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委員長(
飯島連次郎君) なお私から二、三お尋ねしたいことがありますから、これは簡潔にお答えをいただきたいと思います。
その
一つは、先ほどどの
委員の御
質問にもございましたが、
研究所の雇用員を確保してほしいという要望ですね、これは私も今回
ウイルスの
研究所の
審議の参考にと思いまして、京都に行って参りました。で、現地でそれぞれ施設も拝見をいたしましたし、木村教授の御
意見等も伺って参りましたが、この
予算に組んでありますように、教授、助教授、助手、事務官、技官合計して十名とこういうことでは具体的にすぐ差しつかえて参りますのは電子顕微鏡であるとか、超速遠心機ですか、それからウルトラ・ミクロトーム、こういうものを
研究の
補助機関として非常に大事な役割を果し、しかもかなりの時間と人力を食うのです。ですからそのためにもぜひとも雇用員をほしいと、これは
予算に計上してありませんが三十一年度の
予算でせっかく誕生しようとする
ウイルスの
研究所にはせめて今までの
研究所がさんざん苦労して、この点で非常な悩みを続けておったところですから、今度せっかく誕生する京都の
研究所は、私事にわたって恐縮ですけれども、
文部大臣が京都から出られたということで、これに対する期待もきわめて大きいようであります。いかがですか、こういうせめてもの今までの苦労をなくして上げるようなお考えを特にこの際御高配をいただきたいということが第一点。
それからその次には施設の点であります。これは先ほど学術
局長からお答えがありましたのは、将来要求があれば考えるというお答えでしたけれども、
京都大学に私も久しぶりで参りまして総長にもお目にかかりましたし、その他原子力
関係の
研究の施設並びにその担当の教授にもそれぞれお目にかかりまして、いろいろ御
意見を伺ったのですが、
京都大学というところは要求をなさるのに非常につつましい要求の仕方で、非常に謙譲の美徳をきわめて発揮していられる
大学のように私は見受けました。ですから今度の施設に関してもこれの直接の担当の木村教授並びにその門下の方々は実は非常に心中新しい施設を欲していらっしゃるけれども、なかなかこれを大きな声で表向きに堂々と出しそびれているというふうに私は感知して参りました。これはなければならないもののように私どもは見て参りましたわけですから、将来要求があればということでなしに要求はあるものだけれども、なかなか
文部省さんまで上げにいくというのが実情でありますので、これは要求はございますから、施設については
内容と同時に
一つ近い将来できれば三十二年度の
予算の場合に考慮をしていただきたいと思います。それからこれはこれに並行いたします設備の点でございますが、これは堂々と三千七百万円のトータルの要求があったということでありますから、これはぜひ三十二年度の
予算において残った部分、つまり三千二百万ですか、この部分について特別の考慮をしていただきまして、名実ともに世界に恥じない、そうして今当面しておる
ウイルスの
研究については名実完備した
研究所というものに
一つぜひ育成してほしいということ、これが第二点であります。
それから第三点は、この
研究所をお考えになるときに文部御当局としては共同利用の
研究所にしていきたいというお考えがあったのか、なかったのか。それから将来これを共同利用の
研究所にしていくことの可能性がありやなしや、こういう点であります。と申しますのは、共同利用の
研究所にすることによって、先ほど秋山
委員の御
質問もございましたが、これは
京都大学の独占にすることなしに、
ウイルスの
研究に関しては、既存の
学者なり
研究者なりあるいは若い夢を抱いておる学徒が
日本に散在しているわけでありますから、こういう人たちのために
研究の便に供するということは非常に大事なことだと考えますので、そういう
意味でこれを共同利用の
研究所にするということは、きわめて適切な措置ではないかと考えますので、こういう
質問をあえて申し上げるわけでございます。
なおこれは少し問題がこの
ウイルスの
研究所ということとはずれて参りますけれども、この
研究施設を共同で利用するという場合に、たとえばその一例として
基礎物理の
研究をしていらっしゃる湯川
研究所にも私参りましたときに、特に強い御要望がございましたが、それは外国からはしばしば
日本の
研究者が向うの金で招聘されて
研究の便が与えられているけれども、
日本でそれをしようとしても今までにはそういう道が開かれておらなかった、非常にそういう点では肩身が狭いということ、しかしものによりましては優に
日本に来て
研究をしたいという
研究もある現状でありますから、ぜひ金額の多寡は第二といたしまして、少くとも
研究の世界で肩身の狭い思いだけは
一つこの際捨てて、
日本にもこういう
研究がある、ぜひあすこで
研究をしたい、またあそこへ行って
研究してきて非常によかったという、そういう道を開いていただきたいということ。
それからもう
一つはこのフェロウシップに関しましては、ひとり外国の
研究者のみならず、国内の若い
研究者がこの今の例なら湯川
研究所に参りまして
基礎物理をたとえば半年なり一年なりみっしりあそこで
研究して、それぞれのあるいは
大学なりあるいは自分たちの既存の
研究所なりに帰って、自分たちの
研究を促進するという道も現在多少開かれておるやに聞いて参りましたが、この道もぜひもっと拡大していただきたい。そういう点ではやはり私さっき申しました共同利用の
研究所ということにしておいていただくと、非常に国の方でも、まあお取扱いがいいのではないかと、こう考えていたわけであります。
それから最後にこれは御
質問というよりも多少私見にわたることになりますが、先ほど竹下
委員の非常に周到な御
質問がございました
教育と
研究の問題であります。これは私は苦干見解を異にいたしますが、
大学の
教育者が
研究に没頭するあまり、
教育の方がなおざりになりはしないかという御懸念でしたが、私は逆に
研究に対する国の援助なり
研究費なりというものがあまりに少いために、ほんとうの
大学の教授らしい教授ができないことを懸念しておる一人であります。ですから、
大学の教授にとりましては、
研究はおそらく生命でなくちゃならない、
研究を離れて
大学の教壇にはおそらく立てないのが
大学の教授のほんとうの気持ではないかと、こう思うわけであります。ただおのずから限度がございましょうから、
研究にだけ没頭しておって、そして本来の使命である
教育をおろそかにするということはおのずから避けなければいけますまいし、これはまあ常識をもって判断すべき問題じゃないかと考えますが、この点に関しましてはぜひ文部御当局でも態度を明らかになすって、そして
研究と
教育に携わるものが安心して本来の業に精進できるように、
一つ研究費が足りないなら、あるいは人件費その他において非常に欠けるところがあるなら、そういう点を不安がないように
一つやれるようにしてほしいと思います。それから
研究に関しては十分
研究にこれも事欠かないだけの施設
内容、先ほどのアシスタントの問題にしても今まで欠けておったところを十分に補って
研究の成果が挙げられるようにしてほしい、こう思うのであります。
以上四点でありますがお答えを、きわめて簡単でけっこうですから……。