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参考人(
鈴木勇造君) 私ただいま御紹介にあずかりました
組合金融協会の
鈴木でございます。
大へん諸先生方には、日ごろ農協の
仕事につきまして非常な御支援、御指導をいただいておることにつきましてここに厚く御礼を申し上げます。ただいま
農林中央金庫の
理事長さんのお話がありましたので、おそらく私が申し上げることも同じ
系統でありますために重複をする面も多いかと存じます。従いましてこの点についてずいぶんお聞き苦しい点が多いのじゃないかと思いますが、しばらくどうぞ御静聴をお願い申し上げます。
われわれ
農業協同組合として
仕事をしております者は、
組合金融ということは各町村にありまする
単協と都道府県にありまする
信用農業協同組合連合会、これは略して信連と申しておりまするが、それをただいま
湯河さんのお話の
農林中央金庫、この三
段階を称してわれわれは
組合金融系統と、こう申しておりまするが、まず第一にわれわれ
単協の
仕事でありまするが、御
承知の
通り単協は昨年末で三千八百五十億円からの
貯金を持っております。これはまあ国全体の
預貯金の五兆円と言われまするものから比較しますと、まことに八%弱というような微々たるものでありまするが、しかし御
承知の
通りわれわれ農協というものは全国津々浦々どんな山間僻地、交通不便な所にも店舗を持ちまして、われわれの方では店舗とは言いませんが、事務所を持ちまして、そうして
仕事をしておるのであります。しかもたとえば五百人の
組合員でありますれば、この
貯金がかりに六千万円としましても、大体におきましてこの
組合員の五倍ないし六倍くらいの
貯金の件数なのでありまして、一件につきましては二万円
程度というのが今日の農協の
貯金の一件当りの
金額であります。従って平素の取扱いというものはまことに微々たる
金額の取扱いをいたしまして、そうして今日国策に沿って貯蓄の増強というような
仕事を進めておりまするのが今日の
単協の
仕事でございます。同時に
単協としましては、これは御
承知の
通り信用以外の販売、購買
事業というような
仕事もやっておりまするが、今申し上げますることはこれは
信用事業のことだけにとどめまするが、そのうちで
貯金はそうした零細な
貯金を取り扱うとともに、また
貸付も、御
承知の
通り日本の農村というものはきわめて零細でありまして、しかも
農業という
事業とまた農民の生活とはほとんど区別のできないような今日農民の
経営体でありますので、これらのまた農民に対する
貸付というものもまことに小さい金であります。おそらく今日
一般金融界における
金融ベースには乗らないような五千、一万というような、ごく微々たる
貸付があるのでありまして、ただそこに農協の
貸し出しが非常に
金利が今高いというようなことを言われております。事実調べてみますと、
単協におきましての
貸し出しというものは日歩三銭ないし三銭五厘でございますが、しかしこれにはわれわれ農協におきましては、
貯金をするものは全部
組合員ないしは
組合員の家族でございますが、同時に金を借りるというものについて、他の
金融機関とは事変りまして、農協で金を貸すのは、たとえばよその
金融機関で当座の取引がすでにあるとか、もしくは金を借りるための歩積みをするとかいうようなことは一切やっておりません。従ってこれはまあ私そういう例を申し上げてはなはだ失礼でありまするが、長らくわれわれ農協の
仕事に携わっておりまして、今ある東京においての交通運輸
事業に携わっておりまするわれわれの仲間の一人が先般私の所へ来まして、実は今までお前たちのことについてずいぶん高利貸だとか何とかいうことを悪口を言うたが、実際において他の
事業に携わってみて、よその
金融機関と接触してみると、なかなかどうして今まで農協あたりと金の借り入れをしたこととは事変って、なかなか事がめんどうだ、まず第一に調査費用をとられる、これも相当の額の調査費用をとられる、その上当座の金も三割やそこらのものは始終置かなければならない、毎月々々また手形の書きかえのつどには歩積みをさせられる、こういうふうなことを計算をして見ていくと、これはもう表面は二銭七厘くらいで金を借りられるようになっているのだが、実際計算して見るとまあ四銭にも五銭にも当るというようなことで、お前の方の方にずいぶん悪口を言うてきたが、ほかの
金融機関と接してみるとそうでないのだ、というようなことの述懐がありましたが、私はその面につきまして今日の農協の
仕事というのは、はなはだ零細な
貯金を預かり、また零細な
貸付をしておりますが、その間には世間の
金融機関とは変ったと言いますか、世間の
金融機関ではまねのできない、いわば正当な取引をしているのじゃないかというような感がいたしておるのであります。しかも今日農協の
仕事というのは、できるだけわれわれは貯蓄をお勧めして参っておりますので、いわば農協としては農民のための
資金の
貸付をするのも当然でありまするが、同時に農民にできるだけ貯蓄心の養成というもの、これは私はある
程度まで農協としての使命を果すゆえんではないかというふうに考えておるような次第であります。
今日
単協としては、ずいぶんいろいろなことを言われまするが、そうした
事業に携わっておりまする中の役職員も、時間的にも農民というものはほかの
金融機関と事変りまして、朝九時から午後四時まで、その間に昼休みをしてそうして
仕事をするなどというのとは事変りまして、朝も早くから、しかも夜おそくなっても何かと農民のためにサービスするということが、これが農協の
仕事だというふうにもまた教えられ、同時にそうした考え方をもって今日どうやら
仕事を進めているような次第であります。と同時に、農協として、今これはまあ農協と信連、全体を通じてでありますが、いろいろ農協の
仕事についてわれわれはずいぶん長らくその点についてはお願をして参ったのですが、
単協における
貸し出しあたりにつきまして、とかく
単協の
仕事が農民にほんとうに要求をされる
貸し出しができないというようなことを言われまするが、実際問題としましては、御
承知の
通り農協、信連を通じて財務基準令というものがございます。この政令は今日農協において金を貸す場合におきまして、
単協では自分の
組合員に金を貸す
貸付は、
組合の出
資金並びに
出資予約
貯金の
総額のうちの一割、これをこえてはならない。また同時に
組合員から
組合に
出資をしておりますもの、また
出資予約
貯金をしておりまするものの二十倍、いずれか低い方にということが規定をされております。従って今日
単協が二百万円
程度の出
資金だとすると、その一割、どうあろうとも二十万円をこえるというような
貸し出しはできないというような規定のもとにおいて
仕事をしなければなりませんので、実際において思うような
貸し出しができない。その上においてこの規定は都道府県の信連にも同じ規制がそのまま行われております。
単協においての今の政令ではまあどうやらがまんができましょうが、信連の
段階におきますると、この点についははなはだどうも今日困っておるような次第であります。それは御
承知の
通り信連で今
単協に金を貸す場合におきまして、これが信連の
出資総額の一割
程度といいますると、今全国の信連一億円をこえるという出
資金は、数県きりしかないのでありまして、これはまあ信連といたしまして、少くとも
出資を一億円をこえるくらいはこれは必要なことはわれわれ痛感をしておりまするが、しかし御
承知の
通り、信連の今
出資ははなはだできないような状態にあるのであります。それは御
承知の
通り経済連の再建整備というようなことからしまして、
経済連に対して
単協は相当多額なそれぞれの都道府県におきまして
出資をして、この
経済連の整備促進ができるまでは
単協が
経済連に
出資をしましたものは、全部無利子で無
配当で今日あるのであります。しかもこの
金額というものは、なかなか各
単協から見ますると大きなものでありまして、
単協によりますると、大きいところでは三、四百万円というものが
経済連の
出資としてされて、しかもそれは無
配当、無利息であるというような形で、しばらく七、八年はこういう形でなければ
経済連の整備促進ができないというようなことにありますために、その上に持っていって信連に対する
出資をここで増額をするということはできない。従ってわれわれ
出資をふやさなければならないというような
事情もよくわかっておりまするし、またそうすべきだとは思っておりまするが、何にしましても、今日では
単協から信連の
出資を増すというような
状況にはできないのでありまして、自然そうなりますると、今日信連は全国まず四、五千万円の
程度でありまして、従って一
単協の
貸し付ける制限というものが四、五百万円で押えられる。これはまあ
単協の
信用がないわけではなしに、そういう政令のためにやむなくその政令を守る以上は
貸し出しができない。もしやろうとすれば政令を犯さなければならないというような形にあります。この点については、今までずいぶん信連側といたしましては、農林御当局にもそうした政令の改正をお願いし、いろいろ御研究も願ったのですが、いまだにこの政令が改正ができないということで、非常にわれわれ残念に思っているような次第であります。どうぞ
一つ諸先生方のお力添えによりまして、ぜひそうした政令が私は一日も早く御改正を願いまして、各都道府県の信連がほんとうに活発に農協のために
仕事ができまして、信連本来の使命が果し得るようにぜひお願いを申し上げたいと存じておるような次第であります。
なおわれわれ信連側としまして、今日
仕事ができるだけしたいというようなことからしまして、先ほ
ども湯河理事長さんのお話のように、今日の
金融緩慢な
情勢から
金利低下の趨勢に従って、先般も
農林中央金庫では
予定特配の廃止を二月十日からなされましたが、これについては、全国の信連としては非常に痛手なのであります。これはしかしこの痛手はお互い御
承知の
通り、今日の
予定特配を廃止されるということは、
金利に換算しまして年一分の
金利の引き下げになりますので、これが
単協の窓口
金利の引き下げということになれば、これはそれでよろしいのですが、御
承知の
通り今日一般の
金融界の窓口は引き下らないのでございますから、もちろん
単協においても窓口を引き下げるわけにはいかない。従ってこの
予定特配の廃止というものは信連と
単協の間にそのしわ寄せをいたしまして、そうしてこの際をがまんしていくという以外にない。今非常に
単協の
経営、また信連が
経済連の整備促進のために非常な
悩みをしております際に、さらに
一般金融界の
情勢からして
中金の
予定特配が引き下るということは非常に苦しいことではありますが、しかしこれは先般もわれわれ全国の信連が集まりまして、そうして今日の
金利の
低下の
情勢からいって、当然われわれはこれに順応した処置をとらなければならないのではないかというふうな決定をしまして、それぞれ今日
金利の引き下げの方向をたどって
仕事は進めておりますが、ただわれわれ信連側としますと、今日非常に
農林中央金庫の構成につきまして今
悩みを持っておるのであります。それはここに
湯河理事長さんがいらっしゃるので、その側でそんなことを申し上げると失礼に存じますが、しかしわれわれは
湯河理事長に対する
個人的な問題でなしに、
農林中央金庫の構成としまして、今日非常に皆さん方がすでに御
承知のことだと存じますが、
農林中央金庫の今日の
出資は全国の農協並びに信連を主軸としまして、さらに
漁業、
森林方面の各それぞれの
組合が
出資をしまして、
農林中央金庫が構成されておりますにもかかわらず、この
農林中央金庫の今日の役員の構成は全部御
承知の
通り大蔵、農林両大臣の任命でありまして、従って
理事長さんは今日この構成団体総代会に対して何ら拘束をされない。総代会というものは
農林中央金庫の
事業報告を承認する
程度が今日の総代会だというような形でありまして、総代会がありましても、総代というものが金庫のいろいろな
事業について何らの権限がないのだというような形であるということは、自然これは全国のわれわれの都道府県の信連から考えてみますると、はなはだお互い民主的な世の中において、今日自分たちで
出資はしておりながら、それが自分たちの思うようにならない。もちろんこの
農林中央金庫をわれわれ自分たちの勝手気ままなものにしようとは考えておりません。各都道府県の信連においても、今日各都道府県の信連というものは少くとも都道府県庁の
農業行政と非常な緊密な連絡の下に、
資金の
貸付なり
仕事をしておる今日でありまして、今後といえ
ども、
農林中央金庫を民主化していただいても、われわれ決して農林当局と相反するような
仕事をもくろんでいるわけではございませんが、しかしここには信連側からいいますれば、自分たちで
出資しておりまするその
農林中央金庫が、少くとも
理事長さんが総代会の意思を無視はなすっておりませんが、無視してでもできるような構成にあるということは不合理を感ずるような次第でございます。従って、今特に信連側としまして要望しておりますることは、全体の
農林中央金庫、信連、
単協、この
金融系統を一本化して
仕事をして参りたいというその念願が届かない形であります。たとえば、
農林中央金庫の今日の支所等の配置問題あたりにつきましても、われわれ支所の必要な場所に
農林中央金庫の支所の設置をされているということは、これは必要でありまするから当然でありまするが、御
承知の
通り、今日では
農林中央金庫の支所というものはほとんど全国の都道府県にありまして、そうしてその支所は、各都道府県の信連の職員とほとんど同じくらいな職員を擁して
仕事をされておりまするが、この中央金庫の支所のお
仕事というものは、これは御
承知の
通り、
預金というものは各都道府県の信連、
農業方面の信連で大
部分の
預金はあるのでありまして、そのほかから
預金されておるものはほとんど微々たるものであります。ただ
農林中央金庫の支所というものが今かりに必要だということになりますれば、これは
水産、
漁業方面貸出しのためにサービスをされているというようなこと、自然われわれからいいますれば、そうした多額の費用を使っての今日の
農林中央金庫の支所というものは、もう少し合理化されまして、そうしてそこには
資金の
コストの引き下げというような面にも現われるのじゃないかということを考えますと、ぜひ一日も早く
農林中央金庫の構成を民主化していただきまして、そうしてそこには
系統全体が一本化して
仕事ができますようにということで、先年来この点については特にやかましく論議しましたが、ことに昨年来そうした面につきましてもいろいろ研究しておりますが、なかなか今日の
情勢からいいますと、信連側からそういうことを申し上げると、はなはだなまいきだというようなおしかりなどこうむって、今日われわれの希望がかなうかどうかということについても、ずいぶん苦慮しておるような次第でございますが、しかしこれはまあ
系統をできるだけ早く一本化するために、そうした措置を一日も早く御研究を願い、そうして措置を講じていただくことが最も今日
組合金融をして完全なものにしていただけることではないかと思うような次第であります。
いろいろ平素われわれ特に農手であるとか、
災害の
融資であるとか、いろいろ
政府の御厄介にはなりまするが、しかしこうした
制度金融については、われわれ
どももこれを常に農協というものは
制度金融によるばかりが農協本来の使命じゃないのだ、先ほ
ども湯河理事長さんの
お話しのように、できるだけお互いの間に
資金を集めまして、そうしてその
資金をぜひ
コストを引き下げて、そうして農協として農民のためにできるだけの
資金の
需要を満たすという方向に向っては、われわれ日夜苦慮しておりまするが、そのことは今後ともぜひ
資金の
蓄積、特に
貯金の増強という面については、これは全国一丸となって
仕事を進め、また今後ともその面については
努力をして参りたいと存じますので、ただ今申し上げましたような、われわれやりたくもできない、いわば政令について押えられておる面だとか、また
系統一体化をするための金庫の構成を民主化していただくというようなことは、ぜひこれは諸先生方のお力を借りなければならない面でありまして、いろいろ今までも皆さん方に御指導、御援助をいただいておりまするが、この上とも
一つ皆さん方の絶えざる御支援のほどをお願い申し上げまして、はなはだ簡単でありまするが、私の話を終らせていただきます。