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1956-03-23 第24回国会 参議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十三日(金曜日)    午後一時五十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            青山 正一君            重政 庸徳君            戸叶  武君            三浦 辰雄君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君           池田宇右衞門君            小西 英雄君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            横川 信夫君            東   隆君            河合 義一君            三橋八次郎君            溝口 三郎君            千田  正君   政府委員    農林政務次官  大石 武一君    水産庁次長   岡井 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   参考人    日中漁業協議会    副会長     山崎喜之助君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○肥料取締法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○急傾斜地帯農業振興臨時措置法の一  部を改正する法律案衆議院提出) ○農林水産政策に関する調査の件  (日中漁業会談促進に関する件)   —————————————
  2. 戸叶武

    理事戸叶武君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  肥料取締法の一部を改正する法律案内閣提出参議院先議)を議題にいたします。本法律案につきましては、昨日の委員会において質疑を終り、その際のお取りきめによって、ただいまから直ちに討論採決を行いまして、差しつかえありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 戸叶武

    理事戸叶武君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べを願います。  別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより肥料取締法の一部を改正する法律案採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  5. 戸叶武

    理事戸叶武君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容議長提出すべき報告書作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     青山 正一  重政 庸徳     三浦 辰雄  秋山俊一郎     雨森 常夫 池田宇右衞門     小西 英雄  関根 久藏     佐藤清一郎  横川 信夫     東   隆  河合 義一     三橋八次郎  溝口 三郎     千田  正   —————————————
  7. 戸叶武

    理事戸叶武君) 急傾斜地帯農業振興臨時措置法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  本法律案につきましては、昨日の委員会において質疑を終り、その際のお取りきめによって、ただいまから直ちに討論採決を行いまして差しつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  8. 戸叶武

    理事戸叶武君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  9. 重政庸徳

    重政庸徳君 急傾斜地帯は御承知ように、すべて山村であるのであります。現法律には面積規定はないが、しかし取扱いとして二十町歩を限度として補助の対象といたしているのでありまして、これはきわめて本法趣旨に反するものであります。急傾斜地帯山村を救済するゆえんではないのであります。それがために、一つその面積限度の点において御決議を願いたいと思うのであります。朗読いたします。  政府は、本法に基いて施行せんとする土地改良事業について、急傾斜地帯の実情にかんがみ、本法趣旨に遵って、施行面積の制限現在二十町を極力緩和し、五町までは必ずその対象として取上ぐべきである。  右決議する。  この決議案をつけまして、本案賛成いたします。
  10. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 私も本案に対しまして、条件を付して賛成をするものでございます。  この急傾斜地帯農業振興臨時措置法は、日本農業の水準を全般的に引き上げるためにはきわめて重要なものであることはもちろんでございます。従いまして、特別法——時限法といたしまして制定されたわけでございますが、五カ年の期間においてわずか一三%よりしかできておらぬ、こういうようなことでありますると、今延ばしましても、またさらに延ばさなければならぬというようなことになるのであります。しかし、現地の農業経営の実態を見ますると、それほど長い期間をかけましては、もはやその更新に対処していく力がないと思うのでございまして、この延ばしました五カ年間におきましては、総事業を計画的に完了するように十分な経費の裏づけをしてもらいたいということでございます。ことに適地通産主義で進むということになりますと、こういうよう農業経営の諸要素が非常に劣悪な所におきましては、他の地方と対比いたしまして非常に不利な状態に置かれますので、十分この法の精神を発揮するように十分な措置を講じていただきたいと思うのでございます。  さらにまた、この事業実施状態を見ますると、いろいろ行わなければならぬ事業がたくさんあるのでございますが、事業が並行して進んでおらぬよう状況がございます。索道、農道などは相当の進捗状況を示しておりますが、その他のことにつきましては、忘れられたかのよう感じがあるのでございまして、むしろほんとうにあの地帯農業経営更新をはかるとしたならば、その他の事業におきましても十分に考慮をして、並行的に総事業量の完了を見るように特に御努力を願いたいと思うのでございます。  なお今、重政委員より提出されました付帯決議に対しましても、賛成の意を表するものでございます。
  11. 戸叶武

    理事戸叶武君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  12. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。急傾斜地帯農業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  13. 戸叶武

    理事戸叶武君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました重政提出付帯決議案議題といたします。重政提出付帯決議案を本委員会決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  14. 戸叶武

    理事戸叶武君) 全会一致と認めます。よって重政提出付帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  なお本会議における口頭報告内容議長提出すべき報告書作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないものと認めます。よってさように決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     青山 正一  重政 庸徳     三浦 辰雄  秋山俊一郎     雨森 常夫 池田宇右衞門     小西 英雄  関根 久藏     佐藤清一郎  横川 信夫     東   隆  河合 義一     三橋八次郎  溝口 三郎     千田  正   —————————————
  16. 戸叶武

    理事戸叶武君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  17. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記を始めて。  日中漁業会談促進の件を議題にいたします。  この件につきましては、先般日中漁業協議会から陳情を受けたのでありまして、当委員会においては、わが国水産業が当面するきわめて重要な問題の一つであると考え、十分検討してこれが取扱いに遺憾なきを期するため、本日関係団体から参考人として御出席を願い、御意見を伺うことにいたしましたところ、御多忙中お差し繰り御出席いただき、ありがとうでございました。厚くお礼申し上げます。ただいまから参考人の御意見を伺うことにいたします。日中漁業協議会会長山崎喜之助君。
  18. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) 本日は日中漁業会談促進について、特に陣述機会を与えていただきましたことを深く感謝いたします。  御承知通り、私ども日中漁業協議会代表は、昨年一月北京に参りまして、中国漁業協会代表との間に民間漁業会談を行い、「黄海東海漁業に関する協定」を結びました。この協定は昨年六月十三日に効力を発生いたしましたが、有効期間一カ年の暫定的な協定でありますので、来たる六月十二日に有効期間満了となるのでございます。つきましては、右期間満了前に、できるだけ早い機会両国政府による会談を行い、未解決漁業問題を解決するとともに、両国政府の間に漁業協定を締結していただきたいというのが、私どものお願いの趣旨でございます。これにつきましては、別に政府に対しまして要望書提出いたしましたところ、政府は去る十三日の閣議において次のよう回答をきめられました。  すなわち、「日本国と中華人民共和国間の漁業問題に関する政府間の会談は、両国の正常な国交を前提とするものであって、現在の情勢からみて、直ちにこれを実現し得ない事情にある。よって、この際従来通り両国関係業者間の協定によりこれを処理せられたい。」というものであります。しかしながら、現在の協定双方民間団体交渉でありましたため、取りきめをなし得る問題にも限界がありますし、また協定そのものにも法律的な裏づけがありませんので、違反防止及び違反者処置等にも遺憾の点が少くないのであります。さらに両国間には去る昭和二十五年十二月以降昭和二十九年七月までに、中国側拿捕されまして、いまだ返還を受けてない漁船百四隻約八千八百トンの処置など、未解決の問題がありまするので、これらはどうしても政府間の交渉に待たなければ解決は困難であろうと考えられるのでございます。私どもは現在の協定第九条によって、両国政府会談促進に努力する責任がありまするので、昨年十一月、日中漁業協議会の総会の決議によりまして、政府会談促進陳情をいたしたのでありますが、当時の情勢では、政府会談の実現は困難であると判断されましたので、今年一月中国漁業協会に対して、四月初めから東京において第二回の民間漁業会談を開催したいと提案したのであります。しかるに、去る三月二日中国漁業協会より返事がありまして、協定期間満了までには、なお数カ月の日時があるから、引き続き政府会談促進に努力されたい、そうしてどうしても政府会談の実現困難な場合は、無協定状態の現出を避けるため、現協定有効期間をさらに一カ年間延長することを提案してきたのでございます。  私どもといたしましてはどうしても政府間の交渉ができない場合には現在の協定をそのまま一カ年延長することもいたし方ないと思っておりますが、でき得ればこの際、漁業資源の保護、漁場合理的利用、過去の未解決事件解決等、日中漁業問題の根本的解決をはかるために、両国政府で話し合っていただきたいということを切望している次第でございます。  なお、もし現在の協定を一カ年延長する場合におきましても、協定実行上、お互いに会って話をし合わないと、解決の困難な問題もございまするし、漁船操業上の秩序を維持する規定実行方法、たとえば標式信号等のこまかい問題について打ち合せをする必要もありまするので、延長の調印も兼ねて、中国代表を招いて懇談したいという希望を持っている次第でございます。  このよう意味におきまして、根本的にはぜひ双方政府において会談をしていただきたい、このように切望する次第でございます。
  19. 戸叶武

    理事戸叶武君) ありがとうございました。ただいまの参考人の御意見に対して、御質疑の向きは順次御質疑を願います。
  20. 千田正

    千田正君 ただいまの山崎さんのお・話はごもっともと思うのでありますが、これは山崎さんに一応伺っておきたいのですが、日中民間協定期間中において、日本側操業はどの程度進捗しておられるかということと、その間に何ら両国間にトラブルが起らなかったかどうか、この二点をお伺いしたいと思います。
  21. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) 昨年の六月以降非常に安全に操業することができまして、漁獲の上において約二〇%ぐらいの増収となっておりますし、なおその種別もいい品種のものがとれているようでございます。その間におきます両国間の紛争と申しまするものは、気分の上においてはきわめて良好な状態操業しております。  事件は漁具の損傷等十二件でございます。そのうち一件は接触いたしまして後、数時間にして沈没したというようなこともございましたが、すべては友好的に処理されているという状態でございます。
  22. 千田正

    千田正君 この前に拿捕されておった百四隻というこの漁船ですが、これは山崎さん方がいわゆる民間代表として、向うでいろいろ友好的に話し合いをされてきたのですが、その間においてすでに拿捕されておった百四隻の釈放といいますか、日本側に復帰させるよう方法について、もちろんお話し合いがあったと思いますけれども、この問題については向う側はどういう考えを持っておられるか。
  23. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) 昨年の漁業交渉の際は、まず当面の問題から将来の問題を解決ようといたしました。そうしてあの漁業協定となりました。特にその協定を結びまする際に、中国側の主張は、あくまでも中国民間団体という建前で進んで参りまして、この今御質問の百四隻の拿捕の問題は中国政府の行なったものであって、民間の容喙し得ないところである、こういう態度でございました。この漁業協定が成立いたしまして、友好な機運ができたにもかかわらず、過去の拿捕の問題が解決しないことは、画龍点睛を欠くといううらみがあるというようなことを申し入れまして、われわれはわれわれの、日本側考えていることを、できるだけ早くこれを釈放してもらいたいという趣旨を述べました要望書を、中国民間団体の手を通じて中国政府へ伝達してもらうという処置を講じた次第でございまして、中国側からはそれに対して回答はございませんでした。
  24. 千田正

    千田正君 政府側政務次官は遁走したのですか。
  25. 戸叶武

    理事戸叶武君) 水産庁次長岡井正男君が来ておりますが、参考人の方の質疑を先に……。
  26. 千田正

    千田正君 それは私が政府のあれを伺って、さらに山崎参考人お話を聞きたいのです。  ただいま山崎参考人お話によるというと、政府がちっとも本気になってやらぬ、それで両国にわだかまるところの漁業関係を一日も早く軌道に乗せたいというので、昨年以来民間同士において話し合いをつけて、一カ年の期限をもって民間協定をやった。で、六月十二日でもって期限が切れるのですが、その間ただいま参考人に伺いまするというと、漁撈の方も非常に友好的に進んでおる、何らの紛争も来たしておらない、問題は一日も早く日本中国との間に政府間の話し合いを正式に運んでもらいたい、こういうことなんですが、先般来政府側に申し入れたところが、今年もそれはできぬから、一年間ぐらい民間協定延長して従来通りやっていけという話なんですが、もう少し積極的にこの問題を解決するという方向をあなた方の方で考えておらないのですか。政府としては、政府の本格的ないわゆる交渉に乗せるということを真剣に考えておられないのでしょうか、どうなんでしょうか、その点は。
  27. 岡井正男

    政府委員岡井正男君) 御質問が非常に大きい、かつ高いところにあるようで、私の方からお答えするのは、どうしても事務当局として幅の狭いお答えになるかと思いますから、あらかじめあしからず御了承いただきたいと思います。  もちろん水産関係事務を担当しているわれわれから思いますれば、一日も早く国同士の正式な会談による妥結ということが望ましいという気持はあります。しかし、今の段階においては、そう急速にもできぬからという意味での閣議了解事項として、すでに千田先生承知通りに結論が出ておるわけでございます。今まで過去において民間団体からしばしば要望なされたのでございますので、われわれとしても事務当局が、国の線がそうありましても、ぎりぎり一ぱいのところまで、まず民間協定が満足に履行されるようにぎりぎりのところまで、できるものならお手伝いをしたいという気持があります。要するにたとえば民間の方が故意でなくて協定違反というようなのを、まあそういう結果になりそうなような地区の違反に類似するような場合には、私の方が出しておりまする艦船から注意を与えるとか、あるいはまたそういうものに対してのリストを作っておいて、ある程度民間団体の方へも婉曲に再びそういう事態を繰り返すようなことをやらせないよう方向に持っていくとか、とにもかくにも前年よりも今後一年継続しておやりになる場合には、若干そういう点では今までよりもより積極的に考えていきたい、こういう気持は持っているわけでございます。
  28. 千田正

    千田正君 岡井さんと論争しても、これはまあここではまずいと思うのです。ということは、今おっしゃられた民間協定政府が協力するというのじゃなくして、ざっくばらんに言いますよ、政府がもたもたしているから民間側両国の間に積極的に話し合いを進めている、むしろ日本政府の政治の貧困に対して、民間側が逆に政府を教育するためにやってくれているとしかわれわれには考えられないので、これは総理なり外務大臣なりあるいは農林大臣交渉いたしますが、話を変えまして、山崎参考人にお伺いするのですが、中共側としましてはあと一年の延期ということに対しても、今まで結ばれた協定と変りないことで延長を承諾するというのですか、何かさらに一歩進んだプラスの面がさらに今後延長する協定に対して追加がなされるのでありましょうか、それとも今までのままで延長されると、こうお考えなのでしょうか、その点はどうでしょうか。
  29. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) 中国側意図は従来のままという文書になっております。
  30. 千田正

    千田正君 もう一つ伺っておきたいのですが、この日中両国民間協定をやったことに対しまして、台湾政府——かつての国民政府ですが、あるいは同じようラインにおりますところの韓国政府、こういうところがあなた方の協定に対して、何らかの反響を呼んでおったという点がありますかどうか、その点はどうでしょうか。ということは、そういう点が何か具体的に操業に対して、あるいはその他の交渉等に対して、何らかのこの点に対して台湾政府及び韓国政府等が何か別な手を打って来たり、あるいはそういうふうな傾向を見せているというような点はありませんか。
  31. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) 台湾政府は、特に漁業者に反応のある態度、言動といったようなものをわれわれは感じておりません。韓国政府は、この日中漁業協定ができてから、特にいわゆる李承晩ラインの守りを固くしているという事実がございますし、時折り新聞等につきましては、日本の漁民が共産主義中国と接近しているということは不都合だというよう新聞記事等を散見しております。
  32. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 山崎さんにお尋ねいたしますが、昨年の日中漁業協定の際に、中共側拿捕漁船の三十二隻というもの及び抑留者全員日本に返しました。その残りが現在百四隻あるということでありますが、今のお話によりますと、拿捕責任といいますか、拿捕政府がしたのであるから、民間代表はそれには独れるわけにはいかないと、こういうことであったそうですが、その際に三十二隻というものを返してきた。そこで、今回の交渉によりまして、百四隻というものがやはり前のようなケースで、何らか一部でも返されるような見通しがあるのじゃないかという感じが私どもあるんですが、しかし三十二隻を返したというような、非常に半端な数字でもありますが、この数字のよってきたるところはどういうところにあったかということは、その当時察知されませんか。と申しますのは、三十二隻は返すよう状態にあったが、あと百四そうというものはもうどうなったかわからないのだといったよう感じであったか、あるいはそのうちとりあえず三十二そう返したということであるのですか、どっちに思われましょうか。
  33. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) 昭和二十九年の秋、三十二隻の漁船と抑留されていた約四百名か五百名の漁船員を返してくれました時期は、ちょうど中国の紅十字会の李徳全女史が日本を訪問せられる直前でありました。三十二隻の船と抑留漁夫全員が返還されまして、日中親善の空気はさらに高まったように思っております。で、この三十二隻という隻数をなぜ返したのであろうかということはよく私たちはわかりませんけれども、あれだけの漁船員を乗せて返すにはやはり三十二隻ぐらいの船が必要であったのであろうと思われます。それからもう一つは、百四そうぐらいな船を返すには乗組員が少し足りなかったのではなからうかという節も考えられるわけであります。これはわれわれの断片的に聞き得た点でございますが、中国側といたしましては、この拿捕した船は完全に保管をしているということを聞いております。なぜ返されなかったかという理由ははっきりいたしませんが、これらの船も良心的な管理が行われておるものだと考えております。
  34. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今までのお話を伺いますと、非常に友好的であるようでありますが、中共側政府間の取りきめを要望する意図もわれわれにはほぼその理由了解はできるのでありますが、もし両国政府間において話し合いができるとするならば、それらの船を返すというよう意図が向うにあるのでありましょうか。そういう点は察知されませんですか。
  35. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) 私の想像でございますが、この百四そうの中には、約四〇%か四五%ぐらいは木船でございます。すでにこれらは事件後、長きにおきましては七年ぐらいたっております。これらで健全な船体を持っているものは、必ず返還してくれるだろうというふうに考えております。なおこの船が稼働中に用いました漁網等につきましては、上海その他の根拠地において十分な手入れをして、船名をつけて貯蔵してあるということを、抑留船員から聞いておる節もございます。
  36. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 政府の意向というものについて伺うには、事務当局だけではちょっと話にならぬと思うのですが、政務次官は見えるのですか、きょう……。
  37. 戸叶武

    理事戸叶武君) いまちょっとお待ち下さい。
  38. 青山正一

    青山正一君 現在民間協定として締結している日中漁業協定によって、一体どれだけの底びきの船が、あるいはトロールの船が操業しているか、あるいは数字的に一体どれだけの漁獲高があるか、あるいは昨年に協定を結ばないさきと比べてどれだけの数の開きがあるか、その点おわかりならお示しを願いたい。
  39. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) この漁業場は、東経百二十八度三十分から西の黄海東海を主たる漁場とする船でありまして、根拠地は下関、戸畑、福岡、長崎を基地といたしまして、約八百隻、そのトン数約八万トン、乗組船員一万二千名、これらの船が一年に約六千航海近い航海をいたしまして、その漁獲は約三十万トン、その売り上げ金額は約百三十億円ぐらいでございます。この漁業協定ができましたことによりましてどういう利益があったかと申しますと、まず乗組員及び関係者が、精神的に安心感を得たということは非常に大きいものでございます。それによって沖合いでは安全操業が確保されまして、稼働率は、漁獲高は約二〇%の増加を示したものと思っております。経費等におきましては、今まで特別の保険をつけておったとか、あるいは乗組員の不安に対する賃金、報酬等を特に用意したとか、そういったこと、それから中国船を見ておそれて退避する、そのために失う漁網の損失等、いろいろの経費の節約が行われております。こういうふうなわけで漁家経済に及ぼしますものは相当大きいものでございます。なおさらに国民経済にもいい結果を与えていると思うのでございます。またわれわれといたしましては、日本人といたしまして隣国中国と無用の緊張感を大いに緩和し得た、このよう考えておりまして、この漁業協定によりまして生まれる利益は、有形、無形いろいろの形で相当大きいものでありまして、われわれ関係漁業者は、この漁業協定の成立を喜んでおる次第でございます。
  40. 青山正一

    青山正一君 海上に線を引かなければならないというところに非常なむずかしさがあろうと思うのですが、その民間協定の遵守、民間の取締りだけで現在の協定というものは行われている、それでその取締りが民間でやるというふうなことだけで十分ですかどうですか。別に政府の力をかりなくてもそれでけっこうやっておられるかどうか、その点を一つお聞きしたい。
  41. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) 現在大局的には、この漁業者漁業協定の精神をよく遵守いたしまして、非常によい状態でございます。しかしきわめて小部分におきまして、若干の間違い等がある事実があるようでございます。やはり真に日本人の漁業の信用を高めるためには、一つのはっきりとした法律裏づけを必要とするということを感ずるものでございます。
  42. 青山正一

    青山正一君 これは中国の問題とは別でありますが、この二、三日前からソ連ではその真偽のほどはわかりませんが、鮭鱒の問題についていろいろな制限を出しているように思われますが、もちろん外務省として何らかの方策があろうと思いますが、民間人として、別にアドバルーンを上げるという必要があるかないか。たとえば中国形式で、これは問題点はどうあろうともいいのです。たとえば資源保護の問題でもよかろうし、それから漁場合理的利用というような問題でもけっこうなんですが、そういったものを問題点としてお互いに業者同士で話し合うというよう方法もいいのじゃないかと、こういうふうに業者が考えておられるような向きが多いだろうと思いますが、これがこのままにほっておきますと、韓国の李承晩と同じような格好になりはせぬかということを非常に心配しておるのですが、これは問題点は別であろうと思いますが、まあ中国漁業協定の問題とも多少関連があろうと思いますから、その点についてちょっと御意見のほどを承わりたいと思います。
  43. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) 御質問のお答えにはまるかどうかわかりませんが、どの国と漁業協定をいたします際におきましても、われわれ日本漁業者といたしましては、公海における漁業を行う権利を持っておるということと、その権利の反面われわれは資源を維持する義務があると、こういう考え方で臨むべきであると、このよう考えております。私どもが結びました日中漁業協定もこの基本精神に基いて行なったものでございます。また将来いろいろの漁業協定あるいは漁業の取りきめ、民間取りきめといいますか、そういうものが行われる場合でも、この基本精神を動かさないようにすべきであると考えておる次第でございます。
  44. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は、中国日本漁船拿捕した数は相当に多くなると思いますが、それらの拿捕されました漁船はどういう所で、たとえば韓国なら李承晩ラインの中に入ったから拿捕したのだというようなことでありますが、中国において拿捕した日本漁船がいわゆるただいまお話しになりましたような公海において拿捕されたものか、あるいはシナ海に近接して、中国漁民のいわゆる利益を擁護するという意味において拿捕されたのか、どういうところから拿捕されたのか、一つその点についてお話を伺いたい。
  45. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) 拿捕船のきわめて大きい大部分は公海であります。そうして、特に中国漁船と入り合って操業をする漁区、海区ということでございます。領海ではございません。中国の領海ではございません。
  46. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 公海において拿捕されたわけですね。
  47. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) さようでございます。
  48. 千田正

    千田正君 山崎さんにお伺いしますが、これは日中協定の中に漁撈技術等に対しての相互の研究とか、資料の交換とかいう問題は含んでおりますか、全然そういうことは含んでおりませんか。
  49. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) 漁業協定付属書の第四号で漁業資料の交換及び技術の交流ということを規定しております。相互にまず資料の交換から、さらにお互いが希望するならば、技術の交流を行おうという精神で臨んでおります。
  50. 千田正

    千田正君 もう一点は遭難した場合、両方のいずれかの領土にかりに遭難船が漂着した場合、食糧あるいは給水という問題について協定はありますか。
  51. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) 付属書第三号におきまして、漁船が緊急事故により寄港する際及び海難救助後の処理方法規定しております。この漁船が万一の場合、いずれの国のいずれの港に避難することもこれは国際的に許されることでございます。しかしそれほどの危急のものでなくても、操業上避難しなければならない場合が起きて参りますので、この漁業協定によって協議をいたしまして、中国側に三カ所、日本側に三カ所、あらかじめ双方漁業協会に通報し合って入港する手続政府に迅速に運ぶという約束、協定を結んでおる次第でございます。
  52. 千田正

    千田正君 そうしますと、そういう協定を適用するようなことは、この一カ年にはなかったわけでありますか。
  53. 山崎喜之助

    参考人山崎喜之助君) 日本側漁船中国側へ避難いたしましたことが三件ございます。中国側漁船日本側に避難いたしたことはございませんが、中国側の遭難した漁船を救助したことが、これが三件ございます。
  54. 千田正

    千田正君 政府岡井次長以外に見えますか。
  55. 戸叶武

    理事戸叶武君) 今大石政務次官も督促しておりますから。——ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  56. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をつけて。  以上、参考人の御意見を伺ったのでありますが、この件について、ただいま政府から岡井水産庁次長出席をしておりますので、政府に対する御質疑の向きは順次御質疑を願います。
  57. 千田正

    千田正君 この問題のみならず、水産問題に対しては非常に私は、日本の外交の拙劣さといいますか、政府の対処方針というものがはなはだ残念ながら貧困である、こういうことを言わざるを得ないのは、被占領期間を過ぎて日本が独立して以来、われわれの水産が発展しなければならないのにかかわらず、だんだんだんだん圧縮されてきたということであります。一つは、李承晩のいわゆる勝手な一方的宣言、さらにビキニ、マーシャル群島周辺におけるところの原水爆の実験等におけるところの公海の自由の操業の制限、今度は日ソ交渉が停頓して、これまた北洋漁業における一方的な制限等、こういうことによって行く所がだんだん狭められてきて、今、山崎参考人が申されたように辛うじて日中間の民間協定によって安全操業をされておるという所がようやく突破口といいますか、安全操業できる一つの隣国との接触した海域であるということを考えましたときに、この問題は、私は政府としては相当腹をきめて、制限されておるところへ対しては制限の緩和、そうしてようやくこうした安全操業のできるものは、本格的に政府政府との間に話し合いをつけて、一日も早く日本の水産業が戦前以上の生産力を増していくよう方向に向けていただきたいということを強く要望いたします。その点に対して、ことに最近北洋問題等がからんで参りますから、水産庁の決心のほどを考えていただきたいと思うのでありますが、要望しておきます。
  58. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  59. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記つけて。  では、本件については本日はこの程度にいたします。  参考人におかれましては、長時間お差し繰りをいただいてありがとうございました。重ねて御礼を申し上げます。  また政府におかれては、本日の委員会の経緯にかんがみ、遺憾なく善処せられんことを要望いたします。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  60. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をつけて。  都合によって、残余の議事は後日に回し、本日はこれをもって散会いたします。    午後二時五十六分散会