○
政府委員(
安田善一郎君)
農業協同組合整備特別措置法案につきまして、御
提案の
理由は先般申し上げた
通りでございますが、
委員長の御指命によりまして、補足的な
説明を簡単に申し上げたいと思います。
わが国の農業を振興いたしますためには、特に農
業者の自主的な共同
組織によりまして、所定の法律が戦後もできておりますが、農業協同
組合法にのっとりましてできておりまする農業協同
組合、その前身を歴史的にたずねますというと、明治初年に信用
組合ができまして以降、また特に明治三十二年以降産業
組合法が制定されまして以来、主として農業面にその実情に即したために発展をして参りました農業協同
組合の整備強化をはかりますことは、一大
重要事項であると思っておるのでございます。それらのことにつきましては、今さら申し上げるまでもないところでありますが、終戦後は各種の
経済事由、その他の
経済態勢の変更もございまして、それらの
影響を農業協同
組合が受けて参りましたことも周知の事実でございます。
そこで
政府は
昭和二十六年度から農業協同
組合を中心にいたしておりますが、農林漁業
組合再建整備法によりまして、その再建整備に着手をいたしました。この
措置は本年三月末をもって終了することに同法はなっておりますが、二十九年度末までに単位農協が五十三億、連合会が百八億円に及びまする法律に基く増資が達成されまして、ほぼ所期の
目的を達しつつあると考えておるのであります。また農業協同
組合連合会の累積をしました赤字を克服いたしまするために
昭和二十八年度には農林漁業
組合連合会の整備促進法を国会の御
審議を得まして制定をしまして整備を要する県の
経済連合会、普通に言いまする県経連の大部分の指定を得まして、これは制定後十年間の期限でございますが、目下鋭意その整備に努めておる次第でございます。
しかしながら農業協同
組合の中心は、何と申しましても市町村にありますいわる総合農協で信用
事業から
経済事業、
指導事業等も含めまして、一部には
教育等の
事業も含めまして、特に
経済事業及び信用
事業を行っております総合
事業のものが中核体でございます。その実態を見まするに、最近におきましては、各種の
事情から相当部分は遺憾ながら経営が不振でございまして、本来法の所期をいたしておりまする
目的を十分に果しておらない実情でございます。これらの農協につきまして、今般五年間を目途としまして、できるだけすみやがに、みずからの自主的な整備の強化を
組合がこの共同体の精神と努力を基礎にいたしまして、その上に
政府が援助をいたしまして、整備強化をはかるよう、この
法案を
提案を申し上げた次第でございます。
これらの不振、または経営不振と申しておりますが、そういう農協につきまして、不振の原因を
農林省の
調査、あるいは農協
中央会の
調査等によりまして判断をいたしてみまするというと、役職員の不整備あるいは適当な者でないことによることも相当ありますが、もちろん経営規模の小さすぎるようなこと、あるいはその自然的な土地
条件、作物その他の
条件、
経済的
条件というようなものがあまり恵まれたところでないところなどに、原因するものも相当ございます。また過去から累積されました多額の欠損金を持っておりまするその負担のために、最近の短期間の、たとえば一年間の
事業としましては相当健全であっても、過去の欠損金による負担にたえきれなくて、不振になっているものがあると存ぜられるのであります。各種の
理由がございまするが、経営不振の農協のおもなる事由と申しますれば、特に取り上げて三つをあげれば、以上のものに類型を分けられるかと考えているわけでございます。
これが対策としましては農業協同
組合はあくまで自主的な
組合員の
相互扶助、共存共栄の精神にのっとりまして共同活動をいたしましてあるいは共同販売あるいは共同購入、そういう
組合員の利用度を、貯金あるいは金融を受けるということをも含めまして、
事業を
組合を利用するというそういう共同活動に基きながら、また各種の
組合がございますので、二十九年からは農協でありながら農協自身を、友だちの農協を自己鑑査する、整備促進をする、立て直しをやる、うまくできていないところは診断もしたり診察もしたりすると、こういうような
事業を主とした
事業としてできておりまする
都道府県及び
全国の農協
中央会の設立もみておりますので、その
事業を自主的な協力によりますとともに、不振のはなはだしいものにつきましては
都道府県の助成によりまして、国がこれを援助いたしまして、役職員の強化を必要とする農協に対しましては、駐在
指導員によりまする
指導を行いまして、これに対して国も補助をいたすという
方法をとりたいと思っているのが本案の
一つでございます。
第二点としましては、多額の欠損金の負担を有する農協に対しまして、同じ農業協同
組合の重要なる一環でございます信用農業協同
組合連合会から融資をしていただきまして、その赤字に見合う貸付金を融通をしてもらう、そうしてその融
資金の利子を免除させて、その負担を軽からしめて、単位農協の活動促進をはかりたいと思っているのでございますが、これに対しまして、信連に一部の利子補給を
政府が援助したいと思っているわけでございます。
第三点といたしましては、本来
組合は
現行法によりますると、十五人以上をもって
組織をし得ることになっておりまするが、私どもから今日みまするというと、総合農協は旧町村単位に一
組合ぐらいに整備されておりますが、特殊
組合も各
地域にありまして、中には少数でございますが、町村の区域に連合会があるほどのものもありましたり、数に至りましては、町村段階三万五千もあるのでございます。総合農協は比較的健全でございまするが、一万三千その中にございます。特にそのうちの規模の過小な農協に対しましては、合併の奨励をはかることが先決問題ではないかと考えておる次第でございまするが、もともと自主的に設立もし、
事業もし、その経営の健全化もはかるべき農協でございまするから、本
法案によりまして合併の勧告もできる
措置をとるようにいたしつつ、合併をいたします場合に対しましては、国は
都道府県を通じまして必要な助成
措置を行うようにいたしたいと思っておるのでございます。目下の農業情勢、
経済情勢からいたしまするというと、本法に盛りました
最小限度の
措置でございまするが、これらによりまして、さらに自主的な努力を払っていただきまして、農協が整備強化されますことは急務であろうかと存じておる次第でございます。
この
観点からいたしまして、農協の整備
計画を立てていただくわけでございますが、この整備
計画は、
計画に関しましては
昭和三十三年三月三十一日までに立ててもらいまして、この
計画に基いて五カ年間の
措置がとられるようにしたいと思っておるわけでございます。三十一年度の
予算におきましては、衆参両院で御
審議いただきましたところによる
通りでございまするが、この
関係といたしましては、一億一千三百万月余の
予算を
農林省の
予算において計上いたしておりまして、そのうち駐在
指導員による
指導費の補助といたしまして一千八十万円、信連に対しまする利子補給といたしましては七千五百万円、合併奨励金といたしましては二千五百万円、なお
都道府県にこの農業協同
組合振興整備に関しまする学識経験ある人の
委員会ないし
協議会、こういうものを置いて、よく
計画を練っていただいたりなどいたしまするので、その運営に要しまする費用といたしまして二百三十一万九千円を、内訳以上四つといたしまして合計一億一千三百万円以上でございまするが、計上いたしております。これらの助成は大蔵省とも打ち合せまして、少くとも五カ年間はこの法律の施行の運営に必要な経費として、継続して
予算も計上し合おうというふうに協議を整えておる次第でございます。
簡単に補足
説明を申し上げますと以上でございまするが、なお必要に応じまして、御質疑に応じましてお答えを申し上げたいと思います。