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政府委員(
岡部史郎君) 前回の
委員会には直接出席いたしませんでしたが、御
質問の御
趣旨は承わっておりましたので、私の理解する
範囲におきまして、
お尋ねに対して
お答えを申し上げたいと思います。
私が承わっております御
質問の御
趣旨は、
総理庁の
外局たる庁には、その
内部部局として部を置くことが
行政組織法において定められているのに、
科学技術庁においてその
内部部局として局を設けるということは
組織法違反の疑いがあるのではないかという御
趣旨のように承わりましたが、それで間違いがございませんければ、その点につきまして
お答え申し上げます。
これは非常に重要な
お尋ねであると思いますので、根本的な態度について申し上げますと、
国家行政組織法と申しますのは、国の
行政組織の
基準を定める
法律でございます。そうしてまた
行政管理庁といたしましては、この
基準を順守する
責任のある官庁であることは申すまでもございません。従いまして、私
どもといたしましては、この国の
行政組織が
国家行政組織法の定める
基準によって制定されて行くように微力を尽している次第でございます。それと同時に、国の
行政というものは生々躍動し、発展して行くものでございますから、そのときどきの必要に応じまして、
行政機関の形態、
内容も同時に発展して行かなければならない。それに応ずるように、また
行政組織法の
基準も合理的に検討いたしまして、もしも変える必要があるならば、なるべく
実態に沿うた
基準であるようにこれを検討して行くことも私
どもの義務であると存じております。そういう根本的な立場から
お答え申し上げる次第でございます。従いまして、あくまで現在の
行政組織法をその求ますなおに順守して行きますならば、各府、省の
外局である庁には、その
内部部局として部を置くことが当然でございます。ただ、それでは
法律の
建前がそれに対して例外を許さない、あるいは部以外のものを置くことを禁止しているものであるかということが第一点の問題になります。それから第二点の問題として、現在新たに出て参ります
総理府の
外局としての庁に
内部部局として局を置くことが必要であるかどうか。必要と認める場合に、それを認める道がないかということが第三の問題になろうかと思うのであります。
それで第一の問題について申し上げますと、
行政組織法の七条の第一項には、各府、省には
内部部局として
官房、局、課を置く、こうなっております。読み上げてみますと、条文上はっきり、第七条の第一項といたしまして、
府及び省には、その
所掌事務を遂行するため、左に掲げる
内部部局を置く。
官房
局
課
とはっきりうたっております。次に、第二項におきましては
庁には、その
所掌事務を遂行するため、左に掲げる
内部部局を置くことができる。
これはすなわち庁の方には「できる」ということで若干ゆとりが認めてございます。すなわち庁には
官房、部、課を置くことができる、こういうように
規定してございます。それに基きまして、その庁の大小によりまして、ある場合には部も置かないものがございます。現に
北海道開発庁のごときは部を置いてございません。それから部を置くことができると書いてありまするので、それでは部課以外のものを禁止しているかという
趣旨でございますが、これは必ずしも禁止しているのではない、特に必要があります場合には
基準法には従うけれ
ども、同じ
法律として、
国会の議決によりましてその特例法を認めることがでるんじゃないかという
建前で従来参っております。その実例といたしましては、すでに御
審議いただいて制定しております防衛庁設置法がございます。防衛庁設置法ではその第十条で、防衛庁には防衛局、教育局、人事局、経理局、装備局という五局を置いておりますし、なお過去におきましては、引揚援護庁には援護局と復員局というものを置いたことがございました。そういうような事情で、
法律的には、
法律をもってすれば特例として置いても差しつかえないということが
政府部内の公けの解釈となっております。それが第二点の
法律問題。それでは第三点に、庁に局を置くことが望ましいかどうかという問題でございます。この場合におきまして、組織法は割合窮屈な
基準を設けております。あるいは画一的な
基準を設けていると申し上げてもよろしいかと思いますが、すなわち府及び省の
外局としては庁を置くということがございまして、
総理府におきまして
国務大臣を長官とする省にも準ずべき大きな庁も、あるいは各省の比較的
行政事務のまとまったものとして内局と区別して置く庁にも、同じように一律に
外局制度を適用いたしまして、その間に区別がございません。従いまして、
総理府の
国務大臣を長とする庁、すなわち防衛庁でありますとか、経済企画庁でありますとか、
行政管理庁のような庁におきましての
部長クラスというものと、それから各省の局長クラスというものと、その
職務内容におきましては変りがない。従いまして、具体的に例を申し上げますと、経済企画庁のごときところにおきまして、その
部長には各省の局長級との交流をするというような必要が起るのでありますが、これは今の職階制の運用におきまして、とかく局長の方が
部長よりも
給与がいいというような
関係で人事交流が非常に困難になってくる。今度の
科学技術庁のような場合におきましても、各省の局長あるいはそれ以上のクラスのものを
内部部局の
部長として打って行きたい。そして盛んに各省と交流をしたいというような場合におきまして、これを
部長のままにしておくということはきわめてその運用上支障を来たすので、これは何とか局長にしたいということが
行政審議会
委員の一致した要請に基く答申でもありますし、
関係省におきましても、そういう強い要望があるわけであります。そういうような
趣旨に基きまして、自由民主党における政策
審議会の場合におきましても、そういう
趣旨におきまして、特に特例として局を認めたというような形でございますので、このたびの
科学技術庁設置法案におきまして、部にかえまして局を設けるということは、現在の
行政組織法の
建前及び
行政運営の
実情から見まして、特例と考えました場合においてはこれは差しつかえないことである、こう考えております。