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1956-04-06 第24回国会 参議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月六日(金曜日)    午後三時十一分開会     ―――――――――――――   委員の異動 四月五日委員小笠原二三男君辞任につ き、その補欠として松浦清一君を議長 において指名した。 本日委員青柳秀夫君及び寺本広作君辞 任につき、その補欠として長島銀藏君 及び植竹春彦君を議長において指名し た。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     小柳 牧衞君    理事            野本 品吉君            千葉  信君    委員            井上 知治君            木村篤太郎君            苫米地義三君            中山 壽彦君            吉田 法晴君            豊田 雅孝君            廣瀬 久忠君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     大山  正君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国家公務員等旅費に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○国家公務員制度及び恩給に関する調  査の件(公務員の給与問題に関する  件)     ―――――――――――――
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいまから開会いたします。  委員の変更について御通知申し上げます。  四月五日、小笠原二三男君が辞任せられまして、その補欠松浦清一君が選任せられました。四月の六日、青柳秀夫君及び寺本廣作君が辞任せらホまして、その補欠長島銀藏君及び植竹春彦君が選任せられました。     ―――――――――――――
  3. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する御質疑のおありの方は御質疑を願います。
  4. 千葉信

    千葉信君 答弁に当られる方は岸本給与課長だけですか。
  5. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 本日私一人でございます。
  6. 千葉信

    千葉信君 ちょっと答弁が手薄にならぬかという心配があるのですが、まあしかし、質問を始めてみます。  今度の提案されました法律案提案理由として「従来、国家公務員等旅費に関する法律規定に定められた等級より下位等級によって鉄道旅行または水路旅行を行うことが多い」となっておりますが、これは一体こういう理由のもとに法律改正案提案してくるということになると、これはやはりその審議の経過において納得できるようなはっきりした事実というか、資料による立証等が必要だと思うのですが、この点については大蔵省は、この法律案提案に当ってどう考えられましたか。
  7. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 所定等級より下位等級旅行するものが多いと提案理由に実は書いたのでございますが、その裏打ち資料といたしまして、現在の旅費制度から参りますと、具体的にだれそれが実際に二等運賃をもらいながら三等に乗ったかというようなことは、実は資料的になかなか集まらないのでございます。と申しますのは、鉄道料金というのは定額で階級に応じて支給いたしておりまして、その所定等級通りに乗ろうが乗るまいが一応その二等の運賃を出す、こういう建前になっております。従いまして、実際の証拠書類を出すというようにはいたしておりませんので、ただ一般慣行といたしまして、最近所定等級以下で旅行する、これは私ども見聞いたしますし、あるいは旅費を所管いたしております各省会計課長の話を聞きましても、みなそういう傾向になっておる、つまり実際には下位等級に乗る場合の方が多い、そのことを申し上げたわけでございます。特に資料としてそれを数字的、計数的に証明するということは、遺憾ながらちょっとむずかしいことと存じます。
  8. 千葉信

    千葉信君 どうもそういう答弁だけでは私はいかぬと思うのですが、これはしいていえば、たとえば一等とか、たとえば二等の旅費を支給されておりながら、それを下位等級に乗って行っておる事実があるということは、はっきりしたそういう事実に対する反証でもない限り、単なる憶測、しかも各省会計課長等がああ言っておる、こう言っておる、そういう傾向があるとかないとかという、そういう程度では私はこれは理由として、そのために法律案改正するというその理由としては、私は根拠が非常に薄弱だと思うのです。しかも一面からいうと、公務員諸君に対する侮辱だと思う、一方からいえば。旅費額実費弁償性格を帯びておるものであるという建前からいけば、実費を受けておりながらその実費弁償形式旅費を一部着服しておるということにも、半面からいえばなるわけであります。そういう点からいえば、この提案理由は、私はまことに穏やかならぬ理由だと思うのです。しかも今聞いておりますと、これを立証する資料も何にもない。それじゃ事実はどうなるかと聞けば、事実は自分たちも大体そういうことがあるだろうと考えておるし、各省会計課長なんかも、そんなことがあるだろうと言っておる。これはまあ岸本君だから私はそんなに追及することは酷だと思う。しかし少くとも大蔵省がそういう見解に立っておるというなら、責任者に対して究明しなければならぬ条件も含んでおるのですよ。あなたにこれ以上どうこう言うことも少し酷だからやめるけれども、しかし一体そういうふうに支給された程度実費弁償額をその通り使わないで余裕をつけるというか、下位の級で旅行をしておるというような状態は、一体、全体の何パーセントぐらいというふうにあなたの方ではお考えになられたのですか。
  9. 岸本晋

    説明員岸本晋君) ただいま申し上げました通り、確実なデータというものはもちろんつかんでおらないのでございます。また一般慣行としてそうなっておりますという意味で、こういうことを申しますと恐縮でございますが、一つ傾向を書いたというだけでございます。それだけをもって今度の旅費制度改正の実は根本的な理由といたしておるわけではないわけでございまして、この改正根本理由は、やはりできるだけ旅費制度性格からいって実費弁償建前に即して改める、実費弁償をいたしますためには一般慣行でありますとか、あるいは社会一般人たちが、公務員のあるクラスに相当する人たち一般社会であれば、どういう等級で使用しておろか、そういう点を調べまして、今度の旅費制度改正ん御提案申し上げておるわけでありまして、非常に下位等級旅行する者が多いという点が非常に強く響くような提案理由になっておりますのは非常に政府として手落もでございます。趣旨実費弁償に即して改めるということにあると思います。
  10. 千葉信

    千葉信君 今回提案された法律案が果して実費弁償建前に即して実態に応じた改正が行われようとしておるかどうか、これは私はあとでこの法律案審議を追っていけば出てくる問題だと思うのです。しかし、一般的にいっても、あなたの方では実費弁償性格をもっているものだから、だから実情に沿うようにするといいながら、そういう答弁をしながら、一方では一体実際に二等の運賃をもらって三等に乗っておるとか、一等運賃をもらって二等に乗っておる、そういう実情を知らないで、どうして一体実費弁償の具体的な検討なり成案が出るのですか、理論上からそういう理論は成り立ってこないでしょう。実費弁償形式をとる、実質をそれに近づけて、そういう方向に向ってあなたの方では今度は適正な法律の制定を目的としたといわれるけれども、それならその実費弁償に該当するような妥当な法律を作るためには、実情がわからないで一体あなたの方ではどうしてこれが実費弁償に全く合致する法律改正案だということがいえるのですか。理屈だけでも筋が通らないじゃないですか。その点はどうなんですか。
  11. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 現在の旅費実費弁償建前に即したものに改める、その改める場合に一体何を目標にしてやるか、これはなかなか確かにむずかしいことでございますが、提案理由にも若干軽い意味で触れました下位等級で大体旅行をしておるということと、それともう一つ民間の大会社を、主として大企業でございますが、調べまして、そこで公務員のあるクラスに相当する人たちが、どういう等級旅費をもらっておるかということを参考にいたしまして、この案を立てたわけであります。
  12. 千葉信

    千葉信君 答弁によると、それはどちらもほとんど腰だめじゃないかということになると思うのです。前の方の下位の級で旅行しておるという問題も、大体そうであろう、もしくはそういう程度であろうという腰だめに立ってこの問題が取り上げられて、そうして法律改正をやった。一方、実費弁償の原則を貫くためにどういう具体的な根拠に立ってやったのかと聞くと、今度は一般民間状態を勘案してやった。民間状態に対してあなた方はどの程度一体検討を行われたかということになるのです。それもあなた方は今の答弁では、大ざっぱな腰だめではありませんか。今公務員のこういう程度に該当する民間人たち実費弁償状態がこうだから、これまたあなた、腰だめじゃないですか。一体民間諸君の、会社職員諸君が、あるいは工場の職員諸君が、公務員の場合にはどの程度に該当するかということを、つぶさにあなたが調べてやったという答弁はできないと思うのです。大ざっぱにあなた方はやっているのじゃないですか。それでしかも実費弁償建前に即して、その方向に合致させるのだということは、これは少しあなた方はひとりよがりが多過ぎやしませんか。むしろはっきり言うと、あなた方はそういう実費弁償の妥当な線を出そうとしているのじゃなくて、せんじ詰めてみるというと、あなた方は財政上の理由からこの旅費に関する法律を変えようとしているのじゃないですか。そうも言えると思うのですが、その点はどうでしょうか。
  13. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 今度の旅費制度改正は、これは財政上の理由というよりは、やはりできるだけ世の中の一般慣行に即したものに極力近づけたいという趣旨でやっておるわけであります。ただ実費弁償でございますから、これをいかなる基準で支給するかと、こうなりますと、いろいろ判断もございます。なかなか千葉先生指摘通りむずかしい問題でございます。そこで私どもはやはり一般職員慣行も耳にし、あるいは一般民間会社の顕著なところを数ヵ所調べたのでございますが、そういったところの運賃等級区分、これを参考にいたしまして、一応改正案を定めたわけでございます。
  14. 千葉信

    千葉信君 私はそういう大蔵省態度自体がいかぬと思うのですがね。これは影響するところがそんなに大きくない問題、それほど利害関係者にとって痛切な問題でない場合、まあそういう場合でして、あなたが今言われるような考え方法律改正案を出されるということを私は了承する。しかし今回のこの旅費に関する法律改正によって、たとえばその今まで二等で運賃を支給されていた人が、六級から以下の場合には三等に削る、落される。一体どうしてその六級と七級との間に差をつけたのか。そういう差をつけるのが一体六級と七級の間にどこにあるのか。しかもそういう差をつけられた六級職以下の職員にとっては、これは少くとも簡単な小さい問題じゃないと思うのです。特にしょっ中そういう旅費の支給を受けて仕事をしなければならない官庁、そういう職種の職員、この人たちにとっては、今あなた方が言われたような簡単な考え方で削ったり、改正されたりしては、たまらぬと思うのです。もっとそういう改正を行う場合には、たとえば大蔵省が言っておられるように、実際はそのもらった通り運賃で二等ならば二等、一等ならば一等に乗っていないという実態等について、せめてそのある程度資料なり、そういう事実なりをはっきりしておいて、その結論の中から、大体数字上からいっても、七級職の職員以上の諸君額面通り二等に乗って歩いているけれども、六級以下の職員の場合には、これはその二等のやつをもらって三等に乗って歩いているなどという数字でも出れば、そういう資料でも出れば、これは私は六級職の職員以下でも納得すると思うのです。ところがそういう資料も何にもない。ただその六級以上、七級以上、八級以上の諸君でさえも、もしあなた方が二等なら二等の旅費をもらって三等で乗って歩いているという事実は、六級職以下の職員だけじゃないと思うのです。もしそういうことがあるとすれば七級の人にもあると思う。八級の人にもあると思う。そうなると、いや実際は下位の級で旅行しているものがあるからといって、それならばそれで全部そういう処遇をするならばいいと思う。全部そういうふうに格下げするのならばいいと思う。そういうふうに、もらった旅費額面通り使わないで歩いているものがどうもいるという考え方が、直ちにその六級と七級との間に差をつけていいという理屈は、どこからも出てこないじゃありませんか。この点はどうです。
  15. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 第一に御指摘のありました六級以下のものが今度三等になるほとんど基準がないじゃないかというお話しでございますが、これは私ども民間東京所在会社でございますが、調べましたところ、銀行あたりでは非常に高い。二等がだいぶ下の職員まで行っておるようでありますが、一般商事会社でありますとか、事業会社におきましては、大体役、つき以上、官庁で申しますなら、中央官庁ならば係長相当以上、あるいは係長心得と申しますか、その程度以上の方が二等になっておる。以下は三等である。(「資料」と呼ぶ者あり)資料も出ておりますし、そういう意味で一応のこれを目安にいたしておるわけでございます。七級になれば、実際は三等に乗っていながら二等のワクがもらえろじゃないかということでございますが、これはなかなか実費弁償と申しましても、一体どういう種類の実費弁償をどういう形で出すか、なかなかこの点は私ども実は判断に迷うわけでございますが、まあいかなる実費弁償でありましょうとも、ある一定の職務を前提といたしまして、このくらいの方ならこれは標準的に二等に乗るだろう、あるいは標準的に三等に乗るだろう、こういう一つ定額というものを想定いたしませんと、旅費定額というものはきめられないのでございます。そういう意味におきまして、一般慣行におきましては役づき以下のものは三等でがまんしてもらう。そのかわり日当宿泊料等はこれは今まで実情に即しておりませんから、実情に即するようにできるだけ改訂いたす、かようにいたしたわけでございます。
  16. 千葉信

    千葉信君 岸本君、私たちの場合、政府の方から法律案が出る。その法律案はどういう理由でどういうふうにどこを改正するのだ、こういう点についてその提案理由説明答弁ももちろんですが、提案理由説明を一応信用しながら問題を取り上げて審議をするわけです、考えるわけです。ところがそういう場合には、大蔵省では、あなたの方では、もらった旅費通り汽車に乗っていないものがあるから、だからそういう事情があるから、これは変えてもいいんだ。その反面では日当その他の定額は旅館の宿泊料金等実態に比べて安いからそういう点は上げるのだ。私はその上げるという上げ方についても疑義を持っておりますが、あなたはそこに提案理由説明書を持っておいででしょうが、はっきりここにこういう理由で上げるのだということを国会に訴えておる。ですから、そういう理由からすれば、今あなたが言われたような、たとえば民間の場合等を調べてみて、民間の場合に即するように、民間あまり差がないような格好で、たとえば下級職員に対してはそれぞれ妥当な線を考えてやるのだ、つまり民間政府職員との場合のバランス関係等も考えてこういう措置をとるのだという、そういう理由でこられるのならわかるのですよ。あなた方はそういう理由を何にも言っていないじゃありませんか。言わないでおいて、しかも公務員を侮辱するような、しかもその美感も何も知らぬ、数字も何も持っていない、そんなでたらめな立場に立って、いや現在の公務員諸君はもらった通り旅費汽車賃として払っておらぬ。その払っておらぬというのは、六級職以下だという資料でもあり、そういう事実でもあるのならいいけれども、こういう理由は、高級者のやつは一等のやつをもらって二等に乗っておる、もしくは三等に乗っておる。二等のやつをもらって三等に乗っておる。その点は上級者下級者も差はないのだ。そうでしょう。その差はないのにかかわらず、そういう一般的な認識の仕方で、腰だめで、しかも六級職以下の諸君だけを下げてもいいのだという理屈はどこからも出てこない。この点はどう考えたらいいか。もう少しこの点私ども納得できるような答弁大蔵省としては用意されておらなければならない。それはあなたにこれ以上ここでああでもない、こうでもないと言うことは少し酷だけれども、だから私は最初に、だれかしかるべき責任者が出席すべきだ、あなただけですかと聞いたのですが、これは明らかに大蔵省としては、この法律案に関する限り、失態ですよ、これは。あなたのそういう説明だけでは了承できないじゃありませんか。こういう理由旅費規定を変えるというならば、適正な運賃を支給する、実費弁償をするのだというならば一律に下げなさい、一律に。これじゃ、こんな初っ始まりから突っかかってしまったのでは、この法律はなかなか審議は進まぬですよ、これじゃ。どうですか、もう一回そういう点、もうちょっと納得いく程度でいいから、何とか筋の通る答弁をいただけないものですか。
  17. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 提案理由に書きましたことと、あとで私が申し上げました点と若干あるいは表現上矛盾いたしておる、そういうことを申し上げたかと存じますが、その点は提案理由自体が、先ほどおわびを申し上げましたように、若干そうした意味では確実なデータを伴わない提案理由だというので不行き届きがありました。この旅費法改正ほんとう目的といたしますところは、鉄道運賃日当宿泊料を通じまして、できるだけ一般慣行による実費弁償に即したものに改めたい、こういう意図にあるわけでございます。その点は御了承いただきたいと思います。
  18. 千葉信

    千葉信君 必ずしも了承できぬけれども、ここでばかり引っかかっておっては先に進まぬね。
  19. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ほかの方どうですか、そのうちに政府委員も見えますから。
  20. 千葉信

    千葉信君 岸本君がおりますから、次の質問に入りますが、この旅費に関する法律改正案に適合するような三十一年度の旅費に関する予算の組まれ方が行われておりますか。
  21. 岸本晋

    説明員岸本晋君) すでに国会を通過をいたしました三十一年度予算では、本改正前提とした旅費は計上いたしてないのでございます。本格的に、本筋から申しますと、旅費法改正をまず作りまして、それに基いて予算を積算するというのが普通の行き方だと存じます一今度の旅費法改正は、大体予算が終りまして、そのあとで何とかしてこれをやりたい、こういう各省庁の御希望もありまして取り上げたものでございますから、その点を予算の上には正確には反映いたしておりません。ただこれによって旅費予算が非常に膨張するというのもまた困る問題でございます。これはこの旅費法改正案閣議決定いたします場合に、でき得る限り各省庁におきましては三十一年度予算に計上せられました旅費予算範囲内で、この旅費法改正案をやりくり実施していく、こういう了解をいたしておるわけでございます。
  22. 千葉信

    千葉信君 三十一年度の旅費に関する予算については、これはこの法律改正案が今度出されてきた。たとえば宿泊料日当鉄道運賃等について改正を行う。その改正に適合する予算としては全然考慮されておらぬ。大体前年度の通り、方針も前年度の通り。一方でこういう考え方予算が組まれて、その予算のまあワク内で、閣議の席上では各省とも了解して、その予算範囲内で何とかやれるような格好で、本年度は行政運営をやろう、そういう了解をしなければ、これはもちろんこういう法律案が出てくるはずがないから、それはそれとして、その結果として出てくるものは、大体二つの私は問題を随伴していると思う。一つは当然毎年々々必要な、どうしても必要な程度出張等を発令してあったはずだから、そうなれば、今度は旅費が足らない、この改正によって旅費が足らないという事態が起るから、その出張は差し控えるとか、減らすとかいう措置をとらなければいかぬ。それで一体仕事をやっていけるものかどうかという問題。それからもう一つは、もしそれで仕事がやっていけるものだとすれば、一体今まで旅費をでたらめに使ったということになるのじゃないか。この点については、一体閣議ではどう考えて、そういう了解を与えたか。  それから第二の点は、今回の旅費規定の、旅費に関する法律改正案を見ますと、さっきもちょっと触れましたように、宿泊料日当等については、ある程度改正が行われていろ。しかし総体の予算の額は、一定ワクの中に縛られておるのだから、そういう改正によって、ある程度潤された、実情に適するような格好改正された、その反面どこに一体その犠牲がしいられたか、どこにしわ寄せがいったか、鉄道運賃じゃありませんか、鉄道運賃切り下げじゃありませんか。しかもその運賃切り下げが、今まで当然二等なら二等の運賃をもらっていた四級、五級、六級の諸君は、二等から三等に切り下げられた、そこに犠牲をしわ寄せして、その犠牲の上に立ってやっとどうにかとうにかつじつまが合わしていける、そういう一方が犠牲になるから、一方の方ではまあある程度食卓料であるとか、日当であるとか、宿泊料であるとか、そういう点においては若干の優遇措置が講じられている。優遇を講ぜられた諸君の場合と、それから不当な扱いをされている人の場合では、その階層が違うのです。利害関係者が違うということがはっきりする。こういう点、私は扱いとしては不当な扱いである、政治としては全く好ましくない政府のやり方だ。こういう点も、私はどうも了承できないのですが、どうでしょうね。
  23. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 御質問の第一点の旅費予算が今年度は特に、三十一年度では余分のものを組んでない、従ってそれで仕事ができるかということでございますが、この旅費の使用につきまして、極力いろいろ出張命令などを厳正にやっていただく、たとえば今まで比較的能率の悪い人でも、あるいは出ておることがあるといたしますと、出張をしたらほんとう仕事のできる能率的な人を出して、短時日にできるだけ公務を達していただく、あるいはいろいろな研修、講習というものを、一応予定がありますが、そうしたものにつきましても、この内容をできるだけ能率的なものに圧縮すると、こういう措置も可能な部面があろうかとわれわれは存じております。従いまして今回の旅費法改正があるから、必ずしも直ちに旅費予算が膨張するとも考えられないのでありまして、まあ既定の予算と見合って出張命令を厳正にやっていただく、こういうことにやっていきたいと思います。  第二点の六級以下の犠牲にしわ寄せられているじゃないかという御質問でございますが、これはいろいろ出張の形によりまして、大体六級以下の出張は管内と申しますか、いわゆるブロック出張が多い、こういう場合は歩く、乗物に乗る距離は割合少いのでありまして、交通費より日当宿泊料の要素が非常に多くを占める。従いまして交通費の引き下げと、日当宿泊料の引き上げとバランスをとりまして得になるか損になるか、一がいには申せないと思います。その点は出張の形態によって差が出てくるだろう、こういうふうに考えるのであります。
  24. 千葉信

    千葉信君 どうも答弁を聞いていると、ますます問題が飛び出してくるのですがね。今の答弁を聞いておりますと、二つの問題について。そのうちの前の問題では、今度の旅費に関する法律改正によっても、そんなに旅費に関する予算はふくらんでこない、私はその点を聞いてるんじゃないのです、まだ。それはあとから聞きますよ。実際に今年度の場合には、予算国会できめられたあとで、もしくはまた提案されたあとで、大蔵省の方では旅費に関する法律改正案を考えたのだ。従って三十一年度に関する限りは、これはこの法律案に適合する予算ではないということは、これは明らかなんです。ただ僕はその前に、それじゃ一体三十一年度に何ぼ足りないか、何ぼぐらい計上すべきであるかということを聞いてるんじゃないのです。何ぼぐらい膨脹するおそれがあるということを聞いてるんじゃないのです。そうじゃない。一つの意見としては、今まで行なってきた旅費の支給の問題について、もちろん出張命令が、不当な格好旅費を乱費するような命令がされたとは考えられない。いいですか、もしそうだとすれば、今度この旅費に関する法律改正によって、少くとも今まで通り出張は発令できない。出張の回数は当然減らさなければならぬ。行く地方もその対象の地域は、遠いところへ行けば旅費がかかるというので、短いところへ区切ってしまうという結果も出てくる。そうなると、一体この旅費の問題について、今度はそういうふうに、今まで当然必要とした出張の発令の仕方なりその必要性に対して、大蔵省はそんなことは必要はないと、もっと縮める意味の、でたらめにやっているという考え方に立ってやっていけるという態度をとられたと私は考えてないのです。そういう心配も大蔵省であったのですから、その問題については、閣議了解をとられた、各省では大体本年度はこの予算に適合する程度のやり方で仕事をやっていきますという了解事項をもらったから、それでは自分の方ではこの法律案を出すことにしたのだと、あなたはこう言っておられる。それなら大蔵省では、そう考えられたのだけれども各省の方では実はその結果から言って、今までは余計に出張をしていた、今までは行かなくてもいいところまで行った、実際に必要な出張、実際に必要な事項以上に行なっていたのだから、だから今回の改正によってもっと予算がかかるのだけれども、その予算のかかるところは出張回数を切り下げたり、行く先を短くしてまかなっていける、それでやっていけるというならば、一体今まで不必要なところへ行っていたという結論が出るじゃないですか。これも岸本君に聞くのは少し酷だけれども理屈はそういう理屈になる。この点は一体どういう考えねのか。私はやはり結論としては、大蔵省としては、大した膨脹を来たすほどのものではないという考え方で、たとえば旅費に関する予算も、数字を承わることができればいいと思うのですが、しかし数字を承わることができなくとも、一体何パーセントくらい多く旅費がかかるというような考え方を実は私ども持っておるのだけれども、しかしそれはすでにもう年度予算が成立後であったから、三十一年度はこのままの格好で実施していく以外に手はないのだと、こういう点についての答弁をあなたはこの際されるべきだと思う。前段だと思います。
  25. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 先ほど御質問の第一点は、今までの旅費各省の実際の出張に必要な分だけ計上されていたから、こうやって定額が変って参りますれば、必ず変ってくるであろうということでございます。これは必ずしも今までルーズな予算を組んでいたという意味ではないのでございますが、各省出張計画の発令等につきまして、まだまだできるだけ極力節約はしていただけるであろうと、こう言うし、またそうしていただきたい、こういう希望は大蔵省として持っておるわけでございます。決して今までむだな予算があったというわけでもない。しかしまだまだいろいろ人間が努力してやって参りますれば、そこにいろいろと節約の余地もあるいは出て参るであろうと、こういう意味で申し上げのであります。
  26. 野本品吉

    ○野本品吉君 二つばかりお聞きしたいと思います。今年度三十一年度の旅費と三十年度の旅費各省別にその総額を比較してみますと、三十年度そのままのところもありますし、それから非常に増額されておるところもあるわけです。具体的に申しますというと、内閣は百四十二万八千円が前年度と今年度と同額、総理府においては約二百万増額されておる。それから外務省では八十二万九千円の増額になっておる。大蔵省が七十万九千円、それから農林省は百五十二万、通産省は百六十九万、運輸省が二百八十九万、こういうような工合に、前年度に比較いたしまして旅費が現状維持のものもありますけれども、相当ふえておるところもある。そこで現状維持になっていたところ、相当額増額されたところ、これはどういう事情なんですか、おわかりでしたら教えていただきたいと思います。
  27. 岸本晋

    説明員岸本晋君) ただいま御質問のありました各省別の旅費予算の増加理由でございますが、実はここに詳細な説明資料を私持ち合せておりません。ただ一般的に申しますと、旅費というものをふやす場合に、やはり法律が変って新たな業務が付加されたとか、あるいは監査業務とか検査業務を拡充するとか、やはりそれぞれの所管について特殊な理由がありまして、これを増額いたしておるものと、かように考えております。
  28. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは今度の改正しようとする旅費規定によるものではなくて、従前の旅費規定基準として一応算出されたものと思うので、改正された後において、かりに旅費の増額を必要としたという場合に、この範囲でまかなっていける、こういうお見通しでございますか。
  29. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 三十一年度の旅費予算の執行につきましては、極力この予算範囲内において既定の出張計画等の再検討をして、できるだけの努力をお願いしょうと、こういう気持でございます。
  30. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう一つお伺いしたいと思いますことは、私は地方を回ってみまして、国家公務員のいわゆる共済組合が、主要な都市に相当りっぱな公務員の宿泊あるいは休養の施設を持つようになりましたことを、公務員人たち旅行その他を考えまして、非常にけっこうなことであると実は喜んでおるわけです。そこで私がお伺いしたいのは、国家公務員の共済組合が持っておる各地方のこの種の施設というようなものの分布の状態、これはおわかりになりますか。
  31. 岸本晋

    説明員岸本晋君) その分布の資料をただいま持ち合せておりませんが、共済組合と申しましても、非現業関係のもございます。あるいは公社のもございます。いろいろございますが、まあ主として一般会計の職員の泊ります非現業について申しますと、これは全国のまあ各都道府県の所在地とまで申しませんが、主要な都市には大体ございます。東京、大阪、京都、名古屋、それから広島、福岡、北に参りまして札幌、そういうところにございます。そのほか大体比較的有名地にあります。温泉地等には宿泊所に類した保養所というものがございまして、これも利用できることに相なっております。もし具体的な資料が御必要でございましたら、また御提出申し上げたいと思います。
  32. 野本品吉

    ○野本品吉君 別に……。今のそういう施設はできるだけ全国的にあまねく持つべきであるという考え方からいたしまして、現任あります現業非現業を合せましてのそういう公務員のための福祉施設と申しますか、そういうものの資料をもってお調べいただきたいと、そういうふうに思っております。お願いいたします。
  33. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ほかに御質疑ございませんか。
  34. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう一つ、もう一つは先ほど来千葉さんからいろいろと御質疑がございましたが、私も今度のこの法案を見まして、そういうような感じがしないわけじゃないのですが、全体として、まあ汽車賃宿泊料日当、それらを合せまして、一体今度の改正でどの程度増額して実情に合うようになっているかということを概括的に御説明願いたいと思います。
  35. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 御質問の点は予算関係でなく個人々々の旅費の手取りの問題でございますか。
  36. 野本品吉

    ○野本品吉君 そうです、そうです。
  37. 岸本晋

    説明員岸本晋君) それは先ほどちょっと申し上げましたが、その人の出張の距離でありますとか、出張の日数、宿泊日数、これによって相当差異がございます。たとえばこの距離と、東京から札幌なら札幌に行って向うに一晩泊って帰って来た、こういうような出張を去年やった人が今年またやりますと、確かに、これは階級にもよりますが、それは若干の異同は出て参るわけでございます。また近距離でもって宿泊の逆に多かったというような場合には、これはまたあるいは近距離出張についてはむしろ有利になるということも考えられます。いろいろの出張の個々のケースによって違いますので、一がいに有利不利は断定できない。また有利不利を論じますより、これはできるだけ私ども実費弁償建前に即してあらためた、こういうつもりでございますので、有利不利ということになりますと、いかにも給与的な色彩にあります。その点はあまり資料としてもちょっと作成いたしがたいところでございます。
  38. 千葉信

    千葉信君 途中で水が入った格好ですがね、私はさっきの問題を続けて御質問申し上げておきたいと思うのですが、三十一年度の旅費予算を計上するに当って、一体その特殊な条件を持っている省庁に対しては旅費の増額の問題についてどういう措置をとられますか。たとえばこの内閣委員会における調査におきましても、今のような旅費の配算ではとうてい仕事ができない。特殊なケースの仕事を担当している省庁のごときは、これは地方官庁の場合ですが、一人当り年間二万円程度旅費額ではとうてい仕事ができないから、これはぜひ何とかしてもらわなければならんという要望を受けて、野本、島村、木下議員等は帰って、この委員会に報告されておるのです。その点については一体大蔵省の方で、今回御査定に当ってどうお考えになるか。この問題は、先ほど大蔵省が一方的に現在の出張状態に対して判断を下された。その判断が必ずしも適当じゃないということは、その委員会における調査報告でも、私どもとしてははっきり出ておると思うのです。机の上であなた方旅行の回数等を考えているような場合が多いのじゃないか。たとえば具体的には地方監察局等にあっては、管区監察局等にあっては、その仕事の性質からいうと、これはもうしょっちゅう出張を必要とするような職務のケースです。こういう場合について当該官庁ではこんな旅費の配算ではとうてい仕事をやっていけないといって訴えている。こういう点については一体どう、今回予算案の編成に当って考慮されておられるか。この点の答弁はあなたがさっきおっしゃったように、一方的な判断を下して、もっと少くしても間に合っているのだ、能率の上る人をやるように切りかえていけば、今までのような非能率な職員出張をさしていくことを是正することによってまかなえるのだという、ひとりよがりの答弁をあなた方はしておられる。従って具体的には、行政管理庁、地方管区監察局等に対してはどういう措置をとられるか。
  39. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 地方行政監察局の三十一年度の旅費予算をどういう方針で組んだかという御質問でございますが、実は私旅費をきめる予算の職務を担当しておりませんので、よく存じませんが、さっそく資料でもって御報告申し上げます。
  40. 野本品吉

    ○野本品吉君 ただいま千葉君から指摘されましたが、地方の実情を見ますというと、監察局それから労働基準監督署、それらの人たちが必要に応じて管内を調査視察するということですが、旅費が足らないために、大部分の視察が役所の所在地の周辺にとどまっておる。そうして管内の遠隔の地に手が延びないという実情で、各地方でそういう点についての要望が非常に強くあったわけです。これは今後の問題であるかしれませんけれども、これらの点については十分考えていきませんというと、監察局なり、労働基準監督署なりの機能を十分発揮することができない実情にあることは事実でありますから、これは十分頭においていただかなければならんと思います。  それからもう一つは、出先機関の旅費の不足ということが、強く要望されなければならない公務員の研修ということに非常な欠陥を生じているわけです。旅費がないために研修のためのいろいろな会合に出られない。この足がなかったり、それから研修が足らないというようなことが地方の人たちの非常な悩みになっておるということは事実であることを私どもはよく承知しておりますから、従って今後のこれらの旅費の問題につきましては、あとでまた申し上げようと思っておりますけれども、十分検討を加えらるべき問題として頭へ置いていただきたいという希望を持っておりますが、それらのことは従来どんなふうに考えられておりますか。問題になつたことがありませんかどうか、その辺の事情を一つお聞きいたしたいと思います。
  41. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 先ほどの地方行政観察局あるいは労働基準監督署の旅費予算額が不足しておるという問題、あるいは一般研修旅費が足りないという問題でございますが、実は旅費予算はできる限りこれはむだを排除して節約して参ろうということで、昭和二十七・八年ころからいろいろ努力はいたしたわけであります。ことに三十年度は五%ないし一割の節約が庁費、旅費についてあったのであります。この結果、非常にいろいろの各省の実務の上にも支障を来たしたという面も見受けられたわけでございます。三十一年度予算におきましては、できるだけ実情に即したように改めよう、新しい業務ができた場合はもとより、過去のものについてもできるだけ積算の基礎を明確にしていこうと、こうした努力は始められておるわけであります。もちろん足りないからこれをふやすという問題でもありません。旅費をどれだけふやすかという問題だけのものではなく、そうした出張業務自体がどの程度必要かということも判断いたしまして、根本的に再検しょう、こういう立場に立っておるわけであります。
  42. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほど千葉君の質問に答えでは、三十年度の実績――これは多少変化があるかも知れませんが、三十一年度には計上した、こういうお話しでしたが、今の地方監察局それから労働基準監督署そういうものについては、三十年度一割ですか、削ったりして仕事ができないから、それはその削りっぱなしでなく、三十一年度にできるだけ実情に合うようにしてやる、こういうお話しですが、答弁が違っておるように思うのですが、そこをはっきり願いたいと思うのです。私どもも三十年度の実績、それからこれによる地方官庁でその任務にたえない点、あるいは基準監督署のごとき、三年に一ぺんというのが、こういう予算では永久にできないではないが、なんでもとにかくいかんところが出てくる、こういう実情を全部聞いて参りました。削りました実績をそのまま移したのでは、これは官庁存立の意味さえなくなるのだ、こういうところが私は相当あると思うのです。その点もう少し明確に御答弁願いたい。
  43. 岸本晋

    説明員岸本晋君) ただいま問題になっております地方行政監察局であるとか、そうした地方機関の予算が三十一年予算にどう取り上げられておるかということは、実は先ほど申し上げましたように、資料を私ども持ち合せておりませんので、よく調査の上御報告申し上げたいと思います。
  44. 千葉信

    千葉信君 まだ今までの質問に対する答弁がきりがついておりませんから、それをすっかり終ってから、吉田君の方で人事院総裁等に対する質問に入る必要があるんじゃないかと思いますから、締めくくりをつけておきたいと思います。それはどういう点かというと、何が一体実費弁償か、実費弁償とはどういう形においてその合理的な方式をとらなければならんかという、その点はまた時間を食いますから、あとの機会に譲りますけれども、しかしその旅費に関する実費弁償を適正に行うという場合に考えられなければならぬことば、大体職員等が納得できるような理由を伴った適正な運賃、あるいは宿泊料、あるいは日当、そうしてまたその階級差といいますか、上下の差によって行われるその格差が果して妥当なものであるかどうかという点が、十分納得のいくものでなければならぬ。それからもう一つは、その出費弁償を行うに当って冗費となるような不当な支出は避けるという方式が考えられなければならぬ。これは財政の節約という見地からいいましても、当然に大蔵省としてはそうしなければならぬ。そこで今度の法律改正案によりますと、さっきも申し上げたように、六級、七級の間にひどい落差がこれはある。それに対して一体どうしてその六級、七級の間に設けたのかという質問に対して、まだ承服できるような答弁が行われておりませんが、一般的にはこういう答弁がなされました。その三等の運賃に落した方の下級者の場合には、比較的遠距離の出張を行なっておらない。つまり鉄道による旅行にしても、または水路旅行を行うことが多いという条件もあり、鉄道運賃が、比較的遠くへいかない職員の場合だから、この場合には、三等に切り下げることは失当ではないと考えた、こういう御答弁なんです。もしほんとうにそうだということになると、遠くへなんか行かない下級職員、つまり鉄道運賃なんかはそんなに多額にもらっていない下級職員、こうなるわけです。切り下げられた六級職以下の職員の場合には、先ほどの岸本君の答弁では、そういう下級職員は遠距離の汽車旅行は行なっていない。近距離の出張者だから、旅行者だから、だからそんなにこの法律改正に伴って不当な扱いにはならないと思う、こういう答弁であった。一体そんな近距離で、しかも運賃の総額としても非常に微々たるものだという観念に立っている大蔵省が、なぜ一体そこだけ手をつけようとするか。おそらくそういうところを切り下げるということは、実費弁償というそういうやり方をするということが一つと、そのやり方をすることによって、ある程度財政負担を軽くする、国民の税金負担を軽くする。そういう建前に立って考えられたということで、初めて合理的にならなければならぬ。ところが答弁によると、いや下げたところがそんなに財政負担の点では影響のないところだ。近い汽車旅行しか、近距離の汽車による出張なんかしかやっていない場合だから――これじゃ私は答弁は全くその場限りの答弁という格好になってしまって、私どもの了承できるような筋の通った理由にはならないと思う。その点どうですか。
  45. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 六級以下の職員を特に三等に下げましたのは、これは先ほど申し上げました一般民間会社等の慣行をみまして、大体役付以下の普通の職員の場合には、三等で行っていただいておる。また現実の問題といたしましても、その出張の形などをみまして、多くの場合にはそれほどそれによって、まあ不利という言葉を使うのはいかがかと思いますが、自分の身銭を切ってまで出張するような形にはならない。これは一般慣行にも合する、こういうことで六級の線で切ったわけであります。これは大蔵省としても財政負担軽減にならないじゃないかという御質問でありますが、もちろん財政負担のことも考慮いたします。同時にまた制度面におきましても、できるだけ制度本来の筋に近いものにしたい、こういうことで今回の改正案を作っておるわけでございます。
  46. 千葉信

    千葉信君 その理由とされている、六級職から以下を下げたというその根拠として、今度は明らかにさっき答弁されたその答弁とは変っているんです。前の答弁に戻って、民間会社とこういう下級職員の場合と均衡をとるような格好に持っていったという答弁にまた逆戻りした。その点は先ほどの質疑で、そういう民間状態等については、大体こういう程度だろうという腰だめでしか大蔵省は把握していないじゃありませんか。それをいかぬというのです。私はそういう点についても実態の調査をして、この審議に当って納得できるような実情が明らかにされてくれば、なるほど民間の場合はこういう格好だから、それに大体適合する国家公務員の場合にも今回の改正が行われてもいいとか悪いとかいう判断が出てくる、それがないじゃありませんか。あなたの腰だめじゃありませんか。あなたたち大蔵省諸君の単なる推測じゃありませんか。それに対するちゃんとした調査は行なったか、資料はどうか、数字はどうか、それはわからぬと言う、そんな答弁じゃ全くわれわれは大蔵省の態度に対しても、どうしてもふんまんを感ぜざるを得ない。そんな格好で何でもかでも法律大蔵省の連中は頭ででっち上げて、いい加減にどんどん変えるというよう血態度になられては困ると思う。しかもこういう今回のやり方が、合理的な、われわれの納得できるような、たとえば一方では真に実情に適合したような実費弁償形式実費弁償の形に持っていくとか、また一方では、もう一つ大蔵省理由としては、できるだけ国民の税金負担を軽からしめるよう意方式をとる、そのためにこういう措置をとったのだというその二つ理由根拠としてなければならない。ところが後段の方の問題に至っては、答弁がこれまたわれわれとしては了承できぬような答弁です。問い詰められていったら、今度は最初に言ったことと違って、いや下級者の場合には汽車旅行だって近距離だ、だから二等を三等に切り下げられても大した影響はないのだと、こう言っている。はっきり速記録に残っているじゃありませんか。そんなその場その場でもって理由がない……、この法律案改正する根拠なり理由なりが薄弱で、そのたびごとに根拠が変るようでは、審議が進まないじゃありませんか。どうですか、一貫した答弁をしたら……。
  47. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 六級以下のところを三等に下げました理由、その裏打ちといたしまして民間会社実情を調べた、これは先ほど申し上げたわけでございます。それに対しまして、それでは実は六級以下がかわいそうじゃないか、不利じゃないか、こういう御質問がございました。それに対しては、現実にはこういう近距離出張が多いし、また有利、不和ということは、出張の形いかんによっては必ずしも一がいには断定し得ない、こういうことを申し上げたわけでございます。説明といたしましては、それほど前とあとでは変えていることはないかと思われます。
  48. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  49. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を始めて。  本日はこの程度でこの質疑をとめたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  51. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 国家公務員制度及び恩給に関する調査として公務員の給与問題に関する件を議題といたします。本件につきまして御質疑のおありの方は御質疑を願います。
  52. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 質問を始める前に資料を、これは私だけもらったのですが、メモ程度で、委員会としてどういうように、問題の三公社五現業の期末手当と申しますか、奨励手当が出ているかということ、団交の結果と、それから支給の状況を資料として委員会にお出しを願いたいと思います。調査室の方であとでもいいから一つ……。  それからすでに支給せられたと思いますが、この一時金の性格をどういう工合に解釈せられておるか、人事院と調査室とそれぞれから一つ説明をいただきたい。
  53. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 私の方といたしましては、その性質と仰せられるのは、それは業績手当であるかどうかという問題だろうと思っておりますが、これが業績手当であるかどうかということは、これは一応政府から御答弁あるべき問題だと思います。
  54. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それじゃ一つ、調査室は来ておるんですか、まだですか……。
  55. 千葉信

    千葉信君 それじゃ一つ間隙を縫って淺井さんに御質問を申し上げます。人事院としてせっかく政府に対して通牒もお出しになり、大体においてあまり極端な無理のない、公務員諸君の場合にも納得できるような措置がとられるべきだし、またそういう考えに立って、せっかく人事院の方では政府に対して通牒も発せられて、そして私どももそれによって事態の解決を非常に大きく期待したのですが、どうも今の段階ではなかなか筋の通らないやり方が横たわっていて、見通しとしてはどうも簡単に前進しそうもない状態にあります。そこでこれは浅井さん初め人事院にばかりその解決について私ども期待するということも無理でもあり、国会としてもこの問題については十分合理的な解決の方向を見出さなきゃならぬと思うのですが、人事院としては人事院の立っておられる立場から、やはりある程度の御努力は今後も願わなきゃならぬと思うのですが、その点について人事院としてはどう今後政府の方と直接交渉なり、もしくはまた文書による督促なり、もしくは促進方法なりをおとりになるおつもりですか。
  56. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 人事院といたしましては、この問題についてただいまお示しのことにはまことに同感であります。しかし人事院といたしましては、三月以来人事院の打つべき手はもうすでに打ったと思いまして、二度も閣議へ出してもらったのでありますが、現在のところ不幸にしてその目的は達しなかったと思います。将来のことにつきましては、われわれまたあらためて考えたいと思います。
  57. 千葉信

    千葉信君 私どもも人事院がお出しになったあの通牒は非常に有力なもので、そしてしかも妥当なものであることについては敬意を表するにやぶさかではありませんが、しかしただ何といっても、この通牒が最も適切な時期に扱われた扱い方かを見ますと、一方では、いやこれは私文書だ、何もそんな公文書なんか来ておらぬ、単なる私文書が来ているだけだと言い、そしてまたそういう段階ではなるべく早くこれが公表されて、そして国会におけるこの問題のとらえ方いかんによっても問題の前進ということは期待されたわけですが、遺憾ながら、私どもの意見からすれば、私どもの希望からすれば、少くともその時期が少しずれたという格好になったと私は考えております。もう少し早ければ、まだしもある程度の問題の前進があったのじゃないか。その点については私は今あなたを追及しておるのではありませんが、そういう考え方からいくと、今浅井さんがおっしゃったような答弁だけでは少し私は不満足なんです。もちろん私どもはこの通牒の効果なり価値なりは確信しております。しかしながら事実は必ずしもそういっていないのですから、従って私どもはこの通牒のような方向においてある程度問題が解決される必要がある、そのためにはこの通牒が出された後のいろいろな経過の中で、やはり私どもは浅井さんたちにも片棒かついでもらわねければならぬ理由が出てくると思います。ですから尽すだけの手を尽したということでなくて、やはり淺井さんはせっかく出されたその公文書の、この通牒の効果が実際に公平に一般職の職員等にも及ぶような措置が人事院に対して期待されなければならぬし、また期待することが当然であるし、また人事院としてもそこ蚕で問題の解決を得なければ、おれの方じゃ通牒を出したのだからいいじゃないか、おれの方では国会にこれを公表したのだからいいじゃないか、あとはおれたちの知らぬことだということでは、私は単なる通牒の出しっぱなし、もしくは勧告の出しっぱなしという、そういう印象を一般職の職員なんかには特に与える、国民にもそういう印象を与える。ですからそういう印象を与えるような状態では、私は人事院の立場としては必ずしもりっぱな態度ではない。従って将来の問題として、私はそんなに遠い将来にこの問題がピリオドを打たれるだろうという期待でなくて、現にもう明らかに不公平が起っていて、一般職の職員の立場というものは気の毒な格好なんですから、これに対してはもう一歩私は人事院としても踏み込むというお気持なり、もしくはまたそういう裏づけを持った答弁なりというものが当然出てもいいという考え方なんですが、どうでしょう、そういうふうに御努力を願うことになりませんか。
  58. 淺井清

    政府委員(淺井清君) まことにごもっともなことであって、われわれも全くさように考えておるのでおります。しかしさいぜんお答えをいたしましたのは、現在の段階で人事院として打つべき手がない、こういうふうに申し上げておるだけの話であります。将来の給与問題につきましては、これはまたあらためて考える必要があると思っております。
  59. 千葉信

    千葉信君 今の段階でどういう手が打たれる必要があり、どういう方向に持っていくべきかということは、これはこれから毎日のように私ども頭を悩まさなければならない。浅井さんの方でも決してそういう方向に向っての努力は惜しまれるものじゃないことは今の答弁から私は十分了承できると思います。  そこでこの機会に浅井さんに申し上げておきたいことは、人事院としてはこれは非常にいい経験だったろうと思う。われわれもいい経験をしました。つまりこんな筋の通った通牒が尊重されないような事態がときどき起るということです。従ってそのために公務員諸君は、一般職の職員諸君は実にみなもうみじめな格好で、公共企業体の現業の職員の待遇の状態を、よだれをたらして見ていなければならない。ですからこういう経験からしても、この問題の処理は、この問題の処理としてもう一つは、この問題の経過のいかんによって起ってくるところの次の問題、おそらく人事院の方としては本年三月の基準において、それぞれの検討も開始されておると思いますから、そういう問題の上に立って、そういう調査研究の上に立って、次の機会にはぜひ私ははっきり答弁していただきたいと言っても、それは答弁はむずかしいでしゃうが、少くとも今度のこういう一般的な問題の処理を要する時期には、人事院がその措置を絶対に誤らないように、一つこの際、淺井さんにお腹に力を入れ直してここで答弁を一応いただいておきたいと思うのですが。
  60. 淺井清

    政府委員(淺井清君) まことにごもっともなお説でありますが、問題は結局かような結果になるということは、これは現業と一般職の方との給与体系そのものの違いから出てくるのであります。そこを掘り下げないと、私は問題が解決をしないと思いますから、それはよくわれわれは心得ておるつもりであります。
  61. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 調査室長が見えたそうですから、一つ初めから御答弁を願って、あとでまた人事院総裁なりにお伺いしたいと思います。  先ほどおいでになります前に、今度の三公社五現業で出ました一時金の性格についてお尋ねをしましたところが、人事院の方ではそれはまず政府の方から御答弁になるべき性質のものだ、こういうことで人事院から答弁がございませんでした。まああとで聞いて参りますけれども、調査室の方から御説明をいただきたいと思います。
  62. 大山正

    政府委員(大山正君) 今回の三公社五現業の調停案によりまして支給されました給与は、業績手当であるというように解釈いたしております。
  63. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これは新聞、それから委員会の速記録を見ましてもそうですが、政府の方では今調査室長から説明をされたように、業績手当である、従って一般公務員には関係がないんだ、こういう労働大臣なり政府説明について、人事院総裁は並んで、衆議院の内閣委員会等でも答弁をせられました。それをいわば認められたと申しますか、黙って認められたような格好になっておるかのようですが、先ほど調査室長から、政府の方から御答弁になるべきだというお話で、簡単に従来の説明の繰り返しがあったわけであります。人事院としてはどういう工合に考えておりますか。
  64. 淺井清

    政府委員(淺井清君) これは給与体系が異なっておりますので、非常にむずかしい問題だろうと思うのです。これは人事院の方から業績手当でないと、かりに申したとしましても、政府の方ではこれは業績手当であると、こういうふうに言われるのでありまして、ここのところはほんとうにもう水掛論になると思います。私はこれが業績手当であるかどうかということは、内閣において良識をもって、これは判断せらるべき問題だろうと思っております。
  65. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 給与体系が違う、従って政府の方でこれは業績手当である、こういう説明をされれば、それに対して意見を述べても水掛論になる、こういう説明ですが、最近こそ調査室とかできましたけれども、これは法律によってできたのだからしょうがないといえばそれまでですけれども、給与の問題について、従来責任を持ってこられた、あるいは人事院ができた当時においては、五現業等については、これは明らかに人事院の何と申しますか、担当の対象、それを政府の方で、この三公社五現業の給与で、しかもそれが業績手当であるから公務員の方には影響がございません、こういう説明を横で黙って見ておる、あるいはそれはやっても水掛論だ、こういうことで人事院というものが済むでしょうか。あるいは影響が云々という文書を出されておりますが、そういう点からいって、業積手当というものについてあるいは一時金が出されたことについて、意見と申しますか、そういうものが私はあってしかるべきだと思うのですが、私の方からは。あるいはそれはやっても水掛論だ、こういうことなんでしょうか。
  66. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 人事院が初めのころは五現業というものには団交権がなく、その給与問題は全部人事院でやっておりましたから、お説のようでありますけれども、団交権ができましてから、給与問題が人事院の所管を離れておりますから、そこのところが違うところだろうと思っております。
  67. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私がお尋ねするのは、その前の制度と今の制度の違いを聞いておるのじゃなくて、影響してくるところが公務員に影響して参る、そうすると、出ました一時金がどういうものだかということについては、これは意見があってしかるべきじゃないか、こういうことを申しておるのですが、所管なりあるいは団交権の有無云々ということで、私の方には影響がないといいますか、いわばそういう点からいって私は多少責任逃れだと思うのですが。これは議論になりますけれどもね。議論になりますけれども、業績手当というものについてノー・コメントという態度は、私は人事院として多少どうかと思うのですが、重ねて御答弁をお願いします。
  68. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ちょっと問題が二つに分れるのでありますが、出された金が業績手当であるかどうかという判断は、五現業の給与問題が人事院の所管から離れておりますから、人事院で判断はしにくいということであります。  次の問題は、ともかく今度業績手当であろうがなかろうが、ともかく五現業三公社の方はよくなっておる。その場合に団交権のないものをほうっておくかどうか、これは別の問題だろうと思います。
  69. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 まあその辺はそれじゃまたあとにしましょう。  これは人事院総裁なり、給与局長、横で聞いておいていただきたいと思うのですが、一番最初に出ました国鉄の調停案について、金額が五千円でありますが、その五千円の算出の基礎について千七百プラス六X、合計をして五千円以上、こういう、これは読売新聞の記事ですが、出ております。千七百円というのは昨年の了解としての年度手当〇・一ヵ月分を下回らないことということで、千七百円というのが基礎になり、それからプラスXというそのXは、昇給見合い分ということで、六は六ヵ月、そこで合計して五千円以上、こういう説明がされている。そうすると、これは一時金といいましても、あるいはこれを業績手当という説明がありますが、六ヵ月分の給与であるという性質を持っておるということは、これは間違いがないと思うのですが、それと調停案の一項の解釈、これは団体交渉による双方の解釈の中にもそういうあれが出ておりますが、一項を、べース・アップの要素を含んでおるのだ、その時期については広々とそれぞれ書いてございますけれども、ベース・アップの要素を含んでおる、こういうことは論理的に認めざるを得ないのだと思うのですが、そういう点は政府といいますか、調査室はどういうようにお考えになっていらっしゃいますか。
  70. 大山正

    政府委員(大山正君) ただいまのお話ございました調停案の解釈につきましては、いろいろ人によりまして解釈が異るようでありますが、私の承わっておりますところでは、三公社五現業におきまして、第二項の一時金につきましてはベース・アップ云々という、あるいはつなぎ資金というような問題を別といたしまして、業績の向上による増収、または経費の節約によりまして、従来のような業績手当を支出したものである、かように考えております。
  71. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そういう説明といいますか、どういうようにして五千円なりその他の金が出てきたかということは、まあ知らぬ、これはそう今まで言ってこられたから、それは知らぬと言われるのは予想したところですから、今申し上げるような国鉄について六Xというものがあるといった、これは報道でございますが、そういう説明がされるところからいっても、あるいは調停案の一項と関連人をして、べース・アップの要素というものが一時金の中にはあるのではないか、こういう点を重ねてお尋ねをしておるのでありますが、どうでしょうか。
  72. 大山正

    政府委員(大山正君) 三公社五現業におきまして、調停案内受講し、団体交渉の結果、一時金を支出いたしましたと遂に、先ほど申し上げましたような性質の業績手当であるという解釈のもとに支出することにした、そのように承知いたしております。
  73. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 政府の解釈だけを繰り返し答弁せられるだけですが、それでは説明を関連しますと、あるいは内容を聞きますと、給与の一部、あるいは六ヵ月であろうと、そういう給与の一部に代替するものが入っておるという事実だけを指摘して、あとは実際の支出の方法を承わりたいと思うのですが、業績手当だと言われておりますが、調停案の中の説明もいろいろ違っております。従ってそこからも違っておる、それぞれ二項の説明ですが、調停案の二項の説明から業績手当だけと言い切れぬものがあるんじゃないか、こういうのが一つ。それから壁際の支出はどういう工合にして行われたか、その辺業績手当だと主張せられる調査室長から御説明を承わりたい。
  74. 大山正

    政府委員(大山正君) 国鉄の調停案の理由書のところに、「国鉄は昭和三十年度においては輸送量の増大等により収入の増加を見ている事情もあり、当局においても極力譲歩し、一人平均五、〇〇〇円以上を日本国有鉄道法第四十四条第二項により特別の給与として」云々というふうに書いてございます。  また郵政に対する調停案といたしましては、やはり理由の方に、「郵政事業の業績は、漸次向上しつつあり、職員の業績向上に対する貢献は多大なるものが認められ、且つ、本年度において収入増が見込まれるので、特別会計予算総則第九条第二項により特別の給与を支給することが適当である」というふうにございまして、郵政について申しますならば、ここにあります特別会計予算総則第九条第二項、すなわち業績手当と称せられておるものとして支給されたというように承知いたしております。
  75. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ところがですね、たとえば電々公社の場合に「従事する職員の労務も高度に技術化しつつある」、掘るほどそのと宮に業績も向上して相当の貢献をした云々ということが書いてございます。しかしたとえば林野に至っては、「林野庁の本年度における経理状況は、昨年度の未曽有の災害による風倒木の処理、木材価格の下落等のため、必ずしも良好ではない」、経理の状況は必ずしも良好ではない。  それから電々でしたか、もう一つは、造幣、「その業績向上を図るために、多大の努力を続けている」ということで、その公社のあるいは特別会計の経費の節減があった、あるいは収支が改善をせられたということだけではない。言いかえるならば、業績賞与というよりも、あるいは弾力条項と申しますか、労働が強化された、あるいは労働量がふえてくる、こういうためにそういうことを理由にして一時金を出すべきだ、こういう理由が述べられておることも事実だと思う。従って何と申しますか、業績賞与であると言切れないものがあるということはお認めになりませんか。
  76. 大山正

    政府委員(大山正君) 大蔵省でいわゆる一時金を支給するために、予算措置を講じました際、私どもの聞いておりますところでは、ただいま御指摘のありました造幣、林野等は増収といいますよりは、やはり経費の節約ということで支給されたということになっております。しかして御承知のように、先ほど来申し上げております予算総則の第九条第二項の業績手当というのは、増収の場合と経費の節約の場合とございまして、御指摘のありました造幣、林野等においては節約の結果であるということでございます。
  77. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それでは国鉄は。
  78. 大山正

    政府委員(大山正君) 国鉄は増収ということだそうでございます。
  79. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ということだそうでございますが、もう支給されたのですから、そういう実績が出て、そうして業績手当だ、こういうことで説明されたのでしょうか。
  80. 大山正

    政府委員(大山正君) さようでございます。国鉄に関しましては、増収があるということで、その分を振り向けまして支給されたのでございます。
  81. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 新聞紙等を見ましても、世論を見表しても、われわれが受け取るところがら見ましても、それぞれの公社あるいは特別会計が業績を上げた。これは収入の増加でありましょうとも、あるいは経費の節減でありましょうとも、上げたから、そこで業績手当を支給するんだ、こういうことよりも、金額をある程度、これは多少経営の内容等もありましょうけれども、五千円あるいは二千五百円というように業績によってその公社あるいは特別会計の業績によって出したというよりも、給与の一つとして――給与の一つの中には業績手当が入ってもかまわないのですけれども、業績が云々という特別会計なり何なりの解釈というよりも、むしろそういう理由で支給をした、あるいは一時金を支給した、こういうことの方が大部分ではないだろうか。業績手当と、あるいは弾力条項と申しますか、超勤手当等、労働の量がふえた、あるいは超勤がふえた、こういうことで出しておるこの理由については、両方にまたがるものがある。労働の量がふえて業績が上ったという場合に、それをどちらに振りかえるか、どちらに説明をするかということはなかなかむずかしい問題だと言われておりますが、まさにそういう事例のように考えますが、どうでしょうか、その辺……。
  82. 大山正

    政府委員(大山正君) 繰り返して申し上げるようで、はなはだ恐縮でございますが、三公社五現業におきまして調停案を受諾いたしますときに、これは業績手当であるという理解のもとに受諾し、また団体交渉に臨む。実際に支給されました場合に、やはり業績手当である。五現業について申しますならば、特別会計の予算総則第九条第二項による支給であるということで支給しておるのでございまして、やはり業績手当であると言わざるを得ないと存じます。
  83. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 建前として、そうだとして受け取り、あるいは支給されたということは、これはわかるのです。そうすると、実際の支給はどういう工合にしておられるのでしょうか。給与総額なら給与総額の中でそれぞれ支給されておるのか、あるいはその他の点についても、何というのか、その他の費目からの流用というのもあったのでしょうか。それぞれの会計について御説明をお願いいたします。
  84. 大山正

    政府委員(大山正君) それぞれの会計につきましての詳しいことは、大蔵省あるいはそれぞれの担当官庁におきましてお答え申し上げるのが適当かと存じますが、私の承知いたしております範囲では、給与総額のほか、他の費目から、やはりこの条項によりまして、九条二項で支給されておる、かように承知いたしております。
  85. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほどの千葉委員質問に答えられた人事院の態度に関連して参りますが、性格問題はもうやめましょう。人事院について所見を求めるのは少し困難かもしれぬと思いますが……。まあ衆議院での答弁の態度についての不満はもうここで申し上げなくてもいいのですが、三月の十七日、参議院の予算委員会で相馬君が人事院総裁の所見を求めましたところ、人事院総裁は「団交権を持っていない職員が不利益を受けるという結果になることは、これは人事院としては忍びがたいことでございまして、これは一般公務員の勤労意欲を低下せしめ、能率を阻害することともなりますので、もしもさような措置がなされますならば、一般公務員についても均衡を保った措置がなるべきものだと、私は確信をいたしておる次第であります。ことにさしずめ問題になりまする一時金の措置については、特にように考えております」、こう答弁をしておられます。これは文書が出ましたあとでの質問、それから答弁でございますので、二回ほど云々と先ほど経緯がございましたけれども、均衡を保った措置がとらるべきものだと私は確信をしております。それは、さしずめ一時金について、とこういうことでございますから、人事院総裁の出されました前については、これは出されたら云々ということでございましたが、調停案は受諾せられ、それから一時金は支給せられたわけでございますから、ここであらためて当時の決意についての人事院総裁の所信を承わりたい。
  86. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ただいまお尋ねの点でありまするけれども、人事院の態度といたしましては、業績手当というものは否定することはできませんので、そこでもしも不均衡が生じたような場合においては、一般公務員の勤労意欲を低下せしめますから、そこで均衡の保てる措置をとることを希望しておるのであります。これは今だって同じことであります。ただ問題は、それか従来出ていた業績手当であるかどうかということに問題があると思います。  それからもう一つ離れて、これが業績手当であろうがなかろうが、とにかく一部の公務員は団交によってよくなっておるのだ、他の公務員はそのままにしておく、こういう問題はあるかと思っております。
  87. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 業績手当であるかないか、これは業績手当であるという政府説明が、あるいは調査室長であろうと大臣であろうと同じことですが、政府である限りにおいては、どうも人事院総裁は文句の言いようがない、こういう話のようでありますが、性格はとにかくとして、一時金は出た、その一時金が私は一時金としても特別手当の中で均衡を失すると思いますが、人事院として考えられなければならぬベース・アップと、若干関連する金であるということも、これも事実であると思うのです。先ほど昇給分に六ヵ月分をかける云々という、給与一時金でない――一時金ではございますが、形は一時金でありますけれども、ベースと関連をする性質を持っておるということは、これは国鉄の場合は私は否定するわけには参らぬと思います。従ってそういう限りにおいては人事院の、公務員のこれからの給与に対する態度にも関連して参ると思うのですが、業績手当である限りにおいては人事院としては何も言うあれはない。それから一時金については、今でも一時金が出されたならば、公務員との均衡を失しないように措置せらるべきだ、措置せらるべきだしということは、出さるべきだと思うのですが、それが出されておらぬ。三公社五現業については出されておる。衆議院の場合には、どうなるかわからぬが出されて均衡を失するようなことにはなっておらぬ、こういう御答弁であったと思うのですから、現実に出されて均衡を失するようになったら措置せらるべきだというあれについては、今の段階あるいは今後についてどうせられるか、この二つについて分けて御答弁願いたい。
  88. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 業績手当というものは前からあるのでありまして、これは否定できないのでありますから、私は業績手当と言う限りにおいて均衡は乱されていないと、さように言わざるを得ないのであります。ただ、それからもう一つ違った政治的な問題があると思います。それは団交権を持っている職員がともかく現実に給与がよくなったという事実であります。その場合に団交権のない職員に何らの措置もしないで置いておくかどうか、これはどうも割り切れない問題が残っていることは事実であろうと思います。
  89. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これはあなたの方からいただいた資料ですよ。あなたの方からいただいたように、ベースについてのこれは比較表があり、これを出される場合には、なるほどそれは一時金の措置について十分配慮せられるように要望しますと書いてありますけれども、それはベースその他給与全部について三公社五現業と比較をして、そして一般公務員が団交権がないからあるいは罷業権もないから、それを人事院が代表してカバーをしてやらなければならぬ、こういうお気持だろうと私は思う、この文書は、客観的に見て。そうすると、給与についても、給与のうちのベースについても、公務員については罷業権も団交権もないから一ここに折角二十四年以来の比較が書いてございますから、二十四年以来特に二十八年の以降については、公務員のこれは比率をとってみればわかる。倍率がちゃんと出してあります。倍率をとってみると、一般公務員は三公社五現業よりもやはりおくれがちだ、こういうことがこの中には私は書いてあると思う。そしてたとえば一時金なら一時金の問題についても、一時金といいますか、特別手当の点についても、一般公務員とその他のものについて二十八年、二十九年、三十年と、その三十年についてはプラス・アルファがついて、これから出てくるのだ。調停案の承諾によって出て参りましたものは、これはあなたの方で言われました三十年度の支給の差が〇・一六プラス・アルファですが、その後きまったところによって〇・二九プラス五百円ですから〇・三くらいの差がついて来た。あるいは林野についても〇・二三くらいの差がついて来た。これはあなたの方の意図からいうならば、私はまさに私どもが言うていることをここにお出しになったと思う。業績手当であるから――その業績手当であると説明がされるならば、それについて私どもがとかく申し上ぐべき筋合いでないという話は、少くともこの文書なりあるいは文書によって意図されておるものと私は違うと思う。そうでしょう。だからその業績手当を含んで給与の問題あるいはベースの問題、体系全体からいってアンバランスが出て来ておる。しかもそのアンバランスが出て来ておることが、罷業権もあるいは団交権もないことから出て来ておるということは、あなたの方の資料でもはっきり出ておる。それをどうするか。もう少し真剣な一つ答弁を願いたいと思う。
  90. 淺井清

    政府委員(淺井清君) その一般職の給与の地位を示した資料はお説の通りであります。従ってこの点は私は将来問題になるであろうと思っておりますが、その文書そのものは一時金についての処置に関するものであります。
  91. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それはその通り、文書には一時金。それはその一時金についても予算委員会等で、団交権を持たない職員が不利益を受けてはならぬ、あるいは勤労意欲を低下させてはならぬ、能率を阻害するようなことがあってはならぬから、その公務員の罷業権のかわりに人事院としては、三公社五現業について一時金が出るならば、それは一般公務員についても措置せらるべきものと確信する。前には――衆議院等で質問されたときには、それはまだきまっておりませんから、出たら出たときに不均衡がないように、こういう答弁をされてきている。そこで出たのだから、実際的にアンバランスが一時金についても出ている。三月十七日の答弁からするならば、一時金について措置せらるべきものと確信をする、こう言われましたから、その一時金の措置についてどういう推進をしていこうとせられるか、勤労意欲を低下させないような、能率を阻害させないような均衡をとる方法をどういうようにお考えになっているか、こういうことを伺っている。
  92. 淺井清

    政府委員(淺井清君) われわれとしては最初千葉さんにお答えいたしましたように、打つべき手はずでにこの問題については打っていると思っております。
  93. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 打つ手は打っているとおっしゃるが、それは口頭で申し入れた、文書で申し入れた、それだけでしょう。閣議で取り上げられたから云々ということだけですか。今までの説明が、出たら云々、まだ出ておりませんから云々ということだから、出たのだから、そこであの当時覆われてきた、この不均衡を是正すべきなんらかの措置がとらるべきだ、こういうことを言ってこられたから、現在においてどういう措置をおとりになるか。
  94. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 出たから不均衡と仰せられておりますけれども、一時金が五現業三公社に出たこと即不均衡とはこれはちょっと考えられないように思います。これは法律的にいろいろ説明があるだろうと思います。
  95. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 説明があるとおっしゃるけれども、なるほど一時金については、あなたは最初のこの文書は一時金だけについてと、おっしゃるけれども、一時金を含んで給与についてここに不均衡が出てきているということは、あなたの方からもここにお示しになっているじゃありませんか。しかも、とにかく三月十七日の予算委員会では特に一時金について、差しあたり一時金について不均衡がないように措置をせらるべきものと確信をする、こう言っておられる。ここでは、三月十七日の予算委員会のあれでは、それは業績手当であるから、政府が業績手当というから、それについてはもう私の方はノー・タッチだ、あるいはどうもしようがない、こういうことは言っておらんじゃないか。この文書の趣旨説明してこういう答弁をしておられる。間違いないでしょう、速記録は。もう一ぺん読みますよ。「一般職に公務員についても均衡を保った措置がなさるべきものだと、私は確信をいたしておる次第であります。ことにさしずめ問題になります一時金の措置については、特にさように考えております」、あなたの明確な答弁だ。それをどうされるかというのです。
  96. 淺井清

    政府委員(淺井清君) それは私ここで今申し述べているとと少しも矛盾してかいように思います。それはつまりもしも不均衡が出た場合は、政府において一般職についても均衡を保った措置がなされるものと確信する、かような意味であります。
  97. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 確信をする――しかし人事院としてやることばすでにやったけれども、口頭で申し入れた、あるいは文書で申し入れたけれども閣議が取り上げなかった。そこで仕方がない、こう言われるのですか。
  98. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 卒直に申せばさようになると思いますけれども、人事院としてやるべき力の限界はあるように思います。人事一院としては一般公務員のためにやれることはやったつもりでおります。
  99. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私はやったつもりでおりますと――三月十七日予算委員会であれだけ言い切られました人事院総裁が、これは私が申し上げるまでもなく、罷業権なりあるいは団交権のかわりとして人事院がおられる。しかもその責を当時は十分私は自覚しておられたと思います。あるいは文書を出されるときについてもそうだと思う。それは閣議にかかるところまで持っていったから、それだけのことはしたと、こうおっしゃられるかもしれないけれども、しかし衆議院の内閣委員会における答弁等をみておりますと、これは政府と言われるけれども、労働大臣の横で答弁を黙って聞いておられた、あるいは追随されたようにしか私には思えない。それでするだけのことをしたから、それで閣議で取り上げてやらぬというのですから云々ということでは、私はあまり公務員がかわいそうだと思う。あなたは人事院の責を十分果すものではねいと私は思うのです。そこで先ほどこれからどうされるかというお話も出ておりましたけれども、それは年度はなるほど終りました。年度は終りましたけれども、かりに人事院総裁があるいは文書を出し、あるいは予算委員会で述べられたほどの責任観念と、それから使命感が私はおありになるならば、取り上げて、閣議で問題になったけれどもこうなった、しかし自分には、人事院にはこれだけの権限が残っておる、こういう態度が私はあるはずだ。あるいは国会なら国会に訴えられるだけの権限も責任もあるでしょう。あるいは七月十何日ですか、その報告の期間も近かづいて参りましたが、私はするだけのことはした、あとはもうしょうがございません、政治的な力の限界が参りましたということでなくて、少くともこういうことをしたいという私は発言があってしかるべきだと思う。
  100. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 率直に伺いますが、吉田さんは人事院に何をせよと仰せられるのですか。
  101. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 国会に対する態度もございましょう。あるいはこの連関の給与報告についても方法がございましょうが、そういう点について人事院総裁としては、今残された方法について、どういうお覚悟と所信とを持っておるかということを伺っておる。
  102. 淺井清

    政府委員(淺井清君) それは御趣旨を尊重して善処したいと思います。
  103. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 御趣旨を尊重して善処したいと、そういうとにかく抽象的な言葉で私は満足をいたしません。先ほど来、これは多少失礼にあたったのかもしれませんけれども、私は人事院総裁には文書を出し、あるいは文書が、千葉君の要請があれば、あるいは参議院の要請があれば、国会の要請があれば出すだけの私は良心が私はあるだろうと思う。手荒な方法で要求しなければならぬと言われれば、やはり出して、出して人事院の使命が、あるいは文書によって要望せられたものが世論を背景にして前進することを求められるような、私は良心がおありになると思う。あるいは三月十七日なら三月十七日の予算委員会の言明でも私はそうだと思う。これはあなたの人事院総裁としての使命の現われた面だと私は思うのですが、もう一つは弱い面がある。先ほど何をせよとおっしゃるか、あるいは政治の限界があるとおっしゃるが、しかし、方法は法上与えられておる方法が、あるいは罷業権、団交権を失った公務員のためにやら広ければならぬ、あなたはやり得る権限をお持ちだから、それを十分御発揮になるというならば、あるいは国会に対してあるいは政府に対しても方法があるでしょう、次の……。善処するというのじゃなくて、この一時金の問題について、指摘されました人事院としても気がついているはずです。一時金の問題についてもあるいは給与全般についても、罷業権、団交権を持たぬがゆえに起っているベースの上で、あるいは特別手当の面で不利になっている、これを救済すべき勧告権なり何なりお持ちであるが、それについてどうしようとされるか、あるいは決意と責任観念をどういう工合に今考えられているか、一つ承わりたい。
  104. 淺井清

    政府委員(淺井清君) もしも一時金の問題について人事院に勧告せよという仰せでございましたらば、そういう用意はございません。なお、将来給与全般についてどうするかということでございましたならば、それはよく研究しなければならぬ問題でございますから、ここで御趣旨は尊重いたしますが、はっきりと申しかねます。
  105. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 吉田君にちょっと申し上げますが、だいぶ時間がたっておりますが、もしたくさんおありであるなら次回にでも……。
  106. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それではもう一つお尋ねをいたしますが、三月十七日の発言やその他から考えあわせまして、一時金の点についても、それが業績手当であるか血いかということは、この段階ではいたしませんが、一時金を五千円なりあるいは二千五百円なり、プラス・アルファーがついておりますけれども、この表に表われてくるような一時金が支給されて、その面からも一般公務員との間に差ができておる、不均衡ができておるということをお認めになりますか。
  107. 淺井清

    政府委員(淺井清君) それが従来できている業績手当ならば直ちにそれを不均衡とは言いかねると思います。
  108. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 業績手当であるかないかはともかくとして、業績手当を含んで、あなたの表にもございますようなこの三十年度にプラスXと書いてありますが、三十年度にプラスXが加わるわけなんですが、それを含んで一般公務員との間に不均衡ができるとはお思いになりませんか。性質はとにかくとして。
  109. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 業績手当の制度というものは、これは三公社五現業にある制度であって、一般公務員には従来からないのでありますから、これは別のものであろうと思っております。
  110. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほど業績手当であるかないかという点はとにかくとして、一時金の問題についてあなたは答弁された。そうすると説明はとにかくとして、政府説明はとにかくとして、一時金としても支給されるならば、その支給せられたものが給与の総額の中に入ってこの表の四表に加わって、一般公務員の給与と比較をされる、こういうことになるでしょう。あなたはそういう意味でプラスXということを書いておられると思う。そうすると、もう支給されたわけですが、支給されたものによって、特別手当について一般公務員と三公社五現業との問に不均衡が出ないとおっしゃるのですか。
  111. 淺井清

    政府委員(淺井清君) それでさいぜん問題を二つにわけて申し上げたわけなんです。業績手当でありますればこれは不均衡と言い切れないでございましょう。しかしともかく団交権をもっている方の公務員が現実によくなったことは事実でありますから、団交権をもたない公務員はどうも割り切れないものが残っているであろう、かように申したのであります。
  112. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ですから、割り切れないものが残っておる、言いかえると不均衡が起っておる。名目は何であろうと、あるいは説明は何であろうと、それが特別手当の中に含まれて、三公社五現業に業績手当があるということは私も認めておる。この業績手当の名目にしろ特別手当を支給された結果があなたの方の表にこれにつけ加わって、一般公務員と三公社五現業との問にアンバランスが起った。これはこの前千葉さんからも質問をし指摘をしておりましたが、あなたもそれを認められておりますけれども、給与全部について、ベースそれから奨励手当ですか、期末手当、それからこういう業績手当等を含んでバランスをとってある。そうして本給の方においても、だんだん最初の昭和二十四年ごろ、この表を見ても、昭和二十四年ごろと現行との間には接近がおります。接近があって、たとえば業績手当なら業績手当は、三公社五現業小にあるから、そこでそれは給与の方で一般公務員が多くてもバランスがとれておるということは昔は言えたかも知れない。しかしこの表では言えない。ですから業績手当を含んで、あるいは一時金を含んで、一般公務員と三公社五現業との間にアンバランスができたということは、これはあなたの方の出された表からいっても一目瞭然であると私は思う。これは、その点はお認めになるだろうと思う。程度はともかくとして、数字を眺めてみればわかるでしょう。ですから一時金を含んで一般公務員とその他の間にできたアンバランスについて、人事院としてはそれを是正するように、あるいは勤労意欲を低下しないように、あるいは能率の阻害にならないように、万全の措置を講じたいというのは、これはあなたの答弁でなきゃならぬでしょう。おそらくその点は異議がないでしょう。異議がなければ、その点について、今後人事院総裁としては、あるいは人事院としては、勧告なりあるいは報告なり、その他の点について十分このアンバランスをカバーしたい、こういうことであろうと思うのですが、どうでしょう。
  113. 淺井清

    政府委員(淺井清君) もう一ぺん繰返しますけれども、業績手当というものは現在ずっと、過去からあったものでありますから、これが三公社五現業に払われたといって、別にアンバランスとは申しがたいと繰返し申しておるのであります。ただし現実に団交権を持ったものはよくなっておるのでありますから、どうも一般公務員の方が割り切れないものがある。だから率直に申せば、この際、政府において一般公務員についても何らかの処置をとられることが私は望ましかったと思います。しかしながらそれは二度も閣議を開いていただいたんだけれども、不幸にして実現しなかったのであります。だから人事院としてはこれ以上打つ手はないということを申しておるのであります。もしなおこの問題を切り下げて考えますれば、なお、三公社五現業の給与体系と一般公務員の給与体系との違っているところに、そういう問題が起ってくるんじゃないか、それじゃ将来どうすればいいだろうかということについては、人事院は、これは考えなきゃならぬ、かように申しておるのであります。
  114. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 政府が年度末において何らかの処置をすることが望ましかったと、それで了承いたしました。それをとにかく言われれば、そのために文書を出して、あるいは口頭で申し入れたと言われるのだろうと思うのですけれども、私はまあそれを望んで、先ほども申し上げたわけです。それはたとえ業績手当というけれども、なるほど黒字が出た、出たか出ないかは年度末じゃないからわからぬ、あるいは出るだろう、給与総額だけじゃなくて、その他からも、先ほど答弁が調査室長から申されておりますように、その他の経費も流用をして出しておる。従って売り上げがふえたからということよりも、弾力条項じゃありませんが、よけい時間働いた、こういうことで特別時間外給与のような性格をもったものもやっぱり出ている。従って政府なら政府としての一般公務員について超勤等の名目でも、これはやっぱり出すことが人事院としては私は望ましかったんだろうと思う。そういう点を、まあ望ましかったと言われたから、それで了承をいたしますが、それはそれでよろしいです、過去のことですから。三十年度末の点については了承をしますが、今後の人事院の態度については、これだけ質疑をやってきたんですから、もっと具体的に御答弁を願いたいと思います。
  115. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ただいまの段階において今申しました以上に具体的に申し上げる段階ではないと思います。
  116. 千葉信

    千葉信君 浅井さんに御質問を申し上げますが、何のかのという質疑応答が行われましたが、私は今回の人事院の通牒それから政府が行なった二回にわたる閣議の内容、これは少し食い違いがあると思うのです、その内容において。で、今政府としては何らかの措置をとることが望ましかったと総裁は言われたので、その点については吉田君は了とされたようですが、私は必ずしもこれは了とすることができない。どうしてかというと、かりに政府が今回調停に基いて一時金を出した、その一時金の内容たるものが、業績手当であろうとなかろうと、まあ政府の方は業績手当という釈明をしておる。業績手当であるという解釈をしておる。だから業績手当については一般職の職員は関係なしという態度で強引に押し切った。しかしこの問題は、そういう調停案に基く一時金の問題が、業績手当であるとかないとかという見解の相違について論議をしていても果てしがありませんから、私はこの問題は一応、われわれは業績手当の要素を持っている給与であるけれども、そうでない要素も持っている、こういう見解、政府はいやこれは業績手当だと、こういう見解で見解が分れておる。ですから私はこの問題については水掛論に終るおそれがあるから、一応この際敬遠する。しかしそういう業績手当、一時金を除いて、すでに今まで人事院の所管している一般職の職員の期末手当、この年末に支給された期末手当、それから現業職の職員、公共企業体の職員に支給された期末手当の中には、明らかに不均衡が生じている。その不均衡な状態に対しては、人事院は今回この通牒をもってひどいところは〇・四、一ヵ月分の一時金を除いて、現業の職員、公共企業体の職員の関係では〇・四ヵ月分の期末手当を一般職の職員よりも有利に支給されている、この事実は否定することができない。従ってこういう問題と、それからその見解の分れている期末手当の問題の業績手当であるかないかという、その問題と、私は一緒にすればするほど、不均衡は激しくなるし、切り離して一時金の問題は一応この際敬遠するとしても、従来起ってきたこの不均衡に対しては、人事院としては目をつぶるわけにはいかない、この問題については。それであるからこそ、人事院はこういう通牒を三月十三日に出されておる。これ以上の不均衡が生ずるようでは困るから、政府としては適切な措置を講じることを、人事院としては一時金を出してはいかんということは言っておらない、一時金を出せば、なおさらこういう不均衡が増大するばかりであるから、だから政府としては善処すべきであるという通牒が人事院から出ておる。ですから今一時金の問題について、たとえ見解が分れているとしても、人事院としては、こういう不均衡が生じたことに対して、一般職の職員の立場なり、みじめな状態に対して、人事院は無関心であってはならぬ。で、総裁はその通牒を、人事院としては打つべき手は一応打った、これは私は了解いたします。しかし人事院の立場としては、こういう不均衡があるのに、通牒を出したのでそれでよろしいということでは相済まぬ。私の申し上げたいのは、こういう通牒を出した、その成果を期待し、これを実現させるように努力することによって、初めて人事院はこの通牒に結実させ、同時にまた一般職の職員の不利益を救わなければならないという人事院の職責を初めて果したことになる。そういう意味からすると、通牒は出しました、はい打つべき手は打ちましたという答弁では、淺井さんの立場を、もう明確に淺井さんの職責を果したということにはならないと思う。ですから私は今後人事院としてはたとえば七月に予定されている報告を出す場合に、勧告を行う、給与についての勧告を行うという問題もあるでしょう。それから定期昇給の問題を規定通り行えという強い態度を人事院が表明するという態度もあるでしょう。同時にこういう今湧き起っている不均衡に対して、やはり人事院としてはこの通牒の趣旨に基いて閣議で二回にわたって決定されておりますけれども、実は去年の十二月に支給された期末手当の支給の場合にも、それから同時に今回の通牒の内容についても……十二月に政府は取り違えて片方は〇・二五以上多く出しておる、片方は、一・五ヵ月分という公務員の人事院が出した勧告につられて、一・二五を出してしかるべき現業公共企業体をぞろっと下五出しておる。これは政府の連中が無能で内容を知らないからです。全然チンプンカンプンで政治が行われているということなんです。そういう連中だから今回の人事院の通牒の内容とするところ、趣旨とするところ、人事院の主張をしているところも全然了解してないのです、この連中は。委員会における質疑ではっきりしております。担当大臣もそうです。ですからそういう間違った考え方で、でたらめな考え、チンプンカンプンな頭ででっち上げた、それに対して淺井総裁は、それを是正させるという努力をしなければならない。そういう誤まった考えの問題を解決しなければならぬ。そういう頭で解決するから、こういう一般職の職員に対してはみじめな結論が出ておる。一般職の職員ばかりではありません。その他の行政官庁における、立法府の職員もそうです、影響が起っています。地方公務員の場合でもそうです。教職員の場合もそうです。そういう非常に広範な気の毒な人たちがたくさんいる。ですから、まあ淺井さんの所管する一般職の職員の問題を解決することが、そういう人たちの利益を守ってやるということに続くのですから、淺井さんのところで通牒の主旨とするところを十分説明して、同時にそういう間違った考え方の上に立って解決された十二月の期末手当の支給の問題から揺曳している不均衡、今回の一時手当の支給にからんで、またぞろ巻き起った不均衡に対して、人事院はこの通牒の趣旨の実現に努力するのでなければならぬ。通牒を出したのだから、もう私どもの打つべき手は打ちましたということでは、私どもはこれは物足らない、私は。ですからこれは今日でもなお淺井さんは、この問題の適正な解決のために努力をされるという、あなたの立場ではそういう職責が当然問題になってくる。ですから私はあなたの肩に全部かけるというわけではありませんけれども国会でも、私どもとしては、こういう問題の合理的な解決のために、問題を取り上げて真剣に審議しますけれども、あなたはあなたの立場で、もうおれは通牒を出しているのだから、あとはいいという、そういう答弁ではいけないのです。やはり今後も七月に勧告を出すならば、その間の問題も含んで、この一時金の問題、期末手当の問題についての適正な今回の政府のでき得る程度措置、まあ今その問題については超過勤務手当という話も出ましたが、私はやろうと思えば政府としてはやる手がないわけではないのだから、まあそういう点については、淺井さんの方から事こまかに内容も教えて、方法も教えて、そうしてこの問題の合理的な解決――完全な解決は期待できないかもしらんけれども、何らかの解決の方向へ淺井さんも私はやはり努力をされる必要があると思う。そういう点で一つ御努力を私は期待します。
  117. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 千葉さんのことはよく私はわかるのであります。打つべき手は打ったというのは、今回の一時金のことだけについて申したので、あるいは期末手当の問題とか、その他いろいろな問題については、何も申しておらないのであります。この点について御趣旨を尊重して善処したいと思います。
  118. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これは善処したいということは、それだけでは参りますまいが、私はこういう質問をしておって、人事院ができた当時のことを考えるのですが、あれは増田官房長官のときには、これはもう人事院ができておったと思うのですけれども、こういう問題についても、たとえば国鉄なら国鉄がこうなったら、一般公務員についても考えなければならないという、政府自身からやはりこれは均衡をとる措置をやはりしておった。長くなりますと、団体交渉あるいは罷業権を奪われて、人事院の権威ということはだんだん薄くなってくる、それを非常に残念に思うのです。従って今の努力を人事院でも願わなければなりませんが、一応この内閣に調査室もできたことなんで、おいでを願っておりますので、調査室長からも一つ今の点について、不均衡あるいは不均衡是正について努力せられるかどうか、一つ答弁を、せっかく来ていただいているのですから、言明を願っておきたい。
  119. 大山正

    政府委員(大山正君) ただいまお話のありました不均衡を認めるかどうか、どうするかという点につきましては、現実に支給された金額の差があるのではないかという意味と、不均衡とおっしゃる点につきましては、全く現実に金額の差がありますことは認めざるを得ないと思います。ただこれを直ちに不均衡を是正して、均衡をはかるべき性質のものかどうかということにつきましては、先ほど来お答え申し上げましたような考え方からいたしまして、現在直ちにこれの均衡をはかるべき性質のものというふうには、考えておらないのであります。ただしかしながら、こういうふうな問題が起りますことば、先ほど来人事院総裁の御答弁にもありましたように、三公社五現業と、それから一般職員との給与の制度の差に基くものでありまして、この問題はさらに検討しなければならない問題かと思っております。  なお今後、将来の給与の問題について、どう考えるかという御質問かと存じますが、せっかく人事院におかれまして、いろいろ調査研究をしているようなことになっておりますので、またその結論に基いて、政府としても今後検討するということであろうと承知いたしております。
  120. 千葉信

    千葉信君 関連して、そういう問題について聞く方も無理だけれども、大山君もそういう場合には、余計な下手な答弁をしないで、私はどう考えても、閣議でこう決定した以上、それに従わざるを得ません、ですからこれをどうするこうするということは、その人を呼んで聞いて下さい、こう言いなさい、あなたが変な結論を出しちゃいかん。
  121. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) この問題に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会