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1956-05-28 第24回国会 参議院 農林水産委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十八日(月曜日)    午後二時七分開会     —————————————   委員の異動 五月二十五日委員長島銀藏辞任につ き、その補欠として大谷瑩潤君議長 において指名した。 五月二十六日委員秋山俊一郎君、関根 久藏君、重政庸徳君、青山正一君、瀧 井治三郎君、小柳牧衞君、井上知治 君、大谷瑩潤君及び三橋八次郎辞任 につき、その補欠として笹森順造君、 上原正吉君、小野義夫君、古池信三 君、高橋衛君、小幡治和君、池田宇右 衞門君、長島銀藏君及び松浦清一君を 議長において指名した。 本日委員笹森順造君、高橋衛君、古池 信三君、上原正吉君、館哲二君及び松 浦清一辞任につき、その補欠として 重政庸徳君、秋山俊一郎君、関根久藏 君、青山正一君、宮本邦彦君及び三橋 八次郎君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理事            青山 正一君            重政 庸徳君            関根 久藏君            戸叶  武君    委員            秋山俊一郎君            長島 銀藏君            宮本 邦彦君            河合 義一君            清澤 俊英君            小林 孝平君            三橋八次郎君            森 八三一君            千田  正君   衆議院議員            芳賀  貢君   政府委員    農林大臣官房長 谷垣 專一君    農林大臣官房予    算課長     昌谷  孝君    農林省蚕糸局長 永野 正二君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局農業保険課課    長補佐     内村 良英君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選農林漁業組合再建整備法の一部を改  正する法律案衆議院送付予備審  査) ○農林水産政策に関する調査の件  (凍霜害に関する件)     —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。五月二十五日、長島銀藏君が辞任され、大谷瑩潤君が選任され、五月二十六日、大谷瑩潤君小柳牧衞君、井上知治君、秋山俊一郎君、関根久藏君、重政庸徳君、青山正一君、瀧井治三郎君及び三橋八次郎君が辞任され、長島銀藏君、小幡治和君、池田宇右衞門君、笹森順造君、上原正吉君、小野義夫君、古池信三君、高橋衛君及び松浦清一君が選任され、五月二十八日、松浦清一君、笹森順造君、高橋衛君、古池信三君、上原正吉君及び館哲二君が辞任され、三橋八次郎君、重政庸徳君、秋山俊一郎君、関根久藏君、青山正一君及び宮本邦彦君が選任されました。     —————————————
  3. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、委員変更に伴い理事が欠員になっておりますので、その補欠互選を行います。  互選方法は、成規の手続を省略し、委員長において便宜指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないと認め、青山正一君、重政庸徳君及び関根久藏君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案議題に供します。  本法律案は、去る五月十九日、衆議院議員芳賀貢君外十二名提出にかかり、同日予備審査のため本院に送付、直ちに当委員会に付託せられました。まず提案理由説明を求めます。
  6. 芳賀貢

    衆議院議員芳賀貢君) ただいま議題と相なりました農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  わが国の農林漁業を振興いたすためには、農林漁業組合整備強化をはかる必要があることは今さら申すまでもないところであります。このため、昭和二十六年四月に農林漁業組合再建整備法を制定いたし、これに基いて今日まで鋭意これが再建整備をはかって参ったのであります。この法律による再建整備措置は、再建整備期間指定日から五年ということになっておりまして、本年三月末をもって終了いたしますが、すでに相当効果を上げるに至っておりますことは御承知の通りでございます。  すなわち、同法の適用を受けました二千四百八十の農業協同組合、五百十九の漁業協同組合、六百四の森林組合合計三千六百三の単位組合及び百四十二の農業協同組合連合会、三十五の漁業協同組合連合会、三十九の森林組合連合会合計二百十六の連合会につきまして、法定目標である増資について、その実績をみますと、二十九年度末までに、農協五十三億円、漁協三十五億円、森林組合三億円、合計して、単位組合については九十一億円、連合会については都道府県以上の農協連百八億円、漁連十億円、森連二億円、合計百二十億円の増資達成されております。従ってすでに再建整備目標達成して二十九年度から奨励金交付を打ち切られたものも相当数に達しております。  このように、同法の適用を受けた農林漁業組合の大半は、計画通り再建整備措置が進捗いたしまして、本年三月末の再建整備期間の終了時には、おおむね再建整備目標達成するものと信ぜられるのでありますが、遺憾ながら災害その他の原因によって、本年三月末までに再建整備目標達成できない組合もなお相当数存在することは事実でございます。しかし、これらの組合も、再建整備目標達成が全く不可能というわけではなく、本年三月末までには目標達成ができないにいたしましても、今かりに一、二年の時をもってし、この再建整備措置を続行いたさせますならば、その大部分は目標達成が可能ではなかろうかと思われるのであります。従って、これらの組合増資等に対する今日までの努力を無にすることなく今後もできる限り増資を行わせて、その経営の確立に資しますとともに、国の財政支出効率化を図るためにも、この際再建整備期間を二年延長することといたしたいのでございます。  次に、いま一つの問題でありますが、それは、再建整備目標達成後の奨励金償還を取りやめることに関してであります。再建整備目標達成した農林漁業組合と申しましても、今般の再建整備措置によりようやく健全な経営基礎ができ上ったにすぎない実情であって、これをもって直ちに経営基礎が充分確立できたものとみなすことは困難と思われるのであります。従って現行法に基き、再建整備目標達成いたしましてから一年の経過後、利息を加えて奨励金償還させますことは、政府をして償還につき、いかような配慮を加えさせたとしましても、再建整備組合の現状からみて、再びその経営を危くするおそれなしとしないのであります。よってこの際、これらの農林漁業組合経営基礎を確立するため奨励金償還はこれを廃止することにいたしたいのであります。  次に本法案内容について御説明申し上げます。第四条第一項の改正は、再建整備期間延長をはかる規定でございまして、現在の五年を二年延長して七年といたすものであります。なお、これは再建整備期間延長を行うことのみにとどめるのでありまして、三十一年度以降も増資奨励金交付いたす趣旨ではございません。以下これに関連いたしまして、第十八条第二項、第二十条第一項及び第二十二条第一項の規定をそれぞれ改正いたします。  第十四条の改正は、奨励金償還を廃止するために、これを削除することにしたものでございまして、第十九条の改正はこれに伴う規定改正でございます。  なお、本法は公布の日から施行いたしますが、三月三十一日にさかのぼって適用することにいたしました。  以上が本法案内容及び提案理由でございますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第でございます。
  7. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本法律案審査は、後日に譲ります。     —————————————
  8. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 凍霜害に関する件を議題にいたします。  本件につきましては、すでに三度にわたって委員会議題とし、政府善処が求められてきたのでありますが、本日さらに議題にして、その後における政府措置について説明を聞き、その善処を求めることにいたします。
  9. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) お手元に、このたびの凍霜害に関しましての補助金がきまりましたその資料をお配りしてあります。  それによりまして、御説明を申し上げたいと思います。  このたびの凍霜害に対しまして、これに対する補助助成閣議を土曜日に決定いたしました。お手元にお配りいたしました資料がそれでございます。なお、そのほかに天災等によりまする被害農家に対しての融資暫定措置法適用があるわけでありますが、これは政令によりまして、これも取り急ぎ閣議決定を、あしたが不可能であればその次の閣議決定をいたしたいという順序で進めておりまして、それらの予算的な裏づけは、お配りをいたしました資料に含まれておるわけであります。  説明いたしますと、総額におきまして五億三十四万円になっております。その内訳は、凍霜害対策事業費補助といたしまして三億九千六百万、これは、樹勢回復等のための肥料代病害虫防除農薬補助金、苗しろ対策、それから以下述べておりますような措置に分れております。樹勢回復等肥料補助金につきましては、これは二十八年と同様に反当七貫五百の硫安換算にいたしまして、それの三分の一に相当いたしますものを補助いたします。これは開拓地におきましては二分の一補助にいたしております。それから病害虫防除費でございますが、これは農薬補助金でございます。これは二分の一補助にいたしてやっております。開拓地に関しましては三分の二補助に相なります。その対象といたしますものは、麦、バレイショ、茶、果樹桑等でございます。それから苗しろ対策費でございますが、これは主といたしまして、四月末及び五月一日にありました凍霜害よりも、その後の五月の十五、六日あるいは十七日当時に起きました山間高冷地帯の、むしろ雪害とでも申しましょうか、そういうものによる被害の方が多かったように思います。従いまして、主としてそちらの方の対策に相なるかと思います。つまり苗しろがそのためにだめになっておりまするようなもの、苗の輸送費あるいは種もみ等に関しまして補助をいたしております。それからその次の凍霜害予防対策施設でございますが、これはこのたびかなり主として果樹地帯におきまして、重油燃焼等方法によりまして、これは従来二十八年の例以後、ことにそれらの対策が採用されておったわけでありますが、それらの重油燃焼をいたしましたものがあるわけでありますが、それらの地帯に対しまして、その重油燃焼施設の三分の一につきまして補助をいたす、こういう考え方であります。それから蚕種代でございますが、これは被害地農家が晩秋蚕に対しまして必要な蚕種補助するものでございますが、これも二分の一の補助に考えております。それから稚蚕共同飼育等千七百十二万円の補助でございますが、これは春蚕応急蚕飼育と、それから夏秋蚕違蚕防止をいたしますための予備蚕児飼育に関しまする補助二つ段に分けて考えております。すなわち春蚕応急蚕飼育春蚕の掃き立てを延期いたしまして、桑の発芽の回復を待った後に春蚕を行うわけでございますが、それらの桑代等、あるいは共同飼育をいたしまする組合飼育経費等に対して三分の一の補助金交付いたします。それから夏秋蚕違蚕防止をいたしますための予備蚕児でございますが、これは府県等蚕児特別飼育を行いまして、そして養蚕者が掃き立てました蚕児が発育不良であるとか、あるいはこの凍霜害によって生じました桑の需給関係アンバランス等のために違蚕を生じましたような場合に、それに対して補給をいたすための蚕児共同飼育をさせまして、それの必要経費の三分の一を補助いたす考え方でございます。それから稚蚕共同桑園の設置でございますが、これは被害激甚地におきましても、なおかつその近辺あるいはその地域内におきましても、凍霜害をこうむらないようなそういう特殊な桑園が実際問題として存在するわけでございます。それらのいわゆる安定いたしまするようなそういう凍霜害の受ける危険のない地帯におきまして、あらかじめ桑園を設置いたさせまして、それらの費用に必要なものに対して補助を与えたい、こういうことでございます。これは二分の一の補助になります。  それから次の技術指導費補助でございます。二千二百九十三万八千円、一番初めの養蚕関係指導費、これはこのたびの凍霜害のために通常よりも活動する時間その他におきまして、非常に強化して指導に尽瘁しなければなりませんので、それらのいわゆる特別的な手当といたしまして金額補助いたしております。それから農業関係府県指導費並びに農業改良普及事業に対しまする補助金、これは県並びに農業改良普及員に対しまするそれらの足代等でございます。それから共済団体事務費でございますが、この点は実は方々の御要望の中に、農業共済県連合会等が仮払いをいたしました場合に、前もってその仮払いを急ぎますために、それらの経費に対しまして利子補給をみてもらいたいという希望があったわけであります。そういう点の問題に関しまして、結局共済団体等がいろいろな査定をいたしましたり、災害評価をいたしましたり、それらのために事務が二重になるというような関係からこの事務費補助を組んでおります。(清澤俊英君「これは利子補給のための補助ですか」と述ぶ)そうじゃございません。利子補給の方ではございません。共済団体の仮払い等をいたしまするために、事務が複雑になるという意味におきましての事務費補助でございます。なおこの農業共済利子補給の点に関しましては、別途政府が再保険金並びに政府が義務づけられております掛金の分担分がございますが、そういうものの差額等、いわゆる政府交付金と称しますようなものをできるだけ早くこれらの県に出しまして、実際的に利子補給をいたしますると同様の効果を上げさせたいという考え方から、その方向におきまして農林省と大蔵省と協議を重ねております。この予算関係におきましては利子補給を見ておりません。  それから(三)の試験研究でございますが、これは蚕糸関係におきましては夏秋蚕用の桑、あるいは常習的な被害桑園と実際上被害を受けない無被害桑園との気象条件、その他の差異等比較試験等をいたしまする施設費を考えております。農業関係におきましては、同様に地方の試験場、県の試験場及び圃場等の施設関係試験のために必要な施設関係経費を考えております。これらのものの中にはいろいろな凍霜害が起きます場合の気流関係気温関係等比較試験、あるいはまたそれぞれの実際の地域におきまする試験、あるいは委託試験等経費も含めてございます。  それから営農資金利子補給の問題でございますが、これはこれと裏打ちをいたします政令が先ほど申しました通りに数日中に閣議決定をいたして公布いたす順序にいたしておりますが、大体におきまして、営農資金融資総額は二十五億に考えております。これは二十八年度の二十億に比べまして五億の増額になります。政令内容といたしましては、今考えておりまする、そのように取り進みたいと考えておりまするものは、従来の二十八年以後の凍霜害等のためにすでに償還期限が参っておりまする農家、いわゆる連年災害を受けておりまするような農家に関しましても、実際上借りかえができまするようにいたしたいと考えております。従いまして、そういう連年災害を受けました農家に対する融資額は、従来このような場合一戸当り五万円といたしておりました融資額をその倍の十万円といたしたい、こういう考え方でございます。なおその融資をいたしまする年限につきましても、連年災害を受けました農家に対しましては、従来二年及び三年でございましたが、これを一年延ばしまして三年及び四年といたします。連年災害を受けておりませんところは、従来の天災等適用と同様に二年及び三年の適用といたしたい、さように考えております。なお被害激甚で三分五厘等の低利の利子を考えていかねばならぬような地帯、これはそれぞれの被害状況を待ちまして政令で指定するわけでありますが、そういう場合におきましての利子補給も可能でありまするように、この五千万の経費の中では考えておるわけであります。  (五)の本省関係調査指導費は、これは別に御説明するまでもないのでありますが、統計調査の方でそれぞれ被害調査をいたしました末端のものに対してその足代等活動に要しました経費補助しろという要求が当委員会でもございましたが、それはこれによって認めて参っておるわけでございます。  以上大体の御報告を申し上げました。
  10. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまの説明に対し、御質疑の向きは御質疑を願います。
  11. 森八三一

    ○森八三一君 凍霜害対策事業補助の中に苗しろの関係が取り入れられておりますが、従来こういうような災害のときにはかなり国会の方でやかましく言って初めてこういう対策がとられてきておったのが慣行でありますが、この問題が特に五月の中旬に至って起きたことをここに積極的に取り入れられましたのは非常にけっこうでありまして、おそらくこれは初めてのことだろうと思うのであります。議会の要望なしに積極的に行われたということは、まさにヒットだろうと思いまして感謝を申し上げるのであります。が、そのお話しの中に苗の輸送費種もみについては助成をするというお話がありましたが、苗そのものを購入する助成はおやりにならぬのかどうか。といたしますると、新しい播種をし直す場合にはその種に助成がある、他から求める場合はこれは種と同じなのですが、そこに対策としては手落ちがありはしないかと思いますので、その点を一点お伺いをいたします。同時にこの助成の率についてはお話がなかったのでありますが、どういう率の、運賃の場合にはどういう額をおやりになるのか、肥料の場合にはどうするかという内容をお伺いをいたします。  それから第二にお伺いいたしたいことは、これは過日の委員会でも希望を申し上げておりますが、こういうようにワクがきまってしまって下へおりていった場合に、本省から府県庁を通じて示されたものと、実際に実施した内容とが必ずしも一致しないという場合が起きるわけであります。そういう場合には実際に実施した事実に当てはめて補助ワクを直すというような対策がとられませんというと、会計検査等の場合にも違反事項として指摘をされるというような過去の経過があったわけでありますが、そんなことから関連して、記録を修正して実際でないものをつくろっておけばパスをするというようなことになり、そういう帳簿を作るという不正を教えるような危険が従来はあったかと思うのでありますが、そういうことに対して過日の御答弁では、地方庁に大幅な裁量を認めるというような御答弁であったと記憶をいたしますが、具体的に金額ワク決定いたしましたということに立脚いたしまして、いかなる措置をおとりになるのかどうかということを第二にお伺いをいたしたいと思うのであります。  それから第三点は、連年災害者に対しまする営農資金の融通につきましては、一戸当り金額を十万円まで拡大する、あるいは年限を一カ年間延長するということでございましたが、その場合に拡大されるべき金額は、過年度の災害融資に対して現に残っておりまする金額を全部借りかえの対象になさいますのか、延滞というような姿になっておるものは打ち切られるのか、具体的な取り運びの実態についてお伺いをいたしたいと思います。  それから第四点は、必ずしもこの凍霜害関係だけではありませんが、災害補償法に伴う共済金のことでありますが、共済組合役職員諸君がほとんど徹夜にもひとしいような活動をして調査をし、それが県の連合会に集まり中央へ出てくる。そうしてそれが実際には査定されて下へおりてくる。そのときにはもう現場というものはなくなってしまっておる。その場合におおむね減額査定が行われます。そうすると最末端ではいかんともそれを修正する資料というものがなくなってしまっており、実際の処理上困るというような事例をしばしば聞くのでありますが、そういうことからして、結局やはりこっちも帳面を上手に作っておかなければいかぬなんということになってしまっておるというように私は感ずるわけでありますが、そういうようなことになった場合はこれは大へんなことなんで、この共済金災害査定については、やはりどこが主体であるかというようにもう少し明確にしておかんと、いつでも問題が起って、共済組合役職員諸君がしょっちゅう頭を痛めて難儀をするということになると思いますが、これは今回の凍霜害の問題だけではありません。基本的な問題でありますが、特に今回のこれに関連して今後の取扱いを一体どうなさるのか、共済組合では損害査定のそれぞれの専門家がおって査定をしておる。ところが一方では農林統計調査部の方の統計も出てくるというようなことで、すぐそこでかち合ってしまって減額査定ということになり、結果としては会計検査院の指摘を受けるようなことにまで発展していくという事例がたくさんありますが、どういうように始末されるのか、その点を最後にお伺いをいたします。以上の点につきまして、一応お答えをいただきたいと思います。
  12. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) この苗しろ対策の問題でございますが、これはちょっと私の説明が誤まっておりましたので御訂正願いたいと思います。種もみ補助は入っておりません。苗しろの苗の輸送費だけを入れてございます。それに対する分だけを入れております。なお種もみがなくて困るというような問題につきましては、食糧庁の方で保管いたしておりまする種もみをそちらの方へ出すように手配をいたしたいと思います。先ほどの説明が誤まっておりましたので御訂正申し上げます。  それからいわゆるこういうふうにワクがはめられました場合の補助末端へ参りまして、また二十八年と同様にいろいろな後ほどの批難事項になるかならぬかという問題、それに対する対策はどうであるかというふうにお聞きいたしたわけでございますが、これはこの前の委員会でもたしか御指摘になったことかと思いますが、できるだけ末端におきまして、相互の運用というと語弊がございますが、いわゆる末端における総合対策が可能なようにいたして、今申しますような批難事項等に該当することを極力避けたい、かように考えております。それの具体案につきましては、まだ現在協議をいたしておりまして、はっきりいたしませんが、物の考え方といたしましては、そのようにいたしたいと考えております。従いまして今御説明いたしましたのは、予算を作ります場合の少くとも積算の基礎であることに間違いございません。ただこれをそのまま末端に落すようにするかどうかという点につきましては、なるたけ余裕を持った形でやっていきたいと考えております。たとえて申しますと、肥料等の問題に対しましても、非常に激甚地激甚地でないところとは、でき得べくんばある程度の差をつけた方がいいかと思います。実際問題としてなかなか末端でむずかしい状況で、村長さん等が非常に非難されることが多い実は案件になっておりますが、それらのものをできれば反当施肥料等最高限最下限、まあ最下限は別といたしまして、最高限みたいなものを作りまして、そのワク内でやっていくというような方式をとるとかいうようなことを考えたいと思っております。できるだけこの前のような批難事項等を厳格にいたしまして、批難事項がないように、いわゆる善意の違反を起されるようなことのないようにいたして参りたいと考えております。  それから連年災害の借りかえの問題でございますが、これは一応借りかえと申しますが、借りかえということは実際はないことになっておりますが、新しく借りるわけでありますが、その限度は連年災害を受けておりますものは十万が限度でございます。それから新しく災害を受けたものは五万の限度で貸していきたい、かように考えております。これについては、当委員会でございましたか、問題があったと思います。あるいは間違っておったかもしれませんが、損失補償の問題をこの際むしろ借りかえしないでやったらいいではないかという御意見が、たしかこの前あったかと思います。この問題は当然制度の問題といたしましては損失を打ち切って、もうそこで損失補償ということでやっていってもいいわけであります。借りかえできるものは借りかえをする、こういうことで進んで参りたいと思いますが、あまり実は開拓者——その他損失補償も便宜でやった方がいいと思って、開拓者諸君の意見を聞いてみましたが、やはりここで打ち切って損失補償の手よりも、借りかえの形でやっていった方が信用の問題等があるからいいというような意見がありまして、制度としては損失補償が当然あるわけでございますから、損失補償の線も動かしたいと思いますが、借りかえによる期間延長の申し込みが多いだろうと期待いたしております。  それから共済の査定の責任の問題でございますが、これは実は私まだ不勉強で十分にその実情がわかりかねるのでありますが、やはり今の建前といたしましては、末端組合、あるいは県の連合会というふうないわゆる上級機関と申しますか、そういうものがあるわけです。災害査定はやはりそれぞれの上級の機関の判定に従うということに現在のところ建前は相なっておるように思います。
  13. 森八三一

    ○森八三一君 第一の苗しろの被害に対する輸送費だけであって、苗、もみの助成対策が織り込まれておらないということは、どうも凍霜害対策としては欠ける点があるのではないか、現に苗しろを作って、それがだめになってしまった、ことに長野県のごときは相当被害をこうむっておると私も承わっておるのでありますが、そういう場合になるほど新規に購入したやつの輸送費はなにがしかの助成があるといたしましても、結局苗は二重に作られることになります。これはやはり苗の購入費、政府の保管しておるもみを出すにしても、もみは二重に使われるわけでありますから、一つの収穫に対して二重の投資が行われる。そこに災害があるわけですから、これも対象として考慮されることが必要と思いますが、考慮の余地がないのかどうかという点を重ねてお伺いいたします。  それから第二の連年災害諸君に対しては、借りかえということでなくて、連年災害者に対しては限度を十万円に引き上げたということでありますが、実際問題としては、過年度災害の未償還分がおそらくその膨脹したワクの中に計算されるということに実際はなるのではないか、そうせぬというと目安がなくて、連年災害者は一律に十万円までいってしまうということになります。必ずしも金を貸すことはいいことではないので、できるだけ融資額を少くして効果を上げることが好ましい姿なのですから、その最高限度というものがやはりそこに未償還額というものが一つの限度になりやせんかと思います。私はそうすべきだと思います。その場合に当然、期限内の未償還額だけが織り込まれるのか、延滞しておる額まで考えられるのか、実際上の扱いとしてはこれは問題になると思う。その取扱いをどうするか、それは現地の農業協同組合を通じていくものですから、その協同組合の管理にまかせてしまうということであれば、ばらばらでよろしいかどうかという点を重ねてお伺いいたします。  それから批難事項になりませんように余裕のある措置をするということでありますから、一応その点は了承いたしましたが、もっと具体的にお伺いをいたしますと、肥料助成金としてワクを流してやった、ところがその村で病虫害の防除の方をやったという場合に、その肥料助成金としてきたものを病虫害の農薬に使うということを認めるという趣旨であると私は理解をいたしますが、そういう理解でよろしいかどうかということを重ねてお伺いをいたします。  それから第四の共済金の問題は、上級機関の判定によるというのですけれども、一番末端の農業共済組合が現地を一筆々々調査をして、そして災害というものを調べて報告をして、それを上級機関が査定するといっても、これは現地を見てやるわけではないので問題が残るのです。かりに現地を見てやったとしても、両者の意見に食い違いが生じて、それじゃ現地でもう一ぺん立ち会ってやろうというその時期には、現地はなくなってしまっておるということになります。そうすると末端の方では、被害がかりに十町歩あった、こう言っても、上級機関の方では八町歩だ、こう言う。いや八町歩じゃありませんよ、十町歩ありますと言っても、現場がなくなっているから、これは水かけ論になる、収拾がつかなくなる。そうすると八町分の補助金で十町分に按分してやってしまう。こういうことになると、批難事項にすぐ出てしまう。そういう点をどう解決するのか、具体的にどう考えているのか、そういうことを聞いているのです。
  14. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 苗しろの問題、苗の運送費の問題ですが、今まで凍霜害のこういう例はないわけであります。ただ水害等で流れたような場合に実例があるわけでございます。それらの前例等に実は従ったわけであります。その場合も苗しろの苗代というものは出ておりません。輸送費で出ておりますので、今般もそのようにいたしたわけでございます。  それから先ほどの借りかえの問題の点でございますが、これは償還期限の来ておるものだけやるのか、それとも延滞しておるものもやるのか、こういう御質問でございますか。
  15. 森八三一

    ○森八三一君 過年度災害の借入金中米償還部分だけを、新しくふえたワクで借りかえていくというような措置になるのか、延滞額も含むのか。もっと具体的に言いますと、かつて五万円借りて、当然昭和三十一年の三月までに三万円は返しておらなければならぬはずであった、ところが実際は延滞をして、二万円しか返しておらぬ、三万円が残っておる、その三万円全体を借りかえに認めるのか。当然三万円は返しておるべきでありますので、残りの二万円だけが増加をした五万円を対象にして持ち込まれてくるのかということです。
  16. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) その点につきましては、延滞いたしておりまするものも借りかえでやってよろしい、こういう考え方であります。  それから共済の問題でございますが、実は私はなはだ不勉強でそこまで詳しく存じませんので、担当の保険課の者がおりますので、それから説明をいたさせます。
  17. 内村良英

    説明員(内村良英君) 共済の損害評価につきまして、ただいま御質問があったわけでございますが、ただいま官房長から御説明申し上げましたように、損害評価につきましての見解は、組合連合会、国の再保険、それぞれの段階において、たとえば組合について申しますと、組合長が損害評価を決定する、こういうことになっております。ただし現行の農作物共済は、御承知のように共済組合連合会の保険に付しておりますし、連合会はその保険責任の相当部分を国の再保険に付しているわけであります。従いまして、連合会及び国といたしましてもそれぞれ責任があるわけでございますから、連合会組合に対しまして、組合の損害評価について一つの見解を示すわけでございます。その場合に上級機関の見解、すなわち連合会組合の段階でございますと、組合側の定款に、一応上級機関の見解と異なる場合には、上級機関の見解に従うという規程がございます。ただし上級機関の見解と異なる場合には、各県ごとに保険審査会というものがございますから、その保険審査会に審査を請求できるという建前になっております。そこでこの農作物共済の損害評価の問題は、共済の対象が作物でございまして、しかも評価の方法がむずかしい。それからさらに評価に当る者が被保険者の代表で構成されておりますので、ややもすれば自分たちに有利な評価をしがちであるという現実は、これは否定できないと思います。そこで上級機関の審査ということが必要になってきておるわけですが、上級機関といたしましては、一応見回り調査をし、さらに農林統計の数字等を使いまして、できるだけ正しい線に近いような評価を求めたいということでやっておるわけでございます。もちろん組合によりましては、上級機関の審査と意見が一致いたしまして、見解が異ならないという組合も多数ございますことは申し上げるまでもないことでございます。大体農作物共済の損害評価につきましては、現在はさような仕組みになっております。
  18. 森八三一

    ○森八三一君 今の損害評価の再審査を要求しても、そのときにはもう現場はなくなってるのですね。そのときに一体どうやって意見を調整するのか。最末端までびしびし回って調べて、それはお話のように被保険者が代表ですから、有利に計算をするというところがあることは私も否定いたしません。いたしませんが、それがそうであるのかないのかということをどうやって見きわめるのか、物がないのですよ。一体ただ上の農林統計調査統計とかいろいろなものを用いてやるとおっしゃいましても、そこで再審査を求めてみても、現場はなくなっておるのです。それをどうやってやるのですか。過去の実例は結局上の方からの査定というものが押しつけられておる。そのために最末端としては共済の損害を補償していく場合の分配が実は困る。困るから最末端査定をしたように当てはめてやるというと、補償額を少し減らして薄く広くやる、こういうことになってしまう。これはいかぬということになるのです。そうやれば、実際はそうやっても帳面だけは人数を減らしてぴしっと合わしておる。実際はそうでないということをやらざるを得ない、そういうことになるのですね。そこに不正な帳簿を作れという指導が行われるということになると思います。それは一体どうおやりになるのか、そういうことを指導していいのかどうか、これはいいことではないと思います。
  19. 内村良英

    説明員(内村良英君) ただいま御指摘のございました点は、実は農作物共済といいますか、農業保険の非常に大きな問題でございます。で、各国の例を見ましても、損害評価が非常にむずかしくて、保険をやめてしまったというような例もあるわけでございます。われわれといたしましても、この点につきましては、従来からも種々苦しんでいるところでございまして、上級機関の見解と下のものとの見解が異なる場合に、審査会に提訴できる。審査会がそれをどういうふうに審査するのかというお話でございますが、ただいまも御指摘がございましたように、物理的に物が非常にございませんので、各農林統計資料とかいろいろな資料をとりまして、総合的に審査をするという建前になっております。そこのところは現在の段階では、何しろ物がないのでございますから、信頼し得るそうした資料を使ってやる以外に方法がないということになっております。
  20. 森八三一

    ○森八三一君 これは非常にむずかしい問題で、今すぐ結論を出せといってもむずかしいと思います。物理的に調べるといっても調べようがないのです、現場がないのですから。その現場を知っているものは一番最末端のものです。そういうものがどうしても意思が合致しない場合に、がんばってしまえば、押しつける以外に手はない。それを押しつける結果、上級機関の審査通り、最末端ではこっぴどくやられてしまう。こういう事実が発生しておりますから、御存じがないわけではありませんので、今後の問題としてそういう点を一つ十分、一番下に非常な迷惑がいかぬ建前というものを御研究願いたいと思うわけです。  それからまた官房長にお伺いしますが、せっかく十五日前後の雪害というものを取り上げて、苗しろ対策というものを積極的におやりになったことは、まさに農林省近来にない大ヒットだという賛辞を呈したのでありますが、その中に過去の実例として、水害の場合運賃の助成をしたことがあったので、その過去の実例だけの限界にとどめたということは、せっかくのそのヒットが、ここで八〇%くらい帳消しになってしまうという結論に私はなると思うのです。これはやっぱり苗そのものの購入に対して助成をすべきである。これは資本が二重投下ですから、収穫は一ですから、そのことをお考えにならぬと、どうも私は少し筋がおかしい。過去がこうだからということでは、積極的に取り上げられた趣旨というのは非常に失われてきますが、これは別にこの説明を、肥料購入費を加えてもそうえらい問題ではないように思いますが、そういうようにしますると、この二百二十何万円というものが少しふくれてくるというところに問題があろうかと思うのですが、トータルが五億円で、昭和二十八年の額より減ってきておるのですから、もう少し官房長がんばっていただくと、トータルを少しふくらましていってということも、まあ閣議決定ができてしまったという今日ではむずかしいかもしれませんが、お考え直しを願う余地はございませんかどうか。
  21. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 非常に種苗の問題につきまして、苗代もということなんですが、これは実は従来の例を先ほど申し上げまして、従来の例にならったのだということを申し上げたのですけれども、二重投資になることは確かにそういうことだと思いますが、しかしそのほかの点につきましても、みなこれを見ておるわけではございませんので、もちろんできるだけのことをやることがいいということはよくわかりますが、またおそらく現地を見ていただきましておわかりのことと思いますけれども、同一地域におきましても、実は苗しろがうまく保護されて守られておる地帯もあるわけでございます。そういう農家もあるわけであります。そこらのところの問題もございますし、またこの苗を仕立てまするあとのたとえば肥料代等におきましても、あるいは農薬代等におきましても、それぞれは先ほどの肥料及び農薬等の対象の中に入れておりますので、まあはなはだ不満足でございましょうが、このあたりで一つ御勘弁を願いたいというところでございます。はなはだどうももう一歩足が出なかったのは残念でございますが、御了承を願いたいと思います。
  22. 清澤俊英

    清澤俊英君 被害総額、これはどれくらいになっておるのですか、被害が起きた額、総額どれくらいになっているのですか。  それから各府県の総額被害の申請というのがあるでしょう。それと政府が作報から取ったのとで食い違いが出ておる。その食い違いがどういうふうになっているか、面積並びに金額というものがどんなふうに食い違いが出ておるか。
  23. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) ちょっと今詳しい資料を持っておりませんので、御説明は非常に概略になって失礼になると思いますが、この桑の面積等は……。
  24. 清澤俊英

    清澤俊英君 いやいや、そうこまかしいことは要りません。総額でいいのです、全体の。
  25. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 県庁との被害の食い違いは相当にございます。県によって非常な違いがございますので一概に申し上げにくいと思いますが、従来ですと約三倍くらいの被害の違いがございましたが、最近は田であるとか桑であるとかいうようなものは被害が大体一致して参っております。そのほかの一般作物に関しましても、これはだんだんと一致に近い、両方の数字が相近まっておりますけれども、なお相当の開きがあるのが実情でございます。たしか知事会議等から暫定的に十県にわたって出されました数字が百七十億ぐらいの数字であったと思いますが、私たちの方で調べました全国的な被害額、金額に一応換算いたしますと、大体百億少しこすような数字になっておったと思います。そのくらいの違いがあったわけであります。
  26. 清澤俊英

    清澤俊英君 あのね、これは毎年百億からそれに近い凍霜害被害というものが起きていると同時に、受ける場所が大体まあ道があるようですね、道が。受ける場所が、地帯がきまっているように見えるわけです。同じ一つの県でも、そういうふうに見えるのだが、もっと何かこう大きな方法は講じられないのだろうかと僕は考えるのだがね。まあ重油をたくぐらいのことで施設するというようなことを言うけれども、原子爆弾もできた時代、ヘリコプターでまくぐらいのことが考えられないのだろうか。これは百億の損害の十分の一、少し一割張り込む気になればわけはないだろうと思うのだが、それくらいのことは考えられないのだろうか。農林省の技術陣でそういうこと考えられないのかなあ。
  27. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 実はこの凍霜害対策に関しましては、いろいろ苦心をいたしておるわけでありますが、いわゆる通常霜道というようなことが言われております。確かに概括的に見まして霜道というようなものがあるようでありますが、しかしそれもまだどういう際にその霜道が、霜の被害になるかというようなことにつきましては、実ははっきりしたものがなかなかできておらないような状況でございます。で結局、ことにこの凍霜害の場合、蚕の被害が多いわけでありますが、桑の被害が多いわけでありますが、そういうふうにややはっきりとつかめますれば、夏秋蚕地帯に桑を直すとか、そういうようにいたしますれば、その対策ができようかと思います。春蚕をやるということになりますと、やはりそういうことになると思います。ただそれをそう簡単に今までの春蚕地域夏秋蚕地域に切りかえるわけには、これは参りにくい問題がございましょうしいたしますが、たしか今度の対策にもありましたし、従来でも試験をいたしておったわけでありますが、たとえば蚕糸試験場の一宮の桑園での試験といたしましては、桑の春、夏、秋の三回収穫いたすようなやり方、あるいは秋と夏の二回収穫、これらをどういうふうな組み合でいったら、その間に桑樹の桑の発育であるとか、いろいろな問題が差があるかというようなことを研究いたしておりますが、まあそういうようなものを凍霜害地帯に対して適用いたしますると、あるいは相当被害が避けられるような幸いが可能かとも考えるわけであります。そういうような対策を今度の場合におきましてもとりまして、そういう試験費の補助を出して考えたいと思っております。まあそういうようなことをいろいろ考えております。
  28. 清澤俊英

    清澤俊英君 わしの言うことは、そういうことももちろんいいだろうけれども、今年あたりは大体これがくることは前にわかったのでしょう、ことしは。そんな場合に考えられることは、もう科学も非常に進歩して原子時代という時代もきているのだから、   〔委員長退席、理事戸叶武君着席〕  何かガス体でも研究して、それをヘリコプターなんかでぱっとまいたら幾らもかからぬのじゃないかと思うんです。そういう計画をして、新聞社なり農林省が幾つ持つというようなことをやったら、幾らも金をかけないで、百億や二百億の災害があるものとして、少し思い切った研究をしてやっていけないかと言っているのです。消極的な研究ばかりでなく、もっと大ざっぱな大きなことも考えてみたらいいじゃないかと、考えられないかとお伺いしているんです。私は何かそういうことができそうな気がするんだなあ、何かガス体でこれをぱっと押えていくようなものが……。煙もいいといって重油をたいているのだから、それよりももっと有効なガス体で、ずっと沈んでいる、ある時間上へかぶさっているようなものをヘリコプターか何かでぱっとまいて、地域は大体きまっているんだから、一県全部なんということはないので、そういうことがもっと積極的に考えられないかというのです。
  29. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 今清澤先生からいろいろと示唆していただいたわけでありますが、そういうような点も含めまして、試験場その他で十分に一つ研究をいたしたいと思います。なお二十八年のときには、気象台にいろんな今までの資料等を——もう一回凍霜害の予防の立場から従来あった資料を十分に検討していって、どういうふうな予知の方法なりあるいは対策方法を考えるか。まだ実は先ほど霜道の話が出ましたけれども、どういうふうな状況のもとに霜道ができるか、気温の関係、通風の関係がはっきりつかめていないような問題が多いわけであります。そういうような点についてのデーターを十分固めていく必要があると思いますし、また二十八年当時その意見が出まして、気象台等の御協力も実は得まして、かなりの予知いたしますについての進歩があったわけでございます。そういうふうに、単にこれは農林省関係試験場等にとどまりませずに、ほかの試験官等にも応援を求めまして、一つ十分研究をさしていきたいと思っております。
  30. 関根久藏

    関根久藏君 農業共済政府の再保険の概算払い問題ですが、先ほどお話のあったそれらに関係した利子補給はやれない、やらぬと、こういうわけでありますが、まあ少くとも蚕繭共済の保険金は、繭の収獲ができてそれを売るときの時期までに払うことが私は絶対必要だと思うのであります。さようなことができますかどうですか。  それから稚蚕共同桑園の設置の助成ですが、これはどんな方法でどんな割合に助成するお考えですか、それを承わりたいと思います。  それから病害虫防除補助ですが、これはまあ桑園ならば切ったあとのカイガラムシの防除等を第一番にやるんですが、まあ関東地方あたりではそのうちにも桑は伐採してしまうんですが、あまりおそくなって桑が伸びて秋ごが出る、晩秋が出ると、そのときに変な農薬なんかを配給されたんでは、実際問題として使うこともできない。また先年のようないろいろの問題も起ると思います。その辺はどんなふうにおやりになるお考えですか。
  31. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 共済の払いは、今のやり方でやりますというと、結果がはっきりわかってからということになりますから、これは十一月ぐらいになるわけであります。しかしそれではとても今度の場合に間に合いかねると思いますから、できるだけ早くこの本払いの時期をいたしますと同時に、実は仮払い等の制度を活用いたしまして、うんと早めにやっていこうと、こういうわけであります。先生のお尋ねの本払いの点につきましても、通常のスピードでやっておりますと、そのくらいになりますが、これを極力縮めて参りたいと、かように考えております。  なお共同桑園の問題でありますが、蚕糸局長がおりますから、そちらの方から答えさしていただきます。
  32. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 稚蚕共同桑園の設置に対する補助のやり方はどうであるかというお尋ねでございますが、この問題は、先般の二十八年の際はこういう対策が講ぜられなかったのでございます。今回の凍霜害の実際を見てみますと、相当被害激甚でございまして、たとえば従来の凍霜害の場合には、屋敷まわりの桑園は残ったというようなことで、当面の稚蚕飼育にはまあ何とか間に合ったというようなこともあったのでありまするが、今回の場合は、非常な激甚地帯におきましては、ほとんどその近傍の桑園が全減しておる、稚蚕用桑が全然手に入らない、こういう問題があるようであります。ただそういう場合におきましても、たとえば小高いところで風の当るところとか、その他いろいろな、いわゆる霜道というような関係もありましょうが、残っておる桑園もないではない。従いまして、今後積極的に凍霜害を防ぐということではございませんので、消極的に凍霜害被害を最も少からしめるという意味合いにおきまして、なるべく霜害のない安全な桑園を選びまして、そこに稚蚕の共同桑園を設置しておくということにいたしますれば、幼齢の稚蚕の間だけの用桑は少くとも確保できる。その後の壮蚕の飼育につきましては、その後回復した桑園の桑でもってある程度飼っていけると、こういうことに相なると思いますので、共同飼育方法の一つの眼目といたしまして、稚蚕共同桑園を設置することをこの際からスタートして補助していきたいと、こういうことに考えたのでございます。この補助は、おそらく今後恒久的なと申しますか、通常予算の際にも君どもとしては考慮したいと、こう考えておるのでございまするが、その補助対象にいたしまするのは、稚蚕共同桑園を設置いたします初年度の経費のうち、この桑園を設置いたします桑苗、あるいは肥料、あるいは人夫賃というような桑園設置のための経費につきまして、初年度の経費の二分の一を補助して参りたい、こういう考え方でございます。  それから、先ほど凍霜害のあとの病虫害防除のための薬剤散布の問題について、時期を失するような場合には非常に困るという御指摘がございました。私どももこの点は同様に考えておるわけでございます。今回の被害が起りました後、さっそく各県に手配をいたしまして、適期に桑苗の伐採後の手入れその他の点の指導につきまして連絡をいたしておりまするので、各県の指導当局といたしましては、実際に被害後の桑園の手入れがどういうふうに行われておるかというような実情につきましても、いろいろ資料を持っておるはずでございまするので、こういうあと始末のための薬剤散布をいたしましたものにつきまして、国の補助が出るということに相なりますれば、県では相当資料を持っておりまするので、この記録を適正に利用していくことが本年は可能ではないか。二十八年の場合は、とにかくああいうことが事後に行われるということに相なりましたので、非常に問題が多く起きたようでございます。今回はその点が相当当初から指導が徹底さしておりますので、先年のような不手ぎわは起らないで済むのではないか、こういうふうに考えております。   〔理事戸叶武君退席、委員長着席〕
  33. 関根久藏

    関根久藏君 先ほどの官房長の御答弁がちょっとよくわからなかったのですが、再保険金の概算払いですか、これはどうですかね、六月の一ぱいくらいには何とかなりますまいか。
  34. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) そのように努力いたしたいと思っております。何とかなると思います。
  35. 関根久藏

    関根久藏君 間違いないですか。
  36. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 今のところ関係の方と話をしておりますが、まあ大体六月一ぱいくらいには出したいと思っております。
  37. 関根久藏

    関根久藏君 さもないとやはり利子補給を打ち切った何が……。
  38. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) おっしゃる通りだと思います。
  39. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 樹勢回復用といたしまして、肥料農薬関係がございますが、樹勢回復という意味におきましては、被害をこうむった農家からみますると、肥料もほとんど農薬と同じようなこれは効用があるわけでありまして、被害をこうむったという現実におきまして、余分な支出になるのでございますが、これを一方は三分の一、一方は二分の一とこうされておりますが、これはいつもの例でこうなっておるのですか。今度こういうふうに二分の一、三分の一というような工合にきめたのでございますか。
  40. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) これは今般の被害と匹敵いたします二十八年の凍霜害がございましたが、そのときにこういうようなことに相なっておりますので、それによったわけでございます。単価その他につきましては、若干のその後の状況による変化がございます。
  41. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 この前の例によったと、こう申しますけれども、これは実際から申しますると、農家からみますると、これは余分な支出になるわけでございますので、当然これは二分の一の助成ということになるべきだと思うのでございまして、今後におきましてはそのように一つ努力をしていただきたいと思います。  なおこの薬剤の方は、先ほど対象作物を示されましたけれども、対象作物外で被害をこうむったものにつきまして、病虫害発生のおそれのある場合は融通して使ってよろしいということになりますか。麦は麦だということになるわけでございますか。
  42. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 今のところ私たちの考えといたしましては、先ほど申しましたようなもの、麦、バレイショ、茶、果樹、桑、こういうものに限定して考えております。
  43. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 そうしてそのおのおのの作物についてのワクがきまっておるのでございますか。麦の病害発生のおそれが比較的少くて、バレイショが非常にひどくなった、その場合に麦としてもらったものをバレイショに散布をするということは可能でございますか。
  44. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) それはその程度の融通はもちろん認めてゆきたいと考えております。
  45. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 それからこの(ニ)のロ、ハ、の関係でございますが、これはどうなんでございますか。大部分の仕事は下部の指導ということになりますと、普及事業の普及員の方にあると思うのでありますが、逆に府県の方の指導費というのが多くなっておるように思いますが、この二つのものの関係はどうなっておりますか。
  46. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 指導費の、府県関係指導費とそれから改良普及事業として計上いたしました指導費関係でございますが、ロの方は府県におきまする本庁の、あるいは県の試験場の職員等が被害直後、あるいは回復過程におきまして見回り指導をやる、府県等をまじえて見回り指導をやるという趣旨の経費でございます。ハの普及事業の区分されております系統の経費は、末端におきましての普及員が印刷物等を持って対策指導を行う等、末端の個々の農家に対する直接的な指導、これを考えております。
  47. 戸叶武

    戸叶武君 きょうも被害地から陳情があったのですが、今度の災害では想像以上に麦の被害が大きいので、その麦の被害高は統計調査事務所や何かで調査したあとから被害がわかったので、農民がびっくりして、もう少し正確に再調査してくれといっても、もう調査はできないといってはねつけられておるので、それでは困るというような陳情があったのですが、これはどういうふうに取り計らうのですか。
  48. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 被害直後に御報告をいたしました麦の被害額、ことに麦でございますが、その被害額、被害面積等、これは確かにその後増加いたしております。統計調査部の方でそれからしばらくたちましての調査には、今申し上げましたような数字を含めまして入れております。当初の計画とこの予算を編成いたしましたときの麦の被害額は、大体四割くらいふえたのであります。その数字をこの予算を要求いたしました数字に最終的の数字として使って計算しております。
  49. 戸叶武

    戸叶武君 これは二十八年のときも若干その傾向はあったのですが、今度私たちは現地を視察してみて、これは麦や果樹被害が想像以上に大きいだろうというふうにいっておっても、その経験を持たなかった農民の人たちが気づいたのはずっとあとになっておると思うのです。それで調査に非常に食い違いがあるので、私はこれは各県とも今後統計調査調査方式と実態把握との間に非常に誤差があるので、問題が非常に起きると思うのですが、役所としてはまごまごしていられないし、早くこういうときにも調査を出すという敏速が主になっておって、必ずしも私は正確に実態把握がなされておるとは思えないような節々が非常に多いのですが、そうすると農民が非常に泣き寝入りすることになりますが、今度は泣き寝入りでは私は済まないと思うのですが、やはりこういう被害があったときに、あくまでもやはり被害の状態というものを正確につかんでゆく努力というものは払われるべきだと思いますが、大体役所では今までやったような、現在報告がきたような程度で仕方がない、これで打ち切りだというような方針でゆかれるのですか。
  50. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 麦の凍霜害の問題は今御指摘がありましたように、性格的になかなかむずかしい点があろうと思います。ことに出穂をいたしまして間がないことになるわけでありまして、穂首の下の葉柄に隠れておりますあのやわらかい部分が、ことに今度の凍害の場合には害を受けた。被害のありました翌日とか二日あとというときには、そういう状況はまだ出て参りません。しばらく、一週間もたちますればその状況がはっきり出てくる、こういうここになると、この麦の問題に関しましては、実は二十八年のときにもほぼ同様の経験を私たちといたしましては持ったわけでございます。今般の被害の場合、若干二十八年に比べまして、いわゆる寒い期間が長かったせいでもございましょうか、二十八年の例等を十分に実は統計調査の担当者の方といたしましては経験として参考にいたしております。でありますので、当初の数字からその後いわゆる二十日現在で取り調べました数字がふえておりますのも、やはり当初の数字自体におきましても相当麦の被害について綿密に調べた、今まであげたような例でも調べたのでありますが、今後の含みといたしましても、やはりそういう立場で調べておるわけでありまして、もちろんこれらの被害状況というものは農作物でございますので、最終的な収穫のときになりませんとわかりかねるとは思いますが、まず大体対策を急ぐという立場と、それからかなり正確度を持ったものとしてつかむという必要と、両方にらみ合しまして、統計調査の当初数字でないその後の精密に努力いたしたその数字で、実は最終的に予算の数字を大蔵省に対しまして要求いたしましたものも変えまして、持って参った状況でございます。今後いろいろとその後の状況で、最終的には収穫時ではっきりするわけでございます。今のところ予算といたしましては、これでもって対策としていきたい、かように考えております。
  51. 戸叶武

    戸叶武君 当初とその次、二回ですか、それは幾日と幾日になっておりますか。
  52. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 今度の凍霜害の場合は、後の雪害は別にいたしまして、五日一日が最後であったと思います。でありますから五月二日になりすか、三日になりますか、つまりその直後の状況報告というものを一つとっております。それからあと一週間、あるいは十日ぐらいたちましたものをあれいたしまして、それが二十日現在で集計をいたしたわけでございます。  なおその後に雪の害等が新しく十五日、十七日等にあったのでありますが、これはその被害を受けましたのは、ごくその近県にとどまっておりますので、その後またそれらのことについて追加したものがあって予算を要求いたしたい、かようになっております。
  53. 戸叶武

    戸叶武君 私も二十八年のときに長野、群馬、新潟、山梨というようなところを視察したのですが、あのときにも麦の被害というものがあとで発見されておるのです。で、そういうところにおいてはその経験が基礎になって、今度も麦が被害を受けているという早期発見がなされたと思いますが、私の県の栃木県なんかこの前のときにはそんな模様はあまりなかったのです、割合に少なかったのです。今度非常に多かったのでやはりびっくりして、あとで統計調査事務所へお願いに行ったら、もうそんなことを言って来たっておれの方の統計調査は済んじゃったのだから、今さらどうにもならぬというような返事だったというので、農民はふなれな点もあるが、もう非常にモーションがおそいのですからね、しかしそういう実態の把握ということよりも、集計の速度ということだけに重点を置いて、お役所仕事というものはややもするとそうなるのです。やり方に対して非常に不満を表明しまして、今後の農業団体や何かが市町村団体とも結合して統計調査事務所と戦っていくというような空気が非常に強いのですが、これは私はやはりそういう無理があると方々でそういうことが起きてくると思うのです。まあ役所としては、正確度とも言われましたが、やはり速度というものでは非常にそこに問題があると思いますけれども、できるだけやはりこういう被害に対しては公平な立場でやらないとやはり問題が起ると思うのです。どちらかといえば養蚕関係被害が目に見えるので派手で、早く把握できる。その関係でこの前も群馬と埼玉ですかがほとんど早く取ってしまって、ほかの所は恩恵にあずかれないというような失態も生じたのですが、今度のこの麦なんか見ても、養蚕関係というものへ相当重点が払われているが、麦のことはなかなかむずかしいからというような形でほおかむりされているような、被害高は相当なもんだということはわかっていながらも、実際に状況を見なければわからないというような形でうやむやにされたような傾きがあるのですが、これに対しては今後どういうような手を打とうとしているのですか。正確度の把握ということは、収穫が完全になされてからでなければわからぬというような態度でやっているのか、それとももっと今度は特異な二十八年からいくと早いです。だからあなたが説明したような、出穂期における穂首のところをやられたのです、やわらかなところを。被害は二十八年から見ると私ははるかに甚大だと思うのです。これは各県とも共通だと思うのです。
  54. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) これはたしかに麦に対しまする被害は、判定はなかなかむずかしい性格がたしかにあると思います。これは統計調査部の方といたしましても、これらの被害状況に関しまして、それぞれ連絡会議等を持ちまして、そういう問題点になりますものを研究を実はいたしております。従いまして、各県の経験、未経験によりまする熟練度の問題、これはたしかにあろうと思いますが、ことに今御指摘のような点は群馬といたしましても埼玉といたしましても、ごく相似た近いものでございます。できるだけ今までもそのように熟練度等が、同一の作物について変らないように連絡をいたさしておりますが、今後ともにそういうような意味合いの研究、連絡はいたさなければ相ならぬと考えております。まあしかしこの統計調査の、調査の熟練度はいろいろと御指導を得ましたおかげで逐次毎年向上をいたしております。まだまだこれからも努力いたさねば相ならぬと思いますが、ことに麦等の被害の問題につきましても問題点がわかっておりますので、今後また正確度は増すと思います。今までのところでは従来のように被害直後と、それからしばらく置きましたあとの判定というような二段腰の態度でできるだけの正確度を保っていくように考えているわけであります。まあ各県の状況、ことに作物が異りまするための濃淡の問題、いろいろ詳しくやって見ますと、まだまだ改良すべき点はあろうかと思います。今後ともにそういうような点につきましては、作物別に被害の判定度が性格が違うようなことがないように努力をいたしたいと考えております。
  55. 戸叶武

    戸叶武君 今後正確度が増すという御答弁まことにけっこうですが、その今後という意味は、時期的には今度の統計調査に対して正確度が誤まられているものに対しては、再調査なりあるいは修正をなし得る用意ありという意味なんですか。今後というのはまた一年後の、その後のことでは問題になりませんが、その今後正確度を増すというときの観念はどういうところをさしていますか。
  56. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 災害に関しましては、実はこの数字でもってやっていきたいと考えております。その後非常な何か事情がありまして、大へんな見落しがあるというようなこと、大へんというと限度の問題がございましょうが、そういう場合におきましては、もちろんそういうものの数字を入れまして、全体の調節を保たなければ相ならぬと思いますが、今のところ私たちといたしましては、今般の凍霜害に関しましては、この数字でもってやっていきたい、かように考えております。
  57. 戸叶武

    戸叶武君 あまり長く質問しても失礼ですが、これを最後にしたいと思いますが、二十八年度のと比較すると、今度の災害は、麦や果樹に対してはいまだ経験のないような私は打撃を与えていると思うのです。それに対して私たちも十分調査して研究しますが、必ずしも統計調査の正確度というものが、私たちが納得するようなところへきてないのじゃないかと思われる節々が非常に多いのです。そういうような確たる証拠をあげてしまったときにおいては、政府としてもこれに当然善処しなければならないと思うのですが、非常に予算ワクや何かに縛られているという建前から、結局は疎漏な、今までのありきたりな、荒っぽい統計調査がなされてしまって、向うの立場からすれば正確度を相当増しているのだと言っても、そういう習慣がついてしまうと、新しい経験に対処して次に今度はそのことが参考にならないと思うのです。統計調査の重要性というものは、やはり問題が起きたときに生の問題と取っ組んで、間違った点は正確にする、修正していくという謙虚さと努力が払われない調査なんというものは一文の価値もない。そういう政治的配慮によって統計調査というものがゆがめられていく傾向というものが、日本の農業統計があまり信じられないという非難を受けるのですから、今度の災害について、二十八年度のように二度も三度も繰り返してあったときとだいぶん趣きは違うと思いますから、なるたけこの統計調査だけは、政府がやることは正確だ、あまりむごいものじゃないということを農民に納得させるような線まで私は努力を払ってもらいたいと思います。これは希望として申し上げておきます。
  58. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) 今戸叶委員がおっしゃいましたように、統計はあくまでも現実の現状を報告すべきもので、政治的な判断等の入るべきものでないと思います。そのように今後も努力いたしたいと思います。
  59. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本件については、本日はこの程度にいたします。なお、政府においては、過日並びに本日の委員会経過にかんがみ、遺憾なく措置されるよう、重ねて希望いたします。  都合により、残余の議事は後日に回し、本日はこれをもって散会いたします。    午後三時四十三分散会