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1956-03-20 第24回国会 参議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十日(火曜日)    午後一時三十二分開会   —————————————   委員の異動 三月十七日委員白井勇君及び藤野繁雄 君辞任につき、その補欠として秋山俊 一郎君及び小西英雄君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            青山 正一君            重政 庸徳君            戸叶  武君            三浦 辰雄君    委員            秋山俊一郎君            小西 英雄君            佐藤清一郎君            長谷山行毅君            横川 信夫君            東   隆君            河合 義一君            三橋八次郎君            森 八三一君            千田  正君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   参考人    東京都副知事  佐藤  基君    愛知農林部長 岩瀬 繁一君    名古屋助役  横井 亀吉君    六大都市水産物    卸売人協会会長 寺田 省一君    全国青果物卸売    会社協会会長  藤岡 卓兒君    六大都市中央卸    売市場水産物仲    買人組合連合会    理事長     清久 辰治君    全国青果卸売組    合連合会会長  江澤仁三郎君    全国青果小売商    組合連合会会長 大澤常太郎君    全国漁業協同組    合連合会専務理    事       岡  尊信君    全国販売農業協    同組合連合会参    事       勝賀瀬 質君    日本園芸農業協    同組合連合会会    長       塚口 勇作君    日本冷蔵株式会    社社長     木村鑛二郎君    東京青果協会会    長       荒木  孟君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中央卸売市場法の一部を改正する法  律案内閣提出)   —————————————
  2. 戸叶武

    理事戸叶武君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  まず、委員の変更について御報告いたします。白井勇君及び藤野繁雄君が辞任され、秋山俊一郎君及び小西英雄君が選任されました。   —————————————
  3. 戸叶武

    理事戸叶武君) 一、前回に引き続いて、中央卸売市場法の一部を改正する法律案内閣提出参議院先議)を議題にいたします。  中央卸売市場は、生鮮食品需給調整及び価格形成の中枢的な地位を占めるきわめて重要な機能を持っておるのでありまして、これが組織及び運営いかんは、市場の直接関係者はもとより、生産者に対してもまた消費者に対しても、重大な影響を及ぼし、社会経済上きわめて重要な問題であります。しかるところ、御承知のように現行の中央卸売市場法は大正十二年の制定にかかり、その後ほとんど改正が加えられることなく今日に至っているのでありまして、時運の推移によって実情に即しないものがあり、改正の必要が認められ、当参議院農林水産委員会におきましては、かねてこれに関心を払い、あるいは政府を促し、あるいはみずからこれが検討を続け、過般は当委員会委員の有志によって、当面必要な点について法律改正が発議されたような次第であります。ところが、今回政府から中央卸売市場法の一部を改正する法律案参議院先議をもって提案、本委員会に付託され、当委員会はすでにこれが審査に着手したのであります。この法律案は前にも述べましたような次第によって、きわめて重要な意義がありますので、その取扱いに最善を期するため、今回市場に直接御関係せられ、あるいは御造詣の深い各位をわずらわし、参考人として本改正法律案について御意見を伺うことになりましたところ、各位におかれましては、きわめて御多忙中をお差し繰り御出席いただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  ただいまから、お配りしておきました参考人一覧の順序に従って、御高見のお述べをいただきたいと存じます。なお、せっかくの機会でありますから、十分御意見を伺いたいのが本意でありますが、時間の都合がございますので、はなはだ遺憾ながら御発言は御銘々十分以内ということに御了承願いたいと存じます。各委員からの御質疑は全部の参考人の御意見の御開陳が一応終った後にお願いすることにいたし、なお質疑が終ったあとで必要があれば懇談の時間を設け、本日の委員会はおそくとも五時までには終りたいと思いますから、そのようにお含みの上議事に御協力をお願いいたします。  では、佐藤東京都副知事から順次御意見をお述べを願います。
  4. 佐藤基

    参考人佐藤基君) 中央卸売市場の問題につきましては、農林当局初め衆参両院関係議員各位には常々非常な関心を払われまして、その健全なる発達を期しまして、いろいろ御協力、ほんとうにありがとうございます。今度の法案もおそらくその趣旨で出たことと思うのでありますが、ただ、東京都の立場といたしましては、そのうちの二つの点について、さらにできれば御再考をわずらわしたいと思う点があるのでありまして、委員長からお話のある通り、時間も制限されておりますので、きわめて簡単にその点について意見を申し上げたいと思います。  その第一点は、中央卸売市場卸売卸売人許可に関する規定改正であります。この点につきまして、政府法律案提案理由を拝見いたしますと、この法律制定後今日に至る生鮮食品流通取引市場を見ると、卸売人業務関係区域はますます広くなり、ほとんど全国的なものがあるということを前提としているように思われるのです。都といたしましては、この中央卸売市場というものは、生産者のことはもちろん考えなければなりませんが、都民消費ということを一つの重点として考えておるのであります。いろいろの行政につきまして、その行政の影響する範囲が都道府県に限られておる場合におきましては、都道府県知事がやるというのが原則である、ただし、その行政が数府県にまたがる面がある場合におきましては、主務大臣がやるということはやむを得ないと思うのであります。そういう見地から都の実情を見ますというと、卸売業者関係に直接関係生産者関係におきましては、農林省の言われる通り従来からも都の生産物を都で消費する場合よりも、むしろ都以外の生産物を都に持ってきて都民消費に充てるという実情でありまして、その点においては大した差はないと思うのでありますが、われわれ先ほど申します通り消費者ということを非常に考えておるのであります。  そこで中央卸売市場における消費の状況を見ますというと、都内消費というものが市場取引のどのくらいに当るかということ、これはごく最近の調べがありませんが、昭和二十九年の三月と十月に調べたものがあるのです。それによりますというと、野菜の取引の九割は都内消費されておる、これはほとんど全部都内消費されている。くだものにつきましては七割が都内消費されている。魚につきましては、だいぶその事情は異なりまして、五割五分が都内消費され、四割五分が都外消費されるという実情であります。そういう実情でありまして、これを通観いたしますというと、将来の問題は別として、現在におきましては、市場で扱われるものの大部分は都で消費される、都民のために消費されているというのが実情であります。そういう見地からしまして、やはり知事の今やっている権限農林大臣に引き上げるということは、時期尚早ではないか、そういうふうに考えておるのであります。なお、その点につきましては、卸売業務許可と、施設使用許可というものを一つにした方がいいという意見があります。また卸売業務を指導監督し、その実情を最もよく把握しておりますところの都がやった方がいいということも言えますし、また卸売人仲買人及び売買参加人の三者につきまして、これはいわゆる三位一体として対等の地位に立つことによって、適切な業務運営ができるのでありますからして、従ってこの三者の許可同一人であるということが必要であろうと思うのであります。また卸売人許可権農林大臣に引き上げるということは、ややもするというと生産者偏重ということになりまして、これは消費大衆から考えますと、遺憾なことではないかと思います。そのほかこの法案を見ますというと、農林大臣開設者意見を聞いてこれを尊重するということがありますが、これは要するに市場というものがその地元住民と非常な密接の関係があるということを裏書きするものでありまして、むしろ農林大臣許可をしないで、現行通りやらせれば、そういう趣旨はさらに徹底するのではないかと思うのであります。  次に類似市場の問題であります。類似市場につきましては、中央卸売市場開設のときにおいては、むしろ類似市場を制限して、中央卸売市場の健全なる発達育成をさせようという趣旨のように法律は読めるのであります。その事情東京都におきましては現在も変っておりませんが、やはりこの類似市場というものについては、むしろ中央卸売市場の健全な育成という見地から、廃止ということもむずかしいのでありますが、大体そういうふうな気持を持っておるのであります。ところが類似市場につきまして、届出制をとるということは、これは見方の相違になるかもしれませんが、われわれといたしましては、それはある意味において政府類似市場を公認するというふうな事実上の働きが起るものでありまして、市場開設当時あるいはそれ以後におけるところの類似市場に対するわれわれの立場としては、むしろそれは本来の精神に逆行するものではないかという危惧を抱くのであります。  以上二つの点、すなわち卸売人許可に関する点、及び類似市場に関する点、この点については遺憾ながら東京都といたしましては、御再考願えれば幸いだと存ずる次第であります。簡単でありますが、以上をもって私の意見を申し上げます。
  5. 戸叶武

    理事戸叶武君) この際お諮りいたします。佐藤参考人は緊急の要務のため退席されますので、同君に対する質疑はこの際簡単に御質疑願います。
  6. 青山正一

    青山正一君 佐藤参考人にお伺いしたいと思いますが、現在仲買人新規許可はどういうふうになっているか。たとえば仲買人制が終戦後制定される際、だいぶあなたの方の関係都会議員とか、あるいは経済委員とかの圧力で、自由に仲買人の任免があったように思われているわけですが、そういう点、御存じになっておられるかどうか、その点そういう事実があったかどうかという点をお伺いしたいと思います。
  7. 佐藤基

    参考人佐藤基君) ちょっと古いことは存じませんので、幸いに都中央卸売市場長が参っておりますから、市場長に答弁さしてよろしゅうございますか。
  8. 戸叶武

    理事戸叶武君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  9. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記を起して。
  10. 青山正一

    青山正一君 もう一つ課題を投げておきたいと思いますが、現在東京市場における設備のうち、卸売人仲買人店舗割合、その他付属所とか、あるいは類似業者市場内でどういう割合市場を使っているか、つまり市場施設を使っているか、その点もおそらく佐藤参考人ではおわかりにならないと思いますから、後ほど市場長によく御意見を聞いて一つお聞かせ願いたいと思います。  それから市場使用料は、年間どのくらい東京都として収入があるか、その点も佐藤参考人はおわかりにならないだろうと思いますから、後ほど市場長によく御意見を聞いて、一つ拝聴いたしたいと思います。  それから仲買人の一軒あたりの使用店舗の広さ、坪教はどれほど現在使っているか、これは今後東京都の施設を大きくするか、小くするかのいろいろな参考のためにお聞きしたいと思いますが、その点一つ承わりたいと思います。  それからこの点は、おそらく佐藤さんはお答えできるだろうと思いますが、佐藤さんの方の六大都市の市長の名前で陳情が行われているわけなんですが、その陳情の内容に、市場卸売人仲買人売買参加人三位一体となって対等の地位であるが、卸売人だけが農林大臣許可であると、地位優越感を与え、円満に市場運営ができないというようなことを陳情書にうたってありますが、今までそういったお気持開設者が進んでおったかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  11. 佐藤基

    参考人佐藤基君) 手数料は私の記憶が違っているかもしれませんが、たしか二億三千万円ばかりだったと思っております。  それからその市場関係者を同じに扱うという点は、これは従来から考えている点でありまして、卸売人だけが農林大臣から許可を受けるということは、心理的に上下の差がつく、重い軽いの差がつくというふうに考えておるのであります。そこでわれわれとしては、なるべくその関係者は同じに扱っていきたい、従って卸売人だけ農林大臣からするということはどうかと、こういうふうに思っております。
  12. 青山正一

    青山正一君 東京における魚類仲買人の数が非常に多いように思われるわけでありますが、現在都当局といたしまして、仲買人の員数はどれだけの数にすれば適当かと、現在の数がどれだけか、魚類あるいは青果についてお答え願いたいと思います。
  13. 佐藤基

    参考人佐藤基君) この仲買人の数の問題は、これはいろいろ従来の沿革もありますし、理想論として幾らときめることもなかなかむずかしいのみならず、現状を変更するということは、市場当局においても十分研究しておりますが、いろいろの関係がありまして、まだ幾らがいいということを申し上げる段階には達してないと思います。   —————————————
  14. 戸叶武

    理事戸叶武君) では、次に愛知農林部長岩瀬繁一君。
  15. 岩瀬繁一

    参考人岩瀬繁一君) 私から、ただいま政府から提案されております中央卸売市場法改正案につきまして、申し述べたいと思っておりました点は、たまたま、ただいま東京都の佐藤知事からお述べになりました二点に関してであります。佐藤知事からお申し述べもありましたので、簡単に申し述べたいと思います。  第一の中央卸売市場卸売人許可権限の問題でありまするが、原案におきまして、中央卸売市場重要性なり、またその関係する地域がきわめて広範でありまして、必ずしも当該卸売市場の所在いたしております府県のみに限らない、こういう意味合いから、卸売人許可権限農林大臣権限とされるような原案でありまして、御趣旨はまことにごもっともでありまして、あえて強く反対すると、こういう意味合いではありませんけれども、たとえば愛知県などの例をとりまして考えてみましても、名古屋卸売市場に上場されます蔬菜にせよ魚貝類にせよ、ずいぶん県下の産のものもありますると同時に、他府県から移入されておりますものもあるわけであります。反面愛知県からずいぶん他の府県の、たとえば東西市場に移出をされまして、東西卸売市場に上場されるものもずいぶん多いわけであります。そういう意味合いから、その品物を取り扱います卸売人許可権限農林大臣の所属に移しますこと、まことに先ほど申し上げましたごとくもっともでありまするが、一面それぞれの府県知事におきましては、申し上げましたようないろいろな事情を十分考慮いたしまして、上場されます品物取引の安全なり、あるいはその価格形成が公正に行われるようにと、こういうことを従来とてもずいぶん考慮いたしまして、許可をいたして参ってきておるわけでもございまするし、将来中央卸売市場の関与します部分地域的にも非常に広まり、ないしは関係する部面の広く大きくなるにつれまして、将来とても同様の考え方をさらに強く推し進めて参ることでもございますので、あえてこれを農林大臣権限に移すまでもないではなかろうか。十分本省の御趣旨を体しまして、取引の安全を旨といたしまして、事に当ることでもございますので、従来同様の考え方で進んで支障ないのではなかろうか、こんなふうに考えるわけであります。  それから第二の類似市場の問題でありまするが、実はこの点につきましては、愛知県といたしましては、類似市場規制を県の条例をもって行なっております数少ない府県のうちの一つでありまして、相当愛知県といたしましては関心を持っておる点であります。提案されております原案類似市場のうち、一定の規模以上のものについてはこれを農林大臣に届け出まして、農林省の所管とされます。その点につきましてはあえて異議はございません。ただその将来の実施をどういうふうにしていくかと、こういう面でいろいろその間問題がありはしまいかと、こんなふうに思うわけであります。先に申し上げましたように、愛知県では県条例をもちましてそのような民営市場についての規制をいたしておるわけでありまするが、かりに原案がそのまま通過をいたしまして、たとえば現在の名古屋卸売市場地域内におきまする一部の民営市場農林省の、何と申しますか規制下に入ると、しからば他の一部がどうなるか、より小さい類似市場が従来同様県条例のいわば適用を受けることになるのか、あるいは中央市場地域内におきましては、そのような府県条例適用を排除することになりますのか、その辺が必ずしも明確でありませんので、その点何と申しますか、もし後者であるといたしますると、ずいぶん将来の問題といたしまして、弱小類似市場がたくさん出はしまいか、それによって取引の公正あるいは安全を乱すおそれを生じはしないだろうか、このような心配を持つわけであります。もしまあ前者、すなわち一定基準以上のものにつきましては農林省規制をすると、それ以下のものにつきましては従来同様県条例規制を受けると、こういうことになりますると、何と申しますか、先ほど話も出ましたように、農林省にはこれは届出だけで一応済む、というては変でありまするが、届出によりまして業務開始ができる。ところが他の県の条例におきましては、類似市場開設自体につきまして知事認可を受けろと、かような規制がされておりますので、より小さいものについては知事認可を経た上で初めて業務開始ができるし、より大きい、一定基準以上のものについては農林大臣に届け出ることによって業務開始ができると、まあ法律上どうこうということにはなるまいかと思いますけれども、事実上どんなものであろうか、なるほど大臣府県知事との相違はございますけれども、より大きいものについては届け出て業務開始ができるし、より小さいものについては、何と申しますか、知事認可を要する、ちょっと権衡を失しはしないだろうかと、こんなような感じを持つわけであります。先に申し上げましたように将来の実施いかんによりまして相当むずかしい問題をはらみはしまいかと、こんなような感じがいたすわけであります。ただ本省で御趣旨といたします、類似市場につきましてもこれに上場魚菜あるいはその他の物品につきましての取引の公正をできるだけ確保しようと、こういうような意味合い規制をされますことにつきましては、これはごもっともな御措置と存ずるわけでありまするが、その実施に当って十分一つ地方実情をも御考案の上実施にお当りを願いたいものと、こんなふうに考えるわけでございます。  以上はなはだ簡単でありましたが、一応考えを申し上げまして、後ほどいろいろ御質問にお答えいたしたいと思います。   —————————————
  16. 戸叶武

    理事戸叶武君) 次に名古屋助役横井亀吉君。
  17. 横井亀吉

    参考人横井亀吉君) 私の申し上げることも大体前のお二方のおっしゃったことと同じことなんであります。  一つは、卸売人許可の問題、それから一つ類似市場に関する問題と、こういう二つになるわけなんでございますが、先ほど東京都の副知事さんがおっしゃいました言葉と、それから愛知農林部長さんのおっしゃる言葉は同じようなんですけれども、資格が違うわけですから、そこがちょっと違うところでございまして、開設者として東京都副知事さんがおっしゃる言葉と同じような結果になるわけでございます。他の府県におきましては、開設者ではございませんので、それが多少違うというところでございます。今申し上げた卸売人許可、それから類似市場に関することと、こう二つであります。卸売人許可はやはり一番事情の詳しい開設者に与えていただくのが一番いいのではないかという考え、それから類似市場に対しましては、少くとも中央卸売市場法によって指定せられた地域内においては、類似市場はなくしたい、そういう考えのもとに意見を申し上げてみたいと思うのであります。  申し上げるまでもございませんが、先ほど委員長からもお話がございましたが、生鮮食料品の集散に当って、食生活の安定だとか、それから公正の取引だとかいうようなことにつきまして、卸売人を選定いたします場合に、ただその外見から見ました資力であるとか、あるいは商売が上手下手だとかいうことだけでは卸売人の選定はむずかしいと考えます。まあ、在来の業績だとか、あるいは生産者に対する信用度だとか、それから対小売人に対する信頼度など、いろいろな条件があると考えるんであります。そういう場合に、この市場運営管理等をやっておりまする開設者との協調関係、そういうことも非常に必要だと考えるので、特にこの卸売人は広い卸売市場使用いたしております。先ほど質問にございましたように、場所を使用するのと同時にこれに付随する諸施設使用しておりまするが、その設備運営だとか管理だとか責任だとか、そういうものは一切開設者が義務づけられておることでございまして、そういうものを使用させる場合に、これを使用する卸売人業務許可と、それから施設使用許可とは同一である方が都合がいい。ただに都合がいいばかりでなしに、これは不可分のものと考えて差しつかえはないのではないかというふうに考えるんであります。これを別に取り扱うことは、市場運営にいい結果は生まれてこないというふうに考えるんであります。それから業務運営の上からいっても、能率の上からいっても、指導、管理の上からいっても、これは同一であるべきが順当であると考えておるのであります。それからなお、開設者市場運営責任者である関係から、長い間地方々々の事情に精通しておることは申すまでもございませんが、それぞれ地方によって事情が違いますので、そういうことのよくわかった、しかもそれに適した卸売人を選定するのには、開設者が一番適当であるというふうに考えておるわけでございます。それからなお、従来は開設者地方公共団体でなければならぬという規定はございません。だれでも開設者になることができたわけなんでございますが、今度の法律地方公共団体でなければ開設者になれないというようなことになるようでございますから、そうすれば、そういう卸売人許可権限を与えましても今までのような不安だとか心配だとか、そういうようなことは一切ございませんので、開設者に安心して許可権を与えていただいていいと考えるわけであります。  それから市場指定地域公共団体の域を越して、他の地方公共団体にまたがる場合がたまにあると思うのでありますが、そういう場合は公共団体相互の話し合いで円満にこんなことは片がつくことと考えておりますので、開設者卸売人許可権を与えていただいて何ら差しつかえないばかりでなしに、非常に便利で都合よく運ぶように考えております。それからなおこれは私仄聞したのでありますが、卸売人許可権農林大臣に移管するおもな原因は、先ほどもちょっとお話がございましたようでありますが、中央卸売市場というものが集散市場的な性格にだんだん業務が広がってきた、従って大臣が監督するのが適当であろう、そんなことも原因になっているように伺っておりますが、これは先ほど都の副知事がおっしゃるように、都市内における膨大な消費がもとになりまして、そうして関係者はもちろん、開設者並びに他の関係関係者が長年の犠牲と努力で、生産者方面に対する事柄もそうでありましょうし、消費者方面の関係も非常に信用ができてきて、そうして集散市場化するような傾向が出てきたと思うのであります。これは言いかえれば、今まで監督指導が行き届いていい形になってきたから、集散市場のような大きな仕事ができるように基礎づけられてきたというふうに考えられるわけなんで、悪いのではなくて、だんだんよくなってきたわけなんであります。従って育成してよくなりつつあるこの状態を、一そう助長することの方が本当ではないかと、さように考えるわけでありまして、特にその上に、開設者卸売人許可権を与えていただければ、その信用度もなおさら増すであろう、なおよくなるであろうと考えているようなわけでございます。  そこで改正案を拝見いたしますと、卸売人許可については、開設者意見を尊重するというふうに表われているようでございますが、おそらくこの御尊重いただくということは、特別の場合を除いては開設者意見通りにしてやろうという御意思だと考えるのでありますが、もしそういう意思とするならば、開設者許可権を与えていただいた方がなおさらいいのではないか。さように考えているようなわけでございます。  それから次に類似市場の件でありますが、類似市場につきましては、正常なる取引を混乱させるとか、あるいは生産者消費者に非常な不測な迷惑をかけるとかということで、整理統合をしろというので、農林省から再三の御慫慂によりまして、私の名古屋におきましても、整理統合を過去両三年にわたってやったわけでございます。これは今までもたくさんな実例がございまして、小さな市場がたくさんに乱立いたしますると、消費者に迷惑をかけるばかりでなしに、特に農林省関係で非常に顧慮なさっておられます生産者の方にも非常に迷惑をかけるわけなんであります。買い入れてお金が払えなかったり、いろいろな状態が生まれてくるわけでございまして、農林省の方針によって整理統合をして、かたい大きな業者でやるようにという御方針に対しては、満腔の賛意を払ってそれに協力して、一生懸命に統合をやったわけでございます。そういう類似市場のものをなくするために努力を払ったわけでございまするが、ところが私の方におきましても、先ほど農林部長からもお話がございましたが、県の条例によります類似市場といいますか、市場があとからできて参りまして、名古屋では整理統合に対して莫大なお金は払いませんけれども、非常な経費と努力と、そういうものを費やして、過去何年間にわたってようやく整理統合したところが、類似市場ができてきて、中に入った人間にとっても不満がある、業務の運行にもどうもおもしろくないことが多いという場合非常に困っておるのでございます。従って私どもの考えとしては、どうぞして類似市場というようなものは、少くとも中央卸売市場法によって指定せる地区の中においては設けないようにしたい、さように考えておるわけでございます。この点についてはなお一つよく御検討をお願い申し上げたいと考えておるのでございます。なお整理その他に当ってとりました経過その他につきましては、時間がございますれば申し上げたいと思うのでありますが、時間も制限されておるようでございますから、また何かあとで御質問でもございましたら、一応申し上げることにいたしたいと存じておるような一わけでございます。  以上がわれわれが希望いたしておりまする意見でございます。   —————————————
  18. 戸叶武

    理事戸叶武君) 次に、六大都市水産物卸売人協会の会長、寺田省一君。
  19. 寺田省一

    参考人(寺田省一君) 寺田でございます。  このたびの中央卸売市場法改正案の中で、おもな改正の点につきましては、六項目ばかりをあげておられるのでありますが、その中で問題となります点は、中央卸売市場における卸売人の員数に関する事柄と類似市場に関する事柄とございます。中央卸売市場におきまする卸売人の員数の点について申し上げますと、中央卸売市場開設当初以来、最もこの点が重要な問題点であったことは御承知の通りと存じます。終戦後無制限複数という卸売人の制度を認めました結果、生産者及び消費者の皆様に対しまして、多大の御迷惑をかけることになったことも御承知の通りと存じます。政府におかれましても、この卸売人のあり方が乱立の弊をきわめておる、その弊を改めるようにということで幾度か通牒も出されまして、その乱立の弊の改め方についてお勧めもあった次第でございます。この点につきましては、関係業者の自主的な整理という方法によりまして、お互いの非常な苦心と多大な犠牲の下に、ようやく水産関係につきましては今日の状態を迎えたのであります。その結果ようやく今後は生産者、出荷者の皆様に対しましても、全体として御迷惑をかけることもあるまいと考えられるような状態になったのでございます。こういう事態を起しましたことも、つまりは卸売人の員数いかんということが原因でございますし、その員数いかんということが中央卸売市場の性格とその機能を左右する重要な問題であることは多くを申し上げることもないと存じます。これらの見方から、昨年年末に農林省におかれまして、中央卸売市場対策協議会というのが設けられまして、その協議会における答申におきましても、当面少数適当な数にとどめる、途中省略しますが、適当な法的及び行政的措置を講ずることというふうに答申されておると存じます。ところがこの卸売人の員数につきましての、少数適当な数にとどめるための法的措置ということにつきましては、今度の改正案によりましては何ら明示せられておりません。同時に仲買人に関する条項を新たに設けられました。この条項を設けられましたことについては、まことにけっこうで賛成でございますが、その条項の中にも員数の制限を明示されておるのであります。仲買人の員数を制限することが明記してありまして、卸売人についてその規定を明らかにしておられない。単に法文の解釈や、御当局の御説明のみによりまして、将来の運用によるということは、卸売人に対する重要な根本的な問題でありますだけに、卸売人にとりましてはもちろん、市場を利用する方々とされましても、最も不安を感ずる点でもあると考えます。同時にまた中央却売市場の性格及び機能に関する重大問題でもあると存ずるのであります。この点につきましては、政府当局の御説明、われわれが承わっております点から申しましても、あるいは参議院の委員会におかれましてのいろいろな御説明の内容というものを間接に承わっておりますところからいたしましても、政府当局の方針が員数の制限という点について別段の考えを持っておられるものとも思われません。やはり従来通り乱立の弊は防止しなければならぬという御方針に変りがないと思われますだけに、この点につきましては、法文中にぜひ明らかにしていただくことが必要であろうと思うのであります。そうして将来に問題の禍根を残すことになっては、これは大変なことであると考えるのであります。従って、重ねて申し上げますが、ぜひ法文中に明記していただきたい、もちろん員数につきましては、六大都市についてみましても、それぞれその都市その都市の事情があって、一律にお定めいただくということは、これは無理ということはよくわかっております。従いまして、農林大臣認可の下に定める各開設地における開設者業務規程でその員数を制限するということだけは法文中に明定せられたいと思うのであります。特に先般参議院におかれましていろいろ御検討になりました案に、独占禁止法の関係から御立案になっておられました営業譲渡でありますとか、その他の点については特別の措置を考えるということになっておりました点からみましても、その点が法文の上に明らかになっていないだけに、われわれとしてはあるいは杞憂かもしれませんが、心配をするものでございます。  次に類似市場の問題でございますが、大消費都市における中央卸売市場重要性は、ここであらためて申し上げるまでもないことと存じます。生産者消費者のために消費流通機構を確立するということが中央卸売市場法の根本のねらいであることについては、今後といえども変りがないと存じます。類似市場のようなものはその発生を防止するということが根本でありますとともに、従来の中央卸売市場法の建前としても、そういう点をねらっておったことと考えられます。しかしながら、現在の法制といたしましては、今般御審議中の改正案のような方法しか考えられないという御説明も承わっております。しかしながら、中央卸売市場法制定の本来の目的から見ますというと、現行法としては改正案のような規定しかできないということについては、必ずしも首肯することができないのであります。従いまして、中央卸売市場に対しましては、これも先般の協議会の答申にございますように、類似市場規制については、中央卸売市場との関係の調整等のため何らかの措置が必要と思われる、という答申もございましたので、中央卸売市場施設の改善をするとか、あるいはその運用面における弾力性を確保して、そのために必要な万全の御措置を願い、あるいは財政的な措置も必要でありましょうし、法的の措置も必要であろうと思われるのでありますが、かりそめにも中央市場の使命達成を阻害することのないように、全面的に中央市場のその公共的な使命の達成を支持せられますように、同時にまた中央市場外に対するところの関係から見て、無用な拘束でありますとか、制限でありますとかということによりまして、中央市場の活動を、その機能の発揮を阻害されることのないように十分の御留意を願いたいのであります。その意味におきまして、改正案におかれましても、善処せられますことをわれわれとしましては希望している次第でございます。   —————————————
  20. 戸叶武

  21. 藤岡卓兒

    参考人(藤岡卓兒君) 中央卸売市場法の一部を改正する法律案を拝見いたしまして、そのうち二つばかり私どもの協会として考えておりますことをお聞き願いたいと思います。  それは卸売人許可に関する——許可と言いますか、合併、営業権の譲り受けに対する独禁法の適用の問題と、それから類似市場の問題でございます。まず第一に、卸売人の合併または営業の譲り受けについて独禁法の適用除外の措置を講ぜられたいこと、卸売人中央卸売市場の機能の根幹をなす機関であり、現在各都市市場ともその多数の乱立により過度の競争に陥り、弊害を醸成しつつあることは事実であります。今回の法律改正にあっても、これが防止に備える条文の新設もとられておりますが、卸売業務の適正かつ健全なる運営を確保する道は、根本的には整備統合の実施にかかっております。しかるに、これを推進する上に独禁法の規定はきわめて否定的であり、これがため卸売会社の合併統合が阻止されている現状であります。前国会、参議院において農林大臣許可による卸売人の合併、または営業の譲り受けについては独禁法の適用を除外する趣旨改正案が提出され、目下継続審議中と承知しておりますが、本改正こそは中央卸売市場の改善の最重要かつ最捷径であります。同改正案の提出理由にも明示されているごとく、卸売人の統合はその業務の性質上、決して一般企業に見るごとく企業の独占ないしは競争の制限等による弊害を招来するものではなく、かえってこれにより関連事業者並びに一般消費者に寄与するものであります。先般農林省に設置されました中央卸売市場対策協議会の審議の際に、この件については満場一致賛同し、同答申においても「卸売人の営業譲渡又は合併については独禁法の適用を除外する措置を設けること」とあるに、今回政府提出の改正案にはこの点何も触れておりません。仄聞する、この件については農林省と公正取引委員会との間に了解事項として覚書を作成し、条文の上では明示されなかったとも言われておりますが、その間いかなる事情があるか不明で、一般には不安にたえぬものがありますので、ぜひとも条文の上に明確にされるよう御修正を願いたいのでございます。  つけ加えて申し上げますが、現在の中央卸売市場は、都市によりまして実情相違しておりますが、東京の神田のごとき、あるいは大阪市場のごとき大市場におきましては、先ほど東京都副知事が申されたように、くだものにおきましては、東京は七割が都内に出ている。神田市場におきましては、ほとんど半分近くの果実が東京都外に出ておりまして、集散市場の形態をなしております。大正十二年に中央卸売市場法制定されました当時は、出荷は個々まちまちであり、荷受けは個々まちまちでありましたが、現在におきましては、産地は完全な統制のもとに昨今統制をはかっております。荷作り、輸送、配給、すべてその通りであります。受ける方は中央卸売市場卸売人でございます。これも限られた数でありますが、不幸にして占領下におきまして、わが国の中央卸売市場卸売会社が、東京におきましては昭和二十二年五月、一つの会社が二十三の会社になりまして、自由競争のもとに出発したのでありますが、その弊害は今日に至りまして非常なものでございます。でありますから、先般の中央卸売市場対策協議会におきましても、この問題が協議の重点になったようなわけでございます。ただいまの市場は、大市場におきましては、集散市場の性格を帯びておりますし、従いまして、統制されて出荷される青果物は卸売会社の競売によって販売されるということで、これを仲買いもしくは小売商が買っておるのでございますが、神戸、大阪のごときは仲買いだけが買っておる実情であります。卸売会社の現在並びに将来の性格を考えますならば、これは単なる販売会社ではなく、オークション・コンパニーの性格を帯ぶべきであると考えます。ニューヨークにおけるオークション・コンパニーはわずかに二分の手数料で営業しておりますことから考えまして、わが国におきます卸売会社の手数料が蔬菜が一割、果実が八分ということは、これは現状においてはそれでもなお経営が成り立たない現状でありますが、この流通過程の合理化をはかりますことによりまして、それは逓減の可能性があると思うのであります。現在日本におきます青果物の生産というものは非常にふえております。従いまして、これが生産者の所得を維持し、並びに消費者に物を安く売るという建前を考えるならば、流通過程の合理化ということが一番必要であると思います。その流通の過程の合理化で一番大きな役割を果すのは卸売会社でございますので、これはやはりオークション・コンパニーの性格を帯びるということであれば、大市場におきましては対立ということが当然うたわれるわけでございます。これは市場によりまして実情が違いますから、実質的にどうこうという問題でもございませんが、そういう場合に法律に独禁法の適用が除外されるということが書いてなければ、はなはだ心細い次第でございますので、これはぜひとも公正取引委員会お話し合いの上で条文の上にお載せ願いたいと思います。神戸及び京都におきましては、すでに対立になります準備をやっておりまして、独禁法の適用が除外されるということが決定されれば、直ちに発足するということを聞いております。  次に類似市場の問題でございますが、中央卸売市場生鮮食料品価格の公正、配給の円滑を期し、もって生産者並びに消費者の利益をはかる目的で開設されるものであります。従ってその区域内においては中央卸売市場が一元的に運営され、他の類似業務を行う市場の併存を認むべきでないのが理想の形であります。現行法では中央卸売市場開設の前におけるこれら類似市場に対する措置規定があるが、開設後の発生禁止あるいは閉鎖に関する規定が欠けているので、中央卸売市場の公益的運営に支障ある場合は、開設の前後にかかわらず、これらの措置ができるよう本法を改正すべしとするのが、開設者並びに関係業界の年来の要望でありました。しかるに今回の改正案を見るに、全くこれと逆行し、類似市場届出制をとり、中央卸売市場との併立を是認する措置となり、類似市場の発生と繁栄を助長し、その弊害をさらに増大することになることは必定であります。類似市場規制についてはややもすれば違憲的処置であるとの説を聞きますが、一たん公共福祉のため国家的意思により中央卸売市場開設されたる後に、中央卸売市場に寄生して発生し、あるいは中央卸売市場の公開性を逆用して、中央卸売市場運営に支障を与える市場について排除の道を講ずることは当然の措置と思います。類似市場を公認し、中央卸売市場がこれら私設市場と併立競争することになる今回の改正案の建前では、何のための中央卸売市場であるか、全く開設の意義を失うもので、もしも類似市場規制につき積極的制限規定を設くることができぬとするならば、今回の改正はかえって悪弊の因となるものでありますので、全面的に関連規定の削除をお願いいたします。  以上でございます。   —————————————
  22. 戸叶武

    理事戸叶武君) 次に、仲買いの、六大都市中央卸売市場水産物仲買人組合連合会理事長清久辰治君にお願いいたします。
  23. 清久辰治

    参考人(清久辰治君) このたび中央卸売市場法の一部を改正する法律案政府より国会に上程され、議員各位におかせられましては、慎重なる御審議を下さっておりますることにつきましては、われら六大都市中央卸売市場の水産物仲買業者は多大の信頼と期待を寄せておるものであります。また本日は参考人として意見を述べる機会をお与え下さいまして、深く感謝をいたしておる次第でございます。  実のところを申し上げますれば、われわれ仲買業者は現行の中央卸売市場を一部改正するのではなく、全面的に改正していただきたいということを機会あるごとに申し上げて参ったのでございます。先ほど委員長よりもお話しあったごとく、現行法は大正十二年に制定され今日に至ったのでありまするが、この間におきまして、社会情勢の目ざましい変革があり、漁撈技術の進歩による生産量の増大、また人口の大都市集中化と交通機関の異常な発達等によりまして、生産、消費の面に大きな変遷を遂げて参ったのであります。それがゆえに私ら六大都市中央卸売市場におきましては、単なる開設地の消費市場ということではなく、全国の生産物の三分の一以上を扱う集散市場として発展して参ったのであります。われら六大都市仲買人は、商品の需給調整及び価格形成についての役割は実に重大なものでありまして、全国的に影響力を持つものと相なったのであります。このような使命を持っている仲買人を擁する、すなわち集散市場中央市場消費都市の中央市場とを一律の扱いをしておる現行の市場法に、われら仲買人は不満を持っておるものであり、昨年の市場対策協議会の席上におきましても、実態に即するように全面的の改正を強く申し上げておいたのでございます。  政府はこのたび法律の全面改正は今直ちに至難とされ、当面の処置として一部を改正する法律案を提出されたものと拝察をいたしまするが、われら仲買業者あくまでも全面的な改正を希望いたしておりまするので、もしも直ちにできないということであっても、近き将来に全面的改正に手をつけることを付帯決議としていただきたいと存じておる次第であります。この点何とぞよろしく御了察を得たいと存じます。  さて政府御提出の一部改正法律案につき、本院におかせられましては過般来御審議を重ねられ、政府委員より提案理由の御説明があり、また諸先生方と政府委員の方々との質疑応答等がございまして、それを拝察いたしますときに、政府の意図はよくわかりまするが、われら仲買人として特に深い関心を持っておりますることを二、三申し上げたいと思います。それは仲買人地位の確立の問題と類似市場との問題でございます。仲買人地位の法定化につきましては、長年私らの強く要望して参ったところでありまするが、昨年の対策協議会の席上におきまして、全委員の一致した賛意を表せられまして、政府提出案にもお取り上げ下さったことにつきましては、謝意を表しまするものでありまするが、しかしながら、その表現された字句がはなはだ弱く、われら全面的の法の改正を願っておる私どもといたしましては、現在としては法の一部改正はこれより仕方がないのかもしれませんけれども、もう少し適当な字句を強くうたっていただきたいことをお願い申し上げたいと存ずる次第であります。  類似市場の問題につきましては、この点につきましては、善意に解釈するのと、逆に悪意に解釈するのと非常な差がありまして、行政者の考えによって類似市場が盛んにもなり、また規制もされると私ら業者も心配もし、またこれでいいのかと思ったりもしておるのでありまして、また当委員会におきましても、この点についていろいろ御質問なり御審議になって、安田局長の御答弁には、いろいろこの点についてわれら業者の心配でないということについての御答弁がありまして、それを全面的に受けるなれば、これを了として解釈すべしと思いますが、それにしても、なお私がまたここでこの問題を取り上げて言いますということにつきましては、関係業者としては共通していまだに不安を感じておるわけで、この気持を御了察願いまして、不安を一掃すべく何らかの処置、すなわち決して類似市場を助長する意図のこれは法律ではないというようなことの付帯決議でも願えれば、はなはだけっこうと存ずる次第でございます。  以上述べまして、私の御意見といたします。   —————————————
  24. 戸叶武

    理事戸叶武君) 次に、全国青果卸売組合連合会会長江澤仁三郎君にお願いいたします。
  25. 江澤仁三郎

    参考人江澤仁三郎君) ただいま同じ立場にありまする仲買人立場から、清久君が申し上げましたので、私から申し上げまする意見も大同小異でございます。従って簡単に私どもの考えておりますることを、並びに御意見を申し上げたいと思います。  私ども青果仲買人といたしましても、中央卸売市場法改正につきましては、大正十二年の制定当時と現在とでは非常な実情において相違がございますので、法の改正に当りましては全面的な改正をお願いしたい、かように強く考えております。これが私どもの希望でございましたし、幸い昨年十一月に農林省におきまして中央卸売市場対策協議会が設置されまして、私どももその委員の一人として御委嘱を受けました。四回にわたりまする委員会におきましても、また二回の起草の小委員会におきましても、強くこの点につきましては、意見として申し上げておったのでございます。農林大臣からの御諮問に対しましては、協議会として答申もいたしましたが、私どもの考えておりました点と違いまして、残念ながら今国会に提出する時間的の関係等もございましたでしょうが、一部の改正にとどまりましたことをはなはだ残念に存じておるわけでございます。しかし仲買人地位の確立につきましては、われわれの真に希望しておるようなところまでは参っておりませんけれども、幸いにもその重要性を認められまして、中央卸売市場の上に取り上げられましたことにつきましては、私ども感謝をいたしておる次第でございます。しかし私どもの希望いたしておりますることは、前にも申し上げました通り全面的改正でございますので、最も近い将来にぜひこれが改正をお願いいたしたいと、その節には少くとも集散市場でありまする大都市とでも申しましょうか、六大都市中央卸売市場におきましては、仲買人地位というものも卸売人と同様に法の上におきまして、仲買人を置くと明記されたい、と同時に現在の仲買人の名称でございまするが、この点につきましても、実態に即応した名称に改めていただきたい、かように存じておる次第でございます。  なお、今回の改正法案類似市場の問題でございまするが、これにつきましても、ただいま清久君からも申し上げましたが、もちろん基準以上の施設を有するものというような条件もありまするが、その基準がいかがになっておるものか。また届出制によりまして、農林大臣がこれを公式に認めることになりますが、それではかえって類似市場育成する結果になりはしないかと憂慮するものでございます。少くとも中央卸売市場の使命を果し、機能を活用する建前から、でき得る限り中央卸売市場のパイプの中に通すということが必要な点から考えまして、これを禁止して分場あるいは配給所等の設置によりまして、これらを収容するか、あるいは実情によりましては買収、補償する等の処置を講じて、なるべく早く閉鎖、整理することが一番妥当な行き方ではないかと、かように存ずる次第でございます。  簡単ではございますが、以上を申し上げまして、私どもの希望と意見にいたします。   —————————————
  26. 戸叶武

  27. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) 私からも二、三意見を申し上げたいと思います。  まず、最初に卸売人に関する私的独占禁止の適用除外について、これは理事者の方でお考えになっているように、業務上の今のままならば私どもは異議を申し上げないと、こう思っております。もし卸売人が合併をするというようなことに独禁法が除外されるというようなことでありますと、私ども小売商といたしましては反対をいたします。卸売人の経営困難になったいろいろな理由を今までもしばしば申されておりまするが、私どもの考えでは、これは決して複数のためだからということは言えないのではないかと思うのであります。まあそういうような面におきまして、いろいろな原因はもちろんありましょうが、何といっても第一に考えられることは会社の経営がうまくいっているかどうか、こういうことであります。  第二の、小さい例ではありますが、統制中に開設者が現在の卸売会社に対しまして責任集荷量を命じたことがございます。大小の卸売会社に対して、お前の会社はこれだけのものを集荷しろ、この集荷がもし少しでもできなかったような場合には許可の取り消しをする、こういうような強い命令を出しまして、それがために卸売会社が非常に困難をいたしたことがあるのであります。当時は公定価格がございましたので、なかなか小さな会社は思うように集荷が困難であったのであります。そういうようなことでありましたけれども、指定されましただけの数量は集めなければ、せっかく許可された卸売会社の取り消しをされるというようなことのために、相当大きな犠牲を払いまして、そうして無理をしたことがありますが、その無理が非常にたたりまして、中には破産をした卸売会社もございますが、今日の経済状態に及ぼしておるということがございます。それからまたそういうような無理な産地に集荷競争をしたというようなことが例になったと申しましょうか、それ以来産地に対する各会社の集荷競争というものが、非常な今日のような競争の結果になっておるのであります。  それからもう一つ小さい例でありますが、戦災によりまして中央市場の諸設備が荒廃をしたにもかかわらず、政府はもちろん、開設者におきましても予算の関係もありましたのでしょうか、整備をしてくれない、雨が漏る、あるいはいろいろな点に破損をして、市場運営上非常な支障を来たす、こういうようなつど、卸売会社が施設の修理をいたします。その負担金というものも相当膨大なものでございます。そんなことも経済上にいろいろ響いておるのではないかと思うのでございます。  それから卸売の数の問題でございますが、東京は御案内でもありましょうが、本分場そのほかに配給所もございますが、全部で十九の市場がございますが、その中には公認の卸売会社として許可をされておるものは二十会社であります。他都市に比較いたしまして、取扱い等からみましても、この大東京に十九の市場がありまして、そうして二十の卸売会社というものは決して多過ぎないのじゃないか、かように私どもは買い手の立場からは考えるのでございます。  それから私どもは最初から単一市場ということには反対をいたしてきておるのでありますが、これはもう私どもは戦前戦後を通じまして、単一による弊害を十分体験をしておりまして、それがために小売商は絶対反対をしております。それから第二には、単一になっても市場間の集荷競争はなくならない、だんだん市場ごとに単数になりまして、資本力がついて参りますれば、今日東京と大阪とその他の都市とが、都市と都市が競争しておるような状況からみまして、決して市場ごとに単数になりましても、集荷競争というものはなくならない、こう思います。第三には、卸売会社は営利会社だから、自由競争がほんとうなんじゃないかしら、自由競争の欠点よりも独占の弊害の方が大きいのではないかしら、かように考えております。それからなお単数にでもなりますと、どうしてもこれまでの経験によりますと、一方的に横車を押すようになりやすい。それから市場内の競争がないから生産者と買い出し人に対してどうしても卸売会社が不親切になる、これはもうまぬがれない事実であります。私ども今までの経験の上からみまして、卸売人は複数は単数にまさるものがある、こういうことを確信をもっております。まあ卸売人の問題はそのくらいにいたしまして、次は類似市場のことについて少し意見を述べさしていただきたいと思うのでございます。  類似市場というと、何でも悪いことばかりしているように思いますけれども、中には性質のよくないものもおります。それから中央市場取引にも多少のじゃまになるようなこともやっておりますが、実は私ども小売商はその類似市場とも一部取引をいたしております。その経験から見まして、今日そういう類似市場が約東京に四十ほどございますが、非常に発展をいたしておるのであります。その四十の市場の中で十九市場というのは一年に一億円以上の取引をしておる市場がございます。実は東京中央市場は御案内でもありましょうが、今から三十年ほど前からいろいろ計画をされまして、当時中央市場の区域が指定されまして、その坪数が一億七千八百万坪、そこの人口が三百九十万、それを対象として今の中央市場というものが本分場、配給所が建設をされたのであります。その後中央市場法が実施をされまして二十年を越えております。人口は二倍半あるいは三倍近くになっております。それにもかかわらず、中央市場はその後ちっとも増設もされていない、大幅の拡張もされていない、こういうような状態でありますから、人口が増加すれば自然市場の必要性がそこにできて市場というものは生まれるわけなんです。そこで今の市場政府からも開設者からも何の援助も受けていない、自力によってその必要性によって市場というものが生まれておる。そうして今日中央市場に準拠して取引をされておる。私どもは、そこに組合員は買い出しに行っておりますけれども、大体中央市場に従って取引が行われておるのでございます。そういうような状態でありますから、今度東京都の御方針をよく伺いまして、私ども了としておるのでございますが、ただこの中で閉鎖をするということがある。閉鎖をするような場合にはやはり補償をしてやることがいいのじゃないか。勝手に作った市場には違いありませんけれども、人口増加に伴ってその必要に迫られてできた市場、しかもその市場が今日消費者に対して、先ほど不便があるとか弊害があるとかいうお話の方もありましたが、私どもの見た目では中には悪いのもあるが、中にはりっぱな市場もあるんでありますから、こういうようなものは指導監督をして、そうしてもし閉鎖をするような場合には、これに補償を与える。そうして今江澤さんの言われたように、将来は分場なり配給所なりを作りまして、それをそこに収容するようにしていただく方がいいのではないかと思うのでございます。  それからちょっとおくれましたが、さっき藤岡さんの言った言葉に誤まりがありますから、ちょっと申し上げておきますが、大阪と神戸は小売商はせりに参加していないということを先ほど言われたように思いますが、これは参加しておるのであります。大阪の中央市場にも分場がございます、公認の住吉分場がございます。そこにも数百の小売商が参加しておりますが、ここでは全部小売商がせりに参加しております。それから神戸の中央市場におきましても少数ではありますが、小売商はせりに参加いたしております。この点を一つ御訂正をしておきたいと思います。  それから最後に小売商の法文化の問題でありますが、先回の協議会のときの結論といたしまして、仲買人重要性にかんがみて、仲買人を法文化するということに決定をいたしました。また小売商の市場における重要性にかんがみて、小売商も法文化するということに答申をいたしているのであります。しかるに小売商の法文化の方だけは漏れておりますので、ぜひ一つ仲買と同様に法文化の中に加えていただきたい、これを私はお願いいたします。なお、時間がありませんから、あとで御質問に答えたいと思います。   —————————————
  28. 戸叶武

    理事戸叶武君) それでは次に、水産業側の、全国漁業協同組合連合会専務理事岡尊信君。
  29. 岡尊信

    参考人(岡尊信君) この法律は、大正十二年制定以来そのままになっておりまして、終戦後連合軍の最高司令部の勧告等にもよりまして、いわゆる荷受人と申しますか、卸売人仲買人等が無制限、自由でありましたために、荷受機関の経営が成り立たず、これがために一日も早くこの法律改正を要望しておったのでありますが、今回の改正は一部改正ではあるが、また部分的には遺憾の点もありまするが、これらは一部修正なり、運用面を改善するというようなことにおいてできるといたしまするならば、概括的にはこの原案に対しまして、私どもは賛意を表するものであります。  まず第一に、中央卸売市場のあり方について考えてみますると、むずかしいことを申さないで平たく申しますと、公正かつ安全の取引を確立して、生産者、出荷者が安んじて無条件委託による販売ができる場所でなければなりません。また消費者に豊富、新鮮な食料を供給して、食生活を安定し、公共の福祉を増進するということを目標として考えていかなければならないと思います。まず第一に、私は水産物の生産者としての立場から申し述べてみたいと思います。  第一は、開設者の条項について申し述べます。開設者は法第一条で「地方公共団体」と限定してありまするが、これは「国又ハ地方公共団体」とすべきであると思います。東京都の中央卸売市場の現状をみますると、二十九年度において水産物の集荷は十億六千万貫、三百二十一億円であります。この出荷地は北海道をはじめとして四十六府県からであります。このうち東京都の消費は五七%で、東京都外府県への流通は四三%となっております。六大都市は大体東京都の場合と同様でありまして、区域外への流通は大阪の四八%、名古屋の五五%、神戸の五五%、京都の四六%、横浜の二三%で、平均して四八%というものは区域外へ流出しているのであります。この実情からみますると、一地方公共団体の住民の食生活の安定というようなことだけではなく、まさに日本国民全体の食生活の安定に貢献しているといってもいいのであります。ことに最近では輸出水産物もこの中央卸売市場を通じて買われて輸出されているのであります。従って、国の責任において六大都市中央卸売市場開設すべきであり、もしくは地方公共団体に限るとするならば、少くとも法第八条の国庫補助は一律に三分の一以内とせないで、六大都市については特例を設けて、全額または五分の四程度とすべきであります。ことに六大都市卸売市場はその構造、施設が戦災以来欠けた点が多く、またこの中央卸売市場を作った当時からみると、東京都などの人口はまさに倍以上になっているというような現状からみましても、この際国の経営または国庫補助の増額等によって、国の責任において整備すべきであると思います。よって法第一条の「地方公共団体」とあるのを「国又ハ地方公共団体」とするか、あるいは法第八条の「三分ノ一」とあるのを「五分ノ四」というように改正をして、国が十分これに責任を持つことが必要であると思います。  次に卸売人について申し述べます。卸売人市場運営に当ってその枢軸をなすものであります。これを徹底的に改革することなくして市場の改善はできません。法第十条で卸売人許可農林大臣としたことはきわめて適切であると思います。願わくは農林大臣の職権を法第二十四条で都道府県知事に委任するようなことをせないように希望いたします。そうして私はこの卸売人を非常な強力なものにしてもらうことを、これは法の運用でもできまするから、願いたいと思います。卸売人は公共的性格を持つ法人とすること、地方公共団体が資本の一部を持つこと、財政資金の融資をすること、あるいは課税を緩和すること、あるいは不当な荷引競争を禁止すること、手数料を制限すること、増資をすること、こういうようなことによって強化する必要があると思います。なお、卸売人はその市場の取扱い数量を勘案して、単数でなく最小限度の少数にすることが必要であると思います。ここに東京卸売市場の扱い量をみますると、現在水産物では十社あります。その中でA、B、C、Dという四社はいずれも二三%、二三%、二二%、一八%というような数量を扱って、合計して四社で八六%やっております。あとの残りの六社がこの一四%をやります。これを従業員一人当りをみますると、最高では年一人当り四千六百万円やっている、四社のうちの最低でも三千三百万円やっておる、平均して三千八百万円というものをこの四つの会社というものはやっている。しからばその次のいわゆる六社というものはどのくらいかといいますと、最高で二千五百万円、最低が千五百万円、平均で二千百万円というような扱い量であります。こういう一人当りの扱い量が半分以下であるというようなことになりますと、経費その他において相当の無理が出てくると思います。  また法第十条ノ二の卸売人の欠格条項であるとか、あるいは卸売許可しない条項であるとかというような、今度改正になったこのすべての点については適切であると思います。  次に卸売人に関して法第十条で保証金納付の規定があります。同十一条、十二条、十三条で保証金の優先弁済に関する規定がありますが、これを改正されておりません。この保証金というものは行政措置でもとれるかもしれませんが、大体現在の規則でいいますると、一つのもの当り一万円から五十万円程度であります。そうしてその保証金の一番優先権は、いわゆる市場開設者の市場使用料の滞納債務が第一優先であります。こういうようにして無条件委託をいたした生産者などの債権というものは一番最後に回されている。また最後でなくても、五十万円ばかりの保証金では、一日に二千万円以上も扱う大きな会社に対して要求することはできないと思います。従って保証金に関しましてはこれを増額をして、少くとも一日二千万円扱うものならば五日分一億円、あるいは三日分とするならば六千万円くらいの保証金をここに考えることが必要であると思われます。法律では単に保証金をとると書いてあるだけでありますが、実際上の運営においてこの保証金を増額してもらう、こういうことが必要であると思います。  次は資本の増大、法第十条ノ三に資力信用ということを書いてある、これが卸売許可をせざる条件にも、また資力信用が欠ける点があることが条件にもなる。こういうようなことを、資力信用ということをこの法律に書いたことは非常にけっこうでありまするが、ここにおきまして、どうしてもこのこの資力は、法人などの資力というものは必ずしも資本金だけでは考えられないのでありまするが、この資本金がいかにも小さいのであります。東京都の例をとりますると、七十億年間取り扱う会社が一億二千万円、あるいは八千万円、あるいは六千万円、五十五億取り扱うなにが二千万円、大阪その他もこれと同様であります。こういう資本金をもってやることで資力があるということは、他にも相当いろいろな事情があると思いますが、はなはだしく少いと思います。これは卸売人についての要望事項であります。  次に仲買人についてであります。仲買人は法第十五条の六で、一条だけ条文を入れました。必要な場合は参加せしめることができる、そうしてあとは大体命令と業務規程でできるようになっておりますが、これはもう一つ、私は仲買人中央卸売市場における地位卸売人と同様いわゆる車の両輪であります。価格形成上重要な役割をなすものでありまするから、単に十五条の六だけにとどめないで、あるいは設置あるいは許可、あるいは資格及び欠格事項、あるいは保証金、代金支払いの関係、あるいは市場外の売買禁止とか、あるいは罰則とかいうようなことを事こまかに書くか、あるいは卸売人の条項を準用するかして、もう少し仲買人地位というものをある程度上げる必要があるのじゃないか、こう思います。  次には類似市場の問題であります。この類似市場の問題は非常に困難な問題で、もちろん賛否両論がありましょうけれども、まずこの賛否を論ずる前に類似市場が発生した原因について探究する必要があります。これは政府開設者卸売人も必ずしも責任がないとは言えないと思います。中央卸売市場に対する政府の補助、起債のあっせん、監督指導等々の欠陥、または中央卸売市場の地理的条件の悪いこと、構造施設について欠けた点が多いこと、開設者使用料あるいは手数料の問題、卸売人の手数料の問題、サービスの問題等々が原因となったことを十分考えなければならないと思います。従って本法の改正と、政府の強力なる援助と監督指導によって中央卸売市場の構造、施設の完備、分場の開設等による中央卸売市場の地理的条件の緩和等があれば、自然にこの問題は解決するのではないかと思います。しかしこの類似市場は現存しております。これに対して単に禁止令を出したりすることはできない。またこれも法的にも行政的にも放任しておくことはできない。この改正のいわゆる届出類似市場を公認するもので不都合であるという論もあるが、この場合は法第二十一条で届出をさせ、二十二条で十分監督し、二十三条でその施設または業務の方法の変更を命じて、これに従わざる場合は停止を命ずるというようなことを書くことによって、これはある程度牽制することができるのじゃないか。たとえば許可を整理する場合でも、厳選する場合でも無許可船は対象にならない、許可船だけが対象になるというようなことで、無許可船を一応許可船の線に乗せて、これを整理の対象に乗せてやるというようなことは法律でもやっておりまするので、これはこういうような条項を法律の中に入れるということについては私は賛成いたします。  その他監督、命令、処分あるいは罰則については適当と認めます。   —————————————
  30. 戸叶武

    理事戸叶武君) 次に、全国販売農業協組合連合会参事勝賀瀬質君。
  31. 勝賀瀬質

    参考人(勝賀瀬質君) 生産者側といたしまして、今回の中央卸売市場法改正問題について若干の意見を述べさせていただきます。  生産者側といたしましては、今水産の方がありましたが、大体私どもといたしましても同じような線でありますが、一応特にお願いいたしたい点を御参考に申し上げますと、今回中央卸売市場法改正をされるということは非常にけっこうなことでありまして、御承知のように、これは大正十二年にできましたので、その当時におきましては、これは青果物だけで考えまして、供給地というものはその開設地の周辺が中心になりまして、遠距離のものというものはどれだけもなかった、遠距離のものがかりにありましても、それは私どもの立場から見ますると、遠距離の土地で商人が買いまして、それを市場に出してくるというような態勢が多かったのであります。従ってその当時におきましては、私ども生産者団体といたしましても、いろいろ青果物の販売について問題がありましたが、当時やはり中央卸売市場の構想と同じように各地区ごとに消費地を中心にして販売あっせん所というものを作りまして、それが消費地に荷を送ってそのあっせんをするような格好になっておったのでありますが、その後全国的にこの生産地が散在するようになりまして、従って全国的に生産者自身が市場に荷を送るというようなことになりましたのは、その後の模様なのであります。従って大正十二年の開設当時の模様とはこの点が大きく違っておるということを申し上げていいんじゃないかと思います。しかも全国的にこれが広がってきましたものが市場に出る場合におきましては、中央卸売市場の建前上買い取りを認めるわけにはいかない。全部無条件の委託ということになっております関係上、生産者といたしましては、中央卸売市場開設地に出すのに対して非常に不安を感ずる。先ほど許可の問題がありますが、荷受機関がどんなものであるかということが判然としない場合があるので、非常に不安を感ずるというような格好になっておったのであります。従ってこの趨勢から見ますると、私どもといたしましては、この最近の情勢からぜひ許可の問題、荷受機関は全国的な見地に立って決定してもらいたいというような感じをいたすのであります。これは法律の古い関係からきましたので、今回の改正がその点にあるように聞きまして、非常にけっこうだと考えておるのであります。  それからさらに荷受機関の許可の問題を実例から見まして、私ども非常に異様な感じをいたしますのは、御承知のように、戦後ある一定の条件の備わっておるものであれば、だれでも荷受機関になり得るというような関係から、乱立の弊が相当出てきたのであります。あの当時としましてはやむを得ぬと思いますが、その後にこの中央卸売市場内において乱立したのは全部一々許可されておる、許可されたものが幾ばくならずして倒産しておる例も非常に多いのであります。なおまたその上に私ども不可解に考えますのは、戦後の混乱状態のときならいざ知らず、ある市場におきましては、二十四、五年ごろになって許可をされたと、しかもその許可をされた理由というのは、あるいは荷受機関が少な過ぎて需給に非常に困難を感じたということで許可されれば別ですが、そういうような情勢も見えないのに許可されておる。しかも、かりに許可されてそれで活動するのかと思いますと、それがほとんど休止状態になっておったというような実情があるのであります。こういうようなのは一体どこからきておるのか。私どもそういう点から見ますると、そのもとを検討していただきまして、ぜひこれは全国的の見地に立って信用のある荷受機関を選定してもらうのが当然じゃないか。そういう意味におきまして、私は今回これを政府許可されるということは当然のことじゃないかというふうに考えますのであります。  それからいま一つ申し上げたいのは、この荷受機関を中央卸売市場においてお作りになった当時、いわゆる中央卸売市場開設当時におきましては非常に厳格な規制をされまして、これを実行するという建前から進まれて、現に戦前には相当実行されたように私どもは見ておるのでありますが、その後の情勢を見ますると、業務の監督というものはほとんどできていないのじゃないかというような感じをいたすのであります。そこで先般農林省におきまして、この業務の監督を主体にしまして、わざわざ部課を設置されたということは非常にけっこうなことでありまして、この際におきまして、私はぜひこれを厳重にやってもらいたい、厳重にやるとなれば、この業務の監督に付随して当然農林省許可もすききものではないかというように考えるのであります。先ほどお話のありましたように、現在は荷受機関は非常に乱立しております。この荷受機関そのものが果して初めの使命を達成するためにできておるのかどうかということは非常に疑問に思われる点がたくさんあるように感じます。で、中央卸売市場におきましては、競売を主体にしておる、競売以外には、例外事項以外にはできないということになっておりますが、その競売値ができて、しかもその競売値を無視したといっていいようないろいろの奨励金とか、あるいは値引きとか、そういうものがやたらに出てくる。そうなってくると、生産者自身は一体どれが公正な値段だかわからなくなってくる。競売の値段というものは当然動かすべきではない、にもかかわらずそれ以外に何かすれば若干の金がくる、あるいは特別の奨励金がついてくる、あるいは競売で公正値として落したにもかかわらず、無断で値引きをするというようなことになりますと、生産者自身はその日々に幻惑されまして、ほとんど私は中央卸売市場の役目を果しておるというように考えられないのじゃないか、これはやはり乱立の弊害であり、その点におきましては、今のような無数といっていいような荷受機関はどうしても整理してもらわなければならない。ただし、これが一体一つになるのがいいかどうかということについては相当問題があると思う。私どもこの弊害を除去し、複数、単数、あるいは二つ一つという場合に、二つの場合のいいところ、悪いところ、それから一つの場合のいいところと悪いところがありますが、おのずからこれは監督の点からくるので、是正する点は私は監督の点からいけば、方法は違いますが、二つでも一つでもそれにはいい悪いはおのずから違った点で出てくるのではないか、従って一つでなくてはならないということは申しませんが、少くとも現に相当多くの荷受機関があって、お互いにしのぎを削っておるということだけは、これは非常に弊害の元になるので、生産者はこれによって非常な不安をもつことを一つ御承知願いたいと思います。  それから、いま一つは水産の方から申されました保証金の問題でございますが、この問題も私ども実は生産者が錯覚を起しておるような感じがするわけであります。中央卸売市場の発足の当時におきましては、中央卸売市場以外の市場は全部閉鎖する、中央卸売市場内において信用のあるものにやらせる、しかも、その信用のあるものにやらせるといって、そのもの以外には取扱いをさせない、従って中央卸売市場に出しなさいといって生産者に言っておる。ところがそれがいよいよ取引をして最悪の場合に、倒産した場合に一体その代金をたれが払うのか、たれも払う人はない。これは先ほどお話のありましたように、保証金は五十万円以下ですか、その範囲で押えておりますが、いわゆる優先的に都が、あるいは市が使用料とかあるいは倉庫の保管料とかいうものに優先してしまう。五十万円くらいではそれでなくなってしまうので、一体生産者はどうなるのか、生産者は無条件で委託で持ってこなければならない、委託で持ってきたのがつぶれてしまった、つぶれて金がとれないときにたれが補償するか、こういう許可方法はないと思う。この点はぜひお考え願ったらどうかという感じがするのであります。  以上が大体私ども生産者側からみた感じでございますが、私どもとしましては、生産者中央卸売市場を信頼して出しておる以上は、中央卸売市場がいわゆる公正な取引ということを銘を打っておる以上、それに相当した取引をしてもらいたい。それがためには現状のままではいけない、どうしても監督を強化して、そうして法の示すところをはっきり示すようにしてもらいたいということと、無条件委託で出す以上は、これの補償の措置は何とかしてもらわなければ、あるいは生産者中央卸売市場へ出してきても、その金は取れるか取れないかはそのときと場合でわからぬぞというようなことを言ったら、一体生産者はどうなるということを考えますると、どうしてもこの点について何か抜け道があるのじゃないかというようなことを感ぜざるを得ない。  以上私ども今回の中央卸売市場法改正にからんで考えますことを御参考までに申し上げました。   —————————————
  32. 戸叶武

    理事戸叶武君) 次に、日本園芸農業協組合連合会会長塚口勇作君。
  33. 塚口勇作

    参考人(塚口勇作君) 私は果実関係でございまして、勝賀瀬さんと多少行き方も違っておりますが、大体ただいま勝賀瀬さんから説明のありましたのとほぼ同様な考え方でございます。なおかつ先ほど水産の方からもありましたが、この二の卸売業務認可でございますが、これはやはり全国的な見地から考えていただきたい、かように希望するものであります。  それから市場の問題でございますが、先ほど藤岡さんの方からも出ましたが、卸売人の併合なり何なりにつきまして、独禁法を排除するというようなことにつきまして、特にこの点もお願いいたしたい。ということは、これは先刻来より皆さんからいろいろ御説明がありましたように、今度の改正点はまあ主として市場関係あるいは開設者仲買人の方々に対するところの改正点のようでございまして、まあ生産者の希望というものはあまりいれられておらないようでございます。従って、特にこの点を強く要望いたしたいのでございますが、私どもは産地におきまして、単協から県段階の連合会というような共販態勢を確立して参っておる。従って相手とするところの市場に対しましても、ただいまいろいろな御意見がありましたように、市場の選択をするということでございまして、県段階においては県の責任において選択をする、また国の段階においては国の段階において選択をするということは、これはもちろん委託でありますので、ただいま勝賀瀬さんからお話しのありましたように、その責任の帰趨というものをどこに置くかというようなことになるわけでございますので、そういうような選択をしていかなきゃならぬ。そういったような場合に今日のようにまあ弱小と申しましては失礼かもしれませんが、弱小の会社が乱立しておるというようなことでは非常に選択にも迷うのでございます。そういった意味からみましても、今日ではすでに市場の整理の段階に入っているのではないか、かように考えられるわけであります。そういった意味で、ぜひともこの自動的に合併なり併合していくというものに対しましては、独禁法の束縛を受けないというような方法にしていただきたいという点を強くお願いするものでございます。  他につきましては、いろいろ皆様方から御意見がありましたのと同様でございますので、省略をいたします。   —————————————
  34. 戸叶武

    理事戸叶武君) 次は、学識経験者、日本冷蔵株式会社社長木村鑛二郎君。
  35. 木村鑛二郎

    参考人木村鑛二郎君) 私、過般市場対策協議会がございまして、そのとに御一緒に協議いたしました者の立場で、今日参考人として一言申し上げたいと存じます。  この前市場対策協議会でいろいろ協議いたしましたときには、ちょうど本日参考人として御出席の方々が主たるメンバーでございまして、従いまして、今日御開き及びのようないろいろの議論が展開されたわけであります。そこで結論的には答申案といたしましては、法律改正を全面改正にするか、一部改正にするかということ、それからとにかくどちらにしても法の改正をする、それからその次には国の指導をもっと積極的に行うべきであるということ、それからその次に卸売人の整備をせなければならないということ、その次には仲買人地位を確立しなくちゃならないということ、その次に中央卸売市場取引の適正化をはかっていくということ、それから類似市場に対して一つ規制を行えという意見、独禁法の全面的排除という意見、これだけのものを答申案に盛りましてお答えしたんでございますが、先ほどからお聞き及びの通りに、長年経験がある方々がおのおのその立場からおっしゃることなんで、どれを聞いてもごもっともというようなことになりまして、なかなか一つのまとまった線が出ませんので、はなはだ漠然とした結論を答申いたしまして、あとは役所で御審議願うとか、あるいは国会で御審議願うとかというふうになった次第でございます。  そこで、まず今回の法を拝見いたしまして、全面改正か一部改正かということについては、これは私は絶対に一部改正であると、こう思います。と申しますのは、先ほどからもちょっとお話が出ておりますが、この中央卸売市場の問題は非常に範囲も広く、また難解な問題でありまして、とうてい二カ月や三カ月で私どもが結論を得られる次第のものでございませんので、今回は将来もっと大きな意味の理想の形の市場が現われるということを前提にして、一部改正にしていただかなくちゃならぬ、特に今回感慨を深くいたしますのは、私どもが協議いたす場合に水産業と農産関係とを同じようにして考えておる。これはもちろん原則的には一つの線はあっていいんでありますが、個々の場合になりますと、分けて考えませんと、いろいろ先ほどからのお話のように、同じ卸売業者立場でも、同じ仲買業者の立場からも、いろいろ御意見も出てくるかと思うのでございまして、今後根本的の改正の場合には、やはり農業と水産業というものを分けてもう一度考え直してみる必要があるんではないかと、かように考える次第でございます。  その次に、国の積極的指導監督という問題が大部分意見として出ておりましたが、国の積極的な指導監督というものがしばしばあまり末端な行政に入り込んでは困るという強い御意見もあったのでありますが、全般的としては、従来農林省としてはあまり流通関係について御熱心でないというような意見が非常に強かったのでありますが、これについてはさっそく経済局に市場課もできましたようでありますので、大体皆さんの希望が達せられておるんではないかと思うのであります。  その次に問題になりました卸売人の整備の問題でございますが、一つは単複の問題でございます。これはさっき藤岡さんからもお話が出ておりますが、将来の単数という問題は、一つの大きな理想の形の市場ということを前提としては考えられるのでありますが、現状におきましては、やはり自由競争を建前にした卸売市場というものが現実的ではないかと思いますので、皆さんと協議の結果、適限複数というふうにまとまっておるわけでございますが、これは今後農林省の方でもそういったような御方針で進めていくようであります。この点はその通りでけっこうと思います。  その次に卸売人許可の問題でございますが、これも当時はいろいろむずかしい議論がされた次第であります。これはどちらでも議論は立ちますので、はなはだ申しにくいことではあるのでありますが、大体現在の中央卸売市場法を拝見いたしましても、主務大臣の指導監督という権限がことに大きくて、法の全体の部面に主務大臣の指導監督というものが行き渡っておるわけでございますが、遺憾ながらこれが実際に具体的に行われていなかった、ほうったらかしになっておったというように見えるのであります。そういうことから申しますと、今日先ほどお話のあったように、卸売会社の社会性と申しますか、公共性がことに大きな今日、これはやはりこういう全般の指導監督という面から申しまして、主務大臣許可ということが、もし開設者意見が十分尊重されるならば、これはそれでいいのではないか、かように考えております。主務大臣許可ではいかないのだという理由がどうも薄弱のように考えますので、全般的の法の雰囲気から申しまして、主務大臣許可で差しつかえないと、かように考えるのであります。  その次に仲買人地位の問題、これは先ほども多少まだ御不満な御意見が出ておりましたが、これは大体、特に今回の法で認められまして、私どもとしても満足に考えておる次第でございます。  その次に取引の適正化ということにつきましては、具体的にこまかい問題があるのでありまして、市場手数料の問題もありますし、運賃の問題、保管料の問題、いろいろあるのでありますので、これは今後の中央卸売市場の課題として逐次整備されてゆくものと思うのであります。  その次に類似市場の問題でございますが、これは全会一致で強く叫ばれたことでございました。ところが今度の案を拝見いたしますと、先ほどお話がありましたように、よくも悪くも解釈できるという案でございまして、よく解釈すれば、今まで手放しになっておった卸売市場というものが少くとも届出制になるのだと、従ってめちゃくちゃには乱立しないのだとも解釈できますし、あるいはまた、今まで手放しになっておったものが届け出られるということは、いわゆる認められたことになり、認定されたことになるというふうにも解釈できるので、そこは今後の監督いかんの問題に非常にかかってくる問題だと思いますが、ただ私の思いますのに、現在の卸売市場というものが都市の膨張とともに従来のままの姿ではないと、特に農産物においてはしかりでありますが、水産物においても都市の膨張とともに卸売市場が従来のままの単一でなく、従って今後は逐次都市の膨張とともにこれは数はふえてゆくであろう、その場合に当然これは自然発生的に出るものでございますので、本来ならばこれは中央卸売市場の分場として許可されるべきものである、いろいろ資金の問題などもあるようでございますが、いかに金がかかろうともどうであろうとも、これは分場として、農産にいたしましても水産にいたしましても、都市の膨張とともに卸売市場は増加すべきである、かように考えるのであります。もしもそれがどうしてもできないという暁には、私は今回のように今まであるものを利用するという形でこれを届け出させて、いかないところがあればこれを規制してゆくよりほかに方法はないんではないか、かように考えておる次第でございます。  その次に独禁法の問題でございますが、これは非常に大きな御要望であったのでありますが、今回のところを見ますと、先ほどから独禁法の除外さえできれば、すぐ合併できるのだという御意見もありますが、今度のあれは独禁法については取引の条件に関する協定というだけでございますので、これは直ちに合併までいけるかどうか、この条文では疑問だと思うのでありますが、現在確かに卸売市場では卸売人は過剰な地区がずいぶんございますので、これを強力に進めていただいて、独禁法の除外例を適用していただくことは、これはぜひ必要じゃないかとかように思う次第でございます。  あとは御質問にお答えいたします。   —————————————
  36. 戸叶武

    理事戸叶武君) 次は、東京青果協会会長荒木孟君にお願いします。
  37. 荒木孟

    参考人(荒木孟君) 本改正案は、農林省市場改善の熱意と善意の下に慎重審議して立案されたものと認識いたしますが、遺憾ながらその主要な内容が中央卸売市場法の本旨と業界の要望とに沿わぬ点が非常に多いのみならず、かような中途半端のつぎはぎ的改正では、かえって法の秩序を混迷せしむるおそれがあると考えますから、政府において虚心たんかいにこの案を一応撤回せられ、さらに施行規則並びに業務規程等とあわせ通じて、全面的の市場改正案を立案されて、これを市場対策協議会に諮問した上、あらためて議会に提案されることを最も希望いたします。しかし、まあそういうわけにもいかぬでありましょうと思いますが、さもなくば、議会において本案の主要な点、農林大臣が議会に説明されました主要な点について、大体左のように修正せられることを衷心より希望いたします。  第一に、卸売市場開設の区域指定について一定の人口の線を引く。何十万以上というようなことでありまするが、それとまた開設者となることのできる者の中から民法の公益法人を削除するということが第一条の改正で出ておりますが、これはただ法の運用を窮屈にするだけで何ら実益のないことでありますから、改正案を全部を削除したい。  それから第二の卸売業務許可、これは公共団体開設する中央卸売市場という公企業営造物の中において、その公企業の目的とする業務を行うことを許可するのでありますから、従って卸売人の資格もただの営業人というのではなくて、中央市場卸売人としての特別な技能、信用、資力等を有することを条件とするものであり、決してこれはただの国の行う警察上の目的からなす一般的の営業許可ということではないのでありますから、これは当然開設者責任として、開設者が、仲買人等と同じく開設者がこれを許可するのが当然であります。現行法では誤まってこれを地方長官の許可ということにいたしておりますが、事実上においては、実際上においてはその卸売人許可、収容はことごとくこれは開設者がお膳立てもいたし、選考しておるのでありますし、実際においては地方長官並びに主務省は周到なる監督指導はいたしておりますが、許可責任はやはり開設者が負われておる。乱立だ、乱設だ、整備しろと言われても、いまだかつて地方長官や農林大臣がみずからその責に任ずるような工夫をされたことは拝見したことがありません。みんなこれはもう開設者責任ということになる。権限責任はこれは一致しなければいかぬと思うのでありますから、これはやはり責任を持つ開設者許可をする。自分の信ずるものを選ぶというのが当然。ただしこれは重大なことでありますから、主務省が周到な指導監督をされるということはもちろんであります。決して開設者が勝手にただみだりに独断専行で行なっていいという意味で申すわけではありません。従ってこの卸売人許可に関する条項につきましては、その改正案の第十条の二以下六に至るまでは、これは必ずしも無意味な規定ではありませんが、仲買人に関する規定その他とあわせ考えまして、法の全面的改正の際に譲ることとして、一応全部これを削除したいと考えるのでございます。  それから第三に独禁法禁止の適用除外、これは卸売人の整備をはかる上において、卸売人の合同及び営業権の譲渡ということについてはその必要があるかも知れぬと私も存じます。しかし、卸売人間における取引条件の協定というようなことについては、これまで一度も問題になったこともありませんし、今後においてもおそらくは独禁法に触れるような問題が起りそうもありません。しかもこの改正案の第十五条の二の規定を読んで見ますと、もうこの条文そのものが決して独禁法に触れるようなおそれのないことを保証したようなものでありましょう。ですからこれはそういう協定を締結するには、主務大臣認可を要するという監督規定があれば十分なんです。そのほかにさらに独占法除外のことを規定するのは全くの蛇足であります。従ってこれに関する第十五条の二以下は五までですか、これは削除する。  それから規定の修正としましては、改正案の第十五条の二を「第十条ノ規定ニ依リ卸売業務ヲ為ス者ノ間二於テ卸売業務二係ル取引条件ニ関スル協定ヲ締結セントスルトキハ農林大臣認可ヲ受クベシ」これだけで十分であると存じます。  第四に仲買人に関する改正法案第十五条の六は、これはただ現行施行規則の条文をほとんどそのまま法律の上に移しただけのことであります。これも仲買人地位確認の上において意味のないことではございません、けっこうなことでありますが、仲買人地位を確認するという趣旨から言えば、これでははなはだ不十分、大体この施行規則の現在の規定そのものが仲買人地位を軽視するきらいがあると思うのでございます。これは卸売人と同じようにするというのが大体の趣旨でありますから、それに関する条文も第十五条の六を「開設者許可ヲ受ケタル者ハ」、これはまあ私は卸売人開設者許可ということだからそう申します、もしそれが地方長官の、もしくは農林大臣なら同じくそうでありますが、「開設者許可ヲ受ケタル者ハ中央卸売市場ニ於テ仲買ノ業務ヲ行フコトヲ得」、これは卸売規定がそうなっておりますから、それと同じようにする。で、これに関するいろんな規定先ほどちょっと御発言のありましたように、適当にやはり卸売人と同じような規定仲買人の場合に設ける、これで初めて仲買人卸売人と同じく市場卸売人として重要な主体であるということが確認されるわけであると存じます。もちろん仲買人を置くか否かということは、これは市場の計画あるいは業務規程によってきまることであります。  それから第五に、類似市場規制については、中央卸売市場法の本旨にのっとり、指定区域内における生鮮食品の需給を集中総合して、その流通の円滑と価格の平衡をはかる。そのためには区域内に散在乱立する類似市場はこれを中央市場に収容または閉鎖、むろん修正案でありますが、そして、指定区域内における市場の整備統合を行うということを根本の方針とすべきものであると存ずるものでございます。それにはただ法律をもって禁ずる、行政権をもって閉鎖するというだけでは、むろんいけないのでありまして、それには区域内の市場をどれだけ、幾ばくの数に、いかなる位置に、いかなる規模で整備するかという計画をまず農林大臣がきめるのが先決である。その計画に基いて中央卸売市場開設する。その開設に従って類似市場はこれ々収容またはやむを得なければ補償を与えて閉鎖する、こういうことにならなければならないと思うのでございます。つまり、中央市場開設するということは、言いかえれば、その区域内の類似市場を総合集中するということ、これなくして中央市場開設の意義はないと存ずるのでございます。従って、指定区域が指定されましても、中央市場開設されなければ、むろん類似市場がそのまま存続し、または開設され、同じような意味で中央市場開設されても類似市場が何らそれに統合されないで公認されて、自由に届出で設けられるということでは、中央市場開設の意義がやはり失われる。どうしても法の規定、つまり立法措置としては中央市場開設されたるときは、類似市場はこれを閉鎖する、または開設許可しない、許可しないことができるという規定であるべきである。閉鎖や開設ができないという規定であってはならないと思うのでございます。この点現行法の第六条の規定が不徹底であるというのが今日までの問題になっておる点でございます。従って、これを改正するときには、第六条の中の「中央卸売市場業務開始ニ至ル迄ノ間ニ於テ」というそのじゃまになるところを削りまして、「市場ノ閉鎖ヲ命スルコトヲ得」とあるのを、「ソノ中央卸売市場ノ閉鎖ヲ命シ又ハ開設ヲ禁スルコトヲ得」つまり、中央市場開設されれば、それに従って閉鎖または禁止ができるということは、立法措置としてはしなくてはならぬと考えるのでございます。しかるに本改正案は、反対に類似市場の自由開設を法の上で公認して、中央卸売市場法という法律の中に新たに類似市場と称する市場を認めて、それを届出によって監督していこうというのでありますから、監督規制するということは意味のあることでありますが、中央卸売市場法の精神、趣旨には全く逆行するこれは方針であると存じますので、これに関する改正案第二十一条、第二十二条、第二十三条は全部これを削除する。これに対しまして、類似市場を禁止するとか閉鎖するということは違憲である、憲法違反であるというような議論もあるように聞きますが、これは中央卸売市場を公共の利益を目的とする公益事業として規制しようという、公法上から規制しようというこの中央市場法の根本の性質を忘却したものであると思います。電車でも、バスでも、電気でも、水道でも、みんな二の公益事業は、やはり、国の法律、命令によって公益のために適当な制限をすることは当然でありますから、何ら差しつかえないことと存じます。  以上でございます。ただし、これはこの改正案についての修正案でありまして、全体から申しますと、決してこれで十分ではない。全面的にこれは他に改正すべき重要なこともありますから、そうしなければ市場法のほんとうの姿は出ないと思うのでございます。  時間を超過いたしまして、恐縮に存じます。   —————————————
  38. 戸叶武

    理事戸叶武君) 以上で参考人からの御意見の御開陳は終ったのでありますが、右の御意見に対して委員各位におかれまして、御質疑の向きは順次御質疑を願います。
  39. 青山正一

    青山正一君 まず第一に、名古屋市の助役横井さんにお聞きいたしたいと存じます。  先ほどから愛知県の農林部長お話と、あなたの話を聞いておりますと、何かしら奥歯に物のはさまったような話しぶりでありましたのですが、一つあなたから名古屋市において何かこの青果関係卸売人の整理統合問題に関連して、先ほどちょっとその点触れておられましたのですが、この類似市場対策に難渋しておるやに聞いておりますが、その点、ごく簡明に承わりたいと思います。
  40. 横井亀吉

    参考人横井亀吉君) 類似市場につきましては、名古屋市は中央卸売市場の発足が他の都市よりはおそかったのであります。大体において戦争後に整理をしたというようなことで、整理統合に対しても非常に他の都市よりは時期的にはおくれておったと考えます。そこで農林省からも再三の御慫慂がございまして、実はここに通牒の写しも持っておりますが、昭和二十八年の十一月、二十九年の七月の二回にわたって、農林省の経済局長、水産庁長官から統合の御催促的な慫慂があったのです。それからその前、戦後二十四年の六月、二十五年の十二月には県知事並びに農林部長から、県の方からもそういう事柄についての慫慂があったわけでございまして、従って統合に力を注いだわけでございます。それまで、市内で卸売業を営んでおりました業者が大体三十二ございました。それでそれは市場の中に入っておるものと、それから市場外のものと合せての数でございますが、結局三十二あったわけなんです。そこでそのうちの二十七というのは、市場外で営業しておったものなんです。それを全部統合して、先ほど生産者の御心配のあるように、荷受けをして金を払わなかったというようなことのないようにしたいと思って、青果の方で特に七つにこれを統合したわけでございます。そうして収容いたしましたけれども、統合その他によりまして会社の形態その他がはっきりいたしません。というのは、新しくでき上った会社がたくさんございますから、そこで一年間の期間を置いて、期間の間に経営の状況その他を眺めまして、そうしてはっきりした数をきめようということで、現在その過程にあるわけなんでございまするが、中にはどうも売り上げその他取引の状況、その他からふさわしくないと思われるようなものがないとは言われないわけなんです。現在まだはっきりいたしませんが、そういうものがないとは言われないわけなんであります。そういたしますと、生産者その他の方に迷惑のかからないようなりっぱな業者だけにいたしたいと考えることは、これは当然だと思うのであります。ところがそれを行いますると、もしその仲間に入れない人は、おれはそれではまた外へ出てやるわと、こういうことになりまして、政府の方針を体して一生懸命整理統合をやりまして、しかも最少の複数で自由営業にもよろしい、競争にもよろしい、しかも見ぐるしい値引き競争をしないという程度の統合をやりましたものが、再びまた場外における乱立の傾向になりはしないかと思って非常に苦しんでおるわけなのであります。ところが現在そんなら場外に業者というものがないかと申しますと、名古屋の整理統合は農林省の慫慂によりまして昭和二十八年の八月ごろからかかりまして、業者の統合というものは非常にむずかしいものでございまして、先生方も御承知だと思うのですが、なかなかこれは生死にかかわることなんですから、大へんに努力をいたしまして、二十九年の十月ごろに大体この話し合いがついたわけなんです。ところが二十九年のちょうどその十月に、話し合いがついて統合しようと思ったら二十九年の十月に、ここに県の農林部長さんがいらっしゃるが、県で条例が出まして、それで県で許可をする、こういうことになったわけなのであります。それが出たものだから、なおさら統合に応ずる機運が阻害されて非常な難儀をしたんです。これは言うに言えない難儀をしたんです。それでようやく七つにいたしまして市場に収容して、そうして枇杷島という池の市場を新しく開設したわけなんです、やりかけたわけなんです。そうすると、そうやって統合した二十九年の十月以後において実は県の条例による市場許可が出たわけなのであります。それが青果市場が五つ、それから生鮮魚類の方で四つありましたが、合せて九つの市場許可があったわけであります。なおそのほかに自由にやっておるような市場が十五、六青果の方であるわけなのであります。そういうことで類似市場に関する若い経験と言いますか、つらい経験と言いますか、業者それから生産者消費者に与える悪い影響というものを直そうとするための努力というのに異常な努力を払ったわけでございまするので、どうかして類似市場はなくするように、そうして中央卸売市場を整備する方へ、先ほどお話ではございませんが、力を入れていただきたいということに懸命に実はなっておるわけなのであります。そこで類似市場に関する事柄で先ほどお話がございました、とめることは憲法に反するというようなお話もあって、届出制になったという経過もあるようでございますが、実は県の条例などを見ますと、何人といえどもやることができないというような条文がはっきりあるのでありまして、これはどうもはっきりわからぬのでございまして、そういう点で類似市場届出制にしていただきまして、国の方でしっかり監督していただくということはいいことだと思うのでございますが、さて県の条例許可したものとの二重になるわけなのでございますね。そういうものがどうなるか。これも五里夢中でございますので、その点もまたよく御研究をいただきたいと思います。
  41. 青山正一

    青山正一君 愛知県の農林部長から御意見をお聞きしたいと思いますが、こういう公開の席上で、またお互いの大体の様子はわかっておりますから、御両人に対する御意見はこの程度にいたします。  次に六大都市卸売人協会会長の寺田さんからごく簡明に一つ意見を承わりたいと思いますが、第一点は今度の改正案について卸売人立場として賛成の点、それから反対の点はどうか、これをごく簡単に承わりたいと思います。  それから第二点は、卸売人の員数についてはどういうふうに改めることを希望しておるか。これが第二点です。  それから第三点は、類似市場についてどういうふうに改めることを希望するか、これが第三点です。この三つの問題をごく簡単に承わりたいと思います。
  42. 寺田省一

    参考人(寺田省一君) ただいまのお尋ねにお答えいたします。今度の改正案の点はいろいろの項目がございまして、たとえば仲買人規定でありますとか、あるいは卸売人の協定の条項でありますとか、それらの条項もございますが、先ほども申し上げましたように、卸売人の員数に関する規定の点は今度の改正案に盛り込まれていない。従って許可関係はそれに関連するのでありますけれども、許可の点は一応原案でもよろしいといたしまして、卸売人の員数については先ほども申し上げましたように、従来ともに乱立の弊に悩んできておった、こういう事実があり、今度の規定では十分にその点が解決されているとは思えない。その点につきましてわれわれは第一にまず賛成いたしかねる点がございます。  次に類似市場の問題でございますが、類似市場につきましても先ほどお話が出まして、その解釈についてよく解釈するか、悪く解釈するかという点もございますが、類似市場に対する関係中央卸売市場対策としてどういうふうに持っていかれるか、この基本についてはっきりしていただきたいのが要点でございます。そして具体的に、しからばどういうふうに改めることを希望するかというお尋ねでございますが、卸売人の員数につきましては、これは私どもしろうとで十分わかりませんが、現行法の第三条に業務規程で左記に掲げるような事柄を規定しろ、こういうことになっております。その最後に、卸売業務をなす者の員数といったようなことを四とでもして付け加えていただいたらどうだろうか。さらに今度の提出されております改正案の中で、開設者意見を聞き、これを尊重して拒否を決すべしというような規定があると存じますが、この点もこれは手続の規定でありますから、あるいは当然のことかと存じますけれども、開設者の信託に基き、あるいは信託によりというような字句で表現していただいてはどんなものであろうかと、あるいは私どもの意図がそれでは十分に盛り込まれるかどうか懸念いたしますが、そういうようなことを一つ考えております。  それから類似市場に関する規定につきましては、現在の改正案の運用に多くを待たなければならぬように存じられますが、要点はあるいは法案にこれは書けることかどうかと疑いを自分でも持っておりますけれども、要するに中央卸売市場運営につきましては、場内の関係が手かせ足かせをはめられて、場外の関係との実際上の何と申しますか、運営を拘束されるということを一番おそれているのであります。と申しますのは、中央市場に対する生産者及び消費者の信用がございます。その信用を阻害することのないように、類似市場の方でいろいろのことが起って、あるいは万が一にも生産者消費者に御迷惑がかかるというようなことがあった場合に、はね返って信用を傷つけられるのは中央市場ではないかということを心配するのでございます。従いまして、これは字句としてどういうふうにということは私どももちょっと考えつかないのでございますが、そこいらの点をお考え願いたいと存ずるのでございます。簡単でございますが……。
  43. 青山正一

    青山正一君 今度は仲買の魚類の方の清久理事長さんと、それから青果の江澤会長にお願いいたしたいと思います。この仲買の卸売人からの、つまり荷受会社からの歩戻しとか奨励金というものは、これは六大都市同一のものであるかどうか、その点を魚類、それから青果両方分けてお聞きいたしたいと思います。
  44. 清久辰治

    参考人(清久辰治君) 仲買人卸売人からいただいておるところの歩戻しという点について、各都市同じであるかという御質問でございまするが、これは各都市同じではありません。大体京阪神は同様でありまして、名古屋の場合には少し率が違っており、そして横浜のことは私詳しいことは存じませんので御答弁できませんが、東京の方はまた私らの京阪神の場合よりもずっと下っておる。それを数字的に申し上げますと、京阪神の場合には扱い高に対するところの八厘、それから名古屋の場合には五厘、三厘、なしと、これは三日目に支払った場合には五厘、四日目になった場合には三厘、それから五日目になった場合にはいただけないというふうな段階になっているように記憶しております。横浜は先ほど申しましたが、知りませんが、東京の場合は二厘というふうに聞いております。大体今はそういうふうな差がありまして、それからそのいただいたときの趣旨そのものも各都市いろいろ変っております。この点について御質問がありませんので、答弁をするのは省きますが、その内容はいろいろ違っております。
  45. 江澤仁三郎

    参考人江澤仁三郎君) 青果関係におきましては、関西の三都市と東京におきましては大体総括的に同じでございます。東京におきましては現在のところ一分、そのほかに代払いをやっておりまする関係で、代払い費用として二厘をもらっております。ただ青山先生からの御質問で歩戻しというふうにおっしゃいましたけれども、(青山正一君「奨励金ですか」と述ぶ)これは単なる歩戻しではございません。支払い奨励金と申しましょうか、完納奨励金と申しましょうか。従って協約に定められてありまする、会社と仲買との協約に定められておりまする三日あるいは四日に支払いが完納いたしましたときにもらえる、おくれましたらこれはもらえない、こういうことでございます。関西におきましては、やはり組合が、いわゆる仲買組合が最終の責任を負っております。これは東京も同じでございますが、そういう関係で多少名目においては違っておりますが、総計いたしますると、大体一分二厘、こういうことになっております。
  46. 青山正一

    青山正一君 仲買を必要とするこの六大都市市場と申しますか、あるいは今度八大都市になりますが、そういった市場と、その他の消費市場と区別して法律を作った方がいいと考えるかどうか。それから答申事項の中に仲買人の名称の問題が出ておりましたのですが、それについての一つ御見解をお二人から極く簡単に承わりたいと思います。
  47. 清久辰治

    参考人(清久辰治君) 先ほど私が申し上げました通りでありまして、仲買人を必要とする市場と必要としない市場、その点につきましては、集散市場の性格を帯びてやっておる市場、いわゆる六大都市、それら以外の都市、これらにつきましては、おのずからその仲買のやっていることの内容が違っておりまして、そうして大体中央卸売市場におきまして、生産者にも即せない、また消費者にも即せないというところの公正なるところの価格形成をし、同時に需給調整をするということにつきましては、六大都市におきましては、当然それは別な機関においてそれをやるのが一番公正であるという建前から、仲買を必要とする市場と必要とせない市場とにおきまして、これは当然違った扱い方をしていただきたいということを先ほども申し上げましたので、この点につきましては、法律の全面的改正ということで、いわゆる特別市場法というようなものについてお取り扱い願いたいと、かように思っております。  それから仲買の名称につきましても、これも市場対策協議会においていろいろ申し上げておきましたが、全国から集荷されたそのほとんどが委託ということで集荷されましたものを、私らの責任におきまして、せりによって買い取り、そうしてそれをしろうとに売るのでなしに、これは町の小売人ないし買い出し人の方々、または近接府県の問屋または小売商をやっている方々に私らは卸売をやっているのでありまするから、私らの建前といたしましては、私らを卸売人と呼称することが実態に即するところの名前であるというふうにも確信して、先ほどから申して参ったわけでありまして、どこの中央市場におきましても、中央卸売市場には小売をいたしませんと、どこにも書いてある通り、また、しては買い出し人の方々に済まないわけで、そういうような実態の下に私らは営業をやっているのでありまして、当然卸売行為をしている私らが卸売人という名前をつけるのが当然だと思います。そうして全国から委託を受けて、そうして私らにせりをもって販売されている卸売人の方は、ほかの適当な名前をつけてもらいたいというのがいいのと違うかと、かように思っております。
  48. 江澤仁三郎

    参考人江澤仁三郎君) 大体清久さんから申し上げておりますのと、変っておりません。先ほども私どもの希望として申し上げましたように、もし全面的改正の際には、全般的な中央市場法ということでなく、でき得るならば六大都市におきましては、特別中央市場法と申しますか、あるいは一般の中小都市におきましては、普通中央市場法とか、二段にわけての法の改正をしていただくこともけっこうだと、かように思っております。  それから名称の点でございまするが、これは今、清久さんからも申し上げまして、私どもこの間の協議会におきましても、強くこの点を強調しておきましたので、今申し上げましたように、現在の卸売人の方は委託によりまする荷受けをいたしております。それを買いつけまして、いわゆる小売業者の方、あるいは他都市の業者の方々に売っておりますので、私どもの行為こそいわゆる卸売行為であると、かように考えておりますので、この点につきましても、卸売人と明確にしていただくことがけっこうなことだと思う。ただ相手方がありますので、現在の卸売人の名称の問題についてとやかく申し上げることは差し控えますが、私どもの実態に即応した名称に直していただきたい、こういうことを強く希望いたしたいと思います。
  49. 岩瀬繁一

    参考人岩瀬繁一君) お許しを得まして、一言発言さしていただきます。青山先生の先ほど名古屋市の横井助役さんに対するお尋ねと多少関連いたしておりますので、先生の御質問のお腰を折るような格好になってはまことに相すまぬと思いますけれども、ちょっと発言さしていただきます。  先ほど横井助役さんから、名古屋市の中央卸売市場の、特に北分場の開設に伴いまして、卸売業者の統合につきまして市御当局でいろいろ御心配になり、また今御努力されているお話が出まして、私どもといたしましても、市の御努力には常々衷心から敬意を表しているわけであります。ただ、助役さんの御発言の中で、あるいは誤解を生ずるおそれがあろうやもしれぬと私といたしましては感じました点もございますので、一応県の考え方なりを一応説明を申し上げたいと思います。
  50. 青山正一

    青山正一君 ごく簡単に、大体のことはわかっておりますから。
  51. 岩瀬繁一

    参考人岩瀬繁一君) 大体愛知県といたしましては、名古屋市内のみならず、県下全般に食品につきましての市場の続出の形勢が当時ございまして、昭和二十三年来、食品市場取締条例というものを設けまして、その開設につきまして、知事許可を得た上で市場開設をする、卸売人につきましても、これを登録をしまして、公正なる取引ができるように、かような実は配意をもちまして、引き続いて実はやって参ってきたわけであります。しかるところ、先ほど来いろいろ各諸先生方からお話も出ましたように、戦後の混乱時代から順次経済情勢も軌道に立ち戻るにつれまして、市場取引行為自体も順次改善されて参りました。二十三年当時に句々のうちに制定をいたしました条例の内容をもちましては、それぞれの類似市場規制して参る上に不便を感ずるに立ち至りましたものですから、二十八年暮ごろからその改正の問題につきまして、内部的にはずいぶん話し合いが行われておったわけであります。たまたま、二十九年の十月に県の議会の議決も経まして施行に相なったわけでありますけれども、多少前条例の不備な点も補完するといった点が主でありまして、ことさらに新しく条例を打ち立てたと、かような趣旨ではないわけであります。不備を整え完全なものにいたしたという内容であります。類似市場につきまして、そのような県の条例規制することがいいか悪いかの点につきましては、これはずいぶん御意見のあろう点であろうと思います。私どもの立場からでは類似市場が乱立をいたしまして、それが何らの規制も行われておらぬ、こういうことはかえって取引の安全を害するのではなかろうか。別にこれを公認し、権威づけるというのは、結果論から申しますと、さような結果に相なろうかとも思いますけれども、これを公認するよりは、県の知事許可を得まして、そうして適正市場開設され、適当な卸売業者卸売業務に携わる、こういうことが結果といたしましては取引の公正を期するゆえんではなかろうかと、かように考えまして、ずっと引き続き昭和二十三年来そのような方針できておるわけであります。たまたまそれが市場の——中央卸売市場卸売業者の整理統合の問題とからみ合いまして、先ほど横井助役さんの御意見でございますると、そのために非常に行き悩んでおられるようにあれいたしましたが、その点誤解があるといけないと思いますのは、県がそのようなことを、何と申しますか、意中にしまして、こう条例を新たに二十九年の十月制定いたしたわけではないことを、これは先刻御承知であろうかとも思いますけれども、御了承を賜わりたいと思います。  なお、類似市場の問題につきまして、今度提案されております原案におきまして、一定規模以上のものを農林大臣に届け出るといったような点につきましては、先ほどちょっと私といたしましても触れたわけでありまするが、県の条例との間の取扱いをどういうふうにして参るものか、その辺を私どもといたしましては、はっきりさしたいとも思いまするが、また届け出まして、業務を執行する一定規模以上の類似市場につきましては、その後のいろいろな監督なり指導なり等を十分いたすことが特に必要ではなかろうか、かように思うわけでありますが、ただ私どもの考え方といたしましては、条例でそういった類似市場規制いたしますことが、中央卸売市場の内部の卸売業者の整理統合等に何と申しますか、支障を来たすということは、これは考え方の問題であろうかと思いますけれども、条例がなければ必ずうまくいくのに、条例があるがゆえにそれがうまくいかないのではなかろうか、こういうふうにのみ考えるのはどんなものであろうか、こんなふうな感じがするわけであります。
  52. 戸叶武

    理事戸叶武君) この問題はその程度で、質疑が終ってから懇談に入ってからお願いします。
  53. 青山正一

    青山正一君 小売代表の大澤さんにお伺いしたいと思いますが、あなたの方の小売全般の意見といたしまして、何だか登録制にしてくれというような意見もあり、またそれが答申事項の中にその点はっきりうたってあるわけなんですが、不幸と申しましょうか、今度の法案の中に入っていないわけなんですが、ただ問題は、登録制をしきますと、市場の門戸を広く開放することができないというような意見があるわけなんです。たとえば市場に買い出しに来る人間は、ただ小売商ばかりじゃないんだ、魚の面から考えて申し上げますと、てんぷら屋もある、あるいはすし屋もある、あるいは種屋もある、食堂もある、料理屋もある、あるいはこの近郷の埼玉県から来る、あるいは群馬県から来る、あるいは甲府から来るというふうなことで非常に買い出しにくるお方も東京都だけじゃないんだ、そういうふうな観点からして市場の開放性を阻害しやせんかというような意見のもとに、この登録制というものがあまり眼中に置かれていないというふうにも承わっておるわけなんですが、それに対する御見解と、それからもう一つは、その卸売人とか、あるいは仲買人の方面から見ますると、どうもこの小売商のせり参加、売買参加というものを、正直な意味合いから申し上げますと、私はそういうふうに考えて参るのが、そういうふうな面から見ますると、いかにもそういうままっ子扱いにされておるようにも見られますが、それに対する御意見、こういった二つの問題について一つ意見を伺いたいと思います。
  54. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) 登録制の問題は御案内の通り、せり参加については業務規程によりましてこれは許可制、ただ私どもの言うところは小売業者というものは専門業者ですから、すでにもう先回の協議会におきましても、仲買人と同様にその小売商の重要性を認めて法文化するということを、とにかく皆さんが決定をしてくれたのですから、これは少し軽く扱われているような感じがしているのですが、一つ尊重してもらいたいと思います。  それからもう一つは、東京のことを申し上げますと、東京青果市場でもって現在約三百近く中央市場だけで扱っております。その取扱いの上からいきますと、仲買人が四割五分で、私ども五割五分、小売商の方の扱いの方が今のところ多いです。しかもその取引の代金支払い等につきましては、卸売人取引の協約を結んでおりまして、そして組合の責任において代払いをいたしております。そういうような責任がありまして、まあ口はばったいことを申し上げますようですが、東京におきましては、二十九年度の小売商の取引は百三十三億二千五百八十二万六千円ばかり私の方は買っておりますが、一銭も御迷惑をかけていない。そのかわり、これを迷惑をかけないような実行をするには相当の苦心をする、責任がありますから。そういうような面から考えまして、一般のものと区別をして、そうしてしっかりした登録制をしいてもらいたい。そうでないと、組合に責任を負わしておいて、よその市場に行って買ってしまう。先ほど申し上げた類似市場なんかへ行って買ってしまう。そういう不心得者のために組合が大きな損をしなければならぬ、そういうようなこともございますから。そこで小売商というものは消費者の代買人として専門業者であるという点、それから今の代払いの責任があるから、ぜひ登録制にしてほしい、こういうことを申し上げておるのでございます。  それからもう一つ、何でしたかね。
  55. 青山正一

    青山正一君 売買参加の問題が卸売人仲買人の建前から考えてみますると、いかにもまま子扱いのように考えられますが……。
  56. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) その通りなんです。けれども、東京では今申し上げたような取引の状況でありまするし、特に東京中央市場でも仲買人のない中央市場がございます。こういうところは仲買人がおらなければ小売商に売らなければならない。だからこれは全面的に小売商がせり参加することは当然です。それから戦争のときに、仲買制度というものは配給制になりまして廃止になりました。それで戦後統制が解除をされましてからは、仲買人がないのですから、小売商が全面的に参加をしておった。一年後に仲買というものが復活したのです。ですから、戦後の取引におきましては、仲買よりは小売商の方が先輩であり、取引上においてはりっぱな熟練工である、価格形成の上におきましても。そういうような意味から、ことに仲買だけに買わせるというと独占が起って、消費者相場というものが実現しないおそれがある。ところが私どもは日々消費者によく接触しておりますから、だからもう消費者の世論もよくわかっておりますし、希望もよくわかっておりますから、その希望を持ってせり参加していくということが一番理想的な取引であろう、かような意味で強くこのせり参加ということを主張しておるわけでございます。
  57. 青山正一

    青山正一君 全漁連なりあるいは全販連の御意見は非常にりっぱなものだと、私はそういうように先ほどから非常に感心しておるわけですが、この全漁連、全販連のお二方に一、二点御質問申し上げたいと思いますが、第一点は、今までは全販連なり全漁連でこの中央卸売市場卸売業務を営んでおったのでありますが、ほとんど成功していない、成績があまりかんばしくないのはこれはいかなる理由によるものか、私一個の考えといたしましては、生産者はあまり純真すぎちゃって、商売にたけていないために——まあそういうふうに解釈しておるわけなんですが、その点岡さんあるいは全販連の参事さんにお聞きいたしたいと思います。
  58. 岡尊信

    参考人(岡尊信君) ただいま、全漁連が中央市場に進出したけれども、あまりいい成績を上げなかったというような御質問のようでありまするが、全漁連等系統機関がみずから中央卸売市場へ進出したことはないのであります。これはまあそういう団体の息のかかったものが集まって、会社を作って進出したというようなことはありますが、系統機関みずからが進出したということはないのであります。従って、今まで成績が悪かったのは資力が乏しいとか、経験が足らないとかいうような点が多いのでありまして、これは単なる卸売会社といっていい程度のものでありますから、全漁連が進出したのではないのであります。
  59. 青山正一

    青山正一君 ただいまの岡さんの御意見によりますと、全漁連ではない、こういうふうにおっしゃっていますが、しかしその金融は常に系統機関の金融を扱っている中金から相当多額のいわゆる運転資金というものをいただいておったわけなんですが、そういう点からみますと、たとえば東京における中水魚市場——中水も全漁連も同じようなわけですが、たとえば中水魚市場、あるいは大阪における中水魚市場、こういったような会社もおそらくこの系統機関である中金から金融を仰いでおった。そういう点から考えて全漁連とつながりがある、こういうふうに私は考えているわけです。その点いかがですか。
  60. 岡尊信

    参考人(岡尊信君) 農林中央金庫が卸売業務をやっているものに金融をするのは、必ずしも全漁連関係——あえて関係と申しますが、の会社のみではないのであります。一般卸売業者に金融をしております。ただ大阪中水というのは、御承知の通り中央水産業会時代の解散後の一つの現われでありまして、全然全漁連系統のものではない。ことに東京都にありました漁連共販のごときものは、名は漁連共販でありますが、一見漁連が出資をしている会社のようですが、個人会社というようなものでありまして、系統が承認して出資をしたものではないのであります。
  61. 勝賀瀬質

    参考人(勝賀瀬質君) ただいま御質問の点、私どもの方は実は卸売機関を持っている経験は現にあるのでありますが、それは確かに経営の面からはうまくいっておりません。うまくいっておらぬ一つの理由としまして、もちろん今おっしゃいましたように経験の点を言われるかもしれませんが、半面において、先ほど申し上げましたように中央卸売市場本来の機能そのままで行けばこれはまた別の問題ですが、現在のような行き方でありますと、どうしても私どもは法律の、農協法の束縛を受けまして、自由闊達な活動はできないという点に非常に大きな欠陥があるということと、それからもう一つ、私ども最近反省いたしておりますのは、実は青果関係では、現在まで私どもの会員の取扱いというものは微々たるものであります。従って、その会員ということから受ける制約というものは非常に強いものですから、なかなか完全に進んで行けない。そこで実は最近私どもとしましては、青果物に対する共販体制の確立運動というものを起して、これで系統の青果物に対する一つのまとめをやって行こう、これがない限りどうしても自由闊達な経営がやれないというところに大きな欠陥があるというように言っていいだろうと思います。そう考えております。
  62. 青山正一

    青山正一君 最後に木村さんにお尋ねいたしたいと思います。あなたは、中央市場対策協議会の議長として、あなたの出した答申事項が今度の法案に全面的に入っておると解釈なさいますかどうか。ある一部の人は農林当局がその国会上程を急ぐあまり、協議会答申事項の中から都合のよい見解をもって起案したと、こういうふうに解釈しておるわけなんですが、それに対してあなたの御解釈はどういうふうに考えておられるかどうか。  それから、先ほどから問題になっておりますところの卸売業務の資格、員数、その他命令をもって定むる事項、これを業務規程をもって定むべしという一項を一つつけ加えていただきたいというような意見も相当あるわけなんですが、それに対する御見解を、この二点を承わりたいと思います。
  63. 木村鑛二郎

    参考人木村鑛二郎君) ただいまの御質問市場対策審議会で答申しました要点でございますが、まず法の改正の問題については一部改正ということでありますけれども、これがいいと思いますし、大部分意見もやはりこの辺にあったようでございます。それからその次に国の積極的指導云々の問題、これは直ちに専管課というものが置かれましたので、これも審議会の答申がその通りになっておると思います。  その次に卸売人の整備の問題でございますが、この問題は非常に混乱いたしまして、結局少数適限という問題、もう一つ許可の問題は先ほどお聞き及びの通りでありまして、委員会がこれというはっきりした答申をしておりませんので、この点は答申の通りになっているとは申し上げられませんし、またそうでないとも申し上げかねる次第であります。  その次に仲買人地位の確立の問題は、先ほどおっしゃった通りで、もっと積極的な地位の確立ということはもちろん入っておったのでありますが、これがある程度消されまして、こういうふうな法案が出ておりますが、これは当時、そういった御意見にもかかわらず、大部分の御意見はこの程度というふうなことで、ここでまた十分に当時の答申案が盛られておると考えております。  それから最後の二つの独禁法の問題、これは先ほどからちょっと申し上げました通りに、当時の私どもの意向が大部分盛られていないで、もっとゆるやかなものになっておりますが、これはいろいろ法の解釈の問題、また農林大臣許可の問題、その他いろいろ関連すると存じますが、当時は答申案には独禁法による適用除外というものは絶対的な希望としてうたっております。  それから類似市場の問題でありますが、これは具体的にはこうして類似市場規制すべきだということはきめておりませんが、今の市場をもっと整備して、それによって自然的に類似市場の撲滅をはかるのがいいんじゃないかと、あるいはまた類似市場は何とかこの際規制すべきであるというふうに答申したはずでありますが、それは規制といいながらも、今回のが認めるということになっておりますので、先ほどからいろいろ皆さんの御意見も出ておるようでありますが、今度のこの法が規制と解するか、あるいはむしろこれを認めることになるか、その点いろいろ解釈のされるところであると思いますが、この点はいささか皆さんの御期待に反した今度の改正ではないかと考えます。  それから最後に業務規程に単複の問題、卸売の員数の問題を規定するのがいいのかどうかという問題でありますが、これは各市場ごとにその員数も非常に事情が異なって参りますし、また水産、農産おのおの意見も違っておるようでありますから、この点は現在のままでいいと、こういうふうに解釈しております。
  64. 森八三一

    ○森八三一君 すでに時間も経過しておりまするし、青山委員から各般にわたって質疑がありましたので、二点だけを一つお伺いしたいと思います。その第一点は、大澤さんにお願いしたいんでございますが、今日御足労を願いました開設者、卸の関係、仲買の関係生産者関係、学識経験者の関係の皆様のおおむねの御意見は、現在の市場における卸売人が非常に乱立している、この整理を進めなければならない、そのために独禁法が障害の因をなしておるように思われるので、これは適用を除外すべきではないかというような御意見であったと思うのですが、ところが、大澤さんの御意見は独禁法適用の除外はその必要なしという特異な御意見の開陳があったのでありますが、その意味は現状でよろしいということでありますか。もっとも御説明の中に卸売会社が非常に経営困難になっておるのは、かくかくの理由であると、各般の詳細な御説明があったのでありますが、そういうことは抜きにして、現在の数でよろしいとお考えになっておるのか、現状はやはり適当でないので、ある程度の——単か複かということは別にいたしまして、整理統合を必要とするとお考えになっておるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。  それから第二点は、荒木さんにお伺いしたいのですが、先刻生産者の三団体から異口同音に無条件で市場に委託出荷しておる、その生産がときによって思わしく参りませんために、生産者立場は非常に不測の損害を受ける、この問題を解決すべきであるという意見の開陳があったのであります。これに対して全漁連の岡さんからは、具体的に保証金の増額だとか、あるいは会社の資本の増大という点が指摘されておるが、きわめてごもっともなことだと思うのですが、このことは結局案じまするのに、卸の関係が及んで仲買いとの関連を持ち、さらに小売との関連を持っているというように因果関係がその間には結ばれておるわけでございますので、今生産者団体諸君のおっしゃったようなことを解決して参りますために、どんな方法が一つ考えられるのか、学識経験者というお立場から何か名案がございましたら、一つ御示教いただきたいと思います。
  65. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) 私どもは独占になることは絶対反対いたします。複数にもいろいろありますが、いわゆる適当数と申しましょうか、まあ数多くは希望しないのです。できることなら対等の卸売会社が自由競争によってあらゆる方面に進出してもらうということが非常に成績が上るのではないか、こう考えております。乱立した場合には適当に整理するとか、あるいは単数にならない限りの合併をすることは差しつかえないのではないか、かように考えております。
  66. 荒木孟

    参考人(荒木孟君) 生産者卸売に対する委託について、支払いその他で確実を期さなければならない、これはもっともであります。これはやはりそういう仕切金をおくらせるとか、あるいは不払いにするというようなおそれのないような、りっぱな卸売人を選考することがもう第一であります。有力なりっぱな卸売人さえありますれば、そんなことは絶対にいたしませんし、そういうことをしたら直ちに荷主の信用を失って卸売市場の競争の場裡には勝てなくなると思います。現状から言いますと、有力な会社もしくは有力でないものでも、荷引の必要上前渡金というようなものを相当多額に生産者方面に出しております。これはつまり保証金を積んでおるようなものでございますが、これは全面的にはいかんのでありますので、やはり全体的に荷主を保護するのには、卸売人をして相当に保証金を積ませておくということが必要と思います。この保証金が現在は今日の貨幣価値から申しますと、非常に少いものでありますから、これはやはり相当に増額する必要がある。それからまたそれに対する優先権というようなものも、今日の規定は少し——少しどころではない非常に悪いと思います。それはやはり荷主が第一の優先権者で、開設責任者として場合によっては責任を分担しなければならぬくらいのものでありますから、その点は適当に改正すべきものと考えております。
  67. 横井亀吉

    参考人横井亀吉君) 先ほど私が申し上げました中で二点ばかり訂正といいますか、ちょっと発言をやり直したいと思います。先ほど生産者その他に迷惑をかけるようなものがあっては困るなんというようなことを申し上げましたが、これは現在そんなものがあるという意味ではございませんので、言葉の行き違いがありますといけませんので、ちょっと訂正しておきます。  それから県の事柄で、申し上げました事柄の中で新しく条例が出たという言葉で申し上げましたが、先ほど部長のおっしゃるように、そういう意図があって作ったものではないことはよく承知しております。ただ、たまたまそれがそれに合致したという事柄と、それから条例改正が大幅で、一部改正でなくて全面改正であったということが申し上げたかっただけでありますので、あまり悪くとらないように一つお願いしておきます。
  68. 戸叶武

    理事戸叶武君) 質疑はこの程度をもって終り、ただいまから懇談に入りたいと存じますが、お差しつかえありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  70. 戸叶武

    理事戸叶武君) では速記をつけて。  本日はこの程度にいたします。  参考人各位におかれましては、きわめて御多忙中長時間お差し繰りいただきまして、ありがとうございました。重ねて厚くお礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会    ————・————