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1956-05-26 第24回国会 参議院 内閣委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十六日(土曜日)    午前十時四十二分開会   ―――――――――――――   委員の異動 五月二十六日委員松浦清一君辞任につ き、その補欠として三橋八次郎君を議 長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            野本 品吉君            宮田 重文君            千葉  信君            島村 軍次君    委員            井上 清一君            木島 虎藏君            木村篤太郎君            西郷吉之助君            佐藤清一郎君            江田 三郎君            田畑 金光君            三橋八次郎君            吉田 法晴君            廣瀬 久忠君   政府委員    宮内庁次長   瓜生 順良君    農林政務次官  大石 武一君    農林大臣官房長 谷垣 專一君   事務局側    常任委員会専門    長       杉田正三郎君   説明員    農林大臣官房文    書課長     村田 豊三君    農林省農業改良    局総務課長   庄野一郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○宮内庁法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○農林省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより内閣委員会を開きます。  委員の変更につきお知らせいたします。五月二十六日、松浦清一君が辞任せられまして、その補欠に三橋八次郎君が選任せられました。   ―――――――――――――
  3. 青木一男

    委員長青木一男君) 宮内庁法の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を行います。
  4. 江田三郎

    江田三郎君 今、宮内庁御料牧場というのは下総だけですか。
  5. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 下総だけでございます。
  6. 江田三郎

    江田三郎君 前いろいろあったのはもう皆それぞれ整理されて、今関係ないのですか。
  7. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 前ありましたのは、国の、農林省の方の所轄になっておりまして、今は関係ございません。
  8. 江田三郎

    江田三郎君 下総は、家畜種類というのはどういうものなんですか。
  9. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 下総には馬と牛、豚、綿羊、鶏、そういう種類でございます。
  10. 江田三郎

    江田三郎君 頭数は……。
  11. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 頭数ですか、馬が六十三頭、それから牛が五十四頭、豚が八十八頭、綿羊が六十頭、鶏は、これは少し変動はありますが、五百七十羽というところであります。
  12. 江田三郎

    江田三郎君 馬は大体競走馬ですか。
  13. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは競走馬農馬とあります。それで要するに乗馬用のものが多いのですけれども農馬使役馬も使います。農馬もございます。
  14. 江田三郎

    江田三郎君 牛はどういう種頻ですか。
  15. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 牛はホルスタインジェルシーホルスタインの方が多いのですが、ホルスタインが四十二頭、ジェルシーが十頭ということでございます。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 牛の方の乳の種類ですね。これはやっぱり何か乳製品自分の、自家製でやられるのですか。
  17. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは乳製品はやはりこの牧場で作っております。これは宮廷でのいろいろな用途に使われますのがおもでございまして、なおその他余りましたものについては市場に売っております。
  18. 江田三郎

    江田三郎君 あそこは相当広いのでしょう。で、まだもっと高度に利用するということになれば、もう少し利用できるのじゃないですか。
  19. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) あそこの広さは、終戦前に比較いたしますと三分の一に減っておるわけでございます。それで今おりまする家畜頭数からいいますと、必ずしも広いとはいえないので、農林省種畜牧場なんかに比較いたしますと、おります家畜頭数に比較いたしますと、そういう農林省種畜牧場なんかに比べれば幾らか狭い、割合からいいますと……。しかし、この経営改善につきましては、すでに努力をしておるのであります。で、宮内庁の係官だけでは手が足りないから、農林省の方にも来てもらいまして、先日も五名の人に来てもらいまして、また横から見てもらって、改善を要する点がないか、いろいろ意見を聞きながらこれを経営しているのであります。
  20. 江田三郎

    江田三郎君 今大体収支とんとんぐらいにはいくのですか。
  21. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは今のところは収支とんとんまではいっておりません。この経費のかかりまする分の、経費は全体で四千三百万円ぐらいかかります、事業費とか営繕費人件費合せて。収入の方ですと三千八百万円ですから、五百万円ぐらいちょっと足りません。しかし、これは農林省種畜牧場なんかと似たような関係の、要するに馬匹の改良とか、牛の関係でも改良しようとか、そういうような改良関係のことも大いに含んでおりまするから、普通の営業用牧場と違う点もございますので、これくらいはどうもやむを得ないかと思っております。
  22. 江田三郎

    江田三郎君 そんな必ずしも黒字を出さなければならぬとか何とかいうことじゃないですけれども、ただ割合、今までの歴史的な経過からして馬が多いですわね。私はこういう御料牧場というものが、乗用馬というようなものに少し重点を置き過ぎておるのじゃないかという気がするのです。大体、宮内庁というようなことになると、昔、馬車を使ったというようなこともあるし、馬というようなものを一つの格式というか、権威というか、そういう事柄も、ある程度はこれは考えなければならぬということは言えますけれども、もうそろそろ時代が変ってきたので、こういう御料牧場というものも、むしろ馬というものよりももっと平和的な――平和的というとちょっとこじつけのようですけれども、乳牛という方向へもう少しまだ比重を移されてもいいのじゃないか、それが同時に経営面から見てもいいのじゃないか、やはりホルスタインとかジェルシーというようなものが牧草を静かに食っておるというのは、見ても感じがいいものでして、馬も悪くないですけれども、しかし、この時代に馬なんというのは、実際僕ら意味がないと思うので、そういう点は今までのいきさつもありましょうけれども、今後はもう少し馬と牛との比重を、少し牛の方へ切りかえてもいいのじゃないかという気がするのですが、そういう点はどうお考えになりますか。
  23. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) そういうような点、御意見なんか承わりましたので、なお研究いたしてみまするが、なお馬のことも、あそこの沿革も、最初は馬が主であって、今いろいろなものが加わっておりますけれども乗用馬を作りますのも、やはり宮内庁儀式の場合は、大公使の信任状捧呈、そういうような場合には儀装馬車を出しまして、前後に馬で警衛というか、儀仗していくというので、馬を相当使いますので、やはり馬の需要も宮内庁自体もあるわけです。やはり馬はほかの方でもやっておりまするけれども、やはり自分牧場でやった方が向くものができ、しかもそれを値段に直して考える場合も、ほかから買うよりも安くできるというような点もございますので、馬をずっと減らすかどうかというその点は疑問の点もございます。昔から見れば減っておるようですから、しかし御意見のような点も尊重いたしまして、十分また研究はいたしていきたいと思います。
  24. 江田三郎

    江田三郎君 儀式に馬が要るのも、要るといえば要るのですけれども、しかしなくてもいいわけなんでね。たとえばそれはバッキンガム宮殿のところで昔ながらの赤い上着を着た歩哨がいる。しかしイギリスの皇室が昔の儀式をそのまま残しているから、日本として残さなければならぬというのじゃなしに、私はやはりこういう新しい憲法のもとで、皇室というもののあり方が非常に変ってくればね、ああいう儀式やり方というものも相当思い切ってお変えになってもいいのじゃないかと思うのですけれども、そこがまだ古い言葉が残っているように、古い儀式というものを何かあなた方の方は手をつけたらならぬことのように、少しこだわられすぎているのじゃないか、そういうことが人間天皇と言われながらも、やはり「孤独の人」が出てきたり、あるいはまた似通った問題がいろいろ言われるのじゃないかと思うので、まあそういう全体として宮内庁あり方をより民主的にする、より近代的といいますかね、合理的というか、そういう面から御料牧場というようなものも、もう少し馬というものを減らしてもいいのじゃないか。これはまあ私の考えですから別にお答えいただかなくてもいいです。  それからもうい一つは、正倉院付属機関がありますが、この間うち問題になっていますね。正倉院のことが……。あれは一体どういうことなんですか。私ども新聞で見るだけでよくわかりませんが、相当宝物などがほこりでいたんだというようなことも安倍先生あたりが言っておられたのですが、実際どういうことになっていますか。
  25. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 正倉院の裏の方に新若草山という、そこヘドライブ・ウエイを作られて、そのドライブ・ウエイを作るについての手続としては、建設省、それから運輸省、それから史蹟という関係文化財保護委員会の方の許可を要するというような点があって、そういうような許可が全部十分にいたされていないのにまあ実際はその道ができておる。そしてそこを車が通っておるというような、そのほこりが正倉院の方にもくるから正倉院御物に悪影響があるのじゃないかというようなことが問題の中心点であります。これにつきまして宮内庁としては、この文化財保護委員会の方からの照会にも基きまして、この問題についてはそういうような道路ができないことは、できないで済むならその方が好ましいのだけれども、しかし、やはり奈良観光都市の独特のところでもありまするし、なお史蹟という面でそれをそこなわないというようなふうな工夫をされて、その関係から文化財保護委員会で、許可をした方がいいというふうにもし考えられるならば、そういうふうな場合にはその弊害を、正倉院に対する害をできるだけ少くするように、できるだけ少いより、ないようにするようにという条件をつけてもらいたい、その道路については完全に舗装をする、ほこりが立たないように、それから道路のわきの方は芝を植える、なお灌木を植えて、そうしますとほこりが立ちませんから、そういうようにしてもらいたいというような条件をぜひつけてもらいたいというように文化財保護委員会の方へは申し入れてあるわけであります。現在なおそのドライブ・ウエイができましたが、そのドライブ・ウエイ以外の関係の普通の公道もあります。そのドライブ・ウエイができますと、普通の東側にある公道を通る自動車の度数も従来よりも多くなるというおそれもあり、しかしその公道の分については、ぜひそこを通らなければいけないという道ではなくて、ここはちょっと迂回すればそこの公道をはずすこともできるので、なるべくそこを通らないようにしてもらえないかということを奈良県の公安委員会道路交通取締法関係で、できるだけそこを通らないようにしてもらえないか。人命財産に危害を及ぼす場合は交通の整理ができるという、この財産の方ではなかろうかということで、奈良公安委員会にも申し入れ、中央の警察庁にもその意見を申し入れて、ところが警察庁の方でいろいろ研究されたが、その公道の部分を今すぐ交通禁止をするのは無理だ。人の歩くのはいいが、自動車だけをとめるわけにはいかない。自動車をとめるにも、もう少し研究し自粛していこうということで、自粛して遠慮して下さいという立て札があって、なお警察庁の方から自動車業者の方にも話があって、そこを通らないようにしてもらいたいということで、ずっとそこを自動車が通るのは減っております。そういうようなことを講じまして、なお文化財保護委員会と協力しまして、ほこりが多くなるということの影響はどういうものだろうかということで、影響調査をやっております。これは大阪の気象台に依頼して私ども前からやっておりましたが、さらに文化財保護委員会文化財研究所というのがございまして、そこがさらにまたわれわれの方と協力をしてその影響調査をいたしております。現在までのところは、まだ結論としてはどういうような大きな弊害があるかということが出ておらないのであります。常識的に考えると、以前よりは悪いだろうということは考えられるのですけれども、そのデータとしてはまだはっきりしておりません。あそこにあります御物は、もちろんそういうようなほこりのないことをあくまでも考えなくちゃいかぬのですが、ある程度のほこりは従前でもあるのでありまして、しょっちゅうほこりというものはあるのですが、それに対することもありまして、あそこにあります御物は箱に納められているものは納められている。それからガラス箱に入れ、その上に平生は布がかかっております。なおそのほかに、その上にまた別の布をかけてあるということで、平生はおおいはしてあるわけでありまして、むき出しになっているわけではございません。なお曝涼のときには、昨年から特に殺虫器という機械を入れまして、ほこり、ガスその他のものを吸い込んだものを除くように、曝涼のときにはそういう措置を講じておるのでありまして、われわれの方は防衛の方を、道路ができなくてもほこりがあるわけですから、防衛の方に努めているわけですけれども道路がそういうふうに通ることによって、従来よりもふえるということについては条件をつける、その条件はぜひ守ってもらいたい。ところが会社の方で、芝を殖えたり植木をやったりしておられるけれども、まだ完全ではない。舗装されたが、簡易舗装なものだから、もう少しはげてきているというようなそういう問題があるものですから、文化財保護委員会の方の意見を開きますると、どうも会社の方はほんとうの誠意がないから、まだ正式の許可はできないというように言っておられるというのが現状であります。
  26. 江田三郎

    江田三郎君 大事な文化財ですからね、私はいろいろ宮内庁の中に古い言葉を残したり、古いやり方を残すということについては、あなた方なかなかがんこなんだが、文化財保護ということについては至って消極的だと思うのですよ。今、実際に被害があるかどうかを調査中だと言われますけれども安倍先生のこの間の新聞談を見ますと、銀の宝物あたりが色が変っている、こういうことを言っているので、安倍先生のような人がそういうでたらめはおっしゃらぬと私は思う。今までも御所が荒れ果てている。そういうことは、私は皇室がどうとかこうとかということよりも、文化財という見地からでも、これはほんとうにあなた方に気をつけてもらわなければならぬと思うのですが、この正倉院の問題でも、ほんとうにあなた方がもう少し文化財保護ということについて積極的な……、あんな道なんかつかなかったんじゃないかと思うのです。あんなものを作れば、どうしたところで害があるのはきまっているので、大体奈良の公園みたいなところへああいうところへ、そんなバスをどんどん乗り入れることが間違いなんで、もっと歩かす癖をつけた方がいいので、あんなものを許可すること自体が間違っておる。それはあなた方の方で許可するのじゃないけれども、しかしそのときにもっと厳重に文化財保護の立場というものを主張すべきじゃなかったかと思うのですがね。おそらく今から何を言ったところでなかなかそんな木を植える、芝生を作る、芝生はできるでしょう。しかし木を植えるといったって、木は一ぺんに大きくなるものじゃない。ポプラみたいなものを植えるのじゃなしに、もっと上品な木を植えるのでしょうから、だからあれが今のようにどんどん観光バスがふえる世の中では、これはもう今後宝物に対する被害というものは激しくなる一方だと思うのです。この際何かああいうものを食いとめるために積極的な態度をおとりになる考え方はないですか。
  27. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その害を少くするように、少くするというよりも、絶対ないようにしたいということは、これはもうわれわれの念願するところでございまするから、機会ごとに主張をしておるわけであります。同時に、しかしもう少し広く申しますと、奈良へたくさんの観光の団体が入ってこられます。その人たちもたくさん歩かれるので、そういうほこりももちろん立つので、奈良観光の人はそう来ないようにしてくれとかいうことを言うこともこれまた行き過ぎの点もございます。できるだけ害を少くする、ほこりの立たないように舗装をするとか、今申しましたように芝を植えるとか、木を植える、それから近いところの道路については通らないようにしてもらうというようなふうな、要望をし、なお他面われわれの方としては、従来以上に科学的な方法によって、宝物に害のないように十分一つ手当をしようということを考えておるわけでございます。その点では保存修理費というのが、これは一昨年できまして、なおそこにいろいろそういう科学的な方法によって害をなくする機械も入れ、今後さらに科学的な方法を一そう検討して、害のないように、この宝物が末長く永久に保存されるように努めたい。ですから外部に対して主張するとともに、われわれとしては防衛のことも一そう考えたいということでやっている次第でございます。
  28. 江田三郎

    江田三郎君 その科学的な防衛手段についても、それはとらなければならないのですけれども、これは限度があるので、そうできるもんじゃないと思います。そうかといって、奈良観光客をとめるというわけにはいかぬだろう、それは申すまでもないことで、しかしそれならそこへこの道を作らせるということは、道をつけるということになればその結果がどうなるかということはわかるわけで、もう少し事前に積極的な態度をとるべきであったと思うんです。まあもうすでにできている道をどうするかというのは、いろいろ処理がしにくいと思いますけれども、やはり私は文化財保護という面については、あなた方宮内庁責任者がもっと積極的にやってもらわなければならぬと思います。もちろんこれには、予算を伴う面もあります。しかし予算だけでなしに、今の道なんというものは予算の問題じゃないのですから、それを妙につまらぬ観光政策なんかと妥協してはいかぬと思います。まあその程度で、農林省の方が見えているようですからやめておきます。
  29. 島村軍次

    島村軍次君 私は、ただいま議題になっております宮内庁法の一部を改正する法律案につきまして、質疑も相当進行いたしましたし、この際、質疑を打ち切って、直ちに討論採決に……、討論の御希望があればともかくも、この際直ちに採決に入られんことの動議を提出いたします。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  30. 青木一男

    委員長青木一男君) 島村君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。宮内庁法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案衆議院送付原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  32. 青木一男

    委員長青木一男君) 総員挙手と認めます。よって本案全会一致をもって衆議院送付原案通り可決すべきものと決定をいたしました。  本会議における委員長口頭報告内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他諸般の手続については、慣例によって委員長に御一任願うことにいたしまして、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  多数意見者の御署名を順次願います。   多数意見者署名     木島 虎藏  三橋八次郎     廣瀬 久忠  木村篤太郎     江田 三郎  千葉  信     佐藤清一郎  島村 軍次     西郷吉之助  井上 清一     野本 品吉  宮田 重文
  34. 青木一男

    委員長青木一男君) 暫時休憩いたします。    午前十一時七分休憩    ――――・――――    午前十一時十八分開会
  35. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引き続き委員会を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑を行います。
  36. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 まず技術会議についての点につきまして質問いたしたいのでございますが、昨年新聞に見えておりました河野案によりますると、農林行政についての研究統合参謀本部のようなものを作ると、こういうようなことが一時伝えられておったのでございますが、今度できますこの会議というものはそういう性格のものでございますか、どうでございますか。
  37. 大石武一

    政府委員大石武一君) お答えいたします。仰せ通りでございます。よく御承知のことと存じますけれども、いろんな各研究所なりその施設がみんなばらばらで、各局なり各庁においてばらばら運営されておりますので、これを全部統合した参謀本部的な中心のものにいたしまして、ここで問題となる重要な研究課題方針をきめるとか、予算の配分をきめるとかいうようなことにいたさせる方針でございます。
  38. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 それならば今度大臣がおかわりになりましても、試験研究機関の向うべき方向というものは常に一定しておるというふうに解釈していいですか。
  39. 大石武一

    政府委員大石武一君) 仰せ通りでございます。
  40. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 さきに農林省では改良調査会というものを設置されまして、いろいろ試験研究機関の機構や運営につきましていろいろ研究されたように聞いておりますが、その結論はどうなっておるのでございますか。
  41. 大石武一

    政府委員大石武一君) 改良局総務課長にお答えさせたいと思います。
  42. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 昨年は改良局所管試験研究あるいはその他の試験研究につきましては、新しい構想を一つ打ち出そうということで、改良調査会局内に設けまして、大学の専門家あるいは試験場の場長、そういった学識経験者にお集まりを願っていろいろ御意見を拝聴したわけでございます。その中で研究いたしましたことにつきましては、すでに御審議願いました改良資金助成法一つ、それから普及制度の問題をどうするかという問題、それから試験研究機関強化の問題、こういう事案について審議願ったのであります。これによって一部は予算化し、あるいは事務運営をする、こういうことにいたしております。ことに試験研究につきましては、参議院でもいろいろ御要望がありました研究員人件費研究室の工合をいかに、従来人件費が多くなっている、活動費が非常に少くなっている、そういった点をぜひ是正して研究強化をはかりたい、そういった点もありました。それから部局運営については、これは施設の問題でございますが、新しい実験室をどうするか、そういった点もいろいろ審議願って、予算編成一つの材料にして予算編成をする、こういうことでございました。その結論予算に反映されておると、こういうことでございます。
  43. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今改良調査会内容を承わったのでございますが、その出ました結論は、今度できます会議にどういうように盛り上げていくのでございますか、その点を。
  44. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 今までは、改良局内におきまする試験研究についての連絡なりプロジェクト・リーダー・システムについて、そういった問題について、調査会というものは局内の問題でございますので、審議いたしたわけでございます。その後、農林省の御方針として、各局に設置してあります試験研究機関につきまして技術会議というものが設置されると、こういうことになったわけでございまして、改良調査会として研究いたしたものを、さらにわれわれといたしましては総合調整、あるいは基本方針の樹立といったような従来のシステム技術会議として取り上げられていく、こういうふうになるのではないかと思います。
  45. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 この試験研究機関指導調整、それから運営ということにつきましては、この会議がうまくいきまするには、やはり下部意見をよく聞くということが必要だと思うのでございますが、その下部試験研究機関の意向を聞き入れるために、会議意見を取り入れるためにどういうような手続がございますか。
  46. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 会議は、農林省付属機関として会議が設置されておるわけでございますが、各局試験研究機関からは、調整課といったようなものが会議に設置されまして、それが各局から盛り上ってきます、あるいは提出されます研究テーマあるいは方針といったようなものをいろいろ研究いたしまして、会議において、委員会総合調整をやる、こういうことになりまして、むしろ今まで各局試験研究機関が、各局限りにおいてややもすれば試験研究のテーマと方針とが決定いたされやすくなっておった結果を会議まで持ち上げていく。全局にわたる試験研究機関についてのテーマの研究をやる、こういうことになるわけでございまして、むしろ現在は上から下りてくるというよりは、各試験研究機関からいろいろ上ってきまする試験研究機関総合調整ということも、一つ会議の大きな仕事になる。それからもう一つは、農林省全体としては、やはりどういうことを基本的に持っていくかどうかという問題についても、十分会議において研究して、その方針のもとにおいて試験研究機関においてそれを分担していく、そうして研究していく、上から下りてくるものと、下から上ってくるものと、そういう二つの道筋があるものと承知しております。
  47. 江田三郎

    江田三郎君 さっき改良調査会ですか、おれの結論というものは尊重されておると、こういうようにおっしゃったのですね、そうですね。あの改良調査会結論というのは僕もよくわからんのですけれども、あの中で一番やはり重点を置かれているのは事業費の増加ということじゃなかったのですか、それは今度きっちり尊重されていくわけですか。
  48. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 改良調査会では、それを一つの大きな結論にいたしております。それからプロジェクト・リーダー・システムの再検討というようなこともございましたのですが、事業費人件費に対する割合を、参議院の御要望もあったように持っていくということにつきましては、会議経費の中に試験研究強化の費用として一億円組んである。また試験研究機関施設費として新規に一億五千万円、計二億五千万円が会議に新たにそういうような試験研究の促進費として組まれたわけでございますので、十分反映しているものと存じます。
  49. 江田三郎

    江田三郎君 去年の参議院の農水委員会でやった結論というものは、まだまだ十分反映されてはおらぬと思うのだけれども、関連質問だからあとでそれはまた私の質問のときにやります。
  50. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今お答えの中にありました、下部試験研究機関意見を十分聞いてやるというような話でございますが、今までにその下部から盛り上ってくる意見はそういうものが多かったのでございましょうか。
  51. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 下部と申しますか、地域の試験場等で、地域の試験研究いたしまして、地域をこえるものは全国的な段階において西ケ原の農業技術研究所研究をする、そういった状態でございますが、むしろ問題は、普及員を通じて農民の声が県の試験場に上り、あるいは県の試験場から地域に上ってくる、こういったようなシステムでございまして、そういう点につきましては、たとえば災害等においても、育種の問題等――いろいろ技術的には先生の方が詳しいかと存じますが、あるわけでございます。そういう点をプロジェクト・リーダー・システムで検討いたしまして、予算化していく、こういうように改良局としては進んでおるわけであります。
  52. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 提案理由によりますれば、この会議は大所高所に立ちまして、農林水産業及び農山漁家の生活にかかわる試験研究の基本的計画を企画立案し、その方針に基きまして各試験研究機関の行う試験研究に関する総合調整、指導等を行うと、こうなっておりますが、この会議を新たに設立せずして、現在の機構でこのようなことが行えるかどうかということが一つ。それから現在の組織のままでも金を出しますればりっぱに運用できるように思われるが、これはどうか。それから金がないために連絡会議が開かれず、また資料のプリントもできない、そのために研究者が相互の連絡ができないというような状態にあるのではないかと思うのでございます。新たに設置しなければならないならば、従来の試験研究機関の実施は欠陥があったのではなかろうかと思うのでありますが、その欠陥と機構の設置の理由を詳しく説明をしていただきたいと思います。
  53. 大石武一

    政府委員大石武一君) お答え申し上げます。今までの各種の、及び各地方の試験研究機関も、それぞれ非常な働きをいたしまして、日本の農業の進歩なり農村経済の向上に一番努力いたしておると存じております。ただし、このようにただいま問題になっておりまする最高技術会議のような、全部の試験研究機関を統合して、そこで重要な研究方針をきめるとか、あるいは課題を選ぶとか、それによって分担研究するというような施設方法は今までございませんので、やはりこれはもっと早くからこのような施設が、方法があるべきであったろうと思うのでございます。従いまして、今までの別に研究機関なり研究法において不足があったとか、あるいは努力が足りなかったということは決してございませんけれども、やはりこのような全体を総合するような、いわゆる大所高所から見るようなやはり会議と申しますか、指導方針のものはぜひあった方が今後の農業の向上にも非常に役立つと、こう考える次第でございます。なおこの会談が十分に機能を発揮しますように、ことしは初めてでございますので、必ずしも要求通りとは申されませんけれども、今後これを広く重要視いたしまして、この方の予算は十分に獲得する方針でございます。なお詳しいことに関しましては文書課長よりお答えいたさせたいと存じます。
  54. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 農林省試験研究機関は非常に種類が多いことは、あるいは三橋委員も御存じのことと存じます。農業関係にいたしましても、農業技術研究所があり、さらに各ブロックに八つの農業試験場を持っておりまするし、あるいは蚕糸の試験場は別途これは一つございまするし、その他家畜衛生試験場、あるいは食糧研究所でありますとか、あるいは林野関係につきましては林業試験場、水産につきましては水産研究所、あるいは真珠研究所、それから、以上申しましたのは自然科学的な試験研究部門でございまするし、さらにまた社会科学的な試験研究部門といたしましては総合農業研究所というふうに非常に種類が多いということと、そのそれぞれの試験研究部門が非常に何と申しまするか、専門分野にわたりまして深く調査研究をして参らなければならない、これが農林省試験研究の特質の一つであろうかと存ずるのであります。こうした非常に複雑であり、多岐にわたりまする試験研究の機能と申しまするか、運営につきまして、従来これを総合的に、この法案がうたっておりまするように調整をいたしまする機能としては何らないのでございます。次いで申しまするならば、農林省の官房がその衝に設置法上は当るべき性格のものでございます、具体的に申しまするならば、これらのそれぞれの試験研究機関予算編成等につきましては、官房の予算課が編成についての最終決定をいたしておるように、予算課は予算編成を通じまして試験研究の翌年度の計画等についてタッチができる、総合調整ができるという程度のものであろうかと存じます。それ以外のものにつきましては、たとえば決算等から見まして、官房の経理課なりあるいは考査室等が若干のタッチをしておるという程度ではなかったかと存じます。従いまして、今後におきまする試験研究の基本的な方針でありまするとか、あるいはいろいろな各試験場から出て参りまする試験研究の要求は、中にはそれぞれダブるものもあるのではなかろうか。それらを調整します機能というものにつきましては、どうしても新しい何らかのそういう機能を果しまする機関が必要になって参ったのでございます。これがこの新しく技術会議を設置します根本的な理由に相なろうかと存じます。
  55. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 国の試験研究機関と相関連いたしまして、地方の農業試験研究機関というものも相当な役目を演じていると思うのでございます。しかし試験研究機関は、国においても県においても同様に、非常に冷飯を食わされているというような状態でございますが、国の方の試験研究事項に関連しまして地方の農事試験場で行なっていることにつきまして、一体農林省でどのくらいの金を出しておられまするか。
  56. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 試験研究につきましては、御承知の通り、全国を通ずる基本的なものは西ケ原の農研でやりました。それから地域共通の基本的なものを国の農業試験場で実施しておりますが、各県にその基本的なものを実施するなり、あるいは各県の地方に適応した実験をやるために、各県におきましては御承知の通り農業試験場が設立されておる、こういうことでございまして、国の試験も県で実施いたしております試験も、みな一つの非常な密接な連絡があるわけでございまして、国の実験、研究につきまして、地方の農業試験場には指定試験あるいは連絡試験、あるいは営農試験といったようなだんだん農業の実際に密着した試験が実施されておる段階でございます。それに対しまして、国の分には直接の予算を計上いたします。それから国の農業試験場に実施いたさせます、国との関連におきまして試験研究機関には補助金を出す、こういうことになっております。ただいまのところ、合計都道府県の試験研究機関に補助金として流しておりますものが、三十一年度におきましては二億七千三百万円程度がございますが、これは都道府県の農業試験場への補助、それから都道府県の蚕業試験場への補助、それから林業試験場への補助、こういった農林省全般の予算でございます。農業試験場、それから蚕業の試験場、林業関係合せまして二億七千三百万円、そのうち一般農業関係の分が二億六千、こういうことになっております。
  57. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今お話を伺いますと、農業会議の使命というものは相当重大なものだと思うのでございますが、しかし重大使命があるにもかかわらず、この要綱を見ますると、農林省付属機関ということになっておるのでございますが、付属機関くらいのことでこういう重大使命を達することはできるのでございますか、一体。
  58. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 技術会議は御指摘のように会長と委員六名をもって構成いたしまして、それに事務局を付置するように、一種の合議体の機関に相なっておるのでございます。もとより一般の行政委員会のように対外的に意思決定をいたすものではございませんで、主として農林省内部において、農林大臣付属機関として省全体を総括する、全体の試験研究についての総括をして参る。しかもそれが先ほど御説明申しましたように非常に分野が多岐にわたります。従いまして、とうていある一人の局長とか長官とか、こういった独任的な機関の判断だけでは処理が困難であるという意味合いから、合議体の委員の合議によりまして方針なり調整の決定を願う、やはりかような組織にいたしておるのでございまして、またそうした組織であって、初めて連帯の十全が期し得られるのではなかろうか。なおかつふだんの事務的な処理につきましては、事務局を付置いたしておりまするので、そうした運営方式が最も効果的でもあると存ぜられるのでありまして、さような意味合いから付属機関という形式をとりまして、あえて行政委員会的な、外局的な大きな機構、組織的には大きなそういう機構をとる必要を感じておらないのでございます。
  59. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今のお話を伺いますると、この会議の重大使命というものを達するにははなはだ貧弱だと思うのでございますが、予算の折衝を行なったり、広く日本の農業に関する試験研究機関の調整とか、あるいは運営という点に企画をしていくという立場におきましては、やはりこれは付属機関というようなことではなくて、もっと外部的にも力のあるような、行政的な地位を持ったものに将来する気があるのでございますか、ないのでございますか。
  60. 大石武一

    政府委員大石武一君) これは発足当時でございますので、このような形式をとりまして、おいおいにはお話の方向にも移ろうかと考える次第でございます。なお、この委員会は、会長以下委員には非常に優秀な人を選任いたしまして、なお事務局長には事務次官に匹敵する省内の人物を充てたい、こう考える次第でございます。
  61. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 次に会議内容及び所管事項に関することでございますが、この法律案の要綱によりますると、所掌事務は六項目にわたっておるようでございますが、それぞれの具体的な内容をお聞きしたいのでございます。
  62. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 法案の第十四条に「会議は、左に掲げる事項を行う機関とする。」と規定いたしてあります。第一号に、「農林畜水産業及び農山漁家の生活に係る試験研究の基本的な計画の企画及び立案に関すること。」を掲げておりますが、この基本的な計画の企画と申しますると、先ほど来もいろいろ御意見が出ておりますように、試験研究方針の根幹となる基本計画をどうするか、こういった問題、あるいは各試験研究機関の協力を必要とするような試験研究についての総合研究計画を立てていく。あるいはまた各試験研究機関の組織や運営についての基本計画をここでやはり立てて参るというふうな問題、さらにはまた各試験研究機関施設の整備、施設をどのように整備して参るべきかというふうな問題を、もちろん具体的な問題は除きまして、基本計画をここでやはり立てて参る。さらに試験研究の、たとえば能力の向上はどういうふうにして参ったらよいかというふうな点も、やはり基本的な事項に相なろうかと存じますが、そうした基本的な計画の企画なり立案をやって参ることが第一号に掲げておる事項でございます。それから第二号には、「農林省試験研究機関の行う試験研究に関する事務総合調整に関すること。」ということをうたっております。これは試験研究関係のあらゆる予算をこの会議が審査あるいは調整をした上で予算要求を行うというふうな、予算の調整の問題が第一に考えられることと存じます。さらにまた、試験研究機関の重要な人事等におきましても、調整を必要といたしまするならば、この会議でこの第二号の規定によってその処理が可能であると存じます。第三号の「農林省試験研究機関の行う試験研究の状況及び成果の調整」でございます。これは、文字通りそれぞれの試験研究機関が行なっておりまする研究の状況なり、あるいはいかなる成果をあげているかということの調整を行うわけでございます。第四号の、「農林省試験研究機関運営の指導に関すること。」という要項でございまするが、これは農林省のそれぞれの試験研究機関が行いまする試験研究の実施面自体について、相互に緊密な連絡のもとに均衡を保持しながら行うことによりまして、総合的な効果を発揮し、かつ行政上の要請に的確に即応するような必要な調整を行う、こういう趣旨でございます。第五号に掲げておりまする「都道府県その他の者の行う農林畜水産業又は農山漁家の生活に係る試験研究の助成に関すること。」でございまするが、これは、たとえば農林省のそれぞれの局が試験研究関係の助成をいたしておる仕事がございますが、それらの基本方針をここでやはり樹立をしますとか、あるいは実施について必要な調整もはかって参る。あるいはまた、例外的には、一部局だけでは助成することが困難な総合的な試験研究等があるのでございまするが、それらは会議みずからが助成することが考えられようかと存じます。これが第五号の規定でございます。第六号には、「農林省試験研究機関の行う試験研究と農林畜水産業及び農山漁家の生活に係る知識の普及交換の事務との連絡調整に関すること。」でございますが、試験研究というものが生産者の実態と遊離しないように、試験研究の成果が円滑に普及行政に移されまして、そうして生産者に活用されなければ意味がないのでありまするし、一方生産者の技術上あるいは経営上の要求が普及行政を通じましてスムーズに試験研究というものに反映されていくようにいたしたいというのが第六号に規定している事項でございます。  以上でございます。
  63. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 そこで、今事務内容を伺ったのでございますが、その内容のことにつきまして、まだ一、二お伺いしたいと思います。まず第一に、この会議農林省の各試験研究機関との関係は一体どうなるのでございますか。
  64. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 法案の第十四条の全体からこれは出てくることでもございまするが、法案の十四条の中にも、いろいろ試験研究機関の行う試験研究に関する事務総合調整でありますとか、あるいは試験研究の状況や成果の調整でありますとか、あるいは第十四条の第四号に規定しておりまするように試験研究機関運営の指導であるとか、こういう規定の仕方をいたしておりまするので、それぞれの各試験研究機関の、この会議が何といいますか、最高の中央機関になる、かように理解をいたしております。
  65. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 最高の中央機関といいますると、中央技術研究所はもちろんのこと、地域試験場もその支配下に置かれるということに解してよろしゅうございますか。
  66. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) その通りでございます。
  67. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 それから「都道府県その他の者の行う農林畜水産業又は農山漁家の生活に係る試験研究の助成」でございますが、この助成と申しますのはどの程度におやりになるのでございますか。
  68. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 従前農林省におきましては、都道府県の試験場につきましての援助は、それぞれの局におきまして助成の事務を担当いたしております。この法案の十四条の第五号に規定いたしておりまする趣旨は、従来各局がそれぞれそういう助成の事務を行なっていますことを、直ちに排除するものではございませんけれども、先ほど来申しまするように、一部局だけに助成することが困難な試験研究等があると思います。特に最近いろいろな、たとえば原子力の平和利用でございまするとか、あるいは試験研究の分野が開かれつつございまして、それはある特定の一部局だけではかえって能率を阻害するというふうなものがございまして、そういう数部局、あるいは二部局以上にまたがりますような試験研究につきましては、会議がみずからこれを都道府県等に対して助成をして差しつかえない、かように解釈をいたしております。
  69. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今までもそういうようなものはたくさんあったと思うのですが、たとえばパラチオンの人体に対する障害を緩和するために、厚生省などと共同研究をやっていかなければならぬものもあったと思いますのですが、これまでそういうような面で、多少ほかの省から農林省の方で金をとって、そして研究機関にやったという例はございますか。
  70. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 農林省の方で予算を組みまして、農林関係試験研究に配分する、あるいはその配分におきまして、研究のテーマが農林省以外の試験研究であった場合、たとえばこれまでに厚生省の衛生試験場、そういったところに委託した方が適当である、あるいは府県の試験場に委託した方が適当である、そういうものは応用研究費目の中からテーマを限って委託試験といったような形で出しております。また半面、ほかの方からは、特に文部省関係が一部、農林省の方に試験の実施の委託があったと承知しております。
  71. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 農林省の方からはほかの方に出した例があるけれども農林省の方でほかの方から出してもらった例はないと、こう言いますけれども、広範な増産並びに生活改善というようなことになりますると、農林省だけの問題でなくて、ほかの省とも折衝をして、むしろほかの省に予算を組んでもらって、農林省の方に回してもらって適当なものがあると思うのです。そういうようなことについて、この会議というものは、やはりそういうようなことを認めて、他省に働きかけるということはあり得るのでございますか、どうでございますか。
  72. 大石武一

    政府委員大石武一君) 仰せ通りでございます。この最高技術会議だけで、あとはそれが孤立して、ほかは何もしないということは決してございませんので、たとえば科学技術庁とも密接な連絡をとりまして、相当いろいろな共同のこともいたしますし、また各省とも十分いろいろ連絡を前よりも緊密にして、この窓口を通じていけばやりやすいと思いますので、そういうような方針で、できる限り実態に沿うように運営して参りたい、こう考えております。
  73. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 この法律案の要綱の所掌事務の一項に、基本的な計画及び立案に関することとありますが、この基本的ということはどの程度のことをするというのか、これは一つ例をあげてお伺いしたいと思います。
  74. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 私も実は技術者でございませんので、的がはずれているかと存じますが、試験研究の基本的な計画でございまするから、たとえば試験研究方針の根幹をなすものが何であるかというふうな問題も、抽象的には言えるのでございますが、私の感じました点では、たとえば農林省は原子力の平和的な利用、特にアイソトープをトレーサーとして利用いたしましていろいろな研究をすでにやっておりますけれども、それなども当面一番……たとえば今やっておりますのは蚕種についてやっておりまするし、一般農業についてもやっておりまするし、あるいは家畜衛生試験場あたりでもそういうものをいたしておるのでございますが、それをそれぞれの試験研究機関が、それぞれの着想に基いてやることそれ自体は決して悪いことじゃないと存じますが、おのずからその中に緊急度とかあるいは重要度とかというものがあってしかるべきではなかろうかと思います。従いまして、場合によりますれば、農業部門でやっておりまする稲の品種改良等はしばらく待っても、たとえば水産の方のアイソトープの利用等についての試験研究を促進すべきであるとか、そういう基本的な何か方針というものが生み出されるような場合があり得るのではなかろうか。例が果して的確でございましたかどうですか、じくじたるものがございまして恐縮でございますけれども、そういうことが考えられるのでございます。
  75. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 どうも例は的確でございませんですね。(笑声)と申しますのは、今農山方面の技術指導なり試験研究をやめてアイソトープにいくというのは……品種改良を休まなければならぬ、まあ品種改良というものは時代が続いているのですから、一年休んだら今までの研究というものは無になってしまうのでございます。得てして試験研究機関の方も流行とかというものは確かにあります。しかし農業関係試験研究事項につきましては、進む段階においては、流行は一、二のものはあってもいいと思うのですが、しかし国があげて古いものを捨てて新らしいものにいくというようなことになりますると、一つの品種をこさえるにも十五年二十年かかることは、これはまれでないのです。それをアイソトープがはなやかになったからそっちの方に研究者を向けてしもうて、あとの方は下げなければならぬということになりますと、先にやった十五年二十年というものは全く水のあわになってしまう。それですからほかの科学技術の研究などというものと農業関係試験研究というものとは多少見方を変えて、腰を落ち着けて試験研究をやっていく、こういう雰囲気を作っていかなければならぬと思うのです。この会議によって総合調整をはかってゆくということはなかなかもっともらしいことでございますけれども、こういうようなことはもう過去すでに何べんも試験研究の管理をやったことがあるのです。あるけれども、その実績は思うようにあがらぬということはどんなところにあるかということをもう二度研究してみなければいかぬことだと思っているのですが、そうなって参りますと、やはりこういう会議などを設けましても、過去の試験研究機関の調整というものができなかったという歴史的の事実というものも十分研究していただかなければならぬので、こういうようなものができたために、ほんとうに農業の試験研究機関としての落ちついた性格を破壊しないように十分一つ注意してもらわなければならぬと思うのでございます。なおまた要綱の中にあります事務総合調整ということがありますが、事務内容総合調整ということとはこれはどういうことを行うのか、また調整については実際にどのようにして行われるのか、その例をあげて説明をしていただきたいと思うのです。
  76. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 事務総合調整でございますが、試験研究に関しまする事務としてさしあたり私ども予想しておりますことは、試験研究関係予算であります。予算が第一であります。それからさらに考えられますることは、試験研究機関の重要人事等につきましても考えられるのではないかと存じております。
  77. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 その次は会議運営のことでございますが、試験研究機関の管理を会議のほかに原局あるいは原庁でも従来通り行うということでございますが、それでは二重行政になるように思うのですが、これは弊害はございませんか。
  78. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 御指摘の点ごもっともな御意見だと存じます。設置法上はそれぞれの原局に試験研究に関しまする行政事務を一部残しておりまするし、一方技術会議はそれらの原局の事務も含めまして、全体を総合調整するというふうな立場に立っておりまするので、運用よろしきを得なければ、ただいま御懸念のような点も全然予想されなくはないと存ぜられます。しかしながら、そのために先ほども申しましたように、この一つの機関が会議体にされた大きな理由もそこにあるのではなかろうかと存じております。それぞれの分野に明るい会長並びに委員が六名おりまして、なおかつ法案の十五条の三号にも規定いたしておりますように、会長、委員は任期制をとっておりまして、任期は四年、大臣がかわったからといって直ちに会長や委員の解任が行われる、改選が行われるということであっては、ただいま御指摘のように試験研究というものの性質を無視するということに相なりまするので、さようなことも配慮に入れておりまするし、なおかつ法律の文面には現われておりませんけれども予算上は専門委員という者を十名程度置く予定にいたしております。これらもそれぞれのたとえば試験研究に明るい試験研究の担当者でありまするとか、あるいは原局の専門家でありますとか、さような専門家を委嘱をすることが可能でございます。その間の調整も連絡よろしきを得れば十分調整が可能であると解釈をいたしております。
  79. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今、二重行政というようなことにつきましては、これはまだ懸念のあることだと思うのですが、運営よろしきを得ればその弊を除くことができるというので、一応そこはそれといたしておきまして、特に予算編成、それから予算の折衝、それから配分の方法、それから人事について従来のやり方及び今後のやり方につきまして具体的に一つお話を伺いたいと思うんです。
  80. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 従来の試験研究予算要求の手順といたしましては、それぞれの試験研究機関から要求の出ましたものをそれぞれの関係の局で取りまとめをいたしまして、官房の予算課長のところで査定を受けておりました。その査定でまとまりましたものを大蔵省に説明をいたします。その説明はそれぞれの関係の局と、あるいは必要に応じまして試験研究機関も説明に参っておったと存じております。さような要求の手順を踏んで参っておりまするが、今後この技術会議ができて参りますると、技術会議はまず技術会議で来年度予算要求の、農林関係試験研究につきましての予算の要求の基本方針をまず御決定を願うわけでございます。それが第十四条の一号にも、先ほど触れた点でございますが、規定があるわけでございまして、そういう予算編成の最高方針基本方針というものがきまりますると、その基本方針にのっとりまして、各試験研究機関予算の要求書をお作りになり、会議の承認を経られました上で予算課に対する予算説明を行う、かような段取りになりまして、従前とそこに……、あるこういう一つの特定の機関によって濾過されたものが予算課に参る、各局各局それぞれの、あるいは各研究機関それぞれの独立した考え方だけでなくて、総合的に調整され、濾過された案というものが官房の予算課に説明されて参る、それが決定された上で大蔵省に要求をする、かようなことに段取りが変って参るのではないかと存じます。また予算の配分の方でございますが、この配分の方も、従前はそれぞれ予算が取れますると、それを主管しておりまする原局がその予算の配分をいたしておるわけでございまするが、会議ができますると、まず会議が一応予算執行の全部を掌握されることに相なろうと存じます。もっとも会議が全部の予算の配分権を掌握いたしまするけれども、そのうち、たとえば非常に事務人件費等のコンスタントに支出されるようなもの、これらはそれぞれ関係の原局を通じた方がよりベターでございましょう。それで会議わざわざ人を擁してまで計算する必要はない、むしろ先ほど申しましたような基本的な重見な予算の配分、あるいは各局にまたがりまして調整をしなければ配分が困難なような予算、そうしたものは会議みずからが配分をされてゆく、かようなことに変って参るのではなかろうかと存じておりまするが、これらもすべて会長なり委員なりが合議でおきめになることでありますので、一にかかって今後の会議の運用に期待される点であろうかと存じております。
  81. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 試験研究と行政との間には緻密な関連が必要だと思うのでございますが、この関連をどういうようにして確保するのか、それから各局間、特に各局の付属研究機関というものがありますが、その相互の間における調整というものはうまくゆくのかどうか、どういうような方法でそれを調整してゆくのか、それをお伺いしたいと思います。
  82. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 御指摘の点、われわれも懸念のある点でございます。従いまして具体的には今度できまする事務局が司会をいたしまして、それぞれの各局なりあるいは各局に属しておりまする試験研究機関の人々と、何と申しまするか、連絡会議と申しますか、連絡調整会議とでも申すものを絶えず開きまして、技術会議と、各局並びに各局関係のありまする試験研究機関との連絡を密にして参りたい、かようにただいまのところ考えております。
  83. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 局内の連絡を緊密にすることはもちろん必要でございますが、緊密にいたしまして試験を行うこととなるわけでございますけれども試験研究機関のこまかい部分にまでわたって会議は指導を行うのでございますか、どうでございますか。それからまた、その指導が予算を伴った場合におきましては、研究者に対するいろいろな意味の圧力にならないかどうかということ。それからその指導というものの範囲はどの程度でやられるのか。なおまた会議が人事の問題まで行うとしましたら、その指導は人事にまで及ぶおそれはないかどうか、こういうようなことを一つお伺いしたいと思います。
  84. 大石武一

    政府委員大石武一君) お答えいたします。  御懸念の点に関しましては、ごもっともでございまますので、そのようなことをいたさないような方針でございます。たとえばこの技術会議が、六人、会長入れて七人の委員でございますし、事務局がありましても、全部の各地の試験研究の機関のこまかいところまで容喙できるような、とてもそんな事務は扱い上できませんし、やはり農林省としてどうしても農山漁家の生活の向上に関する基本的な問題を中心として、それを重点的に指導をする、分担するというようなことをするわけでございます。もちろん各研究機関には固有の方針なり予算なりがございましょうから、それを尊重して、それをただ全体の大きな問題を誤まりなく取り上げさせるということになるわけでございます。  たとえば先ほど仰せられましたように、技術会議は参謀本部のようなものでございまして、あとの各試験研究機関は、何と申しますか、各前線部隊と申しますか、そういうものであろうと思うのでございまして、人事とか何とかいうこまかいことまでは干渉いたすべきではないと考える次第でございます。
  85. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今、一番おそれますのは、試験研究機関におります研究員は、安定した気持で試験研究を継続するということは、これは能率を上げる上においても一番必要なことだと思う。試験研究には二つの方法があるでしょうけれども一つは行政上の必要から研究しなければならぬことがある。一つは科学的立場によって研究をしていかなければならぬ事柄、二つあると思うのですけれども、行政上の要請によって試験研究をやらなければならぬ、こういうものが起りました場合に、そういう組織があればけっこうでございますけれども、そういう組織がない場合におきましては、既存の組織を削減いたしまして、その方に持っていかなければならぬというような、こういう事態が起ると思うのです。そうなってきますると、先ほどもお話し申し上げましたように、農業方面の試験研究というものは、たとえそこに三十人就職しましても、稲作につきましては三十件よりも試験ができないのでございまして、ただ一時の行政的な要請によってこういうものをやらなければならぬ、それにはこういう組織の方から削減してこっちの方へひっつけていくといったら、前にやっておった研究というのは一時中絶される、こういうおそれが出てくるわけでございます。そこで指導的なそういう問題が起りました場合に、これは既存の組織を削減していくのか、それとも新たにそういう指導部隊を設けてやっていくのか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  86. 大石武一

    政府委員大石武一君) 今のような御懸念は、これは会議ができてから急に起って参りますのではなくて、今までもそういうことはたびたびあったわけでございます。たとえば黄変米問題が起れば、黄変米の急な研究をしなければならぬ。いろいろな問題が起ると思うのでございます。これはもちろんそういう問題が起りました場合には、その研究のために今までの研究をやめるとか、あるいは機能を停止するとかいうことは一切やらないで、新たなそういうような研究の部門と申しますか、機関を作ってやらすべきだろう。そうでなければ根本的な長年月にわたる基礎的な研究はできないと考える次第でございます。
  87. 青木一男

    委員長青木一男君) 三橋君、大体この程度できょうの議事はやめる予定になっておりますから……。
  88. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 まだ少し残っているのですが……。
  89. 青木一男

    委員長青木一男君) この次に……。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十六分散会