○
国務大臣(
清瀬一郎君)
加瀬さんのおっしゃったことから先にお答えしましょう。
一番初めに、
加瀬さんの仰せられた簡素化ということです。あなたのお説の
通り、簡素化にも限度はございます。簡素化だといって、むやみに何もかもやめてしまうという
意味じゃございませんので、他のほかの要求の限度内においての簡素化ですから、これは私は、非常に大きな要求とも
考えておりませんので、私がこの案の
説明には、それはあまり重点を置きませんでしたが、さっきのお問いについて、丁寧に答えるという
意味で補充したのであります。しかしながら、今日の
日本全体の行政、また
地方行政について、
世間の要求は、やはりもっと簡単にしてくれいということはあるんです。この
法律にきめた
委員会のほかに、いろんな
委員会、協
議会というものは、もう役場にたくさんございまして、それをひとつ兼任にでもするか、簡素にせいということは、私は
選挙区にいる人に教わっておりますから、ある限度においてという
意味に御解釈を願いたいのであります。
それからして、
地方住民の要求によるということもあなたのお説の
通りであって、やはり
任命にしたところがへその
地方の人を採用するのがこれは当然であります。
選挙の方はむろん
地方住民の権利ですから。それとこの
政党組織の交渉ということですね。
政党はあなたの方の
政党も、われわれの
政党も、
国家全体を負うた
政党ですから、で
政党の応援と
公認ということになりますると、党はどうしてもたくさんの議員を取りたいという気が起るんですね。これは
教育に関することじゃから、そういう心持で
選挙すべきじゃないという論も立ちまするけれども、やはり党となってみると、
教育委員も
県会の議員も農会も、すべてあの議員などは
自分の党にたくさん取りたいという気が起ることで、これを制御するわけにはいかぬ、いくまいと、そこで大っぴらに直接
選挙だけやりますると、たくさん取ろうという気が起る。
選挙が苛烈になる。中には、
選挙違反をやっても当選しよう。そういうものまで起るんで、品のいい
教育委員の方はそれはするなと言っても、勢いのおもむくところ、やはりそういうことになり、
選挙で敵味方になれば、やはりその争いは、まあ一両年たてば解けるのでありますが、
選挙の翌日ということになると、敵と対面ということになる。まあこういう
意味から、必ずしも
教育委員には
選挙が一番いいのではないのだ。外国の例を見ても、どこも皆
選挙をやっておるというわけではないのですね。やはり
任命なり、あるいは協議してきめるところもある。私はよく調べておりませんけれども、アメリカあたりでは、
教育の経費を独立に税金を取っておりますわな、
教育税を。そうするとアメリカ人は、
選挙のないところに納税の義務なしということは、アメリカの独立のときからの
考え方で、
教育税を取るところでは、やはり
選挙による
委員が道理上必要になってくる。しかし
わが国においては、
教育に対する特別の税金を課するわけでもないから、まあ間接
選挙でありませんけれども、
性格が。じゃけれども、町村長が町村の議員の同意でやる。これが先例がないことじゃないのですね。
加瀬さん御承知の、公安
委員のような、いやしくも不公平になってはならぬ、警察のことですから、もう
寸毫の私を入れませんよ。人身に関することですから。それがやっぱりこの流儀でやって、
公安委員会は、
知事が
県会の同意を得てやったんだから、不公平なことをしたという非難はあまり耳にしないのです。
日本四十六府県、やはりその流儀でやって、公平が保てておるんだから、そのよき先例に見習って、長と
委員と協議をすれば、そこでまあ公平なものが得られるんじゃないか。
それからして第三に、
文部省のことについてちょっと私聞き損ったかもわかりませんけれども、これはまあ私が担当しておりまするけれども、この
法案は
内閣提出の
法案で、内閣全体の
責任の案として提出いたしておるんであります。あるいはお問い合わせにちょっと誤解して答えておるかもわかりません。
それからして、関連でお聞き下すった町村長の
選挙です。これが苛烈なことは私も知っております。これはまあ限度ということですけれども、どこまでが苛烈かということですけれども、小さい町村長の
選挙でも、実は何百万という金を使って、ほんとに血みどろの
選挙をしておることは事実です。あなたの御指摘の
通りです。何とか
地方自治のために、これがやまんことを望んでおりまするが、どの長と言わないけれども、町村長の
選挙が苛烈で、町村長に落選した、落選したのが、今度は
教育委員会の
選挙をして、そして
教育委員長などになって、ことごとくまたその争いを町村長と
教育委員長の間にもっていく、こういう嘆かわしいこともないではございません。これらから
考えてみますと、やはり長と
議会との同意を得たといいまするけれども、
提案前にもいろいろ協議もあることでありまするからして、それでやったらよかろう。それでも不公平な人事のあることをおそれまして、この案では、一党がマジョリティをとらぬようにしたのです。五人のうちで二人まではいい、三人以上はいけないのです。ちょっとあなたのお言葉に三人とるということがあったけれども、三人はとれない、二人しかとれないという
制限がされている。以上という言葉の解釈ですね。三人以上はいけない、二人でないといけないと、そういう
制限をつけてあるのであります。
それからもう
一つは、一たん就任する以上は、
政党の
幹部にはなれない。役員にはなれない。それからして積極的な
政治運動はできない。なお、それでも
政党くさいことをやって、住民がいけないと思うならば
リコールもできる、こういうことでやってみれば、
教育行政の
中立は保てるのだろう、少し繁雑な方法でございまするけれども、直接
選挙よりは、この方が
中立は保てるだろうという見方がこの案の本旨でございます。言葉は悪いが、趣意をどうぞ……。