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1956-03-22 第24回国会 参議院 農林水産委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十二日(木曜日)    午前十一時十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            重政 庸徳君            戸叶  武君            三浦 辰雄君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君           池田宇右衞門君            佐藤清一郎君            宮本 邦彦君            横川 信夫君            東   隆君            河合 義一君            小林 孝平君            三橋八次郎君            溝口 三郎君            千田  正君   衆議院議員            綱島 正興君   政府委員    農林政務次官  大石 武一君    農林大臣官房長 谷垣 專一君    農林省農林経済    局長      安田善一郎君    農林省農地局長 小倉 武一君    農林省畜産局長 渡部 伍良君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    大蔵省主計局主    計官      大村 筆雄君    農林大臣官房総    合開発課長   庵原 文二君    農林省農林経済    局肥料課長   桧垣徳太郎君    通商産業省軽工    業局化学肥料部    長       長尾  正君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○急傾斜地帯農業振興臨時措置法の一  部を改正する法律案衆議院提出) ○肥料取締法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○農地開発機械公団法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 戸叶武

    理事戸叶武君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  この際、参考人の件について御報告いたします。去る三月十五日の委員会において御決定になりました、日中両国政府による漁業会談促進の件に関する参考人の意見を聞くことにつきましては、明三月二十三日金曜日午後一時からとし、参考人としては日中漁業協議会代表団団長藤田巖、同じく山崎喜之助両君を予定してただいま交渉中でありますから、御了承願います。   —————————————
  3. 戸叶武

    理事戸叶武君) 急傾科地帯農業振興臨時措置法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題にいたします。  本法律案は去る三月十五日衆議院において全会一致をもって原案通り可決され、当院に送付、直ちに本委員会に付託されたのであります。本法律案につきましては、去る三月六日の委員会において提案理由説明を聞いたのでありまして、本日はまず本法律案審査前提となる現行の急傾斜地帯農業振興臨時措置法による従来の急傾斜地帯農業振興事業計画及びその実績、並びにこれが予算関係、その他の参考事項について政府委員から、また本改正法律案による今後の事業計画及び予算関係、その他の参考事項について提案者代表から補足説明を聞き、続いて質疑に入ることにいたします。まず政府委員から、続いて提案者代表からの補足説明を求めます。
  4. 庵原文二

    説明員庵原文二君) 急傾斜地帯法が施行されましてから現在まで四カ年間におきまして、土地条件整備を中心といたしまして各種事業を実施して参っておるのでございますが、現在までの進捗状況が、当初計画をいたしました事業量に比べまして、はかばかしい進度を示しておりません。この事業の種目によりまして、非常にいいものと、あまりよくないものとございますが、平均いたしまして、大体一三%程度実績になっておるにすぎないのであります。ただ、急傾斜地帯の実情からいたしまして、農道あるいは索道整備重点をおきました関係上、農道索道等につきましては、他の地帯に比べまして著しい高い進度を示しておりますが、潅漑排水等関係につきましては、予算関係もございまして、低い進度を示しております。事務当局といたしましては、今後残りました事業をどういうふうに処理していこうかということをいろいろと研究しておりますが、もしこの法律が再延長になりますれば、この法律によりまして、できるだけ努力して参りたいと考えております。
  5. 綱島正興

    衆議院議員綱島正興君) 大体進捗事情等については、政府説明員より説明いたした通りでございますが、この法案を提出いたしますにつきましては、残っております事業量残部分の完了をぜひ五カ年間にしてもらいたい、本年度三十一年度を加えて六カ年間でございますが、それらの期間に、大体ただいま国費といたしまして五十億ほど投じて、ぜひこれを完了してもらいたい。御承知通り法律には、著しい条件の変革がございました際には、補正して計画をし直すことができるように相なっておりますが、ただいまのめどといたしましては、残っております国庫負担分の五十億円を投じまして、ぜひこれは予算に、三十一年度以降十分に、三十一年度は御承知通り大したことはございませんようでございますが、三十二年度以降これをとりまして、大体今まで残っております、わずかに完了された一三%、この残りをぜひ完了いたしたい、こういうつもりで法案を提出いたしたわけでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  6. 戸叶武

    理事戸叶武君) 一応説明を聞いたのでありますが、続いて質疑に入ることにいたします。  最初委員長からお伺いいたしますが、本案施行に関する経費は昭和三十二年度から必要になるわけでありまして、この点綱島君も述べられましたが、平年度十億円、五年間で五十億円が必要な見込みであると述べられておりまして、これらの予算裏づけがなければ、本法律案の所期する成果をおさめ得ないことになるわけでありますが、かような予算裏づけについて政府当局及び提案者代表見解をお伺いしたいと存じます。
  7. 庵原文二

    説明員庵原文二君) この五十億につきましては、この法律が成立いたしました場合に、急傾斜地帯審議会におきまして、第二次五カ年計画ともいうべきものを審議していただきまして、それで決定いたしましたものによっていろいろ予算措置などを講じて参るという順序になるのでございます。従いまして、この五十億はただいまの段階におきましては、事務的な試案にすぎないことを御了承いただきたいと思いますが、私どもといたしましては、もしこの法律延長になりますれば、財政当局とも協力いたしまして、できるだけこの実現に努めたいと考えております。
  8. 大村筆雄

    説明員大村筆雄君) お答え申し上げます。急傾斜地帯予算でございますが、これはただいまのところは、ただいま農林省関係から御説明申し上げた通り状況でございまして、ことに本年度あたりは相当前年度に比べまして増加いたしております。たとえば前年二億五千が三億というふうに増加しておりますが、まだ予定のところに達しておりませんので、今後できるだけ急傾斜地帯農業振興については努力いたして参りたい、かように考えております。
  9. 戸叶武

    理事戸叶武君) 他に御質疑のある向きは順次御質疑を願います。
  10. 重政庸徳

    重政庸徳君 第二十二国会におきまして、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法期限延長法案を可決いたしました。その際当委員会において、「政府は、本法に基いて施行せんとする土地改良事業について、本法趣旨に遵い、施行面積制限を極力緩和し、五町までは必ずその対象として取上ぐべきである。」こういう決議をいたしておるのであります。その後この決議に対してとられた措置、当時農林政務次官は御趣旨非常にごもっともだと認めまして、大いに賛成して、必ず大蔵省との折衝において遂行いたしますということを明らかに答えておるのであります。その後農林省大蔵省との折衝においてどういう状況になっておりますか、一応伺います。
  11. 庵原文二

    説明員庵原文二君) 積寒法延長の際に行われました付帯決議につきましては、御趣旨のように五町歩まで土地改良事業を実施できるように、三十年度から新たに小団地開発整備事業というものを起しまして、従来公共事業対象とならなかった土地改良等につきまして、助成の措置を講ずる道を開いたのでございます。初年度におきまして約二億三千万程度予算でございましたが、ただいま御審議になっております来年度予算におきましては、約三億くらいのものが予定されております。
  12. 重政庸徳

    重政庸徳君 小団地予算はすでに二十二国会積雪寒冷単作地帯特別措置法に関する付帯決議をするときには、すでにその予算は出ておった。今年度、三十一年度は小団地に対する予算も多少増加になったように思いますが、しかしそれとこれとは別な問題であります。小団地事業を増加した、それを遂行するからこれは従来通りでいいという、そういう性質のものではない。またその当時の農林省のお答えもそういう意味ではなかったと私は了承いたしておるのでございます。それができたらこれはもうそれでいいというようなお考えですか。
  13. 庵原文二

    説明員庵原文二君) 小団地開発整備事業と申しますのは、御承知のように、従来公共事業対象になっていなかったというだけのことでございまして、内容といたしましては、五町歩ないし二十町歩の間における従来行われております団体営潅漑排水事業、あるいは耕地整備事業と同種の事業でございまして、この事業によりまして五町歩以上の小面積事業は実施できるものと思っております。
  14. 重政庸徳

    重政庸徳君 この法律では二十町歩、今二十町歩という限界を設けて取り扱っておるのでありますが、この法律ではそういう面積制限はない。しかるに農林省いわゆる国が勝手にそこに二十町歩という限界を設けて取り扱っておるというのがきわめてこの本法精神考えておらぬという意味で、その取り扱いの二十町歩の限度をもう少しはずせ、こういう趣旨なんです。その趣旨に対して賛成だ、昨年度はあのまま政府は責任をもってやるというような御回答があり、今年度は小整備事業があるからというような御回答でいいのですか。すでに昨年御回答になったときにも小整備事業というものは出ておった。どうお考えになりますか。
  15. 庵原文二

    説明員庵原文二君) 急傾斜注におきまして、別段面積の規定が法律上ないことはお話通りでございます。しかしこの面積の問題につきましては、農林省といたしましては、五町歩までは小団地開発整備という新しい制度を三十年度から起すことによりまして、大体目的を達し得たものと考えております。
  16. 重政庸徳

    重政庸徳君 それは一年たったらすでにそういう言葉で逃げられるのは不都合だと思うのでございますが、昨年度すでに農林省積雪寒冷単作地帯特別措置法期限延長したときに、すでに小整備事業もあった。その際これは法律精神に従って、この面積は低下いたしますということを答えておったのです。よく二十二国会速記録をごらんになって答弁していただきたい。そうすると、今御答弁になっている趣旨は、全く一年たってもその状態はちっとも異なっておらない状況にあるにかかわらず、全く考え方が違っている。私どもはそんなことでは承服できない、かように考える。私の申し上げていることが間違っておりますか。
  17. 庵原文二

    説明員庵原文二君) この積寒法改正になります以前から予算要求といたしまして、小団地開発整備というものを大蔵省折衝いたしておりましたことは事実でございます。ただこの面積を二十町歩以下に切り下げるというのは農林省といたしましても、また実際の仕事をやっておられる地方の方々といたしましても、多年の念願でございまして、これをどういう方法によって解決するかということにいろいろまあ腐心をして参ったのでございます。その具体的な現われといたしまして、小団地開発整備という新しい予算項目を起しまして、これによって実施をして参りたいというのでございまして、たまたま積寒法審議と並行いたしまして、この予算が成立したことによりまして、前回積寒法延長の際の御決議の御趣旨は実現し得たのではなかろうかと私は考えております。
  18. 重政庸徳

    重政庸徳君 そこが根本的な間違いで、すでに二十二国会のときには小整備事業というので、五町歩というような小さいものもやる予算が成立したのです。だからこういう予算が成立する以上は、これは今までの扱いが間違っているのじゃないか、特に急傾斜地帯というようなものは全く地形的に小団地集団で、二十町歩という単位では非常にそれに該当する地区が少ない、そういう意味で言うので、そんなら昨年決議したときの状態と今の状態と、三十一年度状態とちょっとも変っておらぬ、ただその予算が少し増したというにとどまっている。だからこの根本的の考え方、今の御説明みたような考え方では意味がない、昨年決議して今に至るまで大蔵省とどういう折衝をしたのですか。ああいう答弁をしていて、一回も折衝せずに、そうして今年度はまたそういう説明の仕方というのは、まるきり納得できませんよ。よく読んできて責任ある答弁をしてもらわなければ、まるきり委員会をないがしろにしているといってもこれは差しつかえないと思うんです。
  19. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をとめて。   〔速記中止
  20. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  21. 庵原文二

    説明員庵原文二君) 積寒法成立の、私の記憶では、積寒法成立後に予算がふえたか、反対だか、はっきり記憶いたしておりませんが、本委員会付帯決議趣旨につきまして、政務次官がお答えしましたことは、政府としてはこの問題を、小団地開発促進というものを新たに起して解決しようという腹があり、また見通しがあったので、そういう回答をしたものと私は当時考えておったのであります。そういうような事情によりまして、五町歩ないし二十町歩という比較的狭い事業に対して、もっと農林省としては重点を置いて実施すべきであるというような考えで、いろいろ予算につきまして大蔵当局とも折衝いたして参りました。先ほど申し上げましたように、わずかではありますが、前年度に比べまして約一億の増額をみておるわけでございます。今後におきましても十分御趣旨を体しまして、五町歩程度の小面積開発を促進して参りたいと思っております。
  22. 重政庸徳

    重政庸徳君 それはね。すでに二十二国会でこの問題が出たときに、すでに小団地というものが御承知のように三十年度予算にも上ってきておるし、だからそれとは別なんです。ところがあなたのお話は、それとは別で一つもその問題については御交渉がなかったということですか。第一点のあれは、それでは全く話が違うのです。決議趣旨に違うのです。おそらく農林委員会も、衆議院農林委員会でも決議しているだろうと私は記憶している。全然そういうようなことではない。私はそう思う。それで一応第一点の、その後あなたは、農林省はそういう思い違いをして、全然農林省としては大蔵省との交渉を一回もせず、そういうことは考えたこともなかったと、こういうことですか。
  23. 庵原文二

    説明員庵原文二君) 二十町歩制限を五町歩まで引き下げるということにつきましては、それははっきりと記憶いたしておりませんが、相当長い期間にわたりまして、大蔵省事務的折衝を続けて参ったことは事実でございます。それから本委員会決議が行われます以前におきましても、積寒審議会とか、あるいは急傾斜審議会とか、各種審議会におきましても、この要望は何度も出ておることでございまして、農林省といたしましては、何とかしてこの制限を緩和するようにという努力はずっと続けて参っておるわけでございます。ただこの小団地事業を開始するということによって、先ほど申し上げましたように、一応その目的をある程度達し得たのではなかろうかと、かように考えておりますので、なおそれで不十分か十分かという問題はあると思いますけれども、とにかく調査をいたしまして、お答えを申し上げたいと思います。
  24. 重政庸徳

    重政庸徳君 では、衆議院から綱島委員がみえておられますし、当時衆議院農林委員会委員長をやっておられたんですが、当時の衆議院農林委員会決議、この積雪寒冷単作地帯特別措置法に対する、面積を低下する決議があったろうと私は想像いたしておるのですが、やはりその意味がどういう意味であったか、一つ念のため御説明をお願いしたい。
  25. 綱島正興

    衆議院議員綱島正興君) はっきりは記憶いたしておりませんけれども、大体御趣旨のような決議をいたしたことは間違いないと思っております。その意味はもちろんこの積雪寒冷地帯のような特殊な立法におきましては、政府のきめております小団地の範囲の制限を受けるものではなくて、法そのものとしては独立した考えから予算も請求したいという趣旨決議をいたしておることは相違ございません。
  26. 重政庸徳

    重政庸徳君 では大蔵省にお尋ねいたしますが、この今重点になっておる急傾斜地帯というものは、これは積雪寒冷地帯よりも地形的に面積集団という方面から考えると、きわめて異例な地帯なのでありますが、そういうことを御承知かどうかということをお伺いいたします。
  27. 大村筆雄

    説明員大村筆雄君) 急傾斜地帯積雪寒冷地帯というのは、その定むる条件が必ずしも同一の基盤で定められておりませんから、地域によりましても、もちろん山間僻地積雪寒冷地もございますし、従って一概に申せませんと存じますけれども、まあ概念的に申しますなら、急傾斜地帯の方が山間の比較的平地の乏しい所だということは、これは抽象的には申せると思います。
  28. 重政庸徳

    重政庸徳君 そうすると、こういう急傾斜地帯農民が、今急傾斜地帯の御答弁がありましたように、積雪寒冷地帯と比較すると御見解通りで、そういう所が全部なんだ。そういう面積の二十町歩という集団をとるに非常に困難をするというような所が全部だ。離島もおそらくこの中にほとんど入っておりましょう。まあそういう状況地帯のゆえに私が今申し上げる、そういう農民代表が申し上げる、法律面積制限はないのだが、任意に国がそういう制限を設けて、それから下はシャットアウトしておるということが、これが至当かどうか、どういうようにお考えになりますか。御見解をお尋ねいたします。
  29. 大村筆雄

    説明員大村筆雄君) 御質問趣旨は、急傾斜地帯のように非常に平地の乏しい、団地として比較的狭い所において、たとえば土地改良事業等の場合に、二十町歩以上にはいかぬという要件を同じようにやるのが適切かどうかという、それについてどう考えておるかという御質問かと思いますが、これは一般的に補助条件なり保護いたします条件をつけます場合に、いかなる場合でもこれはあり得る実は問題でございまして、ある条件でいきますと、必ずその条件にはずれる不利なところが出て参ります。そういうところに対して例外を設けなければいかぬじゃないかということが必ず出てくるのでありますが、これを全国に画一にやるという場合におきましては、ある程度そういう問題もやむを得ない問題でございまして、その場合にそういう例外的に出てきた問題に対して、それをほっておいていいか、あるいはそれに対して何らかの措置を講じなければいかぬかという問題になるかと存じます。その場合にその問題の重要性に応じて適切なる例外措置をとるというのが、私どもの行政でやっております場合の一つの基準になるかと存じます。従いまして、具体的に問題ごとにこの問題は判断していかなければいかぬというふうに考えております。
  30. 重政庸徳

    重政庸徳君 これは一般的例外考えてもらってはいかぬのだ。今御見解があったように、急傾斜地帯はそういう所がほとんど例外じゃない。ほかの地帯考えてみるときには、そういう二十町歩以上の団地からはずれるものが例外になるのだが、この急傾斜地帯というのはそうじゃない。そういうものがむしろ一般的で、面積集団しておる、二十町歩以上の集団である所がむしろ例外と私は考える、特にさように考える。そういうことを一つよく御視察になって、御認識していただきたいと思います。別に答弁は要求いたしません。
  31. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  32. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をつけて下さい。  本法律案質疑は以上をもって終り、次回の委員会において直ちに討論採決を行なって差しつかえありませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 戸叶武

    理事戸叶武君) それではその通りに取り運びますから、御了承願います。   —————————————
  34. 戸叶武

    理事戸叶武君) 肥料取締法の一部を改正する法律案内閣提出参議院先議)を議題にいたします。  本法律案につきましては、去る三月十五日の委員会において提案理由説明を聞いたのでありまして、本日はまず本法律案審査前提である肥料取締りの現状、その他の参考事項、並びに本法律案内容について政府委員から補足的説明を聞き、続いて質疑に入ることにいたします。
  35. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 農林経済局長が他の委員会にただいま出席をいたしておりまして、ほどなく参ると申しておりますが、そういう事情でございますので、私から補足的な御説明を申し上げておきたいと存じます。  まず、改正法律案説明に先だちまして、現行肥料取締法の体系がどうなっておるか、その運用の内容はどうかという点について御参考までに御説明を申し上げておきたいと思います。現行肥料取締法目的は、これは法律の第一条にもあります通り肥料品質を保全し、その公正な取引を確保するために、肥料規格公定でありますとか、登録でありますとか、検査等を行いまして、農業生産力維持増進に寄与するということにあるわけであります。  次に法律上の肥料類別でありますが、これは法律の上で見ますと、第二条に規定せられておるところでありまして、一つ普通肥料一つ特殊肥料、この二つ肥料類別をいたしておるのであります。普通肥料は、これは特殊肥料以外の一切の肥料を言うわけでありまして、特殊肥料というのは、これは米ぬかでありますとか、堆肥でありますとかというような農民の経験によりまして、肉眼等個人の五官によって品質の良否が鑑別できるというような品質肥料につきまして、農林大臣が指定をいたしたものを特殊肥料と言っておるのであります。この特殊肥料というものにつきましては、肥料取締りの本質的な法律適用をほとんどしない、いわばできる限り自由な取扱いができるという形できめておるわけであります。従いまして、肥料取締法の主たる適用対象は、普通肥料ということに相なるわけであります。  次に肥料規格公定制度でありますが、農林大臣はただいま申しました普通肥料につきまして、肥料種類ごとに含有をすべき主成分の最小量有害成分最大量粉末度等につきまして公定規格定めることになっておるのであります。この公定規格に合致いたしません普通肥料は、次に申し上げます登録を受けることができないわけであります。  次は肥料登録、仮登録並びに届出の制度であります。公定規格定めがあります普通肥料につきましては、農林大臣あるいは都道府県知事登録を受けなければならない。公定規格定めのありませんものにつきましては、農林大臣の仮登録を受けなければならない。特殊肥料につきましては、登録もしくは仮登録制度を適用いたしませんで、単に所轄の都道府県知事あてに届出すればよろしいということにいたしておるのであります。農林大臣都道府県知事登録をする二本の登録法がありますが、そのうち農林大臣登録すべきものは四種でありまして、第一種は化学的方法によって生産される普通肥料、いわゆる化学肥料と呼ばれるものが、これは石灰質肥料を除きまして、農林大臣登録になっている。その次に窒素、燐酸、カリ、及び苦土を除きますその他の普通肥料であります場合には、化学的方法によらずして生産されるものも農林大臣登録ということにいたしております。それから第三種のものは、以上申しました二つのものを原料といたします配合肥料は、これは農林大臣登録にいたしております。ただしこの配合肥料のうち市町村単位農業協同組合の行います配合肥料につきましては、これは都道府県知事登録に相なっておるわけでございます。それから第四種は、輸入をいたします普通肥料公定規格のありますものはすべて農林大臣登録であります。知事に登録すべきものは、農林大臣登録すべきものを除いたすべての普通肥料ということに相なりますが、お手元の資料へもちょっと書いておきましたが、有機質肥料でありますとか、石灰質肥料、あるいは苦汁、カリ等が知事登録肥料と相なっておるわけでございます。このような登録あるいは仮登録を受けていない普通肥料を販売をするということは許されないので、もしさようなことがありますと、法律違反ということになり、罰則の適用を受けるわけでございます。  次に成分の保証制度でありますが、普通肥料につきましては、法律で規定いたしまする主成分の含有量等を表示いたしました保証票をつけなければ販売することはできないということにいたしております。虚偽の保証を行なった者等につきましては、登録、仮登録の取り消し、肥料の譲渡の制限あるいは禁止等の行政処分が行われるわけであります。  次に肥料の販売につきましては、これは免許あるいは許可等の処分を必要といたしませんで、単に所轄の都道府県知事に届出すれば、肥料の販売は何人も行い得るわけであります。届出なしに販売行為をいたしますと、罰則の適用がある。  次に肥料の検査制度でありますが、この法律目的を達成いたしますために流通過程の肥料につきまして、国あるいは都道府県の検査職員が違反の有無につきまして検査を行うことができることになっております。この肥料の検査は法律の上では国、都道府県の重複権限になっておるのでありますが、運用上は、国は農林大臣登録にかかる生産業者あるいは輸入業者の管理下にある肥料、ないしは輸送業者もしくは倉庫業者の管理下にあるものを検査することを原則といたしまして、末端の販売段階にあるものにつきましては、これは組織あるいは予算等の関係上も制約を受けまして、できないという事情にありますので、原則としてはこの段階で検査の範囲をとどめることにいたし、都道府県は都道府県知事登録された生産業者の管理下にあるもの、並びに末端の販売業者の段階にあるものを検査いたしますことを建前といたしておるのであります。  で、この検査を行います検査機構としましては、国の機関として肥料検査所を札幌、仙台、東京、名古屋、神戸、福岡の六カ所に設置をいたしております。この検査所は肥料の検査のほかに登録あるいは仮登録の際の成分の検定と、肥効試験の実施等を行なっております。肥料取締り上の違反の事例並びにその動向を申し上げますと、本法施行直後の当時にはかなり違反事例が多かったのでありますが、別途資料を差し上げてあるはずでございますが、その中にも数字を計上いたしておきましたが、近来は漸次違反事例は減少いたして参りました。特に有力メーカーの製品については非常に違反事例が少いのでありますが、中小メーカーの中には違反事例がある。特に配合、化成肥料について違反がある。また新規の製品になれば技術的な不なれの点等もありますし、違反の事例がなお跡を断たないような事情にあるわけでございます。以上簡単でございましたが、現行取締法の体系と運用を申し上げたわけでございます。  そこで次に今回の改正点について御説明を申し上げたいと思いますが、御説明を簡便にいたします趣旨で、お手元に新旧対照の資料を差し上げてありますが、それに基きましてご説明申し上げたいと思います。まずお詫びを申し上げなければいけない点があるのでございますが、それは政府から配付いたしました法律案の刷り物のうち、「肥料取締法の一部を改正する法律」という次に、直ちに改正条文を載せておるのでありますが、その間に、「肥料取締法昭和二十五年法律第百二十七号)を次のように改正する。」という前文が印刷脱落をいたしておりまして、正誤の手続は終えておりますが、政府の手落ちでございましたので、お詫びを申し上げなければならないのであります。で、条文に入って御説明申し上げますと、第一条の目的につきましては改正はございません。第二条に入りまして、第二条第三項の保証成分量の規定のうち、保証成分量とは何をいうかというカッコ書きで「(肥料の種別ごとに別表で定める主要な成分をいう。」というところを、今回の改正案では、「肥料の種別ごとに政令で定める主要な成分」にいたしたい。法律別表からこういう成分の規定を政令の規定に譲りたいということでございます。この趣旨は前回政務次官提案理由説明の際に御説明を申し上げたのでありますが、現行の別表は最もうしろについておりますが、現在の肥料の形質の発達移動というものに合致しないような事態になっておる。従いまして現在の諸成分をこの別表で処理し切れなくなっておるという事情が現状でありますと同時に、また肥料は日進月歩、いろいろな形の、いろいろな成分を伴ったものが続々と現われてきており、またそれが将来も見通されるわけでありまして、このような技術的に変動を伴いますものを法律の表で固定いたしますことは、生産あるいは流通の実情に即さないのではないだろうかということで、政令によってそういう実情に機動的に合致するようにしていきたいという趣旨から政令に譲りたいというのが政府考え方でございます。  次は第三条の改正でありまして、第三条では、農林大臣普通肥料公定規格定めます際に、肥料種類ごとに従来は含有をすべき主成分については最小量だけを法律上規定することになっておるのでありますが、肥料の性質によりましては、単に有効成分の最小量のみを規定したのでは不十分なものが考えられるのであります。たとえば硼素肥料のごときは、ある成分までは有効成分であるが、ある成分をこせば有害の場合が考えられるというような種類のものも現われてくるようになって参りましたので、含有すべき主要成分の最小量とともに最大量公定規格として定めるようにいたしたいということであります。  次は四条の改正でありまして、四条の改正は第一項第三号で農林大臣登録すべき肥料の種類として「普通肥料の一種以上を原料とする配合肥料」という言葉を使っておりますが、この配合肥料という用語は現行法律の別表に現われておるわけでありますが、この別表を落しますことによってこの法律配合肥料という言葉が出ないということが一点と、さらに前回政務次官から説明をいたしましたように、今回の改正配合肥料、化成肥料の区分を廃止いたしまして、農民の購買あるいは流通の便宜をはかりますために、統一的な名称で表示をさせるという措置をとりたいということから、この配合肥料という用語を取りやめまして、改正案のように「原料として配合される普通肥料」という用語に改正をいたしたいということであります。  第五条は改正ありません。  第六条の改正では、第一項第一号を改正いたしまして、従来氏名及び住所、これは登録あるいは仮登録を受けようとする者の申請書の必要記載事項でありますが、そのうちこの代表者氏名というのは申請の際には政府あるいは都道府県を含みますが、行政官庁としては代表者の氏名を承知しておく必要がありますけれども、従来旧法で「以下同じ。」ということでこの法律に表われてきます一切の場合に代表者の氏名がからんでくるということになりますと、後に申し上げます登録証を、一度出しました登録証の代表者が変るたびに書きかえ交付しなければならぬといろ繁雑さがありますので、この代表者の氏名をそのような登録証の書きかえ等の繁雑な手続に及ばないように、ここでのカッコ書きは以下の条文にからませないという意味で「以下同じ。」という用語の削除をいたしたいということに考えておるわけであります。第三号の改正は従来登録事項として肥料規格のうち「保証成分量」のみが上っておったのでありますが、これだけではいろいろ肥料登録内容が不明確な、あるいは不十分な点が生ずるのでありまして、今回の改正によりまして「その他の規格」を加えていくことにいたしたいということであります。「その他の規格」の内容としまして、粉末度でありますとか、あるいは有害成分最大量等でありますとか、あるいは有効成分の最大量、あるいは使用を禁止しておる原料等に関係します事柄を一つの「その他の規格」という中で表示させる、表示を明らかにしたいというような趣旨でございます。それから第六号の次に「その他省令で定める事項」というのを追加いたしまして、特定の肥料につきましては、生産方法の概要等を記載させることにいたしたい。現在では一応生産方法の概要を省令で定めたいというふうに考えております。これは生産方法の概要を了知いたしませんと、肥料の性質について行政的あるいは技術的に検討すべき点が明確にできないというような事情もございまするので、今回の改正の条文を追加したということであります。  それから七条、八条、九条は改正ございません。  第十条におきまして、登録証及び仮登録証に関係する改正をいたしたいと考えておるわけであります。第三号の登録証及び仮登録証に記載すべき必要事項の中で、「氏名及び住所」となっておりますのは、先ほど申しました第六条の改正に伴う条文整理として、氏名のほか、法人の場合でありまするので「又は名称」を加えることにいたしたい。それから第五号の改正は、ただいま申し上げました登録事項が、保証成分量のみならず、その他の規格も変って参りますので、「その他の規格」を加えることにいたしたい。それから第六号につきましては、これは登録証に記載をいたしておりましてもあまり意味がありませんことと、肥料事業場の変更あるいは事業場の増減等がありましても、実は肥料の実体的の内容にはあまり関係がないということでありまして、そのような変動に応じて必ず登録証あるいは仮登録証の書きかえ等をしなければいけないというようなことは意味がないという観点から、第六号は削除したいということであります。  次に第十一条の改正につきましては、従来登録証あるいは仮登録証を、生産業者は当該肥料を生産する工場、それから当該肥料を作ってない工場でありましても、ほかの工場にも写しを備え付けておかなければいけないということになっていましたが、これは当該肥料を生産している工場でありましても、登録証は一枚しか交付いたしませんにもかかわらず、工場数が二工以上あるという場合は事例がたくさんあるわけでありまして、この場合は法律上も不可能であり、それから当該肥料を生産していない他の事業場に備え付けることは全く意味がないわけでありますので、この条文を改正いたしまして、必要な最小限度に簡素にいたしたいということから、登録証、仮登録証は、主たる事務所に備え付けますと同時に、生産業者につきましては、その写しを当該肥料生産工場にだけ備え付ければいいということにいたしたいと考えておるわけであります。  それから十二条の改正は、登録及び仮登録の有効期間の更新の規定に関する改正でありますが、第二項を改正いたしますとともに、第三項を新たに加え、従来の第三項を一項うしろに延ばしたわけであります。三項、四項を一項ずつ繰り下げたという措置でありまして、改正部分について御説明を申し上げますと、従来登録の有効期間は三年でありますが、三年を経まして、さらに登録を受けた者から申請がありますと、また三年間の更新を認めるという規定があったのでありますが、その際従来の公定規格が変更がありまして、その登録肥料が新しい公定規格に変更しなければならなくなったような場合につきましては、規定がなかったわけであります。また、公定規格が廃止になりまして、登録済の肥料公定規格定めがないという場合にも、何ら規定がなくて、事実上これはそういう場合には更新を認めないというやり方をやっておったわけでありますが、飼料の品質改善の法律の上でもこの点を明確にされて、取締法の改正案の中でもこの点を明確にされておるようでありまして、それとも関連をいたし、肥料についても登録の有効期間の更新は、公定規格の変更があって、もう適用しなくなった場合には許さない。また公定規格定めがなくなった場合、そういう場合にも許さないということを明らかにしたいという考えであります。第三項は仮登録の有効期間の更新については、九条で仮登録の申請がありますと、農林大臣は肥効試験を実施いたしまして、その申請書に書かれました栽培試験の成績が真実であるかどうかを試験するわけでありますが、その肥効試験に基く肥効の判定ができないというような事態のもとにおいてのみ、仮登録の更新を認めるということを明らかにしたい、こういうことであります。  十三条は改正はございません。  十四条は改正をいたしまして、新たに第四号を加えたい、これは、この十四条は登録及び仮登録の失効の規定でありますが、従来の規定では肥料の保証成分量等の規格の変更は失効事由になっていなかったのでありますが、今回の改正で、肥料の保証成分量、あるいはその他の規格の変更は、肥料の絶対的な同一性を失うものであるという意味で、一肥料登録の原則を明らかにいたしますために、肥料規格変更の場合には、従前の登録は失効するということに明確な規定をおきたいという趣旨でございます。  十五条は改正ございません。  それから十六条の改正につきましては、これは登録及び仮登録に関する公告の場合を規定している条文でございますが、従来の規定のうち立法的に脱落しておったのだと思われますのは、仮登録の第九条第二項の規定によりまして、肥効試験の結果、申請書記載の栽培試験の成績が真実でないということを農林大臣が認めました場合には、仮登録を取り消すことになっておりますが、その取り消しをいたしますときは、従来は公告しなければならないという規定が抜けておったのでありますが、これは立法的な脱落と思いますので、ここで規定の補充をいたしたいという点が一点であります。それから第二点の改正は、第一項の第三号、第四号の規定を、先ほど申しました第六条の改正に伴いまして、条文整理をいたしたいということがその点であります。  それから次に従来の二項の前に一項を加えまして、肥料の実体、取引、その他に関係があります事項、たとえば事例としまして、肥料の名称でありますとか、あるいは生産業者、あるいは輸入業者の氏名、または名称、住所というようなものの変更は、これは一般に周知する必要があるのでありまして、従来は行政官庁への届出事務は書いてありましたけれども、届け出られたものの公告の規定がありませんでしたので、今回の改正で、かような変更がありました場合には、これを公告することにするのが妥当であろうというように考えましたので、二項を新たに追加し、従来の二項を三項に一項下げたわけであります。  次に第十七条の改正は、第一点は一項第四号の、これも第六条の改正に伴います条文の整理です。それから第八号の次に新しく第九号を加えまして、保証票に、異物を混入した場合にはその混入しました異物の名称、並びに混入の割合を書くということにいたしました。これはあとで二十五条の改正で、従来肥料には、その品質を低下させるような異物の混入を全く禁止いたしておったのでありますが、成分の調整をはかるために農林大臣の許可したものについては許す、禁止規定を緩和をすることにいたしたのでありますが、それに伴って保証票にもその旨の表示をするということであります。  それから次は第十八条の改正でありまして、現行法の一項の中ごろに、「規格肥料保証票」というのがありますが、これは十九条二項、三項、四項で、旧法では規格外の肥料の譲渡を認めておりましたが、今回は規格外の肥料の譲渡という制度をなくしてしまうということでありますので、ここでは必要のない規定になりますので、削除をするということが一点であります。それから一項二号は、六条の改正に伴います条文整理、それから三号は、先ほど申しました異物混入の表示の規定を入れましたその条文を追加するための整理であります。それから第四号では、販売業者の保証票だけは、保証票貼付の年月日と、日まで入れさせることにしておりますが、日まで入れさせますことは、あまり意味がありませんことと、それでは生産業者保証票の場合には年月だけで足りておるということとの不均衡もありますので、これはまことにささいな点でございますけれども改正案では年月だけでいいということにいたしたいと考えておるわけであります。  それから次に第十九条の改正でありますが、第十九条の改正では、肥料については登録または仮登録を受けておって、しかも保証票がつかなければ、これは譲り渡しはできないという原則になっておりますが、従来の現行法では、二項以下四項までの間で、公定規格定めのある肥料であって、しかも公定規格を充足することのできないような成分の肥料でも農林大臣の許可があります場合には、それは譲渡できるという規定があったのでありますが、これは肥料公定規格制度というものと二律背反の思想でありまして、どうも法律構成の上に無理がありますし、またこのようなことは肥料取締法の建前からもきわめて好ましくないことでありますので、この規格肥料というものは認めないということにし、この二項、三項、四項を削除したいということであります。ただ特殊の事情によりまして公定規格に適合しない肥料が現われた、またそれを譲り渡しを全くできないということでありますと、実情の処理に困ることがあるわけでありまして、それは従来の第五項の一部を改正いたしまして、従来は「規格を下廻った場合」という規定のありましたのを、「規格に適合しなくなった場合」ということで、特殊の場合を適用できるごとく明らかにいたしました上で、個別の処分についてはこれは許可をする、ただ継続反復的に規格に達しない肥料の販売を認めるということはやめたいということが第十九条の改正趣旨でございます。  次に第二十条の改正では、これは第一点はただいま申しました規格肥料の規定がなくなりましたので、従って保証票記載事項の制限のうち、規格肥料保証票に関する部分は削除する必要がありまして、従って「前条第四項」という現行法にあります部分を落したわけであります。  それから従来保証票には、保証票の記載事項のほかに商票と商号だけの記載を認めておったのでありますが、今回の改正案では、その他に業者の保証票あるいは輸入業者の保証票につきましては、工場、倉庫の荷口の番号、あるいは出荷の年月を記載することを認めたいという点であります。これは肥料の種類によりましては、単に生産年月日が記載してあるだけでは、その肥料品質の変動その他をうかがい知るためには十分でないということがあるわけであります。たとえば石灰窒素のごときにおきましては、大体需要期が春肥に集中をいたしておりまして、夏から秋にかけて生産されたものは、すべてと言っていいほど工場、倉庫その他に貯蔵されるわけでありますが、その貯蔵の方法は現在ではほぼ完備をしていると言っていいと思います。一度出荷されますと、吸湿その他の変質の場合がないと言えないわけでありまして、むしろ出荷年月日の記載がある方が農家の購買の場合、取引の場合にはめどになりやすいというような事態もあるわけであります。また荷口番号につきましては、その後販売品の事故等が出ました場合にも、この系列をたどります上にきわめて便利であるというような事態もありますので、この点を改正して許すようにしたいということであります。  二十一条の改正は、第一点は、従来は「(施用上の注意等の表示命令)」という中で、農林大臣なり都道府県知事肥料の施用上の注意または原料の使用割合、この二つだけを表示すべく命令をすることができたのでありますが、今回の改正に当りましては、施用上の注意のほか、保管上の注意も表示命令ができる、また原料の使用割合のほかに、そのほか品質あるいは肥料の効果を明確にするための必要な事項を表示させることができるということにいたしたのであります。この趣旨は先ほどちょっと触れましたが、従来化成肥料あるいは配合肥料という種別が法律の上でも認められ、また化成肥料という種類の中で数多くの銘柄が出ておるのでありまして、現在では約六百種類の化成肥料が出ており、配合種類は五千以上の配合肥料が出ておるというような事態なのであります。それがめいめいの銘柄をもって流通をいたしておるのでありますが、今後農林省といたしましては、この化成、配合の名称の区分を廃止いたしますと同時に、たとえばこの両者を統一的な名称、複合肥料、これはまあ確定した用語ではありませんが、そういう用語で表わすようにしたい、そのような表示をさせるための根拠法規としてこの改正を行いたいということが主たる目的であります。次に、この条文の中で第二項を削除したい。このような表示命令をいたしました際、現行法では登録証、仮登録証にその旨を記載しなければならないことになっておるわけでありますが、このような命令は申すまでもなく文書をもって命令をいたすのでありますが、これを一々登録証、仮登録証に記載いたしますことは、二重の行政上の事務を食うのでありまして、ほとんど意味もないというふうに考えますので、第二項は削除したいということであります。  次に第二十二条の改正は、これは第一項第一号の「氏名及び住所」という部分を六条の改正に伴いまして条文の整理をした、それだけであります。  それから第二十三条の改正も、六条の改正に伴う条文の整理。  それから二十四条は改正がございません。  それから二十五条の改正につきまして、先ほど申しました現行法では、肥料品質を低下させるような異物混入は禁止をいたしておるのでありますが、ここにただし書きをつけまして、政令で定めます種類の普通肥料につきましては、農林大臣の許可を受けて肥料の主成分の含有量調整のためにする場合だけは、異物を混入できるというふうに直したいと思うのであります。この趣旨は、肥料の種類につきましては、生産上主成分を画一的に生産することはほとんどむずかしいというようなものがあるわけであります。いわゆる生産肥料の主要成分にばらつきを生ずるのでありまして、これは取締り上も登録その他の問題で繁雑でありまするし、また取引の上にもこまかい難点が生じてくるわけでありますので、そのようなものの成分の調整を認めることにいたしたい。ただその際に混入いたします異物につきましては、これは一定の有毒あるいはその他の害の生じない性質のものを混ぜさせなければならないと思いますので、この点は農林大臣定めるようにいたしたいという考えでおるわけであります。  それから二十六条、二十七条は改正がございません。  現行法二十八条は、肥料関係の業務施設にはその業務の内容を示す表示をしろということを言っておるのでありますが、これはほとんど現在の肥料の生産なり流通の現状におきましては、意味のない規定と考えられますので、二十八条は全文を削除することにいたしたいということであります。  二十九条、三十条は改正はありません。三十一条も改正はありません。それから三十二条、三十三条も現行通りであります。  それから三十四条は、先ほど申しました規格肥料の規定がなくなりましたので、規格肥料の譲渡の許可申請に対する不服というものは起ってこないことになりますので、現行法の第二号というのは落さざるを得ない。そこで、本文でも従来の第二号を削りますと同時に、従来第三号と書いてありまする分が第二号に変ってくるということであります。それで号の方では、従来の第三号が従いまして第二号に上ってくるということだけであります。  それから三十五条、三十六条は改正ありません。三十七条も改正ありません。  三十八条、三十九条の改正は、これはただいままで御説明申し上げました実態的な各条章の変動に応じた適用条文の条文整理にすぎません。で、この改正案は内容につきまして、即刻施行をするわけに参らない部分もございますので、改正を見ました際には、今年の十月一日から施行するようにいたしたいということでございます。取締法の改正の点につきましての御説明を終りたいと思います。
  36. 戸叶武

    理事戸叶武君) 以上説明を聞いたのでありまして、午前中に質疑を予定しておりましたが、だいぶ時間が過ぎましたから、質疑は午後に行うことにし、しばらく休憩して午後二時から再開いたします。    午後零時四十四分休憩    ————・————    午後二時三十一分開会
  37. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) ただいまから委員会を開会いたします。  午前に引き続き、肥料取締法の一部を改正する法律案議題にいたします。本法案につきましては、午前中に補足説明を聞いたのでありますが、これから質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  38. 千田正

    ○千田正君 ちょうど政務次官もお見えになっておりますから、農林省当局の方針を承わりたいと思うのですが、この法案内容については補足説明等によってよくわかります。肥料の取締りの中に、有害肥料といいますか、農作物には非常にいいのだが、実際においては今度は魚族に被害を及ぼすという問題が起きておりますね。御承知通り、昨年は九州の有明海においてほとんど魚族が死滅した。この問題で、本委員会に対しましても盛んに陳情が来たわけです。それから委員を派遣されまして十分調査したのですが、同じ農林省の管轄内において、行政監督下において、一方においては農業のために必要だとして使った肥料が、一方には水産に対して非常な損害を来たしておる。こういう問題に対してはどういうふうに農林省はこれを措置していくか、調整をとっていくか、これは次官なり大臣が大局から見て、あなたがたの行政の指導のしからしむるところによると思いますので、その辺をはっきり御説明願いたいと思います。
  39. 大石武一

    政府委員(大石武一君) お答えいたします。ただいまの有明海の問題は、おそらくホリドールを中心とする農薬の問題でなかったかと思います。あの場合も、あの問題は目下いろいろと各研究機関に委嘱したり、農林省においてもいろいろと調査いたしておりますが、果してホリドールの影響であるかどうかということははっきりいたしません。しかしおそらくそうではなかろうかという一般の人の考えでありますので、やはりわれわれも何とかしなければならぬと今思って、いろいろとその対策を考えておるわけであります。肥料の面におきましては、直接人畜に被害があったということはほとんど聞いておりませんのでございます。ただ愛知県かどこかでも、何かどこか肥料を使いましたら、稲が少し被害があったということはございますが、農薬につきましては、いろいろ被害がございます。これはやはりよほど使用を——、ところが非常に効果があるらしいのでございまして、これは使用方法というものを熟知せしめて、そのためにはそれを指導するという人を各地に置きまして、その指導によってやらせるという方法をとっておるのでありますが、十分に薬の効果なり、使用方法なり、薬害というものを周知徹底させて、そしてその使用法を誤まらせないことが一番必要であろうと考えております。
  40. 千田正

    ○千田正君 今の問題は、農薬の場合はそうでありますが、化成肥料とか、いろいろの肥料の分解作用によって通すところの、小さい問題かも知らんが、内水面、いわゆる河川の漁業等に対しても、必ずしも農薬ばかりではない、肥料という問題もかなりその中に入ってきておるのですよ。こういう点については課長なり、局長なりの方においては何か考えておられますか。全然肥料の被害はないという建前でしょうか。必ずしもそうじゃないと思うのですが、どうなんですか。
  41. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 肥料につきましては、ただいま御質問がございましたような、厳密に申せば、水産動物に対する影響は零であるというわけには参らないと思いますが、現在までのところ、私どもの方に水産動物の被害が相当の規模に起ったというような情報、あるいは連絡等を受けておりません、ただ考えられますのは、直接あるいは間接に、たとえば石灰窒素の使用法に多少誤まりがあるというようなことから、微細な弊害の起ったことは考えられておりますが、この点につきましては、肥料の流通そのものに対する指導、あるいは取締りの問題よりも各種の数多い肥料が出ておりまするので、施肥の指導の上におきまして、今のような水産動物に対する悪影響を避けつつ、肥効を確保するということが可能であろうというふうに考えておるのであります。すなわちそういう肥料の選択の面につきましては、農業改良普及事業、あるいは協同組合の施肥指導というような面を通じて現地指導をするようにさせたいというふうに考えております。
  42. 千田正

    ○千田正君 もう一点、これは肥料もいろいろな取締り規則がありますが、そのうちに市場に対するコントロールという点においてはどういうふうに考えておられますか。たとえばこの選挙時期などになるというと、非常に安く肥料を配給して、むしろ大いに選挙宣伝にお使いになる方もおありのように聞くのですが、市場コントロールと、この市価とたとえば公定値段との開き、その他に対する農林省の指導の面をどういうふうに考えておられますか。
  43. 大石武一

    政府委員(大石武一君) ただいま具体的なお答えは肥料課長よりいたされると思いますけれども、こういったいろいろな問題は、選挙なんかのために使うのはまことにけしからぬことでございますけれども、これはどうにも今は法律をもって防ぎ得ない、法の裏をくぐっているのでございますので、実はこれは各人の良識に待つ以外にないとわれわれは考えておる次第でございます。詳しいことは肥料課長よりお答えさせます。
  44. 千田正

    ○千田正君 どうですか、今の市場コントロールや、市場に対して農林省の指導の面がどれだけ強化されておるのか、あるいはまあ放置しておるのか、そういう点においてどういうふうに考えておられますか。どの程度の、あなたの方じゃコントロールの力があるのか、影響があるのかですね。
  45. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 肥料の流通市場におきますコントロールということについての御質問でございますが、これは非常に広範囲な意味を持ったものであると考えられます。で農林省といたしましては、市場のコントロールという意味では、できるだけ円滑に、農家に適時に肥料が届くということを確保すること、それからできるだけ末端で安価に購入できるような条件を整えること、それから価格の変動はできるだけ安定させるという、このようなことが恐らく——と言いますか、農林省としては考えておる市場コントロールの項目でございます。でこれらのものの最も中心的な条件になりますのは流通の量の問題だと考えております。でそのために窒素肥料、燐酸肥料等につきましては、これは国内の生産の確保と同時に、年間もしくは時期的に海外へ輸出されます量を、内地との調整でどうはかっていくかという点が最大の問題であろうということでありまして、この点につきましては、内需の供給力を弱め、あるいは価格の高騰をきたすとか、あるいは価格変動を生じるというようなことのないように、慎重に輸入に関します通産大臣の許可に対して、農林大臣の同意権を発動いたしまして、調整をはかっておるわけでございます。カリ肥料につきましては、これは輸入に依存するものでございますから、これはできるだけ安く買い付ける方法を従来もとってきたつもりでございますが、なお輸入量につきましても、従来外貨予算関係等で若干品がすれぎみのようなことから、高値を唱えられておったのでありますが、輸入量の増大をはかりまして、その点の問題も順次解消して参っておると思いますが、なお同様の方針で進みたい。地域的には、お話のありました、何らかのルートで市場に対するディスターブのような問題もあるかと聞いておりますが、これらの問題も農民の購入価格を高騰させるというような名目でそのような操作をやりました場合には、これはたとえば硫安、アンモニア肥料、窒素肥料でございますれば、政府の調整保管用の肥料の放出をいたすというような措置もとれますし、またその他の肥料につきましても、農業団体の配給機構を通しまして、安定措置をとるということも実施しております。また将来もその点をさらに進めて参りたい。なお肥料商につきましても、昨年の夏全国の肥料商の連合会の結成を見ましたので、そういう組織的な活動を通じまして、地域地域における不当なディスターブ、そういうものは避けるように指導して参っておるのであります。
  46. 千田正

    ○千田正君 価格の問題ですが、私が今伺った点においては、まあ農林省としては非常に誠意を持って十分なる市場の価格安定を維持しておる。逆にこの肥料メーカーですね、肥料メーカーはむしろトラスト的な性格をもって、自分らの事業を守るために価格をある程度の価格から下げない、むしろ農民の要求に対しての価格との間に開きがあっても下げないで、一定の価格を維持しておく、また農林省の指導よりもむしろ肥料メーカーの方の結束によってそういう市場価格を維持しているというようなことはありませんか。
  47. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 御質問のような肥料生産業のトラスト的な行為によって国内肥料価格の適正な安定というものが妨げられておるのではないかというような点は、かつてはそういう時期もあったかのように聞いておりますが、現状におきましては、生産量の増大、供給力の増大に伴いまして、価格の中央における建値につきましては、これは統一的に農林省の指導の下に、最大の需要者団体でありまする全購連とメーカー間の、生産者間の建値が春肥、秋肥ともに決定をせられて、それが固く守られて来ております。従いまして、その際におきまして、肥料業界としては、トラスト等の形がありますかどうかにつきましては私存じませんけれども肥料業界としては、できるだけ自己の利益のために主張するという傾向はございますが、この点は一方農業団体である全購連の力も、実力も充実をして参りましたし、農林省との緊密な連絡のもとに、私どもとしましては、ほぼ適正に建値が行われ、それは建てられました建値につきましては、従来私どもの知る範囲では、厳重に守っているように承知いたしております。
  48. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 現在は肥料の種類もずいぶんふえまして、中には全く無効なもの、あるいは有害なもの等が出ているようでございますが、そういう意味におきましては、この取締りを相当強化するということが必要だと思います。そこで都道府県における取締りの機構の現状はどうなっておるのか、今の状態で公正かつ適正な取締りというものはできるかどうか、こういうことを伺います。
  49. 大石武一

    政府委員(大石武一君) 具体的なことを肥料課長にお答えいたさせます。
  50. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 御説明を申し上げます。府県の検査機構は、これは農林省肥料検査所の機構と並びまして、肥料の取締りを担当すべき性格のものでございますが、現状におきましては、全都道府県の検査職員定数は百四十九名という程度でございます。そこで取締りの体制ということで、そういう人間の数の問題と、定員の問題と、それから職員の質の問題と、それから検査をやりますに当りまして、当然実施しなければならない分析等の施設の問題とあると思います。検査職員数につきましては、これは地方の事情、県によって多少の不同がございますが、これで十分だとは申しかねるのではないかと思いますけれども、府県の地方財政の事情等から、この程度の数に落ち着いているのであろうと思うわけであります。  それから職員の質につきましては、これは指導官庁としまして農林省にも行政上の責任があるわけでございますので、毎年講習会の開催、あるいは分析試験の手合せ、このようなことをいたしまして、旧法が通りました時分に比べますると、私どもの認識する範囲では、都道府県の職員の検査能力はずっと向上して参っておるというふうに理解をいたしております。  施設につきましても、県により区々でありますが、全国を通じて、私どもとしては、現状では十分とは言い切れないものがある、むしろ不十分ではないかといろ印象でありまするが、これとても、やはり地方財政等の事情で各県ともいろいろ苦労しておるようでございますが、急速には整備が進んでおらないというように考えておるのでございます。
  51. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今お話を伺いますると、ずいぶん人の数もあまり多くございませんし、技術者は優秀な者がいるといいましても、分析などはやはり新しいものがどんどんできておるようでございますが、古い施設をもってしますると、時間と手数とをたくさん要するようでございますが、まあ、ある県などは検査所で分析しなければならぬのが、施設がないので試験所へ持って来て分析しているというような、こういう実情もあるのでございます。法律整備されましても、取締りの具体的なそういうような施設などが貧弱でありますると、十分法の目的を達せられないと思うのでございます。そういう意味におきまして、今後施設拡充並びに人員の充実ということにつきましてお考えになっているかどうか、お伺いしたいと思います。
  52. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 現状の体制では申すまでもないことでございますが、府県の人員あるいは施設等について、国が直接拡充をはかるということについては、予算措置等以外にはあり得ないわけでございますが、この検査職員につきましては、これはもちろん国会の御審議を経たことでございますが、現在は府県負担の人員になっておりまして、そこでその全体の府県の職員に対する補助助成、あるいは平衡交付金による充当策というようなものについては、地方の自主的な措置に大勢として向いておるときでありまして、この問題、人員確保のための予算措置というのはおそらくきわめて困難な問題ではないかと思っておりますが、私どもとしましては、検査の実効を上げますために、必要な職員の設置については担当部課長等には常々その確保方について協力の要請をいたしておるところでございます。施設の問題につきましても同様、これは補助助成の予算措置以外にはあり得ないわけでありますが、現状につきましては、ざっくばらんに申し上げますと、今日まで二十五年に本法通りまして以来、国の六カ所の検査所の整備がまだ完了しておらないというような事情でありまして、まことにその点については私どもの努力に遺憾の点があったのかとも思いますが、国の六カ所の検査所の施設を順次整備をしていくという点については、予算措置を講じて参ったのでありますけれども、府県の検査施設の助成については手が延びなかったというような事情であります。国の施設の整備とそれから地方の取締り状況の実情に即しまして、どうしても国の助成が必要であるかどうか、その辺の検討も今後加えて参った上で、結論といいますか、措置をとりたいと考えております。
  53. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 国の方の取締所の整備もできておらぬというようなことでありますから、もちろん県の方もできておらぬのは当然なことだと思うのです。従いまして、国の方も早急に整備をし、県の方におきましても、これは助成をして、拡充のできるものならばすみやかにこれは一つやっていただきたいと思います。  それからその次の問題は、第二条の第三項保証成分は、現在法律の別表で定めておられるわけでございますが、今回の改正によりまして政令で定めることになっております。先ほども説明は伺って、機動的にこういうようなふうにした方がいいと思うということを聞いておりますが、それをもう少し突っ込んだ具体的の理由をお伺いしたいと思うのでございます。また政令で定めるときに、従来の別表の内容というものをどういうようにお変えになるというような御予定でございますか、それもついでにお聞かせ願いたいと思うのです。
  54. 大石武一

    政府委員(大石武一君) お答えいたします。先ほどの御希望に対しましては、ごもっともでございますので、できる限り努力いたす所存でございます。なお別表のことに関しましては、専門家の方からお答えいたさせます。
  55. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 第二条の改正に関連いたしまして、法律の別表で、実情についての御説明をまず申し上げたいと思います。現状で申しますと、例を引いて申し上げますと、別表の種別の中に無機質窒素肥料というワクを例にとりますと、これは主成分としては窒素全量、アンモニア性窒素、硝酸性窒素、この三種の保証すべき主成分を上げているのでありますけれども、通常無機質窒素肥料として考えられるものとしては、硫安、硝酸アンモニア、塩化アンモニア、それから石灰窒素というようなものがあるわけでありますが、石灰窒素の類につきましては、これは場合により石灰分のカルシュームの保証を必要とする場合、そういうことも考えられるのではないだろうか、もちろんこれはいろいろ考え方もあると思いますが、そういうこともある。それから次の欄の無機質燐酸肥料についてみますると、これはいわゆる現在の燐酸肥料はほとんどこういう無機質燐酸肥料をもって充当されているかと思いますが、過燐酸石灰でありますとか、あるいは熔成燐肥でありますとか、トーマス燐肥等がこの無機質燐酸肥料に該当しますが、その主成分は現行法律別表では燐酸全量と、それから農林大臣の指定する有効燐酸ということで、農林大臣の指定は水溶性燐酸あるいは枸溶性燐酸というものを上げておるわけであります。ところが燐酸性肥料の進歩と申しますか、新しい形態としまして蛇紋岩過燐酸石灰ということになりますと、保証すべき主成分としてはマグネシウムの苦土、あるいは場合によって珪酸、こういうものを保証させることが妥当である、保証させなければならないというような事情が出てくるわけであります。次の無機質カリ肥料についてはこれはまず大した問題はないと思いますが、この肥料につきましても場合によりましては、苦土を保証成分とする必要がある。それから化成肥料の類に至りますと、この別表に規定しておりますのは窒素全量、アンモニア性窒素、硝酸性窒素、要するに窒素系の肥料と、それから燐酸肥料は燐酸全量、あるいは農林大臣の指定する有効燐酸、加里全量、こういう三種のものを、これは配合肥料の場合も同様でありますが、こうなっておりますけれども、これがさらに先ほど申しました蛇紋岩過燐酸石灰を原料とする配合肥料があったとか、あるいは化成肥料の中にそのほかの配合をまじえたものが出てくるというようなことになりますと、化成肥料としても主成分をこの窒素、燐酸、カリの三種類に限定するということは適合しないというような事情が起きてくるわけであります。そのほかに新しい肥料としましてはマンガン質の肥料でありますとか、あるいは棚素質の肥料でありますとか、あるいは主成分としての珪酸質肥料であるとかというようなものが出て参りまして、現状におきましても、この別表では追っつかないということであります。そこで現状ではそれらの追っつかないものについては、その他の普通肥料ということで、農林大臣の指定する成分というやり方でつじつまを合わしておるのでありますけれども、流通なりあるいは肥料の本質的な見方からいたしますと、いかにもこじつけの格好になっておるのでありまして、それらはたとえば蛇紋岩過燐酸についてはこれはやはり本質的には無機質燐酸肥料である。そのワク内で主成分の保証を法規の規定の上で得させることが適当であろう、妥当であろうというふうに考えておるのでありまして、現行のこの表では肥料の現状の実態に合わないという点は、かようなことであります。なお、将来にわたりましても、このような肥料の形質の進歩はおそらく急速度に進んで参ると思われるのでありまして、たとえば混合形態の肥料あるいは多要素的な肥料が非常に研究の対象、あるいは販売予定のものとして考えられておるようでありまして、それは一般に単肥主義から混合形態のものに移っておるというのが実情と私ども考えておるのであります。これは統制等の問題もあったでありましょうが、昭和二十五年のころには十万トンを出なかった程度の化成肥料が今日ではすでに、昨年の実績で九十三万、おそらく本年は百万トンに達するかと思われます。このような肥料の進歩の動向を考えますと、法律別表で主成分の指定をいたしますことは、これはそういう技術の実態に合わせて指定をすべきものが固定をしてしまうということに相なりまして、通常の取引、あるいは施用、施肥その他の通常の常識から申しますと、いかにも実態に合わないような形で処理しなければならぬというような点がございますので、必要に応じてこれを改変することができるような性質のものにいたしたい。でこれを省令でいたしますについては、生産行政を所管しておりまする通産省との関係もございますので、一段この規制を高い法規の段階におく必要があるということから、政令でもってこの規定をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  56. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今お話を伺いますると、別表を変えなければならぬという理由はよくわかりますけれども、これを従来法律の中にありましたものを落して政令にしなければならぬという理由はきわめて薄弱だと思います。もちろん肥料がいろいろ複雑になってきまして、この表自体を変えなければならぬというようなことは、これはよくわかるのでございますが、どうも今までこういうのであってそう大して差しつかえなくて済んだものを、今急にこれを法律から落して政令にしなければならぬというような理由はよくわかりませんが、もう少し何か具体的にあるのではないのでございますか。
  57. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) これは従来法律であったものを改変をすればいいではないかというのは、今現状のもとに適合するための改正としては、法律別表の改正で私は当然間に合うはずだと思います。ただ肥料は日進月歩、時期を待つことなく現われてくるものでありまして、法律改正の機会というものは、これは限られた時期だけと私は思うのでありますが、そういう関係から本来的にこの保証すべき主成分というのは、技術的に実体の表現をすることにとどまる性質のものであって、そういう表現されたものを守れというのが法律事項であろうという意味で、本質的にこのような技術的実体を表現すべき性質のものについては、法律事項として必ずしも適切あるいは必須のものであるというふうには考えられないのではないだろうかということが、政府の今日提案に至ります間の一致した見解であったわけでございます。なおその点を固定のままではこの別表に合わない姿のものがありますから、どうしても現行のように農林大臣の指定する主成分というようなことで補充をしていかなければならぬというようなことにいたしますと、一面においては法律のワクで規定をせられました肥料の種別と同種別でありながら、異種の種別であるというようなむりをしなければならないということが一点と、さらに先ほど申しましたように、その他の普通肥料、新しい肥料については、これは農林大臣だけで指定をするということよりも、むしろ全体として政令で生産所管官庁である通産省を含めた、政府の統一的な肥料の種別及び主成分の指定をすることの方がより穏当ではないかという考えがあるわけであります。なお何かあるのではないかというお話しでございましたが、ここで一つの別表を起しますこの思想につながるものとしては、午前中も御説明申し上げましたように、農林省としましては、この化成肥料、それから配合肥料の種別はこの際強い決意で廃止したい、この廃止の理由につきましても、午前中御説明を申し上げたところでございますが、化成である、配合であるという現在の技術的段階では、これは農林省の試験研究機関の一致した見解として何ら肥効上の差別はないというふうに考えられているのでありまして、しかも特定の肥料についてこれを化成に属せしむべきや、あるいは配合に属せしむべきや、はなはだ疑わしい場合もあるのでありまして、従来化成肥料というのは配合肥料よりも優越した肥料であるという印象のもとに戦前販売の干渉等が行われましたことは、私どもからみれば農民のためにはなっていないというふうに印象づけられますので、この際別表を政令に譲りますとともに、化成、配合の区分を廃したいということがからんでいることは事実であります。
  58. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) 委員各位に申し上げますが、この案件について御答弁を願っている大石政務次官、檜垣農林省肥料課長のほかに、通産省化学肥料部長の長尾正君が見えておりますから御承知願います。
  59. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今のお話を伺いますと、近ごろ化成肥料の消費というものはすいぶん伸びているようでございますが、政府の方といたしましては、施肥標準調査もやっておられることでありますから、あの成績にのっとりまして、単肥で農家に配給をいたしまして、最もその地方の地力に合ったような配合でやって奨励していけば、農家としては一番利益だと思うのでございますが、今の肥料行政の実態は、それとは逆に単肥の方が減って化成肥料の方が順次ふえておる。これを農家の経済の上から見ますると、相当のこれは損失だと思うのでございますが、一体それは単肥で農家の配合ということを奨励するつもりですか、それとも化成肥料が一番いいからこれにせいということで化成肥料に力を入れていくつもりですか、どちらでございますか。
  60. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 関連……。三橋さんの意見に私は全然同感でありますが、この化成肥料あるいは配合肥料というものと、単肥の、いわゆる一成分当りの価格というものは相当の開きがあって、農民の面から見た場合に、単肥を農民が高度の——高度でなくても、普通農家というものが最近相当に技術的に進歩してきておる今日において、先ほどの課長の答弁によりますと、年々化成肥料配合肥料の施用が増加されてきておるという今日の実情からみまして、非常な高値に、三割ないし五割ぐらい高いのが化成肥料配合肥料の現状であります。中にはこの配合肥料を十かます使った者には、化成肥料を十かます使った者は塩原温泉に招待する、そういう甘言でもって農家に売りつけておる。それは何を意味しておるかといえば、とりも直さず配合や化成という名のもとにおいて、非常に手数料を高くとって、農民を搾取しておるというのが偽わらざる現状です。こういうものを年々ふえるからといって、肥料会社のもうけになるようなことを私は農林省がやっておるとは思っておりませんけれども、何とかこれをほんとうに農家の技術が進歩した今日において、単肥の配合をさせて、そして農家負担の軽減をはかるようにしてやってこそ、農林省の私は責任ではないかと思います。それについてもどういうふうな肥料会社に、たとえば原料であるところの燐鉱石とか、そういうものを割当をしておるのか、いま少しく良心的に、心ある農家は、農林省何をしておるのだということを強くふんまんに思っておるのです。これについて少しく——これは農林大臣に私は答弁を求めたかったのですが、まあ政務次官からも一つ良心的な御答弁を願いたいと思います。
  61. 大石武一

    政府委員(大石武一君) どうも私は肥料の方面につきましては、実はしろうとでございますので、御満足のできるような答弁を申し上げられるかどうかわかりませんが、お答えいたしたいと思いますけれども、できるだけ農家の肥料は、安くいいものをわけた方がよろしいということはお話通りでございます。そのような方針に従いまして、ぜひとも安い肥料、一番よくきく肥料を農家に回したいと、こういう方針でやっております。最近でもでき得る限り硫安でも下げたいという考えで、この六月ごろには肥料審議会にこの議題を乗せまして、硫安を値下げさしたいということを考えておるわけであります。  ただいまの、複合肥料と申しますか、配合肥料あるいは化成肥料と単肥との違いの御議論でございますが、これはまあ私はどちらがよけいきくのか、どれだけの効力が違うのかということについては申し上げる知識もございませんので、これは申し上げかねるのでございます。でき得る限りよいものを安く、安く一番きくものをということをわれわれの、農林省肥料に関する方針といたしたいと考えておる次第でございます。そういうような方針をできるだけ農政に徹底せしめる、そしてどのような肥料がどのような土地に一番きくのか、どのような土地にはどのような品種が一番きくのかということを、十分にその土地々々におきましてどのように手を打っていくか、これが一番重要な条件ではないかと考えるわけでございます。その他の点につきましては、肥料課長からお答えいたしたいと思います。
  62. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 政務次官から答弁がございましたが、私から補足的に御説明を申し上げたいと思います。配合肥料、化成肥料、それもおそらくメーカー生産の配合肥料、化成肥料というお話だと思いますが、これが単肥に比べまして割高であるということは事実でございます。またそれが現在農林省としましては、できるだけの力を傾倒いたしまして、肥料価格の引き下げをはかりております際に、残された唯一の盲点であることも御指摘の通りであります。これはそのままにほっておくことは好ましくないという点は、私どもも痛感をいたしておるのでありまして、これに対する方策として、実はただいまの配合、化成の区別の廃止も考えておるわけでございますが、それに先だちまして御説明を申し上げるべきことの一つは、どうしてそういう高く売るメーカーに原材料をやっておるかということの御質問でありますが、これは現在は燐鉱石につきましては、従来はメーカーに対する需要者割当をいたしておりました。で現在の割当方針といたしましては、単肥優先の割当をとっております。従いまして、単肥で供給をするメーカーの単肥供給の量を計画的に策定いたしまして、それに相応する原材料、燐鉱石を優先的に割り当てておるのであります。またそれについては単肥の供給を確実に行うごとく指導も加えております。またその荷渡しについては全購連と密接に役所の方も連絡をいたしておりまして出ておる。私は配合、化成百万トンと申しましたが、単肥の出ておるものはもとより数ははるかに多く、化成の占めるウエイトは窒素に還元いたしますと大体一六、七%と私どもは見ておるわけです。そういう数字になっております。しかしそれにしても化成は量もふえ、かつ値段も高いということで、なぜそれでは盲点かということを申し上げますと、御説明申し上げますと、現在化成の登録銘柄は六百七十二銘柄あるわけであります。硫安でありますとか、過燐酸でありますとか、そういうものでありますと、品位が同じであり、また流通の呼称も硫安、過燐酸という形で統一されておりますので、建値の指導、あるいは販売価格の指導等につきましても、可能であったわけであります。ところが六百七十二銘柄の化成肥料を追っかけてそれを安く売れということをやりましても、容易にこれは落ちつかない、とうてい行政の能力外であるわけであります。じゃ従来それでは傍観をしておったのかということでありますが、化成肥料が高くあったことの一つの理由としては、カリまたは燐酸肥料の末端における需要に対する供給力が若干足らずめであったといいますか、あるいはまた満足でありましても、地域的にいろいろ問題があるというようなことから、カリ、燐酸のそういう需給の関係からこの化成の高値を支持しておるということが考えられたのでありまして、その点で単肥に原材料を優先的に渡しますと同時に、化成等につきましても量の競争をさせたい。壁の競争が行われますれば、値段も下るだろうという考え方、要するにそういう需給操作上の価格の安定を考えて、その方向を昨年当初からとったのでありますが、現状では佐藤先生の御指摘のありましたように、高値ではありますけれども、一年あるいは一年半前に比べますと相当下っておる。私どもの知る範囲では五%ないし一〇%くらいの値下りを示しております。平均に見ましても一かます当り三、四十円あたりの値下りを示して、私どもの全国府県にとりました統計では値下りをしております。しかしその段階でもなおかつ高いことは事実でありまして、これをそういう価格安定措置なり、あるいは末端で適正な値段で買い取るような指導が加えられるようにいたしますためには、化成と配合というものを区分を廃止して複合肥料、仮称でありますが、そういう名称で統一いたしますとともに、午前中に御説明申し上げましたように、その複合肥料の頭に窒素、燐酸、カリの成分量の百分比を全部書かせ、たとえば通常の化成肥料で最もウエイトの多いものは、窒素八、燐酸八、カリ五〇八八五肥料というものが多いわけでありますが、そういう八八五複合肥料というような統一名称を用い、もちろん従来メーカーとして何々化成肥料というような称号は持っておりますが、それは許す。しかし必要な事項としてはそういう品位を示す名称を統一的に使わせるようにしたい、こういうふうに整理をしますと、いろいろな点について便利である。  それからこれは、化成、配合の御説明に傾き過ぎたのでありますが、三橋先生から農林省は化成配合主義か、単肥による自己配合主義かという御質問があったのでありますが、この点は理想の形態としてはもとより単肥で農家かあるいは末端の農協まで届けて、そこでその土地に適した肥料の設計のもとに配合を行なって施用することが最も有効であるというふうに考えておりまして、その点を中心に改良局、また肥料行政の面でもその線を貫いておることは変りはないわけでございます。ただそれにしましても、末端の配合設備の事情、あるいは農家の施肥の簡易な方法を選ぶというようなことから、いわゆるレディメイドの化成肥料、あるいは配合肥料を好むという傾向が出ておるのではないかと見られておるのであります。この末端におきまする配合、その土地に適した配合を推進するという建前からも、現在の化成、配合の区分というのはいかにも不合理である。理由のない区分は化成メーカーに対する優越的な名称を法律上与えておるような感じがするのでありまして、この点は農家側、あるいは農業団体側と申し上げる方がよろしいかと思うのでありますが、末端の単協における簡易配合の推進という面からも、化成、配合の名称の統一化を望んでおるような次第であります。その御質問のような線を貫く一環といたしまして、この名称統一を考えておるわけであります。
  63. 東隆

    ○東隆君 ちょっと関連して。三橋さんの質問をされた件を具体的に私はお聞きしたいのですが、農協でもってこの配給をするときに、農家の延長だと、こう考えてそうして取締りをしないでやることができますか。この法律によって取り締るのじゃないのですか。
  64. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 協同組合は理念的には農家の延長であるという考え方は、この法律の中でもその色彩を出しておりますけれども、やはり配合をしたもの、あるいは購入したものをさらに農家へ売るという意味では販売業者に当りますので、協同組合の扱います肥料につきましても、もちろんこの法律対象といたしております。
  65. 東隆

    ○東隆君 その場合に、私はさらにもう一つ。全購連になりますと、なおはなはだしい取締りがある、こういう問題が起きてくると思う。もし全購連が配合肥料をこしらえるということになれば取締りの対象に当然なりますね、私はそこに非常に問題があると思う。というのは単肥配合することを優位に考えておるんだ、こういうふうに言われますけれども、それに対して農協が単肥でもって配合をするのに非常にやさしいような、容易な、いろいろ手段を講じないでやってみても、これはなかなか単肥でもって農協が配合肥料にして配給をする、こういうことはなかなか進まんと思う。戦前にはたしか農協に配合肥料をこしらえる施設をたくさんこしらえさしたり、いろいろな奨励もやったはずであります。そういうような過去の歴史もあるわけですが、まずそういうような意味法律の中では農協が配合肥料をこしらえるときにはこの取締りの対象にならないんだ、こういうことを決定して、それと同時にそれに対して今度は農林省がそれを円滑にやれるような奨励の規則を出す方がかえって適当ではないか。それは協同組合そのものを配給業者として取り締るのは私は酷だと思う。その点はどうですか。
  66. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 末端協同組合の肥料取締法上の扱いにつきましては、午前中もちょっと御説明を申し上げましたが、商人あるいは普通のメーカーの配合肥料については、農林大臣登録法律及び政令で定められる手数料を取ることにいたしておりますが、単協の配合については登録は府県知事ということで簡略をいたしますと同時に、手数料につきましても農林大臣登録に対して半額の、そういう何といいますか優遇をいたしておるわけであります。で、東先生の御質問あるいは御意見では、単協については肥料取締り対象外に置いたらどうかというように伺ったのでありますが、現状のもとにおきましては、端的に申し上げまして農林省といたしましては、単協の肥料の取扱いは肥料取締法対象外に置くという考えは持っておりません。と申しますのは、なるほど理念的に農家の延長であるといいながら、やはり最終的にはこの取締法の奉仕するのは個々の農家でなければならないだろうと思うのであります。これは多少言葉に間違いがあってはならないと思うのでありますが、現在までの取締りの実績の上では、農協において取締法違反の事例なしとしないわけでありまして、その中には単に単協の技術的な認識の不足とか、あるいは施設の不備という事情だけではないというようなものもあるわけでありまして、そういう質のものが出回り、それに対して取締りを行わないということになりますと、勢い商人系の配合なり化成なり、その他の肥料品質についての妥当を欠くという、やはりそういう地盤を醸成するおそれがあるということにもなり、かたがたこれは肥料の販売をしておるという面では、ある意味ではやはり農協外の販売業者ともある程度の均衡を考えざるを得ない。公平の観念というものが法律の上では必要ではないかと考えるのでありまして、そういう観点から現状におきまして、単協の扱います肥料については肥料取締法対象外に置くという考えは持っておりません。
  67. 東隆

    ○東隆君 私は公平の立場で肥料業者と、それから協同組合を同じように取締りの対象におく、こういうようなお話でありますけれども肥料業者の方は何といっても利潤を上げるのを目的にしている。それから協同組合はこれはそうではなくて、組合員のために仕事をするのだ、悪いものを配給すれば組合員が困るのでありますから、そこで当然組合では正しい配合をしてそうして配給をしなければならぬ、こういうのがこれが二つの間における大きな相違なのであります。利潤を上げる場合には、もし最小のもので満足ができるならば最小のものでもってやろう、そうしてできるだけ利益を上げよう、こういう考え方でもって配合するかもしれない、しかし協同組合の場合にはそういうような意図ではなくして組合員のためにやるわけです。そこでそいつを同じように公平な立場でもってみるといわれますけれども、これは決して公平な見方でないわけです。私はその点かえって公平な見方をされるならば、農協が配合をする場合には取締りの対象外におくんだ、しかし適正な肥料の配給をするという面で農民に対して不測な損害を与えるようなことがあってはいかないから、指導の面でそれを補うんだ、こういう考え方ならば、私は十分に公平な立場だとこういうふうに言えると思うのですけれども、今の考え方は私は協同組合の本質から考えてみて、業者と同じふうに扱うのはこれは大きな間違いだ、こう思う。私は肥料課としての場合にはそういう意見を申し述べるだろうと思いますけれども、協同組合関係の方面からおそらく意見を述べたら、今私が言ったような意見を言うのじゃないか、こう考えるのですが、これは単に肥料だけでなくて薬品の問題もありましょうし、たくさんの問題もこれにからんできておると思うのであります。従って毒物だの何だのについてもいろいろな問題がありますけれども肥料の場合には毒物とかそういうようなものとは違った意味でもっと簡易化して、そうしてもし農林省が単肥を単協に配合させるのだ、こういうならば、いろいろなその土地に従っての配合の率、そういうようなものを示してそうして配合させる、そうして第一種、第二種、第三種というような種類分けをして、そうして農民が欲しいものを配給を受ける、こういう形をとった方がこれがその土地に最も適した肥料を的確に農家が受ける、こういうことになるのであって、そいつを一々取締りの対象にしてやるとすれば、その土地には適さない配合をされたものが配給をされる、こういうことに私はなろうと思う。これは三橋さんがその道の方の大家ですから、三橋さんがどういう意見を持たれるか、三橋さんの質問に関連して私は質問しておるのですから、私の考え方は以上でありますが、その点についてもう一度お考えをお聞きしたい。
  68. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 東先生の御質問は私どものといいますか、この法律に対する私ども考え方について、農協を通じて施肥の合理化について認識が足りない考え方を持っておるのではないかという御趣旨の御質問と承わったのでありますが、私どもとしましては、登録その他の肥料の取締り関係の上では、これは私はやはり法の前には平等という原則を貫くべきではないだろうかと思っておるのであります。ただ、協同組合が仰せのように農家の延長として、またその土地に適合した施肥の設計のもとに配合をすることが好ましいことであり、政府はそれについて認識をもち、推奨をすべきであるという点については、全く農林省といたしましてもあげて同感であろうと思うのであります。私どもとしましても、従って取締法に基きます取締りの心がま戸、あるいは肥料行政の心がまえといたしましては、これはできる限り農協に対して指導的な心がま身で処理すべきである、そういうふうにまさに御指摘の通り考えておるのでありますが、ここで直ちに単協扱いの肥料を取締り対象外にいたしますことにつきましては、これは先ほど申し上げましたように、なお農民肥料購入の利益の確保なり安全の確保ということを考えます場合には、ちゅうちょせざるを得ない実情にありますとともに、他の業界との法律の上における平等性ということを考えます場合には、これは私はやはりはずすわけには参るまいと思うのでありますが、その運用なり指導の心がまえとしましては、東先生のおっしゃったことと私ども同様な心がまえで参るべきであると考えております。
  69. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 話はだいぶ横にそれましたが、単肥と化成の問題は、単肥を配給するものには原料を優先配給をし、しかも単肥を奨励するような意気がまえにあるのにもっていって、逆に高い化成肥料が盛んに消費をされる、これはよほど考えなければならぬことだと思います。その原因はいろいろあるでしょうけれども、何か農林省の方でお気付きになっている重要な点がございませんか。
  70. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 化成、配合肥料の量が非常にふえて参りました理由として、私ども考えておりますのは、一つはやはり施肥の際に三種あるいは二種の肥料を一時にまいて、ちょうど多忙な農繁期等のそういう労力の関係からくる農民の受け入れの需要の気がまえがあるという点も非常に強く見受けられるのであります。その点が一点と、それから末端での配合ということにつきましては、これは端的に申しまして、現在の末端の知識、能力では、適正な配合計算すら相当困難であるという、そういう配合技術の問題が一点、それからかりにそういう人がおりましても、適当な配合施設がまだ完備しておらないというような点があろうかと思います。なおこの配合の問題につきましては、なるほど現状においてかなり割高ではありますけれども、これをさらに非能率に、さらにごく小規模にやります場合には、もっとコストがかかる、要するに経済関係からくる問題もあるのではないかというふうに見ております。そのほか、これは通俗的に考えられます点としましては、肥料の中間マージンの多いものほどよく宣伝売込み等の努力をするというような傾向の現われではないかというような意見もございます。
  71. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今お聞きしました一番最後の問題ですが、一番私は重要だと思います。地方の農家が肥料屋に肥料を買いにいきますと、単肥はマージンが少いからいつも品切れだと、そうしてこの肥料を買いなさいと言って向けてくるのは、マージンの多い今の化成肥料だということです。そうなってきますると、施肥技術が進まんから、まだ今の農家では、単肥を買って配合してやるほどの知識がないなんていうことは、これは本省としては遠慮しなければならない言葉だと思うのでございます。普及員もおりますし、その方に当る技術者もいる。施肥標準調査というものも非常に細かにできているのでありますから、それはできると思うのですが、ただいまお聞きしました最後のマージンの多少によって、地方の業者が取扱う肥料は化成肥料ばかりを取扱って、単肥は故意に取扱わない、こういうようなことからきておる原因が非常に大きいと思います。従いまして、もちろん技術の進歩に伴いまして、化成肥料などよりは、配合肥料によって自家配合でもしてやれるようにしてやらなければならぬわけでありますので、どうぞ一つこの化成肥料がどんどん伸びるということは、日本の農業技術の恥だと思うのでございますから、一つ単肥の消費がさらに盛んになるように、それによって農家の肥料費というものの軽減ができますように、特に御注意願いたいと思います。  なお、今度の改正によりまして、配合肥料というものと化成肥料というものとが一つになって、複合肥料というようなこういう名前がつくというのですが、私は今までのようなふうにしておきまして、複合肥料という名前をつけますと、おそらくこれは全部化成肥料に圧倒せられてしまいまして、配合肥料というものは影も形もなくなってしまうというような現象が起ってくるのではなかろうかと思うのでございます。先ほどの説明によりますと、それとは逆に化成肥料を押えるために複合肥料という名前をつけたのだという、こういうことであったのでありますけれども、おそらくこれは配合も化成も一緒にして複合という名前をつけますと、これは配合肥料なんていうものはほんの形ばかりのものになってしまうという、こういうおそれがあると思うのでございます。なお複合肥料というような名前をつけますものは、それは一体どういう規格のもの、並びにどういう性格のものにそういう名前をおつけになるのでございますか。
  72. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) まず私ども考えております複合肥料という名称で一括してみたいと思いますのは、これは常識的に申し上げますと、従来の化成肥料と呼ばれた窒素、燐酸の二種類というものを主成分としたいわゆる混合形態の、外国の言葉で申しますと、コンパウンド・ファーティライザーというようなもの、それから化学的な配合肥料、窒素、燐酸、カリの三種、もしくは二種の製品を混合いたしまして生産いたします配合肥料、そういうものを総括いたしまして、これを複合肥料という範疇に統一したいというふうに考えておるのでございます。で、この中には窒素、それから燐酸、カリ、あるいは場合によって苦土というようなものを伴う場合もあろうかと思いますが、ただいま申しましたように、従来の化成肥料配合肥料と呼ばれておったものはすべて統一して複合肥料の範疇においた。また現在でも同じ化成肥料と呼ばれておりますものの中に、物理的な形状の異なるものがあるのでありまして、通常粒状化成肥料、あるいは固型化成肥料というような名称で呼ばれておるものがありますが、これは取締りの上でも、あるいは施肥上にも多少相違点もあるようでございますので、複合肥料の内部の分類につきましては試験研究機関、あるいは大学の担当の学者という方の御意見をも十分伺いまして、尊重いたしました上で分類を考えてみたいというふうに思っておるのでございます。  それから複合肥料という名前で統一すれば、配合肥料が駆逐されるのではないかという御質問がありましたが、これは現在の常識では、化成肥料は先ほど佐藤先生からの御質問の中にもありましたが、配合肥料よりもずっと割高に言われておるのでございます。それが化成肥料という名前で、保証票に書かれております成分のいかんにかかわらず、特殊の肥効を伴うかのごとき宣伝がきわめて有力に行われておるのでありまして、その宣伝の結果かどうかは、それは判定はむずかしゅうございますけれども、そのような形で行われておることは事実であります。でこの複合肥料という形で、たとえば先ほども例をあげましたように、八・八・五の比率の複合肥料というものに統一をいたしますれば、これは農家としてはより安価な複合肥料を選べばいいわけであり、また私どもが価格の指導をいたします際にも、そういう形で指導をいたしますれば、これはむしろ市場としては配合肥料の方がはるかに有利であるということが常識だと思います。この改正案に対しまする世間の反響も、これは農業の側、なかんずく肥料を扱います農業団体からは、この改正を推進してもらいたいという形で現われており、化成メーカーの側は、この案に対して反対をしておるという事情からも、私ども考えでは、これは配合肥料の側に不利に展開する改正とは考えておらないのであります。
  73. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 軽工業局の方に一応お尋ねいたしますけれども、今の複合肥料ということになりまして、化学的操作によってできます従来の化成肥料の方はともかくといたしまして、機械的に単純にまぜくったものと一緒に取り扱われる、こういうようなことになりますると、高度、優良な肥料の生産技術というものの発達には阻害にならぬでしょうか、どうでございましょうか。
  74. 長尾正

    説明員(長尾正君) ただいまお尋ねの、いわゆるわれわれが従来申しておりました高度化成と申しますか、これは燐酸液とそれからアンモニアを直接配合する肥料でございます。そういうものの阻害にならぬかという御意見かと思いますが、何せただいま肥料課長が申されましたように、肥効的に見まして、全国の権威ある農事試験場で試験されて、それが特に肥効的に有利であるという実証が出ません以上、これは使われる方にとりまして、そういう化成肥料配合肥料というような区分をしたために、かえって効果の認められないものが効果のあるように宣伝されるということになりますと、これはわれわれとしても考えなきゃなりませんので、もちろんこれはそういう従来技術的に高度の化成、配合肥料ということで、合理化の一環として現在われわれも取り上げておりますけれども、しかしこれは内需その他の需要をにらみ合わしての生産設備を奨励しておるわけであります。機構が変らないということになりますと、これは現在農林省考えておられるように、複合肥料という線で統一されるのも、これはやむを得ないという感じを持ち、またそういうことによって農家が惑わされないようなことになることが非常にけっこうなことじゃないか、かように考えております。
  75. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今この肥料の生産技術の改良をいたしまして、有効廉価な優良な肥料の生産を助長する、こういうようなことにつきまして何か御方針がございますか。
  76. 長尾正

    説明員(長尾正君) 今特別にこの有効燐の肥料というものを何か考えているかという御質問だと思いますが、いろいろ肥料の技術の点は、これも先ほどから肥料課長からたびたび言われておりますように、非常にいろいろ進歩しており、従いまして、今後どういう形態のものが出るかということにつきまして、予断を許されませんが、方向としては非常に高度の濃厚な燐酸分のものが安く作れるのじゃなかろうかという、またそういう方向にいくことが包装費の問題、あるいは輸送の問題で農家に安く供給できる燐酸の形態ではなかろうか、そういう点でいろいろ検討をメーカーの方でやっておりますが、具体的に今こういうものがありますというまだ段階には行っておりません。
  77. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 次に第三条の改正規定によりますると、最大含有量の規格定めようとするのでございますが、その定めようとする普通肥料の種類及びその成分量、並びにその最大量というものはどういうものでございますか、今予定しておるもので……。
  78. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 通常の場合、主成分は多ければ多いほどいいわけでありまして、それが現行法のごとく主成分、含有すべき成分最小量だけを定めたゆえんであると考えるのでありますが、ここで最大量の規定を入れて改正いたしたいという事例としましては、硼素肥料をさしあたり考えておるのであります。硼素肥料につきましては、さらにどの程度の線で最小量をきめるかということは技術的検討の余地、あるいは各関係技術者、学者の意見を聞くべき機会を持たなければ、明確にここで申し上げるわけにはいきませんが、およそ硼素については含有量三〇%程度最大量の水準ではないかというように一応考えておる次第でございます。
  79. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 複合肥料の容器、または包装には先ほどお話のありました八八五とかいうような、こういう表示をするというようなことでございます。このうちの燐酸ですね、これはどういう形態のものを、またどういう種類のものをここに表示することになる見込みでございますか。
  80. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) この燐酸の形態の表示につきましても、改正法成立をいたしますれば、関係の方々のお集まりを願って検討の上で確定いたしたいと思っております。現在のところでは各性質別、たとえば水溶性燐酸が最も多いというものについては水溶性燐酸の最大量を表示させ、枸溶性の最も多いものについては枸溶性の最も多いものを表示させるというふうに、各燐酸の性質の最大の量のものを表示させるようにいたしたいというふうに考えております。
  81. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 そうなってきますと、水溶性……、一番最大量のものをそこに表示するというようなことになったら、農家がこれを買うとき誤まりを起すようなことはございませんでしょうか。おのおの肥効が不足がある、多少があるというようなものを、これは水溶性はなんぼ、これは枸櫞酸はなんぼというような、最大量の表示ということになったら、これは農家が買うとき非常に困るという、そういうような懸念がございませんか。
  82. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 最大量性質のものを表示させるということについては、確かに三橋先生のおっしゃるように、農家が直ちにそれを理解するかどうかは私は疑問があると思います。思いますが、これはたとえ複合肥料の形態でありましても、どのような形態のものがどういう土地、あいるはどういう作物、どういう作付時期に適当かということは、これはたとえば表示をいたしませんでも、現在の保証票による表示のみにとどめましても、これは普及指導の段階に頼らざるを得ない事情が残っているわけであります。また溶解性のきわめて強いものであって特殊の用途を持ちますものについては、そういう使用上の注意等につきまして、必要があるならば、その旨を表示させることも、使用上の説明の表示をさせることも、これはこの法律で可能でありますので、その点と合せ考えて善処したいというふうに考えております。
  83. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 ちょっと考えてみますと、表示というものの手数を省きまして、保証成分量だけのあれで差しつかえないと思いますが、それはどうなんですか。
  84. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 保証成分だけという意味は、これは保証票に書かれている保証成分があるのだからいいじゃないかという御質問と理解をいたしますが、もちろん厳密に申しますれば、現在すべての肥料に保証票がかかっておりますので、その成分の表示はされておるわけであります。ただここで表示をさせたいと考えておりますのは、これはその表示によって内容についての責任をとらせるという趣旨よりも、この法律の中の思想として公正な取引をはかるという、そういう趣旨から考えて参っておる点でございまして、現在の化成肥料なり配合肥料の技術の実態は、これは銘柄の取引になっているのが実情でございます。たとえば何々化成肥料第一号、何々化成肥料第十何号というような形で取引をされておりますが、そのことは専門的な肥料商の場合には、これはそういう銘柄の取引ということで誤まらない場合が多かろうと思いますけれども、末端農家まで参ります際には、これはそういう何々化成第何号だということの取引では、これは取引の基準といたしましてはまことに不分明な、場合によっては無意味なように考えられるのでありまして、その際に含有成分量の表示がありますれば大よその取引あるいは施肥を前提といたしました取引の際の目安になると考えられるのであります。また行政指導上の足がかりといいますか、そういうような場合にもこれは一つの根拠になるということから表示の規定を、表示の命令を考えておるのでありまして、なお表示の方法、あるいは表示の中身の問題につきましては、先ほども申しましたように、施肥技術、あるいはその他の権威者の御意見を聞いた上でやって参りたいと思っておりますが、そういうことのできる道だけをこの法律考えておきたいという趣旨でございます。
  85. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 いいような悪いようなはっきりわかりませんが、肥料の価格の決定並びに適正価格というようなことになりますると、むしろこういう表示よりも保証成分量というもので取引を奨励していくということはこれは原則だと思うのでございますが、ただ銘柄だけで取引をされるということはこれは廃していかなければならぬことでございますけれども、保証成分量というものに重きを置かせるような指導法というものは、将来かえって農家の肥料に対する観念というものを高めるということになるのではないかと思うのでありまして、これは私はまあ今意見の相違でございますけれども、保証成分量一つだけでも差しつかえないような感じがいたしますがね。  その次にもう一つお伺いしたいことは、この保証票というものを包装の外に張りつけるということでありますが、しかしこの包装の種類によりましては石灰窒素その他のものにもありますが、紙袋のものがございますね、そういうようなものはそれにじかに保証票を印刷しても差しつかえないのでございましょうな。
  86. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 現行法の規定では保証票を貼付しなければ、となっておりますが、この貼付という意味は、別の票箋に記載しましたものを付着いたします場合と、容器に明瞭に認識できるような印刷ができますならば、容器または包装の外部に印刷をすることも含めて解釈して差しつかえないと考えております。
  87. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 話はずっと別になりますが、今非常に農家に関心を持たれております珪カルの取締りはどういうようなお取扱いになっておりますか。
  88. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 珪酸カルシウム、珪酸質肥料という、農林大臣の指定する成分を指定しろという格好でこの法律で取締りをいたしておるわけでございます。
  89. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 珪酸とか珪素とかの肥料の試験上の成績表が、栽培上からいっての肥効上の成績表がありますか。
  90. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 珪酸肥料の施肥栽培試験の実績は、これは改良局の方にあるはずだと考えますが、私ども肥料課の方にも参っておりますが、手元に持っておりませんが出ております。
  91. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 これはまた別な話でございますが、この第二条のあれを見ますると、「化学的変化をもたらすことを目的として」云々とございますね。今土壌の団粒組織促進のためにいろいろなものが考えられておりまして、将来ああいうものも肥料になる可能性があると思いますが、そういうようなものを今取締るとしたらどういうことでこれは取締ることになるでしょうかね。
  92. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) ただいま三橋先生から御質問のありました種類の物質は、これは現行法では「化学的変化をもたらすことを目的として」ということでございますから、物理的な形状に影響を及ぼすことを目的としておる種類のものと考えられますので、本法の取締り対象にはこの定義では入らないわけであります。
  93. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 それからもう一つですが、今度葉面施肥というのが将来行われてくると思うのですが、これもまあ「土地にほどこされる物をいう。」現在の取締りでは取り締ることができないということになりますが、将来取り締っていただかなければならぬような状態にきっとなると思いますがね。今でもまあカルシウムとか尿素などを少しやっておるのでございますけれども、そういう特殊の地上部から吸収させる栄養物ができた場合には、現行法では取り締れませんが、将来取り締る意思がありますかどうですか。
  94. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) おっしゃるように葉面散布による植物栄養剤のようなものが現われており、あるいは現われる可能性があることは仰せの通りでございまして、まず私どもとしましても尿素の葉面散布の問題が出ましたときにこの法律の定義の問題をいろいろ検討いたしたのでありますが、これは固形尿素の出現とともにまず実質的には解消せられるという考え方で、この際にはこの定義の改正に手をつけなかったわけでございます。ただ将来窒素あるいはマグネシウムあるいはマンガンというようなものについて、そういう葉面の散布、地上部に対する吸収能力に応じた物質が現われるということになって参りますれば、一方においてそれの肥効に対する判定、あるいはその成分に対する定性定量の準備、そういう技術的準備について自信を得ましたならば、これは国会改正の案を具しまして措置したいと思っておりますが、何分一般に肥料と称せられる、通俗に肥料と称されておりますものもいろいろと広範にわたっておるのでありまして、この法律がねらっておりますのは大宗としての大勢を支配する肥料の取締りということに重点を置いておると考えられるのでありまして、現状ではただ単にそういうものを抱括することはあるいは煩瑣、あるいは取締りの実行上実効を伴わない定義の空文的な拡張というようなことになるおそれもあるかと思いますので、今回は取りやめにいたしたのでございます。
  95. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 それから今原子力——ラジウムを含んだ、まあこれは肥料と言っていいのか、それとも植物生長促進剤と言っていいのかもしれませんけれども、そういうものもぼつぼつ販売されておるようでございますが、あれは全然取締りの対象にならぬということですか。
  96. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) これはラジウムその他の放射能による植物育成の促進を目的とし、それを看板にしました物質の販売、これは現在の法律では肥料の範疇に入らないというふうに解釈をいたしておるのであります。これも、ただいま申し上げましたような諸種の面における検討を待った上で、十分に準備を整えまして、将来にわたって善処したいというふうに考えております。
  97. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  98. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) 速記を始めて。
  99. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 新聞紙上によると、七月ごろ肥料の値下げをするというような農林大臣の談話が出ておりますが、これは取締法とは関係がなくて、安定法に関係あるわけですが、政務次官がいないからわからぬでしょうが、実際に今春肥の問題が一番大量に農家には影響するわけなんですが、七月ごろか六月ごろということは、どういう意味でそういうことになるのですか、ちょっとお聞きいたします。
  100. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 大臣の答弁されました事柄については、大臣の御真意を伺っておりませんが、事務当局が推測いたしますのは、硫安の値段は、これは法律上はいつ改正をしても差しつかえないのでありますけれども、慣例としまして、毎肥料年度を区切って生産者販売価格、最高販売価格を設定をいたしておるわけであります。で、現在は、三十肥料年度年度の途中でありまして、本年の七月をもって三十肥料年度が終るわけでございます。生産者販売価格、最高販売価格の決定は、臨時肥料需給安定法に基きます農林、通産両省の権限によって、原価の調査をいたしました上で、事務的な原価計算の上に立って設定をされるわけでございます。毎年大体六月ないし七月の初めの間に肥料審議会を開催いたしまして、そこに新しい肥料年度の硫安の生産者販売価格、最高販売価格の案を具して答申を求める仕組みになっておるわけでございます。で、現在通産、農林両省におきまして、昭和三十年度の下期の決算に現われました硫安の原価の調査を継続中でございます。三月にはさらに三十一年上期の硫安関係会社の決算が出ますので、これの原価調査が終りますと、これで年間の実績原価が検討が終りますので、その検討を終って具体的資料に基いて硫安の値下げをはかりたいというふうに大臣が考えられておるのであろう、またそのことが従来硫安の価格設定をして参りました正当なる手順として最も妥当な時期ではないかというふうに事務当局としても考えておるわけでございます。
  101. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 先ほど三橋さんからも、この肥料取締法ができても検査が十分でなければ何の役にも立たんじゃないかというような意味から、各都道府県やあるいは本省の肥料検査官の実情を質問したわけですが、これは非常に重要な問題であって、私の友人が成分表の検査をやってもらったところが、非常な何か疑惑を持つような、成分表と試験の結果が非常に違うというようなことで、今度は試験官、分析者の腕だめしというような意味もあったのだと思うのですが、いろいろな肥料を混合してそうして二カ所に出した。ところが、これがまたはなはだどうも意外な、両方が同じなら信頼もするわけだと思うのですが、違ったというので、依頼をした友人は非常に憤慨をした実例があるのであります。こういうことであっては、私は農民側として肥料会社の成分表を掲げておいてもらったところで、これはもう最高の成分表であって、それよりも下回っているものがあるのじゃないかというような心配があるわけです。そこでこの分析の成分表というものについてはもっと厳重な監督、指導があってしかるべきではないかと思う。ややもすれば、どうも取締法というものがせっかくあっても、取締官がどこにおるのだかわからんというようなことでは、農家の信頼をつなぐゆえんではないわけでありますから、これについてはもっと各都道府県にもやはり随時分析ができるような技能者を置くように予算上もすべきであると思うのですが、これについて一つ経済局長がおいでになりましたからお願いしたいと思います。
  102. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 朝から衆議院の方へ呼ばれましてまことに恐縮でございます。そういうことも必要と思いますので、すぐには間に合いませんが、今後せっかく努力いたしたいと思います。一応私が参ります前に御意見なり、御質問のありましたことは肥料課長をもってお許しを願いたいと思います。
  103. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 先ほども説明を申し上げました通り、現在国の検査所についても施設その他検査の体制の整備を取り進めておるところでありますが、府県につきましても、先ほど御説明のように、私どもとしてはまずなし得ることの手初めといたしまして、検査職員の質の向上をはかって参っておるのであります。具体的に御指摘のありましたどういう個所でありましたか、それが果して正当な検査機関でありましたかどうか私聞き漏らしたのでございますが、県の分析能力という点については、これも一がいには申し上げられませんが、県によりましてはなお十分でない、習熟しておらないというような県もございますので、これらの県につきましては農林省肥料検査官が中心となりまして分析の手合せをいたしまして逐次その誤差は縮小をしてきておりますが、その点についての技術習熟の指導、講習等についてはできる限り御趣旨のようなことの起らないように取り進めて参りたいと思っております。なお検査件数等は別に資料としてお手元に差し上げてございますが、農林省の検査所が収去いたしました、実行いたしました分析検査件数はかなりの量をやっておるのであります。ありますが、完全に全体の肥料について検査の目が届いておるというところまでは参っておらないことは事実でございます。なおその際に違反事項として農林省が把握をいたしましたパーセンテージは大体検査件数の六%程度が違反しておるという実績が出ておるのでありまして、これらの違反の事例に対しましては法律に基きまして、あるいは出荷の差しとめをするとか、あるいは販売品の収去を命ずるとかいうような適切と思われる措置をとって参っております。なお、そのほか法律に基く以外にも、肥料業者の自粛その他製造技術の向上にも指導を加えて参っておるような次第でございます。今局長からも答弁がありました通り、今後もこの法律の実効を上げるためにはそういう御指摘のような諸点についても努力をして参りたいというふうに考えております。
  104. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 先ほど化成肥料配合肥料等の問題で答弁がありましたが、その節単肥の燐酸肥料あるいはカリ肥料等が不足しておったがために化成肥料が相当につまり高い傾向があるという御答弁でありました。で、大体が化成肥料の原料はどういうふうに監督されておりますか。これは通産省の監督内と思いますが、通産省では燐鉱石の配給をしたり、単肥を作り、過燐酸石灰を作るように配給した燐鉱石が化成肥料にばけてそうして相当に利益をあけておるというようなことがありはせんかどうか。それについての監督や何かはどういうことになっておりますか。そういうことであるかないか、また監督の状況一つお聞かせ願いたいと思います。
  105. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) 答弁者に申し上げますが、簡明率直にお願いいたします。
  106. 長尾正

    説明員(長尾正君) 燐鉱石を特に化成肥料の方に多くやるというようなことは、先ほども肥料課長からお話がありましたが、特に単肥に重点を置く燐鉱石の配分を考えて現在実施しております。このやり方等につきましては農林省と十分打ち合せまして、地域的の需給度も考えまして、必要な地域に重点的に単肥用の燐鉱石の割り当てをやっているわけであります。この割り当てました石につきましては十分その入手状況、さらにその入手した石から過燐酸を実際作っているかどうかということは厳重に監督して参りたいと思います。それから化成肥料につきましては、大体化成肥料用として割り当てている石は現在ありません。単肥用として重点的に割り当てた残りをインポーター割り当てをやりまして、それにはインポーターの出先メーカーにつきまして、そうして割り当てる、これにつきましては化成を作れということでなしに、化成でも、単肥でも作ってよろしい、しかも作るものにつきましては毎月生産報告をとりまして厳重に監督しているわけであります。
  107. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 そういうことがはなはだどうもわれわれとしておもしろくないことなんです。これは私は通産省に抗議する意味において言うのじゃないんだ、しかしそういう御答弁を聞くとはなはだふんまんにたえないわけなんです。しかし今さらここで私はそれを追及して根掘り葉掘りしようという考えは持っておりませんが、少くとも先ほど肥料課長が答弁したのとあなたの答弁とは非常に違いがある。そういう答弁内容の違うことを云々するのじゃなくて、実際上の問題として過燐酸石灰が足りないわけで、もうかる方に燐鉱石を使ってしまっているということがあなたの答弁内容なんです。そこで私ははなはだどうも残念に思いますのは、こういう肥料というようなものは一貫的に農林省の監督下に置いて製造から販売、配給全部監督すべきであると思うのでありますのに、通産省と二つに分かれて、そうしてもうぬるま湯の中でへをひったようなことをやられたのではとてもたまらぬ。これは機構の問題にもかかってくると思うんですが、経済局長から一つ農林大臣に話していただきたい。きょうは来ておりませんからこの点についてはあまりやかましく言うてもらちがあきませんから申し上げません。今度の法律では異物の混入を認めているわけですが、元来が肥料屋というものはいかにしてごまかして異物を混入するかということが会社がもうかる最大のところなんです。肥料検査もこの異物の混入がどうであるかということについては十分検査をしなければならぬ。たとえば蒸製骨粉に対して石灰を混入して量を増して売っているというような場合もかなり想像できるわけです。混入したものを表示しろというようなことでこれは監督が十分にできるわけですから、この点について……。
  108. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 今回異物の混入を認める改正をいたしたいという趣旨は先ほども申し上げたわけでございますが、これは特殊の肥料についてだけ認めるようにする、監督の及びにくいというような種類の肥料については異物の混入を一切認めないということにいたしたいと思っておるのであります。さしあたり改正法の第二十五条のただし書きによって異物の混入を認めます肥料は、石灰窒素と熔成燐肥程度に押えていきたい、それ以外のものには一切異物の混入を認めない。この種のものに認めます理由は、先ほども申し上げた通り、製造技術上全く同じ成分量のものを生産するということはほとんど困難であるという事情にありますので、ばらばらの製品ができましたためにそのばらばらの成分量で販売をいたしますと、それは新しい銘柄の登録を行いますとか、非常に厄介な取引上の混乱といいますか、複雑になって参るわけでありまして、こういうものは、たとえば石灰窒素成分二〇といたしますれば二〇・五と出たものはこれは〇・五%だけ炭カルの混入によって成分の調整をするという程度肥料の成分調整についてだけ特定の物資の混入を認めるということで取締法上困難を来たさないようにいたしたいというふうに考えております。
  109. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 最後にこの第二十一条に、施用上、保管上の注意、原料の使用割合等必要な事項を容器に表示させることができる、こういうことが規定してあるわけですが、私はこれはもう当然表示させるべきである、だから従って表示せねばならないというように法律にもうはっきり規定しておくべきだと思うのですが、この点について局長のお考え一つお願いしたい。
  110. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 硫安など製法上からも販売上からも明確なものは別といたしまして、必ず命ずるつもりで規定をいたしております。
  111. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 従って私は命ずることができるじゃなく表示せねばならないというように規定したらどうかと思うのです。
  112. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 登録、仮登録によりまして公定規格を認めるようなものは命ずるつもりでございまして、命ずる要がない単肥のものもございますから、運用のよろしきを得て佐藤委員のおっしゃる通りにやろうと思ってこういう規定にしたのであります。
  113. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) 本法律案につきましては以上で質疑を終了して次回の委員会において直ちに討論採決を行なって差しつかえありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) それではそのように取り運びたいと思いますから御了承願います。   —————————————
  115. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) 続いて農地開発機械公団法の一部を改正する法律案内閣提出予備審査、これを議題にいたします。本法律案につきましては去る二月二十一日の委員会において提案理由説明を聞いたのでありますが、本日は本法律案審査前提となる農地開発機械公団の現況、乳牛の導入計画、その他参考事項並びに本法律案内容等について政府委員から簡明に補足的説明を聞くことにいたします。
  116. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) まず農地開発機械公団の発足から現在に至りまする概況を申し上げます。公団ができましたのは昨年の十月十日でございまして、理事長以下の役員の任命も終りまして発足いたしております。現在職員の数は約五十人程度でございます。内部の組織につきましては東京に本所がございまして、上北と根釧に支所を置いております。申すまでもなく、この公団の目的は農地の造成、改良の効率化をはかりますために、高能率の機械をもちましてこれを国その他のものに貸し付ける、こういうことになっておりますが、この資金の一部は世界銀行の借り入れによることに相なっておりまして、ちょうど目下世界銀行のその方面の担当者が参っておりまして、今いろいろ打ち合せをいたしまして大体実質的には結論が出て参っております。従いまして借款の正式の締結も間近であるという見込みをつけております。  三十年度におきましては、これは公団法の附則によるものでございますが、国営事業の委託を受けてやっておりますが、これが見返り資金から五億五千万円借りまして、その元利は三十一年度から五カ年内に払うことに相なっておるのでありますが、これは御承知通りであります。公団はその仕事を政府から委託を受けまして、上北につきましては農林省の仙台の農地事務局長、それから根釧の地区と篠津の地区につきましては、これは北海道の開発局長に再委託いたしまして工事の実施に当ることになっております。  三十一年度計画でございますが、まず機械開墾につきましては世銀の借款のこれは約百万ドル予定しておりますが、これに国産機械約一億円を合せまして、上北と根釧の開墾事業を行うことに相なっております。それから篠津地区でございますが、これは篠津の用排水、それから客土関係の機械を公団が用いまして、これを北海道の開発局に貸与いたしまして国営事業に使用するということに相なっております。金の方はこの方の輸入機械が約二百六十万ドルということに予定をいたしております。  それからなお別途余剰農産物の資金の融通を受けて国産の機械を買いまして、これをまた篠津の地区にあわせて用いることに相なっております。  それから乳牛の関係につきましてはあとで畜産局長から御説明をいたします。  なお今度の改正点に触れて申し上げますると、改正点は二点でございまして、一つは農地開発機械公団がジャージー等の輸入乳牛の取扱いをするということが一点であることは御承知通りでございます。もう一点は保有いたしまする機械を効率的に利用しますために、農地の造成、改良以外の用途にも臨時的に使い得る。本来の業務の遂行に支障がない場合には他の用途にも使えるということにいたしまして、全体の経済的な運営をはかりたいというのがねらいでございます。簡単でございますが、以上の通りであります。
  117. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 機械開墾事業に伴う入植地の乳牛導入について御説明申し上げます。  機械開墾地区にはジャージーを入れよう、こういう考えであります。そのジャージーの輸入については世銀から金を借りまして、まず本年度から機械開墾地区、すなわち上北及び根釧地区の予定地区の周辺に、上北は現在十和田地区として集約酪農地帯が指定になっておりまして、そこへ今年と来年にかかりまして入れまして、その仔を一方機械開墾地区の事業が進捗するにつれて三年目あたりからこれを入れるということにいたすのであります。根釧の方は厚岸地区と申しますが、その地区に入れる。同様にそこでできた仔を機械開墾地区に入れる、こういう考えであります。現在まで集約酪農地域でジャージーを入れておるところは三十年度で八地区になっております。すなわち日高、十和田、岩手、浅間、八ツ岳、富士、岡山、霧島と、こういうふうになっております。大体ジャージーを入れまして、そういう何というか草地帯で作物のよくできない地帯に入れると、ジャージーが非常に適しているということが過去三カ年の経験で相当確立しまして、初めのうちは飼養管理の方法等についていろいろ問題がありましたけれども、だんだん馴れてきまして、この分であればいわゆる市乳として入れる地区以外の原料乳地帯というものにはジャージーが適するだろうと、こういうふうなことを考えておるのであります。今後は従来の仔返制度をかえまして、償還金でやっていくと、こういうふうに思います。これから入れるジャージーの目標は二十八年に六百、二十九年に千八百、三十年に千八百入れておりますが、三十一年度から三十六年度までにそれぞれ各年度二千五百頭入れまして約一万九千頭余りになりますが、それをもちまして十年後には十万頭のジャージーが日本でできるというもくろみでやっております。三十一年度は二千五百頭のうち六百頭だけは、三十年度に新規地区としてジャージーを入れております浅間山ろく、宮崎県の霧島に従来の制度によって今年三百頭ずつ入れておりますので、来年も三百頭ずつ、従来の仔返制度で六百頭にします。残り千九百頭を世銀の融資によりまして機械開墾地区に入れようというのであります。今度のやり方は機械公団が世銀から金を借りましてそれをもって豪州から牛を入れ、それを県に貸し、県が農家に貸し付ける、こういうやり方であります。大体約十一万円ばかり一頭の経費がかかりますので、それでは現在のホルスタインの価格等に比べて高過ぎるので、運賃の一部その他を国で持つことにいたしまして、予算面では八万八千円で農家に貸し付ける、こういう計算をいたしております。そのうち世銀の分はいわゆる外貨分でありまして、一頭当り六万三千五百二十円であります。それは三年据え置きで七年の元利均等償還、利率五%で貸し付ける。差額の二万五千二百九十五円は有畜農家創設資金によりまして一年据え置き、三年の元利均等償還で返していく。従いまして最初農家が払うのは約七千円余りを一年目に払う、自己負担分全部を有畜農家創設資金で貸せませんので、約三割は自分が出さなければならぬ、約七千円を持てば借りれる、こういうことであります。従来の仔返制度でありますと、最初に三万二千円を頭金として払わなければならぬということになっておったのがいろいろ問題がありましたので、こういうふうな長期の金に切りかえた方が頭数をだんだん増す上においては都合がいい、こういうのでそういうふうに切りかえたのであります。大体乳牛の導入につきましては、概括的な構想は以上の通りであります。
  118. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) 以上説明を聞いたのでありまして、本日は質疑を予定しておりましたが、時間の都合によって質疑は次回に譲ることとして残余の議事は他日に回して、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十二分散会