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1956-03-06 第24回国会 参議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月六日(火曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————   委員の異動 三月二日委員森田豊壽辞任につき、 その補欠として小西英雄君を議長にお いて指名した。 本日委員横川信夫辞任につき、その 補欠として高橋進太郎君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理事            青山 正一君            重政 庸徳君            戸叶  武君            三浦 辰雄君    委員            雨森 常夫君            小西 英雄君            佐藤清一郎君            高橋進太郎君            東   隆君            河合 義一君            溝口 三郎君            森 八三一君            千田  正君   衆議院議員            綱島 正興君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君   政府委員    農林政務次官  大石 武一君    農林大臣官房予    算課長     昌谷  孝君    農林省畜産局長 渡部 伍良君    食糧庁長官   清井  正君    水産庁長官   塩見友之助君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○急傾斜地帯農業振興臨時措置法の一  部を改正する法律案衆議院送付、  予備審査) ○漁港法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○家畜取引法案内閣提出) ○農林水産政策に関する調査の件  (農林水産基本政策に関する件)   —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  まず委員変更について御報告いたします。森田豊壽委員及び横川信夫委員辞任され、小西英雄委員及び高橋進太郎委員が選任されました。   —————————————
  3. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に連合審査会に関する件についてお諮りいたします。本院規則第三十六条に基き、米国の水爆実験の件について外務委員会連合審査会開会することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  ただいまの決議に基き、委員長外務委員会に申し入れることにいたします。   —————————————
  5. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 急傾斜地帯農業振興臨時措置法の一部を改正する法律案議題にいたします。  本法律案衆議院綱島正興君外四十名の提出にかかるものでありまして、去る三月二日衆議院から衆報第九号をもって予備審査のため、同日本委員会予備付託になったものであります。まず提案理由説明を聞くことにいたします。
  6. 綱島正興

    衆議院議員綱島正興君) ただいま議題と相なりました綱島正興外四十名提出傾斜地帯農業振興臨時措置法の一部を改正する法律案に関しまして、提案理由を御説明申し上げます。  この法律で急傾斜地帯とは、土地傾斜度及び土壌の侵蝕度が政令で定めた基準以上であって、かつ過重なる労働を必要とする農地が集団的に存在している地帯を指しているのであります。この地帯には西日本中部日本にわたり約三十四万六千町歩耕地と約六万一千町歩樹園地を包含し、約九十二万四千戸の農家がこれら急傾斜農地によって、きわめて劣悪な条件のもとに今日まで平坦地農業に伍しまして、食糧その他の農産物生産に貢献して参ったのであります。従いまして、この地帯における農業生産基礎条件をすみやかに、かつ総合的に整備いたして、その生産力を高め、食糧増産をはかりますことは、ただに、この地帯農業経営の安定と農民生活改善となるばかりでなく、国民経済発展に寄与するところきわめて大なるものがありますゆえをもちまして、昭和二十七年四月本法制定を見た次第ございます。  さて、本法による農業振興計画は、各種の事項内容としておるのでありますが、これが実施に当りましては、特に急傾斜地帯農業特異性にかんがみ、過重労働の軽減ないしは平均化と、農地保全等土地改良事業にその重点を指向いたし、極力関係事業の促進をいたし、この地帯農家の要望にこたえて参ったのであります。しかしながら、過去四カ年の実績を見まするに、土地改良団体営灌漑排水事業におきまして三千六百町歩耕地整備事業のうち農道約七百キロ、索道四百三十キロ、農地保全事業におきまして五千六百町歩示し、なかんずく、農道索道において相当の成績を上げて参りまりましたものの、全体の進捗度計画に対し約二割弱にすぎないのでありまして、耕種改善養畜、養蚕、その他畜産物共同加工並びに処理施設等経営改善事業を初め、今後なすべき多くの事業が残されておるのであります。申すまでもなく、経済自立の達成上、食糧自給度向上は、現下絶対の要務であり、急傾斜地帯農業経営改善農業生産力の増強は、わが国農業の特質から見ましてますます緊要度を加えておりまするとともに、この地帯に立地する農家経済生活向上をはかりまする上におきましても無視するを得ないところであると確信いたします。  このような理由によりまして、本法有効期限をさらに五カ年延長いたしまして、各般の関係事業を鋭意促進し、本法制定の目的を達成するようにいたしたいと存じ、本案を提出いたした次第でございます。どうぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  7. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本法律案審査は、日を改めて行うことにいたします。   —————————————
  8. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 漁港法の一部を改正する法律案議題といたします。  本法律案は、去る三月一日内閣から閣法第九十号をもって提出、同月二日当委員会付託になったものであります。  まず提案理由説明を聞くことにいたします。農林政務次官大石武一君。
  9. 大石武一

    政府委員大石武一君) ただいま上程せられました漁港法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  漁港法は、御承知通り水産業の基盤である漁港に関する基本法といたしまして、昭和二十五年に制定、公布を見ましたのでありますが、それ以来本法に基き、漁港指定は二千六百五港の多きに達し、漁港整備計画は第十回及び第二十二回の両国会に御承認を得、これに従い漁港修築事業施行を推進いたしておりますとともに、漁港管理者指定等により、漁港維持管理適正化をはかります等、本法の運用によりまして、着々と漁港整備の実を上げ、わが国水産業発展に大いに寄与しているものであります。  しかしながら、五カ年間にわたる本法施行の経過にかんがみまして、本法規定する手続中、簡素化して差しつかえないものは、これを整理いたしますとともに、漁港整備進捗に伴い、二、三の規定を設けて本法の充実をはかり、また漁港実情に即して、多少現行制度改正する措置を講じますことが、今後の漁港行政の一そう円滑なる運営を期するゆえんと存じまして、この際漁港法の一部を改正することとし、本法律案提案いたしました次第であります。  以下、この法律案内容について、概略御説明申し上げます。まず第一に、手続簡素化に関する改正規定でありますが、その一は、漁港指定内容の軽微な変更については、漁港審議会の議を要しないものとし、その二は、漁港修築計画の軽微な変更については、農林大臣に対する事前許可制度届出制とし、その三は、漁港管理者が定めることとなっている漁港管理計画及び漁港管理規程は、これを統合して漁港管理規程とし、その四は、従来の第一種漁港に加えて新たに第二種漁港においても、その区域内の公有水面の埋め立ての免許については、農林大臣の認可を要しないものといたしました。これらは、いずれもその手続を簡素にいたすことにより、事務の一そうの円滑化を期したものであります。なお、これらとあわせて、従来明文を欠いておりました漁港整備計画変更手続は、その制定手続に準ずべきものといたしました。  第二に、新設の規定といたしましては、その一は、昭和二十七年以降実施しております国の直轄漁港修築事業のうち、完成をみるものもありますので、これによって生じた土地または工作物に関する規定を設けることとし、これらは農林大臣において管理、処分を行い、そのうち漁港施設については、漁港管理者管理を委託することができるものとし、これらの国有施設漁港管理者がみずからの施設とあわせて一体的に維持管理を行うことにより、漁港運営に遺憾なからしめようとするものであります。その二は、漁港管理者において漁港台帳を調製せしめることとし、これによって漁港の現況を常時明確に把握し、適正な漁港管理基礎といたしたい所存であります。  第三に、現行制度改正に関する規定といたしましては、その一は、漁港管理者漁港管理につき種々の公法上の規制を行う権能が与えられていることにかんがみ、漁港管理者となることができるものは地方公共団体のみといたしました。これによって漁港管理権の性格を一そう明確にし、今後の漁港管理の適正を期します上にも望ましいものと存じます。その二は、漁港管理会でありますが、漁港運営の実態にかんがみまして、その利用範囲が全国的にわたって重要である第三種漁港については、従来通り義務設置とし、その他の漁港については、これを任意設置といたしますことが適当と考えられ、そのように改正しようとするものであります。その三は、漁港機能施設のうちに野積場を加え、これを漁港管理対象としようとするものであります。このほか、これらの改正に応じまして所要関係条文の整理を行なっております。  以上が、この法律案提案する理由でございます。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます次第であります。
  10. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本法律案審査は、日を改めて行うことにいたします。
  11. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 家畜取引法案議題にいたします。  本法案は去る三月二日内閣から閣法第九十二号をもって提出、同日当委員会付託になったものであります。まず提案理由説明を聞くことにいたします。農林政務次官大石武一君。
  12. 大石武一

    政府委員大石武一君) ただいま上程せられました家畜取引法案提案理由を御説明申し上げます。  戦後わが国における畜産は急速に発展し、現在、馬以外の家畜につきましては、飼養頭数が戦前の最高水準をはるかに上回っておりますことは、日本農業発展のために大いに喜ぶべきことと存ずるのでありますが、これらの家畜流通という点に立ち入って考察いたしますと、なお、そこに畜産振興の隘路とも称すべき重大な制度上の欠陥が見られるのであります。すなわち、わが国家畜流通形態は、家畜の商品としての特殊性にもよるのでありますが、農産物に比較いたしましても、流通段階が複雑であるだけでなく、市場についての規制が不十分で、その取引方法が著しくおくれておりますために、家畜市場においてさえ、必ずしも常に適正な価格の形成と公正な取引を期待できるとはいい得ない実情にあるのであります。このような事態を放置するとすれば、近年大量に増加した家畜の円滑な流通を著しく阻害し、その結果、国が推進に努めております有畜農業経営にはなはだしい支障を来たすとともに、ひいては国民の食生活の改善にも悪影響を及ぼすことをおそれるものであります。  御承知のように、家畜市場法的規制は、明治四十三年の制定にかかわる家畜市場法がございましたが、これが終戦後昭和二十三年に廃止されまして以来、相当数の道府県で条例を制定いたしまして、それぞれ家畜市場規制を行い、流通秩序維持に努めてはおりますが、何と申しましても各府県の個々の対策では、家畜流通対策上遺憾な点が少くないのであります。よって、ここに、家畜市場を中心として家畜流通を円滑ならしめるため、この法律案提出する次第であります。以下簡単にその内容を御説明申し上げます。  第一に、すべての家畜市場につきましてこれを開設しようとするときは、都道府県知事登録を要するものとし、これに伴い登録基準等につき必要な規定を設けたのであります。  第二に、家畜市場についての規制でありますが、登録された家畜市場における家畜取引を、公正かつ安全に行わしめるため、家畜市場施設取引方法代金決済方法等について所要規制を加えることとしたのでありす。  第三に、家畜生産地帯において、子牛、子馬等取引される産地家畜市場につきましては、現在その数を家畜生産頭数に比して多過ぎるため、互いに弱小となって十分市場としての機能を果し得ないうらみがありますので、関係者の自主的な協議が調った場合には都道府県知事地域指定し、市場再編整備を行う一定期間は、その地域内において類似市場の開設を制限して、健全な産地家畜市場の発達を期そうとするものであります。  このほか、家畜市場外における家畜取引につきましては、家畜取引業者一定事項を記載した書類を取引の相手方である農業者等に交付させることを義務づけることによって、家畜流通円滑化取引公正化をはかった次第であります。  以上がこの法律案提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  13. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本法律案審査は日を改めて行うことにいたします。大臣出席までしばらくそのままお待ちを願います。
  14. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 農林水産基本政策の件を議題にいたします。  本日ようやく大臣出席が得られました。過日に引き続いて、この件について農林大臣に御質疑の向きはこの際順次御質疑を願います。
  15. 森八三一

    ○森八三一君 先刻、全国の澱粉生産者会議諸君が当委員会に陳情されております。このことにつきましては、おそらく主管大臣でありまする河野大臣のお手元にも同様の趣旨のことが具申をされておるであろうと想像するのであります。なお本件に関しましては、先回の委員会で当面の事務責任者でありまする食糧庁長官にも、事態がきわめて急迫しておる事実を指摘いたしまして、政府の見解を尋ねたのでありますが、そのときの御答弁によりますると、価格安定法に根拠を求めて昨年の十月下旬に澱粉カンショ価格を告示し、それに見合います政府澱粉買価格を告示せられたのであります。私どもは政府の告示せられました買入価格に必ずしも満足するものではありませんが、昨年の諸般の好条件と相関連いたしまして、米と同様にカンショにおきましても有史以来のおそらく大増産であったろうと思うのであります。そういうようなあとを受けた自今の情勢を考えますると、何といたしましても原料カンショ政府支持価格維持するの施策を急速に推進すべきであるというような観点から、政府澱粉買い入れを急速に実施をすべきであり、しかして市価の安定をはかるべきであるという建前に立って、本年度の情勢を勘案いたしますると、おおむねわれわれの持っている統計によりますれば、前年対比四千万貫程度澱粉増産をせられておるという、きわめて日本食糧事情現状からみますれば喜ぶべき情勢にあるのでありますが、この買い入れにつきましては、昭和三十年度の補正予算を通じまして五百九十六万貫程度、なおただいま審議中の昭和三十一年度予算が成立すると仮定をし、その成立するであろう予算をそのままそっくり実施をいたしましても、合計千三百六十六万貫程度より買い入れができないというような状況に相なっております。そうなりますると、先般申し上げましたような四千万貫以上の大増産という事態に対応いたしまして、市価維持することは非常に困難である。そこでもし不幸にして政府計画されている予算を使い果しましても、なおかつ市価維持が困難である場合に、農産物買入費あるいは食糧特別会計予備費等を使用いたしまして、農産物価格安定法に示す政府買価格千六百二十円が維持されるがごとくに措置されるかどうかという質問に対しまして、当然そういうような措置を講じなければならぬと思考いたしております、そういうように処置をするでありましょうというような事務的な答弁をいただいて、一応了解はいたしているのでございますが、日本食糧事情現状にかんがみまして、イモの増産は一刻もゆるがせにしてはならぬ問題であり、本年の大増産ということが、ひいて来年に減産を招来するような危険をなしてはならぬと思うのであります。そういう観点からいたしまして、申し上げましたように、政府買価格千六百二十円が、予算措置と申しますか、予算で全部実施して買い入れを遂行いたしましても、なおかつ維持されぬというような事態に逢着いたしました場合の措置について、食糧庁長官の御答弁のような措置がありまするかどうか、重ねて大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
  16. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 結論から申し上げますと、農産物価格安定法精神に従いまして、支持価格維持できますまで買い上げをいたしますことは絶対必要であります。従って予算措置によって不足分がありますれば、予備費を使うなど適当な方法によって、厳に維持することを努力することをここにはっきり申し上げます。大体ただいまお述べになりました通り精神は全く同感でございます。その方針行政を運用することにいたすつもりであります。
  17. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちょっと申し上げますが、農林大臣は三時半にやむを得ない差しつかえのため退席されるそうでありますから、そのお含みで議事に御協力をお願いします。
  18. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま大臣の確固たる御所見を伺いまして、まことに安心もし、感謝もするのでありますが、これに関連しまして、前々からも問題になっているので、大臣もよく御承知のことと思いますが、ただ単に政府澱粉買い入れしたというだけでは問題の解決にならぬので、この消化をどうするかということが問題になる。そこでいたずらに水あめの生産というような現状に甘ずるというだけでは問題の根本的な解決になりません。どうしても砂糖を全量を外地に仰いでおるというような日本現状からいたしますれば、栄養的な見地から眺めましてもブドウ糖生産に一歩を踏み出すべきであり、さらにそれが外国でも一部そういうような実例がありまして、大臣もおそらく昨年外地おいでになりましたときに、その実況については御調査になったことだろうと想像いたしておるのでありますが、砂糖強制混入をするという措置を講ずべきであると思うのでありますが、その前提としてブドウ糖生産工業に対する何らかの適切な助成勧奨施策を講ずべきであると思考するわけでありますが、こういう問題につきまして、大臣の御所見をさらにお伺いいたしたいと思います。
  19. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 全く同感でございまして、可能なことはどんどん実行するようにいたさなければならぬと思いますが、今お話しのブドウ糖にいたしましても、これを一部砂糖に加えて使わすということは、数年前から私もこれに注目いたしまして、いろいろまた農林省でも研究してもらいましたし、また私もそういうことをやるように注意もいたしたのでございますが、何分にも現在までのところでは、おおむね湿度の関係、その他アメリカと日本と直ちに同じようにやるということは必ずしも適当でないというようなケースが出ておりますが、しかしあらゆる角度から研究をいたしまして、お示しのようにわが国農業経営からカンショ生産、これの利用消費という面には十分の注意を払っていかなければならないと考えておる次第でございます。
  20. 森八三一

    ○森八三一君 同僚諸君からも御質問があるかと思いますので、もう一点だけお伺いしておきますが、それはかねがね大臣も御言明をしばしばされておりまするように、三十一年産の米の集荷につきましては、前年実施されました予約買制度を踏襲し、これを実施するということであります。この点については十分了承いたしておりますが、そういうことになり、一面しばしばおっしゃいますように、適地適産というような観点等から眺めますると、どうしても予約制度を進めて参りまする建前からして、苗しろの植付前、少くとも田植え前には予約買い入れの具体的な措置を御発表いただきまして、この取り運びをしなければならぬと思うのでありますが、これにつきまして、いつごろ一体予約の具体的なすべり出しをする全面的な措置が完了しまして、それぞれ関係団体政府施策に相呼応して協力し得るような態勢が開ける見込みでございますか、この点をお伺いをいたします。
  21. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 別の機会にも申し上げたのでございますが、大体五月中くらいに準備を完了いたしまして、六月になりましたらば、予約をそれぞれ協力団体をして協力をお願いをするということにすることが適当だろうと、こう考えて準備するつもりであります。
  22. 千田正

    千田正君 先々週でしたか、食糧庁長官おいでを願いまして、大豆の問題について一応お尋ねしたのでありますが、前々から御承知通り日本大豆生産山間地帯及び開拓方面農家がそれに依存して懸命な努力を払ってきておるのであります。しかしながら輸入大豆が最近非常に増加した結果、市場の操作も直ちに生産農家影響いたしまして、現在のところはとうていこの大豆生産によって農家経営がやっていけないと、ことに関東東北北海道におけるところの山間地開拓地帯におけるこの大豆生産農家にとっては最も必要な農業でありまして、これに対する影響は非常に大きい、これに対しまして、価格安定法の中に大豆対象として入れてほしいという大きな希望と、それから関税その他において何とか調整して国内生産のこの大豆の値下りをある程度防いで、生産農家の立ちいくような方法を講じてほしいという切なる陳情が各方面から出ております。先般来この問題について農林省御当局にいろいろお尋ねしておるのでありまするが、現在それはいろいろ論議しておる、まだそれを処置する段階にいっておらない。そこで私はこの際農林大臣から特にこの点を御説明願って、どういうふうに今後の方針をもっていかれるか、外国から入って来る大豆に対して何らか制限をするのか、あるいは無制限に入れるとしましても、関税その他についてこれを調整していくか、あるいはもしどうしても入れなければならないとするならば、国内大豆生産者、いわゆるそうした寒冷地帯あるいは関東東北北海道におけるところの大豆生産者に対する何らかの国内行政措置をやるつもりか、この点について農林大臣の御所信を承わっておきたいと思います。
  23. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 大豆に関する施策といたしましては、お示し通り大体国内産大豆の出回り量二十万トン、輸入大豆六十万トンないし六十五万トンということでございますので、直ちにこれを国内大豆重点を置いて切りかえていくということもなかなかむずかしいという点に非常に困難性がありますることは御承知通りでございます。しかもこの大豆価格が上りますれば、常にそのはね返りが大豆かすとなって飼料、肥料にはね返って参ります。また一般の大衆の日常生活にも非常に重大な影響がありますので、そこに非常に困難性があるのでございますけれども、私といたしましては、この機会にできることならば国内大豆増産施策を確立いたしまして、これと相関連して価格一定にいたしまするために農産物価格安定法指定品目にこれを加える、さらに輸入に関しては輸入関税を取る、しこうして輸入の差益を国家が吸収すべき処置をとるということまで一貫性をもった施策を実行することが必要な段階になるのではなかろうかと目下検討中でございます。これをばらばらに、一つの施策だけ行なって他を外しますというようなことになりますると、一部のものが非常に迷惑をし、一部のものが不当な利益を得るということになりまするので、この施策につきましては、あくまでも一貫性をもって実施しなければいけないというような観点に立ちまして、せっかく検討中でございます。
  24. 千田正

    千田正君 もう一つ。先ほど宮城県の漁業団体から陳情がありましたが、北洋におけるサケ、マスの延べなわ漁業に対しての禁止がこの間水産庁から出てきて非常に困っていると、これに対して何とか従来通り許可してもらいたい、自由操業のできるようにという陳情があったのであります。これは北洋漁業に対するやはり大臣としては一貫した一つの施策の部門であると思いますので、水産庁としましてはこの点はどういうふうに考えておられるか、並びに農林大臣の御所信。  もう一点続いてお伺いしたいのは、先般来農林大臣はしばしばこの問題について声明されておりますところの、日本における農村漁村のいわゆる再編成に対しまして、その裏づけをするところの農業団体、漁業団体に対する団体再々編成に対して、漁業団体に対する考えはどういうふうにお考えになっておられるか、この延べなわの問題と漁業団体に対する大臣の構想なり御所信なり承わっておきたいと思います。
  25. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 団体の問題につきましては、水産関係はこの際他に問題もいろいろございますので、しばらくあと回しにしたい、もちろん一部今私が考えておりまする農業会議所等の施策をもってやりたいと思いまする際には、それに任意もしくはこれに加入して御協力を願うということはあるかもしれませんけれども、水産団体それ自身の再編成、再改革はしばらくあと回しにしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから北洋における延べなわの漁業につきましては、よくまだ私勉強しておりませんから、水産庁長官から一つかわってお答えいたします。
  26. 千田正

    千田正君 今の大臣のおっしゃった水産団体に対することについては考えておられるけれども、今の段階ではやるつもりはない、そうしますと、将来一応農業団体の再々編成というものが一つの軌道に乗った場合において、同時にまた将来においては、近い将来においてむろんこの漁業団体の問題も考えてやっていこうという御方針でありますかどうかを承わっておきたいと思います。
  27. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 日本の現在の漁業法につきましても、相当改革をしなければならない点が多いわけでございます。これは漁業の各面においてそれが露呈されておりますことは御承知通りであります。これと非常に大きな関連を持ちますので、これと関連して大体やることが本筋じゃないか、こういうふうに考えます半面、今申し上げました通り、一般農業の新しく団体を編成いたしまするものと関連しながら、この面とも思い合せつつ考えていきたい、こういうように考えておりまして、水産団体の点については今回は手をつけようとは考えておりません。しかしあくまでも今申し上げます通りに、現状のままでよろしいとは考えておるのではないのでございまして、これについても研究はして、いずれそのうち機会をみてなるべく早くやるのが方法だろうと思います。
  28. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 北洋の延べなわ漁業の問題でございまするが、これは北緯四十八度以南の漁場が主漁場でございまして、この漁場にはすでに数年前から鮭鱒の刺し網漁業が相当出ております。多いときは千六百隻台、かなり過剰でございまするので、それを減らし減らしまして、千二百隻余りということになっております。そのほかに延べ網の漁業者が二百隻前後出ておる、こういう状態でございまして、なお過剰の状態にございます。そういうふうな関係からして、少量のものでしたらば別でございまするが、今般各地で準備されておりますものは非常にその数が多く、大体関係府県でちょっと見込みを聞きましただけでも、十一府県でもって七百三十数はい、ほかの十一府県以外の今まで鮭鱒に出動しなかったような県の準備も合せますと、千隻をこえるのが明瞭な状態でありまして、すでにこの漁場で操業しておりまする漁業者は大体小さい船を持った沿岸性の漁業者でございます。これらの間での競合があって、混乱を生じては漁業調整上非常に問題がまずくなりますので、先般中央漁業調整審議会の方に諮りまして、大体許可制度をとることが適当であろう、こういう結論を得ておりますので、そういう方法でもって安定をさせて参りたい、こう考えております。もし北洋漁業の方で母船式漁業の方がふやすことができ、この漁場から現在操業しておりまする刺し網漁業者の一部がさらに転換が可能になれば、逐次そういうような点も認めて参ることも可能かと存じますので、現在ことしの許可の状態から申しますと、もうすでに過剰の状態でありまするので、できるだけ制約をしながら許可をしていかなきゃならぬ、こう考えております。
  29. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 水産庁長官にお伺いしたいのですが、今の問題ですが、今までやはり問題になっております点は、すなわちはえなわにしても延べなわにしても自由漁業であったのですから、従ってそれに近いところの三陸沿岸であるとか、あるいは若干の県につきましては、どの県も自分の漁業の外庭といったような気持であったわけなのです。従って関係の水産試験場なんかで大体有望であるというような観点から準備もしてきた、こういうような点で、そこにほとんど何と申しますか、猶予期間もおかずに全部許可制をしいて、今までの実績船だけに限るというようなことになりますと、非常な混乱を生ずるおそれがあると思いますので、従ってかりに許可制をおしきになりましても、その間の関係府県における漁業の実態をよくお調べになってやはりこの制度実施する、あるいはまた一定の猶予期間をおいて実施する、こういうような措置が必要であると思うのですが、そこいら辺に対する御配慮のほどを長官にお尋ねしたいと思います。
  30. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 中央漁業調整審議会でもいろいろと議論が出まして、それでごく沿岸性の小漁業者、すなわち十トン以下のものについては、これは農林大臣の許可にする必要はないであろう、十トン以上のものについては現在のようなかなり多過ぎるくらいな隻数が入っているところへ、さらに有望であるからといって多くのものが入るということは漁業調整上も非常に問題が多いので、それは許可制をとった、こういうようなことでございます。まあこれらの許可につきましては、数が非常に多過ぎるということと、それにさらに本年幾分のものを母船式漁業の方に収容しましたが、それはわずかなものでございまして、そして各県の方から過大な数字が殺到するということになりますると、どうしてもその中での問題が激しく起りまするので、この際は押えぎみな考え方でもって許可をしていくようにしたい、こういうふうな御意見でございましたし、われわれもそう考えておりまするので、まあ来年度の問題は別といたしまして、本年度としてそういう方針で参るのが適当かと、こう考えております。
  31. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 これはまあ持論になると思うのですが、水産庁長官はたとえば十トン以下は各府県にまかせるのだといっても、観念的には十トン以下というのはあり得ますけれども、あの辺の漁場へ実際問題として十トンや十五トンの船で行けるものではないので、そういうふうな観点からいえば、実際やはり穴をあけてあるといっても、実際上からは行けないわけですから、従ってそれは問題にならぬと思う。従ってどうしても最小限度二、三十トンから四、五十トンの問題になるので、やはりわれわれが問題にするのは今まで自由漁業で何と申しますか、ある意味からいえば、これは漁業法の権利と言わないまでも一つの権益であったわけなのです。従って特にあの地区の近くの沿岸漁民からいえば、まあ自分らの外庭である、いつでも行けるのだ、こういうような形の気持であったわけですから、それを全然猶予期間なしにばさっとやるというようなことは、これはやはりどうしてもそこに若干の猶予期間をおくなり、あるいは許可に当ってはそういうふうな配慮が必要だと思うのでありまして、その点について十分の一つ御配慮を願いたいと思います。これは答弁の必要ございません。一つ農林大臣にその点を十分お含みいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  32. 千田正

    千田正君 農林大臣の今度の構想でありますところの農業団体再々編成及び新農村漁村建設、この問題につきましては、先般来大臣もこの委員会において明快な御答弁をいただきましたが、その後各方面において農林大臣のこの所信に対して反駁をしてきておるのであります。いろいろの面があるのでありますが、先般も農業団体会議等におきましても、農林大臣のおっしゃることにはどうも納得がいかない、こういうことでだいぶ反対の声が聞えておりますが、反対のいかんにかかわらず、農林大臣としてはこれを強行なさる、こういう御意思のようにこの間は伺っておりましたが、今もってその御方針においてはお変りはございませんのですか。
  33. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 農業団体の問題につきましては、いろいろ誤解もございましたようでございますが、ようやく準備もできて参りましたので、両三日中に案を発表できる段階になるのじゃなかろうか、こう思っております。これは今まで新聞に書かれましたものとは全部違っております。つい最近新聞に出ましたものとも違っております。これらに誤解を生みますことははなはだ遺憾でございますが、私といたしましては、ようやく大体最終決定すべき方向をきめまして、目下成案を急いでおりますから、今申し上げました通りに、両三日中にこれをお示しできる、最終案ではございませんが、要綱程度のものを申し上げる段階になるのではないかと思っておりますが、その際にいろいろ御説明申し上げまして、御了解を得たいと、こう思っております。
  34. 千田正

    千田正君 あまり世間に発表しない前に、でき得ればわれわれ農林委員会委員にだけでもよろしゅうございますから、その構想を前もってお知らせ願いたいことをお願いしておきます。
  35. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) もちろんこういう団体のことでございますから、なるべく皆さんの多数の御意見を取り入れまして、そうして混乱を起さないようにいく必要がございますので、私どもといたしましても、今申し上げまする要綱を皆様にお示しいたしまして、十分御注意をちょうだいいたしまして、そうして農村のために一番都合のいいものを作ることにやぶさかではございません。従いまして今申し上げましたのも、両三日中に成案を得て、私の所属いたしまする党の方にも話し合い、閣内にも十分意見を聞いて、そうして最終案をきめるという段階でございますから、その間において十分御意見を拝聴いたしたいと思います。
  36. 戸叶武

    戸叶武君 今の質問に関連しますが、この間やはり予算委員会農林大臣にその問題を質問いたしましたところが、まだ成案ができないのであるというので、私も質問を用意していたのですが、全部とどめまして、そうして成案ができきてから質問しないと、この問題は政治力のある河野さんのことだから、いろいろアドバルーンを上げて、こうでもない、ああでもないと意見を出してから結論をもっていこう、今まではそういう方向も一つかと思いますが、今日の段階においてはいよいよ混乱を招くだけだと思って質問を差し控えたのです。ところがその後新聞社で、でかでかと農業団体再編成の問題が大体まとまったような報道がなされ、いろいろなことがありましたが、それともまた違うと今農林大臣言われたので、まあそう信じますが、今千田さんが言ったように、今国会が開会中でもって、農林水産委員会なり予算委員会でこの問題を審議対象として問題化されなければならないときに、農林大臣並びに農林省においていろいろな政治的な配慮から、いろいろなアドバルーンをやたらに上げられてしまうと、どれと取っ組んでどうやっていいのかわからなくなりますから、その点は今、千田さんに約束されたことを守って、やはり農林委員会でもってしっかり慎重審議ができるような手はずを整えてもらいたいと思います。
  37. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) まことに相すまぬ次第でございますが、決してアドバルーンを上げるとか、そういう意図は毛頭持っていないのであります。最初のいわゆる平野案なるものも、私は全然関連なしに平野君の研究が新聞に出たのでございます。それから最近出ましたのも、実は農林省としては、私はこれをとらないとしておりますものが、どうしたかげんか、新聞社の人が廃案にしたものをおとりになって新聞にお載せになったというようなことで、全然考慮していないものを新聞にお載せになったのでございまして、はなはだ迷惑いたしております。従ってあの案は全然とっていないわけでございます。そういうことでございまして、今私の意図いたしておりますものは、先ほどちょっと申し上げましたように、大体会議所系統の考え方でもっていこうということで、せっかく要綱を作りつつあるわけでございますから、いずれ今お話しのように、要綱ができましたらば衆参両院の農林委員会にこれをお示しいたしまして、十分御意見を拝聴いたすつもりでございます。どうぞ御了承をいただきたいと思います。
  38. 戸叶武

    戸叶武君 その問題が農業団体の再編成の問題を中軸として、河野農政に対して私たちはいろいろと質問しなければならない点が山積しておりますが、その中で河野さんが非常に力を入れているのは、やはり適地適作主義といいますか、換金作物をこれから農村で取り入れなければならないという点に非常に力点をおかれていると思います。このことは、今の日本農業というものが、今までのようなしきたりではやっていけないという観点から、私たちはやはり重視しなければならない問題だと思います。それでこれに関連してやはり一番心配なのは、やはり価格の問題だと思います。換金作物において一番政府で奨励されるものを作ってみると、これが暴落する、そうしていろいろな思惑が行われる、それから外国からいろいろな余剰農作物だけでなく、いろいろな輸入がされる、そうするとこの間の開拓農協の人たちが苦しんだ大豆の値下りのような、またずっと前のアズキの思惑のような、今やはり私の国の方から陳情に来ているのはコンニャクの問題でありますが、コンニャクの問題もまあ思惑の問題でありましょうが、一部の業者によって外国からコンニャクをうんと輸入するんだというような形で価格をたたいているので、山間部における、特に経済関係に対して感覚があまり敏感でない人たちが換金作物としてこのコンニャクを作っており、しかも今一駄十万五千円くらいにたたかれてきているのですが、御承知のように、これは戦後昭和二十二年のころには三十万円台にまで上ったことがあるのでありまして、農林省の統計調査事務所等における評価についても、十五万八千円程度のものにならないと、お百姓が作っても結局割りに合わないんじゃないかという数字も出ているくらいなんですが、この問題に関して群馬県、長野県、あるいは埼玉、茨城、福島、栃木というような山間地帯一帯の割合に現金収入の少い所でこういうものをやっておって、山間部の農村においては、農家収入の五〇%がこれで占めているというような所も群馬あたりにあるのですが、非常に不安を農民は抱いておりますが、この価格の最低価格なり何なり、価格の安定をやるのにどういう方式を持っているか。それからコンニャクの輸入というものに対して、大臣はどういうふうにこれを内地の価格変動に影響を与えないように操作するか、そういうことをちょっとお聞きしたい。
  39. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ごもっともなお尋ねでございまして、今の適地適作の施策を推進いたして参りますると、どうしても一方において過剰生産をいかにして抑制するかということによほどの施策を立てて参りませんと、その結果に陥るおそれがあるのでございます。従いまして全国各地の農村の方々の御希望によって計画は立てるのでございますけれども、この計画を一応県において県の協議会でしぼりまして、県内の需給を見合いつつ、一応のその案を再検討いたします。しこうしてさらに中央に協議会を作りまして、中央の協議会は国内の需要を見合いつつ、その生産の立案を決定して参るという方法をとりまして、あくまでも需給のバランスの乱れないように考えていかなければなるまい。これが一面において適地適作の奨励をする反面において、今の施策は十分にこれを配意していかなければならぬと思っておるのであります。ただそれだけではむろん不十分でございますから、政府におきましても、たとえば輸入農作物等の関係についてはこれを十分見合って、御承知通りに為替割当制度実施いたしておりますので、その面においてこれを輸入の抑圧をはかりつつ、価格維持をしていくということが第二にとるべき策だと思うのでございます。  第三といたしましては、ただいまも申し上げました通りに、主要農産物価格安定の線を広めて、そうして農家生産の安定を期するということにして参らなければなるまいと考えております。大体その線を見合いつつ進めて参るつもりでございますが、ただいま御指摘のありましたコンニャク粉の方でございますが、これについてはこの機会に明確にこの席を拝借して申し上げておきますから、これは特に一つ誤解のないように御了承いただきたいと思うのであります。今までもそうでございますが、今後いかなる事態がありましても、私が農林大臣をいたしておりまする限り、衆参両院の委員長とお話し合いをいたさなければ、コンニャク粉の輸入に私は同意をいたしませんということを、この機会に明確に申し上げておきます。これは非常に誤解がありましたり、今お話しのように、私があたかもそれに同意を与えるかのごとき誤認をせしめて、価格をいろいろ操作する者があるのでございます。先般も私のところへ私の古い友人が変な絵を一枚持ち込みました。そうして何のことであるのか、ちっとも見当がつかなかった。これを一つ金で買ってくれともいうのかなと思っておったら、全然別のところで聞いたならば、あの男はコンニャク玉の輸入計画しているのだということを聞きまして、たまげてその絵を私は送り届けました。そういうようなことがありますので、今申し上げましたように、特に明確に私はここにいたしておきますから、そういう意味で、世間でそういうことを言いましたら、それは絶対うそだということに御了解願いたいと思います。
  40. 東隆

    ○東隆君 今農林大臣のお話しのありましたことで、なお疑問が起きるのは、先般お話しになりました新農村建設に関連をして、今までの関係は自給度の向上に中心を置いたけれども、国際的に農産物価格その他が安くなったから、そこで転換をするのだ、経営の合理化をやるのだ、こういうようなお話しで、今それに関連したお話しがあったわけであります。私はこの考え方について非常に疑問を持ちますのでお伺いをするわけであります。  それは転換をすると、こう申しましても、私は水田その他一毛作をやっておる地帯においては、転換は非常に困難ではないか、ことに水田の関係は転換がこれは非常に困難ではないか、そういうことを前提におきますると、どういうことになるかというと、その裏作と関連をして将来非常に問題になるのは、国内における自給度の向上ということが非常にはばまれると同時に、外国から入ってくる量がふえてくるのではないか、こういう問題も当然起きてくる。これはそうでなくても国内における農産物価格に圧迫を加える要素になると思うのですが、この点は私は非常に問題があると思います。簡単なようで、一応農林大臣にお話しをお聞きすると、もっともなように聞こえますけれども、しかし、しさいに考えてみますと、転換することのできない部分、しかもその部分に非常に大きな圧迫が加わってこういう関係が起きてくると思う。ことに水田専業あるいは穀菽農業専業というような形でもってやっておる地帯には、非常に大きな圧迫であろうと思うのであります。私はまたこういうような農家がやはり国内における食糧の中心的な維持者である、従って農家の生活を安定するのだ、こういうお話しでありますけれども、中心になる農家の安定ということがこれでもってこわれてしまって、そうして単に商業的な作物等に転換したものだけが助かる、こういうようなことでは、これは農業のことから考えてみれば、非常に危険な施策になるのじゃないか、こういうことを非常に疑問に思いますので、この点、もし解明していただければ大へんけっこうだと思います。
  41. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それはこういうことに御了解願いたいと思うのでありますが、たとえば今、水田単作地帯のお話しがございました。米について考えますと、米価の決定をいたします際に、バルク・ラインをどこにとるかということになります。おそらく私はバルク・ラインの中において生産されまするもの、これはむろんそれを維持するために価格の決定をしなければならぬことは当然であります。またその地区におきまする米の生産を奨励して参りますることは、かねてわが国内におきましても、水田において米作をするということが農業経営の上において非常にこれは有利なものである、米を水田に作ることが不利益だというような状態に米価を下げるというようなことがあってはならぬことでございまして、この点につきましては、あくまでも米価の維持をいたし、そうしてこの農業経営基礎がそこにあるようにして参らなければならぬとは、これはどなたが農政をおやりになっても私は当然だと思うのであります。ただそうでなくて、生産費の非常に高い地区におきまして、なおかつ食糧の自給度を向上するというような意味において食糧増産協力しなければならぬというようなことはどうだろうかという点について私は考慮を払いたいというのでございまして、今申し上げますように、水田単作地帯というようなところがむろんその農業経営が引き合って参りまするように、その地区においてなお経営の改善をしていく、経営を転換するというようなことはあり得べからざることであり、またそういうことがあってはならないように米価の決定を考慮して参るということは、これは当然なさなければならぬことと思うのであります。そういうことを考えまして、生産量の非常に少い、もしくは生産費の非常に高いというような地区において、今の平均米価で考えて参りますれば、その農家の所得が必ずしも有利ではございません、そういうところに何か他の副業、もしくは他の農業を取り入れた際にどうなるかということを十分お考えを願いたい、こう申すのであります。しからば水田単作地帯はどうなるかということになれば、この地区にはあくまでも多角経営を一つ奨励して、そうして季節労働の分散をして参るというようなことに努力をする考え方もあるだろうというような面を取り入れまして、その地区その地区においてそれぞれやって参る。おおむね現在全国各地において主要生産になっておりまするものは、いずれも決して私が今申しまするような農業経営の中心をはずさなければならぬようなものをやっておられるとは考えません。いずれも農家諸君が立地的条件を十分勘案せられまして、生産の、経営の主体に置いておられる、これはその通りと思います。ただその場合に、今申し上げますような例外なところがある。米の配給が少い、米が非常にやみで高く売れるとかいうようなことを基礎におかれて今までやっておられた地区についてはお考え直しを願うことがいいんじゃないか、というようなことを勘案しつつ、先ほど来申し上げますように適所適作の方途を講じていったらどうだ、特に私は強くお考えいただきたいと思いますことは、少し分野は違いますけれども、全国の沿岸漁民の諸君等につきましては、今日沿岸漁民の諸君を救済する道はなかなか見つからない。今の漁業法をどう直しましても、漁業をいかように奨励いたしましても、沿岸漁民の諸君が今日以上に生活を改善し、収入をふやす道はなかなか困難だということは私はおそらく定説であろうと思うのであります。この際に、漁業者の中に畜産等を大いに取り入れる風習をつけたらどうだ、そういうことをして、そうして漁業と畜産と両方を兼業にしていくように持って行ったらばどうなるだろうかというような、もう少し広い角度から多角経営を勘案しつつ持っていくようにしたらどうだ。それぞれをそれぞれの地区において十分御研究を願って、農村の青年諸君もしくは篤農家等の創意工夫を生かして、そうして新しい経営形態の創設をして参りたいということを考えておるのでありまして、決して外国食糧に故意に依存し、もしくは安易に外国食糧に依存してやって参ればよろしいというようなことを考えておるのではないのでございまして、一面には今申し上げましたように価格政策によって、従来の食糧の自給度の向上についてはこれは決して軽視するわけに参らない。それは価格政策によって十分考えていくことができるじゃなかろうか、その価格政策を取り入れつつ、それをしもなお上回るところの生産費のかかるところにおいては、これは従来のように食糧増産にのみ専念せずに、これを他に転換するというようなことも考えてもいい時期じゃなかろうかというふうに実は考えておって、非常にずるい融通性のあるようなことを申し上げますけれども、それらはあげて各地の農村の諸君に一つ十分その方針を申し述べて、そうして立案を願うということにして参りたい、こう考えております。
  42. 東隆

    ○東隆君 今のお話はきわめて融通のあるようなお話で、農林大臣の言われる通りのようなお話だったのです。しかし私はやはり水田専業農家あるいは畑作における穀菽専業農家というものは、これは非常に安定という点について考えなければならぬ中心点であろうと思う。その中心点を考えたときに、私はたとえば水田専業農家にいたしましても、裏作を考えてみましても、麦の価格農林大臣がこれはもっと下げなければいかぬ、米との比価をですね。そういうようなことをしょっちゅう言われております。これは私は国内における少くとも麦の生産を上げるというような点から考えまして、非常に残念なことであります。ことに外国から余剰農産物関係なんかが入って参りますし、非常にたくさん入ってくるのでありまして、従って国内で十分に生産し得るところのものを生産しない態勢ができつつあるんじゃないか。ことに価格の点でもう少し下げなければならぬ、こういうようなお話を何度も言われておるのでありますけれども、そういう点から考えて、先ほどのお話等から大分食い違う中身になる。そういう点でまだ疑問が氷解いたしません。お答えがいただけますればけっこうであります。
  43. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 米価と麦価の点は非常に困った問題でございまして、たとえば社会党さんの方は二重価格制をとっておられるようでありますけれども、いずれにしましても、今の配給価格の百八、九円というものと現在の麦価と比べてみますと、これは問題にならない米価が割安でございます。従ってこの配給価格で全部日本国内の米を配給する、やみ米を一切なくして社会党さんのように全部買い上げられて、そうして全部を配給されるといたしますと、おそらくそれでもなお麦を食べるよりも米の方が非常に割安でございますから、米に対する要望が非常に強くなると思います。どうしても米と麦とは需要の比価があると思うのであります。その比価をどこに置くかという点になると思うのであります。米が百八円ということになりますれば、麦はこの六がけとかもしくは七がけいうことになります。非常に割安でなければ、それだけの比価がなければ、パンを食べるとかうどんを食べるとかいうことになって参らない。現にことしのようにやみ米が下って参りますと、麦の需要が非常に減ります。そして米の需要が非常にふえております。やみ米がこれだけ下ってもそういうような事情が出ておりますことは御承知通りであります。従って今申し上げますように、米については大体今の配給価格はこれを上げるわけには参りません。これを上げるわけには参らぬといたしますれば、まず今の私の考えとすれば、希望配給の百二十円もしくは百十八円、これはことしの米の買上価格に諸経費を掛けたネットでございます。この価格に比べて麦価をきめていく、そういうことにすれば米価を麦価のつり合いはとれて参りまして、希望配給価格と今の麦の値段との価格差の適正なものを求めてそこに持っていきたい、これが私の希望であります。そういたしますについて、もう少し具体的に申しますれば、米については一応一万円米価というものを維持することが、これが今の物価事情におきまして、条件をつけていただきます、今の物価事情におきまして、まず一万円米価というものは農家の再生産維持する価格である。これを基礎にして水田単作地帯も経営も一つ立案をしていきたいということにいたしたいと思います。そういうことにしまして、その差額を外米の割安になりましたものから、外米を内地米との価格差において自由販売をしていくようにして、それより下げないということにして参りますれば、今の水田単作地帯におきまするところの営農がそれによって動揺するということはなかろうと思いますし、また麦につきましても、今申し上げまする一万円米価に対して麦価をきめて参るということにして参れば、これはまた麦の生産についても私はある程度農家諸君の御協力が願えるのではなかろうか。急激にその比価をとるわけには参りませんから、これは今現行法で示すパリティによって麦はきめて参りたい。ただし販売価格についてはなるべくそういう値段にいくように持っていきたいということでやって参りたい、主たる米麦の価格について農家諸君に安心感のいくように、生産価格について安心感のいくように政府施策して参りますれば、そこに生産の動揺を来たすこともなし、これによって新農村計画の営農の基礎を打ち立てていくことができるだろう、こう考えているのでございまして、これを上回りまして、この線を上回りました非常に生産条件の悪い地区におきましても、なおかつ米作に主体をおいていくということは、そこの農家をして農業経営を困難ならしめることになりますから、そういう地区についてあらためて一つ再検討を願うことがいいではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
  44. 戸叶武

    戸叶武君 どうもコンニャクの関連質問かと思って……。話はコンニャク問答に終りそうですから、もう一度コンニャクの問題にもどしてみたいのですが、農林大臣が今後コンニャク粉の値が暴落するようなことがないように、特に外国からの輸入というような問題には衆参両院の農林委員長と相談した上でなければ、絶対にそういうことをしないということをお誓いになりまた最近自分のところに絵を持ち込んでそうしてコンニャクを輸入させてくれと策動した気配のある動きもあったということを言われておりますが、このことは私はコンニャクだけのことではないと思うのです。やはり外国から輸入すると金がもうかるというような形で変な策動をする場合もあるので、それがためにこの換金作物の価格がゆすぶられるようなことがあると思うのですが、やはりこの換金作物の中で今一番動揺しておるのは麻産業だと思うのです。御承知のようにこの前にも農林大臣に御質問いたしまして、特に南九州の農民たちが苦しんでおるラミーの問題に対しては農林省が非常に建設的な処置を講じられて、特に東洋繊維の再建の問題にも気を配っておられるようでありますが、東洋繊維の再建の問題に関連して、やはり河野さんが非常に力を入れておられるというようなことから何かかえって、厚意でやられておるのかもしらぬが、あるいは名を使っておるのかもしらぬが、再建整備の方が停頓しておる向きもあるという話も出てきておるのですが、この問題を一つ。  それから麻産業全体が化学繊維の伸びによって非常に圧迫を受けておる。しかしながら外国においては高級のいろいろな麻製品というものがアメリカあたりでも受け入れられておるのでありまして、これは絹の面がアメリカでもって非常に行き詰まったら、イタリアから非常に玉糸が入っておるので、日本からも入れなければならないというので、そういう点から新しい販路が作り上げられておりますが、この換金作物というものは、やはり価格維持の問題と同時に販路を海外に相当求めていかなくちゃならないと思うのですが、これに対して農林大臣が、これは通産省の方と、あるいは外務省と結んでどういうふうな手を打っていられるか。たとえば具体的な例ではリンゴなんかでも数年前までは香港までだったのが、おととしあたりからはバンコックまで行き、今年あたりシンガポールの市場に殺到して、インド市場にも入っていこう、豪州のリンゴを席巻していこうというふうに伸びが出てきておるのですが、価格維持の問題と、もう一つは換金作物の海外への販路というものではどういうふうな処置をとられておるか、お聞きしたい。
  45. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 最初に東洋繊維の話が出ましたから、誤解があるといけませんから、申し上げておきます。私は東洋繊維は全然関係がない、知らない会社でございましたが、たまたま前社長の不始末からこれが会社が破産の運命に瀕せようといたしました際に、私は初めて話を承わりました、そうしてこれが取引停止になりまして、停止処分を食い、裁判所が管財人を選定するという段階まで見送っておりましたが、たまたまそのときに私のところへある財界の新がお見えになりまして、自分が管財人の指定を受けて、やろうというのだが、御援助を願いたいという、こういうごあいさつに見えましたので、その方は前々から私の存じ上げておる方でございますので、あなたがなられることはあまり私は歓迎いたしません。あなたがおなりになって、あなたは財界専門におやりになる方であるし、もし万一他のいいところを処分して、麻に関する悪いところだけ会社が残されるようなことになりますと、それによって非常に麻産業が迷惑をし、ひいては農村の契約栽培の農民に迷惑をかけるようなことになって私困りますから、あなたのおやりになることはやめてもらいたいということを、長年の友人でございましたが、率直に私は申しました。私が申しましたので、その友人も君が協力してくれぬのならば、自分はもうやめるということでおやめになりました。そこでそのあと、この人ならば適当であろうという人を私に推薦せよということになりましたから、御推薦いたしました。その人が病気になられまして、途中からおやめになりました。そこでさらに他の人を推薦せよということでございますから、現在管財人になっておられる私の友人を御推薦申し上げました。ところが数日前その方が私のところへ見えられまして、御報告によりますと、非常に順調に会社がいっておりまして、昨年は月々三、四千万円の赤字があったように聞いておったが、今ではその赤字を克服して、どうやら再建の見通しがつくようになったという御報告を承わりましたので、私もこれならうまくいくだろうと安心しておる次第であります。これはマニラから相当の加工の注文が来たようでございますし、防衛庁関係の注文も何か仕事ができるようになったとかどうとか、比較的都合がよくいっているというような話で、大へんけっこうに思っておる次第でございまして、たくさんの九州方面にありまする予約栽培の農家諸君にも何か明るい見通しがつくのではなかろうかと、ひとまず安心しておるわけであります。  それから輸出農産物の点についていろいろ御意見がございましたが、私も昨年海外を視察いたしまして一番深く感じましたことは、わが国農産物を海外にあらゆる角度から輸出をするということにあるということを見て参ったのでございます。これを契機にいたしまして、今年度の予算の編成に当りましても、農産物の海外輸出奨励ということには深く意を用いて、その予算は通産省関係に費目は入っておりますけれども、これはいつでも農林省に切りかえて使ってよろしいということにして予算を組んであるわけであります。これを十分活用いたしまして、今お話しのような点についてはもちろんやって参りたい。その他今回行政機構の改革に当りましても、貿易庁をぜひ一つ——従来の貿易行政を拡充いたしまして、貿易庁を新設して、そうしていくことにやって参りたいと私はひそかに微力ではございますが、考えまして、せっかくわが国の一般の貿易もさることながら、農産物、農作物の海外輸出の強化をはかっていきたいと考えておる次第でございます。
  46. 戸叶武

    戸叶武君 先ほどのコンニャクのときにも大臣答弁されましたが、作付地域ですが、これは各府県ごとにやっておるということですが、主要生産県がおのおののこういう特産物に対する作付に対しても計画的な指導をやるのでしょうが、それは政府の力を加えなくとも相当の効果が上るかどうか。その裏づけにどういう施策をやるか。アメリカ等には農業教書においても示されておるように、二〇%の作付制限をやって、それに対して政府の方で補償するというような裏づけをしておりますが、政府としては何かそういうお考えがありますか。
  47. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今そういう品種を別に発見しておりませんが、先ほど申しますように、今回の新農村建設計画の場合には、日本全体の需要を見合いつつ中央においてこれの生産計画示しまして、それを従来の各府県の実情と合わしまして、たとえば群馬県でコンニャク粉をどのくらい作るということで、これが需要が増加すればそれによって割当を多くして、そうしてその生産計画を増していく。群馬県におきましては、それを各町村の生産計画の際に、これが過剰生産にならないように努めていただくということでまずやって参る。今お話のように、アメリカの場合の例を引いてのお話でございましたが、わが国におきましては、今なお生産を押えてそれを国家が補償するというような作物はまださしあたり出ておりませんので、今それを考えておりません。
  48. 東隆

    ○東隆君 私の質問は中断したのですが、先ほどの問題は推定でございましたが、畑作を中心にして考えてみました場合に、畑作の農産物価格の安定に一歩を進めておるものは、澱粉あるいは北海道ではビートのようなもの、こういうようなものがまず安定の方向へ進んでおる、こう言っていいと思うのですが、その他のものはほとんど問題にならないわけです。昨年の作況から考えてみましても、たとえばジャガイモはこれは非常に価格の不安定な作物になりまして、それから豆類はこれはとんでもない、大豆を初めとして御承知通りでありまして、それから亜麻は先ほどの東洋繊維その他の関係で、これが非常にむずかしくなりました。そんなような関係で、畑の中心的な作物というものは、ほとんど価格安定ということでもって先ほどお話がございましたけれども、それには一歩も進んでおらない、こういうのがこれが現状でないかと思う。そういうような関係で、私はお考えを願いたい点がたくさんあるわけであります。澱粉の話は先ほどありましたが、私はジャガイモ澱粉についても先ほどお話になったようなことがおそらく当然行われると思うのです。この点をたしかめておきたいことと、それからそれに関連をして、同じように取扱ってもらいたくない点がジャガイモ澱粉にあるわけであります。それはジャガイモが生産されるのはおおむね九月末にはもうみんな掘り上げてしまいますから、そこで澱粉価格の指示がされるのは大てい十月の末であります。そんな関係で、この点は非常に困っていますから、価格の安定の点からいってカンショとそれからジャガイモは全然離して、そして澱粉の支指価格を早く一カ月以上前に決定をしていただきたい、こういうことなんであります。これが一つ。  それから先ほどの大豆の問題に関連をしてでありますが、輸入制限、それから先般お話しになりました例の関税の件ですね、これは予算の中に計上されておらないと、こういうふうに聞いております。心配いたしております。農林大臣がたしか関税一〇%かけるというふうにお話をされたように記憶しておりますけれども、それがないのか、この点のお答えを願いたいと思います。
  49. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) サツマイモの澱粉とバレイショの澱粉との生産時期のズレから支持価格の決定を別に考えるということは、ごもっともな御意見でございますが、なおよくこれは研究いたしまして、今年度の生産の際には十分検討の結果善処することに御了解願っておきます。  それから今の大豆関税の点でございますが、これはたまたま大豆関税問題の起りましたときが予算編成の前後でございましたので、予算編成の際に大豆関税を取る取らぬという話があったのであります。一応大蔵省としては、これを関税収入に見ておかないということにして予算を組んでありますが、これはなお今申し上げましたように、大豆国策を立てて、そしてその上で全般的に考えてやって参りたいというふうに考えておりますので、しばらく一つ御猶予をいただきたい、こういうことでございます。
  50. 東隆

    ○東隆君 すでに関税定率法で提案はされているのじゃないかと思うのですが、これに対しては一つ善処を願いたいと思います。
  51. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これはいずれこちらの方にも参ると思いますが、政令で定める期限まで免除するということにしてありますので、必要なときにいつでもこれは政令で取れるように御了解願っておきたいということに法律はしておるのであります。
  52. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私は一つお聞きしたいのです。大臣は御就任以来非常な活躍でありますが、非常に地味な造林などについて力をいたされて、先般も官行造林法をやられて、従来は部落有林とか、あるいは個人山などはてんでその対象にならなかったのを広げられて、新たに三十万町歩という大きなものを目標とした改革をやられている。また最近は聞くところによれば、非常に内地としては後進地である熊野あるいは剣山といったような方面対象として、造林事業も含めた森林開発をやられるということは、私どもは非常に何と申しますか、感激しているのですが、それに関連しまして、私かつてお聞きしたことがありますが、北海道の風倒木の跡地の造林の問題であります。あそこは、きょうは林野庁長官おられないようでありますが、御承知通りに二十二万町歩というような大きな面積が、あの十五号台風でほとんど倒れ尽した。そうして北海道の針葉樹の伐採量の七年分というものが一瞬にしていってしまったために、非常に大臣以下御苦心で、ようやく本年度あたりが風倒木を大体処理できるというように、しかも大した困難もなくこれを消化していこうというような段階で、ひとまずけっこうではありますが、非常に今日心配しているのは、跡地の造林を一体国有林がどのくらいすみやかにやってもらえるのであろうか、北海道の木材産業は、御承知通り北海道水産業と相匹敵するだけの、あそこの住民の所得をなしているわけであります。相当大きな工場等もあります。労働者も非常に多い。そこであの風倒木によって出てきたものを処理している間はまずまずではあるけれども、しかしこれが落ちついてしまって、だんだん考えていくというと、一体あの二十二万町歩の坊主になった山をどのくらいのスピードで一体植林をさしてくれるのだろうということが、非常に単に北海道地区だけのことでないことになっていることは御承知通りでございます。そこで先ほど申し上げましたように、政府の方ではこの間思い切って官行造林という制度を部落山あるいは入会の山、さらには付帯してやっていけそうなところは個人山でさえも対象にしようという新しい制度に拡張されたのですが、それをちょうどうらはらのように、私はあれだけの二十二万町歩といった大きな大面積の植林は、国が国有林の力、外地の力等も加えた力であの復旧を急ぐでありましょうが、相当時間がかかるとすれば、年月がかかるとすれば、私は逆に幸い北海道には木材というものはその材料のほとんどを依存してやっている産業、しかも労働者も非常に多い、産業も発達していることなのでありますから、逆に私はそれらが希望するならば、そうして国有林の方がその資金において今日のごとくなかなか容易でない、しかも安い金を外国等から借りてくるといったような一部のあせりさえみられる、それが非常に安く長期にわたって実現すれば一つの方法ではありましょうが、それとあわせてでもいいから、私は一つのそういう木材産業に対して部分的に希望するならば、一定の国有林がそろばんをとったその範囲内において植林を応援させるという、こういった制度もあわせて考えたらどうか。今日も部分林制度というのがございますのでありますけれども、これはやはり国有林の場所を提供するのですけれども、大体市町村が単位でありますから、北海道やあんな大きなところにはそういった今度広げられた官行造林とうらはらの方法をもって講ずるという問題も、私はぜひ御研究を願いたいし、大臣は考えてもおられるのじゃないかとさえ思うのでありまして、この点を一つお聞きしたい。
  53. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ごもっともなお話でございまして、風倒木の跡地復活ということは、一日もすみやかにこれを実現しなければなりません。お話の通り現に今年度からああいう結果から木材収入が減りまして、そうして実は林野庁は予算にも多少窮屈な思いをしているようなわけでございますので、なかなか思うにまかせぬ点もあると思いますので、今お話のような点は十分検討をいたしまして、そうして大方の御協力がございますならば、私はけっこうな案だと思うのであります。その他あらゆる民間の御協力を願って、これを一日もすみやかに植林を完了して、そして利用できるようにしなければなるまいということは、どなたも御異存はないところと思いますので、せっかく一つ御支持、御協力あらんことをお願いする次第であります。
  54. 森八三一

    ○森八三一君 大臣、先刻東委員質問中の、麦の値段を大臣は下げる下げるということをおっしゃっておるが、それは問題ではないか。そこで大臣答弁は、米の配給価格と麦の価格との比価がバランスを失っておる、それを是正するということであって、その麦の値段を下げるということは麦の消費者価格を意味しておるのだと、こういうように私は理解いたしましたが、そのことはまたあとでつけ加えられまして、麦の価格というと、やはり食管法できめられておる三条でしたか、パリティ計算方式でやるのだということもつけ加えておられますので、麦の生産価格を下げるという趣旨ではないと、こういうことをはっきりおっしゃった意味だと思いますが、それに間違いございませんか。
  55. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) その通りでございます。これは食管の予算にもそういうふうに組んで予算説明の際にも申し上げております通り、その通りでございます。
  56. 森八三一

    ○森八三一君 それからもう一つ、米の価格に関連してバルク・ラインをどこに求めるかが問題である、こういう御発言があった。バルク・ラインをどこに求めるかということの意味は、米価の決定については三十年産米全国平均一万百六十円という政府実施価格は、私どもはその内容がどうであろうとも、一応大体において生産費を補償するいわゆる生産費補償方式というもので八〇%あたりにラインを引いて行われておる。こういうふうに受け取っておるが、今の提案されておる予算を見ますと九千九百六十円という予算米価で、これは一万百六十円というものからその後のパリティを考えて策定されていると思う。そこで予算の面では何となしにパリティが出てきておりますし、大臣の御発言では生産費補償方式でいくのだという観念がはっきり打ち出されておる。私どもはあくまでも米価決定の方式は食糧自給度向上という問題をやはり強く推進していくという観点から、補償方式をとるのであるというように理解し、大臣のおっしゃるワクをどこに求めるかという御発言の内容はそういうふうにお考えになっておると、こういうふうに理解しますが、そう理解してよろしゅうございますか。
  57. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知通り、私の先ほどお答えいたしましたのは、八〇%にとるか八五%にとるか、とり方によって生産費が変ってきます。しかしそれはそれとして、いずれにしてもワク外に出るものにつきましては、これはどうしても生産費を切って生産をしていることになりますから、この地区の主食の生産を営農の主体にしておられる方々については、お考え直しを願う方がいいのではないかということが適地適産の対象になるものであって、そのライン内のものについては一応生産費を補償しておることになっておりますから、この地区についてはそういうことはございませんという意味でお答えをしたのであります。今森さんのお尋ねになりまする、しからば今後の米価の決定はどうか、お前は生産費主義をとると言ったということでございますが、それは昨年の米価の決定の際にも御理解願いました通りに、米価の決定を生産費にとりますことはなかなか生産費計算が困難でございます。困難でございますが、一応昨年は生産費主義にのっとりまして、これをまた別のパリティの線から求めて参りました。ところが両方が合致いたしまして、まあ無理に合せたと言えば無理に合せたのかもしれませんが、とにかくパリティにしましても従来のパリティでなしに、パリティの高いところに持っていって、これがパリティに合ったというので、要は一万円の米価に落ちついたということになるかもしれませんが、とにかくいずれにいたしましてもパリティの計算をして出た数字と、生産費方式をとった数字とが大体一万百円前後のところに行ったのであの価格をもって決定した、こういうことでございます。そこで予算を組みます上におきましては生産費が出せません、これは。出せませんから、そこでパリティの数字をとりまして九千九百六十円という数字を一応予算米価としてとりました。しかしこの予算米価は、麦と違いますから、パリティがどういうふうに動いてまいりましても、そのパリティ一本で米価の決定をしようと考えておるものではないのでございまして、あくまでも昨年同様にあらゆる要素を勘案いたしまして、農家の再生産に支障のないように米価は決定して参るべきものだ、こういうふうに考えておるものでありますから、その点御了承願いたいと思います。
  58. 森八三一

    ○森八三一君 それからもう一つ。先刻予約制度をやっていく建前から、五月一ぱいには大体予約推進のために必要な諸条件を整えたい、こういうことでございますが、それはもう少し早く願わぬと、バルク・ラインをどこに求めるかは別にしまして、はみ出るところは変えていかなければならぬということと、今まではとにかくそういうことの観念はなしにしゃにむに食糧を作れるという感覚で行っておるということもかみ合せの上で、五月の中旬には田植が始まるのでございますから、そのころには何か御決定を願うことが非常に好ましい姿だと思うのでありますが、そういうようなお取り運びはできぬものかどうか、重ねてその点を一つお尋ねをいたしたい。
  59. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) やってできないことはないと思いますけれども、しかしなるべくなら実際生産費を合わす方がよかろう、なるべく近づけることがよかろう、昨年も一ころそういう議論をいたしまして、お小言をちょうだいいたしましたが、生産費はあとできめて、仮計算で行ったらどうかという議論を私はしたこともあるのでございますが、一応ほんとうの予約米価を決定いたします際に、なるべく接近して実際の実情に合った米価を定めることの方が適当であろう。また私は思いますのに、肥料の価格等にいたしましても、六月になりますれば肥料価格の方も計算もある程度出てきておりますしいたしますが、むろん五月でもやってできないことはありませんが、むろん見当だけでございます。で、ございますから、なるべく実情に即した方がよろしかろうと思って、また一面六月からは一つ予約を始めるようにというようなことをにらみ合せて見当を申し上げたのでございまして、これはいろいろ今後御意見がございますれば、その御意見を十分尊重して善処して参るということにしていきたいつもりでございます。
  60. 千田正

    千田正君 最後に一点私はこの農林省の中の水産庁、特に漁港関係が再建整備法を設定以来、その裏づけとしての予算がいつも削られるようにわれわれは考えるのです。今も漁港法提案されてありますが、これがやはり漁民にとっては、また沿岸漁民にとりましては、内陸におけるステーションの役割もし、かつまた生産の基地でもありますので、どうしてもこれは確固たる信念でこの予算の裏づけは十分にとっていただかなければならぬ、かように考えますので、大臣に特にこの点を要望しておきますが、なお今後の予算折衝についてのお考えもあわせて承わっておきたいと思います。
  61. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御指摘のように漁港予算は非常に貧弱でございまして、今のような数字ではなかなかはかばかしく行きませんので、私実は心配しておるのでございますが、何分にも予算のワクが小そうございまして、その他いろいろ窮屈な面がございますので、思うようにも行きませんので、せっかく御承知通り大きな施設は余剰農産物の見返り円を使っていくということで、この方もあわせて進めていきたいという考えでおるのでございますが、御趣旨の点十分私も全く同感でございますから、できるだけ一つ尽力をいたしたいと考えております。
  62. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  63. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十一分散会    ————・————