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1956-03-16 第24回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十六日(金曜日)    午後一時三十三分開会     —————————————   委員の異動 三月十五日委員吉田法晴君辞任につ き、その補欠として藤原道子君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小柳 牧衞君    理事            野本 品吉君            千葉  信君            島村 軍次君    委員            井上 知治君            植竹 春彦君            苫米地義三君            中山 壽彦君            田畑 金光君            高瀬荘太郎君            廣瀬 久忠君            堀  眞琴君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総局    給与局長    瀧木 忠男君    内閣総理大臣官    房審議室長   賀屋 正雄君    科学技術行政協    議会事務局長  鈴江 康平君    経済企画政務次    官       齋藤 憲三君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    総理府事務官    (内閣総理大臣    官房審議室)  佐治  大君   参考人    経済団体連合会    産業技術委員会    委員長     池田亀三郎君    日本学術会議    会長      茅  誠司君    東京大学教授  杉村章三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○科学技術庁設置法案内閣提出、衆  議院送付) ○国家公務員制度及び恩給に関する調  査の件(公務員の給与問題に関する  件)     —————————————
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいまから委員会を開会いたします。  委員の変更について御通知いたします。三月十五日、吉田法晴君が辞任しまして、藤原道子君が補欠になりました。  以上であります。     —————————————
  3. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 科学技術庁設置法案を議題といたしましす。  まず、本日は参考人方々から本案に対する御意見を聴取するわけでございますが、参考人方々にはお忙しい中をわざわざ御出席下さいまして、まことにありがとうございました。簡単ながら一言ごあいさつ申し上げます。  それでは、まず池田亀三郎さんにお願いいたします。
  4. 池田亀三郎

    参考人池田亀三郎君) 今御指名を受けた池田亀三郎でございますが、私はこの科学技術振興につきましては、経団連産業技術委員長をいたしましたし、五年ほど前も産業科学技術振興協議会という経団連外郭団体を作りまして、そのときは超党派的ということで、衆議院議長会長になっていただきまして、なお参議院の副議長学術会議会長に副会長になっていただきまして、私が常任委員長を勤めたこともあります。  大体この問題につきましては、第六国会か、第七国会かと思っておりますが、衆議院でも参議院でも振興決議がありまして、ことに参議院におきましては、法律及び予算の異づけもしまして振興しなくちゃならぬという決議があったように記憶いたしております。ところが、そうあったのですが、その後も非常に活発にこれが振興をはかられたとは思っておりません。たまたま経団連でも、今、世界情勢その他から見ましても、どうしても日本のような人口の多い、資源の乏しい国にありましては、この際画期的に技術振興をはからなければ、とうてい外国と裸で戦っていくことはできない。ことに最近のように、だんだん貿易自由化になり、通貨の交換が自由になるということになりますと、ほんとうにこれは実力で貿易の伸張をはからなければならぬというような状態に来ておると思うのでありまして、特に科学技術振興につきましては、経団連方同等でも力を入れたいという希望をみな持ったわけであります。たまたま昨年の十月の初めと思いますが、その前の議会でこの問題が取り上げられまして、一審会期の終りごろに、衆議院の方の商工委員会だと思いますが、そこで官房長官が出られまして、この次の国会には必ず科学技術庁の問題を取り上げますということを速記録でも拝見いたしたのであります。そういう面もあったかと思いますが、昨年の十月の初めだったと思いますが、行政管理庁に科学技術振興に関する行政審議会ができまして、そこで前の国会政府が約束されました科学技術庁設置につきましての諮問があったのであります。そこでそれにつきましての答申をたしか十一月の初めに出したと記憶しておりますが、その当時にたまたま衆議院の方でも超党派的な合同委員会でこの問題が取り上げられまして、いろいろな法律案まで非常にこまかいものもでき上ったように承知いたしております。そこでその審議会におきましても、私どもは一応結論を得る段階になりましたが、最後にもう一度合同委員会方たちと私ども審議会のものと一緒になって協議会を開きたい、私はそういうふうに考えておったのであります。そういたしますと、私どもの線が弱い線でありまして、合同委員会案はもっと私どもよりも強い線が出ておりました。多分話し合いができますれば、おそらくそれより、中間的な結論になるのではなかろうか、こう考えておったのでございます。そう運びますと、閣議決定にも、あるいは国会に出ました上でも、割合にスムーズに運ぶ段取りになるのではないかというふうに私どもは心ひそかに希望しておったのでありまするけれども、その運びになりませんで、一応答申は出されたと思います。そこで今度衆議院を通世いたしました、きのう私ちょうだいしたのでございますけれども法律案を見ますと、私ども行政審議会で出しました線よりはかなり低い線で出ておるようでございます。その点からいたしますと、私個人といたしましては相当遺憾の点もあるのであります。大体から申し上げますと、予算等も、きのうもらいました資料によりますと、非常に貧弱なものでありまして、たとえば航空技術研究所でございますが、これはずいぶん長い間私も航空技術審議会関係しておりましたが、わずかに一億という金額になっておるようでございます。これば私は少くともこの十倍の十億ぐらいは、今の世界情勢とわが国の情勢からいたしまして必要じゃないか、こうも思います。  それからもう一つは、金属材料研究所ということになっておりますが、これは私ども金属というよりは、もっと広く材料研究所というものを希望いたしたのであります。それは御承知通り、ただ金属材料としましては、たとえば原子力関係につきましても、あるいは航空関係につきましても、その方面でも最近では金属にかわるというよりは、別個な、たとえば合成樹脂等材料、そのほか原子炉にしましても、カーボンとか、そのほかいろいろな材料があるわけでございまして、これは金属の字がどうして入ったのか私は承知いたしませんけれども、これは当然一般材料研究所とあるべきだと思います。それもやはり一億円程度の予算でございますが、これはやはり三倍ぐらいの三億ぐらいは初年度でも必要じゃないか、こんなふうに思います。そのほか人員も、このために当初からできるだけ増員はしないという趣旨もよくわかりますけれども、わずかにただ七人で一千万円の予算しかないように思います。こういう辺で、初めから申し上げたように、私ども予定しました、今、国家の要望せられる技術振興の面からいいましても、いかにも弱い線が出てきたことは私ども審議会委員としましても潰憾に存ずる次第でございます。  なお、法案を拝見しましたところで、ごく大ざっぱに私の感じた点を申し上げたいのでございますが、第四条の十二のところに、「関係行政機関科学技術に関する事務総合調整を行うこと。」とございますが、私はこれにさらに基本的な政策及び事務総合調整を行うというふうにあった方が好ましくはないかと存じております。それから十五でございますが、「前号に掲げるもののほか、科学技術に関し、多数部門協力を要する総合的試験研究及び各種研究に共通する基礎的試験研究」とございますけれども、これも、「多数部門協力を要する」じゃなくて、関係のある総合的な試験研究と、こうあってはどうかと存じます。その次の「各種研究に共通する基礎的試験研究」でございますけれども、必ずしも基礎的でなくても、その一般的な試験研究についても助成を行うということであってはどうかと考えます。  それから第五条でございますが、「科学技術庁に、長官官房及び次の四局を置く。」ということになっております。その最後調査普及局の中に、これは日本が非常に遅れていると思うのでございますが、ここに規格標準部とでもいいますか、そういうものがあっていいんじゃないだろうか、こう考えます。(廣瀬久忠君「今のところ何ですか」と述ぶ)第五条に「科学技術庁に、長官官房及び次の四局を置く。」というところでございまして、一番最後調査普及局となっております。その中に規格標準部、こういうものを扱うようにしていただいたらどうか、こう考えます。  それから第六条の九でございますが、「科学技術に関する制度一般企画及び立案に関すること。」とございますが、これは閣議決定科学技術庁設置要綱の三だと思いますが、これには「試験研究機関検討」というところに、「中央、地方を通じて、試験研究機関のあり方及び所属については、科学技術庁の発足後根本的に再検討を加えるものとする。」、こういうふうにございますが、私はかつて行政監察事務をいたしまして、この付属機関付置機関等につきまして担当いたしまして、かなり広く監察する機会を持ちました。これはただ国立だけではございませんで、公立のもの、たとえば大阪でいいますと、大阪市、府、それから国の研究所等がございますが、あれを見ましても、果してああいう市、府、国と、別個にあっていいものかどうかということにつきましては、かつてから問題に思っておりました。それでこれは国立だけではなくて、さらに公立のものまで考える必要があるのではないか、そういたしますと、制度一般企画及び試験研究所の再編とでも申しますか、そういうふうな立案に関するというふうにあってほしい、こんなふうに考えるのであります。そこで大体科学技術振興には、国の財政関係からも、先ほど申しましたような、ここに画期的な予算をとることはむずかしいかと思いますけれども、中身は相当重複しましたりいたしまして、これを調整して参りますれば、相当その面からも、経費の節約ができる面で効果があるのではないかというふうにも考えておるのでございます。  それからその次の「(企画調整局事務)」でございますが、この中の第七条の六に、先ほど申し上げましたが、「航空技術研究所及び金属材料技術研究所に関すること。」とございますが、これは私ども航空技術審議会でもいろいろ論議がございまして、日本で一番遅れているのは大体材料研究が遅れておるのでございます。何といっても、各般の産業に関する基礎でございますので、これは金属という字を取りまして、一般材料技術研究所に関することと、こうありたいと思います。  それからその次の第八条の「原子力局においては、次の事務をつかさどる。」とございますが、そこの一に、「原子力利用大学における研究に係るものを除く。)」と書いてあります。けっこうでございますけれども、これは今度の原子力研究所におきましても、相当基礎的な研究が必要ではないだろうか、おそらくここに書きましたのは、大学における基礎的研究にかかるものという意味ではないかと、こう思いますが、やはりこれは何かの連絡をとりますならば、ちょっと私は大学における研究ということははっきりいたしませんけれども、その間に相当調整連絡をとる必要があるのではないかと考えます。  それから八条の三でございますが、一番しまいおところに、「その他これらに類する経費の見積の方針調整に関すること。」とございますが、これはやはり私ども審議会のときもそうだったのでございますが、調整並びにこれらの経費の配分になりますか、調整計画といいますか、こんなふうにあった方がいいのではないかと思います。  それから十ページの「(調査普及局事務)」、第十条、その中に、先ほどちょっと標準部のことを申し上げましたが、ここにさっき申しました規格標準部、こういう機関があっていいのではないか、こう思った次第であります。  その次は、十三ページ、第十四条にありますが、その3のところに、ここにも「金属材料技術研究所」とございますが、これは先ほど申しましたように、金属の字を削り、材料技術研究所とあった方がいいかと思います。そのほか十六条にも同じ字が出ておりますが、そのほか金属の字がところどころ出ておりますけれども、これは全部削られていいんじゃないかと思います。  大体法文につきまして、十分検討はいたしませんでしたが、一応拝見したところ、そんな点に気づいたわけでございます。
  5. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 参考人に対する質疑は、参考人意見全部が終了したのちに一括してお願いすることにいたします。  次は、茅誠司さんにお願いいたします。
  6. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 私は日本学術会議会長をしております茅誠司でございます。この科学技術庁の問題につきましては、日本学術会議は相当深い関心を持っておりますので、その点についてのことを少し申し上げさしていただきたいと思います。  学術会議ができます前に、日本学術体制をどのようにしたらよろしいかということを審議する委員会としまして、昭和二十二年の夏から、昭和二十三年の四月にかけまして、学術体制刷新委員会というものができまして、これは百八名の委員からなっておりますが、地域的にも専門的にもことごとく網羅しておったものであります。この学術体制刷新委員会におきまして、どういう学術体制がよろしいかということを議論いたしましたときに、科学技術行政を行う責任官庁として科学庁というものを作るべきである。そうして学術会議はその審議機関として存在する。つまり科学技術行政に関する責任官庁と、それから学者代表機関であって、その諮問機関であるところの学術会議とが並立して、そうして勧告をし、また諮問をし、その間に切磋琢磨して日本科学技術というものを振興させて行こう、そういう考えの案が出たのであります。相当有力な案でありまして、ずいぶん議論したのでありますが、最後におきまして、御承知科学技術行政協議会というものができて、科学庁というものは実現しなかったのであります。科学技術行政協議会と申しますのは、その当時考えました科学庁というものとは非常に性格が違っておりまして、口を悪く申しますと、ただ郵便配達にすぎないのでありまして、学術会議の方で何か勧告がございますと、その勧告政府に伝達する、また、政府の方から諮問事項がありますと、それを学術会議に伝達するといったようなことがおもな目標でありまして、そういう意味でまあ郵便配達にすぎない。問題があった場合に、これはぜひ取り上げて学術会議等でも審議しなければならないということがありましても、自発的にその問題を取り上げる権能を持っていないのが現在の科学技術行政協議会であります。これではどうも困るというのが、その後学術会議運営して行くにつれまして議論が高まって参りまして、科学技術行政協議会略称STACと申しますが、STAC強化ということが盛んに叫ばれたんであります。そして、このSTAC権能といたしまして企画立案をする、科学技術に関する企画立案をするということを入れたらどうかということも、ずいぶん論議されたんでありますが、それではSTACの性質を本質的に変えてしまうものであって強化にはならない、別のものを作ると同じことになるということになったのであります。この科学技術庁の問題は、議会におきましてもずいぶん長く、ただいま池田さんのお話しにありましたように論議されてきまして、それに伴って、学術会議におきましても、いろいろと論議したのでありますが、学術会議としてまとまった意見をついに出すことができなかったのであります。と申しますのは、たれしもわかることでありますが、こういう責任官庁を置きまして、日本科学技術を画期的に振興させるということの必要は痛感しておりますけれども、しかし場合によっては、その運営を誤まったときには、統制的になる傾向がありはしないか、そうして学問自主性をそこなうということが懸念されるという点に心配を持つ人も相当ありました。ことに自然科学方面よりも人文科学方面の方にそういう心配を持つ方が多かったのであります。それと、いま一つは、特定産業部門に結びついた特定方面に力を入れるのあまりに、他の部門がネグレクトされやすい、つまり学問全般の健全な発達を果してそれで保障できるであろうかという点にいろいろと懸念がございまして、何しろ会議体でございましたので、なかなかまとまった意見を出すことができず、従って学術会議の態度が煮え切らないものであったことはたしかなんであります。昨年の秋になりまして、この科学技術庁案が相当具体的になって参りましたので学術会議としても種々論議を重ねました結果、政府申し入れをいたしました。それを御参考のために読み上げたいと思います。昨年の十月三十一日の日付でございます。学術会議会長の名前で内閣総理大臣あてに出しました申し入れであります。    科学技術庁設置について   日本学術会議は、科学技術庁の設  置について、その構想の発案の当初  から、このような機関の成立は万一  その設置方針が適正を欠く場合に  は、科学技術の行き過ぎた統制に陥  り、また、ともすれば特定部門の推  進を図るのあまり、他の諸部門を圧  迫するおそれもあるとして、この問  題に重大な関心を寄せてきました。   ところが、現在その設置が具体的  に進められていると聞くので、この  問題に関する従来の経緯にかんが  み、この際改めて日本学術会議の意  見を徴されることを希望します。   さらに、日本学術会議はこの問題  について上述の懸念を持つほか、な  お当面下記のように考えるので、こ  こに本会議第二〇回総会の議により  上記の希望を付して申し入れます。    記  一、このような機関の任務は、科学   技術行政に関する基本的な企画立   案、総合調整に止めるべきこと。  二、原子力に関する行政はその性格   上からみて、他の科学技術行政か   ら切り離すべきこと。  こういう申し入れをいたしました。これに対しまして政府からは、形の上において学術会議諮問するという形ではありませんでしたけれども、におきましては、この案が審議されておる途中におきまして、学術会議等から意見を申し述べる機会がたびたびございました。そうしてこのような案にわれわれの意見も十分入れていただいたのであります。こういうようなわけでありますが、原子力行政が現在の科学技術庁の案の中には全部盛られておりますが、この点に関しまして、学術会議は、この申し入れを行なった当初におきましては、原子力局の取り扱う範囲が非常に広範である、ことに人文科学方面経済方面の問題をも十分考慮しなければならないという立場から、科学技術庁範囲よりも広過ぎるという意味において、これは別個にすべきものであるという考えを持っておりましたけれども、しかしながら、それはこの中に含まれたとしても大して故障の起るものではないと私も考えます。でありますから、これについては、申し入ればいたしてございますが、われわれ大きな異議を申し立てるものではございません。ただ、その運営が広く運営されればそれでいいわけでございます。そういうような事情で今まで学術会議は参ったのでありますが、私今度の法律案を拝見いたしまして、また衆議院においてそれが修正された点を拝見いたしまして、大へんけっこうだと思うのであります。その点につきまして少し意見を申し述べさしていただきたいと思います。  第一の点は、大学における研究をその行政の対象から除外するという問題でありますが、この問題につきましては、ずいぶん議論もございますし、ただいま池田亀三郎氏もその点について意見を開陳されたのでありますが、大学研究基礎的なものが非常に多いのでありまして、基礎的な研究は自主的に行わなければならないという立場から、一応この行政から切り離していただくようにわれわれも意見を申し述べたのであります。この問題は原子力の問題についても同じでございまして、かつてこの席に伺いまして矢内原東大総長——東大総長じゃございません。大学教授連合立場だったと思いますが、それと学術会議会長という立場でここに参りまして意見を申し述べました。しかしこの大学における原子力の問題並びにこの科学技術に関する一般行政から大学研究を除外するという問題は、相当むずかしい問題でありまして、ただいま池田さんのおっしゃいましたのはまことに至当であると私も思うのでありまして、ただ問題は、こういう科学技術庁もしくは原子力局というものと大掌とのつながりが、その自主性をそこねないようにするということであるならば、私どもはもちろんその間に適当の連絡があるべきことを確信するのでありまして、こういうことになっておりますけれども運営して参りました上でいろいろな不都合が起ってくることがあると思います。現に私ども承知しておるところでは、原子力局等におきまして相当問題が起っておるようでありまして、やはりこの間には適当なつながりを持って、そうして基礎科学自主性を尊重されると同時に、全体と関連を保って推進さるべきものと私は考えます。この点につきましては、われわれもよく研究いたしまして、どういう関係に立つべきかということを研究する予定でおりますが、これはなかなかデリケートな問題でございまして、すぐにここでどうしたらよろしいかということを皆さんに申し上げることはできない状態でございます。  それから特に科学技術庁に対して私どもの期待いたしたいと存じますことは、学術会議との運営をなめらかにしていただきたいということであります。つまり学術会議というものは学者代表機関として設立されましたが、同時に科学行政に対する一つ審議機関でございますので、審議機関としてのお役目が十分に果せますようにこちらからも意見を出しますが、同町に諮問すべきことは諮問し、お互いに切磋琢磨してその役目を果すということが望ましいと思います。科学技術行政協議会は、この科学技術庁ができまするというと解消する、廃止されるわけでございますが、その機能はこの科学技術庁の中に十分含まれておるようでございます。ことに七ページの第七条第五項、「科学技術に関し、日本学術会議への諮問及び日本学術会議答申又は勧告に関すること。」というのに対しまして、「科学技術」を消すという修正案になっておりますが、私もこれは大へん賛成でございまして、学術会議への諮問及び答申等が広い面において行われる、ただ単に狭い意味科学技術に限定しないで行われるということは、大へん今までの運営から見ましてもけっこうなことであると思います。また七ページの第十九条でありますが、この科学技術審議会というものの目的のところに、「日本学術会議への諮問及び日本学術会議答申又は勧告に関する事項」というのをその審議目的の中に追加することになっておりますが、修正案としてはそうなっておるようでございますが、それでその点が明確になって非常にけっこうだと思います。われわれは科学技術審議会の中に適当な機構ができまして、その機構によって現在までSTACにおいて行われてきました事柄が全く円滑に行われることを希望しておるわけでございまするからして、それがここに加わったことは、われわれとして、はなはだけっこうなことだと思います。  この法律について詳しいことを申し上げるのは私はいたしませんが、特に池田さんがおっしゃいました点にかんがみて私も申し添えたいと思いますのは、金属材料技術研究所でありますが、私も池田さんと同じように材料技術研究所と改めた方が機能が活発になり、現在の研究段階においてけっこうだと思います。と申しますのは、基礎方面におきましては東北大学に金風材料研究所というのがございまして、これは世界でも有数なりっぱな金属材料研究所であります。で、その基礎的なものの上に産業に直結した応用面の材料研究所を置くということははなはだけっこうなことで、私はその設立に満腔の賛意を表するものでありますが、しかし先ほどもお話がありましたように、近来の材料は、ただ単に金属材料のみでなく非金属部門におきましても重要な材料がたくさん出て参りましたので、ぜひこれは金属の字を削除していただくことをお願い申し上げるものであります。  最後に、私は少しなまいきかもしれませんが、申し上げたいと思いますことは、この科学技術庁目的が、国民経済の自立、発展と生活水準の向上に役立たせるために科学技術振興をされるわけでございますので、そういう意味から、経済的な企画科学技術的な企画との間に緊密な連絡がなくてはならないということを思うものでありますが、この法律の面においてはその点がさらに明示してないように思います。やはり経済的な企画に立ってどういう産業にどういうことをわれわれは希望するかということがあり、その希望に基いて科学技術振興ということがされるわけでありまして、経済企画的な面とこの科学技術的な企画の面における連絡がどのようにされるかということが私どもの最も重要視するところでありまして、その点が現在どのように考えられておるかということを私ども存じておりませんので、その点についてこういう点が明確になればけっこうではないかと存じます。  私の陳述を終ります。
  7. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、杉村章三郎君。
  8. 杉村章三郎

    参考人杉村章三郎君) 東京大学教授の杉村です。  私が本膳にお招きを受けましたのは、おそらく行政審議会委員をしておりました関係で、その間の科学技術庁の問題についての従来の経緯というようなもの、あるいは法案の内容というものについて意見を聞きたいということであろうかと存じますが、この点は先ほど池田さん、茅さん、御両方から詳しく御説明がありましたが、結局科学技術庁の問題が起りましたのは、正式にこの審議会の問題になりましたのは昭和二十七年の第一次の行政審議会のときであったようであります。で、当時政界の一部で言われておりました科学技術庁設置問題につきまして、日本学術会議の代表者を招きまして、問題の経緯あるいは学術会議の意向を確めて問題を検討したことがあるのであります。しかしこの第一次の行政審議会においてはこの問題は答申にはなっておりません。その後国会方面におきまして、この科学技術庁設置するという運動が非常に強化されまして、超党派的な議員連盟というものが作られ、政府でも何らかの結論を出さなければならないという段階になりまして、第二次の行政審議会、これは第二次鳩山内閣のときでありましたが、このときに科学技術庁の問題が主として取り上げられまして、そうして先ほど池田さんがおっしゃいましたように、昨年の十一月の初旬に答申を行なった次第であります。なお、この問題は単に議員連盟の方々ばかりではなく、経団連を中心とした財界におきましても取り上げられておりましたことは、これは池田さんのおっしゃる通りであります。どういうわけで科学技術庁を特別に設置しなければならないか、これは申すまでもなく、戦時戦後にわたるわが国の科学の著しい後退というものをあとへ戻そうということ、それから、しかもまた貧弱な資源あるいは貧弱な国家予算というものを最も効率的に利用する、そのためには通産省を初めとしまして、運輸省、農林省、建設省その他にばらばらに行われておりますところの科学技術関係行政機関というものを、やはり統一して総合した方がいいのではないか、こういうような考え方が出てきたものと思われます。しかし当時におきます問題としましては、先ほどこれは茅会長からお話のありましたように、科学技術庁設置した結果として、時の政府の政策によって研究がまげられはしないかという点。それから第二点は、自然科学の保護という方に偏重を来たして、人文科学の奨励というような点がなおざりになりはしないか、こういうような点。それからさらに、各省の技術機関というものは、各省それぞれの業務の実体と結びついているのでありまして、これを切り離して一ところにまとめるというようなことは困難ではないか、こういうような点が問題になったわけであります。しかしながら一般の趨勢といいますか国会内の空気というものは、やはりこの科学技術庁設置の方向に向ったわけでありまして、それで先ほどの行政審議会におきましても、その線に沿うて答申を出したわけであります。この答申と、それから今提出されておりますところのこの法案というものを比較してみますと、先ほども池田さんのおっしゃいましたように、かなり後退した線が出ておるように考える次第であります。まあこまかい点は省きまして、一番大きな問題は、やはり科学技術庁科学技術関係予算についての総合調整をなすという権限を重視しなければならないのでありますが、この点答申では、科学技術関係の「予算に関する各省の見積の方針につき調整を行い、予算の要求は、各省みずから大蔵省に対して行う。」のであるけれども、「大蔵省は、右の予算査定に際しては科学技術庁意見を尊重するものとする。」こういう答申が出ておるわけであります。しかしこの点は調整を行うと、それから各省予算の要求は各省みずから大蔵省に対して行うということは認められておりますけれども、大蔵省はその予算の査定について、科学技術庁意見を尊重するという規定は入っておらないわけでありまして、この点がまあ一つの後退しておる点であろうかと思われます。  それから科学技術庁の権限の問題でありますが、これは大体において答申の線が出ておるのでありますが、すなわち技術庁は総理府の外局であり、長官は国務大臣をもって充てる。で、技術庁長官の権限としましては、要するに各省の科学技術についての調整権限というものが重要視されるわけでありまするから、関係行政庁長官に対して資料の提出なり説明を求めるという権能は与えられておるわけでありますし、また第二点としては、関係行政機関に対する勧告権を与え、まあ往々にしてそういう勧告というようなことは実際において行われないというのが通常でありますので、勧告に基いてどういう措置をとったかということについて、長官にその措置を報告をしなければならぬ、そういう義務を課しておるのであります。この点は大体答申と同様であろうかと思います。  ここに一つこの法案で特色のあるのは、科学技術庁長官の権限の一つとしまして、長官が関係行政庁長官に勧告をした場合に、その勧告中に特に重要な事項について、特に必要と認めた場合においては、総理大臣に対して内閣法第六条の規定による処置をとるように意見具申をなす、そういう権限を認めた点であります。これはやはり先ほども申しましたように、勧告をするけれども、そうしてその報告を徴するという権限を認めるけれども、さらにそれに加えてもっと長官の統制権というもの、統制権といいますかその権限を強化するし、またその意見が実行されるように内閣総理大臣に一定の意見具申をするという権限を認めたものと思われます。この内閣法第六条の測定というものがこういうように使われた例というものは、私、寡聞にして存じないのであります。これは内閣法の問題といたしまして、こういうような意味のことができるかどうかということは問題であろうと思います。元来内閣法の第六条というものは、最高行政官庁としての内閣自身の権限を規定したものであり、総理大臣というものはその長として、いわばこれを代表するという権限をもつ、それが内閣法の規定に現われておるわけであります。ですからしてこの規定をもって総理大臣に何か強権発動ができるような印象を与えるということは、これは内閣法の問題でありますけれども、疑問であろうかと、ですから、従ってこの規定が置かれたということによって、どれだけ長官の権限が強化されるかということは、私は非常に疑問に思っておる次第であります。  それからもう一つ、別の問題でありますけれども、前に行政審議会答申を出しましたときにおきまして、その答申のうちにおきまして、従来こういうような科学技術その他の調整機能を持った機関、あるいは企画機関というものの位置といいますか権限というものは、行政の実施部門を持たないそういう企画官庁というものは非常に弱いものである。こういうことが従来から立証されておるのでありまして、従いまして科学技術庁をして真にその真価を発揮するためには、やはり一定の範囲の実施機関を持たなければならないと私ども考えておるのであります。その点につきまして、この答申においては、なるべく広い範囲において、関係行政機関試験研究機関というものを総合して、技術庁の補助機関にするという案でありまして、かなりいろいろなものを取り入れておったのでありますが、あるいは地質研究でありますとか、あるいは電気研究所、機械研究所というような通産省の機関をだいぶ取り入れておるのでありますが、今度の案ではただ航空技術研究所とそれから金属材料研究所ですか、そのほか将来設けらるべき原子力関係機関をここに取り入れてあるだけでありまして、従ってその点でやはり答申よりは一歩下っておるもののように考えられるのであります。  それからこの法案におきましてはSTACを廃止しておるわけでありますけれども、そうしてその科学技術庁に対する答申STAC答申勧告というものはこの企画調整局の権限としておるのでありますけれども、しかしSTACは元来単に自然科学だけではなく人文科学も入っておるのでありまして、その点こういうような権限を与えるとすれば、やはり科学技術庁が自然科学のみを取り扱うものではなくなりまして、ある程度人文科学もその権限となってくるようなことになりはしないかというふうに考えられるわけでありまして、従ってSTACの廃止というものはこの点多少そういうようなことで問題となるのではないかというふうに考える次第であります。  大体私のちょっと気がつきました点はそのくらいのことで、これで終りたいと思います。
  9. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) それでは参考人の御意見に対する質疑をお願いいたします。
  10. 野本品吉

    ○野本品吉君 一点だけ茅先生にお伺いいたしたいと思います。それは日本学術会議法の第四条に規定されております「科学に関する研究、試験等の助成、その他科学振興を図るために政府の支出する交付金、補助金等の予算及びその配分」、それからして「政府所管の研究所、試験所及び委託研究費等に関する予算編成の方針」、特に専門科学者の検討を要する重要施策、その他日本学術会議諮問することを適当と認める事項、これについて政府諮問することができるということになっておりますが、このことと四条の十三の「試験研究補助金、交付金、委託費その他これらに類する経費の見積の方針」、これはつながりが多いようなんですが、そこで従来日本学術会議の持つておりましたそんな事柄とどんな関係になりますか。御所見がありましたら。
  11. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 御質問は学術会議法の第四条と、それからこの科学技術庁法律案の第四条の十三。
  12. 野本品吉

    ○野本品吉君 それとの関係
  13. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 関連でございますね。
  14. 野本品吉

    ○野本品吉君 そうです。
  15. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 私はこの第十三号の問題につきまして、科学技術庁から学術会議等に必要に応じて諮問をしていただくということが盛んに行われることを希望しておるわけなんでして、こういう問題につきまして学者としてはどういうふうに考えるか、それに対してわれわれは意見を十分具申するということになることを非常に希望しておるのであります。
  16. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 ちょっと茅さんにお尋ねしたいのですけれども、まだ十分提案された法案についての審議をやっておりませんからはっきりしないのですけれども、どうも日本学術会議科学技術庁との関係、仕事とか権限とかいうものについてあまりはっきりしないのですね。ちょっと考えるとやはりどこかに矛盾とか重複とか不合理というものを生じやしないかという疑問を持たされる、そういう点についてはあなた方はどうお考えになりますか。
  17. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 私も法律の専門家ではございませんので、あまり法律について一々詳しく調べはいたしませんでしたが、私のこの感じといたしましては、結局これを運営する人がどのように道を開いていくかということだというふうに考えておるのであります。結局慣習をつけていただきたい。先ほどの御質問にもありましたように学術会議という一つ諮問機関がございますので、それの意見を聞くことをよくやっていただく。そういうことによって諮問機関として重複する点、あるいはたとえば調査その他をする場合の、私どもは、諮問機関としての調査と、行政機関としての調査とは重複することがあるかもしれませんが、立場が違いますから重複してもけっこうだと思うのです。われわれの方はどこまでも諮問機関としての立場でいたしまして、その線ははっきりと引かれているはずだと私は思います。重複はないと思います。ただ場合によっては、これを運営する実際の責任者が、学術会議の存在を無視しようと思えば十分無視できるわけでございますから、その点はそういうことのないようにということをわれわれ非常に希望しておるわけでございます。
  18. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 さっきお話がありましたように、学術刷新委員会での結論としては、まあ科学庁のようなものを作ってその諮問機関というような形で科学技術審議機関を設ける。これを日本学術会議性格としたらどうだろう、こういう考えである。こういうことだったのですが、そうなると非常にはっきりするのです。ところが今度の科学技術庁設置法ですと、一方において日本学術会議は今まで通り設置しておいて、そうして新たに科学庁に当るような科学技術庁というものを作って、その下へまた科学技術審議会というものを設ける。こういうことになって、そこで何か矛盾を生じやしないか。今までは日本学術会議の下部機構のような工合に科学技術行政協議会というものがあって行政との連絡をとっておったわけですね。それで科学技術行政協議会は今度は科学技術庁の方へ入ってくる、こういう形になる。今までは日本学術会議の下部のような形でもってSTACがあったのだからうまくいけたのですけれども、今度はそうじゃなくて別の科学技術庁の中へSTACが入ってしまう。そうするとその科学技術庁日本学術会議との関係は、今までのような日本学術会議STACとの関係とは違ってくる。そこで何か矛盾を起しやしないか。これをはっきりした体制にするためには科学技術庁というものを作ったらば、その下部機構として日本学術会議諮問機関として置くというなら非常にはっきりする。それじゃしかし日本学術会議としての使命を達成できないというので別に置かれている。だから今度下部機構としては別の科学技術審議会というものを作るということ、さらに科学技術審議会というものと日本学術会議の使命というものとが、今野本さんが言われたような点で、非常にあいまいなものになってきやしないかということをわれわれは考えるのですが。
  19. 茅誠司

    参考人茅誠司君) おっしゃった通りでありまして、私どもSTACを通じてやっておりました今までの学術会議政府との関係が、幾分これによって後退した感を持ったことは確かであります。ただ学術会議諮問機関としての性格を持ってはおりますけれども、同時にまた学者代表機関として非常に大きな仕事をしておるわけでありまして、これが全面的に科学技術庁のただ諮問機関ということだけにはなり得ないわけでありまして、そういう意味においては、やはりこういう科学技術の責任行政官庁ができた場合には、やむなく科学技術審議会的なものができて、それが今までのSTACと同じ役を実質的にしてくれれば十分なのではないか。果してそうなるかどうかという点については疑問を持っているわけであります。
  20. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 どうもこの法案自体から言いますと、あなたの希望されるような結果になるかどうかはなはだ疑問の点が非常に多いと私は思う。それから別に、今まで科学研究の補助金とか交付金あるいは試験研究の補助金というようなものの配分の大方針というものが、学術会議の方できめられたわけですね。そして文部省の方でこまかいことをきめておるのです。今度科学技術庁でそういう科学技術行政調整をやるという場合に、やはり交付金とか補助金というものについての調整をやる、こういう点、そこの関係が今までの日本学術会議のやっておったことと科学技術庁のこれからやることと、どういうふうになるのか疑問なのですが。
  21. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 今まで学術会議でこういう面でやって参りましたのは、文部省関係科学研究費、これは学術会議がその配分の方針に関しては全面的に諮問を受けてやって参りました。その配分のこまかい点は文部省が責任をもってやる。ところがそれ以外の官庁、たとえば通産省とか農林省とか厚生省とかいうようなところにもやはり補助金、助成金等がございますが、それにつきましては、その配分をする委員の選考につきまして意見調整をする。それでこういう人をしたいけれどもあなたのところに照会するといったような、そういう、どういうことを聞かれているかわからないようなことが来ることもありますが、文部省との関係は非常に深かったのでありますが、他の省との関係はわれわれ満足できないような関係であったと思います。それでこれからあと、この科学技術庁の場合どういうふうになるかということ、私は全面的に科学技術庁学術会議にこの科学技術審議会を通して諮問されることを希望するのでありますが、また学術会議みずからといたしましては、それだけの業績をみずから上げてきてないにもかかわらず、それを要求することはちょっと虫がよくはないかという点で少し遠慮しておる点でありますが、しかしこれを運営される方々学術会議と、それから科学技術庁との将来の関係のためにその点を考慮されていただけば非常にいいのではないかと思っております。
  22. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 今度の科学技術庁の主な役目科学技術総合調整というところにあるわけですね。その使命を達成しようとすれば、どうしても、そういう交付金とか補助金というようなものについての決定権を、科学技術庁が持たなければできないのじゃないかというふうに思う。今まで持っておった日本学術会議のいろんなそういう権能というか、使命というか、というものが、相当科学技術庁に移ることになるんじゃないか。大方針を、つまり今まで日本学術会議の方できめられたわけです。そこも科学技術庁がきめなければ総合調整ができないのじゃないかというふうに思うのですが、その点はどうですか。
  23. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 私はどうも法律の解釈がよくわからないのですが、ここに日本学術会議法というものがあって、第四条で「政府は、左の事項について、日本学術会議諮問することができる。」となっているときに、こういう諮問をしなかった場合のことでありますが、私は、諮問することができるわけですから、諮問しなくて差しつかえないというので、今まで諮問しなかった科学技術官庁もたくさんあったようであります。将来のことを思いますならば、諮問しない場合には諮問しないだけの理由がはっきりわかるようなものでなければならない。できるだけ、ここにこういう法律がある以上は、学術会議諮問機関としての役を果さしていただく。科学技術庁の場合もその通りでありまして、ことに科学技術に対する全面的な責任官庁でありますからして、学術会議法律の上ではそうなっておりませんにしても、諮問機関考えていただいて、ここに学術会議の第四条にありますような、こういうことを全面的にやっていただくことを希望しているわけであります。しかし強制はできないので御心配のような点がたくさんあるかと思います。
  24. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 それから先ほど杉村さんの御意見にもあったのですが、こういう行政機関を作る場合に二つの方針があって、直属の研究機関を持つという場合と持たれない場合とあるのですが、直属研究機関を持った方が、いいという議論と、持たない方がいいという議論とあるのです。茅さんなんかどうですか。ここに直属の研究機関というものを科学技術庁の付属としてたくさん持った方がいいのか、そうでなくそんな機関は別々に他にまかしておいて、ただ行政面だけをやる方が目的は十分達するとお考えになるか、あなた方の学者としての意見はどうですか。
  25. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 大へんな難問なんでございますが、ずいぶん議論したところなんでありますが、学術会議として出した結論は、そういう官庁を持たない方がよろしい。それから官庁の学術体制刷新委員会は最初は持つことにしておったのですが、諸般の情勢からだんだん後退して、持たない方がよろしいということになっております。と申しますのは、理論的に申せばこの科学技術庁というものが非常に力を持ち、りっぱに運営される上においては、研究所を全部手足のごとく使って、意のままに働かすということが当然のように私は思うのであります。現在のおかれた日本の国情のもとにおいて判断してそういう結果になったのではないかと思います。
  26. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 それでそういう反対の意見について、さっき茅さんの言われたところからみると、まあ科学技術研究のプロパーという問題よりも、それに対する統制支配というような心配があるから持たない方がいいというお考えであるのか、それを別としてそういうことはないものとしてみた場合に、科学技術プロパーの研究のものとして考えた場合に持った方がいいのじゃないか、こう私は考えるのですがどうなんですか。
  27. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 全く全面的に私は賛成いたします。これは統制的なことが全然考えに入れられない場合におきましては、私はやはり必要な研究所は持った方がよろしい。ただし諸官庁におきましては、官庁業務として必要な研究があることと思いますから、それと重複しないように持つことが必要だと思います。
  28. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 先ほど池川さんもおっしゃったのですけれども日本研究所というものは非常にたくさんある。国立あり公立あり私立ありずいぶんだくさんあって、私どもある程度知っておりますけれども、数ばかり多くて、内容の非常に貧弱なものが大部分だと私は思います。ですからそれがために日本科学技術の水準がなかなか思うようにいかぬ。これは池田さんも同意見だったようです。そういう点から言うと、むしろ統廃合をやる、思い切った統廃合をやって、そうして科学技術庁の配下につけておく方がほんとうに科学技術日本全体として上げていく上に必要じゃないかと私は思うのです。まあ思想統制とか研究統制ということは、これはいけないことでしょうからやってはいけないのですけれども、あまりそんなことばかり心配されて、科学技術振興についての十分の効果を上げる機構というものが無視されるということになることは、国家的な立場からいってはなはだおもしろくないと私は思うのです。学術会議方面の今までの傾向からいうと、あまりそういう統制とか支配ということばかりに重点をおかれ過ぎておるというようにわれわれは考えるのですが、そういう点も十分お考えになっていただきたいと思います。それからたとえば予算の問題につきましても、今度の科学技術庁科学技術行政調整をやるという場合には非常に重大な問題があるのです。ごく貧弱な予算を最も合理的に能率的に使って日本科学技術振興をはかろうという場合には、科学技術に関する全体の予算というものを科学技術庁の方でいろいろ考えて、そうして全体的に調整をするということが必要なんじゃないか。そう考えた場合には、大学における研究というものも、ある程度そこで考えられないと非常に能率が悪くなるとか、重複ができるとか、ただでさえ少い研究費がむだに使われるという場合が起きるじゃないか。そういう点からいうと、大学研究というものも、そういう点では科学技術庁の対象にした方がいいのじゃないかという考えもあるのですが、その点どうでしょう。
  29. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 今のあとの方の問題、大へん重要な問題だと思うのでありますが、例を引いて申し上げますと、たとえば原子力の問題でありますが、原子炉を関西方面一つ買おうという問題が起りましたときに、これが文部省関係研究機関設置する予定でありましたために、それが原子力委員会審議の対象にならなかったというので、これはおかしいということで、今どうしたらいいかということを学者の間でも原子力委員の人たちもみんな真剣に考えております。原子力委員会の権限の中から、大学関係のものを削除したということは、これは応急措置として一応そういう手を打っただけであって、一応こうやくを張っただけであるから、これからよくみんなでほんとうのことをよく考えよう、これではまずいということは今おっしゃった通りであります。ただ全面的に、それが入っちゃったとして、何らの制限がなかった場合に、普通初めの間、またりっぱな人が運営する間においては、一つ心配はありませんけれども、場合によっては統制的なことも起り得るということに対して、現在の学界全体の空気は相当懐疑的であるということだけは私言えるのではないかと思います。これは学術会議みずからでなく、日本の学界全体的な考え方にそういう懐疑的な考え方がある。それが反映していると思います。ですが、この科学技術庁法律から全部大学のことを除外したということは、やはりこれは相当考慮して、適当な、弊害の点がないような、しかし十分大学基礎的な技術も考慮の対象にできるような、そういう法律に改まることを私は心から希望しておきます。
  30. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 今の大学研究を除外するという問題でありますが、研究の自由を守るということからいえば、確かに好ましいことだと思うし、そうして政府の字間研究に対する統制というものは、むろんあくまで排除しなければならぬと思いますけれども、その統制というものもただいわゆる政治的意味の統制ということでなくて、科学研究日本全体としての統制、こういうことであれば、私は必要じゃないかと思うのです。これは池田さんにお伺いしたいのですけれども池田さんは実際家として、ことに応用方面科学技術研究についてのオーソリティでありますが、私ども見るところでは、日本大学研究というものと実際界の応用的研究とが、あまり遊離し過ぎている傾向があるのじゃないか。これの対策がこの科学技術庁設置目的であり、この点が経済的目的を達するという点からいって一つの大きな欠陥になっていると私は思うのですが、その点、どうお考えになりますか。
  31. 池田亀三郎

    参考人池田亀三郎君) これは先ほどあいまいな言葉を使って申し上げましたけれども、まず大体試験研究所というものは、研究そのほか全部入れますと、私数えたのでは、千九百二十幾つかあったと思います。それほど数が多いのです。おそらく私どもの監察委員で洗ったとき、初めてああいうことがわかったのではないかと考えます。その点は先ほどおっしゃったように、これは何か調整する必要が絶対にあると思いますが、それから先ほども大学研究を除くということについて、ちょっと私言及いたしましたのですが、私どもやはり大学研究所に参りますと、一体これから研究なさって光はどうなるのだということになりますと、あまり私は満足したお答えを伺ったことがございません。おそらくこれは通産省の研究所の方たちも、大学研究所との連絡というものは、ほとほと手をあげておるということではないかと思いますけれども、そうですから、私は何らかこの間にも連絡調整が必要だろうということを実は申し上げたのであります。それから大学研究は自由だとおっしゃられましたけれども、実際は政府予算を握っておりますから、本当にはっきり言いますと、大蔵省の主計官のワクでもって手のうちに抑えられているわけなんですね。あの手の中でのただ自由ということじゃないかと思います。そうしますと、今の大学研究ですが、これは今のいきさつと同様ですが、これと今の応用化、工業化等の研究につきましては、やはりこれはどこかに総合的な国家の政策の見地から、何らかの調整が必要ではないかと私はこう思っておるのであります。ことに原子力ですとか、あるいは航空機等の考え方からいいますと、ここに航空機セクションを置くということも、大体非常に経費がよけいかかってそうして使用頻度が少い。そしてある場合はそれを共通に使うものといったようなことにして、大体別個なものを、セクションを作ろうという結論になっているわけであります。そこでこの場合でも、原子力の場合も先ほど申し上げましたが、今ある分は全部基礎研究といってもいいのじゃないかと思います。それから航空機研究所の場合でも、そういったような経費の多い大きな風洞の研究といったようなもの、これまた基礎研究と見ていいのじゃないかと思います。そういう面での大学のいわゆる基礎研究といったものと応用化、工業化の試験研究というものは、これはお話の通り、どこかで相当高いところから総合研究調整が必要ではないかと思います。私が一番おそれておりますのは、結局は先ほども、今度の金属研究につきましても、航空研究所もそうでありますが、あの予算を、あるものは初年度でございますけれども、一億で押えられたということあたりを見ますと、誰がこれを一億に押えるその権限をもって押えられたのか、この辺のところが私ども民間人にはよくわからぬのでず。民間でありますれば、必要であれば予算なんかほとんど超越しまして重点的にやり得るのですね。こういう面で、非常にこの国でやっていただくことは好ましいのですけれども、そういう運営面では相当研究する必要があるのではないか。そういうために、こういう科学技術庁というものができまして、日本の、先ほど杉村さんから経済政策上から見ての産業経済研究ということをおっしゃられましたけれども、私どもむしろ人口なりなんなりから見た上での産業政策をはっきりきめまして、それに財政政策をつけるべきではないか。こう考えておるものでございますから、今おっしゃったようなどこか高いところからこれを調整する必要は私はあるだろうと、私個人は思っております。
  32. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 杉村さんにちょっと伺いたいのですけれども、あなたは人文科学方面研究をしていらっしゃるのですが、科学技術庁から人文科学方面研究は最初除外をされているわけです。日本科学技術全般についての振興をはかっていこうという目的からいいますと、人文科学もこれに入れる方がいいというようなお考えはありませんか。
  33. 杉村章三郎

    参考人杉村章三郎君) 私も大体そういう考えでございますけれども、まあ今とにかく科学技術というものは国家の問題として取り上げられておる状態ですから、そしてまた科学技術の方は結果においてすぐ実際面に応用できるというところに強味があるわけですし、またそれを振興しなければならないという理屈があるものですから、一応これでやむを得ないのではないかと思っておりますけれども、本心からいえば、やはり人文科学と自然科学は車の同論のようなものでありますから、一方科学技術が必要であれば人文科学もそれに伴なって発達しなければならない。こういうふうに考えておりますが、そういう意味においてやはりSTACというものがその両方の機能を発揮して、そうしてまあ勧告なりいろいろな助言なりをして今までおったのですから、その機能が少く人文科学の方に関しては落ちるのではないかということを心配しているわけなんであります。
  34. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 どこでも科学技術研究といえば、自然科学を中心にどこの国でもやっておるのが普通のようですけれども、しかしフランス、イギリスあたりはそうでない。フランスのあれはサントル・ド・ルシェルシュ・シアンティフィク・エ・アンデュストリェル、あそこは社会科学の方もあるのですが、イギリスのデパートメント・オブ・サイエンテイフィック・アンド・インダストリアル・リサーチ、あそこもそうですが、アメリカは違いますね。日本ではやはり社会科学なり人文科学だって、非常に水準が低いところを科学技術の水準を上げよう、そうして国民経済的な立場からも大いに役に立たせようというならば、やはり人文科学だって入れてやるのが私はほんとうだと思うのですが、学術会議全体としてはどうですかね、茅さん、こういう見地については。
  35. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 私どもはまだその点を論議したことはないのでございますが、論議いたしましたのは、この科学技術庁というのはもう自然科学だけしか対象にしないので、STAKがなくなったときにどうしたらいいかという点においては非常に心配いたしました。ただこの第七条の第五項が「科学技術に関し、」というのが取れてしまって、ただ「日本学術会議への諮問及び日本学術会議答申又は勧告に関すること。」となっておりますから、ここでは純粋の人文科学、社会科学のことでも取り扱えるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  36. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 少しむずかしいのじゃないかと思いますがね。技術庁本来の使命が自然科学振興ということに置いてあるのですから、そういう点について仕事することはないのじゃないかと思うのですが、さっきおっしゃったところの「科学技術に関し、」を削ったということで、非常に広くなった、それが大へんいいと思うとおっしゃった意味は、今のようなことですか。
  37. 茅誠司

    参考人茅誠司君) そうです。
  38. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 それだと大した効果はないんじゃないかと私ども考えますがね。私の質問はそれでよろしゅうございます。
  39. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ほかに御質問ございませんか。
  40. 苫米地義三

    苫米地義三君 村営技術庁は今度初めてできる組織であり、これに特許局というものが除外されておるわけです。科学技術の発明奨励及び推進をするわけですが、特許審査を通してかなりそれが行われるわけだと思うのですが、将来特許局をも科学技術庁の方へ加えた方がいいか、あるいは今のままでおった方がいいのか、御批判がございませんか。
  41. 池田亀三郎

    参考人池田亀三郎君) これは相当私ども考えたのでございます。先ほど申しましたように審議会答申から大へん後退しておりますが、むろんどなたが考えてもこの特許庁の問題そのほか各産業科学技術関係します共通な、たとえば電気とか機械とかいうものをここへ入れるかどうかということは、当然だれでも考え及ぶことだと思います。そこで私どもは一応こういった科学技術庁ができまして、それからたしか閣議決定には、これができたあとは根本的にこういう機関のあり方について再検討するということがあったようですが、まあそういう面に私どもとしては期待した次第であります。通産省に置いていいのか、またドイツかフランスでは司法省にあるようですけれども、こういうところにもし厳格にいえばあすことで審判でもやるとかいいますと、そういう方がいいのかもしれません。しかし一番関係の深いのが通産省であるというのとずっと長い間の沿革から通産省にくっついていると思いますが、しかしこれは当然通産省以外にも相当関係のあることでございまして、そういいますと、科学技術庁でもできますと、当然これは将来の問題として問題になるのじゃないか、こう思っておりました。現在でもそう思っております。
  42. 苫米地義三

    苫米地義三君 もう一点伺いたいのですがね、今御説明もありましたから、大体わかりましたが、研究の組織といいますか、総合的な国の研究体制をどうするかということがやはり一番重要だと思うのですね。大学はたとえば基礎研究をやる、国の研究所はこれが応用の面に対するある程度の研究を進める、いよいよ実際になる場合には民間の研究所に持っていくというような形が一つ考えられるのでずが、何か研究の体制について、これはもっと能率も上り、研究も完成しやすいのだというような御意見がございましたら、重複するようですが、もう一ぺん伺いたいと思います。
  43. 池田亀三郎

    参考人池田亀三郎君) これは私よく知りませんけれども、アメリカあたりがこの問題は非常に大きく取り上げているのだと思います。それですから研究所、研究機関での、まあ場合によりますと一つのチームもできるんじゃないかと思いますが、これは私は当然先ほども申しましたけれども、非常に財政の力が弱いし資源も乏しい所ですから、なるべくむだのない、効果的な研究を——基礎的研究から応用化、工業化まで——やっていくということになりますと、ただいま先生のおっしゃったような問題が今度もし再検討するという閣議決定でもありますれば、科学技術庁ができましたとしますと、それが一番大きく取り上げられていいのではないかと思います。おそらく先ほどちょっと申しましたけれども、一体日本にどのくらいの試験研究所があるのかということもあまり現われなかったし、また実際に拝見いたしまして率直に私の印象から言いますと、これが実際国家試験研究所と言い得るのかどうかという感じを持つのです。最近でも財政の芳しいところもございますけれども、人件費でふえていけばそれだけ設備費は減っていく、大体そういうふうな態勢でございますね、そういうふうな状態でございまして、まあ今私どもは、特に私は化学企業の方面関係しておるものでございますけれども、最近の有機合成化学の進歩等を見まして、今のこのままで日本は行ったのでは、どうしても先ほど申しましたような、はだかの国際的な競争に打ち勝っていくということはもう絶対に私は不可能じゃないかと思います。そうですから、たとえば文部省に対しての補助金もそうですが、あるいは民間に対する補助金でもそうですけれども、ずいぶん小さな補助金が出ております、二十万、三十万といったような……。これもできるだけやはり重点的にやっていくということが必要じゃないか。むろん総額を科学技術振興という見地を、もっと国家としても認めて、予算をお出しいただくということが必要じゃないかと思います。  もう一つそれに関連いたしまして私は教育面、産業教育の方面、これを一つ一緒に……この機関ではできないかもしれませんけれども、何かの機会がありましたら、これは文部省の関係かと思いますけれども、やはり科学技術庁としてもこういう面をもっと深く研究をし認識をして、産業教育方面に力を入れていただきたい、こう思っております。この点は一つ一緒に関連して考えまして、科学技術振興をはかっていただきたい。これは掘り下げて考えますと、この面を基礎にして今後考えないことには、りっぱな科学技術者養成はできないのじゃないか、こう思います。
  44. 苫米地義三

    苫米地義三君 もう一点だけ。今のような研究は総合的にあらゆるチーム・ワークをもってやらなければならないということは、これは必須な条件だと思うのです。その場合に、大学研究所を除外したわけですね、その間の連絡が都合がよくいくでしょうか、どうでしょうか。これは茅さんから。
  45. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 私はやり方を考えているのですが、たとえば基礎研究をしている方面で、このチームの方面では大学のこういうところにこういう研究をやってくれないかと頼んだとしますと、それは人員を持ち設備を持っている場合には喜んで引き受けるだろうと思います。ただ命令されないことが必要だというだけでありまして、委託等を受けた場合には喜んで協力する、そういうことは申しているのでありまして、大学としてもそれは喜んでいるわけであります。そういうことをしないということは決して言っておらない。
  46. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ほかに御質疑ございませんか。それでは以上をもって参考人方々の御意見の聴取及び質疑は終了いたしました。  本日は参考人には長い間いろいろ御高説を拝聴させていただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げる次第であります。  次いで、本案に対する御質疑を政府に対してお願いいたします。
  47. 島村軍次

    ○島村軍次君 ただいま参考人の御意見があった問題に関連を持つのでありますが、各省にある科学技術研究所との調整については、具体的にどういうふうにこれはお考えですか。
  48. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) この科学技術庁設置目的は、国民経済の発展に寄与するために科学技術の総合的推進を企図するところにあるのでございまして、この法案提出に際しまして重点的に考えました一つの問題は、これらの各省庁の付置機関のいろいろな科学技術に関する実態との調整をいかにはかるべきかということにあったのであります。しかし先ほども参考人が申されました通りに、この各省に分属しております研究所、実験所の数というものは非常に多いので、まず第一段階といたしましてその実態を把握するということが前提となると考えまして、閣議において決定いたしました科学技術庁設置要綱にも、中央地方を通じて試験研究機関のあり方及び所属については科学技術庁の発足後根本的に検討を加えるということに決定をいたしているのであります。従いまして、その街検討を加えました上において、国民経済に寄与すべき問題を重点的に取り上げて各省と折衝を重ねまして、それの推進をはかっていきたい。このように現在考えている次第でございます。
  49. 島村軍次

    ○島村軍次君 お考えはある程度わかりましたが、ところがこれはまだ法案には出てないようですが、農林省の設置法の中で現在あるいろいろな試験研究機関の統合をやるために、農林省内に会議を作って、これは新聞にも出ているようですが、会議ばかりでなしに、統合したような考え方の下に、農林省設置法の一部の改正案が出るようでありますが、こういう問題についてはどうお考えになりますか。
  50. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 各省の行政を遂行して参ります必要上、やはり各省におきましては必ずそれに対応する試験研究所を設けているのが今日の現況でございまして、従いまして農林省は農林省自体においてやはり自分の持っている研究所、実験所の統廃合は当然これは行なってしかるべきだと私たちは考えているのであります。ただ科掌技術庁といたしましては、各省庁にありますところの全部の試験研究所を再検討いたしまして、これを国定経済に直接寄与するように、重点的な施策の遂行をはかり得るように努力をいたして参りたいと、かように考えております。
  51. 島村軍次

    ○島村軍次君 先ほど学術会議との関係についてはいろいろお話が出たようでありますが、具体的の問題としてお三方とも共通の意見であったのは、つまり金属という言葉を関係各条文から削除するというような御意見があったようですが、これについては政府の方ではどうお考えですか。
  52. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 金属材料という言葉を使うことが適切であるか適切でないかということは、政府といたしましても十分検討を加えたのでございますが、ただばく然と材料研究ということになりますと範囲が非常に広くなりますので、とりあえず最も科学技術に今日重点的な関係を持っている金属材料研究を主たる眼目として研究所を発足させる。しかし必ずしも金属にこれは限定しない。将来必要があるならば金属にかわるべきところの材料にもとりあえずその研究範囲を広めて行く。というのは、御承知通り今日の状態におきましては、すでに合成樹脂は金属にかわりつつあるような状態にございますので、その点もこの範疇に入れて研究をして行く。しかしとりあえずあまり広範囲にわたるというと重点がぼけるから、最初の出発は金属材料に重点を置くという意味金属と使ったわけでございます。
  53. 苫米地義三

    苫米地義三君 今の問題に関連するのですが、金属材料というと非常に範囲が狭くなって、現在原子力の問題でもたとえばグラファイトとの問題とか、あるいはジルコニウムの問題というような問題があれば、やはり金属にはまらないのですが、適当な名前があったら変えてもいいという政府のお考えですか。あるいはどうしてもこれでなければならぬというお考えですか。
  54. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) このグラファイトとかジルコニウムその他遮蔽物に適当な材質に関しましては、これは当然原子力研究所においても研究をすることになるのでございますから、その点はあえてここに包含しなくても私は十分目的は達成せられると思うのです。ただ御承知通り金属材料研究をなぜここに重点的に持ってきたかということは、もう苫米地先生に申し上げるまでもなく、日本はまだその金属材料の検定の根本をなす結晶の状態すら判明しておらないので、どうしてもこの際あらゆる科学技術の根底をなす根本的な問題を解決するには、まず第一に金属そのものの実体を把握していくということが一審国民経済に寄与するところが大きいのじゃないかという観点から、金属という文字を持って参りましたのですが、将来はこの金属研究範囲を越えて、どんどん研究しなければならないような必要が生まれれば、政府としては金属にこだわる必要は私はないと、かように考えております。
  55. 苫米地義三

    苫米地義三君 将来はではなくて、今のこの案で、もしそういう適当な名前があって、包含される内容を備える名称があれば、修正されても政府は応ずる、こういうことに理解していいのですか。
  56. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲君) これは金属材料という字を使っておりますけれども、その内容は決して金属に限定しておるという意味ではないのでございまして、どうしても金属という字を使えば、政府考えておる金属及びその他ということで考えておる実体が現われないということであればいたし方あり乗せんけれども政府といたしましては、決して金属そのものだけに限定した考えを持っておるのではないのであります。
  57. 苫米地義三

    苫米地義三君 私がそう言う意味は、金属というのは過去にも研究所があるのです。もうこのごろの事態は非常な変化を起してきて、有機材料というか今申し上げるような材料が非常に重要性を帯びてきまずから、どうせ作るならば、そういうものも包含した適当な名前があったら変えたらよかろうという考えが浮かんだものですから申し上げたので、金属その他と書いてありますから必ずしもそういうことじゃありませんけれども、事態が変ってきまずから、事態に即応した名前にしたらどうかというような感じを持ったから……、もうそれは御返事は要りません。
  58. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 二の科学技術庁の仕事のおもな点は二つあって、一つ科学技術全般に関する基本的な政策の企画立案、その推進ということなんですが、この科学技術全般に関する基本的な政策ということは、具体的に一体どういうことであるかという点の御説明を願いたいのです。
  59. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) それは非常にむずかしい御質問でございまして、私はなかなかうまくお答えができないと思うのでございますが、まあ科学技術の定義を下すということが非常に私はむずかしい問題ではないか、一般に言われております科学技術というのは、自然現象を種別に分類いたしまして、そしてそれをどこまでも実態を把握するために掘り下げていく、それからその研究によって実態を把握したものを、人類社会のためにどうして使用するかというのが、いわゆる技術であって、その技術を今度は実際に示すためにいろいろな設備を必要とするのである、そういうふうに私は解釈いたしておるのであります。従いまして今日日本の国内において自然科学のいろいろな種別を体系的に分類いたしまして、それを掘り下げていって、その中から直接国民経済にどれが重点的に影響があるかというものを考えまして、これを実際の国民経済の上に応用し得るところの技術をここに付与いたしまして、そしてそこに日本再建の基盤というものを科学技術の面から検討していくということが、科学技術庁の一番大きなねらいである、さように私は考えておる次第でございます。
  60. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 まあ科学技術ということの学問的な定義とか解釈、これはなかなかめんどうですし、いろいろの意見もありますからこれは別なんですけれども、基本的な政策ということですね、これは科学技術振興についての基本的な政策だと思うのですが、そこの解釈はどうなのか、これは具体的に言えば、現在ある研究機関の統廃合というところまでいくのか、あるいは研究機関がいろんな研究をしておる課題の選定というところまでいくのか、そういう点について伺いたいのです。
  61. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 私は科学技術庁のつかさどります行政範囲は、ただいま御指摘の全部を私は包含するものであると考えておるのであります。特に今日の研究所、実験所に再検討を加えて、これを最も有効、適切に国民経済の発展に寄与させるということにおきましては、その両方面に対して十分な注意を払う必要があると、さように考えております。
  62. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 今のようなお考えで、日本の国民経済の立場でどういう研究が必要か、そういうことを考えられてその研究をするという場合に、直属の研究所があればできるのでありますけれども、よその研究所にやらせるということになる、その点で非常に科学技術庁としては、自分のところの研究所を持たないのですから、基本的に政策の実行をするということはむずかしかろうと私は考えるのです。その点どうですか。
  63. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) お説の通りだと私は思うのであります。それで、政府といたしましてもこの科学技術庁に必要なところの付置機関を設けまし.て、十分に科学技術の発展のために方違算なきを期するという構想も、これはあるのでございます。しかし何分にも御承知通り現在の状態では、それぞれ各省に行政遂行のために必要な研究所及び実験所がたくさんございます。これを一ぺん再検討いたしまして、将来国民経済に寄与するために必要な研究所、実験所は、必ずこれを科学技術庁のもとに持ってくる、それで足りないならば、新しい統合研究所を設けて科学技術振興に寄与する、こういうような構想でおるのでございますが、何分にも出発に際しましては、いろいろ検討を加えたのでございますが、今ある研究所、実験所を他の行政官庁から持ってくるということになりますと、ここに非常な摩擦と混乱が起きる場合もございますので、一応再検討を加えて、そして科学技術庁長官が必要に応じて総理大臣に勧告をして、総理大臣によってこの問題を十分に各省の連絡の間に解決をしていきたい、そういう考えを持っております。
  64. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 現在非常にたくさんの研究機関がありまして、その実態を十分把握調査した上でやるのだ、こういうようなお考えのようですが、それも必要ですけれども、しかし現在各省庁直属の研究機関というものがはっきりわかっておるのです。相当大きなものがたくさんあります。それを科学技術庁へ持ってくるということについては、各省庁のセクショナリズム等の関係で、なかなか困難があるということはよくわかっておるのですが、できたら持ってこようというお考えがあるのですか。
  65. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 将来のことでございますから、はっきり申し上げられないのでございますが、科学技術庁本来の国的を達成いたしますにつきましては、現状ではこれはあき足らない、必ず将来は必要な研究所、実験所は科学技術庁に配属せしめなければならぬ、さように考えております。ただ私たちの最も懸念いたしましたことは、今日の実験所、研究所のうち、どういうものを将来日本の発展のために科学技術庁に配属せしむべきかという選択は、これは相当慎重を要するものである、さように考えております。
  66. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 第二の仕事であります各省庁の科学技術に関する事務の総合的調整を行うこと、これも実際は口では言うことはやさしいのですけれども、なかなかむずかしい点があるのじゃないかと思うのです。しかしこれをやるにつきましては、研究題目の重複というようなことも避けなければならないでしょうし、また研究施設の重複という問題も避けなければならないし、予算の上にももちろん重複を避けなければならぬという点で、いろいろ問題があります。で、それを実行しなければ総合的調整はできない。それを実行しようとすれば、各省庁のまたセクショナリズムとも関連してくる。そこでなかなかむずかしい。任務を遂行するについて非常にむずかしい点があると思うのです。そういう点はどうお考えになりますか。
  67. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) お説の通りこの科学技術に関する事務総合調整ということは非常にむずかしいことだと考えておるのであります。これは一つの課題に対しましても研究者が違いますというと、いろいろな研究方法もありますし、その研究の過程においていろいろな他の結果も出てくると思うのであります。しかしながら、日本の現状についていろいろだ結論を承わりますというと、日本というものは科学技術世界の大国に比して劣等である、どうしても科学技術の水準を上げなければいけない。科学技術の水準を上げるには、最も近代的、重点的な必要のある部面に対して徹底したところの検討を加えて、そうしてこの総合、統一調整をはかって、世界的な水準にまでこれを持っていかなければいけない、こういう結論のようでありますから、これは科学技術庁設置せられました限りにおきましては、いかなる困難があってもこれは排除して、そしてその目的を達成していかなければならぬのであります。従いまして科学技術庁には顧問制、参与制をしいて、その問題に対する練達たんのうの士をお願いすると同時に、学術会議諮問もひんぱんにこれをお願いをいたしますし、またこの法案にも書いてございます科学技術審議会あるいは航空技術審議会、資源調査会、発明奨励審議会というような審議会、調査会を作ります石ときには、十分学会その他の練達たんのうの士をこの審議会、調査会委員にお願いいたしまして、機能は十分に発揮をしていただいて、そういう問題を必ず解決していきたい、さように考えておる次第であります。
  68. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 総合調整と関連して予算が童舞な問題なんですが、予算につきましては、科学技術に関する「経費の見積の方針調整」、こういうことが仕事の中に入っておるわけです。その意味について伺いたいのですが、どういうふうにして実際これを予算の上では調整していくのか。たとえば予算要求のときにこれを調整されるのかですね、あるいは意見の食い違いがずいぶんできるんじゃないか、これをどうするのか。それから大蔵省と折衝するときに技術庁がし向けて調整をされるのか、あるいはそうでないのか、そういう具体的なことを伺いたいのです。
  69. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) その予算の技術的な面は私よくわかりませんから、局長から一つお願いしたいと思います。
  70. 鈴江康平

    政府委員(鈴江康平君) 従来科学技術行政協議会でも同様な仕事を実はやっておりますのですが、そのやり方といたしましては、各省が大蔵省に予算要求を提出する前に、各省で案を作りました場合に、それを全部科学技術行政協議会の方に提出をされるわけでございます。それで科学技術行政協議会には各方面の権威のある委員がおりますので、それぞれまあ、農学のことでございますれば、農林省の予算についてそれを詳細に検討する。あるいは工学関係であれば通産省の予算について検討するというようなことで、それぞれの要求予算の内容を見まして、そのうち委員の方から最も重点のものというようなもの、あるいはほかの竹と関係があるだろうと思われるものを全部それを取り出しまして、それでそれぞれの委員が全部集まりまして、その間の調整をはかり、またこの点が最も国として来年度予算においては重点的なものというようなことを決定いたしまして、それをまとめたものをSTACの方から大蔵省の方に建議をするということでございます。それによりまして大蔵省はその意見が、大蔵省の方は、科学技術関係予算はあまりよくわからないというようなことで、STAC勧告をかなり重視して見ておったわけでありますが、科学技術庁になりますれば、おそらく大体同じような方向でやるのじゃなかろうかと思うわけでありますが、ただ従来STACにおきましては職員も少なかった関係上、各省の予算を調査いたしまするときに、委員のお手伝いをすることが十分できなかったといううらみがございますが、今度科学技術庁になりますれば、相当の人員も参るわけでございますので、一そう詳細に各省の予算を調査いたしまして、十分その間の経緯その他重要な点をかけ合いまして、それを科学技術審議会に諮ることになるのではなかろうかと思いますが、また委員方々の御協力を得まして、一つの田としての重要方針と申しますか、方針的なことを作りまして、それに基く予算調整、その案を作って大蔵省に出すことになるだろうと、そういうふうに考えております。
  71. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 そうするとSTACでやっておったと同じようなことを科学技術庁がやる、こういうことになるのですか。
  72. 鈴江康平

    政府委員(鈴江康平君) 実質的には同じようなことになるのかもしれませんが、STACにおきましては、要するに審議会でございますので、審議会のまとまった意見として総理大臣に勧告し、総理大臣から大蔵省の方に伝達されるわけでございますが、今度は科学技術庁本来の職務でございますので、審議会意見は借りますけれども、結局は科学技術庁長官の責任においてそれを大蔵省の方に伝達、するということになるのだと思います。
  73. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 研究予算の要求につきまして、通産大臣なら通産大臣の見解と、科学技術庁長官の見解と違う場合があるだろうと思いますが、最後予算要求書は、通産省なら通産省できまるわけですか。これは違ってもやむを得ないわけですか。
  74. 鈴江康平

    政府委員(鈴江康平君) その点はやむを得ないと思います。それでSTACといたしましては、各省で予算の見積りを決定いたします場合に、省議の決定前に、なるべく大綱の意見を聞きまして、各省の省議の前にSTAC意見を入れてもらいまして、省議とぶつからないように、なるべくしておったわけでございます。しかし今度は科学技術庁になりますので、その点はおそらく今高瀬委員からお話がありましたように、科学技術庁としても、一つ科学技術政策を持つわけでございますから、各省の意見と多少違う点もあるのじゃないかと思うわけであります。その点は従来STACとしましては、各省とSTACの申し上げる意見が違うということになりますれば、要するに大蔵省においてどちらの判断をとるかということになるわけでございますが、科学技術庁になりますれば、長官もおられますし、また政務次官もおられますので、従来よりも一そう強く、各省に科学技術庁としての統一意見を申達することができるのじゃないかというふうに考えるわけであります。
  75. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 さっきの杉村教授のお話で、行政審議会答申の場合には、大蔵省の方で科学技術庁意見を尊重すべきだ、こういうようなふうのことを考えたのだけれども、これは除かれたと、こういうことを言われておりますが、そうすると大蔵省まで行ってしまったら科学技術庁の見解というものが何も響いていかないということになりやしませんか。
  76. 鈴江康平

    政府委員(鈴江康平君) それはあるいは大蔵省の方から御回答申すべきことかもしれませんが、われわれ大蔵省と折衝いたしました限りにおきましては、そういう字句は除きましたけれども科学技術庁意見を十分尊重したいということは大蔵政務次官からもお話がございました。
  77. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 しかし、それは言葉で時の大蔵政務次官がそう言っただけでは、これはあとで無視されても何にもならないではないかという点で非常に疑問が残ると思います。なお二、三御質問いたしたいのですが、さっき参考人の方からいろいろ御意見を伺ったのですが、なお私が疑問に思うのは、つまり科学技術庁日本学術振興会との関係と、科学技術庁科学技術審議会との関係でどこに違いがあるかという点についてお話を願いたいと思います。どちらも諮問するのだと、こういうわけですか。
  78. 鈴江康平

    政府委員(鈴江康平君) お答え申し上げます。今高瀬委員から学術振興会というお話がございましたが、学術会議のことですか。
  79. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 学術会議のことです。
  80. 鈴江康平

    政府委員(鈴江康平君) 御承知のように学術会議は学界の代表機関として存在しておりまして、科学技術に関する各種の意見政府に具申いたしております。それから今度の科学技術審議会と申しますのは、これは御承知のように科学技術庁付属機関でございます。私どもはその差異を考えてみますのに、大体業術会議の方は従来からもそうでございましたが、意見と申しますか、学者の割合に理想的な案が出やすいのでございます。それから今度の科学技術庁科学技術審議会と申しますのはおそらく従来の科学技術行政協議会性格を多分に持つのではないかと思います。これは先ほど茅学術会長も、なるべくSTAC性格をもって円滑にやってもらいたいというお話がございましたので、多分科学技術審議会STACと同じような意向で行くのではないかと思うわけであります。それで科学技術審議会の方はそういった単に学者の理想的な御意見というのみでなく現実の行政を取り入れました意見ということを期待するわけでございます。それで従来もそうだったんでありますが、日本学術会議からは比較的理想的ないろいろな意見が出て参ります。しかるに政府の方で現実にやります場合には予算の問題もございますし、各省のいろいろな権限の問題もございますので、そういったところで学術会議意見をそのまま行政に反映するということは非常に困難でございます。その結果学術会議意見は尊重しますけれどもそれを予算的に裏づけ、あるいは各省の権限等から見ましてそれを具体的にはどうした方がいいかということを十分審議しておったわけでございます。そういうふうな関係は将来もおそらくそうなるのではないか。つまり学術会議といたしましては具体的に申しますれば、たとえば放射線の傷害に関しては日本でやはり研究所を作るべきであるという一つの構想がございまして、それを政府勧告されたわけでありますが、政府といたしましてはそれを作るにはどれくらいの予算が必要であるか、あるいはそれを所管するにはどこが適当であるかという、いろいろなこまかい点がございますので、そういった点については学術会議ではまあ不適当である。またSTACの方は各省も入り、また学術会議の方も入っておるわけでございますが、それを現実に移しました案を作るには適当であるということで、それぞれ分野がございましたのでございますが、おそらく将来科学技術審議会も同様な行き方になるのではないかと、かように考えております。
  81. 千葉信

    ○千葉信君 淺井総裁もお見えになっておりますし、時間の関係もあるようですから、私はこの法案についての内容については時間の関係等がありますので、次回に譲ることにいたします。この法律案の主として形式上の問題になると思うのですが、この法律案によりますると、科学技術庁には、企画調整局原子力局、資源局、調査普及局と、長官官房のほかにこの四つの局が設けられることになっておりますが、御承知かもしれませんけれども、こういう行政組織を決定する基本法として国家行政組織法、その田象行政組織法によりますと、第七条では、「府及び省には、その所掌事務を遂行するため、左に掲げる内部部局を置く。」そうして「官房」「局」「課」こうなっております。それから科学技術庁のような庁の設置の際には、「庁には、その所掌事務を遂行するため、左に掲げる内部部局を置くことができる。」庁の場合には、「官房」「部」それから「課」こうはっきり規定されております。これはですね、おそらくですよ、この点についてこの法律行政組織法違反という問題をつけば、あるいは防衛庁設置法を例にとってああいう違法行為もあるじゃないかと言うかもしれません。しかしその防衛庁の設置法の場合にどういう審議をされたか私は知らない。少くとも今この委員会でこの科学技術庁設置法を審議するに際してはわれわれとしては、こういう違法行為は認めるわけにいかぬ。これに対しては一体どういう考えで提案されたか、知らないで提案されたのか、知っておってこういう提案をされたのか、まずその点を承わりたい。
  82. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 法制上のことにつきましては、私もよく深い知識を持っておりませんが、この提案に際しまして、局にすべきか、部にすべきか、局が置けるかどうかということは、ずいぶん検討を加えたのでございますが、特に科学技術庁の重要性にかんがみ産して、防衛庁並みにこれは局にすべきものであるということを考えてこれをとったのであります。
  83. 千葉信

    ○千葉信君 科学技術庁が防衛庁並みに重要な役割をになうであろうということは私も認めます。しかしそれだからといって、国家行政組織法に違反してもいいということにはならぬと思います。今の答弁では答弁にならぬと思います。ですからやっぱりこれは時間もありませんから、私は簡単に申し上げますが、この法律が少くとも参議院を通るためには、科学技術庁科学技術省にするか、さもなければ企画調整部、原子力部、資源部、調査普及部、こう私は修正する以外に道がないと思います。この点については政府はあらかじめ覚悟しておるかどうか。
  84. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) その点に関しましては、十分法制局とも打ち合せをいたしたので、科学技術庁の重要性にかんがみて局で差しつかえないというので、局として提案したのでありますから、この点に関しましては、一つ法制局の方から……。
  85. 佐治大

    説明員(佐治大君) ただいまの問題でございますが、確かに御指摘のように、国家行政組織法第七条の規定によりますと、庁に置かれる内部部局は「部」「官房」及び「課」ということに相なっております。それでこの科学技術庁設置法案立案いたします場合にまずそれが問題になりまして、だいぶ議論をされたわけでございますが、先ほど政務次官からも御答弁のありましたように、科学技術行政が非常におくれておる、これに対する重要性を政府として打ち出さなければならない、こういう意味合いで特に局としたわけでございまして、しかしそれかといって国家行政組織法を無視したわけではないのでございまして、それには先ほど千葉先生からも御指摘のございましたように、防衛庁の先例もございますので、貴重な先例でございますので、その先例を範といたしましてとったわけでございます。もちろんこのままで国家行政組織法をネグルわけではないのでございまして、たまたま行政機構改革全般に関するいろいろな検討が今なされております。従いましてその全部が明らかになった場合に、国家行政組織法を是正するのが筋ではないかというような考えのもとに、一応局といたしましてこの案を立てたわけでございまして、すでに総理府の内局に原子力局という局もございますし、そういうものが部に格下げすることによっていろいろな影響を受けるのじゃないかというような点も考えられます。その点につきましては十分に議論をしたつもりでございますけれども、その点だけ申し上げます。
  86. 千葉信

    ○千葉信君 これはてんで答弁になっておらんですよ。それは論議をしないでうっかり出したというならまだよいと思う。しかもその法制局なんという法律をこねくり回して、相当国会においても、国会を愚弄するような答弁を、しておる。こんな引っかかるような法律を出してきたなんということは、無責任もはなはだしい。しかも議論して議論して、とうとうこういうところへ落ちついた。そうしてその議論のときに防衛庁の関係を引っぱり出して、こういう前例もあるんだというけれども、その前例自体がもう誤まりなんです。ますますもって許しがたい。今話を聞いておると、今、行政機構については十分検討を加えておる最中だから、その行政機構検討を加えた後において、あるいは国家行政組織法の改正の問題も出てくるかもしれない、そうなれば、まあ合法的なものになるのじゃないか、こういうお話です。それならば行政機構の改革について結論が出て、そうしてこの行政組織法が改正された後に私どもはこの法律案審議しますよ、いいですか、それで。そんな答弁ってあるかい。それじゃわれわれが、田家行政組織法が、あなたの答弁のように、改正されるかもしれないという想定があるなら、私どもはこの法難の合法化を目ざすために、国家行政組織法の改正後でなければこの法律はこの国会を通すことはできない。それでいいですか。そんな答弁ってないですよ。
  87. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 国家行政組織法には、御指摘の通り部制になっておるのでございますが、その点に対しましては、十分に政府としても考えたのでございますが、この際、どうしても科学技術庁の重要性を表現したい、それにはどうしても部でなく、局側を採用するのが、この際適当である。まあそれは法律上においては御議論のようになりますけれども科学技術庁といたしましては、将来もっと拡充強化せらるべきものであって、この際、この部制をしくよりは、局制をしいて、局によってその内容を充実していくという方が適切であるという結論になったために局制を採用したわけであります。
  88. 島村軍次

    ○島村軍次君 関連して……。千葉さんはだいぶ政府をおしかりになるようですけれども、それはあなたの説がいいと思うのだが、しかし重要性という問題についてこれを判断する場合に、行政組織法の一部分を簡単に改正するという、あるいは国会で修正するというようなことで、これは事務的な取扱いとしてやり得るのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  89. 佐治大

    説明員(佐治大君) これは行政管理庁の方から答弁していただくのが至当かと思いますけれども国家行政組織法の第何条の規定にかかわらずというのをどこかに入れるかどうかの問題になるかもしれません、どうしても関連をつけるということになりますれば。
  90. 島村軍次

    ○島村軍次君 そういう問題を御研究になったことはありませんか。
  91. 佐治大

    説明員(佐治大君) それはただい玄も、問題はまた悪例であるとおっしゃるかもしれませんけれども、防衛庁設置法の場合にも明記してございません。そこでその意味を特別に書いたのは、この法案の「特別な職」という所に書いてございますが、「局長を置く。」というのは、普通であれば特に響くことは要らないのであります。それを例外規定であるということをここで表現いたしたような形になっております。たとえば第十三条でございますが、「長官官房に官房長を、各局に局長を賢く。」と書いてございます。「各局に局長を置く。」というのは、普通の省であれば、これは書いてございません。そうして防衛庁にも「各局に局長を置く。」というふうに書いてございますので、それを踏襲したわけでございます。
  92. 千葉信

    ○千葉信君 ここまでくると、やはり行政管理庁の関係が出てきますから、国家行政組織法に対してどう考えているか、これを改正する意思ありゃいなや、従ってこの問題をこれ以上進めるためには、行政管理庁の方の長官の出席を求めなければならぬし、まだ島村さんもちょっと聞かれるようですし、時間ですし、淺井さんも待っておられますから、これは島村さんが済みましたら、すぐ次の議題に移ってもらいたい。
  93. 島村軍次

    ○島村軍次君 淺井総裁がおいでになっておるのに、ずいぶんおそくなるようですが、これは重要な問題ですから、お許しを得まして、大体ただいまのでわかりましたけれども、たとえば十三条の規定によって「局長を置く。」ということを明記してあるが、ということじゃ理論的に理屈にならぬと思います。そこで、早急にこの行政組織法の改正案を一つ考えるべきじゃないかと思います。これはほかの問題ですけれども、きのう中央気象台の視察に参りまして、あそこの調査をした際に、今度気象庁にするという案ができるようです。これは閣議決定が近いうちにあるようですが、これは法案が出てからよく審議したいと思いますが、われわれが一般の長い町の通念として、行政組織法にあるからというので、中央気象台を気象庁にするということには、これはやはり常識として、国民としてはあ法り好まぬと思います。そういう考え方からいきますと、こういう矛属した問題があるんですから、除外例を置く規定を、一つ至急に法制局なり行政管理庁は、こういう重要な問題で局を置くという、政務次官のお話のような重要な問題としてお扱いになるなら、至急に御相談になって、次回の際にはっきりした御答弁を願いたいと思います。それだけ希望を申し上げておきます。
  94. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいま問題となった点につきましては、政府においてとくとお考えを願うことにいたしまして、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  96. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 国家公務員制度及び恩給に関する調査を議題といたします。  本件に関し淺井人中院総裁に対し御質疑のある方は御発言を願います。
  97. 千葉信

    ○千葉信君 人事院の方では、いわゆる春季労働攻勢といいますか、賃金改訂に関する労働争議が起っていることは御存じだと思うし、それからまた最近国鉄に対する調停案以来、一般職の職員のうちの現業に対する調停も出されてきております。その内容についてはあえてここで申し上げるまでもないと思うのですが、こういう情勢に対応するというか、この状態に適応するような措置が人事院としては当然考えられていなければならぬと思うのですが、そり人事院のお考えをこの際一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  98. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 率直にお答えを申し上げますが、ただいまの御質疑の中に、この際人事院が俸給表の改正によるベース・アップをする意思があるかどうかということでございますれば、人事院といたしましては、現在のところがベース・アップの改訂を勧告する用意はないとお答えするより仕方がないのでございます。しかしながら御承知のごとく、ただいま三公社、五現行の調停案というものが出されておりまして、これが問題になっておるのでございますが、この調停案の内容が何を意味するかということは若干不明の点もあります。しかしながらこの団交権を持っている方の公務員だけの給与がこれによって敗訴せられ、団交権を持たない一般職の公務員が不利益を受けるということは人事院として忍びがたいところでございますから、この調停案との関係については人事院としてはいかがになるか十分注視してかつ善処するつもりでおります。
  99. 千葉信

    ○千葉信君 俸給表の改訂に関する人事院の態度というか、勧告という問題については、おそらく従来の人事院の非常に消極的な態度から考えますと、また今回も、昨年の勧告を行なってからまだ一年にならない、例年三月を基準として実態調査を行なってきているので、ことしもそういう意味では特にその調査の時期を繰り上げる意思がなかったという、そういう態度をとられるだろうということは私も予想しておりました。しかし今まで人事院は二度もその勧告において私どもとしては適正な態度をとらなかったいうふうに考えております。そういう意味では私はその俸給表の改訂云々の問題は別として、具体的に人事院として措置をしなけりゃならぬ問題が今回の調停等を中心にして起っていると思うのです。この間の委員会で問題になりましたが、たとえば一つの問題として期末手当について国家公務員並みにしろという、こういう調停案があります。この問題なんかは、もしあの調停が実施されるということになりますと、本来俸給構成等の関係国家公務員と現業職員、それから公共企業体の職員に〇・二五ヵ月分の差のあることが正しいのに、それが同率にもしもなるようなことがあったら、なるならないは別として、そういう調停案が出ているのですから、この点について人事院として腹をすえて、この問題についての解決の方向を準備される必要がある。同時にまた期末手当の問題については、その支給の時期については将来の問題ですから、その点について対処をするということと、それからもう一つはそれぞれ一時命の支給について年度内に支給せよという調停案も出ております。これまた国家公務員との間にそういう実施があれば大きな開きをしておる。淺井さんも御承知のように、従来いつの場合でも国家公務員の一般職の職員は、現業職を除いては大体不利益に扱われてきた。結果としては大きな不利益をこうむっておる。人事院ではちゃんとそれを知らないはずはないのですから、そういう状態を人事院が黙って見てきたという過去の人事院の態度が追及されなければならぬと同時に、また今回もそういう不均衡な不利益な状態を人事院が積極的に解決しようと、もしくは努力をしないとしたならば、これは人事院の存置ということは全然公務員にとっては意味をなさぬことになる。この点についてお答えを願いたいことが一つと、それからもう一つは、それぞれの調停案の中に出ておりますが、昇格昇給の完全実施、これはどこの調停案にもその点は主張されております。この問題についてはこの前——この両三年来の昇給昇格のストップというか、定期昇給等の三制ぶった切りというような格好の非常に不利益な状態を現出しておりますが、これに対する実情を調査して至急国会に出してもらいたいということを私は人事院に要請申し上げました。このことは大蔵省の答弁によっても、ことしもまた一般職の職員に対する給与に関する法律が約束しておる——規定しておる昇給は行うことができない、そういう予算が組まれておるという答弁がはっきりあったのですから、この点についても人事院は私の要求した調査を出される必要があるし、同時にまたこれに対しても人事院としては積極的な態度をとらなければならぬと思う。私はこの問題については、そういう不当な予算が今国会審議中なんだから、それを人事院か座視するという手はないということを委員会で申し上げておるのですが、それに対して努力が払われたとは私はみておりません。この点について資料をお示し願うということと、一体その給与表通りの昇給の不可能な予算の通過に対して人事院はどうして黙っておるか、どういう努力をされるおつもりなのか、それを承わりたい。
  100. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お答えをいたします。今度の調停案において問題になっておる点は数点ございますが、第一は五千円以上の一時金という問題、第二は昇給の問題、第三は期末手当の問題、第四は俸給体系の是正という問題であろうと思っておりますが、このうちでまず人事院として考えておりますることは、なるほど俸給体系の改正ということももちろん考えております、また千葉さんの御指摘になった〇・二五ヵ月分の期末手当の均衡の問題についても十分考えております。また昇給の問題についても十分考えておりますが、さしあたり私は一番問題になるのは一時命の問題であろう。ことにこれは調停案によれば年度内に支払えということになっておりまするので、まず第一に人事院としてはこの一時金の性格並びにどれほどが調停案によってプラスになるのかならないのか、その点を見きわめまして、もしもこの一時金によって一般職公務員が不当な不利益を受けることになれば、さようなことのないように私は措置をいたしたい——人事院が措置をできるわけではありませんが、措置ができるように人事院として努力いたしたいと、かように考えております。これが一番先の問題であろうと思っております。なお、私は昇給の問題に関しましては、あまり悲観はいたしておりません。これは大体人事院のこれまでの努力によって相当やれると思っておりますが、なおこれはいろいろな方法によって努力をいたしたい。それから期末手当の問題、俸給体系の問題等におきましては、いずれ人事院の報告をいたす時期もあろうかと思いますので、これは現在の問題ではないと思いますが、そのときにこれは考慮いたしたい。かように今のところでは考えております。
  101. 千葉信

    ○千葉信君 年度内に支給されようとしている一時金の問題について、これは私は人事院の立場として、もしも当然支給されることになりそうな情勢の中で、たとえば公共企業体の職員、現業職の職員等に対して、支給されるかもしれないという情勢に水をぶっかけることになっては困るというお気持を持っておられるだろうということは私よくわかるのです。しかし一面からいうと、そういう考慮を払うことも悪いことではないけれども、そういう考慮を払うことによって、人事院がじんぜん時をかせいで、そうして国家公務員がそのために不利益をこうむらざるを得ないような段階に追い込んではならぬということ、ですからそのためには、やはり人事院としては最も適切な時期を選ばなければならぬと思うのです。おれの方で勧告を出したために、おれの方でこういう措置をとったために、現業職の職員あるいは公共企業体の職員が当然支給さるべかりしものがあやしげになっていくという格好を避けるというお気持はよくわかります。しかしそれだからといって、一方では最終解決はどうなるかわかりませんけれども、しかし調停は年度内支給ということになっている。年度内の支給ということは、これは国家公務員の場合には非常にむずかしいと思う。むずかしいと思うけれども、むずかしいと思うだけに、人事院としてはその時期を誤まらないで、その措置を明確にさせるような態度をとらなければ、これは人事院の配慮がかえって全体に対してあだとなるような結果も私は招来しかねないと思う。  それからもう一つの点は、人事院のそういう考慮のいかんにかかわらず、逆の考え方からいけば、私はここで各職員に対する調停案の提示と時を同じうして、人事院もまた国家公務員に対するこういう措置が必要だという明快な態度を表示することが、私はまた解決の促進になるし、全体として問題の合理的な解決が同町に行われる、こういうことになると思うのです。私はかなり総裁が人知れず苦労していろいろな工作を行なっているということは承知しております。しかしやはり人事院としては、この際相当踏み切った態度をとる必要がある。  それから定期昇給の問題つにいては、淺井さんは大へん楽観した答弁をされておりますが、これは内閣委員会のこの問題を審議した速記録を見てもらえばはっきりわかります。予算を編成した大蔵省当局ができないと言っている予算が、今国会審議中なんです。できないというその予算国会を通過したら、それは淺井さんの楽観論は単なる楽観論に終ってしまう。しかし定期昇給は可能だともし淺井さんが言うなら、その可能だということは高給者に対する首切りなんかを代償としなければできない。それから当然採用しなければならない定員内の職員を採用しないで、欠員のまま仕事をする。それによって予算を浮かして定期昇給をする。労働強化じゃありませんか。不当な首切りじゃありませんか。そんな淺井さんの、やろうと思えばできないわけじゃないというようは楽観論は、私は淺井さんとしてはすべきじゃないと思う。黙って聞いておると、大蔵省の代弁みたいな格好になる。それからまた俸給表等の問題についても、淺井さんとしては今々の問題じゃない。しかし人事院としては考えているということであれば、これは私はその点についてはこれ以上追及しません、おそらく考えているという以上、各調停案の実施される俸給表の改訂等について、あるいは期末手当の支給等について、それぞれの調停が実施されるときまでには、私は人事院としては何とか措置をする、勧告をするという約束をしたも同然だという考えの上に立って、その点については追及しない。しかし前の二点についてもっと明確にしてもらいたい。
  102. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 一時金に対して人事院は適切なる処置をとれということは全く御同感であります。人事院といたしましては適切なる時期に、適切なる方法をとりつつあると、これだけ申し上げて、御了承を得たいと思います。それから昇給昇格の問題ですが、これはどうも、もう少し長い目で見ておっていただきたい。私としてはさように悲観しておらない。千葉さんはきわめて悲観的な御議論であるが、それはこの間、原主計局次長がここで申しましたことがあまりに響きすぎているのじゃないか。私はそうも思いませんが、これについてはもちろん人事院等も今後も努力するつもりでおります。
  103. 千葉信

    ○千葉信君 大体これくらいでやめますが、いつも淺井さんのおかげで損をしている国家公務員ですから、今度だけはそういう損は絶対させぬという腹をすえた行動に出てもらうことを、私は今大体そのお約束を願ったつもりなので、腹をすえてもらうということを期持して、これで打ち切ります。
  104. 田畑金光

    ○田畑金光君 総裁の御答弁でわかりましたが、今お話の適切な時期に、適切な方法によって処理されると、こういう御方針でありますが、もうすでに三公社、五現業の調停案が出そろって、政府としてもこれを大体尊重する。当局にもそういうような指導をなそうという腹のように聞いておるわけでありまするが、ことに問題となっておりまする一時金の問題は、年度内に支給されるべきことと、予算の点から申しても補正予算という問題も出てこようと考えるわけであります。そういうような点から申しますると、その適切な時期という点が非常に関心事になるわけでありまするが、それについてどういうような御方針でおられるのか承わりたいと思います。
  105. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 人事院としては、すでに適切なる方法でやっておるつもりでおるのであります。ただこれは勧告とか何とかそういう方法をとらぬために知れていないのでございます。
  106. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 本日はこの程度にとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時九分散会