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1956-02-28 第24回国会 参議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十八日(火曜日)    午前十時五十三分開会     —————————————   委員の異動 二月二十四日委員岡田宗司君辞任につ き、その補欠として吉田法晴君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小柳 牧衞君    理事            野本 品吉君            千葉  信君            島村 軍次君    委員            植竹 春彦君            中山 壽彦君            田畑 金光君            吉田 法晴君            豊田 雅孝君            廣瀬 久忠君   国務大臣    国 務 大 臣 正力松太郎君   政府委員    内閣官房長官 田中 榮一君    内閣総理大臣官    房審議室長   賀屋 正雄君    調達庁次長   丸山  佶君    調達庁不動産部    長       大石 孝章君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    会計検査院事務    総局第二局長  保岡  豊君     —————————————   本日の会議に付した案件連合審査会開会の件 ○科学技術庁設置法案内閣送付、予  備審査) ○総理府設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○日本国との平和条約効力発生及  び日本国アメリカ合衆国との間の  安全保障条約第三条に基く行政協定  の実施等に伴い国家公務員法等の一  部を改正する等の法律の一部を改正  する法律案千葉信君外六名発議)  (第二十三回国会継続) ○公共企業体職員等共済組合法案(植  竹春彦君外二十七名発議)(第二十  三回国会継続) ○国家公務員制度及び恩給に関する調  査の件  (公務員薪炭手当に関する件) ○国の防衛に関する調査の件  (基地問題の現状に関する件)     —————————————
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいまから開会いたします。  委員の変更について御通知申し上げます。二月二十四日、岡田宗司君が辞任されまして、その補欠として吉田法晴君が本委員に選任されました。  以上、御通知申し上げます。     —————————————
  3. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  臨時教育制度審議会設置法案につきましては、文教委員長から、本委員会と連合して審査を行いたい旨の強い御希望もございますので、本案につきましては、本院規則第三十六条に基きまして、文教委員会連合審査会開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。日時その他につきましては……。
  5. 千葉信

    千葉信君 その点についてですが、この前も総理府設置法の一部を改正する法律案関係について連合審査会を申し込まれて、当委員会としては異議なくこれに賛同いたしました。今回また、ただいま委員長からお諮りのように連合審査を申し込まれておりますが、やはりその日時等については、予備審査段階ではなくて、本審査段階において連合審査をするように委員長の方で御考慮を願いたいと思います。
  6. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいま千葉君の御要求もございますので、その趣旨をよく考えまして、日時その他につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  7. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、科学技術庁設置法案議題にいたします。  まず、政府から本案に対する提案理由説明を聴取いたします。
  8. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 今回提出いたしました科学技術庁設置法案につきまして、その提案理由及び内容概要説明いたします。  科学技術を振興し、国民経済自立発展生活水準の向上に役立たせることは、国内資源が乏しく脆弱な経済基盤の上に、膨大な人口を擁する今日のわが国にとっては、きわめて緊急を要し、かつ重要な問題であります。しかるに、わが国におけるこれら科学技術に関する行政を所掌する行政組織は、それぞれの所管行政に応じて関係省庁において分担いたしておりまして、科学技術全般に関する基本的な政策企画立案し、及び推進するとともに、関係省庁科学技術に関する行政総合的調整を行う行政機関を急速に設ける必要に迫られているのであります。これがため、政府といたしましては、原子力利用をも含めた科学技術に関する行政を総合的に推進する組織として、現在の総理府原子力局を含めて、新たに総理府の外局として科学技術庁を設けることとし、今回この科学技術庁設置法案を提出いたした次第であります。  以下、本法案内容につきまして主要な点を説明いたします。  まず、科学技術庁所掌事務は、科学技術に関する基本的な政策企画、立案及び推進関係行政機関事務総合調整関係行政機関科学技術に関する経費見積方針調整日本学術会議との連絡試験研究の助成、原子力利用に関する事務資源総合的利用のための調査発明及び実用新案奨励及び実施化推進科学技術及び資源総合的利用に関する内外の動向の調査分析資料統計の作成、頒布並びに所掌事務に関する広報及び啓発を行うことであります。この科学技術庁所掌事務につきまして特に注意すべきことは、大学研究の自由を確保する必要上、特に「大学における研究に係るもの」をその行政対象から除いたことであります。  科学技術庁長官は、国務大臣をもって充てることとし、所管行政に関する重要事項につきましては、関係行政機関の長に対し勧告を行い、勧告の結果について報告を徴し、また特に必要と認めたときは、内閣総理大臣に対し、閣議で決定した方針に基いて、内閣法第六条の規定に基く措置をとるよう意見を具申することができることを明らかにいたしました。  次に、科学技術庁組織でありますが、内局といたしまして、長官官房のほか、企画調整局原子力局資源局及び調査普及局の四局を置くことといたしております。またその所管行政が広範かり専門的な分野にわたりますので、特に長官、次官のほか、科学技術庁科学審議官を、長官官房及び各局に科学調査官を置いて、広い視野から所管行政方策決定に参画せしめるとともに、特に付属機関たる研究所科学研究官を置き、専門的事項研究に従事せしめることといたしております。さらに、所掌事務性質上、重要施策に参画せしめるため顧問及び参与を置くことができることといたしました。  次に、科学技術庁付属機関といたしましては、研究機関として航空技術研究所及び金属材料技術研究所を設けまして、それぞれ専門研究を行わせるとともに、所管行政の民主的な運営を期するため、審議機関として科学技術審議会航空技術審議会資源調査会及び発明奨励審議会を付置いたしまして、それぞれ専門重要事項について調査審議せしめ、その意見行政に反映せしめることといたしました。なお、科学技術庁設置に伴いまして、総理府設置法その他関係法律につき、必要な改正または廃止に関する規定を附則に設けた次第であります。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。何とぞ御審議の上、御賛同賜わらんことをお願いいたします。
  9. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 本日は、本案に対する提案理由説明を聴取するにとどめておきたいと存じます。ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  11. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対して御質疑のおありの方は御発言を願います。
  12. 千葉信

    千葉信君 総理府設置法の一部を改正する法律案、今日午後から法務委員会との連合審査ということになっておりますし、かたがた、まだこれは予備審査段階です。ですから急に、昨日御連絡がつきませんでしたけれども、緑風会島村先生、それから専門員の方へお願いしまして、きょう委員長承認ということで基地問題に関する調査案件を上程してもらうことになっております。時間の関係等もありますので、一つ吉田君の方からその問題について質問したいということですから、その方に切りかえを願います。
  13. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいま千葉君から御発言がございましたが、本議題の本委員会における質疑は、連合審査会も開かれることでありますから、後日に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  15. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、日本国との平和条約効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案公共企業体職員等共済組合法案及び公務員薪炭手当に関する件につきましては、各党派閥意見調整する必要がありますので、便宜三件を一括して議題といたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  以上、三件につきまして、これから取扱い等につきまして、御懇談を願いたいと思います。  速記を中止して下さい。   〔速記中止
  17. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を始めて。  以上、三件につきましては、本日はこの程度にとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  速記をとめて。   〔速記中止
  19. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を始めて。  次に、国の防衛に関する調査として基地問題の現状に関する件を議題にいたします。
  20. 吉田法晴

    吉田法晴君 一月の三十一日、本委員会安田調達庁長官質疑をいたしましたが、明らかにならないままに今日に至っておりまするし、その際国の予算補償でなしに出すことができるかどうか、こういう点について、以前に予算委員会会計検査院の意向を私が伺いましたときの会計検査院答弁を食い違うやに考えられる点もございますので、その際、委員長調達庁会計検査院列席の上で質疑をいたしたい、こう申しておった点もございます。その他明らかにならずにおります点について質疑をいたしたいと思います。その懸案の点に入りますまでに、一、二小さい問題、特殊な問題でございますが、お尋ねいたしたいと思います。  一つは、これは調達庁お尋ねをするのですが、小倉市の北方に林田一という人が昭和十一年ごろから居住をして、山林その他ですが、千五百坪ほど開墾をして園芸をやっておった。そこを小倉キャンプ第三工作隊というのですが、キャンプにしたい、あるいはその近くに射撃場ができたようですが、射撃場にしたい、そういうことで、陳情書によりますと、小倉特別建設事務所と交渉したと書いてございますが、かえ地をあっせんする、家屋は移転してやる、あるいは損害は完全に補償をする、こういう条件で応ずることにしたが、実際に建てた家は初めから傾いておる、あるいは家具もない、こういうことで移り住むことができない、間もなくその家は倒れてしまった、本人は自分でバラックを建ててそして住んでおる、米軍は拳銃を突きつけて恐喝をした、立ちのかなければ一家みな殺しにするといってバリケードを張り始めた。自分はそういうことでは立ちのくわけにいかぬ、死んでも立ちのくわけにいかぬ、殺すなら殺してみろということで今日に至っておるという事実がございます。地方の新聞には相当大きく載せられましたが、要請にこたえて、私も短時間でありましたが、見て参りましたが、まことに人の住むべきところでないようなものに住んで、そのために妻君は結核になっておる。それから屋根を修理しておった子供は、飛んで来たたまに驚いてころげ落ちて骨折をした。二人の子供がありますが、その二人の子供仕事ができない。これは通路がふさがれたわけであります。一家四人でありますけれども、一家四人が生活することができないで、雪の降り込む中に放置をされておるという事態がございますが、きのう申し上げたので、どの程度中央でおわかりになっておるかわかりませんけれども、こういう事態については、多少従来報告もあったかと思うのであります。どういうようにしてこられたか、あるいはどういうようにしようという方針であるのか、その点を一つ具体的に承わりたいと思います。
  21. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 安田長官があいにく病気で、しばらく不在でございますので、次長の私、かわってお答え申し上げます。  ただいまの件は私承知いたしているところ、二十九年にすでに解除になっておるところで、そのような問題がないと私は承知しておりましたが、先般そのお話をお聞きしましたので、不動産部長調査を命じておきました。今おっつけ調査部長が参りますので、調査部長から調査内容をお答えさせたいと思いますから、御了承願いたいと思います。
  22. 吉田法晴

    吉田法晴君 もう一つ、具体的な事例で恐縮ですが、これは衆議院内閣委員会茜ケ久保君が若干取り上げたということでございますが、築城飛行場に関連をして、これは他の飛行場と同じに太平洋戦争の最後の段階で、日本の陸軍が特攻基地として作りつつあったものを、それを米軍が引き継いでおったものが、最近になって返還をするということが言われておる飛行場、しかも民間その他に完全な返還がなされないまま、すでに自衛隊が入っております飛行場でありますが、先般地元から市会議員が参りまして、いろいろ話なり、陳情を聞いたのであります。昨年の五月から二十何件にわたって人を殺した、あるいはひき殺した、家を壊した、その他そういう損害を与えた、人及び人家等でありますが、それについて全然補償がなされておらぬ。人をひき殺した事件のごとき、こちらで問い合せて、昨年の十一月二十七日に書類小倉調達庁出先機関に出たということだけはわかりましたけれども、全然その後何もしていない。この間、そのあと福岡に参りまして、私どもが問い合せた後に、福岡からこちらに書類が送られてきた、こういう事態であります。それから、ため池をつぶしたから、ため池のかわりを作ってやる、あるいは道路をつぶしたから、迂回しておるけれども道路を作ってやる、こういう話があったが、それももう何年もたっているけれども実際に全然実現もしない。それから防風林を伐採し、これは海に向かって実弾射撃をやっておるわけですが、九十九里浜のようにやっておるのでありますが、それについての補償も全然ない。あるいは防風林にかわるべき措置のごときはなおさらであります。いろいろな今言いわけがなされましたけれども、同じ時期に伐採をした藤屋の防風林に対しては、すでに数年前から補償がなされておる。どうしてかくのごとき築城飛行場関係については補償がせられないのか、その点についてお尋ねいたしたい。
  23. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 補償をすべきものは当然補償すべきものでありますので、それも委員会の御調査報告のものを承わっておりますので、不動産部長が本日その件のことも詳細に御説明に後ほど上るようになっておりますから、御了承願います。
  24. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじゃ不動産部長が来られるのを待ちます。  それから砂川その他、その他に示されたかどうかわかりませんが、協力謝礼金についてですが、前の国会の終りごろ、予算委員会会計検査院の方に来ていただきまして、この補償でないような金が施設提供費の中から出し得るかどうか、こういう質問をいたしましたところが、そういうことはかつてなかったから、そういうことはないはずだ、重ねて問いましたけれども、そういうことはないはずだ、こういう答弁でございました。ところが、その後いわゆる砂川条件派と言われる人、あるいは新聞等にも、補償でこれはないとまあ考えられるのでありますが、土地に正比例をせずに、ただ協力をするかしないか、協力というのは、喜んで提供をするかしないか、そういうことで出されておる金、出そうとする金であるかのようにまあ聞くのであります。まずどういう金をどういう工合に出そうとしておられるのか、それから一つお尋ねいたしたいと思います。これはまず会計検査院の方は実態をよく御存じないようですから、調達庁の方から御説明を願いたいと思います。
  25. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 協力謝金の問題のお尋ねと存じますが、予算的には防衛支出金、この防衛支出金の中でいわゆる施設区域、あるいは一般に基地と申します。それに要する経費をまかなうわけでございますが、新規拡張、つまり砂川その他飛行場拡張等の場合におきましては、土地の買い上げ、それから飛行場のために支障になるような建物、その他のいろいろな除却というようなことが必要でございます。これに関しまして、重大な個人の財産権の問題でございますから、十分に買収し、あるいは補償等をいたすのはもちろんでございますが、全般的に広い区域等の問題で、この施設区域に要する土地等米軍側への提供、この提供を円滑に、しかも迅速に実現ができるようなための必要な経費は、やはり施設区域提供費のうちで支弁して差しつかえないものと考えておりまして、その意味から、今の関係者には補償費等とは別途に、協力をいただいた方に協力謝金支出しようと考えたわけでございます。
  26. 吉田法晴

    吉田法晴君 性質あとで伺うのですが、具体的な案を、どういう構想であるのか、具体的にお示しを願いたい。
  27. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 大体その関係土地関係人つまり所有権者あるいはその他いろいろな権利者等に関しまして、その権利性質あるいはものの実態というものの差別を若干つけましたが、五万円から三十五万円、その範囲において実態に応じて謝金支出しよう、ただし、いろいろの権利関係、あるいはものの実態が同一の所有者でだぶっておられるというものは合算いたしますが、しかしそれといえども五十万円をこえないようにしよう、こういう基準のもとに協力謝金支出いたしたいと考えております。
  28. 吉田法晴

    吉田法晴君 まだ具体的には明らかになりませんけれども、五万円から三十五万円の範囲ですか。実態に応ずる云々ということですが、それはいわば実態に応じてということですから、調達庁なら調達庁の係官が任意にやり得ることですか、だれがきめるのか。それから五万円あるいは三十五万円の決定任意にやり得るのか、それとも標準があるのか、そういう点はどうですか。
  29. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 調達庁長官標準を定めております。五万円という場合はどういう場合であるか、十万円という場合はどういう場合であるか、二十万円というのはどういう場合でありますか、その標準調達庁長官が定めております。
  30. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、その標準というのは何ですか。
  31. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 土地建物に分けまして、土地ではまず所有権者及び耕作者対象とする場合に、面積二反歩未満該当者に五万円、一反歩から二反歩未満十万円、二反から四反二十万円、四反から六反三十万円、六反以上三十五万円、これが土地に関する関係でございます。それから建物関係で申し上げますと、店舗工場等所有して経営されている方、これに対して三十五万円、店舗工場所有ではなく賃借で経営されている方三十万円、それからその他の建物所有して居住しておられる方三十万円、建物所有でなく賃借で居住している方が二十五万円、今度は居住しておらないで建物を貸しておられる方に、この場合に十万円、それから建物を直接貸しではなく転貸しをしている方五万円、それから建物全体ではなしに、そのうちの一部分、借間等の方に五万円、かようなのが具体的の基準でございます。
  32. 吉田法晴

    吉田法晴君 それは補償ではなくて、喜んであけるかあけぬか、あるいは喜んで売るか売らぬか、それだけでそういう金を渡す、こういう性質のものですか。
  33. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 補償ではなしに、補償とは別個に、国の仕事要請に応じて協力していただいた、こういう意味合いで別個に支給するつもりでおります。
  34. 吉田法晴

    吉田法晴君 ですから補償ではなければ性質は何ですか。
  35. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 性質はあるいは報奨金あるいは謝礼金というようなものに類するものと考えまして、これは法令上の補償とは別に、国の施策に必要と認めた行政措置として出すものと、かように思っております。
  36. 吉田法晴

    吉田法晴君 その法上の根拠をお示しをいただきたい。
  37. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 先ほども申し上げましたように、法令上義務的に政府支出を要するものではございませんが、国の施策上必要な、行政措置として必要な経費でございまして、予算の認めるところでありますので、予算に認められる範囲内の必要な行政措置である、かように考えております。
  38. 吉田法晴

    吉田法晴君 予算については一番最初に防衛支出金云々、あるいは施設提供費だと思うのですが、法令上の義務的なものではない云々というお話です。そこでまあ会計検査院にもお尋ねしたいのですが、補償でないそういう金が出たことはないし、あるいは出るはずがない、こういう御答弁です。そのときにも会計検査院から、電源開発でしたか何かで、あるいはそういう事例があったかもしらぬけれども、国の予算についてはそういう事例はなかった。国の金はこれは税金で国民から取り立てたもの、あるいはそれに準ずるもの、従って民主的な財政制度のもとにおいては、取り立てる方も国会承認を得、国民自身承認がなければ取り立てることはできない。それから出すにしても、これは国民が、国会を通じてでありますけれども、承認をした出し方をする以外にない。行政法律に従ってやらなければならぬことは、これは憲法にもはっきり書いてございます。それで法令上の根拠はどういうところにあるかということをお尋ねしたのですが、今の程度しかないのですが、会計検査院の御所見を承わりたいと思います。
  39. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 私が去年参議院の予算委員会で、吉田先生協力謝金についてのお話がありましたときに、まだ協力謝金という名前もそのときわかっていなかった、内容がよくわからなかったのでございます。私申し上げたのは、内容がよくわからぬが、何か民間でやっているお礼みたいなものみたいに思うが、そういうお礼みたいなものはまだ官庁で出したことはないと、それだけ申し上げたはずでございます。ただいまの御質問に対しましては、先ほど調達庁次長から申し上げましたように、予算には防衛支出金とありまして、防衛支出金の項の目的は必要な経費であると、その安全保障条約に基く駐留に関し、わが方で支出する必要な経費であると、こういうふうに書いてあったかと思いますが、必要であるかどうかということが問題です。もしも必要であるとすれば、予算がそういうふうにきまっておるのでありますから、予算目的に反しなければいいではないかと、その範囲には考えております。ただここで必要であるかどうかが問題でありまして、私の方では、政治的、行政的になさいますことでありますから、全然必要でないという結論はまだできないのでございます。それでございますから、必要であるかないかは、今後十分に慎重に検討いたしませんと申し上げられないと思います。ただいまのところそういうことであります。
  40. 吉田法晴

    吉田法晴君 調達庁にも法令上の根拠ということをお尋ねをしたわけですが、今の会計検査院お話でも、予算防衛支出金ということになっておるから、項の名目がそうであるから、米軍施設提供するに必要な経費ということであれば、予算上の予算承認なり、あるいは予算の性格には合致するのではないか、要するに必要であるかないか、それを一応行政機関が判断をしておるのだと、こういうまあ御説明のようでありますけれども、なるほど、もちろんその金は予算防衛支出金としては計上されておる。しかしその金が任意支出せられるということは、これは許されることではなかろうと思うのです。あるいは予算の使途について款項に分かれて承認をされて、そして流用が認められない、それから出していく場合に、行政機関の行為があります場合に、その行政機関の行為は法令に基いてやらなければならぬ、こういうまあ二重の制約があるわけであります。性質としてどういう性質のものか。補償ではないと先ほど言われた。補償でない行政措置という説明次長からもあったわけですが、その補償でない行政措置をなし得る法令上の根拠がどこにあるか、こういうお尋ねをしたところが、法令上の義務経費ではない、しかし国の施策上必要だと考える、その必要だと考えたというのは調達庁で考えたと、こういうことだろうと思うのでありますが、法令上の義務ではないかもしれませんが、それでは出し得る根拠法令一つ示し願いたい。これは重ねて次長にお願いいたします。
  41. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 施設提供のために必要な行政措置と考えまして、それであるから防衛支出金中の施設提供費の中から出してよろしいものと考える。しかしそれをやはり実際的に支出の手続をとりますときには、お説の通り財政法等の法令内容を要するわけでございます。従いまして、その法令に従い、大蔵大臣より目を新設していただきまして、防衛支出金の中の目として特殊区域等協力謝金という目を作っていただき、その目によって——調達庁と申しますと、総理府でございますが、大蔵省の防衛支出金から総理府の方へ移しかえをいただきます。
  42. 吉田法晴

    吉田法晴君 まあ予算上の措置、特殊区域の協力謝金というのですか、目新設の点はわかりました。予算に計上せられておるからといって任意に出されるということは、これはないでしょう。協力謝金といっても、その協力謝金が、たとえばあれは好ましい人間だからということで出されるということは、これはあり得ぬと思います。あるいは虫が好かぬからあれには出さぬということはあり得ぬと思います。これは言うまでもなく国民の税金でございますから、予算上の、あるいは財政法しの制約もございますが、その財政法の根拠等も承わりたいと、こういうことをお尋ねをしたわけけあります。御説明がございませんけれども、別な言葉で言うならば、項によってはこれは出されるでしょう。あるいは損害があったからその損害補償する、あるいは土地なり土地についてその対価を評価し、その上に立って施設提供費を出していく、あるいは協力謝金を出していく、これは予算の目はわかりましたけれども、その支出する場合に標準がございましょう。なるほど調達庁長官が、先ほど述べられたような、跡地について一反歩から五反歩までは幾らと、こういうあれがございましたが、それは何だというその法的な性格も聞いたわけでございます。それは単に調達庁長官がきめたということでなしに、それが対価であるのか、何であるのか、項ではないはずであります。その辺の性格をお示し願いたい。
  43. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 施設提供をできる限り円滑に迅速にするためには、その地元関係者の切なる御協力を得なければなりません。その御協力を得るための必要な施策、その施策としては従来からいろいろございます。たとえばその地元町村の道路改修、あるいはその他いろいろ公共施設を国が補助するというようなことによって、その提供協力を得て仕事を進めると、こういうこともやっておりました。また場合によりましては、その地元部落等全般に、ある程度個々に見舞金を出すようなことによって施設提供仕事を円滑にするというようなことも考えたことがございます。今回飛行場の拡充に当りましては、この事の重大、緊急性、また関係者の多いこと等で、特に地元の知事さんの御協力を求めておって仕事をしておりましたが、地元の関係者あるいは知事さんの御意見等によりまして、それに関しては提供を円滑に進めるために、こういう直接関係者に、協力をされる方に対して謝金のようなものを出すことが最も適切である。かようなことから協力謝金の制度を考えまして、予算上必要な措置をとりまして支出いたしたい、かようなわけでございます。
  44. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の御答弁の中の、道路を改修する、あるいは新築にしてもそう思うのですが、道路を改修する費用は道路を改修する費用で公共事業費、それから見舞金と言われますけれども、その見舞金も、補償というふうに至らない程度の、これは損害の評価の程度の問題だと思うのですけれども、精神的な、あるいはいろいろのものでやはり損害を与える。それが補償というに至らない程度の場合に見舞金を出す、見舞金という名前で、厳密にそれぞれの損害を評価する程度に至らない場合に見舞金を出す、これは実際にございます。ところが今の協力謝礼金というのは、土地の対価の一部分でもない、あるいは移転なら移転をする場合に、移転の損害補償か、あるいは補償に至らない見舞金でもない。ただ協力をするかしないか、その協力という点も、これは何というか、調達庁側から言われる協力か、協力でないかという点でありましょうが、それを知事の要請によって出すということでありますけれども、補償金でもない、精神的な協力をするかしないか、それだけで出される金ですか。
  45. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 精神的な協力はちょっと誤解を招くかと思います。協力というものは、もちろん調達庁側と申しますか、国の施策上の協力でございますので、実質的に政府が必要とする土地提供、あるいは建物等、障害物の除却等、実質的な意味合いに対して、実際的に施策に合うようなことをして下さるのが協力でございますので、単に精神的な意味合いの協力ということではございません。
  46. 吉田法晴

    吉田法晴君 実質的な協力というのですけれども、物に対して、物の対価その他ではなくて、ただ協力をするか、せぬか、とにかく、これは実質的な協力かもしれませんが、そういうものについてのあれならば、精神的なものではないかということを言うわけです。というのは、知事が要請したものについてということもありますが、出そうと言われる、いわゆる条件派と言われる人たちにしても、たとえば補償について、農地については坪あたり幾ら、宅地については坪あたり幾らという要求がなされている。その評価の点についてはいろいろあるでしょう。あるでしょうが、これからの発展性等も見込んで出したか、出さぬかという点もありましょう。ところがこれは、あなたの言われる協力というか、あるいは提供するか、せぬかという方についても、補償の要求として具体的に出されておる。ところがそれじゃなくて、別に出すというのですから、それならそれは何だ、まあ条件派が出した云々という中に慰謝料というのがありますが、それでもなさそうだ。ものがわかりませんから、もう少し世間で通用するような説明を願いたいと思います。
  47. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 政府飛行場拡張のためにその所用の土地等がほしいわけでございます。これに対しての通常の措置は、買収価格あるいは補償費でございます。この買収価格、補償費は、もちろん客観的な適正なものをもって措置すべきが当然でございます。しかし非常に急ぐ緊急重要事件で、これを措置するためには、適正な補償その他によりまして、土地の方に協力していただいて御同意願えれば非常によろしいのですが、それをぜひ、その協力に御同意を得るためにいろいろな施策も必要だと考えます。その必要な施策一つといたしまして、いろいろな施策がございますが、今回の実態におきましては、協力謝金を支給することが最も協力を得る必要な措置と考えてやったわけでございます。
  48. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじゃお伺いをいたしますが、砂川以外はみな緊急じゃない。先ほど私は築城の例をお話いたしましたけれども、人をひき殺した。これが公用であるか、ないかという場合もございましょう。ひき殺した行為が公用であったならば、これはすみやかに補償をしなければならぬだろうと思う。そういうのは緊急じゃなくて、砂川の点だけが緊急と考えられるのか。まあ築城の場合は別問題といたしまして、砂川以外は緊急でないと考えられておるのかどうか。それからもう一つ施策という話ですが、その施策性質を聞いている。あなたから私の納得し得るような説明がない。そうすると、いわば切りくずし費、ということにしかならぬと思うのですが、そういう切りくずし費を国が出していいかどうか、緊急だということのために……。これはほかの事例についても、もしそういう事例が財政法上も認められるということになりますと、どこでもやるでしょう。緊急であるか、ないかはその行政機関が認めるだけで、そうしてその出し方については自分で判断をして、その長官が、まあ一応各機関の長でありますが、その長で判断をすれば、いかようにも出し得る。こういうことになるのですが、今の緊急というのは、ほかのものは緊急でないと言われるのか。それから施策というものは切りくずし費以外にはないのじゃないかと私は思うのですが、ほかに何か性質がありますならばはっきりお答えを願いたい。
  49. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 決して切りくずし費のような意味合いの考えはないのでございまして、砂川を例に出しますと、いわゆる条件派と反対派というものと二派がありますが、政府としましては、全体の関係者がぜひ国の施策協力をいただいて、通常の買収契約なり、あるいは補償契約なりに応じていただきたい、かように考えて、全体の関係人の方が施策協力していただく、このために、この場合には協力謝金のようなものが必要である、こういうふうに考えておる次第でございます。なおこの緊急云々の問題でございますが、砂川にだけではなくて、この制度の適用を考えておりますのは、五つの飛行場対象に考えております。
  50. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の御答弁で、全体の御協力を得たいというのですが、切りくずしのための金でなくて、全体の協力を得られるということであるならば、あるいは買収の費用について、あるいはその他の点について条件を、これはいい条件をお出しになるという以外に私はなかろうと思う。現にあなたたちは、先ほど言われたような協力謝礼金というものを提示された、しかし全体はおろか、大部分の人も、あるいはいわゆる条件派と言われた人についても、ほとんどこれについては、まあ見向きもしないと言えば何ですが、結局七名くらいの者がそれではという話があったという、全体の協力どころの話じゃない。条件派さえもとにかく得られない。それは動機が不純だからです。それから対象になっておる土地所有者なり、住民というものをまじめに取り扱って、そうして誠意をもって国が対処する条件というか、あるいは話をなさらないからだ、全体の協力を得られるか、得られないかということは、今の砂川実態ではっきり出ておりますが、それでもやはりまだ全体の協力を得るための国の施策のこれが具体的な方策だと言われるのですか。
  51. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 昨年の十二月以来、この協力謝金を中心といたしまして、都知事さんが全体の協力を得る、全体が国の施策に円満に話し合いで進むように努力なさっておられまして、ただいま現状の私どもが得ました情報といいますか、何では、いわゆる条件派の方々は、非常にこういうことで知事のあっせんのもとに国に協力しようということになっておると承知しております。なおいわゆる反対派のお方々に対しても、知事にその点全体の協力を得るようにお願いをしておるのが現状でございます。
  52. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじゃ、今のお話では知事が中に入って、これだけのものを出したら片づくだろう、何とかなるだろう、こういうことで政府の方に出すように要請があって、それで調達庁の方できめた金だ、こういうように今の御答弁は聞えますが、そうですか、それに間違いありませんね。
  53. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 当初から、調達庁では地元の御協力を得るためにはいろいろな施策が必要であり、いろいろな経費が必要であろう、かように考えておりましたので、そういう意味合いのものを予算で考えておったわけでございます。具体的に仕事が進みまして、すなわち調査もいろいろな騒ぎもございましたが、済み、これから砂川の問題は、遺憾ながら強制的な調査状況になりまして、結果が出て、収用認定までいたしておるわけでございますが、これをなお権力的強制の処置によって進むよりも、やはり話し合いの円満な処置が大事である。こういうことで都庁の方ともいろいろ話し合い、相談いたしました結果、当初から考えていった地元の協力を得るための施策として、地元にもいろいろ要望があるが、そのうちの一つとしては、やはり今の問題になっておりますように、協力謝金というようなことが最も適切である、こういうことで、いろいろな要望、要求のうち最も役に立つというものとして、これを具体的にきめまして実施する、かような段階になっております。
  54. 吉田法晴

    吉田法晴君 前の方は要らぬのです。今の協力謝金というのが適切であろう、そういうのが役に立つということは、都知事からお話があって調達庁は出すようにした、こういうことでございますねということを念を押しておるわけです。いなや応の返答だけでけっこうです。
  55. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 協力謝金の構想が都知事から初めて出たのでないということを私は若干申し上げたのであります。
  56. 吉田法晴

    吉田法晴君 一番しまいの協力謝金が適切であろう、役に立つというのは、それはさっきの返答でだれがしたと言ったのですか。
  57. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) それはいろいろ考えましたうちの一つにそういうものがありまして、それが最も適切であろうということは都知事との話し合いでございました。
  58. 吉田法晴

    吉田法晴君 会計検査院お尋ねをいたしますが、もう少し具体的にやりとりをする必要があるのですが、先ほど示されましたのは、補償ではない、これはまあ調達庁の方で謝金に努力した。土地の広狭が出ておりますけれども、それは土地の対価ではございません。補償ではございませんから、一応書いてはございますけれども、一段階なんですね。たとえば一反歩から二反歩になるというのでも、一反でも二反でも同じことになるのです。ただちょっと越す、これは一段階なんですね。だから広狭にはよっておらぬ、それから土地建物についてもそうでありますが、所有者土地の場合は所有者耕作者が一緒になっておりますから、所有者耕作者とどういう工合に分けられるか、あるいは建物所有者賃借人、こういう工合に分かれますが、それらも別になっておりますから、どちらが率がいいかということになると、賃借人の方が率がいいということに、これは先ほどのあれでいってみても賃借人は二十五万円、それからその他三十万円というのですから、賃借人のいいようにここにも出ておりますが、それは広狭によるのでもございません。そこでいわば性格ということになりますと、補償とか、対価とかいうことでなくて、まあ見舞と申しますか、精神的なものに対する損害云々ということに、もししいて説明するとすれば、それ以外になかろうと思いますが、話を聞いておりましても、それは考え方は調達庁にもあったでしょうが、知事なら知事が中に入って適切であろう、役に立とうということで出すようになったということは否定できない。先ほど申し上げましたように、緊急であるか、ないかということが一つ行政機関の判断にまかせられ、それはどういう工合に分けるかということの規定は、これもいわば規則みたいな、それの標準ですから、これを法律にするか云々というなら別問題でありますが、役所で勝手にきめる。そうしてそういうものが緊急であるか、ないか、適切であるか、ないかということで、施策として出されることは望ましいと考えられますか、どうか、その点一つ会計検査院の所見を承わりたい。
  59. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 御質問のポイントは、望ましいかどうかという御質問だと思うのです。その点につきましては、私ここでもう少し調達庁の御説明を聞いておりましても、ここで話された以外にはございませんのではっきりしないのでございます。また今の吉田先生の御質問なり、調達庁とのやりとりなりを伺っておりましても、はっきりしないものでございますから、その望ましいとか、何とかいう私の意見は差し控えさしていただきたいと思いますが、この契約する……、おっしゃいますように補償ではない、補償ではないけれども、その補償なり何なりの契約をするために必要である、こういうことだけは確かなようであります。だから先ほど申しました防衛支出金の項の目的には違反するとは言えないのではないかと、こういうことだけ申し上げることができると思いますが、まあ望ましいか、望ましくないかを、ここで私の意見として申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  60. 吉田法晴

    吉田法晴君 項なり、それから先ほど目を新設した云々という説明がございました。それは私も認めなければならぬと思う。今申し上げますように、緊急であるか、ないかということは、これは行政庁の判断にまかせる。しかもこれは一応基準らしいものがあります。基準行政庁が作る、そうして支出をする。従って、これは協力であるか、ないかという判断も、協力をしてくれるものであるか、どうであるかという判断も同じ行政庁がやるわけです。そして支出をする。そうすると、どういう事態が起るかということは、これはもう私が申し上げなくてもおわかりだと思うのですけれども、金はまあ任意支出をされるという結果に近いものになる。そういうことが民主的な財政制度のもとにおいて、会計検査院は国の予算法律に従い、あるいは財政法に従って正しく使われるかどうかということを、これは検査する役目を持っておられる役所として、従って行政庁、内閣とは一応独立をしておる。これは前からそうですけれども、監督機関として別の立場に立っておられるから、そういう行政庁が勝手に必要性を自分で判断し、基準自分で作り、そして協力するかどうかということを行政官庁が自分で判断をして支出するようなことが、会計検査院の立場から望ましいか、あるいは望ましくないと考えられるか、そこをお尋ねしております。
  61. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 吉田先生のおっしゃいますことはよくわかるのでございますが、防衛支出金というのはその内訳がはっきりしないと、なかなか初めから予定をつけて、目の設定ができないということで、予算でも目を付けておらない、項だけできめておるものでございます。項だけできめておるものは望ましいか、望ましくないかと申しますと、これははっきり目的は目まではっきりしておる方が、はっきりしていいとは申し上げられますけれども、予算審議におきまして、項だけで目がきまっていないということがきまったのでございますから、それに対して会計検査院は望ましいとか、望ましくないとかいうことは、ちょっと申し上げられないと思います。そこで予算のときに目をきめないで項だけできめて、その項の目的だけをはっきりしておるという場合に、項の目的に沿ってそれを使うときには、目を設定しなくちゃならぬことに財政法になっておりますから、使うときに目を設定する、目を設定したその目が項の目的に外れていなければ、会計検査院はそれで法令上、財政法上差しつかえない、こういう判断をいたします。
  62. 吉田法晴

    吉田法晴君 防衛支出金の場合に項だけで目がないということが、まあ望ましくはない。しかしながら、実際に目がなくて、使うとき目をつけて使う場合に、その項の目的に反していなければ云々という点はわかるのですが、先ほど、これは一つの例ですけれども、もう一ぺん、何べんも繰り返すことになりますが、その使途、緊急であるか、ないかという判断は行政庁がなし、そうしてその支出基準もその行政庁が自分できめ、そうして個々の判断についても、同じ行政庁がみずから判断をして、支出すべきものに該当するかどうかということを判断をして、そうして支出をするというようなことは、これは望ましいか、望ましくないか、こういうことをお尋ねしておる。というのは、たとえば補償の場合には広さがございましょう。広さに応じてそれで単価を掛ける。その単価の計算の基礎というものは、これは出てくるでしょう。あるいは地価というもの、たとえば収用の場合には鑑定等もあります。それからほかにそういう例があったか、なかったか、こういう客観的な条件も判断をしてきめるでしょう。それは行政庁なら行政庁の場合にも、補償なら補償についてならば、その単価について慎重なやはり検討がなされるでしょう、説明のつく……。それはできるでしょうが、この場合には、たとえば五十万なら五十万渡すについて、五十万円の領収書を取られるだけの話です。五十万円がなぜ出てきたかということは、これは領収書につきません。任意にこれはきまるでしょう。そういうことが望ましいかどうか、こういうことを申し上げておるわけです。それから、こういう基準を作られたけれども、その基準はどういう性質のものか、法律じゃない、政令でもありません。政令でもありませんが、そういう任意の、法上の意味を持たない基準によって作る。そうすると、恣意に行政庁だけの、単独の行政庁の判断だけで恣意に国の金が出て行くということになるが、そうすると、あるいは砂川条件派の諸君が、かつてやったことでもございますが、水害なら水害補償金三百三十万円を猫ばばきめたという事件もある。どこへ行ったかわからない。そういう事件もあるのです。そういうことが起って参る、任意に判定をして渡すということになるならば……。そうすると、そういうやり方は会計検査院として望ましいか、望ましくないかということを申し上げておる。予算との関連なしに、そういう出し方について、好ましいか、好ましくないかということをお尋ねしておるわけです。
  63. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 先ほどからもよくわかっておりますが、好ましいか、好ましくないかということを私どもから申し上げることは差し控えさしていただきたいと申し上げますのは、この項の目的は、政府施策をすることは一応国会から許されておるものだと判断しておりまして、そうして今おっしゃいますように、補償におきましても、その基準長官がきめるということがございます。それから土地補償以外のことについても、協力謝金につきましても、先ほど説明がされましたような基準を一応作って知る。この基準は非常に恣意であるというのは、そうであるかもしれません。もう少し普遍的な何かの委員会でやった方が一番いいのかもしれませんが、まあそういういいか、悪いか、その程度の問題でありまして、全然これは必要でない、こんなことをしちゃいかぬということは、ちょっと出て来ないと思います。会計検査院といたしましても、項だけで目が設定してないのは非常に検査がやりにくいのでございます。目もはっきりしておりますと、そのままでちゃんと判断の基礎が、ものさしがはっきりしているものでございますから、いいのでございますけれども、そうでない、このようなものの必要であるか、ないかを判断する、またこのきめられた基準、こういうものがいいか悪いかということを判断することは非常にむずかしいのであります。そのむずかしいという意味におきまして、好ましいか好ましくないかということを申し上げますならば、むずかしいという意味におきまして好ましくないと申し上げることができるかと思いますが、こういう施策をしたことについて好ましいか好ましくないかという批判は、ただいま前から申し上げますように差し控えさしていただきたいと思います。
  64. 吉田法晴

    吉田法晴君 調達庁なり、それから会計検査院なりに先ほどのような基準ですね。これは何ですか、たとえば私はほかのあれから言うならば、そういう補償でもない、会計検査院のあなたの前の答弁によると、こういうものは出されたことはない。そういうものが民間から出されたことはあったかもしらぬけれども、国の機関からない。そうしますならば、新しい金を出すということですから、形式的な法律でなくても、あるいは政令等によって出すべき性質のものかと思うのですが、そういう点から言うならば、それはどういうものなんでしょうか。
  65. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 先ほど説明ございましたように、補償以外の道路を作るとか、水道を引くとか、そういう意味のものもございます。それは補償以外の、補償の契約を結ぶ要件としてそういう土木工事をやってやるということも過去においてありました。そのときも同じように目を設定いたしましてやっております。そういうふうにそのやり方は前にございましたけれども、今度はそういうやり方でなしに、こういうふうなやり方でやる。このことが頭からこいつはいかぬのだという結論は私どもとしていたしかねておるわけでございます。
  66. 吉田法晴

    吉田法晴君 いや、今聞いているのは、いい悪いの点はとにかくとして、道路のやつは、これはたとえば道路については法律道路法の適用があるかないか、それからその予算は公共事業であるかないか云々ということでしょう。そうじゃなくて、こういう性質は皆認めておるような補償なり、対価なり、そういうもので損害賠償ではない。そうすると、協力に対する謝礼金、それが精神的なものであるかどうかということは先ほどやりましたけれども、そういうものについて規定をするもの、これは何かというのです。新しいとにかく今まであった制度以外のエトワスに対するこれは規定でしょう。だからそのエトワスは何か、本体は何かということと、制度上こういうものは何ですかということを聞いておる。
  67. 保岡豊

    説明員保岡豊君) そのおっしゃいますことが、たとえば条件として道路を作ってやるというものと同じではないか、こうお答え申し上げたわけでございます。
  68. 吉田法晴

    吉田法晴君 道路先ほど言いますように、適用される法律から言うならば道路云々、それからその金の点は公共事業から出す云々ということでしょう。それは施設提供する云々という点から言うならば、あるいはそれが施設提供協力を得るために作られておるということはあるかもしれません、実際的には……。実際的にはあるかもしれません。しかしながら、その性質道路を作るということである、あるいは予算の点から言うならば公共事業費から出すか云々ということです。あるいはそれは行政道路というものもあるかもしれません。行政道路というものもあるかもしれませんけれども、行政道路以外のものもあるかもしれません。しかしそういう施設との関連でなしに、そのものは何か、補償費でない、それじゃ何か。それからその基準一つできておりますが、その基準法律でない、政令ではない、それじゃ何か、こういうのです。法的な性格を問うているのです。
  69. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 今の私が申し上げます道路の件は公共事業費ではございません。防衛支出金から出した例がある、目を設定して出した例があると申し上げた。それから今根拠とおっしゃいますけれども……。
  70. 吉田法晴

    吉田法晴君 性質
  71. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 性質は、協力謝金というものは、この補償の契約をスムースに結ぶために必要なものである、これだけの性質しか今まで私は存じておりません。その出す基準は、先ほどおっしゃいました段階的にやっておりますが、それ以外には別に基準もないようでございます。その基準のよしあしは、今いいか悪いかは申し上げられませんが、その性質といたしましては、契約を結ぶそのために必要なんだ、こういって参りますと、ただ契約をしてくれたからチップを出すとかいうような性質ではないようなんでございます。契約を結ぶためにどうしてもそれは必要なんだ、それを出さなければ契約を結ばないんだ、こういうようにも考えられるのでございます。補償ではございませんが、何かそれに契約をするに必要だ、こういう性質に私は考えております。
  72. 吉田法晴

    吉田法晴君 今あなたは契約を結ぶために必要だと理解すると言われましたが、チップではないようだと言われますけれども、広い狭いにもよらぬ、損害賠償でも対価でもない。そうすると、結ぶために必要である云々といえばチップと同様の性質ではないですか、私はそうだと思うのだが。それはまあいみじくもそうでないと言われる反面、そうだと理解をせられておると思うのですが、そこまではわかる。そこまではわかるが、そうでない、よしあしについてはなぜ言えぬかということを先ほどからお尋ねしておる。もう一つ、過去においては民間においてはそういうものが出た。しかし国においてはそういうことを出した例はございませんと、はっきり言われた。その会計検査院が、そういうものが出されよう云々ということを私どもは指摘して、教えてあげたのか知らぬけれども、指摘いたしました。それについて今までどういうことをやってこられたか、これは別の人間が会計検査院に行って質問をした、あるいはどっかで質問をした点もございましょう。会計検査院法第三十五条によると、これは利害関係人審査判定を求めるということが書いてございます。利害関係人の申し立てがなくても、国会においてこれだけ問題になった、それについて会計検査院は何をしたか、あるいはどういう判断をしたか、あるいは調達庁なら調達庁について問い合せをした、そうしてこういうように判断した、こういうならまだわかるんだけれども、何にもしない、それからここにいても、事実を述べて何をしてもよしあしは言わぬ。ものの性はわかった、大体わかったけれども、よしあしについては判断ができぬというのはどうしてですか。
  73. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 会計検査院は、あの新聞に出て以来、調達庁の本庁の方ともその性質なり、段階的な基準なりについては聞いております。しかし実際の砂川ではまだ支出がされておりません。一応予算の移しかえができております。これは私どもの方にも通知が参っております。そういう段階でございまして、会計検査院はその支出された後におきまして、それで十分検討いたしましてよしあしを判断申し上げるわけでございます。今までの段階におきまして、その検討をまるでしないのかと言われますと、そういうことは考えてはおりますけれども、検査の段階にはなっていないのでございます。支出いたしませんと、行きまして証拠書類や何かを見るということはできないのでございまして、また十分な意見を聞くこともできないのでございます。そういうので、今の段階といたしまして当不当を申し上げる権限はないと心得ております。
  74. 田畑金光

    ○田畑金光君 保岡局長の今の御答弁ですが、まだ実際に支出がないので検査する段階には至っていない、こういうお話であるわけであります。しかし、もうすでに会計検査院はこの防衛関係支出金、あるいはまた防衛庁の経費についてしばしば検査をし、その検査の意見というものが報告されているわけであります。すなわちその報告によると、一番不当あるいは不正な支出が多いのもこの防衛関係費であり、防衛支出金であることは明らかにされているわけであります。そこで、どういうわけでそれじゃこういう防衛関係費に不正不当の支出が多いのかということになって参りますると、私は先ほど来の質疑応答を通じ明らかにされてきたように、膨大な国の予算をとりながら、しかもその使途については、項までは明細化されているが目については触れていない、こういうふうに、行政権に非常に大きな権限を移譲しているところに問題があろうと考えるわけであります。今のお話の中にもありましたように、これは純然たる公共事業費で支出されるような道路経費とか、あるいはまた溜池を作るとか、あるいは港湾の施設整備等までこういう防衛施設費で支出される場合があるということは、これは非常にこの予算内容というものをいよいよ不明瞭ならしめ、あるいは漠然として、そうしてその結果、行政権の判断というものがそのつど非常に手軽に行われておる、こういうような原因が防衛関係費の不当な、あるいは不正な支出を行わしめておる原因だと考えるわけであります。今の御答弁によりますると、実際支出がないからいいとか悪いとか申し上げるわけには参らぬというような御答弁でありますが、もうすでに今日までの会計検査院の検査報告によって、当然当局といたしましては、会計検査院といたしましては、こういう費用の性格について明確な私は態度決定があるものと考えているわけであります。またそれが今までの順序からいっても正直なところだと、こう考えるわけです。それでお尋ねいたしますが、今の御答弁では非常に私は不明確で、今の検査院当局の態度からいっても合点が行きませんが、こういう防衛支出金などというような、行政権に不当な権限を移譲したところにこの予算使途の不正あるいは不明朗があると、こう私は考えますが、まずこの点についてどう会計検査院当局は考えておられるかお尋ねいたします。
  75. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 項だけで目がはっきりしておりませんものにつきましては、行政権に非常にゆだねられております。それですから、その判断については非常に慎重に十分検討しませんと判断がつきかねるということです。ですから先ほど申し上げましたように、会計検査院といたしましても検査が非常にしにくいのでございます。それですから、すぐいいか悪いかということはできないのでございます。非常にいろいろのことを検討しなければならないものでございますから、長くかかるわけなのでございます。で、今おっしゃいますように、防衛支出金は、まあやっておりますのは調達庁で、防衛庁の方は防衛庁費または防衛施設費と、この二つの項しか防衛庁はないのでございます。目も非常にばらっとしておりまして、たとえば船を造るのでも、どういう船をどのくらい造るかということが目に上っていないのでございます。そういうふうに非常にゆだねられておる予算でございますが、それは一応予算としてきめられたものでございますから、それについて非常に検査がやりにくいのでございますけれども、私どもそこのところをいろいろ判断いたしまして、個々の目的なり何なりを判断いたしまして検査をしておるわけでございます。そういうふうに考えておりまして、今のこの防衛支出金の問題につきましても、項だけで目はないのでございますから、そういう政府のゆだねられておる施策、その施策についての批判というものはそう軽々にすぐにはできないものでございますから、御了承願いたいと思います。
  76. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあ会計検査院の立場というものがそういう立場であるのかどうか、今の御答弁は少し慎重に過ぎておるような感じがするわけであります。私のお尋ねするのは、要するに防衛支出金でも、防衛庁の経費であっても、今までの会計検査院の検査報告に照らすと、一番不当な、あるいは不正な支出があるわけであります。そういうような過去の実績から見た場合、要するに先ほど来の話の中にありましたように、この莫大なお金というものが、経費というものが行政権に移譲されておるところに、あるいは場合によっては恣意的な判断によって処理されておるところに、そのような検査の結果が生まれてくるのだと、こう考えまするが、この点はお認めになるかどうかということを私は聞いておるのです。
  77. 保岡豊

    説明員保岡豊君) その点は私もそういうふうにも考えられると思います。目まで審議されたものではございませんので、相当行政官庁の方にゆだねられておりますから、そういう原因で、たとえば批難事項が多いということになることは、ほかの官庁よりあり得るということは言えるのじゃないかと思います。
  78. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあ今の答弁は率直に認めていただいたから、それで私は了承しますが、これは少し質問を横取りして申しわけないのですが、丸山次長お尋ねいたしますが、この防衛支出金施設提供費であります。この内容先ほどのような形で使われておるということもよくわかりましたが、一体この施設提供費あるいは防衛支出金というものは、毎年々々その予算の収支の状況と申しますか、その実態はどうなっておるのか、これをこの機会に説明を願いたいと考えておるわけであります。とにかく防衛庁の経費というものが毎年二割ないし三割繰り越しをされておる、そうしてどう一年間の予算を消化するかということで防衛庁当局は苦労なさっておるわけであります。たとえば、現在国民的な問題となっておる健康保険の赤字の問題にいたしましても、わずか三十七億を支出するならば国民健康保険、しかも中小企業を中心とする国民健康保険の財源ができるにもかかわらず、防衛経費においては二百億、三百億の金が使い切れないで毎年々々翌年に持ち越されておる、こういう一番むだな予算内容防衛関係経費の中にあるわけであります。調達庁の所管されておるこの防衛支出金にはそういうことはないと考えまするが、これの収支の状況ですね、これを一つ説明願いたいと思います。
  79. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 防衛庁費の方はあるいはお話のような工合に繰り越し等も多いように聞いておりますが、実は私どもの調達庁の方は逆と申しますか非常に窮屈でございまして、もともと防衛支出金のうちの施設提供諸費に関しますものの支出の大部分は、御承知の通り民有の土地建物政府が賃貸借いたしまして向うの施設提供しておるものでございます。そうするとその借料でございます。それからまた一部のものが年々返還になって参りますが、そうしますとそれを原状回復なり何なりいたしまして補償して返します。その返還経費、それから施設があるがためにその施設内あるいは近辺にいろいろ被害、支障を与える、こういうものの補償、また海岸における演習で申しますならば漁業制限がくる、その制限に基く補償、あるいは先ほどもちょっと出ました米軍自体が交通事故その他一般の国民に被害を与える、これの補償、申してみますならば大部分は法律上の義務的のもの、あるいは補償においても基準によって仕事をされておりますが、この基準によってはまだ補償が足りないというような状況のものもございます。あるいは長年賃貸契約でもって飛行場になっておる、これではけしからん、もうそういうことならばいっそ買ってくれというような、買収というようなことになります。そのようなことで実は経費の余裕と申しますか、使い切れなくて繰り越さなければならぬような事態にはないのが当庁の予算でございます。
  80. 田畑金光

    ○田畑金光君 今の御説明の中で、施設提供費等は多く法令に基いて支出をされているが、まあそうでもないのもあるというお話でありまして、その法令に基く支出の額と、そうでない、先ほど来問題になっておりまする行政権の判断に基いて支出されている額との比率と申しますか、そういう内容についてお聞かせ願いたいと思います。
  81. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 三十年度、つまり本年度でございますが、これの決算まではまだ三月になっておりませんからできておらないわけでございますが、その実際の計画は本年全体で約七十八億の経費でございますが、そのうちの四十三億というものは借料でございます。半分越しております。それから返還財産の補償先ほど申しましたのは八億程度、それからその他の補償が十三億、それから既提供分で賃貸のものをどうしても買収に改めなくちゃいかんという不動産購入が八億、それからあとがいわゆる新規の拡張問題。お尋ねの点はこの新規拡張の問題にからむかと存じますが、これは例の飛行場の問題でございます。飛行場に関しては五つに対して当初十二億を予定しておったのでございますが、いろいろ事情がございまして、実際の進捗がおくれておる、現在年度内に半分の支出があるであろう、六億程度と考えております。この六億の問題でも大部分は不動産の購入、その他の補償費に当るわけでございます。それからいろいろ謝金の問題でお話がありました分は実は当初十二億、五つと予定しておったもののうち、この提供を円滑にするための協力を得るための種々なる施策といたしまして一億程度を考えておった、かようなものが大体予算の実際上の内訳でございます。
  82. 田畑金光

    ○田畑金光君 お話によりますと、新規拡張の費用として、五飛行場を拡張するという目的のために十二億を予定していたけれども、年内には六億程度しか使用されない。そうなって参りますると当然あとの六億は来年度に繰り越し、こういうことになってきょうと思うのですが、そういうことになるのか。また昭和二十九年度から昭和三十年度にそのような費用の繰り越し等はどうなっているのか。さらに先ほど来の議論になっております謝礼金の問題でありますが、約一億をこれに予定されているようでありますが、すでに話し合いがついて謝金として実際出す段階になっておるお金というものがどの程度に上っておるのか。さらに話し合いがついてないが、本会計年度内に支出を予想されるのがどの程度に上るのか。一億の金についてはこれは話し合いがついて全部支出のめどができているのかどうか、この点等について御説明願いたいと思います。
  83. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 当初飛行場拡張に予定しました十二億のうち実際の仕事の面で半分くらいしか年度内の処理ができない、しかしその六億あと残りますのをそのまま繰り越すということには、繰り越しをいたしませんで、これは実は借料、あるいはその他の補償費、不動産の購入、さしせまっていろいろのたくさんの案件がございましたのに、当初の計画ではまかない切れなかった分、これに充当いたしますので、繰り越しはない見込みでございます。来年に行って来年やる飛行場の分は新たに来年の予算に計上する、かようになっております。  なお、今の謝金のうち一億を予定しまして年度内に処理できる分は、実は五飛行場のうち現在着手と申しますか手がけておりますのは、立川、小牧、横田の三飛行場でございますので、そのうち小牧が目下話し合い最中、横田も話し合い最中、立川は半分ぐらいが話し合い最中、かような事情でありますので、その半額の五千万円程度かと存じます。
  84. 吉田法晴

    吉田法晴君 時間が大へんおそくなって参りましたから、なおお聞きの通り質問は残るのですが、またの機会にいたしまして、簡単に一時ごろまでには終るようにしたいと思います。  会計検査院は独立の機関としての任務をお果しになろうとあまりしませんから、国会意見を述べて調達庁意見を聞いておきたいと思います。調達庁次長は、砂川防衛支出金の中から出されました砂川の横田寄りについて水害のために出されました三百三十万という金が全部関係者に渡らないで、その大部分がどこへ行ったかわからぬという事件があるということを御承知なのかどうか、これを一つ承わりたい。
  85. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 遺憾ながら私ただいまのところそのことを存じておりませんが、もし必要でございましたら、不動産部長も見えておりますから、調べて……。
  86. 吉田法晴

    吉田法晴君 御存じなければお知らせをしておきますが、過去においてそういう事実がある。それは多少条件派と言われる人たちの動向を物語っている。従って、出されました条件、あるいはそれに応じて出されようという協力謝礼金というものが、先ほど申しますような、補償金というか、あるいは対価というか、あるいは損害補償というか、そういうちゃんとしたものでなければ、つかみ銭のような、今のような協力に対して出すと、こういったような金では、そういうように一部なり、あるいは大部分なりというものがそれぞれの関係者に行かないという心配があるということを私は申し上げておきたい。これは調達庁にも会計検査院にも申し上げておきたい。それから次長は、この協力謝礼金条件派のといいますか、今半分ほどは云々というお話でしたけれども、過去の例から言いましても、あるいはものの性質から言っても、それからこのあれが出されました反応から言っても、あるいは知事なり調達庁が考えられましたように、これによって条件派なら条件派の人たちをも納得せしめるということは、私は不可能だと思います。もし私どもは条件派の中で、これに応じようというのは七名程度だと聞いておりますが、お話のように全体についてこういう案で協力が得られぬということであるならば、こういう案を撤回をする、私の方からは撤回すると言いますが、あなたの方からは言いにくかろうが、こういうやり方については再検討をするという御用意があるかどうか、伺っておきたい。
  87. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 私ども現状の情勢等から承わりましたところは、砂川だけにつきましても、いわゆる条件派の方々は全部こういう措置によって御協力下さるというふうに承知いたしております。なお、横田等ももちろん全部このようなことで円満なる話し合いによって買収契約なり補償契約なり進むように現在承知しております。小牧も大体五カ町村ほどありますが、そのうち三カ町村はもちろん、あとの一方町村にもすでに話し合いが進む、こういうような態勢において全体において大体御協力を得られると、こういうふうに情勢報告を受け、情勢判断をいたしておりますので、この施策によりましてぜひともなるべく早く円滑に世間を騒がせました飛行場問題を片づけたいものと念願しております。
  88. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじゃお尋ねをいたしますが、砂川についていわゆる条件派と言われる人たちから補償要求が出た。それからその後最近に至りましてはなお重ねてあなたの方からこう協力謝礼金の案が提示された。その後条件派の中でなぐり合いまで起っておるという事実は御存じか。
  89. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) その点は、詳細によく存じておりません。
  90. 吉田法晴

    吉田法晴君 小牧はこれはだまして調査をした、これはまあそういうことを言いおっても時間がなくなりますから、省略いたしますが、先ほど聞いておるのは、あなたはこれで砂川についてもあるいはほかについてもいくと思っておられるようですが、私が聞いておるのは、こういうつかみ銭のような、政府として国が国民の税金を使うのでもありますが、土地を失うかどうか、こういう国民の一番犠牲をしわ寄せされた諸君に対して提示する案としてはきわめてこれはふまじめな、あるいは不誠意な案ですが、その点については争う時間がございませんから、こういうことはこれは政府としてはやるべきじゃない、こういうことを考えておりますが、こういうものでうまく行かんということがわかったら、再検討をする、考え直すという当然の調達庁がやるべき反省はなされますかどうか、こういうことを聞いておるのであります。
  91. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 現在のところ、これを改め、撤回する考えは持っておりません。
  92. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点についてはこれからいたしますことは、時間もとることですし、またせっかく会計検査院に出て来ていただきましたけれども、十分の目的を達しませんでしたから、別の機会にすることにいたしまして、この間安田さんとの間でやりとりをして明らかにならなかった点を一、二だけお尋ねをいたしておきたいと思います。  砂川の今までの施設、区域の中で立川の方に滑走路を何フィート延べられたか、さくの所まで。それから砂川の方に何フィート滑走路を延べられたか、合計何フィートに滑走路は今なっておるか。それからさくのこれは外と思うのですが、四百坪の地域に米軍から要望によって盛り土をしておられますが、その長さ、滑走路の方からその距離が何フィートになるのか承わりたい。
  93. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 滑走路の延長は現在ある五千フィートを七千フィートにする計画でございます。
  94. 吉田法晴

    吉田法晴君 そんなことを聞いているのじゃない。今まであった問題が提起されたときに滑走路は五千五百フィート、五千フィートと言われたけれども五千五百フィート、これは現地ではかったらわかる。もしわからなかったらはかっていらっしゃい。それを言うているのじゃない。その後それとわかって立川の市会でも問題になっておるのですが、これを見ればわかるのです。立川の側に滑走路が長くなっております。それを何フィート広げたか、あるいは立川の側に何フィートか延びております。私の見るところではそれぞれ千フィート、そうしてこれはさくの外側かもしれませんけれども、米軍の要求があって調達庁を通じないで市長がやったから立川の市会で問題になったのだが、盛り土がされておる。これはクリアランス・ゾーンに該当するかどうか知らないが、その距離が何フィートあるか、こういうことをお尋ねしているのです。
  95. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) お尋ねの点は立川の側の延長の話、これはおそらく内の現在オーバー・ランと称する滑走路の続きのところのオーバー・ランをなおコンクリートの厚みを作りまして滑走路と同様な施設にしたものだと存じますが、その点のお尋ねでございましょうか。その長さはどのくらいかちょっと資料がございませんので明確な数字をお答えできません。それから外の問題はこれは施設ではございませんと思います。盛り土云々の問題はあそこは飛行機の発着による爆風の被害が非常にある所である。そういうことのために土がえぐれておる状況が生じる。これに関しましてはこれは米軍の行為に基く被害であるからというので補償措置を従来からとったところのものと存じます。それを軍が地元の了解を得て手直しをした、そのことだと存じますが。
  96. 吉田法晴

    吉田法晴君 その施設の外であることは、私も先ほども申し上げました。私も認めておる。が、それを米軍の行為によって爆風の影響を受けた、それは行為によってじゃなくて行為による補償をしたと、こういうことかもしれませんが、まあようわからぬのですが、そうじゃなくて土盛りをした、しかも滑走路のその延長線だけ土盛りをしたのですから、それを爆風によって取られたところを埋めた云々じゃなくて、米軍がその滑走路の延長として、それがオーバー・ランであるか何であるかはとにかくとして滑走路のその部分だけを延べたのですからまあ安全……、クリアランスするものかその辺はともかくとして、その延びた距離が幾らなのかということをお尋ねしているのです。それからもう一つ砂川の方に延びておるさっきの立川側のコンクリートの厚みをふやした云々というのですが、予備であったものを滑走路に直した所がありますが、その長さが何フィートあるか調べてないのですか。
  97. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) そのフィートの問題でございますので、これは詳細に調べた上で正確のところをお知らせ申し上げましょう。ただ先ほど施設外のところの問題、爆風による被害で穴を掘った、これを従来は金額補償でやっておった。この処置のために今度盛り土をして埋めた点だと存じますが、これは別にその点が施設の拡張というものではございません。なおその距離等は調査の上正確のところを御報告申し上げます。
  98. 吉田法晴

    吉田法晴君 ではその三つの点について調べた上でもう一ぺんやりますが、今の金額補償であったものを現物補償というか盛り土をしたのだと言われるのだけれども、調達庁を通さずに市がやったと私は聞いておる。だから調達庁を通さないでなぜ市がやったかと立川の市会で問題になったと、こういうのですから、その後行って調べられたら別問題ですが、調達庁で金銭にかえて実際ここに施設提供費で盛り土をされたと、こういうことじゃないと了解しておるのです。もう少し調べて来て下さい。
  99. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) その点もう一回調べまして……。
  100. 吉田法晴

    吉田法晴君 三点について調べた上でお願いいたします。それから先ほど不動産部長答弁に来ておられるということですから御答弁願います。
  101. 大石孝章

    政府委員(大石孝章君) 吉田委員の御質問築城飛行場関連の御質問は、まず防風林の伐採によりますところの農作物の被害に対する補償の点にお答えいたします。これは松原、稲童両部落の海岸線に沿いまして幅七十メートルから八十メートル、長さ二千五百メートルの防風林が伐採された。そのために関係の農地に被害が起きたという事案でございます。その原因は半分は旧日本軍に責任があるのでございますが、占領期間中に米軍の行為によりまして残りの半分を賠償したというふうになっております。この問題は占領期間中のことといたしましては昭和二十九年四月に五十八万四千円の見舞金を支払いました。講和発効以降の分につきましては吉田先生御承知の特損法の対象の事案になるのじゃないか、こういうことでいろいろ研究を遂げたわけでございます。申し上げましたようにその原因が占領期間中の事案でございますので、特損法を直ちに適用するというわけに参りませんので、特損法の基準を準用いたしまして、その計算方式のもとに計算いたしました結果、財政当局とも協議がととのいまして近く被害者に対しましてお支払いをいたすことになっております。それから道路の点でございますが、道路はこの飛行場関係につきまして二点あるわけでございます。一つは行橋市の松原部落の関係でございまして、これは部落民が築城の地域に到達いたしますのに利用しておったのでございますが、この飛行場の拡張のためにその道路がつぶれましたのでこれにかわる道路を新設してほしいという要望でございます。この点につきましては施策がおくれておったことは私ども関係機関の者といたしまして遺憾の点があるわけでございますが、なぜおくれておったかという点につきましては、大体この拡張計画そのものが非常に途中におきまして変更がありましたためにその道路にかかるかかからないかといったような事案の吟味があったわけでございます。ところがその区域の決定もありましたので、その後地元からの要望にこたえまして関係省すなわち公共道路でございますから実施の所管は建設省の道路局になるわけでございますが、施設区域関係でございまして、そういう関係から調達庁にも関係するというようなことでいろいろ協議があったわけでございます。また建設省におきましてはこれを実現いたすべく予算折衝もいたしましたが、予算上の理由から実現を見ることができなかったような経緯もございました。しかし関係各省におきましていろいろ協議の結果三十一年度予算でこれを実施するというふうに決定いたしたことを御報告いたしておきます。  それから道路の問題でもう一つあるのでございますが、これは稲童地区の農地の中で射撃場に通じますところの道路が米駐留軍に使用されておる、従って実施の米駐留軍の不法使用ではないかという事案でございます。この点につきましてはこの農地は旧軍時代に飛行場の誘導路として使われておった場所でございまして、終戦とともに関係地元の方に払い下げが行われまして農地として使用されておったが、前にそういったような関係もありましたので大体地元の方は道路として通行することはまあいたし方ない、ただしかしそのまま使ってもらっては困るのであって、これを国においてむしろ道路としてはっきり処理してほしいというような御要望でございます。この点はまことに御要望の通りだと判断いたしましたので、私どもの方でも近くこれを施設区域として成規の手続をとって米駐留軍の方に提供するか、あるいは行政協定第三条の路線権としてはっきりした形にしたいと存じております。今までのこの被害を受けた点につきましては、これは内部の議論でございますが、行政協定の十八条の関係事案としてその損害賠償を支払うべきであるかどうかといったような議論もございますが、いずれにしましても、少くとも関係用地につきまして借料相当額の補償額は当然出すべきものというふうに判断いたしております。  それから溜池につきましては、これは先ほど申し上げました松原部落地区の飛行場拡張の際に、国有地にありました溜池が壊滅せられたというために灌漑用水が不足しているので、この溜池を新設されたいという地元からの御要望でございます。その件につきましては、私どもの方ですでに昭和二十六年に、溜池から関係の農地に通じます水路三本に対しますところの補償金といたしまして九十万円支払い済みでございますが、しかしながらこの溜池がなければ今までの受益者であった関係農民が耕作上困るという事案でございますので、この農業経営に与えますいろいろ被害の程度、それからこの溜池に関係農民が慣行上水利権を持っておったものかどうかといったような点、それから技術的にいかなる場所にどんなものを設置したらよろしいかといったような、いろいろな要素がありますので、その点で私どもの方から農林省農地局の方に調査と立案を依頼いたしました。その結果、農林省の方から担当主任官が現地に出向きましていろいろ調査いたしました結果、関係の農地に対しまして、やはりそういう代替施設が必要であるというおおむねの結論が出たようでございます。近く農林省の方でも具体的に技術的ないろいろな施策を立案いたしまして、私どもの方に相談するようになっておりますので御了承をいただきたいと思います。  小倉の林田さんの問題は非常に錯綜した問題でございまして、これは結論はこういうことでございます。現在の代理人との間に国は契約いたしておりまして、大体講和発効後今日まで約三十九万円ほどの賃借料をお支払いしているのでございますが、林田さんは地主の岡田さんという方との間に、国から支払います賃借料の取り分に関して若干の争いがあるように承知いたしておりますが、円満に解決できるのではないかというふうに判断いたしております。ただこの総額をもっと増額するかどうかという点につきましては、この耕作というのは、これはまあ花を作っておられるのだそうでございますが、耕作権の関係上農地の所得で計算いたしておりますので、当該年度々々の基準でやっております関係上増額はできないものと判断いたしております。以上でございます。
  102. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 別に御発言もなければ、本件につきましての調査はこのくらいにしておきたいと存じます。  御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。  これをもって散会いたします。     午後一時十九分散会      —————・—————