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1956-02-28 第24回国会 参議院 文教委員会 第5号 公式Web版

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  1. 連合審査会開会の件 ○参考人の出席要求に関する件 ○万国著作権条約の実施に伴う著作権 (会議録情報)

    昭和三十一年二月二十八日(火曜日)    午後二時三十一分開会   —————————————   委員異動 二月二十四日堀末治辞任につき、そ の補欠として小西英雄君を議長におい て指名した。 二月二十八日委員安部キミ子辞任に つき、その補欠として岡三郎君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     飯島連次郎君    理 事            有馬 英二君            川口爲之助君            湯山  勇君    委 員            剱木 亨弘君            中川 幸平君            三木與吉郎君            吉田 萬次君            秋山 長造君            高橋 道男君            竹下 豐次君   国務大臣    文 部 大 臣 清瀬 一郎君   政府委員    文部政務次官  竹尾  弌君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省社会教育    局長      内藤誉三郎君    文部省調査局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○参考人出席要求に関する件 ○万国著作権条約実施に伴う著作権  法の特例に関する法難案内閣提  出) ○学校給食法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○国立学校設置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 委員長(飯島連次郎君)(飯島連次郎)

    委員長飯島連次郎君) これより文教委員会開会いたします。  まず委員異動について報告いたします。  二月二十四日堀末治君が辞任され、その補欠として小西英雄君が選任されました。また本日安部キミ子君が辞任され、その補欠として岡三郎君が選任されました。   —————————————
  3. 委員長(飯島連次郎君)(飯島連次郎)

    委員長飯島連次郎君) 次に、先日及び本日の理事会経過について報告いたします。  内閣委員会に付託されております臨時教育制度審議会設置法案につきまして、理事会協議した結果、委員長が、内閣委員長と話合いをいたしました瀞、結局付託替という方法はやめて、連合審査会方法をもって審議を行うということになりました。本件に関しては、内閣委員会ですでに議決を行いました。  次に地方行政委員会に付託されております地方公務員法等の一部を改正する法律案に関して、連合審査会を開くことについて協議を行いました結果、これを開会することに意見の一致をみました。  次に昨年末、当委員会において議題となり、参考人から意見を求めるという意見が出ておりました例の僻地教育高等学校定時制教育大学制度及び高等学校教科課程について協議を行なった結果、種々の事情を考慮して、今回はとりあえず僻地教育高等学校定時制教育意見について参考人から意見を求めることとする。その人数はおのおの四名。日時は三月八日木曜日午前十時から委員会を開くということでどうであろうかということになりました。  次に本日の議題といたしましては、本院が先議になっております万国著作権条約実施に伴う著作権法特例に関する法律案及び予備付託学校給食法の一部を改正する法律案について提案理由説明を聴取すること、次に衆議院から送付されてきました国立学校設置法の一部を改正する法律案及び日本学士院法案質疑に入ること、次に昭和三十一年度文教予算について審議を行うということであります。  以上御報告の通り取りはからうことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 委員長(飯島連次郎君)(飯島連次郎)

    委員長飯島連次郎君) 御異議なければさよう決定いたします。  つきましては、以上二件に関する連合審査会開会日時委員長に御一任願いたいと存じます。なお参考人の人選につきましてはこれを委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 委員長(飯島連次郎君)(飯島連次郎)

    委員長飯島連次郎君) 御異議なければさよう決定いたします。   —————————————
  6. 委員長(飯島連次郎君)(飯島連次郎)

    委員長飯島連次郎君) 万国著作権条約実施に伴う著作権法特例に関する法律案学校給食法の一部を改正する伝承案、以上二件を一括して議題といたします。政府提案理由説明を求めます。
  7. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) まず先に万国著作権条約実施に伴う著作権法特例に関する法律案、この方から提案理由及び内容について御説明申し上げたいと存じます。  まず、この法律案提案理由を御説明いたします前に、万国著作権条約について若干御説明いたします。  従来、著作権に関する多数国間条約としては、ベルヌ条約米州関係条約とが併存対立しておりました。  前者すなわちベルヌ条約は、著作権保護に関して無方式主義原則とする条約であり、後者は、すなわち米州関係の諸条約方式主義原則とする条約であり、この両条約の統合は戦前から試みられましたが実現をみなかったのであります。戦後ユネスコが設けられるにおよびこの両条約橋渡し実現することを目的として万国著作権条約が創設せられました。  この条約は、ベルヌ条約米州条約の両系統の条約を統合するものではなく、これらの条約併存を認めた上で橋渡しの役割を目的とするものであります。  わが国はすでに明治三十二年ベルヌ条約に加入するとともに著作権法を制定いたしまして今日に至っておるのでございます。  万国著作権条約につきましては、第二十三回国会で前の臨時国会批准の承認を得ましたりで、本甲一月二十八日批准書を寄託いたしました。この条約によって新しい関係を生じますのはおもに米州諸国であり、これらの諸国のうち著作権について特に深い関係を生ずるのは主としてアメリカ合衆国でございます。  次に、万国著作権条約内容といたしましては、第一に、この条約は内国民待遇原則をとっているのであります。すなわち、締約国は他の締約国著作物について自国民著作物に与えている保護同一保護を与えればよいこととしておるのでございます。  第二に、著作物にCの記号と第一発行の年と著作権者名前を表示すれば方式国で自動的に保護を受けるという日本にとって有利な規定を有しているのでございます。  第三に、著作物保護期間について締約国間に長短がある場合には相互主義を援用することができる旨の規定がございます。  第四に、翻訳権については法定許諾制を採用することができる旨を規定いたしております。  以上が万国著作権条約のおもな内容でございます。この条約は本年四月二十八日からわが国について発効いたしますが、この条約は、国内法の定めるところにより、わが国にとって有利な保護期間相互主義翻訳権に関する法定実施権制度を採用することができることとしております。そこで、これらの事項について著作権法特例を定めるとともにこの法律適用を受ける著作物範囲等についても法律で明らかに定める必要が認められたわけでございます。これがこの法律案を提出する理由でございます。  次に、この法律案内容概要について御説明申し上げます。  第一は、万国著作権条約に基いて著作権法保護を受ける著作物保護期間について特例を設けたことでございます。すなわち、その一つには、著作権法規定する保護期間著作物本国法令で定められている保護期間より長い場合には、その超過する部分は保護を与えないことといたしました。その二つには、著作権法によれば保護対象となっている著作物でありましても、著作物本国法令では著作権保護を受ける種類に属していないものについては保護を与えない旨を明確にしたのでございます。  第二は、翻訳権に関する特例を定めたことであります。すなわち、原著作物最初発行された年の翌年から起算して七年以内に適法な日本語翻訳物発行されていない場合に、この期間経過後、日本国民は、文部大臣の許可を得て補償金を支払い、または、供託してその日本語翻訳物発行することがございます。  第三は、ベルヌ条約による保護万国著作権条約による保護との併存から生ずる紛争を避けるために、ベルヌ同盟加盟国の一を著作物本国とする著作物については、ベルヌ条約のみが適用せられますので、かような著作物についてはこの特例法適用がない旨を明らかにしたことでございます。  第四は、日本国との平和条約第十二条の規定に基いて同条約最初効力発生の日から四年間、内国民待遇保護を受けている著作物については、この法律施行の日以後もなお従前どおり著作権法による保護同一保護を受ける旨の規定を設けたことでございます。  第五は、この法律はこの法律施行の日以後に著作され、または発行された著作物についてのみ適用する旨を規定したことでございます。すなわち、遡及効のないことを宣言いたしました。  以上がこの法律案提案理由および内容概要でございます。なにとぞよろしく御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。  次に学校給食法の一部を改正する法律案提案理由説明をさせていただきます。  このたび政府から提出いたしました学校給食法の一部を改正する法律案提案理由及び改正内容はおおむね次のごとくでございます。  まず本法提案理由の第一は、学校給食法適用中学校等義務教育学校に及ぼすことでございます。すなわち現在は小学校等について行われている学校給食は、昭和二十九年第十九回国会において、成立いたしました学校給食法に基いて実施されているのでございます。この法律が、施行されて以来、小学校等における学校給食は、教育の一環として実施されるべきであるという教育的な認識が深まり、これが普及の状況もきわめて順調な進展を示しているのでございます。  しかしながら、この現行法適用は、ただいまのところ小学校等に限定されておりますので、小学校における教育に引き続いて実行さるべき中学校等生徒に対し、現行法適用することができないことになっております。本法適用をすみやかに中学校等生徒にも及ぼして、ひろく義務教育学校において、学校給食実施を容易ならしめることは、強い世論でございます。かつまた、現行法成立の際の附帯決議の御趣旨にも添う所以と存ずる次第でございます。  提案理由の第二は、準要保護児童学校給食に要する経費の一部を国において補助しようとすることであります。すなわち現行学校給食実施上、一つの支障となっているものに、いわゆる準要保護児童給食費の問題があるのであります。これら準要保護児童給食費について教育的見地から何らかの援助の方途を講ずべきことが、かねがね強く要望されていたのでございます。申すまでもなく学校給食実施する学校におきましては、その学校に在学する全児童の参加のもとに実施することを建前といたしているのでありますが、児童のうち、その家庭が経済的に困窮いたしているために、給食を受ける児童保護者が負担すべき学校給食費を、学校に持参することができない児童が若干認められるのであります。従ってこれらの児童のために何らかの措置を講じない限り、学校給食に全児童が参加するという建前は、崩さざるを得ないことになるのでございます。  学校給食実施上、このような事態が生ずることは、まことに遺憾であると申さなければなりません。もとより国としては、このような困窮家庭児童に対しましては、その貧困程度に応じまして生活保護法による教育扶助制度を通じて、学校給食費を給与しておるのでございますが、この教育扶助対象となる児童以外に、なお、その家庭貧困度生活保護法適用を受ける者と同等又はこれに準ずると認められるいわゆる準要保護児童が、その学校給食費の負担に堪えかねている実情であります。  国といたしましては、さし当り公立小学校におけるこれら準要保護児童学校給食費の一部を補助するために必要な経費昭和三十一年度の予算に計上いたして、この法律案に基いて、補助制度を発足させようとするものでございます。  次にこの法律案内容概要を御説明いたします。この法律案内容といたしますところは、まず第一に、現行法適用義務教育学校に及ぼすための改正であります。すなわち現行法各条の中に文字において「小学校」若しくは「小学校等」と規定されてありますのを、すべて「義務教育学校」に改め、第三条に新たに一項を加えまして、この法律でいう「義務教育学校」の範囲を定義し、また現行法各条中に「児童」と規定されてあるのを、それぞれ「児童及び生徒」または「児童又は生徒」のいずれかに改めたのであります。  次に、さきに説明いたしました準要保護児童にかかる学校給食費に関する国の補助につきましては、第七条に新たに一項を設けて、これを規定いたしました。すなわち、公立小学校設置者が、給食を受ける準要保護児童保護者の負担すべき学校給食費の全部又は一部を補助する場合には、国は、その設置者に対し、当分の間、政令で定めるところにより、予算範囲内において、これに要する経費の一部を補助することができることといたしたのであります。  以上この法律案を提出いたしました理由及びその改正内容の概略を御説明申し上げました。何とぞ十分御審議の上、御賛成下さるようお願い申し上げます。
  8. 政府委員(内藤誉三郎君)(内藤誉三郎)

    政府委員内藤誉三郎君) このたび提出いたしました万国著作権条約実施に伴う著作権法特例に関する法律案提案理由につきましてただいま文部大臣から説明がありましたが、私からこれを補足してその要旨について御説明申し上げます。  まず、第一条は、この特例法目的について定めております。万国著作権条約は内国民待遇原則に対して保護期間及び翻訳権について特例を認めておりますので、この条約規定に基いて保護を受ける著作物保護期間及び翻訳権について著作権法特例を定める旨を明らかにしております。  第三条及び第四条は保護期間特例に関する規定であります。  第三条第一項は、著作物保護期間について相互主義適用する旨を明らかにしております。  第三条第二項は、保護を受ける著作物種類についても相互主義適用する旨を定めております。すなわち、相手国著作権保護を受けない種類著作物、たとえば、米国政府刊行物・レコードのごときものは、日本でも著作権保護を与えない旨を明らかにしたのであります。  第四条第一項は、非締約国最初発行された締約国民著作物については、相互主義適用上、その締約国民の属する国を著作物本国とみなす旨を規定しました。これは、万国条約国籍主義をとっているのでかような規定を必要としたのであります。  第四条第二項は、二つ以上の締約国で同時に発行された著作物については、相互主義適用する場合、その保護期間の最も短い約締国著作物本国とみなす旨の規定であります。  第五条から第八条までは法定許諾に関する規定であります。  第五条は、翻訳権に関する法定許諾規定であります。万国条約では、翻訳権は原著作権同一期間存続するのを原則としていますが、締約国国内法で、他国語の文書たとえば英語の著作物を、自国の国語たとえば日本語に翻訳する権利について法定許諾制をとることができると規定しています。そこで日本もこの制度を採用することとしました。この規定ベルヌ条約における翻訳権に関する十年留保が万国条約では認められないことになったので、それにかわるものであります。  第六条は、法定許諾による翻訳物発行する権利は譲渡することができない旨の規定であります。  第七条は、法定許諾による翻訳物にはその出所を明示しなければならない旨の規定であります。  第八条は、法定許諾による翻訳物輸出禁止に関する規定であります。しかし、かような翻訳物の輸入を認める国へは輸出することができる余地を残しました。  これらの規定は、いずれも万国条約規定されている事項であります。  第九条は無国籍者及び亡命者に関する規定であります。万国条約の第一附属議定書がこの議定書締約国に常時居住する無国籍者及び亡命者締結国国民同一に扱う旨を規定しておりますので、この特例法においてもこれらの者を締約国国民とみなす規定を設けました。従って、この議定書締約国たとえば米国に常時居住する無国籍者及び亡命者著作物についてもこの特例法適用せられるのであります。  第十条は、ベルヌ条約保護を受ける著作物について規定しております。すなわち、ベルヌ条約万国条約保護を重複して受ける著作物については、この特例法適用せられず、著作権法のみが適用せられる旨を明らかにしました。従って、万国条約締約国たとえば米国ベルヌ条約国たとえば英国で同時発行された著作物を翻訳する場合には著作権法第七条の規定適用せられ、翻訳権は十年で消滅することになるのであります。  第十一条は、日本国との平和条約第十二条の保護を受けている著作物についての規定であります。すなわち、この特例法施行の際、日本国との平和条約第十二条に基いて日本で内国民待遇を受けている万国条約締約国民の既存の著作物たとえば米国人著作物は、この法律施行後も従前通り著作権法保護同一保護を受ける旨を規定したのであります。これは万国条約第十九条の趣旨並びに既得権尊重という一般法律理念に基いたものであります。  次に附則2は、この法律の不遡及について規定したものであります。この特例法は、この法律施行後、すなわち、万国条約日本について効力を生ずる日以後の著作物についてのみ適用する旨を規定し、遡及効のないことを明らかにしたのであります。従って、翻訳権について法定許諾制実施されるのは七年以後のこととなるのであります。  附則3は、著作物の第一発行年月日登録制度を創設した規定であります。  この第一発行年月日公簿に登載しておけばその年月日法律で推定されますので、紛争が生じた場合に当事者にとって立証手数が節約されることとなるのであります。また、万国条約効力発生方式国においてC記号を付した日本著作物について争いが生じた場合にも、当事者はこの登録の謄本を送付すれば複雑な立証手数と費用とを節約することができるのであります。  この登録申請者義務を課すものではなく、申請するといなとは申請者の自由であります。この点は、従来の登録制たとえば著作年月日登録と同性質のものであります。  以上がこの法律案内容の要点であります。何とぞ十分御審議の上御賛成下さるようお願い申し上げます。
  9. 委員長(飯島連次郎君)(飯島連次郎)

    委員長飯島連次郎君) 本件に関する質疑は後日に行うことにいたします。   —————————————
  10. 委員長(飯島連次郎君)(飯島連次郎)

    委員長飯島連次郎君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 この京都大学設置されるウイルス研究所ですが、こういう性質研究所は今どことどこにございますか。
  12. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) こういう性質と仰せられまするのが大学附属研究所という意味でありますれば、全国に五十五の付置研究所がございます。設置せられまする大学は、旧帝大あるいは旧官立大学基礎といたしました大学でございます。  それからまた御質問がこういうウイルスのようなものを研究する付置研究所がどこにあるかという御質疑でありますれば、これは東京大学付置伝染病研究所、それから大阪大学付置徴生物病研究所、これらにおきましては、その中の一部内におきましてウイルス研究をいたしております。
  13. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 それではウイルス研究所という名前のついたのは今度が初めてでございますか。
  14. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 今度が初めてでございます。
  15. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 こういう研究所設置するのは何かこれを審議する機関がおありになるかどうか。今回のこの研究所設置につきましても、どういう機関でどういうふうに審議をなさって京都大学に初めてこのウイルス研究所設置するということになったのか、その経緯を御説明いただきたいと思います。
  16. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 研究所設置につきまして、ある場合におきましては日本学術会議において審査せられて建議の結果文部大臣設置する場合があります。その他の場合は文部省に、これは文部省内限りの大臣裁定で置かれております諮問委員会的の性質機関でありますが、研究所協議会という協議体がありまして、各方面学者をもって構成しております。この協議会が現在の研究所のあり方をどうするか、将来新しい領野において急速に研究を必要とする面を研究所として建てるか、あるいはその他の体制で建てるか、研究所として建てればどういう場所にどういう組織でやったらいいかというようなことを常時審議いたしまして、その結果に基いて文部省関係大学と相談の上創設する場合がございます。ウイルス研究所につきましては研究所協議会において、ウイルスについてはどういう組織研究したらいいかというようなことから入りまして、京都大学中心としてウイルス研究所を置くことがけっこうだろうというような答申を受けましたのに端を発して、京都大学協議の上設置に至ったわけでございます。
  17. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 京都大学は特にビールス研究に精通した学者がいるとか、特別のそういう条件があるわけでございますか。
  18. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 御承知のように、現在ビールス学界一つ中心勢力となっておりますのが京都大学の医学部でありまして、木村廉博士中心とする学者の方々がありまして、相当この方面に業績をあげておられるので、ここにウイルス研究所創設という経緯になったのでございます。
  19. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 学術会議はこれについて別に意見もなく、また文部省の方で学術会議にお諮りになるというようなことはなさらなかったのでしょうか。
  20. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) ウイルスに関連いたしましては建議もなく諮問もございませんでした。
  21. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 学術会議では以前から放射線基礎医学研究所設置してもらいたいとか、あるいは分析化学研究所です外、中央機関、そういうものをぜひ設置してもらいたいという強い要望があったかと思いますが、それらについては今回取り上げられていないが、どういう理由でお取り上げにならなかったか、将来お取り上げになるとすればいつごろどういう構想でお取り上げになるか、そういう点についてお伺  いいたしたいと思います。
  22. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 学術会議から政府建議がありました場合に、いわゆるスタック科学行政協議会においてそれを政府のいかなる機関実施するかということを協議決定いたします。ただいまの御質問放射線基礎医学研究所につきましては、当初これを文部省及び厚生省において取り扱うようにスタックでは決定せられたのであります。その後に原子力局ができる話になりましたので原子力局において、両省において別々に扱おうというのを一つにまとめて扱うことが最も効率的であるという考えになりましたので、これは原子力局に置かれることになったわけでございます。それから第二の分析化学研究所につきましてはやはり同じスタックにおいて研究の結果、これは相当応用研究に関連する面が多いので総理府設置しようという議がございますが、これはまだ実現ということを聞いておりません。
  23. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 今の放射線基礎医学研究所の方はわかりましたが、分析化学中央研究所ですか、そういう機関総理府設置するというのはどういう意味でしょうか。ちょっと了解に苦しむのですが。
  24. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) その当時におきましては、たとえば航空研究所総理府に付設されておりましたので、それと同じような形においてというスタックの決定があったと思うのでございますが、今国会において科学技術庁審議せられておって、科学技術庁にそういう総理府に所属しておりましたもの、あるいは所属しようとしておりましたものが付置せられる形勢になって参りましたから、おそらくこれは科学技術庁付置せられる研究機関になるであろうと私は考えます。
  25. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 それからこの先般いただいた資料によりますると、来年度できるのは病理学部と物理学部で化学部、血清免疫学部予防治療部、こういうものはあと回しになっておりますが、特に病理学部と物理学部をお選びになった理由、それから他の三部門は一体いつできるか、その構想、それからさらに先ほど御説明のありました東京大学研究所あるいは大阪大学、そういうところではこの部門のどういうものをやっておるか、そういうことにつきまして簡単に御説明を願いたいと思います。
  26. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 大体五部門の計画であります。まあ将来この領野の研究が非常に深くまた広くなって参りますれば決して五部門に限るわけではありませんけれども、今予見いたしまするのが五部門でありまして、いろいろ予算等の関係がありまして、明年度においては病理、物理の二部門をもって出発いたします。あと化学、血清免疫、予防治療はわれわれの考え、計画といたしましては三十二年度に設置いたしたいと考えております。これはそのときのいろいろ予算問題になるのでございますが、計画としては二カ年をもって完成いたしたいつもりをもっております。病理、物理はこの研究所におきましても基礎的な根幹をなすべき部門だと考えております。すなわち病理学部はウィルスの病原性及びウイルス病の病気の特性を研究する面でありまするし、物理学部はウイルス自身の性状、特性というようなものを、あるいは特に感染、増殖の経路等を究明するこれが出発であろうかと思うのでございます。それらの基礎の上に将来侵された臓器がいかなる化学変化を起すとか、あるいは予防治療のために血清免疫、あるいは予防治療をどう考えるかということがその上に築かれるのが順であると考えまして、この二部門から出発したわけでございます。それから伝染病研究所におきましては、やはりウイルス病全般についてこれは荒川教授その他が相当業績をあげております。それから阪大の微生物病研究所におきましてはウイルスの関連のうちに特に麻疹、はしかでございますが、はしかについての研究が相当進んでおりますので、今御審議いただきます予算につきましてはこの微生物病研究所には麻疹部門を特に増設する予算をお願いしておるような次第でございます。
  27. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 ただいままでの御説明では大体医学部門に属する研究が重点であるように承わったわけですが、たとえば植物病理の方のビールス研究ですね、そういうものについてはこの研究所ではほとんどお取扱いにならないというお考えでしょうか。
  28. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) この研究所が発生的に医学部を基礎としておりまするので、主として病理あるいは公衆衛生というような観点からウイルスをつかむわけでございます。しかしウィルスの実体を究明した場合に、それが農学あるいは植物等のバイラスあるいはウイルスというような面について、もちろん影響はあろうと思いますけれども、直接つかんでおりますことは、病理的な意味から本体を究明したいという意図でございます。
  29. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 この物理学門ですね今度設置される。この物理学部門におきましては、ビールスそのものの性状を調べていこう、で、こういうことになれば、従来の例からいけば、タバコのモザイックのビールスなんか非常に早く見つかったものでもあるし、かなり研究対象としてはしやすいものではないかというように考えられるのですが、そういうものをあわせて研究することによって、もっと広い部面からビールスの正体をつかんでいくというようなことについては、今お考えにはなっていらっしゃらないのか。モザイック病なんかでは感染の研究なんかもかなり、でき上っているとは思えないと思いますけれども、進んでいるのではないかというふうに思うんですが、そういうことはまた別の機関でおやりになる御予定でございましょうか。
  30. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 私が伺っておりますことは、このビールスに関連して、動物性あるいは細菌性、植物性、三つの性質があるようでありますが、特に京都大学においてつかまえておりまするのが動物性ウイルス、そのうちにも特に天然痘、狂犬病、インフルエンザ、小児麻痺、日本脳炎、麻疹、トラコーマ、流行性肝炎、デング病などに関連いたしまするものを中心として研究するそうであります。植物学上よくバイラスと呼ばれて研究しておりますウイルス等につきましては、直接この研究所では扱わないように伺っております。
  31. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 あとでまたお伺いしたいと思います。
  32. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 京都にウイルス研究所をお作りになる、特にその方の権威者が京都に数人おられるからということでありまして、まことにけっこうなことだと思っておりますが、先ほど名前をおっしゃいましたけれども、私ちょっと聞き落しましたが、その先生は大学の教授で講座をお持ちになって相当にお忙しい方だろうと思っております。現在察するに、講壇に立ちながら、そして一方大学研究所研究していらっしゃる、こう思います。ところが今度それがまた組織が大きくなりまして、一そう深い研究を、また広くしなければならないということになりますというと、研究の方が忙しくおなりになるだろう。そうしまするというと、逆に講座の方は、学校の先生の方がおろそかになっていかざるを得ないようなことになりはしないか、こういうふうに気遣われるのでありますが、その点は心配はなくやれることになっているんでございましょうか。
  33. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 木村廉氏を中心とする教授組織がこのここに当っているということを申し上げたわけでありますが、私、具体的にどういう方がその研究所に移って、どういう方が教室に残るかはまだ伺ってはいないのでございますが、こうした研究所を建てますことは、能率的にまた、何と申しますか、中心的に急速にこの研究の成果を上げますには、講座では十分でないので、必要とする部門がこうして飛び出して大きく出して大きくふくれてくるという格好でございますので、自然、従来小さい教室のうちに充実しておられた方々が、ある方はこの新しい領域に移り、ある方が教室に残る、勢力が分散されることだろうと思うんでございますが、私どもが京都大学にお願いしておりますことは、できるだけ広く人材を集めて、この新しい研究所を立てていただきたい。この点は京都大学も非常に御賛成でありますので、単に従来の教室の方々が二つに分れることでなく、教室は教室として勢力を落さずに、新しい領野については、広く人材を得て充実されることだと私は考えております。
  34. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 現在の研究室と申しますか、そのほかに別に研究所というものができまして、そこで大きく研究をおやりになる。そうすると人手もよけい要る、それが相当の程度まで、十分とまではいかないでも、人集めができるそれだけの予算が組まれるということになりますれば、もうおっしゃる通りでありまして、何ら先生としての働きに差しつかえが起ってこないということになってくるわけでありますが、しかしいろいろな点を総合して考えますというと、なかなか理想通りに人を集めるということもできないし、金も伴わないということになる心配がどうしても抜けないだろうと思うのであります。私がこういう質問をいたしまする気持は、実はこの問題に限らず、大学の先生は研究と講義の方は兼務していらっしゃいます。大体そういうことになっているだろうと思います。これはりっぱな講義をするためには、研究することがもとより必要であります。しかしその研究の方にあまり力を注ぎすぎる、従って時間を多く費さなければならないということになるというと、どうしても一方の方がおろそかになる傾向があるのじゃないか、ことに学生に教える程度以上の深い研究をしなければならないわけだろうと思っております。そうじゃなくちゃほんとうの研究所目的を達することはできません。大学の学生でありますから、学問のうんのうをきわめさせなければならないものでありましょうけれども、それにしても大てい限度があるので、そういう深いところまで一々教えるわけにもいかず、教える必要がなくして、課程を終えればそれでいいのだ、かようにも考えられるわけなんです。この問題のみならず、ほかの工学部にいたしましても、医科のうちのほかの科目にいたしましても、どうも私は外国のことはよく知りませんけれども、外国ではよほどそのけじめをはっきり立てて、学校の先生は先生として必要なる程度の研究にある程度とどめる、というわけにもいかないのかもしれませんけれども、とにかく生徒に教えることを主眼目として大学の教授になっておられる。研究の方はまた別にほんとうの研究所関係を主として研究していくということでやっているように伺っております。その点が日本大学研究室、講座と研究室の関係、それから研究所関係がどうもばく然としまして、ごっちゃになってしまっている。それがために迷惑するのは学生じゃないか、そうして先生としてもどっちつかずの中途半端な研究になり、教授になってしまうのじゃないかということを、私は平生から考えて疑問に思っているわけであります。ちょうどこの問題が出て来ましたからお伺いするわけでありますが、この問題につきましては、大臣もお考えがあるだろうと思っておりますので、今すぐにどうということのほかに、根本的にどういうふうなお考えを持っておられますか、大臣のお考えもお伺いしたいと思うのです。
  35. 有馬英二君(有馬英二)

    ○有馬英二君 ちょっと関連質問。  関連してお伺いしますが、この研究所教育機関ですね、つながっているかいないか、今の竹下委員からの御質問がそれに関連していると思うのですが、研究所ですから大学に付設されておりますけれども、直接教育に、つまり学生の講義をするという任務を、この技官といいますか、教授となっておりますか、が与えられているのかどうか、教育に専念せられるようにできているのか、あるいは教育を兼ねているのか、あるいはそうでなしに研究ばかりやるような任務を帯びておるのかどうかということを第一に私はお尋ねいたします。
  36. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) あとの方なのでございます。詳細は大学局長から御説明させます。学生を教えないで、研究所大学院の方の手伝いをするのであります。
  37. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 今、大臣が答えられた通りでありまして、竹下委員の御質疑の御趣意のような線に沿うてわれわれこれはできたように解釈しておるのです。講座では研究にもある限度がございます。急速に能率的に研究をやるために、特にこういう研究所を学部の外に作りまして、特に八名という教官定員、二名というその他の定員を入れて独立した機関でいたします。その点、有馬委員の御質疑のように、この研究所に入った人は、専心研究のみに従事するわけであって、学部の学生の教授には当らない建前であります。ただ、大学院の研究生の中で、特にビールス研究しようという人に対して、これは学部に対して協力して指導するということは、これはあろうと思います。本来の職能は研究ばかりであります。
  38. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 先ほど私お尋ねいたしましたことについて、日本の現在の教育制度と講座とそれから研究室なり研究所を兼務しておられる方々のこの後の問題につきまして、何か大臣のお考えございませんでしょうか。ございましたら承わりたいと思います。今のような状態でやっていいのか、あるいはそういう問題を根本的に考えなければならない問題であるのかという点につきまして……。
  39. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) やはり新しい事物の研究には精神を集中して、それのみを研究しなければ進歩はむずかしいと思います。しかしながら、その研究は成果を得て、組織ある一つの学問となれば、それをまた別に学校で教えることにはなるであろうと思います。
  40. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 私がお尋ねいたしますのは、今、大臣のお答えのことは、その通りでありまして、研究した結果は教室で講座に立って先生がお教えになるのでありますから役に立たないことはないのでありますけれども、結局、研究に使う時間が多過ぎるということ、それが学校の学生に教える程度を越した研究に非常に大きい時間を費すということになりますというと、学生に教えるに適切な程度の研究がむしろおろそかになってしまう。いろんな教授の方々にしても、いろんな問題がかえって困ることになるのじゃないかと、現在のところでは日本大学の先生のお話を聞きましても、そういう方面につぶされる時間が大へん多いので、講座の方にどうも困るような場合があるということを聞いておりますので、その点を少し何とか文部省の方でもお考えになる必要があるのではないかと、かように私は考えておるわけでありまして、そういう意味でお尋ねしておるのであります。私のお尋ねする表現がまずくてあれかもしれませぬが……。
  41. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) ごもっともな、私もわからぬことはございません。学生に教えるのも、それは本だけを見てあるたけのことを昔の説教をするような教え方ではいかないので、そこで、講座研究費というものを取って研究しつつお教えになる一つのスタッフがあるのです。講座と兼務で研究をお願いしつつ学生に教えると、ただ、研究所で別の組織をこしらえました場合、今回のような場合は、その先生は教えないで、研究専門にやっていただくと、こういう考えでこれはやっておるのであります。
  42. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 私の質問がどうもへたなんだろうと思うのですが、今度の場合は局長の御説明でわかりましたのですけれども、一般の場合に、普通の場合は研究室で費す時間と講座で使う時間との割り振りと申しますか、それに先生が力を尽されるその工合が、どうも学生の方がおろそかというわけでもありませんでしょうけれども、比較的比重が軽くなりまして、研究室の方にあまり熱心過ぎるようなきらいが日本大学ではあるのじゃないか。だから、今のこの問題とはちょっと切り離して一つお考えを願いたいと思うのであります。
  43. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) このウイルスのみならず、ほかにたくさん研究所がございます。京都大学においては、たとえば木材研究所とか、食糧科学研究所とか、別に研究所としてスタッフを持ってやった場合は、その先生は研究に没頭して、同じ人が研究所と、学生にレクチュアするのは兼務しない。それだけ専門にやられるわけです。むかしわれわれが大学におった時分に、やはり講座を持つ人が同時に研究をしておりましたけれども、ことに自然科学が発達し、別に研究所を置いた場合は、研究者は専属にやっておられるのですね、しかしながら、講座を持つ先生も、同じノートを何年間続けるというのじゃなくて、講義するために研究するのでございます。それらに今度は研究費というものを講座にくっつけておるのです。けれども研究所として十何カ所つけた、別の研究所、別の建物は、別に研究専門にやるわけでございます。今度の新しい学校教育法の五十二条では、二つ別にしておるのです。深い専門の学術を教授するということと、学術の中心として研究するということと、この二色にやっておる制度なんで、大学だけはそういうことでございます。
  44. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 やはりその研究所と関連して一緒にお考えだからその答弁が私の尋ねることとちょっと食い違うことになるわけであります。研究所という問題を離れまして、今の大学だけのことにつきまして、もう一ぺん尋ね返すわけなんですが、研究所のことを除けまして。それで結局私が申しますのは、補足して申しまするならば、学生に教えるのに直接に必要でない程度の深いところまでの研究をなさる大学研究室があるので、そちらの方に余り力を注ぎ過ぎて、結局学生が迷惑をこうむりやしないか、たとえば小学校生徒に教えるには大学大学者よりもむしろ小学校の校長先生程度の人の方がいいのかもしれません。そういう意味で、今では少し研究室の方に力を注ぎ過ぎて、あるいは悪い言葉になりますけれども、自分が興味を持ってその方に傾く研究に多くの時間を費して、そうして講座では、その問題にはあまり触れる機会もないというような研究室が、相当に大学各部にあるのじゃないか、それじゃ実際生徒は迷惑するわけなんであります。そのことをお尋ねしているわけであります。今回の研究所とは切り離して、現在の状態でいいと思っておられますかどうですか、ということをお尋ねしている。
  45. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) よくわかりました。別にこういう研究所のことはそれで御了解下さいまして、ところが、教室へ出てレクチュアをする先生がやはり別に教室のほかと、または構内研究室というものを設けて、人文科学の方ならばたくさんの本を集め、自然科学の方ならば、多少の設備、試験管等を持って、教えることを研究される先生がたくさんあります。その場合のことのお尋ねと思います。ごもっともで、学生を教える方の教授は教えるのが第一でありまするから、それに専念しなければなりません。しかしながら日進月歩の世の中ですから、これらの人がまた学界に遅れないように、研究室を持ち、研究をすることも必要なんで、実は世間では、研究費が足らんで、その研究が十分にできんという、ちょっと反対の声もあるのです。しかしながら、国立で大学を作り学生を教えることが中心の任務である教授先生は、やはり教えることを中心として、しかしながら間違ったことを教えたり古いことを教えぬための知識の涵養ということと並行してやっていただくことを理想としなければなりません。本年はしかし研究をもっとしてもらいたいという意味で、幾らか研究費をふやしたりしているのです。そういう状態でございます。
  46. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 繰り返してかれこれお尋ねする必要もございませんが、私の気持をもう一ぺん繰り返して申しまするというと、私としましては研究所をしっかりこしらえてもらいたい。大学の先生と研究所研究員、技術家というものを、でき得べくんばできるだけはっきり分けてやってもらった方がいいのじゃないか、そうするというとその講座に直接の関係のないような縁の遠い研究などはこれは学校の先生がなさらないで、研究所研究員に全部任せるというわけにもいかないかもしれませんが、大体任せる、研究所でできた研究大学の先生が受けられまして、それを生徒に教えていくということになっていきますれば、これは講座の方はうまくいくのじゃないか、先生としてもその方が専門になっていくということになるのじゃないか、かように考えておるわけであります。今度の場合には先ほど局長の御説明によりまして、私の心配はこの問題に関する限りないわけでありますけれども、大体今までの研究所の技師という人と大学の先生というものが、非常に融通がつき過ぎているのじゃないかという感じを私は持っているものですからこのことをお尋ねしたわけであります。私の質問はこれで終ります。
  47. 吉田萬次君(吉田萬次)

    ○吉田萬次君 局長にお尋ねいたしますが、ビールスの大家の木村教授というものはこれは大学の教授というものを離脱して、そうして研究所専門の学者というようなふうになられるのですか。
  48. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) さっきお答え申しましたように具体的の人事についてはまだ私伺っていないのでございます。今の医学部の木村廉氏を中心とする教授群の中から新しい研究所の中核はできることだと想像いたしますが、どなたが研究所に移るか、どなたが学部に残るかというような具体的の人事は、まだ京都大学医学部におきましてもこの法律予算実施されておりませんので、まだきまっていないように存じております。
  49. 吉田萬次君(吉田萬次)

    ○吉田萬次君 私はこの研究所ができるくらいならば、少くとも権威あるものであって、そうして全国に対する、この研究をしておる人の指導機関、あるいはそれに資するところの設備というものが十分に整っているというふうにしてもらいたいと思うのでありますが、ビールス研究というものは今日どこの大学でもやっていると思います。従って私たちは、はしかの研究をやりましたけれども、このプロテウスのエックス十九号というものがなかったために慶応大学までたびたび取りに行った覚えがあります。かような点から考えますと、そこの研究所へ行けばすべての設備、すべてのそういうようなものが整っているということにおいて初めて研究所の意義があると思うのですから、そういう点から考えましたならば、これはこの研究所の本当に研究するという学者は、ただいま竹下さんのおっしゃったように学校教育というものと離れてやってもらうというのが私は適当ではないかと思いますので、これはどういうふうになるかわからぬとおっしゃいますけれども、この点十分の御留意が願いたいと思います。
  50. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 もう一言つけ加えさして下さい。私は今の問題になっております木村先生が兼務されるようなことになっては困りますということを、今すぐ言っているわけではないのであります。現在この研究はまだ比較的新しいのかもしれませんし、そう権威者がたくさん揃っておられるのではないのかもしれません。そのへんはちょっとわかりませんが、もし人がないのだ、どうしても木村先生は大学の方もはずせない、しかし研究所の方でもぜひ必要な人だというのなら、その兼務までやめてもらいたいということを私は言っているのじゃございません。ただ今後の日本学校の講座と研究室と、それからこういう研究所というものの関係を截然と区別するような方針に切りかえる必要がありゃしないかということを申しているだけで、今のところ私の質問は抽象的な質問になっているわけであります。そのお含みで願いたいと思います。
  51. 有馬英二君(有馬英二)

    ○有馬英二君 この研究所はできたばかりですからまだ機構も整備されておりませんでしょうし、ほんの発足したに過ぎないから、こういう機構になっているのだろうと私は推測するわけでありますが、いわゆる陣容がはなはだ貧弱のように思うのでありますが、いかがでしょうか。
  52. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) ただいまのお話のように発足当初でございまして、これが完成いたしますれば一通り陣容はまとまるのでございますが、部門組織はほかの研究所にありますように教授一、助教授一、助手二、これがもう臨床部門を持ちますれば助手はもう一人あった方がいいと思いますが、当初は基礎的なものでありますから、これは各大学に共通した点だと思います。さらに事務官一、技官一、この辺は非常に少いのでございます。完成いたしまして事務も複雑になりますればもっとやらなければなりませんし、それから技官その他につきましてはこれはどういう大きな機械を入れるかというような点と睨み合って将来考えなければならぬと思います。ただここに掲げております定員以外にも常勤労務者は相当雇いますから、機械の操作その他につきましてはこの予算定員以外の人でもないことはないと御了解いただきたいと思います。
  53. 有馬英二君(有馬英二)

    ○有馬英二君 なお予算がくっついておりますが非常に少いので、これで一体どういうことをやるのかと思うのですが、その計画はどうですか。
  54. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 初年度の予算九百五十八万四千円でありますが、そのうち五百万円が設備費、他の四百五十八万四千円が経常費であります。設備費でございますが、これはいわゆる掴みで計上いたしました費用でありまして、個々の器具機械を査定いたしたわけではないのでありますが、作るまでの間京都大学の御要求等を考えますれば、どっちみち現在京都大学医学部においては遠心分離機もあるいは電子顕微鏡等もございます。それらももちろん共用することになろうと思いますけれども、このスピンコの超遠心分離機とか、あるいはウルトラマイクロトームとか、あるいは位相差顕微鏡、こうした研究に必要な器具機械というものが最初五百万円をもってまかなわれることだと思うのであります。
  55. 有馬英二君(有馬英二)

    ○有馬英二君 もう一つお尋ねしたいのですが、この研究所というのは今のところ一つの独立した機関の名に過ぎないので、建物まではないと思いますが、建物はどういうような建物を今のところ予想しておられますか。既存の建物を使うのですか、それとも新しく建設するのでありますか。
  56. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 京都大学の御計画を伺いますと、さしあたりは医学部の既存の建物をこれに充てる御計画であるようであります。将来これが充実すればおそらく独立の建物を要求せられると思いますけれども、われわれは大学の建物を考えます場合に、この大学の御要求を中心として考えるわけであります。京都大学は御承知のように学部も多く他の研究所も多く建築要求につきましてはいろいろ順位を持ってございます。まだ私どもの目の前にこの研究所の建物の御要求が出て参らない、むしろほかの方を切実に御要求でありますので、私どもも従って他の御要求の方をさしあたり充たしたいと考えておりまして、この建物については考えておりませんが、将来京都大学で御要求でありますればそれに応じて研究したいと思います。
  57. 吉田萬次君(吉田萬次)

    ○吉田萬次君 私は先日三島の遺伝学の研究所を見て参りましたが、私は少くともこのウイルス研究所もああいうふうの行き方、ああいうふうの設備によって将来やってもらいたいということを希望しておきます。
  58. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) まことにごもっともでありまして、三島の研究所につきましてもいろいろな角度から考えて今日経営いたしておりますが、このウイルスにつきましてもこの目的を達成する点において遺憾のないように考えたいと思います。
  59. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 今局長の御答弁によりますと、設備費については、施設費については要求がなかった云々という御答弁があったようですが、今度のこの予算というのは、大学の要求に基いて組まれた予算なのか、あるいは文部省の方であてがい扶持という言葉は俗ですけれども、あてがい扶持のような形でお組みになった予算なのか、その点いかがでしょうか。
  60. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) すべて国立学校関係予算は国立学校の運営費にいたしましても、国立文教施設費にいたしましても、大学から要求が発議せられるのが最初の問題であります。それが最後財務当局その他と折衝の結果最後的にきまるのでございます。最後的にきまる場合にも常に大学意見を聞きながら最終決定にいたっております。
  61. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 今各委員が御指摘になったように、今回の予算では非常に心細い感じがいたします。従って参考までに大学の方では最初どういう要求をしてきたか、おわかりでしたら一つ参考までにお聞かせいただきたいと思います。
  62. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 大学最初五部門全部の要求を出してきております。これは必ずしも大学自体が五部門できると思ってお出しになったのじゃないと思います。全部をわからせる意味において五部門そろえて持って来られないと私どもも査定できませんので、大学とお話し合いで五部門持ってきていただいたわけでございます。従いまして大学の御要求は非常に大きなものでございます。それを二部門だけ設置するというような話し合いにだんだんなって参りましてこういうところに落着いた次第でございます。
  63. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 その経緯もさることながら、私はこの各部門について、たとえば病理学であれば教授一、助教授一、事務官半人、技官半人、これでいいかどうか。この程度の要求をしてきたかどうか。経常費については、まあそれとの関連があると思いますが、病理学、物理学部門では大体経常費ではどれくらい大学から要求してきておったか。設備費、施設費等についても大体まあどの程度の要求があったか、そういう、もう少し具体的なところをお伺いしたいと思います。
  64. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 付置研究所の部門構成は人文科学系統は教授一、助教授一、助手一でございます。自然科学系統の部門につきましては、教授一、助教授一、助手二でございます。従いまして京都大学もそれを知っておられますから、その基礎的の人員の要求につきましては、今ごらんいただきまする通り、これを五部門に伸ばした人員でございます。  それから単価につきましては、これは先ほど大臣も仰せられましたように、講座研究費の単価が違うとか、いろいろその単価が違って参りますので、国立学校の要求と申しますのは、基礎的の構想ということが問題でありまして、単価プラス基礎的の構想で、総額幾らというようなことは当初からあまり問題にいたさないのであります。ただ設備費につきましては、それは具体的の設備費の要求でございますが、設備費については当初五部門全体として三千七百万円程度の要求がありました。そのうち二部門だけに限りまして五百万円程度に査定いたしました。
  65. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 そこでこの設備費はまあそれでわかりましたけれども、施設費ですね、これは要求はなかったのでしょうか。
  66. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 国立文教施設費につきましては、当初から建物なしでという話でございます。
  67. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 それじゃこれは五部門完成しても、特別な建物は予算計上をしないという御方針でしょうか。
  68. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) その点最初お答えいたしましたように大学の要求に基いて考えますが、大学はこのほか各学部、他の研究所等において非常に多くの要求を持っておられます。従って大学が評議会において緊急選考の順序をきめて要求せられます。ですから、いかなる年度にこの研究所の要求が京都大学から出てくるかということは私ども予見できないのであります。しかし事の性質上、私どもはいずれば独立の建物を作らなければならぬものだと考えております。
  69. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 それから先ほどお話に出ておりました常勤労務者が入れられるというお話でしたが、それはどのくらい見ておられるのでしょうか。と申しますのは、もう少し申し上げた方がいいと思いますが、この病理学部門と物理学部門の研究内容を見ますと、これは相当性格が違っておると思います。こういうことで見て参りますと、どの程度まで助手にやらして、どの程度まで技官にやらすか、これはいろいろ問題があると思いますけれども、しかしこの中では相当病理学と物理学というのは性格を異にしておりますから、ちょっと技官を半人ずつ使うというようなことも、とうていできないで、実際に動き出せば、これはもう確実に少くとも一人ずつは要ると思います。それから事務官にいたしましてもそうだと思いますし、なおこういう研究所で特に必要なのは雇用員、端的にいえば給仕とか、そういうものがなくて困っている事例も私どもはたくさん見ております。たとえば科学博物館なんかに行きますと、とにかく日本で一流の学者の人が自分で茶も沸かすし、茶も汲むというようなことをやっているのを現実に見ておりますので、先ほどのお話のようにこの先生方に研究に没頭してもらうということを言いながら、こういうままの人的構成では、かえってそういう先生方が切り離された、ことに茶を沸かしたり、あるいは掃除をしたり、たまには机の上もふいたり、こういうことになりまして、お考えになっているのとずいぶん違ったことになるのではないかということを心配いたしますので、その点、もう少し詳しく御説明を願いたいと思います。
  70. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 常勤労務の方は、これは共通的な経理にいたしますので、各教室とか各部門当りの予算に区別的についてないのであります。従いまして若し必要でありますれば京都大学におきましていろいろ融通をつけられるであろうという意味で申し上げた、いわゆるこれは定員ではないのであります。むしろ事業費に属すべき性質の労賃で計算いたします。いわゆる定員外の人力という意味で都合もつくであろうということを申したわけでございます。それから先ほどのほかの方の御質問にお答えいたしましたように、形成の途上でありますので、初年度の事務官、技官等の一、一というような定員はいかにも窮屈で御無理であると思います。しかし完成いたしますまでには完成した独立の研究所として運用ができるという形に作りたい、これは学年進行的な学部の創設、あるいは学科の創設、あるいは短期大学の創設、すべての場合に言われることでありまして、完成途上におきましては自然他の学部、あるいは他の学科あたりで助力を得なければ実際の運用がつかないというようなことは得てしてありがちなことで、決してよいことではございませんけれども、やむを得ないと考えております。
  71. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 今局長の言われましたことを要約しますと、結局研究所ができることによって、常勤労務者をこの方に幾らか回すとか、あるいは他から手伝いを入れるということになれば、それだけ学部の方なり他の部門へしわ寄せがいく、こういうことになると思います。これは局長みずからおっしゃったように、望ましいことではないが、ありがちなことだということですけれども、せっかくこういうものを作るときに、そういう考慮をしないでやったのでは、結局この作る趣旨自体に私ども疑問ができてくるわけで、こういうところまで手を届かしてあげることが私は文部省の役目だと思うのです。文部省自身が研究なさるわけじゃないのですから、そこでまあよく知っておられてこういう措置をされたということについては、私は端的に言えば非常に不満です。大臣いかがでしょう。今局長言われましたように、せっかくこれを作りましたけれども、これを作ることによって学部も不便を一そう忍ばなくちゃならない。それから人手も学部の方から回さなければならない、こういうことについて大臣は何とか名案をお持ちじゃございませんでしょうか。
  72. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) 私も京都大学出身で、様子はほぼ想像はいたしておりまするけれども、現実のこの学部のことは存じませんから、今私がコミットするような、責任ある答えはよういたしませんけれども、実際にやってみて融通がつかないということでありましたら、何とか考慮しなければならないと思います。
  73. 有馬英二君(有馬英二)

    ○有馬英二君 この職員の構成ですが、先ほど局長から一部門教授一名、助教授一名、助手二名と、これはどうも昔からきまっているような構成なんですが、それで実際においてどこの研究所へ行ってもこのメンバーでやっているところはないので、大体助手は、まあ医学部などへ行ってみると、助手というのが二名くらいの定員であるところはどこもありません。何十名という部があるのであります。これはまあ御承知の通りでありますが、こういう不完全なことで文部省が、もう何十年も前から今日までそのままやってきておる。そうして大学はどこでもそれを非常に不便に感じている。研究生はどうしておるかというと、研究生はみんな自弁で何年も働いておる。そうして親のすねかじりをやったりあるいはアルバイトをやって、それがために十分の研究ができないというような構成になっておることは、大臣も局長もよく御存じの通りであると私は思うのです。それがために各大学に不完全講座というのがやはりできておる。これは助手二名という定員がありながら文部省が定員一名しか配付してくれぬ。二名の定員がくっついているのですけれども、一名しか配付しておらぬ。それを不完全講座と称しておる。そうしてそれは何年請求してもなかなか充実してくれないというようなことで、どこの研究所でも、まあそういうことがどこにでもあるとは申しませんけれども、非常にありがちであって、実際は非常に不便を感じておるのであります。そういう点について、これは一体文部省が根本的にこれを改革する方法がないのかどうかですね。
  74. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 御指摘のように不完全部門の点は、今まで大学あるいは研究所から訴えられてきておったのであります。そこで大学につきましては、全国的に不完全講座を調査いたしまして、大よそ四年間にこれを埋めていこうということで過去三年間、当初年は百人、次の年は七十五人でございますが、一応百人前後、次の年は百名、今御審議いただきます予算におきましても百名足らず、講座の方は、不完全講座は大体これをもって充実する予定でございます。それから研究所の方の不完全部門も全国的に調査いたしまして、二十八年から三十一年度にかけまして、全体で教授十三人、助教授十六人、まあその他いろいろございますけれども、というように埋めて参ってきております。研究所の方はなお不完全部門も残っておりますので、今後とも、ただいまの御趣旨ごもっともでございますが、私どもも努力いたして、できるだけすみやかに不完全部門の抹殺をはかりたいと思います。
  75. 湯山勇君(湯山勇)

    湯山勇君 最後にお尋ねいたしたいのは、このウイルス研究所という名称ですが、これはまああまり聞きなれない名前なんで、こういう言葉が法律の上に出てきたのは今回が初めてではないかと思います。今、局長の御答弁の中にもときどきバイラスが出たり、ビールスが出たり、あるいはウイルスに戻ったりなどしておりますが、私はそういう問題よりも、文部省でお作りになる法律というものは、そういう用語というものはやはり他の省の法律のお手本になるようにする必要があると思います。そこでまあウイルスという言葉も耳なれないし、これはことにこの法律案にあるように、ウイルス病ということになればワイル氏病とちょっと間違いそうな字に見えます。それからウイルス病というものも、これは病源体による病気であれば、そうするとバクテリア病とかあるいはリケッチャ病とか、そういうものが果して正しい使い方かどうか、こういうものにいきなり病というものをつけることが、まあウイルスによって起る病気という意味で単にウイルス病ということであるならば、これは私は非常に学問的でない言い方じゃないかというふうに思います。  それからもう一つ、これを見て気がつきましたのは、ウイルスの探究という言葉が使ってございます。探究という言葉も私はあまり学問では使わない言葉ではないかと、ことにウイルス研究所研究内容をお示しになっておる資料を見ましても、どこにも探究といった言葉は使ってございません。特に探究というような言葉を使わなくても、やはりもっとまともに、ウイルスならウイルスビールスならビールス研究ということで足りるのではないか、それからウイルス病というような言葉も、これもやはりよくわかるように、病気の名前と間違いますから、ひょっとすると、そうではなくて、やはりウイルスによって起る病気というふうな表現、その方が妥当ではないかというように考えます。で、それはウイルスというのはラテン読みにすればウィルスということですけれども、今のラテン読みではやはり今日では普通Vはヴィの発音をしておられるのではないでしょうか。もし古い時代のウイルスをおとりになるならば、これは御承知のように、ウイルスという古い言葉でいえば、今日ではもう概念が違った毒物というような意味を持っておるというように聞いております。従って、この筋が通ったような通らないような、わけのわからない名称で、そしてこの研究内容も非常にあいまいなといいますか、誤解を招きやすいような表現がしてありますので、こういう点は別にこれだから反対だとか、修正せよとかいうようなことを今申し上げる意思は持っておりません。ただしかし、文部省で作られる法律については、他の省ならばいざ知らず、というのも工合が悪いでしょうけれども、他の省以上にそういう点についてはもう少しこまかい御配意があってしかるべきではないかというように感じますので、これは私の所見として、こういう点についての今後の御注意をお願い申し上げたいと思います。
  76. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 御注意よく承わりましたが、一応私どもの考えをお聞きとりいただきますれば、ウイルスにつきましては、今御指摘になりましたように、あるいはビールスといい、あるいは植物学の関係においてはバイラスといわれる方が多いようでございますが、御承知のように文部省におきましては、学術用語を統一いたしたいという学術会議の勧告に基きまして、文部大臣の諮問委員会として、学術用語に関しまする委員会があるわけであります。各部門について、できたものもありまするし、まだ研究中の部門もあります。医学についてはまだ最終決定に至らないのでありまするけれども、医学部門の審議の傾向を見ますと、ウイルスにつきましては、学者の方はウイルスを主張される方が多いのであります。ただ一面通俗にヒに点を打つビールスということも言われますので、学術用語分科審議会ではウイルスビールスと両方採用しようではないかという傾向にあるようであります。また医学関係の学会におきましては、現にその中心学会が日本ウイルス学会という名前で呼ばれております。  それからもちろん法律はないのでありますが、法令用語としては厚生省の組織規定のうちにリケッチャ・ウイルス部という用語があります。濾過性病原菌というのは学者の方に伺いますと、今あまり使わぬというお話であり、また当用漢字もないのでありまして、いろいろかれこれ考えました結果、今学界において用いられておりまするし、分科審議会の意見に従ってウイルスということにいたしたわけであります。それからウイルス病という点についてはこれはむしろ専門家の御意見を伺って勉強いたしたいのでありますが、他の研究所におきましては、たとえば東北大学に抗酸菌病研究所、これは結核及びらい病のことのようでありますが、そういうように菌病あるいはウイルス病というような病名もないではないと心得たわけでございます。それから探究がよいか、研究がよいか、これはいろいろ問題がございますけれども、これはまあ微小生物の世界、非常に未知な領域を探究するというような気持を表わしたものと私どもは心得ております。ただ用語について慎重を期すべしという建前で、ただいまの御意見十分服用いたしまして、今後に処したいと思います。
  77. 高橋道男君(高橋道男)

    ○高橋道男君 大臣に一般的な問題で一つお尋ねいたしたいと思います。松村前大臣のときに、国立学校関係については新設をしないで、もっぱらその大学の充実の方向へ持っていきたいと、こういう御方針を伺っておりましたが清瀬文部大臣はやはりその御方針を踏襲するのでございましょうか。
  78. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) 前任者のおきめになった方針を事務引き継ぎの際詳しく承わって、一つの方針は変えては効力がないので、もっともなことだと思って、その方針で私いっております。世の中の変遷によってまた幾分補足しなければならぬことは起ってくるかもわかりませんが、今私は前任者と同一の方針で進みたいと思います。
  79. 高橋道男君(高橋道男)

    ○高橋道男君 当時その御意見と御方針を伺って了承いたしておったのでありますが、その際に私の意見として、国土計画の上から、現存する大学はもちろんのこと、将来計画としていろいろな調査をしなければならない、全般の上から見まするならば、過重になっておる学部あるいは学生などもありましょうし、またこれから充足していかなければならない研究学部あるいは学生の増員というようなものもあるだろうと思うので、全体計画の上から調査をされるような点について伺ったのでありますが、その当時、検討を進めておる、こういうことを伺ったのであります。その点につきまして、局長からで結構でございますけれども、そういう調査検討が進められておるのかどうか、進められておるならば、まだ発表をするまでのところまでいっておらないのかどうか、それをお尋ね申したいと思います。
  80. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) 追って参議院でも御討議願わなきゃなりませんが、今臨時教育制度審議会というものを作っていただきたいということで、予算をちょうだいし、設置法を御審議願っておりますが、あのうちには大学問題は大きな部門の一つなんです。いかに大学は自由だと申しましても、国家の施設である以上は国の要求ということも考えなければなるまい。しかし一方日本学校が多過ぎるとはいうものの、入学者を見るというと、どの学校も満員なんです。はなはだしきは十倍も志願者がある。これをどうするかやはり国の方では経済自立五年計画といって産業計画をやっている。大学も一方で学問専門の大学もむろん日本のような大国としては要るのでありますが、また経済の必要を考えて、職業的の方を考慮においた大学というものも要るのじゃないかというので、それらのもの、教育経済、進んでいえば職業、それらが組み合ってむずかしい問題でございまするから、この際ほかのことと一緒に一つ深く研究を願いたい、こう考えておるのであります。それと独立して文部省内で今計画を立てておるものはございません。
  81. 高橋道男君(高橋道男)

    ○高橋道男君 ただいま臨時教育制度調査会のお話を伺いましたが、それとおそらく別個の立場で、文部省自体で御調査になっている点があると思うのですが局長いかがですか。技術的の問題だと思いますから局長に伺います。
  82. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) これはただいま大臣答えられましたように、審議会なりあるいは省の方針をきめるという意味での調査は別にいたしてないのでありますけれども、先般どなたかの御質問にお答えいたしましたように、産業五ヵ年計画というものがございますから、それによりまする需要供給というような点と、現在の学校の養成数が合うか合わないかというような点につきましては一応調べておるわけであります。第二次産業、ことに重化学工業の発展ということがございますので、それらを中心にして現在の要員その他がどういうふうに将来くるかというようなことを調べてみますと、その第二次産業に従事する場合は、工学系の卒業者が四割、商経関係が同様四割、他の二割が法文系その他で占められるようでございます。  また一方これに対しまして大学がいかに供給するかというようなことを専門別で調べてみますと、工学系卒業生の七割が上記の第二次産業、二割が第三次産業、商工関係は工学系と逆に三割が第二次産業、五割が第三次産業、そのうち六割近くは金融卸売業に従事しておるようであります。これらから見ますると、現在の法文系、理工系の養成数で大体第二次産業、第三次産業に数量的には合うようであります。別に増す必要もなく特に減らす必要もないようであります。ただ問題は質の問題でありまして、特に工業方面において将来重要視せられます石油化学とか原子力工業とかあるいは航空工業とか、こういう特殊の面の技術者を特に養成する必要があろうかというようなことは察せられるのであります。これらの事実をさらによく調査いたしまして、ただいま大臣答えられましたような審議会等の資料にいたしまして御決定をいただきたいと思っております。
  83. 高橋道男君(高橋道男)

    ○高橋道男君 大学研究の充実という上から、今回のこのウイルス研究所もお取り上げになったと思うのでありますが、これが現われるまでに、おそらく予算折衝のこともあって結局これだけが残ったのではないかというように、これは私が見るのである。実際のところは存じませんけれども、もし予算折衝で結着する以前において、ウイルス研究所と相並んで充実をはかりたいというような御計画があったものはございませんでしょうか。
  84. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) ガンをやりたいと思ったのですよ。
  85. 高橋道男君(高橋道男)

    ○高橋道男君 この法律改正に上らずに、充実をはかられ、これを進められておるものがおそらくあると思うのですが、これはできれば、資料にでもして御提出願えませんでしょうか。もちろん簡単でありますればここで……。
  86. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) おもなものは簡単でございますから、ここで申し上げたいと思います。  一つは学科の設置でありまして、これは名古屋大学と九州大学に航空学科を設置いたしました。次は原子力研究でありまして、これは東京工業大学に原子炉研究施設を新設いたしまするとともに、京都大学におきましては、化学研究所と工学研究所の部門転換を基礎といたしまして、原子力研究の部門を整備充実することにいたしました。この東西両大学中心といたしまして、原子力研究に寄与しようと考えております。さらに原子核研究所につきましては、部門を整備いたしまして、約三億四千万円ばかりの金を用意いたしております。これを先ほど申しました原子力研究、およそ四億程度を、原子力原子核研究に振り向けております。それから研究所の新設は、京都大学だけでありますが、研究所の部門を増設いたしましたのが、東京大学において理工学研究所の航空部門を二部門ふやしましたのと、応用微生物研究所の生物物理部門を新設いたしましたのと、それから先ほど申しました、阪大の微生物病研究所の麻疹部門を創設いたしましたのと、千葉大学の腐敗研究所に食中毒の部門を置きましたこと、それから東京工業大学の自然科学研究所に化学工場自動化の部門を置きましたこと、それから神戸大学の経済経営研究所に中南米経営部門を置きましたこと、これがおもなる国立学校研究所関係の新規事業でございます。
  87. 高橋道男君(高橋道男)

    ○高橋道男君 ただいま伺いましたところに、東京工業大学に原子炉設備をなさるということを伺いましたが、これは原子核研究所等の関係などはどうなんでございますか。
  88. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 東京大学の原子核研究所は原子核そのものの構造を中心として研究いたすわけでありまして、工業大学の方は原子力利用の基礎となります炉を建築構造する場合に、炉の材料はどうだというようなこと等を研究するわけでございます。一つは極微世界そのものの探究であり、一つはそれと関連は持ちまするけれども、利用面の基礎研究、こういう点で相当性質を異にいたしております。
  89. 高橋道男君(高橋道男)

    ○高橋道男君 主として理工科関係の充実がはかられておるようでありますが、先ほど定員の問題についても諸委員から御意見が述べられましたが、そういう関係も、これは兼任というようなことではなしに、増員によって純粋にふやされているのでしょうか。大学の教授なりその他にしわ寄せがあるというようなことは起らないだろうかどうか。
  90. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) この新設学科、新設部門は別に他の教授の兼任によっていたすわけではないのでございます。ただ純粋に定員を増加するのが中心でございますけれども、ものによりましては、たとえば助手とか、技官を減らして、雇員あたりを減らして教授をふやしたという、いわゆる振りかえの方法を用いた部面もないではないのであります。
  91. 高橋道男君(高橋道男)

    ○高橋道男君 もう一点。ウイルス研究所について、先ほど湯山委員の御質問に対して組織五部のうち、あと三部はいつできるかということについて、はっきりした年度の上のお答えがなかったように思うのですが、それはいつということは、はっきりしないのでありましょうか。
  92. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 京都大学及びわれわれの希望といたしましては三十二年度にこの三部門を増設いたしたいと考えております。
  93. 高橋道男君(高橋道男)

    ○高橋道男君 その点私はこういうような組織ができる上からは、やはり少くともこの五部門がそろって初めて総合的なあるいは立体的な研究が進められるというように思うのでありますが、ぜひ三十二年度に増設できるように御尽力を願うことを希望して質問を終ります。
  94. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 大学の問題につきまして先ほどちょっと質問、お答えがあったわけでありますが、実は清瀬大臣御就任前に松村さんのときに私は申し上げたのでありますが、現在の大学制度、ことに短期大学制度、現状等につきまして世論がなかなかやかましい。ことに短期大学方面につきましては批判の声を相当にたくさん聞かされているわけでありますが、これを何とか早く研究し、もし不適当であるというならば改革される必要があるのではないか。もし悪いということであったならば、病膏肓に入らないうちに早く手術しないと、年を重ねるに従って悪いと思いながら手のつけようがなくなってしまう、これは青年のためのみならず、国家の将来のためを考えて非常に重大な問題であると思うから至急に研究していただきたい、ということの御意見を承わりながら私の希望を申し上げたのであります。前前大臣のときからであったかとも思っております。その後中央教育審議会の方におきましてそれが大分研究されまして、一応その答申が出ておるようであります。新聞あたりも出まして、大体私なぞが見ますと、あの審議会の答申は、私なぞといってはおこがましいのですが、私は大体いい方向に意見が出ているのではないかということを感じておるわけであります。新聞などを見ましても、文部省の方でも相当にあの答申を重く見られて、大体そういうふうに改革されるような案がこの国会には出るのではないかということを実は期待しておったわけであります。これは局長は何もかも御存じで、私のお尋ねしたことも御記憶だと思っておりますが、あれは今度の国会に改革案が出るということは御準備がないわけですか。局長からでもけっこうです。
  95. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) ただいま御指摘のように中央教育審議会におきましては、昨年大学の入学という問題に関連いたしまして、短期大学制度の改善についてごく基本的な点を答申せられたのであります。しかるところそれに対しまして私立短期大学側におきまして相当現状維持を主張する論が強くて反対がありましたので、そのままいろいろ様子を見ておりましたところ、昨年また前文部大臣のときにこうした外部のいろいろの意見がありますので、さらに再往中央教育審議会に諮問せられたわけであります。中央教育審議会におきましては、そのために特別の委員会を設けて何回となく審査をいたしておりまするけれども、なおいろいろ私立短大その他の意見が対立いたしておりまして、まだ委員会がまとまるのに至っていないのでございます。従いましてまだ本会議の結論も出ませんし、その答申を受けまして文部省でどうしようというようなまだ判断に至っていない状態でございます。
  96. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 大体そういうことも承わっておったのでありますが、文部大臣から諮問されて、それに入学試験問題云々の研究会とか、審議会とかいうような名前はついておりましたけれども、入学試験の問題とその学校制度の問題というのは、これは別々に考えることはできない問題でございまして、どうしても一緒にその制度の問題も根本的に考えてもらわなければならない問題であります。教育審議会ではその方針で御研究になってあの答申が出ているはずであります。亀山さんが審議会の会長をしておられるときに、この会議にも出ていただきまして、まあ私いろいろ御質問もし、お答えも聞いたのでありますが、少くとも亀山先生はこの二つの問題はどうしても離せないから、一緒に十分研究して答申する計画だ、急ぐんだという御答弁を得たこともあります。その通りに私はあの審議会は進んだと思っております。ところが今局長からお話のありましたように、私立大学ではだいぶ反対しておったから、また諮問し直す、これはあまり例のない取扱いじゃないかと私はそのとき感じました。一ぺん諮問したことについて答申があった、それが別の問題でそれに関連して詰問するというならいいですけれど、また大体同じようなことを研究しなければならない、私立大学が何を反対しているかというと、私の聞いているのは、やはり大学という名前を残してもらいたい、女の大学は男と違うからこれは別扱いしてもらわなければならないとか、そういう問題が幾つかあったわけでありまして、どうも根本の問題として、もう一ぺん諮問し直さなければならないほどじゃなかったのじゃないか。これは人によって感じが違いますから、何も私の考えだけが正しいと申すのじゃございませんけれども、少くとも私はそういうことを感じました。また政府も一度諮問したことを、もう一ぺん諮問し直すというような癖をつけるということはあまり好ましいことじゃないのじゃないかという気持も実はしたわけであります。それから今度おそらく臨時教育制度審議会というのができるということになるでありましょうが、これをまたどういうふうにお取扱いになるのか。今局長のお話を承わりますというと、引き続いてその問題は審議中のようであります。その問題とこの臨時教育制度審議会との関連取扱いはどういうことになっていくのでありますか。これはまあ私この臨時教育制度審議設置の問題につきましては、案が審議されるときにまたいろいろお伺いしたいと思っているのでありますが、今の問題は二つかりにこれが並行して、現在の中央教育審議会と並行して臨時教育制度審議会というのが行われるというならば、これはどっちへ持っていってもいいような問題で、どっちに持っていかなければならない問題じゃないように私は思います。そうすると、同じような問題が両方で取扱われるということになるのも変だし、そう両方に研究させる必要もないと思います。結局今までのように中央教育審議会がまた答申されるということで、こっちの臨時教育制度審議会の方は当てにならないということになるのじゃないかというような気持もしてしようがないのであります。これはもう少し私はお急ぎになりまして、大体肚を文部省でおきめになればすぐに案が出せるところまで進んでいるはずだと思っているのでありますが、これがまたこの国会が過ぎる、その次の国会ということになりますというと、だんだん仕事がしにくくなって、結局は改正の必要を認めながらも改正することができないようなことになってしまうのじゃないか。いろいろ政治問題などはこれは年を重ねるに従って私は複雑になっていく問題だと思いますので、特にお急ぎを願いたいということを前大臣にも申し上げた次第であります。これは大臣いかがでございますか、もう少しお急ぎになる気におなりになりませんでしょうか。
  97. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) すべてごもっともなことでございまするが、前担当者が何故に一たん結論が出たものをさらに再審査、再諮問をされたかの事情は私はつまびらかにいたしておりませんが、その後日本の、その後というよりも、その当時から日本学校制度についていろいろと世の中に問題が起りまして、われわれの党を作るときも一番大切なことといたしまして、学校制度、わけても大学制度について根本的に研究をしよう、その時分にあの党の方針をきめるときに私も関与しておりましたが、そのときにやはり短期大学の問題が出ておるんです。ほかにも教育にはいろいろ重要な問題があると思う、教育というものは独立の教育だけの自己目的のものでなくして、その裏には社会的な要求もあり、経済的な要求もあるから、これをひっくるめて一つ、今までの中央教育審議会もいろいろ教育の有益な結論を出して下さっておるけれども、もう一つさかのぼって、それからまた幾らか国家要請といったようなことも考え、つまり国会議員等も入ってもらって、一致して一ついろいろだまっておる文教政策をきめよう、期間は別に…法案を出しまするが二年間というのでありますが、実際は一年くらいでやっていただきたい。この短期大学もそれと見合ってやろう、せっかく再諮問をしておられるから、その答申は待ってはおりますけれども、やはりそれをも有力なる資料として昭和三十一年度中にはきめてもらいたい、こういうふうな心持ちを持っております。
  98. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 先ほど局長のお話の中に産業五カ年計画等の関連もある。第一次産業第二次産業をどういうふうに乗り切り、どういうふうに引き締められたりするか、まだはっきりしないので、その影響もあるというお話でありますが、それは理屈としてはそうだと思いますが、しかしこの間も企画庁の人からあの五ヵ年計画の話を聞いたのでありますが、これはプランとしてはいいプランだろうと思います。しかしこれは当てになりませんので、文教政策をおきめになる、政府がおきめになるについて、その方針がきまるまでお待ちになるようなことはあまり気楽過ぎるんじゃないか。あまりそう深くお考えにならないでも大体の見通しはついておるんじゃないかと思います。今日二次、三次の産業をふやすというようなことはなかなかできぬじゃないか、それ以上に変り方が非常に激しいとすれば、どの方面大学をふやさなければならないか、どの方面の工業専門学校をふやさなければならないかというような問題が起ってくるわけでありますが、それほどの変革はあの計画ではあまり影響はないんじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  99. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) さっき申し上げましたのは、そういう意味ではないので、産業五カ年計画というものが想定せられておりますので、それに基いて調査はいたしております。その結果を大臣がさっきお話になりました臨時教育制度審議会の審査の参考資料として提出したいと、こう申した意味でございます。ですから産業五カ年計画がふらふらしているからきまらないということを申したのではないのであります。
  100. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 先ほど多少期待しておるように聞こえましたから、私の聞き違いであるかもしれません。
  101. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) 私の言葉が足りなかったかも存じませんが、教育制度を考えるには、まあ産業の要請ということを考えなければならぬ、産業、産業と言いましても、しかし人間世界とは一体のものですからほかにも考えなければならぬ、国家的要請、また民族的要請もあろうかと思いますけれども、今そこまでさかのぼって言うことも、言うのはいかがでありましょうか、今の教育制度ができましたのは、占領中、わけてもその占領の前期でありましたから、だいぶ外国かぶれをしておるところがあろうかと思います。そういうと、悪意で進駐軍がやったというふうに聞こえますが、必ずしもそうまでは考えておりませんが、やはり日本人自身の頭で日本の要請について一ぺん考える時期に到達しているのではないかと思いまして、少し大げさでありましたけれども一つ国会議員の方も各会派とも入ってもらい、それからして国会以外の教育家をもむろん入ってもらいますが、教育家ばかりでいわゆる楽屋落ちになってしまっては困りますから、産業人も入ってもらい、言論界も入ってもらって相当大きな調べをしたい、こういう考えをしております。短期大学も四月一日から会を開くことになっておりますから、そのときに一緒にしょう、今までのお調べはそれの参考資料として、今まではこうやっておるという中央教育審議会のほかに、やはり教育制度のことはいつかやりました占領中の法規改廃委員会というものがありました、あれも幾分教育関係した答申が出ております。それから今文部省で調査研究をしておる大学局長が言いました特殊の資料等も配付いたしまして、それからまた新たに調べろとおっしゃれば十分に調べまして、急に教育制度の再検討をしていただきたい、こういうふうにわれわれ考えております。
  102. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 先ほど大臣のお答えの中に新たにできるであろう臨時教育制度審議会に諮問して、その答申が出るのに大かた一年くらいかかるだろうというお話でございましたが、そうするとこの制度ができるのがいつになるのかしりませんが、三月一ぱいでできるとかりにいたしまして、四月から発足するというと、まあ来年の三月ごろまでに答申が出るかということになりますと、それがまあ国会にかけるということになるというと、また二年ばかり延びることになるわけないのでございますが、しかし何だか私ども、もうちょっと急いでいただきたいという気持が、切実なるものが実はあるわけでございます。その点いかがでございますか。
  103. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) 御もっともです。それからまた学校のことは改革しましても、やはり学年進行というものがありますから、いい案をこさえて下さっても新しい学校制度にすっかりなってしまうというには、やはり多少時間がかかるのです。十分に一つ促進はしていただきたいと思うけれども、急がば回れといいますか、もはや二月末ですから、四月一日から発足する学校制度をわれわれの考えておるようなものにしようといっても、とても聞に合わぬことですから、非常に急いで昭和三十二年の四月からやることができれば非常に早いのじゃないかと思います。
  104. 竹下豐次君(竹下豐次)

    ○竹下豐次君 まあ諮問なさる一般の教育問題について、教育制度の問題については御諮問になりますと大へん広い範囲になりますので、本当に研究すれば一年もかかると思いますが、幸いにしてこの短期大学の問題については教育審議会でも今日まで相当に研究された問題も御存じの通りでもありますし、ほかの問題と全く切り離すということもいけないかもしれませんけれども、あの程度この問題は早めに切り離してでも答申を求められるという方法もあるのじゃないかと思う。この点はあまりこまかいことまで申し上げまして済みませんけれども、お考えを願いたいと思っております。
  105. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) 今お説のところは、竹下さんの御経験における尊い御意見でございますから十分に参酌はいたしておきます。
  106. 秋山長造君(秋山長造)

    ○秋山長造君 おそくなって恐縮ですけれども、二、三点ちょっとお伺いいたします。さっきも技術研究所京都大学に設けられるというようなことがありましたが、どういう理由ですか、京都大学に設けるというのは。
  107. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 先ほど申しましたように、あらゆる医学部におきましては、大なり小なりウイルス研究しておりますし、伝染病研究所、微生物研究所にも特色ある研究はしておりますけれども、それらと比較いたしまして京都大学の医学部にも木村博士を中心とする教授陣が非常にウイルスについて従来業績を上げておられますので、この医学部を中心研究所を創設したいということを研究所協議会に語りました際に、皆さんの御意見でありましたので、京都大学と相談の上これを創設することにいたした次第でございます。
  108. 秋山長造君(秋山長造)

    ○秋山長造君 私は今国立学校設置法をずっと初めから読んでみたのですけれども、どうもこの表を見ますと、大体国立大学は非常にたくさんあるのですが、学部の構成から言っても、また附属研究所の数から言っても、東京と京都が断然集中しているのですね。東京と京都、あと北海道だとか仙台それから福岡というような昔の帝大、旧制大学に若干、それから戦後新しくできた国立大学は全然絶無、こういう形になっているのですが、これは先ほどちょっとお話も出ておりましたが、学術研究の便宜ということから言えば、とりあえず何をやるにしても東京大学京都大学にやらせれば間に合う。また既存の設備もある。だから手っとり早い。予算なんかについてもあまり金を入れないでも何とか一通りのものはそろうというようなこともあって、一そう東京や京都に、いろいろなこういう研究機関が集中している現状だろうと思うのです。しかしまた別の面から角度を変えて考えますと、この今全国各都市にできている国立大学、これをつぶすというなら別ですけれども、やはり今の現状から言えば、国として、もうこれに相当力を入れて、できるだけこれを育てて行かなければならない段階だろうと思うのです。そこでこういうものを育てて行くことも関連しまして、できるだけこの付属研究機関なんかも今後は東京、京都ばかりに集中するというやり方を改めて、それ以外の方にできるだけ基礎のないところに、木に竹をついだわけに行きますまいけれども、しかしできるだけ地方へ分散させるというか、地方の大学を育てるという意味をも含めて、そういうやり方をなさる必要があるのではないか。またそういうことをお考えになっているかどうか。先ほど大臣がさらにガン研究というようなことをおっしゃっていた。また大学局長はいろいろな原子力研究所だとか、いろいろ将来の構想を述べておられたけれども、大体これも東京と京都に集中しているような話なんですが、もう少しやはり地方大学はこれは幾ら金を入れてみたところで、東京や京都のをそっくりまねるというわけにはいかない。やはり間口をあまり広げるよりも、狭くても何か特色を持った大学として育てて行くという以外にないし、またそれが一番いいのではないかというように私は思うのです。その点について一つ文部大臣のお考えをお伺いしたい。
  109. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) まあ私もあなたのおっしゃること何も反対の意見はないのであります。前任者が大学の新設をみだりにやらないで、現在の大学の充実をはかる、インテンシヴにおやりになっている、お考えになっているのもそこであろうと思います。今既設の国立大学をやめるという論は、だれもしておりませんから、ほかにある国立大学内容も充実して、日本の国力の増進とともに各種の研究会もでき、りっぱな講座ができることは私も望んでいるのであります。これは先刻高橋さんのお問いのうち、今度の予算の中に要求して、そこでできなかったものは何だと、こう聞きましたから、ガン研究所を要求したんだと、これはしかし研究所としてはできておりませんということを答えたので、そのほかに、研究の必要がある科目は多々ございます。それらは適当なところがあればやはり全国に分散することも一つの考えであろうと、かように思っております。
  110. 秋山長造君(秋山長造)

    ○秋山長造君 私の質問が、大体この原則論ですから、大臣の御答弁も抽象的になるのもやむを得んのですが、一つの見方ということで、この片づけられたわけですけれども、ほかに具体的に、今後やはりいろいろな大臣の考えておられるガンの研究所にしても、まあそのほか、こういう理科系統ばかりの研究でなくて、あるいは文科系統の研究にしても、いろいろ研究所を作ったり、あるいは研究室を充実したりする必要は出てくると思う。そういうものをやる場合に、とりあえず東京大学京都大学へ持っていけば、これで人的構成、それから設備、いろいろなものが簡単に間に合うということで、ややもすれば東京、京都へ集中する傾向は、これは大臣も否定なさらんと思う。やはりこれはあまり東京、京都ばかり……、人口が東京に集中するのはどうかと思われるのと同じようにやはり学問があまりそう東京と京都だけに集中するということも、私はもう少し地方へ分散して……、まあドイツなんかの例をよく聞かされますけれども、たとえば医学はどこ、医学の中でもガンの研究は金沢なら金沢とか、肺結核はどことか、あるいは哲学はどこ、国史はどこ、東洋史はどこという、何か地方の大学にそういう特色を持った、個性を持った大学を育てるという意味でやはり研究所なんかも分散していかれた方がいいんじゃないか、そうすべきであると思います。こういうふうに考えます。
  111. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) 大体今のあなたのおっしゃることは、世の中の世論、要求でもあり、私どももそう考えているのです。このたくさんの国立大学を生かしていくには、やはり各大学の特色というもの、あるいは地方的に特色がある場合もありまするし、近くであっても大学の伝統を生かして特色あるものを作らなければならないと、かようには考えてえります。ひとり私が考えるのみならず、この大学問題をどうするかということについては、世間もそうお考えになっているようであって、その方針には進みたいと思っております。
  112. 秋山長造君(秋山長造)

    ○秋山長造君 くどいですが、もう一点だけでやめますが、これは抽象的にはこれはどなたも反対なさることはないと思うのですが、ただやはりこういうたとえばウイルス研究所を作るというような具体的な問題が出てきた場合に、原則は地方へ分散するのがいいというのは、これは原則としてはそうだけれども、しかし具体的にウイルス研究所を作るならどこでやるか、それは京都だ、東京だと、こうなるのです。どうしても、その場合に少々不便な点があっても、これは思い切ってどこか鹿児島なら鹿児島へ持っていく、それは少々金はかかるけれども、少し予算を奮発して、そこへぶち込んで、もうウイルスは鹿児島だというところまでほんとうに文部省が力を入れてやっていくという、具体的に少々不便な点があってもそこまでの一つ、鹿児島でなくてもいいんですよ、これはどこでもいいんですけれども、そこまでのやはり具体的な手を今後打っていただきたいと思うのです。そうしなければ、ただ原則論としては、それは地方へ分散するのはけっこうだ、けっこうだ、しなくちゃいかんと言いながら、具体的に予算を作ったりするときは圧倒的に東京と京都へおもしがかかってしまうということではいつまでたっても議論は議論として空転していて、実際の文部行政というものはやはり東京、京都を中心に行われていくということになる。
  113. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) 詳しいことは局長より御説明申すと思いますが、やはり今回この今急速に発展しつつありまするし、ウイルスを京都へ持っていったということも、やはりこれは特色を生かしているという心持なんです。今新たに鹿児島とか、あるいは札幌とかいったようなところにウイルス研究所をやったって、とても追いつくことじゃないので、やはりこの学問も、遺憾ながらアメリカが一番やっておりますね。だから大阪でもやっておられ、また荒木先生という人でありましたか、東京伝染病研究所でやっておりますがまず相当のスタッフがあって、急いでかけ足でアメリカと同水平線にはいかんでも、相伍するということを急にやるには、京都でなければ間に合わんのじゃございますまいか。そういう心持でありますが、これは医者の一例ですけれども、医学のほかにわが国は必要な学問はたくさんあります。ことにこれから重工業、化学工業、石油化学、抗生物質と、そういうようなおのおの適当なところにうまく配って、大学の特色を生かしつつ国家の進運に貢献したいと思っているのであります。何かこれを具体的に話する資料もございましたら、局長からお話し願います。
  114. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 簡単に補足いたします。  今大臣が各大学の特色を生かすという点を述べておられますが、御質問のこの研究関係におきましても、講座外の研究施設というものが御承知のようにずいぶんございます。研究所までは参りませんけれども、研究施設として特色を伸ばしているもの、たとえば医学の関係におきましては、群馬大学に内分泌の研究施設があります。あるいは工学におきましては静岡大学の電子工学の研究施設、今御審議いただいております予算には、横浜大学の工学部にカーバイト・アセチレンガスの研究室がございます。これらの大学はまだ学部が充実しておりませんので、持ちます研究室も研究所というような大きな規模ではございませんけれども、将来それぞれの大学の充実に関連しながら、これらの研究施設もやがては研究所その他に充実するものも出て参ると思います。そういうような意味で、私どもは特色ある研究を必ずしも大都会のみに集中するというような考えは持っていないのでございます。規模に応じて地方にも相当分散もし、また分散したいとも思っております。
  115. 秋山長造君(秋山長造)

    ○秋山長造君 大臣のお気持も、局長のお気持もよくわかりました。同時にやはり取りあえず間に合うというさっきのお言葉があるが、とりあえず間に合うということになれば、理屈はともかくとして、実際上やはり東京、京都へ集中することになるんですよ。ですからとりあえず間に合うという時期的な問題ももちろん無視できませんが、同時にしかしまた長い目で見ても、学術の分散あるいは地方大学の育成というようなことも、一つあまり軽くお考えにならんように、必ず今後研究施設なりあるいは研究所なりあるいは講座の構成、学部の構成、こういうふうなものを扱っていかれる場合は、従来以上に一つぜひ具体的に考えられる心持でやっていただきたいということを重ねてお願いしておきます。
  116. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) 貴重な御意見ですから十分に尊重いたしたいと思います。
  117. 委員長(飯島連次郎君)(飯島連次郎)

    委員長飯島連次郎君) なお私から二、三お尋ねしたいことがありますから、これは簡潔にお答えをいただきたいと思います。  その一つは、先ほどどの委員の御質問にもございましたが、研究所の雇用員を確保してほしいという要望ですね、これは私も今回ウイルス研究所審議の参考にと思いまして、京都に行って参りました。で、現地でそれぞれ施設も拝見をいたしましたし、木村教授の御意見等も伺って参りましたが、この予算に組んでありますように、教授、助教授、助手、事務官、技官合計して十名とこういうことでは具体的にすぐ差しつかえて参りますのは電子顕微鏡であるとか、超速遠心機ですか、それからウルトラ・ミクロトーム、こういうものを研究補助機関として非常に大事な役割を果し、しかもかなりの時間と人力を食うのです。ですからそのためにもぜひとも雇用員をほしいと、これは予算に計上してありませんが三十一年度の予算でせっかく誕生しようとするウイルス研究所にはせめて今までの研究所がさんざん苦労して、この点で非常な悩みを続けておったところですから、今度せっかく誕生する京都の研究所は、私事にわたって恐縮ですけれども、文部大臣が京都から出られたということで、これに対する期待もきわめて大きいようであります。いかがですか、こういうせめてもの今までの苦労をなくして上げるようなお考えを特にこの際御高配をいただきたいということが第一点。  それからその次には施設の点であります。これは先ほど学術局長からお答えがありましたのは、将来要求があれば考えるというお答えでしたけれども、京都大学に私も久しぶりで参りまして総長にもお目にかかりましたし、その他原子力関係研究の施設並びにその担当の教授にもそれぞれお目にかかりまして、いろいろ御意見を伺ったのですが、京都大学というところは要求をなさるのに非常につつましい要求の仕方で、非常に謙譲の美徳をきわめて発揮していられる大学のように私は見受けました。ですから今度の施設に関してもこれの直接の担当の木村教授並びにその門下の方々は実は非常に心中新しい施設を欲していらっしゃるけれども、なかなかこれを大きな声で表向きに堂々と出しそびれているというふうに私は感知して参りました。これはなければならないもののように私どもは見て参りましたわけですから、将来要求があればということでなしに要求はあるものだけれども、なかなか文部省さんまで上げにいくというのが実情でありますので、これは要求はございますから、施設については内容と同時に一つ近い将来できれば三十二年度の予算の場合に考慮をしていただきたいと思います。それからこれはこれに並行いたします設備の点でございますが、これは堂々と三千七百万円のトータルの要求があったということでありますから、これはぜひ三十二年度の予算において残った部分、つまり三千二百万ですか、この部分について特別の考慮をしていただきまして、名実ともに世界に恥じない、そうして今当面しておるウイルス研究については名実完備した研究所というものに一つぜひ育成してほしいということ、これが第二点であります。  それから第三点は、この研究所をお考えになるときに文部御当局としては共同利用の研究所にしていきたいというお考えがあったのか、なかったのか。それから将来これを共同利用の研究所にしていくことの可能性がありやなしや、こういう点であります。と申しますのは、共同利用の研究所にすることによって、先ほど秋山委員の御質問もございましたが、これは京都大学の独占にすることなしに、ウイルス研究に関しては、既存の学者なり研究者なりあるいは若い夢を抱いておる学徒が日本に散在しているわけでありますから、こういう人たちのために研究の便に供するということは非常に大事なことだと考えますので、そういう意味でこれを共同利用の研究所にするということは、きわめて適切な措置ではないかと考えますので、こういう質問をあえて申し上げるわけでございます。  なおこれは少し問題がこのウイルス研究所ということとはずれて参りますけれども、この研究施設を共同で利用するという場合に、たとえばその一例として基礎物理の研究をしていらっしゃる湯川研究所にも私参りましたときに、特に強い御要望がございましたが、それは外国からはしばしば日本研究者が向うの金で招聘されて研究の便が与えられているけれども、日本でそれをしようとしても今までにはそういう道が開かれておらなかった、非常にそういう点では肩身が狭いということ、しかしものによりましては優に日本に来て研究をしたいという研究もある現状でありますから、ぜひ金額の多寡は第二といたしまして、少くとも研究の世界で肩身の狭い思いだけは一つこの際捨てて、日本にもこういう研究がある、ぜひあすこで研究をしたい、またあそこへ行って研究してきて非常によかったという、そういう道を開いていただきたいということ。  それからもう一つはこのフェロウシップに関しましては、ひとり外国の研究者のみならず、国内の若い研究者がこの今の例なら湯川研究所に参りまして基礎物理をたとえば半年なり一年なりみっしりあそこで研究して、それぞれのあるいは大学なりあるいは自分たちの既存の研究所なりに帰って、自分たちの研究を促進するという道も現在多少開かれておるやに聞いて参りましたが、この道もぜひもっと拡大していただきたい。そういう点ではやはり私さっき申しました共同利用の研究所ということにしておいていただくと、非常に国の方でも、まあお取扱いがいいのではないかと、こう考えていたわけであります。  それから最後にこれは御質問というよりも多少私見にわたることになりますが、先ほど竹下委員の非常に周到な御質問がございました教育研究の問題であります。これは私は苦干見解を異にいたしますが、大学教育者が研究に没頭するあまり、教育の方がなおざりになりはしないかという御懸念でしたが、私は逆に研究に対する国の援助なり研究費なりというものがあまりに少いために、ほんとうの大学の教授らしい教授ができないことを懸念しておる一人であります。ですから、大学の教授にとりましては、研究はおそらく生命でなくちゃならない、研究を離れて大学の教壇にはおそらく立てないのが大学の教授のほんとうの気持ではないかと、こう思うわけであります。ただおのずから限度がございましょうから、研究にだけ没頭しておって、そして本来の使命である教育をおろそかにするということはおのずから避けなければいけますまいし、これはまあ常識をもって判断すべき問題じゃないかと考えますが、この点に関しましてはぜひ文部御当局でも態度を明らかになすって、そして研究教育に携わるものが安心して本来の業に精進できるように、一つ研究費が足りないなら、あるいは人件費その他において非常に欠けるところがあるなら、そういう点を不安がないように一つやれるようにしてほしいと思います。それから研究に関しては十分研究にこれも事欠かないだけの施設内容、先ほどのアシスタントの問題にしても今まで欠けておったところを十分に補って研究の成果が挙げられるようにしてほしい、こう思うのであります。  以上四点でありますがお答えを、きわめて簡単でけっこうですから……。
  118. 国務大臣(清瀬一郎君)(清瀬一郎)

    国務大臣清瀬一郎君) ただいま委員長より御親切に条理を尽した御質問と御意見がございましたが、四点とも全く同感でございます。木村教授には私一回会いましたが、就任早々でございまして詳しくまだ承わることはできませんでしたが、直接お聞きになったとおっしゃればその通りであろうと存じます。雇用員がほんとうに足りなければ、あるいは三十一年度中においても予算の振り合いで雇用員の一名、二名くらい何とかできることじゃないかと思います。  第二点の施設、設備のことはこれは予算が要りまするからして、お話の通り昭和三十二年を待ってやらなければならぬことと思います。共同利用のことは国の費用でこの少い日本の財政から国がやることでございまするから、国内の研究者、学生にはむろんこれはもう共同に使わすのは当然でございます。原子力などの研究は初めからそういうことを云って始めさせておるのでございます。  教育研究のことでございまするが、先刻来申しました通り、特殊の研究施設には専門で一生をぶち込んでやっていただく考えでございます。ただ学校にとどまって、学位にとどまって学生にレクチュアーをされる方はこれも同時に最新の、最も進んだる教育をしなければなりませんからして、そのための研究施設の要ることはむろんのことであります。わずかではございまするが、今年はそのために研究費は増しておるのでございます。わが国の財政の現状からして、いまだ十分とは思っておりません。その点についても年々改善いたしていきたい、かように考えております。
  119. 政府委員(飯島連次郎君)(飯島連次郎)

    政府委員飯島連次郎君) それでは大体大臣のお答えでお考えはわかりましたが、三番目のフェロウシップのことについては局長に……。
  120. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) まことにごもっともなお話でございまして、現在雇い外人教師以外に招聘外人教師というのがございまして、学部の講義を持たせる意味におきましては外人を迎えられるのでございますけれども、迎えた外人がいろいろ日本のことを研究できるのでございますか、お話のように研究所の職員となります道がございませんので、これはなお研究いたしたいと思っております。それから内地の研究者が他の大学に参りますことは現在も六百万円程度の予算で内地研究制度がございますが、お話のようにこの上とも充実いたしたいと考えております。
  121. 委員長(飯島連次郎君)(飯島連次郎)

    委員長飯島連次郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  122. 委員長(飯島連次郎君)(飯島連次郎)

    委員長飯島連次郎君) それでは速記を付けて。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後五時八分散会    ————・————