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1956-05-21 第24回国会 参議院 内閣委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十一日(月曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————   委員の異動 五月二十日委員西郷吉之助辞任につ き、その補欠として佐野廣君を議長に おいて指名した。 五月二十一日委員佐野廣君、井上知治 君及び菊川孝夫辞任につき、その補 欠として西郷吉之助君、佐藤清一郎君 及び亀田得治君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            野本 品吉君            宮田 重文君            島村 軍次君    委員            青柳 秀夫君            井上 清一君            木島 虎藏君            大村篤太郎君            西郷吉之助君            佐藤清一郎君            江田 三郎君            亀田 得治君            田畑 金光君            永岡 光治君            松浦 清一君            吉田 法晴君            廣瀬 久忠君            堀  眞琴君   国務大臣    国 務 大 臣 倉石 忠雄君    国 務 大 臣 船田  中君   政府委員    内閣官房長官 田中 榮一君    内閣総理大臣官    房審議室長   賀屋 正雄君    調達庁次長   丸山  佶君    調達庁不動産部    長       大石 孝章君    防衛政務次官  永山 忠則君    防衛庁次長   増原 恵吉君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    防衛庁教育局長    事務取扱    都村新次郎君    防衛庁人事局長 加藤 陽三君    防衛庁経理局長 北島 武雄君    防衛庁装備局長 小山 雄二君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国防会議構成等に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国の防衛に関する調査の件  (基地問題に関する件)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより内閣委員会を開きます。  委員変更について御通知いたします。  五月十九日、館哲二君、佐藤清一郎君が辞任されまして、その補欠西郷吉之助君、青柳秀夫君が選任されました。五月二十日、西郷吉之助君が辞任されまして、その補欠佐野廣君が選任されました。五月二十一日、佐野廣君、井上知治君が辞任されまして、その補欠西郷吉之助君、佐藤清一郎君が選任されました。   —————————————
  3. 青木一男

    委員長青木一男君) 国防会議構成等に関する法律案議題といたします。  質疑を行います。
  4. 田畑金光

    田畑金光君 大臣にお伺いいたしますが、国防会議構成の問題で最初にお尋ねしたいことは、当初、二十二国会に当時の内閣提案されました国防会議構成については民間人を五名以内入れる、こういうことになっていたわけであります。今国会になりまして、この法律案が出されるまでにもいろいろ与党あるいは閣内において入れるべきである、あるいははずすべきである等々の議論が繰り返されて参ったわけです。たとえば二月十日に与党岸幹事長石井総務会長芦田均木村篤太郎根本官房長官、こういう方々が相談されたときには、民間人を加えないで、二十二国会衆議院修正案でいくことが決定になった。ところがその後、自民党の政調会国防部会等においては参議という形で加える。こういう意見も出て参っているわけです。さらにまたその後参議というような名前ではおかしい。顧問にしよう、まあこういうようなわけで紆余曲折を経て党内でなかなかまとまりがつかず、ついに総裁裁断ということで、前国会修正案に落ちついたわけですが、われわれといたしましては、この国防会議構成の中で特に問題として取り上げなければならぬことは、今言った民間人を加えるか加えないか、この問題だと思うわけですが、どういうわけで民間人を加えなかったのか、これについてまず伺いたいと思います。
  5. 船田中

    国務大臣船田中君) 国防会議構成につきましてこの法案を作成する過程においては、ただいま田畑委員の仰せられたような党内においてもまた政府と党との関係におきましても、いろいろ論議のありましたことはこれは事実でございます。国防会議という相当国家施策として大きな問題でございますし、ことにまた審議をいたして参りまする問題が国防基本方針とかあるいは防衛出動可否であるとかというような相当大きな問題を論議することになりますので、この国防会議構成につきましては十分慎重に議論を戦わせまして、そうしてついに現在のような、規律提案いたしておりますようなものに落ちついたわけでございます。民間人を入れた方がいいという御議論にも相当理由はあると存じます。そこで民間人を入れる場合にはどういう形で入れる方がいいか、議員として入れるかあるいは参与とか、顧問とかもしくは参議というような名前で入れるがよいか、いろいろ原案作成過程におきましてはただいま御指摘のございましたような論議が戦わされたのでございますが、しかし最後決定になりましたときに、結局これは第二十二国会におきまして衆議院修正を受けておることでもあり、そしてしかもそれが衆議院における多数によって決定せられ、それが適当である、かように結論せられまして、そしてこの原案提出するということになった次第でございます。
  6. 田畑金光

    田畑金光君 五名の閣僚国防会議構成する、総理大臣以下六名ということになるわけですが、現在の憲法建前から申しましても、あるいは防衛庁設置法建前自衛隊法建前からいたしましても、総理大臣陸海空三軍最高指揮官ということになるわけです。またいうまでもなく、憲法建前から申しまして総理大臣閣僚任免権を持つ、こうなって参りまするとです。やはり今の法律制度あるいはまた政治建前からいうと、総理大臣権限が非常に強大である。従って強大な権限集中化ということに対する何らかの調整をはかるということが大事だろうとこう考えるんです。結局統帥権の問題とつながってくると思うわけですが、とにかくその問題は後刻また質問することにいたしましてです。今申し上げますようにやはり総理大臣に過度に集中している権力というものを調整するためには、どうしても民間人等を入れておく、これが大事ではなかろうかと、こう思うんです。たとえば二十二国会のときも、鳩山総理大臣はこういうことを言っているんです。民間人議員の中に入れることが衆議院において削除されましたが、そのことに対しまして質問いたしましたところが、「私はまあ民間人が入っていた方がいいと思いましたが、とにかく国防会議というものの成立を必要と思いまして自由党修正に応じましたけれども」云々、それから「五名以下の民間人を入れるということができなくなった欠陥は、やはり民間人意見を聞く必要がありますから、ときどき民間人を呼びまして意見を聞くということによって、その弊害を防ごうと、こういうように考えております」、こういうようなことを申されておるわけであります。この内閣はかつての自由党も加わり、新しい内閣である、しかも鳩山総裁あるいは総理のもとに指導を受けている、こういう建前から申しますると、前国会において衆議院でたとえ修正を受けたといっても、新たな角度に立って今回の提案与党内部においても、政府部内においても論議を進めてこられたと考えるわけですが、鳩山総理自身もはっきりと認めておる、もしこれが単に総理議長として五名の閣僚構成するとしたならばどこに特色があるか。前国会でつぶれたときに政府はどういう措置をとられたかというと、防衛閣僚懇談会という形で防衛問題を取り扱ってこられたわけです。新たに法律によってここに国防会議を持つということも無意味なことではないと考えるわけですが、この点について大臣考え方と、今日までの経過について承わりたいと思います。
  7. 船田中

    国務大臣船田中君) ただいま田畑委員の仰せられたごとくに、民間人を入れるという御議論にも相当私は理屈はあると思います。また鳩山総理大臣が第二十二国会におきまして答弁されたことも、その通り鳩山総理もお考えになっておられることと存じます。しかし十分党内においても、あるいは内閣と党との話し合いにおきましても、それらの点を検討をいたし、慎重に審議いたしました結果、やはり先ほど申し上げましたように第二十二国会において衆議院において修正可決された、この御意見を尊重するということは国防会議構成として最も適当である、かような結論に達しましたので、この民間人を入れないという案を原案として提出ということになった次第でございます。しかしそれなら別に法律を作る必要はないじゃないかというような仰せでございますが、これは単に閣僚懇談会としてやって参りますものとは非常に違うと存じます。すなわち法律規定によってはっきりこの国防会議というものが設けられますし、そしてそれには第二十二国会のときとは違いまして、今度はとにかく事務局がこれにつきます。そしてなお、これはこの前の案にもございましたが、第六条の活用ということによりまして民間人意見を聞くこともできるようになっておるのでございますし、そしてしかも単に閣僚懇談会というようなことで、そのときどきに会議を開くのでなくして、十分関係閣僚国防会議議員としてこの国防問題、防衛生産等の問題について十分あらかじめ構想をもって、そしてこの会議に臨むということになりまするからして、従って単純な閣僚懇談会とは意味の違った、なお強力なものになるというように考えられるのでありまして、やはりそういう点を考慮いたしましたときにおいては、法律をもってこの国防会議構成をきちんと定めて、そしてこの国防会議を設置することが適当である、またそれは防衛庁設置法の要求しているところでもございましたから、そこでこの国防会議構成等に関する法律案提出した、こういう次第であるわけでございます。
  8. 田畑金光

    田畑金光君 国防会議の取扱い、権限としては、まあ諮問機関として五つの事項があげられておりまするが、国防基本方針防衛計画大綱、あるいは防衛出動可否、その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項、こうなって参りますると、これは国防関係予算等についても当然国防会議においていろいろ相談をする、また内閣総理大臣国防予算等について国防会議に諮らなければならない、こういうようなことになってくるかと思いますが、そのようになるわけでありますかどうか。  さらにまた予算編成と関連いたしまして、当然防衛分担金問題等についても国防会議等事前に諮って政府は処理をする、こういうことになって参ろうと思うのです。今後防衛五カ年計画、あるいは六カ年計画が達成されまして、政府のいわゆる本格的な軍備が確立されて参りますならば、当然国防の国の政治に占める地位というものは、役割というものは非常に大きくなってくると思うのです。また国防予算が国の財政の中に占める率というものも大きくなってきようと思うのです。そういうことになって参りますならば、当然防衛予算、あるいは防衛分担金、こういうようなものも当然国防会議等に諮らなければならない、こういうことになろうと思いますが、この点どういうことになりましょうか。
  9. 船田中

    国務大臣船田中君) ただいま田畑委員の御指摘のありましたようなことは当然私は国防会議議題になることと存じます。ただ最終決定をいたしますのは、言うまでもなくこれは閣議でございまして、その前提としての国防に関するあらゆる問題を大所高所から審議をし、そうして、原案を作成するというようなことになると存じます。しかしこれは国防会議はどこまでも諮問機関でございまして、最後決定をするのはやはり内閣の閉講が最後決定をするということになるかと存じます。
  10. 田畑金光

    田畑金光君 それは当然に最終決定においては閣議を経なければならぬことは、内閣法建前から言っても、憲法建前から言っても当然のことだろうと思うのです。ただしかし国防予算とか、防衛分担金、このような重大な国の財政のある意味においては骨格となるような問題が国防会議において事前に諮らなければならない、こうなって参りますと、非常に閣議の中におけるさらに閣議というような強大な役割を持つというような危険性もあると、こう思いますが、この点はどうチェックするか、この点について伺いたいと思うのです。  さらにまた財政法の一部改正法律案が今回政府提案として出されておりますが、この財政法の一部改正法律案を見ますと、要するに年算閣僚会議というものを設けよう、こういうことになっているわけです。この予算閣僚会議を見ますると、その構成内閣総理大臣大蔵大臣経済企画庁長官たる国務大臣、その他内閣総理大臣の指定する国務大臣二名以内、こういう予算閣僚会議というものを今回設けられることに政府提案をいたしているわけであります。そうしますと、防衛予算とか、防衛分担金については国防会議において一方においてかける。名前国防会議だけれども、実質は少数閣僚会議なんです。要するに防衛関係閣僚です。もう一つの面においては予算閣僚会議というものが設けられておる。この構成分子を見ましても、大体国防会議構成になっておる大臣が主としてこれに当る、こうなって参りますると、今度この予算閣僚会議というものと、国防会議というもののこれは関係はどういうことになるのか、どっちが先になるのか、こういうような問題等も出てきようと思うのです。これを一つ解明していただきたいと思うのです。
  11. 船田中

    国務大臣船田中君) 先ほど田畑委員お話がありましたが、この防衛分担金の問題につきましては、これは別に国防会議議題からはずさなければならんということはございませんけれども、しかしこれは大体すでに方針がきまっておりまして、日米間において本年一月末の日米共同声明によりまして、前年度に比較いたしまして防衛関係の費用の増強、増加した分の半分をこの防衛分担金から減らしていく、こういうことでございますから、こういうような問題について、特に国防会議ができたから、この問題を論議しなければならぬということにはならぬのじゃないかと思いますが、しかし議題を特にそれからはずさなければならぬということはございません。防衛関係するあらゆる問題につきまして大所高所から論議をするということになると存じます。ただ今お話予算関係閣僚懇談会とどういう関係になるか、これは前後の関係から申しますると、むしろ国防会議の方が先になりまして、そうして防衛関係予算がどれくらいということが大体見当がつきまして、そしてこれを財政上どういうふうに盛り込んでいくか、あんばいするかという問題が予算関係閣僚懇談会議題になると、大体順序はそういうことにいくのではないかと存じます。もちろんその間の調整十分お互いにとっていかなければならぬことでありまして、かつ国防会議の方の議題をどういうふうにするかということについては、特にこれを制限するという考え方は持っておりませんから、従って防衛関係の問題は予算問題であり、経済問題であり、あるいは生産に関する問題、あるいは貿易というような関係にも及ぶことはあるかと存じますが、しかしこの防衛関係予算につきましては、大体ただいま申し上げたような順序を経るのではないかと考える次第でございます。
  12. 田畑金光

    田畑金光君 今言われるような順序を経るとするなら、さらに財政法のこの改正法によりますると、「大蔵大臣は、毎会計年度予算編成方針を作成し、前年度の七月中に、閣議決定を経るのを常例とする」、こうなって参りますると、国防会議から予算閣僚会議に参って、しかもそれは七月中に閣議決定を経るだけの予算編成方針を確立しなければならぬ、こういうことになって参りますが、防衛関係といたしましては、そうしますと六月中に、おそくても七月の初めには国防予算についての方針等がきまらなければならぬ、こういうことになるわけです。この点はどうでしょうか、どういうことになりますか。
  13. 船田中

    国務大臣船田中君) これは田畑委員も御承知の通り予算数字が最終的にきまるのはどうしても翌年の一月初めということが普通でございます。もっと早くきまるのが望ましいことでございますけれども、しかし、なかなかそうはいきませんで、毎年の例は、年末から年始にかけて最後党内あるいは閣内の折衝をいたしまして、数字を確定するのはどうしても翌年の一月初めということになると存じます。しかし、その予算編成方針につきましては、ここに財政法規定にあるように、大体七月、こういう方針ということでございますが、それは概括的な方針でありまして、数字のこまかいところまで、そこできめてしまうというものではないのでございますから、この財政法規定がありましても差しつかえはなかろう、こう考えております。
  14. 田畑金光

    田畑金光君 私のお尋ねしていることは、数字の細目的なことではなくて、この間からの御答弁によりますと、昭和三十二年度の増強計画についてはまだきまっていない、こういう御答弁があったわけです。しかしながら、大きな増強計画というものは、もう当然確立されていなければならないはずです。なぜならば、防衛庁の試案であるといたしましても、防衛六カ年計画はできておる。ところが、防衛六カ年計画の中に見合う来年度の、昭和三十二年度の防衛計画はできていない、増強計画ができていない。しかし、国防会議建前から申しましても、あるいは政府の考えておる予算閣僚会議を設け、七月中に予算編成大綱をきめよう、こうなって参りますと、当然にもう来年度の、三十二年度の防衛計画増強計画等については、防衛庁としては計画はすでにでき上っていなければならぬはずです。国防会議というものは、単にこれは政府長期防衛計画案を作るための体裁を整えると申しますか、形式を整える機関にほかならぬということは、これは明らかなんです。私の質問したいことは、昭和三十二年度の増強計画についてすでに腹案をお持ちであるかどうか。持たねばならぬはずだが、どういう内容であるか、これをお尋ねしておるわけです。
  15. 船田中

    国務大臣船田中君) ただいまお尋ねの昭和三十二年度の増強計画、従ってそれに伴う予算計画というものはまだできておりません。
  16. 田畑金光

    田畑金光君 いつごろできる予定ですか。
  17. 船田中

    国務大臣船田中君) これはなるべく早い機会に作り上げるようにいたしたいと思っております。
  18. 田畑金光

    田畑金光君 この法律案が通るとしますと、公布の日から施行する、こういうことになっておりますが、政府としてはさっそく国防会議を発足させる、こういう御意図であると思いますが、その点どうですか。
  19. 船田中

    国務大臣船田中君) 国防会議はなるべく早い機会法案の御承認を得まして、そうしてできるだけ早く発足するようにいたしたい。そして国防会議ができましたならば、今までたびたび御質問のありました防衛長期計画及び昭和三十二年度の年次計画も立てまして、そうしてこれを国防会議諮問を得て、そうして政府案として確定するように進めていきたい、かように考えております。
  20. 田畑金光

    田畑金光君 昨年の二十二国会の折には、国会が終ると同時に重光外相がアメリカに渡る、それがためには長期防衛計画を持って行かねばならない。その長期防衛計画を作るために、早く国防会議を発足さしたいのだ、こういうわけで、二十二国会にこれが通れば直ちに発足させて、防衛計画をこれに諮問する、当時の杉原防衛庁長官答弁であったわけです。今のお話を承わりますと、相当これはゆうちょうな期間があるようにお見受けするわけですが、どうなんですか。なるべく早くとおっしゃるが、かりに法律が通るとすれば、直ちに発足させて、今お話のような長期計画あるいは年度計画等について諮問をされる御意図と思いますが、いつごろを予定しておられますか。
  21. 船田中

    国務大臣船田中君) 法案が御承認を得ることになりますれば、直ちに発足するようにいたしたいと考えております。
  22. 田畑金光

    田畑金光君 予算関係については——防衛予算については、国防会議にかけるということでわかりましたが、そうなって参りますると、この国防会議諮問しなければならぬ事項が、ほとんど防衛関係する問題はかけなければならぬ、こういうことになって参りますると、条約関係、たとえばSEATOあるいは今後のNEATO、こういう新しい条約機構等が考えられる場合には、こういう条約等についても参加するかどうか、こういう問題等は当然国防会議に諮らなければならぬ、諮って政府方針をきめなければならぬ、こういうことになろうと思いますが、この点どうでしょうか。
  23. 船田中

    国務大臣船田中君) 防衛に関する問題については、先ほど申し上げましたように、国防会議に付議すべき議題を特に制限するということは考えておりません。しかしただいま御指摘のありましたSEATOもしくはNEATOというものに参加するということは、今日政府として考えておりませんから、従ってさようなことは国防会議議題にはならぬと存じております。
  24. 田畑金光

    田畑金光君 当面は議題にならないといたしましても、将来日本が地域的な集団安全保障等に加盟しなければ、日本防衛が全うできない、こういうようなことになって参りますると、当然これは国防の観点からさような軍事同盟に加盟するということになって参りますので、これこそ国防の基本的な方針であり、防衛計画の大前提になるわけです。理論としては、当然国防会議にかける性格のものと思いますが、この点大臣に明確な答弁を願いたいと思います。それは断わっておきますが、将来参加する意思がないから、その問題はかけないのだというのではなくして、国防会議に対する諮問事項を見ましたとき、その諮問事項建前からいうと、論理的にはあるいは法律的にはそのような建前になると思いますが、この点どういう態度でしょうか。
  25. 船田中

    国務大臣船田中君) 国防基本方針に関する問題については、別に議題を制限せず、広い視野からわが国防衛をどういうふうに整えてゆくかということについて諮問をすることになります。しかし先ほどお断わり申し上げましたように、今、政府としてはSEATONEATOに参加するというようなことを考えておりませんから、その問題を日本国防にからませて国防会議に付議するということはなかろうと私はそう考えておる次第であります。
  26. 田畑金光

    田畑金光君 先ほどの御答弁によりますると、防衛分担金についても国防会議にかけることになる、ただすでに防衛分担金については、ことしの初めの日米交渉によって一般的な漸減方針がきまっているから、かける実体がない、しかし建前からいうとかける性質のものである、こういうような御答弁であったわけです。防衛分担金というものが当然国防会議にかけられるといたしますなら、かりに将来日米安保条約とかあるいは行政協定、こういう改訂問題等が具体的に日程に載ります場合には、当然政府閣議決定の前に、国防会議等に付議して国防会議意見をただす、こういうことになろうと思いますが、この点どうでしょうか。
  27. 船田中

    国務大臣船田中君) 先にも申し上げましたように、わが国国防基本方針という問題を十分この国防会議において審議をしてもらうことになるわけでありますから、その趣旨において議題を特に制限するということはないと存じます。しかしただいまお話のありましたこの日米安保条約あるいは行政協定改訂ということが今直ちに議題になっておるわけではございませんから、国防会議が発足したから直ちにそういう問題もこの国防会議論議されるのだということは、私は今直ちにはなかろうと考えております。
  28. 田畑金光

    田畑金光君 今直ちにはないが、それが国防基本方針という広い議題として取り上げなきゃならぬときは当然取り上げられ、また国防会議にかけなきゃならぬ、理論的にそのことはお認めになるわけですね。
  29. 船田中

    国務大臣船田中君) それはそういう機会には別にその問題を議題からはずすという必要はなかろうと思います。日本国防基本方針に関する問題はすべての問題を大所高所から審議をする、十分に検討を加えるということになろうかと思いますので、従って特定のただいま御指摘のような問題を議題からはずさなければならぬという必要はなかろうと思います。
  30. 田畑金光

    田畑金光君 そのようになって参りますると、この国防会議の取扱う問題というものは非常に重要な問題にわたるわけです。閣議の中のさらに閣議である、こういうような強大な権限を持つものになるわけですが、そのような点等を考えましたとき、先ほど申し上げましたように、私は民間人を入れるとか入れないとかいうような問題等がまた別の角度から検討する必要が出てきもせぬかと、こう思うんです。重要な、軍事同盟に参加するとかしないとか、あるいはまた現在日本の締結しておる日米安保条約等の改訂、こういうような問題等についても、あるいは予算編成の中における軍事予算の今後の編成等についても、国防会議が取り上げてくる、こういうことになって参りますと、非常に国の運命に関する大きな問題が国防会議を中心として運営をされる、こういうことになって参るわけであります。ことに私たちの心配することは、たとえば自衛隊法の七十六条、防衛出動の場合でありますが、七十六条によりますると、防衛出動の場合は要するに国会承認を得なければならない、ただし緊急の必要がある場合には内閣の責任において出動を命ずる、こういうことです。ところが防衛出動というような場合は、ほとんどこれは緊急の場合であるし、またそういう軍事的な性格からいたしまして、国会承認を得て——国会を召集してその承認を求める、こういうことがむしろ例外的な場合に属すると思うのです。で、こういうように内閣権限が非常に強大である、あるいは防衛出動というような、非常の事態の場合において、内閣の行き過ぎた、政策的な方針を抑えるためにも、何らかこれを調整するというか、抑制する機関が必要じゃなかろうか、こう考えるわけです。そういうような意味におきましても、国防会議構成等というものは、やはり二十二国会において政府が当初出されたような学識経験を持つ練達の士である民間人を加えるということでなければ、非常に危険なことに陥る場合があると考えますが、こういうような点について政府としてはどのようにお考えになったのか、これを承わりたいと思います。
  31. 船田中

    国務大臣船田中君) ただいま御指摘になりました防衛出動というようなことは、これはきわめて重大なことでございますが、この防衛出動につきましては、これは総理大臣もこの席上からたびたび答弁申し上げておりますように、政府としてはこの自衛隊法の原則に従って防衛出動をやるのでありまして、勝手に総理大臣が専決処分でやるというようなことはまずなかろうと存じます。もちろんその防衛出動についてその可否の問題は事前国防会議諮問しなければなりませんが、しかしその諮問しました場合において民間の議員がおらなかったから防衛出動が軽率に扱われる、総理大臣が専断でもってやるというような危険なことになることは私はなかろうと信じます。その点は鳩山総理大臣もたびたび言明されておる通り、どこまでも国会承認を得て防衛出動をするという原則を守っていくことになると存じますので、今田畑委員の御指摘のような危険なことはまずないと私は信じます。
  32. 田畑金光

    田畑金光君 前に戻りますが、国防会議において予算等について、あるいはその他の問題について大きな方針決定した、この場合は閣議において最終的にもちろん閣議決定をみなければならぬわけですが、国防会議諮問されてその議を経たものは、実質的には閣議を無条件に通る、こういう形に実体はなると思いますが、どうでしょうか。
  33. 船田中

    国務大臣船田中君) もちろん防衛問題について、国防会議決定した意見というものが閣議において尊重されることは、もちろん尊重されると思います。しかし必ず国防会議にかけてそうしてその答申を得たそのままが政府方針として最終決定になるかどうかということは、これは私はそのときの具体的の問題、情勢によって必ずしもそうなると今から断定することはできないと思います。要するところ、国防会議諮問機関でございますし、その最終決定をするのは閣議でございますから、閣議が最終的には責任をもって国家的の見地から決定をする、こういうことになると思います。
  34. 田畑金光

    田畑金光君 次に、私は事務局構成についてお尋ねいたしますが、事務局構成はどのように考えておられるわけですか。
  35. 船田中

    国務大臣船田中君) 事務局は大体専任の職員を十五名、予算は七百十数万円ということになっておりますが、なお必要に応じまして関係行政機関から若干の職員を兼務させるということも考えておるわけでございます。
  36. 田畑金光

    田畑金光君 その場合事務局構成の中に、たとえば旧軍人とか軍事的な専門家等を入れる考えなのですか。
  37. 船田中

    国務大臣船田中君) 事務局に旧軍人を入れるかどうかということは、これは私特に旧軍人なるがゆえに排斥しなきゃならぬということもなかろうと存じますけれども、それらの点につきましては、事務局を設置するときに十分慎重に考慮して決定したいと思っております。
  38. 田畑金光

    田畑金光君 慎重に考慮して決定すると、その御答弁によりますと、決して排除もしない、こういうことになるわけですね。そうなって参りますると、事務局の中には旧軍人や軍事専門家等が入ってくることも当然予測され得るのである、こういうことになろうと思いますが、そのように解してよろしいですか。
  39. 船田中

    国務大臣船田中君) 旧軍人あるいは軍事専門家を特に絶対に入れないというふうにきめてしまうのも私は適当ではないように思いますので、それらの点は十分慎重に考慮した上で、果して適当な人があるかどうかということを見きわめまして、これに対して善処して参りたいということを申しておるわけでございます。
  40. 田畑金光

    田畑金光君 国防会議で取り扱う事項が、先ほど来申し述べておりますように、非常に重大な問題を取り扱う。そうしますと、国防会議にかける原案と申しますか、これはどこで作成することになるわけですか。
  41. 船田中

    国務大臣船田中君) 要求原案はこれは関係の各省庁から出てくると存じます。それを事務局におきましてあんばいをいたしまして、そして総理の決裁を得て、事務局がその案の調整をはかりまして、そして総理の決裁を得て国防会議にかける、付議する、こういうことになると思います。
  42. 田畑金光

    田畑金光君 経済問題とか防衛生産、こういうような点になって参りますと、これは担当省で一応原案をこさえてくる。それから編成とか装備あるいは作戦計画、こういうような問題等については防衛庁がこさえてくる。そうなって参りますると、事務局というものは単に事務的な面を扱う機関にすぎないのか。それとも事務局が独自で今言ったような防衛に関する諸般の計画等について立案し、それをこの国防会議諮問するというようなこともあり得るのかどうか。この点どうですか。
  43. 船田中

    国務大臣船田中君) 事務局においてこういう案をかけたらよかろうということがございますれば、それはもちろん総理の決裁を得てそういうものをかけると存じます。しかし、十五名の専任事務局員ではなかなかそこまで手が回りかねるのではないかと存じますので、先ほど申し上げましたように、普通の場合は要求原案は各省庁が事務局に出し、そして事務局がそれを調整をし、総理の決裁を得て会議にかけるそして国防会議議員はもちろん国務大臣として大所高所から、ことに防衛問題につきましては、財政経済あるいは外交、あらゆるそういう問題を勘案いたしまして、大所高所からいかに扱うかということについての意見を出す。そうしてそれが国防会議においてある結論に達しますれば、その結論を得て議長たる総理大臣に答申をする。こういうような形になって参るものと存じます。
  44. 田畑金光

    田畑金光君 どうも御説明でよくわかりませんが、単に各省庁で作ってきた案をここでかけるというような機関であるとするならば、これは無意味なものにすぎないと思うのですがね。むしろこういう国防会議というような機関を設けないで、各省庁できめた国防に関する諸般の計画等について、そのまま閣議決定をして、閣議決定を経て遂行する、こういうことになった方が効率的であり、能率的であるとこう思うのです。今度国防会議というものが独自の形で設けられて、しかもそれがこういう国防基本方針その他防衛計画大綱等を取り扱う機関であるとするなら、事務局等が独自に確立されて、機構が整備されて、その事務局等において、単に一つの局や一つの庁の立場に立たぬで、全般的な立場から立案され、それが国防会議を経て国の大きな方針になっていくのだ、こういうことになってきますと、国防会議というものの何か設けるだけの理由があるように思うのですが、そうでないとこれを設ける理由はどこにもないように感ずるのですがね、どうですか。
  45. 船田中

    国務大臣船田中君) これは先ほど来申し上げておる通りに、単に閣僚懇談会というものでなくして、法律に定められた法律上の機関であり、そうしてしかもそれが事務局を持つということでありまして、そうしてしかも国防のあらゆる面につきまして、大所高所からこれを検討し論議をするということは、防衛体制を整備する上から申しましてきわめて大切なことだと存じます。そういう意味におきましては、やはり国防会議というものが法律上設けられることが必要なのでございまして、これが単なる閣僚懇談会であったのでは、十分その機能を発揮することはできないと存じます。ただしかし、防衛の問題について最終的の決定をするのはもちろん閣議でございますから、従って国防会議諮問機関として、あらゆる要素を勘案いたしまして、そうして日本防衛体制をいかに整備するか、また防衛生産をいかに調節をしていくかというような問題を、大所高所から論議するというところに、非常に大きな意義があると思います。
  46. 田畑金光

    田畑金光君 これはイギリスやアメリカその他にこういうものができておるから、日本も一つまねしてやろう、まあその程度にしか存在意義は見受けられぬ、こう思うのですが、まあだんだん憲法改正でもなされて、本格的な軍備でもされる場合は、それはそれ相応の意義と役割を持つかもしれません。それはさておきまして、この国防会議事務局国防会議に関する事項は、「国防会議に係る事項については、内閣法にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。」、こうなっておりますが、この国防会議事務局構成等について、たとえば事務局長はどういう地位の人なのか、その際防衛庁長官はどのような関係になるのか、この辺はどういうことになるわけですか。
  47. 船田中

    国務大臣船田中君) 事務局長は、大体十五級、すなわち次官級の人を考えておるわけでございます。それからなお国防会議事務局は、防衛庁とは別個の機関でございますから、防衛庁の出店になるとか、そういう関係は全くございません。
  48. 田畑金光

    田畑金光君 その次官級の人を置くというのは、これは先ほどお話のあったように、場合によっては旧軍人も、有能な人があるならば、その職につき得るのだということになるわけですね。
  49. 船田中

    国務大臣船田中君) 今直ちに旧軍人を置くというようなことは考えておりませんが、しかし、さればといって、特に旧軍人なるがゆえに絶対に入れないということをきめてしまうのは、私は適当ではないように考えますので、先ほどそういう趣旨のことを答弁申し上げたわけでございます。
  50. 田畑金光

    田畑金光君 防衛庁に統合幕僚会議というのが置かれておるわけですが、作戦用兵の最高の重要な機関であろうと、こう思うのです。この統合幕僚会議というものと国防会議とはどういうことになるわけですか。
  51. 船田中

    国務大臣船田中君) 統合幕僚会議議長は、防衛庁長官の下部機構でありまして、防衛についての専門的な分野において、防衛庁長官を補佐する機関でございます。従って国防会議事務局とは直接関係はないわけでございます。
  52. 田畑金光

    田畑金光君 この間どなたかから質問がありましたが、話は若干飛びますけれども、予備自衛官、これは今どの程度いるのか、さらに少年自衛官ですか、これの募集等の状況について伺いたいのです。
  53. 船田中

    国務大臣船田中君) 今の問題は、人事局長から御説明申し上げるようにいたします。
  54. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) ちょっと資料が見当りませんですが、予備自衛官は、私の記憶によりますると、五月一日現在で五千三百余りであったと思います。それから少年隊員のお話でございますが、三等陸士、三等海士及び三等空士でございます。これは昨年から採用を始めたのでございますが、その応募者は、昭和二十九年に試験をいたしまして、三十年に入れましたが、陸上の方で申しますと、百四十名の募集に対しまして七千六百五十三名でございます。本年の四月に入れました者は、昨年度募集したのでございますが、陸上三百名募集に対しまして六千百八十七名でございます。海上の方は、二十九年度募集が百二十名に対しまして二千六百四十名、三十年度は同じく百二十名に対しまして千七百二十七名、航空の方は、二十九年度が五十名に対しまして千七百五十名、三十年度が百名に対しまして千四百三十九名となっております。
  55. 田畑金光

    田畑金光君 この募集について都道府県知事、市町村長に一部事務委任ができる、あるいはまた、長官は警察庁、都道府県警察に対し、自衛官の募集に関する事務の一部について協力を求めることができる、こういうことになっておりますが、これはどういう工合に違うのですか。協力というものと、都道府県知事、市町村長は事務の一部を行うということになっておりますが、どういうことになるのですか。
  56. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) この詳細なことは施行令に書いておるのでございますが、一部委任になりますると、その市町村長なり府県知事がやりました行為自体によりまして効力を生ずるわけでございます。たとえば、志願者の募集の場合の受付におきまして、市町村役場で受け付ければ、それが募集の受付になるというようなことにしておるのでございます。協力の方は、そういうふうな法律的な効果を伴うようなことはないというふうに区別をいたしております。
  57. 田畑金光

    田畑金光君 学校に少年自衛官の募集等について協力を求めておらるる事例が起りましたが、これはどういうことになっておるのですか。
  58. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 今の府県知事、市町村長に対しまする事務の一部委任は、これは三等陸、海、空士につきましては適用をしておらないのであります。三等陸、海、空士につきましては、防衛庁の方で直接にこれは募集をしておるのでございます。その際に三等陸、海、空士は中学校の卒業者を対象といたしておりまするので、こういうふうな募集があるから協力してくれということを防衛庁の方から教育委員会を通じまして中学校の方にお願いしている事実がございます。
  59. 田畑金光

    田畑金光君 それで私は大臣にお尋ねするわけですが、少年自衛官の募集について防衛庁から関係学校に対して協力を求めておられる、これは益しつかえないのでしょうか、これは大臣に一つ御答弁願いたい。
  60. 船田中

    国務大臣船田中君) これは成規の手続を経てやっておることでございまして、別に差しつかえはないと存じます。
  61. 田畑金光

    田畑金光君 これからも毎年継続されるという方針なんですね。
  62. 船田中

    国務大臣船田中君) その通りでございます。
  63. 田畑金光

    田畑金光君 成規の手続を経てとお話しになりますが、この成規の手続というのはどういうことなのです。
  64. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 田畑委員のお尋ねの御趣旨がよくわかりませんが、誤解をしておられると思いますが、私としては、中学校、教育委員会を通じて中学校の方に募集について御協力をお願いすることは、私は差しつかえないことだと思うのでございます。労働省方面とも十分に打ち合せをいたしておりまして、何と申しまするか、禁止された行為とでも申し上げまするか、そういうことではないように思っております。御了承を願います。
  65. 田畑金光

    田畑金光君 労働省と打ち合せをしてとおっしゃいますが、労働省のやっておるのは職業の紹介、あっせん、失業者の就職の世話、こういう問題等です。要するに雇用安定に関する行政を取り扱っているのが労働省だと思うのです。この少年自衛官というのは何ですか、就職のつもりで防衛庁は少年の、就職難の折からでもあるから就職をさせるくらいのつもりで労働省と打ち合せをなされ、各府県の教育委員会、市町村の教育委員会を通じて募集をはかっておられるわけですか、この点大臣の一つ考え方を承わりたいと思います。
  66. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 事務的な答弁を私から……。
  67. 田畑金光

    田畑金光君 事務的な答弁じゃない、本質的な考え方を私は尋ねておる。
  68. 船田中

    国務大臣船田中君) これは職業のあっせんということでもって律することが適当であるかどうかは、これはまあ御判断にもよることでございますが、しかし、少年自衛官の募集につきまして学校に依頼するということは、別段憲法やその他の法規も特に禁止しておることでもございませんし、私はこれはやって差しつかえないことのように考えます。
  69. 田畑金光

    田畑金光君 やって差しつかえないことであるなら、労働省と打ち合せをするということはこれはどういうことなのです。労働省というのは、先ほど申し上げたように労働行政一般を所管するわけですが、その重大な仕事の一つとして、先ほど申し上げたように雇用、安定の問題、失業対策事業の措置の問題、こういうようなことを扱うのが労働省です。労働省と打ち合せをするというのが、あたかも防衛庁に少年自衛官を迎えるのに、仕事の世話でもなさっておるつもりのような考え方でこれをやっているのか。この少年自衛官というのは何でしょう、自衛隊の卵なんでしょう。先ほどお話の中に三等陸士でしたか、要するに三等陸士というのは昔の何ですか、旧陸軍二等兵ですか、三等兵ぐらいですか、何に相当するわけですか。
  70. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 私からお答え申し上げます。まず階級の点を申し上げますと、今、陸士長、一等陸士、二等陸士、こういうことになっております。これに対応することは非常にむずかしいのですが、陸士長を上等兵と見れば、それは二等兵の一つ下ということになります。陸士長を伍長勤務ぐらいに考えますと二等兵ということになるかもわかりません。  それから大臣の御答弁もおそらくございますが、私が申し上げたので田畑委員に誤解を与えたようでございますが、なぜ私がそういうことを申し上げたかと言いますと、私は少年自衛官を募集いたしますにつきまして問題はないと思っておったのでございますが、ただ一昨年でございましたか、最初やり始めましたときに、日教組の諸君の方からこの問題について私の方に申し入れがあったのでございます。その申し入れの一つに、職業安定法でございましたか、労働関係の法規との関係はどうだということが問題になりまして、その際に労働省の方とも十分に打ち合せをいたしまして、そういう法令の問題は解決いたした、私は問題ないと思っておったことについてお尋ねがございましたので、しいて考えればそういうことであるというので、私の頭にありましたことを申し上げたのでございまするから、御了承を願いたいと思います。
  71. 田畑金光

    田畑金光君 私は大臣にお尋ねいたしますが、もうこの問題は解消されていたと実は思っていたのです。解消されたということは、そのような取扱いは防衛庁としてもやっておられぬと思っていたのです。すなわち、学校を通じて少年自衛官を募集するようなことはやめておられると、こう思ってお尋ねしたのです。ところが今日なお続けておられる。成規の手続を経てやるなら一向差しつかえない、こういうことを大臣は御答弁になりましたが、私は重大な問題じゃなかろうかと思うのです。これはなるほど形の上からいって、教育委員会を通じてやられたというのは、形からいうと、これは教育委員会を通してやったことだから手ぬかりはないとおっしゃるかも知れぬ。しかし、実際に少年自衛官を募集するというか、そういう政府の宣伝に協力する立場にあるのは現場の学校の教師だと思うのです。教師は、そういたしますと、少年自衛官というものの募集に協力することは少しも違法でない、こういうことになって参りますると、当然これはそこで私は現場の教師が悩むことは、自衛隊とか今日の防衛庁というものは一体今の憲法建前からいってどういうことになるのか、教育基本法の建前からいってどういうことになるのか、この問題に当然ぶつかってくると思うのです。自衛隊というものは一体違憲であるか違憲でないかということは、違憲でないとがんばっているのはあなた方だけです。鳩山総理大臣船田防衛庁長官、そういう一味徒党(笑声)と言っては失礼だが、党派の人方だけでしょう。ことに憲法を守り、憲法に基く教育基本法によって日常の教育指導をやっている現場の教師の立場からいうと、これほど大きな私は矛盾を感ずることはないと思うのですね。どうですか、そういうような点を防衛庁長官は矛盾ともお考えになりませんか。教育上、ことに現場の教師の立場からすれば、これは私は大きな問題だと思うのだが、そういうふうにお考えになりませんか。
  72. 船田中

    国務大臣船田中君) この少年自衛官の募集は、ただそういうことをお願いするということを教育委員会を通じて各学校にお知らせしておるだけのことでありまして、相手に何ら義務を負担させておることでもなし、また中学校の先生たちにあっせんをしてくれということをお願いしておるわけでもないのでございますから、これは別に憲法なりあるいは教育基本法に触れる問題ではなし、従ってこれこそ不正不当のことではないというふうに私は考えております。
  73. 田畑金光

    田畑金光君 私はそういうような考え方は間違っておると思うのです。なるほど協力する義務はないかもしれぬ。しかし教育委員会を通じて——少くとも教育行政の責任機関である教育委員会を通じて学校当局に依頼をする、こうなって参りますなら、義務はなくとも、何らかの形で協力をしなければならぬ精神的な拘束を受けることは、これは明らかだと思うのですが、そうなって参りますと、一体自衛隊というものは憲法に違反しないのだということを強権的に押しつけると同じことだと思うのです。しかし、今自衛隊というものが憲法違反であるのかないのか、あるいはまたこれを中心として憲法改正をどう見るかという、国論が二つに分れておる重大なときに、最も忠実に憲法を守り、教育基本法の精神に立って教育をやり、指導をやらなければならぬそういう現場の教師に対して、時の政府権力が行政権を通じて圧力を加えるということは行き過ぎもはなはだしい。これはすみやかにそういうような大臣のごまかし的な答弁で免れ得る問題でないと思うので、改むべきだと考えまするが、そうお思いになりませんか。
  74. 船田中

    国務大臣船田中君) 私はどうも田畑委員の仰せられることが呑み込めないのですがね。この自衛隊が憲法違反なりとおっしゃられるのはむしろあなた方だけでありまして、(笑声)大多数の国民は自衛隊が憲法違反なりということは考えていないと思うのです。そうしてしかも少年自衛隊の募集について学校にお願いするということは、何らその相手に義務を負わすものでもなく、また不当の圧力を加えるというようなことも何らいたしておりませんので、そういうことに対しまして、少年が自己の判断によって応募しよう、あるいは応募しないという判断をして、応募したいという者だけを応募させるということは、これはもう最も民主的なやり方でありまして、別にこれを改める必要は私はないと、かように考えます。
  75. 田畑金光

    田畑金光君 私は資料を要求いたしますが、今言ったような募集等について、府県知事、市町村長に、あるいはまた都道府県警察等に対してどういうふうな形で協力を求めておられるか、その資料と、それから特に私は、今私の質問しておる、学校等に対して教育委員会等を通じてどのような形で協力を求めておられるのか、文書の資料を早急に一つ防衛庁の方から配付してもらいたいと、こう思うのです。  それで私は今の大臣の御答弁、これは非常にわれわれといたしましては納得がいかぬ問題があるとこう見ておるのです。総理大臣憲法改正をやらなくちゃならぬ、その第一の理由は第九条である、再々こう申しておるのです。なぜ第九条を中心として憲法改正の議が出たかというと、国民の中に、一体現在の自衛隊が憲法上認められるのか認められないのか、この問題が中心だろうということは、鳩山総理自身告白しているのです。たびたび答弁の中に出ておるのです。ところがだね、この問題に関して、あなたのように強権的にこれは憲法違反でないのだと、教育上の建前からいっても教育の精神をそこのわない。現場の教師の良心もこれによって拘束されるものではないと、こういうような答弁をぬけぬけとやっているわけですね。これはどうもわれわれとしては承知できないのです。もうこの問題についてはたびたび憲法調査会法の審議その他で論議しておりますからね、憲法違反であるとかないとかというようなことは、これはもう繰り返しませんが、一得問題のある、憲法上問題のあるこういうような点について、学校の教師に対して押しつけていくということは、これは私非常な行き過ぎだと、こう思うのです。これは是正する考え方はありませんか。
  76. 船田中

    国務大臣船田中君) どうも田畑委員のおっしゃることは、初めからこの少年自衛隊の募集について押しつけているように前提されておりますが、そういうことは、先ほど来事務当局からも御説明申し上げておる通り何ら押しつけておるのではなくして、こういう募集をしておりますということを知らせるだけのことでございまして、それに応ずるか応じないかということは、学校の先生なりあるいは本人である中学生自体が考えることでありまして、何らそこに不当の圧力を加えておるものではないのでありますから、そういう募集を知らせるということは何ら私は差しつかえないと、かように考えておる次第でありまして、今後その方針を特に改めなきゃならぬということは必要なかろうと存じます。
  77. 田畑金光

    田畑金光君 知らせるだけならばね、町村役場で処理すれば十分問題は処理できると思うのです。電信柱にポスターを張っておいても十分用は足せると思うのです。何もそれを学校の中に持ち込んでいってだね、学校の教室に掲げなきゃならぬことはない。学校の教室に掲げるならば、これは何だと説明しなくちゃならぬでしょう。聞かれたら答えなくちゃならぬでしょう。ただ張ってくれと言っても、それは何らかの形でこの募集について教師は説明するなり、あるいは教育委員会から要請があるならば、何らかの意味において生徒たちを指導しなくちゃならなくなってきましょう。それは当然のことだと思うのです。もしあなたのお話のように強制するのでも何でもないのだというならば、何も学校の中にいかがわしいものを(笑声)持ち込む必要はないと思うのです。それが私は今の憲法建前からいっても、教育基水法の建前からいってもですね、民主教育を推進する、守らなくちゃならぬ学校の先生方の立場からいうと当然のことだと思うのですが、この点はそうお考えになりませんか。
  78. 船田中

    国務大臣船田中君) 人事局長に聞きますというと、最初そういうことについて日教組の方からいろいろ御質問があって、そうしてそれに対して詳細説明申し上げて、そうして御了解にもなったことであるわけでございまして、今お話のように、それによって何らか圧力を加えるということでありまするならば、それはもちろん今、田畑委員の仰せのごとくによくないことでございますけれども、これによってただ募集の事実をお知らせするというだけのことでありまして、応募するしないは全く本人の自由意思であり、また学校の先生に何らそれによって義務を負担させておるものでもないのでございますから、これが不当なやり方だということをきめつけられることは、私は承服しかねるのでありまして、従って、今後このやり方を変えなければならぬという必要は私はなかろうと存じます。
  79. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) ただいま田畑委員から資料の点について御要求がございましたが、一般の募集につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、自衛隊法施行令の百十四条から百二十条までに、どういうふうなことを府県知事が行い、どういうふうなことを市町村長が行うかというようなことについての詳細な規定があるわけでございます。現実の事務の処理といたしましては、この施行令の規定に基きまして、このたび何名の募集をするからというふうなことを頼むだけです。ポスターや志願案内を送るということはあります。それは三等陸、海、空士につきましても同様でございまして、募集の要綱を長官の決裁を受けますと、あとは地方連絡部の方に要綱を流しまして、地方連絡部の方から府県の教育委員会等を通じましてそれぞれ市町村の役場及び中学校等に志願案内を添えて、こういうふうな募集をいたしますからよろしくというふうな書類を流しておるだけでございます。大体それで御了解願いたいと思います。
  80. 田畑金光

    田畑金光君 いや、それで了解してくれというわけにも参りませんので、先ほど申し上げましたように、一つポスターその他学校に対する文書等の資料を出して下さい。
  81. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は国防会議法案審議するに当りまして、一応長官にお尋ねいたしますが、防衛庁設置法の第四十二条で規定されております「国防に関する重要事項審議する機関として、」というところでございますが、以下若干の問題について私は字句の解釈について、どう防衛長官は解釈しておるかということについて確かめたいと思うのですが、「審議する機関」というのは、審議してあとはどうするのか、単なる結論を出すというだけなのか、ただ単に審議をすればいいというそれだけなのか、どういうようにこれを解釈いたしておりますか。
  82. 船田中

    国務大臣船田中君) これは、審議をいたしまして、普通は答申する場合が多いと思います。それから三項にありますように、「国防に関する重要事項につき、必要に応じ、内閣総理大臣に対し、意見を述べることができる。」ここにまた意見を述べるということもあり得るわけでございます。それもできるということになります。
  83. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこでこの第二項の「国防基本方針」ですね、国防会議に諮らなければならない事項として五つばかり列挙されておりますが、具体的に「国防基本方針」というものはどういうことを今考えておりますか。長官はこれをどういうふうに解釈しますか。基本方針というものを具体的にあげて参りますと、どういうような項目になりましょうか。
  84. 船田中

    国務大臣船田中君) これは、総理大臣からもまた私からも御説明申し上げておりますように、わが国の国情、国力に相応する最小限度の自衛体制を整備するということが必要であり、またそのために努力いたしておるわけでありますが、その国力及び国情に相応する自衛体制とはどういうものであるかということ、これが大体国防基本方針に関する問題であろうと存じます。
  85. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこで以下五項目にわたってあげられておりますが、「国防基本方針」なり「防衛計画大綱」なり、「前号の計画に関連する産業等の調整計画大綱」……。「防衛出動可否」、これは問題はないと思うのです。解釈上の問題はそうあれはないと思うのです。「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」、これも解釈はいいと思うのですが、私は一、二、三、この三つの項目についてもうちょっとこれを細分化したものの説明を願いたいと思うのです。今、どういうことを防衛長官考えておるのか。
  86. 船田中

    国務大臣船田中君) 「防衛計画大綱」ということをもう少しくだいて申し上げますれば、「国防基本方針」が樹立されまして、それに基いて「防衛計画大綱」が定められるわけでありますが、「防衛計画大綱」ということは、国防基本方針に基いて、実力をもってわが国防衛するに当っていかなる規模の防衛力を保有すればよいか、この規模の防衛力を保有するためにいかなる計画防衛力を整備するか、これらの計画大綱を言うものでありまして、防衛力整備計画を中心とした考え方がすなわち防衛計画大綱ということになろうかと存じます。
  87. 永岡光治

    ○永岡光治君 あとはいいです、続いていきますから。  そこで私は国防会議法案がかりにここで成立を見るということになって、これが総理大臣から諮問——諮問といいますか、ここで審議する事項をきめられておりますが、この会議が開かれて審議されるだろうと思うのですが、その際には防衛長官はそのメンバーの一人になっておるわけですが、「国防基本方針」「防衛計画大綱」というものについてどういう具体案を提案しようと考えておるのか。
  88. 船田中

    国務大臣船田中君) その問題につきましては、今後十分検討いたしまして適当な諮問案を要求いたしたいと思っておりますが、まずさしあたり本委員会等においてもしばしば申し上げております長期防衛計画、これの問題について諮問をするように総理大臣の方に請求いたしたいと考えております。
  89. 永岡光治

    ○永岡光治君 長期防衛計画国防会議審議してもらうようにしようということにしておるのですが、その案はどこで作られるのか。防衛庁で一応考えるわけですか、それとも、ここで後ほど問題になりましょうが、事務局で一応考えるのですか、どちらになりますか。
  90. 船田中

    国務大臣船田中君) 今のような問題につきましては、要求原案はもちろん防衛庁で作成いたしまして、そうして国防会議事務局の方にこれを渡しまして、そうして事務局で適当に調整をはかって総理大臣の決裁を経て国防会議諮問するということになろうかと存じます。
  91. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこで、防衛庁の方からそういう手続をとることになるだろうという話でありますが、ついては、今ここで審議中だとか考慮中ということでなしに、「国防基本方針」あるいは第二号における「防衛計画大綱」、こういうものについてやはりある程度の具体案を用意されておるのではないかと想像するわけですが、どういうものを用意されておるのでしょうか。
  92. 船田中

    国務大臣船田中君) この問題につきましても、しばしばここで御説明申し上げておることでございますが、昭和三十五年度において達成すべき最終目標というものは一応防衛庁としては試案を持っております。しかしその達成すべき目標の艦船、飛行機等の種類につきまして、あるいは機数、艦船のトン数等につきましては、なお具体的にはきまっておりません。また昭和三十二年度から三十五年度に至る年次計画もまだきまっておらないのでございます。
  93. 永岡光治

    ○永岡光治君 きまっていないと言うけれども、大よその目標がやはりあると思うのです。その目標はどうなっておるのでしょうか、三十五年度の目標というものは。
  94. 船田中

    国務大臣船田中君) 昭和三十五年度において達成すベき最終の目標は、陸上自衛官十八万名、海上艦艇十二万四千トン、対潜哨戒機等約百八十機、それから航空自衛隊の保有すべき飛行機、これは練習機を含めて約千三百機、そのほかに予備自衛官約二万名を保有するようにいたしたい上、こういう最終目標を持っておるわけでございます。
  95. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこで国防基本方針というものをもうちょっと具体的に話してくれませんか。国情、国力に沿うたというばく然たるあれでありますが、今基本方針というものはどう考えておるのか。
  96. 船田中

    国務大臣船田中君) 国防基本方針ということは、要するところわが国の安全をいかにして確保するか、こういうことが国防基本方針でございまして、たとえば侵略があった場合に自主独力で防衛ができるのか、それとも国際連合の措置に一任するのか、あるいはこれにかわる友好国との集団安全保障取りきめ関係において自衛の措置を講ずるのかどうか、こういうような問題が、この国防基本方針として論議さるべき問題であると存じます。
  97. 永岡光治

    ○永岡光治君 概念は一応わかりましたが、侵略のあった場合にどうするかというその侵略は、やはりある具体的な侵略でなくてはならぬと思うのですね、構想をきめる限りにおいては。ただばく然と侵略と言ったって、これはほんとうの具体策は基本方針としては立たぬと思うのですが、それはひいては防衛計画大綱に影響してくるのですから、そこで今、基本方針として考えられておるいろいろな方法論も言われておりました。それに対する対抗策も考えておられるという話でありますが、今この国防会議提案しようと用意しておる防衛長官考え方をもう少し砕いて御説明いただきたいのであります。
  98. 船田中

    国務大臣船田中君) 国防会議にどういう諮問案を出すかということについて、その要求原案というものは今のところまだできておりませんが、ただいま永岡委員の御質問の前提となりますものは、何と言ってもやはり国際情勢をどう見るかということにかかってきておると思います。で、この国際情勢の見方につきましては、これは外務大臣及び総理大臣からたびたび説明がございますように、今日の情勢において東西の対立が非常に緩和してきたということは、これはもちろん認めざるを得ないと思いますが、しかし、さればと言って部分戦争なり冷戦が全く終息してしまったという手放しで楽観のできる情勢でないということはこれまた事実であり、ことに最近の中近東における情勢、あるいは東アにおける国際関係等から見まして、どうしてもやはりわが国の自衛体制を整備する必要ありと、かような前提に立ちましてわが国国防基本方針を考えていかなければならぬ、かように思うのでございます。
  99. 永岡光治

    ○永岡光治君 一点だけ、それはまあ一応出てからの問題でございましょうから、いずれ審議過程で明確になるかもしれません。一つだけ聞きたいのですが、今防衛長官答弁の中で言われたように、国際情勢、あるいは中近東における情勢、まあアジアの情勢ともこれは考えなければならぬということになるでありましょうが、そこでやはり、今の情勢が対立の激化の方向をたどっていると考えているのか、緩和の方向に進もうとしているというように考えているのか、いずれなんですか。防衛長官としてはです、あなたはどうお考えになっているか。
  100. 船田中

    国務大臣船田中君) これも先ほど申し上げたように、大きな戦争が直ちに起り、あるいは近い将来に起るだろうということは考えておりません。すなわち、東西の対立というものが非常に緩和の方向に進んでいるというふうには考えております。しかし、さればといって部分戦争や冷戦が全く終ってしまったという手放しの楽観はできぬというのが、私は今日のこの国際情勢ではなかろうかと思います。で、そういう情勢に対応して自衛体制を整備するということは、これはすなわち侵略の意図を阻止し得る力になる。従ってある程度の自衛体制を整備するということが、侵略を事前に阻止し得るこれが保障になるのである。かような考え方に立っているわけでございます。
  101. 永岡光治

    ○永岡光治君 結局その考え方は大体わかりました。今の御答弁によりますと、緩和の方向をたどっているということは一応考えられるけれども、手放しで楽観できない情勢はある、部分的にもそういう情勢はある。つまり軍備体制を整備しなければならぬという状態はある、こういうのであります。で、その基本となっている考え方は、自衛力といいますか、自衛力の増強が侵略を防ぎ得る、侵略を防ぐために、つまりしかけられてこないために、そういう侵略という行動の発動を起さないために自衛隊を強化したい、こういう考えだと、こう解釈するのですが、それに間違いございませんか。
  102. 船田中

    国務大臣船田中君) 今、永岡委員のおっしゃった通りに、ある程度の自衛体制が整備されますれば、事前にこの侵略の意図を阻止することができるというふうに私は信じます。
  103. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうしますと、侵略を阻止することができるというその侵略は、大体今防衛長官考えてどういう方面からの侵略と考えておられますか。
  104. 船田中

    国務大臣船田中君) 防衛責任者といたしましては、仮想敵国というようなものは今日持っておりません。
  105. 永岡光治

    ○永岡光治君 仮想敵国というものを持っていないというけれども、やはり相手が侵略してくることの意思を放棄させるために増強した方がいいという、こういう考え方に立っておられますね、そういうことを今肯定されているわけです。そうしてくると、相手がその意思を放棄してくるという段階までの戦力というものは、これは相手次第だと思うのです。かりにあなた方の考える前提に立つならば、日本の自衛力よりも少い侵略力といいますか、それしか持っていないならば来ないだろうという考え方を持っているのですね。だから日本の自衛力の整備の段階をどう決定するかという点には、仮想敵国がなくてあなた、どうしてできますか。そういうことであれば、日本の国力というこれだけをあなた見ていったところで、国力でそれをとどめるならば、それは完全にあなたのおっしゃるように相手の侵略を防ぎ得るものではないですよ。それ以上の侵略力が強い国があれば、あなたの目的は水泡に帰するのだから、最初からやらない方がいいという、こういう結論になるのですよ。だからそういう限界をきめるためには、仮想敵国がなくてどうしてできますか。それは子供でもわかりますよ。仮想敵国がなくて、どうしてこの限度、三十五年における十八万名というのは何できめたのですか。
  106. 船田中

    国務大臣船田中君) これは考え方が永岡委員と私とで少し違うかもしれませんが、船が航海するといったって、あらゆる災害に対しまして用意をして航海するわけでございます。家を持つといったってある程度の戸締りをずることは、これはもう御承知の通りでございます。もしそこにかぎがかかっていないということだと、入ってみようかという悪心を起させることになりますから、日本の自衛体制が整備されておれば、そういう侵略の意図事前に起させないで済むことになりやせんか、(「答弁になっていない」と呼ぶ者あり)私はそういうふうに考えております。だから仮想敵国を持たないからといって自衛体制を整備しちゃならぬという理屈には私はならぬと思う。現にヨーロッパの諸国をごらんになってもおわかりの通りに、スイスにしても、スエーデンにしても、戦争をしようとは思っておりません。しかし自衛体制は非常な、国力不相応な自衛体制を整備していることは、永岡委員も御承知のことと思います。
  107. 永岡光治

    ○永岡光治君 いや、それは答弁にならないのですよ。私が言っているのは、自衛体制を整備することが侵略を防ぐことになるんだと、そういう意味で整備するんだというのでありますから、かりに、あなたが今具体的な話を持ち出して、一番手っとり早くていいと思うのですが、三十五年度における十八万名と考えておるのは、これはどういう程度の侵略を防ぎ得る整備と考えるかということになるわけです。たとえば十五万名でいいかもしれませんし、あるいは二十万名でなければならないという結論が出るかもしれませんが、それぞれの出る結論というのは、どういう場合における侵略ということが前提にならなければ、やっぱりきまらないじゃないですか。そうでしょう。ただばく然と整備、整備とは一体何かということ、侵略を防ぎ得るための整備というのならば、侵略というものが対象になるわけです。その侵略の構想、規模というものを考えないで自衛体制を整備するのでは、およそ無意味なんですよ、あなたの立場に立つならば。この理論だけは私はわかると思うのです。ただばく然と整備というのは、どこが整備の段階ということになるのでしょう。その対象は、あなたのおっしゃるように侵略が対象になっているんですから、侵略を防ぐための整備体制ということを考えておるのでありますから、その侵略という構想がわからずに、あなた整備なんかできるものじゃないですよ。
  108. 船田中

    国務大臣船田中君) 防衛庁の試案として持っておりまする、先ほど御説明申し上げました昭和三十五年度において達成すべき最終目標というものが、防衛庁としてどういうところから考え出されたかということにまあ今の御質問はなると思いますが、これはもちろん防衛上万全とは言えないと思います。しかし、まず侵略が起ったといたしまして、その侵略を一時防ぎ得る、もちろんわが国防衛につきましては、今の日本の力だけではこれはできませんから、従って日米安保条約行政協定によりまして、現実に侵略が起った場合には、日米両国政府の間におきまして、日本の国土の防衛をいかにするか、どういう共同作戦をとるかということの協議をすることになり、またおそらくそういう場合においては国連に提訴するというような、あらゆる防衛の手段を講ずることになると思います。しかし全く無防備でありますれば、ただ壊滅をするということになりますので、そういう場合におきましてわが国の国土を一時防衛する、守る、それに足るだけの陸上、またそれを確保するに足るだけの海上のあるいは航空の自衛体制を整備する、こういう考え方でやっておるわけでございます。
  109. 永岡光治

    ○永岡光治君 どうも私の質問がのみ込めていないように思うのですが、一時にしろ、あるいは一時がまあ十日になるのか、一カ月になるのか、二カ月になるのか知りませんが、一時を防ごうと。これは理想的な完全な体制ではなく、自分の国で全部防げるという考えではないということもわかりました。しかし三十五年十八万名で防げるという、そういう侵略のやっぱり基礎というものはこれはあるはずですよ。その内容において、たとえば陸上自衛隊であったならば、十八万名の自衛隊を整備した際に、侵略はどの程度の侵略ならば防げるのですか。その構想がなければ、むちゃくちゃに十八万名とかいうが、十万名でもいいかもしれませんよ、二十万名でなければいかんかもしれませんよ。それは相手のあることですよ。その侵略の規模に対する構想ですよ。それなくしてただ十八万名でいいとか、十五万名でいいとか、二十万名でいいというようなことは出てきませんよ。あなたの言うことでは、これでは防げないというんですから、その十八万名にして防げるという構想は、一カ月の場合はこうだ、二カ月の場合はこうだということがなくては、国民に対して責任を持てないでしょう。あなたの立場に立つならば、そういう無責任な数の決定というものはあり得ないと思うのです。ですから三十五年度における十八万というのは、これの侵略の規模というものは、この程度の規模ならば防げるという構想がなければならないと思うのです。それなくして十八万名とか二十万名とかいうことをきめるということは、国民にとってはなはだ迷惑だと思う。おこがましいと思う。  それで私は具体論を申し上げますが、十八万名ならばどの程度の規模の侵略に対してたえ得るんですか、その侵略の構想はどう考えておりますか。十八万名を対象とした際の侵略の規模はどういうことになります。
  110. 船田中

    国務大臣船田中君) これは侵略の規模はどの程度にあるかということは、これはなかなか簡単に言えることではないと思います。しかし、ただいま三十五年度において最終目標として陸上十八万、海上十二万四千トンというようなことを一応防衛庁試案として持っておりますが、陸上十八万ということは、これは米陸軍戦闘部隊の漸次日本から撤退していくということをも考慮いたしまして、なるべく早い機会に外国軍隊の駐留をやめても、日本の国土の安全が保ち得るようなその基礎を作ると、こういう建前で、もちろん一方においてはあるいはあるかもしれない侵略というものを考えまして、そうしてこの十八万という数字を一応出した次第でございます。
  111. 永岡光治

    ○永岡光治君 時間がまあ半になりましたから、私はいろいろ問題がありますが、次の機会に譲って、本日のところはこれで私の質問は一時終ります。
  112. 青木一男

    委員長青木一男君) 暫時休憩いたしまして、一昨半より再開いたします。    午後零時二十九分休憩    ————・————    午後二時三十二分開会
  113. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  委員変更について御通知いたします。  本日菊川孝夫君が辞任されまして、その補欠亀田得治君が選任されました。   —————————————
  114. 青木一男

    委員長青木一男君) 調達庁の問題について質疑をお願いします。
  115. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 前回立川飛行場の拡張の問題につきまして質疑をいたしましたところ、実情がわからぬというので、調達庁不動産部長でありましたが、実測をしてきて答弁をするということになっております。それから小倉のキャンプの一偶におります林田一君の補償の問題についても、実情がわからぬから、調べた上で答弁をする、こういうことでございましたので、簡単に二点について御答弁願います。あるいは後でもかまいません。
  116. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) ただいまお尋ねの立川の飛行場の滑走路工事につきましてお答えいたします。ただいまの滑走路のうち、これは御承知の通り約五千フィートございますが、その南北端にいわゆるオーバーランという部分で、飛行機が滑走路以外に滑走のことが生じた場合に備えた地域、オーバーラン地域がございますが、南が九百五十、北が八百五十のオーバーランがございますが、このうちにコンクリートのペーブメント工事を行いまして、南の五百フィートを滑走路に、それから残りの四百五十フィートをオーバーランとして使用し、それから北の方ではオーバーランの八百五十についてコンクリートのペーブメント工事を行いまして滑走路にするということで、その点工事が完了しております。従って現在滑走路の長さは六千二百五十フィートになっております。この滑走路の完了予定は、御承知の通りあそこは、完全装備をしたジェット機には九千ないし一万の滑走路を使用するのでありますが、あそこは主として修理を行うためのものであるので、完全装備に至らざる程度のものでよろしい、こういうことで七千フィート程度を滑走路にする。従って今問題になっておりまするところの拡張区域に関しまして、約六百五十フィートを滑走路にいたす。それからその先なお四百フィートにオーバーランの工事を行う、こういう予定になっております。
  117. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 七千フィートという点は、この前お尋ねいたしました訴訟における答弁書と、今やっとまあ一致をしたわけであります。実測をしてきて云々という点でありますが、六千三百五十フィートということですが、私どもが別の機会に知りましたところでは、六千七百フィートと承知をいたしておりますが、違いますか。今、六千三百五十フィートというお話のようでしたが……。
  118. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 現場につきまして、私どもの事務所で調査いたさせましたところが、現在の六千三百五十フィートと、こういうことです。
  119. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 じゃあ細かい点は省略いたしますが、これから拡張しようとするところが、ほとんどオーバーランであるということは、これはお認めになられますか、いかがですか。
  120. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) これから拡張しようという部分の約七割はやはり滑走路でございます。あと三割五分程度がオーバーランになっております。合せて千フィート余りと考えます。
  121. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 その点は、これはまあ小さい数字になりますから、また後に譲ります。  それから小倉の点……。
  122. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 小倉の、お話の点は詳細、不動産部長が今これから御説明申し上げます。
  123. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ながながと説明されては迷惑をいたしますので、それはあとで一つ御説明をいただくことにいたします。細かい点……。  調達庁が労働大臣の担当でございましたが、先般来いろいろ閣内論議があったようでありまして、防衛庁担当大臣の所管に移されるという方針にきまったということでありますが、さようであるか。正式にはまだきまっておらぬと、あるいはおっしゃるかもしれませんけれども、新らしい調達庁長官の選考等についても、防衛庁からも防衛庁長官、あるいは次長等も関与せられたようでありますから、防衛庁に所管がえするという方針はきまったかのように思うのでありますが、その辺の経緯と、それからその意味、あるいは理由というものについて伺いたいのであります。
  124. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 政府でこの行政機構改革を考えましたときに、いろいろな事情から防衛庁に移管することがよいではないかという意見が出ましたが、それは行政審議会の答申にそういうふうにございますので、そのことについていろいろ相談をいたしました結果、なおその時期でないということで、やはり調達庁は内閣の一調達庁で担当大臣をきめる、従来通りやっておるわけでございますが、調達庁長官が病気のために今度おやめになることになりまして、その後任につきましては、防衛庁と調達事務というものは非常に関連性のあるものでございますし、仕事の上でも関連があるし、従ってお話し合いいたすのに、両方でよく理解のあるような人物を調達庁長官に選ぶ方が好都合ではないかということで、私の方から、担当大臣の方から防衛庁長官にお願いをいたしまして、両方で適格性について御相談をいたしておる、こういうことでございます。
  125. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それでは調達庁を防衛庁担当に所管がえをするという点はまだきまっておらぬ、こういうことですか。
  126. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) さようでございます。
  127. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 仕事に関係があるというのは、どういうことなのでしょうか。
  128. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) このことは立場によって、それぞれ所見を異にされる方もあるかと思いますが、私どもは日本防衛力が自分の力だけでは不十分だと考えまして、従って日米安全保障条約を締結いたしまして、それによる駐留軍というものを認めておるわけでありますから、その駐留軍のいろいろな仕事につきましては、これが円滑な運営ができるために、調達庁というものを設けてやっておるわけでありますが、将来日本がなるべく早い機会に、われわれの自力で防衛をやっていきたい、そういうときには、現在のたとえば航空基地なども、自衛隊が使用されることになるであろう、従って仕事の上で同じ防衛という目的、それから仕事の上でも、事務的にもいろいろな関係があるからして、防衛庁が今のようにお世話下さるががよいではないか、こういう考え方であります。
  129. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると、基地のごときも、米軍とあるいは自衛隊と共用をしたりいたしておりますが、そういう基地についても関連性があるから、こういうこともあるのですか。
  130. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) ただいま申し上げましたのは概念でありまして、従ってそういうふうにして防衛庁でやってもらうことがいいではないかという考えで、一つそういうことが一番妥当であるかどうかということについて、特に行政審議会の答申案なども出ておるものですから、そういうことについて諸般の研究を、今関係事務当局を集めて検討をさせておるという経過であります。
  131. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先般来基地問題について、関係閣僚懇談会ですか、閣僚の間に今新しい組織ができたようでありますが、これはどういう意味で、どういう任務をもってお作りになりましたのか伺いたい。
  132. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) このことは私から希望いたしました。いろいろな基地の問題につきまして、たとえば滑走路を延長して参る途中に道路があるとか、あるいは水路が横断されておるとか、それからまた付近に学校があるとかといったようなことで、このことはもちろん政府として責任を負うのでございますから、調達庁担当大臣が単独でやってもけっこうなことでございましょうが、建設省あるいは自治庁あるいは防衛庁といったような、その仕事に関係を持っておる責任者に集まっていただいて、それで地元が、滑走路拡張のために水路をどういうふうにやってもらいたいといったような希望があるときに、調達庁担当大臣がそこですぐに回答のできないようなことを、まず連絡閣僚会議で基本的な考え方をまとめれば、地元の方々に対する御要望にも応ずることに早く便宜になるし、そういう意味で、円満にこれを遂行いたして、その目的を貫徹するために、こういうやり方が一番いいではないか、こういうことで御協力を願うことにいたしたわけであります。
  133. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 御説明によると、連絡を円満にするというだけのようでありますが、その前に、基地問題について強硬措置をやる、あるいは強制収用をやる、こういうような方針が報ぜられておりますが、そのあとで、関係閣僚懇談会といいますか、閣僚会議というものが設置されるということになった。そういたしますと、その前にはダレス国務長官の訪日、しかも、かってない気持のよい二十六時間であったという談話が、あとで発表されております。あのダレス来日の会談の際に、基地問題について要請があったという記事、あるいはうわさ等もあります。あるいはそれと相前後して、アリソン大使から要請があったという記事等もあります。そういうアメリカの要請によって閣僚会議を持ち、あるいは強硬措置をもって基地問題について臨もう、こういうことで閣僚会議を持たれ、あるいは強硬方針が出されたかのように、世間は印象を受けておりますが、ダレス来日と組織あるいは方針というものと関係はございませんか。
  134. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) ダレス米国務長官日本政府の人々が、どういう会見をいたしたか、私は承わっておりませんが、少くとも、このたびの基地問題に対する連絡協議会は、私が提唱いたしましたので、今申し上げましたように、建設大臣あるいは農林大臣等と、そういう先ほど申し上げましたような事柄について、すみやかに話し合う機会をいつでも持てるようにして、そこで最高方針をきめていただいて、そうして地元の方々の御要望にもできるだけ応ずるということがいいではないかという、ただそれだけでありまして、吉田さん決して色めがねで見ておいで下さるというわけではありませんが、今のお話を聞いておって、うっかり、ナス畑で靴のひもなんか結ぶものではないということを、よく痛切に感じたわけでありまして、私はもうダレスさんの来訪とか、アリソン大使からどういうこととかいうことでなくて、これは全く調達庁担当大臣として、なるべく早く地元の方々の御要求をどうやってできるだけ満たして、そうして円満に解決し得るかということのためにだけ設けたのでありまして、他に何ら考え方はありませんです。
  135. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それは、関係はそれでは御否定になりましたが、強硬態度、まあ新聞には大きく報ぜられました。これはお認めになると思います。
  136. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) その強硬態度というのが、私も新聞を見て実はびっくりしたのでありますが、朝日新聞の私の友人の記者が来られまして、基地問題についてどういうふうなことかということで、立川については経過はこういうことだ、まことに残念なことであるが、やむを得ないので、これは収用委員会というような手続にならなければならないかもしれないということを話しただけであります。ところがその翌日新聞を見ますというと、小牧とか、木更津とか、とんでもないところが書いてございましたので、地元の代議士さんたちにも私はきのう新聞社の方にお話ししたのはこういうことであるということを申し上げて、誤解のないように釈明をいたしたような次第でございまして、強硬態度というのはどういうことか、別にいわゆる強硬態度というものを特にきめたことではないわけであります。
  137. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 同じ記事であったかどうかしりませんが、期日についても六月末日、米会計年度までに五つの飛行場の拡張については強硬措置を講じても基地の拡張を六月末日までにやりたい、こういう方針政府方針として伝えられておりましたが、その点はそれでは今と同じように……違いますか。
  138. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 私が就任いたしまして間もなく事務の引き継ぎをいたしまして、前任者からこれは米会計年度の六月までになるべく完成して引き渡したいのである、こういうお話でございまして、政府も一応そういう考えになっておったものでありますから、その通り申し上げました。今日なお遅れておることを非常に残念に思っておるわけであります。
  139. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今の方針はどうなんでしょうか。六月末日までにというお話でありますが、けさの新聞であったかと思うのでありますが、六月中に一部でも解決するように強く要望したと言われる、これはダレス長官がですよ、そう書いてある。しかしこれは実際の状態が遅れるということが確定的になったので、本年十月ごろを目標として打ち出しておる、こういうことが書いてあるのでございますが、どっちなんでしょうか。
  140. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) その新聞記事のことは一向存じませんが、私といたしましてはすでにもうとうに拡張が完成しておらなければならないのに、今日の事態であることをはなはだ残念に思っておるわけでありまして、できる限り早く完成いたしたい、こういうふうに考えております。
  141. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると、六月末日、米会計年度の終りというのは日本政府予算を計上しておやりになるのに、六月末日というのはどうして関係があるのでございますか。先ほどダレス氏、あるいはアリソン大使からの何の要請もないというお話がございましたが、ないのに日本のあれで、事情でおやりになるのならば、日本会計年度というものが基本になりましょう。アメリカの会計年度は問題にならぬと思います。それはどういう工合に説明されますか。
  142. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 私が前任者から引き継ぎましたのは予算の問題ではございませんで、大体米会計年度の六月までには完成になるのだ、こういうのが日本政府の目的である、こういうことでございましたから、六月までに完成をしたいということで鋭意努力を続けてきた、こういうことであります。
  143. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 納得がいきませんけれども、時期の説明がありませんが、時間がございませんから続けたいと思います。  調達庁長官、今井さんという方、任命されることがきまったようで、まだ発令されたかどうかしりませんけれども、きまったようであります。今井さんの経歴が新聞で報ぜられるところでは、警察畠の、旧内務官僚だということであります。その辺にも何か基地問題についての政府方針というものが出ておるかのごとくであります。強硬態度、それから出て参る、登場してこられる新調達庁長官が、警察畠の旧内務官僚、そうすると、私どもその選考の方針がそういうところに落ちついたということから、去年のような頭を下げて調査、測量をやるという段階にも、ああいう警察を何千と動員した強行、いわば暴力とでも言うべきことが行われましたが、ああいう警察的なやり方で、あるいは警察の実力行使的なやり方でこれからの基地問題をおやりになるかのような印象を受けるのであります。そういう御方針が新長官選考に絡んでおったのかどうか、関連して今後の方針を承わりたいと思います。
  144. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 今井さんという方はまだ決定いたしたわけではございませんが、非常に人物もよろしいし、ことに内務省に勤めておられたころのことを聞いてみますと、非常に話をまとめたりすることについて人格の円満な方であるということで、私は警察におったということを特に選ぶ材料といたしたのではなくて、やはり内務省などで地方の方々により多く接触した、しかもその話し合いを円満におやりになるといったような方が一番いいではないか、こういうことで数名の候補者を選んで選考いたしたわけでございますが、決して新しい長官ができて、そのために今、吉田さんのおっしゃったような、いわゆる強硬な方針、そういうふうなことをさせるために調達庁長官の人選をいたしておるわけではないのでありまして、そういう方針はどこまでもやはり政府方針でございますから、政府としては無理をしないで、できるだけ納得していただいて、そうして円満に話を進めていこうという基本的な方針には新調達庁長官がだれになりましても変りないわけでございます。
  145. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 基地問題についての政府の今の方針を承わりたいのですが、これは隣りに坐っておられます船田長官にむしろ承わった方がいいかと思うのですが、先ほど来労働大臣が説明をされたように、米軍の基地とそれから日本の自衛隊の基地というものとが防衛ということで関連をしておる、こういう御説明、これは政府方針でしょう。そうしますと、日本の基地が米軍の基地を中心にいたしましてだんだん変って参っております。一番大きいところでは、かっては沈まない航空母艦ということで、大陸に対するこれは防衛の基地という説明がありました。ところが最近では戦闘あるいは防衛というものと、原子兵器というものとが切り離せなくなって、基地は原水爆攻撃の基地となり、その次の瞬間には原水爆の攻撃を吸収する吸収的機能を持つに至っておる。従ってむしろ固定した陸上の基地よりも、四万トン、五万トンの航空母艦と、それから爆撃機も出るしあるいはロケットの攻撃もできる、こういう航空母艦等が、大型の航空母艦等がさらに重要な意味を持ってきておる。かりに日本の基地から攻撃がされるならば、アメリカの空軍その他は退逃をするであろうということが言われております。そういうように、日本の持っております基地の戦術的、戦略的な価値の変更がございます。そうして小さいところは整理をして、大型の飛行基地を中心とする、こういう段階に、先ほど日本の自衛隊と、それから駐留軍とは、防衛ということでこれは関連がある。なお実際の例でありますけれども、米軍基地を教育、訓練という目的で日本の自衛隊がやや使いかけているという実態等もございますが、そこでこれは防衛庁担当の船田大臣にこういう基地問題に対して、この米軍基地に対してあるいは自衡隊の基地についてどういう方針であるのか、なお依然として従来のように大型のジェット爆撃機が発着し得るような基地を是が非でも拡充をして参りたい・こういう従来の米軍の戦略的な方向について強力に推進をする、こういう御方針なのか、それとも河野農林大臣は、まあこれは日ソ国交の問題に関連してでありますけれども、必ずしてアメリカの言うなりばっかりになっているのではない、こういう御意見等もございましたが、あらためてここでお二人そろっておるときに一つ政府の所見を承わりたいと思います。
  146. 船田中

    国務大臣船田中君) ただいまの御質問でございますが、先ほど調達庁担当の労働大臣から御答弁のありましたように、米軍の使っておる基地、そしてこれをある程度拡張するということにつきましては、これは日本政府として米側に約束をしておることでありまして、今の飛行機の状況から見ましてある程度の拡張はぜひ必要である、で、それを先ほどお話がありましたようになるべく円満に、しかもすみやかに実現するためには関係閣僚がこれに協力をするということがきわめて必要である。政府全体の問題としてこの問題を一日も早く円満に解決するようにしたいということから、先ほど労働大臣の御説明にありましたように基地問題関係閣僚協議会というものを閣内に設けまして、その実現をはかるようにいたしたわけでございます。今後この基地をどの程度に拡張し、また自衛隊がこれに対してどういう使用方法をとるかということにつきましては、いずれこの基地が米軍の撤退によりまして、わが方のものになりましたときに、十分これを活用していくようにしなければなりませんが、今後ことさらに自衛隊として非常に大きな基地を作らなければならぬか、あるいはもう少し小さいもので間に合うかというような点につきましては、これは今後も十分検討をして参りませんと、今直ちにどういう規模のものを作るがいいかということの最終的の決定は私はできないと思います。さしあたりの問題といたしましては、米軍に約束しておる基地の拡張ということはなるべくすみやかに円満に実現するようにいたして参りたい。そのためには防衛庁といたしましてもできるだけの協力をする、こういうことで参りたいと考えております次第であります。
  147. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今の御答弁ですと、五つの飛行場については、これは日本政府として必要であるから拡張して提供するという方針というお話ですが、しかし米軍撤退もあって云々というお話ですが、それではよく言われましたように、日本防衛上基地の五つの飛行場の拡張が必要だ、しかしそれは米軍撤退ということであるいは米軍が使わなくなるかもしれぬ、それは日本の自衛隊でその後は使わしてもらう、こういうことなんですか。
  148. 船田中

    国務大臣船田中君) 米駐留軍が将来撤退するということになりますれば、今の米軍の基地は要らなくなるわけですが、しかしそれが日本の自衛隊がだんだん整備されていきましたときに、これをどういうふうに使うかということについては、まだ何もきまっておるわけではございません。米軍の撤退の時期は全然今のところはわからないのでございますから、従って米軍が撤退したならばどうするということは今のところは自衛隊としては考えておらないわけでございます。
  149. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私はけさの読売の漫画ではありませんけれども、アメリカのいうことばかりをきいてはいられないというような河野氏の発言もございました。それから鳩山首相なりあなたなり、安保条約なり行政協定改訂はしなければならない、こういうお話です。そうすると、米軍基地の撤退を求めるということもこれはございましょう、そういうあれの中に。で、防衛日本の問題だ、こう言われるから、それでは米軍の撤退、あるいはそれは空軍にも関係あることか、そして撤退したあとをどういう工合に使うかということはきまってないでしょう、きまってないかもしれないけれども、空軍、海軍を含んで米軍の撤退を求め、そうして基地の減少をはかる、こういう御方針がおありなのかどうかということを伺ったのであります。
  150. 船田中

    国務大臣船田中君) 今のところはそこまでまだ具体的には進んではおりません。従来しばしば申し上げておるのは、昭和三十五年度に最終目標としてお示し申し上げておる自衛体制が整備されることによりまして、米軍撤退の基礎はできますけれども、しかし米軍が果していつ撤退するかということは国際情勢ともよく勘案をいたしまして、そうして日米両国政府の合意によって行われることでございますから、その時期というものは今まだわかっておりません。従いまして米軍全部が撤退した後、どういう使用方法をするかというようなことについては、今のところはまだ何も考えてはおらないというのが実情でございます。
  151. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ほかのところはいいですから、三十五年なら三十五年後に計画が完成したら米軍の撤退ができるという説明でした、従来。その米軍撤退という中には海軍、空軍も含まれて、そうして米軍の基地がなくなる、あるいはなくしてもらいたい、こういう要求を含んでおるか、その点をお尋ねしたい。
  152. 船田中

    国務大臣船田中君) まず米軍の撤退は陸上の戦闘部隊の撤退ということから始められて、今年中には一万余の撤退が行われると思いますが、現在のところはそれだけについて考えておるのでございまして、空軍、海軍までどういう時期にどういう方法で撤退するかということについてはまだ何ら考えておりませんので、従ってその後のことを仮定してこうするだろうということは、今のところは考えておらない次第でございます。
  153. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それからこれは、まあ米軍の日本の要所々々といいますか、飛行場なり基地を作るについて、従来の飛行場跡なり、あるいは演習場跡なりというものを使っておるわけでありますが、最近に至っては自衛隊をも含んで、旧陸海空軍で使っておられた演習場、射撃場、あるいは航空隊跡全部についてほとんど使いたいという、あるいは誘致運動を起さしたりというようなことをしておられるのでありますが、これはまあ一つ一つあげる時間がないのですが、実際問題としてほとんど全部について起っておる。で、これらについてどういう方針なのか、米軍それから自衛隊の同じようなものについて、キャンプあるいは射撃場、演習場、航空隊あとを使う御方針があるのかどうか承わりたい。
  154. 船田中

    国務大臣船田中君) 昭和三十一年度の予算化したものにつきまして、ただいま御指摘のような飛行場あるいは演習場等については、これを適当なところを獲得しようということで研究を進めておりますけれども、それから先の昭和三十二年度以降の計画につきましては、これもたびたび申し上げておりますように、まだ計画が立っておりませんので、従って飛行場を作るとか、あるいは演習場をどこに設けるとかというようなことについては、まだ研究はいたしておりません。
  155. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それではあとで個々についてお尋ねをいたしたいと思います。  それでは、米軍の基地と自衛隊との関係についてどういう御方針なんですか。あるいは部分的に、たとえば九十九里浜でも自衛隊が教育を受けているのだということで、実弾射撃をしておったり、いろいろしているわけですね。これは各地において。ですから、これはほんとうは非合法です。米軍の基地ということで提供をしておる。ところがいつの間にか自衛隊が入って使っておるということなんですが、そういうことでだんだんまあ米軍の基地をも自衛隊に使っていくという部分を多くしていくという方針なのか。米軍の基地と自衛隊との関係についてどういう工合な御方針であるのか、一つ承わりたい。
  156. 船田中

    国務大臣船田中君) 米軍の基地として提供いたしておりますものを自衛隊が使わしてもらうという例もありますが、それは自衛隊の教育訓練のために必要な場合において使わしてもらっておる、米軍の使用の範囲内において、自衛隊の教育訓練のために必要のときに使わしてもらっておること、こういう関係でございます。
  157. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 米軍に提供した、あるいは貸したというものについて自衛隊が使おうというならば、別に契約をすべきであるし、あるいは補償なら補償をすべきである。これは法律関係なり何なりが別だと思うのですが、非合法をあえてし、あるいはそういう点についてはこれはいいと思っておられるのですか。それとも今のように、むしろその非合法を、だんだん拡大していこうと、こういうことなのですか。
  158. 船田中

    国務大臣船田中君) これは先ほど申し上げた通りに、米軍に提供した基地を自衛隊が使わしてもらうというのは、全く自衛隊の教育訓練の範囲内において使わしてもらっておるというにすぎません。従ってそれから起る補償については、原則として調達庁の関係の仕事として、米軍の使用に対して補償をするということでございます。
  159. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 その点もこまかい問題がございますが、時間がありませんから次に参りますけれども、基地、特に米軍基地の場合ですが、基地とそれから他の法益、たとえば秋吉台の場合には、国定公園それから九十九里浜その他漁業があります。それから農業、あるいはその他基地の中なりあるいは基地周辺の住民の生活、場合によっては生命までもございますが、その基地とそれから他の国民の法益との間についてどのように調達庁担当の大臣は考えておられるのか。この間は、場所を忘れましたけれども、付近の住民が薬莢を取りに行ったということで銃殺をされた、命まで奪われているわけであります。国民の幸福を守るのは政府の責任だと思いますけれども、基地の場合には、米国のためなら何でもやろうといわれるのか、あるいは米国のことであろうとも、アメリカの言うことばかりは聞いておられぬ、国民の生活は守るべきだ、こういう御方針なのか、これは一々例をあげんと困難かと思いますが、一般的な方針を調達庁担当大臣に伺いたい。
  160. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) お尋ねを受けるまでもございませんで、行政協定に基いて、政府側はその約束に基いて、あるいは某地の提供、物資の調達ということをやるだけでありまして、それによって日本の国民に対する被害が大小にかかわらずあるという場合には、政府は、先方の過失その他先方の事由による場合には、先方に補償の要求もいたしますし、日本人を保護するという点においては、毛頭遠慮することなく政府といたしましては人権を擁護し、国民の利益を保護するためには全力をあげてやる方針であります。
  161. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 生命についてはこれは守ろうというお話です。ところが、具体的に例をあげましたけれども、秋吉台の場合のような国定公園、あのカルストの文化的なあるいは科学的な価値といいますか、こういうものについてはどうですか。極端な例をあげれば、あるいは国会の議事堂も使いたい、あるいは首相官邸も使いたいと言えば、これは断わられるでしょう。が、具体的なそういう国定公園といったような場合にはどうですか。
  162. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 秋吉台については、吉田さんもすでに御存じだと思いますが、あれはいわゆる昔の陸軍のじぶんの演習場でございまして、それから戦後接収されたわけでありますが、その接収になりましてから国定公園に指定されまして、その辺のところに事務的な若干の不連絡はあったようでございますが、そこで、今秋吉台は御承知のように鐘乳洞の世界的な有名な地点もありますし、地獄谷などという地点もございますので、五百何十万坪の演習地の中から、そういうところは特に演習地から除外してあるわけであります。そこで、いわゆるカルスト地帯に対する今度の問題でございますが、五百万坪あまりの演習場において、地元との話し合いで、今までは全地域にわたって、今申し上げました鐘乳洞や地獄谷を除外いたしました全地域を被弾地区として演習に使って差しつかえないということで今までやっておったわけであります。薬莢がたまたま飛んできたといったようなのは、それは実弾を射撃をいたしました場合のことがあったかもしれませんが、今まではそのことで地元の方々との間に何のトラブルもありませんでした。今度起きました問題は、艦載機によって爆撃の演習をやりたい、高度三千メートルぐらいのところから低空に降りてきて、そうして約三百匁ないし五百匁くらいな模擬爆弾の砂を入れたものを二十万坪のところを指定してその地域にうまく着弾したかどうかということを検査するという、そういう検査のやり方を希望して参ったのが、今までと少し変っておるところでありますが、そういう場合にもカルスト地帯に十分砂を盛っておきまして、そこへ模擬爆弾の砂を入れたものを落すとこういうことでありまして、そういう問題につきましては、厚生省の公園部とも十分話をいたしておるわけであります。文化財保護ということは私どもとしても十分考慮をいたしまして、そういう点について今申し上げたような程度の演習をやるのだがどうであろうかということで、地元の御了解を求めておる、こういう次第であります。
  163. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 まあ航空機からの爆撃演習というところに新しい問題が起きておる、これは御承知の通りであります。そこで爆撃によってどの程度の被害があるか、たとえば漁業の場合ですと、けさの新聞にも出ておりましたが、これは山形県の佐度島というのですか、そこの訓練、また九十九里浜に参りましても、あるいは築城の沖におきましても、これはずいぶんたくさん海で、日本海なりあるいは太平洋岸をそれぞれ探してみても、全然大砲の音のしないような海が少いくらいじゃないかと思うのですが、沿岸で大砲の音をさせるあるいは打ち込むということで、魚が逃げて行った量というものは莫大なものだと思うのです。これは九十九里浜その他において補償をしておるとおっしゃるかもしれぬけれども、しかし補償しておるのは完全な補償ではなくて、そうでなくても漁場の少くなった日本の漁民にとって沿岸からの演習というものは実は大問題であります。補償すればいいじゃないかというわけには参っておらぬ、実際の生活問題が。そこで法益の比較について方針を聞いたのでありますが、九十九里浜についても、もう九年間われわれはわれわれだけが米軍の被害を受けておるのだから、もう一つやめてもらいたい、これは痛切な声でありますが、おそらくこれは山形県の佐度島等についても遠くに行ってくれと言ったところが、むしろ逆に訓練区域を接近させたというむちゃ、要望とは違って逆に国民の首を締める処置が行われようとしておるのでありますが、これらの点について担当大臣として、あるいは移転なり制限なり演習場の撤去について交渉をする意図はないかどうか、承わりたい。
  164. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 今の御指摘のような問題につきましては法益を尊重する意味で地元の方々と十分に政府との間にお話し合いをいたしまして納得をしていただいた上で、演習をいたしておることは御承知の通りであります。そこでなおかつそれにもかかわらず、地元でいろいろな御要望のある場合には、私どもとしてはやはり先方と日米合同委員会などにおいて議題として相談はいたしておりますが、現在やっております演習地その他については、地元の方々と大体納得ずくの話し合いの上で協調をしてやっておるという実情であります。
  165. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 答弁が足りませんけれども、時間がないからその次に移りますが、米軍の引き揚げとそれからそれぞれの基地施設についての返還計画を承わりたい。これは前に承わりましたけれども、具体的に北海道全域から九月中に米軍が引き揚げるといううわさがある。あるいは神町、三保その他の撤退あるいは返還の報がございますけれども、なかなか実際にはお話通りいっておらない。たとえば大高根のごときもキャンプすらなくなるのでありますから、直ちに返還せらるべきだと思いますけれども、まだ返還に至っておらない。あるいは福岡県の逓信病院のごときも返還するという報は二、三年前から伝わっておりますけれども、まだ返還されておらない、それから呉なり、鳥取なり山形など返還に伴います労働者の生活問題については大へん大問題になっておりますことは私が申し上げるまでもございませんが、それに伴います就労対策、失業対策がついておらない。この点もあらためて伺いたい。  それからもう一つあわせて承わりたいが、伊丹等の空の管理権を日本側に委譲するということでございましたが、ということは、軍の基地として伊丹の飛行場はもう使わない、将来については使わないということにするという方針なのか、その辺あわせて返還問題の一つとして御答弁願いたい。
  166. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 前段のお尋ねの返還の事務的なことは調達庁側の方からお答えいたしますが、最後の伊丹のことでございますが、伊丹はいわゆる六飛行場として拡張の計画に一応載っているのでございますが、今日日程に上っておるわけではございません。そこで先般来私どもが大阪に参りましたときも、その後も大阪商工会議所会頭など、それから京都の方々などもしきりにこの国際空港がほしい。そこで今日のように航空機が発達してきたときに、あの伊丹の地域に国際空港がないということは関西の経済界としてはまことに困るのだ、従ってこれを国際空港に将来したいのだということについてお話がございました。しかしこのことは私どもとしてはただいま軽率に政府考え方というものをきめるわけには参りませんので、そういう御意見がもしあるならば、地元の方々で伊丹の航空基地の拡張に反対をしておいでになる人もおりますし、それぞれ地元の方々の全体としての御意向が固まってくれば、またそのときはそのときで御相談いたしましょう、こういうことでございまして、熱心に要望いたしておられる向きがあることは事実でありますが、方針決定しておりません。
  167. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今の答弁の中で一つ落ちておりますのは、空の管理権を日本側に移すということの決定がなされたか、その有無の問題をお尋ねしている。
  168. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) それはそういううわさはございましたけれども、公式に何の通知もございません。
  169. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 あとの返還の計画は調達庁から詳細にお伺いしたい。もし足りなければ文書でお出しを願いたいと思うのですが、五つの飛行場、立川をはじめ強制収用という新聞記事が報ぜられましたが、必ずしもそういう方針でないということなのですが、これは私が申し上げるまでもなく、去年の九月−十一月に測量させてもらいたい、これはきまった拡張をするわけでない、あるいはするかしないか、強制収用するかしないかわからないという段階で、させてもらいたいというときにああいう警官を使って、いわば人の土地に暴力的に入って測量せられるという事態が起りました。それに対してあるいは地元の者なりあるいは世論がどういう反響を示したかは、これは私が申し上げるまでもありません。あらためて砂川の子供なり婦人の文集を読み上げる必要はないと思いますが、そこでその直後、あるいは総理にあるいは労働大臣に会って、よく地元のあれを聞いてもらいたい、こういう話がございましたが、総理もにべもなくけられた。あるいは労働大臣は行かれたけれども、ほんとうにひざを交えて話を聞くということはされなかった。そしてこの間から二週間の期限で、強制収用と申しますかの挙に出てこられたわけであります。それは先ほど言われた方針と私違うと思うのであります。そこでなおまあ二週間は切れたわけでありますが、私はそういうけんか腰で人の土地に強制的に入って、けがさせてまで測量をし、その後会ってくれというのに会いもしないで、なお強権的に収用するということでは、実際にこれは円満に収用するというわけには参らんと思いますが、あるいは測量せられようという他の部分、これはクリアランス・ゾーン、滑走路以外ですから、その他についても同様の強行測量をやり、あるいは一部においては告示をしなければ町長罷免までするといううわさが飛んでおりますが、主として今後残されておるのは、オーバーランとかクリアランス・ゾーン、そういうものを測量したい、あるいは使いたいということで、なお従来通りのわからずやの問答無用式の態度でお出になるのか、これはほかのところについても同じです。もう少し具体的に承わりたいと思います。
  170. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) わからずやと言われるのはまことに困るのでありまして、私どもの方はもう今日まで、今吉田さんのお話では、一回も会ってないようなお話でございますが、そうじゃないのでして、私が就任いたしたのが去年の十一月でございますが、そのころ東京都知事が買って出てくれまして、何とかこれは円満にしなくちゃならないということで、東京都知事は、地元のいわゆる反対の方々にしばしば会見をされまして、そこで私も一つお目にかかろうではないかということで……ところが地元の方と私がお目にかかるというと、通信機関などもいろいろ大騒ぎをされるだろうしということで、ごく内密に数時間お目にかかりました。そして町長さん初め反対派の方々に、十分政府の意のあるところをお伝えいたしまして、そこで一ぺん何しろ地元を見ようじゃないかということで、ある日私が調達庁の者を連れまして、地元を一日よく現地を実地に拝見してきました。横田も一緒に拝見して参りましたが、そこでその後も都知事があっせんをいたしまして、いろいろできるだけのことを都としてもやって上げたいし、政府としてもできるだけのことをいたしたい、それについて一つ地元の方で何か案があるならばそれも示してもらいたい。しかし要は、最終的にはこの滑走路及びオーバーランの延長はぜひやらなければならぬのだから、その点を前提として御協力願いたいということで、先般まで引き延ばして参ったのでありますが、事情いろいろやむを得ないということであって、期限付の回答を求めたような次第でありますが、すでに期限は切れております。しかし私どもの方ではなおもう少し、一つ地元との御協議をしてやりたい、こういうことで、今よりよりその点について苦慮して、相談をいたしておる、こういうわけであります。
  171. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 その期限付という点を問題にいたしましたけれども、まあ協議をしていると、こういうことです。その点は了といたしますが、私は従来のあれが足りなかった。しかも、とにかく人の土地に入るのに、その人を傷つけ、あるいは押しのけて測量をすると、こういうことで話ができるか。あるいは二週間なら二週間という期間がきたらもう収用にかかるのだ、こういうことで、これはほんとうの協議じゃなかろうと思うのです。そういう点を申し上げたのでありますが、なおあとのこの滑走路以外の所、滑走路以外の所ですからクリアランス・ゾーンに当る所だろうと思いますが、そういう所については、どういう具体的な態度、方法でお臨みになるのか。去年のようなことをおやりになるのか。それから一部には測量終った所について収用手続に入りますについて告示を求める、拒否するならば町長を罷免してまでやるのだ、こういううわさ等飛んでおりますが、そういうことでおやりになるのか、これは具体的な点になりますが、伺いたい。
  172. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 今申し上げましたように、政府は、期限は切れましたけれども、なお御相談を続けているような次第でありますから、無理はしない。できるだけ納得していただくように努力をいたしまして、そこでどうしても最終的にだめだという方については、やむを得ず法的措置を講じなければ、拡張を妨げられるということであれば、いたし方ございませんので、それをやる以外に方法はないと考えております。
  173. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 たとえばそれを町長罷免も辞せぬとか、それからもう一つ、新潟等の点において、新潟県知事を呼ばれて、どうかつされたか、恐喝されたか知りませんけれども、そういううわさ等も伝わっておりますが、そういう御方針か、あるいはそういうことがございましたか。
  174. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 町長罷免とか何とかそういうようなことは、今、考えたことはございません。新潟の問題でございますが、新潟の知事さんは、御承知のように参議院にかつて議席を持っておいでになる方で、知事さんの方がかえってどうかつされるほどしっかりした方でありまして、私が知事さんをどうかつするなんていうことはとても夢にも思わないことであります。第一そういうことでなくて、北村さんはかって同じ党籍を持っておりましたし、あそこの代議士にもたくさん友人がございますので、上京されるごとに、私の選挙区と隣り合ったところでありますから、たびたび一緒に食事などいたしておりますので、そのときには新潟の話も出ますけれども、まだ何の具体的な御相談もいたしたことはありません。
  175. 亀田得治

    亀田得治君 先ほど吉田委員からちょっと尋ねられた点ですが、砂川の問題がこじれてきた場合には、地方自治法の百四十六条による罷免の措置ですね、こういうことも辞さないという意味のことが新聞に若干載っているわけです。で、今大臣はさようなことは考えておらないとおっしゃったが、私はもちろんその通りであるべきだと思うのですが、しかし全然そういう考えのないものが、ああいう記事になって出てくるというふうなことも想像されないで、たとえば収用問題でも、強制措置はなかなかやりませんと言っても、最後にはやはり出てくるわけです。だからこういう問題も、もちろんそういうことは考えておりませんが、どうしても言うことを聞かなければやるのだというような考えがあるのかないのか、もう少しその辺の腹の中を詳細にお答え願いたい。
  176. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 基地の拡張を完成したいということは考えておりますが、ただいまのその町長さんの罷免とか何とかいうことは、実は今この席で私初めて承わったことでありまして、全然初耳でございます。私どもも今までそういうことを考えたことはございません。
  177. 亀田得治

    亀田得治君 調達庁の方がそういうことをお考えになったり、あるいはあなたの方の関係者が、若干だれかにそういうにおいのするようなことをおしゃべりになったことはありませんか。(「あるんだ」と呼ぶ者あり)
  178. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 砂川のことで先ほど吉田先生からもお話がありましたので、若干今のお話に合せまして昨年来の事情を申し上げますと、昨年の五月六月ごろかと思いました。初めて測量をお願いに現地に参りまして測量等をいたしました。町当局の御反対で、実は道路上でもトランシットがひつくり返されるとか、あるいは溝に落ち込むとかというようなことで測量になりませんでございました。それから結局いろいろ手を尽しましたが、町当局終始反対で、調達庁とは話し合いというよりは話もせぬというような事態になりまして、どうにもやむを得ないものでございますので、立川の飛行場に関するもののみは実は昨年の十月の十四日に収用してもよろしい事業である、(亀田得治君「簡単に一つやって下さい」と述ぶ)事業の認定を受けまして、そしていわゆる砂川事件として騒がせました十一月の測量は、実はあれは土地収用法に基く法的措置のものでございます。(「町長罷免の問題だけでいいのだ」と呼ぶ者あり)それでその当時内部的には、お話しの通りあの町の態度に対してどうすべきかということで検討は加えたことはございますけれども、それを具体的に移すような措置を外部に相談した事情はございません。
  179. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると内部だけでも若干そのようなことをお考えになったことがあるわけですね。簡単に結論だけを……。
  180. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 今申します通り十一月収用は法的措置を適用したわけでございます。それに従って実は土地収用法の四十条の協議も従って今やっておるところでございます。その後の問題は、当初考えられるときにはそういうことも議に上ったという程度でございます。
  181. 亀田得治

    亀田得治君 私はそういうことが議に上ることだけでもはなはだこれは不可解だと思うのです。ともかくこういう軍事基地の問題は、少くとも国民の多数の方が相当これは疑問を持っておる問題なんです。その町長はその町民から選挙されて出た町長であり、少くともそこの現場の町民は非常な反感を持っておるわけなんです。これは皆さんもわかっておるはずです。だからそういう状態の中において仕事が若干うまくいかぬからということで、例のないような町長の罷免とか、こういうことを議に上すだけでも私はなはだ当を得ていないと思うのですよ。皆さんの方はなるほど私どもと立場が違う。その収用の仕事は進めたい、まあ一応そういう立場は逆にして考えれば了解できます。しかしそれはですね、ただ仕事さえやればいいわけでしょう、その場合に。だから仕事をやるためには、自治法の百四十六条では、どうしても町長が収用法にきめられた告示等をやれない、どうしても良心的にそれはやれない、こういう羽目になった場合には、それは代行することが原則でしょう、百四十六条の規定は。そうすりゃ仕事自体はそれで済むわけなんですよ。そうでしょう。そういういろんな事情がこんぐらかっている。その現場の町長に対してそれ以上罷免というようなことは、私はなはだこれはもう当を得ておらぬと思う。そういうようなことが内部で議に上るような、そういう大衆と遊離した頭でおるからあっちでもこっちでもやはり私は紛争が起るのだろうと思う。それははなはだ間違っていると思うのですが、どうですか。私は百四十六条というものは仕事さえやれればそれでよい。それだけで足らぬ、あいつは実に人道的に見てもおかしいやつだというふうな事情が加って初めてそういう罷免というようなものが出るべきなんですね。後世の史家から見たら、一体どっちが正しかったかどうかということは、簡単にはこれは判断できないことなんです。これはあなたにはちょっと無理かも知れません。むしろ労働大臣の大きな立場からの考え方を聞かしておいていただきたい。
  182. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 先ほどの事務当局のお話はいろいろ検討したことを申し上げたのかと存じますが、私が就任いたしましてからはそういうことを協議いたしたこともございませんし、この問題はきわめて大事な問題でありますから、最終的にこの成果を収めたいという私どもの希望はぜひ御協力を願わなければなりませんが、今のようなお話についてはもちろん慎重に検討して、そうして地元と納得ずくの上で所期の目的を達成するように努力したいと思っております。
  183. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 関連質問。ただいまの問題ですが、調達庁の方でその事務を遂行するために一応は議に上ったというお話であります。労働大臣は就任以来そういう問題は一度も起っておらぬ、こういうお話です。しかし調達庁というのは事務当局として事務を行う機関であります。町長罷免問題というのは、その事務の範囲の中には入るものでは大体ないと思うのです。よしんばそういうことをやるにしましても、これは調達庁がやるべき問題じゃない。やるとすれば閣議にかけてその上で担当の大臣がやるなり、あるいは内閣総理大臣がやるべき問題ではないか。町長は町民から直接選挙された機関であります。それを調達庁の担当大臣としては、事務当局がそういうことを議に上せたというようなことを内閣委員会で発言されていることに対してどういう責任をとられるのですか。
  184. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) そのことは、今これがどういうふうに、どうなった場合にはどういうふうにしなければこれは動きがとれないのだろうというふうなことについてたぶん事務当局が検討いたしたということを率直に丸山次長から申し上げたのだろうと思いますが、今のようなお話を最終的に断行するには、お説のように私が命令をいたさなければできないことでございます。しかしそれとてもまた調達庁がやる、調達庁担当大臣がやるべきことでないのでありまして、御指摘通り政府が考えることでありまして、今の内面的なお話をあまり正直に、こういうこともありましたということを申し上げておしかりを受けているのだろうと思いますが、そういうような問題については、先ほどから申し上げておりますように、私の方ではできるだけ地元と納得ずくで話し合いをいたして、そのために予定よりもおくれておるような次第でありますから、せっかく今日までだんだん詰ってきたのでありますから、そういうことは地元とできるだけの御協力を願うように努力をいたしますから御了承を願いたいと思います。
  185. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 もう一点その点に関して……。事務当局にそういう点があったということが、いつとはなしに関係地元の方にも漏れているのです。それで町民はもしや政府は町長を罷免しはしないだろうかというふうなことで、ますます町民の政府に対する信頼をなくなしつつあるというのが現状だと思うのです。そういう点から見まして、これは私はやっぱり事務当局としてはそういう罷免の議を少くとも話しをしたということだけで、私はあなたとして調達庁の方に、調達庁の担当大臣として、その点に関して何らかの釈明をなさるべきではないか。
  186. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 調達庁のやりますことの最終責任は私が負うのでございますから、よく地元の方々とは、今も連絡をとっておりますが今堀さんのおっしゃったように、そのことが伝わって非常に興奮しておられるというほどのことは……。最近も実は私は地元の反対派の方々と、衆議院議員さんとお目にかかりました。それは調達庁の役人も知らないところで会ったわけであります。それで何しろこれは大事なことであり、政府としては腹をきめておるのだから一つ御協力を願うと、こういうことで御説明申し上げておるわけでありますから、今の丸山次長の申し上げたことを、私どもの方針として何も考えておることでもありませんし、どうぞ一つその点で私どもを御信頼願って、この上とも皆さん方に御援助をお願いしたいと思います。
  187. 亀田得治

    亀田得治君 私の非常に憂慮する点は、調達庁の事務当局の人が、単に砂川だけじゃなしに、いろいろなところで国民と折衝されるわけです。で、その人が相手の立場を理解しないで、内部でこそこそとあるまじき問題を考える、そういうふうな頭ではだめだ。そういう人を大臣がお使いになったのじゃ大臣のつらよごしになりますよ。そこを言っておるわけであります。それはなるほどこの問題は表に出ない、またあなたのところまできておらなかった問題かもしれない。しかしそういうことがいやしくも絶対あってならないことなんです。こういう問題に、たとえあなたの方が職権の代行命令をやるという段階があるいは場合によってはあるかもしれないといっても、この町長罷免、こんなことは国民感情に反しますよ、これは絶対に……。だからそういうことを軽々しく内部でこそこそ話するような者、これは不適任だと思います。こういう仕事をおやりになるには、もっと、大臣のような立場であれば、融通性のきき、少くとも相手の気持だけは了解できるような諸君でなければならぬ。この点を私は大臣も同感だと思うのですが、そうでしょう。
  188. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) そのことは事務当局にも私は気の毒だと思うのでありまして、今、丸山君の言葉が足りませんでしたけれども、立川の飛行場を完成するためには、今こういう事態になっておる、これに対してあらゆる角度から検討した、こういうことを率直に申し上げたのでございまして、そのデータの一つの事柄にそういうものが出たということであって、丸山君がもしそういう意思であるならば、そういうことは、それをやらなければならぬということであるならば、もう就任当時に前大臣から私に引き継ぎがあるわけでありまして、ただその話し合いの中にそういうことも一つ出たということを率直に申し上げたということだけでありますから、事務当局が非常に苦心しておることは一つどうぞ御同情をお願いしたいと思います。
  189. 亀田得治

    亀田得治君 じゃこの問題は一応はこの程度にしておきますが、砂川の問題で、条件派の中で協力謝礼金等をもらっておる方があります。そういう土地の占有といいますか、管理権といいますか、これはいつ米軍の方に移るわけですか。私のお聞きしたいのは、ほかに残っておる問題がたくさんあるわけですね。それらが片づいて、初めて合同委員会を通じてこうなったということで、政府の方で移されるものだと思うのですが、そういうふうに解釈してよろしいでしょうか。
  190. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 砂川の滑走路拡充につきまして、お説の通り全部の方が御協力いただいて提供できれば、すぐにも工事にかかれるわけでございますが、しかし一部分といえども、それによりまして、測量その他の準備ができるというものは、向うにかりに引き継ぎまして、そういう行為をやらせる、こういうことも必要だと考えております。
  191. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると片づいたものから逐次先方の占有に移すのですか。
  192. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 今申し上げました通り、現状においてはまだ作物等もありますので、なるべくその作物等は所有者の方に利用していただくことにしまして、米軍の方の工事が現実的に行われるまでというものは相当余裕がございますので、立ち入り調査、測量程度のことであるならば、現状の通りまだ耕作を続けても差しつかえない、かようでありますので、米軍に対する何と申しますか、使用の範囲というものは、当座は立ち入り調査程度のものと思っております。
  193. 亀田得治

    亀田得治君 どうもお答えがあまり明確ではありませんが、私の聞きたい要点は、土地を手放すのは反対だといっている人がずいぶんあるわけです。それらの問題が片づいて、初めて一括して米軍にこの管理権を移すべきものじゃないか、それが正当だ。といいますのは、その土地を放したくないという主張、それから放したくない人は、放したくない立場からいろいろな法律上の手段も講じていく権利はこれは持っているわけなんです。最後にはどちらが勝つかわからないわけです。政府側の方は、いやおれの方が勝つ、こう思っているかもしれませんが、それは必ずしもそうは断定できない。だからそういう状態のときに、その部分だけを取りのけてにっちもさっちもいかぬような管理権の移動、米軍への……、政府の手元に持っている程度はまだいいと思うのですが、その手元のもとにおいて若干調査等をするということはいいと思うのですが、それをこえて、米軍に管理権そのものを移して、 そうしていろいろな施設を始める、こうなれば、残っておる土地が一つでも、これは実際上権利の侵害を受けてくるわけなんです、使用において。極端に言えば、全部四角い土地のうち、まん中の一つだけはどうしてもがんばっている、はたの方が全部移ってしまって……。そういうことをすれば、事実米軍がこのまん中の土地の使用というものを実力でこれはだめにします。これは私、がんばるのもやはり権利なん  ですから、そういう立場から言えば、やはり完全に片づいて、初めてこうなったということで日本政府としては米軍に渡すべきものだ、こう考えておるのです。そこを聞いているのです。
  194. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) お説の通りであります。いわゆる管理権というものを正式に引き渡すには、一団の土地全部済みましたらと考えております。ただ先ほど申しましたのは、一部であっても、ボーリングその他のことをやらさしてもらいたい、こういう程度のものについてはそれをさせる。土地所有者の同意を得まして、売買あるいは賃借のできました土地につきましては、その程度のことを便宜許すということでございます。
  195. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 貸し渡したものでもやはりこれは施設及び区域ということになりませんか。そうするとたとえば、治外法権ではありませんけれども、その中で起った事件については、厳密に言えば、管理権を渡しておけば、日本の警察権等は及ばないということになるのではないでしょうか、どうですか、その点の管理権という意味は……。
  196. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) ですからそれは所定の手続によりまして全部を正式に引き渡ししたときから初めてさような管理権になるものと思います。
  197. 亀田得治

    亀田得治君 そこを明確にしておきませんと、非常に妙な問題が起きてくるおそれがあるから私ども聞いているのです。また今起きるおそれもあるのです。だから純粋に言いますと、その場合には管理権は日本政府がまだ持っている。ただ若干あちらの便宜をはかって必要な仕事を少しさせる、こういうふうに解釈していいのかどうか……。
  198. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) その通りでございます。
  199. 亀田得治

    亀田得治君 そういたしますと、そこの土地で日本人が入って、あるいは間違って入ることがあるかもしれないが、そういう場合に米軍が手出しをする、もし、した場合には、これは米軍が悪い、そうはっきり言えますね。
  200. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) その通りでございます。
  201. 亀田得治

    亀田得治君 了承いたしました。その点は……。
  202. 青木一男

    委員長青木一男君) なるべく簡単に……。
  203. 亀田得治

    亀田得治君 ところが、これは私はこの前に労働大臣に一度聞いたことがあるのですが、どうもその後の処置が明確になっておらないのがある。それは板付基地におきまして、基地内に起きた窃盗事件ですね。その窃盗事件に関連してその基地の警備員、これは日本人です。駐留軍労務者、警備員が疑いをかけられた。そして午前一時から六時ごろまで非常な脅迫的な調べを受けた事件、これは労働大臣お開きになっておると思います。それももちろん問題ですが、ところがその基地内に起きた窃盗事件だからというので疑いをかけられた、これは井上ですか、井上という人の自宅にその翌日家宅捜査に出かけておるわけです。これはあちらとしては、基地内の犯罪行為の延長だ、これくらいの軽い気持でやっておると思うのです。しかしこれがもう明らかに日本の捜査権を侵害しておるわけです。これは関係法令を見たって、はっきりこういうことはできないととになっておる。そういう場合には必ず日本の警察官がやることになっておるわけであります。ところがそれをあえてしておるわけです。ところがこれは幸い真犯人がその後出てきた。米人であったのですね。真犯人が出たから、京都事件みたいなもので、これは問題になっておる。真犯人が出ないと、どうもあいつはくさいから、ちょっと行き過ぎだけれども、基地外のその本人の家まで行って少し調べたのだというくらいでうやむやになってしまうおそれがあるのですね。だから私は立川基地とか、そういう中間的に非常にあいまいな法律関係ができるようなところにおいては、こういう問題と類似の問題が発生するおそれがある。そこで今までに起きた板付基地の、これは典型的な一つの問題だと思うのですが、これについて米軍がはっきり日本政府に陳謝したのかどうか、この点を一つここで確かめておきたい、どうですか、労働大臣
  204. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) この前そのお話がございまして、そのことを調べるように申しまして、報告を受けたと思います。きょうその係の者が参っておりませんから、次回にお答えいたします。
  205. 亀田得治

    亀田得治君 丸山さんの方は、これはどうなったか知りませんか。
  206. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) この件、たしか、私どもの役所が適当かどうかわかりませんが、一応話を承わりましたので、空軍の司令部の方へその話をしまして、警告を発しておる。向うにおいて以後こういうことのないように注意するという話であります。
  207. 亀田得治

    亀田得治君 こういう重大な問題を労働大臣に報告をせんで、あなたがそういう内部で警告を発したとおっしゃるが、私はそれをそのまま受け取れぬですね。ほんとうに警告を発するなら、これは日本のそういう全体としての司法権侵害の問題になるおそれのある問題ですからね。労働大臣等から、もっと大きな立場で警告をすべき問題だと思う。それから陳謝についても、何かあやまりがあったようにおっしゃるのですが、どうもそれもこそこそと何か済んだような感じを受けるのですが、一体いつどこでだれに警告を発して、米軍のだれからそういう明確な陳謝を受けたか、その点を確かめておきたい。労働大臣、いずれ御報告があるのでしょうが、あなた今おっしゃったわけですから……。
  208. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 私はその話につきまして、実は労務担当の者にそのように指示しておきましたので、それの実情をなお詳しく調査の上お答え申し上げます。
  209. 亀田得治

    亀田得治君 そうでしょう。そういう労務担当の者に話をして、それが何か合同委員会あたりでもよこもよこ話しておるという程度のような感じしか受けない。あなた自身乗り出したわけでもない。いわんや労働大臣まではいっておらない。私はそういう軽い扱い方をされちゃいかんと思うのです、こういう問題は。われわれ国会審議ではなかなかしょっちゅういろいろ問題を持っていてもその機会がない。だからもう一度質問をしたければ、そんな程度にしておくというようなことでは、これは憂慮すべき問題が起るんですよ。こういう問題が起きたときに、やはり米軍の行き過ぎがあれば、それをきちっと理論的に押えておく、こうまあしてもらいたい。これは私労働大臣に特にお願いをしておきます。それからもう一つ……。
  210. 青木一男

    委員長青木一男君) 亀田君、時間が過ぎた……。
  211. 亀田得治

    亀田得治君 もう一つ聞きましょう。なかなかこういう問題で質疑することが、委員長、ないのですよ、機会が。だからそういう機会には、一つ国会の調査権を大いに生かしてもらう意味で若干ごしんぼう願いたいと思います。
  212. 青木一男

    委員長青木一男君) 簡単に願います。
  213. 亀田得治

    亀田得治君 それからこれは先だって——これも最近起きた問題です。伊丹基地の問題ですが、日本航空の大阪営業所に勤めておる岡田君という社員がおります。この人が従来日航の伊丹営業所に勤務してそこに出入りしておるわけです。あすこに出入りする場合には米軍側の通行証が要るわけでございますね。その通行証をもらって勤務していたわけです。ところが最近天皇の行幸ですね、関西の。そういうことがありまして、その際に、お帰りのときに伊丹から飛行機を使うということで、それに関連していろいろな基地に勤めておるといいますか、基地に出入りする日航の社員の身元調べをやったわけですね。ところが岡田君というのは、前に例の吹田事件というのがありましたが、そのときに一般の大衆にまぎれて吹田事件の一番もとである待兼山のお祭りですね、そこに見物に行っておったわけです。ところが見ておるうちにこれが帰れぬようになってしまったわけです、そのときの状況で。ただそれだけなんですね。ところがそこに見ていたということだけで警察と検察庁で調べを受けたことがあるのです。ところがそういうことを聞き出してきて、お前には偉い人が来るんだから通行証を与えておくわけにいかん、こういうことでこれを取り上げてしまったわけです。ところがこれが日航では問題になりまして、私も御相談を受けて、人の疑いというようなことはいつどこでかけられるかわからない。調べを受けたというだけでそういう人の生活権を奪うようなことをやっていいとは言えない、断じて。私すぐ大阪の地検にこの話をいたしましたところ、それははなはだ気の毒だということで、この人は全然関係のない人だという証明を出してくれたわけです。調べればたくさんあります。ああいう大衆的な一つの事件があったという場合には……。ところが日航の方ではそういう証明書が正式にあれば、これは当然米軍としては了解してくれるだろうということで、大阪の営業所長が交渉しているのですが、それが返してもらえない、こういう状態です。これは何でもないような問題でありますが、日航の社員というものは米軍の要員でも何でもないのですね。自分がちょっと疑いを持って、そのことでその人の生活権を脅かすようなこういうことをやる権利が一体あるのかどうか、これは駐留軍労務者の場合であればまた内部の規律がどうだとか、そういうことが言えるかもしれない、若干。全然関係がない人なんですね、これは。そういう問題は、私は明らかに米軍がみずから持っておる日本と米軍との間で約束した権限以上のことをやっておる、こう思うのですが、労働大臣どういうふうにお考えになりましょうか。
  214. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 私からお答えいたすよりは担当の閣僚の方にお尋ね下さる方がいいと思います。
  215. 亀田得治

    亀田得治君 なるほどこういう問題の所管ほどこになるのか、ちょっと明確でないかもしれません。それほど実は腑に落ちないことを強引にやられておるわけですね。こういう、一体米軍がわがままのことをやって反省をしないという場合には、政府としてはどの方が一体衝に当って米軍の反省を促すということになるのでしょうか。これはこの前板付基地で日本側の労務者が勝訴の判決をとった事件がある。日本側の裁判所が労働者に勝訴の判決を与えておるのに、なおかつ片づかないという問題があったときにも、所管があまりはっきりしないのですね。(「法務委員会でやれ」と呼ぶ者あり)非常に困った。法務委員会でやっても、それは少し問題が違うということで逃げられる。(「人権擁護だ」と呼ぶ者あり)そういう意味で私はこの基地に関連したこういういろいろな逸脱行為ですね、こういう例があった場合に、政府としてはどこでどういうふうに処理されるのか、その所管が明確になれば私どもその方に持ち込みたいと思います。所管の点はどういうふうにお考えでしょうか。(「アメリカの要望だけ聞かんで、日本人の要望を取り次ぎなさい、閣僚会議は」と呼ぶ者あり)駐留軍労務者なら労働大臣直接とかね、直接雇用なら調達庁へ持っていくとかできるのですが、これは全然別個になるわけですね、こういう場合はどこですか。
  216. 青木一男

    委員長青木一男君) 倉石国務大臣は自分の所管でないと言われるから、この問題はなお研究されたらどうですか。
  217. 亀田得治

    亀田得治君 これはやはり所管でないといいますが、やっぱりあなたとか、やっぱりあなたが一番近いのじゃないかと思うのです。(笑声)あなたが所管でないと逃げられると……やっぱり一番近いのじゃないかと思うので言っておるので、それじゃそういう問題はどういうところで扱ったらいいのか、考え方を示してもらわないと国民が宙に迷ってしまいます。(「船田さん御存じありませんか」「防衛庁長官はどうですか」と呼ぶ者あり)
  218. 船田中

    国務大臣船田中君) どうも責任をもってお答えするだけの自信を私持っておりませんが、やはり渉外事項として外務省の所管ではないかと思いますが……。
  219. 亀田得治

    亀田得治君 外務省なんて腰が弱くてだめですよ。(笑声)
  220. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 労働大臣、あなた先ほど関係閣僚会議を作ったのは、基地に関連するいろいろな問題を、今のようなとにかく所管のわからないような問題もあるし、各省にわたる問題もあるから、閣僚会議を作ったのじゃないですか。そんならそこでおやりなさい、向うからの要望だけをやるなら、さっきも質問が出ているけれども、アメリカの政府なら別問題、日本の国民の政府なら、日本の国民の権利を擁護するための、あるいは生活を擁護するための問題をやはりそこでやらなければならぬ。一つ労働大臣、先ほどの答弁の趣旨に従って、閣僚会議で御検討を願うと、検討をするという御言明がいただけませんか。
  221. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 聞いてみましょう。(笑声)
  222. 亀田得治

    亀田得治君 それでは私の方ではもしこの問題が片づかなければ、私どももこれは絶対に腑に落ちない。それから大阪の検察庁でも、原因をちゃんとこういうふうに取り除いて証明すれば、当然これは戻るものだと、これは常識的に考えておる。だからあくまでもこれは一人の人の問題であるかもしれぬが、とにかく日本人がばかにされておる。そういう問題として閣僚懇談会なり内閣に直接これは持ち込みますから、あなたが一番近い担当大臣としてこれは善処してもらいたいと思います。
  223. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほど不動産部長から答弁するということでしたけれども、答弁されておらないが、御答弁を願います。この前林田一の事件、それから先ほど来調達庁次長から御説明がございませんでしたが、米軍の引揚と関連する施設の返還経過、それからこれはあるいは自衛隊の方、防衛庁の方かもしれませんが、陸海空軍の演習場、射撃場、航空華地の一つ一つについてどうするという予定がある……私は今読み上げてもよろしいのですが、たとえば秋吉はさっき出ましたが、出水、それから新田原、それから四国の松山、板野、それから滋賀の饗庭野、それから茨城の百里ヶ浜、それから神ノ地等は別に問題にして参りましたが、これは返還の点は神町、自衛隊云々の地方総監部を弘前に誘致するという運動があるかのごとき、それから筑波、それからこれは返還ですが三保、それから内灘についても返還をしてもらいたい、継続使用をしてもらいたい云々と両方にまたがっておりますが、それらの点について一応御説明を願って、詳細はここで御答弁を願えなければ、文書ででも願わなければなりませんが、口頭でできるだけの部分を……。
  224. 青木一男

    委員長青木一男君) どうでしょう。時間もだいぶ経過をしておりますから、資料として出していただいたらどうでしょうか。
  225. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それではこちらからあとからメモを差し上げますから、資料でお願いします。  二つだけ簡単に質問しておきたいと思います。(「時間過ぎておるじゃないか」「常識々々」と呼ぶ者あり)常識でやりますか……。けさの新聞に出ておりました群馬県の相馬ケ原で使われた米軍の特殊ガスというのは、これはどういうガスなのか、これは毒ガスであるように新聞記事の面では見えますが、これについて調達庁から一応御答弁を願っておきたい。  それから板付の基地内の土地について訴訟で争っておられますから、契約が有効であるという御主張のようでありますが、なお事業認定の申請をするかのようなことが報ぜられておりますので、そうすると契約が有効であるというのと事業認定の申請というのは矛盾すると思いますが、その点についての所見を、その二つだけ簡単に御答弁を願いたいと思います。
  226. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 群馬県相馬ケ原のガスの件は、実はただいま実情をよく存じておりませんので、調査の上お答えさしていただきたいと思います。  それから板付の件の収用の問題でありますが、これは契約が有効なりと考えて訴訟を、控訴しておりますが、しかしこれに対して、いや、無効であるという御主張、また一審の判決の事情もございますことも事実でございまするので、その辺が不安定な対策上の問題になっておりますので、これを安定せしめるためには、やはり公法上の使用権を設定すべきものではないかと現在考えております。
  227. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 ただ一点だけ、非常に簡単なことです、これは確かに。砂川の飛行場の今後の措置なんです、お聞きしたいのは。先ほど労働大臣は、前任者から引き継ぐときに、アメリカの六月の会計年度までにこれを完成したいと、こういうことだった。現在はできるだけ早い機会にこれを解決したい、こういうお話で、新聞に出ておりました、十月までに完成したいということは御否定になったように先ほどちょっと伺ったんでありますが、その点と、それから収用委員会の方へいよいよかけられることになるのだろうと思いますが、その点に関して吉田君の質問に対して、何かその辺きわめて明瞭を欠いておったので、それをかけるのか、かけないのか。いよいよ反対派の方が土地を提供することに対して同意を与えないということになった場合、政府としてはどういう態度をとられるか、その点お尋ねしたいと思います。
  228. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 十月までというふうなことを私は申したことはございませんで、一日も早くやりたいということでございます。
  229. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 六月までというのはどういうことですか。
  230. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 六月までというのは当初の目標です。(吉田法晴君「理由がわからん」と述ぶ)それが六月までにできるかどうかということについては、今しっかりきまっておりません。  そこで砂川の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、二週間の期限は切れておりますが、なお話し合いの余地があると思いますので、目下鋭意お話を続行中でありますので、どうしてもやむを得ないというときには、もう一度検討して、法的措置をとらなければならないと思いますが、今のところまだ見込みを捨てないで、継続中でございます。
  231. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 大体その時期はどのくらいに見積っておられますか。
  232. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) まあ今月の終りころまではなお努力を続けてみたいと思っております。
  233. 青木一男

    委員長青木一男君) それではこの問題はこの程度にして、国防会議法案の質疑に戻ります。
  234. 田畑金光

    田畑金光君 ちょっと懇談を……。
  235. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記停止。   〔速記中止〕
  236. 青木一男

    委員長青木一男君) それでは速記開始。  本日はこれにて散会いたします。  明日は午前十時より開会いたします。    午後四時二十四分散会