○
政府委員(
瓜生順良君) 正
倉院の裏の方に新若草山という、そこヘ
ドライブ・ウエイを作られて、その
ドライブ・ウエイを作るについての
手続としては、建設省、それから運輸省、それから
史蹟という
関係で
文化財保護委員会の方の
許可を要するというような点があって、そういうような
許可が全部十分にいたされていないのにまあ実際はその道ができておる。そしてそこを車が通っておるというような、その
ほこりが正
倉院の方にもくるから正
倉院の
御物に悪
影響があるのじゃないかというようなことが問題の
中心点であります。これにつきまして
宮内庁としては、この
文化財保護委員会の方からの照会にも基きまして、この問題についてはそういうような
道路ができないことは、できないで済むならその方が好ましいのだけれ
ども、しかし、やはり
奈良の
観光都市の独特のところでもありまするし、なお
史蹟という面でそれをそこなわないというようなふうな工夫をされて、その
関係から
文化財保護委員会で、
許可をした方がいいというふうにもし
考えられるならば、そういうふうな場合にはその
弊害を、正
倉院に対する害をできるだけ少くするように、できるだけ少いより、ないようにするようにという
条件をつけてもらいたい、その
道路については完全に
舗装をする、
ほこりが立たないように、それから
道路のわきの方は芝を植える、なお灌木を植えて、そうしますと
ほこりが立ちませんから、そういうようにしてもらいたいというような
条件をぜひつけてもらいたいというように
文化財保護委員会の方へは申し入れてあるわけであります。現在なおその
ドライブ・ウエイができましたが、その
ドライブ・ウエイ以外の
関係の普通の
公道もあります。その
ドライブ・ウエイができますと、普通の東側にある
公道を通る
自動車の度数も従来よりも多くなるというおそれもあり、しかしその
公道の分については、ぜひそこを通らなければいけないという道ではなくて、ここはちょっと迂回すればそこの
公道をはずすこともできるので、なるべくそこを通らないようにしてもらえないかということを
奈良県の
公安委員会、
道路交通取締法の
関係で、できるだけそこを通らないようにしてもらえないか。
人命財産に危害を及ぼす場合は
交通の整理ができるという、この
財産の方ではなかろうかということで、
奈良県
公安委員会にも申し入れ、中央の
警察庁にもその
意見を申し入れて、ところが
警察庁の方でいろいろ
研究されたが、その
公道の部分を今すぐ
交通禁止をするのは無理だ。人の歩くのはいいが、
自動車だけをとめるわけにはいかない。
自動車をとめるにも、もう少し
研究し自粛していこうということで、自粛して遠慮して下さいという立て札があって、なお
警察庁の方から
自動車業者の方にも話があって、そこを通らないようにしてもらいたいということで、ずっとそこを
自動車が通るのは減っております。そういうようなことを講じまして、なお
文化財保護委員会と協力しまして、
ほこりが多くなるということの
影響はどういうものだろうかということで、
影響の
調査をやっております。これは大阪の気象台に依頼して私
ども前からやっておりましたが、さらに
文化財保護委員会の
文化財研究所というのがございまして、そこがさらにまたわれわれの方と協力をしてその
影響を
調査をいたしております。現在までのところは、まだ
結論としてはどういうような大きな
弊害があるかということが出ておらないのであります。常識的に
考えると、以前よりは悪いだろうということは
考えられるのですけれ
ども、そのデータとしてはまだはっきりしておりません。あそこにあります
御物は、もちろんそういうような
ほこりのないことをあくまでも
考えなくちゃいかぬのですが、ある程度の
ほこりは従前でもあるのでありまして、しょっちゅう
ほこりというものはあるのですが、それに対することもありまして、あそこにあります
御物は箱に納められているものは納められている。それから
ガラス箱に入れ、その上に平生は布がかかっております。なおそのほかに、その上にまた別の布をかけてあるということで、平生はおおいはしてあるわけでありまして、むき出しになっているわけではございません。なお
曝涼のときには、昨年から特に
殺虫器という
機械を入れまして、
ほこり、ガスその他のものを吸い込んだものを除くように、
曝涼のときにはそういう措置を講じておるのでありまして、われわれの方は
防衛の方を、
道路ができなくても
ほこりがあるわけですから、
防衛の方に努めているわけですけれ
ども、
道路がそういうふうに通ることによって、従来よりもふえるということについては
条件をつける、その
条件はぜひ守ってもらいたい。ところが
会社の方で、芝を殖えたり植木をやったりしておられるけれ
ども、まだ完全ではない。
舗装されたが、
簡易舗装なものだから、もう少しはげてきているというようなそういう問題があるものですから、
文化財保護委員会の方の
意見を開きますると、どうも
会社の方は
ほんとうの誠意がないから、まだ正式の
許可はできないというように言っておられるというのが現状であります。