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説明員(
加唐勝三君) 本日
農業改良局長がよんどころない支障がありまして、当
委員会に出席いたしかねましたので、
研究部長代理をいたしております私から主として
農業改良局関係の
試験研究面の
明年度の
計画を申し上げたいと存じます。
お
申し入れの第一条のうち、
牧草地、
牧草の
改良ということと
天然草地及び
野草の
改良ということがございます。これにつきましては、
那須にございます
関東東山農業試験場の
草地部に
草類の
育種の
研究室がまだ表向きにございませんので、これの
新規定員七名を
要求いたしております。
あと北海道並びに千葉の
農業技術研究所その他で
育種をやっているところがございますが、
経費の若干の増加という
程度で、新しくその
改良をやります
研究室を作るという
段階にまだ至っておりません。
次は第四条でございますが、そのうちの
一つは
試験研究、ことに
経営面の
試験研究を整備充実するということがございます。これにつきましても、特に新しい
研究室を作るというようなことはございませんですが、別途四
カ場の
試験研究機関並びに普及の拡充、充実というお
申し入れもございましたので、
事業費の方をふやすという
趣旨のもとに
予算を組んでおりまして、従来平均いたしまして
人件費が六、
事業費が四でございましたのを一挙に
改善することはむずかしいのでありまして、来年度の
予算で五%
改善し、五・五対四・五にするという
予算を組んでおります。これ以上急速にふやしますのには、
試験研究機関の
予算の
組み方というものを
検討いたしまして、根本的に直しませんと、ちょっとむずかしいのであります。たとえば
人件費六、
事業費四のものを、逆に
人件費四、
事業費六にするのには、
予算の総額を一五〇%にしないといけません。五〇%ふやさなければいけないことになります。理想といたします
人件費三、
事業費七にいたしますのには、
試験場の総
予算を二倍、二〇〇%にしなければならない、一〇〇%増加いたさないとそれだけの比率にならないのであります。で、一挙にこういうことをやりますのには、
試験場の
予算の
組み方というものを根本的に変えなければいけないのじゃないか、こういうふうに存じております。で来年度としてやりますことは、今の
組み方の範囲内で
事業費を各
項目ごとに増加いたしまして、ある
程度仕事をやりよくするという
方針で来年度は組んでございます。
技術方面も同様でございます。
それから
補助金関係でございますが、これは
資料を刷って参りましてお配りするつもりでございましたが、以前に
草資源資料第四
号草資源対策要覧というのをお配りしてございます。これは
農林省草資源対策連絡協議会で作りましたもので、この
要覧に来年度の
予算要求が出ておりますので、また同じ
刷り物を差し上げましても重複いたすと思いますので、作って参りませんでしたが、このうち
新規の
項目だけをちょっと申し上げておきますが、
一つは
本省費といたしまして
草資源のための
試験研究運営費というもののうちに
草関係のことが組んでございます。これは旅費として十二万円
程度、それから
日本の
野草の
図鑑を作る、それも普通の
図鑑でございませんで、将来
試験研究に使えるような
図鑑を作ります。将来の
育種事業、それからいろいろな
造成事業に必要な
図鑑でございます。これを百七十五万円ほど
新規に
要求してございます。それから
試験研究の設計並びに成績の
印刷費として三万円
程度、合せまして百九十万円
程度のものが
新規に
要求しておるのでございます。これは主として国の
試験研究機関にも使いますが、
地方の
補助関係も考慮に入れて使って参るようでございます。これが第一番、それから第二番といたしまして、
牧野改善技術者の
研修費というのが組んでございます。これは
牧野研究の
草資源関係の
試験研究をする
技術者の
研修費でございまして、
牧野改善の
事業をする
技術者の
研修費ではございません。そちらの方の
牧野改善の
技術の方の
研修費は
畜産局の方で組んであるわけでございます。こちらは非常に数の不足いたしております
試験研究の
関係者を数をふやしますと同時に、その質を上げていくということがねらいでございます。これは
本省費として百三十万円ほど組んでございます。
それから
都道府県でございませんで、外部の
機関に
委託をする
費用が新たに組んでございます。これはどういう
方針で組みましたかと申しますと、草の
研究が非常におくれておりまして、並行して進めていかなければならないという
関係がございますので、昨年
——畜産技術連盟という
団体がございますが、
畜産技術連盟に
委託をいたしまして、
日本草地研究会というものがございますが、その
団体との共同で
日本中の
試験研究者に対して
草地関係の
研究の
アンケートをしたわけであります。どういう
方面から手をつければいいかということを
アンケートいたしまして、その結果十の
項目が出てきたわけでございます。その十
項目のうちまだ全然手をつけていないものを二つほどやりたい、こういうことでございます。そのうちの
一つが
委託費として入っております。それは
病害虫の
関係でございます。従来
日本では
牧草、
野草、そういう
草資源の
病害ということに対して
研究が全然やっていないのでございます。それでまず
最初の
事業としてどういう草にどういう
病害が出ているか、
病害なり害虫がきているかということの
委託費でございます。これは
大学六カ所ほどにお願いするという
費用になっております。
大学に
委託いたしますのは、
都道府県の
試験場が
病害虫関係は今
手一ぱいでございまして余裕がございませんので、
大学六カ所にお願いして小
段階の
調査をしていただくわけであります。九十万円ほど組んでございます。
それからいま
一つの
委託費は、これは特に
アンケートから出てきたものではございませんのですが、表面の泥が流されてしまいまして、心土が出ているという、はげ山みたいな所でございます。そういう赤裸になっています所を直しますのに、
豆科の
牧草ですと非常によろしいので、初めに緑の作物、麦とかそういうものを入れましてもなかなか泥がよくなりませんで、
牧草ですと、これが入りまして泥が非常によくなるというような
研究がございましたので、それをこれは
土壌関係の協会でございますが、一カ所ですが、ここに
委託をいたしまして、四カ所で
試験をしてもらう、こういう
費用が新しく組んでございます。
それからやはり
アンケートから出てきましたもう
一つは、
土壌関係の問題でございますが、
草地の
土壌調査は
畜産局の方で
予算を組みまして、これを
地方の
農事試験場の
低位生産ということを
研究をしているところがございますが、そこでやるということになっておりますが、私の方で出してございますのは、これはその
土壌調査と組み合せまして、
牧野に対する特殊な施肥の
方法の
試験をやっていただく、これは
都道府県の
補助金でございます。初年度でございますので、十カ所で十万円
程度、合計百万円ほど組んでございます。塚上が大体
補助委託費関係でございます。
それから同じく第四の中に
種畜牧場その他広大な面積を使って総合的な
研究をしろという申入れがございます。これにつきましては以前の当
委員会におきまして、
田中先生その他から御発言を承わっておりまして、当時は
北海道の
牧場という御
意見でございましたが、
北海道では
研究室も離れておりまして、人を集めますのも大へんでございますので、第一回の三十一年度の
予算といたしましては、お手元にございます書類のような案を作って、
要求をいたしてあるわけでございます。
案自体は
官房の
総合開発課でやったのでございますが、第一年度は
改良局関係を主としてやるということにいたしまして、第一年度の
事業は主として
改良局関係の
仕事である、こういうことで
改良局から国の
試験場の
予算として
関東東山試験場の
草地部の
予算として出してございます。その
趣旨は
重要点のところに書いてございますように、
一つのねらいはなるべく全国的に広く当てはまるように、こういうことで
日本の南の
栽培環境と北の
栽培環境とのちょうど
接触点になっております境のところの、北関東か
南東北ということで一応
那須に
草地部とそれから
畜産部と
経営部と三つございますので、
研究室も十幾つございますので、その人を動員して両地域に、またがるところでやる、こういう
趣旨でございます。それから
日本の傾斜地は火山灰地が多うございますので、
那須の火山灰地であるということも考慮に入れてございます。傾斜度は
那須には幾らも傾斜のあるところがないのでございますから、
那須山、それから高原山の山麓、中腹にかけまして、国有林その他国の使えます
土地を使いまして
試験をしよう、こういうことでございます。将来の
計画といたしまして、総面積はここにございますように五百
町歩ございますが、初年度はそのうち二百
町歩だけ
事業をする、同時に五百
町歩にわたる予備的な
調査をする、こういう
計画でございます。それで三十一年度以後は五年まで出ております。たとえば三年目には二十戸の実験農家が入ってくるということでございます。それからここでごく規模は大きいのでございますが、
試験としては比較的簡単な
試験をいたしまして、その結果を展示の用にも供する、農家に見せる、つまり
畜産局の方の
牧野改良センターでやります
事業がうまくいった場合にはこういうふうになるのであるということを、われわれ
技術者がやって見せるということがねらいになっております。それで五年過ぎまして、
あとどうするか、まだきまっておりませんが、実験農家も入ることでございますから、農家の希望があれば農家の方に払い下げていく、また新しく
開拓農家を入れるということも考えられるわけでございます。それで三十一年度、初年度の
事業といたしましては、二百
町歩を使って、aとして
草地土木に関する
試験研究、すなわち
土壌の整備法、
土壌保全、隔障物設置、こういうことをやる。それからbとして草生
改良に関する
試験研究、
土壌改良、草種飼肥料木導入、こういうことをやるのでございますが、ここには簡単で、書いてございませんので、もう少し申し上げますというと、傾斜地というもうは従来いろいろな使い方があるわけで、主として従来は緑作物を入れる、またはコンニャクであるとか、ああいうふうな高原作物を入れる、場合によりますというと、果樹を入れる。また高冷地でございますれば、高冷地用の蔬菜、キャベツでございますとか、白菜を入れるとか、そういうのが普通のやり方、
あとは林地にするということしかなかったのでありますが、この
総合試験地は傾斜地の総合
利用ということをうたってございますが、これは草を中心にいたしまして、傾斜地を総合的に
利用していこうということでございまして、従来の使い方もやってみて、それとの経営上の比較もいたしていくということであります。たとえば緑作物も作ってみる。たとえば緑作物でも、うねをどういうふうに作るかということは非常に問題でございまして、縦のうねがいいか、または横のうねがいいか、または等高線うねがいいかということは相当問題でございますけれども、原則としては傾斜地では等高線うねがいいわけでございますけれども、
日本のように非常に山がこまかくひだになっておりまして、等高線が非常に屈曲する場合には、必ずしも等高線がいいかどうか疑問でございます。それは農機具が使いにくくなるのでございます。アメリカのように非常に耕地が広い山のひだになっておりますときには、等高線で作りましても
仕事がやりいいのですけれども、
日本のように小さな山ひだでございますと、非常に等高線というものはやりにくいのでございます。縦うねが悪いように思うのでございますけれども、横うねですと、かえって大雨のときには、うねごと流されるということもございます。また等高線うねをやるにつきましても、多少の傾斜をつけまして、水のはけ口を作ってやらないと、やはりうねが流されるということもあるわけでございます。しかし従来の
方法との比較をする、また従来の作物との比較をする、野菜だけ作った場合と、野菜と交互に植えましたり、輪作にして年次を変えて植えましたり、また果樹との組み合せもする、桑の方もやってみる、二百
町歩を草一面にするのではございませんで、将来はそういういろいろの従来の
方法、従来の作物との
検討もいたしていく、こういう考えでございます。でございますから、野菜のようなものでございますれば、
一つの面積が一反歩、二反歩
程度でいいのでございますが、桑になりますと、四、五反歩必要になってくる。果樹になるというと四・五反歩でも足りないというようなことになります。それですから、
試験のやり方としては
土壌の差異、土性の差異によります
試験区の反復ということをやりませんで、その取扱いは
一つしかやらないのでございますけれども、面積をそれぞれ多く取りまして、その作物なり林木に相当する面積を取りまして
試験をする、こういう
計画でございます。その
費用は初年度といたしまして二千六百三十八万五千円、
人件費を極力節約いたしまして、
新規の定員の
要求は五名ということにいたしております。その意味は
那須の連中が行って、
那須の各三部の人たちが行って
仕事をするということでございます。そのかわりに人夫賃、肥料代、農機具、そういうものを大きく見積ってございます。それからまだ現地の踏査をいたしておりませんが、どうしても団地となることが困難でございますので、相当傾斜地において飛び地ができると思いますので、旅費なんかというものもまた関東東山でなく、ほかの部の人、ほかの局の人も来るわけでございますので、旅費というものも相当に多く組んでございます。従来の普通の
予算の
組み方と違いまして、
人件費を減らしまして、役務費、
事業費、そういうふうな面で
予算を多く取って組むという作り方になっております。傾斜地
利用の
試験地の点はその
程度でございます。
それから同じく第四条に研修のことがございますが、研修につきましては、先ほど
研究技術者の研修のことは申し上げました。お
申し入れには普及員の研修のこともございます。普及員の研修につきましては、特技研修というものを昨年あたりから普及部の方でやっております。そのうち畜産
関係の特技研修は私の方にも、
研究部の方にも相談がございましたので、これは畜産の
技術研修は二つの次にして、まず飼料の自給の研修をしてくれということで、飼料作物の栽培、それから
牧野の
改良、こういうことを第一にいたしております。第二には畜力
利用ということをいたしておりまして、第三に畜産自体の研修ということをいたしておるわけでございます。一般の普及員というのは農業全般の知識を持っていますほかに、それぞれ何か特技をつけていくという
方針でございまして、畜産に関する特技は飼料の自給ということを第一にいたしております。明年以後はこの
内容を
改善いたしまして、
費用は特にふやしませんですが、
内容を
改善いたしまして、特技を普及員にしっかり身につけてもらう、こういうふうに持っていきたいと思っておる次第でございます。
それから
大学に講座を設けるということでございます。これは私どもの方も非常に希望するところでございまして、一昨年
予算を組んだことがあるのでございますが、局の
予算の限りで落ちてしまうという
程度でございます。昨日も
草資源の
調査会で、東北
大学の藤原教授からこのことが出たのでございますけれども、文部省の方がその意思がない、文部省で
大学を作りますときには設置
委員会でやるわけで、設置
委員会は
大学の先生、教授の方が構成しておられるわけでございます。その設置
委員会からそういう
意見が出てこないのであっては、なかなか
大学に講座を作るということはむずかしいのでございます。そこで
草資源の
調査会も、いつかは文部省の方、並びに
大学の設置
委員会なり、講座の設置の方の係のお方をお呼びいたしまして、この必要性を大いに認識していただく必要があるのではないか、こういうふうな
意見が出て、あるいはそういうことに取り計らうことになるかとも存じておる次第でございます。大体私どもの方で来年度として考えておりますことはこの
程度でございます。