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説明員(
桧垣徳太郎君)
農林経済局長が他の
委員会にただいま
出席をいたしておりまして、ほどなく参ると申しておりますが、そういう
事情でございますので、私から補足的な御
説明を申し上げておきたいと存じます。
まず、
改正法律案の
説明に先だちまして、
現行の
肥料取締法の体系がどうなっておるか、その運用の
内容はどうかという点について御
参考までに御
説明を申し上げておきたいと思います。
現行肥料取締法の
目的は、これは
法律の第一条にもあります
通り、
肥料の
品質を保全し、その公正な取引を確保するために、
肥料の
規格の
公定でありますとか、
登録でありますとか、
検査等を行いまして、
農業生産力の
維持増進に寄与するということにあるわけであります。
次に
法律上の
肥料の
類別でありますが、これは
法律の上で見ますと、第二条に規定せられておるところでありまして、
一つは
普通肥料、
一つは
特殊肥料、この
二つの
肥料の
類別をいたしておるのであります。
普通肥料は、これは
特殊肥料以外の一切の
肥料を言うわけでありまして、
特殊肥料というのは、これは米ぬかでありますとか、堆肥でありますとかというような
農民の経験によりまして、
肉眼等個人の五官によって
品質の良否が鑑別できるというような
品質の
肥料につきまして、
農林大臣が指定をいたしたものを
特殊肥料と言っておるのであります。この
特殊肥料というものにつきましては、
肥料取締りの本質的な
法律適用をほとんどしない、いわばできる限り自由な取扱いができるという形できめておるわけであります。従いまして、
肥料取締法の主たる
適用対象は、
普通肥料ということに相なるわけであります。
次に
肥料の
規格の
公定制度でありますが、
農林大臣はただいま申しました
普通肥料につきまして、
肥料の
種類ごとに含有をすべき主成分の
最小量、
有害成分の
最大量、
粉末度等につきまして
公定規格を
定めることになっておるのであります。この
公定規格に合致いたしません
普通肥料は、次に申し上げます
登録を受けることができないわけであります。
次は
肥料の
登録、仮
登録並びに届出の
制度であります。
公定規格の
定めがあります
普通肥料につきましては、
農林大臣あるいは
都道府県知事の
登録を受けなければならない。
公定規格の
定めのありませんものにつきましては、
農林大臣の仮
登録を受けなければならない。
特殊肥料につきましては、
登録もしくは仮
登録の
制度を適用いたしませんで、単に所轄の
都道府県知事あてに届出すればよろしいということにいたしておるのであります。
農林大臣と
都道府県知事に
登録をする二本の
登録法がありますが、そのうち
農林大臣に
登録すべきものは四種でありまして、第一種は
化学的方法によって生産される
普通肥料、いわゆる
化学肥料と呼ばれるものが、これは
石灰質肥料を除きまして、
農林大臣の
登録になっている。その次に窒素、燐酸、カリ、及び
苦土を除きますその他の
普通肥料であります場合には、
化学的方法によらずして生産されるものも
農林大臣登録ということにいたしております。それから第三種のものは、以上申しました
二つのものを原料といたします
配合肥料は、これは
農林大臣登録にいたしております。ただしこの
配合肥料のうち
市町村単位の
農業協同組合の行います
配合肥料につきましては、これは
都道府県知事の
登録に相なっておるわけでございます。それから第四種は、輸入をいたします
普通肥料で
公定規格のありますものはすべて
農林大臣登録であります。知事に
登録すべきものは、
農林大臣に
登録すべきものを除いたすべての
普通肥料ということに相なりますが、お手元の資料へもちょっと書いておきましたが、有機質
肥料でありますとか、
石灰質肥料、あるいは苦汁、カリ等が知事
登録の
肥料と相なっておるわけでございます。このような
登録あるいは仮
登録を受けていない
普通肥料を販売をするということは許されないので、もしさようなことがありますと、
法律違反ということになり、罰則の適用を受けるわけでございます。
次に成分の保証
制度でありますが、
普通肥料につきましては、
法律で規定いたしまする主成分の含有量等を表示いたしました保証票をつけなければ販売することはできないということにいたしております。虚偽の保証を行なった者等につきましては、
登録、仮
登録の取り消し、
肥料の譲渡の
制限あるいは禁止等の行政処分が行われるわけであります。
次に
肥料の販売につきましては、これは免許あるいは許可等の処分を必要といたしませんで、単に所轄の
都道府県知事に届出すれば、
肥料の販売は何人も行い得るわけであります。届出なしに販売行為をいたしますと、罰則の適用がある。
次に
肥料の検査
制度でありますが、この
法律の
目的を達成いたしますために流通過程の
肥料につきまして、国あるいは都道府県の検査職員が違反の有無につきまして検査を行うことができることになっております。この
肥料の検査は
法律の上では国、都道府県の重複権限になっておるのでありますが、運用上は、国は
農林大臣の
登録にかかる生産業者あるいは輸入業者の管理下にある
肥料、ないしは輸送業者もしくは倉庫業者の管理下にあるものを検査することを原則といたしまして、末端の販売段階にあるものにつきましては、これは組織あるいは
予算等の
関係上も制約を受けまして、できないという
事情にありますので、原則としてはこの段階で検査の範囲をとどめることにいたし、都道府県は
都道府県知事に
登録された生産業者の管理下にあるもの、並びに末端の販売業者の段階にあるものを検査いたしますことを建前といたしておるのであります。
で、この検査を行います検査機構としましては、国の機関として
肥料検査所を札幌、仙台、東京、名古屋、神戸、福岡の六カ所に設置をいたしております。この検査所は
肥料の検査のほかに
登録あるいは仮
登録の際の成分の検定と、肥効試験の実施等を行なっております。
肥料取締り上の違反の事例並びにその動向を申し上げますと、
本法施行直後の当時にはかなり違反事例が多かったのでありますが、別途資料を差し上げてあるはずでございますが、その中にも数字を計上いたしておきましたが、近来は漸次違反事例は減少いたして参りました。特に有力メーカーの製品については非常に違反事例が少いのでありますが、中小メーカーの中には違反事例がある。特に配合、化成
肥料について違反がある。また新規の製品になれば技術的な不なれの点等もありますし、違反の事例がなお跡を断たないような
事情にあるわけでございます。以上簡単でございましたが、
現行取締法の体系と運用を申し上げたわけでございます。
そこで次に今回の
改正点について御
説明を申し上げたいと思いますが、御
説明を簡便にいたします
趣旨で、お手元に新旧対照の資料を差し上げてありますが、それに基きましてご
説明申し上げたいと思います。まずお詫びを申し上げなければいけない点があるのでございますが、それは
政府から配付いたしました
法律案の刷り物のうち、「
肥料取締法の一部を
改正する
法律」という次に、直ちに
改正条文を載せておるのでありますが、その間に、「
肥料取締法(
昭和二十五年
法律第百二十七号)を次のように
改正する。」という前文が印刷脱落をいたしておりまして、正誤の手続は終えておりますが、
政府の手落ちでございましたので、お詫びを申し上げなければならないのであります。で、条文に入って御
説明申し上げますと、第一条の
目的につきましては
改正はございません。第二条に入りまして、第二条第三項の保証成分量の規定のうち、保証成分量とは何をいうかというカッコ書きで「(
肥料の種別ごとに別表で
定める主要な成分をいう。」というところを、今回の
改正案では、「
肥料の種別ごとに政令で
定める主要な成分」にいたしたい。
法律別表からこういう成分の規定を政令の規定に譲りたいということでございます。この
趣旨は前回
政務次官が
提案理由の
説明の際に御
説明を申し上げたのでありますが、
現行の別表は最もうしろについておりますが、現在の
肥料の形質の発達移動というものに合致しないような事態になっておる。従いまして現在の諸成分をこの別表で処理し切れなくなっておるという
事情が現状でありますと同時に、また
肥料は日進月歩、いろいろな形の、いろいろな成分を伴ったものが続々と現われてきており、またそれが将来も見通されるわけでありまして、このような技術的に変動を伴いますものを
法律の表で固定いたしますことは、生産あるいは流通の実情に即さないのではないだろうかということで、政令によってそういう実情に機動的に合致するようにしていきたいという
趣旨から政令に譲りたいというのが
政府の
考え方でございます。
次は第三条の
改正でありまして、第三条では、
農林大臣が
普通肥料の
公定規格を
定めます際に、
肥料の
種類ごとに従来は含有をすべき主成分については
最小量だけを
法律上規定することになっておるのでありますが、
肥料の性質によりましては、単に有効成分の
最小量のみを規定したのでは不十分なものが
考えられるのであります。たとえば硼素
肥料のごときは、ある成分までは有効成分であるが、ある成分をこせば有害の場合が
考えられるというような種類のものも現われてくるようになって参りましたので、含有すべき主要成分の
最小量とともに
最大量も
公定規格として
定めるようにいたしたいということであります。
次は四条の
改正でありまして、四条の
改正は第一項第三号で
農林大臣に
登録すべき
肥料の種類として「
普通肥料の一種以上を原料とする
配合肥料」という言葉を使っておりますが、この
配合肥料という用語は
現行法律の別表に現われておるわけでありますが、この別表を落しますことによってこの
法律に
配合肥料という言葉が出ないということが一点と、さらに前回
政務次官から
説明をいたしましたように、今回の
改正で
配合肥料、化成
肥料の区分を廃止いたしまして、
農民の購買あるいは流通の便宜をはかりますために、統一的な名称で表示をさせるという
措置をとりたいということから、この
配合肥料という用語を取りやめまして、
改正案のように「原料として配合される
普通肥料」という用語に
改正をいたしたいということであります。
第五条は
改正ありません。
第六条の
改正では、第一項第一号を
改正いたしまして、従来氏名及び住所、これは
登録あるいは仮
登録を受けようとする者の申請書の必要記載事項でありますが、そのうちこの
代表者氏名というのは申請の際には
政府あるいは都道府県を含みますが、行政官庁としては
代表者の氏名を
承知しておく必要がありますけれ
ども、従来旧法で「以下同じ。」ということでこの
法律に表われてきます一切の場合に
代表者の氏名がからんでくるということになりますと、後に申し上げます
登録証を、一度出しました
登録証の
代表者が変るたびに書きかえ交付しなければならぬといろ繁雑さがありますので、この
代表者の氏名をそのような
登録証の書きかえ等の繁雑な手続に及ばないように、ここでのカッコ書きは以下の条文にからませないという
意味で「以下同じ。」という用語の削除をいたしたいということに
考えておるわけであります。第三号の
改正は従来
登録事項として
肥料の
規格のうち「保証成分量」のみが上っておったのでありますが、これだけではいろいろ
肥料の
登録の
内容が不明確な、あるいは不十分な点が生ずるのでありまして、今回の
改正によりまして「その他の
規格」を加えていくことにいたしたいということであります。「その他の
規格」の
内容としまして、粉末度でありますとか、あるいは
有害成分の
最大量等でありますとか、あるいは有効成分の
最大量、あるいは使用を禁止しておる原料等に
関係します事柄を
一つの「その他の
規格」という中で表示させる、表示を明らかにしたいというような
趣旨でございます。それから第六号の次に「その他省令で
定める事項」というのを追加いたしまして、特定の
肥料につきましては、生産
方法の概要等を記載させることにいたしたい。現在では一応生産
方法の概要を省令で
定めたいというふうに
考えております。これは生産
方法の概要を了知いたしませんと、
肥料の性質について行政的あるいは技術的に検討すべき点が明確にできないというような
事情もございまするので、今回の
改正の条文を追加したということであります。
それから七条、八条、九条は
改正ございません。
第十条におきまして、
登録証及び仮
登録証に
関係する
改正をいたしたいと
考えておるわけであります。第三号の
登録証及び仮
登録証に記載すべき必要事項の中で、「氏名及び住所」となっておりますのは、先ほど申しました第六条の
改正に伴う条文整理として、氏名のほか、法人の場合でありまするので「又は名称」を加えることにいたしたい。それから第五号の
改正は、ただいま申し上げました
登録事項が、保証成分量のみならず、その他の
規格も変って参りますので、「その他の
規格」を加えることにいたしたい。それから第六号につきましては、これは
登録証に記載をいたしておりましてもあまり
意味がありませんことと、
肥料は
事業場の変更あるいは
事業場の増減等がありましても、実は
肥料の実体的の
内容にはあまり
関係がないということでありまして、そのような変動に応じて必ず
登録証あるいは仮
登録証の書きかえ等をしなければいけないというようなことは
意味がないという観点から、第六号は削除したいということであります。
次に第十一条の
改正につきましては、従来
登録証あるいは仮
登録証を、生産業者は当該
肥料を生産する工場、それから当該
肥料を作ってない工場でありましても、ほかの工場にも写しを備え付けておかなければいけないということになっていましたが、これは当該
肥料を生産している工場でありましても、
登録証は一枚しか交付いたしませんにもかかわらず、工場数が二工以上あるという場合は事例がたくさんあるわけでありまして、この場合は
法律上も不可能であり、それから当該
肥料を生産していない他の
事業場に備え付けることは全く
意味がないわけでありますので、この条文を
改正いたしまして、必要な最小限度に簡素にいたしたいということから、
登録証、仮
登録証は、主たる事務所に備え付けますと同時に、生産業者につきましては、その写しを当該
肥料生産工場にだけ備え付ければいいということにいたしたいと
考えておるわけであります。
それから十二条の
改正は、
登録及び仮
登録の有効
期間の更新の規定に関する
改正でありますが、第二項を
改正いたしますとともに、第三項を新たに加え、従来の第三項を一項うしろに延ばしたわけであります。三項、四項を一項ずつ繰り下げたという
措置でありまして、
改正部分について御
説明を申し上げますと、従来
登録の有効
期間は三年でありますが、三年を経まして、さらに
登録を受けた者から申請がありますと、また三年間の更新を認めるという規定があったのでありますが、その際従来の
公定規格が変更がありまして、その
登録肥料が新しい
公定規格に変更しなければならなくなったような場合につきましては、規定がなかったわけであります。また、
公定規格が廃止になりまして、
登録済の
肥料の
公定規格の
定めがないという場合にも、何ら規定がなくて、事実上これはそういう場合には更新を認めないというやり方をやっておったわけでありますが、飼料の
品質改善の
法律の上でもこの点を明確にされて、取締法の
改正案の中でもこの点を明確にされておるようでありまして、それとも関連をいたし、
肥料についても
登録の有効
期間の更新は、
公定規格の変更があって、もう適用しなくなった場合には許さない。また
公定規格の
定めがなくなった場合、そういう場合にも許さないということを明らかにしたいという
考えであります。第三項は仮
登録の有効
期間の更新については、九条で仮
登録の申請がありますと、
農林大臣は肥効試験を実施いたしまして、その申請書に書かれました栽培試験の成績が真実であるかどうかを試験するわけでありますが、その肥効試験に基く肥効の判定ができないというような事態のもとにおいてのみ、仮
登録の更新を認めるということを明らかにしたい、こういうことであります。
十三条は
改正はございません。
十四条は
改正をいたしまして、新たに第四号を加えたい、これは、この十四条は
登録及び仮
登録の失効の規定でありますが、従来の規定では
肥料の保証成分量等の
規格の変更は失効事由になっていなかったのでありますが、今回の
改正で、
肥料の保証成分量、あるいはその他の
規格の変更は、
肥料の絶対的な同一性を失うものであるという
意味で、一
肥料一
登録の原則を明らかにいたしますために、
肥料の
規格変更の場合には、従前の
登録は失効するということに明確な規定をおきたいという
趣旨でございます。
十五条は
改正ございません。
それから十六条の
改正につきましては、これは
登録及び仮
登録に関する公告の場合を規定している条文でございますが、従来の規定のうち立法的に脱落しておったのだと思われますのは、仮
登録の第九条第二項の規定によりまして、肥効試験の結果、申請書記載の栽培試験の成績が真実でないということを
農林大臣が認めました場合には、仮
登録を取り消すことになっておりますが、その取り消しをいたしますときは、従来は公告しなければならないという規定が抜けておったのでありますが、これは立法的な脱落と思いますので、ここで規定の補充をいたしたいという点が一点であります。それから第二点の
改正は、第一項の第三号、第四号の規定を、先ほど申しました第六条の
改正に伴いまして、条文整理をいたしたいということがその点であります。
それから次に従来の二項の前に一項を加えまして、
肥料の実体、取引、その他に
関係があります事項、たとえば事例としまして、
肥料の名称でありますとか、あるいは生産業者、あるいは輸入業者の氏名、または名称、住所というようなものの変更は、これは一般に周知する必要があるのでありまして、従来は行政官庁への届出事務は書いてありましたけれ
ども、届け出られたものの公告の規定がありませんでしたので、今回の
改正で、かような変更がありました場合には、これを公告することにするのが妥当であろうというように
考えましたので、二項を新たに追加し、従来の二項を三項に一項下げたわけであります。
次に第十七条の
改正は、第一点は一項第四号の、これも第六条の
改正に伴います条文の整理です。それから第八号の次に新しく第九号を加えまして、保証票に、異物を混入した場合にはその混入しました異物の名称、並びに混入の割合を書くということにいたしました。これはあとで二十五条の
改正で、従来
肥料には、その
品質を低下させるような異物の混入を全く禁止いたしておったのでありますが、成分の調整をはかるために
農林大臣の許可したものについては許す、禁止規定を緩和をすることにいたしたのでありますが、それに伴って保証票にもその旨の表示をするということであります。
それから次は第十八条の
改正でありまして、
現行法の一項の中ごろに、「
規格外
肥料保証票」というのがありますが、これは十九条二項、三項、四項で、旧法では
規格外の
肥料の譲渡を認めておりましたが、今回は
規格外の
肥料の譲渡という
制度をなくしてしまうということでありますので、ここでは必要のない規定になりますので、削除をするということが一点であります。それから一項二号は、六条の
改正に伴います条文整理、それから三号は、先ほど申しました異物混入の表示の規定を入れましたその条文を追加するための整理であります。それから第四号では、販売業者の保証票だけは、保証票貼付の年月日と、日まで入れさせることにしておりますが、日まで入れさせますことは、あまり
意味がありませんことと、それでは生産業者保証票の場合には年月だけで足りておるということとの不均衡もありますので、これはまことにささいな点でございますけれ
ども、
改正案では年月だけでいいということにいたしたいと
考えておるわけであります。
それから次に第十九条の
改正でありますが、第十九条の
改正では、
肥料については
登録または仮
登録を受けておって、しかも保証票がつかなければ、これは譲り渡しはできないという原則になっておりますが、従来の
現行法では、二項以下四項までの間で、
公定規格の
定めのある
肥料であって、しかも
公定規格を充足することのできないような成分の
肥料でも
農林大臣の許可があります場合には、それは譲渡できるという規定があったのでありますが、これは
肥料の
公定規格制度というものと二律背反の思想でありまして、どうも
法律構成の上に無理がありますし、またこのようなことは
肥料取締法の建前からもきわめて好ましくないことでありますので、この
規格外
肥料というものは認めないということにし、この二項、三項、四項を削除したいということであります。ただ特殊の
事情によりまして
公定規格に適合しない
肥料が現われた、またそれを譲り渡しを全くできないということでありますと、実情の処理に困ることがあるわけでありまして、それは従来の第五項の一部を
改正いたしまして、従来は「
規格を下廻った場合」という規定のありましたのを、「
規格に適合しなくなった場合」ということで、特殊の場合を適用できるごとく明らかにいたしました上で、個別の処分についてはこれは許可をする、ただ継続反復的に
規格に達しない
肥料の販売を認めるということはやめたいということが第十九条の
改正の
趣旨でございます。
次に第二十条の
改正では、これは第一点はただいま申しました
規格外
肥料の規定がなくなりましたので、従って保証票記載事項の
制限のうち、
規格外
肥料保証票に関する部分は削除する必要がありまして、従って「前条第四項」という
現行法にあります部分を落したわけであります。
それから従来保証票には、保証票の記載事項のほかに商票と商号だけの記載を認めておったのでありますが、今回の
改正案では、その他に業者の保証票あるいは輸入業者の保証票につきましては、工場、倉庫の荷口の番号、あるいは出荷の年月を記載することを認めたいという点であります。これは
肥料の種類によりましては、単に生産年月日が記載してあるだけでは、その
肥料の
品質の変動その他をうかがい知るためには十分でないということがあるわけであります。たとえば石灰窒素のごときにおきましては、大体需要期が春肥に集中をいたしておりまして、夏から秋にかけて生産されたものは、すべてと言っていいほど工場、倉庫その他に貯蔵されるわけでありますが、その貯蔵の
方法は現在ではほぼ完備をしていると言っていいと思います。一度出荷されますと、吸湿その他の変質の場合がないと言えないわけでありまして、むしろ出荷年月日の記載がある方が農家の購買の場合、取引の場合にはめどになりやすいというような事態もあるわけであります。また荷口番号につきましては、その後販売品の事故等が出ました場合にも、この系列をたどります上にきわめて便利であるというような事態もありますので、この点を
改正して許すようにしたいということであります。
二十一条の
改正は、第一点は、従来は「(施用上の注意等の表示命令)」という中で、
農林大臣なり
都道府県知事は
肥料の施用上の注意または原料の使用割合、この
二つだけを表示すべく命令をすることができたのでありますが、今回の
改正に当りましては、施用上の注意のほか、保管上の注意も表示命令ができる、また原料の使用割合のほかに、そのほか
品質あるいは
肥料の効果を明確にするための必要な事項を表示させることができるということにいたしたのであります。この
趣旨は先ほどちょっと触れましたが、従来化成
肥料あるいは
配合肥料という種別が
法律の上でも認められ、また化成
肥料という種類の中で数多くの銘柄が出ておるのでありまして、現在では約六百種類の化成
肥料が出ており、配合種類は五千以上の
配合肥料が出ておるというような事態なのであります。それがめいめいの銘柄をもって流通をいたしておるのでありますが、今後
農林省といたしましては、この化成、配合の名称の区分を廃止いたしますと同時に、たとえばこの両者を統一的な名称、複合
肥料、これはまあ確定した用語ではありませんが、そういう用語で表わすようにしたい、そのような表示をさせるための根拠法規としてこの
改正を行いたいということが主たる
目的であります。次に、この条文の中で第二項を削除したい。このような表示命令をいたしました際、
現行法では
登録証、仮
登録証にその旨を記載しなければならないことになっておるわけでありますが、このような命令は申すまでもなく文書をもって命令をいたすのでありますが、これを一々
登録証、仮
登録証に記載いたしますことは、二重の行政上の事務を食うのでありまして、ほとんど
意味もないというふうに
考えますので、第二項は削除したいということであります。
次に第二十二条の
改正は、これは第一項第一号の「氏名及び住所」という部分を六条の
改正に伴いまして条文の整理をした、それだけであります。
それから第二十三条の
改正も、六条の
改正に伴う条文の整理。
それから二十四条は
改正がございません。
それから二十五条の
改正につきまして、先ほど申しました
現行法では、
肥料の
品質を低下させるような異物混入は禁止をいたしておるのでありますが、ここにただし書きをつけまして、政令で
定めます種類の
普通肥料につきましては、
農林大臣の許可を受けて
肥料の主成分の含有量調整のためにする場合だけは、異物を混入できるというふうに直したいと思うのであります。この
趣旨は、
肥料の種類につきましては、生産上主成分を画一的に生産することはほとんどむずかしいというようなものがあるわけであります。いわゆる生産
肥料の主要成分にばらつきを生ずるのでありまして、これは取締り上も
登録その他の問題で繁雑でありまするし、また取引の上にもこまかい難点が生じてくるわけでありますので、そのようなものの成分の調整を認めることにいたしたい。ただその際に混入いたします異物につきましては、これは一定の有毒あるいはその他の害の生じない性質のものを混ぜさせなければならないと思いますので、この点は
農林大臣で
定めるようにいたしたいという
考えでおるわけであります。
それから二十六条、二十七条は
改正がございません。
現行法二十八条は、
肥料関係の業務施設にはその業務の
内容を示す表示をしろということを言っておるのでありますが、これはほとんど現在の
肥料の生産なり流通の現状におきましては、
意味のない規定と
考えられますので、二十八条は全文を削除することにいたしたいということであります。
二十九条、三十条は
改正はありません。三十一条も
改正はありません。それから三十二条、三十三条も
現行法
通りであります。
それから三十四条は、先ほど申しました
規格外
肥料の規定がなくなりましたので、
規格外
肥料の譲渡の許可申請に対する不服というものは起ってこないことになりますので、
現行法の第二号というのは落さざるを得ない。そこで、本文でも従来の第二号を削りますと同時に、従来第三号と書いてありまする分が第二号に変ってくるということであります。それで号の方では、従来の第三号が従いまして第二号に上ってくるということだけであります。
それから三十五条、三十六条は
改正ありません。三十七条も
改正ありません。
三十八条、三十九条の
改正は、これはただいままで御
説明申し上げました実態的な各条章の変動に応じた適用条文の条文整理にすぎません。で、この
改正案は
内容につきまして、即刻施行をするわけに参らない部分もございますので、
改正を見ました際には、今年の十月一日から施行するようにいたしたいということでございます。取締法の
改正の点につきましての御
説明を終りたいと思います。