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1956-05-28 第24回国会 参議院 内閣委員会 第54号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十八日(月曜日)    午前十時零分   —————————————   委員の異動 五月二十八日委員青柳秀夫君、三橋八 次郎君及び菊川孝夫君辞任につき、そ の補欠として石井桂君、松浦清一君及 び亀田得治君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            野本 品吉君            宮田 重文君            千葉  信君            島村 軍次君    委員            石井  桂君            井上 清一君            木島 虎藏君            木村篤太郎君            西郷吉之助君            佐藤清一郎君            江田 三郎君            亀田 得治君            田畑 金光君            松浦 清一君            吉田 法晴君            高瀬荘太郎君            豊田 雅孝君            廣瀬 久忠君            堀  眞琴君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君   政府委員    農林政務次官  大石 武一君    農林大臣官房長 谷垣 專一君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    特許庁長官   井上 尚一君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    特許庁総務部    務課長     竹村 礼三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○通商産業省設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○農林省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) ……(議場騒然)  暫時休憩して、一時より再開いたします。    午後零時十六分休憩    ————————    午後一時二十三分開会
  3. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  まず、委員変更についてお知らせをいたします。三橋八次郎君及び菊川孝夫君が辞任されまして、その補欠として松浦清一君及び亀田得治君が選任されました。青柳秀夫君が辞任されましてその補欠石井桂君が選任されました。   —————————————
  4. 青木一男

    委員長青木一男君) 通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を行います。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 第九条の十一の二というのに、「工業用水道に関すること」、こういう新しい号が入っているのですが、これはどうしてこういうものが新しく入ってきたのですか。
  6. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これは今回工業用水道に関する法律ができまして、その取扱いをする必要上、この設置法変更を行うわけであります。
  7. 江田三郎

    江田三郎君 今までも工業用水道のことはお取り扱いになっていたのじゃないのですか。新しい法律に基くかどうかは、それは別にして、実質的には工業用水道ということは通産省の方で扱っておられたのじゃないですか。
  8. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 事実においてはいろいろやっておったわけでありますが、法律上はっきりしておりませんから、所管がはっきりしておらなかったのであります。今度初めてそれがはっきりきまりました。
  9. 江田三郎

    江田三郎君 そこで、新しくこういうものをお扱いになるということになると、工業用水道に関しての通産省の基本的な考え方を一ぺん教えていただきたいと思うのですが、たとえば工業用水道というものが独立してある場合もありましょう。たとえば井戸を掘るというようなこともありましょうが、多くの場合には、農業用水あるいは飲用水なんかと一つのルートから出てくるということが多いわけです。そういうときの経費アロケーションの問題とか、いろいろの問題が出てくるわけですが、大体通産省工業用水に関する基本的なお考えを承わりたいと思います。
  10. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 今までは、まあ工業用水は大体地下水を各企業者井戸を掘って使っておるというのが多くの場合であります。ところが最近においては、たとえば川崎等にいたしましても、その地下水がだんだん減ったために地盤が沈下するとか、あるいは水そのものに塩水がまざるとか、汚水がまざるとかといういろいろの問題を起しておるわけです。そこで本年度においては、とりあえず川崎等数個所につきまして、特に差し迫って何とか処置をしなければならん所につきまして、地下水のくみ上げについてのある程度の制限をする、それからまた水道に対しては多少の補助金等を加えまして、工業用水としての施設をさせるということを法律できめたわけであります。漸次それが全国に広がっていくものと思いますが、今のところではまだ、ごく場所は限られておりますが、それにしても通産省として今まで地質調査所等で研究しておりましたところを基礎にして、この工業用水の問題をこれからもっと本式に取り扱っていきたいと、かように考えております。
  11. 江田三郎

    江田三郎君 だから井戸の問題はまあそういうことでわかりますが、全体として見れば、工業用水水源というものは、井戸に依存する部分よりも、むしろ他の農業用水飲用水あたり一緒水源を使うという場合が多いのじゃないかと思うのです。それはそうじゃないのでしょうか。
  12. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 将来においては一そうそういうふうになると思います。今まででもある程度そうでありましたが、これからは場所によっては、特に水道敷設者がやるということになりますと、ほかの農業用水等とも関連をして参るわけであります。ただ性質が、工業用水は、工業経営の上、あるいは工業地域関係から考えなければならんものですから、このほかの農業用水その他との関連は十分とらなければなりませんが、しかし工業用水工業用水として別個に研究をし敷設をしていかなければならんと、かように考えております。
  13. 江田三郎

    江田三郎君 そういう、たとえばまあ新しいダムを作って、そこで用水源を確保するという場合に、当然農業用水飲用水との関係が出てくるわけで、一体基本的にそういう際に、水の料金のきめ方なり、あるいは施設建設費経費アロケーションというようなことについての基本的な通産省考え方はどうなのです。
  14. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) お尋ねでございますが、工業用水は御承知のように比較的、河川にいたしましても、下流でとるのが例でございます。従って普通の場合は、灌漑用水との競合する割合は少いかと存じております。ただ、御承知のように、愛知用水のような場合とか、あるいは川崎に引いております、何といいまするか、相模湖から引いておる、ああいう場合には、そういうお話のような場合が出るかと存じております。これは、結局御指摘ありましたように、費用のアロケーション等を通じまして、工業用水価格を幾らに持っていくかということに一番関係してくることだと思います。現在のいろいろな状況考えてみますると、大体工業用水の方は、端的に申しますれば、トン当り四円前後という辺でありませんと、むしろ井戸の方が安いという場合が多いようでございます。そこで、われわれとしましては、一つは、そういうふうに比較的井戸と同じような価格でいきまするように補助金を、先ほど大臣が申し上げましたように、ある程度の補助金を出しまして、他方、地方起債等を通じまして、ある程度そういう価格になるように指導して参りたい、これが一つでございます。  それから、まだ具体的に、愛知用水以外は、農業用水と具体的に競合して、アロケーション等の問題を起したような場合はないようでございます。もしそういうふうに、将来そういう多目的なダムから水を引くというような場合が起りますれば、やはり工業関係といたしましても、そう高い水では、結局それを使わないで、また井戸を掘って水を使っちゃまずいものですから、その辺は十分調整して参りたい、かように思っております。
  15. 江田三郎

    江田三郎君 具体的に愛知用水以外にそういう問題は起きていないということであれば、あなた方の、あなた方の方といってはいかんけれども、工業用水の方は不当利得を得ておるのじゃないかと思うのですよ。それは、ダムができますね、それによって、大体下流の水がほぼコンスタントに流れてくるということになると、夏の旱魃とか、そんな被害もこうむらなくて済むわけですよ。だから上流ダムにもいろいろ性格がありますけれども、しかし多くの場合、それによって年間コンスタントに水が流れてきて、下流からとっている工業用水というようなものも非常に条件がよくなってくるわけなんです。そういうわけで、当然そんな問題については、工業用水関係から、ダム建設費なりというものは幾分アロケーションを受けなければならぬ、それがなかったとすれば、どうも私の見解では、工業用水関係不当利得を得ておるということを言えるんじゃないかと思いますが、どうでしょう。
  16. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 不当利得ということになるかどうか、これはいろいろな場合があると思います。思いますが、私もまだいろいろな例は存じませんので、あるいは専門家がお答えした方がいいと思いますが、まあ、こういうふうに考えておりますが、灌漑用水の方は、水をとられたら、そのまま田畑等におきましては、これは、なくなってしまうものだと思っております。つまり灌漑用水は、もう一ぺん元の川に放流されることはまずないので、そのまま使ってしまう、要するに灌漑用水あとの水の動きが、お話のように下流相当いいように流れてくるか、あるいはそうでないかというようなことになるだろうと思います。これはいろいろな場合もありましょうし、お話の、必ずしも下流の流れが灌漑用水をやった結果よくなるとも考えられないのじゃないかと、こう思っております。いろいろな場合がありましょうから、もう少し検討さしてもらいたいと思いますが、今のところは、同じ河川の流域にあるいろいろな構築物施設経費をお互い分担し合うという制度は、実はないように考えております。
  17. 江田三郎

    江田三郎君 それは官房長、あなた少し虫がよすぎているのですよ。たとえば、具体的に申し上げますと、私の郷里の岡山県に旭川という川がある、ところが下流岡山市に工業用水をとる場合になると、しばしば旱魃を起したものです。ところがそこに旭川ダムというのができた、その上流にさらに湯原ダムができた、その二つダムによって、大体下のダムからあとに流れてくる水というものは、洪水時は別にして、年間コンスタントに水が流れてくるわけであります。それによって工業用水の方も、夏どきの旱魃ということがないのです。ところがその隣りに吉井川という川がある、これにはそういうようなダムができていない、従ってしょっちゅう水の問題がやかましくなって、去年あたりも、鐘紡であるとか、いろいろ印刷庁工場であるとかというのは、水に相当困られたわけです。そこで二つのことを比べてみると、ダム建設はちゃんとできて、農業用水なり飲用水がよくなると同時に、工業用水がよくなるわけです。従ってこれは当然そういうような施設を作るときには、工業用水関係としてもアロケーションを持つべきだということは、私は当然言えると思うのです。これはちょっとあなたの方が図上作戦だけで実体に触れていないと思う、そうじゃないですか。
  18. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 今までのところは、具体的にあまりそういう問題を私ども聞いておりませんが、今のお話は別にして、特にアロケーションの問題というものを問題として持ち込まれていることは、今までのところではありませんが、しかし今後においてはむろん起るだろうと思います。ですから、電源にしましても下流増問題がやかましく論ぜられているときでもありまするから、工業用水についても同じような問題が必ずあるだろうと思います。それは今後必ずあってしかるべきだと思います。
  19. 江田三郎

    江田三郎君 愛知用水のことについても、あなたの方はトン四円以上になるというと井戸の方が安いのだという考え方を持っておられますけれども、私は愛知用水の水の料金が最終的にどうきまったか知りませんけれども、昨年あの愛知用水の法案を審議している過程でみたところでは、私どもは少し工業用水の方が安過ぎるという印象を受けたわけです。工業の方はトン四円以上になるものはやれぬのだということですけれども、農業の方はばく然としているのです。何ぼでもやれるようにもみえるし、やれぬようにもみえる。たとえば水によって米を作る場合、果樹を作る場合、高級蔬菜を作る場合、それぞれの効果というものは違ってくるわけです。そこで愛知用水措置をするときには、ここでは高級の蔬菜を作るとかということで、水の効果というものを、普通の米麦を作るよりも高く評価しているのです。しかしそういう高い評価の仕方というものはほんとうは間違いなんです。ところが、なぜそういうことになるかというと、あなたの方が、工業用水の方は高い、四円以上というようになると無理なんだという一つ基本前提を持って来られるから、そこで料金の決定なんかについても、私はどうも工業関係に少し無理が通っていると思う。というのは、大体今まで……あなた方というのじゃないのですが、工業用水関係の人は、川の水なんて、ただぐらいに思っているのだから、そこに大きな間違いがある、あの川の水を、上から下までの農民が、どんなに血まなこになって相争っているかということをお考えになれば、もっと違った答えが出るのじゃないかと思います。トン四円以上になると、井戸を掘ればいいのだということになって、その井戸をむやみに掘ったために、尼ケ崎にしたってその他のところにしても、ああいうふうな地盤沈下の問題が出たのですよ、そうむやみに掘れるものじゃないのです。その点は、工業のようなものが、もう少し大きなアロケーションなりあるいは料金負担をするというのでなければ、農業にばかり負担をかぶせるということになり、今後新らしい水源開発というのは不可能じゃないかと思うのですが、その点は通産省どうです。
  20. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) その点は実際に当りませんとわかりませんが、お説はもっともだと思います。
  21. 江田三郎

    江田三郎君 そういうことになると、結局は工業用水関係通産省、それから農業用水関係農林省、あるいは飲用水関係の厚生省ですか、そういうところとのいろいろな関係が出てくるのですが、今後そんなときにお互いに関係のある役所として協議をして行くというような仕組みはできておるのですか。
  22. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 実は水の問題は非常に重要でありますので、国土総合開発審議会でありましたか、そこでも水の部会ができて、いろいろ検討したのでありますが、まだ最後結論が出ておらない。地下水その他なかなかむずかしい複雑な関係がありまして、最後結論は出ておりませんで、とにかく今回の工業用水については、とりあえずやらなければならぬことをやって行くということで、行政的に必要な各省の間の調整を行う相談はしておりますが、まだ水全体としてどういうふうな総合対策をやるかということはきまっておりません。将来においては、水全体の総合対策を作り、従ってその総合的な何らかの行政機構というものも必要であろう、こう考えておりますが、今のところではお話しした通りで、まだ暫定的なものであります。
  23. 江田三郎

    江田三郎君 私は特に農村関係に関心を持っているから、多少一方的な議論になるかもしれませんけれども、大体私はただ水の問題だけでなしに、通産省なんていうものは少し横着だと思っているのですよ。それは、たとえば、この間、森林開発公団ですか、というのができて、熊野、剣山の開発をやる、そうして大きな林道をつけるわけですね。その林道というものは、あれでいくと、森林開発公団の方が負担をして森林の方にかけて行くわけですね、償還なり何なりというものを。ところが、あの水というものは一体それだけの効力しかないのかということです。当然あそこで電源開発問題が起きるわけです。そうすると、それがすぐに使われるのです。あれによって観光施設を作るときにはすぐに役に立つと思うのです。ところがそういう方面へはアロケーションはかぶせられないで、ただ森林関係だけがそれを受け持っている。森林のような利潤の少いものが、そんなものをすぐ受け持つというようなことは、これはむちゃな話だと思うのです。どうもそういう点が農林省あるいは通産省その他の関係省の間が、私は今までどうもなおざりにされている。もう少しそういうことについて真剣な協議が行われなければ、今後の水資源開発なんていうことは非常に行き詰まりがくるのではないか。農民の方はよくわからぬのですよ。農民の方は、できてしまってから、用水組合年賦金を払うことになってから、やれこれ言うのであって、最初はこういう計画で任しておけばいい工合いに行くのだと言われると、多くの農民はそういうふうになっちゃうのだ。それがあとになってくると年賦償還が高過ぎるということで問題が起きる。そういうことがしばしばある。しかしそのときには泣き寝入りということになる。もう少し石橋さん、総合的な産業政策として、こんな問題について関係省の間の調整ということを今後急速に整えていただきたいと思いますが、どうでしょう。
  24. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) ごもっともだと思います。道路などにつきましても、電源開発の方でも相当負担をしておりますが、ただその場所々々でいろいろな協定でやっておりますから、あるいは不当に電源開発負担しておる場合もあるだろうし、あるいは農林関係が不当に負担しているということがあるだろうと思います。今までのは十分総合的とは申されないと思います。
  25. 木島虎藏

    木島虎藏君 特許庁機構改革の問題が出ておりますが、これを見ますと、審査長という方が十一人で、新しいのも十一人、課がふえておりますが、特許の申請をいたしますと、何でも忘れた頃に解決が来るという話をよく聞きますが、少しは早くなるんですか、これで。それから人が何人ぐらいふえるんですか、この二点。
  26. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 具体的に人の問題などは局長からお答えしますが、お話のように今までの特許庁というものが非常に時間がかかるという非難はしばしば受けておりますから、極力それの改善を行いたい、こう考えております。で、そのために、通産省全体としては人数もふえないにかかわらず、特許庁だけは特に人数をふやしておるというような努力もいたしております。今度の部を二つ設けようというのも、幾らかでも事務のさばきを早くして、そうして出願者の期待に沿いたい、こう考えております。
  27. 井上尚一

    政府委員井上尚一君) 特許庁としましては今年度全体としまして六十七名の増員でございますが、増員しました理由につきましては今大臣から申されました通りでありまして、近年出願件数は、特許実用新案意匠商標を通じまして毎年相当な激増の状況でございますが、この出願件数増加に応じ、従来人間の増加の方がこれと並行して十分の増員がなかったというのが、近年審査に非常な時日を要しました原因でございますが、今般相当の今申しましたような増員という問題と並行しまして、この審査第二部と申しますのは、特許実用新案の方であります、審査第一部の方は意匠商標などをやっておりますが、審査第二部の方は、電気機械化学、その他非常に広い範囲の分野の技術につきまして、第二部長一名の統率監督だけでは十分ではない、かように考えまして、これを今般分割と申しますか、第三部、第四部を増設することによりまして、電気的なもの、機械的なもの、化学的なものというふうに分担することによって、全体の能率を大いに向上して参りたい、こういう考えでございます。
  28. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると、今まで一年くらいかかったものがどれくらい縮まるんですか。
  29. 井上尚一

    政府委員井上尚一君) これは従来特許実用新案と申しましても、機械電気化学農林水産、いろいろな分野がありまして、一がいには申せませんが、分野によりましては一年半から二年くらいかかっておったところもございますが、今後はこれをなるべく短かく、一年半、一年あるいはもう少し短かくというふうに、なるべく審査期間を短かくして参りたい、かように考えております。
  30. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると、まあ一体どれくらいということは、はっきりは言えないと思いますけれども、大体の見当は半分くらいの期間でできることになるんでございますか。
  31. 井上尚一

    政府委員井上尚一君) われわれとしましては、せいぜい勉強しまして、半分くらいに短縮いたしたいと考えております。
  32. 江田三郎

    江田三郎君 それからさっき官房長は、工業用水というようなものは、使った水はまたもとへ戻すんだ、こういうお話がありましたが、なるほど水の量としてはそういうことに違いないことは事実でしょう。しかし一体そういう簡単な問題じゃないので、工業用水に使ったがための汚濁汚濁防止ということが非常にやかましい問題になるんですが、これについて今までしばしば、内水面なり、その他のところの用水汚濁防止ということが問題になって、たびたびこれについて何か立法措置を講じなければならぬということがあっても、その問題について漁業関係あるいは農村関係通産関係の意見が違う。そういうためにいつもこれが日を見ることができない。しかし現実にはその被害というものは至るところで問題になっているわけで、ある場合には泣き寝入りになる、ある場合には、むしろ旗になっておるわけです。そういうことについて、やはり工業用水道ということは、あなたの方でこの号をもとにしてお扱いになるのですか。
  33. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) お尋ねの点は、実は産業上のまあ鉱害と言いますか、その一種だと思います。現在御承知のように、鉱山保安については鉱山保安法等を通じてある程度監督していただいております。工業関係には特別な予防措置を命ずるような法規もございませんので、その結果いろいろわれわわれの方としましても監督は十分いっておらぬと思うのでございます。また往々にしまして方々でいろいろな問題を起しておるようなことがございますので、その点につきますので、その点につきましてもう少し総合的に考えまして、被害の発生しないような予防措置の問題から始めまして、この実際の操業の態様、あるいはその生じました紛争の処理という点までのことを一貫いたしました何かの対策考えなければいかぬだろうと思っておりました。実は御指摘ありましたように、水質汚濁の問題につきましては、数年前からいろいろな立法動きもございますし、また煤煙その他の問題につきましてもいろいろ政府部内でも、そういう対策、立案の動きもございますので、通産省としましては今度は一つ本腰になりまして、そういう問題を関係各省一緒になって取り上げて検討して参りたいと、こう思っております。
  34. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 関連して。ただいま江田委員からの工業用水汚水の問題ですが、宇都宮市外高崎製紙株式会社工場があります。この工場を通じて汚染された濁水が、これはもう下流農民が何回か会合いたしまして再三抗議に及んでおりましても、そのつど、この汚水を、ため池があってそこから浄化していくのだ、こういうようなことを、常にわれわれが行くという前ぶれをするとすると必ずやって非常な努力をしているかのように人夫を雇ってやっておるわけです。しかしその汚水たるものは、これはもう——農事試験場がこの汚水によって水稲試験をしておるのですが、試験場もこれについてのデータを出さない。やかましく言うと内面的な摩擦——おそらく高崎製紙会社の連中から口どめ料をもらってデータが出ないのだというような感じもするわけですが、作物にはそれほどの、まあ今日まで特別に減収になったということにはならないのですが、苗しろ時あたりは、この汚水の中に含んでいるいろいろな沈澱物水稲の上にもうたちまちにして紙の二十枚や三十枚ばかりの厚さになってしまう。それからもう、その臭さ、それから従って魚なんというものは一匹でも生存を許さぬというような状態ですから、常にウナギが登ってくるとかアユが上かてくるということが、製紙会社がなかった時代にはあったのです。魚が非常に、ドジョウあたりも夏になると、農家の非常な栄養の動物質蛋白の根源であるドジョウのようなものもほとんどおらない。これはまことに残念なことで、私も従来から及ばずながら何回か農民を糾合して談判にいって、そのつど幾分改善されるのですが、あとしばらくたつと、もうほとんど問題になりません。かような状態において間接的な損害を与えていることは、まあ一通りではございません。これはひとり個々の農家の損害ばかりでなく、全般の、海なし県である栃木県のようなところでは、魚というものが非常に大切な各農家の栄養のもとになっておるわけです。それでありますから、こういうものの取締りについて何とか農林省等と——、もっと取締り、そうしてそういうことが除かれるような方法を私は通産大臣にお願いしたいと思うのです。これはいかがでしょうか、こういうものは……。
  35. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) ごもっともなことでありまして、一つ私としては研究いたしまして、何か処置ができるようにいたしたいと思います。
  36. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 ぜひ一つお願いしたいと思います。
  37. 江田三郎

    江田三郎君 それは、今、私が申しましたのは一般的な問題、佐藤委員の言われたのは、それをさらに個別の問題として言われたのですが、それの一般的な問題の提起の仕方については、官房長の方が至急にこれについては一貫した体系立った措置を講ずるつもりだということですし、また具体的な問題について通産大臣も今お答えになった通りなんですが、しからば次の国会ぐらいまでにこういうことについて新しい立法措置をお講じになると、こういうことと了承してよろしゅうございますか。
  38. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 実はこの問題は、関係各省、まあ農林省あるいは厚生省等もございますし、それから水の問題以外にもおそらく煤煙の問題とかあるだろうと思います。それで私は、通産省も今までいわば原因者の方を監督する立場であったわけで、被害の方のお話しはいろいろ聞いておりましたが、原因の方につきまして科学的に検討をしまして、おそらくある恕限度とかあるいは施設の方法とかあるわけであります。そういう面から検討を加えまして、でき得れば、はっきり御約束もできないかと思いまするが、この次の通常国会あたりまでには何かの形の結論は得たい、こういうふうにわれわれ、私、事務当局の一人としましてはそういうふうに考えておるのでございます。実は毎年、先にお話しがありました水質汚濁防止法のこともございますが、厚生省の関係の環境衛生改善の方の関係もございますから、われわれから見ますと、ただそういう結果を起すなということは非常にやっておりまするが、では起さないようにどうしたらいいのか、どういう監督をするかという点が実は欠けているわけであります。それではおそらく片手落ちだろうと思いますので、その方面の検討を加えました上で結論を得たいと、こう思っております。
  39. 江田三郎

    江田三郎君 官房長のお答えだけでいいようなものですが、せっかく通産大臣おいでですから、どうです、通産大臣、次の通常国会までにはこの問題についての立法措置を講ずる意思ありということを御言明いただけますか。
  40. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 私としてはむろんそういたしたいと考えますが、ただこういう問題は通産省だけの問題でなく、各省関係がありまして、なかなかこの協議にひまどると思いますから、あるいはこの通常国会とはっきりお約束してそれがはずれると相済まないことになりますから、その辺は一つあいまいにしておいていただきたいのでありますが、しかしこれは工場……、汚水あるいはそのほかの先ほどからのお話工業用水の問題も、これは実はどうしても至急に片づけてもらわぬと、通産省としても困っておりますから、それは必ずできれば、通常国会までに何かの形で一つ御審議を願えるようにしたいと思います。
  41. 江田三郎

    江田三郎君 今までいろいろ問題があっても、いわばあなたの方は被告人でしてね、そうして農林省等が原告の立場なんだ。それで、いつもこうやろうとしても、あなたの方がブレーキをかけてしまうので、できないのですから、あなたの方がほんとうにやる気ならば、これは片方の言う通りのことはできぬとしても、ほぼ常識的に納得できるものが私は実現できると思うので、これは一つぜひ御努力願いたいと思います。  それから第十条の六のところで、これが新しく変って、カッコの中の「軽工業局の所掌に係ることを除く」というのが除かれておるのですが、これはどういう意味があるのでございますか。
  42. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは別に大したことはございませんで、現在武器製造事業の許可の中で火薬をつめまする装填と申しまするか、その方を軽工業局でやっておりました。これはたまの関係もございますから重工業局に移したいというだけの意味でございまして、別段大した意味はございません。
  43. 江田三郎

    江田三郎君 この際通産大臣がお見えですから、一つ通産大臣のこの武器生産ということについての基本的なお考えを承わりたいと思います。というのは、つい四、五日前にも日経、あるいは毎日に、防衛生産の構想というものが出たわけです。これはその記事を読みますというと、これには防衛庁及び通産省事務当局も関係してできたんだと、こういうことが出ておりますので、一つこの際、防衛産業の基本的な方向について、大臣の御所見を承わりたい。
  44. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 防衛産業といいましても、広くも狭くもあり、大体武器、いわゆる砲弾とか、あるいは銃砲とかいうような種類の武器関係とみまして、実はこれにいわば二つ問題がありまして、一つは進駐軍がまだ盛んにおりまして管理をして、これは日本の独立以前と申しますかに、特に銃砲弾製造を非常にふやしました。これは大体、日本の自衛隊の所要品のようでありました。とにかくそう能力を非常にふやしました。ところが、最近はそれがさっぱり要らなくなってしまった。従って、一時非常にふやした銃砲弾のメーカーというものが非常な困難をしている。同時にしからば今後日本は銃砲弾が要らないかというと、自衛隊を是認する限りは全然武器、砲弾のない自衛隊というものはあり得ないのですから、これは自衛隊を承認する以上はやはり必要だというので、今まで非常に拡張した銃砲弾についての武器生産の工業をどうするかということ、それから今後新兵器もできましょう。日本の自衛隊がある以上、自衛隊として武器は持たなければならない。これは私個人的意見でありますが、まあ今後の自衛隊というのは、これは自衛をはかる上からいえば、武器は精鋭なものを持たなければならない。そうすると、それをいつまでもアメリカからもらっておるとか、よその古武器を使うとかいうことでは、これは済まされないのであります。そういう点も考慮しなければならぬ。こういうことで、まず日本の自衛隊なるものをどれだけの形でどいうものを使うかという基本方針を自衛隊の方からきめてもらいたい。そうしませんと、銃砲弾にいたしましても、これは外国へ輸出するというようなことはできもしませんし、しようと思ってもなかなか売れるものでもございませんから、どうしても国内で必要なだけを国内で作るということで何らか措置をしなければならぬというので、研究をしようというので、通産省の係の方ではある程度の研究をしておりますが、しかしながら、何と申しましても、根本の自衛軍そのものがきまって参りませんと、実は通産省限りにおいては、今のところでどれだけの防衛産業をやるかということを実はきめ得ないでおるというのが現状であります。やらなければならぬだろうとは思いながら、やらずにおるというのが現状であります。
  45. 江田三郎

    江田三郎君 そこで一つ将来の新鋭兵器生産というのは、これはどういうようないわゆる新鋭兵器が出てくるのかというのはわかりませんから、今ここで問題からはずすとして、この当面している銃砲弾の生産施設の始末については、大臣としてはどういうお考えなんですか。朝鮮事変を当てにしてああいう大きな施設ができて、そして、今はアメリカの発注量は非常に減っていると、おそらくだれが考えても将来またこの周辺にそんな大きな銃砲弾の需要というものは出てこない。そして、日本の自衛隊というものは、陸上自衛隊を十八万にしても何にしても、とにかく今の施設なんていうものは、とてもこれはどうにも使い切れるものじゃないと思うのですが、この過剰の銃砲弾の生産施設というものについてはどういう考え方を持っておりますか。
  46. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) もしその何か戦争みたいなことが起るということを仮定しますと、あの非常に拡張されたように見えます銃砲弾の設備は、あれでも足りないのだそうであります。でありますから、そこの考えようでありますが、平時のただ訓練の必要というような程度ならば、非常な過剰であるし、また相当な問題が起れば必ずしも過剰でないということでありますから、二つ考え方がありまして、実は昨年以来研究しておりますのは、一つは全部の施設を、とにかく一応保存とするということでいくが、それとも砲弾にしてもいろいろ種類がありまするから、そういうものに一種類一系列の、とにかく最小限のものだけを保存していくというようなことでいろいろ検討はしておりますが、これは防衛庁の方では、できれば全部を保存してもらいたいという希望も持っておるのでありますけれども、しかし、これは予算やその他の関係もありますから、そうできるかどうか、実はまだその点についての結論には達しておらないわけであります。
  47. 江田三郎

    江田三郎君 その保存とは何ぞやということなんです。保存というのは、一体国有にするということを意味するのが、あるいはあくまで民有民営という方式で、それを維持する、できるだけの補助をしていくというのか、一体どういうことをいうのですか、保存というのは。
  48. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これもいろいろのやりようがありますが、どうも国有国営にするということはなかなか困難でありますので、とにかく民営にする。しかしながらその設備をそれじゃ民営会社がそのままの設備を持っていろと、ふだんにはあまり使わないものを持っていろということもできませんから、ある程度設備は国で所有して、それを民間に依託して、必要な場合に仕事をさせるというような行き方と、それからあるいは単に補助金を出して民営会社にそれを持たしておくという行き方といろいろありまして、それらの点についても研究はしておりますが、まだきまっておりません。
  49. 江田三郎

    江田三郎君 この新聞に発表されましたのは、読まれたでしょう。
  50. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 二、三日前のやつでございますね。ちょっと読みましたが……。
  51. 江田三郎

    江田三郎君 あれでは、通産省及び防衛庁事務当局も関連して、政府与党の方で作った案だということで、従ってわれわれはあれは相当確実性あるものとして受け取っているわけなんですが、その間の事情はどうです。
  52. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 私からお答えした方がいいと思いますが、私、あの新聞記事を見て、実は驚いた方で、あの程度のことがありますれば、私の目にも耳にも入っているはずでございますが、実はああいうことは私の省内では検討いたしておりません。ただまあ防衛産業のあり方をどうするかという、民有民営がいいか、あるいは国有公社がいいかというような抽象議論をやったことはありますが、ああいうふうにいろいろな種類を分けまして、あれはああいうのがいいとか、あるいは燃料はああいうのがいいというようなことは、今まで余り検討したことはございません。あるいはほかの政府部内であれば別でございますが、どうも私の方では、実に初耳、初目でびっくりしているわけでございます。それは大臣承知ないと思いますから、変って御答弁いたしておきます。
  53. 江田三郎

    江田三郎君 それではあなたの方の事務当局の中で検討したときには、一体ああいう過剰の銃砲弾の生産設備、これについて国有でいくのか、あるいは国が一時借り上げという形でいくのか、あるいはまた民有にして補助、助成の形で施設を維持さしていくのか、そういうことについては大体どういう意見が多いのですか。
  54. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) お話を銃砲弾の施設に限りますれば、これは先ほど大臣が申し上げましたような趣旨もございまするので、設備保存をどういう形でいくかという点で議論の対象になりますことは、これを民間の現所有者に、いわば維持命令的なものを出して、それによって起る損失を補償するという形がいいか、あるいはまたそれを補償といいますか、補助金という形でやるか、あるいは最小限必要なものを、いわば国有財産の形にして保存した方がいいかという点の検討はいたしております。その点であれば、通産省としましていろいろ検討いたしまして、ある程度のことも考えておりますが、何せこれは予算の関係がございます。本年度はその関係の予算は全然ございません。これはまあいずれそのうち来年度予算の編成期までに、そういう防衛産業に対しまする内閣としましての基本方針がきまれば、あるいはある形で陽の目を見るかという程度の検討でございます。
  55. 江田三郎

    江田三郎君 大臣は、これが将来戦争でもあるということになればあれだけでは足らぬ。しかし戦争ということがなくて、ただ自衛隊の演習ということになると膨大なものだということで、そこを一体どういう存在価値を認めるか、将来の情勢判断をするかということによって、今後のあの施設の維持ということは扱い方が非常に変ってくるわけです。われわれは率直に言えば、あんなものを何も国が命じてやらしたわけではあるまいし、むしろ当時の兵器産業ブームによって、無計画にやった業者の責任が大部分である。そうして今後の世界情勢から見て、今、日本の周辺にそういうようなたくさんの銃砲弾が要るというような非常事態が起るものではないというふうに考えるので、これはそういう線から処理をすべきものだと思いますが、またそれに対しては別の考え方がありますが、いずれにしても、この扱い方というものは、世間の多くの注目するところであって、この扱い方いかんは、またとんでもない世間の疑惑を生むようなことにもなりますので、これは一つ通産省事務当局も関係した案だというようなものを勝手にぽんぽん出さないように、よほど慎重にやっていただかなければ、あんなものが出ると、あなたの方は関係しているのではないと言われても、何か関係しておられて、一つのアドバルーンのような形で打ち出しておられるのじゃないかというような受け取り方もしなければならぬ。これは一つ、通産大臣は清廉潔白なお方でありますから、一つ清廉潔白にふさわしい措置をとってもらわなければならぬ。近ごろ防衛産業は、およそ天下の注目をあびるスキャンダル産業でありますから、御注意を願いたいと思います。
  56. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 関連して。江田君から数日前の新聞を引き合いに出してお尋ねがございましたが、まだ明らかになっておりませんから、一つお尋ねをいたしたいと思います。これは新聞の、どっちがどうであるかはっきりいたしませんが、ある新聞によると、今通産当局も関連しておるという点は、防衛庁、通産当局並びに自民党国防部会で検討していたが云々と書いてある。おそらくこの話の中心場所は、自民党の国防部会かとも思うわけですが、自民党の国防部会というものと、それからこういう防衛産業というもの、産業ということになると、これは通産省の問題、通産省所管になりますから、どういうことになるのか、それを大臣に承わりたい。  それから先ほど江田君が言うように、朝鮮事変の最中に銃砲弾を作っておった。これは民間が作っておったわけですから、これについてはとやかく政府に問いただすべきではないと思うんです。ところがそのあと始末と申しますか、朝鮮事変中にふくらんだものをどうするかと、こういうことになりますと、これは政府の問題になって参る。防衛産業というものが、自民党の国防部会でありましょうとも、こうした構想があるということで、それを政府が取り上げる、こういうことになりますと、これは政府の問題になりますから、そこで政府としてはこういう考え方については、防衛産業の基本的構想、こういうことについてどういう態度をとられるのか、これはこういう考え方が自民党の国防部会であるか、とにかくあることだけは間違いないと思うんです。政府として通産省として、どういう観念でおいでになるのか。もし自民党の国防部会から出て参ったとしても、それは防衛産業として、政府が大体そういう線で取り上げられる、こういうことになりますと、これは別に審議をいたしております国防会議関連をいたして参ります。通産大臣は国防会議会議員になっておられぬようでありますけれども、しかし防衛産業ということになり、その防衛産業通産省が取り上げてどうこうする、こういう方針が出て参りますと、これは国防会議関連をして参ると思うんですが、それらの点についてまだ検討をしておらぬということで今逃げられましたけれども、実際にはそうじゃなくて、自民党国防部会云々というところでこういう話ができておる、これからいろいろな形で正式に出て参る。そこでもう一ぺん自民党国防部会との関係、それから防衛産業というもののこういう構想に対して、政府としてどういう態度で臨んでいくのか、それから国防会議との関係等を、一つもう一ぺん大臣から御答弁願いたい。
  57. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) その新聞へ出ましたという記事につきましては、通産省としては申すまでもなく、私の知っている限りとしては、政府としてもまだ何らの評議に上ったものではございませんですから、全然無関係のものである、こう申し上げていいと思います。ただしかし、前から防衛産業をどうするかという問題は、あることはあったのですが、これも今のところでは通産省と防衛庁との間の話という程度でありまして、まだ政府全体としてこの問題が正式に議題に上って、国務大臣として討議をしたということはございません。  それからもう一つあることは、まあでき上ったいきさつはとにかくとして、ことに銃砲弾でありますが、とにかく銃砲弾の相当の製造設備がある。これをそのまま、もう注文がないからというのでつぶしてしまっていいか、全然これをつぶしてしまっても困るんじゃないかという話がありまして、これをとにかく技術を保存をする、ある程度設備保存をするという意味で、最小限一種類一系列くらいなものは何かの形で、先ほど申しましたように、国家がその設備を買い上げるか、あるいは何らかの補償を払って民間の会社に維持させるか、何かそういうことをする必要があるんじゃあるまいかということは、通産省としては相当研究をいたして参りました。けれども、これもまあ主体はやはり防衛庁であり、従って今後の国防会議等の問題がはっきりしないときめられない問題であるために、実は結論に達せずにそのままになっておるわけであります。通産省としては、産業として防衛産業というものが必要であるならばどうするかという問題だけを研究して参った、こういうようなわけでありまして、全然何もきまっておりません。
  58. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 国防会議との関係についてはどういうようにお考えですか。
  59. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これも政府としては、私の知っている限りにおいては何も議題に上っておりませんが、しかし私の考えでは、防衛産業というものの根本は、やはり国防会議において決定されるものだろうと思っております。
  60. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 決定される……。そうすると通産大臣は入っておられませんが、通産大臣の入っておらぬ組織で、そこできめられる。そうすると今の防衛産業についての基本構想というのが、これは中心は民間だと思うのですけれども、自民党——党ではありますけれども、そこできめられる。それが通産省は知らぬうちにこういうものがきまって押しつけられる、こういうことになりましたら、これはそういう可能性は今のところあるだろうと思うのですが、それでよろしゅうございますか。
  61. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 防衛体制そのものは防衛会議できまるでございましよう。むろんその場合には政府の評議にも上るものと信じております。それからそれに伴ってどれだけの防衛産業が要るかという問題になれば、これは防衛会議においても、なるほど通産大臣は直接に防衛会議の議員にはなっておりませんが、むろん通産大臣には相談のあるものと信じております。
  62. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 いいですか、江田君、もう少し……。この間本会議で藤田君ですか、藤田君が中近東への武器の輸出問題について質問をいたしておりましたが、実質的な答弁はなかった、方針がないというのですか、ところが見ておりますというと、実際問題として、通産省としては中近東なら中近東へ武器を輸出するということについて消極的な態度に解したのです。それから外務省は、むしろその点アメリカで何といいますか、ライセンスを与えたということで、多少むしろ積極的ぎみのように考える。この間ここで国防会談とそれから防衛生産という問題で高碕企画庁長官に出てもらって、江田君やその他から質問をしておりますと、東南アジアに武器の輸出もしたいというような話を一応された。あとで、そういうことをしておったんじゃ東南アジアから総すかんを食うという、向うからも警戒の目をもって見ておるのに、そして高碕さん等も行かれたバンドン会議では、植民地主義というものについて非常に敏感であり、日本がそういう過去のあやまを再び繰り返すような危険性があるのではないかという心配をしておるところに、政府が武器の輸出を東南アジアにはかる云々というようなことを言うならば、それは賠償問題にも悪影響を与えるであろうし、今後のアジア諸国とのほんとうの提携というものは困難になるのじゃないか、こうお尋ねすると、それはその通りだということで、前言を取り消されたような形です。そうするとたとえば、貿易あるいは武器を中近東にしろあるいは東南アジアにしろ輸出するかどうかという問題も、これは今ではあなたのところの問題だけれども、それがあなたのところでないところからイニシアチブではありませんが、あるいは話があってそして進められる、こういうことになりますと、これは大へんな問題だと思うのです。防衛産業というものについて、二、三年前まではこれは不安定なものだから、むしろあまりそういうものに投資をすべきではないのじゃないか、こういうことが経済界にも言われておった。あるいは通産省もむしろそういう方針であったと思うのですけれども、多少最近は変ってきたような気がしております。その点をさっきの江田君の質問がついておったのだと思うのですが、そこで基本的態度を、従来通り防衛生産、こういうものについてむしろ消極的な態度でいかれるのか、それとも最近のようにむしろ、どのくらい残すかということはとにかくだけれども、防衛産業というものは必要であろうということで、通産省として積極的に維持しあるいは育てる、こういう方向に立たれるのか、これは重大な実は実質的転機に立っておるのです。もう少し明確に御答弁を願いたいと思います。
  63. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) ただいまのところでは実際問題として武器輸出ということは、何か新聞などにこの間どこかシリアの問題か何か出ておりましたが、実際われわれはまだ何も聞いておりません。聞くところによると、アメリカの企画によって作られた、何か砲弾でありますか、あるいはほかの武器でありますか、それについての話が会社の方にはあった。それでそれを輸出してもいいかどうかという……これは協定によりまして、許可をアメリカへその会社から伺いを立てたというようなことは、これは知りましたが、しかし通産省には何もまだ言うて参りません。通産省としてはむろん、これも通産省にくる場合には、これは普通の貿易品として参るわけでありますから、貿易品として差しつかえない限りにおいては、これは必ずしも禁止しなければならぬということもないかと思いますが、しかしながら、シリアとかあの辺には、ほかの貿易もございますので、これはうっかり片方にわずかばかりの武器を輸出して同時に大きな貿易のじゃまになるということも、これは通産省としては困りますから、これはやりたくない、こう考えております。外務省は積極的であるということは聞いておりません。
  64. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そこで、とにかく防衛生産というものについて通産省としては方針がないというか、従来のような消極的な態度で、積極的な態度をここできめられると、それについて責任を負わなければならないのであります、これは。政府としてあるいは通産省としても、今後その跡始末をするというか、しりをぬぐうというか、そこでその点は私は通産省としてはこういう方針を持つのだということでなしに、私は消極的であるべきだと思うのでありますが、先ほどの答弁からいいますと、少しおかしいところもある。何と言いますか、防衛生産というものが必要であるとするならば、銃砲弾なら銃砲弾についても最少限一系列ぐらいは維持しなければならない、こういうお話だった。しかし従来の態度と変って参った。輸出の問題についても、国内の防衛生産というものについても、政府としてはこういう方針でいくのだということでなしに、私は消極的な態度でいかるべきだと思うのですが、その点はどうですか。
  65. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 通産省としては防衛のために積極的に発言するべきものではございません。お話の消極的まあいわば消極的であります。たださっき申しました砲弾一系列云々と申しますのは、現在通産省の所管に属しておるとにかく工業として設備がそこにある。その設備をこれをこわしちゃっていいか、あるいは民間の自由にまかして転換をさしてしまってよろしいか、それともある程度の防衛産業として残さなければならないかという問題は、これは通産省限りの問題ではございませんが、むろん防衛庁ないし政府全体として方針をきめてもらわなければならぬことでありますが、とにかくあずかっておる通産省として一応どういう処置ができるかという研究をしたという程度であります。
  66. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ではもう一点だけ……。それも相当国の要望のあったものについて最少限度という意味ならばあれでありますが、基本的には消極的という御答弁であったと了解いたします。というのは、たとえばその自民党の国防部会等には防衛庁からも出ておられるということでありますが、業者といいますか、直接には業者ではないかもしれませんけれども、経団連の防衛生産委員会ですか、そういうものからも出ておられる。そういういわば直接間接の業者あるいは工場を持っておる資本家ですか、そういうものから、自民党であろうとも国防部会というものを通じて出てくる。それがそのまま政府の施策になるということになりますと、先ほど江田君が言ったように、やはり汚職と申しますか、出て参ります。そこでまあそれは選挙をやるには金が要る、参議院の選挙にも金が要るから、何でも業者の言うことは聞いてやっていくのだ、こういうことになれば別問題だ。(笑声)そうでなければ、これははっきりやはり通産大臣のこの問題についての言明を願っておかなければならぬ、ですからその点についてお尋ねをいたしましたのです。  それからもう一つ、これは委員会は通ったのでありますが、技術援助協定等もございますが、実際問題には、防衛生産その他についてもアメリカの特許なり何なり入っておりますね。飛行機を作っていくということについても一つ二つの会社に作らせておる。非常にたくさんの一機ごとに金を払っておるわけですね。それからたとえばP2VならP2Vという哨戒機を作るということになりそうですが、なるかならんか知りませんが、なりそうです。そうすると、それが幾ら金がかかるかわからん。二、三億という説もあれば、六億という説もある。その金はそれじゃだれからきているのかというと、防衛庁というよりもむしろ特定の、ロッキードならロッキードと技術協定をやって、そうしてこれらを作ろうという会社からきておる。ですからP2VならP2Vというものを作るか、作らんかということは、新明和なら新明和の業者、あるいはロッキードならロッキードの要請によって日本が作る。こういうことになりますならば、P2VならP2Aというものを作るということと、それからそれに利権がまつわることはこれは当然だと思う。金額が多いだけに、そうして今では大体半分——これはだんだんふえて参ると思うのでありますが、防衛関係予算の半分、大半を占めて参る防衛生産というものに、そういう利権あるいは汚職というものがまつわっていくような方法は、これは通産大臣としてどういうふうにお考えになりますか。おそらくそれでよかろうということはお考えになるまいと思いますが、それとも選挙資金を作るのに、通産大臣として相当まかなわれたそうですが、やるのだということなら、これは別問題です。その点についての明確な一つ御所信を表明願いたいと思います。
  67. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 防衛部会というものに私は行ったこともありませんし、呼ばれたこともありませんから、私は内容をよく存じませんが、これはいろいろな資料を集めたり研究するために、いろいろの方面の人たちの意見を聞くということは、これはやむを得ないことでもありますし、必要なことだろうと思うのです。あるいはそのところにわれわれの役人も、その係の者は呼ばれていくことがあるかもしれません。しかしそれがすぐに利権にまつわるというようなことになっては大へんでありますし、さようなことは現にないと思います。また将来もそういうようなことを起すような仕組みにいたしてはならんと私は考えております。
  68. 江田三郎

    江田三郎君 特許庁の方へ意匠の問題についてちょっとお聞きしたいのですが、数年前から外国、主としてイギリス等との意匠の問題でのトラブルが相当ありましたが、その点は今一体どういう工合になっておるのですか、それをお聞きしたい。
  69. 井上尚一

    政府委員井上尚一君) 貿易に関連しまして、特に英国方面との意匠の侵害ということは先年ございました。自来ことに繊維製品につきましては、繊維の意匠センターというのを大阪に設けまして、外国の意匠及び日本の同業者間での意匠、これを全部網羅しまして、関係業者にどういう意匠がすでに登録になり権利になっておるか、そういう一目瞭然の意匠のセンターというものを作りまして、もって権利の尊重といいますか、ひいては侵害の防止という方法をずっと最近続けておりますので、相当効果があると思います。最近ではそういう侵害の事案というものはあまりないように私ども考えております。
  70. 江田三郎

    江田三郎君 繊維関係はまあ大体おさまったということですが、陶器の方はどうなんですか。
  71. 井上尚一

    政府委員井上尚一君) 私どもの構想としましては、今申しましたような、そういう機構を重要商品ごとに、繊維は繊維、陶磁器は陶磁器、何は何というふうに逐次拡大して参りたいと考えております。そういうような気運につきまして、われわれとしましては、たとえば玩具等につきましていろいろ工作中と申しますか、いろいろ指導中でございますが、陶磁器につきましてもかってはございましたが、最近特にそういう侵害の事実があって問題となったということは実は私としまして承知しておりません。
  72. 江田三郎

    江田三郎君 陶磁器の問題は去年ですかね、向うから来たでしょう、業界の代表が。そのときの話し合いが私はまだついていないのじゃないかと思っているんですが、これはきっぱりと陶磁器については日英の業者間の話し合いというものはできて、トラブルの起らんような条件がはっきりできているんですか。
  73. 井上尚一

    政府委員井上尚一君) 英国と日本との実はいろいろ制度上の違いがございまして、日本では意匠法という法律によっての登録があったものについては権利として尊重する、権利の侵害がはっきり生ずる。英国の場合にはそういう成文の法によっての意匠権の登録ということが必ずしもなく、いわゆる慣習法によりまして運営されておる面が多い。そういう面でやや日本と違いまして明確を欠く点がある。そういうことは承知しておりますが、実は日英間の去年の交渉の問題につきまして、その後私ども特許庁としましては、事態は円満に進んでおるものと承知しておったのでございますが、なおわれわれ部内の方では通商局方面に近況について詳しく調査してもらいたいと存じております。
  74. 江田三郎

    江田三郎君 それは通商局の方でやっておるので、あなたの方では積極的には関知しないことなんですか。
  75. 井上尚一

    政府委員井上尚一君) 両者一体となって連絡しつつやっておりますが、私ども特許庁としましては、最近英国の陶磁器につきまして、その問題は別段事件があったというふうには承知をしておりません。
  76. 江田三郎

    江田三郎君 今すぐに具体的なトラブルが起きているということではなくても、今あなたがおっしゃったように制度が違うのだということから、私はやはりこの問題解決はついていないと思っているんです。そう私は聞いているんです。それでたとえば名古屋あたり、瀬戸でやっているものでも、もう二十年ほど前からやっている一つ意匠についても、向うからいうとこれは明らかに意匠侵害だというようなことが出て、それは解決つかなくてまだくすぶっていると、私はそう考えておるが、あなたの方で全部解決がついているというならそれでよろしいけれども、解決ついているというなら、今度その問題がもしくすぶったときにあまり妙な答えが出ぬようにしなければいけませんね、それは。
  77. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 今の問題、実は最近の事態につきましては特許庁長官からお答えした通りでございますが、お話のように、あるいは何と言いますか、根本的には話がつかないであるいは冷戦状態にあるのかもしれません。その辺もう少し私も取り調べてみましょう。もし御必要がございますれば結果を御報告したいと思っております。
  78. 江田三郎

    江田三郎君 ただ私はそういう冷戦状態なので、一向まだ話は根本的に解決がついていない。繊維のようなああいうところまで、繊維の方は何と言ったってこちらの業者も大きいのですから、だからしてどんどん積極的な話し合いができ、自力でもってある程度までできるわけです。しかし陶磁器の方になると御承知のように中小メーカーが多いのですから、なかなかこれが一丸となって向うと進んで接触を保って、この問題の起きないような措置をとるということが困難なのであって、そういう点は何と言ってもあなたの方で相当指導してイニシアチブをとってやられないとうまくいかんのじゃないか。しかもそれが陶磁器の問題だけでしたらば非常に小さな問題でしょうが、しかしそういうことがややもすると他の全般の通商関係に影響を及ぼしてくることになるのですから、一つ特許庁の方でも、特許庁というより官房長の方でこの問題についてはもう少し積極的な解決策を講じていただきたいと思います。
  79. 田畑金光

    田畑金光君 繊維製品検査所川俣支所を本所に昇格となっておりますが、これは今までどういうわけでこういうような形で放任されていたわけですか。説明によると、全国八カ所の検査所があって、福井、金沢に次いで第三位の生産量、絹織物、軽目羽二重等の産地であるようですが、どういうわけでこれが今日まで放任されていたわけですか。
  80. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは実は戦争中に整理いたしまして、まあ支所にしたような格好でありまして、その後だんだんに絹織物の輸出も出て参りましたが、なかなか一挙にたくさんの機構を作るのもどうかという問題と、もう一つは、御承知のようにこの川俣の軽目羽二重の織物が福島のあの地方で作りまして、それを横浜に運びまして、あそこで加工いたしまして、そうして輸出しているような性質のものでございます。それで従来はある程度横浜の検査で間に合っておりましたが、最近だんだんふえて参りました。これはとても横浜だけではまかない切れない。やはり現地の検査機関で、一応織物段階の最後的な決定をしなければならぬと思いましたので、今回お願いしたようなことで、実は少しおくれたような事情もあるわけでございます。
  81. 田畑金光

    田畑金光君 加工問題にもこれは問題があるんじゃないですか。加工の工場等について、これは金沢と川俣との関係はどうなんでしょうか。別に関係がないのですか。
  82. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 金沢とは直接関係がないかと思っておりますが、あるいは私寡聞にして実情を知りませんけれども、金沢の関係の品物とはだいぶ性質も違いまするので、特別な問題はないように聞いております。
  83. 田畑金光

    田畑金光君 先ほどの通産大臣の答弁でもう少しお尋ねしておきたいと、こう思うのですが、政府で、これは防衛産業に、兵器産業関連してのお尋ねです。兵器産業設備維持法案という名称ですか、お出しになるというような話が新聞に出ておりましたが、これはどういうことになったわけですか。
  84. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 先ほども申し上げましたように通産省としては相当研究し、防衛庁ともその当時話し合いもしたととがあるのであります。一応ある程度の案をまとめたのでありますが、しかしながら何としても防衛そのものが基礎がはっきりしなければ、ただこの一部分の砲弾の一種類、一系列というようなこともはなはだ機械的でありますし、それから考えようによっては全体の設備が要るんだというようにも考えられないこともないのでありますから、そこでなお十分防衛庁の意見をまとめた上で一つ防衛産業のことについての法案も出さなきゃならぬということで延び延びになっておりまして、つい時間がおくれて、研究が途中で停頓しておるわけであります。
  85. 江田三郎

    江田三郎君 私ちょっとさっき質問することをもう一つ忘れておりまして、これは通産大臣お尋ねするのですがね、その政府のいろいろな試験研究機関がありますね。そういう試験研究機関で働いておる公務員でいろんなこの特許をとる場合がある、それでこういうことについては、今までの扱いが私どうなっておるか知りませんが、私の聞いたところでは、その際に、たとえば農林省の試験研究機関の技師がやった仕事はこれは農林省特許という形になる、その人個人のじゃない、こういうように私聞いているのですが、もしそうであれば、これはその発明その他をした人に対しては、はなはだ報いるところが少いのじゃないか。そういうことになると、そういう人はほんとうのいい人はそういうことはないけれども、しばしば人間ですから、たとえばある一つのものがもう特許のとれる段階にきたという場合に、ほかの方から、それじゃおれの方の研究所に来ないかと、こういうことになってかわっていって、そこで特許にしてしまえば、これはその人個人は相当な将来の生活安定には資することができるわけなんで、そういう今の制度は、私はかえって間違いのもとなんじゃないか。やはりその公務員で、一つの試験研究機関で発明等をした場合でも、何かその人個人にもっと報いるところがないというと、りっぱな技術者をそこへ安心して働いてもらうことができないのじゃないかということをかねがね考えているのですが、そういう点は一体どうなっているのか、また政府としての方針というものはどうなのかということをお尋ねしたい。
  86. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 現在やっておりますことについては長官からお答えいたしますが、これは民間の会社等にもしばしばある問題で、ことにああいう研究機関でありますと、共同研究の場合が多いものですから、あるいは費用を政府が負担している——研究自身の費用を出しておる、あるいは研究所員がみんな共同研究をしておるというようなことで、なかなか取扱いがむずかしいものと思いますから、お話しのような欠点も確かにあります。しかし現在どうしておりますか、それは長官から一つお答えいたします。
  87. 井上尚一

    政府委員井上尚一君) 御質問の点につきましては、現在特許法第十四条という規定がございまして、結局普通の法人の場合、あるいは国家の場合も同様でございますけれども、条件がここにございまして、二つございまして、第一は、そのいわゆる職員の発明が当該国の機関ないしは法人の業務範囲にはっきり属しておるという点が一つ。それから第二には、当該公務員の任務に属しておるという場合は、当該職員の発明が当該国の機関の発明ということに相なりますけれども、この場合におきましては国の方から補償するという方法を講じております。これは国家の場合とそれから普通の会社の場合とを通じまして、任務発明に対する規定というものがございます。発明者の利益を不当に害しないようにと、こういうような考慮は従来からもこういう問題について加えられて参っておるわけでございます。  もう一度申しますと、当該ある一定の人間の発明が、国の機関のその業務範囲にあって、そして当該本人の任務という範囲内の場合は、これを国の発明とすることができますけれども、この場合におきましても補償はどうしても必要である、そういう方法でございます。
  88. 江田三郎

    江田三郎君 その補償というのはどういう程度になるのですか。
  89. 井上尚一

    政府委員井上尚一君) こういった場合の償補に関しまする規定が別途ございまして、そして当該発明によって国が利益があった場合に、その利益の一定の割合——何%というものをその本人の方に補償して渡そう、そういうやり方でございます。
  90. 江田三郎

    江田三郎君 それは現実に一つの発明ができて、国が相当の利益を得るという場合には、その利益の幾分かを個人に補償として渡すということですが、実際にそういうことができているのですか。たとえば通産省関係の研究所等でそういうことがきちんとできておるのですか。あるとすれば一体何%ぐらい出すのですか。
  91. 竹村礼三

    説明員(竹村礼三君) かわりまして私からお答えさしていただきますが、ただいま申し上げましたように、これの補償に関しまするところの規定を設けております。そのやり方につきましては、一応出願をしましてそして国のものになるわけであります。その国のものになりました場合に一件千円、これはその権利が有効に使われるかどうかということを別といたしまして、一応国のものにいたしました関係でそういうふうにやっております。
  92. 江田三郎

    江田三郎君 なんぼですか。
  93. 竹村礼三

    説明員(竹村礼三君) 一件千円でございます。それから具体的にその権利が有効に活用いたされまして、国としても利益を受くるわけでございます。その場合には逓減の方法をとっております。何十万円まで国に利益があればその何%というふうにパーセントをきめております。金額によって違いますが、最初三〇%、次が二〇%、次が一〇%、こういうパーセントをきめまして、そうしてその利益金のパーセントを合計いたしましたものが、金額におきまして五十万円となりますればここで頭打ちをする、こういうことで規定がきまっております。それで各省とも国の規定を持っております。ただいま長官からお話がありました研究機関のものを国のものにします場合にはその規定で補償いたしております。これは予算は特許庁の方で関係各省のものを含めましてもらっておるわけでございます。それで特許庁の方から交付する、こういうことになっております。
  94. 江田三郎

    江田三郎君 通産大臣、一件千円……ビール何本です。そういうところに私はほんとうに考えてもらわなければならぬ問題があるのじゃないかと思うのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)やはり大きな発明なんかしたら、それはもう子々孫々とまではいかないでも、その人の生活というものは安定するぐらいでなければ、ほんとうのいい発明に没頭することはできぬと思うのです。今何%というようなことを言われましたけれども、どうもそういうこともうまく私はいっていないように思うので、政府が民間の発明の指導奨励をやられるということは、これは大いによろしい。しかし政府自身の機関の中でももう少し発明なり発見なりについて、研究者自身が積極的な意欲を起し得るようにしていかなければならぬと思うのです。それは何も必ずしも補償金だけが問題ではない。われわれは公務員だと、こういう人もあるでしょう。しかしやはり人間ですからそうはいかないのであって、そういう問題については通産大臣の方から、通産省だけでなしに、ほかの各省にも関係があることですが、りっぱな発明、発見をした人にはもっと報いられるように、もっとそういうことに熱意をもって働けるように、りっぱな研究者が肝心なときにほかの方へ、ぽんとやめて民間会社なんかにかわることのないように、そういう配慮はもう少し積極的にとっていただきたいと思いますが、どうですか。
  95. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) いや、ごもっともな御意見で、十分検討いたしまして善処するようにいたします。
  96. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 特許権のことに関連してですが、私ども伺いますと、特許出願が多くて部をふやさなければならぬという、大へんけっこうなことだと思うのでありますが、まあ日本人にそういう特殊な才能があると申しますか、これは国際的にあるという今お話を聞いておる。そこで最近その日本人の思いつきを買って、製品はそれがアメリカならアメリカに売りつけられないようにということが行われておる。いわばまあ特許権であるかどうかは知りませんけれども、実質的な特許の技術的提携といいますか、あるいは資本の投下という形で買い上げて、そうしてその製品は、これはアメリカが多いと思うが、ほかもあるかもしれませんが、自分の国には来ないようにしておる。まあほかにもございましょうが、おもちゃのごときもそうだといいますね。おもちゃについて、何会社であるか、今名前は忘れましたけれども、おもちゃの発明についてその思いつきを買い上げてアメリカのものにする。その思いつきによるおもちゃはアメリカに売っちゃいかん、こういうことがたくさん行われておるという話ですが、これが一ぺん日本で特許権を認められたものを買い上げるのか、そうじゃなくて、どういうことになっておりますのか、そういう何と申しますか、日本人の特許あるいは特許について外国から買い上げていくということは、これはあまり好ましいことじゃないと思うが、どのくらいございますか。それからこれについて特許庁なりあるいは通産大臣として、これは日本人のあるいは知識技術、そういうものを日本で育てるのじゃなくて、日本で発進したものを、あるいは育とうとするものを外国資本のために利用される、こういうことだと思うのですが、いわば日本の産業というものを育てる上からいって大きな問題だと思いますが、どういう御方針であるか、あるいはお考えのほどを伺っておきたいと思います。
  97. 井上尚一

    政府委員井上尚一君) 御質問の趣旨は、日本人の特許がありまして、これを外国人に譲渡して、そして外国人が権利者となって、その結果として日本からその当該発明を利用したところの製品を外国へ販売することは事実上禁止される、そういう例があるかないかということでございますが、私どもは、最近の私どもの関係いたします範囲内ではそういったことは聞いておりません。もっともこれ以外に、権利者は依然として日本人であって、外国人がこの権利について実施権者になりまして、外国人から日本人が実施料というものをこちらが取りまして、そして外国人でもそれが使える、そういうケースはあります。  ついででございますから申しますと、去年一年中に日本人の発明、特許権につきまして外国人が実施権者となり、外国からの実施料としましてこちらに入ってきましたのが、合計しまして十万五千ドルであります。
  98. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 何件ですか、件数は。
  99. 井上尚一

    政府委員井上尚一君) 件数はちょっと正確にわかりませんですが、ですから今申し上ましたのは、日本人があくまで権利者であります。玩具についてそういうような例があったかというような御質問でございましたけれども、承知いたしておりません。あるいは外国の意匠権の侵害に該当するというような理由でもってこちらから出ないということはもちろんございますけれども、今御質問のような点につきましては該当の事実を承知しておりません。
  100. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 その点について向うの特許といいますか、あるいは技術が入ってきて、日本がたくさんのロイアリティを取られておることはこれは御承知だと思うのですが、逆に日本の特許が向うで利用せられるという場合のあれは今十万五千ドルというお話ですが、非常に少い、件数にいたしましても——大したことはこれはあるまいと思うのですが、十億をこしているとは考えられませんが、特許なりあるいは何と申しますか、思いつきと言ったら悪いのですが、科学的な発明発見、そういうものの能力が日本人はこれだけ持っておって、日米関係なら日米関係においてもへんぱです、実際問題として。私があげましたのは、片々たる知識を御披露申し上げたわけですけれども、それについてさしてあまりまあ御関心がないということでは、この日本と外国とのこういうことについての利用の仕方、日本産業についての自主性を守っていくこと、あるいは日本の民族産業の問題について私は欠けるところがありはせぬかと思うのであります。そこで通産大臣に注意を喚起し、それらの点についてもっと関心を持ち、お調べを願って、日本の特許権なりあるいは日本の技術、それからそれを基礎にいたしました産業が育つように一つ一そうの御努力を願いたいと思います。お調べをいただいてそういう点について措置を願えるかどうか、お伺いいたします。
  101. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) むろんお話によりまして、一つ調べまして、できるだけのことはいたしたいと思います。
  102. 井上尚一

    政府委員井上尚一君) 大臣の方から御答弁の通りでございますが、去年まあ今申しました十万五千ドルでございますけれども、二十九年は一万五千ドルでございます。去年から外国出願に対する補助の制度を講じております。ですから一昨年に比べて去年が約七倍でございますので、今後は国の方からの外国出願についての補助金制度の利用と相待ちまして、日本人の発明が外国へどんどん進出していくという可能性といいますか、これについては、われわれとしましても十分な期待を持っている、こういうことをちょっとついでに申し上げておきます。
  103. 千葉信

    ○千葉信君 議事進行。各会派の希望として、質疑の段階で一つころ合いを見てこの法律案の取扱いについて懇談をしたいと思います。  それから聞くところによりますと、きょう本会議の日程に上っている宮内庁法の一部を改正する法律案、これについてはまた今回も委員長じゃなく、他の理事がかわって本会議で報告されるそうですが、しかしやはり内閣委員としては、この委員会で審議した法律案の本会議における採決に当ってこれに加わらないということはとうてい考えられませんので、そういう点を含んで、ここらで一つ休憩に入ってもらいたいと思います。
  104. 青木一男

    委員長青木一男君) ただいまの千葉委員の御発言に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 青木一男

    委員長青木一男君) それじゃさように決定いたします。  それでは休憩いたします。    午後三時六分休憩    ————————    午後六時二十三分開会
  106. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。
  107. 江田三郎

    江田三郎君 先だっての委員会で、三橋委員から、技術会議の問題についていろいろ質問があって、私はそれを聞いておったわけですが、その説明によるというと、会議が最高の指導機関であって、人事や予算の調整も行う、こういうことでしたが、しかし一方において農林省の各研究機関というものは、それぞれ原局なり原庁につながっておるということもあるわけで、その点の調整というものをどうするのかということが、どうもはっきりわからないのですが、一体具体的にどういうような調整運用をやっていくわけですか。
  108. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 今、江田委員から御質疑の点が、実はこの運用の非常に重要な、またむずかしい問題点だろうと思います。と申しますのは、この前の際に、予算あるいは人事等の問題について技術会議がそれにタッチをすると申し上げましたのはその通りでございますが、これと各原局の予算あるいは人事等のあんばいをどのようにするか、まあこういう問題点でございます。これは技術会議の行いまするものは、やはりその大綱と申しまするか、全体の試験研究機関の調節ないしそれの推進という立場においてその大綱的なものを関与していく、こういうふうに相なると思います。各原局の場合におきましては、その技術会議の大きな方針なり何なりによりまして各原局が動いていくということに相なって参ります。具体的に申しますと、予算を編成いたしまするような場合におきまして、これは従来試験場とそれから各原局が予算編成をする場合に、合議いたしまして要求いたしておったわけでありますが、そういう問題点は、今度の場合におきましては、当初予算を要求いたしまする態度を決定いたしまする場合、これはやはり技術会議にはそれの調整をとると申しますか、その態度を大綱的に進めていくようにいたしたいと考えております。またその際に、おそらく技術会議の現在の陣容では、これは予算のデーターのこまかいところまでの作業はできません。これは各原局あるいは試験研究機関等がやって参りましたものを、技術会議がその資料によって判定をする、こういうことに相なろうかと思います。この点は技術会議があくまでも全体の試験研究の問題につきまして調節をとるのでありまして、その他こまかい問題につきまして、技術会議がタッチをしたり規制をしたりする趣旨のもとに運用はいたしたくないと存じております。ただこの機会に申し上げておきたいと思いますのは、現在いろいろと各原局と試験研究機関との間の連絡、また各試験研究機関がそれぞれ非常に独立した形におきまして、たとえば山林と農業一般の問題あるいは水産の問題等が連関が薄く動いておる関係もございます。そういう問題につきましての連関事項あるいは関係事項というようなものを、これをやはりそういう傾向に強める必要があろうかと思うのであります。そういう点につきまして技術会議動きは、やはり当初におきましてはそういう点について強く指示をしていくという必要が、当初の運用として私はあるのではないかと考えております。それらの点についきましては、これはおそらく従来やっておりました試験研究のやり方というものの欠点を是正するという程度にとまるんじゃないか、こんなふうに考えております。
  109. 江田三郎

    江田三郎君 あとで後段に述べられた点は、これはなるほどということはわかるんですがね。ところが前の方に述べられた点は、聞いていると、何かこうわけのわかったようなわからぬような、総合調整といったって、これはどこまでが総合調整なのか、下手をすると、とんでもない二重機構になってしまって、おかしなことになるので、ただ、今あとで言われたような、たとえば林野の試験場と牧野というものとどう組み合せていくか、そういうようなことが大綱だというのなら、これは私は納得できるんですがね。ところが前段に言われたことは、どうも答弁のために答弁しておられるようで、一向要領を得ないんですね。だからそういう点が、これはそこから先は、これは議論ではかたがつかないので、実際問題として、一体この会議の職につく人がどういう人が委員なりあるいは事務局長になるかということで、人の問題ということが大きな問題だろうと思うのです。それで委員の任期は四年となっておるのですが、この事務局長は別に任期も何もないわけですね。これはどういうことになるのですか。
  110. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 御指摘の通り事務局長には任期がございませんのでありますが、今実際のこれの動きとして考えておりますのは、事務局長を実は委員の中に入れてはいかがかと、こういうふうに実は考えております。つまり事務局長と、その場合には委員とは兼務いたすことに相なるのでございます。そういう形になりますと、少くとも兼任の期間というものは四年以上に出られないわけに相なっております。これは今までのところ技術会議の構想といたしましては、実は事務局長と委員とはこの際兼務さした方が逆用上いいのではないかという一応の結論に達しております。しかしこれは制度の上でそういうことはやれるわけでありまして、それをもって今後におきましてもそれで通すという意味ではございません。当初におきましてはそういう動きをやって出発したらどうか、かように考えております。
  111. 江田三郎

    江田三郎君 これはまあ最初の技術参謀本部というような河野構想からいっても、これは政務次官も言われましたように、まだその出発点にすぎないのであって、今後これをほんとうに軌道に乗せていくということは、これはなかなか大へんなことだろうと思うのです。下手をすると、この間三橋君が質問しておったように、たとえば水産と何やらという答弁をして叱られましたけれども、稲の品種試験というのはそう簡単でない。しかしそういうこともどこに重点をおくのだというようなことによっては、あるいはこの試験の中断というようなことも出てくるわけで、またこんなものができて上の方に何か乗っかっているというと、第一線の試験研究をしておる人があるいは不安を持たなければならぬと思うのです。三橋君なんかは長年の自分の体験から割り出して言っておることなんで、これは十分に聞くべきことであろうと思うのです。これはよほど委員なり事務局長というものを慎重に考えてもらわなければならぬ。このままこれを読むというと、今の説明は違いましたけれども、委員の方は四年ということで、事務局長は任期がなくて、これは非常に不安定なのじゃないか。ところが実際問題、こういうふうなものをやってみると、事務局長というものがこれは中心になってくるのじゃないかと思うのですが、事務局長というものの地位が人柄もりっぱでなければならぬが、その地位も安定しておらなければ、なかなかこんなものはやってみたところで、混乱を起すばかりでどうにもならぬと思うのです。これには次官級の人物を充てるのだという、次官級といったって政務次官はりっぱな人ですけれども、次官にはいろいろありますけれども、そう簡単に次官級、次官級ということで廃物利用みたいなものを持って来られてはかなわぬですから、これはよほど……。これは質問したって無理ですけれども、運営というものを考えてもらわなければならぬと思うのです。それでこういうものができて特に重点をおく試験研究というものが出てくると思うのですが、一体今のあなた方の構想では、特に重点をおく問題はどういう点にあるのですか。
  112. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) この前の委員会で三橋委員から御質疑がありましたときに、いささか十分なる御答弁ができなくて遺憾に存じたわけでありますが、あの際に御指摘になりましたが、今江田先生から御指摘になりましたような問題点、あのときの質疑は基本的事項は何か。従来の試験研究がやるべきもの、あるいは技術会議がやるべきもの、技術会議がやるべきものは基本的事項ということになっておるが、その基本的事項というものは具体的に何であるかという御質疑であったと思います。これは事の性格上、試験研究の性格上一見非常に私たちのしろうとから申しますと、さまつのようなことでも、実は長い間トレースしなければ結論の出ない問題、あるいは非常にこまかく見えておって重大な発見がそこに含まれておるような試験研究があろうと思います。これらのことは、このことこそ実は矛盾のようでありますが、この技術会議等でそれぞれの専門の立場なり、見識の高い方々が自分でおきめになるような場合も、これは実は多いことではないかと思います。これは非常に矛盾したいい方をしておるわけでありますが、なかなかそこのところの問題は、そういうことも実は多かろうと思います。最初に基本的事項ということをきめておきながら、そのことが、その中のある大切な部分はむしろ技術会議の決定に待つことが多いだろうということは、矛盾したいい方でございますが、そういうことも多かろうと思います。そういうようなことも実はここで期待をいたしておるわけであります。  それからなお、事務局長が非常に優秀な人云々ということは、これは実際の人選の問題になりますので、ここではただ単に私たちの希望を言うだけのことになりますか、実は十五級という級を予定いたしております。十五級と申しますのは、もう御存じの通り普通の局長クラスではないのでありまして、次官、あるいは特別に、たとえば外局の大きな長官でありますとかいうものだけが十五級ということに相なりますので、それだけの形からいけば、そういう意味の練達の人を迎える態勢だけはこれでととのっているわけであります。もちろん態勢だけでなく、それほど有能な方をこここにいていただきたいというふうに、私たちは実は希望いたしておるわけでございます。そういうようなことで、これの運営その他につきましては、今後いろいろな問題が多かろうと思います。またいろいろと試験研究機関のあり方というもの等につきましても議論が多いのでありまして、今案は私たちとしましてどこに中心を置くかという問題、しかもその具体的な研究テーマというようなものは、まだ私たち実は予定いたしておりません。これはむしろ技術会議の会長なり、その他委員の方々がおきまりになりました場合に、そういう問題をきめていただくようにした方がいいのであって、いわば私たち行政を担当しております者から、ことさらに既成概念を先に作ってやることは、失礼でもあるし、かえっていけないのではないかという考え方を持っております。ただそれでは全然そういう構想なしにこういう仕組みを考えたのかということになりますと、これはいささか私たちも実は考えたのでございます。と申しますのは、一つには試験研究機関の現在のあり方というものが非常に、当然の勢いとして専門化し、分化いたしております。と同時に、実は先ほど御指摘になりました草地の問題——牧野の問題にいたしましても、また今後来まするアイソトープその他の研究事項にいたしましても、実は総合調整されません部門が多いわけであります。また反面考えてみますと、実際の仕事とタッチいたしております原局との関係、つまり普及活動をいたしまするそのもとといたしましての試験研究機関とのつながりというものが大切でありまする反面、やはり純粋な研究事項というものも必要かと思います。と申しまして、またよく言われまするように、単に、非常に悪い表現で申しますと、タイトルをとるためだけの試験研究に陥っている弊はないか、こういうことも、これは私たちが言うのではなくて試験研究当事者の中にもそういう批判は実はあるわけであります。そこらの今申しましたような三、四点の問題につきまして、この際技術会議のごとく、試験研究の立場の人たちになっても、いわば親元として信頼されるような、そういう人柄なり、そういう委員の方々に集まっていただきまして、やっていくことがいいのではないか、こういう構想は持っているわけであります。具体的な研究テーマにつきましては、そういう方々がお集まりになりましておきめを願った方がより妥当なんじゃないか、こんなふうに考えておるわけであります。
  113. 江田三郎

    江田三郎君 おっしゃる通りだろうと思うのですが、なかなか実際何をやって、どういう工合にやっていくといったって、新しいものを作り出すのですから、これは大へんな仕事で非常に重要であるが、同時に非常に困難な仕事なんで、私どもはそういう意味でこの部署にどういう人がつかれるのかということに、期待と同時に大きな不安を持つわけなんですが、大体事務局長というような人は現在の農林省の中におられる人から選ばれるということですか。
  114. 大石武一

    政府委員(大石武一君) 事務局長は、農林省内からの現役の役人から選びたいと考えております。
  115. 江田三郎

    江田三郎君 それからそこのところは総合調整ということによって、各試験研究機関なり、あるいは都道府県の試験研究機関というようなものが萎縮することのないようによく気をつけていただかなければならぬと思いますが、もう一つ、こういう試験研究機関の問題はわれわれも農林水産委員会で去年いろいろ問題にいたしましたが、どうも私たちが調べてみるというと、農林省関係の技術者の待遇というものは、通産その他の関係を調べてみると、低いように思うのです。それから事務系統と、専務官と技官との開きもありますが、私はこういろいろ調べてみて農林省の待遇が一番悪いように思っておるんですけれども、そういう点はどうお考えになっていますか。
  116. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) この問題は実はこういう問題があろうと思います。結論的に申しますと、農林省の技術員——試験研究に従事しておられる方々、大観的に申しますと、ほかのものに比べまして若干低かろうと思います。そのことはただ新しい組織の省と、それから古くからあります農林省のような試験場等の試験機関の場合と若干違いがあろうと思いますが、つまり端的に申しますと、新陳代謝と申しますか、それが少いわけであります。これは古くあることと同時に、外部の研究試験等のところへの交流と申しますか、そういうことが御存じの通り農林水産関係には少いせいでもございますが、古くからありましたということと、それからそういう今言われますような、農林水産一つ産業の中にあります特殊的な関係と申しますか、そういうような関係で、やはりほかのところに比べますと、若干低い感があると思いますが、基本的にはそれは新陳代謝の問題等に影響しておることと思います。
  117. 江田三郎

    江田三郎君 これは学術会議の調査をみても、やはり通産省の試験研究機関の技官のに比べるというと、明らかに農林省の方が下になっていますね。今はその理由はこうこうだということを言われましたが、そういう点についてもう少し均衡のとれる配分にするということをお考えになっていませんか。
  118. 大石武一

    政府委員(大石武一君) これはやはり当然均衡のとれるような待遇にしなければならないと考えております。私は——これは余談のようでありますけれども、中へ入って政務次官になりまして半年でございますが、見ておりますと、たとえば技術者と事務官の問題でございます。御承知のように現在農林省には、一次官それから三長官と五局長ございますが、このうちで技官は林野庁長官だけでございます。あとは全部事務官でございます。一般に課長級におきましても割合に技官が少くて、事務官が多いようであります。これはどちらがいいとか悪いとかいう問題じゃございません。必ずしも課長という地位がよくて、課長でないものは悪いということではございませんけれども、今の俸給の制度では課長にならなければある程度の俸給、それ以上の俸給にならないことは御承知通りでございますので、このような一つの俸給制度を変えて、たとえ課長にならなくても、局長にならなくても、ある年間、年限を努力をするとか、勤務をすればそれ以上の俸給をとり得るような制度にでもしてあげなければ技官がかわいそうじゃないか、こんな感じでおるわけでございます。ぜひともこれは当然他の役所と、あるいは将来におきましてもつり合いのとれるような俸給にしなくちゃならないと私ども考えております。
  119. 江田三郎

    江田三郎君 それは一つ政務次官よう覚えておいて下さい。やってもらわなければ答弁だけではだめです。それから試験研究で従来いろいろ委託研究だとか応用研究だとかいうのがありますがね。もちろんそれぞれしっかりした考え方を持っておやりになっておるのでしょうが、われわれがその委託研究なんかのレポートを見ると、ことにこんなものに金を出さなければならなかったかという印象を受けるものもないわけではございませんが、ああいうようなものについては将来どういう考えを持っておられますか。
  120. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 今、江田先生から御意見がありましたように、中には非常にりっぱなものもあるわけであり、中にはそれほどの効果のないものも、これはあろうと思います。この委託という——研究の委託あるいは調査の委託という委託制度そのものに関しましては、私たちまだこれを廃止しようとか、そういうことは実は考えておりません。ただどういうような調査なり研究というものに重点をおき、また調査なり研究なりを委託していったらいいか、これは相手の対象にもよりましょうし、取り上げるテーマにもよろうと思います。この点は今度は実はこの技術会議にそういうものの裁定をゆだねようと思っております。相当な金額になりますが、それはそういうところにゆだねようと思っております。それからなお技術会議一つのあれといたしまして、今まで研究いたしましたことの、あるいは調査いたしましたことの整理をいたしたいと思っております。これは今まで実は統一いたしましたものがなかなかなかったので、二重の研究あるいは調査が行われておったようなことが中にはあったかと思いますので、いわゆるファイリング・システムと申しますか、なかなか膨大なものになろうと考えておりますけれども、そういう農林関係全体を通じての試験研究並びに調査の整理をこの会議にやらしていくということを具体的な事業として実は考えております。そういうことで今御指摘になりましたような試験研究のでこぼこであるとか、あるいはそれが散漫になっていくような問題であるとか、あとあとその試験研究や調査の結果のトレースの不十分な問題とかいうことが解消していくのではないかと考えております。その一つとしてそういうものを考えていきたいと思っております。
  121. 江田三郎

    江田三郎君 うまくいけばあなたのおっしゃる通りになるのですけれども、しかし今までの委託研究なるものの弊害というものは、われわれが外から見ておるというと、しばしば顔によってそんなものが左右されておるのじゃないかという印象を受けるのです。それで何ぼ研究費を出すのか知らぬけれども、そのレポートを見ると、夏休みの学生を何人か使って、やっつけ仕事で何とか格好をつけておる、それを読んで見ても価値のないものを見ることがしばしばと言っては失礼ですけれども、ちょいちょいお目にかかるわけです。そこでまたもとに戻るのだけれども、結局そんな委員にどういう人がなってくるかということに結局なってくるのです。そういう委員なり事務局長の人を得なければ結局今までのまあわれわれが想像する顔で動かされたというような部面がかえって大きくなりはしないか、そういう点がいろいろ心配になってくるので、今官房長のおっしゃられた考え方は基本的には私はその通りだと思うのです。それでいいと思うのですが、この人選というものは慎重にやってもらわぬとどうにもならないという印象を強く受けます。それからその技術会議のこともまだいずれまたあとでいろいろ聞かなければならぬのですが、技術会議でなしに、この振興局関係で問題がたくさんあるんですが、(「振興局はやり出したらきりがない」「この次やったらどうだ」と呼ぶ者あり)今度はこれは新しい仕事として農林経済局の仕事の中に「地方行政及び税制に関する連絡調整を行う」というのが出てくるわけですね。これは新しく出てくるんですか、こういう仕事は……。
  122. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) これは従来から農林省の方では官房で実は主管しておった問題でございます。もちろん農林省関係、あるいは農林関係にいたしましても、農林省から発言すべきような地方のいろいろな行政のあり方とか、あるいは税制の問題でございますとか、そういう問題は従来官房で担当いたしておりました。これをやはり農林経済と申しますと、農林省全体の経済的な部面をやりますので、そこへ移してそこでやらせる、こういうことでございます。
  123. 江田三郎

    江田三郎君 それで今あなた方が考えておられるこの「地方行政及び税制に関する連絡調整」の当面一番大きな問題としてはどういうことを考えておられますか。
  124. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) これはいろいろな問題があろうと思いますが、やはり当面重点をおきます問題といたしましては、現在三十二年度からの税制改革を目途といたしまして税の審議会が現在行われておるわけであります。やはりこの問題が当面三十二年度にみる対策といたしまして今から当然準備をいたしておるわけでありますが、そこの問題が大きな問題になろうかと思います。それからなお、この地方行政の問題等、たとえば今のように地方団体の赤字やその他の問題が相当ございますので、そういうところに対しましての農業政策のいろいろな行政のあり方というものに対しましても検討いたさなければ相なりません。こういう問題は実は何と申しますか、一つのところでずっとその問題をトレースしていきませんというと、ほかのそれぞれでやっておられる省に対してもそのときどきの返事では申し訳ございません。農業関係といたしましても、やはりトレースをして一つのところがやっていく必要があろうと思いますので、そういう意味合いにおきまして、経済局の方で部課を決定いたしましてやらせていきたい、かように考えております。
  125. 江田三郎

    江田三郎君 それからこの官房でやっておったあの七条の十二ですか、「農林畜水産業に係る土地及び農業水利の総合計画に関する調査及び立案に関する事務」というのがこれが振興局の方へいくわけですね。
  126. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) その通りでございます。
  127. 江田三郎

    江田三郎君 それで国土の総合開発というようなことが振興局でできるんですか。
  128. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) これは現在の状況を申しますと、官房で持っておるわけでありますが、総合開発課というものが具体的には今御指摘の問題を担当いたしております。で、現在新しくいわゆる新農村建設と申しますか、いわゆる農山漁村の振興計画、その他の総合的な対策というものも総合開発課でいたしております。これはもう御存じの通りでございましょうが、村の計画の総合的な振興対策を立てることに相なりますので、そういう関係におきまして、その部門を一緒にいたしまして新しく振興局の方に担当させる、こういうことに相なっております。
  129. 江田三郎

    江田三郎君 まああなた方の考えではこの村の振興計画というのですが、それが総合開発的なことをやるんだと言われますけれども、しかし実際問題として、村の振興計画というのが私はそこまでなかなかいかぬのじゃないかと思う。やはり前の負債整理組合当時のような、要するに小手先細工に終ってしまうんじゃないか。もっともそれに対しては十分審査するということをおっしゃるかもしれませんが、なるほどこれは作文はできますよ、作文はできるけれども、ほんとうに将来を見通した総合開発というようなものが各村なり地方で実際うまく立て得るかどうかということになると非常に疑問だと思うのです。そうなってくると、この振興局で総合開発及び国土調査をやるということは少し片寄ったことになりはしないか。総合開発というものが実は小手先細工の作文を作ることになって、この総合開発という大きな名にふさわしいものにならぬのじゃないか。総合開発ということになれば全体に関連があるということによってむしろ官房にある方がいいのじゃないかという気もしますが、そういう点はどうでしょう。
  130. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) まあ、この総合開発が村でできるかどうかという問題、総合振興計画が村でできるかどうかという問題、これはいろいろ議論があろうと思います。おそらく御指摘の点は村の力だけでやれるものではなくて、むしろもっと大きな力でやる必要があるという御趣旨かと思いますが、確かにそういう点があろうと思います。特に農林省の方といたしましては、土地改良のごとくいわゆる土地そのものにメスを入れる仕事は農地局が担当いたしております。そういうようなかなり国の努力、あるいは県の努力がなければできませんようなものが、やはり大きく申しますると、村の振興計画の前提と申しますか、総合計画の前提になるということ、これはお説の通りだと思います。ただしかし、その間におのずとそれぞれの分担もありましょうから、やはり村自体でやれる総合計画も、これも否定できないと思います。そういうような観点から、この村の総合計画とそれから総合開発あるいは国土調査に関する事務一つにいたしまして、もちろんこれを一つにいたしましてもそのごく取りまとめのようなことになるかと思います。というのは各原局がそれぞれ分れておりますから、そういうようなことを振興局にやらしていきたい。なお、こういう計画というものは単に計画が立っただけではまずいものであろうと思います。やはりそれが具体的に奨励政策なり何なりの方に連絡が十分とれまして、普及その他の線に乗っていく必要があろうと思います。そういう観点から、この振興局に現在の農業改良局の持っておりますようなファンクションも一緒にいたしまして、そこへ持っていくと、こういうことにいたしたいと思っておるわけでございます。
  131. 江田三郎

    江田三郎君 これは妙なことを言いますけれどもね、一体振興局というのはだれがつけた名前か知らぬけれども、妙な名前をつけたものだということを思うのですが、この振興局という名前に今後ここの仕事は大したことはないということが私は表われているんじゃないかと思うのです。振興局とはまあよくもよりもよって知恵のない名前をつけたものと言わざるを得んと思うのです。こういう振興局というもので総合開発とか国土調査というような大きな構想のものが私は生れるはずがないと思うのです。結局振興局という名前から受ける印象は、負債整理組合当時にやったような自力更生というようなあの程度のものを一歩も出ないのじゃないか。まず第一に、振興局という命名の由来並びにその原典でも聞きましょうか。(笑声)
  132. 大石武一

    政府委員(大石武一君) どうもこれは御意見でございますが、実は衆議院におきましても振興局という名前はどうもあまりおかしな名前だと、大分お叱かりを受けたわけでございます。これは内輪話を申し上げますと、こういう名前は私見ておりますと、ひとりでに、どこかの課長かだれかがひょっと考えついたのが一応仮称の形で名前が出て参りまして、いつのまにかそれが最後まで残るような経過が多いようでございます。私たちが赤ん坊が生れますと、自分の子供の名前をつけるのに非常に苦労いたしまして、どれをつけてもいい名前でないような、どれを見てもいい名前のような感じがして、名前をつけることに非常に苦労いたします。一ぺんつけてしまうと、なじんでしまってもう一番いいような感じがするわけでございます。この場合に農林省の名前のつけ方を見ますと、どうもこればかりでなく、企業市場課というようなずいぶん長い名前もございますし、名前のつけ方を見ますと、あまり上手でないようでございます。名前のつけ方にあまり苦労していないので、こんな名前になったんでございますが、これは新農村振興計画の樹立ということを看板にしておりますので、それからこういう名前が出てきたのじゃなかろうかと思う次第でございます。これはあまりお気に召さない名前かもしれませんけれども、呼びなれておればだんだんなれて参りますので、この辺で一つごかんべんを願いたいと思います。(「名答弁」と呼ぶ者あり)
  133. 江田三郎

    江田三郎君 名答弁のごとくしてあまり名答弁じゃない。やはり名は体を現わすごとくなので、少くとも振興局という名前から普通人が受ける印象は、自力更生計画程度のものしか出てきませんよ、これは。私が今申すまでもなく、日本の農業というものは一つの大きな転換期にきていると思うのです。特にここに新しくその振興局なるもので、総合開発や国土調査までやるのだということをほんとうに考えておるのなら、それにふさわしい名前があってしかるべきではないか。振興局という名前も呼びなれたら、そんなものだというけれども、変な名前をつけられたために一生インフェリオリテイ何やというものを感ずる人間もありますよ。(笑声)牛太郎だ馬太郎だという名前をつけられたために一生頭が上らんという人もあるのですから。江田三郎のごときは最もいい名前だ。(笑声)  委員長、時間ですから今日はこれで……。
  134. 青木一男

    委員長青木一男君) 本日はこの程度で散会いたします。    午後七時四分散会