訓練を積みつつある現状において、その発展を阻害することおびただしいというふうに考えるのであります。私は特に教育問題については、朝令暮改ということは、いかなることがあっても、避けなければならないというふうに考えておるのであります。教育委員会制度が作られてから、まだ七年しか経験をしていないのであります。市町村において教育委員会が設置されてから、まだ三年しか経過をしておらないのであります。しかも、この教育委員会制度が設けられた趣旨については、総理大臣も何らの異論を持っておられないと思います。そうすればこういう貴重な制度にはもう少し時をかして、なお政府においても、あるいは学界においても、いろいろな方面においてこれが育成強化をし、足らない点は補っていくというふうな態度で進んでいくことが、日本民主主義建設する上において重要ではないかという私は見解を持っているのであります。そういう意味において今にわかに教育制度を占領政策の是正という名前だけで大きな変改を加える、こういうことにはどうしても賛成をしがたいのでございます。そういう意味でこの教育行政の問題についても、いましばらくその発展を期待して、そうして見守っていくべき段階ではないかというように私は考えておりますが、総理大臣見解を伺っておきたいと思います。
  70. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は占領中に実施せられましたる諸制度、あるいは法律を改正したいと言いましたのは、決して民主主義の芽をつもうとか、民主主義の発達を阻止しようとするという面では毛頭ないのであります。占領政策というものは、占領当初において占領国がどういう考え方をしていたかといえば、第一の目的は、戦敗国、敵である日本を再び軍国主義にならないようにすることにあったと思います。これは当然だと思うのです。軍国主義にならないようにするために。第一に考えたのは、弱い国にしてしまおう、まあ弱い国にしてしまえば、もう大丈夫だというの炉第一目的であって、占領諸政策をやったものと思っているのであります。教育についても、簡単にいえば、歴史教育とか地理教育などをやめてしまって、日本人が地理、歴史についての信念を失うようにしよう、日本が再び独立国家として繁栄しないようにするという目的のもとになされたものと私は思ったのであります。これは正しい考え方だと思います。今日外国、戦勝国たちが今日は日本もやはり相当の力を持つということが、世界平和を維持するために必要だということを考えて、それで日本に助力を与えて、日本にも自衛力を持たして、そうして世界平和を保つ一助にしようと考えておるものと私は思っておるのであります。そういう意味で、私は占領中の諸政策を再検討したいということを言い出したのであります。なお、戦後の教育委員会制度、この運営上適当でない点を改めようとするものでありまして、この改正は民主主義原則を改めようとするものでは絶対にないのであります。民主主義をほんとうに発達さしていくのにはどうしたらばいいだろうか。それはやはり幾度も申しました通りに、個人の尊厳を、お互いが自分自身の尊厳を尊重し得るように、尊重するようにする制度を作り上げることだと思っております。
  71. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちょっと関連して。鳩山総理はそういたしますと、日本を強くするということは、国民政府という関係において、政府権限を、権力を非常に強くする、こういうことと同一のことだというようにお考えになっているんでしょうか。
  72. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 全くそんな考えは持っておりません。政府権限を強くして、その国が強くなったというようなそんなことを考えるということは……、そういうようなばかげたことは私は考えません。国民各個の人間が完全になるということが、一番その国が強くなることなんです、実質上。
  73. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この占領政策日本の弱体化をはかる、そういう考えのもとに推進せられたというふうに判断をするということについては、私には非常な意見がございます。それからまた教育上の問題についても、歴史や地理を廃止してそうして日本国民のこの自覚というものを喪失せしめようとしたとかというように判断しておられることも、相当私は問題があると思うのであります。私は地理や歴史を教育してはならない、そういう見解を持っておるものではありません。しかし今日の教育が、鳩山総理考えておられるように、歴史や地理が廃止されたというふうには私は考えておらないのであります。そういう点で、私は今述べられた意見については、相当問題が残っておると思いますが、私が申しておる重点は、いろいろな民主主義を基盤にして考えられたいろいろの教育制度、この教育制度の運用について、国民がまだ十分習熟していないという面は私はあると思うのです。しかし、それはこの短い経験においてすぐに要求するということが相当無理である。やはりかすにもう少し長い時間が必要ではないか、こういうことを言っておるのであります。従って朝令暮改式に何でも変えてしまうのだ、そういうことでなしに、もう少しこういう制度を見守っていくという態度が必要ではないか。こういうふうに言っておるわけなんです。
  74. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 教育制度を朝令暮改するというようなことは、非常に悪影響を及ぼすものと、私もその点については同感でございます。
  75. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その次の問題といたしまして、この世論に耳をかすという言葉がございます。今度政府が出されました法案に対しまして、非常に世論の強い反対があるということについては、総理大臣も御承知だろうと思うんですが、この世論の強い反対があるというその世論を、どういうふうにして政府国会もこの世論を聞くかという問題、そういう問題について私は総理大臣にお伺いしたいと思うんですが、もちろん政党政治でございますから、はっきりした政策を打ち出して、そうして選挙の際に国民批判を受けるということは申すまでもないことでございます。しかし、われわれは国会においてこの法案審議をしているそういう段階において、非常に強い世論があるという場合に、どういう方法でこの世論に耳をかすか、これは国会においても言い得ることでありますが、政府においても、一たん政府考えに基いて提案を国会にした。しかしそれに対しては非常に強い世論の反対があるという場合に、総理大臣はこの世論に耳をかそう、そういう態度をとられるのか、あるいは先ほどお話があったように、これは誤解に基くんだ、あるいは法案理解が十分でないのだ、そういうことで片づけて押し通そうとせられるのか。私は民主主義制度のもとにおいては、すなおにこういう強い反対に対しては耳をかすべきではないか、こういうふうに考えるのでございますが、総理の所見を伺っておきたいと思うのであります。
  76. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 国民の多数の意見政府の提案に反対だということが明瞭であるならば、それはその国民多数の意見に従うのが私は当りまえだと思うので、政府はかようには考えていないのであります。教育委員会制度につきましても、その改正については世間の意見というものは賛否まちまちだと私どもは見ております。反対論のうちには、法案内容誤解している向きもありますので、そういう誤解を解くことに努めていくことが必要だと思います。それから民主政治というものは、あなたのおっしゃる通りに、国民意見が基礎になって行われていくのでありますから、国民の多数の意見に耳を傾けないことを政府がやりますれば、次の選挙において、かくのごとき政府というものは惨敗をくらうのは当りまえなことであって、そこに政変が起きて、悪い政治というものは葬られる。専制政治のように、政治家が考え一つでもって右にいき、左にいくというのなら、非常に危険ではあるけれども、直截明確で非常に結果を上げる場合もあるけれども、直截明確にいくかわりに非常に危険性がある。しかし、民主政治の方はそういうような長所はありませんけれども、しかしながら悪い政治をやれば、必ずその政府は倒れるという制裁があるのでありますから、政府が世論に耳を傾けないで間違った政治をやれば、必ずその政府は倒れていく。次に国民意思に沿うところの政府ができるはずでありますから、民主政治というものは、そういう長所があるから、あまりに御心配にならなくていいだろうと私は思うのです。
  77. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 衆議院のこの法案に対する様子を見ておりましても、自民党と社会党の意見の対立というものは、非常に激しいものがございました。私は教育の問題につきまして、こういう激しい対立の中にあって、ただ、国会における多数をもって押し切ればよい、そういう形において押し切られておることに対して、国民は非常な不安を感じておるというふうに私は思っておるのであります。その後新聞論調などを見ましても、あるいは国民のいろいろな意見を聞きましても、参議院の良識に期待する、こういう声が私は相当強く起っておるように感じておるわけでございます。もちろん政党一つ政策決定してこれを強力に遂行するということについて、私は抽象的に異議をはさんでおるわけではありません。しかし非常に激しい対立のあった問題、そういう政策がただ多数をもって強力に推進するということだけであれば、現在あなたの党は衆議院においても絶対多数を持っておられます。それから参議院においても過半数の、あるいは過半数に近い勢力を持っておられます。これを押し通そうとすれば、それはできることであります。しかし、ここになぜ国民が参議院の良識に期待するというふうな声を出しておるかというのです。また、一つ政党決定した政策、これを多数をもって通すということであれば、現状の衆参両院においては、私はその考えは実現されると思うのであります。同じような態度でもって、そうしてこの審議段階においても、国民の声を十分反映するという手段をとらないならば、私は二院制度というものは必要がなくなってくると思う。この点はもう少し申し上げますが、衆議院において多数をもって押し切り、同じ態度をもって参議院においても多数をもって押し切るというならば、参議院の存在というものはなくなってしまう。ここに国民が参議院に対して良識を期待しておるという点があると思う。そういう意味において参議院の審議においては、私は特別な期待を国民が持つのは当然であり、また、われわれはそれにこたえなければならない、かように考えておるわけでございます。そういう点について総理大臣の御所見を伺いたいと思うのです。
  78. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 二院制度をとっております以上は、今荒木さんのおっしゃる通りに、参議院は参議院としての良識をもって別個に取扱われるということが理想だと私は思います。
  79. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 総理がそういうお考えを持っておられるとすれば、参議院の自民党として、衆議院と同様な態度というものは若干是正されなければ、総理が期待しておられるような、総理が今言われたような結論は生れてこないと私は思うのです。そこに総理は自民党の総裁でもあるわけであります。参議院の議員諸君に対して、自民党の議員諸君に対して、党の決定であるから、これを強行するのだ、そういう態度を緩和することを総裁として考えておられるかどうか、そういう点を伺いたいのであります。そうでなければ、総理がおっしゃったことは参議院において実現されないわけであります。
  80. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 参議院議員諸君は、参議院議員としての職責を尽されることに異論はないものと私は思います。参議院議員としての良識によって行動せられるものと私は信じます。
  81. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は、事実は参議院においてもやはり衆議院と同様な形が現われてくるのじゃないかということを考えております。そうして国民が参議院の良識に期待するという期待は、裏切られてしまうという結果が現われてくる、こういうふうに考えているのであります。そういう意味において、私どもは今日この参議院の良識に期待するという国民の声をこの法案審議において反映するように努めたいという考えを持っている一人であります。そういう意味で総理大臣の所見を伺いたいと思うのですが、この問題についてもう少し、参議院には緑風会という会派もございますが、自民党、緑風会、社会党の間において、この世論の動向についても、これらの法案の問題についても忌憚ない話し合いをする、そういう機会を作るような御努力を願えないかどうか、委員会において質疑をし、やっていけば十分できるとまあ総理はお考えになっているかもしれませんが、それだけでは私は十分でないと思うのです。もう少しこの問題は、世論の動向から考えても、また衆議院審議の状況から見ても、この参議院の各会派においてもう少し忌憚ない話し合いをするという、そういうことに自民党の総裁として御配慮願うことはできないだろうかということをお尋ねをいたしまして、私は質問を打ち切る考えであります。
  82. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は、よく話し合いができまして、円満の通過をこいねがっております。
  83. 湯山勇

    ○湯山勇君 各委員からいろいろ御質問がありましたし、時間もあまりありませんから、私は質問の過程を通じて疑問に思っている点を、総理からお伺いいたしたいと思います。それは、この法案について国民がいろいろな不安と誤解を持っているということを総理がおっしゃいましたし、また占領政策の是正についても国民はいろいろ不安と誤解を持っている。今回の参議院選挙においては、総理は、国民に対して占領中にできた諸法制、諸制度を改革する必要があるかどうか、そういうことを聞きたい、こういうことを言っておられたと聞いておりますが、このことには間違いございませんでしょうか。
  84. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 国民が……。ちょっとしまいがわかりませんでしたが……。
  85. 湯山勇

    ○湯山勇君 もう一度申し上げます。国民に対して今度の参議院選挙においては、まず第一に、国民に対して占領中にできた諸法制、諸制度を改革する必要があるかどうかということを国民に聞きたい、こういうことをおっしゃっておられますが、この点は間違いございませんでしょうか。
  86. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 政府考えておることを国民によく徹底させたいということは言いました。
  87. 湯山勇

    ○湯山勇君 それはそういうことも、もちろん総理はおっしゃっておりますけれども、四月の十九日の社会労働委員会におきましては明らかにこういうふうにおっしゃっております。「国民に対しては、占領中にできましたところの諸法制、諸制度の改革をする必要があるかどうかということについて国民意見を聞きたいと思っております。それから外交政策としては、平和政策一点張りでよろしいかどうかということも明らかにしてもらいたい。軍備拡張というようなことについて、軍国主義になりはしないかとか、あるいは侵略戦争を企図しているのではないかというような誤解国民の間にないようにいたしたいと考えております。」こう述べていらっしゃいますので、このことはただいまも将来も変りないかどうか、これをお尋ねいたしたいと思います。
  88. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 変りございません。
  89. 湯山勇

    ○湯山勇君 ただいまの御発言は、表現も、内容も、総理らしいお言葉であると私は思って速記を読んだわけですが、そこでそういうお立場に立てば、当然教育に関する諸法制、諸制度総理のこのお約束の範疇に入る、こう解釈するのが妥当であると思いますが、そう解釈してよろしゅうございましょうか。
  90. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 教育についても国民政府考え方について誤解のないようにいたしたいと思います。
  91. 湯山勇

    ○湯山勇君 誤解を解くというのは軍備について、軍備拡張について抱いておる誤解を解くと総理はおっしゃっておるわけです。それから諸制度、諸法制の是正をするかどうかということについて国民考えを聞きたい、こう言っておられるわけですから、教育の問題というのは、先般来の御答弁にもありますように、占領中の諸法制へ諸制度の再検討、この範疇に入ると思います。そうすれば当然総理はそれはしていいかどうかということを国民に聞くという、その中にこれは含まれるべきだと、こう解釈いたしますが、間違いでございましょうか。
  92. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) あなたの御質問の趣旨がわかりました。この現在提出しております政府提案につきまして国民意思を問うて、そうして提案をし直すというような気分は持っておりません。
  93. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういうことでございますれば、占領中にできた諸法制、諸制度の是正について国民意見を問うという中から、ただいま御提案になっておる分は省いておると、こういうことでございますか。
  94. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) まあそういうように理屈詰めに言われると、すべて国民意思を聞いてからやりたいというような気分になるのですけれども、ものには緩急がありまして、政府でいいと思ったことは、やはり片っ端からやっていく義務もありますので、それでまあ政府でいいと思ったことはやり出したわけです。
  95. 湯山勇

    ○湯山勇君 総理のお気持は大へんよくわかりました。そこで今おっしゃったように緩急があるということについてでございますけれども、私はこの問題は総理がどう御把握になっておるか存じませんけれども、そう急を要する問題ではないと思います。それはどういう意味かと申しますと、この法律の特に市町村教委の設置につきましては、昭和二十七年に一年延期するという政府態度が表明になっておりましたのが、急に解散になりまして、全く逆な方向に、置かないという方向から急転、置くこととなって、わずか二カ月の間に誕生しております。それでも、とにかく国民はこれをこなして参りました、今日まで。当然総理がお考えになっていらっしゃるように、参議院の選挙は七月中に行われます。そうすると、そのあとで国民意思に従って臨時国会をお開きになりましても、おくれる期間はごくわずかでございます。せいぜい半年もお延ばしになれば、総理が今お答えいただいたような、国民意見を聞いてこの法律を通すことができます。しかもこの問題につきましては、全国の有権者はほとんど父兄でございます。どんないなかへ参りましても、この問題についての批判はできるはずでございます。なお例をあげて申しますならば、放送法は政府がお出しになると言っておられたのですけれども、これは提案を見合わされることになったと聞いております。先般医薬分業などで、お医者さんと薬屋さんの対立がひどかったときには、これを順次延期して、最終段階で一年三カ月延期したことによって、両者歩み寄りができて、今日の状態になっております。緊急を要するという言葉の把握いかんにもよりますけれども、私は半年、一年を争うような問題ではないと思いますが、総理はどうお考えでございましょうか。
  96. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 政府としては、世論は政府の方針を支持するものと認めております。
  97. 湯山勇

    ○湯山勇君 ほんとうに総理は、世論は政府の方針を支持するとお考えになっていらっしゃいますか。
  98. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいま湯山さんのおっしゃったのは二十七年のことですね。二十七年以来ずいぶん歳月を経まして、その間に国民意見は熟してきたと考えております。
  99. 湯山勇

    ○湯山勇君 昨日文部大臣にもお尋ねしたのですけれども、総理にもお聞きしなければならないことになりましたが、それでは、国民の過半数あるいは大多数が、この法案は待ってもらいたい、あるいは、この法案反対だという明確な意思表示があった場合には、総理考え直される御用意がございますか。
  100. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そういう場合には検討したいと思います。
  101. 湯山勇

    ○湯山勇君 これをなお追及すると長くなりますから、検討するという総理のお言葉を信頼いたします。  次に、ここでお聞きしておりますと、総理は非常によくもののわかった方のように私は感じるのでございます。(笑声)ほんとうでございますよ。(「どこでもそうだ」「そんな失礼なことを言っちゃいかぬよ」と呼ぶ者あり)ところが、その総理が、これは自民党の総裁として先般衆議院で中間報告を求めて強行採決をされました。これは何と申しましても総理であり、党の総裁であるという立場から、その全責任総理にあるということは否定できないと思います。こういう事実を見ますと、今のような失礼なことを言わなければならないので、大へん私としても残念なことだと思いますが、あの最後の段階におきましては、自由民主党と社会党の言い分の違いは、一日待つか待たないか、四日にするか、五日にするか、わずか一日の問題であったということは総理も御存じの通りでございます。それをどうして一体ああいうふうに強行突破されたか、総理の御所見を伺いたいと思います。
  102. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 政府としては議院規則を破ったということは絶対にありません。議院規則に従ってやったのであります。決して違法な手続によって成立したものではございません。
  103. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は手続が違法だとか、あるいは違法でないとか、そういうことをただいまお尋ねする気も持っておりませんし、また、お尋ねしてもおりません。ただ衆議院におきまして一日、二日の問題で、あれだけ混乱と世間の批判を受けるようなやり方をどうしてなさったのですかということを、お尋ねしておるわけでございます。
  104. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 衆議院の文教委員長委員会を開きませんので、やむを得ずあの処置をとったのだそうであります。
  105. 湯山勇

    ○湯山勇君 とったそうでありますという御答弁は、やはり不満であります。
  106. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) じゃそこを削ります。不満の点だけ削って下さい。文教委員長委員会を開かなかったがゆえに、やむを得ずとった処置であります。
  107. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういう事実は総理は御存じないので、文部大臣が横の方から何か書いて渡したために、総理はそういうことを言わなければならないことになったのでございます。(笑声)文部大臣が、(「しゃべったって書いたって同じじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)ちょっと妨害しないで下さい。文部大臣が妙なものをお渡しになるから、取消してくれと言わなければならなくなったので、大へんお気の毒でございます。そこでそのことを私はただ追及するのではなくて、ああいうことが国民政治に対する信頼をだんだん失わしめる要素になっていくということを、総理は十分御認識になっておられると思います。さらに私が申し上げたいことは、そういう問題がそこだけでとどまるのならば、それはまた、私は国会内の政党の対立ですから、やむを得ない面もあるかと思いますけれども、事は文教の問題でございます。教育の問題でございます。そういたしますと、この法案をめぐって今国内に起っておる事態の顕著なものをあげてみますと、この法案が通らなければ町村長は重大な決意を持っておるという意思表示をしております。さらにまた、全国の教育委員会委員諸君は、同じようにこの法案を強行すれば、重大な決意があるということを申しております。さらにそれだけではありません。この法案審議する私ども野党の立場の議員も、おそらく与党の議員の各位も非常に苦慮しておられるし、委員長もまた同様だと思います。そこでこういう事態に追いこんだということは、法案のよしあしは別としても、こういう時期にこういう法案を出したことによって、ほとんど抜き差しならない立場に全国が陥れられている。こういうことになっておると思いますが、この事態に対して、総理は一体どういう御見解とこれに対する対策をお持ちになっておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  108. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 重大な問題については、激しい争いが生ずるということは、これはやむを得ません。やはりそこは勇気をもって、いいと思う方をとって、これを実行に移していくよりほかに道はないと思います。
  109. 湯山勇

    ○湯山勇君 総理の御信念はよくわかりました。けれどもですね、たとえば医薬分業の場合とか、昨日田中委員が例におあげになった農業団体の問題とか、そういう問題ならば、これは直接これによって影響を受ける者は選挙権を持ったおとなでございます。だからこれに対抗するそれぞれの判断も手段も持っておるわけですけれども、このような中で町村長が重大決意を実行に移しても、大へんだし、教育委員が重大決意を実行に移しても、これまた大へんです。そしてその犠牲になるのは、子供でございます。そういうことを考えますと、もう少し事前に共通な話し合いの場を持って、御提案になる前に、共通な話し合いの場を持って、そういった事態の起らない態勢をとった後に、総理が御提案になるということが私は望ましい、こういう法案の提案の仕方だと思いますが、総理はどうお考えでございましょうか。
  110. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 重大問題については論争が激しくなるということは、これはまあ自然のやむを得ざる趨勢だと私は思います。教育委員会の改正問題は、ずいぶん前から長い間の懸案であります。で、そういうような情勢が生じてきたものと考えます。しかし、関係団体の方面では、良識をもって善処してもらいたいということを期待いたします。
  111. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういうことは私どももそう願いたいと思うのですけれども、総理が先ほど御答弁になりました中に政府のやり方が悪ければ、それは次の選挙において批判をされて政府が倒れる、こういうことをおっしゃいました。しかし、こういうことが今日の政治の何といいますか、行司役と申しますか、行き過ぎを是正する道だという意味のことをおっしゃいましたけれども、教育に関する限りは、私は今総理のおしゃったような観点だけからおやりになるということは、非常な問題があると思います。たとえば今こういう法律を、衆議院でやったと同じような方法を強行されまして、国民批判を受けて、次に別な政権ができたと仮定いたしますと、そのやり方は全部変えなくてはなりません。そのときにも支持した人と直接教育を受ける子供とは別でございます。そこで私はこういう教育に、子供に影響のある法律というものは、たとえそれがいいとしても、よければいいだけに、国会でこういう事態を起さないように十分慎重な扱いがあってしかるべきではないか、また端的に申しますならば、これは私一人の考えでございますけれども、三分の二議決とか、あるいはもっと多数の賛成のできるようなそういう体制をこそとってしかるべきじゃないかというように考えますが、総理はこの点については、どういう御見解をお持ちでございましょうか。
  112. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 教育が非常に重大なる政治であるということは、これはもとより言うまでもないことであります。政府としては慎重審議をもってこの問題を検討して、その結果提出したのでありまして、決して党略を考え、党利を考えてやった問題とは違います。
  113. 湯山勇

    ○湯山勇君 最後に、時間が参りましたから総理に御要望申し上げ、かつ御答弁いただければいただきたいと思います。それはこの法律に対して国民が非常に不安の念を持っておる。そのことについては総理もお認めの通りでございます。そういう不安の念というものが、あるいは総理の言葉をもってすれば、理解が足りない、誤解からきておるというように言っておられますけれども、私は必ずしもそういうふうには言い切れないと思います。それは従来私どもがたびたびあのサンフランシスコの条約ができたときには憲法改正するんじゃないか、ということを申しておりました。当時政府憲法改正は絶対しないということを言っておられました。それからその後は憲法は軽々に改正すべきものでない、こういうことになり、今日では憲法改正するということを総理も明確におっしゃっております。私どもは今この法案に対していろいろ心配な点をあげておりますけれども、言論の自由を圧迫するのじゃないか、あるいは権力支配になるんじゃないかという心配をあげておりますけれども、私どもの心配が事実にならないことを願っております。けれども残念ながら、軍備の問題にいたしましても、憲法の問題にいたしましても、私どもが心配した通りのことが、そしてまた当初にはそういうことは絶対にないんだ、万一にもそういうことはないんだと言われたことが、万一が千一になり、百一になり、十一になり、厳然たる事実になってきておるのでございます。こういうことを見ますと、単に誤解だとか、あるいは取り越し苦労だとか、そういうことだけでもって、この際私どもは引き下るわけには参りません。そこでお願い申し上げたいことは、本日総理の御心境を承わりますと、私どもがこの法案に対する総理態度として、衆議院のやり方から見て、心配しておったような点は若干思い過ごしであったということが、私には理解できました。けれども私にはそういうことが理解できたからといって、国民の不安なりあるいは現在これに対して意見を述べておる報道関係者の意見なり、あるいはその他学者たちの不安はまだ総理の御意見だけを聞いただけでは、決して解消してはおりません。そこでこれを解消させる道は、本院におきまして十分国民の納得のいくような審議を尽す、総理としても総裁責任において、決して無理な結論の出し方はしないということを責任をもってやっていただく以外に、今日この段階においては、とるべき手段はないと思います。このことも総理はよくおわかりいただけますと思いますので、この点に対して総理のお考えを最後にお聞かせ願いたいと思います。
  114. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 教育委員会の改正問題も、ずいぶん長い間の懸案であります。私どもは諸君の良識を信頼いたしまして善処せらるることを期待しております。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して一言だけ。総理は大へん多忙のために、われわれ十分ただすべき点をただすことができなかったわけですが、今後総理答弁を基礎に担当文部大臣答弁者として、われわれ審議して参りますが、私は最後に関連して総理に要望し、お尋ねをいたしておきたい点は、私が質問申し上げましたように、わが国は初めて二大政党下に入りました。二大政党下における党首の権威というものは高いものであると同時に、責任はきわめて重大でございます。特に第一党の党首においては、格段にその重さは重いと私は考えます。政治は実践でございます。先ほどわれわれは承わりまして、確かに総理はわれわれの納得のできる御発言がございましたが、あくまで政治は実践でございます。私は責任ある第一党の党首として一つしっかりやっていただきたいと思うのでございます。従ってここで私は総理にお耳に入れておかなければならないことは、全国の学生諸君は、政治権力の介入による国家統制の教育を押しつけられるのではないかと心配しております。また、青年諸君は青年団を官製化することによって、軍人要員充足の社会教育を施されるをではないかと、かように心配をいたしております。また、これと関連いたしまして全国の教職員はその身分を、生活を脅かされ、特に女教師というものはあるいは四十五才、あるいは主人次第では、三十二、三才で整理されるというような男女不平等の行政下に、その政策を非常に批判いたしつつございます。で、さらに私はお耳に入れておきたい点は、あなたのこの文教政策から、このたび国会に提出された予算案では、学校図書館費で千六百八十三万円減、定時制教育通信教育費で四百十八万円減、理科教育振興で二千三十三万円減、産業教育振興費で七千五百六十九万円減、私学振興費で五千万円減、公立文教施設補助費で二億二百九十九万円減、かような予算を出されて、また一方、収入面では授業料の五割の値上げによって、授業料及び入学検定料を四億五千万円増徴いたしております。さらに、学校農場及び演習林の収入を一億五千万円増徴する、かような政策の結果、父兄はその教育費の負担増についても心配いたしておる。これが鳩山内閣の最近の文教政策傾向なんです。あなたが先ほどわれわれ同志三人にお答えになった言葉からすれば、これは私はすべては背反しておると思う。政治は実践でございます。第一党の党首として、さらに鳩山内閣総理として、先ほど湯山委員から、ずいぶんと要請があったようですが、心静かに御検討なさって、参議院自民党にも本法律案審議に当って、あくまで慎重審議態度をとられるように御指示願いたいことを御要請申し上げておきます。よろしゅうございますか。
  116. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 参議院の諸君の良識に私は信頼いたします。あなたが、日本を軍国主義にする考え方政府が持っていて、それを学校教育に及ぼしていくというふうなお話がありましたが、そういうような気持のお話がありましたが、そういうことは絶対にありません。再び日本国を軍国主義にするというような考え方を持っておる閣僚は一人もありません。
  117. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それでは総理大臣に対する質疑の御通告者で、本日御出席の方の質疑はこれで終了いたしました。  各委員にお諮りいたしますが、文部大臣まだ御出席でございますが、日程が、大へん来週の休日が多いというような事情もございます。できるだけ審議を尽すべきだと思いますが、あと一時間ばかり御勉強いただいて、文部大臣に御質疑をなさることについて、いかがでございますか。
  118. 笹森順造

    ○笹森順造君 ただいまの委員長の御発言のごとく継続を希望いたします。(「きょうは午前中です、反対」「賛成」と呼ぶ者ある)
  119. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について、お互いに委員長理事会というのを持ちまして、本委員会運営協議してやっております。先般本委員会でですね、土曜日は午前中でということで、委員長委員長理事打合会の結果御報告なされ、本委員会で了承されましたので、私どもきょうの午後の計画をいたしておりますので、委員長におかれましては理事会の申し合せの線に沿って、委員会を御運営いただきたいことをお願い申し上げます。
  120. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 議事の都合によりましては、午前中のものが一時ごろになるようなことは、これはどうもあまりけっこうではないのでありますけれども、院としてままあることです。午前中という考え方でございますけれども、確かに理事会においては午前中ということにいたしました。ただ私は明週の休日の多いことを非常に気にいたしますので、できるだけ先ほどの御意見にもございましたように、本委員会として、静かにできるだけ審議を尽したいという気持でお諮りをしておるわけです。
  121. 笹森順造

    ○笹森順造君 やはり私も今の議事進行に関して発言させていただきます。先ほど来熱心な皆さん方の御審議、しかもその中でどなたも慎重審議したいということでありまして、これは本委員会に託された使命であるとも存じます。従って委員長が仰せになりましたように、理事会等の申し合せ事項は午前中ということでありますということも、今承わっているのでありますけれども、慣例に従いまして、大体一時間ぐらい延びた例はずいぶんたくさんあるわけであります。従ってこの午前中にやるという委員長の意味において、慣例に従って今委員長発言されたような時間内においての延長をして、この審議を進めて、この貴重な機会を持ち得ることを期待します。なぜなら、これから引き続きますいろいろな休みが続きますことから、審議もいろいろな遅滞をするということを憂えますので、国民的関心も非常にありますので、この議論あるいはまた質疑は、大体一方的なことに偏しているようにも考えられますので、国民の前に正しい判断と理解を得るために、やはり他の意味における質疑をしたことも、これまた慎重審議のためにいいと思いますので、ぜひこれを皆様御海容お願い申し上げます。(「今の発言について賛成「継続」と呼ぶ者あり)
  122. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それでは委員長において、あまり時間が長くならない範囲で一つ質疑を……。(「異議がある」と呼ぶ者あり)
  123. 秋山長造

    ○秋山長造君 それはただいまの笹森さんのせっかくの御意見ですけれども、慎重審議ということを大上段に振りかざされて、そうしてもう一時間やろうということは、大へん筋が違うと思う。それは筋が違うのです。慎重審議ということは、会議運営していく根本原則ではあるけれども、それが直ちにだからあの理事会で、ついおとといの理事会で、土曜日は午前中、正午までということは、もう繰り返し皆さんお立ち会いの上で、しかも来週のことをも十分話し合った上で、全くこれはもうみな納得、十分納得した上で約束されたことなんですから、だからその約束だけはきちっと守るようにして運営していただかんと、これはもう慣例によってとか、何とかそんなことはとってつけた理屈だと思う。私は絶対反対します、そういう運営の仕方は。
  124. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) わかりました。委員長からお答えいたします。理事会でいろいろ御相談してきめましたことは、ほかにもございます。だから一点だけを取り上げられても、委員長としては取り扱いかねるのでございまして、他の事柄も理事会できめました事柄は、きちっときめて、その通りやっていきたいと、委員長はさように考えております。(「賛成」と呼ぶ者あり)土曜日ことでもございますし、そう長く御勉強願うつもりもございませんが、せっかく文部大臣出席しておられまするので、文部大臣に対して質疑をお続け願います。(「委員長、ちょっと」「いや、もうそれでいい」「話をまとめるためにやっているのに何言うのか」と呼ぶ者あり)ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  125. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 速記をつけます。  文部大臣に対して御質疑があれば総括質問をお願いいたします。
  126. 秋山長造

    ○秋山長造君 そんなでたらめな運営があるか、それは間違いですよ、約束通りきちっとやって下さい、私は帰ります。
  127. 笹森順造

    ○笹森順造君 地方教育行政組織及び運営に関する法律案並びにその施行に伴う関係法律案が、去る三月十二日内閣から参議院本会議に提出せられまして、その際に文部大臣が趣旨の説明をせられましたときに、私は基本的な要点について質疑をいたしました際に、首相並びに文相の御答弁がありましたし、また、本日も首相に対する本委員会委員の間に質疑応答がかわされました。私もその質疑に対しまして  は、なおその意を尽しておらない点がございますので、総括質問の意味において若干のことをお尋ね申し上げたいと思います。  そこで第一点は、先ほど来、この法案教育基本法をそのまま堅持して、その思想の上に立ってやるものである。すなわち、教育目的並びに方針をあくまでも堅持して、その上にこの法案というものが考えられたものである、こういうことを言っておられるのでありまするが、これがやはりあくまでも基本法目的及び方針を貫くという精神によって、この法案が最後まで貫かれておるものであるかどうか、この点を文部大臣にお尋ねいたします。
  128. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) この法案は、地方の教育行政組織運営でございます。教育根本となるべき教育基本法初め、学校教育法等の目的は少しも変える考えではございません。
  129. 笹森順造

    ○笹森順造君 そこでお尋ね申し上げたいのでありますが、教育基本法の制定の当時の事情、つまり昭和二十年の十月に連合軍が日本国家の諸制度の改変を考えました際に、単に制度の改変だけでなくて、その国民の持っておりまする思想、感情の中まで入ってこれを変革していこうと、こういう意図があったことは事実でございます。そのねらいのもとに、この基本法というものが発足したという当時の情勢について、今どういう工合に文相は御判断なさっておるかお尋ねいたしたいと思います。
  130. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) この基本法制定のときは、私は議席を持っておりませなんだから、当時いかなる発言、いかなる審議によって制定されたかは、直接のこととしては存じません。しかしながら、これに至るまでの経過は、文献その他によって調べております。これができまする来歴は、占領軍わが国を占領したのは、昭和二十年でありましたが、五年のうちにマッカーサー司令部は教育の改革を企図したものと思います。二、三の重要なる指令も出ております。そのうちに先刻問題となった歴史、地理、修身をやめるということがあった。翌年一月にアメリカの教育使節団の派遣を要請し、教育使節団は三月より来まして、日本教育家の援助を得て日本教育を調べ、その上に一つのレポート、報告を出しております。それらを基礎といたしまして日本教育刷新委員会なるものができております。その答申等も参酌されて、その当時の考えで、戦後の日本教育基本として、これが提案され議決されたものと、かように私は承知いたしておるのでございます。
  131. 笹森順造

    ○笹森順造君 その際に、司令部の考え方といたしましては、従来の日本教育の中に超国家主義的なもの、軍国主義的なものがある、これの普及することを禁止すると、こういう考え方が多分に含まれておる。この影響をこの日本教育基本法が多分に受けておると、こういうことをお考えになりますでしょうか、なりませんでしょうか、そのことをお伺いいたします。
  132. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 今述べましたアメリカ使節の報告の中には、超国家主義は排除すべきものだという意味のことが掲げられております。間接あるいは直接にそれが影響していることは事実と思います。
  133. 笹森順造

    ○笹森順造君 極端な国家主義を禁止した結果、日本民族の自覚を失ったり、自己を卑下したりするようなことになったと、こういうことになって、今日の日本教育にある欠陥をきたしたという工合には、お考えにならないでありましょうか。つまり、強大な軍備の力はそれに劣る軍備を、あるいはまた武力を倒すということが、これはあり得ることだと思います。しかしながら私考えてみますと、民族の持っております歴史的な価値の蓄積というものと、あるいはまた、文化的な教養の信念は占領政策の武断政策によってはこれは滅却さるべきものではない、ここに私はむしろ尊いものが、そういう試練を越えてなお民族の教育の上に確立さるべきよいものがあるのじゃないかと、こういう祈念がありますので、これに対しますところの御判断を、今の御心境においていただきたいと思うのであります。
  134. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) この教育基本法が提案された時分に、あのときは参議院じゃなく貴族院でございましたが、ある貴族院議員は、これに国を愛する趣旨が一つも載っておらぬじゃないか、第一条です。項目といいますか、あげた眼目は人格の完成、平和主義、真理と正義の愛好、個人の価値、勤労責任及び自主精神、こういうことはあるが、愛国の文字が少しもないという質問が出ております。たしかまだ生きておられる佐々木惣一博士だと思います。それに対してときの文部大臣は、平和的な国家及び社会の形成者と言っておる、国家という文字があるからして、やはりこの中に含んでいるのだということをときの文部大臣は答えております。しかし、この第一条をさらっと見ると、それだけでは私は国に対する忠誠の心の表現は薄弱と思います。その当時の文部大臣はそう答えるよりはいた仕方がなかったんだろうと思います。何分わが国は占領最中でございます。そういうふうに私はあの速記録を読んでおるのであります。自来、この教育基本法施行いたしましてほとんど十年になりまするが、世の中では今日の国民思想について、いかにも青少年がコスモポリタンに陥って、真理と正義を愛することはいいが、日本国民だという自覚が少いという批判はあるのです。われわれはよき伝統はこれを守って、新しく進むことには勇敢に進もうという保守主義者でございますが、そこで今回の法律は現在教育基本法があるんでありますから、これに従ってやっておるので、一点俯仰天に恥じることはございませんが、しかし教育のこの状態をこのままでいいかどうかは、別に臨時教育審議会なるものをお作り願いまして、そこで別に御審議を願おうと、そういうことはこの地方教育行政組織またはその運営においては、法律が改正にならないのになったような心持でやるわけにいきませんから、本案としては現在の教育基本法をそのまま正直に守っていく案に相なっております。
  135. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちょっと委員長、関連……。
  136. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 笹森さんよろしゅうございますか。(「発言は承認を受けてやれよ」「だから承認を受けているじゃないか」 「やかましく言うなよ」 「それじゃ休憩してやろう」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お静かに願います。勝手な御発言はおやめ下さい。
  137. 笹森順造

    ○笹森順造君 私は発言中でありますし、質問が半分になっておりますから、どうぞもう一言言ってから、委員長において関連をお許し願いたいと思います。
  138. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それじゃ荒木さんにちょっとお待ち願って。
  139. 笹森順造

    ○笹森順造君 ただいまの文部大臣の御発言は、この問題の大意をとらえて御所見をお述べになったものだと考えられます。つまり、この日本の国にはやはり古来からわが民族の中にあった美点、しかもそれは普遍妥当な真理であると考えられるものが多々あると、私どもは確信を持っております。あるいは世界同胞主義であるとか、あるいは博愛の思想であるとか、そういうようなことは、わが日本の民族歴史の中に、教育伝統の中にあったものだと、こういう工合に私どもはむしろ感じておるわけであります。従いましてこの教育基本法に掲げてありまする、ただいま引用なさいましたことの中に、つまり個人が社会に対し、個人が国家に対するところの責任、つまり国家の形成者としての存在という問題が十分に考えられなければならない、あの言葉には非常なうんちくがあると私は考えている。そこで先ほども総理大臣がやはりいいものがこの教育基本法及び日本の現在の教育行政考え方にはあるけれども、なお歴史的な伝統的なものも尊重していきたいということと、今の文部大臣のお考えとは符節を合するものがあると考えられる、この普遍的なものをもって、しかもこれを日本的なものとしていくという点に、やはり私はもう一応新しい法律案内容を実際に具現するときにも、やはり十分な配慮がなければならない。つまりこの地方教育組織運営の面に当りましても、今の点が相当強く出てくるということの必要性があるのじゃなかろうか、そういうそれをどういうふうに考えているかということを実はお尋ねしたわけであります。従いましてその意味において、私が、今の点に対する文部大臣のお考え方がさらにまた進展して、具体的の問題に触れて、またこれがたとえば文部大臣の措置権というような問題が出ました際に、これは当然問題になるので、根本的な結論に達しなければならない問題だと考えておりますので、これはその点に触れてまた後に御質問申し上げますけれども、ただいませっかく他の議員から関連質問が出ましたから、この際はその関連質問を受けた後に続いて私の質問をさしていただきます。
  140. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 今のは、私の答えを御要求でしょうか。
  141. 笹森順造

    ○笹森順造君 要求いたしません。
  142. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほど笹森委員質問に対して、文部大臣答弁の中に、現在歴史、地理、修身を教えていないのは占領軍当局の指令によるものであるという答弁がありました。これは私は重大な誤りであると思います。よってそれの資料を出してもらいたい。
  143. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) あれはたしか昭和二十五年の十二月三十日と思います。その指令がありました。その後、翌年の六月にそれは解いております。現在禁止しておると私は言うた覚えはありません。昭和二十五年に占領が解けて……、そのうちに重大な教育に関する指令が十月二十日と十二月三十日と思います。そのことを言ったので、ただ後に解いたことは知っております。翌年の六月と思います。解いて……
  144. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 昭和二十五年ですか。それなら出してもらいたい。そんなものはないな。(「出してもらいます」と呼ぶ者あり)
  145. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 翌六年六月に解いたと思います。解きましたが、しかしながらその内容はもとの通りじゃいけないのです。そういうことであります。そしてわれらの歴史とかいう別なものが標準的に作られております。
  146. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 間違いないですか。
  147. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 今二十とたびたび言ったのは四十の間違いですから……。
  148. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 四十というのは何ですか。
  149. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 一九四五年。(「だから昭和二十五年と違うでしょう。」と呼ぶ者あり)
  150. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほど問題になっておったのは、現在地理、歴史が独立しておらないということは事実です。修身科も独立しておらないということも事実です。しかし、これは占領軍当局の指令によったものでないのです。占領当初それは一時的に禁止したこともあります。しかしこれは解かれておって今日行われている教科目、教科内容は自主的にこしらえられておるのです。それを先ほどの答弁から言えば、現在の行われている教育占領軍のこの指令によって禁止されているというふうに説明が受け取れるのです。ですから私は誤りである、こう言っているのです。昭和二十五年にそんな指令なんかないですよ。(「ない、ない」と呼ぶ者あり)私はその当時もうよく知っている。
  151. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 一九四五年の十二月二十二日の教育に関する占領の目的及び政策指令というのがあるのです。だからそれに引き続いて一九四五年十月三十一日の軍国主義教育罷免こういうのがありまして、それからして同年の十二月三十日に修身、地理、歴史をやめろ、こういう三つのものがあるのが占領初期のデレィクティヴです。
  152. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは一時的なものですよ。(「昭和二十五年ですか」と呼ぶ者あり)
  153. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 一九四五年です。(「だから昭和二十五年じゃないでしょう。それを荒木君は間違っていると言うのです。」と呼ぶ者あり)
  154. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 占領当初に解かれているのですよ。今の教育関係ないのですよ。
  155. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 今のとは言いませんよ。従前の来歴を示せとおっしったから占領の初めから、四五年にそういう指令があって、四六年の一月にミッションが来て、そしてその年の六月に一たんこれは解除しまして、そして別の歴史の本ができたのです。今その指令が有効と私は言っておりません。のみならず日本独立と同時にこれらの指令が全部廃止になっているのです。
  156. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 荒木君それでよろしうございますか。
  157. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は指令が有効とか無効とかそんはことを言っているのでは広いですよ。今行われている、先ほど総理大臣のお話しになった地理や歴史がない、これは占領政策じゃない、そういうことです。そういう指令によって今日は拘束されていない。自主的に教科内容というものは決定されておる。だから間違いだと、こう言っているのです。
  158. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) なお誤解をとくために今言っているのにもう一つ追加しておきますが、昭和二十一年、すなわち四六年の十二月十一日に連合国の最高指令官から日本の歴史及び学科の再開に関する指令が来ております。すなわち翌年に(「そんなことを聞いているのじゃない」と呼ぶ者あり)再開せられたことを知っておりますので、今禁止せられておるということを言っておるのじゃございません。そのときの速記を見て下さい。私は占領の初めから順序を追うて私は説明したのです。(荒木正三郎君「それでは速記を見てみます」と述ぶ)そんなことはよく私は商売で知っておりますよ。(「何だそれは」「何の商売」と呼ぶ者あり、笑声)
  159. 笹森順造

    ○笹森順造君 戦前戦時中までの日本教育目的並びに方針は、その淵源するところわが民族の理想といたしております文化的な歴史的な蓄積の中に見いたしておったのでありますが、しかしその素材の選択されたものすべてが今日及びその以後の教育の理想にこれは合致するとも私どもは考えていない。あるいは君主主義、命令服従主義、人格無視の傾向、あるいはまた民主主義時代の教育に払拭さるべきものがあるということはこれは言を待たないところであります。しかしだからと申しまして、教育そのものの根本をなす道義、すなわち今日の教育基本法に言うところの人格達成の土台となる個人の道徳、家庭の道徳、社会道徳、愛国心、博愛、国際親善等のこういう思想が日本歴史の中に十分あったものであるということを私どもは考える。ところがこういう考え方において、今の教育が実際運営されておらないということがありはしないかという懸念を持つのでありますが、この点は文部大臣はどういうふうにお考えになるのでございましょうか。
  160. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 先刻も笹森さんの第一のお問いに答えましたように、いかにも文字の上においては教育基本法わが国の伝統なり、国を愛する心なりそれなどについての要因が薄いかのように感ぜられるという世論も多いのであります。それゆえにそういう方向に向っても検討を加えていただきたいというので、別の委員会の諮問の中にはそれを入れようと考えております。
  161. 笹森順造

    ○笹森順造君 ただいまの文部大臣のお考えで、そういうことで将来を期するということは一応わかったわけでありますが、しかし現在の法案は今の基本法の上に立てられたものである。従って今の基本法の中にもこの思想が十分にあるということでなければ、ただいま提案されましたこの法案というものが一致しない。ですから私どもの言いたいのは、今の出されております法案の中にむしろこの教育基本法の真実なるものがあるのだということの表明を実はしていただきたかったのであります。つまりそうでなければ、この中にありますところのいろいろな考え方があるいは反動のごとく考えられる、あるいはまた、これが今の日本教育あるいは民主主義教育に反するもののごとく考えられる心配がある。ところがそうではないのだ。真の民主主義理解がこの法案の中にあるのだという、そういうことの確信を一体お持ちになっておるのかどうか、これは私は本会議の議場においてもお尋ねしたのでありますが、それに対するところの御答弁は十分に伺えなかった。むしろ将来に臨教審において改めようとすることではなくて、それはそれとして今根本的に変えるのじゃないのだ。それならばこの法案の中に、この精神が十分に盛り込まれておるのだというこの確定した、明徹なやはり御確信がなければ、私どもは納得ができぬ、こういう意味なのであります。
  162. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) この法案は、現在の基本法を実は基準として立っておるものでございます。たとえば法案の五十二条に「教育の本来の目的達成を阻害」するもの、そういうものについては是正を命じようという規則がある。で、この「教育の本来の目的達成」というのは、この法律を発布するときの本来の法規によったものであります。昔と違いまして今は教育目的法律に書いてあるのです。昔のような勅語に書くとか、あるいは勅語はないけれども、修身書とか、修身書をさかのぼれば、論語でありましょう。そういうふうな意味じゃなく、法律それ自身に内容的のものも外形的のものも、法律に書いておるのです。でありまするから、教育本来の目的というのは、現在ある基本法と現在ある学校教育法でこれは発布しておるつもりであります。しかしながら、別途教育本来の目的というものを検討されて、それに修正が加えられれば、またそれになるのであります。これを御賛成願えねば、発布の日にある法律本来の目的と御解釈願うより仕方がないのであります。ただ、学校教育法をごらん下さるというと、基本法では、そこは少し不明、または弱いと思いまするが、学校教育法の第十八条には、御承知の通り国家の現状と伝統について、正しき理解を持て、こういう規則がありますから、よく運用すれば、笹森さんお考えのことも教育のうちに入るのだろう、こう私は見ておるのであります。私の考えが誤まっておれば別でありまするが、私と同じような考えを持っておる方があって、そうして臨時教育制度審議会において、あなたのおっしゃる通り日本の、まあ簡単に道徳といいましょうか、伝統的の道徳をも教育に多分に加味するということが現われましたならば、この地方教育もまたそれに従っていくように相なるのでございます。今の瞬間においては現在のようなお答えをするより仕方がないつもりであります。
  163. 笹森順造

    ○笹森順造君 私はただいまの文部大臣の御答弁は妥当と信じておるわけであります。と申しますのは、教育基本法目的に掲げておりまするところの個人の尊厳と申しましても、あるいはまた、自由の権利と申しましても、それは同時にまた同じ法律の中に国家の建設者として、はたまた人類福祉への貢献者としての面が十分に掲げられているのであります。この点が忘れられませんならば、今のお話はこれでもって十分にこれは達せられるのではなかろうか、この車の両輪のような二つのものがある。ところが個人の自由というものの尊重が、あまりにも強く打ち出されると、せっかくこの教育基本法の中にありまする社会全体の構成者として、建設者としての面がおろそかにされておるという、こういうものがありはしないか、この一面が十分に考えられて、すなわちこの前にも総理がお話しになりましたように、個人の自由というのは他人のやはり自由、権利をも認めることだと、このやはり社会の中に個人があり、個人をもって社会が形成されている。この理解が十分にあるということならば、私は多くの誤解がこれで解かれるのじゃなかろうか、この信念においてこれが立てられなければならないのだと、こういう意味でこの点が十分に強調せられ、理解せられると、この法案に対する多くの誤解が解かれるのじゃなかろうか、この点の配慮がまだ足らぬのじゃないかということでお尋ねしているわけであります。そこでなお進んでお尋ね申し上げたいのでありまするが、この今日の教育には、憲法の第十二条、第十三条の公共の福祉に対する責任が往々にして軽視され、あるいはまた置き忘れられおるのじゃなかろうか、すなわち、この個人の自由というものは、あまり乱用され過ぎるような弊をきたしておるのじゃなかろうか、この点に対するところの配慮が、やはり将来文部大臣権限等においてこれが浮いてくるのじゃなかろかと、こういうことを考えますので、これに対する御理解の程度をお伺い申し上げたいと思います。
  164. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) この憲法十二条、十三条のことは、その後に改正された日本民法の第一条とも関係するのであります。この憲法それ自身は、いわゆる自由主義または法治主義の憲法でございます。それゆえに個人の自由、それから個人の所有権と、これをひとまず絶対の保護物といたしております。もとの憲法のように法律の範囲内における自由といったようなことじゃないのであります。しかしながら、個人の自由といえども、また、個人の労働の結果たる所有といえども、公共の福祉には、これは服さなければならぬ、こういうことがこの憲法及び民法の組織と私は思っておるのです。学校教育につきましても、やはりそのことは子供のうちから十分に教え込むべきものと、かように思っております。ひとり教育基本法のみならず、わが国の国家の原則組織、すなわち自由主義国家の大原則は示すべきものと、かように思っております。ほかの国では、やはり憲法のこういうことを知らせるということを教育法の中に書いておる国もございます。これは当然のことと思います。
  165. 笹森順造

    ○笹森順造君 基本的の人権、教育を受ける権利、これは憲法において保障せられておるわけでありますが、この保障したのはもとより憲法である。ところがその憲法の権威の出所をどうお考えになっておりますか。どこから一体憲法の権威というものが出てきておると御理解でございますか。
  166. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) だいぶ大きなお問いですが、わが国の今の国家組織は、根本はこの自然法原理からきておると思っておるのです。自然法原理はどういうことかといえば、個人には完全なる自由権がある。これは天賦のものだと、生れながらにして人間は自由だと、しかし共同生活するために一つの国家というものを作る以上は、それに自分の持っておった権利の一部分を譲渡すると、これがすなわち国家主権なんです。その約束で国家に譲渡した以外の権利は、すなわち自分の自由権であります。それゆえにこれらの自由は人の持って生れたものである、こういうことがわが国及びアメリカの独立以来の私は政治哲学と思っております。もとの憲法はドイツ流の憲法で、国家に主権があって、国家の方から個人に自由を与えたのだと、こういう格好でありまするが、終戦以後の日本の国家組織はそうではなく、人民に本来の主権、あるいは尊厳があって、その一部分が、また半ば以上が国に譲渡されておる。譲渡される範囲においちゃ国権に従わなければならない。たとえば裁判、裁判権を国家に譲渡した以上は、国が裁判すればこれに従わなければならない。おれは自由だからして裁判には従わぬ、おれを死刑だなんて、殺すということはけしからぬということは言えない、しかし国家に譲渡したそれ以外のものは、残りのものは持って生れた自由だと、こう見ておると私は思うのであります。
  167. 笹森順造

    ○笹森順造君 ただいまの御説明に私は同意をいたします。形式において私はもう一つお尋ねしたい。つまり憲法の、今の最後のお話しで、民意によってこれが、今の憲法ができたという特に一点は、私はこれは重視してお尋ねしたい点であります。つまりこの憲法国民の総意によって確定されたものであるということは、この憲法を作った当時の最初に考えられた思想の出発点であると心得ております、ところがこの総意がどうしてきまるかというところに非常に問題があるのであります。われわれ一人々々が主権者じゃない、国民という総体が主権者である。その主権者の総意が個々ばらばらの異なった意見がありましても、何かの形においてこれが総意として表現されてこなければならない。これがおよそ民主主義のルールであると考えられる。このルールを侵して来るというところに、大きな問題が私は起るのではなかろうかと思う点であります。つまりこのルールは言うまでもなく最大多数の最大幸福と申しますか、民主主義のルールに従うほかに方法がない。そこで私は次に総意として考えられるものは、それはやはり多数のものの決定によるというほかに方法はなかろうと思うのであります。もとより少数者の意見を無視したり、あるいはまたこれをじゅうりんすることは、むろんいけないのでありますが、さらばといって、そういうごく少数の方々の御意見が通らないからといって、そこでそれが暴力的な行為をもって出るならば、これは許さるべきではない。つまり共同の広場というものは互いの理解をもってやるのだという点に非常な重点がある。また、政治の妙諦があると思うのでありますが、今日私どもが日本政治、あるいはまた、この法案を論ずるに当りまして、この点に対するところのはっきりした民主主義のルールというものが、そういう工合にして国民の総意によってできたものである、それが土台となっているのだという理解がないならば、つまりこれが日本の国を混乱に陥れるというようなことになるという憂いがありまするので、この総意というものの出発点、つまり憲法の起ってきまする根本をどう一体理解されて、今後この法律考えていかれるか、これを実はお尋ねしているわけであります。
  168. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 笹森さんのお考えと同じ考えでございます。個人に自由、生れながらに持っておる自由がありまするが、法律には服する、そのかわりに法律を作る立法機関には、普通選挙で国会議員を送る、すなわち本来は自由だが、法律には服するという約束をこの憲法でしておるのです。それゆえに自由は唱えまするが、この国会で作った法律、また、その法律の委任によってできました政令その他に服することは、これはもう日本国家組織の大原則と思います。現在起っておりまする各種の事柄に当てはめると、何だか当てこすりのようになりまするから、言いませんけれども、やはり自由主義だ、進歩主義だと言われる方は、やはり警察法規でも、あるいは進駐軍、アメリカとの間にできた協定によってやる土地の売買でも、あるいは国会の中の国会法でも、これに従うということは初めから約束の上で、この国を作っておるのでございます。これで答えになっておるかどうかしりませんが、そういう意味であります。
  169. 笹森順造

    ○笹森順造君 そこで今論ぜられておりまする法案をもって、あたかも日本民主主義、あるいは憲法に保障されておりまする個人の自由等に根本的に背反するものである、つまり民主的な教育制度根本から変革するものであって、あるいはまた教育に対するところの国家統制を復活する傾向がある、こういうことを一部の学者は申しているわけであります。私はここに問題があると思います。すなわち彼らの言う民主的な、民主的というのは個人の権利を強く主張するところの、あまり社会と国家に対する責任を無視する傾きはないか、しかもまた、これが仮定によるところの誤解が非常に多いのじゃなかろうか、こういうことに対して私は非常な疑点を持っており、根本論として、ある一部の学者のこれは発言だと思いますが、学者の総意とは考えませんが、この人らの意見根本的に尊重するとは仰せになる。しかしながら、その尊重する理解の程度が、私はあるいは違うのではなかろうかと思うので、この点を実はお尋ねしているわけであります。それはどういうことであるかというと、つまり国家統制の復活ときめつけるところに大きな誤解を生ずる。復活ということを言っておりますこの言葉の中に戦前の国家統制というようなことの意味を持つ。しかもまた、国家統制という言葉の中に、非常にこれがまた大きな誤解を生むところの問題があるのではなかろうか。つまり私をして言わしめまするならば、衆議院における本法案公述人において意見が述べられましたときに、ある公述人がこういうことを言っておる。文部大臣から都道府県、市町村という系列によって教科課程から教科書の採用に至るまで、文部大臣が目を光らせることができるようになっておる、一歩誤れば政治的権力が教育を監視し、これを文部大臣の任意によって末端まで統制できるという体制となると言っている。しかも一歩誤ればと、こういうことを言って、そうしてこういうような誹謗を天下にぶちまけるということに対しては、非常に私は不満考える。こういう仮定的なことを、しかもまた一種の偏見をもってこういうことを言われたのでは、私はこの国家統制というものに逆転するということに対しての大きな誤解を生ずるものだと思う。でありますから、この点ははっきりと一つこの法案に対するところの、そうでないのだというのであるならば、こういうわけでそうでないのだということを明確にここでお示しを願いたいと思うのであります。
  170. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) これもやはり先刻申しました国家観に非常によるのであります。今の多くの学者諸君は、戦前に御勉強になった方々が多いのです。それゆえに国家というものはまあ自分の頭を押える重荷であったと思っておられる。そうであったのです。これらの人の御勉強のときには、国家主権または天皇主権二説があって、そこに主権があって、それが官吏を任命して国民を統制する、国家の方では親切にやるつもりだけれども、それが自由の制限になっていきまするから、官僚統制は非常に御反対である。こういう時分に大きくおなりになった方々であります。ところが昭和二十一年に日本の国がすっかり改まりまして、主権は国民にあるのだ、国民選挙によって国会議員というものを作って、それが国の最高権威だ、その委託によって行政ができておるのだから、おのれが選挙したものがその約束によって世話をしてくれるのだ、こういう格好になっておるのでありまするが、何しろ明治時代の思想は長い間の思想でございましたから……。今の政治は官僚政治ではないのです。文部省にも役人はたくさんおられますけれども、われわれ代議士出身の大臣が頼めばみんなその通りにしてくれるので、昔のような上からの圧迫はないのですから、やはり同じ建物におって同じ事項をとっておりまするから、文部省から言うてくるというと、上からの圧迫だと初めからやっておられるのですね。新憲法ができて、新教育ができましたら、もう十年もすれば、この予感はなくなるでありましょうけれども、何しろ政府のすることはみな官僚政治だという前提を今の学者諸君も、実は私どもと同じように明治時代に教育を受けたものですから、そういう予感が抜け切らないのです。そこで官僚統制といいますか、それを非常に注意いたしまして、上からの圧迫ではない、指導を……、国を立っている以上は指導なんだ、援助なんだというふうに書いておるのでありますけれども、政府のすることを何もかも統制だ、圧迫だ、上からの命令だと考えられるのは、失礼だけれども少し頭が古いと思っているのです。もっと虚心たんかいな今国家になっておりますから、そういうふうな社会観に皆さんなっていただきたいとこう思っておるのであります。
  171. 笹森順造

    ○笹森順造君 もう一点だけであまり長くなりますから終らしていただきます。大体今の文部大臣の御答弁で、この法案のねらいの一般の姿が解明されたのではなかろうかと思います。これが今の任命制ということに裏づけされてる間接選挙というような問題なども、やはりよき民主主義理解がありますならば、非常に誤解が解けるのではなかろうかということを考えます。  そこで、最後に一点お尋ねしたいのは、国民の総意を代表するところのものは現在は政府である、行政の面においては。それが地方教育行政に対する関係を国との間にその責任及び任務を明確にする必要がある。立案者は、この教育行政を中央において責任を持っておる間、政府と各地方における教育行政との関係について、いろいろと苦心されたものがあるだろうと思います。特にまた、諸外国の民主主議に立脚しておるところの欧米諸国においても、相当なこういう配慮があったと私は考える。そこで、もしも文部当局において、あるいはフランスなり、あるいはイギリスなり、あるいはアメリカなり、その他の国において、この中央において責任を負っておる教育行政責任者が、地方教育の行政に関していかなることをしておるかという研究をもしも材料として考えられたならば、この際文部大臣なり、あるいはまた、それを担当した人において、適当にここで御解明を願いたい。できるならば、それらのものがあるならば、資料としてこれも提出していただきたいと思います。
  172. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 今笹森さんの御要求になったようなものはこさえたのがございます。各国の教育制度衆議院でも、委員会の方に御承知願うように印刷して差し上げましたから差し上げるつもりでおります。このことは、大体国情が一番似ておるのは私はイギリスではあるまいかと思うのです。アメリカは、笹森さん御承知の通り、各州ですから。ですが、イギリスでは日本通り議院内閣制度で、内閣に責任者がたれかおらなければならぬという制度です。イギリスには文部大臣もあります。アメリカにはございません。それからしてカゥンティーの教育委員会もございます。日本と同じように、教育長というものもございます。その関係は、一番新しい一九四四年の有名なバトラー法というのでできておるのです。あれでも、やはり教育長は文部大臣委員会協議して任命しておるのです。今回承認を受けようというのが、やはりそれをまねたわけなんです。でありまするから、まあ議院内閣制度において、何も天皇陛下から権利をちょうだいしたのではなく、皆さんの御選挙によって議院内閣ができて、そのものが、地方の委員会等と連絡の方法として、教育長の任命には承認をするというくらいな上下の連絡をつけることを、全く官僚政治とは、この自由主義国であるイギリスでも考えておらぬようです。そこらを御承知願うために、印刷したものを、明日にでも差し上げるつもりでございます。
  173. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 簡単に資料二件要求いたします。きょう鳩山総理出席を願って質疑をやったわけですが、その質疑応答の中に、文部大臣発言され、また文部大臣の助言によって総理答弁されたことですが、報道機関において、ただいま議題となっている本法律案件についてずいぶんと反対意見批判がある、そういう社説が出ている。それは、法律案件内容につき誤解に基くものであるということを文部大臣並びに総理は言っております。従って、私はこれはきわめて重要なことでございまするので、どの新聞が誤解に基く論説を掲げていると断定されるのか、その新聞名を印刷にして御提示願いたいと思います。これは私はきわめて重要なことで、新聞というものは天下の公器であり、国民はこれを信頼して購読しておるわけでございますが、それがただいま国民に重大な関心を呼んでいるこの法律案の新聞の論説というものが、内容をよく検討せずに誤解に基いての筆陣を張っているということを、繰り返し文部大臣並びに総理発言されましたので、その資料を出していただきたい。具体的にどの新聞のが誤解に基いているということをですね。もう一つは、これもきわめて重大だと思うのですが、文部大臣の助言によって総理答弁されました。それは、衆議院において本法律案件が本会議で通過する場合に、望ましくない形で通過したわけですが、それは衆議院の文教委員長委員会を開かなかったから云々ということをはっきりと答弁されました。衆議院の佐藤文教委員長は何月何日、第何回の委員会を故意に開かなかったかということを、印刷にして資料として提示していただきたい。私はその資料を拝見した上において、あらためて他の機会において質疑をいたします。以上。
  174. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 今の初めのは、その社の論説に限りますか。あるいは投稿した文章を社が採用したのも含んでよろしいか。
  175. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは投稿者のはよろしゅうございます。昨日も大臣は盛んに論説を言われておりましたから。要するに、新聞社の編集局が責任をもって編集した文面でございまして、投稿者の分は除きます。
  176. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) それから衆議院の経過は、あれは……。
  177. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 資料をいただいてから。
  178. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 委員会の速記録でいいですか。私がここで申し上げてもよろしいです。三月の十二日に文教委員会で赤城委員が動議を出そうとしたら、散会と言って退席されてしまったんです。翌日開会国会法によって三分の一で請求したけれども、開会にならないです。その翌日は日曜日でした。その土曜日にまた開会を要求したんです。また開会をなさらぬ。
  179. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文書で出していただきたい。
  180. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 文書でなくて、速記録があるのですから、速記録の写しを差し上げます。
  181. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 書面でともかく出していただきたい。委員会運営にはいろいろありますからね。
  182. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それではお諮りいたします。この審議の過程において、公聴会開会すべきものと委員長考えるのでございますが、公聴会開会をいたしますことに、各委員異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 公聴会開会の期日をいつにするかということは、審議の模様もございまして、実は本日午前中までに各理事の御回答を得てきめる予定でございましたが、都合によりまして、ただいままで決定いたしておりません。従いまして、これは期日の都合もございますので、急ぐ必要がございますので、各派の理事の十分なる御意見を聞いてきめたいと思いますが、その点について理事会に御一任いただいて差しつかえございませんか。理事会に御一任いただきたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  184. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは委員会に諮っていただきたいと思います。そういう点を含んで委員長理事会でお話し合いをするように、午前中湯山理事がおられるときに話し合いがついたと思うのです。午後協議して……
  185. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それがついておらないのです。委員長から申し上げます。委員会においてきめることを必要とするのであれば、来週早々委員会を開くことにいたしませんといけないと、委員長は心得るのでございまして、その点がまだ不明確になっておりますので、理事会においてとりきめることを御了承願いたいと思います。
  186. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私も、今湯山理事がここにおられないから、かわって発言するわけでございますが、先ほど委員会運営というものは、秩序よくするために、委員長理事懇談会できまり、本委員会報告して、了承された線によって運営して参りましょうということを申し上げました。これはまあ当然なことだと思うのです。それで三十日はどうするかという点については、すでに本委員会において、かって委員長報告に基いて確認したところでございます。従ってそれらを含めてどうこうするというにおいては、委員長理事さんの間でゆっくり話し合っていただきたい。ただ、私は希望しておる点は、委員長理事打合会できまってここに報告して、そうして本委員会の承認を得た点は変えていただきたくない。というのはわれわれはやはり一人の人間として、一つのスケジュールに基いていろいろと計画しておるわけでございますから、そういうのを途中で変えていただきたくないということだけは希望を申し上げておきますが、理事の、ちょうど湯山理事がおられませんので……。
  187. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ちょっと速記とめて下さい。   〔速記中止〕
  188. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 速記を始めて。  それではただいまの公聴会の件は、本日中に理事会においてきめることに前もって誉めてございますので、本日中に理事会において決定できると存じます。従いましてその後早い機会に委員会が開かれないおそれもございますので、委員会においてお諮りするのが至当でございますが、開かれない場合は、理事会に御一任をいただきたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それではさように取り計らいます。  これにて本日の文教委員会を散会いたします。    午後一時三十一分散会