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1956-04-24 第24回国会 参議院 文教委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十四日(火曜日)    午後二時三十一分開会   —————————————   委員異動 四月二十一日委員館哲二君及び酒井利 雄君辞任につき、その補欠として森田 豊壽君及び中川幸平君を議長において 指名した。 四月二十三日委員秋山長造辞任につ き、その補欠として田畑金光君を議長 において指名した。 四月二十四日委員森田豊壽君及び田畑 金光辞任につき、その補欠として白 井勇君及び秋山長造君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加賀山之雄君    理事            有馬 英二君            吉田 萬次君            湯山  勇君    委員            川口爲之助君            剱木 亨弘君            白井  勇君            中川 幸平君            三木與吉郎君            秋山 長造君            安部キミ子君            荒木正三郎君            村尾 重雄君            矢嶋 三義君            竹下 豐次君   国務大臣    文 部 大 臣 清瀬 一郎君    国 務 大 臣 倉石 忠雄君   政府委員    自治庁財政部長 後藤  博君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件教育、文化及び学術に関する調査の  件  (教職員給与等に関する件)  (学生生徒経済的負担増加傾向  に関する件)   —————————————
  2. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) これより文教委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  四月二十一日、館哲二君、酒井利雄君が辞任、その補欠として森田豊壽君、中川幸平君が選任されました。四月二十三日、秋山長造君が辞任、その補欠として田畑金光君が選任されました。また、本二十四日、田畑金光君が辞任、その補欠として秋山長造君が選任されました。   —————————————
  3. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 先刻開かれました理事会経過について御報告いたします。  本日の議題は、まず学生生徒経済的負担増加傾向に関する文部大臣に対する質疑を行うことといたします。そうしてなお時間的余裕があれば、地方教育行政組織及び運営に関する法律案ほか一件について総括質疑を行うということを理事会において話し合いをいたしました次第でございます。  なお、右の二法律案に関しまする今後の審議日程につきましては、明日理事会を開きまして、あらためて協議をいたしますが、明後日、二十六日総理大臣出席を求め、総括質疑を行うことができるよう折衝することにいたしております。  で、本日の理事会では以上の通り協議いたしました次第でありますが、なお、ただいま倉石国務大臣出席されましたので、懸案になっております継続中の教職員給与に関する件について、質疑を先にお願いをいたしたいと思いますが、大臣の御都合で、質疑は三時までということにお願いいたしたいと思います。御異議ございませんか。
  4. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について、倉石労働大臣の御出席は何回も委員会として要求して、そのつど御都合が悪くて、きょうようやくお見えになったわけですが、この質疑荒木君が主として質疑されるようになっておったのですが、四時ごろ御出席だという通知をわれわれ受けておったので、突然として二時半ころおいでになりましたので、今荒木委員がおられないのですが、事務局の方で早急に荒木委員を呼んでいただきたいと思います。  それから委員長、その理事会の報告の件ですが、この点については私は、わが党の理事も出てきめたことですし、大体了承いたしますが、ただこれだけのことは私はここで発言しておきたいと思います。それは地方教育行政組織及び運営に関する法律案衆議院の本会議における通過の段階における経過は御承知通りでございます。それに対して社会党の方から衆議院議長並びに参議院議長に対して、採決に疑義があり、無効だという意思表示をし、法案の委員会への付託権を持っている参議院議長諮問機関である議院運営委員会では、ただいまこれについて協議をされておりますので、私はこの協議はそう長くかかることとは思いませんが、この協議経過並びに結果と案件を付託された本委員会運営とは、おのずから関連を持たして、今後の審議日程というものを委員長及び理事会において決定さるべきものだと、それが筋だと、かように私は考えますので、それだけ意思表示を申し上げておきます。
  5. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ただいま矢嶋君の御発言で、荒木君の御質疑だということでありますが、荒木君以外に倉石国務大臣に対する御質疑はございませんか。
  6. 湯山勇

    湯山勇君 今荒木委員も見えまして……。教員の給与関連のある地域給あるいは昇給昇格の問題、その他給与担当大臣にお尋ねしなければならない問題がたくさんあるわけでございますが、その中で、私は今回の三公社現業に対する調停案と、これの実施に伴って生じた国家公務員給与との関係をお尋ねいたしたいと思います。前回の委員会人事院総裁をお呼びしていろいろ聞いたわけでございますが、その聞いた事柄については、大臣も大体御想像がつくと思います。人事院総裁の当委員会における発言を基礎にして給与担当大臣にお尋ねしようと思っておったのがこういうふうに両方ばらばらになりまして、非常に聞く私どもとしては不本意なんですけれども、一つ率直に大臣の御見解をお述べいただきたい。その一点は、人事院総裁が二度閣議に出て、今回の調停案実施に伴って不均衡という言葉を使っていいかどうかは別として、とにかく実質三公社現業、特にわれわれが問題にしたいのは、その五現業でございますが、その五現業に対してとられた措置と、それから残されておる公務員に対して政府のとるべき措置について二度にわたって閣議で打つべき手は打ったということを総裁は述べております。打つべき手は打ったけれども、現在のところ不幸その目的は達成していない、こういうことでございましたが、一体人事院から政府に対して、特に閣議に二度にわたって述べられた点はどういうことであったか。それを政府は、なぜ黙殺されたか。そういう点について労働大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  7. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 三公社現業調停進行中に、三公社および郵政だけの調停案が出まして、あと四現業調停案がまだ出ないときでありましたが、淺井人事院総裁が私のところにおいでになりまして、口頭で今度の調停案が出ることによって、もし一般公務員と不均衡を生ずるならば、政府においても考えてもらいたいというお話しでありました。そこで私はあと四現業が出そろわないから、今日のところ何にも言えないが、今まで出た三公社現業調停案、特に人事院総裁も問題にされましたと思われるところは、調停案第二項の一時金として五千円以上というのが三公社に出ております。それから郵政については第二項のところで一時金として五千円出してもらいたいと言いたいところだが、今の経理内容ではできるだけ出してもらいたい、こういうふうになっております。そういうものが出ることによって一時金という性格ならば、一般公務員と不均衡が生ずるように思われるから善処してくれというお言葉でありましょうが、かりに調停案通り調停実施されるといたしましても、国家公務員と不均衡は生じないと自分は思うと申しましたところが、淺井さんは不均衡にならなければそれでいいのでありますということでした。お帰りになりがけにきょう口頭お話ししましたことを、後日文書であなたのお手元に差し上げますと、こういうことでありました。数日たって口頭お話しのありましたような趣旨文書を私もいただきましたが、その後三公社現業調停案通り全部出そろってから私ども検討いたしましたが、一般公務員とこれによる不均衡というものはない、こういうことでございますから、そういう私ども考え通りに処置をいたした、こういうことであります。ただ、お話の中に、閣議で二度ほど云々というお言葉がございましたが、御承知のように人事院総裁閣議出席されませんので、それは言い違いか、お聞き違いかではないかと思うのですが、内閣に向ってお話しのありましたのと及び文書を出されましたのは、私に対して文書をお出しになりました、こういうことであります。
  8. 湯山勇

    湯山勇君 そうすると閣議に特に淺井総裁が出て発言したということはないのでございますか。
  9. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ございません。
  10. 湯山勇

    湯山勇君 そこでこの調停案実施しても、団体交渉権のない国家公務員との間に差が生じないという判断は、どういう根拠に立って御判断になったか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  11. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) それは湯山さんも御存じのように、三公社と五現業これが別になっておりますが、三公社も五現業給与総額と、予算総則の中で御承知のように当該企業の中で年末手当あるいは年度末に業績手当というものを出してもよろしいというふうに書いてございます。それで業績手当は今年初めてではございませんで、例年公社現業が支出いたしておるのでありまして、そのことはすでに予算措置でも法律的にも三公社と五現業に対しては給与総額にかかわらずそういうものを出してもよろしい、こういうことになっておりますので、現業関係一般公務員違いまして年度末に業績手当を支出してもよろしいということになっておりますので、例年に変らないで今年も同様な措置が行われた、こういうことでありますから、一般公務員とはその点において違っておるのは普通のことだと、こういうふうに考えます。
  12. 湯山勇

    湯山勇君 大臣の御答弁は、その業績手当のその面だけしかおっしゃっていないのであって、その業績手当というものは現業官庁におきましては期末手当関連を持っておるということにお触れになっていないようですが、あの調停案は明らかに期末手当関連を持っております。そうするとこの業績手当を考慮してきめられた期末手当がああいうふうに調停案通りいけば、動かされるわけなので、そうなってくると、大臣が今おっしゃったように毎年の例がそのまま実施されておるということではないと思うのですが、この点はいかがでしょう。
  13. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) よく御趣意がしっかりわからないのでありますが、御承知のように一般公務員もそれから公労協、三公社現業も夏季において同じ率の〇・七五の手当を出しておる、年末において〇・二五、そのほか〇・二五を出しておることは御存じ通りであります。それでその業績手当を含めて〇・二五というものを今まで出しておりました。従って今度も業績手当を含めて今度の調停案趣旨通り実施をいたす。もう皆さん専門家でいらっしゃるから、御存じのことでございますが、調停案の第二項のところに一時金という字が使われましたので、非常にいろいろな疑義を生じておるのだと思いますが、その後あなたも御存じのように淺井人事院総裁から調停案を出された調停委員長の高木さんに対して二、三点を文書質問されまして、その調停案を出された委員長回答文人事院総裁に提出いたしてあるわけでありまして、それにも明らかに第二項のものは業績手当でありますというふうになっておりますので、この点も政府見解と全く一致いたしておるわけであります。
  14. 湯山勇

    湯山勇君 大臣は今期末手当〇・七五と〇・二五とおっしゃいましたが、これは違っておると思います。で、年末手当団体交渉権を持っておるものに対しては、一般国家公務員に比べて低い率であるということを大臣御存じでしょうか、従来……。
  15. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そういうふうに今までできておりました。
  16. 湯山勇

    湯山勇君 今回それが同じにするようにという調停案になっておることも御存じでしょうか。
  17. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 調停案四項でありますか、第五項でありますか、そういうふうに示してあります。
  18. 湯山勇

    湯山勇君 それの御確認をいただいたならば、従来はそういう差があることによってバランスがとれておったわけでございますが、調停案通り実施になればそういうバランスが破れるという事態が起ってくるということを、大臣はお考えになりませんでしょうか。
  19. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私どもの方の考え方といたしましては、皆さんも御承知のように調停案につきましては、この三公社現業とも妥結をいたしましたが、その主として論点になりました第二項については、すでに三公社現業とも、明確に金額団体交渉によって決定をいたしておりますから、その点は問題ないのでありますが、四項、五項については将来その実現に努力するとか、そういったような意味団体交渉を結んでおることは、湯山さんも御存じ通りであります。いずれにいたしましても、団体交渉を結んでそういうことを実現するようにということを、三公社の方から政府の方に予算編成の時期に将来希望があれば、やはり政府としてはその団体交渉によって団体協約を結ばれたものは、できるだけ尊重して、そういうふうにやるようにすべきだと思いますが、それにしても、私どもの方では一般公務員現業とは違う、現業の方はああいう現業であるからして、特別な措置をしてなるべくその当該企業が経済的に運営されるように節約をしてもらったり、能率を上げていただいたりする必要がありますから、そういうことの結果、業績手当を出し得るという組織になっておるのでありますから、今度の調停案実施によって、現業の方で業績手当が出されましても、一般公務員については何らの不均衡とは言えない、こういう解釈をいたしております。
  20. 湯山勇

    湯山勇君 不均衡という言葉は非常に含みのある言葉で、これは人事院総裁も不均衡という言葉を使ってはおりませんでした。しかし、実際に収入が多くなるということは事実だ。この多くなる事実に対して政府として何らか対処すべき必要があるということを政府に勧告したことも事実だと思います。その点については今不均衡という、そういうばく然とした言葉で言われると、これは確かにいろいろな解釈ができると思いますけれども、実際に収入がふえたという実情については、これは私は一般国家公務員に対しても、同様に考慮しなければならないものではないかということを、重ねて大臣にお尋ねいたしたいと思います。
  21. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 政府考え方は、今申し上げましたように、現業関係については特殊な事情があるので、給与総則その他で、業績手当というものは一般公務員と違って出し得る立場になっておるのであるから、これは支給する金額において若干の不均衡はあっても、これが公務員と三公社現業について特にその点が不均衡であるとは言えない、私どもの方は特に現業の方がそういう待遇を受けておるのだということであるから不均衡とは存しませんし、今お話しのありました淺井人事院総裁のお言葉でありますが、私が口頭お話を受けたときも不均衡というお言葉でありますし、文書も不均衡を生ずるならばという意味が書いてございます。ごらんになったと思いますが……。
  22. 湯山勇

    湯山勇君 不均衡という言葉には給与体系の不均衡ということと、受け取る金額の不均衡という二つがあると思います。今大臣もやはり金額に不均衡があってもということをおっしゃいましたが、確かに受け取る金額の不均衡ということは実在すると思うのですが、これはやはり無視していかれるお考えでしょうか。
  23. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 政府考え方は今申し上げましたように、現業関係非現業一般公務員との間に差があるのは当然だというふうに考えております。
  24. 湯山勇

    湯山勇君 その点は納得はしませんけれども、堂々めぐりになるようですから次へ進めまして、大臣は今現業に当っておるものと、一般公務員との間には金額における不均衡は当然だというような意味の御発言があったと思います。これは区別すべきだという意味の御発言があったと思います。そこでお尋ねいたしたいのは、三公社にはそういう該当者はありませんけれども、五現業には管理職として一般国家公務員と同じものがあることを大臣御存じだと思います。この諸君は一体大臣のお考えとしては、どちらへつけるのが妥当だとお考えになっておられますか。
  25. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 実はこの公共企業体等労働関係法というものは三公社のために作りました法律であることは御存じ通りでありますが、私どもがこれをこの五現業についてもこのいわゆる公労法を適用してあげる方が合理的ではないということで、この法律の適用をするようにいたしましたときには組合諸君も非常に喜ばれまして、そのとき今お話しのような管理職についてどうあるべきかということについても、私どもこの法を五現業に適用しようとするときにいろいろ議論がありまして、この点についてはいまだに私どもも、どうしたらいいかということについて意見が分れておるところでありますが、これはやはり私どもとしても研究をして何とか善処すべきではないか、こういうふうに思っております。
  26. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 湯山君にちょっとお諮りいたしますが、荒木委員も見えておりますので……。
  27. 湯山勇

    湯山勇君 今終ります。大臣のそういうお考えでございましたならば、私はこの際この問題については一つ要望してとめたいと思います。それは今の給与体系そのものは、大臣が今おっしゃいましたように、必ずしもだれにも納得のいくような体系をとっておりません。そこで同じ国の経営する事業の中にも一般職と同じ公務員があり、それからその中にはまた特別な給与体系を、つまり団交権を持ったものと同じような給与体系を適用されているものもあるといったように非常に複雑な体系をとっております。従って不均衡とか、不均衡でないとかいうことを言うにしても、それら一々の検討の結果によれば、不均衡だという見方もできるし、不均衡でないという見方もできる、いろいろな見方ができると思います。そういう問題を今大臣がおっしゃったように、単にこれは不均衡でないと断定するところにも私は無理があると思います。そこでやはり実際にそれだけの金額が渡ったということは事実であるし、そしてそのことがこれらの人たちの生活に幾らかずつにもせよ潤いを与えておることも事実でございますから、こういう点については給与担当大臣としては、やはり同じような立場から取り残さないように、今後の措置において努力していただきたいということをお願いいたしたいと思います。なお、地域給、それから昇給昇格の問題についてはあとでまたお尋ねしたいと思います。
  28. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 湯山委員からいろいろ御質問がございましたが、今度の三公社現業に対する調停案実施に当って、公務員との間に不均衡は生じないかという問題であります。湯山委員からもいろいろ質問がありましたが、私はもう少し具体的にお尋ねをしたいと思います。従来この期末手当については公務員が一・七五支給されておったときに、三公社現業関係者はたしか一・五であったと思います。この問題について三公社現業と、それから当局との間にこれは不均衡である、あるいは三公社現業にとっては不利益な処遇であるというふうな問題について、当局と従来しばしば交渉されてきたその際に、当局の方はそれは不利益ではないのだということを主張してこられた。その理由としては確かに期末手当については〇・二五の差等がある。しかし三公社現業には業績手当というものがある。これは公務員にないので、従って業績手当期末手当を総合して考えた場合は、公務員との間に差等はないのだ。従って期末手当公務員並み同率にするということは、かえって不合理なんだという説明を三公社現業関係当局は従来してこられたのです。もしこの当局のそういう考え方を是認していく場合には、今度の調停案実施されて業績手当が出た、このことについてはまた別に問題があるかもしれませんが一応認めるとして、期末手当公務員同率にした、そうすれば従来当局が説明してきた、あるいは主張してきた態度から考えてみて、明らかに私は不均衡が生じておると、こういうふうに考えるのですが、この点について労働大臣はどういう考えで不均衡がないとおっしゃるのか、明らかにしていただきたい。
  29. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 三公社現業一般公務員と、期末手当において〇・二五は予算的に表向き出ておることは、今荒木さんの御指摘の通りであります。そこで、このことは非常にデリケートな問題でありまして、実はその一般公務員の方々及び一般公務員の方と一緒に官公労という形で私のところにおいでになってお話をなさるときにも、一般公務員側の方と三公社現業側の方とでは、こういうことを速記のあるところでざっくばらんに申し上げることはどうかと思いますが、事態を明らかにする方がいいと思いますが、そういうことを突き進めていくというと、公労協側の方の現にやっておる取扱い不利益になりやせぬかというような話までいたしたようなわけであります。そのことは、御承知のように前々回だと思いますか、公共企業体等調停委員会で、年末にも〇・二五を三公社現業従業員にも一般公務員並みに出せという調停案が出ましたが、そのときは政府ももちろん、三公社から相談を受けたとき賛成をいたしておりませんようですし、表向きにこれを出しておらなかったのであります。ところがだんだん日がたつに従って団体交渉その他で、今お示しのように予算的に出しておらないで、当該企業給与総額の中で支出をいたしておるところがあることは事実であります。で、このことについて、今回の調停案はいずれも筆をそろえてこの〇・二五というものの予算的措置をせよと、こういうように書いておるわけでありまして、そのことも御存じ通りであります。そこで私どもといたしましては、そのことを含めて業績手当年度末に出してやる。これが従来の慣例でありますが、本年の調停においても、やはり年度末において業績手当を支出したいと、そこで湯山さんのお話しのように、その業績手当を支出することによって金額的に差等が生ずるじゃないか、これが一般公務員と不均衡になるという証拠ではないか、こういうことでありますが、政府考えは、先ほど申し上げましたように、非現業現業とは区別せらるべきものであって、現業については業績手当というものが出せるのであるからして、業績手当を支出し、一般公務員にそれがないといっても、これはいわゆる取扱い上の不均衡とは言えない、こういう解釈であります。
  30. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私のお尋ねしておるのは、現業関係業績手当が出せ、公務員関係にはそういう制度がない、だから現業関係業績手当を出しても不均衡が生じたとは言えない、これだけを私は問題にしているわけではないのです。これと関連をもって、期末手当の問題もあわせて考えた場合不均衡が生ずるのではないかということを言っておるわけです。これはいろいろ組合側主張もあります。あるいは当局主張もありますが、従来当局のとってきた態度は、期末手当については現業関係は確かに〇・二五低かったわけです。その低い理由を穴埋めするための、あるいは低いところは業績手当においてカバーされる、ですから、総合的に考えた場合には、〇・二五低いからといって公務員と不均衡はないのだ、こういう当局主張をしてきたわけです。それが続けられてきておったわけです。で、今度の調停案によって、この期末手当公務員同率に引き上げられることになった。で、政府もこれを実施することになったわけであります。そうすれば従来の主張をもとにして考えた場合、ここに明らかに不均衡が起っておる、こういうふうに判断するわけですね。そうすれば従来の当局考え方が変ってきたのかどうかですね。政府は不均衡は生じない、こう主張せられるのですが、従来の考え方、従来の主張を変えられたのかどうか、やはりその点を明らかにせられる必要があると思います。
  31. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 年末に〇・二五を一般公務員に出しますときに、三公社現業にも同様な金額を出しますのは、従来の政府も申し上げておりますように、これは業績手当の前払いとして〇・二五を出すのであると、こういうふうに御説明申し上げておるのでありまして、私どもの方でも年度末に業績手当を出します三公社現業について、年末に一般公務員と同じ支出をするのは、やはり業績手当のうちとして支出をするのだ、こういうふうに解釈をいたしております。
  32. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いや、そういうことになれば、明らかに私は不均衡が起ってきておると、こういうふうに考えるのですが……。
  33. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 業績手当の前払いでございますからして、これも表向きはともかくとして、荒木さんすでに御存じと思いますが、三公社現業では、それぞれ違いますけれども、私どもの方の調査いたしたところによりますというと、いろいろな名目で業績手当を実際に能率の上っておるところなどは出しておりました。従来出しておったのであります。で、今回も調停案調停に基いて団体交渉をいたしまして、御承知のようにたとえば国鉄は五千円、専売公社は前年は非常によけい出しましたが、本年は業績が上っておらないということで二千五百円といったようなふうに、調停に示された金額よりは少く出しておるというようなわけでありますが、そういうものをひっくるめて業績手当を出すうちから、年末に一般公務員に〇・二五を出すときに、三公社現業従業員にも業績手当の内払いとして〇・二五分を出していると、こういうことでございますから、従ってその〇・二五を上回る何物かが年度末に業績手当としてさらに出るということに今回なったわけで、従来もなっておりますが、今回もそういうふうな取扱いになりましたので、そこで一般公務員と三公社現業は不均衡ではないかというお説が出てくるのでありますが、私どもは先ほど申しましたように、一般公務員と違って、現業には業績手当というもので年度末に支出し得ることになっているのであるからして、これは従来と同様な取扱い方だ、こういうわけであります。
  34. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この業績手当の問題でございますが、最近まあ新聞等の報道を見ますと、電報料の値上げ等の問題が出ております。それからわれわれ、危惧に過ぎないかもしれませんが、鉄道運賃の値上げの問題も若干報道されておるようにも思うのです。それで私は今度の業績手当というのは、結局そういう鉄道運賃の値上げとか、あるいは電報料の値上げとか、そういう形に変って国民の負担になってくるんじゃないかと、こういうふうに考えておるわけなんです。で、公共企業体関係のこの業績手当ということについては、私は若干まあ意見もあるわけなんです、ここでは申し上げることを省略いたしますが、政府は電報料の値上げ、あるいは鉄道運賃の値上げ、これは全然実施しないという考えははっきりしておりますかどうか、この際伺っておきたいと思います。
  35. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 鉄道運賃につきましては、三十一年度予算編成の基本方針として、今年度中は鉄道運賃を上げないということは予算編成の建前でありますし、運輸大臣もそういうことを申しておりますが、電報料の値上げということにつきましては、私は新聞で見ましただけで、当該大臣との間に話を承わっておりません。
  36. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それからもう一つ不均衡の問題として考えられるのは、昇給昇格の問題です。今度の調停によりますと、不適格者を除いて完全昇給を実施するということになっております。しかし、公務員関係においてはこの完全昇給の問題は解決されておらないと私は考えておるんです。特にこれは地方公務員の場合ですね、教職員の場合、この完全昇給昇格の因子というものが予算化されておらない。こういう点を比較いたしますとき、そこに大きな不均衡が起ってきておるというふうに考えるのです。この点について、不均衡があるという考えを持っておられるのか、不均衡があれば、地方公務員に対しても完全昇給昇格ができるような因子を予算に組むように政府としても措置されるのか、その点を伺っておきたいと思います。
  37. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 一般公務員の昇給につきましては、御承知のように国家公務員法に、まじめに勤めておいでになる人は、まあ、長期欠勤者とか、成績の悪い者は、いわゆる不適格者と申しておりますが、そういう者を除いては昇給昇格ができるように措置をいたしてあります。従って、三十一年度予算においての定期昇給については、今申し上げましたように、不適格者を除いてはやれる措置をやっております。予算を実施して参ります面において、担当大臣としても十分そういう点は留意をいたしていく、その点については私どもの言明が実施されるように努力をいたします。地方公務員については、お話しもございましたが、このことは自治庁長官の所管でございますから、自治庁長官からお聞き取り下さることがいいと思いますが、国家公務員お話し合いのときに、地方公務員お話もございまして、私どもとしては、地方財政については御承知のように政府は強い監督権というものを持っておりませんが、地方の自治体の長がそれぞれ適宜に措置をされるであろうと思いますが、その適宜に措置をやられるにいたしましても、現在の地方財政の状況は御承知のような状態でありますから、政府としては、給与そのものと申しますよりも、地方財政の赤字に対しては、御承知のように国会においても予算的措置をしてこれをお手伝いしておるようなわけでありますから、そういう面で地方財政の赤字解消のために国としてはお力ぞえをいたすと、個々の給与関係については地方長官にお願いをいたしたいと、概略申せばそういう考えであります。
  38. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは労働大臣にお伺いする点を明瞭にしておきたいと思います。この昇給昇格の問題については、直接労働大臣は地方公務員給与については担当しておられない。従って、この問題の今後の取扱い等についてはお尋ねすることを避けます。ただ、お伺いしておきたいのは、この調停案実施によって、現業関係の職員に対しては、不適格者を除いて完全に昇給昇格実施できるということになったわけであります。これに対しまして、地方公務員の場合はそういう予算が組まれておらない。そこに明らかに不均衡が起っておるではないかと、こういう問題について労働大臣見解を私は聞いておるわけであります。
  39. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 本日は二重の人格でございますが、両方とも同じようなものでありまして、私といたしましては、国家に御奉公して下さる国家公務員及び地方公務員のできるだけ身分上の待遇を、国の財政が許す限りよくしてあげたいというのが私の立場でございますが、今の点につきましても、自治庁長官ともしばしばお話し申し上げましたが、自治庁長官から地方長官に対して要望する趣旨の通達をいたしてあるはずであります。その通達は、やはり従来の建前が国家公務員と同じような取扱いをしてもらいたいということになっておるのでありますから、そういうことについて今回措置をいたしたようでありますが、その措置の内容については、私がお答えすることを遠慮いたしまして、時期を見て、また自治庁長官にお尋ねを願いたいと思います。
  40. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは、この問題についてはあらためて自治庁長官に質疑をいたすことにいたします。  なお、この際もう一点伺いたいのは、地域給の問題でございます。地域給の問題につきましては、すでに人事院から勧告が行われております。たしかすでに二年ほど経過しておるのではないかと、かように考えておるわけであります。政府は今日までこの人事院の勧告について何らの実施の意思を示しておられないのであります。地域給の問題については、非常にいろいろな面において障害が起きておることは、労働大臣も御承知だろうと私は思うのです。一つは、地域給が設定された当時から考えまして、経済事情が相当な変遷をしてきておるというふうな点から、地域給の不合理という問題が起ってきておるわけなんです。それからもう一つは、町村合併等によりまして同一行政区域内において地域給差等があるというふうなことから、いろいろな障害が起っておる。こういうふうに地域給の問題についてはいろいろ問題があるわけなんです。これについて、昭和二十九年でございましたか、人事院は政府に対して地域給の改訂を行うようにという、国会に対しても同様ですが、勧告が行われた。ところが、その後この地域給の問題については何らの改訂の措置が行われておらないわけでありますが、どういう理由でこの問題が放置されておるのか、その理由を一つお聞かせいただきたいと思います。
  41. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 荒木さんの御指摘のように、この地域給につきましては、私どもも代議士でございますから、実に困っておるのでございまして、なるほど人事院から二十九年の五月に勧告がございました。いよいよこれを実施いたすといたしますというと、非常に莫大な資金を要するわけでございまして、なかなか財政的にも国としては困難をいたしておりますし、それからまた、現在のようなこの地域給について、それぞれの国会議員からそれぞれのお立場政府の方にいろいろなデータを持たれてお申し込みがあるわけでございまして、そういう地域区分の基準が明確でないために、請願陳情というものがもう一年中絶えないのでございます。そこへもってきて御承知のようにこの地域給というものがありますために、人事の交流が非常に不便になっている。かたがたただいま御指摘のように町村合併が促進されまして、さらにそこに非常な不均衡が生じて参った、こういうことでございますが、政府公務員制度調査会にこの公務員制度に対する根本的な御検討を願いまして、この公務員制度調査会の答申案がすでに提出されておりますので、今国会には非常に広範な法律になりますから間に合いませんが、なるべくすみやかに法文化して、でき得べくんば次の国会にでも提出して御審議を願いたい、こういうように国家公務員制度の根本的な改正について考えております。そういう場合に、この答申案にもございます給与体系の整備ということでございまして、地域給はもちろんのこと、いろいろ石炭手当であるとか、最近国会を通過いたしました薪炭手当といったようないろいろ雑然たる体系を整備いたしたいとこういうことでやっておりますので、この成案を待って、一つ根本的に改正をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  42. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ただいまの説明で、大体政府の方針が明らかになったわけでございます。ただ、私がお尋ねしておきたいのは、今国会では薪炭手当についての是正が行われているわけなのです。これは議員立法であったと思うのですが、そういうふうに政府としては公務員の制度全般について検討をして、その中で解決したい、こういう御方針のようでありますが、しかし、現にこの国会では薪炭手当については特別に措置がなされているわけなのです。これは火急を要する私は問題だからであると思うのですが、そうするとやはり同様な意味において地域給の問題も火急な問題であって、この問題をとりあえず解決するというふうな方途をとってもいいわけであると私は思います。まあ議員立法であるといいましても、やはり多数を持っておられるのは与党の議員であります。ここに政府の方針と与党のとっておられるところの措置と食い違ってきているわけなのです。そういう事実を見ますと、何か労働大臣の説明を聞いておっても、方針ははっきりしているのですが、しかし、それは責任回避のようにもとれないことはないわけです、今の現実の事実を見ていると。こういう点、政府と与党との間には何らの協議もなしに行われているのかどうか、そういう点伺っておきたいと思うのです。
  43. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 薪炭手当法律につきましては、御承知のように政府与党である自由民主党の議員からも提案されましたし、違うお立場の社会党さんの方からも同じようなものが提案されることになりまして、承わるところによりますと、両党で超党派的に修正をして、同じようなお考えのものをお出しになったと、こういうわけでありまして、給与を担当いたしております私どもの方に、議員立法の場合に意見を徴されましたが、政府は先ほど私が申し上げましたように、次の国会に公務員法の根本的再検討をいたすのであるから、それまでこういうものには賛成ができないということを申し上げたわけでありますけれども、とにかく衆参両院を通じて一人の御反対者もないというので、これが通過いたしたという実情でありまして、これは国家最高の機関でありますから、いかんともいたし方がないところであろうと存じます。私どもとしてはさっき申し上げましたように、こういうことをばらばらにやっていただかないで、給与体系を根本的に整備いたすまで待っていただきたいというのが、私ども考えであります。
  44. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 なかなかうまい工合に答弁されたわけですが、地域給の問題についても、労働大臣承知通り、前々国会でございましたか、参議院の方ではこれを超党派的に解決しようというふうな機運が起りまして、委員会においては一応成案を得たわけです。しかし、その際は政府の非常に強力な反対があって、ついにこれを本会議にかけることができなかった私は記憶を思い出すんですが、今回の場合は大体こういう政府の意思は表明されても、ほおかむりして、その法案の成立を期待するわけではなかったでございましょうが、すらすらと行っておるわけです。この地域給の問題も私は薪炭手当に劣らない深刻な問題を持っていると思う。で、この問題を公務員制度全般の検討の際に考えるということもわからないではないんです。政府も認めるように、この困っておる措置を、何とかできないかというふうなことを考えるんですが、何とか善意ある考慮といいますか、対策といいますか、そういうものを伺うことができないかと、かように考えるわけであります。
  45. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私の選挙区にも地域給について非常に不満を持っておる所がございまして、私どもも熱心に御相談をいたしたのでありますが、御承知のように昭和三十一年度予算もすでに通過をいたしておりますし、先ほど申し上げました公務員法の給与体系を整備する法律案も、次の国会には出せるということでございますから、いずれにしましても予算措置は来年度のことでございますから、一つそれまでごしんぼう願いたいと、こういうふうにお願いをいたしておるわけであります。
  46. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ほかの方に御質問があると思いますから私はこれで終ります。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私、ごく簡単に承わりたいと思いますが、倉石国務大臣が御郷里長野にお帰りになったときに、賃金政策について談話を発表されたのを、東京の新聞では五段抜きで報道されたわけですが、あの新聞記事の内容は、労相の賃金政策として受け取ってよろしいのかどうか。
  48. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 読売新聞だと存じますが、大体あの考え方が私の給与政策に対する一応の考え方でございます。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では具体的には、ベース・アップというものは一切やめるという方針でございますか。
  50. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ベース・アップ、それはまあ矢嶋さんも御存じのように、新聞の記事というものは、長くしゃべった中のエキスを活字にするのでありますから、なかなかその活字のところだけでは、語る者の真意がくみ取れないことも多いと思いますが、私の賃金に対する考え方は、インフレの時代でございますならば、終戦直後のようにどんどん物価が上昇いたして参りますからして、そういう時期においてはやはりベース・アップをしなければ、だれも生活が苦しくなることは当然でありますが、しかし、これは日本ばかりではございませんで、各国とも戦後の物価の状況を見ますというと、やはりこの賃金を上げますというと、すぐに物価に響いてくる、これな当然のことであります。従って物価が上る、またさらに苦しいからというので賃金を上げると、いたちごっこでありまして、結局日本でもそういう経験でありますが、ベース・アップというものはやむを得ずやりましたが、やはりその結果物価が上昇してきた。物価高のために輸出がとだえて、日本の経済なども非常に困窮してきた。そこで昭和二十九年度予算ころから思い切ってデフレ経済をやりましたゆえんのものは、つまり財政の膨張を防いで物価を安定しよう、こういう政策に移行いたしたわけでありますが、幸いに国民多数の了解を得て、援助のもとにこの緊縮財政は一応物価安定には、昭和二十九年度、三十年度年度の予算を通じてやや安定の緒についた。そこへもってきて三十年度においては非常な輸出増進ということで経済的に活況を得てきた。また、米の豊作がもたらした好景気というふうなことで、とにかく物価は安定してきました。これは矢嶋さんとはお立場違い、政策についても異にした所見を持っているかもしれませんが、私どもとしましては、勤労階級のためにも物価を上げるということは、結局生活難を増すばかりでありますから、どうしても物価を安定するということが必要だと、そういう政策を政府がやってきておって、幸いにして物価が安定してきたのだから、そういうときにはその物価を引き上げる結果を生ずるようなベース・アップというふうなことはもうすでに考えるべき段階でなくなってきている。むしろそれよりも、働く人々のためにも物価を安定させる政策をとるべきではないか、こういうのが私の考え方でございます。そこでそういうふうに物価も安定し、経済も安定してきたときだから、政府が今公務員に対してやっておるように民間産業でも定期的昇給制度というふうなものを設けて、そうしてだんだん長く勤めれば勤めただけ待遇が改善されていくというふうな安定感を勤労者に持たせる方がいいのではないか。ベース・アップというふうなことは経済を混乱させるだけであって、現在のようにインフレでないときには、そういう政策は労働階級のためにも好ましくない政策だ、こういうふうに考えておるわけであります。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあその点は給与担当大臣の御所見として承わっておきますが、私次に伺いたい点は、あなたの御構想によりますというと、相当賃金体系を変えていこうとされているわけでございますが、その場合に既得権というものをどうお考えになるかですね。あるいは家族手当、勤務地手当、一時金、特殊勤務手当等々のこの生活給的な要素から出たところの既得権というものがあるわけですが、こういうものは確保しながら、新しい賃金体系にすべりかえしようと、こういうお考えなのか、そういう既得権というものをあまり考慮に入れないで、あなたのお考えのように新しい案というものを打ち出そうとされているのか、その点承わりたい。
  52. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほどのお話しにありました公務員地域給などの場合でもそうでありますが、すでにある人が地域給その他で獲得いたしておるその生活保障額を下回るような決定は、私は不可能だと思います。従って、そういうことはもちろん給与体系を整備する場合があれば、考慮いたさなければなりませんが、基本的に私の新聞に語りました考え方は、生活給というふうな形はインフレ時代にこそ有意義であったけれども、今日のように、しかもお互いにこの国家経済を復興さしていこうという段階にきたならば、やはり私は能率給が合理的であると、つまり非常に勉強する、非常な努力家である者と、非常に低能率な不勉強家とが一定の同じ頭数を持っていながら、家族に扶養家族がそれだけあるから、同じ給与をやらなければならないというようなものの考え方では、私は社会の進歩がないと、やはり非常に勉強し、発明し、努力する者については、それだけの能率給を支給するということの方が、社会の進歩を促進するゆえんではないかと、そういうふうな能率給を考えるべき段階に今日の日本経済は来ているのではないか、こういう考え方でございます。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣の御所見の中に、既得権は確保しながら新しい体系というものをお考えになるという基本的な態度だけわかったわけですが、さて、それが技術的問題に入った場合には、相当私はむずかしい問題だと思いますが、その議論はさておいて、あなたのこの賃金政策の談話として発表された中に、今御発言がございましたね、生活給を能率給中心に切りかえるという、これはきわめて私は重大な問題だと思います。で、今担当大臣としての御見解がありましたが、私はにわかに賛成することができないわけでございますが、ここはまあ文教委員会でございますから、あまり話が発展しては御迷惑と思いますので、若干私はしぼって参りますが、そのあなたの御方針のもとに能率給中心になっていくという場合に、この教育の職務の内容の特殊性から、そういう方針の賃金体系をとられた場合に、教職員のこの給与体系というものをいかようにするかということは、これは一般公務員においても能率給中心になった場合重大でありますが、別してこの教職員の場合には、非常に私は重大な問題と相なろうと思うのでございますが、担当大臣はどういう御見解を、どういう御構想を持っておられるのか、大略を承わっておきたいと思います。
  54. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御指摘のその記者会見の記事は、こういうふうなことを申したのであります。一般公務員給与については、現在公務員制度調査会の答申が出ておるし、これにも給与体系のことに触れておるからして、一般公務員給与については、その公務員制度調査会の答申によって立案していくつもりだと、民間産業については能率給、今先ほど御説明申し上げましたような趣旨でやっていくのが妥当であると、こういう説明をいたしたのでありまして、主としてベース・アップ闘争などでなくて、やはり定期昇給を官公吏と同じような方法で、民間産業においても考慮していく方がいいのではないかということと、能率給にやっていくことが経済復興に資するゆえんであると、こういうふうに申しましたのは、民間産業のことであります。給与体系については、今申し上げました二つの方法を区分して記者会見をいたして発表いたしましたわけでありますが、労働省の中に最近賃金審議会というものを設けまして統計調査部の専門的にそういうことを研究いたしておる者を、基準局その他の者を集めまして大臣官房に賃金政策についての研究を主としてするものを設けております。そこでそういうところでも、私どもとしてはじみちなこの賃金政策についての検討をいたしていこうと思っておるわけでありますし、ことに私が就任いたしましてから、労働問題懇談会というものを設けまして、それには主たる大きな労働組合の代表的な人物も数名、それから経営者、それから第三者的な人たち合せて約三十名ほどで組織いたしておりますが、ここでもこの日本の現在の置かれたる経済状態で、賃金政策はいかにあるべきかといったようなことを検討してもらうということをいたしておるのでありまして、今私がここで教育公務員等について私見を申し上げることは遠慮いたしまして、政府として大体そういう方向で検討を進めておりますので、結論が出ましたならば、また御報告をして御協議をいただきたいと思っております。
  55. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 矢嶋君にちょっとお諮りいたしますが、労働大臣の退席のお時間になっておりますので、簡単にどうぞ。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう賃金政策に大きな変換をきたし、新しい体系等を設けられる場合には、まあここは文教委員会ですから、教職員の場合に限定して申し上げているわけですが、文部省当局とも十分連絡をされて、そしてなさるべきものと考えますが、この点は御了承いただけますね。
  57. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 幸いに私が労働大臣公務員制度担当大臣をいたしておりますので、今のお話しのような問題については、十分御連絡をして検討いたしたいと思っております。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あと二点簡単に伺いますが、まず第一点は、先ほど他の委員諸君からも質疑があった点でございますが、倉石国務大臣は衆参の本会議並びに予算委員会等を通じて常に政府の方針としてベース・アップというものはとらない、地域給を黙殺しているのは、その一環として私は受け取っているわけですが、そのかわりに昇給昇格というものは完全に行えるようにして、そして公務員の希望というものをつないでいく、それによって行政能率をあげていく、こういう一貫した答弁をされております。先ほどこの地方公務員についての昇給昇格問題については、これは自治庁所管であるから云々ということでございますが、これは大きく一国の給与担当国務大臣として、さらにこの鳩山内閣の労働大臣でなくして給与担当国務大臣なんでございますから、だから一国の給与政策という立場から、この地方公務員昇給昇格ができないということにも、私は責任の一半を負われ、この解決に努力されなければならないと思うのです。その点については私は文部大臣にも政治道義的な責任の一半があると、かように考えておりますが、先ほど来の御答弁を承わっておりますと、われ関せずというので、一切これらについては関心も努力も払われていないやに私は受け取れて、非常に心外なんですが、いかがなものでございましょうか。
  59. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 政府は決してそういうわれ関せずえんという考えを私に持たしているわけではございませんで、もちろん国家公務員について先ほど調停案が出ましたときに、国家公務員の話をいたしましたときに、もちろん自治庁長官にも参加をしていただいて相談をいたしました。しかし、現在の地方自治体と中央政府とのあり方については、矢嶋さんもすでに御承知のようにこちらの方が監督権を持っておるわけではございませんで、しかしながら予算的に非常に困窮をいたしておる。その赤字解消のためには国会の御賛成を得て予算措置をいたしておるような次第でありますが、現実の問題として、このたびの地方公務員取扱いについて、私どもわれ関せずというわけではございませんで、私から申し上げますよりは、担当大臣である自治庁長官から申し上げる方が所管大臣であるから適当であると思います、こういうことを申し上げておるのでございます。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これが最後ですが、先般来本委員会で問題になり、今日も問題になりました地域給の問題が、なぜここで問題になるかということであります。それは給与担当国務大臣も御推察いただけておると思いますが、御承知のように町村合併推進方針をとっておるわけですね。その結果、ささやかなようでささやかでないこの地域給の問題は、教職員の場合には一番困っておるわけなんです。人事異動が円滑にいかないわけなんですね。これはひいては教職員の士気に影響し、教育振興に影響してきておるわけなんです。足らざるよりもひとしからざるを憂うというところに、重点がかかってきておるわけなんですね。それで町村合併というのは一つの政策として推進しておるのであるから、だから早急にその範囲に関する問題だけでも解決して、そうしてこの人事行政等がなめらかにいくようにしなくちゃなるまいというので、人事院等に官署指定等の行政技術面で解決する方法はないか、こう伺ってみますというと、そういう方法はない、自分らが内閣並びに国会に勧告したあの線を生かして、何とか法的措置をしていただかなければ、われわれの行政的な技術では解決できない、こういうふうに申されておる。しかも、これは解決しなければ支障があるということは、文部大臣も自治庁当局も認められておるわけなんです。それで先般本委員会においては、文部大臣は解決しなくちゃならないから、善処されるとお話しになったわけですが、その後どういうふうに御善処になったかあとで承わりたいと思うのですが、これは私は町村合併は自治庁だから、あるいは給与の方はこれは給与担当国務大臣だから、また、教育の方は文部大臣だからというふうにばらばらでは、私はこういう問題は解決できないと思う。一つの内閣を構成しておるところの国務大臣の連帯責任の名のもとに解決するように努力しなければ解決できないと思う。やろうと思えばそうむずかしいことでもないし、予算もそう多くを要する問題でもありません。勧告が出て二カ年有余、たらい回しになり、一方では町村合併は非常に推進されていったというので、非常に困っておるわけですが、この問題はさっき荒木君は緊急案件だという言葉で表現されておりましたが、その通りだと思います。早急にその町村合併に関する範囲内だけでも解決されるべきだと、かように私は考えるわけですが、どういう解決方法がございましょうか。相当手腕を持っておいでになる倉石労働大臣にぜひ解決していただきたいと思いますが、御所見を伺いたいと思います。そのあと文部大臣にその後善処された経過並びに結果を御報告願いたいと思います。
  61. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 地域給のことにつきましては、先ほど申し上げました通りでありますが、とにかく人事院の勧告を予算的措置をするにしても、大体百十六億円ほどかかるわけでございます。それからさらに国会修正を含めた分を合せますと二百十四億円ほどになるわけであります。国としては非常な負担でございまして、このことにつきましては、実は自治庁長官とも、文部大臣その他地方にそういう関係をお持ちの閣僚から、いろいろ給与担当の私にもお話がございました。ことに国の方針として町村合併促進をいたしておる。しかも、御承知のように二十九年五月に人事院勧告が出ましてから今日までの間にもすでに非常にたくさんの町村合併が行われておるのでございますから、あれを実施いたしましても、そこに不均衡がもう出てきてしまっている。そこで学校の先生の問題でも私どもの方にも直接いろいろな陳情がございまして、人事の交流が全くできない、やろうとすると非常に不公平な取り扱いになるので何とかしてもらいたいという御要望もございましたが、政府はせっかく先ほど申し上げましたような公務員制度調査会の答申による給与体系の整備ということをやっている最中でございますから、ことにこれについて事務的にもだんだん進めて参りまして、なるべく早い機会に御審議を願うようにいたしたいと思っておりますので、いろいろやってみましたが、本年は予算もすでに通過し、そういうことで今度の公務員制度調査会に基く法律案を提出いたしまして給与体系を整えるまでまことにお気の毒な地域もありますが、ごしんぼう願いたい、こういうことであります。
  62. 秋山長造

    秋山長造君 今労働大臣の御説明を聞いておりまして、どうも堂々めぐりみたいなことになって、一番肝心なところがどうもはっきりしないのですが、私簡単に項目に分けて御質問しますから、一つ明瞭にお答え願いたいと思います。労働大臣というよりも、政府のお考えでは、結局家族手当であるとか、勤務手当であるとかいうような、要するに生活給、そういうものの既得権を尊重しつつ給与体系を整備する、こういうことは間違いございませんか。
  63. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 今やっております給与体系の整備は、今御指摘のような問題はもちろん考慮に入れて検討いたしております。
  64. 秋山長造

    秋山長造君 考慮に入れるということは、この既得権はそのまま尊重するということに解釈していいのだろうと思うのですが、それでよろしゅうございますか。
  65. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 給与体系を整備するということによって、その方の収入減をきたすようなことはないようにしなければならないと、こういうわけであります。
  66. 秋山長造

    秋山長造君 そうしますと、もう一つ突っ込んでお尋ねしますが、今、当面問題になっておる地域給その他の生活給を結局本俸に繰り入れて、新しい給与体系では、もう本俸一本でやっていく、こういう見通しですか、大体。
  67. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私はこの基本給というものを段階を分けて明確にすることがいいと思っておりますが、これはただいま専門家の方で答申案に基いていろいろな角度から検討いたしておる最中でありますから、私が私見を述べてそういう人たちに牽制を加えるようなことがあってはいけませんから、遠慮いたしておるわけなんであります。
  68. 秋山長造

    秋山長造君 その点がさっきの大臣の御説明では、もう大体準備万端整って、出るものは出そろって、成文化することがちょっとこの国会に間に合わぬ、だけれどももうこの要綱ぐらいはきまっておるというようなお話がさっきあったのですけれども、じゃそこまではいってないのですか。
  69. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御承知のように行政機構改革の一連の問題として人事院制度のこと、それからいわゆるトップ・マネージメントと申しますか、総理府関係、そういうものを先に抜き出して今国会に間に合えるものは、もうすでに提出をいたしてありますので、そういうような程度のものに力を注いでおりましたので、まだ成文化するというところまでいっておりませんが、鋭意努力を続けている最中であります。
  70. 秋山長造

    秋山長造君 大臣は個人としては基本給一本の体系がいいというお考えのようですが、しかし、この問題はやはり政府の上層部で御決定になる問題で、事務当局の方へまかしておける問題でもないし、また、事務当局でそこまでの決断はとても私はできないと思う。結局これは決断の問題ですからね、最後は。どうしてもこれは政府の最高の線で御決定になる問題だと思うのです。だから何らかその点の最終決定してないにしても、もう少し具体的な見通しについての政府の方針というものを、もうここらで御表明になることが、やはりいいんじゃないかというように私考えるのです。で、先ほど来お話があります地域給の問題にしても、今日この期に及んでもこれはもうさらにこの地域給に関する陳情等は激しくなりつつあるのですね。もう大体だれ言うともなく地域給はいずれ廃止になるのだから、今そうやってやってみても、結局陳情にむだな費用を使うだけじゃないかということは、一応みなわかっておりながら、さればといってじっとしておれない。それで毎日のように潮のごとく東京へ押しかけて来ているわけですね。これに関連して使われるところの時間、労力、それから金というものはこれは膨大なものだろうと思うのです、全国的には。だからこれはただ最終決定するまではやむを得ない犠牲としてがまんしてもらわにゃいかんというだけでは、これは政府としては責任がやはり私は済まないと思う。これを過去二年続けてきて、来年度予算ということになれば、まだ今年一ぱいはとにかくこの状態を続けていくわけですから、だから今の質問している点がまだはっきり表明できないとおっしゃるのですけれども、その点が実は一番ポイントになっている。何かこれは事務当局にまかすのでなしに、大体の政府としての目標というものがきまらなければ、事務当局だって、なかなかそういう最高の方針というものは、事務的には打ち出せないのじゃないかと思うのですがね。その点はどうですか。
  71. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私どもの方の考え方も、十分事務当局はわかっておりますし、事務当局ではいろいろな場合、たとえば五現業みたいな公務員もありますし、非現業もありますし、学校の先生もありますし、いろいろありますから、そういう各方面のデータを集めて目下成案を急いでいる、こういうことでございますから、もうしばらくこの検討にまかしてみたいと思います。
  72. 秋山長造

    秋山長造君 重ねて伺いますが、もうしばらくと言われたところで、それはなかなか実際問題としてはそうはいかないと思うのです。やはり大臣のおっしゃるように基本給一本にするか、あるいはその他何らかの新しい体系を打ち出すにしても、少くとも既得権を尊重するという前提がある以上は、その前提として現在行われている既得権そのものに、早い話が地域給等については非常に不合理があって、そうしてそれを是正しなければいかんという人事院勧告も二年前に出ている。国会もそれを認めているわけですから、どうしても結論にいく前に、現行の制度のもとでの不合理というものを是正する段階が一つ必ず踏まれなければならない。その現行制度の不合理を是正するということを、具体的にはどういう方法でおやりになるのか。これがやはり先ほど来の町村合併等とも関連しての質問の焦点だと思うのですがね。どうしてもその段階を踏んでそうして結論を出すということにもうなる以外の方法はないと思うのですが、その点はどのようにお考えになっておりますか。
  73. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 秋山さん御存じのように、同じ地域給、一級地、二級地を比較いたしましても、これが第三者から見てなるほどと、合理的だとうなずけないような地点も地方の主張によればございます。従ってなかなかこの公平を期するということが、地域給についても困難でありますので、私どもの方では、現在の地方の状況に応じて、どういうふうにこれを取り入れるべきかということについて、給与体系の整備に研究をいたしておるわけであります。
  74. 湯山勇

    湯山勇君 今の地域給の問題についでですが、これは労働大臣が長野で御発表になった中に、地域給は廃止するというお言葉があったようにラジオでも申しておりましたし、その他にもそういうことがあったと思いますが、そういうことをおっしゃったのかどうか。その点についてもう少し掘り下げた御説明を願いたいと思うのです。
  75. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 地域給を廃止するという言葉を使ったかどうか記憶はございませんけれども地域給、薪炭手当、そういう雑多な手当なんというものも全部給与体系整備のときに整理をいたしていきたい、こういう考え方には変りはございません。
  76. 湯山勇

    湯山勇君 そこで大臣の気持としては、そういうものを整理するということの中には、地域給を合理化して存続しようというお考えが強いのか、あるいは廃止しようというお考えが強いのか、ともかくもそこまで御言明になったわけですから、もう一つそれを踏み込んでいえばどちらになるのでございましょうか。
  77. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) それは先ほどからお尋ねのありました、すでに持っておる既得権はどうなるかということとお答えは一致すると思うのでありますが、すでに今日得ておる収入を下回るような給与体系はできないではないかと、私どもはそういうふうに考えております。
  78. 湯山勇

    湯山勇君 つまりそれは給与全般にわたっての問題であって、地域給というものを取り上げた場合に、地域給は合理化して存続するという建前なのか、廃止する方向へ向う建前なのか、その点についてはいかがでございましょうか。
  79. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) この公務員制度調査会の答申による給与体系につきましても、しさいな点においては、いろいろな委員の中にも議論があったようでありますが、そういうような問題も全部ただいま、さっき申しました各般のデータを集めてということは、そういうようなことをみんな検討の資料にいたしまして立案をいたしていきたい、こういうふうに思っております。
  80. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) お諮りいたしますが……。
  81. 湯山勇

    湯山勇君 あと簡単に……。今の問題はこれ以上お尋ねしても、多分大臣もおっしゃらないと思いますから、それだけにとどめまして、大臣は完全昇給、ベース・アップはなるべくやらないで昇給を完全にやっていきたいという御言明をしておられますが、その完全昇給という内容が非常にわかりにくいので、これは特に国家公務員に準じて地方公務員も行われている関係上、その内容をお尋ねいたしたいのですが、現在の公務員全部に給与通りあの期間がくれば昇給するということにすれば、大体七%くらいの予算が必要だということをわれわれ聞いております。ところが従来長期欠勤者、病欠者、その他いろいろな中途採用者等の関係があって、給与法を守っていくためには、五%あれば大体足りるというので、一昨年までの予算では五%が措置されておりました。ところが三十年度予算を作るときに当時の大久保国務大臣は、本年から昇給財源はさらに一%落してある、それでは完全な従来言う完全昇給ができないじゃないかということをただしたのに対して、それはやむを得ない。その落す分についてはこれは成績主義でいくというような御答弁もありまして、成績とは何かというようなことでいろいろ問答しましたが、明確にはなりませんでした。で、従来の例から申しますと、現行給与法をそのまま忠実に実施していくとすれば、七%要る中の五%はどうしても必要だと、こういうことになっておったのが、三十年度においては四%になり本年度もまたその線が踏襲されておる。そういたしますと、結局現在の予算では公務員の三八%程度が昇給できないという割合になると思います。従来の例からいえば大体二九%程度が病気とか途中採用とかで昇給できない。そこで大臣の言われる完全昇給昇格を確保していくという意味は果してそのどちらなのか。少くとも三十年度においては国会の答弁等から見ましても、完全昇給が行われたということにはなっていないわけでございます。そこで大臣の言われる完全昇給というのはどういう内容のものか。そして現在の四%でどういう形でその完全昇給を確保していこうとされるのか、非常に問題があると思いますので、その点についての御説明をいただきたいと思います。
  82. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 昇給の実施に要する財源につきましては職員の構成、それから新陳代謝の状況など、また欠員の状況といったような不確定な要素がたくさんございますので、なかなかそのこまかな数字は把握することはできないことは御存じ通りだと思いますが、三十一年度予算編成に当りまして、政府原案を作成いたしますときに、私は各省の人事を担当いたしておる者から、三十一年度におけるあなたのところの所要額はどのくらいかということについてしさいに大体調査をいたしまして、それの集計いたしたものを予算編成給与担当大臣として要求をいたしておるのが、三十一年度予算の給与総額でございます。そこでいわゆる一般公務員諸君の代表の方々にも、しばしば先般来お目にかかっておりますが、こまかなことになりますというと、実際役所に勤めておられるあの方々でもなかなかよくおわかりにならない。最終的に先ほど荒本さんのお尋ねに私から申し上げましたように、政府としては三十一年度における先ほどお話しのような不適格者以外の者の完全昇給は実施することをやるのだ、こういう言明をいたして公務員諸君もそれでいいと、こういうわけなんでありまして、どうぞ一つ政府は、私ども昇給昇格については不適格者以外の者はやるという原則の建前をとっておるわけでありますから、荒木さんに申し上げまして御了承得ました程度で、御了承願いたいと思います。
  83. 湯山勇

    湯山勇君 もう一点、それではこういうふうに解釈してよろしゅうございますか。一応この予算要求としては四%みているけれども、実際に該当者が多い場合には四%の範囲をこえて昇給昇格が行われる場合もあり得る、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  84. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) このことは私はどこの場所でも同じことを申しておるのでありますが、公務員諸君給与担当大臣から申し上げましたように、来年度予算においては不適格者を除いての昇給については、私が責任を負ってやりますと、こういうことでございます。
  85. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 本件に関する質疑はこの程度にいたします。   —————————————
  86. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) この際、御報告いたしますが、森田豊壽君が先刻辞任されまして、その補欠として白井勇君が選任されました。   —————————————
  87. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 先ほどの矢嶋君の質問中、文部大臣に対する質疑に対する答弁がまだ残っておりますので、文部大臣に御答弁を願います。
  88. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) それは先刻倉石大臣に御質問中、このことについてすなわち私がいかに倉石大臣と努力したかということについて質問するということだろうと思います。倉石大臣からすでにお聞きの通り、私は過般矢嶋君その他より御質問の教員の給料並びに昭和二十九年五月からの地域給のことについて、どう実施するかということをいろいろ協議したのでございます。その協議の結果が、本日ここで倉石大臣のお答えの通りに相なりました。御了承願いたいと存じます。
  89. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほど私は委員長にお伺いしたのですが、この件に関しては質問を終るというような意味の御発言がございましたが、委員長も御承知通り、自治庁長官に対する質疑が残っておりますから、この点は一つ適当な機会に、質疑ができるように取り計らっていただきたい。
  90. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 了承しました。   —————————————
  91. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 次に、学生生徒経済的負担増加傾向に関する件を議題といたします。
  92. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政府の方では経済規模は拡大した、物価は横ばいである、生活水準は向上しつつある、こう申しながらも、学生生徒の就学経費の負担は増大傾向にございます。そこで先般来、私は鉄道割引率の低下の問題、学校農場及び演習林の収入過大見積りの問題、授業料引き上げの問題、さらにこれらと関連して参りまする育英資金の問題、あるいは学生健康保険の問題、こういう点を緊急な案件として質疑を続けている途中でございまして、きょうはまず授業料関係から伺いたいと思います。先般、委員会で高等学校の授業料引き上げの件について、実は今国会の冒頭において国立学校の授業料を六千円から年九千円に五割引き上げる、しかし文部大臣としては都道府県立高等学校の授業料は上げないように努力するし、ある程度責任を持つという意味答弁をなさっております。ところが、その後私が個人的にいろいろ確かめてみるというと、大臣の期待と言明に反して、ずいぶんと各都道府県は高等学校の授業料の引き上げをはかったようでございます。そこで本委員会を通じて文部省当局にその調査を要望しておったわけでございますが、調査の結果いかようなことがまとまっておるか、お答え願いたいと思います。
  93. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 高等学校の授業料の引き上げ状況につきまして調査をいたしたのでありますが、ただいま四十五県、一県だけ参っておりませんが、四十五県の状況を申し上げますと、一割以下の値上げが、全日制と定時制に分けて申しますと、全日制におきまして六県、定時制におきまして同じく六県でございます。それから一割ないし二割以下が、全日制三十三県、定時制二十一県でございます。二割以上というのは、全日制において三県、定時制六県、それから据え置きが全日制三県、定時制十二県、こういう状況になっております。大体二割程度にとどまっておるようでございますが、例外的に二割以上が若干あるという状況でございます。
  94. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 未報告はどこですか。
  95. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 福岡だったと存じます。
  96. 秋山長造

    秋山長造君 福岡ということならば、予算が不成立だったために、未報告になっておるのだと思います。この点は少くとも政府の方で県会に提案した予算原案においては、何割かの値上げというものが出ていたと思うのですが、その点はあなたの方でわかりませんか。わからなければ後藤財政部長も見えておりますから、そちらの方からでもけっこうでございます。
  97. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これはなお調査途中のものをまとめたのでございまして、一県だけ残っておりまするが、至急調べてまた申し上げます。今日のところは、まだわかっておりません。
  98. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国立大学の授業料五割引き上げのときに問題になったことは、これによって私立大学も昭和三十一年度あるいは昭和三十二年度から大幅に授業料の引き上げをはかるのではないかという点が一点、それからもう一つは、都道府県立の高等学校並びに私立高等学校の授業料が引き上げられるのではないかということが議論の焦点になったわけでございます。しかも、国立学校の授業料引き上げに当っては、文部大臣は物価等の関係から大したことはないということを、政府の意向として表明されておりましたが、引き上げた結果というものは学生生活を相当に脅かしております。時間がかかりますから、その内容、その他については私はここでは触れませんが、脅かしておることは事実でございます。私はここで問題にするのは、少くとも一国の国務大臣が速記をつけて責任を持って高等学校の授業料は引き上げはないように善処すると言明し、おそらく全国の父兄並びに高等学校の諸君も、そう思っておっただろうと思う。私もそう思っておった。ところが文部省の報告を承わりますと、ずいぶんと授業料の引き上げが行われておるのですが、これはどういうことなのでしょうか、大臣の御感想を承わりたいと思います。
  99. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 国立学校の授業料はあの通り五割の引き上げでありまして、公立学校といえども、この情勢では非常に大幅の引き上げになるのではないかという御心配でございましたが、私の希望としては大幅の引き上げはよくないと思っておる、こういうことなのです。その希望は今日といえども持っております。国立学校で五割というのに対して、この表を見るとまず二割上げておるのです。そのくらいの程度はやむを得ないのじゃないかと思っております。
  100. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 冗談なこと言っては困りますよ。大臣、あなたは衆議院の予算委員会並びに参議院の本会議等においては、大幅に値上げせぬとは申しておりません。問題は二割程度を上げるんじゃないかという点が焦点で、われわれはあなたをしめ上げていった。だからそういうことはないように努力すると言われた。高等学校の授業料を五割上げてたまりますか。しかも定時制の高等学校が二割程度上げたのが二十一県でしょう。定時制の高等学校の授業料まで上っているのですよ。これは大臣のこの国会の冒頭における衆議院の予算委員会あるいはわが参議院における答弁とは著しく食い違っている。この御答弁の責任をいかようにとられますか。
  101. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) ここに当時の速記がありますが、「法規の上では、文部大臣は国立大学の授業料をきめる権能を持っておるだけで、公立ことに今御指摘の高等学校については直接の権能がございませんけれども、不当な値上げについては適当なる抑制の策を講じたい、とかように考えております。」と私は答えておるのです。
  102. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはいつ、だれの質問に対してですか。
  103. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) これは二月九日衆議院文教委員会であります。終始これで答えております。私に高等学校の授業料をきめる権能はありますか。
  104. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはあとでいい。
  105. 秋山長造

    秋山長造君 これは今文部大臣のおっしゃるようなことを言っているのじゃないので、これはなるほど文部大臣に公立学校の授業料を上げる、上げないという権限がないことは、われわれもよくわかっている。わかっているけれども、毎年政府の方で地方財政計画というものをお立てになるわけでしょう。その地方財政計画というものが、やはり地方財政を運営していく一つのワクになっていることも御承知通りです。その地方財政計画を作るのは、何も自治庁の事務当局で事務的に勝手に作るわけじゃないので、おぜん立てを整えたら、一応整える過程においても、最終決定はやはり閣議でやられるわけなんです。だから文部大臣としては直接地方をそういう面で監督する権限はないにしても、政府の地方財政計画というものを立てる過程において、あるいはそれを決定する過程において、これは当然文部大臣としての発言権というものは大いにあると思うのです。ところが今のは衆議院です。その後私もこの委員会で二月半ばごろに質問したことがある。また、その後三月になって予算委員会でもこの問題について質疑応答があった。その間終始文部大臣のおっしゃったことは、授業料の値上げは国立大学についてのみ考えられておることで、これにならって地方の公立高等学校あたりが授業料値上げをするということは、極力押えていきたい、そのために自治庁長官なり、大蔵大臣ともよく話をしたい、こういうことを繰り返しておっしゃっておる。ところがそんなことをおっしゃっておるよりもずっと前に、地方の公立高等学校がみな二割程度値上げをするということが地方財政計画でちゃんときまっておる。ところがそこらが文部大臣は努力する、努力するとおっしゃっておるが、私は実際には何も具体的な努力をするということをお示しになっていないんじゃないかという疑問を持つのは当然だと思います。すでに文部大臣が善処するとおっしゃっておるはるか前に、政府態度として地方の公立高等学校は二割程度の授業料値上げをするということをちゃんときめて、それに基いた地方財政計画というものをちゃんと政府の方で作って、地方にそれを押しつけておるのだから、そこらに文部大臣は口ではおっしゃっておるけれども、実際には何もおやりにならなかったのじゃないかという疑問を持つのは当然だと思いますが、その地方財政計画を作られるときに、文部大臣はどういう態度をとられたのか、どれだけの努力をされたのか、その点を一つお伺いしたい。
  106. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 私は地方の管轄でありまする公共団体の作る学校の値上げを絶対に押える力はないのであります。しかしながら、世の中は不当なことが行われてはいけませんから、不当な値上げはしないようにする。同じ日に私の答えに「それゆえに自治庁とか大蔵省その他の手を通じて、授業料の値上げが抑制されるように希望しておるのであります。」というので、閣議でいろいろ希望した結果、まず国立で五割上げるのに、公立は国立ではありませんけれども、同じく公共団体の経営でありまするから、その半分なれば二割五分でありまするが、二割までくらいのことならば、これは常識上認めなければならないじゃないか、こういうことなのです。
  107. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣のお考えは、どうも私は納得できないと思うのですがね。この新学制が出た、発足した当時、高等学校教育というものは、小中学校の義務制に準じた取扱い方をするというので、そういう方針でできているわけなのですよ。政府はそういうふうに指導している。もとの劔木事務次官がそこにおられるが、こういう指導をされた、それによって国民はついてきたわけなのですよ。それを、大学で授業料を上げたから、それに準じて高等学校の授業料を上げるというのは、大体高等学校教育のあり方というものについての考え方が、私はだいぶズレておられると思うのですがね。定時制の高等学校の生徒の授業料を二割も上げる県が二十県もあって、これは不当だとお考えになられませんか。家が貧しくて、昼間の学校に行けないで、そうして働きながら学習している諸君の授業料というものは、私はむしろ無料にすべきだと思う。ところがそれができんで若干徴収しているわけですが、せめて値上げを抑制するということは、やられるべきだと思うのです。あなたの当時の発言というものは、少くとも最小限に食いとめるし、まあ極端な赤字団体だけは若干上げるだろうが、まさかこり定時制の高等学校の授業料まで上げるとはだれも思ってはいませんでした。ところが地方財政計画で、平均二割の引き上げというものが財政計画の中に出されているじゃありませんか。あなたはそのときどういうふうに考えられたか。また、それならそれで当時なぜ答弁されなかったか。国立学校の授業料を五割上げるということは国会の協賛を経ておる。そうしてあとで高等学校の授業料を上げるというのは、全く高等学校の生徒並びに父兄の方にとってはやみ討ちを受けたような感じがして、これも清瀬文部大臣に対する国民の不信の一つの要素になっているのじゃないか、かように私は考えておりますが、御所見いかがですか。
  108. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) それは物事は程度のことでございまして、定時制の方はもともとがごく低かったのであります。それで今日の地方財政の現状において、義務教育と違ってこれはやはり公共団体の施設をこれらの人だけが使うのでありまするから、やはり特殊利益を受ける者で、幾らかでもこれは上げて、財政の破綻を防ぐということも政治の目的の一つでございます。物事は一面からだけ見て言を立てるわけには参りませんので、私はもし政府の方で抑制しなかったら、大学並みのところが出てくるかもわかりません。これも相当抑制いたしておるつもりでございます。
  109. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は大臣には全く遺憾の意を表明します。一面といっても、他面で都道府県の予算を検討してみなさい。私はここで県の名前を言いませんが、再建団体になった場合に、再建債の割当を受けるために、その中央官庁との折衝費として、交際費を三百万円組んでいる知事がいるじゃありませんか。そんな予算を組んでいるのですよ、都道府県は……。そんなものをやめてしまったら、定時制の高等学校の授業料なんか上げなくても済むわけですよ。こういう予算の組み方というものが地方にあるのです。ところが大臣は、私が一面だけ見ていると批判していますけれども、あなたはそういう面は見られなくて、こういう全日制、定時制の高等学校の授業料の引き上げが不当でない、妥当だという文部大臣としての御所見には深い私は遺憾の意を表明します。
  110. 秋山長造

    秋山長造君 私はどうも地方財政計画がきまった時期と、それから今お読みになった二月九日に衆議院の文部委員会でそういう御答弁になったその時期とがどうもぴったり合わないので、文部大臣が実際おやりになったかどうかということを疑っている。これは疑わざるを得ない。で、地方で二割程度の値上げをするということを、この地方財政計画の中に盛り込んだのはこれは一月ですよ。だから文部大臣衆議院文教委員会でお答えになったその形は、将来努力するという、だからまだ地方財政計画はきまっていないという前提のもとに御答弁になっておる。ところがそういう御答弁をされたときは、過去の、すでにもうやったけれどもこうなったのだと、過去の形で御答弁なさっているならば、それで符合するのですけれども、そこらにどうも文部大臣、実際おやりになったのですか。失礼ですけれども、私その点どうも疑問なんです。おやりになったのですか、その努力を。
  111. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 閣議は連帯責任でございまして、一方あなたはそうおっしゃいまするけれども、今日地方分権ということも大きな主張なのです。そこで地方の府県で、赤字財政がこの通り府県によってはほとんど破綻に瀕し、公務員の月給さえも払えんでおる、こういう状態を自治庁長官からたびたび御報告がありました。それゆえに地方財政計画は、計画上二割くらいはやむを得ぬだろうというのが常識でございます。
  112. 秋山長造

    秋山長造君 今の二割くらいは当りまえだということも、これはちょっと文部大臣のお言葉としては受け取りかねるのですが、それはあとからお尋ねします。その前に、私の質問していることと文部大臣の御答弁とは違うのです。私が聞いているのは、文部大臣衆議院文教委員会で、そういう不当な値上げに対しては、それをやらせないように努力するという、これは未来形の形で御答弁をしておる。この将来今後の問題として御答弁をしておるのですよ。地方財政計画はまだきまっていないので、地方財政計画がきまるまでにはそういう努力をするという、この未来形で御答弁をなさっておる。ところが二割値上げということで財政計画を立てるという方針は、これは一月にすでにきまっておるのですよ。だからその二月の九日にそういう御答弁をなさるのだったら、これは地方財政計画を作る過程において、これだけの努力をしたけれども、遺憾ながらこういう結論にきまったのだから了承してほしいとか何とか、過去形で御答弁があったならば、それで時期が合うのですよ。だからちょうど今の御答弁だったら、これはもう文部大臣は地方財政計画ができる過程においてもその結論を知らずにおられて、すでにきまっておるのにかかわらず、まだきまっていないものというように勘違いをされて、今後努力するというように御答弁されたとしか思えないのです。さらにその後この委員会でも、また予算委員会でも同じような御答弁を繰り返しておられるのですから、だからなおさら、われわれはそういう疑問を持たざるを得ない。だからこの地方財政計画において二割程度の値上げを見込むという方針がきまるまでに、文部大臣がどういう努力をされたのかということを私は聞いているのです。
  113. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと今の答弁の前に、念のためにまあ限度を限って申し上げておくのですが、私は文部大臣のあの答弁を速記録で見て、それからこれはと思って、地方財政計画について自治庁長官にただしました。そうしたら自治庁長官としては、今の情勢で高等学校の授業料二割程度上げるのは、自分としてはどうも賛成しかねると、こういう私見を私に述べられたこともあわせてお含みの上、お答え願いたいと思います。
  114. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 私の二月九日の答弁は、地方財政計画をこれからどうしますということを言っておるのじゃないのです。それとは別に、全体としてこれから地方の方で四月までにいろいろ学校のこともほかの経済のこともやるでありましょうから、「不当な値上げについては適当なる抑制の策を講じたい、とかように考えております。」と、かように答えておるのであります。地方財政計画はできておるとかおらぬとか、地方財政計画に向って言葉を立っておるのじゃございませんから、全体として私、文政を預かっておる者としては、授業料などは安いほどいいのであります。国の授業料の値上げでも、本来は私は希望しなかったのです。ところがいろいろ国家財政の結果、まずあの程度ならば、昔授業料をきめた時分の物価指数と今日と比べて、これはやむを得まいといって、あれも同意いたした。従って地方の授業料値上げも、本来文政当局としては希望するところではございませんが、今日の国会でもまあ大きな問題になっているのです。財政破綻に瀕しておる府県、それについてはどんな財源でもあさっておるのでありますから……。そのうちで二割以下というのが三十三県です。据え置きが三県、二割以上がわずかに三県と、こういうことでありまするから、これはやむを得まいと、かように思っておるのであります。あなたと同じように、授業料は安いことを私は希望しております。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私、あまりここでひっかかってもなんですから、質問を続けて参りますけれども、私が指摘している点は、あなたがこの国立大学の授業料の引き上げを説明、答弁した場合に、国民に与えた印象とその結果とが大きな食い違いをきたしてきたということと、あなたのその時の答弁と、その前後における国務大臣文部大臣としての言動というものが、果して国会に対する答弁に責任を持つという立場から一貫しておったかどうかという点を私は指摘すると同時に、少くとも本日繰り返してお答えになりました、この程度の高等学校の授業料の引き上げはやむを得ないというこの御見解、特に定時制高等学校のかくのごとき引き上げについてやむを得ないというこの御見解については、私は六・三・三・四が発足した当時の高等学校教育をいかなる眼でながめるかというこの立場から、過去の私は高等学校の発足、歴史を顧みるときに、少くとも文部大臣としての言葉としては納得しがたい、こういうことを私は強くここで表明して、次に伺いますが、こうなりますと、私は国立大学の学生の中には、相当アルバイトもして苦しんでおる学生がいるわけですが、学費不足で悩んでいるのが私の持っている資料では大体四割程度学生がおるということですが、そうなりますと、この授業料の減免制度ですね、これは私は拡大しないというと、無理が生じてくると思うのです。で、本年度、大学生の授業料減免については、毎年度そのワクを各大学に文部省は与えるようですが、そのワクをことしは拡大したかどうか。もししていなかったなら、ほんとうに困っている学生の授業料を減免して差し上げるために、これは別に法律を要しないのですから、行政措置として各大学の授業料減免の学生数のワクを拡大していただきたい、また拡大すべきだとこう考えますが、その辺の事情を一つ承わりたい。
  116. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) お答えいたします。本年度の授業料歳入見積りに関しまして、減免の点につきましては、例年通り考えております。すなわち五%の範囲内において措置することにいたしております。御承知のごとく、別途学資の補助というような点につきましては、育英会の奨学金を考えておるわけでございまするけれども、育英会の事業計画におきましては、大学につきましては継続者の五〇%に対して三千円を給与するというような点でいささかそのワクは拡大いたしております。授業料の減免及び育英奨学資金運用の点につきまして、極力学資の点について問題のある学生に対しまして、あたたかき配慮をいたしたいと考えております。
  117. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 局長は育英資金の点でうまく答弁をしようとされておりますが、この点については私はさらにあとで伺いますので、ここで突っ込んで申し上げませんが、その前に大臣いかがでしょうかね、例年授業料を減免せられる学生を各大学の在籍数の五%のワクを与えておるわけですが、私はこのワクをこの際拡大さるべきものだと思います。そう国家財政に影響するわけじゃないし、その拡大することによって中途退学しなければならないような学生が救われるということは、これは私は国家的に考えてもまことに望ましいことだと思うんですが、従来の五%では、各大学長は私は現実に毎年聞いているんですが、相当苦労せられております。局長は育英資金と言われたんですが、育英資金でもこれは御承知のようにからだが健全である、それから成績が優秀である、こういうワクがございます。貧しいからというのでは、育英資金はいただけません。従って大学生の育英資金の若干の金額の拡大がなされたと言いますけれども、こういうことはこれはほとんど無関係に近いのでございます。従って私はこの程度のことは閣議において大臣のお骨折りでできることだし、ぜひ一つやっていただきたいと思うのですが、大臣の一つ御所見を承わります。
  118. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 育英資金のことは、従来も毎年拡大の方法をとっておるのであります。将来においてもさよういたしたいと思っております。授業料の減免のことも、今矢嶋さんのお説傾聴すべき点が多いと思いますから、将来は研究いたしたいと思っております。
  119. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が申し上げている点は、育英資金ということを言われますが、これはけっこうなことです。まあ公的なそういう制度としては、日本育英会とそれから母子福祉奨学資金の貸与、こういう制度がわが国には二つあるわけですが、しかしこの育英資金の場合は先ほど申し上げましたように、健康で優秀という条件があるんですね。だから不健康で成績が悪く貧乏、そのどれかの場合は、これは救われないわけなんです。そういう学生もどうしても減免制度をとらなくちゃならぬ、かように考えるから御要望申し上げておるんですが、一つ早急にこれの御善処をお願いしたいと思います。  そこに自治庁の後藤財政部長がおいでになっておりますから、これに関連して承わるわけですが、高等学校の授業料が、期待に反して非常に地方財政計画のもとに値上げをされまして、各都道府県は高等学校の授業料減免というものをそれぞれ考慮しているわけですが、どうも自治庁の方であまりこれを大目に見ないために、各県は授業料減免者を非常にしぼっているわけですが、その間の事情はどういうようになっているのか、お答え願いたいと思います。
  120. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。地方税の場合でありますれば徴収率が非常に低いところ、これは徴収率を上げるように指導をいたしておりますが、手数料の場合は全体的に手数料の徴収率が悪ければ別でありますが、個々のものをとらえて手数料、使用料につきましてどうしろ、こうしろというような指導は全然いたしておりません。従って高等学校の授業料の減免等につきまして、中に入りましてこまかくは申しておりません。これは県の方はそれぞれ自主的にいろいろやっていることだろうと思いまして、われわれは決算を通じてどれくらい取れておるだろうかを見るだけでございます。
  121. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 念のために承わっておきますが、高等学校の授業料減免者のワクについては、設置公共団体の全く自由意思でやれますね。
  122. 後藤博

    政府委員(後藤博君) そういうことでございます。
  123. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで国立大学の授業料引き上げに関しては、局長はもちろんのこと、大臣も御承知と思いますが、本委員会でこの三十一年度の引き上げに伴う増収分については、これを国立大学の学生のために必要な諸経費の増額に還元、充当すべきであるという決議を本国会でなしております。その後いかように取り運ばれておられるかお答え願うと同時に、次の機会に資料として一つ詳細のものを出していただきたいと思います。
  124. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 御要望のありました当日の委員会におきましてお答え申し上げましたように、歳入と歳出の関係につきまして、この歳入をもってこの歳出に充てるという考え方は、私ども現在の法規及び予算の性質上困難であるという点は御了承いただいたと存じております。しかしながら、御要望の御趣意は授業料の一方増徴があるに対して、学生に対する教育を手厚くしろという御要求のように拝聴いたしたわけであります。この点につきましては、国立学校の歳出予算が学生教育関連いたしまして各種の点において予算が充実しておりまするので、その結果が結果として実現するであろうということをお答え申し上げたわけでございます。  資料というお話しでございますが、やはりそのときお答え申し上げましたように、国立学校に対しましては、予算の最小項目が目の校費でございます。校費の目を各学校にそれぞれ配分いたしております。一方、ただいま申しましたよう財政法及び予算、決算及び会計令の趣旨でございまするので、この点について、この点に充当するように配当したというような資料は、提出できない性質を御了承いただきたいと思います。
  125. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) この際関連でありまするから、お問いじゃございませんけれども、今の公立学校の授業料に関連して同様のことを私は申し上げておきたいと思います。文部の事務当局からは、地方公共団体における手数料の増徴が授業料について行われることがないように要望いたしております。また、授業料の値上げについて、一般的に使用をすることがないように、また、授業料をもし値上げした場合の増徴分は、これを教育費に還元するように自治庁に対して要望いたしております。参考となると思いますから……。
  126. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほど後藤財政部長にちょっと伺い、また御出席願ったわけですが、それに関連した点をこの際伺っておきたいと思うんです。それは大臣は、かつて本委員会荒木委員が、一学級の生徒児童数の引き上げ、これについて質問した場合に、文部省としては、事務当局からは、そういう数字はないと、荒木君の方では、いや現に大阪にそういうのがある、こういうやりとりがあったことを私は記憶しているわけですが、私はそれとも関連があるわけですが、福岡県においても一学級の生徒児童数の収容数というものを非常に変えたわけですね。その結果というものは、予算が少くなってくる、教職員が足りない、でPTAの会費で養護教諭とか、あるいは学校給食関係のとか、あるいは図画とか、習字とか、こういう特殊教科の教師をPTAの会費によって雇うというような事態が起りつつあるわけです。これは私は非常に重大だと思うのでございますが、まあほんとうはこれは小林行政部長の方がよかったと思うのですが、まあ同じ自治庁ですから答弁願えると思うのですけれども、まあ福岡県の場合はその一つのケースなんですが、そういうことがもとになって、そして知事は一年間の予算というものを専決処分にしてしまったわけですね。われわれは常識から考えて、県会が荒れて期限内に予算が成立しないという場合に、次の県会を召集するまでの一、二カ月間の暫定予算を専決処分にするということは、これは常識で考えてわかりますけれども教育委員会がそれでは教育が守れないというので、教育委員会法に基いて予算案を出した、それを県議会の運営の面で流しちゃって、そして一年間の予算を専決処分にするというようなことは、いかがなものかと考えるわけですが、その結果としては、不当にこの一学級の生徒児童の収容数が多くなる。で、あとほど質問に触れて参りますが、かつて大臣がここで答弁されましたように、この男女差別の人事異動方針をとっておりますが、いまだに年度末の人事異動はできていない、こういう教育の混乱が起っているわけです。この福岡県知事の取扱い方というものは、ここで私は伺っておかなければならぬと思うんです。これはやがてさらに地方教育行政組織並びに運営に関する法律案の審議の場合に出てくると思うのですが、こういうようなケースが各県に出てくるようになったならば、これは教育は重大な危機に陥れられると同時に、その生徒児童の父兄にはPTA会費という形で負担がかかってくるという、まあ重大な問題だと思いますので、まず自治庁の立場から後藤財政部長の答弁をいただいて、あとで文部省の御見解を承わっておきたいと思います。
  127. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 福岡県が三十一年度予算の専決処分を行いましたその事情も、私総務部長から聞いたのであります。専決処分の一事をとらえてみますれば、おっしゃいますようにちょっとひど過ぎるじゃないか、こういう感じがしないでもありません。しかしまあ、暫定予算を作るか、専決処分をするか、二つの方法しかないわけであります。県としては暫定予算を作るところの準備をしていなかったようでありますし、そのいとまがなかった、従ってまあ専決処分をせざるを得なかった、こういう説明でありまして、やむを得なかったと私ども考えております。抽象的に年間予算を専決処分をするというのは、これはひど過ぎることは申すまでもないことだと考えておりますが、ただ時間的な問題がからんでおりまするので、あの場合としてはやむを得なかったのではなかろうかと、かように私ども考えておる次第であります。
  128. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この質問は長く続けませんが、もうちょっと伺います。そういうあなたの御見解だったら、これはできるだけ近い機会に議会を開いて、議会の承認を私は受けるべきものではないかと思うのですが、いかがですか。
  129. 後藤博

    政府委員(後藤博君) おっしゃいます通り考えております。
  130. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もし、議会でその承認が受けられなかった場合にどういうことになりますか。
  131. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 専決処分でありまするから、承認をいただくように努力をすべきだと考えております。受けられなかったらどうするかということでありますが、要するに予算の更正をどういうふうにやるかという問題だろうと思います。予算を全然否認するわけには参らんと思いまするので、予算の内容の問題になってくるだろうと考えております。
  132. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、私伺っておるのは、教育委員会から一つの原案を送付した、一つの妥協案を出した。それが県議会の多数派の勢力によって支持された。知事がそれを気に食わぬで、自分の原案を専決処分にした。その後に議会の承認を求めた場合、いやわれわれ議会の多数派は妥協案としてできたこれでなくてはならぬというので、知事の専決処分を承認しないという場合にどうかというのです。
  133. 後藤博

    政府委員(後藤博君) その場合に予算を補正するかどうかという問題であります。専決処分の承認を受けると同時に、その場合に補正予算でもって、専決処分をしました予算を補正するか、それとも補正しないか、こういう問題になるだろうと思っております。
  134. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ、これは文教委員会ですから、あまりそれをやっておると、時間がかかって恐縮に存じますから、その程度にして、文部大臣に伺いたいと思うのですが、文部大臣いつか荒木委員と問答されたのを調査するということでございましたが、一学級の生徒児童の収容数が増加傾向にある点、調査されましたかどうか、それを承わりたいと思うのです。私の持っているのは、この福岡を言ったのですが、福岡だけじゃない、熊本でも、香川でもそうです。もう至るところ六十近くに持っていっております。その結果というものは、さっき言ったように教師が足らなくなる。それは結局足らないものだから、PTAの会費でもってまかないましょうということになる。大体そういう傾向をたどりつつあるわけですね。これは私は父兄の教育費の負担軽減どころではなくて、負担を多くする傾向にある点で、納得できないと思うのですが、先般のあの数字を御調査されて、どういう数字を把握されましたか、お答え願いたいと思います。
  135. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) ただいまの御質問は、おそらく私が荒木さんの御質問に答えた問題であろうと存じますが、そのとき申し上げましたのは、あらためて調査をするということではなくて、そのとき資料を持ち合せておりませんでしたので、全体の各府県の状況について申し上げかねたのでありますが、これは三十年度の実績につきましては、私ども各県の学級当りの児童生徒数というものは出ております。なお新しい年度につきましては、これはもう少したちませんとできませんけれども、従来の実績はわれわれの手元に持っておる次第であります。それはあらためて調査いたしませんでも申し上げられます。
  136. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは次の委員会までに三十年度の各都道府県別の資料をプリントして出していただきたいと思います。私が今大臣に伺いたい点は、大臣はそういう傾向をどういうふうにお考えになりますか。各県とも一クラスの収容定員というものは、中学校でよい方で五十五人ですね。それから小学校の方では大体六十近くです。学校の事務職員、養護教諭もPTA会費で雇っている学校というものはたくさんございますよ。これは私は非常に遺憾なことだと思うのですが、養護教諭とか、事務職員とかというものは、学校を維持していくことに当って、欠くべからざる私は要員だと思うのです。それをPTA会費で持つという傾向ですね、これは非常に私は歎かわしいことだと思うのですが、大臣はどういう御所見でございましょうか。
  137. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) もし、ほんとうに学校の教職員の俸給をPTAで持つという事実があるならば、それはよろしくないと思います。
  138. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 解決をどうしますか。よろしくないことはわかっておりますが、その解決はどうするかということがわからないと……。
  139. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) むろんそれはやめさせなければいかんと思います。
  140. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やめさせると学校が成り立ちませんよ。
  141. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 私はこのようにPTAの負担で教員を雇っている学校というものは、私は知りませんから、一ぺん調べてみます。
  142. 湯山勇

    湯山勇君 今のはPTAで雇っている教員ということで問題になりましたが、現在のような教員数では、市町村で経費を負担して、市町村の職員というような格好で学校に配置しているのがたくさんございます。これは具体的に例をあげいと言えばあげられますし、緒方局長には先般書面も見ていただいたわけです。ところがこれは、私は御調査にならなくてもこのことは事実です。ところが今回再建整備法の適用を受けるためには、非常に困ってやっておることですけれども、そういうものが認められない。そこでそういう市では、それらの教員をやめさせなければならない。やめさせるということになれば、学校には非常に大きい影響を与えるので、困っている実例がたくさんあるのですが、大臣はそういう実例を御承知ですか。
  143. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 政府委員より……。
  144. 湯山勇

    湯山勇君 大臣は御承知かどうか。
  145. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) ちょっと私からお答え申し上げます。ただいまお話しのような、本来は御承知のように小中学校の教員の給与は府県費負担でございますけれども、ただいま御指摘のようなものがあるといたしますれば、全国的な状況を私どもつまびらかにいたしておりませんので、ただいま全国的な状況を調査をいたしております。その調査の結果を待ちまして、今後の給与の財政措置について、十分考慮しなければならない問題だと考えております。
  146. 湯山勇

    湯山勇君 今の問題は、政府に調査の結果を待ってどうこうするという問題じゃなくて、今直ちに指定を受けるために措置をとらなければならないというので非常に困っているところもあるのですが、そういうところに対して何とか対策がおありになるのでしょうか。あるいは後藤さんがおられるから後藤さんからお聞きしてもいい。
  147. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お尋ねの再建整備法関係の問題でありますが、これは御承知通り再建関係法律の中に、寄付、負担金の制限の規定がございます。それによりまして市町村は、他の地方団体及び民間のいろいろの団体に出すところの寄付、負担金を制限しておるわけであります。ところが県と市町村の間の問題、これは従来の財政法上は受益関係のある事業につきましては、市町村は消費的経費につきましても、やはり負担してもよいような条文になっておったのでありますが、それを改めまして、建設事業の負担金だけに限ったわけであります。そういたしますると、寄付、負担金のワクの中の問題になってくるわけであります。寄付、負担金というのは大体消費的経費が非常に多いのでありますが、その寄付、負担金の一定のワクの中におさめるという指導をいたしておるのであります。従って何をやめろ、かにをやめろというのではなくて、もちろんやめなければならんものは一応例示しておりますが、消費的経費の部分で、大体赤字団体である市町村の段階によって違いまするけれども、市町村でありますれば、基準財政需要額の三%ぐらいに大体押えてもらいたい、こういう一般的な指導をいたしております。ところがその個々の段階に参りますると、たとえば消防団でありますとか、市町村の町村会でありますとか、いろいろな団体に対するこの寄付、負担金がございます、経費のようなものもございます。そういうものと競合した場合に、一体どちらを削るかという問題があるわけでございます。その場合に、その団体が選択をいたしまして、落す場合もあるわけであります。これはまあ団体のワクの中の問題でありまして、どれを落せとか、これを落せとかいうような指導はいたしておりません。もちろん当然落すべきものと、それから寄付、負担金の概念には入らんけれども、これは私どもは指導で一応明示いたしております。まあそういう格好でいろいろ許可を受けにきまする場合にも、額だけを私どもは明示いたしておりまして、内容を別に明示をするわけじゃございません。多少まあそういうことがあるかもしれませんけれども、学校の関係の職員を特に目のかたきにして、これをやめてしまえというような指導はいたしておりません。そういうことを私どもは再建団体からも聞いておりません。毎日のように再建団体が参りまして、いろいろやっておりますが、ただワクだけ、ワクをどれだけ取るかというだけの話にいたしておるのであります。
  148. 湯山勇

    湯山勇君 後藤財政部長にちょっともう一ぺん……。そこで今のお話は、お話の筋としてはよくわかります。で順位をつけていけば、その順位にはおのずから軽重もあることもよくわかるのですが、そういうものも、合併した市等におきましては、相当まあ余分な人員もかかえておると思うのです。それから合併当時の条件で負担しなければならないものもあると思います。でそれやこれやの巻き添え等を食いまして、結局その市で持っておる教員にしわ寄せがいく、あるいはこのワク内で操作せよという、そのワク内に入らない場合もある。そういう場合には、自治庁としては特別な考慮がなされるかどうか。教育の場合が非常に困るという場合ですね。一律に、どうしてもこの負担はいけないというように飛ばすのかどうか、その点はいかがでしょうか。
  149. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 今申しましたように、個々の寄付、負担金がいいか悪いかという判断は、われわれには、実際として中央ではできないのであります。他との比較の問題でありまするから、従って私どもが一応指導しております県の場合には、基準財政需要の一%でありましても、これは何千万円かになります。それから市町村の場合でも、ちょっと小さい団体でありましても何百万円になります。そのワクの中でどういう性質のものに使うかということは、市町村でその優劣はきめてもらいたいという態度でありまして、個々に学校の関係のどれを優先しろというようなことは言わないつもりであります。従ってもし出したければ他の費目を削って出しなさい、こういうことであります。で今までは寄付、負担金ということで予算にあげておりますものの中に、寄付、負担金でないものもございます。従ってまあその辺のところはまだ趣意が徹底していない傾きがございますので、最近こまかい通牒を出したのでございますが、その場合にもやはり個々の事業をあげて、どうしろ、こうしろというようなことは指導いたしておりません。
  150. 湯山勇

    湯山勇君 これは私あとで個人的にちょっとお伺いしたいと思いますから、その問題につきましては……。
  151. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は委員会で聞きっぱなしというのは非常にきらいな性分でございます。よく大臣はこの委員会で、調べますというようなことで、よく委員会を終るわけですが、そういう言いっぱなし、聞きっぱなしというのは、私はきらいなんです。だから一つ一つ私はけりをつけていきたいと思うのですが、従って先ほどのこの市町村負担の教員とか、PTAでどのくらいの教職員が雇われているかというような点については、できるだけ可能な範囲でよろしいですから、お調べの上、数的に一つ、近い機会にお答え願いたいと思います。  それに関連してこの際伺っておくわけですが、この前の委員会で、これと関連あるわけですが、学年末の人事異動ができないで、それが財政的な理由からできないわけなのです。そうして新学年を迎えてなお人事異動ができなくて、いわば教育の空白を続けているような都道府県があるわけですが、そういうものは承知していない、あるかないか一つ調べてみると言っておられましたが、どのくらいございましたでしょうか。また、ここでちょうど関連があるわけですが、今度停年制をしくようになれば、教職員の停年というものは五十五才以上が妥当だ、これは参議院の地方行政委員会の決議事項でも、要望事項でもあったわけです。ところが実際には最近財政的な考慮から、男教員五十五才、女教員四十五才の線で退職を勧告している。これをどうするかということについて大臣は、そんなことはあろうとは思わぬ、もしあったならばまことに遺憾なことだということをこの前答弁されたわけです。いや調査してみる、調査してみる必要はない、実際にあるのだ、それに対してどうしますかという私の問いに対して大臣は、そういうことはあろうとは思わぬが、調査して、実際にあったならば、望ましいことでないから何らかの意思表示をしよう。通牒でも出そうということを答弁されておりましたが、そういう県があったかなかったか、どういう御処置をなさったか、この際にこの二つだけ一つ締めくくりをつけたいと思いますので、お答え願いたい。
  152. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) ただいま御指摘になりましたような人事関係の各般にわたりまして、実は今地方に通牒を出しまして調査をいたしているところであります。文部省としましてそう地方の状況が一々手にとるようにわかるようには実はなっていないわけでございまして、実は直接に調査をいたしませんと、その詳細な実情はわかりませんので、なるべく今度は詳細に項目を定めまして各県に通達をいたしまして、今調査をとるようにいたしている次第でございまして、これは相当やはり日をとると思うのでありますが、五月十日までにはやりたい、こういうことで一応やっておる次第であります。
  153. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではしぼって伺います。あると思わない、あるかないか調査してみるということでしたが、私は知っているだけでも、この前申し上げましたように、岡山は四十五才、熊本は四十五才、福岡は五十才というので、一律に全部退職勧告をやっております。この前、大臣はそういうことがあるとすれば遺憾なことだと言ったのですが、そういうことに対して、実際にあるとすれば遺憾なことで、大臣として意思表示をされると言っておったのですが、何らかの指導、助言でもされましたでしょうか。されるということであったわけですが、お答え願いたいと思います。されていなかったら至急していただきたい。
  154. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 私から……。
  155. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣に、大臣に伺っているのです。そんなことはあなたが言わなくても、大臣りっぱにおわかりになっているでしょう。
  156. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 最初に緒方政府委員にお願いして、それから大臣に……。
  157. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) ちょっと申し上げますが、ただいま申し上げましたようにやはり的確な調査に基きませんと、文部省としましても十分な判断ができません。今申しましたように、全国にわたりまして今調査をいたしておりますから、それに基いてまあもし対策を講ずべきものがあれば、やらなければならんと思うわけでございます。ただ、今御指摘の事件につきましてのうちで、私もちょっと電話等で問い合せたところもあるのでございますけれども、これは年度末におきまして教員につきましては特に新陳代謝の意味異動いたしますことは、例年の例でございまして、そういうことでまあ一応退職のこれは強制じゃございません。まあ話し合いの退職をやる勧告をやるということはこれはあると思います。しかし、私は聞きましたところの例によりましても、これはやはり話し合いでございますから、これが果して勧告をした人が全部それに応ずるか、応じないかというのは、これはまた別の問題でございます。そういうことに一応相なっておるようでございまして、これは例年やって参りました例でございますので、今年特にそういうようなことが激しくなったというようには、まだ私の方では見ておりません。
  158. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あのね、だから私は早急に調べてもらいたいと言うんです。例年のとは違うんです。地方財政再建計画とからんで非常に激しくなってきておる。しかもですよ、それが原因のために、三月三十一日に人事異動というのは定石なんですね、それができずに仮主任というような形でこの四月を教育しているんです。これは父兄として忍びがたいことですよ。そんなこと今まであったんでしょうか。義務制教育職員の人事異動が三月末できないで仮主任というようなことで一カ月二カ月過ごすということが、今まであったでしょうか、なかったでしょうか。例年と違って激しくなっておるんです。これは教育が空白を続けておるだけに、私は先般来ただし、また御要望も申し上げているわけで、まあ皆さん方の情報網で、どこにそういう問題があるかということはわかるはずなんですから、しかも大臣のその方針と違う現実がわかっているわけですから、早急に善処してもらいたいと思います。これは大臣の御答弁を願います。
  159. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 今、局長からお答えしました通り、基礎事実を照会調査中でございますから、それが判明してから適当な措置をとります。
  160. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 矢嶋委員にちょっとお諮りしたいんですが、まだ質疑が多少残っているように思いますが、いかがいたしましょうか。質疑を続けられますか。
  161. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私関連して若干質問があるんですが、ですから適当な機会にきょうはこれを打ち切って、それで時間も相当回っておりますから、そうしていただきたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  162. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私は文部大臣が非常にこれからせわしくなると思います。幸いきょう席についておられるこの機会を利用して、もうしばらくやっていただきたい。
  163. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  164. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 速記を始めて。  本日はこれで散会いたします。    午後五時二十七分散会