運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-01-31 第24回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年一月三十一日(火曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理 事            青山 正一君            重政 庸徳君            江田 三郎君            三浦 辰雄君    委 員            秋山俊一郎君            田中 啓一君            高橋進太郎君            横川 信夫君            清澤 俊英君            溝口 三郎君            森 八三一君            千田  正君   政府委員    農林省農林経済    局長      安田善一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (三陸沖暴風浪高潮被害及びその対  策に関する件)   —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初昨日の委員会における三陸沖暴風浪高潮被害に対する政府対策に関する農林省農林経済局長説明について、農林経済局長から発言が求められておりますから、お聞き取りを願います。
  3. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 昨日の千田委員の御質問に対しまする私のお答え申し上げました中で、不注意がございまして、正確さを欠いておりましたことの訂正をお許しを願いたいと思いますとともに、きのうまででは必ずしも明確にお答えできなかったのを、帰りまして、さらに確実に研究いたしましたことを一言付け加えさしていただきたいと思います。  第一の点は農林漁業公庫が、小型漁船被害を受けたものに対しまして、公庫法主務大臣指定施設復旧としまして、小型漁船用貸付をする金利のことでございますが、私政府部内の折衝及び自分の考え災害等についてはきわめて低利で、公庫及び政府方針が許す範囲内において努力すべきであるという考えでやっておりましたことの最初気持を実は申し上げました結果、きまりましたことと誤っておりましたので変えさしていただきたいと思います。この場合の貸出条件は年限十年であることばきのう申し上げた通りでありますが、利率五分五厘と申しましたのは七分であります。そればすでにある一般漁船融資に伴いまする利息が七分五厘でありましたのをいろいろ研究折衝いたしまして、また他の融資対象におきまする利率との均衡を考えまして、七分五厘をこの場合は災害のことも考えて七分になりまして、土地改良その他個人施設等につきまするバランスがございまして、七分でないとどうもまずい、こういうことでございますので、今後さらに研究して成果を得ます場合は別としまして、当面着手して実行に移し得る範囲としましては七分というふうに御了解をお願いしたいのであります。その所要資金金額災害融資で六億と申しましたほかの公庫融資でありまして、水産庁等においてなお被害実額の見積りを最終的にいたしておりませんので、それをいたしたいと思いますが、きのう三千数百万円と申しましたのは約四千万円くらいの見当で用意してお申し出を待っておろう、こういうふうに思っておる次第であります。  もう一点は、十勝沖災害と必ずしも仰せになりませんでしたが、今回の三陸沖暴風浪及び高潮災害を受けた方と、私の考えでありますが、たとえば十勝沖災害を受けられた被害者とが重複しておるような場合に、すでに貸し付けてある融資償還延期などについてはどうかという御意見もございましたが、これはきのうも大体において申し上げた通りでありますが、さらに研究をしまして、災害金融によりまする暫定措置法に基く命令におきましては、総ワク六億の範囲内におきまして実質上償還延期のような実を持ちますように、そのワク内で借りかえの措置をとって、返すべきものは期限が来たら返していただいて、さらに新たな貸付をするという措置をもちまして、救済をするように尽力をしたいと考えておるわけでございます。他の場合においてもときどき千田委員等の御意見のような意見が出ました場合でも、それでお許しを願いましたので、金融のやり方にきまりをつけて措置をしていきたい、こういうようなこととあわせ考えまして、今回もこのようにさせていただきたいと思っておるわけでございます。
  4. 千田正

    千田正君 ただいま経済局長からのお話のうちに、きのうの小型漁船に対する問題は、きのうの御説明では五分五厘というのは正式に訂正されて七分、こういうわけでありまするが、了承いたしましたが、ちょっと疑問がここに生じて参りまするのは、十勝沖災害あるいはオホーツク海等の災害を受けて借り受けた者の償還期限がすでに間近に迫っておる、再び今回の災害を受けた、こういう重複した災害に対して償還期限が迫ったのを延期してくれというきのうの各被害地の嘆願であったのでありますが、それに対しましてはただいまの説明によるというと、一応貸した金は返してしまえ、返してさらにあらためて六億円のワクのうらで貸してやろう、こういう御趣旨のように承わりますが、そうなりますと、ちょっと私ふに落ちないのは、六億というワクを定めておる、これは少くとも今度の災害に対する復旧ワクであろうと私は考える。延期ワクはこれに入っておらない。そうしますというと、たとえば宮城なら宮城がどうしても五千万円返さなくちゃならないやつを、今度受けた災害は一億だ、こうなると、一たん五千万円を返して、そうしてさらに一億五千万円借りられるということになるのですか。それとも全然六億の範囲内でしかできないのだから、各県の割合を見合って、そうしてそれのパーセンテージによって重点的に貸してやる、こういうお考えなのですか、その点はどうなんですか。
  5. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 千田先生の御意見ごもっともでございますので、そのような気持で処理したいと思っておりますが、重複する災害を受けられた方につきましても、事実上償還が行われたり、繰り上げ償還奨励措置等もとっておる分がある程度効を奏することもございまするので、地元の方の御意見を、被害者のお方々自身、また県庁の方とも、本省の水産庁ともよく連絡しまして、必ずしもむちゃくちゃに金貸しのようにしぼる意味でありませんで、政策的に国会の御承認を得まして、災害対策として融資するものでございますから、ただいまのお話のように、五千万円と一億で一億五千万円になるかどうかだけはちょっと自信がないわけでございます。それは不必要なものというのも言い過ぎかもしれませんが、返していただく分を差し引いた残りとしてそれがたとえば一億一千万円とか、一億二千万円になるようには努力をいたしまして、そうして六億のワクというものにつきましては、一応政令をもって指定をして対策を講ずることになりますと、そのワク内でやらなければなりませんが、各種の金融措置もございますし、その六億が不足の場合は、真に不足の実証をいたしました場合は、昨日も申し上げましたように、私としてもなお資金ワクの問題について繰り返して努力をするつもりでございます。そういう意味におきましての借りかえ措置にしてもらいたいというのが大蔵省の意見でもあり、私ども金融課行政的事務関係からしましても必要な意味でありまして、水産庁とされましてもそのようでいい、かつまた過去の実際からみると、借りかえ措置の方が、真に新らしい被害者をなるべく十分に範囲を広げて融資するのに都合がいいということで、こういうふうにしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  6. 千田正

    千田正君 そうしますと、きのう御発表になった大体六億というものに対しては、あくまでも今度の災害復旧ワクであるということの原則はやはりくずさないでやっていただかないと、延期した分については、別個にこの点をオーバーしたものについては個々の問題について検討してあなたの方でお考えになる、こういう御趣旨と私は承わってよろしいわけですね。
  7. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 私どもの方も千田委員のおっしゃるように考えまして、善処するつもりであります。
  8. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私もちょっとお伺いしたいのですが、今の経済局長千田さんに対する答弁で、借りかえ——前のやつは借りかえなんだ、こういうことでそれは返すものは返してもらうということなんですが、一体災害のときに、私は災害には二つの面があると思うのです。その元の施設災害によって被害をこうむったということで、いわゆる積極的な面からみれば、それを新たに復旧するという面があると同時に、その施設災害によって生産力を喪失した、こういうので、それがもし従来の借金の形において作った施設であるならば、そこで返済能力というものを喪失するんだろうと思うのです。そういう意味から言うと、常に災害に対する対策としては、それを復旧すると同時に、そういう生産力の喪失ということによってそれらの借財なり借金なり、負債なりがあったときには、それの延期なり何なりというものがあわせてやはり対策として考えられて初めて災害対策となると思うのですが、その点がどうも局長お話だと、六億のいわゆる復旧という点にだけ主力があって、今の消極面の点についての対策というものはこれから研究してまあ考えようというのでは、ほんとう災害対策にならないので、そこいらの点はどうお考えになっておるか、私ちょっとお伺いしたいのです。
  9. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 実はその点につきましては、昨日も少し私見にわたるかもしれませんが、農林省がこの年末年始に努力をしましたこと、今後の努力をしたいと思っていることを申し上げましたのでありますが、お話しのように、今回のこの三陸沖の六億というのは、国会の御尽力によりまして制定されました天災による農林業者営農資金融通暫定法に基く政令的措置によりまして、行政的実施をしようと思っておるものでございますが、根本的に非常に零細なお方とか、特に災害が重った場合で信用力が特に薄い、償還能力がまた出てこない、こういう場合につきましては、償還延期をする方法もありますし、もう少し個々実情には一そう沿おうとは思いますが、方法としては少し強力さが欠けているが、先ほど申しました借りかえの措置もございます。しかし、農業漁業等におきましては、天災が相当起きまして思う通り計画生産もできない実情にありますから、これには確実な政府的、政策的金融をつけて、そうして金融機関も金を必ず貸すという措置のために別途基金でも作りまして、簡単に言いかえますれば、水産を含めて農林水産業融資保証制度融資保証基金でも設けまして、それによって払えないときには代位弁済して、たえず生産力の回復を、補助金ないしは積極的に生産力増進融資をする、民間融資もすれば政策融資もする。その場合に災害対策融資生産力増強融資とを両々債務保証して確実に金を貸してもらえる制度というものを農協などは特に考えるべきではないか、その一部としまして、農業改良基金制度の中には一部実現を見つつあって、国会審議を御期待申し上げておるものもありますが、ほんとう水産には一部その趣旨のものが民間出資をも加えてありますし、開拓者には開拓者融資保証法もございますし、私ども不振農協対策としてもそれを講じたいと思っておりましたし、畜産融通融資過程についてもそういう案が出ましたが、十分に予算措置を網羅的に講ずることができませんでしたので、今後——この財政の問題を必ずしも本年度にこれは期待しなくてもいい部分がございます。なぜかと申しますと、損失補償契約をいたしましても、一定の基金さえあれば事務費をまかなって、損失補償というものは一年、二年あと償還期限がきたときに起る問題でございますので、その措置さえ考えれば、ことによりますと、私が理想的に近い農林業融資を確実につける融資保証制度、こういうものをこの国会で実現していただく良識を国会に期待することも悪いことじゃないじゃないか、こういうふうに思いまして、農林省事務当局としましては、ほぼ一致しておるのであります。予算折衝過程においては、これは相当強く要求したのでございます。財源問題を本年度、三十一年度にするか、三十二年度でいいかということなどについて、時間切れになりました関係もございますし、未整理でわれわれの力が足りなかったこともございますので、これはこの国会の御審議がありまする上において、衆参両院方々の御協力を得まして、われわれも考えを述べ、御希望を申し上げたりして、そういう制度を作っていただけないかと実は思っておるわけでございます。
  10. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 局長の今のお説、非常に私はけっこうだと思うのですが、特に今のような制度も必ず必要だと思いますが、とかく災害のときにそういう政府ワクや何かがきめられても、中金の末端的な機構がなかなか事務的にはかどらぬ、今のような保証制度や何かがあると、非常に円滑だと思うのですが、今度の場合についてもそういったような点があり得ると思うのですが、そういう趣旨の徹底についてどういう措置考えているか。
  11. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) その点はきのう千田委員からも御指摘がございまして、私も農林省行政官としまして、まったく最近は同感でありますということを申し上げまして、北海道の冷害等が参りました場合の金融機関、特に政府とタイアップしてやる金融機関出先機関がとかく一般金融のような態度をとりまして、貸して漁業農業災害を回復し、生産力を延ばすということについての熱意に欠けておる。そういうことの事例もあり、地方からの陳情もございましたので、その方面に強く——それはおよそ政府国会審議を得まして、利子補給をとるとか、政府資金融資するとか、災害対策を講ずるために融資をお願いするというようなものは、金融機関の単なる金融上の諸条件というものだけで処理してはいけない、もし人がよろしくなければ、地元の意向をも反映して、これは放漫な融資になってはいけないけれども、明らかにこれはかえた方がよろしいというような運営の仕方をする人の場合は、変えたらどうだろうか、こういうことを実は積極的に最近やりました。その態度は今回の問題に当りましては、よく農林省、地方庁、あるいは関係団体のほかに金融機関にもよく趣旨を徹底いたしまして、さいわい河野農相も、その点にはもっと行政官庁指導力を持つべきものだ、政策を浸透させることはしっかりやるべきであるという御意見でございますので、特に農林中金その他につきまして、公庫においてもそうでありますが、特別の留意を払うように手続中であるわけであります。
  12. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  13. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記を始めて。
  14. 千田正

    千田正君 これは災害は緊急の問題でありますので、特にきょう私は時間をいただいてお尋ねするのですが、先ほどの陳情がありましたように、このまき網定置その他に対して、組合自営のものに対しては、御承知の通り今度の暫定法その他の処置において救われますけれども、大部分定置業者というものは、ほとんどこれは個人の経営が多いのであります。これはどうして救っていくか、この問題の方針をはっきりしていただきたい。特に化繊——綿糸から化繊に切りかえたような場合の問題、それから大部分のものは今後は化繊を使った方がより効果的であり、水産業方々も非常によろしいのでありまして、これに対する助成政策あるいは金融政策等について、重点的に簡単でよろしゅうございますから、今度の災害復旧契機としまして、この問題に対する対処方針を伺っておきたいと思います。
  15. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 簡単に申し上げますが、きのう水産庁の次長が化繊の漁網にすることをこの災害契機とする場合にどういう処置をとるかということについてお答えしましたので、水産庁意見がそのようであれば、それに応ずる金融措置はとりたいと思っておるわけであります。補助等もあるかもしれませんが、私詳細存じませんが、そのやるかやるべきでないかということは、水産庁に期待したいと思いますけれども、私どもとしましては、水産庁とも打ち合せまして、政府案の来年度の公庫貸付計画は二百九十億と目下予定しておりまして、不日国会の御審議を得たいと思うわけであります。昨年は二百六十五億でございました。この二百六十五億のうち農業改良基金制度によって融資されるように移したものが個人施設としてあるのでありますが、他方新規事業をも実は融資対象に、新しい対象をも加えるように、少い資金のうちでも努力をいたしまして、新農村建設等においての十五億ありますが、これはちょっと関係ありませんが、漁船建造畜産施設北洋鮭鱒の独航船、沿岸漁業振興に関する資金としまして、昨年度より八億増を予定しておるのでございます。私どもは少くとも十五億くらい取りたいと思いましたが、金利関係とか、簡単にいえば金利を従来の普通の公庫融資のベースより上げないようにする、また公庫事務費人件費も節約しながら従来通りやっていけるようにすることを考えますと、このくらいで今回はやむを得ないと思ったのでありますが、このうちの沿岸漁業振興に対する資金などの新規部分などについてお話のありましたことを、細目がどういうものをどういうふうに対象にしていくかということについて、できるだけ御意見のございまするように研究いたして参りたいと、こういうふうに思っておるわけであります。
  16. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ではこの問題は本日はこの程度にいたします。  本会議都合によって、予定した議題の審議は後日に譲り、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時九分散会