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1956-04-27 第24回国会 参議院 文教委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十七日(金曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————   委員異動 四月二十七日委員井村徳二君辞任につ き、その補欠として三浦義男君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加賀山之雄君    理事            有馬 英二君            吉田 萬次君            湯山  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            笹森 順造君            白井  勇君            田中 啓一君            中川 幸平君            三浦 義男君            三木與吉郎君            秋山 長造君            安部キミ子君            荒木正三郎君            矢嶋 三義君            竹下 豐次君   国務大臣    文 部 大 臣 清瀬 一郎君   政府委員    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方教育行政組織及び運営に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○地方教育行政組織及び運営に関す  る法律施行に伴う関係法律整理  に関する法律案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) これより文教委員会を開きます。  委員異動について報告いたします。  本日、井村徳二君が辞任され、三浦義男君が選任されました。   —————————————
  3. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 議題は、地方教育行政組織及び運営に関する法律案地方教育行政組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案であります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの法案内容に対する質問をする前に、若干この法案国会に提出されるまでの経緯について、文部大臣にお伺いしておきたいと思うのですが、昨年の十一月に、自民党が結成されまして、その結成大会におきまして、教育委員会法改廃ということが決定されたということを文部大臣から伺いましたことがございます。その席で私は文部大臣に対しまして、教育委員会法改廃という内容がどういうものであるかということをお尋ねしたことがございます。それに対しまして、文部大臣改廃というのは読んで字のごとしというそっけない答弁であって、文部大臣所見というものは、全然その際発表されてなかったのであります。さらにお尋ねをいたしましたところ、これは党が決定をするのであって、文部大臣としては党の決定に従ったまでである、こういうようなお話しでございました。それで私は文部大臣にお尋ねしたいのでありますが、今度国会提案されました地方教育行政組織及び運営に関する法律案、これは党の方においていろいろ審議し検討されて、その結果出された結論であるというふうに考えるのであります。そこで私のお尋ねしたいのは、それはもちろん、私はとやかく言う筋合いのものではございません。ただ私がお尋ねしたいのは、文部大臣はこの法案立案過程において、ただ党の決定を待つと、こういう態度で終始一貫せられたのか、あるいは文部大臣自分所見を党に披瀝して、その考えを納得せしめるような方針で臨まれたのか、私はどうも先ほどの大臣の党の決定に従う、自分はその党の決定を待つだけであるというふうな答弁から考えまして、この法案決定に至るまでの経緯において、文部大臣考えというものは全然述べられておらないのじゃないかというふうに考えるわけですが、その間の事情について説明をいただきたいと思います。
  5. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 党内調査のことでございますが、私も党員たる資格で発言はいたしております。ことに、担当が文部でありますから、資料提出等は努めて私の方からいたしておるのであります。
  6. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、この法案立案過程においては、文部大臣は一党員としての立場からいろいろ発言はしておる、それから文部大臣として必要な資料は提供しておる、こういうお話しであります。もちろん政党責任政治であります。従って党の政策というものが主体になるということは申すまでもないことであると思いますが、私は文部大臣という職責にある者としては、党の教育政策決定するに当りましては、やはり文部大臣が指導的な立場をとって、そして文部大臣教育に対する考えというものが党内に浸透するといいますか、十分に採用されるというだけのやはりものがなければならないというふうに感ずるのですが、こういう点についてただ一党員として発言するというだけでは、文部大臣としていかに政党内閣といえども十分でないと思いますが、そういう点大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  7. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) この案を閣議で了承を求める際には、私は主任大臣として主導的に説明もし、他の閣僚の同意を求めたのでございます。その前の段階において、私は特殊の地位にあるということで、強き発言をすることは、むしろ控えておるくらいにいたしております。ただ、党内のことをここでさらけ出すのも遺憾でありまするが、自由民主党ができました際、これは御承知通り、自由党と民主党が合体したものであるから、そのときにあなたの御指摘綱領教育委員会改廃という綱領を作る際には、私と水田君とがおのおの所属の団体を代表して、交渉決定したことであります。そのときには主導的の責任を持っておりまするので、党内意見をまとめて、ついに教育委員会制度改廃ということで落ちついたのであります。新党派ができましてからは、政務調査責任は今度は水田君に移りまして、水田君の手元でその内容をきめて下さるのでありまして、水田君は政務調査会の下に、別に文教特別委員会というものを作って、それで案をお練りになった。で私は呼び出されて文部を担当しておる党員としてその席へも出、また、政調会にも出、一番最後に提案する場合には、今審査会というものがあります。審査会にもたびたび出て私の所見は述べましたけれども、これを皆に強いて押しつけようという態度は、実際はとっておりません。
  8. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私がなぜこの質問をしておるかという理由を、この際申し上げておきたいと思いますが、文部大臣自民党が結成される以前は、民主党のあるいは、改進党といいましたか、その政策審議会長をしておられたことがございます。清瀬文部大臣はその当時教育委員会制度についてその態度を明白にされておったわけであります。その当時の態度と、今度提案されておる法案の中身とは、非常に食違っておるわけなんです。私はそこに相当奇異の感を抱いておるわけであります。もちろん、自民党という新しい政党ができたのであるから、その際に新しい態度決定するということは何ら不都合はないとおっしゃればその通りであります。しかし、あなたは新しい党の文教政策を担当せられる地位につかれておるわけなんです。その清瀬文部大臣が、以前には教育委員会制度公選制ということについては堅持するという意見を持っておられた、で、今日、新しい党になったとはいえ、あなたが責任者として提案されている教育委員会法任命制に切りかえられておるということであります。そういたしますと、文部大臣考えというものが非常な相違をきたしておるということなんであります。そこで私はこの案ができる過程において、文部大臣党内においてどの程度指導力を持たれたのか、非常に私は了解に苦しんでおったのであります。従って、ただいまの質問をいたしておるわけであります。そういう点について、文部大臣の心境をこの際伺っておきたいと思います。
  9. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今のお話しの中で、改進党時代政務調査会長なり副会長なりをいたしたことはございませんでした。
  10. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 民主党ですか。
  11. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) あのときは北村徳太郎君でした。それから日本民主党になりまして、私は政調会長をいたしております。しかしながら、そのとき公選堅持ということを決定したことはないのです。日本民主党内に文教政策に対して特別委員会を作りまして、あまり話がこまかくなりまするけれども、お聞きですから……。大村君が文教委員長でございました。そこでできました案は、府県の教育委員会はこれを改正する、町村の教育委員会廃止しよう、こういうえらい案だったのであります。それをおっしゃるのかもわかりません。その案が特別委員会から私の手元へきたのが十一月の十二日でございました。これはだいぶ強い案だと考えましたが、すでに特別委員会ができた以上、これを総務会にかけて代議士会に諮らなきゃならぬと思う間に、はや十五日に合同してしまいまして、総務会に持ち出す前に党はなくなったのです。そういう次第だったのであります。そこで大村案はこれとはだいぶ違います。違いますというのは、両方の党派が十五日に合同する時分には、改廃という二字に詰まっちまったのです。せっかくそういう案、やや強い案ができましたが、十五日に新党ができまして改廃という二字に詰めまして、改廃内容党成立以後さらに政務調査会で調べる、こういうことになったのであります。ちょっとこまか過ぎますけれども、次第はそういうことでございます。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題は長くは申しませんが、私も前に教育委員会制度についてはどういうふうにすべきであるかということについて、あなたの、自民党結成以前のあなたの党とかなり折衝を持ったことがあります。これは大臣も御承知だろうと思うのです。
  13. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 知っております。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その折衝の経過においても、教育委員会公選廃止するということは一言も出なかったわけであります。そうして、適当な機会に公選制を堅持した上での若干の修正を施すべき点があるということで相当協議が進んだことがあります。これは清瀬文部大臣は当時政策審議会長をしておられて、十分御存じのことと私は思うのです。その当時公選制廃止するということはなかった。私は公選制堅持ということは政策審議会長清瀬さんの方針であるというふうに考えておったわけであります。これは私は間違っておらないと思うのですが、大臣にお聞きしたいと思います。
  15. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 私は個人としても、前の党の政調会長としても、公選制堅持といったようなことをきめたことはないのでございます。
  16. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこれはこの新聞報道で、新聞記事を見て読んだ程度でありますが、その記事には、今度の教育委員会法案はほとんど党のいろいろな意見というものの調整ですか、そういうことに終始されて、そうして文部大臣なり、文部省考えというものがずたずたにされたと、そういうような報道が出ておりました。これは事実かどうか知りませんが、先ほどの文部大臣答弁考えあわせますと、文部大臣自分意見というものを強く主張しなかった、みんなの意見を聞いたんだと、こういう御答弁考え合せますと、この新聞報道記事もでたらめでないというふうに、私は真相を伝えているのじゃないかというふうに感じますが、こういうことはいかがであったでございましょうか。
  17. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) その新聞は拝見しませんけれども、また、見ておっても、どれを御指摘のことか、ちょっと想像しかねまするけれども、私の属しておる党派は大きな党派でありまして、教育専門の方もたくさんおられ、また地方市町村長の経歴を持っておらるる方もおられる。いろいろと実際に即した有益な議論がたくさんございます。そこは政党政策成立に当っては、だれかが我を通してやっていくということは、民主的でございませんので、正しい意見虚心たんかいに承わって、帰するところにまとめるというのが、政党政治政策立案過程と思います。中には声の大きな癖の人もありまするし、また長く話をする人もありまするけれども、それによって全部を支配することではありませんので、多くの人の意見を聞いたということは、これは事実でございます。
  18. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではこの法案審議する参考のためにもう一つ伺いをしておきたいと思います。それは先ほど文部大臣お話しに、民主党が解体する直前において地教委廃止という考え総務会決定には至らなかったけれども、文教委員会では一応決定をみたというお話しでありました。私はこの法案審議参考にいたしたいと思いますのでお尋ねいたしますが、地教委廃止するということは、どういうふうな論点からそういう結論を得られたのか、一応参考のためにお伺いをしておきたいと思います。
  19. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) そのときの立案者意味は、地方行政を簡素にするという考えが多分にあったものと思います。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと関連して…、  私はここで関連して、文部大臣の閣内における政策を打ち出す場合の基本的な心がけについてさらに伺いたいと思うんですが、それは大臣は本委員会で再三再四、私は政党小使である。政党政策を打ち出したのを、私はここで言うだけで、文部大臣である私の意見をここで言ってもしようがない、あるいは文部行政当局としては、省議である意見が打ち出されているだろうから、それを承わりたいと言えば、文部省省議できまった意見などここで申してもしようがない、かような発言を再三再四私は承わっておるのでございますが、そういうことでよろしいのでございましょうか。今、荒木委員質問の重点は、そういうところに関連していると私は思うのですが、私の見解をもってするならば、少くとも文教最高責任者である文部大臣というものは、一国の文教政策について、それがその適不適、よしあし、それはともかくといたしまして、私は一応の確たる見解を持って、そうして政治家としてはその文教政策が最善であるという信念を持ってその具現に努力するところに、私は政治家というものの生命があるだろうと思う。そういうものを持っているがゆえに、内閣総理大臣はかくかくの人物を、あるいは文部大臣、あるいは通産大臣に任命する、こういう形態というものをとられるものだと、かように私は考えます。そういう立場から、大臣が平素から本委員会でとられている態度並びにきょうの委員会で徹頭徹尾、自分自民党の一員として意見を言ったが、別に自分の確たる意見を持っているわけではないし、また、その具現に特別努力したという形跡もないような御発言があることは、私は非常に基本的に了解に苦しむ点があるわけですが、お答えを願いたいと思います。
  21. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) それは民主政治政党政治のあり方に関する見方の幾らか相違と思います。小使という言葉はたとえの言葉で、ほんとうの小使じゃございません。(笑声)前後の話の続きでお聞きを願いたいと思います。私の言わんとするところは、政党政治に相なりました以上、党の政策政務調査会のところできめるわけです。政務調査会がきめるまでに、私の個人意見を先走って申しても益がない。またそういうことでよく世間に誤解を与えるのであります。前に某大臣はらっぱを吹くと言われて世間を騒がしたこともありまするが、ああいうことになるんです。じっくり落ちついて、政務調査会方針がきまって、初めて発言するのが私は当りまえと、こう思っておるのであります。そこで内閣閣僚がみな党員でありまするから、やはり政務調査会には代表されておるのであります。そこで案がまとまり、総務会の承認を得れば、それをもって閣議にこれを提案するかいなかをきめるところでありまするが、意見をまとめる、こういうことになっておりまするので、私が小使だという言葉を使った場合は、おそらくは政調会なり閣議できまらぬ先に、文部大臣個人としてどう考えておるかという意味のお問いに対して、私は今は申されません。きまりましたらそれをもって活動するつもりだ、こういう意味だと思うのであります。私は間違ったことを言うたとは感じておりません。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、私があなたに承わりたい点は、いやしくも一国の文教最高責任者となられたならば、少くとも私は政策なるものを持っておられる。持っておられるがゆえに、総理大臣が任命するんだと思うんです。そうすればその政策を買われているわけなんですね。そうなりますと、少くとも自分の所属する政党においても、堂々と自分所見を披瀝し、それが党によって否定されれば、もちろんその線に進まなくちゃならぬでしょう。また議員から、あなたの個人的な文教政策に関する所見はどうかと問われた場合に、それは私は答えられてしかるべきだと思う。私はかように考えるが、最終的には党議できまる、こういう態度ならともかくも、あなたは今まで一切お答えにならなかった。かような態度というものは、私は今の日本内閣国会組み立て方からいって、私はおだやかでないと思う。もう一言承わりますが、あなたが文部大臣で、あなたの党が、たとえば地教委に例をとりまして、廃止という線を出した。そうなりますと、自信満々とここで提案をする、そうしてこの審議立法府に要請する。また翌日できた政党が、今度は地教委存置と、こういう文教政策を打ち出した。そうすると、同じく文相の責にあるあなたが、堂々とその政策に沿った法律案国会に出した、そうして提案をして立法府審議を要請する。こういうことで、一体政治家の節操というものは保たれたことになるんでしょうか、私はそんなものじゃないと思うんですね。そこに私は政治家としての、また文部大臣としての基本的なあなたの態度に私は了解に苦しむ点があるんです。具体的に言うならば、あなたがかりにかつての民主党時代に、政調会長として、地教委廃止の線をともかくもまとめて打ち出されて、そうしてこれを世に発表した。それがあなたの信念に沿ったものであったならば、今度地教委廃止がつぶれたならば、あなたは地教委存置の説を持っておられる方とかわるくらいな、そのくらいな信念がなければ、私は国家民族を双肩にになっての政治というものは、やれないんじゃないでしょうか、いかがでしょうかね。
  23. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) やや繰り返しになると思いまするが、党内において政策研究の際に、私の意見を言えとおっしゃれば遠慮なく言いまする。しかしながらここに独裁的にやるといったようなことは民主的でありませんので、よく聞いてもらって正しければ採用をいたします。ただしかし対外的に、未決定のものを私はこういう公けの委員会はむろんのことでありまするが、私の新聞インタビュー等においても、私は発表しないようにしておるんです。それは世間を混乱に導きます。そういうことをたとえて小使といったのでございまして、私は一たんとった政策を翻して、朝三暮四、違う政策をとろうという考えは持っておりません。鳩山内閣文教政策の一環、すなわち地方教育行政組織に関してはこれ一つでございます。
  24. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その次の問題に移りたいと思いますが、この法案立案過程において、広く各界、各方面意見を聴取されたかどうかという問題でございます。これはきのうも、中央教育審議会に諮問したかどうか、いろいろ質疑のあった問題でございます。私はここに教育委員会が出しているこういう刷りものをもらっておるわけなのですが、その中にこんなことが書いてあります。教育委員会の代表が文部大臣に会って、いろいろ意見を述べようとした。ところが文部大臣は、刑務所法律を作るのに、囚人意見を聞かない、それと同様に、この法案を作るのに、教育委員会意見を聞く必要はない、こういうことをおっしゃったということが書いてあります。これは事実であるかどうか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  25. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) そのことは、ないことにしてあるので、私から答えはできませんです。
  26. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ないことにしてあるということは、どういうことなんでしょうか、御説明を願いたいと思います。
  27. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) その問答は、私と私の友人某君との間の問題でありましたが、お互いにあの問題は一切なかりしことという約束でありますから、その内容を言えば、私が約束違反になります。また、私の友人も、国会公聴会等で呼び出されて質問を受けましたが、答弁はいたしておりません。事実的にその問答はないのです。
  28. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私の伺いたい点は、この立案過程において各方面意見を聞くことがよいのか悪いのか、あるいは努めて聞こうという態度を持っておられたのかどうか、そういう点を明らかにしたいのが主眼であります。私の考えでは、やはりこういう重大な問題については、もちろん党内においても十分検討されることは当然であります。しかし同時に各方面意見を聞くということも、これは非常によいことであると思うのです。文部大臣地位にある人としては、当然そういう心がまえでなければならぬ、あってほしいというよりも、そういう心がまえでなければならぬというふうに私は感じておるのであります。ところが教育委員会との関係において、刑務所を作るのに囚人意見を聞かない、同じように教育委員会の問題について法案を作るのに、教育委員会意見を聞くばかがあるかというふうなことをおっしゃっておるということは、私は文部大臣が各方面意見を聞くことを欲していない、こういうふうな態度でおられるのじゃないかというふうに考えますので、その間の経緯というものは、私としては明らかにしたいと思います。そういう意味で、こういう事実があったのかどうか。これは文部大臣のこの法案作成過程における重大な態度とも関連してきますので、この問題は究明したいと思います。そういう意味で、重ねてこういう事実があったのかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  29. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) お説の通り、各方面意見を聞くことはいいのであります。意見を聞くことを拒んだことは一ぺんもありません。今あなたが暗示せられる意見も、それより前に十分に聞き、また、後にも十分聞いております。けれども従うという意味の聞く、聴の字を書いた従うという意味の聞くということであったら、どの意見もみな聞くというわけにはいきません、違った意見がたくさん出てきますから。私は面会を求められ、拒絶したことは一ぺんもないのです。それからまた、書面を持参になったら、必ずそれをよく読んで調べております。この点はあなたと同意見だと思います。今御指摘問答は、お互いになかりしことという約束がありますから、いつ幾日どういうことということは申し上げられません。比喩等において適当を欠くことがあったらともかくも、これはなかりしこと、取り消しというよりも、あれは夢だということになっておりますから。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。ただいまの荒木委員質問に対する大臣答弁では了承できません。従って大臣はしばらく御再考になって、あらためて質問者の満足するぎりぎり一ぱいの答弁をされるように要請いたします。と同時に、ただいま本会議開会になったわけです。緊急質問外務大臣日比賠償中間報告だけは、ぜひともわれわれは聞かしていただきたいので、その間、本委員会を休憩していただきたい、かように考えますので、委員長においてしかるべくお取り計らいを願います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 今、矢嶋君から議事進行について御発言がありましたが、御意見あれば。
  32. 湯山勇

    湯山勇君 その問題は、大体本会議中はやらないはずであって、前後の時間等のことは、委員長において計らうことになっておるわけですから、一つすみやかにそういう措置をとられんことを……。
  33. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ですから、それを皆さんの御意見を伺ってと思って……。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  34. 秋山長造

    秋山長造君 今の矢嶋さんの御発言は、私ぜひそういうように取り計らい願いたいと思うのです。日比賠償の問題にしても、あるいは武器輸出の問題にしても、これはお互いが聞きのがすことのできない重大な問題であるし、またこの機会に、政府の最高責任者から、これらの問題について重大な意思表明がなされるということを承わっておりますので、一つ委員長の方で、若干の時間ですから、ぜひしかるべくお取り計らい願いたいと思います。お願いいたします。
  35. 田中啓一

    ○田中啓一君 私どもは本法律審議というものは、きわめて慎重に時間をかけてやるべきものだと思います。確かに本会議も聞きたいことに違いございませんが、この日程をきのう委員長からお話がございましたことによりましても、だいぶ空白を生じておる状態でございます。でありますから、私どもは特に議長から要求がありますれば格別といたしまして、当委員会としては続けたいと思います。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行提案者として誤解が起きておるようですから、続けて発言を申し上げます。私ども本法律案が重要であること、従って精力的に慎重審議したいという点については、全く同感でございます。緊急質問にいたしましても、あるいは日比賠償に対しまする政府の中間報告にいたしましても、事重大であるがゆえに、本院を運営するところの議院運営委員会決定し、なされるものでございます。こういうものに議員が出席することは、常識以前の問題でございまして、議長から出席要求などあろうはずがございません。私どもその本会議に出て、終了直後において本委員会に出席して審議を続けることをもちろん考えていることでございまして、この問題は非常に私は議論の余地のない明白な問題だと思いますので、その間に限って休憩され、われわれが安んじて本会議でその中間報告を、緊急質問に対する政府の答弁を聴取できるように、ぜひとも委員長においてお取り計らいを願いたいと思います。
  37. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 この問題につきましては筆記をとめて懇談をして、そうして決していただきたいと思います。
  38. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  39. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 速記を始めて。  それでは暫時休憩いたします。    午前十一時二十五分休憩    ————・————    午後一時四十七分開会
  40. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それでは午前に引き続きまして委員会開会いたします。
  41. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 午前中、本会議のために中断されまして、午前中の質疑に続いて文部大臣質問をいたしたいと思います。私は念のために先ほどの問題については文書がありますから読んでみます。その部分だけを読みますが、「申入書はよく拝見したが筋が違うのではないか、教育委員教育行政をするために選ばれたものである、だから法律を作るためにたとえば漁業の法律を作るのに一々その方面意見を聞かない、刑務所法律を作るのに囚人意見を聞かないのと同様である、もし当事者と相談するくらいなら、中教審その他の機関に諮ったであろう。」というのが文部大臣の大体発言内容であるというので、こういうふうに書いてあるわけです。この問題について文部大臣はなかったことにしてある、こういう答弁でありましたが、私はそういうことを聞いているのじゃなしに、文部大臣はこういうことをおっしゃったかどうかということをこの際明らかにしてもらいたいと思うのです。そういうことを言っていないというなら言っていないでけっこうですから、はっきりさしてもらいたい。
  42. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) このことは本院予算委員会においてもかつて答弁いたしております。しいて言えとおっしゃれば、ございません。
  43. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今文部大臣は、そういうことを言ったことがないと、こういう御答弁でございました。そういたしますと、この文書は私は教育委員から直接もらったんです。そうするとこの文書は偽りであるということになります。私も国会議員の末席を汚しておるわけですが、その国会議員の私に対してこういう経緯があったんだ、しかも文書によって提示されておるわけなんです。そうするとこれが偽りの文書である、こういうことになるわけであります。そうすれば、私としてはまた別な観点からこういう偽りの文書を手渡した責任を私は追及しなければならぬ、こういうことになってくるのであります。これは私は委員長に要求するわけですが、この当事者を本委員会に呼んで、そして真偽を確める必要があると思う。この内容は決して軽いものはないと私は考えるのです。そういう意味においてこの問題につきましては後刻動議を提出いたします。そのことをこの際明らかにしておきます。(「今しておいたらどうか。今しておいた方がいいと思う。重大だ」と呼ぶ者あり)
  44. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 質問をお続け下さい。
  45. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それからもう一つの問題は、……
  46. 湯山勇

    湯山勇君 今の点に関連があるのですが……。今の点に関連して大臣にお尋ねしたいのは、大臣は先ほどの御答弁では、それはないことになっているということでございましたが、今荒木委員の読み上げたのは相当長い部分になっております。そこで大臣は、たとえの部分がないとおっしゃるのか、今の発言全部がないことになっているとおっしゃるのか、それはどうなっておりますでしょうか。
  47. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今の読み上げられたうち刑務所の云々から……同様と、これまでがないことであります。
  48. 湯山勇

    湯山勇君 そうしますと大臣のおっしゃったのは、一々当事者の意見を聞く必要はないのだ、漁業の法律を作るときに漁業者の意見を聞く必要はない。そういうことは現在もなおお考えになっておられるのかどうか。
  49. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 聞くということですね、聞くことは必要であります。しかしながら利害関係の当事者の言うことばかりを聞いて立法はできないという意味であります。問題に密接しておる意見はむろん聞くのであります。それから今問題となった人の意見を私はよく聞いております。しかし立法するのにはそれだけに従うということは不公平の結果が生ずる。こういう意味であります。   〔湯山勇発言の許可を求む〕
  50. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 文部大臣答弁非常に明確だと思いますが、……。
  51. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっと委員長、どうしておとめになるのでしょうか。
  52. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 非常に明確に答えられたと思うものですから…。
  53. 湯山勇

    湯山勇君 それではですね、利害関係者の意見を聞くことは、大臣はその必要はないとおっしゃる意味だと思いますが、法律が国民全体の利害に関係のあるような場合、国民全体の意見、そういうものをも聞かない方がいいと大臣はお考えになっておるかどうか。
  54. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) さっき答えた通りで、その反対であります。利害関係者の意見は十分に聞くのです。しかしながらただ立法手段をとる時分には、そればかりに従うことはできぬと、こういう意味です。
  55. 湯山勇

    湯山勇君 大臣が先ほどおっしゃったのはそういう意味じゃなくて、漁業の法律を作るときに漁業当事者の意見を聞く必要はない。その部分は取り消してない、こういう御説明であった。聞くということの内容については別な御釈明がありましたけれども、ところが今はそういう意見は聞くのだというお話しなんですが、その点もう少しよくわかるようにお話し願いたい。
  56. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 事柄の実体を把握するためには、やはり関係者のおっしゃることを聞かなければなりません。よく聞くのです。しかしながら行政または立法の手段をとるときには、関係者の御意見ばかりに従うというわけにはいきません、こういうことでございます。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について……。先ほど荒木委員はある教育委員から文部大臣発言について書面を受領した。それに基いて質疑をされました。それに対して文部大臣荒木委員がたださんとする中心点を全面的に否定されました。私が受け取っている文書は、全国都道府県教育委員会委員協議会という公的団体の名において文書を受け取っているわけですが、その文書の表現と荒木委員が読まれた表現とは違うようですけれども、荒木委員がたださんとしたところ。主要な点は、私が受け取っておる文書にも出ております。従って先ほど文部大臣が全面的に否定されたそのことが事実だとすれば、私は全国都道府県教育委員会委員協議会なるものの責任者をたださざるを得ません。従って先ほど荒木委員発言されましたように、この際このときに荒木委員にその文書を手交したところの委員、さらに私が受け取っているところのこの文書の印刷責任者である全国都道府県教育委員会協議会の責任者を本委員会に招致して、その経緯並びに所見をただされるよう委員長においてここで決定お計らい願いたいと思います。(「反対々々」と呼ぶ者あり)
  58. 田中啓一

    ○田中啓一君 ただいまの矢嶋君の議事進行に関する御発言に対しまして意見を申し上げたいと思います。私は矢嶋君の御発言議事進行ではないと思います。新しい動議だと存じます。従ってそのつもりで私は発言をいたします。  で、ただいま伺いますと、何か全国都道府県教育委員会委員協議会というものから荒木さんのところへ持ってこられた人、並びにこれを印刷した者を招致せよということでございますが、そのような必要は私どもはないと存じます。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は議事進行について発言を求め、かような案件を諮っていただきたいということを御要請申し上げた次第で、議事手続上間違っているとは思いません。従ってそういう必要があるかないかということについて本委員会で御討議なさることはけっこうです。ただいま田中委員から御所見があったわけですが、私はそれを提案した岩として申し上げますならば、少くともこういう公的団体あるいは公職にある人は、ある文書を国権の最高機関を構成する国会議員に陳情の形で手交したその内容が当事者の文部大臣が全面的に否定される以上これを究明することは、私は理の当然だと思うのです。もし、審議の段階において本委員会でその協議に時間のかかるようでございましたならば、委員長のお考えで、あるいは委員長、理事懇談会で協議されてもよろしゅうございますから、私はこの必要性は絶対的なものであり、断じてこれは貫いていただきたいということを、提案者として発言いたしておきます。
  60. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 委員長から申し上げます。ただいま動議として、扱ってもらいたいという矢嶋君の御発言中にも、これを理事会等において相談をしてもらってもいいという御発言がありましたが、委員長におきましては後刻理事会を開きますつもりでございますので、理事会においてこれを諮りたいと思います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) じゃさよういたします。
  62. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その次の問題に移りたいと思いますが、臨時教育制度審議会に関連をいたしておるのでございますが、政府はこの国会に臨時教育制度審議法案を御提案になっております。この法案衆議院を通過いたしまして、現在参議院において審議されている段階でございますが、この臨時教育制度審議会、簡略に申しまして臨教審、臨教審が成立いたしましたら、あの法案の中に書いてありますように、占領当時からいろいろ施行されて参りました教育制度全般にわたって諮問をするということになっております。そこでこの臨教審にいずれ教育行政の問題についても諮問されるものと考えております。そうすれば近く発足すると思われる臨教審に、これらの問題が諮問されるそれに先立って、本国会においてこの法案を提出されるということは、政府の考えが一貫しておらないというふうに考えるのです。そこで文部大臣にお尋ねいたしたいのは、地方教育行政の問題についても、近く発足するであろう臨教審に諮問せられるのかせられないのか、そういう点について大臣見解を伺っておきたいと思います。
  63. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今期国会地方教育行政組織及び運営に関するこの法律が両院を通過いたしまして、完全に法律として効力を持つ以上はこの問題については特に臨教審に諮問する必要はなかろうと思います。ただ、この臨教審の方は教育に関する国家の責任なり、いろいろと教育全般のことを議しまするから、新たに議せられることとの関係において影響があれば、そこは必ずしもこれに固着するわけじゃございませんが、地方教育行政に関することはこれでいいと、かように考えておるのであります。
  64. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その点、文部大臣説明は私十分了解できないのでありますが、臨教審が成立した暁は特別な諮問はしないけれども、臨教審においては教育行政の問題は論議されるであろう、そういうことは文部大臣も今お考えになっておったような御説明のように思うのですが、そうでございますか。
  65. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今回提案しておりまするこの案が皆さんの御同意を得て両院を通過し、法律として確定する以上は、これについてさらに諮問の必要はないと思うのであります。新しく確定する制度であります。しかしながら、教育に関するほかの制度について検討して、それに影響を及ぼすような点の修正、手直しは、これはないとは言えません。そこだけ申し上げておるのであります。
  66. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 なかなかはっきりしないのですが、まあ臨教審においては広範な問題が論議されると思うのです。そのうちには当然教育行政の問題も論議されると私は思います。で、教育行政でありますれば、地方教育行政だけではありません。これは申すまでもないことです。教育行政全般について検討されると私は思うのです。教育行政は全然臨教審のらち外だということは、これは考えられないことであり、あの法案提案理由の説明を聞いても、これは明らかな点であります。もし、臨教審で広範な、そういう教育制度全般について検討された際、今提案になっておる内容と若干異なる内容結論として出てくるということも十分考えられると思います。そういう場合に大臣はどういうふうに処置をされるのか伺っておきたいと思います。
  67. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 臨教審は内閣の諮問機関として置くのでありまするが、地方教育行政組織運営に関する問題はこの国会でおきめになれば、その直後にさらにその変更を諮問するという考えはございません。しかしながら、しゃくし定木にこれは一点一画も影響せんといったようなことを言うのじゃなく、ほかの関連事項を諮問する際に、ここに影響することはあり得るということを申し上げておるのであります。
  68. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで影響する場合があり得ると、そこでこの今出されておる法案内容と異なった結論というものが臨教審に出た場合、文部大臣は臨教審の結論はもう取り上げる必要はないと、すでにこの国会できまったのだからと、そういう態度でいかれるのか、あるいは臨教審でこういう問題に触れてきて、異なった意見が出た場合には、その意見を尊重して取り上げようと考えておられるのか、その点を伺っておるわけです。
  69. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 地方教育行政組織運営に関することは、これで今回おきめ願うのであります。新たなる諮問機関にはこのことについて諮問をいたしません。でありまするからこれと根本的に違う答申が出ようはずがないのです。ただしかし、ほかのことを議せる際にこれについて影響することがあれば、そこは考慮しなければならぬ、こういうことを申し上げておるのです。
  70. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、この問題について影響することがあると、その場合にはその臨教審の結論を重んじて、今この国会でこれが通ったとしても、あとでまた修正するのだと、そういう考えですか、そういうことをはっきりおっしゃっていただきたいです。
  71. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 諮問機関のことでありまするから、どういう答えが出ようと、それをうのみにすることはございませんけれども、しかしながら、教育に関するほかの制度、組織を議する際に、それとのつり合いで、これも影響する場合は、善意をもって公平に必要な改正はこばむつもりじゃございません。
  72. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで私がこの問題を質問しておるのは、せっかく政府は臨教審というものをこしらえて、そうしてその臨教審に対して教育のいろいろな問題、重要な問題を諮問をして、そうしてその答申を待って、いろいろ改革すべき点は改革していこう、こういう態度のように伺っておるわけなんです。そこでせっかく政府がそういう考えを持っておるのに、なぜその臨教審の諮問なり、答申を待たないで、急いでこの法案国会に出しているのかという点が私の質問の趣意なんです。今文部大臣答弁によりますと、直接諮問はしないけれども、全般に諮問をした場合に、この問題に関連が起ってくる、そうしてこの問題についても論議されるであろうということは、文部大臣も認めておられます。それは当然であると私は思うのです。そうすれば、そのいろいろな関連性において、地方教育行政組織及び運営についても、これと異なった見解というものが出てくる可能性というものは当然予想されると思うのです。そうすれば、そのとき文部大臣はその意見を尊重して、これを改正するにやぶさかでないとおっしゃっておる。そういうことであれば、急いでこの法案を今出さなくても、せっかくの臨教審が成立するのでありますから、それに諮問をして、それから政府の態度をおきめになっても私はおそくないと思うのですが、この点文部大臣どうですか。
  73. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) あなた、私の言うことを少し強い意味に御引用されるのです。影響が起ってくると断定されましたが、私は断定をしたことはないのです。ほかの教育の制度を審議する時分には、それとつり合いなり、なんかでもって、変更を必要とするようなことが起ってくることあるべし、そういう場合には、これを固執しないと言ったので、臨教審を開いたら、きっとこれが影響するという断言を私したのじゃございません。もし、あとで……、ひとり臨教審のみならず、世の中は日進月歩でありますから、あとの経緯でこれにやはり改正を加える必要があったならば、それをいれるにやぶさかでない、かように申しておるのであります。この地方教育行政組織運営に関することは、国のためにすみやかにしろという要求が非常に多いのであります。ことに教育委員会の方は、はやできたときから国内に異存があるのですね。そこでこれをすみやかにやれ、ことにことしの十月には改選がある、委員会の、全国的に。その改選をしてしまっておいてやるということは、非常に人に迷惑を生ずるから、これを急にやれということは、私の党内のみならず、党外からの強い意見でありましたから、ついにこれは先に出すことになっております。御了承願います。
  74. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は参考のために、衆議院の速記録の文部大臣答弁を読みます。私はこの速記録を読んで、相当疑念を持っておるのです。ですからただしておるわけなんですが、「今度できまする臨時教育制度審議会は、教育行政全般について御審議を願うという一節があるのであります。日本の道徳のこと、教育行政、それから大学のこと、教育行政をもっと広い範囲で御審議なさる際に、やはり今こしらえたものについても論究されるということは、むろんあり得ることでございます。」
  75. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) その通りです。
  76. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 「そうしてそれがそのときに国のために最善のことであったら、改むるにやぶさかではない、こういうふうに考えております。」これは文部大臣も文章にそう書いてある。ですから臨教審において教育行政全般について論議されるのだ、こういうことは十分ありますと文部大臣は言っていらっしゃる。そうしてその結論が今の法律と違った、改めなければならんという結論が出たら、これを改むるにやぶさかでないとおっしゃっておるのです。そうでしょう、文部大臣
  77. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今言うのと同じことじゃありませんか。ちっとも違わない。
  78. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすれば、今この法案をわれわれ審議しておるわけなのです。政府はこの国会で臨教審の法案提案しておられる。これはおそらく私はこの国会で成立すると思うのです。そうすれば再びこれらの問題は臨教審で論議される、論及される。そうして文部大臣も認めておられるように、全般的な検討が行われた結果、今提案されている法案についても改正意見が出るかもしれない。もし出たならば、またこの法律を改正するのだと、こうおっしゃっている。そういう法案を私どもは審議しているのです。そうすれば、そういう文部大臣のお考えであるならば、私は臨教審の結論を待って、そうしてこの法案提案されるようにせられても、決しておそくないと思うのです。なぜ政府はそのように急がれるのですか、その急がれる理由をはっきり言ってもらいたい。
  79. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今度もまたやっぱりあなたは私の言ったことを少し強くおっしゃり過ぎなのです。そうは私考えておりませんです。表現はいかがでありましても、教育のことを臨教審で審議する際に、その影響としてこれに関係することあるべし、そういう場合には、いいことであったら、今度きめたことに手直しするということはやぶさかでございません、こういうことなのです。衆議院で言ったことも、今申し上げたることも、言葉まで同じ言葉を使っております。同じことです。これを急ぎました理由は、やはり地方政育行政、わけても地教委なり、県教委なりは、はや出発のときから世間でいろいろ議論があるのです。党内においても、党外からもこれを一つ考え直せという議論がありました。わけても、ことしの十月には一斉にこのままならば選挙を行わなければならん。選挙して当選した人があるのに、任期は四年です。それを任期最中にむやみにやることもできんから、やるならばこの国会、こういうことになったのは、これは事実であります。この考えがいいか悪いかは御議論がありましょうけれども、やはり急ぐ理由はあったのであります。
  80. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、政府としてもこの十月に選挙がある。それでそれに間に合うようにきめなければならん、そういう事情で非常に急いだのである。そういうために臨教審の成立を待たないでこの国会にこの法案を提出したのである、こういうことであります。そこで私はただしたいのですが、教育行政の問題をどう変えていくか、行政組織をどういうふうに変えていくかということは、これは非常に重大な問題であります。これは私が申し上げるまでもないことであります。こういう重大な問題をきめる場合には、これは相当慎重に論議することは言うまでもなく、各界の意見もよく聞いて、そうして大かたの国民が納得するというふうな形において処理されるということが、私は非常に望ましいと思うんです。ただ政府が非常に急いだのは、十月の選挙があるからだということであります。これは、私は一応認めます。しかしです、もっと私はこの法案を慎重に扱うことの方が、十月の選挙という問題よりも重大である、こういうふうに考えるわけであります。選挙は一カ年延ばすという方法もあります。これは一カ年延ばしたら非常に困るという理由はあったのですか。従来政府は教育委員の選挙を延したことがあります。で、この際、一カ年を延ばすということは非常に困るという理由があれば、私は説明をしてもらいたいと思います。しかし、この法案をもっと国民が納得するような形において十分な論議を尽して、事教育問題であります。そういうふうに、論議を尽して、そうして一カ年ぐらいおくれても、納得した上で実施する、こういった方が、はるかに日本教育の将来にとって有益である、こういうふうに考えておるわけでございますが、一カ年教育委員の選挙を延ばすということが非常に困る、そういう理由がありましたら、おっしゃっていただきたいと思います。
  81. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今度も、またやっぱり私の言ったことをそのまま御了解いただいておりませんです。十月の選挙ということが唯一の急ぐ理由じゃないのです。これは、この教育委員会というものは、すでに成立の当時から世間で議論のあった問題です。昭和二十七年から党内党外においていろいろ議論があった問題でありまするから、これをやはりすみやかにきめなきゃならぬと、こういうことがおもな理由で、わけても、時日的にいえば、ことしの十月の選挙もあることであるから、それで、これを切り離して先にやったと、こう申し上げておるのであります。(「ちょっとおかしい」と呼ぶ者あり)速記録を見て下さい。先刻からそのことを言っております。それで、この教育委員会成立以後に、いろいろ問題がありましたがゆえに、時の政府においても、審議会等にはいろいろ諮問しております。本日お手元にお配りしたと思いまするが、中央教育審議会にかけ、地方制度調査会にもかけ、教育委員会制度協議会にもかけ、法令審議会にもかけて、今急に思い立ったものじゃございませんです。この会成立以来、いろいろと世間にも研究を積まれておりますから、これで一つ、最後の審議をする場所はここであります。国会であります。政府が提案をして国会で御審議を願う期熟すと考えております。そのうちに、わけても、ことしは選挙があるので、この選挙の結果どうなるか、やはり任期四年の多数の委員ができるんだから、改正するならば今がいいと、こういうことを私は二度、三度申し上げたつもりでおります。その前提のもとに、どうぞ再質問をお願いいたしたいと思います。
  82. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、非常に急いだという理由は、一つはっきりおっしゃっていただきたいと思うのですが、教育委員会が発足して以来、いろいろ意見があったと、特に清瀬さんの党ではいろいろ論議があったと、それで急いだんだと、こういうことですか、要約しておっしゃっていただきたいと思います。
  83. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 党内党外という言葉を使うております。すなわち私の党派のみならず、世間においてもいろいろとこの教育委員会は、はなはだしきは廃止すべしという意見まであるのです。存置すべしという意見もあるのです。もっと小さい選挙区にしろという意見もあるのです。それからして、府県のものは置いて、町村はやめろという意見もあるし、選挙制度についても意見があります。いろいろと党内党外に意見があります。それがために諮問機関等もたびたびこしらえ、諮問をしている、こういう状態でありまするが、やはりこれはすみやかに、こういう国内に議論のある問題は、長く持ち越さずにすみやかにやる必要がある。わけても、本年十月には選挙もあることだから、この選挙を済まして四年の任期の人が何千人できてしもうてから、これをやめるの変えるのということはむずかしいから、やればこの国会が一番いい適当な時期だ、こういう判断でございます。
  84. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと関連して……文部大臣はおそるべき考え方を持っていると思うのですね。(「そんな形容詞いらない」と呼ぶ者あり)発言中だから御静粛に願います。きのうは、公選をやってみるというと、一党一派に片寄るようだから、公選は工合が悪い、こう発言された、で、私はこれは選挙民を侮べつするものだと言ったのですが、ただいまの発言で、あなたの党内にすら甲論乙論がある、党外においてもそうだ、それからいろいろの審議会あるいは教育界の意見、答申を見るというとまちまちだ、それほどあなた意見の一致しない問題であったなら、あればこそ臨教審というものを設けられるのなら、そういうところにかけて、慎重に慎重を期すべきじゃないのですか。自分一つ意見を持っている、反対意見もたくさん党内外にあるのです。だから自分意見で早く片づけようというのは、独裁政治じゃないですか、独善じゃありませんか。そんなのは民主主義と言えますか。反対じゃないですか、このある制度があってそれはいけない、こうしたがよろしい、党内外においても全国民的に一致した意見があるならば、まあ、これは急いでやらなければいけないということはわかるけれども、党内においても党外においても、甲論乙論があって大へんだ、だったらさらに慎重にやらなければならぬということでならば議論が通ってくるわけで、だから今急にやるのだというのだったら民主主義じゃない、独裁、独善じゃないですか、どうですか。もう少し納得できるまで説明して下さい。
  85. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 民主主義の時代においても甲論乙論、あるいはAの意見Bの意見、たくさんあるのは当然でございます。それを責任者は研究して、そのうちこれがよかろうといって提案することは、民主主義に反しないのでございます。さっき申しましたが、あなたの一年延期してよかろうという御提案もございました。確かに荒木さんの御意見も聞いたのです。こういう意見があるということも考慮したのですよ。けれども、やはりこれはせっかくの御意見だけれども、やはりこの際にたとえば昼夜兼行でもよく調べて、成案をこしらえて国会提案するのが、われわれの義務であろう、こういう結論に達しております。甲論乙論のあるのはちっとも聞かないで、ムッソリーニのやったようにこれやれというのじゃ、それはあなたのおっしゃる通りです。午前中もお聞きの通り、私は一応党員としてはいろいろ発言はしましたけれども、これで引っぱろうなんていって、党の態勢を私は無理に引っぱろうという態度はとらないで、公平に皆さんの御審議の結果をこの案に盛ったのでございます。決して独裁をやろうなんという考えは毛頭持っておりません。また、それだけの力も私にはございませんです。
  86. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 関連質問ですか。
  87. 安部キミ子

    安部キミ子君 関連質問です。大臣にお尋ねしますが、ただいま二十七年に教育委員会制度ができてというふうなことをおっしゃいましたけれども、二十七年の選挙で教育委員会制度が始まったのじゃない。
  88. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 知っております。
  89. 安部キミ子

    安部キミ子君 それじゃさっきのは失言でございますね。それから大事なことをお尋ねしますが、大臣発言から受けます印象は、いろいろ賛否両論がある。しかし、大臣は主としてこれを教育委員会制度廃止した方が強い、という意向の方が国民の世論として多いのだ、こういうふうな考え方からこれを廃止しようと、こういうふうな考えに立っておられるのですか。
  90. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) この案は教育委員会廃止する案じゃございませんので……。
  91. 安部キミ子

    安部キミ子君 公選です。
  92. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) やはり研究の結果同じ性格の、日本ではまれな前例でありますが、複数制の執行機関たる教育委員会を設けて、一般の町村の行政よりは別にして、従前とほぼ同様な権限を持ってやっていこうというので、教育委員会は存置でございます。ただ、その選定の方法は、直接選挙によるよりも、やはり選挙をして出てきた町村長が選挙で出てきた町村会の同意を得て、そうしてやるという方がいいだろう、これをやる際には、一定数以上の者が同じ党派に属さないという公安委員会等の前例もあることでありますから、それによるところの方がいいというので、その方法によったのでありまして、教育委員会廃止考えておりません。
  93. 安部キミ子

    安部キミ子君 委員会制度は存置する、しかし間接選挙だ……。
  94. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 間接選挙でもございません。
  95. 安部キミ子

    安部キミ子君 こういうまあ御趣旨なんです、選挙の形になるわけなんですけれども、昨日の総理大臣のときに私が申しましたように、この出されました新教育委員会制度という、この法案に、東京の大学の総長の矢内原先生初めとして、日本のおおよそ大学と名のつく学長さん初め先生が、大学教授、講師その他重要な文化団体の責任者たちがですね、こぞって反対しておられる、直接教育の専門の方がですよ、反対をしておられる。この事実を文部大臣は抹殺しようとしておられるのですか、反対の意向を無視しようとしておられるのですか。そしてもし、それを無視されたら一体今後日本教育はどうなるのだ、こういう一番指導的な立場に立っておられる人たちが、今度の教育法案に反対だとこういうふうに言っておられるのですが、これをあなたは無視しようとされておるんですが、一体その結果はどうなると思われますか。
  96. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) その点は昨日総理より御答弁に相なりましたが、大学学長諸君の御決議は、この案に反対と私は読んでおらない。三段になっておって、第一段は教育のことは大切だから、民主的によく考えてやれ、容易に改正すべきものではない、第二段は改正するならば、しかるべき審議会によく諮問してやれ、こういうことであります、第三段は、教科書法も教育委員会制度も諮問しておらぬ、こういうことであります。一段も二段も賛成です。予算委員会においても、あれが出た二三日うちに、私は賛成の意を表しておるのです。ただ第三段に、委員会に諮問しなかったというのは、これは大間違いだ。教科書のごときは中教審にきちんと諮問しておる、九分通りあの通りやっております。教育委員会の方も全く諮問しなかったとおっしゃればこれは違うので、けさほど、きのうですか朗読しました通り、やはり諮問して答えは出ておるのです。けれども、あれは少し古いのですから、時間があればもう一ぺん諮問してもよかったんですけれども、しかし、一度諮問しておるのを再考せいと言って諮問するのもいかがでありまするし、もう一つは、これが今言うた通り、今期国会で出すのが一番適当でございます、内閣ができましたのが十一月の末でございます、二十二日でございます。十二月にははや国会を開かなければならぬ、そこで従前の御答申の結果、または中教審以外の多数の答えも出ておるのでありまするから、それを基準として党内で非常に研究をしまして、この案を出したので、一番最後の事情を先生方が少しお忘れになっておられるんだろうと思うので、全体としては私は同感なんですよ、教授諸君のおっしゃることは大賛成です。
  97. 安部キミ子

    安部キミ子君 文部大臣はね、自分発言を行動において否定しておられる。そうでしょう、今あなたが認めておられるような教育委員会制度についても十分考えてやれ、それから委員会制度も現行の通りがいいのだ、公選制委員を選らべと、こういうふうに中央教育審議会でも諮問の答えとして出ておるわけなんですね。それをみんな否定して、こういうふうな法律を出してこられたのですが、それに対して大学長さん初め大学の教授も高等学校の先生も、小学校の先生も、それからPTAの方も教育委員会の方も、直接ですね、教育という名のつく方はほとんどこぞってですね、この法律に反対しておられるのですよ。このことについては私は昨日るると述べた通りであります、こういう反対をしておられるにもかかわらず、そういう国民の声を無視して、大臣がこの法律をどうしても通すという御意見で、そうして事実これは多数決によって通るでありましょうが、そういうことになった結果教育を受ける生徒、学生、あるいは児童、あるいは大事な子供をそういう学校に預けている父兄の立場から考えますと、あれほど大学の先生なり、高等学校の先生なり、中学校の先生が反対していたにもかかわらず、文部大臣は、あるいは鳩山内閣はあの二つの法律を通してしまったじゃないか。先生の言うことなんか一つも聞いちゃもらえないのだ、こんな先生の言うことを聞いてもらえぬような権威のない先生が大学の学長にすわっておるというようなことは、これは教育上の立場から、道徳的な立場から、私は教育というものに不信を抱く原因になりはしないかと思うのです。これは政治の問題で、国会で通したから教育には関係ない、こういうふうにおそらく文部大臣答弁なさるかもしれませんけれども、私は学生なり生徒というものは、少くとも先生というものは神さまと思うくらいな信頼感があって、初めて教育というものは成り立つと思う。私自身も先生であってそういう経験は持っております。その先生の意向をあなたがこれを無視して、そしてもうその先生の意向とは反対な方向にこの法案を通されるということの私は結果をおそれるものですが、文部大臣はどういうふうに考えられますか。
  98. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 大学学長先生の声明を私はここへ持っておりますが、これを読むことは時間をとって失礼ですから……、一カ所もこの直接選挙を廃止するのは悪いということも何も書いてあるのではないのです。ただ、新聞はこれをだいぶ利用したようでありますけれども、(「それは失言です、そんなことを言ってはいかぬ。」「新聞はよく意見を書いた」「そんなことはわからない。」「新聞は解説したのだ」と呼ぶ者あり)それを読んでみるというと、「教育は時の政治の動向によって左右されてはならず、教育の制度と方針は政争の外において安定せしめるべきである。」とこういうことが第一項です。第二項は、「もし法制上改正を要する点があるならば、(「その次を読んで下さい」と呼ぶ者あり)政府はそのことを適当な審議機関に諮問して」とこういうことなんです。これを直ちに直接選挙廃止を先生諸君が反対されたというふうに読むのは、これは間違いです。私は決して民意を無視してやろうとは思っておりません。これらの諮問等はみんな読んでよく研究いたしました。もし、民意がこれに反するならば、われわれの方の代議士もこれに共鳴はしてくれないと思います。こちらの方ではしいて運動がましいことはしておりませんけれども、私はこの案について国内に非常にたくさんの共鳴者があると私は思っておるのです。
  99. 安部キミ子

    安部キミ子君 私は今大臣文教政策の傾向に関する声明というのを部分的に読まれまして、聞いている人たちの立場に立てば、非常に内容が十分把握できないと思いますから、私は時間がかかりましてもこれをはっきり初めから終りまで読みます。
  100. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ちょっと安倍君に御注意いたしますが、関連質問から出発されたと思うのですが、少し関連ということから離れているように委員長考えます。
  101. 安部キミ子

    安部キミ子君 一分です。これは大へん大事な問題ですから私は読ましていただきます。「教育は時の政治の動向によって左右されてはならず、教育の制度と方針は政争の外において安定せしめるべきである。最近、文教政策の傾向はこの原則をあやうくするかに思われる。たとえば、教育委員会について、あるいはまた教科書制度について、そのいわゆる改正案をみるに、いずれも部分的改正ではなくて民主的教育制度を根本的に改変するにいたるものである。ことに教育に対する国家統制の復活をうながす傾向のあることはゆゆしいといわねばならない。こうした傾向はやがて言論、思想の自由の原則をおびやかすおそれもある。戦後、民主的な教育の制度と方針が創始されてまだ年月も浅く、各部面にわたって改善を要する点はあるとしても、その根本原則は堅持しなければならない。もし法制上改正を要する点があるならば、政府はそのことを適当な審議機関に諮問して十分に審議をつくし、またひろく関係方面の専門的意見を徴し、世論に耳を傾け、慎重審議のうえ、はじめて法規の改正に着手し、これを国会の議にゆだねるべきである。仮にも制度を根本的にくつがえすごとき改正案をにわかに作成して国会に上程し、この通過をはかるようなことは厳に戒められなければならない。ようやく健全に育成されつつある国民教育の前途を思い憂慮にたえず、有志相はかつて声明を行い、政府、国会の反省をうながし、世論のいっそうの興起を期待する。昭和三十一年三月十九日」「そして「安倍能成、上原専禄、内田俊一、大内兵衛、大浜信泉、木下一雄、南原繁、務台理作、矢内原忠雄、蝋山政道」、こう書いてあります。で、この文面から見ましても、今度の教育法案がどのように日本の国を危うくするかということが心配されるとこう皆さんが言っておられるのですよ。それだからかつて前例のないこの声明を、こういう重大な職責にある方が警告をしておられるのですよ。この警告を無視して、もしあなたがこの法案を通された暁には、あれほどわれわれの信頼する大学の学長のこの警告を無視した、そうして一体学長なんというものは、何だ、何の役にも立たないのだ。教育に対してはえらそうなことを喜べけれども、日本教育がどうなろうたって、これは政府なんかには一顧も顧みられないじゃないか。こういうふうに国民は、こういう大事な先生方をばかにしますよ、率直に言ったら。こういうことになって日本教育は一体どうなんですかと私は文部大臣にあなたがこの教育最高責任者ですから、その責任をお尋ねしておるのです。御答弁願います。
  102. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 安倍さんは非常にきつい言葉をもって御質問でございまするが、私はあなたのお考えも否定はしているのじゃないのですが、(「否定しておる」と呼ぶ者あり)学長諸君のこの文章もいい文章だと思っております。(笑声)すなわち教育政治の動向によって左右さるべきものではない。従ってまた、学長諸君はあまり政治にお口をお出しなさらぬ方がいいのじゃないかと思っております。それからまた適当な審議機関に諮問して広く関係者の意見を聞く、これも賛成であります。世論に耳を傾け、慎重審議、これも賛成であります。ちっとも私の反対のところはないのです。ただ、その教育制度を根本的に改正とおっしゃるが、根本的改正ではございません。選挙手続が違っただけです。(「うそだ」と呼ぶ者あり)やはり合議制の(「ほんとうですか」と呼ぶ者あり)合議制の教育委員会を置いておるのですね。合議制の教育委員会を執行機関として置きまして、権限もほとんど同じです。ただ、任命手続が直接選挙によるのか、あるいはまた選挙によった町村長が選挙によった町村会議員の意見を聞いて決定するか、ここのところは違っておりますけれども、民主主義の国でもやはり任命制のものがたくさん前例があるのです。でありますからして、これを制度の根本的改正を人の意見を聞かずしてむやみにやったというような、警告ですから言葉をきつくしておられるだけであって、実際に善意を持って読めば、その通りにいたしたいと私は思っておるのです。
  103. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 荒木君質問いかがですか……。矢嶋君。
  104. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 話を戻してですね。今の学長声明とか、一部改正とか、根本的改正であるとかというのはまたしかるべき機会にやるとして、今、荒木委員質問は、もとに話を戻して、臨教審と今の法律案との関連をただし得る段階です。その意味において私は先ほど文部大臣答弁の中から次の質問を発せざるを得ないのです。それは荒木委員が臨教審が発足した後に、地方教育行政組織並びに運営に関する件について諮問する考えがあるかとただしたのに対して、その考えはないとこう答弁されたのですが、そこで私はここでぜひただしたい点は、もしこの国会で臨教審に関する法律案が成立して、それから臨教審が発足した後において、その臨教審は自発的に地方教育行政組織並びに運営について調査審議して内閣に建議するところの権限があるかどうか、その点ただしたい。
  105. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 法律には建議の件は書いてありませんけれども、善意をもって建議して下さるならば、それは私はここで考慮するのは当然と思います。
  106. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで文部大臣に私はそれと関連してここでただしますが、中央教育審議会の目的を見ますと、調査審議し及びと書いて文部大臣に建議するというのと……。諮問を受けて調査審議するのと、それと並立してみずから自発的に建議するところの権限をうたってある。ところが今度の臨教審を見ますと、内閣の諮問に応じて調査審議するだけで、あとの建議というのを落してあるのは、いかなる意図に基くのか、私は了解に苦しむのですが、この説明と、それからもし、私があなたから、内閣の方から任命されないかもしれませんが、もし私が臨教審に任命されたら、私はあなたがさっき言うように、党の内外、日本の各階層に問題あるだけに、まっ先にこの地方教育行政組織並びに運営に関する案件を取り上げて、臨教審は調査審議するでしょう。それを臨教審の法律案国会に出しながら、それだけ先に政府はやっておいて、そしてあとで臨教審を発足させるというのは、臨教審に対してずいぶん私は失礼な取扱い方だと思うのですが、その二点お答え願います。
  107. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 建議の問題でありまするが、臨教審は二年間の臨時の制度で、政府から特定の諮問を発しましてそれを御調査願いたいと思っております。しかしながら、ここに建議のことを法律に書かないでも、善意をもって意見をお出し下されば、私は喜んで配慮するつもりであります。この中教審の方は常設の機関でございまして、建議を受けるということを法律上の権限にいたしております。そこでりっぱな建議もたくさん出ております。二つの会の建前が違っておるのであります。  それからこの後の方の御質問でありまするが、そういうふうなわけでありまするから、諮問事項を特定いたします。そこで諮問事項のうちには、地方教育行政組織のことはいたさないつもりでおります。それゆえにこれをいたさないからといって、決して失礼な扱いとは考えておらないのであります。
  108. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 重ねて伺いますが、この内閣並びに文部大臣の諮問機関を設置する場合に、一方には建議権をうたい、一方にうたっていないことについて、一方はあなたは限時立法だから建議権をうたっていないのだ、そういうことは納得いたしかねます。法的に二カ年間にしても、わが国のこの教育に関する重要なことを審議するのならば、みずからこの自発的に調査審議して建議する権限を、中央教育審議会と同じようにうたっておいてよろしいのではないのですか。結局はあなたの答弁からこういうふうに了解していいのですね。臨教審というのは二カ年間の限時立法だから、だから中央教育審議会の場合のように建議する権限があるということはことさら書かなかったけれども、臨教審が発足した上においては、諮問に応じない案件について自由に調査審議して、積極的に建議して少しも差しつかえなく、政府は尊重するのだ。たとえば地方教育行政組織及び運営に関する法律案がこの国会で成立して施行された直後においても、そういう建議がなされた場合には、これは政府としては尊重するのだ、かように了承してよろしいですね。
  109. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) この臨時教育制度審議会設置法の第二条には、建議は入れませんでした。建議してもらうつもりでこの委員会を作るのではございませんので、こちらの方から特定した諮問事項を御調査願うのであります。しかしながら、この委員会は国内の大家の集まらるる会でございまするから、善意をもって政府を導くために、建議という形か、あるいは勧告という形か、上申という形か、御意見を下さるならば、喜んでお受け取りいたします。受け取った以上は、大家のおっしゃることでありますから、尊重して研究の資料にいたします。   〔秋山長造君「関連して……」と述ぶ〕
  110. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 荒木君の質問中なのですが、荒木君もう質問はいいですか。
  111. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 質問はあります。
  112. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) どっちが主かわからなくなっているから……。主たる質問者の御了承が得られればよろしい。
  113. 秋山長造

    秋山長造君 初めから関連質問を持っているのだけれども、御指名がないものだから、今まで待っていたわけです。荒木君よろしゅうございますか。
  114. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 けっこうです。
  115. 秋山長造

    秋山長造君 私は先ほど来荒木さんなり、皆さんの関連質問を聞いておって、どうも文部大臣の御答弁は、これは清瀬弁護士が法廷において弁論をやっておられるような気がするのです。これは法廷の弁論は一つの法廷技術ですから、だからときによれば白を黒とも言いくるめなければならない。サギをカラスとも言わなくてはならぬ。これは極悪非道な死刑囚だって無罪論をやられるのですから、しかもそれを大いにやる人ほど腕のある弁護士というようなことさえ言われるのですから、だから文部大臣のおっしゃることも、それとしてはわかります。その手でやっておられるということならわかる。しかし私どもが今お尋ねしているのは、やはりそういうこととは離れて、法廷における清瀬弁護士という立場とは離れて、日本文教政策を預る最高責任者というお立場に対して質問しておる。だからそのお立場から出発して一つお答えを願いたいと思う。まずその点を前提としてお願いしておきます。先ほど来のこの法案の立法に至るまでの手続ですが、臨教審設置法の第二条に、教育に関する現行制度に検討を加えるという、そうしてこれに関連する制度に関する緊急な重要政策を総合的に調査審議する、こういうまことに雄大なスケールを持った目的が掲げてあるのです。だけれども、だれが考えてもこれは常識として日本教育行政というものを担当するところの最大の責任者、これはもう教育委員会であるにきまっておるのです。だからこういう教育に関する現行制度に検討を加えるとか、あるいは重要政策を総合的に調査審議するという打ち出しならば、これはほかの問題もともかくだけれども、何といってもイの一番に、この地方教育行政をどうすべきかという問題が、この臨教審のこれは第一の諮問事項としてかかるのが当然過ぎるほど当然だと思う。ところが文部大臣の先ほど来の説明によりますと、ただし、この中から地方教育行政だけを抜くのだ、抜いているのだ。あと残りかすみたいなものばかりかけられることになる。なぜ、この条文にうたってある通りに、日本教育制度を総合的に、しかも緊急な重要政策について調査審議するというならば、いの一番にこの問題をここにおかけにならなかったかということをお尋ねしたい。それから第二点は、これも先ほどの荒木委員なり、その他の委員の御質問に対して、この地方教育行政のことは、この臨教審には諮問事項の中に入れておらないという御答弁があった。しかしながら文部大臣として、政府として、この臨教審にかけられることを予定されておる幾つかの審議事項の中の最も重要な一項目として、教育に関する国の責任と権限の検討という項目があるのです。教育に関する国の責任と権限ということになれば、当然そのうらはらをなす関係は、教育に関する地方責任と権限がどうあるべきか、こういうことがもう必然的に伴う。これはもうたての両面、教育に対して責任を負うものは国と地方ですから、だから国の教育に対する責任と権限をこの審議会で徹底的に検討するとおっしゃることは、とりもなおさずその反面において地方教育に対する責任と権限を検討するということが、これは必然的に伴われておることだ。だから先ほど荒木委員の御質問に対して、この臨教審の審議事項と、この法律案とはほとんど関係がない。まあ、たまには関連事項がだれかから出るかもしれんけれども、ほとんど関係がない。そういうことは予想だもしていないような、きわめて、どういいますか、筋の曲った御答弁があったのですけれども、私はこれはとんでもないことだと思う。国の教育に対する責任と権限を再検討するという以上は、当然地方教育に対する責任と権限の再検討ということが含まれておるのですから、だからこの臨教審においては、国の責任と権限を諮問される限りにおいては、地方行政のあり方というものを、地方教育制度のあり方というものを、これは大々的にやはり再検討されてしかるべきものだ。また必然的にされるだろうと思う。その点についての御見解、二点について詳細な、しかも文部大臣としての御説明一つお願いしたい。
  116. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 第一の点は、荒木さんに対してほぼ答えたつもりであります。臨時教育制度審議会の方も急ぐ問題でありまするから、二年間の限時、時を限った委員会になっております。しかしながら、そのうちで地方行政のことは、はやもうさっき昭和二十七年といいましたが、あのときには偶然なことで地方教育委員会ができたのですね。あのころはちょうど私の属しておった派と、あなた方の派とは歩調を一にして進んでおったのです。それをもう一ぺん検討してみようという時分に、吉田さんが国会を解散をしてしまったものですから、できたというので、私は二十七年を基準にとったのですが、ふいにできたものですからして、あれから非常に議論してだいぶ議論も出尽しておるのです。それに加えてやはり今年の十月に選挙もあることだからして、これだけは一つ急務中の急務として、この国会へ御審議を願うことになっております。そのほかに必要な急務はないかというと、たくさんあるのでございます。過日合同審査の時分にも刷りものにして差し上げたと思いますが、わけてもこの国の教育責任であります、それから大学制度であります、教育に関する国の責任というのは必ずしも行政責任に限っておらないのです。教育内容についても一体国はどう責任を持つべきか。これは非常に抽象的な問題でありまするが、大きな問題です。実はもう驚くべき、日本人の解決すべき大きな問題であります。そういう点に実は力を大いに尽してもらいたい、こういうことでありまして、今回地方教育行政組織運営を別にここに御審議願うのは、荒木さんにほぼ答えたつもりであります。  第二の国の責任と権限ですが、これは地方教育行政だけのことをいっておりまするので、やはり教育責任地方教育行政以外の行政のこともありまするし、わけても教育内容、やり方についての国の責任という大きなこともありまするから、やはり臨教審は臨教審で大いにやってもらわなければならんことが残っておるのでございます。
  117. 秋山長造

    秋山長造君 文部大臣は私の質問に対して率直に答えておられないと思う。私が質問した第二点は、教育に関する国の責任と権限という問題が、臨教審に諮問する最大の項目の一つになっている。しかも、当然そのたての半面として地方教育に対する責任と権限ということが、これはもう必然的に一体のものとして伴うべきものなんです。だから当然にこの臨教審を作られるときには、この国ということだけでなしに、これはもう不可分の関係として、地方教育あるいは地方教育行政というものは、当然これは考えて諮問をされるべきものなんです。そういうようにお考えになりませんか。地方だけ別に引き離して、別ワクにしてしまって、これには触れんのだ、とにかく国の教育に対する責任と権限だけやれと言っても、そういうことがやれますか。
  118. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今の再質問のことについては、すでにお答えしたと思いまするが、教育行政という面においても、地方教育行政地方教育行政にあらざる行政も多々あります。わけても、しかし実際に今度臨教審に御審議願いたいことは、行政という範囲にとどまらず、教育内容をどうしたらよかろうか、こういうことの方に着眼しております。(「それは違うよ。大きなポイントをはずれているぞ、この第二条の法律から、大臣」と呼ぶ者あり)
  119. 秋山長造

    秋山長造君 ますますおかしい。これは第二条ではっきり「教育に関する現行制度に検討を加え、教育制度及びこれに関連する制度に関する緊急な重要政策」だから制度を離れたそういう今おっしゃるような抽象的なものが目的じゃない。あくまで内容も含んでおるけれども、しかし、それはあくまでも教育に対する制度というものを前提にして考えておる。これは第二条にはっきり書いてあるじゃありませんか。
  120. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) また私の一身上について御攻撃があるかわかりませんが、教育制度ということは、教育行政というのと同じじゃないんです。現に学校教育法というものがありますが、あれは一つの制度でありまするけれども、必ずしも行政のことばかり規定しておるのじゃございません。それゆえに戦後とった日本教育制度を高い目から見て検討していただく。あなた方の方は制度即行政、こう思っておられるから、その議論が出たのであります。十分に私の言葉の足らぬところを補うて一つ了解願いたいと思います。
  121. 秋山長造

    秋山長造君 今の制度と行政ということを、全然別だとおっしゃるのですが、これは別じゃないのです、制度も行政も。それは食い違う面もあるでしょう、違う面もあるでしょうけれども、これは一致する面が多い。特に教育の面においては制度と教育内容というものはこれは密接に、有機的にこれは一体になって、初めて運営できるものでもあるし、また、効果を上げ得るものでもある。文部大臣の今の御答弁によりますと、じゃ、地方教育委員会というものはもう教育行政、ほんの一番文部大臣のおっしゃるように狭く極端に考えておると、行政だけやるんだ、教育内容なんということについては全然地方教育委員会は関与もしなければ、関心も持たぬし、権限も持たぬ、こういうものじゃないでしょう。教育の制度に対しても、あるいは行政に対してもさらにまた、教育内容、そういうあらゆる教育問題に対して、国とそうして地方団体とがともどもに責任を持ち、権限を持つということで初めて日本教育全体というものが動いておる、一体のものとして。その一体のものとして動いておる日本教育の中の国の責任と権限だけをこの臨教審でやってよろしい。しかし、他の半面である地方責任と権限については一切やってはならぬ、やってはいかぬ、こういうように勝手なこの区別が私はできないということを言っておるのですよ。だから当然あるいは物好きな人なら問題にするかもしれぬというようなことじゃなくて、国の責任と権限ということを諮問し、そしてこれを調査審議する限り、これはもう当然地方教育に対する責任と権限という問題が出てくる。それが出てくれば、それに関連して地方教育委員会責任と権限、性格というようなものが必ず出てくるのです。にもかかわらずそういう問題は全然もう論外にして、そうして先ほど事務当局から配られました資料によりますと、この項目についての関係法令という中にも学校教育法、私立学校法、文部省設置法、産業教育振興法、その他の振興法、地方交付税法、義務教育費国庫負担法等とうたってあって、故意か偶然か知らぬけれども、地方教育行政組織及び運営に関する法律というものはちゃんと設けてあるのですね。これは当然こういうところにいの一番に法案の名前をうたってあってしかるべきですよ。これはそれらはちょっとおかしいですよ。非常にこれは意識的ですよ、こういう資料を出されることは。お答え願いたい。
  122. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 地方教育行政組織運営ということは、やはり日本の全体の教育制度ですね、このうちに含んではおりまするが、今回はここでおきめ願いますから、これに該当する部分は諮問いたさない処存でございます。これで円滑に、この次にできるべき臨教審の運営はできるものと思っております。
  123. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私の先ほどの質問は、せっかく臨教審をこの国会提案されておる、この臨教審の諮問を待たないで、今回地方教育行政に関する法案を提出された。なぜ諮問を待ってそれから提案するようにせられないのか。そこに何か特別急ぐ理由があったのかという質問でございました。この質問に対しましては文部大臣から一応の答弁がございましたけれども、なかなか私には納得がいかないのであります。他の委員からもただいま関連質問がありましたように、この臨教審の法案の中味にはただいま問題になっている、提案されている地方教育行政法案内容と非常に関連があるのでありまして、たとえば一例をあげますと、今度の基本教育行政法案の中には、国の権限というものが相当表面に出ております。これは文部大臣も否定されないと思うのです。いわゆる教育に対する国の責任と権限という面がただいま提案されている教育行政法案に相当出ておるわけなんです。これらの問題については当然内容審議のときに質疑をいたしますが、臨教審の法案の中にはそういう問題が出ておって、当然政府はそれに諮問されるということになっている。それにもかかわらず諮問をしないで急いでなぜ出されるのか、選挙の問題であれば、私はさっきから言っているように、一カ年延長することも可能である、こう考える。そうすると党内にいろいろの意見があった。これでは困るから非常に急いでいるのだ、これは矢嶋委員のおっしゃったように、私はそれはあなたの党にもいろいろ御意見があると思います。私どもの党にもこの教育委員会の制度についてはいろいろの意見を持っております。いろいろの意見があればこそ、私はもっと広く意見を徴して、そうして慎重にやるべきではないかというのが私の質問の要旨であります。  そこでお尋ねをいたしますが、先ほど来から、いろいろの機関に諮問をして、その答申を受けております、こういう文部大臣お話しでございました。そこでお尋ねをいたしたいのは、今の自民党内閣ですか、鳩山内閣ができたのは、昨年の十一月であったと思います。この自民党内閣ができてからどういう機関に諮問をせられたのか、私は伺いたいと思うのです。けさほど教育委員会制度に対する意見というこういう刷り物をいただきました。しかしまだ読む時間的余裕がないので、いつの内閣のときに、いつの日に諮問され、それに対する意見が述べられたか私知らないわけであります。少くとも清瀬文部大臣がそれぞれの機関に諮問をしたとおっしゃっておるのですから、少くとも自民党鳩山内閣が成立してから、いろいろ諮問をせられたと思うのですが、どういう機関にいつごろ諮問せられたか、お話を願いたいと思います。
  124. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今のお問いは第三次鳩山内閣ができてから後に外部機関に諮問したかということでございます。それはございません。前任者の諮問しておったものの答申を調査いたしましたが、新たには諮問いたしませんでした。
  125. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、第三次鳩山内閣ができてからは、全然この問題についてはどの機関にも諮問をしておらない、こういうことですね。
  126. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) さようです。
  127. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではお尋ねをいたしますが、なぜ鳩山内閣が成立してから、こういう重要な問題については諮問をせられなかったのか、理由を伺いたいと思います。
  128. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 前任者、前内閣の時代に諮問いたして、それに対して出ておる答申がたくさんございまするし、これをもって党外の委員会意見もわかりまするし、また、個人的団体的に文部省へ、また私個人手元へ書面等によってたくさんの意見が来ております。また、面会を求めた人は一人も断わったことはありません。それで党外の意見承知することができたと考えました。そうして本日初めにも申し上げました通り地方教育行政については、すみやかに解決をする必要がございまするし、それからまた、私の党派にも教育行政についてたんのうな専門家も多数おられまするし、ここでわれわれは責任をもって一つの案を作ってしかるべしと、かように考えました。
  129. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 前内閣、前々内閣、あるいはそれ以前の内閣の時代において諮問がしてあるから、あらためて諮問する必要がない、そういう考えで諮問をしなかった、こういう文部大臣の御所見でございます。私はこれはやはり責任ある政治家のとるべき態度でないというふうに思いますが、これは見解相違ということも起ってくると思いますので、ここで取り上げることは省略をいたしますが、ただ、ここでお伺いしたいのは、中央教育審議会がこの問題について答申をいたしております。その冒頭におきましてこういうように言っております。「教育委員会は、その設置以来、日がきわめて浅く、その実績の良否については相当論議の余地がある。」こういうふうに述べておるのであります。教育委員会は確かに発足をいたしましてから日が浅いのでございます。まだ十年を経過しておらないというふうな状況でございます。従ってその実績の良否について相当論議の余地があるということは、私は当然であると思うのです。こういう中教審の答申の冒頭の文面について、文部大臣はどのようにお考えになっているか、伺いたいと思います。
  130. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) この答申ができた当時としては、この通りと思います。
  131. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この答申は文部大臣、その当時はその通りだと思うと。これは二十八年四月二十五日に出されております。そうするとそれから約三カ年に近い日子が経過しておるということであります。相当な日がたっておるので、その当時はこれでよかったろう。しかし今は違う、こういう意味にとれるのでありまするが、そうでございましょうか。
  132. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今は違うとカテゴリカルに言うてしまうべきものじゃありませんが、だいぶ相違した事情も起っております。
  133. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういう事情であれば、だいぶ相違した事情があるということを大臣考えておられるのであれば、なぜ中教審に諮問せられなかったかという問題であります。相当これは古い。確かに三年も経過しているのですから、私はこの答申は相当古いと思うのです。その後それは若干の事情の変北があるということは私も認めますし、今大臣がおっしゃったように当然認めてしかるべきだと思う。そうすれば中教審に、あなた自身でこれだけの法案を出されるのですから、なぜ諮問せられなかったか、その理由についてお伺いいたします。
  134. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 先刻もお答えしたと思いまするが、ときがたっておるのと、また委員もだいぶお変りになっておるから、ほんとうは諮問したかったのです。しかしながらこの案はわれわれが責任をとったのは、十一月の末でございます。十二月にはすでに国会が開かれています。この短期間に御諮問願うこともできず、さればといって、一方ではこれは緊急な政策だとわれわれ考えております。それゆえに個人的にあの委員会の人とお目にかかったことはありまするが、再諮問をいたすことはできなかったことを御了承願いたいと思います。
  135. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 内閣ができてから日が浅いので、期間的にその余裕がなかったと、こういうお話でございました。今度同じように出されておりまする教科書法案、これもこの国会に出されているわけであります。この教科書法案に対しては、中央教育審議会の最近の答申が出ているわけなんです。もしも諮問するとすれば、これは十分できると私は思うのです。時間がないということは私は了解できないと思います。
  136. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 教科書法については、前任者のときにすでに御諮問に相なっております。で、私就任当時急いでもらいまして十二月五日に受領したと思います。そういうわけで、幸いにして教科書法については御諮問の結果を見て成案を作ることができたのは、まことに仕合せでございます。この案についてはそれだけの余裕がなかったのです。
  137. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 確かに教科書法案は第三次鳩山内閣文部大臣によって諮問されたのではないということを知っております。しかしこの教科書法案に対する諮問はその直前であったと私は思います。特にこの法案は三月の九日に国会に出されております。内閣が成立したのは昨年の十一月の末であります。そういたしますとその間相当な日月があったわけであります。ですから諮問しようという考えがあれば、十分諮問ができたと思うのです。私はこれは故意に文部大臣が諮問をせられなかった。諮問をすれば、政府の考えているような結論がでてこないということが理由になって諮問せられなかった。こういうふうに考えておるのですが、この点文部大臣から説明伺いたいと思います。
  138. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) さような考えで諮問しなかったんじゃございません。先刻言う通りでございます。
  139. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは文部大臣言葉を私は引用いたします。先ほどにも申し上げましたが、もし諸君と相談するくらいなら中教審その他の機関に諮ったであろう、こういうことをおっしゃっておる。これは文部大臣、否定せられなかった。否定せられた部分は別として、否定せられない部分にあるわけです。もし諸君らと相談するくらいだったら中教審に相談したろう、こういうわけです。この言葉は何を意味しておるか。全然中教審に諮問する考えがなかった、そのことを私は明らかに示しておると思います。ここには日がないから諮問をしないというようなことは、全然想像もできないような言葉です。もし諸君に相談するくらいなら中教審に諮問をしただろう、こういう言葉です。この言葉からはどうしても中教審に諮問をしよう、そういう意思がなかった、こういうふうに判断せざるを得ないのですが、重ねて私は大臣答弁を求めたいと思います。
  140. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) それは私の言葉それ自身をうつしたかどうか、私自身さえも忘れておりまするが、この全国都道府県教育委員会委員協議会というものは、文部省の諮問機関でも内閣の諮問機関でもないのであります。ここに諮問せよとおっしゃるのは御無理であります。しかしながら御意見は十分に聞いております。それだけのことであります。もし諮問するのであったら、中教審へ諮問すべきはずのものである。けれども、この通り時間が切張しておるので、委員個人の方の意見を聞いたが、諮問案を出してこれからぼつぼつやってもらおうといういとまがなかったということは、打ちあけて説明したものと思います。参議院の第八控室ですか、そこへこれらの人がおいでになりまして、つぶさにそのことを言って、しかしあなた方の意見は聞きますから、おっしゃって下さいと言って、よく聞いたのです。こちらから諮問はしませんけれども、おいでになった人の意見は、私はよく聞きました。
  141. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私が質問をいたしました諸問題については、他の委員もいろいろ質問があると思いますので、一応この程度で終りますが、しかし私は最後に申しておきますが、文部大臣は国民の声を聞く、あるいは各界の意見を聞く、それは大賛成だというふうにおっしゃっておりますけれども、結局は清瀬文部大臣としては何一つの機関に対しても、この問題について相談をしておられない。これははなはだ私は遺憾なことであると思いますので、このことを申し上げて、私の質問は一応この問題については終ります。
  142. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今の荒木君のお問いに一つ補充いたしておきます。前任者が中教審へ諮問した日を書類がなかったためによく答えておりませんが、ここに書類が出てきました。松村前大臣中央教育審議会会長天野貞祐さんに諮問を出したのは、昭和三十年十月三日でございます。それで十二月の五日に答えが出ておるのです。
  143. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは私の手元に来ているのは、これは違うのですか。これは文部省からいただいたものと思うのですが……どこから配られたか、私の箱に入っておる。中央教育審議会、答申と書いて、昭和二十八年七月二十五日、そうして内容が書かれております。これは何ですか、明らかにしてもらいたい。
  144. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 私は教科書のことですよ。教科書について諮問したのです。(「しっかりしてくれないと困るよ。」と呼ぶ者あり)前任者だったけれども、おそく諮問を出して十二月にできたのだから、本件でも諮問すればすぐできただろうという御論がありましたので、私も前任者がいつ諮問をなさったか疑いにしておりましたが、政府委員に聞きましたところ、ここに諮問が行われたのは昭和三十年十月三日で、教科書制度について別紙の通り貴会に諮問する、こういうことです。そうすると教科書制度は、諮問が十月三日で答申は十二月五日でちょっと二月かかっているのですね。だからして私が就任してからすぐに教科書……これとは違いますけれども、すぐに委員会制度を諮問しましても、それだけでもはや二月かかる、それから党内で調整するということになるととうていできない、国会に出せないということになるのです。それが実情でございますから、その説明をしたのです。
  145. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういうことをおっしゃるなら、また質問しなければならぬ。またほかの人がやられたら関連してやりますから……。
  146. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 他に御質疑はありませんか、文部大臣に対して。
  147. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほどの質問に対する答弁を承わっておりまして、私はこの際関連してもう少し承わりたいと思うのです。それは、先ほど来質疑の行われた重点は、臨教審の法案を今国会に提出しておきながら、これが成立してそれに諮るようなことをしないで、何がゆえに緊急として本法案を今国会に出してきたか、という点に質問の重点があったわけでございます。そこで先ほど来質疑の段階に、中教審あるいは臨教審の性格の問題が出てきたわけですが、それに関して私はこの際承わりたいと思うのです。先ほど文部大臣は、この臨時教育制度審議会の第二条の解釈を、私が考えているのとはちょっと違う意味において答弁されました。そこであらためて伺うのでございますが、文部省設置法中の中央教育審議会の第二項を見ますと、教育、学術または文化に関する基本的な重要施策について調査審議し、さらに文部大臣への建議権を認めております。ところがこの臨教審については「教育に関する現行制度」と表現をし、そうして「教育制度及びこれに関連する制度」、こういうふうに全部制度で限定しているわけですが、従って中央教育審議会調査審議の対象になるものと臨教審の審議調査の対象となるものとは同じものか、それとも一部と全部の関係であるのか、よく納得できるように御説明願いたい。ということは、将来臨教審が発足した後に、それぞれの権限の議論が起るおそれがあるし、また両者から異なったところの答申あるいは建議があった場合に、そのいずれをとるべきかという点について、いろいろ紛争を起すことが予想されますので、その点を明確にしていただきたいと思います。
  148. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 日本の戦後の教育制度は、戦後内閣総理大臣の諮問機関であった教育刷新委員会、後に審議会となりました。そこで日本教育制度がきまったのでございます。もっとも最終の決定はこの国会でいたしますけれども、調べるときは内閣総理大臣の諮問機関である教育刷新委員会がまず骨子をきめたのです。それをきめまして、最後にこれがきまったんだというときに今度は、われわれはこれで任務は済んだから解消して、しかし今度は内閣でなく文部大臣の常設諮問機関として一つの会を持てという決議があったのです。それがあとで中教審という名前になったのであります。規則の文字等はいろいろと筆者によって違いますが、まず中教審は戦後打ち立てた制度を運行していく常設機関でございます。そうして審議したり建議したりしていこう、そうして常設にずっとやっていこう、今度はちょうど刷新委員会教育制度を審議をしたと同じように、その制度自体の改革を今度はやろうというので、同じレベルの内閣に臨教審というものをお作り願うことにして、そこでその制度の一つ見直しをしようということであります。しかしながら文部大臣の諮問機関たる常設の中教審はそのままに御継続を願うのです。臨教審ができておる間もこれは中止いたしません。また臨教審が済んでからも引き続いて文部大臣の常設諮問機関として御活動を願いたいのです。こういうふうなわけであります。日本の文字はいろいろ使い分けしまするけれども、両省の性格の違いは、それで御了解を願えると思います。
  149. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今のお言葉は折々承わったお言葉ですが、わからないのです。一部と全部とはどういう関係なんですか。
  150. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 一部と全部ということではなく、制度それ自身を見直そう。ちょうど刷新委員会が制度を立てたその制度を見直そう。それからして中央審議会はその制度を運用しよう。もっとも運用に際して都合の悪いことがあったならば御建議を願うことはありまするが、ものはボーダー・ラインになるというと、いろいろ似たことがありまするけれども、趣意はそれで御了得願えはせぬかと思っております。
  151. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 断じてわからないですよ。そういうような審議会を二つ発足をさせておいた場合に、それぞれ委員に筋金の入った人がおった場合は、これはいろいろ紛争を起すのですよ。私は納得できないからさらに質問を続けます。あなたは中教審はきまった制度を運用するというようなことを言われますが、この中教審の規定の中に、教育に関する基本的な云々とある。教育に関する基本的な云々となったら、教育制度は入っているんじゃないですか。入っていないのでしょうか。この臨教審の方は現行制度、教育制度、制度だけを表現されてある。こちらの方は「教育、学術又は文化に関する基本的な重要施策」、どうでしょうか。私はこの教育に関する基本的な重要施策という中には、教育制度のことは入っていると思うのですがね。そこで調査審議の対象となるところの範囲はどうかと考えた場合に、私はこれは明確にしておかなければ発足後困る。私は一部と全部の関係があるような気がするのです。あるような気がするのじゃなくて、そう思います。
  152. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 委員長としてちょっと矢嶋委員にお諮りしたいのです。臨教審の問題は、現在内閣委員会で臨教審の制度について審議中だと思うのです。これは本委員会委員発言もできることになっておりますのでそこでこまかく検討されるようなふうにしていただくことはいかがですか。
  153. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長のせっかくのお言葉ごもっともと思いますが、私は前飯島委員長委員会を開かれた当時に、臨教審、あの法案内閣委員会に付託したこと、そのことに疑義を持ってただしました。その当時飯島委員長もごもっともだというので付託がえを議長に要請いたしました。ところが、これはまあ懇談会の全会一致の線に沿ってそれをやったわけでありますが、もう付託されたので、付託がえはできない、それで連合審査ありあるいは委員発言を十分していただいて審議しょうということに相なったわけですが、この経過を考えましても、日本教育の基本的な問題をわれわれが調査審議する場合に、中教審といろいろな案件とを分離して審議はできません。特に本法案が先ほどから審議されておりますように、適切なる諮問と答申を得ないままに、文部大臣言葉を借りてするならば、緊急性があったからというので出されております。従って他の案件以上にこの中教審との関係は重要でございまするし、中教審と臨教審との関連があるわけであって、まあ世間では、この国会に出たこれらの法律案教育法律案と呼んでいるわけで、この関連の質疑は、これは私はたださしていただかないと、どうも審議上差しつかえると思うのです。
  154. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 委員長が申し上げるのは、これは連合審査もしたり、また必要があればさらに連合審査を申し込むことや、さらに委員発言はもう了解できておるわけですね。これはあくまでも、それは付託のときに問題があったかは別として、本筋としてはもうやはり付託になった委員会でこれはどこまでも審議を尽すのが私の筋であって、先ほどからの大臣の御答弁を聞いておっても、臨教審にはこの法律案をさらに臨教審にかけるとか、そういう一項はないということでもあるし、ですから、本法律案としては本筋を離れてくるので、そういう意味で私は申し上げておるのです。
  155. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 経過はともかくとして、現実に付託された委員会でその案件を慎重審議するのが当然である。この委員長のお言葉は私は了承いたします。ところが、この臨教審の問題については二回連合審査をやったのですけれども、一回は参考人の意見を聴取したわけで、一回二時間ぐらいちょっと審議しただけでありまして、別にやっておりません。従って委員長並びに理事会等で、今委員長さんが御発言がございましたように、連合審査の機会を与えて下さるというようなことでございますれば、私はこの臨教審に関する議論はこの程度でやめたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  156. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) まだ諮っておりませんから……
  157. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 諮っていただけましょうか。
  158. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ……確たることは言えませんけれども、委員発言はこれはすでに了解は得ておりますので、特に矢嶋委員より御希望があれば、委員発言の機会をつかまえて十分に御検討、御質疑になったらよかろうと思います。
  159. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこが問題点でございましてね、この文教委員会が開かれていないときに、内閣委員会委員発言をさしてくれるということはありがたいのですが、もしこの委員会を開かれているときに、内閣委員会に臨教審の委員発言なんかに行くということになりますと、私が委員をしているところのこの文教委員会審議している案件の審議の経過がわからないので、非常にそれは困るわけですね。その点を委員長さんの方でしかるべくお取り計らいいただければ、せっかくの委員長さんの御意見でございますから、私はそれに従いまして、この点の引き続いての質疑はあまりいたさないようにいたしたいと思います。その点よろしく。
  160. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 本委員会審議に支障のないように私は委員発言が得られるように、内閣委員会と交渉いたします。
  161. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長さんのせっかくの意見でございますから、その程度にしまして、それではごくしぼって、関連質問でございますから、いたしますが、大達さんが文部大臣であった当時に、中教審から答申のなされたのが二十八年七月二十五日ですね。これを先ほどから、非常に二、三年前なので古いというような言葉が出て、あたかもほごみたいな見解を持たれているやに聞きまして、私は非常に心外なんですが、私は現在の中央教育審議会はこのりの見解を持っていると思うのです。ということはですよ、中央教育審議会は私が先ほど申し上げましたように、文部大臣の諮問に答えるだけではないんです。これは重要な問題だと思うならば、みずから自発的に案件を取り上げて調査審議して、文部大臣に建議するところの建議権が与えられているわけです。従って従来中央教育審議会委員各位は非常に御熱心にわが国の教育、学術、文化に関するあらゆる問題を取り上げております。たとえば短期大学制度の改善についてというような問題についても、これはほとんど自発的に取り上げたやに私は承わっているわけでございますが、先ほどから大臣のお話がありましたように、日本地方教育行政の問題があなたの党の内外、それからわれわれの党においても、さらに当事者であるところの都道府県教育委員会とか、あるいは地方教育委員会、あるいは地方公共団体の首長のグループとか、あるいは議会側の議員で構成するところの団体そういう点でいろいろと議論があったことは大臣が認められた通りです。それほどの問題であれば、中央教育審議会としては、かつてなしたこの答申と意見が違えば当然みずからが持っているところの建議権を発動して、そして大臣に何か意思表示をされるだろうと思う。従って私はそれがない以上現在の中央教育審議会は二十八年七月二十五日に答申をしたところのこの内容が、わが国の教育委員会制度については最も妥当なものであるという私は自信を持っておられるだろうと思うのです。かように私は解釈するのがこの中教審を設置した理由からいっても、またその規定からいっても、筋の通った解釈だと思うのですがその点大臣はかようにお考えになられますか。
  162. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 昭和二十八年の七月から昭和三十一年の春までの間は相当年月もたっております。しかしながら、ものの考え方をまるきりかえなきゃならぬほどの時間でもありません。ことに中教審の委員の方がだいぶ御変更になっておるので、時間があればもう一度聞いてみたらよかろうという心は動いたんでごいざまするが、先ほど荒木さんにお答え申したような事情で、再諮問はいたしませんでした。しかしながら、この答申はあることを知っておりまするから、これもたびたび読み返して尊重いたしておるのであります。
  163. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連質問でございますから、この尊重しているという大臣答弁については、尊重しているかしてないかということについてはあまり触れません。で、私が伺っている点は、現在の中教審としてはこの二十八年の七月二十五日のこれが現在の教育委員会制度に対する中教審の御見解であるであろうと思う。大臣はそれをどういうふうにお考えになっておるかということを聞いておるのです。
  164. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今の委員の方がその通り考えになっているという私は自信はありませんが、一たんたとえ三年前でもその通りの答申が出ておりまするから、これはやはり尊重いたしておるのであります。
  165. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点は各人の考えの自由にまかせるわけにいかないと思うのです。われわれは中央教育審議会の設置に関する法律案審議したものです。そして内閣で任命したところの委員諸君によってわが国の教育、学術、文化に関する審議調査を信頼をもってお願いを申し上げているわけでございます。そこで私はここで提案を申し上げます。それは中教審の責任者並びに一人で悪ければ若干の人を本委員会参考人としてお出ましを願って、この二十八年七月二十五日の答申については現在の中教審としては変った考えを持っているのか、それともどういうお考えを持っているのか、私はそれをただしたいと同時に、この諮問がなされなかったことについて、どういう御見解を持っているかということも聞く必要があると私は思う。で中央教育審議会に諮問があるその答申がなされて法律案が出たならば、その必要はございませんが、大臣みずからが御答弁なさいましたように三年前であり、しかもその期間は相当経過していろいろと事態の変化がある、かように大臣が認識されておればおるほど、今の中教審というものがどういうお考えを持っておられるかということを、われわれがこの法律案審議の段階のひとこまとして聞く必要があると私は思う。時間も長くかからないわけでございますから、かように取運んでいただきたいということを御提案申し上げます。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  166. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ただいまの矢嶋委員提案に賛成をいたします。確かに三年前に諮問されたことは事実であります。また、私も先ほど申し上げましたように、大臣伺いましたように、中央教育審議会へ諮問すれば、自分たちの考えているような答えがこないんじゃないかということを考えて、諮問しなかったのじゃないかと文部大臣質問したくらいでございます。私も矢嶋委員と同様に中央教育審議会意見というものは、あの当時とは変っておるとは考えられません。しかし文部大臣は相当変っているというふうな見解も持っておられるようであります。特に私はこの法案審議するに当って、清瀬文部大臣が中教審に諮問しておられない、こういう事実から直接お伺いをするということは、この法案審議を十分にする意味においてぜひ必要なことであるというふうに考えますので、これは一つ自民党の諸君皆さんぜひ御賛成を願って、日取り、時間等については私は理事会へおまかせをいたしますが。このためにそう審議を引き延ばすことは全然ないのですから、一応われわれは聞く方が、この審議を十分する上において必要なことであるというふうに考えております。そういう意味でぜひ御賛同を願いたいと思います。
  167. 田中啓一

    ○田中啓一君 ただいま矢嶋さんの動議に対しまして荒木さんから賛成の御意見がありました。で、私も中教審の代表的な方の御意見も伺うことにはあえて反対ではございません。そしてまた、荒木さんのお言葉の中にも聞く方法については理事会その他で適当に処置してくれ、こういうことでございます、でありますから、本件は理事会におきましてとにかく証人でありまするとか、あるいは公述人でありまするとか、あるいはまた、参考人等、いろいろあると思いますが、そういうことにつきましてのお取り計らいは理事会の方でしていただくことにして、聞くということには賛成するにやぶさかではございません。
  168. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 中教審は二十人ばかり委員かおいでたと居っておりますか、何人ぐらいお呼びになるおつもりですか、全員お呼びになる……。
  169. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 委員長からちょっと申し上げたいと思いますが、今の方法を加えまして、何人呼ぶか、時期とか、そういうことを加えて一つ理事会においてお諮りしたいと思います。
  170. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私はここで理事会で御相談になるということに、別に異議はないのでありますけれども、ただ申し上げておきたいことは、二十人も呼ぶということになったら、これは大へん時間を要することだろうと思う。それはとうていできない。さればといって二十人もいるのに、二人か三人呼んでもむだだと思う、その代表者の意見でも何でもありません。それで二年前と今と違っているかということを一人か二人の人が言ったところで、何ら権威のないものは、全く参考にはならないことはないかもしれませんけれども、大した参考にするわけにはいかないと私は思うのです。だからむしろ私としては、それはもうお取りやめになった方がいいんじゃないか、かように私は考えておるわけです。御参考のために私は申し上げておきます。
  171. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 竹下委員の御意見も参酌いたしまして、よく理事会で相談をいたしておきます。
  172. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 理事会でお話しいただくということでございますから、私それで一応引き下りたいと思いますが、ただお願いしておきたい点は、まあ中教審には会長という方がおられます。だから正式の活字にして文部大臣に答申されるようなことは、正式の機関の正式の議決かなければなされないでございましょうが、しかし中教審の代表者としての一応の御所見は聞けると思います。それからまた二十人すべてをお呼びしなくても、まあこれは委員長、理事打合会に一任を申し上げますが、五人程度をおいで願うようにすれば、適当にその委員の人選をされておいでいただいて御意見を承わるというと、非常に審議参考になるし、また衆議院法案内容審議に当って十分尽されなかったというような、これが当っているか当っていないか、私は判断に苦しんでいるわけでございますが、一部国民の間にそういう声があるようでございます。第二院としては、われわれは第二院の使命を果す意味においてさようにしていただきたいという意味で、御提案申し上げたわけでございますので、私のこの意のあるところを委員長におかれてはくんでいただいて御協議下さいますよう要請申し上げておきます。  そこで私は議事進行について発言申し上げる次第でございますが、実は私ども質問構成というものを、まず内閣責任者である総理に総括的な点をただして、それから担当大臣である文部大臣にただし、逐次審議して参りたい、それがこの審議に当って非常に合理的であり、能率的に進むと、こういう立場をとっておりましたが、不幸にして総理は政務多忙のため質疑ができずに、昨日午後から本日こういう審議をしているわけですが、本日の審議を進めておる段階において、さらにその感を深くいたしました。そして私は先ほど委員長のもてなしで、臨教審に関しては内閣委員会と連携の上でということでございましたが、私はこのときに至って非常に強く感じていることは、この法案審議するに当っては、臨教審との関係をまずただし、それから中央教育審議会がどういうお考えを持っていらっしゃるかということが明確になれば……、この二つがこの法律案審議の大前提になる感を非常に強くいたします。その点が明確にならないと、なかなか審議が進められないと私は強く感じております。もしもここで総理の質問が許され、中教審の意向を一応承わり、さらに臨教審についての内容的なこの質疑の究明ができた暁においては、この法律案内容というものがどんなものかということがはっきりと、鮮明に自分の目に映る感がいたして仕方がございません。従って私はきょう荒木委員発言から発しました文部大臣発言の有無、あの問題について中教審の参考人を呼ぶという問題、この点は委員長、理事打合会でお話をしていただかなければなりませんが、今の問題、それから総理がいつおいでになるか、それから内閣委員会との臨教審に対する打ち合せ、こういう点がございますので、本日はここで本委員会を一応閉じられて、委員長理事においてこの四点について早急に御協議いただきたい。かように今議事進行に関する発言を申し上げる次第でございます。
  173. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 いずれ理事会で御相談になることであろうと思いますが、公聴会を開くか開かないか、公聴会を開くということになりますれば、私は中教審の二十人のうち何人かから御意見を聞くことそれ自体は、いやだとかいうようなわけではないのです。参考人として何人かをおいで願うということも、その人選がどういうことになるかわかりませんけれども、それも一つの方法ではないかとも思っております。その点を御協議になることとあわせて御考慮を理事会で願ったらどうかと思います。それだけ。
  174. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 今矢嶋君の議事進行についての発言がございましたが、委員長矢嶋君の御主観に対して必ずしも同感をいたされません。委員長は本日質疑を続行いたしたいと思います。理事会はそれが終った後でいたしたいと思います。どうぞ御質疑の継続を願います。
  175. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私はきのうきょうの御質問を承わっておりますと、大学の教授連が非常に謳歌せられまして、そしてそれが根本となって地方へ波及し、あの意見というものが全国的に共鳴を得て、そしてさような方向に進みつつあるように承わるのであります。しかしながら、私はこの大学の学長あるいはその他教授諸君の説は、いわゆる観念的であって、私はその議論というものが多少宙に浮いておりはしないかと考えるのであります。従ってこの問題について、私は文相はどうお考えになっておるか、ああいうふうの人たちの説というものは、あの人たちの観念というものを、そういうものについてどうお考えになっておるか承わりたいと思います。
  176. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 先刻荒木委員お答えいたしました通りでございます。あの声明に書いてあること自身は私反対ではないのです。教育は大切だから民主主義教育は守るべしということ、それは必要な改正はしなければならんが、それはおのおのの機関に諮問せよ、これは反対ではないのです。どうしてわれわれが諮問しなかったとおっしゃると、これは事実が間違っておる。教育は現実の問題でありまするから、私が心のうちで希望することは、ああいう大家はやはりもう少し現実によく即した意見をお立て下さるならばなお有益だと思っております。
  177. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 それからもう一つあの意見を根拠にして、そうしていわゆるすべての教育委員会の人たち、あるいは地方議会の人たち、あるいはPTAの人たち、あるいはその他の人たちがあれに共鳴し、ああいうふうの意見に共鳴しておられるようにおっしゃっておりましたけれども、しかしながら私が知る範囲においては、たくさんないろいろな陳情が参りまする中において、ほとんどその末梢に属すべきところの最も根幹をなす、最高の根本をなすところの、基本をなすところの地方におきましては、本法案のぜひ通過をさせてもらいたいという希望が非常に私は旺盛であり、ほうはいたるところの議論であるように考えております。それはしかしながら都市においてはさような傾向はないかというようなことを思っておりましたところ、先ほど大阪の議会の諸君が来られまして、そうしてこの法案をぜひ通してもらいたいということを言ってきました。多少これは各論にわたるかもしれませんけれども、その問題の根幹は人事権と給与権に関する問題でありまして、五大市を含んでおるところの都市におきまして、県におきましては、もしかりに人事権というものがこのまま認められるならば、非常にその間において困る。それは教育の均等という点から考えて都市に、ことに五大市にたくさんな優良な教員が集中する。従って五大市の子弟は恩恵を受けるところが多いかもしれぬけれども、しかしながら一般の県というものに対するところの児童生徒というものを見た場合においては、そこに、へんぱが生ずるのではないかというふうのことについて非常にこれは憂えておるのであります。これはもちろんこの問題は特別市制に関与した問題でありまして、十八項目というものを受け入れるがために特別市制をしかないという一つの条件的のようなものから、かような問題が持ち上ったことかとも考えますけれども、しかしながら教育そのものを考えました場合においては、私はこの述べられるところのいわゆる陳情せられるところの趣意というものが私は筋が通っておるようなことに考えまするが、この点はどうお考えになっているかということ。  それからもう一つは、今の給与権の問題でありまするが、この給与権につきましても財政の根幹、いわゆる支払う方の県というものと、それから市というものの立場というものを考えますると、市の方は優良教員を集めるがために高い俸給を出して人を集めてくる。そしてさらに優良な者をそのうちから集めるというような点から考えました場合において、食うものは勝手に食って支払いはそちらでしておけというようないわゆる県の方に尻を持っていかれるというようなことになりますと、これは私は将来に対して確執を起し、また、この問題を爼上に上しましたときに、相当な議論を起すべきものと思います。もちろんこの問題について細部にわたる点についてはまた後日御質問申し上げたいと思いまするが、大体その二点につきまして大臣がどういうふうにこれに対して処理をせようと思うておられるかということに対する御意見が拝聴したいと思います。
  178. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今回の案は教職員の人事異動を県の段階における教育委員会に集中したのであります。しかしながら地方委員会意見は徴した上で聞くのであります。給与は県の段階において負担するのでありまするから、運営よろしきを得ましてこれを実行することにおいて、教育の効果が非常に上ると私は信じております。  それから一番初めに世間の論とおっしゃいましたが、教育委員会系統の人は御反対でありまするけれども、知事会とか町村長会の人は非常に私どもに激励を送っております。しかしながら、これらの人はあまりにも自分の仕事に直接御関係でありまするから、その御主張をうのみにはしておりませんけれども、新聞などにあるように、教育委員会の説が民間の一致した説だとは私は考えておりません。
  179. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して。先ほど吉田委員から学者を謳歌して云々と言われましたが、今のところ謳歌したのは安倍先生だけで、私ども学者のことは一言も言っておりません。(笑声)だから本委員会全体がそうだと思われては困りまするので(「けっこう、けっこう」「わかりました」と呼ぶ者あり)そういうことは云々ということは申しませんが、ただ重大なことは、東京の十総長、学長によるこの声明並びにこれが全国民に及ぼした影響について先ほど質疑があったわけですが、この点について文部大臣は先刻こういうことを言われました。学者がわれわれの文教政策にとやかく言ってもらいたくないと、こういう発言をたしか午前中だったかと思いますが発言されたが、これは私は重大だと思うのです。それで関連質問を私はこの学長諸君の声明にしぼって関連質問するわけですが、先ほど大臣教育は時の政治の動向によって左右されてはならない、賛成だ。教育の制度と方針はこれを政争のほかにおいて安定せしむるべきである、賛成だ。こういう御発言ですが、一体こういう文書を読む場合に五つか六つの活字をとってとやかく言うべきものではない。その声明自体、全部に流れる大きな筋をわれわれは把握しなくちゃならぬと思う。かかるがゆえにこれには「文教政策の傾向に関する」声明と書いてある。そうしてずっと作文がされているわけですが、この声明の重点は、政治の動向に左右されてはならない、教育の制度と方針は政争のほかにおいて安定せねばならないが、「この原則をあやうくするかに思われる。」すこぶる謙虚に書かれてあります。「原則をあやうくするかに思われる。」それから「民主的教育制度を根本的に改変するにいたるものである。ことに教育に対する国家統制の復活をうながす傾向」の顕著であること。それらが将来「言論、思想の自由の原則をおびやかすおそれもある。」と、かような案を作るに当っては、慎重の上にも慎重を期するように厳に戒めなければならない。こういうところがこの声明の眼目であって、私はこれは学者が出しゃばったとは思わないのです。私があえてここで文部大臣にただしたい点は、戦時中のことを想起していただきたいと思うのです。戦前及び戦時中に日本の学者に学者としてのいかなる自由が保障されておったか。真実を語り、あるいはそれを活字にして発行すると、その学者は学園から追放されておりました。かような国民が真実を、真理を教えられなかったがゆえに、あの敗戦の苦杯をわれわれはなめたと思うのです。その反省のもとに、戦後の教育というものは発足しているわけです。学者が国家公務員であるから、一国の文教政策にとやかく言うなということの考え方というものは、私はあやまちを再び繰り返すおそれがあると思うのです。一国の責任のある総長、学長、学者として学問的な立場から学究徒としてこういう点についてこの発言、意思表示をされるということは、私は民主主義国家としては当然であると思うのです。ああいう人々も私は直接会ってはそう聞いておりませんが、いろいろと御意見を持ちながらも、自己の研究に専念し、その大学の自治と発展のために象牙の塔にこもられて努力されておったが、最近の文教政策の傾向をつぶさにながめるときに、いても立ってもおられないという、こういう学究徒としての耐えられない心境から象牙の塔からとび出して来られて、こういう声明をされたものと私は推察をしております。従ってこういう声明というものは、私は国民としては、これは傾聴してしかるべきだ、また、為政者というものは格段と私は耳を傾けてしかるべきだと思う。ということは、一人か二人の風変りな学者が所見を述べられたなら別ですよ、特にこの十人の中の木下一雄先生、この人は学者グループの一部では、言葉をここで言うのは穏当かどうかわかりませんが、言わなければわかりませんから言いますが、学者グループの一部では木下一雄先生は非常に文部省の御用学徒だというようなことを言う人もあった。これは当っているか当っていないかは別です。しかし学者の一部にはそういうことを言う人もあった。その木下先生がここに名前を連ねたということで、文部省の人々はがく然としたということを伝えている。御心情御推察申し上げます。この木下さんまで名前を連ねてある。こういうものに耳を傾けられるのは当然であって、学者がわれわれの政界のことにとやかく言うべきでないという、これは文部大臣としてはいかがかと思いますので、重ねて所見をただしたいと思いますが、この発言を若干修正されれば、私は追及いたしません。しかし、大臣答弁次第ではさらに私は質問をいたしたいと思います。速記に載っています……。
  180. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) この説明について鳩山総理も私も賛成だと言っておるのです。これを誹謗したことは一ぺんもありません。これはいいのです。第一項は民主主義でいけという、第二項は改めるのには審議会にかけろというのです。ただ違っておることは、審議会にかけなかったということは間違いだ、こう言っておるのです。教科書の方はかけておるのです。それから今の案も絶対にかけなかったのじゃないので、少し前でありますけれどもかけておるのです。ただ、その時日はあまりたっておる。それから先刻吉田さんのお問いについて、やはり賛成だけれども、やはりえらい方だから、もっと具体的に調べて教えて下されば、なおけっこうだったろう、こう言っておるのです。このうちに言論思想の自由の原則とかあるいは思想の統制をするようではいかんという警告ですから、私も顧みてそんなことはしないようにしよう、こう思っておるのです。あなたのこととちっとも話が食い違わぬように思いますが、総理も私もこれは敬意を表しているのですよ、いいことが書いてあると思っているのです。ただしかし、もう少し具体的にお調べになって、あやまちなどがないように教科書の方はそれは諮問しているけれども、教育委員会の方は諮問が古いから、もう一ぺんやるべきであったというふうに、もう少し具体的に……そうしてまた直接公選がいいか悪いかということをお書きになっておりませんです。もっと具体的におっしゃれば、なお参考になってよかろう、こう申し上げておるのであります。
  181. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ここは法廷ではございません。先ほど秋山委員指摘されましたように、(「演説会場でもないぞ」と呼ぶ者あり)法廷に清瀬弁護人が出席して、そうして白を黒というようなところではないのです。あなたは御良識を持っていらっしゃるのだから、この文面の意味はわかると思うのですね。特に傾向に関する声明と書かれている。これはあなたが言われるように教科書法案は諮問したが、教委法案は諮問していない、それはよくなかったなと、そんなことを書いているのではないのですよ、そういう片々たることを、全般の流れ、大きな筋はこれらの法案については時間がかかりますから繰り返して申し上げませんが、傾向が顕著となりつつある、また脅かすおそれがあるから、もう少し政府においても、国会においても御注意いただきたい。細心の上にも細心な態度をもって臨んでいただきたい。結論としては今の法案を一応撤回して再び出直していただきたい、こういうことが、(「そんなこと書いてないよ」と呼ぶ者あり)底に流れているのですよ。日本語のわかるものはこれを読めばわかるのだよ。そういう意味だよ。(「わからんよ」と呼ぶ者あり)それならば呼んで聞こうじゃないか。ちょっと委員長の許可を得て……。
  182. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 矢嶋君にちょっと申し上げたいと思いますが、一つこの本題に帰って質疑をお尽し願いたいと思います。そう言った、だれがどう言うかということも、非常に大事だと思いますが、本委員会は本委員会としてのこの法案を、あくまでも各委員の御意見を十分質疑を尽して各委員意見をまとめる委員会だと思いますので、どうぞそのおつもりにお願いします。
  183. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの委員長発言は了とします。ただ、私が関連質問に立ったことは、大臣が先ほど学者が地方教育行政組織並びに運営に関する法律案等について、とやかく言ってもらいたくないということをはっきり申しました。速記に載っております。私はそれが穏やかでないということと、それからこの声明について先ほど他の委員から御質疑があったから、その声明の把握の仕方が間違っているのじゃないか、これはこのまま聞き捨てておいたら大事だと思ったから関連質問したわけであって、大臣はその第一点については否定されますか。速記に残っておったらどうしますか。あなたはさっきはっきり、地方教育行政組織並びに運営に関するこういう点について学長あるいは総長あたりがとやかく言ってもらいたくないということを言われました。(「そうは言わない」と呼ぶ者あり)それだけただして、私は関連質問だから一応下ります。
  184. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 私は学長や総長が教育委員会の方にとやかく言ってはならぬなんということは申しません。(「政治の問題にくちばしを入れるな、これは言った」と呼ぶ者あり)やはりもう少し具体的におっしゃって下さったらなおよかろうといったのです。もっともあるいはこういうことを言ったかもわかりません。あとで速記を見ましょう。それはですね、教育政治の動向に左右されてはならぬということ、従って教育の方からもまた政治に関与することも好ましくないという考えを私は持っております。けれどもこれは総長のことを言ったのではないのです。われわれが教育に関与することはよくないのです。大学の自由も尊重しなければならない。われわれが教育内容に、教育の民主的運行にむやみに干渉すべきものじゃないのです。それからまた、そのかわりに教育に従事しておる者が政治に関与することも、これもよくない。そういう考えは持っております。しかしながらこれを批評した言葉はないのです。(「それは教育の中立性に関することでしたよ」と呼ぶ者あり)教育は自主であります。だから、自主だから、教育の自主性を侵すべきものでないと考えております。また、教育界の人としては、むやみに政治に関与することもよくないという考えは持っております。しかしそれはこの案を評したものではありません。(「そういう発言でした」と呼ぶ者あり)
  185. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは明確にいたします。こういう点は明確にしておかなければならんのです。(「速記録を見ろ」と呼ぶ者あり)ヤジを禁じて下さい。非常に質問しづらい。(「そっちが言うのだろう」「黙っていれば言わない」「隣にいるのだから耳うちしたらいいじゃないか」「そちらからヤジリかけているのじゃないか」「何べん言ったか調べてみろ」と呼ぶ者あり)
  186. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 静かに願います。
  187. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 続けますが、大臣が先ほど他の委員質疑の段階に申されたことは、若干今のと違います。速記をあとで調べましょう。そこで私はこの際にはっきりとお答え願いたい。それは大学の総長、学長がこういう声明をすることはよくないのかどうか。あなたはどう考える。それともう一つ具体的に聞きましょう。一国の大学の総長が——具体的に申しましょうか。東大の矢内原総長が、全学の学生に、現代の政治と関連があるような内容を含んでいる時局講演等をされることを否定されるのか、されないのか、そういう点明確にお答え願いたいと思います。
  188. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 第一にこの声明は抽象的でありまして、政治関与には、私は必ずしもなっておらん、それゆえにいいことじゃと、鳩山総理も、私も言っておるのです。それは間違いありません。  それからして、後の御質問は、具体的にその話を聞きませんですね。どの限度が原理であるか、どの程度政治関与であるかということは、ちょっと今のお伺いだけじゃ答えかねるのです。(「具体的に言いましょうか。」と呼ぶ者あり)
  189. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 質問いかがですか。
  190. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これで終ります。それでは大学の学究徒、プロフェッサーですね。教授、こういう人々は学問的な立場から、その国の政治批判の自由があるか、ないか、どうでしょうか。あなたどう考えます。
  191. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) それはあると思います。
  192. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連質問を終ります。
  193. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私は先ほどもう一つ新聞に出ておる問題について質問したいと思っておったのは、教育委員会の、いわゆる委員が静聴をするということがひんぴんとして新聞に出ております。ところがこのごろは幾分下火になったように思います。ことに東京都においては委員の総辞職などということも出て、そのうちの一人、二人は賛成しなかった人もあるかもしれませんようですが、いずれにいたしましても、この問題は近ごろ非常に重大な問題となり、われわれもこれに対してその動向を注視しております。これにつきまして、もしこの委員会というものに対して大量に、あるいはその一局部において、すべてが辞表を出した場合において、大臣はどういうふうのお取扱いになるか。また、今日県においては県の議会を代表して一人出ておりまするが、それもやめてしまった場合にはどうなるか、あるいはさらに教育長、そのものがやめてしまった場合にはどういうふうにお取扱いになるかということを承わりたい。
  194. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) その問題は衆議院においても提起されたことでございます。よく情勢を視察するというと、そういうことはないと、絶無じゃと思っております。それゆえにないことについてどうするかということは、今実はお答えできないのでございます。(「関連やりなさい、今のは重大だ」「それじゃ答弁にならん」と呼ぶものあり)
  195. 田中啓一

    ○田中啓一君 資料一つ要求をいたしたいと存じます。本委員会におきましては、だいぶ政府が法律を出される際においていかなる諮問機関に諮ったか、諮らなきゃいかんじゃないか、これから作るものにも諮らなければいかんじゃないかというような、いろいろ御論議が出ておる際でございまして、少し過去にさかのぼって資料をお出し願いたい。まず第一は、教育基本法並びに教育委員会法御提出の際に、だいぶ古い話ですが、政府はいかなる諮問機関に諮って、まあなんと名前がついておりましたか存じませんが、諮問機関、調査機関というような種類のものに諮ってお出しになりましたか、その内容はごく簡明でよろしゅうございます。ごく概略をお書きになって、つまり答申の内容は概略簡明でけっこうであると思っております。その資料をちょうだいいたしたい。それからこの教育委員会法は昭和二十三年に出まして、由来毎年改正をしておられます。これについてやはりそういったものにお諮りになっておるのでありますか。いかがでありますか。それからそれに関連いたしまして、本日も質問の話題に載っておったのでございますが、昭和二十七年でありましたか、それまで市町村は任意の設置制であったのを、これを全面的に義務設置にするかしないかということで非常に論議が行われました。何を隠しましょう。私はそのときに置くべし、そうして内容はきょうお出しになったようなものが適当であろう、こういうことは……(「逆だよ」「それはおかしいよ」「廃止論だったのじゃなかったか」と呼ぶ者あり)しかしながら先ほど文部大臣がおっしゃったように実にこれはもうどこもかしこも大へんな議論に分れまして、かれこれやっておるうちに議会が解散になって、当時文部省からは一年間延ばしたいという意見を出しておられたが、その機会もなくて、とにかく義務設置に、法律本来の、書いてある通りになってしまった、こういう実は次第であったのでありますが、そのときの議論のうちで、お互いにやりましたことはお互いわかっておるからよろしいのでありますが、当時いわゆる教育関係者とおっしゃる方たち、たとえば県の教育委員会でありますとか、あるいは日本教職員組合でございますとか、そういうところあるいは大学等にもございましたならばそれも、だいぶ古いことでございますから、そういう資料文部省に今あるかどうかわかりませんが、もしございましたならば、そのうちどれでもあって、しかもこれもまあ内容は簡明でよろしゅうございます。簡単であれば写しをお出し願いたい。それから先ほど資料要求のうちに教育基本法に対してどういう諮問をされたか、あるいはそういう諮問があったかということを資料をお願いしたいのでありますが、おそらく当時は何分にも占領下にあった時代でありまして、たしか昭和二十年ないし二十一年に日本教育制度に関する連合国からの総司令官に対する指令でありますとか、あるいは総司令官から日本政府へ向って要求して参りました覚書でありますとかあるいはディレクトというようなものが相当にあったように私は存じております。ことに教育基本法あるいは教育委員会法が議会で審議されます際には、一条一文といえども司令部の許可なくては修正も何もできなかったということは、われわれ記憶に明らかなことなんであります。でありますからそういったメモランダムとか、あるいはディレクトとかというものがございましたならば、これも古いことでございますし、当時文部省がそういうふうものを受ける直接の機関であったかどうかもわかりませんので、しいてとは申し上げられませんが、そういうものがありましたならば、何らかの編集したものからお引き下さってもけっこうでございますから、お出しを願いたいと存じます。それから今東京並びに関西の大学の総長あるいは学長の方たちの声明というものが大へん論議をされておるのでございますが、実は私その声明を持っておりません、新聞では確かに見ました。ですが当然文部省にはおそらくただ声明書だけでなくて申し入れ等がありはせぬかと思うのです。
  196. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) ありません。
  197. 田中啓一

    ○田中啓一君 もしなかったならば、文部省へ要求するわけには参りませんから、(「写しを上げるよ」と呼ぶ者あり)便宜お願いいたします。(「文部省が作っている、くれればいいんだ。」と呼ぶ者あり)その実情を明らかにしていただいて、新聞なら新聞ということでお願いできますれば、まことにけっこうに存じます。なお、教育委員会制度に関する意見というもののうちに、私まだ拝見しておらぬのでありますが、地方公共団体側の意見が入っておりますかどうですか(「あります」と呼ぶ者あり)入っておらなかったら、ぜひこれを入れていただきたい。それからことに公共団体たとえば県知事会とか市長会とか町村長会とかあるいは議会の会というようなもののほかに、これはあるいはこれに載っておるかもしれませんが、地方制度の調査会などで少くとも論としては相当あったように承知をいたしております。で、実は二十七年以来私はこういうような形の教育委員会のようなものが適切であろうというような考えを持っておったのでありますが、実は執拗に公共団体側からは廃止論をもって迫られたという覚えがありますので、実は私もまことに不始末でそういう陳情書等をよく保存しておらぬ、そういう次第でありますので、もし文部省に出ておるものがございますならば、それを一つお出し願いたいと思います。資料要求は以上でございます。
  198. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) よく調べまして、今の御要求の中には古いものもございますから、よく調べました上で申し上げたいと思います。それから最後の資料につきましては大部分きょうお配りしました資料の中にございますので、ごらんの上また御要求を承わりたいと思います。
  199. 湯山勇

    湯山勇君 法案提出の経過につきましては、各委員から質問がありましたので、私もいろいろお尋ねしたいと思っておりましたことの中で残っているものを幾つかお尋ねいたしたいと思います。なおその前に、今大学の学長の問題が出ましたが、これは文部大臣は具体的な内容がわからなければそれに対する意見は述べられないということでございましたので、私は一つの例として本年の東大の卒業式で矢内原総長が学生に与えた告辞の一部をその具体的な例として申し上げて大臣の御所見伺いたいと思います。それは新聞の見出しでは、政治への不信を表明、こういう見出しで出ております。内容を読み上げるということは時間の関係上省きまして、さしあたって大臣が判断を下されるのみ必要だと思う部分だけ申し上げます。その一つは、終戦後十年日本日本なりに変化しようとしている、その方向は一言でいえば、国家の地位の強化である、国家主義への復帰である、それが占領下に行われた諸改革の修正という合言葉でいろいろのところに頭を持ち上げてくる、第一に、日本再軍備の声がある、この声は日本国内からだけでなく、かつて日本から一切の軍備を撤廃させた外国自身が今や日本の再軍備を当然のことと考え、これに対し強い奨励と助言を与え云々とあります。そしてこれに対する総長の見解としては、日本は今や果して現実に再軍備を必要とするか、むしろ今の段階ではなお再軍備に支出する財政的な力を、国民の経済と教育の面に投じて国民の実力を養うことを当面の急務とすべきではないか、再軍備することが民主主義の精神をまだ十分に体得しない日本国民、ことに青少年の思想に対し反動的影響を与えるおそれはないか、まあこういうふうに各点を指摘しております。さらに、ただいま議題になっております教育の問題につきましても、第二に、言論と教育に対する国家的統制の動きがある、放送法の改正は言論、宣伝の自由の原則をそこなうものではあるまいか、教育委員会制度の改正法案並びに教科書法案のごときは、教育に対する国家的統制の思想を含む立法であるまいか、ずっといろいろそのほかこれを詳しく説明してあります。で最後に教育の危機を憂うという結びになっておりますが、以上述べたことは事実に基いて教育に対する国家的統制の傾向を指摘したのである。私が日本のために教育の危機を心配するのは、これによるのである。もしも国民が無自覚、無批判に大勢に動かされて、大勢に迎合していくならば、せっかく始まった新らしい民主主義、日本建設の事業は中途にくずれ、また昔の姿に帰らないとは言えない、以下ありますけれども、ともかくも、今、大臣が判断を下される資料として今申し上げた点で大体十分だと思いますので、こういうことに対して先ほどの大臣立場からこれに対する判断です、それを伺いたいと思います。
  200. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) その演説それ自身私聞いたことはないのです。重要だと思って二、三の新聞を読み比べましたが、皆幾らか違っております。それゆえにあの演説がいいか悪いかという終局的なことは申し上げられません。しかしながら、今あなたの御指摘の部分は差しつかえないと思います。すなわち、精神統制のおそれはあるのではないか、あるいは国家統制、教育委員会制度も統制に進むのではあるまいかと言って疑問をもってわれわれを戒めておられるのでありますから、そうでないようにいたしたい、こう思っております。(笑声)
  201. 湯山勇

    湯山勇君 ただいまの点に関しましては、私はそういう御答弁があるのではないかということを心配しまして、そのためにわざわざ総括的な緒論のようなことを申し上げておいたのです。その部分を大臣はお続けになっていらっしゃらないそうですから、これも一つ資料として取っていただいて、国立大学ですから、お取りになれると思いますので、一つ大臣もお読みになっていらっしゃらないそうですしいたしますから、一緒に御検討願いたいと思います。  その問題はそれではその後に譲りまして、次に、お尋ねいたしたいことは、大臣は先般来御答弁において各界の意見を十分聞いた、ただそれに従うか従わないかは別だ、こういう御発言がございました。そこで私どもが考えますのは、確かに大臣が御指摘のように、知事とか県議会とか、あるいは町村長とか、町村議会とかは、これはこの法案の成立に賛成をしております。また、教育委員会の諸君は、これは本法案に対しては重大決意をもって反対をしております。ただ重大な決意という点においては、町村長の声明を見ましても、同じようなことが見られますが、しかし、この法案審議に当って、最も大切なことは、手続が簡単になるとか、あるいは簡素化されるとか、そういった問題ではなくして、この法案が一体子供の教育にどういう影響を与えて、子供の教育をどうよくしていくか、そういうことでなければならないと思います。そういう点に立てば、今日、教育委員会を作った、つまり選んだ人、国民大衆、それから子を持っておる親たち、こういう人たちの意見を最も尊重しなければならないと思います。そこで、今までの御答弁の中では、中教審に対しての御意見なり、あるいはその他の御意見はありましたけれども、そういう国民全体の声というようなものについての大臣の把握、そういうものが御表明になっておりません。そこで大臣は、そういう現在の教育委員を選んだ、つまり国民大衆、観たち、そういうものの意見をどのように御把握になっておられるか、そうしてその大勢はどうと御判断になっておられるか、さらにまた、もし、大臣がその人たちの意見はこうだと御判断になっておらなければならないと思いますが、なっておるとすれば、大臣がそう御判断になった根拠をお示し願いたいと思います。
  202. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今のお言葉の前段はあなたのおっしゃる通りでございます。それから各調査会、諮問委員会以来の意見、わけても親たちの意見というものは、これはどうも非常に数がたくさんで、一々あげかねまするが、たとえば、世間でいうPTAなんというものは、その中のPは親たちでありまするから、これらの人たちの意見も聞きました。私も代議士をやっておりまするから、選挙区内の多数の人の意見をよく聞いております。私一人聞いたのがたとえば百人でありましても、私の友人——衆議院だけでも二百以上の代議士がおられます。これらの人も一々聞いておると思います。それは多数の人でありまするから、一致してこうだという把握は困難と思いまするが、大体私どもの今やっておることを正しく解釈してくれるならば賛成して下さると、私はかように思っております。国民の民意に正面衝突の法案提案したとは考えておりません。
  203. 湯山勇

    湯山勇君 大臣は私の質問に対して正面からお答え下さらないので、重ねてお尋ねいたしたいと思います。大臣の御答弁は、結局大臣は民意を把握していない。たとえば、おあげになったのは自分の選挙区、それから御所属になっておる党派の内部、大部分の国民については大臣のお考えになっておる真意を了解してくれるならば、賛成してくれるものと信じておるという仮定に立っていらっしゃいます。私が先ほど荒木委員質問に関連して尋ねたのはこの点でありまして、大臣教育委員の代表の方との話しの中でたとえた、囚人にたとえたと、たとえの部分だけは取り消した。あとの部分は消してない。そうすると、直接関係者の意見を聞くか聞かないか、こういうことを少し念を押して聞いたのは、この質問の前提としてお聞きしたわけです。結局、大臣はそういう仮定的な把握しかしておられないのかどうか。それだと私は非常に問題は大きいと思いますので、重ねてお尋ねいたしたいと思います。
  204. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) だいぶ長いのですが、教育委員諸君の意見は、従前も文部省に御来訪になり、私の私宅へも来られ非常に聞いておるのです。あの晩だけは夜がおそくて、幾らか酒気でも帯びておったのじゃないかと思い、私も疲労しておりましたから、その晩だけは断わりましたけれども、翌朝すぐに会うたんです。会うた場所も覚えております。参議院の第八控室においでになってつぶさに聞きました。どの意見も私は今まで断わったことは一ぺんもありません、みな聞いておるのです。私がふつつかで了解しなかったというなら別でありますが、皆さんのおっしゃることはよく聞いております。そして、私の胸にそしゃくして、文教委員会、私の党派内の人にも聞き、それは念に念を入れてこの法案を確定したのでございます。
  205. 湯山勇

    湯山勇君 大臣はその発言が非常にお気になっておるものとみえまして、私のお聞きしたことでないことの御答弁をただいま述べられました。私がお尋ねしたのは、先ほど尋ねたことと今尋ねたこととの関連を申し上げたまでのことであって、お尋ねした要点はそれをお尋ねしたのじゃありません。お尋ねしたのは、大臣が国民の総意をどう把握しているかということに対して、先ほどの御答弁ではもし真意がわかってもらえるならば大多数の賛成は得られるだろうという御説明でございましたので、そういう仮定的な把握しか、しておられないのかどうか、こういうことをお尋ねしたわけでございますから、その点についての御答弁を明確にしていただきたい。
  206. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) この教育の問題については、国民は非常に関心を持ち心配いたしております。これは事実なんです。一々人数を言うことは不可能でありますけれども、何としても今日の制度では子供を学校へ、幼稚園か中学校か、大学か、子供を学校にやっておらぬ家庭というものはほとんどないのです。非常に関心を持っておられます。私どもの見るところでは、やはり大多数はこの改革はいいと思っておる。一部に、新聞なぞを見ると、反対の意見が出まするが、これをよく読んで見るというと、私どものやっておることを誤解しておるのですね。はなはだしきは、教科書は国定反対だという論文が出るのです。国定など考えてやしません。それからまた、今回の案にしても官選反対だという、教育委員を官で選定する官選反対だと言っている。そうじゃない、今の公共団体のこれは官選じゃありませんから、官選の委員は反対だと言って、昔の戦前の何もかも政府が統制しておったようなことを考えて、それに戻るのだといって、反対の堂々たる新聞の論文が出たりするのです。これはひっきょう私どもの意見を十分に了解しておらぬ。多数の人は了解して賛成されております。一部反対の人も、これはわれわれの宣伝が足りぬのでありますが、十分にこれを了解しておりません。ことに、教育の中立性を害するなんとおっしゃいますが、直接選挙をやったら、あるいは一党が全部委員を取って中立性を害するかもしれないけれども、私の方の案では、相談をして、やはり一つ党派には二人しかもてないのだ、中立性をこれだったら保護できるし、それらのことを十分にそしゃくして下さるならば、国民全部が御賛成下さると私はこう見ているのです。
  207. 湯山勇

    湯山勇君 それでは大臣は国民が誤解しておるから、現在反対しておると……。
  208. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) その一部が……。
  209. 湯山勇

    湯山勇君 一部が反対しておるとそういうふうに御判断になった根拠はどこにございますか。
  210. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 新聞なぞに現れ、あるいは私どものところへ書面等をよこされるのに、案をごく誤解しておられるのです。国定教科書反対だ、とんでもない話で、国でじゃないのです。自由出版で検定なんです。この委員会は官選じゃないんです。自分が選んだところの町村長が自分の選んだところの町村会議員に相談してきめるのです。それらの点が一部では誤解されておるのですよ。それははなはだ残念で、この誤解を解きたいと思って非常に骨を折っておりまするけれども、なかなか十分に徹底いたさないので、かような公開の席で討論せられ、それが報道されて逐次わかってくることを私は非常に楽しみにいたしております。
  211. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっと今、大臣新聞に触れられましたから、新聞のことをお尋ねしておきたいと思います。一体大臣が信頼できる新聞で、今の政府のやろうとしておることに賛成しておる新聞があれば、一つお示しを願いたいと思います。
  212. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) それは一つ探してみます。
  213. 湯山勇

    湯山勇君 時間がもうありませんから、もうこの一点だけ聞いてあとに回わしたいと思いますが、大臣大事なことを聞きますから、一つお聞き取り願いたい。これはすでに相当この問題は父兄の関心事になっておるということをおっしゃいました。で、おそらく大臣はこの誤解もとけてくるという信念をお持ちのようでございます、ところが、もし今後において国民の大多数、たとえば一千万とかあるいは一千五百万という国民の大衆が署名をもって大臣法案撤回を要求したならば、大臣は当然大臣の把握が違っておったのですから、法案撤回をなさるべきだと思いますがいかがでしょうか。
  214. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) それはその請求を見なければお答えはできません。しかしながら私はこれをもって最善の案と考えております。今日の程度においてはですよ。
  215. 湯山勇

    湯山勇君 国民の過半数がですね、いわゆる国民の子供は別としてもです、国民の過半数が署名をもって請願その他の方法でもって法案撤回、法案反対を申し出たならば、大臣は再考の余地があるかないか、どうお考えですか。
  216. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) その場合になりませんと、非常にたくさんの仮定、前提のあるお問いでありますから、お答えいたすわけには参りませせん。
  217. 湯山勇

    湯山勇君 この質問でこの問題を切り上げたいと思ったのですが、もう一つ聞きます。今の点につきまして、大臣が先ほどの御発言では、おそらく真意が了解されれば全部賛成する、こういう前提に立ってこの案をお出しになっておるのです。ところが現実に大臣がおっしゃったように、父兄の関心が非常に高まっておる。どの家にも子供を持っておりますから、教育に関する関心は高まっておる。今日もなるほどちらほら賛成反対の声はありますけれども、大多数の国民が請願陳情そういう正式な手続をもって、この法案に反対を申し入れたときには、大臣の当初の判断は間違っておったということになります。そのときにはお考え直しになるかならないか。こういうことですから、事態は明瞭だと思いますので、明確な御答弁をいただきたいと思います。
  218. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今申し上げました通り、いろいろの前提があるのです、署名運動といってもですね、署名をしてくれという人の説明がどうであったかも非常に関係いたします。それからまた、その署名の内容にも関係いたします。これを数量的に数が多いからして、それでいいと言ったような責任の少いものの判断はできませんので、あなたのおっしゃる一部には、今署名運動が行われておるということをほのかに聞きましたです。けれどもその結果については出てこないというと、何とも判断はできません。一つくらいの前提ぢゃない、二つも三つもの前提のある問題でありまするから、今それをお答えすることは、世の中に誤解を招くおそれがありまするから、お答えはできません。
  219. 田中啓一

    ○田中啓一君 関連質問一つだけ皆様のようにたくさんはいたしませんから、ただいま署名の問題が出ました、それからまた団体等が、団体員が全部で署名をしてくるものもわれわれしばしばあるということを聞いておりますが、一体果してそれは真意であろうかどうか。私は国民の自由にして自主的な真意を現わす方法は秘密投票しかないと思うんです。であるがゆえに民主主義の諸国というものは秘密投票ということを最大の信条にして、これが民主主義の基礎をなす。(「国会の採決に水を入れるな」と呼ぶ者あり)私は、民主主義の国でないと存じますが、そういう国では秘密投票はできない、形は秘密投票であっても、必ずあとからしりを掘られて何らかの圧迫を受けると言われている。現にドイツ統合の問題にしましても、自由投票か、しからざるかといって大論争をしている、実におかしなことなんです。投票できめるのに、われわれの常識をもってするならば、民主主義である以上は秘密投票にきまっている。それはいかぬというのです。実はそういうことでございますから、私はもし国民の真意を聞き、多数に従って事をきめようというならば、それは秘密投票をやるよりほかにないとかように存じております。とにかく今日も私どものところへ、まあ例をあげますれば、農業団体の再編成問題のごとき、これはもう、農民は農業委員会側の者もおり、農協側の者もいる。それもはっきり意思がきまっているならばいいけれども、両方へ署名して平気でよこす、そうして出ていった者は、この通りの多数の署名でありますから、農業団体を再編成してもらいたい。いや、それはもうとんでもないことだ、この上団体を作って何にするんだ、農協一本でいいじゃないか、こういうことをお互いにやっている。そういう実は現状を見ますると、今のような仮定でどんどんおやりになりましても、いかがかと存じますので、私はこの点について文部大臣の御所見一つ伺っておきたい。これで終りです。
  220. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今田中委員のおっしゃる通り考えております。(「民主主義では秘密投票でなければいかぬというのか」と呼ぶ者あり)御指摘通り、署名してくれと言われたら、よくそれをする人もあるのです。だから署名の数が何万だということで、社会的にこれを尊重するなんということは、今ここで申し上げるわけにいきません。これはいろいろなことに関係いたします。
  221. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して……。今の問題をやらなければこれは終らない。今の問題はこれは私は重要だと思うのですが、秘密投票でなければならぬと言えば、われわれは民主国会だがすべてを秘密投票にしなければならぬと思うのですね。これはまあ秘密投票でもよくうまく出ない場合もあるんですよ。それは片々たることを言えば、たとえば自由民主党の総裁選挙のときに秘密投票をした。それは国会議員並びに支部長で構成しているわけですが、もう死んだ緒方竹虎さんの票が出たり、党員でない吉田茂さんの票が出たり、まあ片々たることを言えば、そういうこともあるわけです。しかしこの署名運動、署名というものがあれば、それは中には一、二は重複して署名する人があるでしょう。しかし大きな流れ、世論というものは自分で名前を書いて署名したものに大きな世論は出るものだ、こういう考えに立たなければ、これはお互い全国民を全く信頼してかからないわけであって、自分らはそういう主権者から選ばれてここに来ておるわけで、それを押し詰めていけば、われわれは何も審議権がない、われわれの発言というものはでたらめだということに究極はなってくると思うのです。主権者が一人々々名前を書いて署名したならば、大きな筋としてはそれは世論だ、こうしなければ、秘密投票でなければこれは信用できないという文部大臣見解は、私はおかしいと思うのですよ、文部大臣、そういうことを言っては重大ですよ。中にはおかしなのがあるというならわかるけれども、原則的に認めないのは……。
  222. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題は相当重要だから僕は質問したいと思うけれども、もう時間がたっているから……。
  223. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一言だけ答弁を聞いて終りましょう。
  224. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 答弁というよりも、誤解を防ぐために申し上げまするが、私の答えました要点は、署名の数が非常にたくさんであったから、その案を撤回するかというお問いに始まっておるのであります。私はそうはいたさぬ。それから田中君はその理由の一つとして、民主主義の国で一番はっきりわかるのは、普通選挙と同じように無記名の投票なれば本人の意思がわかる、そうでない場合には、署名することを求めていった人の意思もだいぶん加わるし、かつて農業委員会のときの経験によると、両方へ署名した者もあった、こういう理由をつけ加えられました。いずれもごもっともなことであります。私は絶対的に秘密投票、これでなければ民主主義じゃないとは考えておりません。記名投票の方法もあるのでございまするけれども、結論として署名運動を起して署名がたくさんあったということだけに驚いて案を撤回することはないという意味でございます。(「それはこの次やろう」「散会」と呼ぶ者あり)
  225. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ありませんか。
  226. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ありますけれども、私は世論に対してどういうふうに考えているかという問題で、この問題は一つ取り上げる考えでありますから、その際に申し上げます。
  227. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それじゃ御異議なければ、本日の委員会はこれで散会をいたします。    午後五時十八分散会