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1956-04-12 第24回国会 参議院 文教委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十二日(木曜日)    午前十一時二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            有馬 英二君            吉田 萬次君            湯山  勇君    委員            川口爲之助君            剱木 亨弘君            中川 幸平君            三木與吉郎君            秋山 長造君            矢嶋 三義君            加賀山之雄君            高橋 道男君            竹下 豐次君   国務大臣    文 部 大 臣 清瀬 一郎君   政府委員    自治庁財政部長 後藤  博君    文部政務次官  竹尾  弌君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省管理局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部大臣官房総    務参事官    斎藤  正君    文部省初等中等    教育局財務課長 安嶋  弥君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方教育行政組織及び運営に関す  る法律案内閣送付予備審査) ○地方教育行政組織及び運営に関す  る法律施行に伴う関係法律整理  に関する法律案内閣送付予備審  査) ○教科書法案内閣送付予備審査) ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (小学校、中学校統合整備に関す  る件)  (文部省機構改革に関する件)  (学校建築費等に対する補助金の配  分に関する件)   —————————————
  2. 有馬英二

    理事有馬英二君) これより文教委員会を開きます。  本日は委員長不在のため、委員長の指名によりまして私が委員長職務を行います。  地方教育行政組織及び運営に関する法律案地方教育行政組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案、及び教科書法案を一括して議題といたします。  以上三件に関し、前回の委員会文部大臣から提案理由説明を聴取いたしましたが、その補足説明文部当局から求めます。
  3. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 地方教育行政組織及び運営に関する法律案の概要につきまして補足して御説明申し上げます。  本法律案は、地方公共団体における教育行政が適切に行われることを期しておるものでありまして、その趣旨に基き教育委員会設置及び組織教育委員会及び地方公共団体の長の職務権限学校その他の教育機関設置及びその職員身分取扱い文部大臣及び教育委員会相互間の関係等地方教育行政組織及び運営の基本となるべき事項を広く規定いたしております。これに伴って、現行の教育委員会法は廃止されることとなっております。  この法律案は、本則六章六十一カ条、附則二十五カ条からなっておりますが、以下その内容につきまして章を追ってその要点を説明いたします。  第一章においては、この法律趣旨規定いたしました。  この法律案が、地方公共団体における教育行政組織運営基本的事項を定め、教育本来の目的達成をはかることを目的とする旨であることを明らかにしたものであります。  第二章においては、教育委員会設置及び組織について必要な規定が定められております。  第一節では、教育委員会設置委員及び会議について規定しております。  まず、教育委員会は、都道府県及び市町村はもちろん、教育事務の全部または一部を共同処理する市町村の一部事務組合にも置くものとし、委員会は五人の委員組織することを原則としておりますが、町村またはその一部事務組合にあっては、事情により三人の委員組織することができることといたしました。  委員選任方法につきましては、従来とって参りました委員公選制度を改めまして、地方公共団体の長が議会の同意を得て、地方公共団体の長の被選挙権を有する者のうちから、任命することといたしました。次に、地方公共団体における教育行政運営が中正と安定を保ち、かつ円滑に行われることを目標として教育委員会設置するものでありますから、任期四年の委員を毎年一部づつ改任する方途を講ずるほか、委員がその任にある間におきましては、地方公共団体の議会の議員、地方公共団体の長、その他の職員と兼ねることを禁止し、また委員の構成が一党一派に偏することのないよう常に、五人の委員組織する委員会にあっては三人、三人の委員組織する委員会にあっては二人以上、すなわち委員の過半数が同一政党に所属する者で構成されることのないよう配慮いたしました。その他委員が政党その他の政治的団体の役員となり、または積極的に政治運動を行うことを禁止するほか、委員の服務、欠格条項解職請求等について必要な規定を設けました。  第二節では、教育長及び事務局組織について所要規定を設けております。  教育長任命にあたり、都道府県教育長文部大臣の、市町村教育長都道府県教育委員会の承認を得るものといたしましたのは、地方公共団体の行う教育行政に国または都道府県としてみずから必要な水準の維持と調整をはかり、国、都道府県及び市町村一体としての教育行政制度を樹立するため、教育委員会における教育長の地位にかんがみ、その人選に適切を期せんとする趣旨に出でたものであります。  なお、市町村教育長について委員のうちから選任することといたしておりますのは、機構の簡素化をはかったものであります。  その他教育委員会権限に属する事務を処理させるための事務局設置事務局内部組織指導主事その他の事務局職員設置、その職務、定数に関する規定、その他職員身分取扱いについて所要規定を設けました。  第三章においては、教育委員会及び地方公共団体の長の職務権限について必要な規定を定めました。  地方公共団体の長と教育委員会との調和を進めるため、従来、教育委員会権限とされていた教育財産の取得及び処分の権限支出命令権教育事務のための契約の締結権は、これを地方公共団体の長の権限とし、予算案条例案についてのいわゆる二本建制度は、廃止して、両者の権限を明示し、地方公共団体における円滑な教育行政運営を期待しようとするものであります。しかしながら、教育委員会所掌事務にかかる歳入歳出予算その他特に教育に関する事務について定める条例その他の事案につきましては、教育委員会の意思の反映をはかるため、その議案を作成する場合に地方公共団体の長は、教育委員会の意見を聞かなければならないことといたしました。  その他教育財産の取得は、教育委員会の申し出を待って、地方公共団体の長が行い、長の総括のもとに教育委員会が管理するものといたしました。  なお、実情に即応して教育行政運営されますため、教育委員会事務は、教育長学校その他の教育機関職員に委任できることとし、また、都道府県教育委員会は、市町村教育委員会事務の委任を行い得る方途を講じ、委任事務について市町村教育委員会を指揮監督できるものとすることといたしました。  第四章においては、地方公共団体設置される学校その他の教育機関について基本的な必要規定を設けました。  地方公共団体設置する学校その他の教育機関のうち、大学は地方公共団体の長が、その他のものについては教育委員会が所管することを明らかにし、これらの教育機関職員について、その設置任命及び人事管理について必要な規定を設けるとともに、校長その他の教育機関の長に所属職員の進退について任命権者に意見を具申することができる旨の規定を設けて、これらの長の地位を明定いたしました。  さらに教育委員会は、その所管する学校その他の教育機関の施設、設備、組織編制教育課程、教材の取扱いその他の教育機関管理運営基本的事項について必要な教育委員会規則を定めるものとする旨の規定を設け、この規則には学校における教科書以外の教材の使用について、教育委員会に届け出させ、または承認を受けさせることとする定めを設けるものとする旨の規定を設けました。  次に、都道府県がその給料等を負担する市町村立学校教職員身分取扱いにつきまして、現行制度とは異なった人事制度をとることといたしました。昭和二十七年の市町村教育委員会全面設置以来市町村教育委員会が、その管理する学校教職員人事管理を行なってきたのでありますが、人事交流任命権の行使と給与負担調整等その運用の上において支障を生じている面もございますので、今回都道府県給与を負担する教職員任命権は、都道府県教育委員会市町村教育委員会の内申を待って行うものとし、必要に応じて都道府県教育委員会は、その事務の一部を市町村教育委員会に委任し、また市町村教育長等に補助執行させることができることとする規定を設けました。従いまして、これら教職員は、身分は市町村公務員でありますが、都道府県教育委員会任命権を行使いたします関係上、その任免、給与、分限及び懲戒に関する条例は、都道府県条例で定めるものとし、市町村間を異動する場合においても、地方公務員法分限規定にかかわらず特別の形式で取扱いができることといたしました。しかし、一方教職員市町村設置し管理する学校に勤務し、市町村の処理する教育事務に従事する職員でありますから、これら教職員の職務の執行が適正に行われているかいなかという服務の監督は、学校管理者である市町村教育委員会が行うことといたしますとともに、任命権者としての都道府県教育委員会は、これら教職員の任免その他の進退を適切に行うことができるよう、市町村教育委員会の行います教職員の服務の監督について一般的な指示が行いうるよう規定を設けました。  その他これら都道府県がその給料等を負担する教職員定数都道府県条例で定め、各市町村ごと定数は、都道府県教育委員会市町村教育委員会の意見を聞いて定めるものとし、その他職階制、研修、勤務成績の評定について規定するほか、地方公務員法の適用その他について必要な規定を設けることといたしました。  第五章においては、文部大臣及び教育委員会並びに地方公共団体の長との関係について規定いたしました。  従来、文部大臣都道府県または市町村に対する関係及び都道府県教育委員会市町村教育委員会に対する関係については、それぞれ地方自治法及び教育委員会法に技術的な指導助言または勧告をなし得る旨の規定があり、文部省設置法にも若干の規定が設けられておりましたが、地方公共団体における教育行政に対する国の指導的地位を明らかにし、国、都道府県及び市町村教育行政は相連繋して運営せられるべき体制を樹立するために、ここに一章を設けて文部大臣及び教育委員会相互間の関係等について規定を設けました。  まず、文部大臣都道府県または市町村に対し、都道府県教育委員会市町村に対し、必要な指導、助言または援助を行うものとし、その内容を例示いたしました。次に、文部大臣は、教育委員会または地方公共団体の長の教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反する等教育本来の目的達成を阻害しているものがあると認めるときは、教育委員会または地方公共団体の長に関し必要な是正の措置の要求を行うことができることとし、それが市町村長または市町村教育委員会の所掌にかかるものであります場合にあっては、都道府県教育委員会をして行わせることといたしました。  その他文部大臣は、これらの指導、助言、援助及び措置要求を行うため必要があるときは、教育委員会または地方公共団体の長の執行する事務について調査を行うことができることといたしました。  さらに、都道府県教育委員会は、市町村教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関組織編制教育課程、教材の取扱いその他学校その他の教育機関管理運営基本的事項について、教育委員会規則教育の水準の維持向上のため必要な基準を設けることができることとし、また、都道府県内の公立の高等学校について、通学区域を定めることとしております。第六章においては、学校給食用物資の取得のあっせん、教育委員会と保健所との協力について所要規定を設けましたほか、いわゆる五大市に対する特例等規定いたしました。すなわち、指定都市に対しましては、都道府県教育委員会が行使することとなります教職員の任免、給与の決定、休職及び懲戒に関する事務指定都市教育委員会に法定委任することとし、これら教職員の研修は、指定都市教育委員会が行う旨を定めました。  なお、指定都市教育委員会教育長につきましては、委員のうちから任命することとせず、都道府県教育長と同様、委員のほかから文部大臣の承認を得て教育委員会がこれを任命することといたしました。  さらに、特別区に関する特例及び教育事務を処理する組合を設ける場合における必要な規定を整備いたしました。  最後に附則といたしまして、この法律は、昭和三十一年十月一日から施行するものとし、教育委員会設置及び委員任命その他教育委員会組織に関する関係規定は公布の日から施行することといたしました。  現在教育委員会委員である者は、昭和三十一年九月三十日までの間、同日以前にその任期が満了します委員につきましては、その任期満了の日まで、なお、委員として在任するものといたしました。委員のうち、議会より選出された委員につきましては、昭和三十一年九月三十日までの間、同日以前に公選による委員任期が満了する場合にあっては、その任期満了の日まで、なお、委員として在任するものといたしました。  この法律が公布になりますとき、すでに教育委員会委員選挙の告示が行われているものについては、選挙を行うこととし、この法律公布昭和三十一年九月三十日までの間に委員に欠員を生じたときは、公選の委員が一人もいなくなったときを除いて、この法律規定に従って同日までを任期とする委員任命することといたしました。  次に、現に教育委員会教育長として在任する者は、昭和三十一年九月三十日までの間、同日以前に任期が満了した場合または公選による委員任期が満了するかすべてが欠けたときはその日まで、なお、教育長として在任するものといたしました。  以上、この法律案の概要について説明申し上げました。  次に、地方教育行政組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案について、御説明いたします。  この法律整理をいたしております法律は、二十に及んでおります。いずれも、地方教育行政組織及び運営に関する法律案、以下新法と略称します。の内容と関連する事項調整し、もしくは、同法の施行に伴い新たに付加すべき事項規定し、または不用規定整理いたしたものであります。  まず、第一条においては、地方自治法の整備をいたしました。同法第二十条は、教育委員会委員選挙に関する規定でありますが、公選制の廃止に伴い、同条を削除いたしました。  次に、教育委員会委員長代表権が付与されたことに関連し、議会における説明のための出席義務委員長といたしますとともに「教科内容」という用語の変更に伴い、関係規定の用語の整備をいたしました。  従来、助役は、当分の間教育長を兼ねることができるとされておりました。新法により市町村教育長委員の中から選任されることとなりますので、この規定は削除すべきところではありますが、財政上の事情を考慮いたしまして、昭和三十二年三月三十一日までの間に限り、本則にかかわらず、助役は、教育長を兼ねることといたしました。  本法第二条においては、恩給法に必要な調整を加えました。これは新たに発足いたします教育委員会教育長、または事務局職員についても、従前の教育長または事務局職員と同様の恩給法上の取扱いをいたすこととしたのであります。  第三条では、市町村立学校職員給与負担法に必要な調整を加えました。現在の同法第三条には、その給料等都道府県が負担する市町村立学校教職員、以下、県費負担教職員と申します。の市町村ごと定数は、都道府県条例で定める定数の範囲内で市町村教育委員会が定めることを規定しておりますが、今回、右の定数は、都道府県教育委員会が、市町村教育委員会の意見を聞いて定めることに改めましたので、これに伴い、同条を削除いたしました。  次に本法第四条においては、教育公務員特例法所要調整を加えました。市町村立学校教職員主要部分を占める県費負担教職員については、その任命権都道府県教育委員会が行使することになりましたことに伴い、採用志願者名簿制度は、その意義を失いましたので、その制度を廃止し、規定の整備をいたすとともに、教育長選任方法改正指導主事の資格の変更に伴い、教育長及び指導主事任用資格を同法から削除いたしました。また、校長の任用資格に関する規定は、別途整備することとして整理をいたしました。その他、教育長給与研修等に関する規定の整備または整理をいたしたものであります。  第五条では、文部省設置法所要調整を加えました。  新法に規定してあります文部大臣権限、すなわち、文部大臣教育委員会または地方公共団体の長に対する必要な措置要求都道府県及び五大市教育長任命にかかる承認の権限文部省設置法に明定いたしました。  第六条は、社会教育法の一部改正でありまして、従前の教育委員会制度が採用していた条例案その他の議案に関するいわゆる二本建制度等の廃止に伴いまして、社会教育委員定数等に関する条例案公民館設置条例案等に関する不用規定整理いたしました。なお、現行第三十九条の公民館に対する指導、助言は、公立公民館については新法の規定により措置することとし、私立公民館について規定した次第であります。  第七条は、公職選挙法の一部改正でありまして、改正部分は同法中数十条にわたっておりますが、これらは、全部教育委員会委員公選制を廃止したことに伴い不用となった部分の整理でございます。  次に第八条から第十二条までは、図書館法文化財保護法産業教育振興法博物館法及び青年学級振興法につき、指導助言関係規定を整備し、または準用規定の消滅に伴う不用規定整理して、大体第六条と同趣旨調整をいたしました。  第十三条及び第十四条は公立学校施設費国庫負担法及び危険校舎改築促進臨時措置法の一部改正でございまして、これらの法律規定に基く国の負担金または補助金の返還をさせる等の場合の釈明者は、現行制度においては、教育委員会となっておりますが、新制度におきましては、地方公共団体の長が教育財産の取得を行うとともに、収入または支出の命令権者となることに伴いまして、釈明者地方公共団体の長に改めました。  第十五条では、従来町村合併促進法規定されていた教育委員会委員定数及び任期に関する特例を削除しました。この規定教育委員会委員公選制を前提といたすものであると考えられますので、かかる特例を認める理由に欠けることとなったからであります。  第十六条では、地方公共団体の組合に教育委員会全面設置されることに伴い、義務教育学校における教育政治的中立の確保に関する法律中、不用字句整理いたしました。  第十七条においては、教育職員免許法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律附則中、教育長指導主事及び校長の任用資格特例に関する規定を、本法第四条の教育公務員特例法の一部改正で申し上げました趣旨から削除いたしました。  第十八条においては、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律中、県費負担教職員任命権者の変更に伴う不用規定整理いたしました。  第十九条は、公立小学校正常授業解消促進臨時措置法の一部改正でありまして、その趣旨は、本法第十三条及び第十四条と同様であります。  最後に、第二十条は、地方財政再建促進特別措置法改正でありまして、同法第九条は、地方教育行政組織及び運営に関する法律中に同趣旨規定が設けられましたことに伴い、これを削除したものであります。  次に、附則でございますが、この法律は、新法と同様、本年十月一日より施行することといたしておりますが、本法律案中、新法の教育委員会設置関係規定に密接な関連のある部分、すなわち、委員選任関係、新教育委員会設置関係並びに教育長及び指導主事その他の事務局職員の人事に関する部分の改正規定のみは、新法の関係規定施行の日から施行することといたしました。  附則第二項から第四項までは、県費負担教職員定数条例給与条例あるいは教育公務員の研修または兼職に関する許可についての経過措置規定いたしたものであります。  附則第五項では、旧法により恩給法の準用を受けていた旧教育委員会教育長または事務局職員恩給法上の取扱いについて所要経過規定を設けました。  附則第六項は、地方自治法の一部を改正する法律案との調整をはかり、いわゆる五大市について所要読替規定を設けたものであります。  附則第七項は、この法律公布の日にすでに選挙期日が告示されている教育委員会委員選挙については、なお従前通り選挙を行うこととしたものであります。  附則第八項では、改正前の町村合併促進法規定によって町村合併後引き続き選挙による委員として在任している者は、本来の公選委員同様本年九月三十日を限度として、それまでに町村合併促進法規定により定められた在任期間が満了する場合は、そのときまで在任することができることといたしました。  附則第九項では、従来教育長を兼ねてきた助役についての経過措置でありますが、この法律公布の日教育長を兼務している助役は、他の現に在任する教育長同様本年九月三十日を限度としてその任期中引き続き在任することを認めたものであります。  以上、本法律案の概略を御説明いたしました。  次に、教科書法案についての文部大臣趣旨説明を補足しまして、その内容の概要を御説明申し上げます。  まずこの法案規定事項についてであります。従来は、教科書制度全般にわたる統一的立法はなく、教科書の発行に関する臨時措置法のほかは、政令、省令等で各個別に規定していたのでありますが、この法案制度の全般にわたり、必要な基本的事項を総合的に規定することとしたものでありまして、総則、検定、採択、発行及び供給、雑則、罰則の六章六十二条と附則から構成されております。以下、章ごとに順を追って、その要点を御説明申し上げます。  第一章総則におきましては、この法律の目的、用語の定義及び教科書の種目について規定しております。まず、この法律の目的とするところは、教科書検定、採択、発行その他必要な事項を定めることにより、教科書の水準の保持と向上をはかるとともに、適正な採択と確実な発行を確保し、もって学校教育の目的の達成に資することにある旨をうたい、この法案規定範囲とその目標を明らかにいたしております。  用語の定義のうち教科書及び発行者に関しては従前とほぼ同様でありますが、新たに登録教科書供給業者についての定義を加えました。また、教科書の種目の具体的な内容については、細目にわたりますので、文部省令規定することといたしました。  第二章は検定に関する規定であります。従来、検定に関する事項につきましては、政令や文部省令などで規定しておりましたが、このたび本法案の中に検定の手続、方法及びその機構等について全般的に規定を整備いたしたのであります。教科書検定の手続、方法につきましては、発行者または著作権者の申請により、文部大臣教科書検定審議会の議を経て検定を行うものと規定いたしましたこと、検定の尺度となるべき検定の基準は、文部大臣教科書検定審議会に諮問して、教育基本法及び学校教育法にのっとり定めるものといたしましたこと、検定拒否の制度を設けましたことなどがその要点であります。  次に検定の効力に関して、新たに有効期間と失効の制度を設けました。検定の有効期間を定めましたのは、ひとたび検定に合格すれば無期限に使用できるということは、不合理でありますので、検定の後、六年間に限り、使用できるようにいたしました。また教科書の種目や検定基準の変更等によって、従前の教科書をそのまま有効と認めることは適当でない場合もありますので、有効期間中でも文部大臣は、その検定の効力を失わせることができることといたしましたが、その処分については慎重を期して教科書検定審議会の議を経ることとしたのであります。  また、この法案では、検定に合格した図書に明白な誤まりがあることを発見したときは、発行者においてその修正の措置を講じなければならない旨の規定を設けまして、教科書内容を常に正確に保つことを期しております。  次に、教科書検定事務は、その内容が専門的に多岐にわたるのみならず、その公正と厳密を期することを要しますので、文部省に八十人以内の委員で構成する教科書検定審議会を置くことといたしました。従来もこの種の審議会が設置されておりましたが、これを拡充強化いたしたのであります。なお、別途、文部省に常勤の調査職員四十五名を置き、調査の万全を期することといたしております。  第三章は採択に関する規定であります。まず、採択に関する権限を明らかに定めました。すなわち市町村立の小学校及び中学校につきましては、採択地区ごとに教科書選定協議会の選定に基いて、都道府県教育委員会が行うこととし、その他の高等学校以下の公立の学校につきましては、校長の申出に基いてそれぞれ所管の教育委員会が行うことといたしました。国立または私立の学校につきましては、校長が行うことといたしておりますが、国立の大学またはその学部に付属して設置される学校の場合は学長または学部長の承認を受けることといたしたのであります。  次に、市町村立の小学校及び中学校につきましては、採択地区を設け、その地区内の学校では、同一学年について同一種類の教科書を使用するよう措置いたしました。採択地区は、郡もしくは市の区域またはこれらの区域をあわせた地域を基準として、都道府県教育委員会が、教育上考慮すべき自然的、経済的、文化的諸条件に照らして適当な数を設定することとしたのでありまして、最小限、郡、市の区域を下らないようになっております。また場合によっては、全県一区とすることもできるようにいたしたのであります。この採択地区には、それぞれ毎年一定期間教科書選定協議会を置き、その協議会で選定を行うのでありますが、その選定は校長の申し出を基礎とすることといたしております。これは、教科書を使用する学校の意向を尊重するとともに、校長の職責を明らかにしようとする趣旨に基くものであります。  また校長、教員その他採択関係者による教科書の比較検討や教科の常時研究に資するため、都道府県が必要数の教科書研究施設を設置することといたしました。これは、従来開催してまいりました教科書展示会がその所期の目的を達していないとの批判にかんがみ、これにかわる常設施設としようとするものであります。発行者は、これらの研究施設に教科書を送付して、その展示を求めることとなるのであります。  採択に関する不公正行為については、従来とかくの批判があったことにかんがみ、その禁止の規定を設けました。すなわち、発行者または登録教科書供給業者は、校長、教員その他の採択関係者やこれらの者の属する学校もしくは団体に対し利益を供与したり、採択関係者またはかつて採択関係者であった者を組織的に利用したりする行為その他の行為で、採択の公正を誤まらせるおそれのある行為をしてはならないことといたしました。なお、この禁止規定の違反に対しましては、登録の取消、その他の行政処分をもって対処することとしております。  第四章は、発行及び供給に関して規定しております。まず、発行者及び従来の特約供給業者に登録の制度を設けるとともに、これら業者に対する監督規定を整備しました。従来、教科書発行者及び特約供給業者につきましては、その資格に関し、制限規定がなく、また、これらに対する監督規定も不備でありましたが、児童生徒の教育上重要な役割を果しまする教科書の発行及び供給を担当する者については、一定の資格の規制と監督の措置を定めることが必要であると考えたからであります。登録につきましては、破産者で復権を得ないこと、その他一定の形式的要件に該当する者については、これを拒否するものとし、事業能力及び信用状態が教科書の発行または供給の事業の遂行に著しく不適当と認められる者または採択関係者がその教科書の発行または供給の事業に対し、事実上の支配力を有し、これにより教科書の採択の公正が害されるおそれがあると認められる者については、文部大臣は、教科書発行審議会の議を経て、その登録を行わないことができることといたしました。監督の措置としましては、報告を求め、検査を行うことのほか、違反行為に対する是正命令または登録の取り消し、発行保証金の没収、教科書公報への登載の拒否などの処分規定を設けました。  また、発行及び供給に関する実体的規定を整備いたしました。現行制度におきましては、発行者教科書を各学校まで供給する責任を負うこととなっておりますが、ほとんど全部の発行者が各都道府県の特約供給業者と契約を結び、これに教科書の供給を行わせているのが実情であります。この法案では教科書の供給義務は発行者と各都道府県登録教科書供給業者が分担して負うとの建前のもとに発行者は、各都道府県登録教科書供給業者の需要に応じて、これに教科書を供給する義務を負うこととし、一方登録教科書供給業者は、管内の需要に応じて教科書を供給する責任を負うことといたしまして、教科書の完全供給の確保を期しております。なお、発行者は、児童、生徒の転校被災等による特別の需要に応ずるためその発行する教科書について、相当数の予備本を備えておかなければならないこととし、また、その発行義務の履行を保障するため、一定額の発行保証金を供託すべきものとしております。  次に、定価に関する規定でありますが、この法案におきましても従来通り文部大臣の認可制といたしますとともに、新たに、特別の場合を除いて定価外の販売を禁止する規定を設けております。  さらに文部大臣教科書の発行及び供給に関する権限の行使の適正を期するため、文部省教科書発行審議会を置くことといたしました。  第五章は、雑則といたしまして、職業教育教科書等に関する特例指定都市特例、教師用指導書に関する規定及びこの法律の実施のための政令への委任規定を設けております。指定都市につきましては、その規模よりいたしまして、採択に関しては特別の取扱いが必要であると考えられますので、これらの市及びその教育委員会は、政令の定めるところによりまして、採択に関する都道府県またはその教育委員会権限及び事務を行うことができることといたしました。  次に教師用指導書は、現在大部分の教科書について作成され、発行されており、一般の教職員に広く使用されているもので現在何等法令上の規制がなされていないのであります。この法案では、教師用指導書のその使用状況及び影響力にかんがみまして、教師用指導書を発行した者は、すみやかに文部大臣に提出するものとし、文部大臣はその指導書に教育上不適当と認める個所があるときは、その訂正を勧告することができることといたしました。  第六章は、罰則に関する規定であります。無登録者が教科書の発行を行い、または登録教科書供給業者の業を営むこと、虚偽または不正の事実に基いて登録を受けたこと、教科書を定価外の価格で販売すること、教科書選定協議会の委員がその職務上の秘密を漏らすこと、その他この法律に基く報告、調査、届出等に関して罰金または過料等の制裁規定を設けております。  最後に、附則におきましては、この法律施行日、旧法令の廃止、この法律施行に伴う経過措置及び関係法律の整備規定等を設けております。  経過措置のおもなるものといたしましては、まず旧規定により検定を与えられた図書は、昭和三十五年三月末日までは、原則としてこの法律により検定に合格した教科書とみなすことといたしたことであります。これは、新しい検定の機構及び手続が従来よりも一段と整備され、また有効期間の制度等も設けられますので、なるべく早い時期に新制度による教科書に切りかえることが必要であるからであります。しかし、他面切りかえを急ぐことは、かえって検定調査の粗漏を招くおそれがあることなどの事情から、旧規定による教科書昭和三十四年度まで学校において使用できることといたしました。  次に、発行者及び従前の特約供給業者に関しましては、現にこれらの業を営んでいる者は、昭和三十一年度使用教科書及び昭和三十二年度使用教科書については、この法律による登録を受けないでも、その発行または供給の業を営むことができることといたしました。これは昭和三十二年度使用教科書につきましては、すでに検定事務の大半が終了し、発行の事業の一部が進行中であるからであります。  以上教科書法案につきまして、各章ごとにその内容の要点を御説明申し上げた次第であります。
  4. 有馬英二

    理事有馬英二君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  5. 有馬英二

    理事有馬英二君) 速記を始めて下さい。  それでは午前の会議はこれをもって終了いたします。  これにて休憩いたします。    午前十一時四十七分休憩    ————・————    午前十一時四十七分休憩
  6. 有馬英二

    理事有馬英二君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  まず、小学校、中学校統合整備に関する件を議題といたします。御質疑のある方は御発言を願います。
  7. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はこの際小中学校の統合の問題並びにそれから必然的に生じて参ります教職員定数教職員の配置の問題、それからひいては、これは再建整備法適用にかかる再建団体としての再建計画にも関連する問題でございますが、これらの問題について文部大臣並びに自治庁長官に伺いたいと思います。委員長にお伺いいたしますが、自治庁はどういう関係の方が御出席いただいているのでしょうか。承わります。
  8. 有馬英二

    理事有馬英二君) 財政部長が出るように、目下連絡をしております。
  9. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それがだれも来ておりませんが……。
  10. 有馬英二

    理事有馬英二君) 催促しております。
  11. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 至急に出席を要求しておいていただきます。  それでは自治庁当局の出席する前に、それと関連ない面からまず文部大臣に伺って参ります。予算案審議のときにも若干伺ったわけですが、本年度新たに公立小、中学校統合特別助成補助金という名のもとに三億円が計上されておりますが、あらためてここで私、根本方針でけっこうですから、この三億円の予算が成立したわけですが、どういう方針で臨んでいかれるのか、文部大臣の方針を承わりたいと思います。
  12. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 学校統合のために必要になった校舎の建築に要する費用について一部補助し、もって義務教育の推進向上をはかり、学校経費の節減をはかろう、こういうことであります。
  13. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それもごもっともなことで、お伺いしなくてもわかっているところでございます。私の伺いたいのは、学校統合というものをどういうものさしをもって推進するのか、この点を伺っているわけです。小学校にいたしましても、中学校にいたしましても、義務教育であるのと、これはそれぞれ地域社会の人々ときわめて密接な関係にあるだけに、しゃくし定木のような形では、私は統合問題というものはなかなか円滑にいかないと思います。従ってどういうものさし、基準ですね、それを私は方針なる言葉でお伺いしたわけでございまして、その基本方針を承わりたいと思います。これは私は文部大臣として御見解を持っておられなければおかしいと思うのですよ。三億円の予算をわれわれに審議を求めた以上は、これは管理局長の答弁する範囲じゃないと思います。まず文部大臣に伺いたい。
  14. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 今申しましたように、学校の統合をはかる。従ってそれによる今後の経常の経費を少くしょうということでございます。
  15. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 局長の意見を伺います。
  16. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 御承知のように、町村合併を現在非常に大きな国の政策の一つとして実施をいたしておりますが、この町村合併を実施いたしますに当りまして、この合併される町村内の地域における小、中学校を統合するということが新町村建設計画に載っているものが非常に多いわけでございます。ただ、従来の公立文教施設補助金関係から申しますと、これはすでに過去においてこの中学校あるいは小学校について補助金をもらっておるような場合には、そういったものは補助の対象にならん、統合する場合にも補助の対象にならんという従来の方針であったのでありますが、それではこの国の施策に応ずる公立の小、中学校の統合ができないということから、これについての新しい補助金を交付するような要望が非常に強かったわけでございます。ただいま大臣からお答え申し上げましたように、従って公立の小、中学校の統合特別助成金の目的としておりまするところは、町村合併に伴いまして小、中学校を統合する。そのものさしといたしましては、できるだけ教育の能率を向上させ、そうして義務教育水準を上げるということの反面、学校の統合によって経費も一部節減される面が出てくる、こういった点を主眼にしておるわけでございます。
  17. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、先ほど来能率向上、経費節約、いわば学校経営の合理化ということが言われておるわけでありますが、この予算の節約とそれから小規模なるがゆえに統合することによって、学校経営の合理化をはかろうという、これはごもっともなことなんですが、それを非常に強く取り上げますと、無理な面が私は出てくる場合が相当にあると思うのです。高等学校以上の、義務制でない学校、あるいは大学と違って、小、中学校が義務制であれば、憲法なりあるいは教育基本法学校教育法等諸法律にうたわれておりますように、すべての国民に義務教育を受けるところの機会を与えなければならないわけですから、小、中学校の統合に当っては実情に即して、行き過ぎのないようにするということは基本的能度としてとられなければならぬと、かように考えているわけですが、これについて文部大臣はどういうようにお考えになっておられるか。  また、この統廃合の問題のために、新学期を迎えて入学式もあげられずに、現在生徒は学校同盟休校というような、言葉は適当かどうか、ともかくも授業を受けられない状態に置かれているような学校が、全国にどのくらいあるか、事務当局から、承知しておるかどうか、その二点をお答え願いたいと思います。
  18. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 前段の御意見のことは、文部省においても全く同様に考えておりますが、この際無理をしてはいけないと思っております。あとの教、その他のことはわかっているかということは、局長より……。
  19. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) ただいま大臣からお答え申し上げました通り、大体町村合併そのものも、上から強制してやらせるべきものではないと私は考えておりますが、ましてこれに伴う学校の統合につきましても、ただいま御指摘のございましたように、児童、生徒はまだ幼い年令の者でございますので、当然そういった点を考えて、行き過ぎのないようにするべきであると思っております。従ってこの補助金の配分を行う際にも、その統合が非常に無理な面があるというようなものについては考えなければならぬと思っております。ただ、最後にお尋ねのございました、この統合に関連して学校の授業が行われない、あるいは入学式が行えないというようなものにつきましては、まだ文部省としては調べておりません。
  20. 秋山長造

    ○秋山長造君 この問題は何ですか。文部省で個々の具体的な事例について、一々今局長がおっしゃるような見地から、その当、不当を審査されて補助金を出されるのですか。その点どうでしょうか。
  21. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) その統合につきましては、これは各都道府県で、都道府県教育委員会でその教育委員会所管の市町村について、計画のあるものを申請してもらうつもりでおります。そしてその申請につきましても、最もよく知っておるべき都道府県教育委員会意見を十分尊重して、これを付してもらいますから、それを十分尊重して予算を配分するようにしたいと思っております。文部省が独自の見解でそれを整理するというようなことは考えておりません。
  22. 秋山長造

    ○秋山長造君 その点に私は多少疑問を持つのですが、文部省としては府県の教育委員会からの申請を大体そのまま認めていかれるということなんですけれども、ただ教育委員会関係事務ではあるが、しかし権限はあくまで市町村が持っておるわけですね、この学校の統合という問題については……。そうすると市町村の方はどうしても教育的な見地、さっき矢嶋さんのお話しになった教育的な見地というようなことを第一義に考えるよりも、やっぱり町村合併という、町村のいわば事務的な都合ということがどうしても主になって、学校の問題もやはり推進されると思うのですね。そうした場合に、やはり学校の問題は一般の町村合併とは別だとはいいながら、やはり実際には、実際の現地での扱いとしては、教育問題の特殊性とか何とかいうことは、むしろ二義的な問題として扱われて、やはり当面目先の町村合併ということによって、ある場合には無理やりに引きずられるということが実際にはあり得るし、また、多く問題になっているのも、そういうことから問題が出ておるように思う。今自治庁の方で指導しておられる町村合併にしても、これは局長は無理をすべきものではないとおっしゃっておるけれども、実際にはこれは相当上から引きずって無理をして、そうして町村合併を行なっているというのが実情です。それからまた、町村合併をこの際大いにやろうという大目的のために、多少の無理が伴うということも、これはまあやむを得ない面もあるかと思うのです。だけれども、とにもかくにも町村合併が主になって、教育という問題がどうしても二義的に考えられて学校の統合も行われやすいという事実は、私は否定できないと思う。また、それに対して府県の教育委員会がどの程度の発言権を持ってその行き過ぎの是正、合理化ということをやっておるのかどうか、そういう点についても私疑問を持つのですけれども、そういう点は文部省としては、県から言ってきたものを、もう大体そのまま認めるということでいかれた場合に、多少今大臣なり局長がおっしゃっている教育を第一義的に考えるという方針と抵触してくる例は案外多いのではないか、その点どういうふうにお考えになっておられますか。
  23. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 先ほどのお答えの中にも申し上げたつもりでございますが、今回予想しておりますところの学校統合は、町村合併に伴って新市町村建設計画というものがございまして、その建設計画に載っておりますもののうち、これは現在直ちに実施可能なものとそうでないものとあろうと思います。で、実施可能の状況にあるものについて県の教育委員会の方からセレクトして申請してもらうというつもりでおります。従ってまあ学校統合を町村側の立場から無理があっても押していくというようなものについては、本年度においてそういうものについて補助金が出るというようなことになることは、おそらくなかろうと思っております。実際に計数的なことを申し上げますと、御承知のように統合特別助成費は三億円でございます。従って大体坪数としまして一万七千坪程度でございますので、これを四十六府県に分けますと、平均しますとまあ三百坪強くらいにしかならぬわけでございまして、統合の実施計画を予測してみますと、一府県二校ないし三校くらいしか、この補助金の恩恵に浴するものは本年度はないのではなかろうかというふうに考えております。きわめて少数でございますので、ほんとうにその町村内融和して統合をぜひともやらなければならぬという可能性の非常に強いもの、必ず統合ができるものというものだけをセレクトすることになると思います。なお、県の教育委員会の方から申請をしてもらうわけでございますので、教育的な面を二義的に考えるというようなことはおそらく起ってこないのじゃないかと私どもは推測をいたしておるわけでございます。
  24. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そこで後藤財政部長に伺いますが、あなたの方で市町村合併指導をされているわけでございますが、小、中学校の統合について相当強い要望をされているやに私は承わっておりますし、特に再建団体に指定されることを希望する団体の再建計画の、あなたの方の査定に当っては、そういう点が相当要望されているやに承わっているのですが、どういう御見解を持っておられるのか承わりたいと思います。
  25. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。第一点の小、中学校の統合の問題でありますが、中学校小学校、これは別々に、県によりまして事情が非常に異なっておりますので、たとえば中学でありますれば、組合立の中学校のある県と、それからそうでない県とでは事情が異なっております。従って組合立でない、各市町村別に中学校がございますようなところは、町村合併を機会に統合を進めていくように、こういう指導をいたしております。それから組合立がありまして、ある程度うまくできておりますようなところには、そう強く私どもは指導いたしておりません。また、小学校の問題につきましても、一般には町村合併が行われましたので統合するようにということを申しておりますが、これも通学区域関係とかいろいろの関係がありまするので、中学の組合立でないところほど強くは私どもは要望いたしていないのであります。  それから再建団体の再建計画の承認の場合の指導の問題でありますが、この問題は一挙に教員を整理するとか、新陳代謝をするとかという計画は私はできない。従ってそれにはやはり統合計画をまぜた計画でなければ、われわれとしてはそういうものは実行不可能な計画じゃないか、こういう意味で指導いたしておるのであります。また、教育費の持ち出しが非常に多いところについてそういうことを申しておるのであります。これは給与費全体をとらえてわれわれは再建計画を承認いたしておりますので、その中の問題として取り扱っておるのであります。給与費全体の考え方は、これは一番大きな行政のコストを定めるものでありますから、横ばいないしスロー・ダウンの方式をとってもらいたい。つまり人数がどうの、単価がどうのというような問題でなくて、再建計画の期間中に給与費の総額がスロー・ダウンしていくような方式にしてもらいたい、こういうことを申しております。その場合にスロー・ダウンの内容として、たとえば教育費を下げる場合にはどうするというその内容を聞きました場合に、今申しましたような統合計画というものをあわせてやらなければ実行不可能な計画になりはしないか、また将来の財政構造そのものの改善にはならぬではないか、こういう意味の指導をいたしております。
  26. 有馬英二

    理事有馬英二君) 矢嶋委員に申し上げますが、御夜間はなるべく文部大臣にお願いいたします。
  27. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、最近の中央の文教政策はともかくまあ他日にするといたしまして、地方の教育行政を見てみますというと、教育的見解というものが非常に軽く扱われて、財政的な面からばかり処理されているということ、この傾向は私は非常に遺憾だと思っていますが、再建整備法を審議する段階においても、文部大臣は各都道府県においては、都道府県当局と都道府県教育委員会で十分協議するし、中央においては自分と自治庁長官と十分連絡をとって支障のないようにするんだと、こういうことを答弁されておりましたが、事実はまだ発足したばかりであるにかかわらず、昭和三十一年度の予算編成の状況を見ますというと、非常にそれが顕著に出ております。こういう事実を文部大臣知っておられるかどうかということと、私具体的に伺いますがね、ある村に小学校と中学校がありますとね、その学校は近いからといって、小学校校長と中学校校長を兼ねさせると、こういう校長配置を財政的な立場からやっている県、やろうとしている県があるのですが、これは教育という立場からいかようにお考えになりますか。その二点を伺います。
  28. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 矢嶋さんも御承知の通り、今日わが国の地方財政はあの通りの状態で、地方において局に当る者は、なるべくはすべての財政を節約しようと考えるのは、まああり得ることでございます。しかしながら、教育は次の時代の日本人の肉体、精神を築くものでありますから、財政の都合のみによって法律を定め……、また、国家で希望する教育には支障なからぬように希望いたしておるのでございます。小学校、中学校校長兼任のごときは希望すべきことじゃございません。そういうことがないようにいたしたいと思っておるのであります。ただ、あなた御承知の通り教育には地方分権ということがやかましく言われまして、むやみに文部省からそれを制止するというほどの力を持っておらぬのは遺憾でございます。
  29. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 さらに伺いますが、地方公務員法の一部改正法律案が先般本院に政府から提出されて審議いたしました。そのときに定員の問題、給与等の問題について審議がされたわけですが、そのときに太田自治庁長官並びに文部大臣は、都道府県条例によって停年制をしくようになった場合には、恩給が百パーセント支給されるのは五十五才であること等諸般の情勢を考えた場合に、その停年制をしく場合の年令というものは五十五才以上にその年令をとるのが適当であると、それは好ましいということを自治庁長官なり文部大臣は答弁されましたが、現在もその点間違いございませんね。
  30. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 現在でもさように考えております。
  31. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点については文部大臣、今後とも肝に銘じて善処していただきたいと思うのですが、そこで私は具体的に伺いますがね。自治庁の再建計画の認可を受ける手順等の関係があって、三月三十一日、学年度末に人事異動の発令ができずに、年度末人事異動を四月末あるいは五月末に延ばしている都道府県があるわけですね。まあいわば、そういう県は一カ月ないし二カ月間は教育が空白になるわけで、きわめて私は重大なことだと思うのですが、文部省調査するところの権能は持っているわけですが、一体そういうふうに、年度末に財政的な関係から教員の定期異動ができずに教育に空白をもたらさんとしておるところの都道府県が、何県あると実情を把握されておりますか。
  32. 安嶋弥

    説明員(安嶋弥君) 私どもの部屋には、各地方からいろいろな方がお見えになって、定員の問題等についていろいろ御相談を承わる機会が多いわけですが、先生がおっしゃったような事実はまだ聞いておりません。それから全国的な調査もまだしておりません。
  33. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 国会があって多忙なことですけれども、とにかく三月末人事異動ができぬということは、教育という立場から考えて遺憾なことでしょうかどうでしょうか、文部大臣どうお考えになっておられましょうか。
  34. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 物事が尋常に運ぶことがいいのでございますが、世の中には多種多様の事情があって発令ができないこともあり得、また発令をいたしましても、実行のできないようなこともあり得るのでありまするが、これは大へん遺憾なことだと思っております。
  35. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部当局は実情を把握していないと思うのです。私は非常にお忙しいことはわかるけれども、遺憾に思うのですがね。私が知っているだけでも、学校の統廃合を無理したために、新学期入学式ができないで、父兄が生徒を登校させないで授業を停止している学校が全国四校ございます。地方再建団体との関係で三月末人事異動ができず、四月末か五月に繰り越すという県が私が知っているだけでも二県ございます。従ってそういう県の教育というものは一カ月あるいは二カ月空白になるわけですが、こういう事態は文部省としては的確に把握しておいていただきたい。その原因は一にかかって財政的な面からのみきているというだけに私は非常に重大だと思いますので、次の機会まで至急調査していただきたいと思います。  そこで具体的なことを私は文部大臣に伺いますが、そういう都道府県で、この三月末実施された県もあるし、現在計画されつつある県もあるのですが、こういうことを大臣今どういうふうにお考えになりますか。財政的な面から男子の先生五十二才、これで数百人の教員の退職勧告をやっておるのです。女子の先生は四十五才、それから夫婦が教員である場合に、主人が手取り二万五千円取っておったならば、奥さんの方はやめていただくと、こういう方針でこの人事をやろうとしている県があるわけです。こういうことは全くの財政的な理由一点からきているわけなんですが、文部大臣としてこの事実をいかようにお考えになられますか、お答え願いたいと思います。
  36. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) やろうとしておる県とおっしゃいましても、さような方針が立てられておるかどうかは、表へ現われませんからよくわからないのでありまするが、例外的のことは別といたしまして、多くの場合は高齢者、高給者の勇退といったようなことであろうと思います。毎年の大学からの新卒業者が多数出てくるものでありますから、一定の新陳代謝はこれはまあ必要であろうと思います。従前からさようなことがあるのであります。要するにそれが無理のないように、公正妥当に行なわれるものと思うております。中央でよく物事を一方できめましても、また、具体的に地方の事情を聞いてみるというと、無理からんこともたくさんありますので、機械的に年齢と性別だけでやることはおそらくはないのであるまいか、かように思っております。
  37. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それではさらに掘り下げて具体的に伺います。そのある教員が有能だ、あるいは無能だということを離れて、財政再建等の財政的な理由から、かりにここで五十二才で退職してもらうというような、そういう方針というものは、大臣としては大臣の個人の見解として賛成か反対か、先ほどあなたは地方公務員法の一部改正法律案の場合にも、まあここで時間が長くなりますから申し上げませんが、諸般の情勢から都道府県条例を設ける場合には五十五才が適当である、望ましいということを答弁されたこととあわせ考えるときに、私はあらためてその点大臣から率直にお答え願いたいと思う。
  38. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 教育に関することを、財政事情だけで処理するということは望ましいことではないと思っております。また、どこでもそういうことだけではなしに、やはりあまり高齢になった人、あるいはまたあまり高給者が多いような場合に、有能な若い人に、世間でいう後進に道を開くといったような考えで、戦後のみならず戦前から行われたことでありまして、今日日本国家の財政もこの通り窮乏であります。地方も赤字財政再建を必要といたしますけれども、財政だけの考慮でやることは私は賛成いたしておりません。
  39. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私のお尋ね申し上げている点にピントを合せてお答え願いたいと思うのですが、その教員の能力が優秀であるとか劣等であるとかいうことを別にして条件があるのです。今ここで五十二才ということでやめていただくとか、あるいは男子は五十二才だが女子は四十五才、こういうような一つの方針をかりに私は立てたとするならば、それは望ましいとお考えになりますか、どうですか。
  40. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) すでにお答えしたことで御了解を願えると思いまするが、年齢のみで——まあ恩給の場合に、あるいはまた停年の場合、条例を作って幾ら退職という、これは別です。平常の勧告とか希望というのに、必ずしもワクをつけてやるということはおだやかならんことと思っております。あるいはまた、男女の区別などをやることは新憲法の規則にも反しますね。だからその通りのようなことが行われておれば、私はあまりいいことじゃないと思っております。もう少しおだやかに実際の実情を判断して、必ずしも停年に触れんでも、まあ後進に道を開くのだというので、事情々々によって退く人の家庭の事情もありましようし、健康もありましょうし、いろいろなことを勘案して相談するということは、これはよかろうと思います。一律に女子が四十五才になったらやめてもらうというのじゃ、これはおだやかならんと思います。
  41. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は基本的なことを伺っているわけで、文部大臣基本的な考え方は明確にわかりました。その点については私は全く同感でございます。そこでもう一つ先ほど申し上げた点、具体的に伺いますが、文部大臣も御承知と思いますが、学校の先生方というものは大体同じ教職にある関係か、職場結婚している人が多いわけですね。でないと自分は身を教育界に置きながら、わが子を下宿させて高等学校に進学させる、あるいは都市に下宿さして大学に入学させるということは、身は教育界にありながらできることでないのですよ。共稼ぎでやっと自分の子供に高等学校教育を、あるいは近くの大学教育を受けさせるくらいが、もう財政能力として精一ぱいなんですね。そういう職場結婚をしている先生方を、主人が二万五千取るようになったから、奥さんにやめていただくというような、こういう方針をもしとられるところがあるとすると、まことに私は涙のないむちゃな方針だと思うのですが、この点は今後末長く日本の教育者にとっては、きわめて重大であり、関心深い問題でございます。今若いここに教師がおって職場結婚するような場合に、これは深刻な私は問題になると思うのです。従って男女共稼ぎの場合、職場にある御主人が二万五千、あるいは三万円になったから、だから奥さんの方はもう機械的にやめてもらおう、こういう方針というものは私は望ましくないと思うのですが、文教の最高責任者としての文部大臣は、あなたの個人的見解はどういうものを持っておられますか承わりたいと思います。
  42. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 過日も東京都の女の校長さんばかりが寄って、文部省へおいでになりました。ちょうどあなたと同じような例をあげて、望ましからざるゆえんを私にお説きになりまして、私もその通りだと思います。ほかに別の事情があれば別でありまするけれども、夫婦が共に教職にあるからといって、どっちかをやめろということであったら、具体的な事件はやはり処分した人の弁明を聞かなければなりませんけれども、かりにそういうあなたのおっしゃる通りのことがあれば、それはよくないことだと思いまして、私明白にそのことをお答えしておきました。同感です。
  43. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたのお考えは私と同感であることは明確です。しかし、その限りではこういう問題は解決できないのですよ。これは予算を組む場合、ことに地方財政計画等を立てる場合に、やはり教育を守るという立場から、文教政策の最高責任者としての文部大臣が、閣内においてあるいは大蔵大臣、特に自治庁長官等に対して、十分そういう実情というものを御説明され、その協力と理解を得るにあらざれば、ただあなたの今のお考え、同感と言われたのですが、その限りにおいては解決できないのですが、過去においてそういうことについて、自治庁の実力者である後藤部長さんがここにおみえになっておりますが、自治庁長官等に対して、何らか働きかけをされたことがあられたかどうか、または今後閣内においてそういう御努力をなされるのか、その点私は承わっておきたいと思います。
  44. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 世の中にいろいろな訴えがありまするが、やはり双方聞けということで、その反対の立場の人の言うことも、また処分した人の言うことを聞くと、また事件は一々人間の面が異なるように違うのです。具体的な問題については、やはりその具体的な事情も聞かなければなりませんが、あなたのおっしゃった例とちょうど同じことでしたが、過日女の校長さんが来て私に言われた例、それだけでほかの事情が少しもなくてあったらば、夫婦とも教員だからどっちかやめいということは無法なことで、私は悪いことだと思います。私の職権でできることであるかないか、事実がそうであるならば、適当な指導助言を与えることにやぶさかでありません。
  45. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それはあなたと無関係というわけではないのです。財政計画を立てる場合の教員の人件費の予算額から来るわけであって、あなたの力が及ばないところではなくて、あなたの力の及ぶ範囲内の問題でありますから、あなたの意見と反対に、あなたの意見としてはそういうことが好ましくないということになれば、解決に対して努力していただかなければならないと思いますので、私は伺っているわけです。
  46. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) おっしゃることはよく了承いたしました。善処したいと思います。
  47. 湯山勇

    ○湯山勇君 大臣の御答弁を承わっておりますと、ちょうど評論家の意見を聞いているような感じがいたします。矢嶋さんの言われたことに対して、それについては賛成である、こういうことで文部大臣の御答弁としては、これははなはだ不満でございます。今のように非常に大臣が考えてもよくないというような事態があれば、大臣には打つ手がたくさんあるはずです。それは先ほど大臣が地方でやることにはどうも手のつけようがないというような意味のことをおっしゃいましたけれども、現行法においても実際に教員の身分を持っておる都道府県教委に対しては、指導助言も勧告も大臣はする権限を持っているわけですから、そうしてまた従来大臣が都道府県教委なり、その他に対してそういう趣旨の通牒を出したこともあり、要望したこともございます。そういう権限と責任を持っておる大臣が、矢嶋さんの言うことには賛成だ、こういうことだけでは評論家のようで大臣の御答弁ではないと思いますので、一つ大臣らしい御答弁を願います。
  48. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 矢嶋さんに申し上げたように、一つは過去の経験、具体的な事実を調べてみますと、反対の立場の人の弁明を聞き、またよく調べてみるというと、全くの原則通りでないことも非常にあるのです。きちっと今矢嶋さんのおっしゃる通り、夫婦共稼ぎだから一方やめいなんて言ってきておるのであったら、私の権限範囲内でそれは適当な指導をしたい、こう申しております。しかし、軽率にそれをやるというと、やりそこなうのです。ですからよく調べまして、その通りのことであれば、適当の助言をしたいと思います。
  49. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちょっと、大臣の答弁で、あればと言われたのですが、事実各県にあるのだから大臣としては、私はよく文部省でとられる手段ですが、かくかくのことがあるやに承わるが、もしそういうものがあることは好ましくないので、しかるべく御配意わずらわしたいとかいう、こういう文書はあらゆる場合に文部省から出ているのですが、そういう形でこれは早急に文部省の越権にならない範囲で出し得るものは幾らでもあるのですから、通牒を出されてしかるべきだと思いますが、出していただけますか。
  50. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) よく詮議をいたします。
  51. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次の委員会にその写しを出していただきたいと思います。
  52. 秋山長造

    ○秋山長造君 まあ矢嶋委員のおっしゃる通りなんだ。この問題は、大臣、今に始ったことじゃないので、もうわれわれの覚えてからでも、大達さんの当時から、これはもういつも女教員に対する不当処遇といいますか、不当な扱いについての問題はずっとあるんです。それで大臣はそのつどいつも、いやそういうことは男女平等の原則に反するから、もってのほかだから善処するということを、いつもそのときの大臣はおっしゃるのだけれども、しかし地方の実情は、これはもう年々この年度がわりの異動のたびに、一そう窮屈なワクをはめられてきておるので、われわれもずいぶんいろんな不当な例は聞いて知っています、今回の年度がわりの異動なんかについては。だからやっぱりこれはただここで、この席上での所見として大臣がそりゃ困るから一つ実情を調べますということでは、どうも通り一ぺんの論議に終ってしまうので、大臣としてもう少しこれは年々歳々繰り返していることですから、全国にわたってこの教員の人事異動等の実情をよくお調べになって、それでその数字の底に流れておる一つの女教員等に対する扱い方の一つのやはり流れというものがあると思うのです。そういうものを十分把握されて、ほんとうに徹底したやはり処置をおやりにならないと、これはもうこの委員会で幾らもっともらしいやりとりが行われておっても、地方の実情はどんどんどんどんあらぬ方向へ進んでしまう。それでそういうこの御調査は一つすでに文部省でできているはずなんです。私もまあ結論は矢嶋委員のおっしゃるように通牒なり何なり、とにかくとりあえず何かそういう具体的な手を打って、一つこの問題の解決のために一歩でも二歩でも前進していただきたいと思う。大臣に御所見をもう一度重ねて伺っておきます。
  53. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) あなた方のおっしゃることはみなほんとう、事実と思いまするけれども、いやしくも文部大臣が通牒を出そうと思えば、その実態を一度調べまして、国内に数件そういうことがいよいよあるということを確めました上において通牒等は発したいと思います。今帰ってすぐ書いて、すぐ次の委員会に出せとおっしゃっても、それは聞いてみますると、いちいち何か理屈があるのですよ、全くもってあなたのおっしゃるようなふうなことに……、(「だから、あるやに聞くで出しなさい」と呼ぶ者あり)だからあるかないかを調べまして、国内に相当たくさんそういうものがあれば、その規制をすることは、むろんやぶさかじゃございません。だけどきょう聞いたからといってすぐ出してしまうということは……、ですから一ぺん実態を調べて……。
  54. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今の点ですね、大臣、実態を調べるということも私は反対ではありませんけれども、しかし、そういうことだけでは、文部大臣としての職責は果せないと思います。たとえば先ほど来問題になっております町村合併に伴う学校の統合にいたしましても、自治庁の方では相当強いこれに対する干渉をいたしております。それに対して文部省は一向何にもしていない、財政的な見地だけからじゃなくて、そういう場合にも十分教育的な見地に立ってやるべきだというようなことは、指導として当然文部大臣がなさらなくちゃならないことだと思うのです。それをもうそういう事態が起ってからじゃおそいのです。起らないうちにそういうことのないようにという注意もまた必要だと思う。そこで具体的なことを少し申し上げますけれども、文部省の方でお考えになっておるのは、小規模学校の解消と、教育的見地からいって、こういうことですけれども、実際に今日各地方で起っておる学校の統合の問題は、決して小規模学校の統合ということではないと思います。これは事実をあげて私は申し上げることができます。こういう点についても財政的な見地からだけじゃなくて、教育的な見地を加味しなかったならば、結局財政のために教育が犠牲になる、子供たちが犠牲になる、こういうことになるわけです。ですから大臣は事実を調べるよりも、そういう事実が起らないように措置すること、これが私は第一だと思うのですが、大臣はいかがでしょうか。
  55. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 私もさように心得ております。
  56. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 今夫婦が先生をしているときに女の人にやめてもらいたいという問題が質疑応答されておるようですが、そのほかに御主人は県庁の役人をしている、奥さんは学校の先生をしているというような場合もあるし、学校の問題と離れますけれども、同じ県庁のうちで夫婦で稼いでいる人もあるだろうと思います。あるいは親子で働いている人もあるだろうと思うのです。それはいろいろな場合がある。そうすると問題は学校の先生だけの問題ではない。収入がある程度以上あるから片方をやめてくれというのなら、どこの役所でもすべて……やはりその調子が合わないというとおかしなことになります。今学校範囲内で質問応答されておるようでございますけれども、そういう点も私も事実学校の女の先生でそういう理由でやめてもらいたいということを勧告されたということを前に聞いたことがございますが、どうでしょう、自治庁の方では広くその点を御承知であろうと思います。ただ収入が多いからということでありましたら、金持ちの人たちはみんなやめてもらわなければならないことになるだろうと思う。そういうことに理屈はいくだろうと思うのです。もう生活に困らないのだから、月給取らないでもいいじゃないかという理論になりますから、みんな月給取りは貧乏人でなくちゃならない、そういうことはおかしなことだ。それは自治庁の方では広くお調べになっておるだろうと思いますが、まさか自治庁の方から学校の先生だけを片寄ってやめさせるという指令を出していらっしゃるはずはないと思いますが、事実はそうだ。実際御存じのことだけをお話し願いたい。
  57. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 先ほどお話しの、私も二、三日前に話を聞いたのですが、熊本県の例だろうと思っております。ただ夫婦五万円以上という条件がもう一つあったのじゃないかと思います。それで男女の差別をつける。それから夫婦の一定の額以上の場合にどうとか、これは各府県で整理をいたします場合に、そういう基準が一般職員についてもやったところがあるようであります。しかし全府県ではありません。特殊な県でやった例でありまして、今までのところは年令、性別による差別というのは聞いておりません。この場合も私は事情をよく聞こうと思っております。どうせ熊本の場合は再建の例でありますから、再建計画の問題が三十一年度において問題になりますので聞こうと思っておりますが、その場合今まで聞いておる例から問題になりますのは、男の先生と女の先生のパーセンテージの問題が一つある。県によりましては女の先生が非常に多くて、しかも相当の年令の人が非常に多いという場合には男の先生からの要求がある程度ある。そういう事情を考慮して、これは私組合から聞いた話に一つある。だから一定の年令でこれをやることは組合としても認めざるを得ないのだということも聞いております。それからもう一つは、これはよその県、熊本じゃありません。例をあげてもよろしゅうございますが、青森県、これは女の先生が非常に多い。従って女の先生が年令を今はっきり分けておらんようでありますが、先年やったときに私もおかしいじゃないかと聞きましたら、そういう例を申しております。それから男女の場合、女の先生の数の問題が一つと、それから新陳代謝をやります場合に、やはり数の問題が関係してくるのです。あとの補充をできるだけ男の先生にしたいという意味か、それとも従来のパーセンテージを保持していくような格好にするか、こういう問題がからんでおるようであります。県によりましてこれは事情がまちまちですが、従ってただ単に年令だけの問題以外の問題が常にからんでいるように思っております。私はそういう年令だけでやるとかそれから収入だけでやるという、それだけでもって一律にやるということは、ちょっとひどいのじゃないかと、こういう考え方を持っております。ただ、線の引きようがないから、一応そういう線が勧奨してみて、いろいろな特殊事情も聞いた上で、ほんとうにやめてもらうかどうかを判別する、これはいいのがれじゃありません。そういうことを申して従来はしております。何といたしましても、教育委員会と地方団体との間で話し合いをして、一定の標準をきめてありますからして、私どもとしてはそう突き進んだ指導もできないのであります。県によりまして、私どもが見ておりますつまり教育財政規模から持ち出し額が非常に多い県がございます。例をあげますと、熊本とか鹿児島というのが一番ひどいのでありますが、しかしいろいろな事情がございます。熊本の例でありますと師範学校が戦争中にたくさんできまして、その事業生が今四十から四十四、五歳の人が多い。もう一つ引き揚げが九州は多かった。それを無計画に採用した。この将来の年令構成というものを無視した採用の仕方をしていった、こういうところに問題もあります。従って私どもといたしましてはそういう持ち出し額が非常に多い県に対しては、年令構成を一朝一夕にはできませんが、長い間かかって是正をして新陳代謝をスムーズにやれるような格好にしていくべきじゃないか、それが教育財政の面から見まして最初に考えなければならぬ。そういう立場から教育財政を考えていってもらいたいということを、財政的だけの見地から申しております。早くから気がついておりますところの県は、そう大きな持ち出しをしておりません。われわれは別に何にも申しておりません。新陳代謝の場合に、そういう県におきましては、やはり年令構成を是正する方途として、非常にドラスティックな方法をとる場合もあるのではないかというように考えております。なお、熊本等の県につきましては、もう少しよく調査いたしました上で、私どもの趣旨を徹底さしたいと思う次第でございます。
  58. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 教員以外の県庁内あたりのお話しお聞きありませんか。
  59. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 性別で分けたという例は幾つかあったかと思いますが、最近はそういうようなことはあまりやっていないのじゃないかと思います。前にこんなことが一、二県あったと思います。それから額でいくという例は、一般職の場合には聞いておりません。
  60. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 どうも女に無理がいくのです、多くの場合に。この問題だけではありません。同じ退職の勧告をいたす場合にも、女の先生を呼んで教育委員会あたりで話しますと、女の人なんか抵抗し切れないのですね。つい泣く泣く引き下る。男はがんばるというようなそういう無理をして、弱いところにつっかかっていくというような、この問題だけではありませんが、ことに今、学校の問題についてはいろいろ問題も多い時期でありますし、そういう負担がそういう方面にのみに片寄っていくという形になったら、なおさらおもしろくないことだろうと思っております。これは県庁でもどこでもおそらく理屈の通らない非常に誤まったやり方だと思いますが、この点は特に御注意下さいまして善処されることを希望いたします。
  61. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はここで文部大臣に伺いますが、私が先ほどから質疑を続けて参りましたのは、架空の問題に基いてお伺いしているのではないのです。大臣は調査をされる、調査された結果によって云々と言われますが、はっきりあるのです。岡山県は女子教職員は四十五才というので勧告したのです。それはたくさんほかにあるのであります。それから熊本も四十五才、それから今熊本でやっておるのは男子教員は五十二才ないし五十三才、そして夫の収入が二万五千円ならば奥さんの方は整理される。香川の場合は御夫婦合せて五万円になれば整理される、奥さんが。しかし奥さんは学校の先生、御主人は大きな会社の社長をしておって相当の収入があっても、これは対象にならないのです。めちゃくちゃです。そういう事例は、何も私は今香川とか岡山とか熊本をあげたけれども、それだけじゃないのです。日本全国にある。そのよってきたるところは何かというと、財政的な理由からきておる。しかも県当局が教育委員会に非常に圧力を加えておる。その都道府県は自治庁のおぼしめしがよくなるようにというので忠誠を誓ってやっておる。そのしわ寄せは全部教育にきておるわけです。これは後藤さんほほえみをもって聞かれておるようですが、あなた方はよくわかっていて下さると思うのですが、ほんとうに肝に銘じておいてもらいたいと思うのですよ。私ども地方財政の窮迫しておるのを建て直さなくちゃならぬということは考えておりますよ。しかし、それが過去の誤りを一挙に改めて、しかもそれを最も弱い面のやすき道を求めて教育文化方面にしわ寄せしてくるということは、断じて私は承認することができないと思う。これを守るべきものは、閣内においては清瀬文部大臣以外にはないと思うのです。その点で僕は清瀬文部大臣の格別の御善処を要望いたしたいと思うのです。御所見はいかがでしょうか。
  62. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 了承いたしました。
  63. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣、退席されたあとに、あとでまた後藤さんにあらためて伺いますが、後藤さんにさっきお話しの出たついでに一つだけ伺いますが、たとえば先ほどあなたの方から熊本、鹿児島のケースが出ましたが、これは九州は非常に引揚者が多かった関係上年令構成というものがへんぱになった。それから熊本の場合は第一師範、第二師範、あるいは熊本高等工業とか五高とか、あるいは薬学の専門とか、こういう大学並びにかつての専門学校が多数あった関係上、教員の資格の構成がいいということはあなたがお認めになっていらっしゃる通りです。これは私はけっこうなことだと思うのです。また引揚者を九州各県が快く引き受けたということは、これは一つの国策の犠牲者を引き受けたということでけっこうなことだと思うのです。従ってその財政支出が多くなっているのは当然であって、これを一挙に是正しようという、ここに私は無理があると思うのです。この点は自治庁において私は格段の御高配あってしかるべきだと思うのです。そういう特殊性というものを自治庁当局では御考慮いただいているのでしょうか、どうでしょうか。御見解を承わりたいと思います。
  64. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 私どもも鹿児島、熊本の特殊事情は認めておりまして、これは教育費のみならず恩給費もそうでありますが、その全体につきまして常に特別交付税のときには、普通交付税に見られない分をやはり足して見ておるのであります。一挙にこの問題を解決するというのは、お説の通りむずかしいと思っております。従って何カ年かの長い計画でもってこの年令構成を直していって、新陳代謝がスムーズに行われるようにいたしたいという要望はいたしておりまして、それまでの間の問題でありますが、それまでの間一体どうするかという問題でありますが、教育費を中心にしてものを考えるのであれば、投資的経費に出す一般的財源を落してもらいたいというのがわれわれの希望であります。投資的経費の方を現状のまま支出しながら、やはり教育費の方を容認するというわけにはいかない。従ってどちらを中心にやるかということを県としてはきめて、その上に立って計画的に落していくという方途を講じない限りは、赤字はやはり毎年出てくるのではないか、こういう見解を私どもは持っておるわけであります。つまり投資的経費と消費的経費とのからみ合いの問題が前提になる。その前提に立ってそのどちらをとるかによって、教育費の是正の期間がきまってくるのではないか。また、財政的に合理化する方法がきまってくるのではないか。どっちかはっきりしてもらいたい、こういうことを言っておるのであります。財源として支出いたしますものは別にひもつきのものではございませんが、どちらを使おうと県の方の勝手だということになっております。その辺がはっきりしない状態がずっと続いてきたのが実情であります。
  65. 有馬英二

    理事有馬英二君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  66. 有馬英二

    理事有馬英二君) 速記を起して。
  67. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部大臣にこの際もう一点関連する問題を承わっておきます。それはこれまた財政的な理由から生じてくるわけですが、勧奨退職ですね、これを出した場合に、都道府県条例によって六割増しの退職金を出せるように取り扱っておるわけですね。これを教育委員会に諮ることなく、その意見も聞かずに議会において議決をして、かような条例を削除するということは、私は教育委員会法の立法精神から考えて望ましくないのみならず、違法と考えるのですが、文部大臣はどういう御見解を持っていらっしゃいますか。
  68. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 法律的なことなので、私からお答えいたします。教育に関する条例の原案の送付のことは、教育委員会法に書いてございますが、ここで常例とすると書いてございます。具体的な事案が常例であるかどうかということでございますが、立法の当初の経緯といたしまして、全部に共通するような条例の改廃、各部門の職員に通ずるような条例であって、そうしてその条例を直すという緊急な必要があった場合には、この場合に原案送付を求めないことも違法とは言い得ないだろうということが現在まで考えられております。
  69. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ある県で勧奨退職に伴う割増し退職金の条例議会にかけて削除したのですね。その経過を調べてみますと、都道府県議会教育委員会との連絡調整職務を持っているところの議会選出の議員は百パーセントこれを知っておりながら、その立案に携っておりながら、公選教育委員個人に対しても、委員会にも一言の連絡協議もすることなく、ぼっと議会にかけてこれを削除してしまった。そういう運び方はこれは教育委員会法の立法精神から、いかように文部大臣お考えになりますか。これは法律学者だから文部大臣はっきり御答弁できると思う。
  70. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) あなたのお示しの通りなれば違法とは言わぬまでも望ましくない、精神上は望ましくないと思います。
  71. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そういう場合に文部大臣としてはどういう意思表示をされますか。
  72. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) そういう条例がきまっておるのに、文部省の方から干渉いたすのはどうでございましょうか。
  73. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部省は技術的、専門的指導助言権限を持っているわけですから、そういう事態が現実にあったとするならば、少くとも該当都道府県教育委員会に対しては、かくかく考えるが好ましくないことだったというような意思表示を、私はされる権限はもちろんあるし、また私は文部大臣のそれは義務だとまで私は考えるのですがね、御所見いかがでしょうか。
  74. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) それまでに双方の意見をよく聞いて、あなたの今言葉で表示された通り、ぼっと知らぬ間に抜き打ちしたというようなことがありましたならば、それは適当な話をするなり、あるいは助言をすべきものだと思いますが、どうもあなたの言った通りのことが最近あったとは私聞いておりませんので、必ずしも……。そうでございましょうか。
  75. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それではこれで終ります。それは宮崎県のケースです。私は百パーセント責任を持ちます。先般行って調べてきたのです。
  76. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 一ぺん調べてみます。
  77. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたも初中局長も宮崎県に御縁があるし、知っておられるはずです。それで次回の委員会までに調査されて、いかなる措置をとられたか御報告を要望しておきます。湯山委員が質問があるようですから私は一応ここで終ります。
  78. 有馬英二

    理事有馬英二君) それでは文部省機構改革に関する件について。
  79. 湯山勇

    ○湯山勇君 最初大臣に苦言を呈したいと思うのですが、それは先般文部省組織改正がありましたけれども、義務はないにしても、当委員会に対して何ら御報告がありません。これは私は直接文教政策を担当しておるわれわれに対しては、こういうふうに変ったんだという御報告ぐらいはあってしかるべきだと思うのですが、一つ今後御留意願いたいと思います。  そこでお尋ねいたしたいのは、今回の組織改正はどういう趣旨でなされたか、それについて大臣の御見解を伺いたいと思います。
  80. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) あれはひとり文部省のみならず、各省において課を縮める方が事務の簡捷になるという趣意で、中央政府各省全部課の数を減したのであります。
  81. 湯山勇

    ○湯山勇君 その理由を承わりたいと思います。
  82. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 今申しました事務の簡捷にあるという考え方であります。
  83. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで文部省において七項目にわたる組織改正がございましたが、文部省でこの七つについて特に改正になったのはどういう理由でございますか。
  84. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) これは連絡のある課は、また事務の近接した課は一つにする方が事務簡捷になると思いましてさように減したのであります。
  85. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうすると、今まではそういうふうに簡捷できるものを放っておったわけですから、むだをしておったということになるわけでございますか。
  86. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) むだをしておったというわけじゃありませんが、そのときの仕事は時々刻々変りまするが、その当時では二つにした方がよかろうと思うて前任者以来しておられたのでありますけれども、今日の各種の情勢から見て、課の数が少い方がよかろうということで、これだけ変ったのであります。
  87. 湯山勇

    ○湯山勇君 この課の数を減らすということは、政府の全体的な方針だとして、文部省の中からどの課を選びどの室を選ぶということはこれは大臣の権限でございましょう。
  88. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) それはこの間も発布しました通り政令事項ですな。政令は閣議できめるのですね。しかしながら実際問題としては私が主になってこれがよかろうということを申しました。
  89. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこでこういうふうなことをして、実際の仕事の上に、あるいは文部省職員に対していろいろ私は影響があると思うのですが、そういうことについて大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。
  90. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 目には見えませんが、幾らか事務は簡捷したと思います。少くともつくはんこの数も減ったのですから、少しは効能があると思います、大した数ではありませんが……。
  91. 湯山勇

    ○湯山勇君 つく判の数が減っただけでございますか。
  92. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) これはつまり判の数が減ったということは、仕事の簡捷になったということなんです。少しは簡単になりました。(笑声)
  93. 湯山勇

    ○湯山勇君 どうも大臣の御答弁わかりませんですがね、簡捷になったというのでしたら、もう少し具体的に判の数が減ったというようなことじゃなくて、この面はこういうふうになったからこうだという御説明がなければ、ちょっと納得いきかねますから。
  94. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) つまり、今まで重複して調べておったことが、簡単にいったという意味であります。それをたとえて言って、判の数が減ったと、こういうのです。御了解願います。
  95. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうすると大臣先ほど言われたように重複してやっておったわけですから、従来はそうするとむだをしておった、こういうことになるのじゃございませんか。
  96. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) むだじゃないのです。そのときはよく丁寧にしておったということなんです。参事官からなお詳しく……。(「今のは失言だ、今のわかったら大ごとですよ内閣に」と呼ぶ者あり)
  97. 湯山勇

    ○湯山勇君 また参事官にはゆっくりあとでお尋ねするとして、大臣にだけ先お尋ねいたします。第一、課長が参事官になったというだけの違いですか。(「参事官ならはんこが一つふえた」と呼ぶ者あり)
  98. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) まあこの場合は名前が違ったのですね。しかしながら、全体から見て幾らかの事務簡捷になったと思っております。
  99. 湯山勇

    ○湯山勇君 それを具体的におっしゃっていただきたいわけです。
  100. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 具体的と言っても、事務簡捷になったということ、すなわち、ものがきまるのが早くなったということでございます。
  101. 湯山勇

    ○湯山勇君 これはやはりちょっと補足して説明してもらった方がいいと思いますから。
  102. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) この整理は、資料に差し上げておりますように、二つの型がございます。第一は、課の組織をとらないで、参事官または主任官に課の組織以外のものを所掌せしめる制度にいたした点と、それから室または課を一つの課に統合または吸収したものと二つの種類がございます。第一の方は、たとえば官房でございますが、官房の分課を廃しまして、各参事官にその事務所掌せしめる。あるいは調査局におきましては、広報課を廃しまして、広報主任官にその事務を分掌せしめる。この第一の、官房並びに調査の広報活動というものは、一種のまあ機動性を持ったものでございますので、必ずしも分課の形に固定しないで、やや官房的な、あるいは企画的な仕事でございますので、そういう制度にするのも一つの方法であろう、こういうふうに考えたのであります。第二は、いろいろの課、室、その中には非常に少人数の、まあ形としては小規模な課、室等がございまして、その事務が他の課に一緒になりましても、あるいは一緒になってやる方がいいというものがございますので、その点で、特殊教育室、あるいは学術情報室、あるいは社会教育施設課をそれぞれの関係のある所に統合いたしたわけでございます。
  103. 有馬英二

    理事有馬英二君) 文部大臣は退席されてもよろしいですか。
  104. 湯山勇

    ○湯山勇君 ちょっと待って下さい。今の点で大臣にお聞きしたいですから。今の御説明ですね。これは事務が簡捷化されたという説明ではないように思いますが、どういう点が簡捷化されたか、その点を具体的に一つお述べ願いたいと思います。
  105. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 部屋は幾つ減ったか、いすは幾つ減ったか、予算が幾ら少くて済むのか。
  106. 湯山勇

    ○湯山勇君 それから事務手続がどれだけ簡略化されたかです。
  107. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 人員の節約は、今回の課の整理によって全く起っておりません。これによりまして、事業費等の節約、その課の所掌する固有の事務の事業費というものも節減いたしません。それは、それぞれの統廃合された課の仕事が不要だという意味で統合したものではございませんから、当然でございます。たとえて申しますならば、特殊教育の事業の内容を縮小しよう、こういう考えで統合したのではございませんので、それらの経費は節減されておりません。ただ、これによりまして、たとえて申しますならば、学術課の所掌事務、この学術に関する情報というものを一体として同じ課で分掌することにすれば、相互の連絡もよくつくという意味では、事務能率の向上機構簡素化こういうことに相なるかと存じます。
  108. 湯山勇

    ○湯山勇君 いま少し具体的に、まだ抽象的に過ぎますから……。判こがふえるでしょう。
  109. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 二つの課長の判を押しておったものが、一つの課長になりますれば、これはその意味では簡捷化になると思います。(「参事官の判も要る」と呼ぶ者あり)これは増減はございません。官房の場合には増減はございません。
  110. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういうことじゃなくて、判こはふえるですよ。従来なかったのが、こういう参事官は別として、主任官というのが間に入りますからね。一つふえるでしょう。そういうのはよけいふえるでしょう。
  111. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 先ほど申し上げましたように、広報の主任官は、官房の参事官と同様に事務を分掌いたしますので、その意味では、従来課長の決裁しておりました書類を主任官が決裁いたします。ただ、その他の統廃合されました、たとえば教育用品主任官というものは、その事務は課長同等の職でありますけれども、教育用品の企画に参画をし、そうして特に命ぜられた事務に従事するという職制でございますので、重要な事柄につきましては、局長を直接補佐するという意味では事務手続の上で従来室を存しておいたときと同じと言えます。きわめて軽微な事務につきましては、吸収された課長のところに一元化するわけでございますので、その意味では機構簡素化、あるいは事務簡素化ということに相なるかと思います。
  112. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は今までの御答弁から何ら納得するものを得ませんでした。しかし、それはそれがほんとうだと思うのです。大臣にしても、それから参事官にしても、喜んでこういう改正をやったのでないということは明らかです。それを何とかかんとかおっしゃるから妙なことになるので、きまったことで涙をのんでやったんだとおっしゃることが私は正しいと思います。そこで、大臣に特にお尋ねしたいのは、このことによりまして、省内の職員がです。従来こういう課長のポストがある、こういう室長のポストがある、そういうことがやはり職員としては一つの目標だったと思います。それらのポストがこういうふうにだんだんなくなっていくということは、職員にとっても非常にさびしいことだと思いますが、こういうことから職員の希望が失われてくるというようなことも考えてみなければならないと思いますが、そういう点について大臣は何かお考えをお持ちでしょうか。
  113. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 行政改革をするのであったら、こういう局課の吸収といったようなことじゃなくして、もう少し高次元な、高い眼から見た改革をすべきだと思います。今回の改革は中間的なものと私は了承しておるのであります。
  114. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで今私のお尋ねしておるのは、職員がこれによって将来の希望を失うものがたくさんできる、この次は大体自分は課長につけると思っておる者で、つけなくなる者が少くとも三人はできます。課長補佐なんかというのがなくなるのでしょう。これらの課については。そういうことを考えますと、職員の士気に及ぼす影響がひいては仕事にも影響してくるのじゃないか。これらの職員にさらに希望を持たせる、こういうことについては大臣何かお考えをお持ちでしょうか。
  115. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 今申しました通り、行政の改革をするのであったら、もっと高い考えから改革をし、高い意味でもって、国家行政の能率を上げるとともに、また職員自身にも希望を持たせる方法をとりたいと思っております。今あなたの御指摘がありましたが、これは局課の吸収なり合併なりで、人事には少しも関係はない。名前は変りましたけれども、ここにおられる元課長が参事官という名前になりましたが、待遇等は少しも変っておりませんので、士気には影響は少いと思っております。しかしながらやはり名前の変ったことも士気に影響があるならば、なるべくはそれの少ないようにいたしたい、こういうことで私も事務次官も運営いたしておる次第でございます。
  116. 湯山勇

    ○湯山勇君 次に内容について簡単にお尋ねいたします。それは今特に著るしい例として取り上げられた特殊室の問題ですが、特殊教育については、ずいぶん従来も力を入れて参りましたし、それから各県にも特殊教育担当官を置くようにという指導文部省はしてこられたわけです。そこでそういうのを置いた県は非常に実績が上ってきておる。ところがそういう機運が特殊室の廃止によって、ずいぶん沈滞しかかっておるという事実がございます。これは単にその問題だけじゃなくて、地方財政関係もあると思いますけれども、ともかくもそういうことが下火になりかかった、それから従来の大臣が言っておられた特殊室に、教育室に精神薄弱児とか、盲ろう、これの専門官はあるけれども、身体不自由児の専門官はないので、これもぜひ置かなくちゃならないということを言っておられたのですが、これは今回の組織改正も身体不自由児の専門官を置くというような方針については変りございませんでしょうか。
  117. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 少しも変りございません。
  118. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは、先ほどの府県がこれによって特殊教育に対する熱意を失いかけておる、こういうことに関しても文部大臣は何らかの対策をお立てになる御用意がございますか。
  119. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) この趣旨がよくわかっておりますから、これがために熱意を失うとは存じておりません。
  120. 湯山勇

    ○湯山勇君 先ほどと同じように水かけ論になりますけれども、これは実際府県で特殊教育の担当の主事を置こうということを考えましたし、文教省自身もそういう指導をして参ったのですけれども、今度あたりの実情を見ますと、特にそういう人たちが特殊教育室をつぶさないようにしてもらいたい、これがつぶれると、各府県で交渉するのに非常に困難を感ずるということをうたっておるわけです。だから大臣が御承知なくても、そういう傾向はすでに現れておるわけですから、これは十分御把握になって、そういう点についての強い対策をお立て願いたいと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  121. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 各府県よりの申し出はございませんでしたが、ある特殊教育の団体から申し出がありました。私は特殊教育については、従前よりも一そうこれは拡大したい、現に今回の予算でも、乏しい中であれだけの拡大をしているのだから、今回の統廃合は、決してその事務を軽んずるのじゃないということを、丁重に説明して御納得を得ておるのでございます。
  122. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連して、間もなく大臣はここを退席されると思いますが、この問題についての質疑で、大臣はわれわれ委員がすべて了解したというような気持で退場されては非常に遺憾に思いますので、関連質問を一ついたします。それはあなたの所属される政党並びに内閣は、機構改革ということが看板だったわけです。われわれの党と必ずしも意見は一致しないかもしれませんが、信念に基く抜本的な行政機構改革をやられるならばやられたらいい。それなら私は内容は反対であっても敬意を表します。しかしここで出ているような、失礼だけれども、小児麻痺的な組織いじりはやめてもらいたい。迷惑するのは国民だけです。あなたさっき白状したでしょう。参事官になっただけで月給も変らない、部屋も変らない、どうなるのか結論はわからない。仕事の内容を湯山君がつっ込まれたら、仕事の内容は変りません。参事官、主任官ができたというて、私自身文部省組織がわからなくなって、こんがらかるわけですから、ましてや国民は非常に迷惑すると思う。何も取り柄はないでしょう。斉藤課長の名刺を参事官の名刺に刷り変えたくらいであって、かような私は組織いじりは今後やめてもらいたいし、大臣は閣議で発言して、これをまたもとへ戻してもらいたい。そしてあなたの政府与党において、信念に基いた抜本的な機構改革をわれわれに提示してもらいたい。あるいはそこで意見が対立して、激論をやるようになるかもしれませんが、それはいつもあなたの言われるように、男の男たるゆえんで本懐です。こんなものでも国民の立場からだったら、迷惑千万だと思うのだがどうですか。抜本的な検討をする前にこれを一応もとにもどすお考えはございませんか。今質疑応答を聞いておると、何も取り柄がないのです。こういう発言をせざるを得ないのです。いかがでしょう。
  123. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 行政の改革は今の制度では法律がもとなんです。改革法は本日か明日おそくとも明後日には改革法を出します。それとこの課の併合とあわせまして完備するのでございます。そのとき御討論御批判を願いたいと思います。今できたばかりのこの廃合をこれをやめますということを、ここで言うて帰えるわけには参りません。
  124. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それじゃね、参事官とか主任官という名前を設けたこととですね、従来の課長の部屋をそのままにして置くということは必要ないのじゃないか、それはどういうわけですか。私どうもそこのところはわからんのですがどうですか、文部大臣
  125. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 日本の各官庁のですね、名前、規格を同様に使うためにやっておるのであります。わが文部省としては官房に三つの課があったのが三つの参事官にするということはまあ文部省自身としちゃあ、大した変りはないことであります。
  126. 湯山勇

    ○湯山勇君 大臣はですね、この天引二割かいくらかの廃止、これについては積極的に賛成されたかどうか、閣議において大臣は従来から正義の人だということを、私どもそう思っておりましたけれども、もしこういう国民をだますようなことに大臣が積極的に賛成されたとすれば、私は清瀬文部大臣はあらためて見直おさなくちゃならぬと思うのですが、いかがですか。
  127. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 閣議の賛否の内容は申さないことになっておりまするが、私が発案したことじゃないということだけは申し上げておきます。
  128. 有馬英二

    理事有馬英二君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  129. 有馬英二

    理事有馬英二君) 速記を起して。
  130. 湯山勇

    ○湯山勇君 この問題につきましては、大臣の気持もわからないことはありません。従ってできるだけすみやかに各団体が要望しておるように、そうしてまた、大臣がほんとうに文部省のあなたの部下の職員の気持を一人ずつよく検討すれば、現在齋藤課長が参事官になったというだけでなくて、齋藤課長のもとにおった何十、何百か知りませんけれども、とにかくそれらの職員人事もあわせ考えるときに、このようなやり方は、これはすみやかに改めるべきものだと私ども判断いたしますので、大臣の善処を強く要望して、これで一応終ることにいたします。
  131. 有馬英二

    理事有馬英二君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  132. 有馬英二

    理事有馬英二君) 速記をつけて。
  133. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいま文部省組織に入った関係上、御出席になった後藤財政部長、他の委員会に出席を要求されているにかかわらず時間が延びた点は恐縮に存じます。最後に一点だけお伺いいたしたいと思います。本日の質問の主題は義務制諸学校の統合問題から発したわけでございますが、先ほどお聞きのように、小、中学校の統合の無理ですね、これは市町村の合併そのものにもございます。しかし、それ以上にこの学校というものに対する住民の執着というものは、はかり知れないものがあると私は知らされたわけですが、無理な統合のために、ずいぶんトラブルが起って、いまだ新学期を始めることのできないという学校も新聞に点々と出ております。従ってこの自治庁当局としては、義務教育学校の特殊性、すなわちねらいとしては百パーセントの就学率をねらわなくちゃなりません。それから義務教育なるがゆえに貧富の差を問わず、すべての児童、生徒は対象となるわけでございますから、山間僻地等々を考慮した場合に、たとえば中学校の学級は九学級から十二学級ぐらいが教育的見地から最も理想的であるというような、かようなしゃくし定木で私は小、中学校の統合をはかってはならない。適正規模のものに統合するということには、原則論については私といえどももちろん賛成でございますけれども、先ほど申し上げたような理由で十分慎重にやらなければならないということと、それから今再建団体の認可申請をされている段階ですが、この再建計画を立てるに当って、結局教育予算にしわ寄せをしてきて、その結果として無理な小、中学校の合併をするとか、あるいは学校教育法にもはっきりありますように、小学校と中学校教育目標、それから内容というものは違うわけですが、それを便宜的に校長を兼ねさせるとか、あるいは先ほどから関連して人事問題が出ましたが、男女不平等の扱い方をするとか、あるいはその教員の素質がいかんという立場からでなくて、非常に低い一律的な年令を基準とした無理な取扱いがされるとか、こういう事態があるわけですが、自治庁当局としては、主として地方財政という立場からすべてを御勘案になられるのも、私は一応わからないことはないと思うのでございますが、しかしその結果として、先ほどからお話が出ましたように、非常に実情に沿わない教育軽視、教育のしわ寄せというものがあるわけですから、格段の御配慮をお願いいたしたいと思うわけですが、これに対する御見解と、それから本日現在のところ、再建団体としてあなたの方で認可した件数、それから今申請の出ている件数、それから五月三十日の期限までにどの程度の申請があると予想されておられるか、その点と、それから第三点としては、先ほど文部大臣にちょっと伺いましたが、勧奨退職の場合の六割割増退職金の都道府県条例ですね、これを自治庁の方で削除すべきだという指導を各都道府県になされておるやに私は承わっておるのですが、そういう事実があるのかどうか、こういう条例についてはどういう御見解を持っておられるのか、以上三点だけ承わっておきたいと思います。
  134. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。第一点の統合の問題でありますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたように、これは小学校、中学校それぞれによりまして違いますし、それから地域によっても違うと考えております。従って私どもとしては抽象的には学校統合ということを言っておりますが、それに地域別にある程度のニュアンスをつけなければならないという気持でもって指導をいたしておるのであります。私ども無理はしないようにして、教育の効果の上るような方法でやるという建前でもって指導いたしております。ただ、先ほどもちょっと申し上げましたが、中学の関係は、これは組合でないところの関係も相当ございますし、町村合併関係からして、もっと統合すべき必要があるということを強く申しております。それ以外にはそう強く具体的にこまかくは申しておりません。それもやはり教育委員会と地方団体との間で計画を立てて、十分検討した上で長期的な計画として立てるべきである、かような考え方を持っておるのであります。  第二点の再建団体に関連する問題でありますが、兼務の問題でありますとか、それから性別によるところの整理の問題等につきましては、私どもは別に具体的に指導いたしたことはございません。そういう話を聞いておりまして、あまりひどいじゃないかという注意は、もちろん聞きますれば与えておりますが、私ども積極的にそういう関係指導はいたしておりません。再建団体の指導、再建計画、これは赤字のある団体全般についてでありますが、指導いたします場合には、教育関係は二つに分けまして、一つの問題は消費的経費としての給与費をどう将来持っていくか、これは量の問題です。人員と単価とかけ合せたものが給与費の総額でありますから、給与費の総額をどういうふうに持っていくか、この問題を総額の問題として考えていく建前をとっております。単価を高くするか、人間を多くするかということは、その県の一応筋を通した理屈があれば、それは私ども十分聞いていく考えであります。県によりまして単価を非常に高くして人数を少くしていく県もありますし、単価を少くして人数を多くする県もありまして、二通りございます。どれを中心にするかをはっきりすれば、私は量の問題として考えていく、こういう考え方で、再建計画自体にはそういう考え方をいたしておるのであります。それからもう一つ、消費的経費と申しましたが、投資的経費の学校建築の問題も、やはり再建計画を立てました場合に、学校だけはやはり計画的に私どもは計画の中に入れて考える方がいいじゃないか、かように考えております。合併の条件等もございまするので、他の投資的経費はこれはわからない場合が相当ございますが、学校はあらかじめある程度わかっておりますので、団体の申し出がございますれば、われわれは承認して参るということにいたしております。  それから最後の勧奨退職の場合の、どう指導しておるかということでありますが、これは勧奨退職の場合にも、整理退職と同じ程度の手当を出すというような団体もございます。従ってそういう団体に対してはあまり多過ぎるではないかということは申しておりまするけれども、一般的に勧奨退職の、現在きめている率を下げて出せというようなことは私どもは申しておりません。団体によりまして非常に低く出しているところももちろんございます。これはその団体の財政との関連においてもちろん低くしておるのでございますから、これは仕方がないのでございます。別にきまっておりますものよりも、ちびって出せというようなことは申しておりません。ただ、非常に高い場合がありますので、それは整理退職の場合とは少し区別した方がいいじゃないか、こういう指導はもちろんやっております。
  135. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいまのあなたの御答弁の中に、定員とかあるいは単価ということは自分らは考えていない。給与の総額、トータールというものを問題にしているのだ、こういうお話しでございます。いかにも自治庁当局らしい御発言でございますが、しかしその総額なるものが適正でないというと、いろいろな問題が起ってくるわけですが、いかなる総額が適正であるかというところに私はポイントがあると思う。それがことに再建団体としての指定認可を受けようというような団体の場合は、その総額が非常に押えられる関係上、幾多不都合な事態が起ってくるわけでして、その総額のつかみ方というものを、これについてやはりこの文部省の見解とか、あるいは都道府県教育委員会というものは百パーセントとは申しませんけれども、ある程度これを尊重して傾聴していただかなければ、財政的な立場からばかり、それをつかんで押えているというところに、先ほど話が出ているように、多くのしわ寄せがくるわけで、この点について失礼ですが、もう一段自治庁としては御考慮いただきたいということを私は要望いたしておきます。
  136. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 今、おっしゃいましたことを十分注意いたしたいと思います。  それからもう一つ言い忘れましたが、再建団体の数の問題、現在まで、昨日まで出ております再建の申し込みの団体数は県が十一団体、それから市が四十団体、町村が八十団体。このうちですでに再建計画を議決しておりますもの、三月三十一日までに議決しておりますものが、県が三団体、市が十三団体、それから町村が二十七団体、合せて四十三団体、計画の承認をいたしましたものが県では京都府、一番最初に京都府、それから市では京都市であります。二つだけを今承認をしておりまして、あとは再建債の計画を大蔵省と今、話し合いをしております。従ってこれがきまれば、あと引き続いて四十三団体につきましては、今月中に全部承認をいたしたいと考えております。  それから将来の見通しでございまするが、私ども考えまして県の場合で申しますと、まだ申し出をいたしておりませんもののうちで、再建団体にどうしてもならなければならないほど赤字の多い団体は三団体ぐらいでございます。あとの団体は自由で、別に私どもは強い勧奨はいたしておりません。従って十四、五ぐらいと私ども思っております。それから市は四十団体今申し出がございまするが、百はこすのではないか、かように考えておりますが、市は非常にひより見の団体が多いので、これははっきり見通しがつきません。町村が今八十でございますが、大体二百ないし三百ぐらいではないか、かように考えております。これは議会関係町村も市もおくれております。大体見通しは今申しましたようであります。
  137. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その都道府県の三団体ですね。申請はしていないが、申請しなければ立ち直りができんだろう、すべきものと自治庁当局で認定された三県というのはどこですか。
  138. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 今出ておりますところで、やらなければならぬ団体は秋田県、宮城県、長野県であります。
  139. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私の質問は終ります。   —————————————
  140. 有馬英二

    理事有馬英二君) 本件に関して他に御発言がなければ、学校建築費等に関する補助金の配分に関する件を議題といたします。
  141. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちょっと、私は後藤部長に対しての質問を終ったのであって、管理局長に対してはしり切れトンボになっておりますので、もうちょっと質問さしていただきます。
  142. 有馬英二

    理事有馬英二君) ただいまこういうことで議題を出してしまったのですが……。それに関連をして御発言を願います。
  143. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 局長にもとにかえってお伺いしますが、途中大臣に質問、それから後藤財政部長に質問、それから文部省組織改正の件が入りましたので、管理局長への質問が切れたことになっておるわけですが、従ってごく簡単に一、二伺いますが、あなたのさっきの答弁では、今まで新制中学建築の補助を受けておっても、今度統合するということになれば、新たに本年度計上した特別補助金の三億円の中から補助をするように取り扱う、こういう内容の発言があったと思うのですが、相違ございませんか。
  144. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 御承知のように中学校整備で従来すでに国から国庫補助を受けておりました学校でございましても、これは小学校の方はございませんが、中学校の場合でございますが、そういったものを今回新設、統合、あるいは吸収して統合するような場合には、過年度で国庫補助をもらっておりましても、そういうものは差し引かないという方針でいるわけでございます。ですからただいまお尋ねの通りでございます。
  145. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点は取扱いとしては大へん私はけっこうだと思います。そこで次に伺いますが、私が承知している範囲内で一つそういう例があるのですけれどもね。町村を合併した、そこで中学校を合併するというので建設計画を立てて、それに基いて文部省から補助金の交付を受けた、そして建築は完了した。ところが自治体において勝手に、取り運ぶ過程において、住民の意思というものが正確に反映していなかったために統合反対、もとの中学校をそのままにしておいてほしい、こういうようなケースが起った場合は、その交付された補助金その他については、一般論としてはどういう取扱い方をされますか。私は悪意のものでないことが明白であれば、相当の特別な考慮が払われてしかるべきだ。特に今度の特別助成補助金の三億円の配分の方式等から考える場合に、私は考慮の余地があるのではないかと思うのですが、一応局長の御見解を承わりたいと思います。
  146. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 三十年度以前におきましても、学校統合につきましては特別の措置を講じておったわけでございますが、その場合のことを御説明申し上げますと、学校統合を条件に補助金をもらった、従って新しい学校で生徒数がふえるということで、基準坪数に当然ふえるべき生徒数を乗じて補助金をもらっておる場合に、実際いろいろ部落間のいろいろな事情から、統合が実施できないということが起った場合だと思われますが、その統合計画が実施されないもとの学校の生徒数と、御承知のような中学についてはたとえば一・〇八坪、小学校では〇・九坪というような基準坪数がございますが、それを乗じて出しました補助の資格坪数をもし上回っておらなければ、それはそのまま認めても差しつかえないと思いますが、当然統合をするということで児童数が、たとえば千人のものが二千人にふえるということで、その基準坪数とその生徒数をかけ合してもらっておりまする場合には、統合が実施されません場合には、基準に照らして、これは法律に照らしても非常に超過するわけでございますので、超過する分については補助の基準に違っておりますので、その分については返還いたしてもらうことになっております。基準と生徒数をかけ合して補助の資格坪数を出しまして、それがたまたま少い場合には、この統合が実施されませんでも、認めるつもりでございます。
  147. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最も簡単な場合を常識的に考えるとそういう答弁が出てくると思うのですがね、しかし明年度、明後年度さらに生徒が増加されるという見込みがあれば、そのよって本日に至った経過次第では、私は考慮される余地があると思うのですが、いかがですか。
  148. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 児童の増加につきましては、これは御承知のように、現在の補助予算は増加見込みというものをはっきり取っておりません。すなわち、たとえば翌年度にはこれだけ増加するから、これだけの資格坪数があるというような行き方はとっておりませんので、これはできればそういうことになることが望ましいかとも思いますが、現在の方式からいきますと、そういったたとえば三十二年度には三十人ふえるだろというような見込み数を乗じて資格坪数を策定するという方式は現在採用いたしておりません。   〔理事有馬英二君退席、理事湯山勇君着席〕
  149. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 初中局長かあるいはそれにかわるべき人おりますか。ただいまの局長に対する質疑は一応ここで切って、また後刻会議場でないところでいろいろと承わりたいと思いますが、初中局長または初中局長にかわるべき人に一言聞いておきたいと思いますが、他の委員の御質疑があったらどうぞ続けておって下さい。
  150. 湯山勇

    理事(湯山勇君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  151. 湯山勇

    理事(湯山勇君) 速記を始めて。
  152. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 政務次官に伺いますが、途中からおいでになったから御承知ないかと思いますが、実は今日は公立小、中学校の統合問題について質疑をしたわけです。で、まあいろいろな角度から各委員から質疑がされたわけですが、やはり無理に統合をしたために、入学式ができないとか、あるいは授業が続けられないような紛争を起してやるところもあるので、義務教育であるだけに無理な、この財政的な理由からのみの無理な統廃合というものはやるべきでないということを、自治庁当局並びに文部大臣から先刻まあお伺いしたわけですが、この段階に政務次官にお伺いしたい点は、結局そうなることはですね、教職員のこの定員が少いというのが大きな私は要素になっていると思います。それと中学校をたとえば五学級ぐらいでは、なかなかこの学校の経営がうまくいかない、教科内容の充実も教育内容の充実もできない、こういうような理由からよくこの統合が論ぜられるのでございますが、ここで私はちょっとこの角度を変えてお互いが考えなければならんのではないかと思うんです。それは義務教育でございますから、いかなる山間僻地にも生徒はおります。で、それらの生徒を全部中学校に就学させてやらなければならないわけですから、たとえ五学級、六学級の中学校でも、学校長以下有資格の適当数の教員を配置すれば、私は六学級の中学でりっぱに成り立つと思います。従ってこの九学級か十二学級でなければ中学校は経営できないのだ、規模として適当でないのだというこういう立場からのみ立っておりますが、そういうことを考えることもけっこうですが、その反面教職員の定員を確保して、地域的には、もうこれは四学級、五学級で統合できないというこの学校を持っていかなければならないというようなところには、この教員の配当基準というものを考慮して、四学級五学級の小規模の中学校でもりっぱな学校経営ができるような教員を配置する、こういう私は考慮が欠けているのではないかと思いますが、この点について政務次官の御見解を承わっておきます。
  153. 竹尾弌

    政府委員(竹尾弌君) ごもっともなお尋ねでございまして、私の答弁は少し率直で、あまり正直過ぎるというような非難があるかもしれませんが、正直に私お答え申したいと思っております。ただいま御指摘の教職員の定員確保につきましては、これはまあ矢嶋先生あたりともまあいろいろな意味において御協力をお願いいたしまして、ぜひとも定員を確保したい。しかもそれが定額というようなことにならないように定員だけはぜひ確保いたしたい。こういう私は強い要望を持っておりまして、かつて義務教育費全額国庫負担の法律案が出たときも、これはかつてのことになりますが、私自身といたしましては、これが定員定額というようなことになると大へんだというような気持で、内心はまあすこぶると申しましょうか、まああまり賛成しかねる気持もございましたので、ただいまの半額国庫負担は、その点においては将来どうなるか、これはまあちょっと将来のことはまず将来のことといたしまして、現員現給で実支出の二分の一を負担するということが一番よろしいというような考え方からも、私は定員というものは何と申しましても義務教育の基礎となるものでございますから、ぜひそういう方向にこの教育の面から向けていきたいという強い私は希望を持っておりますし、また機会がありましたならば、そういう面をさらに充実して参りたい、こういう考えを持っております。それで町村合併の当面の問題でございますが、あの法律ができるやさきに、私個人としてはこれは非常に無理が起ってくる場合も予想されるので、これは国会議員といたしまして、私はこの統合の法案には賛成しかねる気持で参りましたのです。しかしこれは法律としてでき上りましたので、でき上るとやはり私の予想していたようなトラブルがとにかく起ってきて、なかなかうまくいかんところがございますので、これは皆さんわれわれ国会議員として痛感をしているところだと思います。それに関連いたしまして、今の中学校の統合問題のごときも、これは九学級ないし十二学級というようなものでなく、六学級程度でやっていけないことはございませんし、またやっているところももちろんあるのですから、そういう点はこれはどの県にもございましょうし、私の県にもございます。そしてりっぱにやっていっております。でありまするから、そういう点には、ただ統合したから一つの中学をやはり作らなければならないというようなことはないのでございますので、実情に即して教育それ自体を進めるという意味合いから、六学級の中学校でもけっこうだ、また、事実やっていっている県がたくさんございますから、そういう点まで実情を勘案いたしまして、われわれ教育の面、文教の面から、その大過なき諸策を講じたいと、こう考えておる次第であります。
  154. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいまの原則的な御答弁はそれで了承しました。それでもう一点政務次官に、ややこれは政治的な御答弁になるかと思いますが、お伺いします。それは中学校を適正規模にして、学校経営の合理化をはかりたいとの立場から、町村合併に伴って中学校の統合をやったと、計画をやって、その計画に基いて国庫補助金を受けて、建築は完了したと、ところが、この住民の意思というものが十分練られていなかった関係上、統合反対というので、統合ができないケースを私は三つほど知っております。そして新聞なんかにも出ておりますが、事実入学式もできないし、父兄は子供を学校にやらない、現在休校状態というのがあるわけですね。こういうケースがあった場合、これは悪意から出たものではないのですが、自治体当局が計画するに当って、その練り方が足りなかったというところに端を発していると思うのですが、ところが管理局長の事務的な答弁としては、いかようになろうとも、補助金を交付したときの条件と違ってくれば、返してもらわなくちゃならないという原則的な答弁は、ごもっともだと思うのですよ。しかしそれは経過からいろいろ考えた場合、かりに返還する場合でも、これを若干年次計画で、その自治体に無理のいかない程度で返還してもらうとか、何とかそこは、悪意から出たものでないのだから、考慮して、そうして子供が一日も早く教育の場において、子供に対する教育が継続されるような取扱い方をされるのが、私は実際的でないかと思うのです。   〔理事湯山勇君退席、理事有馬英二君着席〕 政務次官の御見解を一つ承わりたい。
  155. 竹尾弌

    政府委員(竹尾弌君) ただいまの矢嶋委員のお尋ねと、小林局長の答弁を、私も拝聴いたしておりましたが、法律的にはそういうことになろうかと思いますが、また補助金適正化法という法律もございまして、ただいまのような御答弁になったと思いますけれども、これは私はやはり政治をやっているのでございますから、法律は正しい政治をやるために作られているといっても過言ではないので、悪い法律があれば、これは直すのが当然だと思いまするし、また何か便法があればそういう便法に従って負担を軽からしめるということも、これは私どもの責務であると、こうも感じておりまするので、私も、今矢嶋委員のおっしゃられた例に近いような例を、現実に相談に参っているようなところもございますので、そういう点に対しましては、これは会計検査院や何かいろいろありましょうけれども、適法化してなるべく負担を軽くしたいという気持をわれわれは持っておりますので、そういう具体的な事例に当面したときには、具体的に善処をしたいと、こう考えております。
  156. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後に伺います。それは先ほどこの小、中学校の統合から、地方財政の再建計画、さらに教職員の定員等まで、関連事項として質疑が発展していったわけですが、一応承わっておきたいことは、詳しいことは他日に譲りますが、それは先般私が要求いたしました昭和三十一年度各都道府県予算における教職員の定員増に関する調という資料が本日ここに出ております。一言だけ承わっておくことは、この集計のところに関してでありますが、本年度小学校児童が五十一万人ふえると、従って文部省が当初企図いたしたところは、教員増一万三千を要するという数字を出しました。ところが閣内において折衝の結果、予算案に盛られて出てきたものは七千五百人の増員でございました。ところがここに三十一年三月調という名のもとに出た資料によりますと、増員が四千四十八と出ているわけですが、この数字と七千五百との数字の関係はいかように解釈したらよろしいのですか。それだけ承わっておいて、いずれ次の機会に、これらの点についてはさらにお伺いしたいと思います。それだけお答え願いたい。
  157. 安嶋弥

    説明員(安嶋弥君) お答えいたします。七千五百人と申します数字は、その義務教育国庫負担金の予算の積算の基礎になっている数字でございます。これは、三十年度の五月一日現在の実員に対する増加分であります。もちろん、七千五百人は、政令府県につきましては、いわゆる政令計算で増加を推定いたしております。それから先ほどお配りいたしましたこの資料は、各都道府県が、これは三月一日現在の調査でございまして、定例議会議案として決定したものについて文部省調査したものでございます。でございますから、この数字は各府県が独自に予算として編成した数字でございます。でございますから、七千五百人の国庫負担金の予算とは直接に関係はないのでございます。
  158. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この三月一日調べといいますが、都道府県によるというと、昭和三十一年度の本格的な予算の編成方針のきまっていない都道府県もあったでしょうから、私が当初可能な範囲内で出していただきたいと要望いたしましたので、それに沿って出たものと考えます。従ってこの数字というものは、相当大きく変る可能性のある数字かと思いますが、どういうふうにお考えですか。
  159. 安嶋弥

    説明員(安嶋弥君) 今矢嶋先生御指摘になりましたように、多少は動くかと思いますが、具体的に申し上げますと、兵庫県の数字、それから福岡県の数字等がそれでございます。でございますから、この二県等につきましては、一応現段階できまっております数字をここに掲げてあるのでございます。
  160. 湯山勇

    ○湯山勇君 今、教員定数の問題が出ておりますから、私は簡単に政務次官にお願いいたしたいと思います。それは今回再建整備法の適用を受けようとする市の中に、教員が少いために、市独自の財源で置いておる所がたくさんございます。ところが、この適用を受けるために、そういう市の予算でもって置いておる教員というものは認めないということになるので、非常に困っておる市が相当数私の知っておるのでもあるわけですが、これは、県の予算に教員の定数というものは関係を持って参りますし、その県の組んだものでは市はとてもまかないきれない、そういうところから、そういう赤字の中で、教育のために犠牲を払って市で教員を置いておるという状態なので、そういう状態ですから、この市が置いておる教員というものは、どうしてもはずせないはずだと思うのです。ところが、今のように再建整備の適用を受けるとなれば、それを切らなければならないというので、非常に困っておるのですが、こういう問題について何か次官の方で御考慮願えるでしょうか。自治庁の方と交渉してですね。
  161. 竹尾弌

    政府委員(竹尾弌君) 私もそういう事例を聞いておりますので、こういうことは、これはもう教育の原則に照して非常に変則的なものでありますので、あるいは考え方によっては、こういうことが果して法律的に許されるかどうかというようなことも考えられないことはないと思うので、これは何とか正常に復さなくちゃいかぬという考えを私自身は持っております。ただ、昨今少し多忙のために、そこまでまだ具体的に折衝する段階にまではなっておりませんけれども、よく大臣とも御相談をいたしまして、その必要はもちろん起ると思いますが、自治庁等と折衝いたしまして、こうした変則的な現象は早く解消したい、こう考えておる次第であります。
  162. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の点につきましては、先ほど自治庁の方の説明がありましたように、適用を受けようとする市町村は相当急いでおる状態でございますから、ぜひ一つ早急にお願い申し上げたいと思います。それから、次に先般新聞に発表になったところを見ますと、学校建築補助に関して文部省は新しい方針で臨む、それは重点的な配分をしていくのであって、従来のように薄めた配分はしないのだ、従って、従来は年間約八千件が適用を受けておったけれども、今年度からはその半数くらいになるというような意味のことが出ておりましたが、この点について文部省としてはどういうふうに措置されようとしておるのか、まず御説明をいただきたいと思います。
  163. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 本年度の予算本成立いたしましたので、この公立文教施設整備計画につきまして基本的な方針を作ったのでございます。しかし、前年度と特にそれほど大きな変化を見た点はございません。大体は、前年度の基本的な方針をそのまま踏襲していく、しかし、今までの事務執行して参りました経験から、改めるべきものを幾つか改めたいということでございまして、まず、第一に、従来非常に各府県ともでございますが、多数の申請がございますために、その補助金のワクを非常に多くの学校に配分いたしますために、たとえば、一校当りの補助金が金額としては少くなる、たとえば百坪の建築をするものについて五十坪分の補助しかできない、あるいは四十坪分の補助しかできないというところが相当ございます。こういうことになりますと、それ以外の補助に当らない部分につきましては、それぞれ町村が自分の予算で支出をしなければならぬということになります関係上、町村財政が非常に窮屈になってくるということから、自治庁等からもなるべく補助金の充足率を高めてもらいたいというのが要望の一つでございましたので、実は三十年度もこの充足率を極力高めてもらいたいということで、大体まあ少くとも七〇%ぐらいの充足率を考えておったのでございますが、本年度はできればそれ以上、八〇%程度まで引き上げてもらいたいというような考えを持っております。一面、これは二番目になりますが、できるだけ微量の補助配分をやめてもらいたい、たとえば、一教室にも当らないようなものについての補助予算を出すというようなことは、できるだけ本年度以降はやめてもらいたい。それからこれは御承知でございますが、町村合併あるいは集団的な住宅の建設地のそういった国の施策に関係のあるような学校建築については、できるだけ優先的に補助予算をみてもらいたい、こういうような点について従来とやや変えて、重点的に配分をするという方針をとったわけでございます。
  164. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういたしますと、大体従来八千件あったものが半数ぐらいになりますか。
  165. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) ただいま御指摘の八千という数字は、おそらくこれは申請の件数であろうと思います。実際に補助をいたします件数は五千ないし六千、五千五、六百の見当ではないかと思っております。今度この新しい配分の方針は、充足率を高めて参りますと、おそらく五千件以下になるのじゃなかろうか。しかし、これは各府県からの申請の実際の状況を調べてみないと正確にはお答え申し上げかねることであります。
  166. 湯山勇

    ○湯山勇君 私もその方針には非常に賛成でございますが、ただ、そこで問題になりますのは、不足坪数の計算、補助対象になる……その局長の言われたように、一教室にも足りないようなのはやめてもらいたい、これもよくわかりますが、しかし、実際は校舎全体が危険校舎である。ただ他の校舎の中に新しいの古いのがありまして、新しいのとの関連においてあの基準に基いて計算すると二教室、あるいは一教室そこそこになるけれども、実際はそれ以上、あるいは六教室、八教室、そういうものがどうしてもこれを建て直さなくちゃならない、こういう事態もたくさんあると思うのですが、そういうものについては特別な御配慮がなされるのでございましょうか。
  167. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) この不足坪数と申しますか、補助金資格坪数の計算につきましては、たとえば、ただいま御指摘のございましたような危険校舎の改築に当っての坪数の計算につきましては、現在持っている校舎の坪数と、すなわち、保有坪数とそれから危険校舎の改築についての児童一人、あるいは生徒一人の基準坪数を生徒数との相乗積の数字と比較いたしまして、いずれか小なるものというのを対象にいたしておりますが、従って、たとえば、六教室ないし八教室について危険校舎の改築をするという場合に、従来の保有坪数の関係から資格坪数としては比較的少くても、実際工事をおやりになる部分が相当大きければ、たとえば、六教室ないし八教室おやりになるという場合には、五教室ないし七教室について補助が出るということは相当あろうと思っております。
  168. 湯山勇

    ○湯山勇君 それから今の場合でございますね。従来、危険校舎に該当してない校舎の坪数の計算に当って、どういうふうにとるかというのが非常に問題になると思います。たとえば廊下とか、そういうものの見方が、これは学校の建て方によって非常に違っておりますから問題なので、それらの計算の基礎をこういうふうな重点的におやりになるとすれば、変えていく必要があるのじゃないかと私は思うのですが、たとえば、渡り廊下で屋根があって腰板があれば、これは坪数に入れる、こういう例もあるようですが、その点については何かこの際お考えになることがないでしょうか。
  169. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 危険校舎の坪数の取り方でございますが、これは御承知のように、従来、耐力度調査をやり、また校舎の保有坪数につきましては、年々五月一日現在の施設の実態調査をやっております。その実態調査をやります、また耐力度調査をやった点数換算をやったときの調査方法でございますが、たとえば、中学校等で自転車で通ってくる場合の自転車の置場を、これを校舎の一部に加えたいというようなことを従来やっておりましたものを、さしかけのような場合には、こういうものは工作物として取り扱って、校舎に入れないというような、いろいろな最近改正をやっております。ただし、ただいま御指摘のような渡り廊下、校舎内の廊下はもちろんでございますけれども、渡り廊下等につきましては、従来、これはやはり校舎の保有坪数の一部として計算しておるわけでございまして、特別にその校舎の構造から渡り廊下が非常に多いというところはその点は気の毒でございますが、現在予算の少い現状から申しますと、そういう点、特に除外して、それに対して配分をするということはなかなか困難であろうと思っております。
  170. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは基準を引き下げても、実際の教室なら教室面積とか、そういう使用する面ということにした方が、私、合理的じゃないかと思うのです。それにはそれに伴う問題もあるかと思いますけれども、この際そういうふうにして実際に困っておるところをみていくというような改正が必要ではないかと、私は実際の状態を見て思うのですけれども、そういう検討をなされる御用意はないでしょうか。
  171. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 従来、ことにこの基準が、応急最低基準でやりました場合には、そういった低い基準のために、非常に改築等に無理があったのでございますが、先年の基準改正によりまして、かなりこの基準が上って参りましたので、もちろん、現在でも十分ではございませんけれども、まあその点多少の余裕が出てきおると思っております。で、先ほどお答えの中にも申し上げました通り、年々今までの予算配分の実績から多少の改正はしておりますので、ただいま御指摘のございましたような点につきましては、将来一そう検討いたしたいと思っております。
  172. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連して、政務次官に伺いたいと思いますが、ただいま湯山委員が、文教施設補助金の配分について伺っているわけですが、それに関連して伺いたいのですが、従来中学校の屋内体操場ですね、例の屋体、これは政務次官が万々御承知の通り、寒冷積雪湿潤地帯だけに補助があったわけですね。で、ある段階にはそういうことも認めなくちゃならんと思うのですが、今のこの新教育をやるに当って、講堂兼屋内体操場というものは、これは雪が降ろうが、雨が降ろうが、寒かろうが、暑かろうが、ぜひ中学校に私は必要なものだと思うのです。しかも屋内体操場を作りますと、それが集会場にもなるし、社会教育の場としても利用価値があるのです。従って、私は従来、寒冷積雪湿潤地帯だけにこの屋内体操場を補助しておったのを、この段階にきては、全国、暖地に対しても拡大さるべきだ。ことに鹿児島とか宮崎みたいな、年々台風の来るところは、梅雨の時期などは、露天の運動場なんか全く使えないわけですから、ぜひともこれは必要なものだと思うのですが、本年度屋体補助金として四億二千三百四十六万円可決されているわけですがね。これらの配分に当っても、私は新しい角度からなさるべきだと思うのですが、政務次官の御所見を承わりたい。
  173. 竹尾弌

    政府委員(竹尾弌君) これもお説の通りでございまして、私もたびたびこの点につきましては、寒いところ、積雪寒冷地帯のみならず、暖地にもという、もちろん陳情も受けましたし、そういう点を非常に強く要求して参りましたので、まことにその点においては御同感でございますので、そうした御要望に応ずるように処置をしたいという考えを非常に強く持っておるのでございますが。ただ、ことしのおっしゃられました四億数千万円の予算の中で、もちろんワクは取り除きまして、御承知のように暖地にも金を差し上げるということにはなりましたけれども、やはり重点は、積雪寒冷地帯の方に置いておるのでございますので、そういう点も、できるだけ暖地にもより多く差し上げられるように一つ操作をしたいという考えはあるのでございます。  それからついででこれは蛇足かも存じませんが、先ほど湯山先生のお導ねの廊下等々ですね。これもずいぶん不合理なやり方であったんで、廊下とか渡り廊下、便所などはこれは教室じゃないのですから、そういう点もこれはどうも教室と認めないようにさせなければいかんと思っておりますので、そういう点も含めましてできるだけ善処したいと思っております。
  174. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいまの政務次官の答弁ですね。ことしの四億二千万円の配分に当っては、この前も局長ちょっと触れたのですが、暖地にも補助の配分をする、しかしその内容はまだきまっていない。こういうことで局長明言を避けておったのですが、ことに多雨地なんかというのは必要なんですから、それでことしの配分に当っても分配闘争にならないように心がけなくちゃならないのですが、必要性という立場からしかるべき配分をやっていただきたいし、それから少くとも来年度の予算要求に当っては大幅に暖地の中学校に対してもそういう補助が出るように要求を、さらに国会に提案ができるように、私は清瀬、竹尾文政としては努力をされるべきだと思うのです。そうでないと鳩山内閣は暖地の中学校には屋体は必要でないという見解のもとに立っているというような誤解を受けないとも限りませんので、その点要望しておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。御期待に沿い得ましょうか。
  175. 竹尾弌

    政府委員(竹尾弌君) できるだけ一つやってみます。最初の予算の編成期も、そろそろ夏になりますから、間近になっておりますので、最初私どもは御要求に応じてずいぶんやるのですけれども、なかなか結果においては御期待に沿えないような結果が出て参りますが、できるだけやりたいと思っております。
  176. 湯山勇

    ○湯山勇君 これも次官にお尋ねした方がいいかと思うのですが、今の文教施策に対する補助の方の方針はよくわかりましたが、これを重点的にやっていくということになりますと、やはり市町村の起債との関連を持ってくると思います。これに対して自治庁との間に何らかの了解がなされておりますでしょうか。と申しますのは、特に再建整備適用を受ける団体等におきましては、先ほど局長が言われたように、実際建て直しをしなければならない坪数は非常に大きい。しかし補助対象になる坪数はその何分の一にしか過ぎない。こういう場合に自治庁の方でその立てかえさえも認めない。もちろんそれに対する起債も認めないというような事態が起るのではないかというので非常に心配しておるのですが、その点についてはどんなふうになっておりますでしょうか。
  177. 竹尾弌

    政府委員(竹尾弌君) 補足的な説明はまた局長の方からいたしたいと思いますが、今この点につきましては、再三各地から御要望もございまして、特にやはり五大都市を初め市街地に、御承知のように児童生徒数が非常に激増いたしますので、なかなか思うように正規の補助金だけではできないから、起債を一つ心配してくれというような要望がたくさんございまして、これは自治庁と文部省の間に一応の取りきめができたというようなところまではいってないと思いますが、要望があった場合には私直接大蔵省の理財局長あたりまで談判をいたしまして、単独起債を認めさせるとか、あるいはその他の方法を講じて参った例はずいぶん私自身としてもございますが、この点につきましてもこういうことを申し上げてはどうかと思いますが、文部省と自治庁の考え方というのは、特に文教の面では食い違いを生ずる面が相当多いので、やはり実際問題としては苦労いたしますけれども、何とかそういう方面につきましてもっと簡単に起債のできるように方法を講じたいと思っております。なお詳しいことは局長から答弁いたします。
  178. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 文部省といたしましては起債の、自治庁との折衝に当りましてはまず第一に総ワクを、学校建物関係の総ワクを減らさないように従来努力をしております。と申しますのは、たとえば三十年度も二十九年度に比して多少減ってきているということがございますので、もちろんこの補助に見合ういわゆる補助事業分が三十年度の予算に比べて三十一年度は多少減っておりますから、その分が減るのはいたし方ないと思いますけれども、単独事業分等につきましては、できるだけこれを減らさないように注文をいたしております。それから起債の許可の限度という問題もございます。これはたとえば従来は町村で言いますと、七十万円というものを、ことしから百万円に上げるというようなうわさも聞いておりますが、そういった点について、あまり酷にならないようにしてもらいたいというような注文をいたしております。  それからこれは年々、最近数年起っておるのでございますが、先ほど政務次官のお答えの中にもございましたように、ことに都市については非常な児童増がございますのでその児童増については特別の、いわゆる普通の起債でなしに特別の起債を認めてもらうようにという交渉を、従来いたしておるわけでございまして、去る三月の末にも約九億何がしの児童増の対策費を認めてもらったような次第でございます。この自治庁関係の、学校関係の起債につきましても、今後できるだけ文部省の方からもお願いをし、また相談をして参りたいと思います。
  179. 湯山勇

    ○湯山勇君 もう一点。今のような場合に、起債も限度があってどうにもならない。そこで借入金等によって今のような補助対象にならない分の改築もやっていこうというような場合に、そういう予算が含まれておれば自治庁の方でこれを削られるというようなことがあるのじゃないかと思うのですが、そういう点についての何かお話し合いはあったでしょうか。
  180. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 私どもそのいわゆる普通の起債ではない、まあ一時借入金、たとえば市中銀行等から借り入れるというものについて、特に自治庁がこれを禁止しているというようなことは現在まだ聞いておりません。ただ、この借り入れの内容等について多少自治庁の監督的な点からあるいは意見があるかもしれませんが、そういう点についてはよく相談をいたしたいと思います。現在まで私どもといたしましては聞いておりません。
  181. 湯山勇

    ○湯山勇君 今私の申し上げているのは、今局長のおっしゃったようなケースよりも、むしろ再建整備の適用を受けようとする団体についてです。そういう団体ですと、借入金自体を自治庁の方で認めないから、そういうものが入っておればこれじゃ認めるわけにいかないということになって、結局は四教室要るのだけれども補助対象が二教室だから二教室でとめなくちゃならないというようなことになって、結局授業にも事欠く、しかも再建整備を受けるということになれば、どうにもそれをのがれる道がないというような事態が、私は今後相当発生すると思うのですが、そういうことに対して何かお話し合いになっておられるか。対策がおありになるか、その点一つお伺いしたいと思います。
  182. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 最近の事例で申しますと、従来たとえば国の補助の予算のワクが少いために、その補助の恩恵にあずからない、また、起債についてもなかなかこれもワクがありまして借りられないということから、地方によっては市町村が主になりまして学校施設組合というものを作って金を借りるというような事例がございます。しかし、これは一種のやみの融資といいますか金融でございますので、自治庁ではこれは将来なるべく縮小したい。そのために特別の施設組合解消のための融資をするというような方法をとっておるようでございますが、それ以外に再建整備のために再建団体として承認されておるために、学校建築の一時借入金を特に制限しておるというようなところは、まだ私ども聞いておりませんが、もしそういう点がございますれば、文部省としてもよく自治庁と話し合いをしてみたいと思っております。
  183. 有馬英二

    理事有馬英二君) ほかに御質疑がなければ、本日はこの程度で散会してよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 有馬英二

    理事有馬英二君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後三時四十一分散会