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説明員(村田豊三君) 農林省の文
書課長の村田でございます。ただいま提案になっております
農林省設置法の一部を改正する
法律案の概要につきまして、御
説明を申し上げたいと存じます。
お手元にいろいろな資料がお配りしてございまするが、
説明の便宜上
農林省設置法の一部を改正する
法律案要綱というのが、こういう薄い二枚の刷り物がございます。これに基きまして御
説明を申し上げたいと存じます。
今回
農林省設置法を改正するおもな
理由は、この法案要綱にも掲げておりまするように四点あるかと存じます。そのうちの第一点は、農林水産技術
会議というものを新たに農林省の付属機関として設置するという点が第一点でございます。第二点といたしましては、農林省の内部部局といたしまして、振興局というものを新たに設置することにいたした点が第二点でございます。第三点は、各種の付属機関を新たに設置することにいたしております。これが第三点でございます。第四点といたしましては、その他以上申し上げましたことに
関連をいたしまして、本省の内部部局間相互の間に若干の事務の
調整をはかったという点が第四点でございます。
まず第一点の農林水産技術
会議の設置でございまするが、これを設置いたしまする
理由といたしましては、ここにも明記いたしておりまするが、農林水産業の試験研究の効果的な運営をはかるため、農林省の付属機関として農林水産技術
会議というものを設ける、こういうことを言っております。すでに御
承知のように農林省は各種の試験研究機関を擁しております。たとえば自然科学的部門といたしましては、農業技術研究所でありますとか、あるいは全国八ブロックに設置いたしておりまする農業試験場でありまするとか、あるいは蚕糸試験場、家畜衛生試験場、食糧研究所、あるいは林業試験場、林業試験場はさらに六つの支場と五つの分場を擁しておりますることも御
承知の
通りであります。あるいはまた水産研究所、水産研究所は全国の八つの海区に設置いたしておりまして、さらに十三の支所を持っておるということも御
承知かと存じます。さらには真珠研究所、こういう自然科学的な試験研究機関を持っておりますると同時に、社会科学部門におきましては東京に農業総合研究所というふうなものを持っておりますることも御案内の
通りでございます。こういう各種また各般にわたりまする膨大な試験研究を
実施をいたしておるわけでございまして、これに
関連いたしまする
予算といたしましても、三十年度は御
承知のように二十九億以上になっておりまするし、三十一年度は先般御可決をいただきましたように三十三億という巨額な試験研究の
予算を擁しておるような次第でございます。これらの細部にわたりましては、ただいま御配布申し上げました資料の中に、
農林省設置法の一部を改正する
法律案参考資料その二というのがございます。農林省所管試験研究所
関係というかなり分厚な資料をお配り申し上げておりますので、これをごらんいただければ幸いかと存じます。
今回設置いたしまするこの技術
会議は、ただいま申し上げましたようないろいろな試験研究機関が行いまする試験研究がばらばらでありましては効果がない、また今日御
承知のようにそれぞれの試験研究が非常に専門的に分化がはなはだしくなっておりまして、高度の専門的な技術を要請されるように相なっております。そのために知らず知らずのうちにそれらの試験研究相互間の連携が保持できなくなる、統一が困難になってくる、またそのためのロスがかなりありはしないかというふうな懸念が前々から言われておったのでございます。従って何らかの形でこれらいろいろな試験研究機関の試験研究というものが総合的に
調整される必要があるということは、農林省多年の懸案でございます。すでに御
承知のように、国全体の科学技術部門につきましては、科学技術庁の設置が
計画されておりまするやさきでもございまして、今回農林省といたしましては農林
関係、ただいま申しました各種の試験研究につきましても、これらを総合的に
調整する機能を果す機関がほしいということで、今回の設置法改正に及んだ次第でございます。従いまして、農林水産技術
会議の行いまする事務といたしましては、この要綱にも掲げてありまするように、第一は農林畜水産業及び農山漁家の生活にかかわる試験研究の基本的な
計画の企画及び立案に関することでございます。第二は、農林省の試験研究機関の行いまする試験研究に関しまする事務の
総合調整に関してであります。事務の
総合調整と申しまするから、たとえば
予算に
関係いたしまするようなこと、従来はそれぞれの試験場から要求されまする
予算は、それぞれの原局を通じまして官房の
予算課で査定を受けておったわけであります。しかしたがら今後はこの
会議ができますることによりまして、この
会議で基本的な重要事項につきましては、すべて
総合調整を経ました上で
予算の
折衝が行われる、こういうことに相たろうかと存じます。第三点は、農林省の試験研究機関が行なっておりまする試験研究の
状況及び成果につきまして、
会議がみずから調査をする権能を与えておるわけであります。第四は、農林省の試験研究機関、ただいま申しました各種の試験研究機関の運営をこの
会議が指導するという権限を与えておるのであります。第五は、道都府県やその他のもの、第三者の行いまする農林
関係の試験研究についての援助と申しますか、助成といいますか、指導と申しますか、そういうことも行える機能を与えておるわけでございます。第六点は、農林省の試験研究機関の行いまする試験研究というものと、それぞれの本省の各部局が行政を担当いたしておりまするが、その行政部門と試験研究部門との
連絡調整についての機能をこの
会議に与えておるわけであります。
会議の組織はその次にありまするように、会長と
委員六名をもって組織いたしております。
会議体をとりました行政機関でありまする点が従来の独任機関制度とはやや違ったところでございまするが、ただいま申しましたような膨大な試験研究を、とても一人の人でそれの可否なり
総合調整をやる能力はとうていございません。各界の権威者によりまして
会議を構成して、
会議の決定に基きましてそれらの
調整がはかれるように考慮いたしたのであります。
会議の会長及び
委員は農林畜水産業または農山漁村生活に関する試験研究に関し、学識経験のある者、または農林省の職員のうちから
農林大臣が任命することといたしております。また
会議の事務を処理させるために
会議に事務局を置きまして、事務局に事務局長を置くことに相なっております。
以下
会議の細部にわたりましては、
法律案の第十四条以降にそれぞれ規定をいたしておりまするし、また
法律案の中にも委任を予定しておりますように、さらに細部の組織なり運営につきましては、政令その他省令にゆだねさしていただくことに相なっております。
以上が農林水産技術
会議の概要でございます。
第二点は振興局の設置でございますが、これは新農山漁村建設
事業を新たに本年度から遂行いたすことに相なっておりますが、その
事業を強力に推進するために、それらの事務と、従来農業改良局が担当いたしておりました農業経営なり、農業生産の増進、改善、あるいは農業及び農山漁家の生活に関しまする普及
事業、これらの事務を合せまして振興局を設置することにいたした次第であります。従いまして、振興局の設置等に伴って従来の農業改良局は廃止する予定に相なっております。
振興局の所掌事務のおもな点を申し上げますると、ただいま申しました農山漁村の総合的な振興
計画の樹立及び
実施についての指導助成、その他
総合開発に関する事務でございます。従来これらの事務は官房の
総合開発課が中心でいたしておりました
仕事でございますが、この
関係の
仕事が振興局に移行するわけでございます。それから農業経営の改善なり、農業生産の増進、改善につきましては、従来改良局が担当所掌しておる事務がそのまま振興局に移るわけでございます。さらに農業及び農山漁村の生活に関する自然科学的試験研究及び普及
事業に関する事務、これも従来改良局が担当いたしておりまする事務でございます。四の農業移民に関しまする事務は、従来農地局で担当いたしておりまするもの、これはむしろ新農山漁村建設
事業との
関連を考慮いたしまして、農地局から振興局に移す予定にいたしております。その他現在の農業改良局が所掌いたしておりまする農機具の問題、あるいは病虫害の防除等の
仕事はそのまま振興局に移行いたしまして、改良局が廃止される、かように御理解いただきたいと思います。以上が振興局の所掌事務の概要でございます。
第三点は、付属機関の新設でございまするが、第一点は輸出品検査所がただいま東京にございます。全国に一カ所ございまするが、その輸出品検査所の能率的運営をはかりますために現在の支所の一部、ただいま支所は全国に八支所ございますが、その一部を本所に昇格をいたすための改正でございます。現在の支所のうち小樽、静岡、神戸、門司、これを新たに本所の検査所に昇格をいたすつもりでございます。東京と合せまして五つの検査所ができることに相なります。
第二は、動物専用医薬品の検査を行うため動物医薬品検査所を設置する改正でございます。これは従来薬事法に基きまして、動物用の医薬品につきましては検査の義務があるわけでございます。その検査を実行いたしまする機関といたしましては、ただいままでのところ専門的のこうした検査所がございませんで、農林省畜産局の薬事課というのがございます。それの分室がさらに西ケ原の試験場の敷地の中にございまして、ここで便宜事務をとっておりましたけれ
ども、こうした特殊の行政事務でございますので、検査所に独立をいたしまして、薬事課の分室が中心になりまして検査所に独立をいたして、事務の遂行の便宜を期して参る、こういう予定で改正を意図しておるわけであります。
それから第三の営林局及び営林署の職員の診療を行う機関として営林局に病院及び診療所を設置することになっております。これは従来すでに営林局なりあるいは営林署に、それぞれの地方に病院なり診療所を持っておるのでございますが、これをほかの五現業官庁と同様に、設置法上営林局の付属機関として
法律的にはっきり明記したというだけのことでございます。法文の一種の整理の
一つでございます。それだけの
意味しかございません。
それから次に第四に、審議会をそれぞれ設置することにいたしておりますが、その
一つは積雪寒冷単作
地帯振興対策審議会でございます。これはすでに御
承知のことかと存じまするが、従来総理府の所管として審議会はすでに
法律的にもあるわけでございまして、それを今回総理府から農林省に移管をするということが決定をみまして、これは総理府の機構改正等の一環としてそういう方針が決定をいたしたものでありまするので、この審議会に最も
関係の深い農林省の付属機関として設置することに改正案を提案した次第であります。それから第二の農山漁村振興対策中央審議会は、先ほど申し上げました新農山漁村建設
事業の重要事項を審議するためのものでありまして、新たに設置することに相なったわけでございます。第三の農林漁業用固定資産評価審議会と申しまするのは、すでにこれも従来から事実上の審議会としては設置をみておったのでございまするが、農林漁業用の固定資産がいろんな種類に分れておりまするために、農家経済調査なりあるいは農産物の生産費調査等の基礎になりまする固定資産の評価の標準につきましての方針を審議いたしまする審議会、これを
法律上の審議会にはっきりとしたということでございます。従前から置かれておるものでございます。それからその次の農業観測審議会と申しまするのは、
政府が農業経済に関しまする見通しを行いまして、これを農家に通報するという、いわゆるアウトルックと言われる
事業でございまして、すでにこれも農林省の統計調査部で従来から
実施をいたしておりまする
事業でありまするし、また審議会自体も任意の審議会といたしまして従前からあったものでございます。それを昨年来審議会の設置につきましてはいろいろ内閣に新しい方針がとられまして、任意の審議会は設置してはならない、恒久的にどうしても置かなければならないものであれば
法律に明記せよという方針が確定いたしましたので、先ほど申しました農林漁業用固定資産評価審議会とこの農業観測審議会とは、その趣旨にのっとりまして、恒久的になおこれらは設置する必要がございますので、
法律に明記していただく、こういう
措置をとることにいたしたのでございます。次の「農業資材審議会に蚕種に関する重要事項を調査審議する権限を加える」となっておりますのは、御
承知の
通り、蚕糸業法に基きまして、蚕種を製造する場合には
農林大臣の指定を受けなければならないということになっております。従って、従来はこの指定は非常に影響が重大でありまするために、蚕種協議会と申しまする任意の審議会の審議を経まして
農林大臣が指定をいたしておったわけでございます。これもしかしながら、先ほど申しましたような審議会整理の方針の一環に即応いたしまして、成規の審議会の一部門にしたいと、幸いこれと比較的部門の類似しておりまする審議会といたしまして、農業資材審議会がすでにございまして、農薬なりあるいは農産種苗に関しまして重要事項を審議いたしております。それの一部門として蚕種部会を付置したい、かような
意味の改正でございます。
最後に第四のその他の事項でございますが、農林水産技術
会議やあるいは振興局の設置に伴って、あるいはまた本省の内部部局の所掌事務の
調整を若干はかる必要がありまするために、農林省の内部部局の所掌事務について改正を加えるということでございまして、細部の点につきましては、また御質問なり、あるいは法案の
内容にわたりまして
質疑がございますならば、御
説明申し上げることにいたしまして、はなはだ簡単でございまするけれ
ども、一応概要の御
説明を終らしていただきます。