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1956-03-29 第24回国会 参議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十九日(木曜日)    午前十一時二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            青山 正一君            重政 庸徳君            戸叶  武君            三浦 辰雄君    委員            雨森 常夫君           池田宇右衞門君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            横川 信夫君            東   隆君            河合 義一君            清澤 俊英君            小林 孝平君            森 八三一君            千田  正君   政府委員    公正取引委員会    事務局経済部長 坂根 哲夫君    農林政務次官  大石 武一君    農林省農林経済    局長      安田善一郎君    農林省畜産局長 渡部 伍良君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○飼料需給安定法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○農業協同組合整備特別措置法案(内  閣提出衆議院送付) ○中央卸売市場法の一部を改正する法  律案内閣提出)   —————————————
  2. 戸叶武

    理事戸叶武君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  飼料需給安定法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題にいたします。  本法律案は去る三月二十七日衆議院において全会一致原案通り可決され、当院に送付、即日当委員会に付託されました。本法律案につきましては、去る三月一日予備審査を終っておりまして、前回委員会のお取りきめによって本日は残余質疑を終り、直ちに討論採決を行うことにいたしたいと存じますから、御了承を願います。御質疑向きは順次御質疑を願います。——質疑がなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。  別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより飼料需給安定法の一部を改正する法律案採決に入ります。本案原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  5. 戸叶武

    理事戸叶武君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容議長提出すべき報告書作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     青山 正一  重政 庸徳     三浦 辰雄  雨森 常夫    池田宇右衛門  佐藤清一郎     関根 久藏  横川 信夫     東   隆  河合 義一     清澤 俊英  小林 孝平     森 八三一  千田  正   —————————————
  7. 戸叶武

    理事戸叶武君) 農業協同組合整備特別措置法案内閣提出衆議院送付)を議題にいたします。  本法律案は、去る三月二十七日衆議院において全会一致をもって原案通り可決され、当院に送付、即日当委員会に付託されました。なお衆議院農林水産委員会において、お配りしておきましたよう付帯決議が行われております。本委員会におきましては、前回委員会において予備審査を終っているのでありまして、その際のお取りきめによって本日は残余質疑を終り、直ちに討議、採決を行うことにいたしたいと存じますから、御了承を願います。御質疑向きは順次御質疑を願います。
  8. 清澤俊英

    清澤俊英君 この付帯決議にもありますように、指導する、あるいは農業協同組合に対する農民意識を高めるというが、先般来農業団体編成等に現われましたのは、大体経済団体としての機能発揮中心にして非常に農林大臣等は強調していられる。ところがそれの反対意見書を出しました新潟県の協同組合などは、生産協同組合としての非常な意欲を持っていて、これらの点に対しまして、やはり統一のある指導でなかったら指導もうまくいかないだろうし、認識もぐらついてくるだろうと思うが、その両者をどういうふうに取り組んで今考えておられるのか、再編成のあとを受けて今どういうふうに考えておられるか。いま一度申しますが、農林大臣経済団体として育成していくのだ、こういう御意向をはっきり出されております。ところが実際に今従事しておる農業協同組合人たちは、それもやるが、主体は生産協同組合としての意欲が非常に高まって、今やりつつある。こういう食い違いに対して政府はどういう考え方を今持たれておるか。
  9. 大石武一

    政府委員大石武一君) 清澤委員にお答えいたします。農林省といたしましては、もちろんこの農業協同組合が各農村の経済行為中心として、その総力の結集をもって効果を上げようとすることに、今全力をもって指導なり応援なりいたす考えでございます。もちろんその経済行為効果を高めるために今までとっておられますよう指導方針だとか、あるいは営農指導だとかいうものは尊重いたしまして、ぜひともそれをあわせて十分に発展させるということを念願いたしますので、決してこれらの営農に対する指導だとか、今までありますものを取りはずすというようなことは決して考えておらない次第であります。
  10. 千田正

    千田正君 これは、このたびは農業協同組合再建に対する特別措置法でありますが、同じ農林省の管轄内にある行政指導をしなくてはならない漁業協同組合、並びに森林協同組合等に対しては、あるいはいろいろな農業協同組合とはある面においては別個の措置を講じなくちゃならない点はあると思いますけれども漁業協同組合などに至ってはまだまだ軌道に乗っておらない。むしろこういう方を早く刷新しまして、農業協同組合と足を並べてこの水産経済の復興をはかられるのが至当であると思いますけれども、このたびは漁業協同組合森林協同組合もこの案からははずれておるわけであります。これは速急やっていただかなくちゃいけないと思うのでありますが、政府考えとしましては、この漁業協同組合及び森林協同組合に対しては同業措置法を今後提出する意図があるかどうか、こういう点をはっきりしていただきたいと思うのでありますが、政務次官としての御所信を承わっておきたいと思います。
  11. 大石武一

    政府委員大石武一君) お答えいたします。千田委員のお考えはごもっともでございます。私どもも当然農業協同組合と同じように、漁協や森林組合に対しても同じよう指導援助方法を講じなくちゃならぬと考えております。できるだけ早い機会に同じようなこれらの措置を講ずべく目下準備いたしておりますので、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  12. 戸叶武

    理事戸叶武君) 他に御質疑もないようですから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  14. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私はただいま議題になっておる、この農業協同組合整備特別措置法に対して賛成をいたします。  なおこの機会に私は昨日でありましたか、前回東委員、また私から今まで同様に扱われていた森林組合あるいは漁業組合に対して、今回の法律からは別にしておる、漏れておって一緒に取り扱っていないという点、これに対しての政府側意見をお聞きいたしました。そうしたところが、安田局長はその点もっともなんである、森林組合なりあるいは漁業協同組合については、さらに状況の把握というものも現段階では必ずしも十分でなかったし、さらにそのおのおのの組合に特有な事情をも取り上げた一つ対策というものも必要であろうという考え方から、これを今回は除いたけれども、できるだけ早く、できれば来年には自分たちはこの法律改正してそれを取り入れたいという御回答があり、またただいま千田委員から同様の質問に対して、大石政務次官は同様にこの点を確約されているのであります。私どもといたしましては、ぜひそういうことに早くなるように、さらにいえばこの農協自体に対しても、これを実行していったその経過にかんがみて、さらにこれを補足していくべきものがあればつけ加えるといったような態度が望ましい。農協につきまして言えば、世間の一部の人は今日の農産物の事情、世界の農業事情等から見、あるいは国内における中小企業等からの状況から見て、どうも農業関係については非常にこれを遇するに厚いというけれども、私どもはそうは思わない。今日の農業経営状況からいって、何としてもこの農協というものを強く育てていくという一方においては、彼ら自身の自主的な自覚というものをさらに深める必要があると同時に、また政府としても、この農協というものを強く育てていく必要が絶対にあるのだというよう考え方を持っているのであります。従って私はこの際付帯決議をつけることを御提案したいのであります。その案文を読みますと、これは案でありますが、    農業協同組合整備特別措置法案    付帯決議案  一、森林組合及び漁業協同組合の現況にかんがみ、政府は、従来の取扱いにならい、独り農業協同組合のみならず、経営不振の森林組合及び漁業協同組合に対しても、速かに、本法案に準ずる法制的且つ予算的措置を講ずべきである。  一、農業協同組合再建整備に関し、本法案によるよう措置と併せて、農業協同組合に対する農民認識を高め、農業協同組合精神の作興を期し、組合役職員陣容の刷新を図り、以つて農業協同組合自主的再建の実を挙げるよう政府においても遺憾なく措置すべきである。  右決議する。  以上の付帯決議を出したいと存じますので、お諮りをお願いいたしたいと存じます。
  15. 戸叶武

    理事戸叶武君) 他に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  農業協同組合整備特別措置法案原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  17. 戸叶武

    理事戸叶武君) 全会一致でございます。よって本法案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました三浦提出付帯決議案議題といたします。三浦提出付帯決議案を本委員会決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  18. 戸叶武

    理事戸叶武君) 全会一致と認めます。よって三浦提出付帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  なお本会議における口頭報告内容議長提出すべき報告書作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     青山 正一  重政 庸徳     三浦 辰雄  雨森 常夫    池田宇右衛門  佐藤清一郎     関根 久藏  横川 信夫     東   隆  河合 義一     清澤 俊英  小林 孝平     森 八三一  千田  正
  20. 戸叶武

    理事戸叶武君) なおただいまの付帯決議について、大石政務次官から発言が求められております。
  21. 大石武一

    政府委員大石武一君) 政府は、ただいまの決議の御趣旨を十分に体しまして、できる限り早い機会に万全の措置を講じたいと念願いたしております。
  22. 戸叶武

    理事戸叶武君) しばらく休憩して、午後一時から再開いたします。    午前十一時十八分休憩    ————————    午後一時三十四分開会
  23. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) ただいまから委員会を再開いたします。  引続いて中央卸売市場法の一部を改正する法律案議題にいたします。本法律案について御質疑向きは続いて御質疑を願います。  なお、ただいま政府委員としては、農林経済局長安田善一郎君、また公正取引委員会からは経済部長坂根哲夫君が見えておられます。なお、説明員として三宅企業市場課長がお見えです。御質疑を願います。
  24. 青山正一

    青山正一君 本日はおそらく質問最終段階に入ったのではなかろうかと、こういうよう考えておりますが、独禁法に関連する問題と、それから類似市場の問題、それから法律改正政令等にきめるような問題、そういった三つの角度からお聞きいたしたいと思います。で、本日は公取経済部長もおいで願っておる関係上、独禁法に関連する問題から始めたいと思います。  第一点は、今回の改正法案の第十五条の二の第一項に、卸売業者が行う「卸売業務ニ係ル取引条件ニ関スル協定」、こういう問題に関しては独禁法排除規定が設けられておるのでありますが、先ごろこれは前々国会から当委員会の有志によって法律改正提案せられ、現在今なお継続審査になっておるわけでありますが、つまり卸売業者合併または営業譲渡に関して独禁法を排除すること、この問題については今回の改正法律案において何ら規定を設けられていないが、その理由をお聞かせ願いたい、これが第一点の問題です。  それから第二点の問題は、またこの問題に関しまして、公取農林省との間に何か覚書をかわされたそうですが、その内容のほどをお示し願いたい、これが第二点の問題です。  それから第三点の問題は、またたとえ今日の段階において農林省公取委員会との間に話し合いがついているといたしましても、今後に備えて今回の改正に当ってこの種の規定を設けておく必要はないかどうか。以上三点についてまず経済局長からお伺いし、あるいは補足する部分一つ公取経済部長からお願いいたしたい、こういうふうに考えます。
  25. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 青山先生から中央卸売市場法改正案提案をいたしました内容につきまして、私的独占禁止及び取引の公正に関しまする法律関係をお聞きになりましたわけでありますが、そのうちの第一点でありまする卸売人合併または営業譲渡に関して独禁法適用を除外いたしまする規定を今回は提案をしなかった、しかるに過半来出ておりまする議員提出法案にはこれが入っているが、その関係及び今回その規定を設けなかった理由いかんということであると思いますが、改正案の十五条の二といたしまして、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律規定適用しない部分を設けましたのは、やはり中央卸売市場というものは、卸売人仲買人、またはその他の売買参加人とが業務規程に従いまして、その根拠は法律に基いておるわけでありますが、法律に基き、施行規則に基き、業務規程に基いて明朗なるせり売りによる売買をするということを原則といたしておることに照応しまして、目下最近の状況あるいは近き将来の状況におきまして、取引条件に関しまする協定について除くのがまず最小限度であろう、しかしやはり価格でありますとか、品質でありますとか、数量に関しまするものは、取引条件でありましても、中央卸売市場という取引の場におきまするその機能から見まして、それ以外の取引条件についていわゆる独禁法を排除するのが適当であろう、内容を申しますれば、前渡金とか、奨励金とか、その他の荷引競争を、市場があるのに産地と卸売人との間に無用の競争を不当にされまして、むしろ生産者のためにもならず、卸売人は正常な業務を営めないという場合についてまず規定をするのが穏当であろう、しかしこの場合でも不公正な取引方法を用いてはその適用も排除することをしないというふうに提案を申し上げたのでありますが、それ以外の卸売人合併または営業譲渡に関して独禁法適用除外をいたしますことは、議員立法案が出ておりましたことも十分敬意を払い、尊重しまして、その必要があるかどうか、また、した場合にその後の影響はどうであるか、また現在近き将来に向いまして、卸売人についてのこの種の規定を取扱う場合の基本方針はどうしたらいいかということについて研究をまずいたしたのであります。そのために予算もいただきまして、正規に農林省に聞きました中央卸売市場対策協議会においてもその議をはかりまして、開設者お方から、卸、小売、仲買学識経験者お方から意見を聞いたわけであります。御答申は、本件に関しましては、独禁法適用除外にも触れておりますが、卸売人につきましては適限少数がこの際は適当であろう。それに付記しまして、単一市場、一卸売人である単一論も中にはあった。しかし複数でなければならないという意見も、あるいはより有力と申しますか、必ずしも半々とも思いませんでしたが、あったことが付記されて、答申の結果は適限少数ということでありました。あわせまして、これを尊重いたしまして、農林事務当局において研究をいたしまして、大臣意向も、また事務当局意見を参考にいたしまして研究をして、その結果を法制局あるいは公正取引委員会と慎重にかなり長時間をかけて研究したのでございますが、やはり各方面を通じ、農林省事務当局意見から始まりましたけれども、お関係向きの全部の意見単一論になるような、卸売人合併または営業譲渡に関しては、行政官庁の認可を受ければ独禁法をそのまま排除する、そういう規定は少くとも目下のところ及び近く想見できまする将来には適当ではないという考えを持ったのであります。と申しますのは、法律規定で一括して全部適用除外をすると規定するのは適当でないという意見でございます。と申しまするのは、やはりかりにこれが少数適限の範囲で合併営業譲渡に関しますれば適当でありますが、単一の場合になりますと、せり売りがありましても、やはり独占弊害が出て参りまして、必ず生産者にも相手方の仲買売買参加人にも適当な取引が行われる、そういう保障がないと判断せられるのであります。また単一でない場合にいたしましても、卸売人合併または営業譲渡ということに関しましては、まず第一に現在卸売人市場ごとに多過ぎるという一般的傾向がございますが、この場合でもそれぞれの卸売人について、自分自身経営合理化をはかっていただく面も必要かと思うわけです。いろいろ努力をした結果合併をしたり営業譲渡をしたりする段階になりましたら、それもまた必要かと思うのであります。  そこで、一応あくまで適限少数では自主的あるいは指導的数の整理と申しますか、合併譲渡は必要でありまするけれども議員提案に盛られたよう規定ないしはこれに準ずべく事務当局考えました規定は必ずしも適当でない、今後なおよく考えて将来に対してでも用意をすべきではないかと、こういうことでございますが、しかしながら反面自然のままにおいて今卸売人が一個である市場も二カ所ありますことは、この前申し上げた通りでありまして、しかしこれは将来適格者が出てきて複数になることもあるかもしれぬと思うのでありますが、どういう努力をいたしましても、卸売人合併または営業譲渡の仕方というものは民間企業であることが原則でありますので、どんな場合でも独禁法にひっかかるというのは、これまた卸売人業務の円滑さを欠き、ひいてはそれが中検体の一つとなっておりまする中央卸売市場取引をかえって阻害する、生産者出荷者その他の関係方々にも適正な取引が行われないで、かえって弊害を生ずる場合がある、そういうことも考えなければならぬことは事実でありまして、昨年の国会当時にも、大阪市場等においてその意見が出たことを承知いたしておりますので、そこで公正取引委員会とも御相談を申し上げまして、その取扱いについて両者よく事務の円滑をはかり、中央卸売市場の本質を考え、また卸売人重要性のこととか、取引における特殊性のこととか、こういうことを考え合せまして申し合せをいたしました。官庁同士の申し合せでありますから、そのまま公開する段階のものかどうか疑問でありますが、私ども国会の御審議の便宜上及び関係業界お方開設者お方にもやはり知っていただく要もあると思いますので、それは申し上げる方が適当と思うわけであります。その覚書は簡単でありますから、全部朗読をいたしますと、農林省及び公正取引委員会は、中央卸売市場卸売人間合併及び営業譲受に関する私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律運用につきましては、左記のごとく了解をします。農林次官公正取引委員会事務局長名においてのものでございます。  その一は、農林省は現在中央卸売市場の中には、卸売人整備統合を要するものがあると認められるので、事前に卸売人合併または営業譲渡の譲り受けの事案につき十分検討を行なった上、公正取引委員会に対する連絡を密にする。  第二は、公正取引委員会は、卸売人の現状及びその業務特殊性を十分に認識し、卸売人間合併または営業譲渡事案に関する農林省見解を十分に尊重する——この農林省見解を尊重していただく見解とは、先ほど申しましたように、数がうんと少くなって、ほかの手を尽してもそれ以外には方法がない、これが一番いい方法だという場合に、少数、あるいは単数になる場合も、取引が不公正に行われるようなおそれがない場合については、尊重していただこうと思っておるわけでございます。  第三点の、現在は必要がなくても、今後は必要ではないかということにつきましては、卸売人許可制運用を十分にいたしますと同時に、市場対策協議会でも御答申がありましたように、まず同業卸売人お方々の間に、自主的な整備を促進する気持を持っていただきまして、これ自身を基礎とされまして、そうして市場取引出荷販売に最も適した方法でやっていただきたい。その際に、法的にも必要があれば中央卸売市場法という法律もありますが、あわせて独禁法という法律もありますので、その間の運用中央卸売市場取引についての基本方針を尊重して、独禁法運用をしていただく、こういうふうにしたわけでございますので、当分の間は、少くとも将来にわたっても、この規定がない方がかえっていいのじゃないか、こう思っておるわけであります。
  26. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) ただいま青山先生からの御質問の三点につきましては、安田経済局長から詳細に御説明がございまして、第一点の政府機関の中に会社合併及び営業譲り受けに関する事案について、独禁法適用除外規定を入れなかったという点につきましては、ただいまの経済局長の詳しい説明で御納得がいくかと存ずるのでありますが、私どもといたしましても、第二の問題となりまする農林省との覚書よう精神をもって、中央卸売市場卸売会社合併問題については善処していくというつもりでございますから、この際この法律の中に適用除外規定を設けることは必要ではないのではないかということで、農林省法制局相談をいたしたわけであります。  それから第二点の覚書の問題につきましては、農林省単数あるいは複数についての御議論も今ございましたが、適正規模の、適正数経営というような建前で、十分卸売人整備統合について、将来いろいろ検討をされまして、各ケースごとにいろいろ対策をお立てになりますれば、それについては、私どもとしては十分農林省と御連絡を申し上げて、その農林省指導趣旨に沿って独禁法運用をやっていきたい、こう考えております。  第三点は、経済局長のおっしゃった点に尽きると思います。
  27. 青山正一

    青山正一君 それではちょっとこれは別の問題ですが、お伺いしたいと思いますが、これは昨年ですか一昨年、経済局長の依命通牒によって全国の各市場あたりに、いかにも単一にせいと言わんばかりの通牒を出しておるわけなんです。その概念がただいまの経済局長のお話と根本的に相いれないところがあるのじゃないか。で私はそういうところを追及するのじゃないのですが、前の経済局長がこういう見解のもとに依命通牒を出しておったところが、今度は変った、これは大臣でも経済局長でもけっこうなんですが、その人たちの気持はこういうふうにして解釈する、こういうふうなことで進んでいくとすれば、この中央市場法の説明に全責任を持って安田局長が当られておった。ところがこれは前の局長がこういうふうにして考えておるのだ、つまり前の大臣がこういうふうな考えのもとに進んでおるのだ、だからこの考え方はこういうふうにも考えられるのじゃないかというふうなことで、この中央市場法が根本的に将来また考え方が、こういう考え方もあるのだというふうなところへいきゃせんかを心配しておるわけなのですが、その点について局長から明快な御答弁を願いたいと存じます。
  28. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 農林省もできるだけ統一した方針のもとに、中央卸売市場重要性とその運営の万全を期すること、その基礎になりまする法律の解釈、単に市場法の解釈のみならず、関係法規の解釈を統一するよう努力はいたしておりますが、二十八年十一月十六日に中央卸売市場開設者あて、農林経済局長と水産庁長官の発しました卸売人整備統合についての方針は、私は全くこのただいま申し上げました、また法律の制定及び運営についての私が申し上げましたのと趣旨が違うとは思っておらないのでありますが、そういうよう精神で乱雑になり過ぎておったり、弱体過ぎるよう卸売人整備統合についての措置を進められるよう開設者にお願いをするという、そういう通達だと思います。もし誤解がありますれば、またあるという声もあるかと思いますが、本法律案の審議を通じまして、いろいろ御批判をいただきまして、その結果改正法律案の審議過程において明らかになりましたものをもちまして、これは局長、長官限りにおいて処理するような件ではないと思いますが、少くとも大臣の命に従って、命によりまして明確な依命通牒を出して、誤解がないように、誤解があるところは訂正をしまして、出し直すのが適当ではないかと思っております。
  29. 青山正一

    青山正一君 この問題を追及するわけじゃないのですが、たしかあのときには、農林省の係官が大阪へ行って、かくかくなるべしというようなふうなことをこれは指導なすったということは、これは事実の現われであります。論より証拠、公社案なるものもこれは検討されておるという事実があるわけなんですからして、これはいろいろ調査なり、研究になるのはこれは御勝手ですが、しかしそういうふうな指導のもとに大阪の間違いが起きたのだ。そこでこういうふうな中央市場の問題も、これは何とか解決しなきゃならぬというような根拠がそこにあったわけなんですが、将来たとえばこの法案について、局長がいろいろ御説明なすっておられる事柄は、今度は局長がかわって、あるいは大臣がかわるということでこの解釈の仕方が変らぬよう、特にこれは希望しておきたいと思います。
  30. 森八三一

    ○森八三一君 今の青山委員質問に関連してお尋ねいたしますが、それは昨年七月でありましたか、当委員会の有志委員中央卸売市場法の一部改正提案されまして、継続審査になっておる。その趣旨とするところは、農林大臣の認可を受けてなす合併または営業譲渡については、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律規定はこれを適用しない。農林大臣は前項の認可をなさむとするときは、公正取引委員会に協議をしてやれ、こういう趣旨のものであったのであります。今安田局長並びに公正取引委員会の方から御説明を承わりますると、農林省公正取引委員会事務当局の間にこの趣旨を達成し得るような意味における申し合せといいますか、文書の交換があるので、あえて法律にそういうよう規定をいたしませんでも、農林大臣が必要を認めて行うよう合併または譲渡については、きわめて円滑に遂行されるはずである、こういうような御答弁であったと思うのであります。そこでそういうような取りきめができて、そういうように今後とも取り進められるといたしまするなれば、そのことをむしろ明確に規定すべきではないか、両省の事務当局の間に文書の交換があるということは、これは公開されたものではございません。安田局長もそういうよう趣旨でむしろ公開をするという趣旨で、前段取りきめの三項目についてここにあからさまに御報告を願ったのでありますが、これは公けな委員会でそういう御説明がありましたので、これは公開されるということに理解はできますが、しかしそういうような速記録とか委員会における説明応答の経過というものは、いつのときにも一般大衆によく知られておるという存在ではないということになりますので、趣旨が同様であれば、規定をするということの方がむしろ親切なやり方であって、当然の措置であるというように思うのでありますが、規定することによって何か弊害が起きるのかどうか。弊害がなかりすれば、これはやはり一般国民に向って政府の意図しておるところを明確ならしめるということが、私は親切なやり方のように思うのですが、そういうようにお考えになりませんでございますか。その点をお伺いいたします。
  31. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 私が申し上げました点に触れましてのお答えを申し上げますが、第一点は、国会の審議は公けに論議を尽して審議いただくのがいいと思って読み上げましたのです。しかしこれを周知徹底する要も、また精神としてはあるのであります。しかし公けに周知徹底せしむるように出しますときには、官庁間の覚書にならば簡明でいいのでありますが、これを万人にその精神をも意味をも含めて理解していただく方が適当でありますので、ただいまの覚書を公けにいたしますとしますれば、これに先ほど申し上げましたよう趣旨も加えまして、他の自主的な手段、その他指導的に逸脱せざる指導的な手段を講じて、個々の卸売人合理化その他もはかって、その上でなおできないときは市場のやり方を公取法、独禁法精神に触れないように確実にして初めて成り立つということが、農林省見解公取委員会も尊重して、その場合には極端な例を申し上げますと、一市場卸売人にもなり得る場合がある。現に自然発生的に一人の卸売人で運営されておる二つの市場もございますので、その間を懇切に、また意味がよくわかるようにしながら出すべきものと思っておるわけでございます。同様の意味におきまして、法律案に議員有志のお方々から提案されましたよう規定と同じ趣旨ならば、法文に書いて明確にした方がいいじゃないかという意見につきましては、法文に簡単にそれを書きますというと、心配のある場合でも言いかえますと、一時は卸売人にいい効果を与え、卸売人がまた適正に行われて、特に公開せり売りの方法によられて、開設者の監督もよろしい、こういうような場合などにおいては、たしかにお話の通りでございますが、しばらくたちまして、独占のゆえをもってあるいは買いたたくとか、生産者出荷者に対して買いただきますとか、不作のときに買手の方でありまする仲買とか売買参加人の方に不当に強い態度で臨みまするとか、たまたまもって、中央卸売市場開設者市場監督、取締り等が財政的な事情、あるいは人的な事情等から適正に運用さるべきものでありましょうが、ある日の取引はそこまでゆかなかった、こういうような場合には弊害を生じまするので、また市場の正規の従来の、あるいは現行の業務規程等にはせり売りを原則といたしておりますが、そうでない評価入札、相対取引等も認めておるわけでございます。正規の取引方法として認めておるわけでございます。その場合には一対何百というよう取引では、自然経済金融というような立場からしましても、数からしましても、作柄が固定しておらぬものを扱う、生産に浮動性が多い生鮮食品、特に一日取引がおくれましても鮮度が非常に落ちるというような場合には、やはり数個のものが要る場合が多い、いつでもできると規定するのは規定のし過ぎであるという感じを持っておるわけであります。特に卸売人は委託販売の場合、委託を断わってはいけないという条章がございますが、多少時間的なズレなどによりまして、断わらないが断わる結果と同じことをやりますというと、卸売人に前後します両方の取引側、ひいては消費者、生産者の公益に非常に反することがあると思いますので、ここはやはりそういう場合でなしに、またやむを得ずその市場はある地域には一個の市場である、資格条件その他で卸売人仲買人その他が数が限定があって、それを改善するときにはどうしてもこれでなければならぬという場合だけを措置するのが適当であると思っておるわけでございます。
  32. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) ただいまの問題は、実態的には安田経済局長のお話しになったことに私どもも同調するのであります。ただ私どもの方の建前から法律的にみますと、本件についてではございませんが、やや抽象的になりますが、会社の合併とか営業の譲り受けというものを独禁法適用除外にいたしますと、これは一般的な問題でございますが、たとえばその産業の分野において、適用除外いたしますから自由に合併いたします。そうするとそれが非常に独占的な形態になったときに、あとにこの会社を分割させるとかいうようなことでもしなければ非常にそこの一般大衆の公益が阻害されるというようなおそれがございますので、カルテル行為については厳重に条件を付して適用除外をやる、これは行為をとめればいいわけであります。こういう制度などについては、やはり法律的に一般的になるべく適用除外を避けたいと、こういうつもりでおります。
  33. 森八三一

    ○森八三一君 公取の御説明は私も別に異議はございませんが、そこでわれわれ有志議員がかつて提案いたしました内容は、御承知を願っておるように、主管大臣が認可をするという条件が付せられておる、合併または譲渡関係者の合意によって自由であるという規定ではない、あくまでも認可という大衆の利益を守り公正な取引確保するという行政官庁の認定を前提にしておるということが一つ。それからそういうように認定はいたしましても、独禁法運用について所管をせられておる公正取引委員会との協議がなければならぬということをさらにその内容としておる。先刻安田局長から両官庁間に行われました申し合せというものを伺っておりますというと、われわれが提案したものと内容的には何ら変っておらぬ、実質的に何ら変っておらぬとこう思うのであります。実質的に変っておらぬことでございますれば、これを国民に広く周知徹底せしめておくということが行政上の措置としては当然じゃないかと思う。両当事者官庁間にそういうような文書の交換、申し合せがあればそれでよろしいということは、あくまでも内的なものであって、一般国民には明確にされておる存在ではない。それは今の安田局長の、全文をそのまま御親切にお読み下さいましたが、少くともこの委員会の経過というものを広く周知させることはできない。そういう関係は、特殊な存在だけは了解するでありましょうけれども、広く国民全体に知らしめるという存在ではないということでありまするので、趣旨がそういう趣旨であれば、これを国民に広く周知せしめることが行政上の措置としては当然ではないかと思う。それをすることが何か非常に支障があるということでありますれば、これは考慮しなければなりませんが、今公取の方からお話しのように、一般的な議論といたしましてはよくわかる。だからそういう場合があっては相ならぬので、前段に認可ということを条件とし、後段に公取との協議を条件としておるということでありますので、今お話しになった一般的な場合に生ずるであろう憂えというものは、ここで十分排除せられておるというふうに思いますが、その点は一体公取はどうお考えになるのか。もう一ぺんこの法律を主管せられておる立場から御説明を願いたいと思います。
  34. 青山正一

    青山正一君 ただいまの森委員意見に関連いたしまして、御質問申し上げたいと思いますが、初めの農林省の案というものがそういうことになっておったのじゃないですか。公取との折衝過程においてこういうふうになったのじゃないかと思うのですが、その間どういうふうな経路、農林省は初めどういう考え方でおって、それが公取との折衝過程において今度の法律案に変じたのだというふうな声も聞いておるわけなんですが、その折衝過程も一つお聞きいたしたいと思います。
  35. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) お許しを得まして、私からまず先に御説明させていただきたいと思います。七月の国会でしたか、河野農林大臣が大阪の市場について予算委員会その他において発言しました場合でも、またその後外遊中私が官房長としてこの問題の大臣との連絡をいたしております場合でも、大阪市場で八十五対十五という比率で二つの会社に統合の結果がなるという場合には、かなり疑問をもっておったのが大臣の態度でございます。あわせまして、議員立法をもよく尊重しつつよく検討して、内閣提案ではいかにするかということも研究したのでありますが、法律規定は相当詳細に書きましても、かなりむずかしいものでありまして、いろいろな案を農林省考えました。青山先生のおっしゃったように、必ずしも一案ではありませんでしたが、議員立法を尊重する意味では、そのままの案を具して、かつ意見を述べつつ、実情の認識を語りつつ討議を申し上げたことも事実でございます。また、かりに規定をいたしましても、およそ法律規定というものは、いろいろな角度から読める場合がありまするが、運用においてやり得る場合を確保しておくにとどめる場合と、法律の文章に書く場合とを、当時引き続いて研究をいたしましたが、市場対策協議会のみならず、その他におきましても、単一を将来可能ならしむべしという意見と、単一では現在及び将来絶対いけないという意見と二つあるのでありまして、かりにこれを行政官庁の認可にかからしめましても、この規定を明らかにきめますというと、むしろ私が今いろいろと申し上げて例を引いて申し上げたこととか、他日国会審議が完了すれば公けにする手続もとるべきであると思っておりますが、その際に間違いのないように、官庁間の覚書よりは詳しい精神的な、あるいは基本方針についての内容も書いて、初めて外に公けにすべきものだとして申し上げたことで、おそらく御理解願えないかと思いますが、簡単明瞭に法定いたしますというと、単一性を促進する効果があって、自主的な努力合理化とか、穏当な範囲の合理化とか、公益を守るべく独占を排除するという精神がかえって薄れて、何でも単一化運動というのが先へ進んで、進むことによって事態が、あとで適正な方法はこんな方法だろうというときには、すでに非常に機が進んでおって弊害を生ずる場合があるので、慎重にするような場合は特にいきなり法定しない方がいいのじゃないか、こういう意味を考えたわけでございます。
  36. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) 私どもの方といたしましても、先刻来申し上げましたように、中央卸売市場が多数競争するという方は好ましくない、適正規模のものが適正数存してやっていくということならばいいじゃないか、こういう建前をとっております。先ほどの問題の法律で明定してやっていくのはどうかという問題でございますが、それは今経済局長が述べられましたように、むしろ単一化といいますか、そういう方を促進する可能性があるというような点で、やはりこの際、これは適用除外規定は私どもとしては、ここに当分明定化しなくてもいいのじゃないか、こう折衝の過程では農林省とも一応お話をしたこともございます。
  37. 森八三一

    ○森八三一君 まあ水掛け論のような議論になりまして、時間をとることは恐縮でありますが、私は両官庁間の申し合せというものが、何らかの形において公開せられるというようなことでございますれば、むしろそういうことは事務的な申し合せという形をとるべきではない、これこそは法律に明定すべきものである。しかし法律に明定するために、安田局長もおっしゃるように、かえって政府の意図したり、われわれ有志の議員が考えております方向とは逆に独占の形態を誘致するという懸念があるということでありますれば、そのことをこれこそ指導方針として明確に国民に知らしむべきである、本末が逆になっておる。根本態度というものは、これは明確に法律に示して、その法律の意図する精神はかくかくのものであるということを説明すべきである。説明法律で出て、本旨が申し合せになっておるということは、これは法律としては行き方が逆だ。そのことは御理解がいただけるように思うのでありますが、法律的に考えました場合にこれはどういうふうにお取扱いになりますか。法律精神というものは、これはどこまでも当然説明すべきである、こう思うのですが、精神法律の方で示しておいて、本来のあるべき姿というのは申し合せという存在に置くというのは、これはどうも法律というものの本旨からいって私は逆になるように思うのでございますが、公正取引委員会はそうお考えになりませんか。
  38. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) ただいまの問題はちょっと具体的に申し上げますと、私経緯ははっきりは存じませんが、参議院の先生方で特別に法律をお作りになるという動機は、大阪の市場合併の問題に端を発しておるのではないかと、こう私は考えておるのでございますが、あの場合は私どもとしてはいろいろ検討いたしました結果、認めがたいようなケースであった。しかし先ほど来から申し上げますように、法律の特に適用除外ということをしないでも、十分独占禁止法の現在の会社合併営業譲り受けの規定においてまかなえるのだという私ども気持は持っておりますから、そういうつもりで農林省と話し合いをしたわけでございます。
  39. 森八三一

    ○森八三一君 今の大阪のことが出てくると、これは非常に議論がややこしくなるのですが、今ここに法律改正ようとする場合に、具体的に過去に発生しておった大阪の事例というのを私は論議しようと思っておりません。精神は全く安田局長精神とちっとも変っておりません。変っておりませんが、そのことを今織り込んで法律を直していくという場合に、その精神というものがはっきり法律に出ておる。そうしてその精神を実践する場合の過ちなからしめる説明というのは別に持たるべきである。法律上の規定としては、これは議論になるかもしれませんが、明確に政府の意図するところを表明すべきである。その精神に逸脱するような行為になってはいけないという説明をこれは別途の方法ですべきである。そうしないとどうも法律としてはおかしな存在になる。公正取引委員会は大阪の事例を心配なさっておるのですが、主務大臣公正取引委員会に協議するという字句がわれわれの提案にも入っておりますので、そこで十分チェックされてくるということに私はなると思います。そういう点で十分公正取引委員会の公正な態度というものは表明を願う機会は保留してある。それから主管大臣も当事者間が話し合いをすればすっといくという姿ではなくて、認可というワクをはめておるということなんですから、申し合せの趣旨、本旨を法律に示すことが私は政府としては国民に対する親切な態度である。そうでなければ法律というものはおかしい、こう思うのですが、その点公正取引委員会はどうお考えになりますか。
  40. 青山正一

    青山正一君 ちょっと議事進行について。この問題は非常に重要な問題で、速記をつけて話をするということになると、いろいろ過程の問題とか、そういうような問題があるために、公取の方では、あるいは安田局長の方では、非常に話がしにくい場合もあろうと思いますから、一つ速記をとめて懇談会というような形で一つ論じていただくように特にお願いをいたします。
  41. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 今青山委員から、この問題は重要な問題だから、議論としては一応やったけれども、一時速記をとめて懇談にして、この問題をもう少し掘り下げよう、これはごもっともだと思うのですが、どうですか。——それでは今森君のに答弁するそうですから……。
  42. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 幸い懇談会を開いて下さいましたから……。
  43. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) いや、まだ入っていない。
  44. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) そうではない前だそうですが、まあ懇談会で申し上げた方がいいというような気持を率直に申し上げますが、卸売人という——まあその前に法律規定を作るときは、何としても世の中の実態に当てはめて考えなければ、現在の事態ではどうだということと、将来どうだろうという両方考えなければなりませんが、将来のことは必ずしも明確に捕捉しがたいので、現状から将来を推して規定するのが一応妥当だと思うのであります。明確になった場合には将来そのとき改正の御審議を願い、改正法を作るべきだという考えに立っておりますが、ただいま中央卸売市場卸売人を見まするというと、多くは株式会社、そうでなくても私的営業者であります。単一論が可能になるような法制も認めようと、それも行政官庁の認可を経てよく判断してやったらいいじゃないかと思いますが、やはり法律は最後の限界をもきめておるものでありまして、かつ規定が及ぼす影響も先ほど申し上げた通りだと思うのであります。で、市場対策協議会などで論議があり、私ども政府内部で研究をいたしました際に、外国の例もよく引かれて、また日本の市場取引が現在複数の形で円満に行われておることをやや前提にかなり入れながら考えざるを得なかったのであります。おそらく現在でもそうだと思うのであります。で、開設者が公的なものでありまして、開設者が即荷受機関であるような場合には、これはまさに単一のものでいいという感じがするわけであります。しかし私的会社が単一になる場合は、単一でなくても相当独占的な量を扱い、価格操作もできる機能を持つほどのものになりまするというと、それ以外に金融の操作もできないわけではございませんので、九十対十とすれば、圧倒的に今の市場取引方法では、また今後当分日本ではこれでいきたいと思っておりまする取引方法では、やはり独占禁止法の精神に触れるものであり、独占禁止法をかりに中央卸売市場法の中に規定を挿入することによって修正いたしましても、より基礎的なことでありまする生産者、消費者の公益というものを、あるいは市場取引の期待するところが乱れる場合を予想しなくてはならぬと思うのであります。他方農業協同組合でありまするとか、漁業協同組合でありまするとかというものには明確なりっぱな法律もございまして、これもある程度の独禁法排除規定を持ちながら、なおかつやはり取引は公正でなければならぬということなどの条件がついておるわけでありますが、改正法案がかりに通りましても、そういう生産団体の協同組織が許可を得ましたならば卸売人になるということはありますが、現在の卸売人状況ではそう簡単に卸売人をふやし得る条件にはないと思っておるのであります。かたがたもってその農協法なり漁協法なりについてこれを見まするというと、あくまで自主的な組合でありまして、法規上の一定の基準を持てば仕事は認可しなくちゃならぬという組織法からは一つのそういう法律ができておるわけであります。中央卸売市場卸売人として許可で押えるとか、業務規程の員数資格等で押えるとかということの手はありましても、全く禁止はできないものだと思うのであります。卸売人が乱立したり、適当数でない場合に、それらの生産者団体が扱い量その他において、かえってうまくいかないおそれがあるときに、やめなさいという意味の制限ができるのだと思います。本質的から申しますと、会社形態の卸売人、そういう協同組合に基く卸売人等がありますことを考え合併はむずかしい、営業譲渡においても多々疑義があると思うのであります。許可を受けたから営業権があったり、またいろいろの問題が協同組合同士の営業譲渡ならばよろしいが、会社の方に協同組合営業譲渡することなどはいろいろと問題があるのじゃないかと思うのです。運用の点において押えることは、私もかつて申しましたように、現状においては抑制することが精神でございますけれども、本質的にはそういう場合をも一般的に考えますというと、単一になるということはあまり考えられない、二社でありましても、よほどの注意を要するとこういうふうに思いまするので、それらの点を彼此勘案いたしまするというと、一社の場合に、たとえば最初はうまくやっていたが、あとは公益に反するような動き方をすることが私的営業では考えなくちゃならぬ。また不当不法の行為をやって許可を取り消した場合には、生産者出荷者は委託のしようがない、一人も荷受人がおらぬわけでありますから、卸売人がおらぬ事態、ないしは業務を営むことができない状態が生じますので、そういうおそれをも含めて、たとえ大臣の認可があり、公取委員会の協議をして後初めてと申しましても、ここに関係者として出てくる会社の性質とか、会社法、商法とか会社の営利の実態とか、協同組合法の問題とか、取り消しがあり得る、業務停止等があり得る場合に予想する生産者の問題とか、そういうことなどを考えまするというと、やはり規定がこの際はない方がいいと思う。卸売人がまた一つになりますというと、公益代表でもある地方団体は一応この法律においては開設者という事業者の立場で出て参りまするけれども、実際上の問題として監督がやさしいようにみえて力強いものが、一つだけである場合は非常に監督がうまくいかないおそれが多分にある。こういうものはこの際は運用によってやりまして、間違いがないときに法律改正をするのが最も適当なことであると考えておるわけであります。  従いまして、森委員の、国なり公取委員の係官のお方の事態の認識が森委員と違うわけでありまして、同じならば同じ法律で大体書いたらいいかということは、直ちにそうではないと思います。もしそうでありましたら、森委員ように法文で明らかに書いて、そうしてこれを天下に周知せしめることが妥当だと思いますが、そこが違うんじゃないかと思うわけであります。
  45. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 森君続いて速記のある間に公取の方からの答弁をもらいますか。
  46. 森八三一

    ○森八三一君 懇談でいいです。
  47. 清澤俊英

    清澤俊英君 懇談に入るにしても、一つここで間に合うかどうかしれぬけれども中央卸売市場対策協議会というものができておる、このメンバーと、それからその答申などがあったらそれを参考資料に間に合いましたら……。
  48. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 休会中に出してあります。
  49. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) それではどうでしょう、懇談に一つ移って……。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) それでは速記をとめて。    午後二時三十五分速記中止    ————————    午後二時五十八分速記開始
  51. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 速記を起して下さい。  それでは懇談をいたしましたが、青山君、森君、特に森君の発言された部分については、お互いにさらに研究を重ねることにいたしまして、他の部分質問がありましたらどうぞ。
  52. 青山正一

    青山正一君 次に、類似市場の問題をお聞きいたしたいと思いますが、問題点は非常にたくさんありますからして、一つメモに書きとめておいていただいて、あとからお答え願いたいと思います。  第一点は、この中央卸売市場の制度があるにかかわらず、指定区域内に類似市場が発生いたしまして、こういった類似市場が存続しておる原因とか理由について御所見を承わりたいと思います。  それから第二点は、類似市場の功罪、あるいは必要とするかしないか、あるいはこれを抑圧する方針か、あるいはそれらのものを調整しようとするのか、御当局の御方針を承わりたいと思います。  それから第三点は、先般の当委員会における法第六条の解釈及び類似市場と法第六条との関係に関する安田局長の答弁は非常に問題があって、必ずしも納得しがたいところが多いわけであります。で、一応それはそれとして、安田局長としては指定区域内にすでに類似市場があって、これが中央市場業務に支障があれば、そのときはそこに新たに中央卸売市場なりあるいはその分場を作ることとし、法六条を適用して既設の類似市場を閉鎖されればそれでいいんだというふうに答弁されました。これも問題があるが、それも一応それといたしまして、しかしそのときにはですね、法第七条で損失を補償しなければならぬ。ところが類似市場は届出だけで差しつかえないわけでありますから、あるものは閉鎖されても、またその区域内に他の類似市場が設けられないとは、これはだれしも保証できないわけであります。そうすれば類似市場の閉鎖と設立はからんでしまって、なおその上補償が伴うのであるからして、問題は非常に容易なことでは解決できないと思いますが、その御所見を一つ承わりたいと思います。またかかる事態の対策をどうすればいいかということを承わりたいと思います。  それから第四点は、類似市場の届出義務は農林大臣みずからやるか、それとも開設者に委任するのかどうか、そういったお考え一つお示し願いたいと思います。  それから第五点は、業務の公正を確保し、または類似市場において卸売業務をなす者に対して販売の委託をなす者を保障する必要ありと認めるとき、施設または業務方法の変更、または一年以内の業務停止を命ずることができるかどうか、具体的にはどういう場合か、その内容一つお示し願いたい。  それからまた施設の改善等は相当資金を要するが、果して実際に変更命令を出すことが現在の類似市場について予想されるかどうか、またその際に命令の実効があると予想するかどうか、そういった問題についてお答え願いたいと思います。  それから第六点は、法律に基いて農林大臣の監督を受ける類似市場の一定基準はどのようにして定めるか、具体的内容をお示し願いたいと思います。その際に開設者意見を聞くかどうか、その点も一つお答え願いたいと思います。  それから第七点は、これは先般参考人としてお呼びいたしました愛知県農林部長さんのその見解に、一定基準以上の類似市場は今回の改正によって法による規制を受けることになるが、それ以下のものは現在通り県の条例による規制を行う必要が残り、規制に二つの場合があるが、この関係はどうかと、またもし基準以下の小市場について条例か何かにより規制しなければならぬ、いたずらに野放しの発生を招くおそれがあるとの趣旨見解を述べておるのでありますが、政府としてはそれについての見解はどうであるか、以上七点についてお聞きいたしたいと思います。
  53. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 各位にお諮りいたしますが、今公取坂根部長は役所の方にも用があって、もしこの際御質問がなければちょっと席をはずしたいと言うのですが、いかがですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 大へんたくさんな御質問をいただきまして、また疑問となるべき点としては重要な点ばかりでございますので、それぞれについて私ども意見またはお答えを申し上げます。  類似市場の問題にからんだ諸事項でございますが、現在中央卸売市場の制度があるにかかわらず、指定区域内に類似市場が存続する原因はどういうわけだということが第一点だったと思いますが、私はまず第一にこれを法律制度の上から見まするというと、中央卸売市場は保護育成を政府等において行いまして、同時にその監督も模範市場となるがごとくいたしまして、市場みずからがその模範的な取引が行われるような取締り法規である業務規程を設け得るようにできておる法律だと思います。そこでそれによって運営されていきました場合には、やはり中央卸売市場を通ずる取引、あるいは中央卸売市場内の取引について必要な監督命令を出し得るということが、さらに追加して規定してあるものでございまして、根本的にはやはりこの取引行為そのものは自由を建前にしておりまして、中央卸売市場というものを育成、監督、取締りを通じていたしまする場合に、それの活動に期待しまして、いろいろな品目、いろいろな産地、いろいろな取引形態、いろいろな業者が、ないしはそれに伴いまする施設が発生した場合におきましても、全体の取引に少くともその地区内の取引に対しましては、指導的な役割を持ち得るようなこと言いかえますると、他に市場ないしは業者取引が発生しましても、中央卸売市場機能によりまする影響力によりまして流通取引の適正、円滑化をはかるものだとして制度ができておるのであると理解をしておるのであります。改正案に当りましても、基本的態度はそういう態度でいって必要な事項を改正点として追加するのがいいではないかという考えを持っておる次第であります。特に注目すべき点は、中央卸売といいましても、長く保管がききましたり、計画的生産ができましたりするものを必ずしも予定しておりませんで、魚類でありますとか、蔬菜、果実類でありますとか、肉類でありますとか、その他の問題で主として腐敗性の、貯蔵性の少いものを考えて、取扱い物品として考えておるのが中央卸売市場だと思うのであります。この法律制度の問題と取扱い品目の問題、その取扱い物品の生産と消費との関係、言いかえますと、蔬菜でいえば荷口が必ずしもまとまらずに生産され、販売され、消費されることもあることが自然の姿であるということも考えてあると思います。漁村なんかで魚がとれた場合に、中央市場を通らなくちゃならぬとは考えていないと思うのであります。そこでいわゆる野菜などにいう野市でありますとか、近在の引荷を荷車だけでやらないで、多少まとまってやる市場ができる。生産者ないしはそれに準ずるものから消費者に直接または小売商人にゆく形態の取引もあることが自然の姿であると考えておると思うのであります。それと中央市場との間におきまして、いわゆる類似市場ができておるわけであります。法律の文章では現行法の第六条に掲げてあるのでありますが、類似市場というものがあるというのは、中央卸売市場があって初めてあるのでありまして、類似の仕方もいろいろあると思うのであります。規模においても取引方法においても、関係業者においても、市場開設者においても、また段階卸売であるかどうかということについても、形がいろいろあるかと思うのでありますが、終戦後日本の経済形態が守られなかったり、食糧不足で、全国的な安定した流通に伴いまする安定的な価格が出てくる、こういうようなことも非常に行われがたい、いわゆる食糧危機の時代もあったと思うのであります。かたがた日本経済及び特に財政金融事情からいたしまして、公益的な人が開設者になる場合には、特にまた税とか、予算とか、財政とか、政府金融とか、高金利の民間金融とか、こういうようなものからしまして、なかなか思うよう中央卸売市場の設備の充実をはかることができない事情があった。実態的には食糧不足であり、危機である、あわせて自由放任的な感じからしまして、不当な利益をむさぼるような傾向の気風も従前よりは増した。こんなこともいろいろありまして、野市とか陸揚げ地の漁村の小さい市場とかいうところに中央市場整備されねば、そうでなかったものが消費者のために案外便宜であって、生産者もそこへ売らないと都合が悪い、荷が完全にはけないなどという場合もありまして、弊害を伴いながら類似市場が存続しておるよう考えておるのであります。  なお、別に法律的見地から申し上げますというと、単に法律文で類似の業務を行う市場といいますが、このものは何かと言いますれば、中央卸売市場を育成し、取締り監督をするという立場で法律制度ができておる。これ以外の点については自由を基礎にした営業が行われておる、自由のものである、こういうことからしまして、自然にもまた発生しておると思われます。従いまして原因と申しますれば、中央卸売市場法による法律制度及び新憲法による営業の自由の観点、経済的には特に食糧危機を招来したような終戦後の事態、またそれは生産者、消費者の一部の要望を満たしておる、しかし弊害もある、こういうようなところに加えまして、公的団体の財政事情とか、注意の仕方が十分でなかった点にあるかと思っておるわけであります。  その次に第二点でございますが、類似市場の功罪及びこれを育成する方針か、調節するかという方針でありますが、本改正案提案しました方針としましては、結論を端的に申し上げますと、これは抑制か調整の方針でございます。類似市場を育成して、しかるべくりっぱな市場にする方針を持った改正案ではございません。そういう育成強化して取引上に力を、相当他に対する影響力を持たせるためには、あくまで現行法が大正十二年からできております中央卸売市場を対象にいたしまして、直接類似市場の発生を法的に禁止ないしは抑制はいたしませんが、中央卸売市場整備強化と相待ちまして、類似市場業務を制限規制いたしまして、取引の公正とか、中央卸売市場が相当整備強化される場合、あるいはされたあと、そういうときに弊害がある類似市場には、これの抑制もかなり極端にするという法案にいたしたいつもりであるわけでございます。  第三点の、六条の過日の私の説明として、いろいろ問題があるという御意見でございますが、第二の問題についてお答えを申し上げました通り趣旨を今でも持っておるわけでございますが、しかし指定区域内の類似市場で、特に私は中央卸売市場がさらに整備強化して類似市場を必要としないし、抑圧してもよろしいという立場になるように念願いたしておりますが、そういう場合にはその分場でもいいと思いますが、間違いのないように本場という意味の単独市場を市町村、都道府県に設けてもらいたい、これは政府も援助すべきであろうと、こういうふうに思いますが、今まで自由を基礎にしまして、財産権も自由放任という意味でありますが、財産権を持っておるものを既設の団体が、市場がある場合に閉鎖せしむるのでありまするから、旧法においてすら正当な補償を出すべきという規定がございますけれども、正当な補償である限りは補償をするのがほんとうである。これは最後的に業務をやめさせる閉鎖でございますので、特にそうでございますが、しかし閉鎖をし得る規定がありまするというと、そこには法外な値段を生じ得ない、補償価格を生じ得ることをチェックできる、またその施設を賃借して自分の市場の施設として運用し得る道もある、交渉に応じやすくする、こういう伝家の宝刀を持っておると、市場整備費も安いし、閉鎖買収する場合にも買収価格を適切にし得るというためにぜひ必要であると思っておるのであります。そういうふうに万一閉鎖をいたしました場合にも、また届出だけで類似市場ができるのではないかということは、観念的にはできると思いますが、——申し忘れましたが、第一点の類似市場の発生原因は、やはり終戦後の急速な人口の増加、特に消費人口の増加と都市集中の傾向、こういうものが原因だと思いますが、それに応じまして、この第三点の類似市場の問題にもなりますが、ただいま類似市場がある場合には、その類似市場があれば小さな野市的なものとか、その他の振売り等があっても供給と需要とがマッチしておるのでありますので、それを閉鎖し、ないしは買収して、賃借りして自分のものにしてしまうということが中央市場に行われますれば、よほど不当な取引と過当な利益が発生しない限りは、規制すべき類似市場は発生しない経済条件を作り得る、そういうふうに考えておるのであります。その場合には不当な取引は抑制し得るし、過当な利益ならばこれは是正し得る。そうして中央市場を助けてこの制度をだんだん立てていけたり、取引の公正化の阻害要件を排除したりできるので、そこまで全く禁止しなくても目的が達せるから、現行法より一歩進めて、類似市場の規制追加法規を設ければ適当ではないかと思ったわけであります。  第四点の類似市場の届出事務は、大臣事務であるか、他に委任するかという点につきましては、類似市場というのは中央卸売市場の開設から業務規程の認可に至りますまで、あるいは定期的な業務の報告をいただきますまで規定してあり、運用されておるのと違いまして、初めてこれによる措置を行うわけでございます。その実態をまずよく理解する必要があると思っておるのであります。それを理解した上、その性質もいろいろ分析して考えてみて、御質問にもありましたように、社会経済的な存在性とか、中央卸売市場ないしは一般の取引公正化の一般問題からみてどう考えるかということも、なお研究を続ける要もありますので、将来のことをも考えて、まず当初は少くとも直接大臣に届出を願うのが適当ではないか、また大臣に届出を願うということは、その現場の付近の行政庁に届出するよりは困難さも増すので、自然にその目的を達する場合も間接的にはあろうと考えております。しかし一旦状況がほぼ、ほとんど全部に近くわかりました暁には、必ずしも中央卸売市場とは同列でございませんので、これに対する態度も違うわけでございまするから、これは本省で行いませんでも、あるいは県知事等に委任し得ることもあり得ないと考えましたので、これに知事に委任し得る規定を置いておるわけであります。これは従来から規定運用すればできると考えておるわけであります。市場開設者に委任することも考えますが、これは普通地方公共団体にやっていただこうという案でございますが、それにしてもその開設者は、どちらかというと行政行為を行う立場よりは、現実にありまする機構をみましても行政局の本体である、たとえば東京都の経済局からはある意味では重要視し、ある意味では事業的に考え市場監督の行政機構ができておるわけです。私どももよその都市は一そうそうであるように思いますが、私どもはこの開設者の場合は、事業を開設するある意味の私法的な中央卸売市場法に基きますから、私法とは言えないかもしれませんが、事業主体というような感じのものである。特に現行法において民法の公益法人が開設する場合の開設者は私法行為であると思いますが、それに反しまして届出事務は公法的行為でございますので、これは都道府県知事の方が適任であろうと思うのであります。運用面においても開設者と違った第三者の方がいいかという点も考えます。しかし運営によりましてそうでない場合もあるかと思いますので、少くとも当分は委任しないでやってみたらどうであろうと考えておるわけであります。  第五点の類似市場というのは、今一定規模以上のものを考えておりますが、これに対する施設、業務の変更命令、ないしは業務の停止等の行政処分、そういうものが命令的に行えるかどうかということでありますが、これは法案提出した以上必要な場合は、取引の公正化の上に必要であり、また中央卸売市場取引の公正化の主導的地位とその機能を持ってもらうという建前でおりますから、その両者のために必要な場合は、時の行政府の力と意思によろうと思いますが、国会の行政監査、あるいは行政調査その他のあれもありましょうし、消費者その他の意見もありましょうし、端的には開設者意見も当然出てくるでありましょうから、それに応じまして必要な場合は必ず命令をするよう法律であり、運用命令も出し得るよう政府でなければ、政府という資格はないと思うのであります。農林省はもちろんそういうことで運用するつもりであります。それには資金が要るかどうかということでありますが、類似市場に対しましては臨検検査から、調査報告から、設備変更から、業務停止から、閉鎖命令まで逐次順を追うて強く適用を抑制しなければならない、あるいは適正な措置をとろうとしている態度を御提案申し上げておるわけでございまするから、中央卸売市場ように改善的な整備強化の建前からそういうふうな命令をしなくても、これからしようという態度とは違いまして、これは資金を要するがゆえに制限、規制、適正化の命令が実行できないとなれば、だんだん深く強い命令を出すべきだと思っておるわけであります。たとえば設備改造ができない場合は、いかにも品いたみが多くて消費者のためでもない、公正取引が行われるような場所がない、こういうような場合でありましたならば、それは一たん設備変更命令を出したあとに、直ちに間もなく業務停止命令が出るべきものと考えておるのであります。またそれらの命令等については当然知事と開設者には意見を聞いてやるのが至当であり、また類似市場開設者当事者についても、出かけて行って無理にも検査できる規定をおいておりますように、よく意見を聞き調査をしてやるつもりでございます。  類似市場の一定規模の問題でありますが、これはこの法律運用されまする担当局としての私の局で目下検討中でございまするが、なお法案の審議の過程においての意見を尊重して、省としての意見をまとめまして、そして各地ごとに開設者意見、知事の意見というものをよく聞いて定めたいと思っております。しかし考え方の基準としましては、全国的に見まして、いわゆる十三あるわけですが、今後札幌その他で開設すれば、開設あるいは改造するわけでありますので数もふえると思いますが、全国的にも、地方的にも、その両者で見まして、中央卸売市場の設備、言いかえまするというと、敷地と申しますか、敷地とその市場行為をする利用建坪、それから建坪の中における売り場とか、せり場とかというようなもの、冷蔵庫ないしはそういう施設でありますが、それらのうち少くとも現状におきまする一番最低のもののところは必ずこれに適用があるように思っておるのであります。調べておりますところによりますと、建坪が、売り場面積と申しますか、売り場面積が百坪、敷地としましては、用地面積としましては三百坪前後、もう一度申しますが、建坪百坪前後、用地面積三百坪前後、売り場面積八十坪前後がいいのじゃないかと思っておりまするけれども、なお御審議及び関係者の意見を聞いてきめたいと思っておるわけであります。  もう一つ考え方は、全国的に見て一番小さいところ以上のものということでありますが、それより二、三割下げたその規模で押える方が適当でいいという場合と、根本的な制度の趣旨から見まして、類似市場中央卸売市場取引上における機能から見まして、その指定区域の中にほぼどれだけの消費量があって取引があるか、消費以外に中継ぎ場所になっておるところもありましょうが、そういうことも考えまして、東京などでは類似市場は大きく、鹿児島などでは小さく、高知などでは小さくというように、その地区その地区の比率でもちまして、ただいま申し上げました基準をさらにこなしまして、実情に合うようにしましてやったらどうだろうという、そういう考えのもとに成案を得ようといたしておるわけでございます。  第六点の一定基準以下のものは県条例の規則によるのではないかという点が愛知県の農林部長等から出たように思いますが、そのことに触れての御意見だと思いますが、私はまた農林省は、類似市場であったものを県条例でいわゆる公認をして許可制をしいても、許可したあとは中央卸売市場とほぼ対等な、私的ではあるが対等な公認法定の卸売市場とする意見を持っていないので、むしろそれは中央市場の育成によりまして、また育成のために、類似市場許可制による公認などにしないで、単に勝手にやろうとするものを届出を義務づけまして、制限規制命令だけを置く、そうして随時これを抑制排除の方向の法制化をする、こういうことでありますが、今は愛知県にすでに例があり、京都でも例があり、横浜その他四、五県がすでにそういう県条例も置きたいといっておるほどでありまして、私どもの注意等もありまして、指定地区を除くようなふうに案を考えておるところもあるようでありますが、いまだに成案を得ておらないと思っております。しかし各地で早く何とかしたいということも思っておるようでありますが、なるべく——なるべくというよりは、案が通れば、その県条例の重複する分は国の法律が出たのであるから条例の規定事項ではないという方法によりまして、条例を廃止せしめたいと思っておるのであります。従いまして、抑制すべき類似市場なり自由市場がまだ残るよう改正法案による規模の指定をするのは適当でないので、抑制する要があるならば、類似市場の一定規模の限界を引き下げるべきでありまして、引き下げれば条例は無効になりますので、新たに制定もできなくなるわけでありますが、しかし産地でありますとか、農村地帯のあるまとまった小規模の消費地などについてのものは、生産者からいっても消費者からいっても、市場がかりにできましても、しいて抑制をする必要がない。特にこの取扱い基準から見ますると、それで当分の間はもっと事態がはっきりして抑制しなければならぬとでもなるようになれば別でございますが、それは愛知県農林部長の言われるように、一部は本法でひっかかるが、他方は県条例で規制しなければならぬというのは、表現はそうでありましても、現在の大きな類似市場を放任しようとする方に重点を置いた規則であるのが間違いでありまして、しいて規制をしないでもいいという部分を残せばいいと、こういう考えでおるわけでございます。ちょっと問題の番号を間違いましたが、内容は以上じゃなかったかと思います。
  55. 青山正一

    青山正一君 もう一、二点。今度はその法律改正後政令などにきめるいろいろな問題について二、三点お聞きいたしたいと思います。  第一点は、卸売人の許可権を都道府県に委任せよというよう意見が相当あるわけなんですが、その意見に対してどういう考えを持っておるか。それからそのほかの都市に違った、たとえば他都市の場合ですね。開設者と知事とは、まあこれは別性格のものであって、お互いに、たとえば先ほど局長からお述べになった、許可の問題について非常にけんかをしておる、県と市とが。ところが東京都の場合、知事と市長とが同一人格、この場合東京都に対してこれは委任してもよいのではないかというよう意見もあるわけなんですが、それに対する御解釈を一つ承わりたい。それが第一点です。  それから第二点は、開設者業務規程卸売人の員数を制限することができるかと、これは非常に常識的なことでありますが、この点も一つお答え願いたいと思います。  それから第三点は、卸売人の認可、それから申請は開設者を経由せしめるか、あるいは開設者の進達によってやらせるようにできないかどうか、その点を一つ承わりたいと思います。  それから一番最後に農林大臣業務許可、これはこの前私ちょっとお聞きしたのですが、もう一度確認いたしたいと思いますが、農林大臣業務許可と開設者の施設使用許可との間にまずい問題を起しはせぬか。たとえば市場施設は開設者が持っておる、ところがその市場施設を使わなければ業務ができない、ところがその業務の免許行為を大臣がやる、そういう点が非常に何となくおかしくなりはしないかと、そういった非常に常識的なことでありますが、これはまあおそらく政令とかそういったところにこういう問題がうたわれることだろうと思います。そういった四点の問題についてお聞きいたしたいと思います。
  56. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 卸売人の許可権は現行法では都道府県知事になっておりますが、今回は主務大臣にいたしたいという改正案を出しておるのであります。しかし現行法におきましても地方自治法その他におきまして、また中央卸売市場法においても国の事務として取り扱っておる上において初めて規定されておるのであります。今回は先般も御説明申し上げましたように、特に卸売人の行為は隔地者間の行為であって、大きな中央卸売市場は集散市場の性格も多分に帯びておる、都市と都市とが連合しまして起債をしたりその他の措置をして一つ市場を開設するというほどにもなっておりませんし、関係市場関係の他の都市に受益者負担等をするのにも何しろ商品の腐敗しやすい売買のものでありますので、なかなか法制化もむずかしいと考えておるわけであります、そこであくまで原則としては主務大臣の許可でやる。これは現行法においてもそうであり、地方自治法においてもそうであると思っております。今後は卸売人の活動、営業の範囲が広くなりますので、ますますなると予想すべきでありますので、現状でもそうでありますから、中央卸売市場法でございますが、卸売人ように一般全国的ともいうべき地域で営業する者の許可は主務大臣が適当であるし、あるいはそれでなければならぬと考えております。しかしながら行政庁の実情から見まして、実際上にそれだけの行政能力が予算、人員、知識、あるいは常時の情報調査というようなことにおいてその通りできない場合がありますので、主務大臣の権限は都道府県知事にまかせる場合もある旨を書いて、運用に正当なところを得たいと思っておりますが、態度は、だんだんと本省の人員、能力、知識その他の資料等の整備をはかりまして、国が重きを置いてやるのがいいのではないか、現在のところは、現在の実情で行うべきでありましょうが、いいのではないかと思っております。特に市場開設行為は、先ほども申し上げましたように、市場という業務の、事業主体としてのものでございまして、必ずしも条例を出すような場合の何と申しますか、特別権力関係を持つような地方公共団体とは必ずしも思っていないわけであります。たまたまもって市町村または知事が開設者になっておりますが、やはり特別権力関係を構成し得る。しかし市場の中の業務規程市場の中の取締法規に関する限りの一種の権力関係でありますが、東京都以外で分れておりますように、東京都知事は同じ人でありましても、そうであると思います。加うるに都とか、県に対しましては機関委任のこともあり、団体委任のこともありまして、委任といっても同一に論ずることはできないと思うのであります。私どもは現在東京都がよくその財政上の困難とか人的上の困難とかを克服されまして、与えられた条件のもとではよき開設者であり、開設運営のよき運用をされておると思いまするが、しかしあまりこの開設業務をするその者と卸売人の許可を持つものその者とが同じであることは、一般的にいえば、観念的にいえばむしろ弊害がある場合があるのであります。開設者意見意見としてよく聞いて卸売人の許可は大臣がやるべきものだ、大臣がやるといいますけれども、ほかの行政事務と同様でございまして、都道府県の知事には絶えず行政事務の執行上におきまして必要な知識をもらい、御協力を願い、権限も委任して行うことは当然のことでございまして、主務大臣の権限がからっぽになるような委任でない形もあるわけでございます。知事はいわば中央政府大臣の手であり足である。手の区域についてはその手に全部信頼しておまかせしながら大臣も権限を行使する、こういうことがむしろ行政事務としては普通でございますので、そういう運営ならばよく考えて見ていくといいと考えておるわけでございます。この問題につきましては、単に開設者としての意見じゃなしに知事の意見としてまず第一によく考えて、次に開設者の実情に即した事業上の意見をよくお聞きして、どこまで本省であるか、委任をどうしたらいいかをきめるべきだと思っておりますが、政令等で定めるべき時期をおくらせないで、その間においてよく研究をいたしたいと思っております。少くとも目下のところは六大都市のような集散市場化したものや、大きな卸売業者がある場合は関係地域の広いことともにらみ合せまして、大臣がやるのがいいんじゃないかということで法案提出しておりますが、必ずしもそれでなければならぬという法案ではございませんから、そういうことを研究したいと思っておるわけであります。  それから第二の開設者業務規程によって卸売人の員数を制限することができるかという問題につきましては、端的に結論を申しますと、現行の施行規則十二条にありますよう趣旨は今後も通しまして制限はできると、こういうふうにするつもりでございます。法律改正後もその規程は市場の運営に即しまして適当であると思います。なぜかと申しますと、営業の自由を広区域にわたって制限的に許可権を行使するのは大臣である必要がありますが、それは荷を委託販売ないしは特別の場合に買取りまして、働く場所は中央卸売市場でございますので、中央卸売市場の中におきまする卸売人の数が多過ぎるとか、運営がしにくいとか、不必要な場合があるとかいうような場合には、市場設備のよき運営を念といたさなければならないと思います。またそれを通じまして卸売人の行為も、市場開設者の取締りも、取引の流通及び価格についての円滑なる運用をはかることが目的でございますから、設備が、たとえやるべきであっても現実にまだ狭隘過ぎるとか、十分でないという場合は卸売人の制限等をすべきものと思うのであります。しかしこれを法律におきましては、ふやす場合はふやせという意見をいただいて、あまり許可するなという場合は許可するなということをいただく、員数のことでございますが、また資格についていえば、うちの市場ではこれほどのりっぱな卸売人があるところへ、他に権限を持ったり、信用力が薄弱で特段に資格も貧弱であるというものを許可するのは困るとか、そういうような荷扱いにちっとも困っておらない、こういうようなことの意見をいただきましたならば、許可の運用もそういうふうにやるよう開設者意見を聞いて許可をすべしといたしているわけでございます。ただ許可制度をもって開設者意見を必ず聞いて尊重してやる、開設者に反対の意見があればやらない、こういうふうに規定しているところへ市場業務規程によりまして員数、資格を制限できると法律で書くことは、許可制度との法文的矛盾であると考えまして、あくまで法は第一位、施行令ないしは施行規則は第二位にいたしまして、そのもとにその法に基いた市場業務規程を第三位に考えまして解釈し運用すべきものだと思いますので、員数の制限等について規定はできて、励行せしめることはできまするが、法律文で書くことではない、そういうふうに思っているわけであります。仲買については、多少ある意味では率直に申しまして軽く見ているわけであります。軽く見ます意味は、ただいま設置されて運営されているものが軽いという意味ではありませんで、仲買人が設けられていないときが相当ある、置くところもあるという場合でありまするから、これは法律では設置できることにいたしまして、その規程は従前のように、特に法に基いてしっかりするために業務規程で定めて下さいという旨をおいたわけでございます。従いまして、員数資格等について業務規程上設け得ることは、本法に書いてあろうとそうでない場合と同様でございます。卸売人についての員数の規定業務規程でできるかというのは、その面からも必ずできるといたしておるわけでございます。  第三点の、卸売人の許可申請は、開設者を経由して提出するか、または開設者の進達に基いてするようにできないかということでございまするが、行政権の行使でありまする許可事務は、都道府県知事を経由して提出していただくのが本旨だと思いますけれども、経由事務または進達事務については事実行為と思います。行政上必要な行政行為のためにする書類の事実行為だと思います。あわせまして改正法案では、許可に当りましては、開設者意見を聞いて尊重してきめねばならぬといたしておりますので、どうせ開設者意見をお聞きしてこれを尊重しなければならぬ義務を負うておりますから、その意味におきましては、書類や経由ないしは進達して参りまするというと、開設者はどの問題がいつ起きておる、どういう人間について卸売人の許可の関係の仕事が出ておる、こういうことが明確になりまするから、開設者意見を簡明敏速にいただくためと、行為が経由と進達という事実行為であるという意味におきまして、開設者を経由ないしは進達に基いて各知事を経由したり、知事を経由しないという場合は、直接大臣をということもありますが、そうすることは差しつかえないばかりか、むしろ行政事務の簡素化、敏速化に資すると思います。そういうふうにいたしたいと思います。ただこの場合、どんな意見を付してもいいわけでありますが、公正な意見を付して出していただくことになるわけで、どうせ申請書とくっついてくるわけでありますが、許可申請があったものを進達せず経由せずということはできないと思うのであります。  第四点の卸売人業務許可と施設使用の許可とを区別することはおかしくないかということは、多少離れたことを申し上げますと、独禁法排除に関する業務農林大臣が行うことがよろしいということと照応して、まさにこの業務はよく実態を把握して許可事務を行うべきと、本省において行うべきと思いますが、施設使用の許可その他はいわば市場開設者卸売人の類型的契約でもございまして、その意味においては条例の中で定めたことに従うべきでございまして、そういう業務規程である条例に従うべきでありまして、条例でなくてもいいとは思いますが、条例できめてもいい業務規程でございますので、それは先ほど申しましたように、本法そのもの、それの施行令、規則、業務規程とは一体となって運用さるべきものでございまするから、そこに別段の矛盾はないと思います。加うるに、業務規程には農林大臣の認可を要しまするので、変更命令もできないことはありませんが、不必要な、不当な乱用をした業務変更は当然できませんので、そこに両者一体となって矛盾を生じないと思っております。
  57. 重政庸徳

    重政庸徳君 今類似市場の規制の問題がちょっと出たのですが、私はいたずらに類似市場を規制すべきじゃないように思います。消費者あるいは生産者に損失を及ぼす状態にあるとか、あるいは衛生的に公衆に非常に不利の状況を及ぼす現状にあるとかというようなことを除いては、私は自由市場を規制すべきではない、かよう考えておるのであります。その区域の中に類似市場があって、ただその公設市場の利益のために類似市場を規制するというようなことは、私は断然なすべきではないと思う。かよう考えておるのですが、どういう御見解をお持ちですか。
  58. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 御質問のつど違った言葉を使いまして、違ったように受け取られると、そういう意味ではござませんけれども類似市場に対しまする規制命令はですね、本改正案の本文にも上げておりますように、取引の公正上阻害があるわけであります。それから生産者のことをおもに言っておりますが、販売の委託をするために支障がある。その前者の取引の公正とは消費者の利益も考えておるわけであります。そういう場合にだけ発動できるものでございまして、しかしながら中央卸売市場が適正に開設が認可され運営が適正に行われている限りにおきましては、この法律中央卸売市場を育成して、その適正な取引をもって他の一般の取引を公正ならしめることを目的にいたしておりますから、中央卸売市場業務運営が、まあ分量は別にいたしまして、取引量が取引方法とともに適正である場合には、取引の公正化の中に入るべきものだと思います。だから中央卸売市場意見も聞かなければならない。中央卸売市場ができるのにこちらの方ばかりを抑制、いじめるのは、よくないと思っておりますが、この市場が適正ならざる場合についてそう簡単に、その意見に従ってできるとは考えておりません。その旨を法律で明確にいたしておる次第でございます。
  59. 重政庸徳

    重政庸徳君 その点は非常に重要な問題になるだろうと私は思う。中央卸売市場の方面ではいわゆる利益を擁護するためにそういう意見が出てくるだろうと思う。中央卸売市場は自治体なり政府なりが指導育成発展せしむることは、これはもう当然なことで、そういう措置をとっておる。それがいわゆる自由市場に圧迫せられて成り立たんというような公設市場は、すでに運営なり何なりが工合よういっておらぬから、そういう状況に私はなるんだろうと思うので、その点非常に将来微妙な問題が生じてくるので、一つ十分注意して、私は自由市場を規制するということは、最もこれは重大なそういう規制せねばならぬという、公衆及び消費者及び生産者に危害を及ぼすというりっぱな根拠がなければそういうことはなすべきではないと、かよう考えておるので、どうか一つそういう意味で十分注意してこの運営をさせていただきたいと思う。
  60. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 重政委員の御意見通り運用したいと思いますが、従来は中央卸売市場一つの理想と現実の目標を与えて、生鮮食料品の取引をこれによってうまくやろうと、こういうふうに考えておりましたが、遺憾ながら都市の熱意も足りない場合がありまして、指定地域であっても中央卸売市場などができていないところもあります。ここに類似市場が発生するのはやむを得ないというよりもむしろ当然でございまして、そういう事情のところもありますが、しかしながらりっぱな中央卸売市場ができてきて、人口の増加とか、取引量の増加が生じた場合、あるいは近代的な取引方法が相当普及し得るのにやれない場合などにつきましては、これは国としても援助方が薄かったと思うのであります。そこで三十年度は六千万円の補助金を中央市場に向ってすでに出しまして、来年度は何分の一かは、正確に申しますと、五分の一の補助金六千万円を始めましたが、それよりは民法法人を主体としてやるならば自治庁ともすでに折衝済みでありますが、中央卸売市場に対しましては、食糧の公益尊重という建前から起債の点を非常に楽にして、必要なことは必ずやり得る資金調達をし得ることにいたしました。しかし一般起債市場は八分前後の高利でございますから、補助金より有利にいたしますために見返り円約六億ぐらいを二十年間年賦くらいにしまして、金利も四分でありますと、補助金より実は有利になるのであります。そういうことを加えまして中央市場を育成するのと、類似市場の規制の条件を法律で書いて明確にしてやるのと、そういう前提の上に立ってデリケートとおっしゃいましたが、行政の妙を得てやりたいと思っております。ただし六条にもありますように、中央市場に全く百パーセント以上の機能を持ち、設備を持つものができるのは期待すべきでありますが、かりにそういうものができませんでも、ほぼ別に適当なものができるという場合には、類似市場に向ってはいわゆる閉鎖命令の規定が従来からもあったことでございますが、そこで類似市場と中央市場とどちらを重きを置いて考えるか、こういうことになりますと、類似市場は抑制ぎみで、抑制することとして扱うのがほんとうではないか、こういうふうに思っております。
  61. 重政庸徳

    重政庸徳君 これはそのくらい手厚い、公設市場には政府が発展のためにそのくらいな指導と援助を与えておるのだから、これは自然現象としていわゆる類似市場はそういうところには成り立たぬようになるのが自然の経済状態だと思うのです。だからいたずらに、いたずらではないが、法の力によってそれを規制、廃止するというようなことはなすべきでなし、私は自然にそういうようになるだろうと思います。だからほんとうに政府が腰を入れて公設市場を育成する重大なる力をもってやるということになれば、そういう規制、廃止するというような条文は私は要らぬと思います。理想的にいえば、またそこまで援助していかねばならない、かよう考えております。
  62. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 私はお言葉はごもっともと思いますが、あたかも公共事業費をもっと食糧自給のためにうんとつけようというときでも、財政事情のために十分でない場合がありますことなども事由として考えられますが、地方財政も大阪などを除いてはかなりむずかしい点でありますから、本法の趣旨に従って財政的援助もやる、こういうふうに考えますが、あくまでやはり自由企業もある場合にはそれが成り立たない条件を作るべきでありまして、直接類似市場を閉鎖することは慎重を期さなければなりませぬが、財政経済事情、あるいは都市人口の集中と消費量の問題から考えますと、ほんとうにまたやらねばならぬときは強力にやらなければなりませぬが、法律にはぜひ置いていくべきものと考えております。なぜかと申しますと、物事は現状で考えるのが一番いいと思いますが、類似市場に向いまして、中央市場とあたかも同様な取扱いをするがごとき、私的会社に同様な扱いをするがごとき、少し市場法のことを考えない各地に条例ができまして、その各地ごとのばらばらの条例によりまして類似市場がある意味の特権市場化しておるのが最近の状況でありますから、これは国で全体として押えて、中央市場としての位置を適正にならしめるということが必要だと思っております。
  63. 重政庸徳

    重政庸徳君 僕はこの条文を廃止せいというようなことを言うておるわけではない。国のいろいろな状態で助成なり指導が足らぬために、その公設市場の足らぬ部分の利益をはかるために自由市場を閉鎖するというよう考え方は、これはとくとやめてもらわなければならない。そういう意味のことを申し上げておるので、この法律からその廃止をしろという意味で私は申し上げておるのじゃないのです。
  64. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) よくわかりました。重政委員のおっしゃる通りに運営しまして、従来開設者である都市が熱意を欠いて、整備すべき条件であるのに整備しなかったり、手数料の考え方を、短期間の市場の独立採算制をはかりましたり、長期償還をすればいいので、設備を作るときには一挙に資金その他も要りますが、そういうことだけで無理なことをして、熱意が薄いことについては、今後は一そう開設者側とよく話しまして、監督したいと思っております。
  65. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の問題、大体類似市場というものを残そうという考え方も相当あると思うのですよ、今言われる通りに。それでそうでない、ほとんど中央市場にひとしいようなもので、どうしても統合せんければならぬというようなものも具体的にあると思う。
  66. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 今後いろいろな方面から努力をいたさなければならぬのですが、私がやってもらいたいと思って、一局長でございますがそう思っておるのは、条例で法定されたよう類似市場は、名古屋の公設市場の分場化、単独の分場になさるのがよろしい、こういうふうに思っております。
  67. 清澤俊英

    清澤俊英君 大阪の木津はどうですか。
  68. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 木津については一そうその感が深いのでありますが、目下部下に詳しい調査をいたさしておる段階でございます。
  69. 清澤俊英

    清澤俊英君 そういうことを法律で規制してやることができるでしょうか。
  70. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 法による伝家の宝刀を擬するのは一番必要なことだと思いますが、先ほど申しましたように、いろいろな角度からいろいろな用意をしなければいけない、かように思っております。
  71. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでそういうものが自然発生的に地方条例なり何なりによってできておるということは、中央市場をゆさぶるがごとき市場が発達してきているということは、何か現在の中央市場に対して欠陥があるとお考えになりませんか。
  72. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 先ほど青山委員に対して申し上げました通りでございます。
  73. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと聞き忘れましたが、いま一度御迷惑でも、簡単でいいですから。
  74. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 第一は、新憲法のもとに自由の営業がある。中央市場はその取引独占をするよう独占形態としては、現行法律制度ができておらぬ。もう一つは、社会経済事情がありまして、一方には普通地方公共団体と言われるものに地方財政の窮乏貧困がある。一般金融においても高金利の状態があります。第三には、人口の増加があり、都市集中、消費地集中の傾向が終戦後特に顕著でございまして、食糧危機の事態と相照応しまして、そこで類似の市場も成り立つ事情がある。しいて加えますれば、重政委員からおっしゃいましたように、国もこの問題を注意してもっと援助することが足りなかったでありましょうし、開設者である都市等におきましても、熱意が足りなくて、一時的な独立採算制などをはかるようなこと、設備強化について長期償還をしていくような気持が足りなかった、こういうようなことなどがおもな原因と思っております。
  75. 清澤俊英

    清澤俊英君 こういうことを考えられませんかね。理想の型としては、単一市場単一卸売という型が正しいのだろうと思うのですがね、理想型ですよ。それからそれがなかなかうまくいかないで、複数が問題になっていると同じことで、場合によりましてはやはり単一市場だけじゃなく、複数市場の開設もこれは自然の競争でだんだん業態をよくするのじゃないか、こうも考えられる。それでそれがだんだん業態が進んできて理想点にだんだん近寄ってくれば、おのずからこれは両立を許さず、合併することができることになる、こういうことが考えられるので、無理にああいうものの発達を押えていこうという考え方はどうもおかしいのじゃないかと思うのですがね。ちょうど卸売複数の議論が成立すると同じわけです。
  76. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) わかりました。単数原則でありますから、援助もする反面、非常に厳重な監督がされておるわけであります。また野市とか、漁村の魚で例を一番よくわかるように申し上げましたように、本来は中央市場以外の市場を開くことも自由であり、本法はこれを初めから禁止したり、許可制をしいて抑制を、不許可の形で幾らでもできるということは避けたい、そういう考えで届出主義で監督し得ることにしておるわけでございまして、不正な場合、不当な場合だけを抑制し得るという規定を置くことでとどめたいと思って立案されておるわけであります。また、根本的には大正十二年に法律ができましたときは、おそらく当時の事情に沿うておったと思いますが、市場を置くべき地域の指定と、その当時の人口とがそのままになっておる。それは今後変えるべきだ。またその当時から一地域一開設者主義という主義が施行規則にも明確に書いてあります。ところが一般業界その他におきまする通例の解釈は、一地域一開設者とは一市場主義だということが普通のようでありましたが、従って本場は必ず取引量や設備が少くなったときでも本場は必ず一つで、あとは分場というような形で東京都などまかなっておりますが、私は都市がその地域の中心としては一つであれば、まあ二つ都市がある地域を指定すれば別ですが、都市が一つであれば税の徴収とか起債とかはその一人の者でありますから、一開設者主義はとっていきたいと思いますが、数個の市場を一開設者が開くことはむしろ適当である、こういう解釈で方針を改めて明確にしたいと思っておるわけでございます。
  77. 東隆

    ○東隆君 私は類似市場にも関係があると思うのですが、第十条ですか、十条によって卸売市場における卸売業務をなす者の、売る者の許可の場合ですね、この前質問を申し上げたときには協同組合の連合会は許可を受ける対象になり得る、こういうお話があったと思いますが、しかし、考えてみると非常にこれは困難な条件があると思います。都道府県の連合会の場合には、これは可能なことが考えられますけれども、しかし、それには都道府県の連合会の区域がありますから、従ってよその区域の協同組合が出荷をしたものについては扱えない、こういう制限があると思う。それから全国段階のものがかりに卸売の指定を受けた場合に、今度は全国段階の場合には全国区域の協同組合から出るものも実は都道府県段階のものを通さなければやれない、こういう制限が出てくるわけです。従って私は見ようによっては卸売人の単複の問題は、業者とそれから協同組合の二つの複数制の方が考えようによってはいいと思う。その場合に、非常に協同組合関係の側には制限があるのですね。初めからハンディキャップがついておるわけです。従って中央卸売市場の中に卸売人として協同組合生産者団体の代表が業務をやる場合にはやり得ないということが多いのじゃないか。そこで、それを防ぐためにはどうしても区域を撤廃するとか、あるいは市場取扱い品目についてはその限りにあらずと、こういうふうな一応の条件をつけなければ、生産者団体が中央卸売市場卸売人になるということは、これはなり得るようではあるけれどもなり得ない、こういうことになろうと思います。その点はどういうふうにお考えですか。
  78. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 法律上及び行政の平等な取扱いとしましては、生産者協同組合連合会は卸売人になれると思います。単数複数について御所見がありましたことも、将来の姿としてはそういうことが考え得る、そういうこともあろうと思います。しかるに、そのほかにつきまして協同組合には三段階制、区域の制限がある、こういうことでありますが、やはり協同組合は目下のところではその協同組合の本質に照らしまして、地域の協同組合精神も相互扶助協同精神の中に入っておりますから、それをむやみに撤廃して、他の協同組合による協同組合事業をくずすもとになることはよくない、必ずしもよくないのではないかと思います。しかしこういう生鮮食品の腐敗しやすいものを扱うのに、むしろそれよりも三段階制を要するかどうかということは研究に値することと思います。他方そういう地域的制限や、きのうもお話が出ましたが、新組合には援助等の措置もあります反面、法律でも法人税、登録税等の特権も与えておるわけです。問題はむしろ協同組合の運営の上から、なまものを扱う場合に、そういういい役職員がいるかどうか、よくこれは養成すべきことだと思います。さらに一番問題は、昨日も全国の生鮮食品関係の県の主任者と協同組合と一日協議会をやりましたけれども、一番末端の組合がしっかりできておらぬ。簡単にいいますと、今村の中、あるいは蔬菜地帯、共同部落、こういう場合の共同出荷組合などがかなりできて、市町村の総合農協の扱っておる園芸部などがありますが、それをもっとしっかり作って、資金におきましても、取扱い技術におきましても、必要な措置がまだなされておらぬので、やはり全国連合会が入れるか入れぬかの問題とともに、真にそれを扱う力ができるかどうかということの組織能力上の問題があるので、それの整備をしつつ、これは考えて行くことだと思っております。
  79. 東隆

    ○東隆君 今お話のようなふうに考えてもいいのですけれども、実際上連合会が、全国段階の連合会がかりに卸売人になろうとしても、これはなり得ない。それから地方において、都道府県の連合会がかりに卸売人の指定を取っても、それは地区の制限でもって、よその区域からくる単協から出荷したものを実際は扱えないのですね、そういう非常に制限があるので、私は農民の団体という形でもって出てくる場合に、全国連合会の名前において、かりに各都道府県に卸売人の指定を受けた場合に、その場合においても、支所の形でもって受けた場合に、今度は三段階になっておるために、またそこでもって不便が出てくる、だからそれを解決をする方法がないかということ。
  80. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 現になっておるところがあります。大阪の青果物市場では全販連の支所が持っておる。ただし非常にうまく行かないので自分もやめたがっておるのです。東京でも同じ制度になって、会社になっておったかと存じますが、過日参考人にこられた勝賀瀬さんが御大将の会社もあって、これはかろうじて息をつないでおるわけですが、私はいきなり一番扱いにくいものを、法を変えまして、それができるように特別の恩典を与えることもよく考えなくちゃいけませんけれども、それよりも、まず第一に農家がそういうものを扱うには、末端の部落段階、部落組合から、経営者から、それから何段階ある場合も、こういうようなものは一段階を省いても取引をするとか、県連でもどうするか、員外利用の道もありますから、そういうものを考えるべきで、農協など、あるいは漁業協同組合などの根本に触れて、地域を撤廃したり、集荷組合だけのために段階制を撤廃したり、どういうやり方をしてもいいこういうようなことをまず先に考えないので、逐次それを自主的に考えてもらいたい、こういうふうに思っております。
  81. 東隆

    ○東隆君 私は今の問題、非常に、困った問題があると思うのです。協同組合関係に。それは単協が総合的な仕事をやっておるために、そのためにそういう問題が起きてくるわけです。もし業種別に協同組合をこしらえて、それの全国段階のものをこしらえた場合に、これは二段階で済むわけです。そういうような場合はこれは可能だと思うのですけれども、しかしそいつの奨励はあまり勧めたくない、日本の協同組合の場合にはそういうようなものはあまり勧めていないわけです。従ってそういう形でいくと、この市場に進出をするのには、これは非常に困難な情勢になっておるから、そこでその一番非常に困難なものを市場でもって取り扱うところの品目については、地域の問題、区域の問題、地区ですね、それから全国段階の場合におけるところの困難な問題は、単協そのものから受けたものもやり得る、こういう形ですね、その形をはっきりやり得るやうに態勢を作り上げれば、これは漁連の場合なんか当然そういう問題が起きてくる。だから協同組合を両方考えてみたときに、その非常にじゃまになる点を市場で扱う取扱い品目について制限を撤廃する、そういう条項を作ってもいいじゃないですか。
  82. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ただいまのところでは私はその説に反対であります。なぜかと申しますると、第一、出荷の元である生産の圃場であったり、海岸であったり、そういうところの組織ができていない。それから第二点は、完全に無条件委託をすれば、その弊害はほとんどなしにできるのに、実際現実の農協その他は無条件委託をしていない。そこで赤字を生じて、無用のという意味の御意見戸叶先生からもありましたが、赤字団体を生じて政府が保護し過ぎる場合もある。従って、元の方から作った場合に、第三点は、たまたま生鮮食品で中央卸売市場があるがゆえに、商人と同じに地域を撤廃してしまって商行為を自由にできるというふうにすることは、農協その他協同組合の本件ではない、こういうふうに思うからであります。しかし、御意見向きでやっていいし、やるべきことが制限があったりしてうまくできないものは、今後団体ともよく協議しまして、ある段階をはずす場合も自主的に許すならば、そう考えられるならば、そういうことはよく研究したいと思っておるのであります。
  83. 東隆

    ○東隆君 私はこの中央卸売市場において問題は、委託ということを前提に置いて考えた場合に、それを原則にして進めた場合に、そんなに大きな弊害はないと思うのです。今までおそらく、戦前なんかに農会があっせんだの何だのやって、そうしてやり得たということは、私はその区域だの何だの制限がなかったから農会はやり得たのだと思う。協同組合がそいつをやれなかったことは、制限があったからやれなかった。だから、この問題を考えてきたときに、生鮮食料品のようなものについて、その制限を撤廃して、そうして委託ということを原則にして、これ以外にはやらないのだという態勢にしてやれば、私はこいつはそんなに危険性のあるものでもないし、当然やり得るものだし、これは何もそんな買い取り販売をやるわけでもないし、そういうふうに考えられるものじゃないか、こう思うわけです。
  84. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 私が申しましたように、今直ちにと申し上げたのですが、東委員の御指摘のような点をよく研究して、自主態勢も整えて、最小限度不公平にわたらぬ範囲に政府が援助できればそれはけっこうだと思うのでありますが、協同組合の地域性があったり、員外利用に限度があったり、特に信用事業は経済事業の運転資金としても必要があると思いますが、そういうときに出資者がありましたり、組合員から出資をとるわけであります。そういうような根本の農業協同組合、特にこれは中小企業協同組合と違った性質もまたあると思うのであります。漁業協同組合で言えば、漁業権の主体になっておるものも多いなどの状況もございまして、それらを彼此勘案するというと、今直ちに市場で取り扱うということのゆえにその根本法を変えるのにはまだ研究を要するのではないかということを申し上げたのであります。そういうのが解決すればもっと伸びるべきものだ、自分たちのものは自分たちが共同して売るべきものだ、こういうところは全く同意見であります。
  85. 戸叶武

    戸叶武君 本年度の予算六千万円ほど計上されているが、これが本年度に完全に使い得られるかどうか、それが使い得られないような場合にどうするか、その点お聞きしたい。
  86. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) もう使いました。
  87. 戸叶武

    戸叶武君 現実に横浜や仙台等では返上しているというような話を聞いておりますが、それに対してはどうですか。
  88. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 時期的におくれまして、と申しますのは、土地の購入費というような償却する要のないものに補助するのはおよそ補助金という性質では合わないということなどの大蔵省の意見等もありまして、また予算書には産地の出荷施設になるべくやれということを畜産の関係から一緒に書かれて、不時の障害が出ましておくれて非常に恐縮でございましたが、あとはそのまま計画通りに本省としては手を離れて、各地でこれの実施に移ってもらって、使用に当ってもらっておるわけでありますが、御指摘の点などにつきましては、市会その他の関係で本年度は十分できないから、来年度見返り円の援助をもらう方がかえって利する場合もあるからという問題もありまして、ことし補助金を出したところは来年度見返り円の政府資金の融資をしないということではございません。これは引き続いてやりますけれども、他に基幹施設に限りまして補助金を出しましたとか、まだ補助していい設備の分もありましたので、緊急な名古屋その他の市場にその分を回したわけであります。
  89. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 委員各位にお諮りいたしますけれども質問も一段落のようでありますから、これから懇談会に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) それじゃ懇談に入ります。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  91. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 速記を起して。  懇談中にこの法律案についての取扱いについてはお取りきめを願ったのでありますが、そういう取りきめに従っていくことを御了承願います。なお農業改良資金助成法案についても懇談中のお取り計らいによって進行したいと存じます。  では本日はこれをもって散会いたします。    午後四時四十二分散会    ————————