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国務大臣(清瀬一郎君) 今お問いのうちに、これらのことも臨教審で取り扱うべきだとおっしゃるのは、私もその
通りだと思っております。皆さんどう
考えておられますかを……、(「あなたの
考えだよ」と呼ぶ者あり)よく徴したいと思っております。お問いでありますから私個人として
考えておることを申し上げてようございましょうか、これは文部省の意見でも
政府の意見でもございませんから……、そういうことは諮問したのちにまたきまる。私は君が代はやはり時代とともに新たら感覚で解釈しなければならぬと思うのです。今の憲法では――天皇陛下、君が代の君は天皇陛下のことを言っておるのですね、天皇陛下は国民結合の象徴なんです。また国家の象徴でもあられるのです。そこで、君臨というと非常にこれも古い言葉でいけませんけれども、やはり天皇陛下が
日本の……英語ではレーンと言いますかね。イギリンではキングはレーンするけれどもガバーンせぬと言っている。イギリスと
日本とは違いまするから。ですが、まあ
日本の伝統的の皇室であります。ですから、
昭和時代は
昭和何年と今でも言っておるのですね。今の天皇が御即位になってから。大正天皇のときが大正時代、そういう意味で
昭和時代をレーンされておる天皇だから、この時代を私は「君が代は」というように言うてもいいであろう。イギリスのような民主主義の国でも、向うの国歌には、「ゴッド・セーヴ・ザ・クイーン」、また、男の時分には「ゴッド・セーヴ・ザ・キング」と言っております。それと同じように、やはり「君が代は」と、……
日本の現在の時代、法律で言えば、民主主義で、主権は戦後違って、国民にあるけれども、
日本の国民が主権を持っておる、民主国の民族的象徴として
昭和時代ということで今の時代をレーンしておられるのだから、この天皇の御治世、治めるという意味、この天皇の治世をお互いに謳歌して千年万年どうか続けて下さい、こういう意味です。昔古今集にあった時分にはまた違う意味と思います。また、明治時代は違う意味でわれわれ歌ったんですけれども、この終戦後の
日本の国家体制にやはり順応するようにこれを解釈していいじゃないか。あの施律は、譜は外国人が作りましたが、
日本の雅楽からきているもので、簡単なメロディーだけれども、まあ非常にいい施律じゃと思っておりますから、私自身に問わるれば、君が代は歌いたいと思うんです。あのスポーツなんかのときでも、君が代を歌うて
日本の国旗をあげる。(笑声)あのときには必ず歌うことじゃね。よくありませんか。これは私は否定する
考えを持っておりません。
第二の紀元節ということですね。今紀元節は祝祭日じゃありませんから、これを祝祭日として人に押しつけることは私はよくないと思うんです。今
日本は法治国家じゃから、法律でこしらえた祝祭日だけは、これは休日にして裁判上の期間の計算も祝日だけは日曜と同じように数えないでいく。しかし紀元節はそうじゃございませんけれども、まあ明治時代から八十年ほど紀元節と名づけてわれわれは
わが国肇国の日と思っておるんです。このことになると、歴史、神話、すなわち歴史観、神話観ということに関係すると思う。私は神話とか伝説というものは、それをほんとうの歴史じゃと教えちゃこれは非科学的です。けれども、神話だ伝説だということを
承知の上、伝説に書いてあることを紀元として一年の行事をすることは妨げないと思うのです。迷信でも何でもない。
日本書紀に、庚辰春正月とちゃんと
日本書紀というものにあって、これは必ずしもこのごろの歴史と言ったり、大東亜戦争で負けたとか原爆が落ちたとかいう、そういうような歴史じゃなくして、
一つのレージェンドであり、マイソロジーである。ギリシャの神話でも、あれはあったことじゃありませんよ。キリストが天へ昇天したといっても、
飛行機のない時代で天へ上られるはずはない。何ぼキリスト教の信者でも、そうは言えないでしょう。天へ上ったはずはない。お釈迦様だって生れたとき八歩歩いて天上天下唯我独尊と言った……。何ぼお釈迦様でも生れたときは赤んぼですからね。(笑声)それを知っておって釈迦誕生と言っておる。そういうような意味において、やはり
日本書紀を基準として、もっとだれかいい
研究者があって……。これだけは事実だと思うんです。神武天皇なんてああいう名前であったか、ウガヤフキアエズノミコトと言ったか知らぬが、大和あたりで肇国されたということはどうもこれは事実らしいです。いろいろこれは歴史家に聞いてみましたが、ただそれが二月十一日にあたるかどうかということは(「簡単にやって下さい。」「あなたの神話論を聞いているんじゃない」と呼ぶ者あり)ちょっと待って下さい。それでやはり新たなる歴史上の日が発見されぬ以上は、新たに科学的に精密な日が発見されぬ以上は、二月十一日を
日本肇国の日としてお祝いは私はしたいと思っておるのです。現にいたしております。