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1956-04-10 第24回国会 参議院 文教委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十日(火曜日)    午後二時二十四分開会   ―――――――――――――   委員異動 三月三十日委員最上英子君、鶴見祐輔 君及び吉田萬次辞任につき、その補 欠として木村守江君、堀木鎌三君及び 小野義夫君を議長において指名した。 四月三日委員小野義夫辞任につき、 その補欠として吉田萬次君を議長にお いて指名した。 四月四日委員矢嶋三義君及び安部キミ 子君辞任につき、その補欠として岡三 郎君及び加瀬完君を議長において指名 した。 四月五日委員岡三郎君及び加瀬完君辞 任につき、その補欠として矢嶋三義君 及び安部キミ子君を議長において指名 した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     飯島連次郎君    理 事            有馬 英二君            吉田 萬次君            湯山  勇君    委員            川口爲之助君            剱木 亨弘君            中川 幸平君            秋山 長造君            安部キミ子君            荒木正三郎君            村尾 重雄君            矢嶋 三義君            加賀山之雄君            高橋 道男君            竹下 豐次君   国務大臣    文 部 大 臣 清瀬 一郎君   政府委員    人事院給与局長 瀧本 忠男君    自治庁行政部長 小林與三次君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       工樂 英司君   説明員    参事官    (内閣総理大臣    官房審議兼公務    員制度調査室) 尾崎 朝實君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選地方教育行政組織及び運営に関す  る法律案内閣送付予備審査) ○地方教育行政組織及び運営に関す  る法律施行に伴う関係法律整理  に関する法律案内閣送付予備審  査) ○教科書法案内閣送付予備審査) ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (教職員給与問題に関する件)  (夜間課程を置く高等学校における  学校給食に関する件)  (公立養護学校整備特別措置に関す  る件)  (盲学校ろう学校及び養護学校へ  の就学奨励に関する法律の一部改正  に関する件)   ―――――――――――――
  2. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) これより文教委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  三月三十日最上英子君、鶴見祐輔君、吉田萬次君が委員辞任され、その補欠として木村守江君、堀木鎌三君、小野義夫君が選任されました。四月三日小野義夫君が辞任されまして、その補欠として吉田萬次君が選任されました。四月四日矢嶋三義君、安部キミ子君が辞任され、その補欠として岡三郎君、加瀬完君が選任されました。四月五日岡三郎君、加瀬完君が辞任され、その補欠として矢嶋三義君、安部キミ子君が選任されました。以上であります。  次に、理事吉田萬次君の委員辞任に伴う理事補欠互選を行います。互選方法は、先例により委員長指名によりたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) 御異議ないと認めます。委員長理事吉田萬次君を指名いたします。  なほ、臨時教育制度審議会設置法案についての内閣委員会との連合審査は、去る四月四日をもって終了いたしました。今後は内閣委員会で審査されますが、内閣委員長文教委員委員外発言について了承しておりますから、念のため御報告をいたしておきます。  なお、本日の理事打合会についての御報告は時間の都合上、後に回すことにいたします。   ―――――――――――――
  4. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) 地方教育行政組織及び運営に関する法律案、及び地方教育行政組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案を一括して議題といたします。  政府から提案理由説明を求めます。
  5. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今回、政府から提出いたしました地方教育行政組織及び運営に関する法律案について、提案趣旨を御説明申し上げます。  この法案は、現在の教育委員会制度改正いたしますとともに、地方公共団体における教育行政組織運営諸種改善を加えようとするものであります。  御承知のごとく、地方公共団体における教育事務は、その一部を除き教育委員会が担当しているのであります。この教育委員会は、まず昭和二十三年秋都道府県五大市及び若干の市町村に設置され、昭和二十五年秋若干の市に設置された後昭和二十七年秋に至って全国すべての市町村に置かれたのでありまして、いわゆる六・三制の実施教科内容改善社会教育振興等に漸次その成果を上げて参ったのであります。  しかしながら、教育委員会制度は、占領下早急の間に他の諸施策とともに、採用、実施せられた制度でもあり、検討を加えなければならない問題を多数包蔵していたものと存ずるのであります。昭和二十七年全市町村教育委員会が設置された後も、教育委員会制度に対する改正意見が、公けの機関やその他の機関または団体からいろいろと述べられて参った次第であります。  政府は、かねてより、これら諸種の見解を慎重に研究し、教育委員会実情をもいろいろと検討をいたして参りましたが、この際現行制度を再検討すべきであると考え、現行制度のとるべき点はとり、改むべき点は改め、加えるべき事項を付加して、新たな立法を行うこととし、この法案を作成いたしたものであります。  この法律案提出いたしますについて、特に考慮を払いました重点は、次の二点であります。  第一に、地方公共団体における教育行政一般行政との調和を進めるとともに、教育政治的中立教育行政の安定を確保することを目標といたしました。  わが国教育は、地方公共団体努力に負うところがきわめて大きいのであります。すなわち、国立及び私立の学校を除いて、小中学校義務教育はもとより、高等学校、幼稚園、さらには大学に至るまで、市町村都道府県の手によって維持経営されておるのでありまするし、青少年教育婦人教育を初め、各般の社会教育もそれらの地方公共団体の手によって推進されているのであります。従って、わが国教育振興をはかりますためには、これらの地方団体における教育行政運営が中正かつ円滑に行われることが必要であります。  知事市町村長は、申すまでもなく、民主的な公選による機関でありますが、本来独任制でありますから、教育のごとく中立要求せられる事務については、別に合議制機関をもって事務を担当せしめる必要があります。  しかしてすでに述べましたごとく、教育振興のために、わけても義務教育の普及をはかりますために、教育に関する事務の相当な部分を市町村が担当しているのでありまして、学校その他の教育施設整備だけでなく、学校運営を管理、助成し、教職員指導に努め、社会教育振興をはかる上には、この市町村に期待するところ大きいものがあります。その上、町村合併の進展の結果、市町村行政能力は強化されようとしているのでありますから、この法律案は、都道府県のみならず、すべての市町村合議体執行機関として教育委員会を存置することといたしました。  なお、従来の運営の実際にかんがみ、その組織及び権限に必要な改正を加えたのであります。すなわち、委員選任方法は、直接公選制度を改め、地方公共団体の長が議会の同意を得て任命すること等の措置を講ずるとともに、教育委員会知事市町村長との間の権限調整を加えることといたしたのであります。すなわち、いわゆる予算案条例案の二本建制度を廃止しますとともに、教育財産取得及び処分権限教育事務に係る契約の締結の権限、収入又は支出の命令の権限を、知事市町村長に移すことといたして、両者の関係調整し、地方公共団体における教育行政の円滑な運営とその振興をはかりたい所存であります。  第二に、この法案重点といたします点は、国、都道府県市町村一体としての教育行政制度を樹立しようということであります。  わが国教育は、前にも述べました通り都道府県市町村個々地方団体努力に負うているのでありますが、それらは決して個々独自のものではなく、全体として国の教育を構成すべきものでありますから、まずもって、国の教育としての必要な水準を保持するものであることの必要であることは、言うまでもありません。さらにまた、各都道府県ごとに、府県内の教育運営調整がはかられなければならないことも、もちろんであります。この点を考慮いたしまして、現行教育委員会法が、個々地方団体ごと教育事務処理を強調しているにとどまるのに対し、この法案では次のごとく是正いたしておるのであります。  すなわち、小中学校教職員等人事権都道府県教育委員会が行使することとしたのであります。これは、一つには、これらの教職員適正配置人事の交流を促進するということを考慮したものであります。さらに、給与負担団体任命権者の属する団体とを一致させることとしたものであります。御承知通り教育委員会市町村に設置されてから、都道府県内の教職員適正配置支障が生じたことは、広く各方面から指摘されたところであります。このことは、市町村の設置する学校でありましても、個々市町村ごと人事を管理することが無理であることの証左でありまするし、また、現在都道府県小中学校教職員給与負担いたしておりますことも、市町村の担当する義務教育等振興をはかる上に、都道府県の協力が必要であることを物語っているものであります。  今回、小中学校等教職員任命権都道府県委員会に担当させようとしますことは、これらの学校運営を円滑に行う趣旨にほかなりません。しかしながら、都道府県教育委員会が単独でこの任命権を行使いたすことは、事実上困難でございますので、市町村教育委員会の内申を待って行うことといたすとともに、市町村立学校における教育当該市町村事業であること、これらの教職員当該市町村に属する職員であるとすることからして、市町村教育委員会は、これらの教職員の服務の監督を行い、その職務の遂行の適正を期すべきものといたしておるのであります。  このほか、文部大臣及び教育委員会相互の間の関係を次のように考えておるのでございます。  現行制度のもとにおきましては、文部大臣都道府県委員会は、都道府県または市町村に対して技術的な指導、助言または勧告の範囲を越えることはできないこととされているのであります。このような現状を改めるため、文部大臣都道府県教育委員会の積極的な指導的地位を明らかにいたしますとともに、文部大臣は、教育委員会地方公共団体の長の事務処理に、法令違反等の事由がある場合には、必要な是正措置要求して、教育行政適正運営を確保いたしたい所存であります。  また、教育長任命につきまして、文部大臣なり、都道府県教育委員会の承認を要することといたしたゆえんのものは、教育委員会における教育長地位に照らし、これにより教育行政の国、都道府県市町村一体としての運営を期したいと考えたからにほかなりません。  以上が、この法案の基本的な考え方となっているものであります。  なお、最後に、五大市に対する特例と、この法律施行期日について簡単に付言をいたします。五大市に対しましては、この法律で、教職員人事権を大幅に法定委任いたしましたが、それは五大市の規模と能力にかんがみ、実情に即させようとする意図に出たものであります。  また、現行制度からの移行を円滑ならしめるため、本法の施行期日を本年十月一日といたしました。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同賜わらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま一括議題となりました地方教育行政組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案、これは技術的のことばかりですけれども、一言説明さしていただきます。  ただいま、地方教育行政組織及び運営に関する法律案提案理由とその趣旨を御説明申し上げました通り、この法案によって、教育委員会委員選任方法は、公選制によらず任命制に改められ、また市町村立学校教職員任命権は、都道府県教育委員会に属せしめられることとなり、さらに教育長選任方法に変更が加えられましたほか、教育財産取得及び処分地方公共団体の長が行うものとすること、文部大臣及び教育委員会相互関係を明らかにし、指導機能を強化するとともに、文部大臣教育に対する責任を明確にすること等の措置がとられることになりまするので、これに関連しまして、多数の関係法律との調整をはかる必要が生ずるのでございます。ここにそれら所要規定を取りまとめて、この法律案提出することにいたしました。  以上、簡単でございまするが、この法案提案理由を御説明申し上げました。何とぞ、地方教育行政組織及び運営に関する法律案とあわせ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  6. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) 本件補足説明その他は後日に譲ります。
  7. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) 次に教科書法案議題といたします。政府から提案理由説明を求めます。
  8. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今回、政府から提出いたしました教科書法案について、提案趣旨を御説明申し上げます。  教科書は、小学校、中学校高等学校等において、教科の主たる教材として教授の用に供せられるものでありますので、その学校教育において占める地位はきわめて重要であり、次代国民の育成の上に多大の影響力を有するものであることは、多言を要しないところと存じます。従ってその内容適正であることを要するのはもとより、その採択発行供給が公正かつ的確に行われ、しかも価格はできる限り低廉であることが要請せられるのであります。  わが国現行教科書制度は、御承知通り、終戦後の教育改革の一環として実施されたもので、従前国定制度検定制度に切りかえたものであります。しかるに、この制度の発足がきわめて早急の間に行われた事情もありまして、立法措置が不十分であり、制度的にも不備を免れなかったのであります。すなわち、現行教科書発行に関する臨時措置法は、戦後の用紙その他の経済事情の不安定な時期に発行を迅速確実ならしめるために制定されたものであり、その名称の示す通り臨時立法の形式をとっておるのであります。また検定採択等についても政令、省令等で各個別に規定するにすぎないのであります。  しかして、この制度実施状況を見まするに、用紙その他の事情が安定するに伴い、発行者の数及び検定申請の数は逐年増加し、ひいて教科書種類が多くなって参りました。このことは一面教科書改善に資するところも多かったのでありますが、他面、法的不備と相待って、教科書検定採択発行等の各面におきまして各種の問題点と、これに対する批判を生むに至ったのであります。すなわち検定の面においては、検定機構の不整備検定の粗漏、不適正が指摘せられ、採択の面においては、発行者間の激甚な競争の結果、種々不公正な事態を誘発していることが批判されたごときであります。また教科書についての家庭負担をできる限り軽減すべきであるとの要望も一方に高まって参ったのであります。以上申し述べましたような状況にかんがみ、政府はかねてより、現行教科書制度について早急に改善措置を講ずべく検討いたして参ったのでありますが、教科書学校教育上占める重要な地位にかんがみまして、この問題の取扱いには特に慎重を期し、関係方面意見も開きました上、この法案を作成するに至ったのであります。  次にこの法案の要点とするところを申し上げます。  第一は、文部大臣による検定制度を維持いたしまするとともに、検定の公正かつ厳密を期するため、その機構及び方法整備改善したことであります。検定機構につきましては、教科書検定審議会を拡充強化するとともに、別途教科書調査職員文部省に置くこととし、調査機能の向上を期しているのであります。また、従来文部省令にゆだねられておりました検定の手続及び方法整備して、これをこの法案に明確に規定しましたほか、検定有効期間制度を設けることといたしました。  第二に、教科書採択に関する規定整備して適正採択方式を確立したことであります。  従来採択に関する法律規定不備でありましたため、実際上採択方式は区々にわたり、責任の所在も不明確になるきらいがありましたが、この法案により、学校の種別及び設置者の別に従い、それぞれ適正採択方式を明確に規定することといたしました。特に市町村立小中学校につきましては、特別の採択方式を設けたのであります。すなわち郡、市またはこれらの区域を合せた地域基準として採択地区を設け、その地区ごとに置かれる教科書選定協議会選定により、その地区実情に即し学年ごとに同一種類教科書適正採択せられるようにいたしたのであります。また、従来の臨時的な展示会制度を改め、常設の教科書研究施設を置き、教科書比較検討の機会を十分に与えようとしているのであります。  なお採択に関する不公正行為につきましては、発行者または供給業者採択関係者等に対する利益の供与、採択関係者等組織的な利用等採択の公正を誤まらせるおそれのある行為を禁止し、その違反行為に対しては、一般刑法の制裁のあるのはもちろんでありますが、本法案におきましては別に登録取り消し等を行い得ることを規定して、従来とかくの批判のあったこの種の行為の排除を期しておるのであります。  第三に、発行及び供給の確実、円滑を期するため、所要規定整備したことであります。教科書発行者並びにいわゆる特約供給業者につきまして、発行及び供給事業重要性公共性にかんがみ、新たに登録制度を設け、これらの業者に対する規制監督措置規定いたしました。また、発行者登録教科書供給業者教科書発行供給に関する義務相互関係を明らかに規定して、確実で迅速な発行供給を期しようといたしました。なお登録取り消し定価認可基準等教科書発行供給に関する重要事項につき、文部大臣の諮問に応じて調査審議に当らしめるため、文部省教科書発行審議会を置くことといたしたのであります。  第四に、教科書価格の問題についてであります。教科書学校教育上必要欠くべからざるものである点からいたしまして、その価格適正化をはかり家庭負担を軽減すべきことはもちろんのことであります。このたびの立法に当りましても、この観点から発行者の過度の宣伝行為規制等により、価格の低下に資するよう配慮いたしております。この法案におきましても、定価は従来通り文部大臣認可制といたしましたが、その認可基準は、前述の教科書発行審議会に諮問して慎重に検討を行うことといたす所存であります。  最後に、教師用指導書について必要な規制を加えることとしたことであります。教師用指導書は、教師学習指導の手引として、特定の教科書の記述に対応して著作発行されているもので、事実上教科書と並んで教育上重要な機能を持っておるものでありますから、その発行の場合に、文部大臣提出を要するものとし、教育上不適当な個所がある場合は、文部大臣訂正勧告をすることができることといたしたのであります。  以上のほか、この法律の円滑な運営を確保するため、必要な事項について罰則を整備いたしましたほか、従前規定によって検定を与えられた図書の有効期間特例を定める等、所要経過措置規定いたしたのであります。  以上この法案提案趣旨について申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに賛同賜わらんことをお願い申し上げます。
  9. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) 本件に関する補足説明その他は後日に譲ります。   ―――――――――――――
  10. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) 次に、教職員地域給問題を議題といたします。本件に関しては、文部当局のほか、人事院給与局長瀧本忠男君、自治庁公務員課長角田禮次郎君、間もなく出席の予定であります。なお、淺井人事院総裁は後刻出席の見込みでございますし、倉石国務大臣は本日出席困難の旨回答がございました。
  11. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 質問に入る前に資料文部省要求をいたしておきます。それは学芸大学を本年の二月卒業した者のうち、どれくらいの人数が就職をして、それからどれくらいの人数が就職できていないか、これは学芸大学及び大学教育学部、それを学校別資料を作成して、来週の火曜日に本委員会提出してもらいたいということを要望しておきます。委員長においてしかるべくお取り計らいをお願いいたします。
  12. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) ただいまの資料要求に対しまして、文部当局におかれましては来週の火曜日に提出できますか。
  13. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今の主管が大学局でございますので、私帰りましてよく相談いたしますけれども、来週火曜日に御要求の全部の書類が整いますかどうか、よく相談をいたして、また御返事申し上げたいと思いますが、なるべく早く提出することにいたします。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私一週間の期間を置いてあるのですよ。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 資料について……、ただいま荒木委員から資料要求がありましたが、どうもどういう事情に基くものか、要求した資料提出が非常に遅延していると思うんです。私が先般年度末の異動に関しての諸種資料要求したのに、このうちの国立学校授業料に関する資料、それだけは出ているんですが、それ以外の資料はまだ私は受け取った覚えがないんですが、いつあの資料はできるんですか、もう一ヵ月くらいになるんですがね。
  16. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) そのほかの資料と申しますと、各県の予算状況が一つございますが、これはただいま調査いたしておりまして、今集計いたしておりますから、なるべくすみやかに出させます。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 要望しておきますが、新学期はもう始まったんですね、その前にその資料に基いてここで調査審議したいという趣旨のもとに資料をお願いしたわけでございますが、すでに新学期も始まっているんですから、早急に入手されただけでよろしいから、出していただきたい。これで四回ほど催促したことを申し添えておきます。
  18. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは地域給の問題について文部大臣に若干質問をいたします。この地域給の問題については、前に人事院から是正するようにという勧告があったはずであります。ところがその後政府として特別な措置をとっておられないままに今日に来ているわけであります。しかし、地域給の問題は地方教育行政に重大な支障をきたしているということは、大臣もよく御承知であるはずなので、私から一々説明をしなくても十分おわかりのことであると思うのであります。そこでお尋ねをしたいのは、人事院から地域給是正について勧告があったにもかかわらず、今日まで政府が放置してきた理由ですね、なぜ放置してきたのか、その点について文部大臣説明を伺いたいと思うんです。特に、私が文部大臣説明要求しておる理由は、この地域給の不合理によって一番支障をきたしておるのは、地方公務員の中でも教職員であるということであります。で、そういう意味で文部大臣であり、国務大臣である清瀬文相に、なぜこの勧告を放置してきたか、その理由、それをこの際明らかにしてもらいたいと思うのです。
  19. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) この勧告を受けたのは、おそらく前任者の時代でありましたろうと思いますので、政府委員より答えさしていただきたいと思います。
  20. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いや、これは事務関係当局が答え得る問題では私はないと思います。政府に対して勧告が行われて、で、政府としては放置してきているわけです。だからその理由事務当局が答えるということは、大臣をおいて事務当局が答えるということは筋違いだと思う。だから大臣要求します。
  21. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) それもそうでありましょうが、私にかわって答えを……。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 技術的な問題をお尋ねしているのじゃないのですから、答弁ができないならできないで、わからないならわからないでもいいじゃないですか。率直に言ってもらいたい。
  23. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) これは前任者からの引き続きのことでございまして、勧告の当時の状況は私つまびらかにしませんから、そこで事務当局にかわって答えていただこう、こういうのであります。事務当局が言うことは私の言うことと同じようにお聞き願いたい。
  24. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 二十九年に人事院から勧告が出ておりますけれども、この勧告によりますと、不均衡の是正ということでございまして、そのためには相当引き上げをはかる、あるいはまた引き上げをはかりませんというと、現在ついておりますものをあるいは引き下げるということになるかもわかりませんけれども、均衡をはかるということ、不均衡を是正するということでございますから、いずれにいたしましても、なかなかむずかしい問題でございまして、もしこれを一律に引き上げることにいたしますと、相当な財政措置も必要でございましょうし、それらの面からなお研究されておることと私ども存じております。これは公務員全体の問題でございますので、文部省だけの観点じゃないのでございますけれども、さような観点からまだ実施に至らず研究中であると私は考えております。
  25. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の問題について大臣の方から、まあ金がかかるからできないというのは、第三次鳩山内閣では全然閣議でも相談もしておらないというのか、そういう点をあなたから明らかにしてもらわなければ、事務当局から言ってもらったってしょうがないのです。
  26. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 第三次鳩山内閣になってからは、この問題を特に取り上げた記憶はございません。
  27. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは文部大臣質問をいたしますが、第三次鳩山内閣としては、この人事院勧告というものを完全に無視してきた、こういうことになると思うのですがね、そういうふうにとって差しつかえないですか。
  28. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 人事院勧告を完全に無視するなんという方針じゃございません。しかしながら、国家の財政その他各種の行政とにらみ合せて、できるだけは尊重いたす考えでおります。
  29. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は大臣のおっしゃることはよくわからないのですが、というのは、第三次鳩山内閣が成立以来、人事院勧告については取り上げたことがないと、こういうお話しですね。それでただいまの説明では、人事院勧告を完全に無視するという考えはないとおっしゃるということは、私は矛盾していると思うのです。取り上げてみて、そうして困難であるならあるということならばわかりますが、全然取り上げもしないで、完全に無視していないということは、私には了解できません。どういうことなんですか、説明してもらいたい。
  30. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 第三次鳩山内閣においては、まだこれを議題にした記憶はございませんです。しかしながら、給与については担当の大臣がございます。いずれ本日または後日に出席するでありましょうから、それよりくわしくお聞き願いたいと思います。
  31. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではなぜ勧告を取り上げなかったかということについては一応譲りまして、給与担当大臣にお尋ねをいたすことにいたします。しかし、この際、文部大臣に伺っておきたいのは、私が先ほど申し上げましたように、この地域給の問題で一番困っているのは教職員です。これは大臣もお認めになると思います。現にいろいろの問題が起っております。これは全部教職員といってもよろしい。それくらいこの問題は地方教育界にいろいろの障害を起しておる。そこで教育の担当大臣である清瀬文部大臣は、この問題を教育責任者の立場から、閣内においてこの問題の解決を推進するような努力をお払いになるということは、私は清瀬文部大臣は進んでされることだと思う。過去のことは問いません。そこで今後閣内においてこの問題を取り上げて、そうして推進をするように努力するお考えがあるのかどうなのか、この点を伺っておきたいと思います。
  32. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) この問題がかかる場合には、むろん人事院の御勧告勧告でございまするから、それを尊重し、いい結果が出るようには努力をいたします。
  33. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私のお尋ねをしておるのは、この問題がかかる場合はということじゃなしに、進んで文部大臣が解決のために、積極的な努力を閣内においてしてもらいたい。そういうことについて文部大臣はよろしいというようなお考えかどうか、こういうことを聞いておるわけです。
  34. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) あなたのおっしゃることは正しいことのように思いますから、さよういたします。
  35. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでけっこうです。それではこれは文部大臣期間を無制限にするのじゃなしに、できるだけ早い機会に取り上げるように一つ努力を願いたい。これにつきましては、当文部委員会において、その御報告を願いたいと思います。よろしいですね。
  36. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) それは心得ます。
  37. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この地域給の問題が非常にいろいろの障害になっているということ、これは私は新聞で見たわけですが、和歌山県の南の方で人事異動をやった。ところが地域給が障害になって、その人事異動が円滑にいかない。そのために新学期の始まるのを十日以降に延ばさざるを得ない、こういう事態が起っておるということを、私は新聞報道で知ったわけです。現地について調査をしておるわけではありません。しかし、これは重要な問題だと思います。学期始めを延ばさなければならぬ、こういうことは重大な問題だと思います。こういうことについて文部省の方で御調査なさったことがございますか。
  38. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ただいま御指摘の和歌山県のことにつきましては、まだ私は聞いておりません。一般的に申しまして、人事異動に若干の支障が起っておることが、あるいはあるかと存じますけれども、ただいまお話しのようなことは、どういうことであるか、私もよくわかりませんけれども、学校の新学期の始まるのを延ばさなければならぬというのは、おそらく異動を命ぜられた諸君が、地域給関係で赴任をしないということであろうかと存じますが、これはまあどういうことなのか、よく調べてみなければわかりませんけれども、地域給というものは、原則としましては、その地域々々の状況に応じてつけられるわけでございますので、一応は公平になっておるはずでございますが、いろいろな事情の変更等もありまして、さようなことが起っておるかもわかりません。全体的としましては、そういう極端なことはないと存じますが、ただいま御指摘のことは、また調べてみます。
  39. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 文部大臣には、先ほどの答弁もありましたから、近い将来に努力する、その努力の結果については報告するということになっておりますから、私は文部大臣に対する質問は、この問題については、その報告のあった際になお続けていたすことにいたします。ですから文部大臣は、これは相当な努力をしてやってもらわないと、これは容易に解決しない問題だと私は思っておる。で、どういう不合理があるかということについては申し上げませんが、町村合併等があって、同じ市町村内においても、地域給のついておる所と、ついていない所とある。これはもう非常に困っております。そういう点、不合理が新しくだんだんできておる実情です。しかもいろいろの問題が起っておる。そういう点から、早急にやってもらいたいというふうに考えます。  それから、ほんとうは人事院総裁にお尋ねをしたいと思っておった問題です。それから地方自治庁長官にお尋ねしたいと思っておった問題ですが、お見えになっておらないわけです。事務当局にお尋ねするということも私いかがかと思うんですが、人事院総裁は後刻見えますか。
  40. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) 先ほどの連絡では、直ちには来られない。しかし後にまた時間がおくれますと、次の会議の関係で、必ずここに出席されるかどうかということは明瞭になっておりません。なお、もう一度確かめさせます。ただいま瀧本給与局長だけがここへ見えております。
  41. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちょっと御答弁願えるかどうかわかりませんが、瀧本さんにお尋ねいたします。人事院は一昨年の暮でしたか、地域給の問題について勧告をしておられます。しかし政府はこの問題を解決するという決定をいたしておらないで今日まで来ておるわけなんです。ところが、その後私は事情は相当変ってきておると思います。と申しますのは、市町村の合併という新しい問題が昨年は大幅に行われておる。そういう点が一点、それから政府勧告を了承して対策を立てておらない。こういう実情から見て、再勧告する考えがあるのかどうかという問題です。これはちょっと瀧本さんにお尋ねすることは私は無理な点があると思うんですが、まあしかし非常に事務当局の中心になっておられる方ですから、お尋ねをいたします。
  42. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま荒木委員の御質問でございまするが、人事院昭和二十九年の五月二十九日に、地域給の問題について勧告をいたしておるのでございます。その勧告の中におきまして、当時におきまして非常に不均衡がございました地域につきましてこれを均衡をとる、これは引き上げでございまするが、その勧告をいたしたわけであります。しかし当時は町村合併が相当促進されておった状況でございましたので、それからまた、小さい町村の合併を一々勧告として取り上げることが適当かどうかという問題もございましたので、その勧告の中に合せまして町村合併等がありました場合に、随時適正な改訂を人事院限りでできまするように法律改正をしてもらいたいということがあわせて勧告してあるのであります。従いまして町村合併等につきましても、政府側におきましてこの問題を取り上げていただきまするならば、これは適正にこの地域給問題が維持できるのではなかろうか。このように考えておるのでございます。すでに御存じのことでございますが、人事院勧告いたしましたあとにおきまして国会の当時人事委員会でございますが、衆議院、参議院の人事委員会におきまして、それぞれ御研究がございまして、そして人事院の均衡をとる案よりももう少し大がかりな案を御研究願ったことがあるのでございます。ところで、その御研究の中におきましては、人事院の案を否定するようなことはなかったのであります。人事院の案につけ加えまして、さらにその範囲を拡大して均衡をとるというような案を御研究になったのでございます。これはもうすでに御承知通りでございます。しかしながらその御研究の案というものは、これは予算的に非常に膨大な予算措置を要するというようなことで、当時私が聞き及んでおりまするところによりますると、主として財政的な理由からこの案を政府側として取り上げられるに至らなかったように思うのでございます。しかしその後におきましては、政府側におきましては公務員制度調査会というものをお作りになりまして、そこで給与体系全般の問題、あるいは公務員制度全般の問題を研究されたのでありますが、その中で地域給の問題を取り上げられまして、そしてこの地域給につきましては、将来はこれを廃止する方向がよろしい。しかしさしあたりの問題といたしましては、これを二段階程度に圧縮するのがよいであろうという答申案が出たわけでございます。その答申に基きまして、またあわせて人事院勧告等を受けておられまする政府側といたしまして、ただいまはその地域給の善後措置について、公務員制度調査室を中心といたしまして、現在研究を進められておるというように私は承知いたしております。
  43. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 なおお尋ねをいたしますが、一昨年勧告をせられた当時に比べて、相当経済事情が私は都市と農村との関係において変ってきておると思うのです。で山村といいますか、農村といいますか、における生活の実態ですね。これは都市に比べてそう楽でないと思うのです。そういう点、勧告以後の経済事情というような点を考えて、農村地帯の地域給を引き上げる、そういう必要が起っているのじゃないかと私考えるのですが、そういう点についての御所見はどのようになっておりますか。
  44. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 地域給問題でございまするが、これはいろいろ生活事情の違いまする地域におきまして、同じ額の給与を受けるといたしまするならば、その実質賃金と申しますか、そういうものが違ってくるわけであります。その原因がどこにあるかと申しますると、物の値段にいろいろな開きがあるということもございましょうし、また生活慣習等が違うということによる場合もあると思うのであります。いろいろ物価の面から調べてみますると、昭和二十二年当時に比べまして、現在は相当圧縮いたしております。たとえば昭和二十二年当時でございますると、おおむね一八%程度というものが物価差があったわけでございますが、二十九年から三十年にかけますると、これがおおむね五%程度に減じておる。そういう意味におきましては、都市と町村あたりの物価差というものは非常に縮っておるということが言い得るのではなかろうかと思うのでございます。しかしながら、実際にその土地々々においてやっておりまする生計費の地域差、これは生活内容あるいは生活方式というようなものの違いもいろいろ含まれて参るわけでございまするが、その違いというものは昭和二十二年当時に比べまして現在はあまり縮まっていない。たとえば昭和二十二年当時においては、おおむね二四%程度の都市と農村におきまして生計費の差があったのでございまするが、現地におきましてはこれが依然として二〇%前後を維持しておる、こういうことになっております。多少は縮まっておりまするけれども、物価差ほどの縮まりではない、こういうふうに見ております。もっともわれわれが統計を利用し得ますのは、純農村地帯の統計というものは、なかなかこれは得がたいのでございまして、地方小都市並びに市街を形成しておる町というくらいなところでございまするので、その農村地帯の状況というものが直ちにはわれわれ統計的に把握しておらないのでございまするけれども、おおむねその辺から推測いたしておる次第であります。  そういう状況でございまして、物価の差というものは相当縮まっておりまするけれども、生計費の差等が現在まだ相当の開きがある。ことに民間の賃金の地域差ということになって参りますると、現在におきましてもおおむね三〇%前後、あるいはそれよりもう少し多いかもしれません。その程度の差等があるというような状況でございます。しかしながら、地域給問題は、地域給制度運営される上におきまする障害というようなことも相当考えてみなければなりませんし、それから生活の差等といいましても、相当広域にわたって同程度の生活が営まれておるというような事情も考えてみなければならないのではなかろうか。従いまして将来の方向としましては、五、六級地を合せまして五段階現在あるわけでございますが、これは相当整理される方向が好ましいであろう、このことはすでに公務員制度調査会の答申にもある通りでございますが、その方向は正しいであろう、このように考えております。
  45. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、再勧告するという考えは今のところないというのですか。あるいは事情によっては考えてもいいというようにお考えですか。
  46. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) これは先ほど御指摘がございましたように、私がここで答弁する限りでないと思うのでありまするが、すでに三月十五日の参議院の予算委員会におきまして、田村委員から御質問がありましたのに対しまして、人事院総裁は、地域給につきましては、将来の方向としてはこれを廃止することが好ましいであろう、そういう答弁をいたしておりまするし、また、三月十七日の参議院の予算委員会におきまして、相馬委員の御質問に対しまして、本問題は公務員制度調査室で現在検討中であるが、まだ結論は出ていないように承わっておるという意味の答弁をいたしておりまするし、さらに、三月二十九日の衆議院の内閣委員会におきまして、池田委員から地域給改正について再勧告する意思がないのかという御質問に対しまして、人事院総裁は、地域給問題について近い将来に勧告する考えはない、とこういうことを申しておりまするので、念のために御紹介申し上げます。
  47. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは自治庁の方へお尋ねをいたします。町村合併によりまして、同一市町村内において地域給のアンバランスができておる。この問題に対して地方の行政の面から考えて、自治庁としてはどういう見解を持っておられるか聞きたい。
  48. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 町村合併に伴いまして、今お尋ねのような事態が相当生じておることはわれわれも聞いております。これは合併の結果によってだけ始まったわけではないのでありまして、この前からでも都市におきましては、そういう事態がなかったわけじゃないのでございますが、特に合併でそういう事例が多くなっております。われわれといたしましては、同じ団体の中なら同じ団体職員は、なるべく同じ扱いの方が万事都合がいいという気持はいたしております。しかし、これはまあ地域給の問題は、それぞれの地域経済事情に即して問題を考えるというような建前になっておって、法律の上からもそういう趣旨になっておるように存ずるのでありますが、われわれの考え方からいたしますれば、同じ団体の者はなるべく同じ方が、できる限りその方が望ましいという気持ではあります。
  49. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういうことについて政府部内でいろいろ御努力をせられたことがございますか。
  50. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは努力というのは、結局その内部の統一という問題でございましょうが、この問題は実は市町村の段階の問題と、府県の段階、国の段階といろいろありまして、市町村の段階なら市町村の吏員の処遇の問題として、市町村の中だけでできるだけ旧町村間のアンバランスをどう調整するかという問題で、それぞれ団体においても、ある程度自主的には考えておるだろうと思うのでございます。しかし、それはそれと変りなく、国の公務員なり府県の公務員なり全体として、勤務地の問題をどうするかという問題がこれは別にあるわけでございまして、そこらの問題になってくれば、勤務地としての実情をどう調節するかということで、大きく解決せられなくちゃいかぬのでございまして、われわれの気持から言えば、なるべく国の公務員の建前に準ずることになっておりますから、地方だけの立場からばかり申してもどうかと思いますけれども、なるべくそうなった方が望ましい、そういう気持ではおりました。また、そういう方向にいきたいもんだと考えております。
  51. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いや、努力されておりますか、政府部内で。
  52. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは機会があるたびに、そういう方向に考えていきたいと思っております。
  53. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではちょっとお尋ねいたしますがね、町村合併がありましても、学校教職員は、私が先ほど言っているように地域給は昔のままになっているわけです。だから町村合併があっても、新しく編入された農村は地域給がつかないのです。これはなんですか、市役所とか町役場とかいうところに勤めている人は新しく合併されたらどうなるのですか。全部つくようになったのですか。または昔のままにつかないのですか。その点お伺いします。
  54. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 市町村でそういう勤務地手当の制度をとっておるところは、それは国あるいは府県に準じておりますから、同じようにやっておると思います。しかし、勤務地手当の観念は、そもそも市町村では普通は従来の市町村の考え方から言えばない方が多いと思います。市町村の小地域に勤務する職員の場合ですから、必ずしも全部やっておったとか、今までやっておらなかったとか、そこに問題があろうと思います。このうちに従来でも、たとえば京都市などの市街地でも、ああいうようなところはおそらくそういう制度をとっておるだろうと思いますし、そういうようなところは当然それは一緒にせずに、やはりその建前に右へならえをして扱っておるだろうと思っております。
  55. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 もうちょっとはっきりお伺いしますが、ある甲という町がありますね、甲という町があります。そこへ乙とか丙とかという村を合併して、大きな町にしたわけです。そうしたら乙とか丙とかいう役場へ勤めておった人が、合併になったら町の吏員になるわけですけれども、その場合には乙とか丙とかの、前に勤めておった吏員の人たちは地域給が、もしそこの町がついておればつくようになっているのか、現在のまま、昔のままにほうってあるのか、その点を聞きたい。簡単に言ってもらいたい。
  56. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それですから、地域給制度を現実にとっておる町村がかりにありますれば、その町村に地域給のつかない地域が編入になった場合は、これはやっぱり国の地域給制度に準ずる扱いをしておる、だろうと存じます。これは全部私の方で調べたわけじゃありませんが、それに準ずる扱いをしておるものと存じております。
  57. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの点では地方の公務員の中でも、学校教職員と町村の吏員との間には非常な不合理があると思います。これは調べたというよりも、私は当然だと思うのですが、町村合併をした場合に、町村の吏員はその中心部に糾合されますから、前に地域給がついておらなくても、町村合併によって中心部の役所に勤めますから、全部地域給が同じようにつくようになっておるのです。これはなるのが当然だと思います。今の御答弁、非常にあいまいで、はっきりしませんでしたが、それは統合されると、その地域給のついている役所へ勤めることになるのですからね、全部つくことになるのです。教職員の場合は統合されない。だから依然としてつかない。これは警察官の場合もあるのですよ。警察官は駐在所があちこちにあるのです。その駐在所の所在地は地域給がつかないけれども、本署に籍があるから、どこにおっても、みんなつくようになっている。そういうわけで、町村合併等で一番困っているのは教職員です。そういう実情にあるわけです。  瀧本さんに尋ねますがね、人事院の方針としては、市町村合併による地域給の問題、同一行政区域内は、できるだけ同一の地域給にする方がいいという考えを持っておられるのかどうか、方針をお聞きしたい。
  58. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) その点につきましては、二十九年の五月の勧告におきまして、バランスをとりますために、人事院地域給の引き上げをやることをいたしたのでありますが、その中におきまして、かりに二段階ぐらいに、たとえば一級地に統合する、そういう場合にそれが市でありまする場合には、その零級地は一級まで上げてもらいたい、こういう方針でやっておるのであります。ただその従来の市が非常に大きな市でありまして、それが二級と三級に分れておるというような場合は、零級地が加わりました際に、これを直ちに二級地なり三級地に上げることは、これはほかとのバランスがまたありますので、これは漸進的にいくよりしようがないというので、漸進的な方法を考えたわけであります。人事院のこの地域給是正の方針といたしましては、なるべく同一行政地域内は同一の地域給であることが望ましいということは考えております。しかしながらたまたま従来隣りであったものが、合併後に別の地域に入りまして、別の地域がなくなってしまうというような場合があるかもしれませんから、従いましてそういうところの調節もとりたい、こういう考えでこの前の勧告をいたしたわけであります。
  59. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は地域給の問題についての質問は、給与担当の労働大臣に対する質問を残して一応これで終ります。ただ、この際地域給に対する質問があると思いますから、それが済んでから質問をしたいことは、公務員の給与の問題です。この問題については地域給の問題の質問が全部終ってから、若干の質問文部大臣並びに人事院に対していたしたいと思いますからよろしくお願いします。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、文部大臣教職員給与の問題について関心を持たれていますかどうか、お伺いいたします。
  61. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) むろん所管事務に大きな関係がありまするから、関心は持っております。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 教職員給与の問題のうちの地域給は一つですが、関心を持っておるとすれば、現在教職員給与問題について、どういう点に問題点があり、どういうところを改善したいとか、是正したいとかいう、そういうお考えは、必ず私は持っておられると思いますので伺います。
  63. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今ここで公表するに熟したような考えはございませんから、荒木さんにお答えいたしましたように、閣内において給与大臣とも打ち合せ、十分に検討いたします。
  64. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ大臣の御性格から、公約されたことは忠実に努力していただけるものと考えますが、私は大臣教職員給与については、失礼ですけれども、あまり積極的な関心を持っておられないのではないかと危惧をいたします。それは先ほどからの御答弁から、あまり教職員給与についての実態というものを把握されていないというふうに私は承わります。まことに失礼ですけれども、もう少し部下からよく聴取されて、そうして御研究の上、さらにあなたの政治力で努力していただきたいということを冒頭に要望申し上げておきます。  そこでこの地域給の問題について私は伺いますが、大臣承知ないと思いますから、あえて私は繰り返しますが、この地域給の問題が、公務員――教職員を含む公務員の生活権の問題、さらにこの公務員の能率向上の問題に、至大な関係があることはもちろんですが、私はそれ以上に大きい問題は、政治に対する不信にこれは結びつくものだと思う。ということは、二十九年の五月に勧告があって以来というものは、予算委員会等でただしてみますというと、淺井総裁は勧告をしたので万事終れりだと、今公務員調査室で研究しているからというので、もう二年からきているわけなんですね。ところがその秋に衆参の国会で、先ほど局長が言明されたように、これをある程度人事院勧告に筆を入れて、そうして国会である意思決定をしたわけです。時の衆議院のこのイニシャをとった委員長は、その後自治庁長官になった川島さんなんです。ところがその当面の修正案を作った一番最高責任者であった、立法府に席を置かれておった川島さんは、自治庁長官になってほおかぶりしてしまった。内閣全体としても、ほおかぶりしているというのが実情なんですよ、公務員調査室でやっている、やっているというが、実際進んでいないのです。そういう事情大臣まず知っていただいて、そうして公務員、国民から、政治に対する不信の念を払う意味からも、早急に私は解決に努力をしていただかなければならぬと思います。あえてこの経過を私は申し上げておきますが。さっそく私は給与担当大臣はもちろんのこと、川島さんは現在与党においても有力なる方ですし、大体文部大臣国務大臣としての職責を果すのには、常に党との関連をとって、そうしてあなたは国務大臣としての職責を果されるのをモットーとされておるようでありますから、かように私は取り運んでいただきたいと思うのでありますが、御所見を承わります。
  65. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今矢嶋さんの御勧告及び御忠告のように、十分よく調べて善処いたします。
  66. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 川島さんと会っていただけますね。
  67. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) それは会うことにやぶさかではございませんが、現在の党の組織としては、あるいは水田君、政調会長の方が適切かとも考えます。
  68. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の申し上げていることは、むしろ私は川島さんに政治的責任を追及したい気持でいるわけです。だからあなたが先ほど荒木委員に約束したように、この解決に努力されるとあらば、あなた一人ではなかなか今の膠着している状態というものは動かせないから、だから私は過去の歴史をあなたに参考に申し上げたわけですから、党内で川島前自治庁長官にも連絡をとって、そうしてあなたの足らざるところは、こういう力を借りてでも今の膠着した状況というものを打開するようにしていただきたいという意味であえて申し上げたわけです。要望申し上げておきます。  そこで文部大臣に対する質疑をここでちょっと折って、小林行政部長に承わりますが、先ほどのあなたの御答弁は確かに筋は通っており、通り一ぺんの答弁ですがね。実際問題として市町村の合併を促進し、その後の発展を期待する立場からは、一番大事なことは、人事の円滑なる交流にあるわけですね。ところが十分あなたも下部の状況を把握していないようですが、町村によると本役場と支所との吏員の人事交流に困っているようです。そういうところが相当あります。これは結局地域給関係なんですね、必ずしも本役場と支所とが、地域給の問題が何らなく順調に人事交流はできておりません。ずいぶん困っているところがあるようですがね。そこで私は具体策としてはこういうことが考えられると思いますね。あなたのところで交付金等交付する場合に、人事院勧告をした程度のこの地域給調整ができるように、それを積算の基礎に織り込んでそうして交付するというような手は、手段は私はあると思うんです。これは非常に私は実際的な取扱いだと思います。そうでないと、合併市町村の吏員の人事交流も、教職員人事異動にも支障をきたしているわけですが、とりあえず私はそういう措置が市町村合併育成をモットーとされている今の地方自治行政から言えばとられるべきじゃないかと思いますが、そういうことの研究をなさったことはございますかどうか。また、そういうお取扱いをされるお考えはないかどうか、承わりたいと思います。
  69. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) ただいまのお尋ねの人事の交流の問題は、われわれも一番気にしているところでございます。それで先ほどまあ荒木委員にもお答えいたしましたところですが、役場の吏員の場合は、大てい本役場に勤務しているような場合にはもちろん扱いも一緒になってしまうわけでございまして、支所、出張所の場合は勤務地手当が違う扱いをしている場合は、今の問題が起るわけでございますが、実際問題としては、むしろ旧町村間の給与のアンバランスの調整が、私はむしろ現実の問題として一番最初の問題になっているように存じているのでございます。それでこれはわれわれといたしましても、できるだけすみやかに調整をさせるべきものだと思っております。ただ、これは町村の財政の都合もありますので、一度にできないという点もありますが、大体多少の年月、年月ということではございませんが、月を重ねておりますというと、おおむねしかるべきところで調節をはかっているように存じているのでございます。  それから今の交付税の問題は、まあ人事院勧告を基礎にして交付税の算定をどうこうするという問題でございますが、勧告だけをとって交付税の算定の基礎にするということは、これはわれわれとしてもいたしにくいのでございまして、やはりきまった国の制度を基礎にしてやらざるを得ぬのじゃないかと存じております。これは勧告によって直ちに右、左というわけにはいかぬというのが実情でございまして、その点は御了承願いたいと思います。
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではもうちょっとお伺いしますがね。人事院から勧告が出た、政府はほおかむりをしてこれを取り上げない。ところが市町村は合併して吏員の人事交流も、またこの学校の先生方の異動にも非常に困っている。これは皆さん御承知と思いますが、私はいなかに育ったものですが、いなかでは昔から村の学校の子供は町の子供に対して一つの卑屈感を持ってるわけです。ということは、町の子供は村の子供に、お前の学校はボロ学校だとかいうようなことで、こういう気持というものが、非常に地方の自治体の相互間の融和というものを妨げている大きな原因だったわけです。市町村が新たに合併して大きい行政規模になってから、そういう点から払拭して渾然一体となって新しい村作り、町作りというものを、地方の首長というものは多く念願しているわけですが、ところが実際は先ほど申し上げたような状況だから、市町村長がやむにやまれず自己の財源で自分の管轄内の学校教職員、あるいは支所の吏員に対して人事院から勧告があった程度の地域給を出しているところがあるわけですがね。そういうところはさなきだに苦しい台所から出すから、非常に苦しいわけなんですね。そういうところに対しては特別交付金の交付等に当って、あなたの方の考慮次第では、私はこれは処置できるものと思うのですが、いかがでしょうか。
  71. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 特別交付税の問題は、まあ財政部長の所管ですから、私からはっきりした意向を申し上げられぬのでございますが、今矢嶋委員のおっしゃいましたような教職員の、町村の合併の結果勤務地手当に多少の調節が必要だというようなところで、かりに市町村が何か出しておるような場合に穴埋めできないかという御趣旨でございましたが、これは学校教職員に対しましては、市町村から出すべき筋じゃないのでございまして、その点を特別交付税で埋めるということは、政府の建前からいってすべき事柄でもあるまいと、こういうふうに存じております。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今のあなたの見解は一応それで承わっておきます。そこで給与局長に伺いますがね、あらゆる機会に人事院へ伺いますと、われわれは勧告した、現在政府の公務員制度調査室で研究しているから、いかように扱うかはこれは、一にかかって政府の意のあるところにあるんだ、こういうようなことで終始されているが、これはやや私は責任回避の態度として今の人事院の性格から非難さるべきものではないかと思うのですが、少くともデーターに基いて信念のもとに政府、国会に勧告をされたならば、それを見届けるだけの積極的な熱意があってしかるべきだ。従って私は政府部内において、あるいは公式に、あるいは非公式にいろいろ話し合いがあってしかるべきだと思うのです。そのところまで突込んだ答弁というものはいまだかつて承わったことがございません。そこで私はあなたに伺うのですが、最近政府部内においてそういうような交渉が持たれたかどうか、また、その公務員制度調査室においての研究段階は、いかなる段階にあると、あなたの方では把握されておられるのか、お答え願いたいと思います。
  73. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいまの問題でございまするが、私から十分御満足のいくように御答弁ができませんことは非常に遺憾でございまするが、われわれといたしましては、やはり日常政府とも接触いたしておりまして、人事院勧告をいたしたならば、それだけにとどめたということは事務的にはないと思っております。といいますのは政府側にもこれを十分説明いたしまするし、その必要の理由を力説しておりますし、また、国会でもこれを十分に説明申し上げておるということは、引き続きやってきたものであるというふうに思っております。現在公務員制度調査室でどういう研究をやっておるかということにつきましては、これは実はわれわれよくわからないわけでございまして、申し上げますならば、それは推察にだけなりますので、私は差し控えたいと思います。
  74. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) ちょっとお知らせいたします。今の問題に関しましては、公務員制度調査室の尾崎参事官が見えられておりますのでお知らせします。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 速記をつけられているから、お答えできないのかとも推察しますが、もしそうだとすると、あと速記をはずして承わりますが、少くとも私は人事院の性格からその勧告というものは尊重されなければならないし、また、この勧告したものとしては、その行く末というものを見届けるという積極的な熱意があってしかるべきで、調査室でほんとうにどの程度の研究段階にあるか承知していないというのでは、私は納得しかねる点があることをここで申し上げておきます。  そこで調査室の尾崎参事官に伺いますが、勧告があってもう二年経過しているわけですが、どういう調査をされて、今どういう段階にあるのか、それから結論を出す時期は、いつを目途に研究されているのか。そういう角度からお答えを願いたいと思います。
  76. 尾崎朝實

    説明員(尾崎朝實君) 公務員制度調査室長にかわってお答えを申し上げます。地域給の問題につきまして、人事院から政府勧告がございました後、政府は公務員制度調査会に答申を求めまして、その答申には、地域給に関連いたしましては、現在の段階をもっと簡素化いたしまして、その地域区分につきましては客観的なものでやると、それからその新しい制度に移行するに際しましては、現在の手取りにつきまして下回らないようにすると、こういうようなことで答申があったわけでございます。公務員制度調査室が設けられましてこの答申に基きまして現在研究いたしておるのでございますが、何分にも地域給の問題を処理いたしますためには、公務員の範囲とか、あるいは職階制の問題、そういったようないろいろの問題と一緒に処理する必要がございますので、現在慎重に研究をいたしておりまして、まだ成案の運びに至っておらないのでございます。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いつごろ成案を得る目途でやっておるのか、どういう指示を、上司からあなた方は受けておられるのか、その点を承わります。
  78. 尾崎朝實

    説明員(尾崎朝實君) 現在やっております仕事はおおむね、まあできるだけ早く成案を得るということで研究いたしておるわけであります。
  79. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあこれらの問題は、すべて事務当局を離れて一つの政策、政治の問題になっていると思います。従っていずれ給与担当の責任国務大臣でなければ解決できないと思いますので、尾崎参事官への質問はここではしおりまして、文部大臣に伺いますが、文部大臣先ほどまあ私長く申し上げません、教職員給与には関心を持っているとこういうことでした。それで今の地域給の問題は人事交流が非常にうまくいかないという立場から、これが非常に大きく教育界に浮び上ってきているわけですが、従って特にまあ文部大臣としては閣内で努力してほしいということをわれわれから要望したわけです。そこで私は人事交流に妨げとなっている一、二の点についての大臣の所見を承わりたいと思うのですが、かりにですね、かりにではない、現にあるのです。高等学校のある先生が、人事異動で中学校校長に転出発令を受けた。その人は高等学校の教員から中学校校長に転出した。ところが月給が下ったのですね。こういう事態が幾らもあります。こういうことを大臣はどうお考えになりますか。
  80. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) そういうことは好ましくないこととは考えます。
  81. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従って大臣に私は要望申し上げたいのですがね、この人事の交流をなめらかにして教育振興をはかるという立場から、学歴を尊重することは当然だと思うのです。その場合に、同じ学歴の人は高等学校に在職しても、中学校に在職しても同じ待遇を受けるという形になっていなければ、今申し上げましたように義務制の中学校教育振興という立場で任命権者としては優遇したつもりで、中学校校長に抜擢しますと、給与が下る。従ってこれらは給与に関心を持っておられる大臣としては部下に検討させ、こういう点は是正されてしかるべきだと思うのですがいかがでございますか、御所見を承わっておきます。
  82. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) すべて給与について不公平のないように、それらのことをまああわせて先刻申しました通りよく研究いたします。
  83. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つ念のために、ちょうどいい機会ですから承わっておきます。ある師範学校を同年次に事業した二人の先生がいて、一人の先生は途中から昔の高等師範に進学された。そして卒業されて奉職された場合に、師範時代に同期生であった先生よりは給与が低いというような場合が点々とあるわけですが、これはもう大臣に私は伺うまでもなく不合理だと思うのですね。そういう教職員給与の不合理な問題が今言ったような例、それから高等学校から中学校に転任した場合に下る、それから地域給の問題、こういう不合理な問題があって教職員の士気をそぐものがあり、人事交流を妨げ、教育振興の障害となっている給与の問題があるわけなんです。この事実をこの際私は大臣に知っていただき、早急にこういう問題の是正努力されたいと思うのですが、お約束できますか、お答え願います。
  84. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 努力はいたします。
  85. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 局長の所見いかん。
  86. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 大臣の御趣旨に基きまして私ども努力いたしますが、これは教職員だけの問題じゃございませんで、公務員一般に関する問題でございますので、現に先ほどから話の出ております公務員制度調査会等でも問題になることと存じます。全体の問題としてこれは解決しなければならぬ問題であると、かように考えております。
  87. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただね、局長の言葉の中には私は初中局長としては重大な言葉があったと思うのですがね。きょうはこの場だから突っ込んで、時間がないから申し上げませんが、官庁の職階制それから仕事の難易、責任の重いと軽いですね、軽重ですね、こういうものと教育関係教職員、それとは相当異なる特殊面があることは、これは局長も私はお認めになると思うのです。従ってさっき地域給の問題について、これは全公務員の問題で公務員調査室でやっている問題だからというその言葉を受けて、公務員全体の問題から云々ということで解決を遷延されるということは、私は問題があると思うのです。従ってそういう点をあなたはお認めになっての先ほどの御発言と思いますが、今まで政府はよく公務員制度全般の問題であるから云々というので、その蔭に隠れて実際は逃げの手を打ってきていると思うのです、本質は――。その典型的なものが地域給の問題なんです。だから重ねて局長の御所見を承わっておきます。
  88. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 教職員について、いろいろな特殊な事情があることは十分承知いたしております。ただ、私先ほどお答えしましたのは、特に職責と学歴との関係最後にお尋ねになりましたので、この問題につきましては、やはり全体の問題として考えなければならぬだろう、こう思ったものですから、その点につきましては特に申し上げた次第で、特殊性があるということを申しておきます。
  89. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いずれ次の機会に、これらの問題については大臣の御努力の経過並びに結果について本委員会で承わって、あらためて私は質疑いたしたいと思いますので、きょうはこの程度にとどめておきます。
  90. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 地域給の問題について自治庁に一つだけお尋ねをしておきます。地域給の不合理を地方の公共団体自身の力でカバーをしておったところがあります。ところが今度再建整備法によってそういうカバーすることについて、自治庁が許可しないということで非常に困っておるところがあるわけなんですがね。従来そういう措置をとっておったところには、やっぱり認めてやるべきではないかと思うのですがね、そういう点自治庁としては相当ゆとりのある態度をとるべきじゃないかと思うのですがどうですか。
  91. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) まあ具体的の問題は聞いておりませんので、はっきりしたことを申し上げかねますが、地域給について市町村でカバーをするという問題は、同じ市町村職員の問題ならば、私は適当に自主的にやってもいいだろうと思います。先ほどいろいろお話がありましたけれども、問題は、結局府県の職員、自分たちが給与費を負担しない職員について、市町村が何か特別の措置をやる、矢嶋委員もおっしゃいましたけれども、そういうようなふうに私聞いたのですが、そういうような問題になってくると、制度の筋からいって少し問題が出てくる。本来府県が出すべきものについて市町村が出しておるとすれば、出すべき筋はないのじゃないかという議論が出てくる問題だと思うのでございます。それで、そういうものについて、交付税とか、そういう問題はもちろん考えるべき筋でもないと思います。これは自主的に市町村のやっている問題まで、そういうとやかくこっちも言うつもりはないと思っておりますが、再建整備団体の問題で、具体的にあるいは問題が起ったのかもしれませんが、その点は私具体的の事例を聞いておりませんので、何とも申し上げかねるのでございます。給与の問題は、全般的には再建整備上も、そう無理なことはあまりやっておらぬだろうと、こういうふうに考えております。
  92. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 教職員の場合は、給与負担が府県にありますが、従ってそのカバーをする際には府県でカバーをしておったわけです。こういう場合ですね、やはり自治庁としては、従来の通りこれに規制を加えて、そういうことは一切まかりならぬ、こういう態度では、やはり問題を相当混乱さすと思うのです。ですから、そういう場合には、従来のそういう態度を一応認めてやると、こういうのかどうかということです。
  93. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) この教員の問題で問題がはっきりしたのでありますが、市町村職員の場合と教員の場合とは事情が違いまして、市町村職員の場合は、本給、勤務地手当も入れて市町村の条例に百パーセントまかされておるのであります。それでありますから、国の給与の建前を基礎にしながら、市町村が自主的に百パーセント決定する。ところが、教員の場合は、御承知通り国の教育公務員に準じてやるということを法律にぴしっと書いてありまして、そこで、国の制度と違ったことを制度の筋としてやるべきでないということは、これは言えるのでございます。それでありますから、ちょっと市町村職員の場合と違いまして、制度の筋として割ときちっとやらなければ、これはむしろ法律に違反するとか違反しないとかいう議論が出得ることがあるだろう、こういうふうに存ずるのであります。その点だけ御了承願いたいと思います。
  94. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 準じてやるということは、全然ゆとりがないということじゃないでしょう。やはり実情というものを若干考慮してやれる、それが地方の独力でやる場合は差しつかえないのじゃないかと思うのですがね。
  95. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) まあ準じてやる、準ずるという場合は、そういう考え方があると思いますが、学校の教員の場合は、規定が少しきびしくなっておりまして、これはもちろん荒木委員も御承知通りだろうと思いますが、「国立学校教育公務員の給与種類及びその額を基準として定めるものとする。」こういうことで、一切がっさい右へならえということを建前にしておるのじゃないかと存じております。そういうふうに運用しておるのでございまして、そうした基準の範囲内での運用は、これはもちろんそれぞれ適当にやっておるだろうと思いますが、制度そのものの本質は、右へならえという建前でいくのがこの教育公務員特例法の趣旨じゃない、だろうか、そういうふうに私は存じております。
  96. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この法律解釈については、まだ意見はありますが、一応これは自治庁長官にもお伺いしたいと思います。そこで、文部大臣にお尋ねいたしますが、公共企業体関係に対して調停案が出まして、政府はたしか先般の閣議でこれを受諮するという決定をせられたように聞いております。その結果、公務員との間に不均衡を生じてきたわけです。この不均衡をやっぱり是正する必要があると私は考えるのですが、文部大臣は、この不均衡をやはり是正するようなお考えを持っておられるかどうか、伺っておきたいと思います。
  97. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) その不均衡が必ず出るであろう、また、これを是正しようということは、あのときまだ閣議ではきめておりません。ベース・アップじゃないんだから、大きな不均衡は生じないだろう、みなこう思っておるのです。
  98. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは人事院の方へお尋ねをいたしますが、私はかなりの不均衡が起ってきておると思うのですがね。公務員と公企業体関係においてですね。
  99. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 人事院は、年末から今度の公企体関係で調停が行われまする段階におきまして、もし調停案が受諾され、かつ実施されました結果、不均衡が起りまするような事態が起きまするならば、団交権を持たない公務員に明らかに不利な取扱いをいたすこととなりまするので、もし、不均衡が起きまするような場合におきましては、一時金等の措置について十分考えてもらいたいという意味の申入書を、人事院総裁から公務員給与担当大臣である倉石国務大臣に申し入れをいたしたのであります。その後、その妥結の状況を見ておりますると、その数字等につきましてわれわれが知り得ているところがございます。しかし、これを果して三公社五現業に出る業績手当というもの、企業形態をしておりますところに出ます業績手当というものを取り上げて、これが不均衡と言えるかどうかという問題について人事院でもいろいろ検討し、また、公共企業体等調停委員会に対しまして質問状も発したのでございますが、その回答が参りましたところによりますると、これは業績手当であるという御回答があったのであります。業績手当であるといたしまするならば、これは公企体に関しまする給与特例法の第五条、また、予算総則等、また、三公社五現業の給与準則等に規定してございまするが、それによりまして出るべき性質のものであって、これは、業績が上った、あるいは経費の節約があったという場合に、いわゆる独立の企業体に対してのみ出るものであって、この問題は直ちに一般職に対して不均衡とは言えないというような政府側の御解釈もあり、それから調停委員会からの御回答もあったのでございます。しかしながら、全体的に見まして、業績手当だから不均衡だ何だという議論は別にいたしまして、現実に今度の調停の結果等を見ますると、ある公社におきましては、前年より少くなっておるものもございまするけれども、三公社五現業を通観してみますると、やはり多少の結果が現われておるのじゃなかろうか。これも、どれだけ業績が上ったか、経費の節約があったかということは、われわれつまびらかにいたす権限もありませんし、調査方法もございませんので、わからんのでありますけれども、感じとしてそういうことが言えるのじゃなかろうかというふうに思うのであります。人事院総裁も、参議院の内閣委員会におきまして答弁いたしておりまするように、何らかこの際一般職公務員に対しましても配慮があることが望ましかったということは申しておるのでありますけれども、現在の状況におきましては、業績手当の内容につきまして、われわれ十分これを検討することができません。その権限もございませんし、その内容等つまびらかにいたすことができませんために、われわれとしては書簡で申し入れて、政府の判断を待つということしか手がないような現状であります。そのことはやっておる次第であります。
  100. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) ちょっと申し上げます。文部大臣から衆議院本会議に出席を求められております。大臣に対する御質問があったら、なるべく一つ簡単に願います。
  101. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 端的にお伺いしますが、文部大臣は、私の質問に対して、不均衡は起きていないと思うというような意味のことをおっしゃったと思うのですが、もし不均衡ができたとすれば、これを是正されることは当然であるというお考えは持っておられますか。
  102. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) このことは、給与担当大臣がおって出ますから、それに答えさすようにいたしたいと思います。私がさきに申したのは、閣内でその話があったかとおっしゃるからして、あれを承諾するときに、三公社五現業担当の大臣が三人ほどおりますが、これがためにすぐ一般公務員の給与に不均衡を生ずるように思わんからという御報告を受けておるだけのことであって、立ち入ったことは給与担当大臣から答える方が正確でいいと思います。そのときまでお待ち願いたいと思います。
  103. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は非常に無責任な答弁だと思うのですよ。それは給与担当大臣質問します。しかし、私は全く関係のない大臣に尋ねているのじゃないのですよ。大臣の所管の中には、国家公務員いわゆる大学関係教職員がおられます。それから地方公務員である教職員が五十万からおられるわけです。給与のことはわしは何にも知らない、法律だけ作ったらいいのだ、そういう文部大臣なら、私は極端な言い方をしますが、大臣なんか要りませんよ。教職員給与の問題は、それは文部大臣の重要な問題だと思うのですよ。あなたの直接所管をしておられる大学の教授、間接であるけれども地方教職員、これをわしはその担当じゃないのだ、労働大臣だ、そういう態度では……、これは私は声を大きくして悪かったですけれども、いけませんよ。やはりこの問題は非常に大事な問題ですよ。だから国家公務員、地方公務員、いわゆる公務員関係と、公企業関係の労働者との間に、給与の不均衡がはっきりと出てきたという場合はどうされますか。是正するようにせられますか。それはわしゃ知らん、そういう答弁じゃ私は納得しません。
  104. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) あなたのさっきのお問いに対して、すでに不均衡は生じないものと内閣は考えて、現業庁の御承認なさることを認めたのでございます。それで私は事は済んでおるのです。しかるに、さらに進んで一般公務員との関係はどうじゃという第二の問いがありましたから、一般公務員全体のことについては、私が答えるよりも、全体のことを見ておる大臣があるのですから、それにお聞き下さる方が正確でいいと、こう申し上げたのです。
  105. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は第二の質問はしてないつもりです。ただ一つです、質問は。それは公企業関係に対しては調停案が出たわけです。その調停案は私が今申し上げなくてもいいと思う。一時金及び近い将来にベース・アップの問題が中心になっていると思います。それでこれは政府が受諾されたわけです。この結果不均衡が起っておるというのが私どもの見解です。しかし大臣は不均衡は起っておらないものと考えるか。
  106. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) そうです。
  107. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは私は今ここで論争しようとは思わないのですけれども、今後明らかに不均衡が起ったという場合ですね。ほおかぶりはできないだろう、私はこう言っておるのです。その場合には是正されますか、こう言っておるのです。
  108. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 不均衡が起ったならばという仮定のことですが、抽象的に考えれば、世の中に不均衡が悪いのはさまっておるのでありますけれども、しかし、今具体的の三公社五現業のことからは不均衡は起らないという担当者の説明で、これを信用して、われわれは同意したのでございます。
  109. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して……。あのね大臣、もう少しすなおに筋の通った明確な御答弁をいただけないでしょうか。荒木委員の言われておるのは、今不均衡は起っていないという説明を聞いて、あなたもそう思っておる。ところがもしこれをさらに検討して不均衡があるということが明白になった場合とか、また、新たに公企業関係に何かの措置をして不均衡が出たような場合ですね。いろいろな場合があるでしょう、不均衡ができる場合。その不均衡ができた場合には、不均衡のないように国務大臣として努力をされますかと伺っているのだから、答えは簡単じゃないですか。あえてもう一回御答弁を求めます。
  110. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今荒木さんも過般の公企業体の業績手当についてのことから、私に御質問なすっておるのです。あのことからは不均衡は生じないと考えておるのです。ただ抽象的に不均衡があったならば是正するかというお問いならば、きわめて容易なことで、世の中に不均衡は悪いことですから、これは是正するのが当りまえでしょう。ひとり給与に限らず、ほかのことでも、これはもう公平の原則ですから、しかし今の問題はそうじゃないのでしょう。私がそんな抽象的なことを申し上げてあなた方が御満足なさるはずがない。世の中の不均衡は何もかも是正しようと考えておる。それは政治家の務めです。けれども、今の三公社五現業の調停案を受諾することについて起った問題ですから、それならば不均衡は生じない、こう認めてわれわれは進んでおるのであります。
  111. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は現に不均衡が起っておると思います。それから将来においてさらに不均衡が起るという考えを持っています。それは今後なお組合と当局との間の折衝が行われて、現に行われております。その結果私は不均衡が明白にだんだんなってくると思うのです。そういう場合ですね、やはり考慮せられるかどうか。
  112. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 私どもはこの間の調停案受諾によって、すなわち業績手当支給によっては、不均衡は生じておらんと思っておるのです。
  113. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は人事院はやはり相当独自の判断を下すべきだと思うのですが、もう少し詳細にこの不均衡の問題を中心にして、現状においてまた将来において起らないと言い得るかどうか。私どもそういうことは絶対に言い得ないと思うのです。むしろ明かに起りつつある。こう考えておるのですが、人事院の見解をおっしゃっていただきたい。
  114. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 先ほども申し上げた通りでございまするが、三公社五現業と一般職との間におきまして、給与体系の相違がございます。それで先ほども申し上げましたように三公社五現業におきましては、いわゆる業績の向上、あるいは経費の節約等がございました際に、まあ俗称業績手当というような名称で出し得る方法が、給与制度としてあるわけでございます。ところが一般職に対しましてはそういう制度がない。従いまして直ちにこれを制度上あるいは法解釈的に均衡不均衡論を問題にいたしましても、どうしても一番しまいのところで比較できないという問題があるのでございまして、われわれは将来に向いまして、やはり制度の根本においてこの一般職公務員の給与制度という問題を考え直すということをいたしません限り、この問題の解決はつかないのじゃなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  115. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の点ですね、給与局長にお尋ねいたしますが、あなたのおっしゃる点は非常にあいまいな御答弁になっております。そこで私は今の点を順序を追ってお尋ねいたしたいと思うのですが、それは先般現業官庁に勤めておる国家公務員の給与に関する特例法が出たことを局長は御存じだろうと思う。現業官庁に勤めておる国家公務員の給与特例法というのは、五現業の従業員は団体交渉によって高い給与をかち取っておる。ところが同じ職場におる国家公務員はそれと違った一般公務員並みの給与の適用を受けておる。これは気の毒だから、特例を認めてこれらの人を現業官庁の、つまり公社職員と現業の組合と同じようにしようというので、当時約二十億ばかりの予算措置を一年だけではありません、数年にわたってなしたはずであります。つまりこのことは、この法律が出たということは、五現業の従業員が一般職の国家公務員よりも給与が有利であるということを認めております。それにあわせて一般国家公務員を、そこに勤めておるものを引き上げる法律であったはずです。ですから現在の状態においても、現在そのままの状態においても、五現業の職員が国家公務員よりも有利であるということはこれは言を待たない。その法律が証明しております。そういう状態において今回特別な手当と、それから期末手当の率の引き上げが行われておる。そうだとすれば、どんなに考えても三公社は別として、五現業の従業員が国家公務員よりもともかくも今回一時金で措置された分と、将来ベース・アップの問題は別としても、期末手当に関する限りは有利になったということは、これは当然だと思うのですが、給与局長は私が今申し上げましたような点もお認めになりませんか。
  116. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま御指摘になりました給与特例法でございますが、この給与特例法ができました当時におきましては、給与特例法を制定する必要があるという理由の中におきましては、いわゆる団体交渉権を持っておりまするものと、それから同じ企業体に属していながら、管理的な業務に従事しておる等のために、団体交渉権のない人々とに給与の体系の相違があって、両者の調節がうまくいかないから、これを団体交渉権を持たない管理的な業務に従事しております者にも、団体交渉の結果いろいろ給与体系、あるいは給与制度等につきましても、変ったものが出てくるかもわからない、そういうものをひとしく適用し得るような法律を制定しようということが目的であったように私聞いております。ただ、この法律ができました暁におきましては、これはあに団体交渉権のない管理的な職務に従事しておる者のみならず、企業体の全部の職員にこの法律がかぶさるという体系になっておる次第であります。その点も一つつけ加えて申し上げたいと思うのでありまして、この給与特例法ができました際に二十億出た、そのことは明らかに現業の方が高くて、そうして一般職が低かったのだというまあお話しでございまするけれども、そういうことになりますると、話が非常にむずかしくなるのでありますが、われわれの方といたしましても、現在慎重に検討しておるのでありますが、一体それではいわゆる五現業三公社の給与というものと、それから一般職の給与というものが、一体いかなる状況において均衡がとれておると言い得るであろうかという問題があるわけであります。たとえば六三ベースという当時、まあこれは両者が公務員であった時代でございまするので、その当時を基準にしてその後の推移を見てみるということも一つの方法だと思いまするが、果して六三べース当時に、この両者のバランスがとれておったものかどうかという点になりますと、これはまた問題があろうかと思うのであります。で、一体この職務内容が違い、また学歴構成等が違い、また年令構成、あるいは勤続年数構成等いろいろな観点から見まして、それぞれ相違があるわけでございまするので、ただ単に平均ベースの推移がどうなっておるかというようなことを調べてみただけでは、なかなか的確な状況は把握し得ないのじゃないか、人事院がものを申します場合には、やはり相当の根拠を持って言いませんと、それはみんな引っくり返るわけであります。従来人事院といたしましては、この三公社五現業の分かれる以前は、これは一般職でございますので、所管しておったのでありまするが、分かれた後におきましては、人事院調査権もございませんので、その内容等に立ち入って十分調査することができない。また三公社五現業の方も、なかなか実情といたしまして資料の提供を、われわれが希望するほどなさらないのが、まあこれは遺憾ながら実情でございます。そういう関係で、われわれとして十分なる比較が従来なし得なかったということは非常に残念に思っておるのでありますが、人事院としては、昨年大蔵省が行いました三公社五現業、一般職、特別職等も含めます給与実態調査がございますが、これは全部まだ集計いたされておるわけではございませんが、われわれの方の希望もございまして、いろいろ集計いたしてもらっておるのでありますが、その調査等が近く利用し得るような段階に現在きておるわけであります。で、人事院といたしましては、そういう詳細な資料に基きまして、はっきりしたことでものを申したい。まあ感じとしましては、先ほど荒木委員の御質問に答えた通りでございますけれども、この問題につきまして人事院が十分ものを言う、責任をもってものを言うことになりますには、十分なる資料を持ちましての上でないと、ものが申せないという現在の段階にあるわけであります。
  117. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは瀧本さんは、今御答弁の中でも暗にお認めになっておったように、現在のまあ高いとか安いとかいうことは、個々の業務内容からすべてを検討しなくちゃならないというので、まあそういうことは実際は不可能だと思います。で、先ほどおっしゃったのは、分かれるまでは同じ体系でやってきた、それから分かれた後に今のように団体交渉権を持つものと持たないものとで差ができてきた。差ができたことは事実です。そのできた差をカバーするために、今のような法律ができたのだ。そうすると、今またそれを元の状態に御破算にして積み上げていくということは、これは実際問題として、今の御答弁が物語っているように、なかなか不可能だと、そうすると、表われてきた面だけを見れば、どんなに考えても現業官庁の方が不利であったということは言えない。少くとも先ほどのお話しのように、団体交渉権を持っているものと持っていないものですから……。その不利でなかったものの上に今回積み上げがなされておることも事実です。だとすれば、それはどれだけ高いとか、あるいはどれだけの差があるかとか、こういうことであれば、正確な資料が要りますけれども、そういう定量的なものじゃなくて、定性的といいますか、高いことは高いのだが、幾ら高いかわからない。これくらいなことはこれは人事院としても明確におつかみになっておると思いますが、それはどうでしょう。
  118. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 繰り返して申し上げるようで恐縮でございますが、人事院が正確な資料を持ちませんものですから、十分三公社五現業の比較ができないということはございます。それで本年の三月十三日に人事院総裁から倉石国務大臣に出しました書簡におきましても、調停案の内容に関しまして若干不明な点もございまするが、もしこの調停案が受諾され、実施されまして、そしてその結果一般職との間に不均衡を生ずるおそれがあると予想されますということは、申しておるわけでございます。しかしながら、今人事院が、それではどれだけ不均衡があるかということは、今の人事院の立場としては言えないのです。で、まあ政府側は不均衡がないとこうおっしゃっておられるわけです。人事院としましては不均衡が生ずる場合におきましては、団体交渉権が認められておらない一般職国家公務員に不利にならないようにしてもらいたいと、こういうことを申し上げたのでありまするし、また、その趣旨政府側と折衝したのでありまするけれども、まあ政府側におかれましても、われわれが聞いておりますところでも、二度ばかりこの問題を閣議でいろいろ御議論があったようでございますが、その結果、不均衡なしとまあ政府側でおっしゃいまするし、また、先ほどから問題になっております給与特例法の第五条の解釈によりますと、既定人件費予算の範囲内から出たものは、みなこれはいわゆる特別の給与ということで業績手当という解釈になっておりまして、なかなかつかみどころがないのが現状でございます。人事院といたしましては、今、現在におきまして、直ちにこの問題をこれ以上さらに推進するという現在法規がないのでございます。しかしながら、人事院といたしましては、やはり同じく政府職員でありまする一般職、ことに五現業のごときはこれは国家公務員でございますから、そういう職員との間にいわゆる均衡という問題が当然起ってくるわけでございまするから、その点につきましては、現在慎重かつまあ急ぎまして調査研究を進めておるような現状でございます。
  119. 湯山勇

    ○湯山勇君 大体今の御答弁、了解できますけれども、なお念のために二点だけお尋ねいたしますが、それは私は三公社はちょっと別ワクにしたいと思うのです。五現業について先ほど管理職、身分は明らかに一般職の国家公務員、それでいて給与だけ現業官庁として特別な給与を受けておる、この者といわゆる一般の国家公務員と比較して、その現業官庁に勤めておる一般職の国家公務員の方がよくなっておるという事実はお認めになりますか。
  120. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) いわゆる五現業におきまする管理的職務に従事しておって団体交渉権のない、すなわち人事院所管の職員と同様なまあ職員でございますね。こういう人々の処遇の問題でございまするが、そういう人々とそれから人事院所管の職員とが同じく団交権がないという意味におきまして、この両者のバランスというものは的確にとらねばならんじゃなかろうかという問題、一つあると思います。と同時に、一つの企業におきまして、たまたま管理的職務に従事いたしますために団交権を持っております職員の処遇と異なるという問題がここにあるわけでございます。でどちらをより優先さして考えなければならぬだろうかという問題が起るわけでございますが、給与特例法が取り上げられましたゆえんは、むしろ一般職で団交権がないといいながら、同じ企業体に属しておりますものの方をより厳密に均衡をとる必要があるという趣旨から、この給与特例法が取り上げられたとこのように考えます。
  121. 湯山勇

    ○湯山勇君 もう一点業績手当ですね、調停案を見ますと、どう見ても常識のある人が見れば、これは業績手当を出せというふうにはとれません。ただ、政府は業績手当だという解釈をしておるだけだと思います。で調停案の文章をすなおに見て、局長はやはりこれは業績手当を出せということだと御判断になりますか。それとも政府がそう言うから、そういうふうに了承しておるのだということなんですか、この点いかがでしょう。
  122. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) その点につきましても、やはり問題をぎりぎりにしぼって参りますと、そうして出される給与というものが法律解釈としてどういう性質のものであるかということにならざるを得ないのではなかろうか。この点はどうしても最後に問題になります場合に、そういうことになると思います。感じだけでものが言えない点があろうかと思うのです。で、人事院といたしましては、その手当というものがかりに業績手当という名称で出されるであろうか、どうであろうかという点についても疑問を持ちましたし、そういうわけでございますので、中央調停委員会質問状を発したのでありますけれども、その結果は、これは明らかに業績手当であるという御回答があったのであります。政府側もそう言っておられるので、人事院としては何ともいたしようがないというのが現在の状態であります。
  123. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと関連して。瀧本さんに伺いますが、調停案を組合側がのんだという段階において開かれた参議院の予算委員会における淺井総裁の答弁ですね、それと今のあなたの答弁のとっておる態度と若干私は食い違いがあると思いますがね。というのは、あの段階において淺井さんは、これを公社側が、政府側が調停案をのむときまったような場合においては、団交権を持たない国家公務員との均衡上、国家公務員も何らかの措置をすべきものと思う、こういう発言をされたのです。そのときの淺井総裁の腹は、あの調停案がのまれたならば、アンバランスができるのだという見通し、前提のもとに発言をされておられたということは私は間違いないと思うのですがね。ところが今日の段階になってどうも自分たちは権限もなければ、調査権もないので、業績手当なるがゆえに、アンバランスがあるかないか調べ得ないのだ。だから政府側の方でアンバランスがないと言えば、いたし方ないのだというような立場からの御発言は私はおかしいと思うのですね。あなたのところでアンバランスがあるかないか、やはり何らかの人事院としての見解というものがなければ私はならぬと思うのですが、そういう見解は出し得るという前提のもとに、淺井さんがああいう答弁をあの段階において参議院の予算委員会でなされたと思うのですが、いかがお考えになられますか。
  124. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 今の問題はどうもうっかりはなかなかお答え申し上げにくいような感じがいたすのでありますが、先ほども湯山委員の御質問に対しまして、やはり根本的には給与制度の問題になるのではなかろうかという考え方をいたしております。さらに詳細な資料が得られましたなら、各種の観点からこの問題はさらに人事院としては検討いたすつもりだということを申し上げましたので、その程度で御かんべん願いたいと思います。
  125. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  126. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) 速記をつけて下さい。
  127. 湯山勇

    ○湯山勇君 従来昇給の財源、これは何パーセントあれば完全昇給できるかというように人事院は見ておられたか。これは理論的な問題ですから、一つ端的にお答えいただきたいと思います。
  128. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 何パーセントあれば昇給できるかという問題でございまするが、その前にやはり前提条件があるのでありまして、たとえばこの級別定数をきめます場合に、たとえば七、八級の辺をどの程度ふやすとか、あるいは上の方を少くして下の方をふやすとか、そういうことによりまして昇給原資というものが変ってくるのであります。それからまた、昇格あるいは昇給の基準を変えるというようなことによりましても、これは変ってくる。それでまあ終戦後非常に大量な職員が入って参りましたために、抜けていく人が非常に少いというようなために、順次しり上りにずっと上っているという体系も現在あるわけであります。言いかえれば、新陳代謝が適当に行われていないというような状況があるわけであります。そういうところにおきまして、ある一定年度の昇給原資がどれくらいであるということは言えるのでありますけれども、なかなかこれは一般的な原則としてはどれくらいあればいいということは言えない。しかし、この問題を三十一年度に限って申しまするならば、われわれは予算のことは事実これは大蔵省所管でよくわからない。人件費予算にしましても、途中で人を落しましたり、ふやしましたり、いろんな要素がございますから、本来予算書に載っておりますところだけでは判断できないところがあります。それでわれわれの方で実態として、それでは三十一年の四月一日現在におきまする現員を押えまして、その年間における昇給、これを支障なくやる。支障なくという意味は、あるいは休職でありますとか、停職でありますとか、そういう方はもちろんこれは昇給しない。それからまた成績が極度に悪い人、これもまあ昇給しないという程度のところで、一般的に給与法に定めてある最低昇給資格要件ができましたものは昇給するということで計算いたしてみますと、昇給原資は二・七%というのが一応のわれわれの理論的計算になっておるのであります。三十一年度はどの程度に実際昇給原資が組まれているかということをわれわれの方で推算いたしました結果、二・五%程度で組まれているということがわかったのであります。当初は二・五%、予算の第一次内示がありました当時は、それほど組んでございませんでした。しかしその後におきますこれは人事院だけの努力とは申しかねますが、われわれも努力いたしまして、これを二・五のところまでこぎつけたのであります。まあ〇・二%足らないということは、これは明らかなんです、計算上は。しかしながら、これは人事管理の問題とも相当関連しておりますし、また、年間を通じましてどういう人事異動が行われるかという不確定要素があるわけでありますから、その程度のことでありますならば、まずこれでやってみまして、そうして年度途中においてどうしても足りないというようなところにつきましては、これはまた何とか方便を考えるということでゆくのが適当じゃなろうか、このように考えております。
  129. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) それでは御質問もないようでありますから、本件に関する質疑は終了したものと認めます。  なお……。
  130. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 倉石労働大臣淺井人事院総裁に対する質問は残っておりますから、次回に……。
  131. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) 承知いたしました。
  132. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) それでは次に、委員会が開会される前に理事会がございましたが、その経過について御報告をいたします。従来当委員会において調査を行なって参りました諸案件のうち、早急に解決すべきものについて理事会を通じて折衝を行なって参りました結果、次のような一応の案がまとまったわけであります。その案につきましては、すでに御手元に御配付済みのことと思います。その一つは、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律案、一、公立養護学校整備特別措置法案、一、盲学校ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案の二件であります。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  133. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) 速記をつけて。  ただいまの案件につきましては、各会派にお持ち帰りの上、御了解を願いまして、来週火曜日委員会決定を目標として進行をはかりたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) さよう決定いたします。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後四時五十六分散会    ――――・――――