運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-02-21 第24回国会 参議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十一日(火曜日)    午前十時四十四分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小柳 牧衞君    理事            野本 品吉君            千葉  信君            島村 軍次君    委員            井上 知治君            木村篤太郎君            中山 壽彦君            高瀬荘太郎君            豊田 雅孝君            廣瀬 久忠君    委員外議員            八木 幸吉君   国務大臣    国 務 大 臣 船田  中君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    調達庁労務部長 海老塚政治君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    法務政務次官  松原 一彦君    法務省矯正局長 渡部 善信君    大蔵政務次官  山手 滿男君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○防衛庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○自衛隊法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○国務大臣私企業等への関与制限  に関する法律案八木幸吉君外三名  発議) ○国家公務員共済組合法第九十条の規  定による公務傷病年金等の額の改定  に関する法律案内閣送付予備審  査) ○法務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○日本国との平和条約の効力の発生及  び日本国アメリカ合衆国との間の  安全保障条約第三条に基く行政協定  の実施等に伴い国家公務員法等の一  部を改正する等の法律の一部を改正  する法律案千葉信君外六名発議)  (第二十三回国会継続) ○派遣委員の報告 ○国家公務員制度及び恩給に関する調  査の件  (公務員の給与問題に関する件)     —————————————
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) それではこれから開会いたします。  先に、連合審査会に関することについてお諮りいたします。二月十六日の法務委員会におきまして、総理府設置法の一部を改正する法律案につきまして、本委員会との連合審査会を開催することに決定いたしたのでありますが、その申し入れを受諾することにいたして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。なお、連合審査会の日時につきましては委員長に御一任を願います。
  4. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題とたいします。  まず、両案に対する政府からの提案理由説明を聴取いたします。
  5. 船田中

    国務大臣船田中君) 防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由及び内容概要について御説明申し上げます。  最初に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、現下の情勢に対処し、国力に応じて防衛力整備する必要があることを認め、防衛庁職員定員を一万九千百九十三人増加し、現在の定員十九万五千八百十人を二十一万五千三人に改めることといたしました。この一万九千百九十三人の増加分のうち、一万七千四百十三人が自衛官で、残りの千七百八十人が自衛官以外の職員であります。自衛官増加分は、一万人が陸上自衛官、三千三百二十五人が海上自衛官で、残りの四千八十八人が航空自衛官でありまして、陸上自衛官にあっては混成団一の増設その他に充てる要員であり、海上自衛官にあっては艦艇の増強等に伴い必要となる人員であり、航空自衛官にあっては航空団新設等のため必要な要員であります。また、自衛隊日本国アメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基く教育訓練等援助を受ける便宜を考慮し、同協定附属書G第二項による日本国政府現物提供に関する事務については、労務提供に関するものを除き、防衛庁が行うことを適当であると認め、所要規定整備することといたしました。  次に、自衛隊法の一部を改正する法律案について申し上げます。  第一に、陸上防衛力整備のため東北地方北部陸上自衛隊長官直轄部隊として混成団一を新設するとともに、航空自衛隊については、既存の航空団一に加えてさらに一航空団を増設することとし、所要改正を行うことといたしました。  第二に、自衛官募集等事務を行なっている地方連絡部の長は、従来自衛官をもって充てることとなっておりましたのを、その事務の性質にかんがみ、事務官をもって充てることもできることといたしました。  最後に、自衛隊飛行場に自衞隊航空機以外の航空機が着陸した場合においては、一定条件のもとに便宜所要の燃料を無償で貸し付けることができることといたし、また駐留米軍自衛隊とが隣接して所在する場合においては、自衛隊米軍に対し、一定条件のもとに、必要に応じ、給水その他の役務を適正な対価提供することができることといたしました。  以上、両法案提案理由及びその内容概要を申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  6. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、両案に対する政府委員からの補足説明を聴取いたします。
  7. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) ただいま国務大臣から両法案提案理由及びその内容概要について御説明がありましたが、これについて補足説明をいたしたいと存じます。  まず、防衛庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  陸上自衛官は、現在十五万人でありますが、改正定員は、十六万人となっております。この一万人の増員は、新設の第九混成団特科大隊三、東北地区補給処等要員に充てられるものであります。  海上自衛官定員は、現在一万九千三百九十一人でありますが、改正定員は二万二千七百十六人であります。差引三千三百二十五人が増員されるわけでありますが、艦船及び航空機増強等に伴い必要とされる増員であります。  航空自衛官定員は、現在一万三百四十六人、新定員は一万四千四百三十四人でありまして、その増は、差引四千八十八人であります。この増員は、新設の第二航空団要員に充てられるほか、教育訓練の充実及び補給その他の支援業務等増強のために充てられるものであります。  自衛官以外の職員は、千七百八十八人増員されますが、その内訳は、陸上自衛隊で三百六十二人、海上自衛隊で三百四十八人、航空自衛隊で七百七人の増員をみるほかは、防衛大学校の学年進行に伴う増員二百三十九人、技術研究所の機能の拡充に伴う増員七十一人、調達実施本部整備に伴う増員二十八人等がおもなるものであります。  次に、防衛庁は当分の間、その本来の任務に加えて、日本国アメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定附属書G第二項の規定により、アメリカ合衆国政府使用に供せられる、不動産備品需品及び労務以外の役務調達提供及び管理に関する事務を行うことといたしております。同協定においては、その第七条第二項により、日本国政府が同協定実施に関連する経費としてアメリカ合衆国政府随時円資金提供すべきことを規定している一方、その附属書G第二項により、資金提供にかえて、必要なかつ適当な不動産備品需品及び役務使用に供することができることになっておりますが、このような現物提供に関する事務は、自衛隊が同協定による教育訓練等援助を受けている便宜を考慮し、防衛庁において処理することが適当であると認めた次第であります。ただし、労務提供事務は、駐留軍労務者一体としてその労務管理を行うことを適当と認め、なお、従前の通り調達庁において実施することとしております。なお、これが事務については経理局所掌専務とするほか、これに関する建設本部及び調達実施本部任務を明らかにいたしております。  次に、自衛隊法の一部を改正する法律案について申し上げます。  第一に、陸上自衛隊長官直轄部隊として新たに東北地方北部警備区域とする第九混成団を設け、陸上防衛力整備をはかることといたし、その本部は青森市に置くことといたしております。また、航空自衛隊による航空防衛力整備の一環として第二航空団新設し、その司令部を浜松市に置くこととし、これに伴い、これまでの航空団は、第一航空団と改称することといたしております。  第二に、地方連絡部自衛官募集等に関する事務をつかさどる機関で現在二十三府県に置かれていますが、昭和三十一年度においては、これを全都道府県に設置する予定でありまして、その事務性格にかんがみ、これまで地方連絡部長には自衛官をもって充てることとしておりましたのを、事務官をもっても充てることができることといたしております。  第三に、自衛隊飛行場自衛隊航空機以外の航空機が着陸した場合において、他から入手する道がないと認めるときは、航空機の運航の便宜を考慮し、次の飛行に必要な限度において、かつ自衛隊任務遂行支障を生じない限度において、総理府令の定めるところにより、ガソリン等需品無償で貸し付けることができることといたしております。  第四に、当分の間、駐留米軍自衛隊と隣接して所在する場合において、他から入手する道がないと認めるときは、自衛隊任務遂行支障を生じない限度で、総理府令の定めるところにより、自衛隊のために設けられている施設による給水等役務を適正な対価をもって提供することができることといたしております。  なお、自衛隊法の一部を改正する法律は、混成団及び航空団設置の時期が施設等事由であらかじめ規定することが困難でありますので、公布の日から起算して十カ月をこえない範囲内で政令で定める日から施行することといたしております。  以上をもちまして補足説明を終ります。
  8. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 本日は両案に対する提案理由及び補足説明を聴取するにとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。     —————————————
  10. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、国務大臣私企業等への関与制限に関する法律案議題といたします。  本案に対する御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  11. 千葉信

    千葉信君 これは質疑というよりも提案者にお尋ねしたいと思うのですが、提案に当っての提案者署名がふえるとか、賛成者署名がふえるとかいう条件があったと思いますが、その点はその後どうなっておりますか。
  12. 八木幸吉

    委員外議員八木幸吉君) この前の委員会で、千葉委員の御注意によりまして、さっそく自民党の方へ交渉いたしました。そういたしまして、同党の政策審議会では、本案は大体差しつかえないだろうというお話がございまして、それから引き続いて自民党国会対策委員会で、やはりこの案を練っていただきまして、国会対策委員会におきましても、別に異議はない、こういうことでございました。それからさらに、総務会を通過しなければ、賛成者としての追加署名には、ちょっと難色があるという意味で、今、総務会の方でお話をまとめていただいている段階でございまして、大体の意向を承わりますと、この政策審議会国会対策委員会通りましたときに、署名する人はしてもいいだろうといったような空気もあったようでございますけれども、正式にはやはり総務会を通ってから後の方が穏当である、こういうことで総務会にかかるはずになっております。ただ、この委員会が開かれます前までには、まだその結果は実は私の方へいただいておらぬ、こういう経過になっておりますけれども、しかし、見通しといたしましては、前回も前々回も通っておることでございますから、大して異論なしに自民党の方でも、御署名をいただく、そういうことになれば、初め千葉委員からの御注意がありましたように、各党派一致で御賛成をいただくことになりますから、提案者としましても非常に体裁が整って、かつ有力に本案の御審議を進め得ると、こう思って喜んでおります。
  13. 千葉信

    千葉信君 議事進行についてですが、この法律案については、すでに提案者の方からもお話がありましたように、全会一致で本委員会を先に通過をみている法律ですから、そういう意味では、私どもとしてはあまりその内容について事あらためて質疑をするまでもない、趣旨についてもその必要性についても十分賛成しているわけです。従って今お話のように、自由民主党の方で態度が決定されるとすれば、今からどう決定されるかということをにわかに予断はできませんけれども、しかし大体の意向として私は賛成方向に向っていると思うのであります。そうなりますというと、ここで質疑をされる委員の方があるとすれば別ですが、そうでなければ、その態度の決定を待って委員会としては審議を終了させることができるわけで、きょうは時間の関係等もありますから、もし質疑がなければ、そういう考え方で次の機会に譲ることにしたいと思います。
  14. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) それでは本案につきましては、本日はこの程度にとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。     —————————————
  16. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、国家公務員共済組合法第九十条の規定による公務傷病年金等の額の改定に関する法律案議題といたします。   まず政府から提案理由説明を聴取いたします。
  17. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) ただいま議題となりました国家公務員共済組合法第九十条の規定による公務傷病年金等の額の改定に関する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  国家公務員共済組合法及び旧令による共済組合等からの年金受給者のための特例措定法規定により現に支給されている年金のうち、公務による傷病給付事由としている年金については、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等規定による年金特別措置に関する法律をもって、それぞれ廃疾程度に応じて最低保障額を定めたものでありますが、この最低保障額が、同じ公務傷病給付事由とする戦傷病者戦没者遺族等援護法規定による障害年金の額に比較して低額であるのをこの際改め、この最低保障額戦傷病者戦没者遺族等援護法の線まで引き上げることといたしました。また、従来最低保障の定めがなかった公務による死亡を給付事由とする遺族年金及び公務による傷病給付事由とする年金を受ける者が公務によらず死亡した場合の遺族年金についても、今回新たに戦傷病者戦没者遺族等援護法規定によるこれらに相当する年金の額をもって、その最低保障額とすることといたしました。なお、以上の措置により増加する費用については国庫及び地方公共団体または公社が按分して負担することといたしております。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  18. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、補足説明を聴取いたします。
  19. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 本法案について補足説明をさせていただきます。  国家公務員共済組合につきましては、昭和二十三年の十月現在の国家公務員共済組合法ができまして、いわゆる雇用人に相当する方々年金給付を行なっておるわけでありますが、その国家公務員共済組合法ができます以前の、昔の旧令時代共済組合組合員であった方についての年金についての最低保障額引上げということになるわけでございます。昔の旧令時代共済組合には二種類ございまして、一つは、たとえば国鉄でありますとか、郵政でありますとか、電電と申しますように、昔から共済組合がございまして、今日の共済組合法でもなおその制度の残っておるところ、これが一つ、もう一つは、陸海軍共済組合あるいは外地共済組合のように、もう共済組合制度の、いわば親元がなくなってしまったような組合員、まあ二種類ございます。前者の現在まで引き続いておる共済組合につきましては、昔の年金受給者につきましては、この共済組合法第九十条の規定によりまして、引き続いて年金を支給するという建前になっております。で、一方陸海軍外地共済組合につきましては、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法というものを昭和二十五年に御制定いただきまして、これによって昔の方々年金給付事務をやっておるわけであります。この両者を含めまして、昭和二十三年六月三十日以前、つまり今日の共済組合法ができる以前の方々年金は、この両法律によって年金を支給し、さらにその後恩給等ベースアップ等がありました場合には、それに権衡をとって年金額引上げをやって参ったわけでございます。最近では昭和二十八年の法律第百六十号をもちまして、一万二千八百円ベースまで引き上げられておるわけでございます。ところが昔の共済組合年金受給者と申しますと、いわゆる雇用人でございまして、非常に俸給は低かった方があるわけであります。この俸給一般文官恩給並みに引き上げてきたと申しましても、もともと根本自体が非常に低くなっております。これをそのまま放置しておいてはやはり気の毒であるということで、昭和二十八年に年金最低保障額制度をおきめいただいたわけであります。その際取り上げましたのが、特にお気の毒と認められました公務上の廃疾を原因とする障害年金、これについて最低保障額を定めたわけでございます。今回の改正法案では、その障害年金につきましての最低保障額を若干引き上げる。と同時に、今まで最低保障額制度のございませんでした殉職年金、これは本人が公務上死にまして遺族のもらう年金でございます。これの最低保障を設ける、同時に、障害年金をもらっておられた方々が死んだ場合の遺族に移る年金でございます。これを障害遺族年金と呼んでおりますが、これにも最低保障額を設けよう。これが改正案趣旨でございます。最低保障額にどういう数字を持って参りましたかと申しますと、大体提案理由に申し上げましたように、遺家族援護法戦傷病者戦没者遺族等援護法によります障害年金、それから障害遺族年金、それぞれの金額を持って参りまして、この共済組合の場合も同等年金最低保障額ということにいたしたわけでございます。この戦傷病者戦没者遺族援護法の方は、外地で戦死されました軍属の方の年金、あるいはけがをされた方の軍属年金でございます。こちらの旧令共済の方は、内地における公務傷病に起因する年金でございます。そこに若干の性格上の相違はあるのでございますが、他方この共済方々年金は、恩給とのバランスということも問題にいたさなければならないわけでございます。恩給に比較いたしますと、なお相当程度低位にあるわけでございます。そういうバランスも考慮いたしまして、この遺族援護法年金をもって最低保障額とする、かように相定めたわけでございます。法案の第一条に掲げてございます金額は、それぞれの該当の援護法による年金額を、そのままここに記載してございます。給与負担につきましては、すでに親元がなくなった共済組合方々につきましては、一方的に国庫で負担いたします。現在共済組合制度の残っておりますところでは、それぞれ当該共済組合費用を負担する、こういう建前になっておるわけであります。
  20. 千葉信

    千葉信君 これは少し大蔵省の方にはっきりさしておいてもらいたいと思うのですが、この法律案提案自体については、私はこれはまああとの委員会審議をすることになろうと思うのですが、そうして来たこの法律案の持っている趣旨そのものに対しても、私はあえて今ここで取り上げる必要もないと思うのですが、ただ大蔵省の方にたしかめておきたいことは、一体大蔵省はいつまで国会をだましているかでございます。退職手当臨時措置法等について、今まで大蔵省側では、退職手当法の恒久的な立法の制定等については、公務員給与法であるとか、それから共済組合法であるとか、そういうものの総合的な検討を行なって至急問題の解決をはかる。従ってそれまでの間退職手当法等臨時措置という形で当分の間経過せざるを得ないという、こういう説明がずっと行われてきた。そんな説明を行なって国会提案してからもう三年も四年もたっている。まあ今回の提案がここに書いてあるように、戦没者遺族等援護法による最低補償をやるというこの点については、これは私は異議があるんじゃないけれども、こういう点だけについて大蔵省提案してきたということはこれは全体の問題について責任ある態度をとらなければならない。そういう説明を行なってきた立場として、無責任過ぎる態度じゃないかと思うのです。御承知のように今この委員会には議員提案公共企業体等共済組合法案継続審議になっておる。その問題もやはり大蔵省としては十分考えなければならない問題だと思うのです。一体今まで大蔵省では国会に対して説明を行なってきた、その総合的な検討なり解決という問題については、どういうふうに大蔵省内で作業をし、もしくは検討をされておるのか。そしてまたいつごろそういう問題についての恒久的な解決策国会提案しようとしておられるのか。恩給はもちろんあなた方の所管ではないかもしらぬけれども、政府全体としてはそういう立場国会に対して説明を行なってきておる、どうなっておりますか。
  21. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) 退職手当、それから年金等につきましては、内閣におきまして公務員制度調査会等のいろんな答申もございますし、内閣全般の非常に大きな問題でもございまするので、内容全般としてよく検討をして結論を出そうということで研究を進めておる段階であります。まあできるだけ早い機会にそうした結論を出して年金その他につきまして満足のいくような御審議を願うようにしたいと思っておりますけれども、まだその時期がいつどうということではないと私は思っております。
  22. 千葉信

    千葉信君 これは政務次官に対してここで追及することは少し酷かもしれぬけれども、大体政府は何かむずかしい問題にぶつかると、やれ何何審議会、やれ公務員制度調査会、そっちの方に全部をおっかぶせて責任をのがれようとしておる、そう言っても過言じゃないと思うのです。しかもその制度調査会なら調査会答申に対して、政府がほんとうにこれを尊重する態度に出るかというと、ごらんの通り公務員制度調査会答申に対しても、それとは別個な角度から行政機構改革等審議会公務員制度調査会答申をくずすような方向に行われてきておる。これじゃ全く国会に対して言いわけをするための調査会設置審議会設置ということになりはせぬかと思う。しかしこれはあなたに対してこういうことを言ってもこれは少し酷だから、私はそういう点については一応また別な機会に譲りますけれども、しかしそれにしても共済組合法退職者手当法等大蔵省所管、しかも今聞いているといつごろ一体成案を得るかということについてもはっきり見通しを持っていない。今まで何をやって来たのか、三年も四年もたつ。これじゃ少しこれまた政務次官に追及するのは少し酷かもしらぬけれども、大蔵省責任として私はこれは追及しなければいかぬと思う。五年たっているのですよ五年。これは一つ政務次官から腹をすえてこの問題にどうして善処するかということを、ここで明確にしておいてもらわぬといかぬ、どうですか、次官。
  23. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) お話の点ごもっともでございまして、まあできるだけ早い機会にそういうふうにできますように善処いたしたい所存でございますが、この法案もまあそういう根本的な検討が済み処置ができるまでの繋ぎといたしまして、まあやむを得ない手段として御審議をお願いすることにいたしたわけでありまして、御趣旨の点につきましてはよく帰って相談をし努力をいたしますからよろしく願います。
  24. 千葉信

    千葉信君 帰って相談するということをではなく、あなた少くとも責任をもって推進力になる覚悟をきめて帰ってもらいたい。非常にこれは無責任きわまる話です、その点一つがんばってもらいたい。
  25. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 本案につきましては本日はこの程度にとめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  27. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対して御質疑のおありの方は順次御発言を願います。御質疑はございませんでしょうか……。速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  28. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を始めて。  本案につきましては、本日はこの程度にとどめておきたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  30. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  31. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を始めて。  日本国との平和条約の効力の発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案議題といたします。  速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  32. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を始めて下さい。  本案につきましては、本日はこの程度にとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  34. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) それでは派遣委員の報告の件を議題といたします。  先般、駐留軍基地防衛施設及び国の出先機関等の実情調査のため委員派遣を行なったのでありますが、その派遣委員の方から御報告を願います。
  35. 千葉信

    千葉信君 第二班として視察に出向きましたのでその概要について御報告を申し上げたいと思います。同行しましたのは私と堀委員ですから、従ってその報告の内容等について私どもとしてはそれぞれの問題、それぞれの内容についていろいろ意見もありますけれども、この際は国会の調査であり視察になっておりますので、できるだけ公平に客観的な立場に立っての以下御報告を申し上げたいと存じます。  二月八日及び十日の両日横須賀地区における防衛庁及び海上自衛隊の各施設並びに立川、横田両米駐留軍航空基地をそれぞれ視察いたしたのでありますが、以下その調査の概要を御報告申し上げます。  横須賀におきましては、海上自衛隊横須賀地方総監部、自衛艦、海上自衛隊幹部学校、術科学校及び防衛大学校をそれぞれ視察いたしました。まず横須賀地方総監部におきましては吉田総監より横須賀地方隊の組織編成及び部隊の配置等の現状説明を受けたのでありますが、総監は特に横須賀地方隊においては、付属の地上施設の拡張または改善の必要を痛感しておる。現在この地区は全部米海軍の駐留基地となっており、従ってその解除を待たねばならないが、いまだ駐留軍より施設の解除を受ける見込みは立たない状態にある旨述べております。地方総監部の視察を終えて自衛艦の視察におもむきましたが、視察いたしましたのは自衛艦隊旗艦PF艦「けやき」、及び昨年二月米国より貸与された駆逐艦「あさかぜ」、並びにこれも昨年八月米国より貸与された潜水艦「くろしお」であります。旗艦「けやき」におきましては、自衛艦隊渓口司令より自衛艦隊の現状の説明を受けましたが、現在自衛艦隊は各艦とも定員が充足されておらず、定員不足に悩んでいる。海上自衛官増員は自衛艦が海上自衛隊へ編入と同時に行われるのであるが、自衛官が乗艦任務につけるまでには相当の期間訓練に日数を要するため、このような増員方法ではおのずとそこにズレが生ずるため、増員はもっと早く行う必要がある。また現在乗組員の食糧は、カロリーにのみ重点がおかれているので、十分な訓練に耐えられない場合がある。さらに海上自衛隊の舞鶴練習隊での教育を終え、新たに自衛艦隊に配属されてくる新人隊自衛官の素質は毎年著しく向上してきている等の説明がありました。駆逐艦「あさかぜ」及び潜水艦「くろしお」は、ともにMSA協定に伴うアメリカ合衆国艦艇の貸与に関する日米協定に基き米海軍より貸与されたものであり、両艦ともかつて太平洋戦争におきましては対日戦に参加したものであります。駆逐艦「あさかぜ」は艦齢の古い艦船でありますが、旧日本軍のそれに比較して特にレーダー装置が完備しており、敵機、敵潜の捕捉、弾着の測定等すべて電波兵器による点が大きな特色となっております。潜水艦「くろしお」はその乗員定数八十二名中その大部分は旧海軍軍人の出身であり、いずれも米国の潜水学校において教育訓練を受け、本艦を日本まで回航してきたものでありまして、技術がきわめて優秀との説明でありました。両艦とも近く自衛艦隊に編入されることになっております。  次に海上自衛隊術科学校及び幹部学校におもむき説明を受けましたが、術科学校は現在横須賀にありますが、江田島にある旧日本海軍の施設米軍より接収解除になりましたので、本校はきたる三月より江田島に移転開校することになり、横須賀にはその分校が置かれることになっております。術科学校は旧日本海軍の水雷学校、潜水学校等のごときものに相当するもので、各種の特殊技能を修得させるためのものであります。幹部学校は旧海軍大学校に相当し、幹部自衛官の視野を一そう広くするため、特に外部より各階層の有名人を講師に招き、その講演を受け、また図書館等を完備して、各学生の自主的な研究に重点を置き、幹部としての素養を養うことに努めておるとのことであります。  最後に、防衛大学校を視察いたしたのでありますが、本校の敷地は久里浜の景勝の地に約二十三万坪の広大なものでありまして、現在まだ校舎、寄宿舎等を増築中であります。当日は槇校長がちょうど渡米中でありましたので、校長代理の鈴木副校長が、他の幹部とともに説明、案内に当りました。本校におきましては一般新制大学の理工学部と同等の学力を養うことに特に主眼を置いて教育されておりまして、各理工科教室、実験室が完備しておるように見受けられました。  次に、立川、横田両飛行場の視察について御報告申し上げます。まず立川飛行場は現在滑走路の長さが五千五百フィートであり、今回の拡張はこの滑走路をさらに千五百フィート延長し、その先に約四百フィートのオーバーラン、並びに六百フィートのクリアー・ゾーンを設けようとするものであります。私ども一行はハーネル立川基地司令官と会見し、今回の拡張に対する司令官の意見を聞いたのでありますが、司令官は現在立川に駐留しておる米空軍は、その支配下にある各地の部隊へ各種物資の補給任務とする部隊であり、またこの基地でジェット機及び重搭載用航空機の分解修理を行なっている。従って各基地へ物資を輸送するのに大型の航空機使用しており、現在の滑走路ではその長さが十分でないため、満足し得る量の物資を一つ航空機に積み込み輸送することができない。また滑走路が短かいため、搭載量の多い航空機は立川基地に着陸することができず、一たん他の基地へ着陸し、搭載量を減らしてさらに立川飛行場へ来るような状態になっている。これらのために失われる損失は莫大な額に上っており、年間三十数億円にも上ると述べておりました。反面からいえば、滑走路が予定通り拡張せられれば、この損失はなくなるわけである。またこの基地拡張により砂川住民のこうむる物質上、精神上の犠牲については、われわれは多大の同情をしておるが、この際特に考慮に入れてほしいことは、この現状のままで滑走路が短かいために毎年受ける経済上等の損失と、拡張に伴い住民の受ける犠牲との比較の問題であると述べております。  引き続き私どもは砂川町役場におもむきまして、基地反対派の砂川町議会議員数名と会見してその意見を聴取いたしたのであります。御承知のごとく現在砂川町においては反対派と条件派の二つに分れております。反対派においては現在の段階においてもその反対は報償額の問題ではなく、基地拡張について絶対反対の態度をとっているのであります。  次いで、私ども一行は立川より横田飛行場におもむき視察いたしました。この飛行場は現在滑走路の長さが八千フィートでありまして、主としてジェット機の離着陸に使用されておるのでありますが、今回の拡張はこの滑走路をさらに千七百フィート延長して、九千七百フィートとし、その前面に約五百フィートのオーバーラン並びにクリアー・ゾーンを設けようとするものであります。なお横田基地に駐留しておる米空軍は戦闘部隊であります。  当日はフレッチャー横田基地司令官のほか、特にジョンソン基地におるレッシング第四十一航空戦闘師団長も出席されて、この問題に対する説明を聞き、懇談をいたしたのでありますが、フレッチャー司令官の説明によりますと、この基地拡張については立川基地拡張の場合とは異なって、大体において地元の瑞穂町との間に順当な話し合いが進められており、格別な紛争の起きていないことは喜ばしいことであり、今後も双方の十分な話し合いによって解決して行きたいと述べ、さらに横田基地は現在日本における最も優秀な飛行場一つであり、将来日本航空自衛隊がジェット機を使用して自衛に当る場合、当飛行場の拡張を痛感せられるであろうと述べております。  なおレッシング師団長は、私より、横田基地の拡張は今後さらに行われることがあり得るか、また将来この拡張した横田基地を原爆兵器の発着に利用することが予想せられるかとの質問がなされたのに対し、今後さらに滑走路の拡張をする必要はないと考える。後の質問に対しては日米両国間の話し合いにおいてきめられるべき問題であって、私の立場からは何ら意見を申し述べることができない点を御了承願いたい旨、答えられました。  私ども一行は東京調達局横田調達事務所においても所長らと会見し、本問題に対する説明を聞いたのでありますが、所長の説明によりますと、当飛行場の拡張については、現在、補償額の点について地元と具体的な妥結を見ないのであって、基地拡張そのものに対する地元の反対はなく、測量も順調に終っており、この飛行場の拡張計画に伴って瑞穂町民所有の農地の買い上げ及び借り上げを行うほかに、一部道路及び鉄道路線の変更の問題が伴うのでありますが、これら農地、道路、鉄道用地の買い上げまたは借り上げを一括した問題として町代表と折衝し、解決をはかっている状態である。またこの拡張に伴って、瑞穂中学の移転の問題が起っておるが、この移転についても、その必要が起きたときには、現在附近にある米駐留軍の使用している約五万三千坪の射撃場を解除することにきまっており、中学校の移転先にも支障がない。また今回の拡張区域内にある民家はただ一戸のみで、その所有者も買い上げには賛成しておるとのことであります。  最後に、瑞穂町役場におきまして、瑞穂町助役らと会見し、本問題に対する現状の説明を聞いたのでありますが、現在瑞穂町民のこの基地拡張問題に対する態度は、さきに申し述べた調達事務所長の説明と大体同様であり、現在のところ調達当局より補償額については何ら具体的の数額も示されておらず、また地元民からも補償額の具体的数額の申し出もないが、今後政府においては特に補償額については十分な考慮を払ってもらいたい。また当町のごとく基地拡張のために大きな土地を国に提供した町村に対しては、政府においても特別な財政的の考慮をしてほしい旨を述べておりました。  以上をもって調査報告を終ります。
  36. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次は、第一班の野本君から御報告を願います。
  37. 野本品吉

    ○野本品吉君 御報告申し上げます。島村委員、木下委員及び野本委員の三名は、去る二月六日から十日間、当内閣委員会の決定に基きまして、新潟県におきまして、米駐留軍航空基地の現状と、国の地方出先機関の事務運営の実情を、また群馬県太田市におきまして、米駐留軍の駐留により、同市の受ける影響につきまして調査を行なって参りましたので、その調査の概要について以下御報告申し上げます。  最初新潟県に参りまして、まず新潟飛行場拡張問題について調査いたしましたが、初めに地元の新潟飛行場拡張反対期成同盟の代表者から、次のごとき拡張反対の趣旨の陳情を受けました。その第一点は、拡張によって七十町歩の山林、田畑がつぶされること。その第二点は、四十五戸が立ち退きを命ぜられること。その第三点は新潟大学農学部が、爆音、騒音等のために廃校にならざるを得ないこと。その第四点は、新潟市と旧松ケ崎を結ぶ県道が遮断され、これがため将来新潟市の大都市建設が阻まれること。その第五点は、地元部落の諸学校等は、爆音、騒音または飛行機事故等による不安や、危険に脅かされること。その第六点は、将来対岸貿易によって繁栄せんとしている新潟市の平和的な発展が阻害されること。その第七点は、この米軍基地は、中国、ソビエトに対する戦略基地であるとともに、その拡張の意図は原水爆搭載の大型ジェット機の発着のための拡張であると思われるので、平和を求める二百七十万の新潟県民の悲願が踏みにじられること等であります。  私どもはこの反対期成同盟の方々の陳情を聴取いたしまして、ついて新潟県に参り、北村知事より新潟飛行場滑走路拡張問題についての現状について説明を受けましたが、新潟県においては県議会も拡張反対の決議をなし、また知事も現在のところ土地収用に関する公告の段階には達していないとのことでありました。  続いて新潟調達事務所におもむきまして、この拡張問題について調達事務所の取り扱いの現状について説明を受けましたが、同調達事務所におきましては、昭和二十九年六月調達庁長官より、新潟飛行場拡張予定地の調査指示を受け、米駐留軍拡張要求土地面積七百八十四万平方フィート、すなわち二十二万四百二十坪について、昭和二十九年十月二十日から一カ月の予定をもって日米共同の現地調査を行うため、知事に対しては協力方の要求並びに昭和三十年三月土地関係人三百二十九名に対しては、立ち入り調査方の同意を要求するとともに、協力方にについて説得に努力して参りましたが、今日のところ何ら効を奏していないとのことでありまして、調達事務所としても、調達庁よりさらに指示を待っている現状であるとのことでありました。  引き続き私どもは新潟飛行場拡張予定地を視察し、オームスデット新潟飛行場司令官及びレッシング第四十一航空戦闘師団長と会見し懇談いたしましたが、レッシング師団長より、新潟飛行場拡張の必要の具体的理由等について説明を受けました。  なお今回私どもの新潟飛行場視察の機会に、現地の各種団体代表者よりそれぞれの立場から反対の陳情を聴取いたしました。  次に、国の地方出先機関の事務運営の実情の調査として、新潟地方監察局、農林省新潟統計調査事務所、新潟労働基準局、第九管区海上保安本部におもむき調査いたしましたが、その調査の詳細な資料は、内閣委員会調査室に備えつけてありますから、必要の場合はそれを御利用願いたいと存じますが、ここでは私どもの視察いたしました概略だけを御報告申し上げます。  まず新潟地方監察局において調査いたしました主な点を申し上げますと、全国の各監察局におきましては、昭和三十年二月から新らしい試みとして、苦情相談窓口業務を開始いたしておりまして、この業務は地方にある各行政機関の行政措置について不服や苦情が相当多い現状にかんがみまして、行政の民衆化に資するために、行政監察の一環として、その窓口となって各出先行政機関の業務に関連する範囲内のもろもろの苦情等を一般民衆より受け付け、これらの問題の早期解決をはかって行かんとするものでありますが、この業務実施の結果は、監察局の懇切かつ早期適切な措置によって、民衆から非常に感謝されているという実情にあるとのことであります。また、行政管理庁が最近新たに各監察局に対し、現地所見表示という新しい方法を実施させております。この現地所見表示と申しますのは、御承知のごとく、監察の結果は管区において、管区直接調査のもの及び地方局調査結果をとりまとめまして、現地の総合結果報告を作成の上、中央に報告し、中央では全管区の報告に基き、監察会議において審議の上、監察結果報告書を作成いたしまして、関係機関に通報するとともに、改善事項を相手方に勧告することによって、行政事務改善の効果を上げるのが原則でありますが、現地において明らかに措置を要し、また解決し得る問題は、右に述べましたような一般原則によらずに、現地監察機関の所見表示という形式において相手方に懇談いたすことにより、即時改善を促すという方法でありまして、この新しい方法の実施の結果は、行政事務改善の上に多大な効果を上げておるとのことであります。  これらの説明と関連して、監察局で行なっている行政監察と、会計検査院の会計検査とが世上往々混同され、誤解を生じていますので、局長より行政監察業務の本質と特色とについて、るる意見が述べられました。  最後に、監察局当局より要望事項として、監察局としては、現在の定員と監察及び研修のための旅費では監察局が責任をもってその所掌事務実施するのには不十分であって、この点について国会においても十分御理解を願いたい旨の意見が述べられました。  次に、農林省新潟統計調査事務所に参りましたが、所長の説明によりますと、米の供出の場合、その数量の把握については、現在主要食糧の統計に当っている農林統計事務所、食糧事務所及び県庁のうち統計調査事務所の数字が最も正確であるので、これが使用されている実情であるが、今後、統計の正確を期し、各方面に利用され得るよう、さらに努力したい旨の説明がありまして、このような立場にある統計調査事務所としては、将来さらに一そう正確な資料作成について能率を上げ、その資料保管の万全をはかるため、次のごとき諸点の実現について特に御考慮を望む旨の要望が述べられました。  その第一点は、重要統計書類保管のための不燃書庫の新設事務所の拡張増設、また出張所の建物が現在民間より高家賃で借用しているものが多く、それらが売却されて移転を余儀なくされる場合があるので、これがために職員の勤務能率にも影響するところが多いので、出張所の固定勤務場所の確保に努められたいこと。  その第二点は、事務連絡の機動化をはかるため、現在、昭和二十四年購入以来の自転車によって、出張所においては現地調査、事務連絡に当っているが、これらの自転車にモーターを取りつける等の改善によって、業務の能率化をはかられるようされたいという点であります。  次いで、新潟労働基準局におもむきましたが、新潟労働基準局管内のおもな産業は、農業、機械器具、農機具、繊維各工業でありますが、近時天然ガスの無尽蔵と称せられる下越地区の各所で天然ガスの開発が進められ、その工業化が進行中であり、また奥只見電源開発、黒又川第一発電所工事等の建設工事も行われている等の現状でありますので、これに伴い、当労働基準局の労働監督行政も広範囲にわたっているとのことでありまして、労働基準法違反の防止、この法の趣旨徹底をはかるがために、集団指導等の方針をとって、できるだけ各事業場の納得のいくよう努力し、違反事件の減少をはかっているが、その成果は割合に上がっているとのことでありました。  次に、労働基準法改正の是非の問題について、局長は、同法施行後八年を経過した現在、同法実施の従来の経験にかんがみ、実情に即した業務運営の簡素化の面での改正は行われるべきものと考えるが、各種の国際的労働基準に準拠しているこの労働基準法の基本的内容改正については、労働者の基本的権利を擁護する法の精神から見て、なすべきものでないと考える旨の所見が述べられました。従来、行政機構改革の一環として、労働基準局及びその下部機構の地方委譲の問題が、一部の人々から唱えられておりますが、この問題に関し局長は、かりにこれらの行政機関が地方へ委譲せられた場合には、都道府県の地域ごとに個々別々の立場から労働基準行政が行われることになり、国全体としての統一された労働基準行政が行われ得ない欠陥も考えられるとともに、検察庁と不離一体の関係にある本行政が、不当な地方的勢力に左右される懸念も考えられるので、結局労働基準法の精神を実現することが困難となるおそれがある旨の意見を述べておりました。  最後に、局長から、従来の経験上、労働基準局の要望の第一点として、ボイラー検査、電源開発事業所監督等の特殊勤務についての危険業務手当制度並びに労災保険徴収官に対する特殊手当の実現をはかられたいこと。第二点として、超勤手当、監督旅費の増額についての予算上の措置を講ぜられたいこと。第三点として、労働基準局及び下部機構の監督官の定員の増加並びにその身分保障の確保について特に考慮せられたい旨の意見が述べられました。  新潟県におきまして、私どもは最後に第九管区海上保安本部を視察いたしました。第九管区海上保安本部は、新潟、伏木、七尾の各海上保安部、新潟航空基地、両津、福浦の各海上保安署、小木分室並びに管内十四カ所の航空標識事務所を下部機構として持っているのでありますが、この管区が他の管区と比較いたしまして、その業務内容の点で特に著しい特質としてあげ得る第二点は、この管区が日本海の浮流機雷の処置についての業務の点でありまして、季節的に十一月から翌年三月までの間に日本海方面に多くの浮流機雷が浮流し、これがため、昭和二十九年度に二回、本年度に三回、当管区では特別捜索船隊を編成して、機雷の特別捜索に努めたとのことであります。また特質の第二点は、当管内においては、例年佐渡海峡の底びき綱禁止区域をめぐって、機船底びき網漁業者と沿岸漁民との間に漁業紛争が発生し、海上保安本部においては、適宜、係官を現地の出雲崎町に派遣するとか、あるいは巡視船による巡視警戒を強化して、厳重な取締りを実施する等の方法を講じて、紛争の予防措置に力を尽しているとのことであります。  なお、職員の勤務状況についての説明によりますと、当管区は特に気候不順に影響されるために、毎年休職者または長期療養を要する欠勤者が跡を断たず、特に巡視船乗組員にこの傾向が強いとのことでありまして、これら職員の健康管理については、特に努力しているとの説明でありましたが、そのうち、管区当局より最も強く要望されましたことは、船員の上陸後の宿舎施設が現在不完備な状況にありますので、船員の上陸後、いこいの場所たる宿泊施設を今後ぜひとも設けていただきたいという点でありまして、なおこのほか、巡視船艇の増強、直江津海上保安署の設置及び航空機増強についても、そのすみやかな実現方が要望されました。  私どもは新潟県下における調査を終り、次いで群馬県太田市に参りまして、米駐留軍の駐留によって、地元の市の財政等、諸般の事項に及ぼす影響について調査して参りましたが、時あたかも水道給水問題について太田市と、太田市の米駐留軍との間に紛争の生じている最中でありましたので、この問題についてまず調査いたしました。すなわち私どもが同市に参りました本月十一日は、市議会が水道問題で米駐留軍キャンプ並びに駐留軍家族の住宅に対する制限給水断行を昨十日に決定し、最悪の事態にまで立ち入ったときでありました。太田市におけるこの給水制限問題と申しますのは、太田市は御承知のごとく戦時中は中島飛行機株式会社の所在地でありまして、戦後これらの工場は米駐留軍キャンプ及び駐留軍家族の住宅用として接収されて参りまして、太田市では米駐留軍を迎えるとともに、米駐留軍関係には太田市の水道施設より給水を行い、便宜を与え来たったのでありますが、近ごろでは米軍の需要水量は同市の給水量の五〇%まで上りまして、従って水量不足のためしばしば断水を余儀なくされる事態に立ち至りましたので、同市においても上水道増量工事が必要となり、これが解決のため日米合同委員会に提訴して折衝を続けて参りましたが、その過程において、当初市の水源拡張予定費一億六千万円をさらに最小限必要拡張計画費五千万円に縮小し、水道使用料については、当初座間の米技術司令部より提案されたことのある一立方メートル当り二十二円案によって解決するよう、同市より再度米軍側に提案した結果、昨年五月、前述の提訴が米軍側で取り上げられ、日米合同委員会に正式に提案せられるに至り、目下討議中であるにもかかわらず、最近に至り軍自体では井戸掘工事を入札に付し、一方的に独断の処置を講ずる挙に出るに至ったのであります。  米駐留軍の駐留当初から、太田市民は駐留軍に対し協力的な態度に出ておったのでありますが、この米駐留軍の井戸掘計画の挙があまりにも同市の立場を無視した行動であるとして、太田市議会におきましては、本年一月三十日米軍への断水決議を行なうに至りました。しかしその後外務省当局の調停もあり、市議会としてはその調停の結果を待っため待機の態勢をとっておったのでありますが、この外務省当局の調停案も米国側で拒否されたので、倉石労働大臣がこの紛争解決の調停に入るとのことであるから、制限給水についてはしばらく猶予したらどうかという太田市長の意見も市議会では受け入れられず、ついに太田市議会においては今回全国にも前例のない制限給水を断行するに至ったというのがこの問題の現状であります。  なお、この制限給水と申しますのは、市民への給水の確保とともに、従来米駐留軍への給水のために給水できなかった地区へ今後給水するがため、従来あった米駐留軍との給水契約をこの際廃棄して、日米行政協定第七条の規定に従い、市民と何ら差別することなく、市民と同じように同じ量の制限給水を行っていこうというのでありまして、この問題は現在におきましては日米両国政府間において解決さるべき懸案の問題であります。  私どもはまた太田市並びに県内米駐留軍基地関係町村の代表者より次のような陳情を受けました。その要旨は、地方財政が極度の窮乏状態に陥っている現状下にありまして、地方財政の歳入面においては、米駐留軍の駐留に伴い、固定資産税の収入減のほか、電気、ガス税等の地方税の収入の減少が生じておりますが、他方歳出面においては、米駐留軍の駐留に伴う道路、橋梁の修理その他一般渉外経費の支出が相当巨額に上っておりまして、これら地方財政面の是正については今後国会並びに中央政府において次のような善後措置を講ぜられたいという趣旨でありまして、その第一点は、政府は一般渉外問題に関する地方の実情を十分把握し、この渉外問題の円滑な処理に要する経費の財源を地方に配付されたいということ、第二点は、米駐留軍諸般の施設に関連して必要とされる道路、橋梁等の維持修理費並びに地方の不動産及び動産の提供に伴う各種補償等については、政府において実情に即した適切なる予算措置を講ぜられたいということ、その第三点は、日米行政協定実施に伴う地方公共団体委託費については、渉外面の紛争の増加に伴い、必要額を地方へ配付するよう措置されたいということ、以上の三点であります。  以上が私どもの先般新潟及び群馬県の両県に出張いたしまして調査して参りました概要の報告でございます。     —————————————
  38. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) それでは次に公務員の給与に関する件を議題といたします。  本件につきまして御質疑のおありの方は御質疑を願います。
  39. 千葉信

    千葉信君 浅井さんにお尋ねいたしますが、公務員制度調査会の方で人事院のあり方について答申が出た、最近はまた行政審議会等で同様の問題が取り上げられているようですが、この問題等の見通しについて、人事院側として御承知になっておられる点がありましたら、その点をまず承りたい。
  40. 淺井清

    政府委員(淺井清君) そのお答えを申し上げますけれども、公務員制度調査会の方の答申についてはよく存じております。行政審議会答申はまだ出ていないのでございますし、非常に、聞くところによると抽象的なものでありまして、その具体的な構想については何もわかっていないのでありまして、これに対してわれわれといたしましては大体新聞に出ている以上に何も報告を受けたり、そういうことを知る過程にはまだないように思っております。
  41. 千葉信

    千葉信君 淺井さんも御承知のように、人事院が設けられているということの根拠は、相当明確な根拠の上に立っているし、その存在の必要だということについては私どもも十分承知しておりますが、同時にまた、人事院総裁立場からいいましても、公務員法の制定以後における日本の公務員制度の運営の実態、特に昔の日本の官吏制度といいますか、官吏制度から起ってくる弊害等の点については、やはりこれは公務員の給与、公務員の利益を守るという問題などと同時に、今日なお重視しなければならない点だと思うのですが、従って、そういう立場から、総裁は公務員法の制定の趣旨、それからその目的等を考えて、消極的な態度をおとりになるということは、少くとも私は良識ある態度ではないと思いますが、淺井総裁として十分その点について腹をすえた意見なりまた行動なりが必要だと思うのですが、その点でどうですか。
  42. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 千葉さんのただいまの仰せ、まことに御同感に存じておりまして、われわれもそのつもりでおりますが、ただ、どういうふうな方法によってそれをやるか、これはわれわれに課せられている問題だろうと思っております。
  43. 千葉信

    千葉信君 まあ時間の関係なんかもありますし、かなり大ざっぱな審議になると思うのですが、就任以来淺井さんとしては、少くとも公務法の期待するところに従って日本の公務員制度の成果を上げるために努力をされてこられたでしょうし、同時にまた、公務員立場に立ってその利益を擁護するという点についても努力されてこられたと思うのですが、一つ最近に起っている問題を中心にして、この際淺井さんに御質問申し上げたいと思うのですが、第一点は昨年の十二月公務員に対して〇・二五の年末手当の増額が人事院の勧告通り行われました。しかし同時に、その際に公共企業体等においてあるいはまた五現業職等の場合においては、その公務員退職手当の増額と同時に、その倍額の支給が行われております。倍額以上の支給が行われたところもあります。一昨年の十二月にたしか淺井さんのところからその当時の情勢をごらんになって、公務員の年末手当の決定されている額と、その基礎となっている条件とを考えると、年末手当の支給割合が、公務員と他の公共企業体あるいは現業職の職員との支給率が同じになると、公務員は非常に不利益になるということを、人事院としては政府注意されたはずですが、ところが昨年はそういう措置がとられたかどうか、私は実はまだ聞いておらぬ。措置はとられたにしろ、とられなかったにしろ、明らかに公務員諸君は昨年の年末手当の支給においては大きな不利益をこうむっている。どっちも十五割ということになりますと、片一方は十二割五分の当然の支給額に対して二割五分が増額されただけですし、片一方は十割の支給額に対して十五割が支給される結果となったわけですが、この点では非常に私はへんぱな、不利益な取扱いが行われたことになると思うのですが、この点について総裁はどういう措置をおとりになりますか。
  44. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ただいま千葉さんの御指摘になった不均衡ということについて私は実は承知していないのでありますが、人事院といたしましては、人事院所管の一般公務員に関する限り、〇・二五の増額を要求し、その通りこれが実施を見るに至ったものですから、これはわれわれとして満足しなければならぬと、年末手当に関する限り満足しなければならぬものと、さように考えております。
  45. 千葉信

    千葉信君 そんな表面上の答弁だけで私は問題は済まぬと思うのですがね。なるほどあなたのおっしゃる通りに、事年末手当に関する限りは人事院の勧告が実施をせられました。そうして実施をされた以上、人事院として人事院の期待されたところがその通り実現したわけですから、これは人事院としてはその限りでは私はいいと思う。しかしそういう国家公務員の関係は、そういう処理が行われたけれども、同時に同じ立場、それからまた同じ国の仕事をやっておる一方の諸君の場合には、ちょうど倍率の有利な条件の年末手当が支給されたのです。今、淺井さんはそれだからいいとおっしゃるけれども、人事院の勧告通り実施されたのだから人事院としてはこれで十分だとおっしゃるけれども、そんならなぜ一体一昨年の暮には同率の支給ということは不公平を招くからという通牒を出されたのですか、政府に対して。私はその通牒を出したことは正しいと思う、むしろ正しいと思う。それを去年は人事院はそういう注意もされずに、非常に片手落な格好で、なるほど国家公務員の場合は人事院の勧告通りになったかもしれない。しかしまた二面からいうと、片一方の方はちょうどそれの倍額の支給を受けているじゃありませんか。それを人事院がそんなことはおれの方の知ったことじゃないおれの方は国家公務員関係だから、一般職の関係だけだから、おれの方は知ったことじゃないという態度は、これはいかぬと思う。やはり公務員の利益を守るという立場において、他との不公平をなるべく避けて、他に劣らないような条件を人事院としては希望しなければならないし、また人事院としてはそういう不公平の起らないような努力をしなければならぬ立場にあると思う。どうも今の答弁だけでは私はちょっとどうもはいそうですかといってお聞きしておくわけにはいかぬと思う。
  46. 淺井清

    政府委員(淺井清君) まことに御もっともでありまして、お説の通りでありますけれども、ただ昨年末におきまして、われわれはただいま千葉さんの御指摘のような他の方面において非常に多くの年末手当が支給されていたということは知らなかったわけであります。その点御了承願いたいと思います。
  47. 千葉信

    千葉信君 しかし知らなかったというようなことで済むことじゃないと思うのですがね。それは淺井さんは公務員に対する給与の実施官庁という立場で、あなたの所には事務総局もあるのです。事務総局がそういうことを知らないはずはないのです。知っているのです。知っていても淺井さんのところに連絡なしに、あなたが知らなかったと言われても、その知らなかったこと自体があなたの責任だと思う。どうですか。
  48. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 事務当局がそういうことを知っておればもちろん報告したと思います。事務当局に過失はないと思いますが、人事院自体としてどうも千葉さんのただいまおっしゃることに実に私は非常に今意外に思ったのですが、なお事務当局から答弁させます。
  49. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 一昨年通牒が出ましたことは御指摘の通りであります。昨年の年末におきましては、人事院は勧告をいたしておりまして、先ほど総裁から御答弁がありましたように、人事院の勧告通りの率で支給されたわけであります。  人事院の職務ということは、まず第一に民間とのバランスを見るということが第一になろうかと思うのですが、民間の昨年末における支給状況というのは、これはまあわれわれが本年の三月現在におきまして詳しく調べるところでございまして、どうしても民間との比較におきまして多少時期がずれるということは、これは公務員の給与の場合にはやむを得ぬことではないかと考えるのです。公共企業体の関係を今特に問題にされておるのでありますけれども、人事院といたしましては、対民間の関係におきまして、われわれが把握した資料によって、昨年はああいう勧告をいたしたわけでございます。公共企業体との関係も、これは十分研究しなければならぬということは御指摘の通りだというふうに考えますので、今後におきましては、やはり公務員の給与というものを考えます際に、民間の給与のみならず公共企業体、三公社五現業のバランスということも考えなければならぬであろうと思っております。
  50. 千葉信

    千葉信君 だいぶ苦しそうな答弁ですが、去年の年末に、民間の賞与の実態がどうであったか、こうであったか、私はそんなことは、少くとも昨年の暮の年末手当を支給する上の参考にしようというような調査をしたということ、そんなことはできっこないのです。私はそんなことを聞いているのではないのです。そんなことを聞いているのではなくて、明らかに瀧本さんの認められたように、一昨年の暮には公務員に対して〇・二五の増額が行われようとしている、同時に一方その一・二五カ月分ということになりそうな〇・二五カ月分を増すのだけれども、総額としては一・二五カ月分になりそうな気配がある。ところが一方の同じ政府の仕事をやっておる公共企業体、それから現業職の職員等については、これは同様に一・二五になろうとしている気配がある。両方とも一・二五になっては、本来片方が基本給の計算等で少し有利になっている関係から、年末手当は〇・二五の較差が初めからはっきりあるのに、それが同率の一・二五になっちや、こはれ不合理だ。不合理だからというので人事院は政府に対して注意を喚起される通牒を出された。そうですね。同様のことが昨年末に起ったわけです。片方公務員の方は、人事院の勧告に基いて〇・二五上げるという措置がとられ、同時に片方、本来一カ月分の支給を受けることになっている、そして国家公務員と同じように〇・二五増額されれば、それで同等な公平な取り扱いになるのに、国家公務員の方は一・二五カ月分になるんだからという理由で、ぽんとはね上って片方はちょうど倍の増額を受けておる。これは今浅井さんの答弁では知らなかった、前の年には通牒を出しておいて、その次の年には知らなかったということは、これは答弁にならぬと思う。しかもそれに対して浅井さんは、事務当局の方も知らなかったと言っている、知っていれば自分のところにも連絡するはずだ、これではちょっと話の筋が通らないじゃありませんか。
  51. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 一番初めから千葉さんのおっしゃることをちょっと誤解していたように思うのです。それは〇・二五を一般職の公務員に昨年末支給されるようになった、これは勧告通りであります。それ以上に何か公共企業体の方に得たものがあるように私は聞き取ったのであります。それはわれわれは知らなかったとこう申し上げたのでありまして、ちょっと初めから話が食い違っていたように思います。
  52. 千葉信

    千葉信君 また食い違いました。私の聞いているのは、国家公務員の場合には〇・二五しか上らない、おかげさまで人事院の勧告通りどうやらなったのですから、この点じゃあなた方の御努力を大いに多とします。しかし同時に国家公務員の方は〇・二五上って一・五カ月分になった。ところが片方〇・二五カ月分同率に上れば、一・二五カ月分になるべき筋合いの現業職、それから公共企業体の職員は片方が十五割だからおれの方も十五割だという格好で、これは当時の河野給与担当相はどういう考えでやられたかはわからないけれども、少くとも当初はそういう差を知らないでぽかっとやった傾向がある。実はその問題は、私にちょっぴり追及されたときに、少々あわてている。私はそんなことを突っつき回すというと、折角もらえる人たちの利益をこっちでじゃますることになるから、私は途中でやめた。非常に不用意な格好でそういうところにいった。ところがそれに対して当然人事院としては、一昨年はそういうことのないように注意を喚起しておきながら、昨年は知らなかった、そして今になって浅井総裁はそういうことについては知らなかった、そういうことについては知らなかったじゃ済まないと思うのです。事務局も知らないはずはない。浅井さんは事務局も知らなかったから……知っていれば自分のところに連絡があったということを言われるが、そんなことじゃ人事院は一体上下のつながりは何をしている、何をぼやぼやしているんだということに私はなると思う。これはこれ以上どうも追及するのは少し苛酷なようだから大体のところで私は次の問題に入っていいけれども……。
  53. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ちょっとつけ加えますけれども、一昨年には何か書簡を出した、申し入れをやった。昨年は申し入れしなかったということは、一昨年は年末手当の引き上げの勧告はなかったのでありますから、均衡をとれるようにという申し入れをしたわけであります。昨年は〇・二五の引き上げの勧告をしておりますから、人事院としてはそれが達成された以上、さらにまた勧告にも比すべき増額を要求するということは、ちょっと困難であったろうと思います。それからちょっと話が食い違って、どうも千葉さんが最初言われたことは、何だか公共企業体の方でもっと取ったということは、要するに結果論のことであって、われわれ何か別にやみか何かで取ったように思ったのですから、ちょっとお答えは、知らなかったと申し上げたのです。
  54. 千葉信

    千葉信君 ますます苦しい答弁になってきているけれども、私の言いたいことは、一昨年は勧告は実施にならなかった、昨年は勧告は実施になったということを聞いておるのではないのです。勧告が実施になったということは非常にけっこうだと思います。けっこうだと思うけれども、一方からいうと、最終的な結論としては、さっき私が申し上げたように、国家公務員の方はまた不利益をこうむって、片方の方は倍率に引き上げられて支給された、しかもそれは倍率以上なんです、ほんとうは。現業職は一・五カ月分だけではないですよ、それにまたプラスがついておる、プラスがついているのがたくさんありました。新聞にも発表された通り。それを一般職の職員の利益擁護をしなければならぬ立場に立っておる人事院がそれを知らないでいた、もしか知っていても、その不利益な条件等を何とかしてやるということについて全然無関心です。知らぬ顔で過ごしたということになると、人事院の本来持っておる責任からいうと、仕事からいうと、私は人事院の明らかな手抜かりではないか、少し不親切過ぎるのではないか、それでおれたちは人事官だということは言えないのではないか、その点を私は聞いておるのです。それじゃいかんよ。
  55. 淺井清

    政府委員(淺井清君) これはちょっと調べます、一度。私どもそういうふうに考えてなかったのです。
  56. 千葉信

    千葉信君 重大な警告を発しておきますよ。そんなことでは人事院総裁は勤まりません。もう少ししっかりしてもらわなければ。  次の質問に入ります。きょう国家公務員の諸君と淺井総裁とがいろいろ今度の賃金の引き上げの問題について会談をされたはずですが、どういう話合いの結果ですか。
  57. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 別に話合いの結果、まとまるとかまとまらないとか、そういう段階ではなかったです。つまり官公労としては、この際人事院がすみやかにベース・アップの勧告をするように、これが第一の要望であります。第二には、昇給原資というものが足りなくなっておるのではないか、この点についての善処方を求められたわけであります。これに対しましてペース・アップの勧告を即時にせよということは、人事院としてただいまその用意がない、人事院としてはまだベース・アップの勧告をするかしないかということはきめていない。そういう段階でないということを答えたのであります。それから昇給原資の問題については、人事院は十分努力はしたつもりであるが、なおできる限り努力をしよう、大体、きわめて簡単過ぎますけれども、そういうことでありました。
  58. 千葉信

    千葉信君 大きな方の問題はあと回しにして、小さい方の問題から入りますが、昇給原資の確保については、なお一そう努力をしましょうという、その努力はどういう格好で……。
  59. 淺井清

    政府委員(淺井清君) それはわれわれ財政当局ではないのですから、だがらわれわれがこれを、つまり与えるというような立場にはありません。また予算を取る方も、これはすでに予算は各省庁に分れておるものですから、これは各省庁によって努力をしてもらうよりしようがない、われわれとしては、まず昇給原資というものは努力したつもりでありますが、昨年と比べると窮屈になっているのではないか、しかしわれわれは非常に窮屈になっているとは思いませんけれども、ともかく窮屈になっているのではないか、こういう国会においてわれわれが発言の機会を得ましたならば、よく国会議員各位にもその点を訴えたい、かような意味で申したつもりであります。
  60. 千葉信

    千葉信君 今までその問題について努力をされたことは、私も敬意を表します。しかし残念ながらその努力が実を結ばないで、現在国会提案されておる予算案からいうと、残念ながら一般職の職員の給与法の示す通り昇給昇格をすることが不可能とはっきり出ております。これは淺井さんも御承知でしょうが、その予算の人件費に当って見るということになればわかるはずであるし、この委員会におきましても実はその点については大蔵省の方から、少くとも今後の三十一年度に組まれている予算に関する限りは、現在の一般職職員の給与法の示す通りに昇給昇格をされるということはできない。それより不足に計上してある。はっきりそう言っております。一体なぜそんなばかなことをしたのかと言ったところが、大蔵省の答弁では、いや私どもはああいう昇給期間、ああいう昇給金額は反対なんだ、もっと期間を延ばさなければいけない、もっと金額は引き下げなければいけない、そうでないと財政負担ができなくなる。だから大蔵省としては結論からいえばはっきり法律をじゅうりんした予算を考えている。そんなばかなことがあるかといって私から追及されたら、それに対する答弁は、大蔵省の考えとしては現在の昇給昇格に関する法令が改正されることを希望している。そんなばかなことまで言っている。その事態はそういう関係で今国会にその予算が出ています。給与法通りの昇給昇格はできない予算が国会に出ている。今淺井さんは努力をされたと言われる。これから努力をされると言われる。そのこれから努力をされるというその努力は、この委員会に来てたとえばこういう機会に淺井総裁がそれに対して、こんな予算の編成は不当だと、なぜその現行法を守ろうとしないのかということを淺井さんははっきり言われる必要があるし、言われるだけではだめだと思う。問題はやはり予算委員会の関係とか、国会全体に対して淺井さんは今努力をされると言った。その努力は、あの予算を修正するための努力が淺井さんとしては当然必要になる、努力をされるという以上は。これからも。淺井さんはその御用意がありますか。
  61. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ちょっとさかのぼりますが、いつかここに大蔵省の主計局当局から申し上げたことがあまりに冷やかな答弁であったために、千葉さんの御発言があったように記憶しておりますけれども、大体昨年から見て今年度は非常に悪くなっているとは私どもは実は考えていないのであるます。それは五%が四%になったとかいえばそれはそろばんの上のことでありますからそうでありますけれども、私はこの四%とか何とかというような一本の数字では問題にはならぬと思っております。何となれば、それは予算の上の計算であって、実際の人件費というものは各省庁に割り当てられており、各省庁によって人員構成が違い、それからいろんな条件も違いするものでありますから、私はそう非常な窮屈なものでなくてもできるように思っておりますし、また私どもは直ちに給与法を改正して昇給を延期するとか何とかいうことは、そういうことは全然考えておりません。現行の給与法の規定をそのままにいたしましても非常な昇給が困難になると、そこまでは考えていないのであります。
  62. 千葉信

    千葉信君 それは淺井さんの答弁の仕方は逆ですよ。今淺井さんの答弁は、大蔵省の代弁を務めて、これでも何とかなるのだというそういう格好の答弁に強引にでっち上げようとしている。実際にその担当している大蔵省の方で、たとい私の質問がどういう格好で展開されたにしろ、はっきりとその給与法通りの昇給昇格はできませんと、こう言っている。今あなたは勘違いされて、四%の調整額の問題について去年なんかより少し悪くなったなんと考えられておられる。そうではないのです。昨年やその前よりも調整額の関係は少し緩和されている、よくなっている。これも事務総局の方では知っているはずです。人事院の事務総局の方では幾らぐらい緩和されたかということははっきりしている。金額ははっきりつかんでいなくても去年より緩和されたということは知っているはずです。去年通りだったら大へんなんです。去年や一昨年通りだったらもう昇給ストップというのは随所に出ています。そういうふうに随所に昇給ストップが出ているのをもしも人事院知らないとしたらこれも問題です。実際に起っているのです。それはことしちょっぴり緩和されたけれども、緩和されてなおかつ給与法通りの昇給昇格をするということができないというのですからこれは重要なんです。ですからそんな人件費の使い方そのものがあなたのおっしゃるようにかなりの幅を持っていることは私も知っています、おっしゃる通り……。その省その省によってある程度の差し繰りをつけることができる。しかしその差し繰りは最後の究極するところは、場合によると高級者をうまいことを言ってやめさせたり、おどかしを言ってやめさせたり、そういう格好をしなければ差し繰りのつかぬ状態さえも出て来ている。現実にそういう事態が起っているのです。ですからそういう事態ですから淺井さんの立場としては、ここでいや人件費の使い方についてはこういう差し繰りが各省ごとに可能だとか、やればうまいことやれるのだという答弁じゃなくて、さっき言われたように、そんな態度ではなくて、逆にあなたはこの予算の不当なところを、この予算の欠陥なんかについて、あなたははっきりこれを指摘されて、そうして給与法の実施官庁として、この給与法の完全な実施責任を背負っておる人事院として、ああいう予算ではいかぬということを明白にされて、適正なものにあなたは直す努力をしなければならない。あなたはこれからも努力をされると言っておられるのですから、その努力を今のままでこの予算が通過しては大へんだというところにあなたの努力を向けられなければならない。もうあなたは努力する、努力すると言っても、そんな努力なんかだれもいただけません。どうですか。
  63. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 私はちょっとそこのところは違うのですが、大蔵省の財務当局が給与法通りの昇給はできないと言い切ったというところに多少私は……(千葉信君「速記録をごらんなさい」と述ぶ)ええ、つまりさように申しております。けれどもこれは少し事実に違うのじゃないか。給与法の規定によれば全員の定期昇給というようなことは書いてないのでありまして、それは成績とかいろいろなことから来るわけでありますから、そのような重大な結果は現行の予算でも私は生じないと、人事院としてはかように考えております。しかし人事院としてはこの窮屈になっている昇給のためになお今後いろいろな方法で努力はいたしたいと思っております。
  64. 千葉信

    千葉信君 そういう答弁じゃだめですね。もっと淺井さんしっかりしておらなければ……。あなたが人事院の総裁として一方では給与の引き上げの問題をどうするかという点をかかえており、一方では昇給昇格という問題がここ二年越しの実績、二年越しの苦い経験からして、公務員は非常にこの問題について大きな関心を持っている。非常な大きな不利益を受けておる。ですからあなたとしては今おっしゃるように、いやこの予算で何とかやろうと思えば、やれるのだ、そういう大蔵省の代弁者みたいなものの言い方はやめて、あなたはすっきりした格好で、機会あるごとに明確な人事院としての立場から給与法通りの昇給昇格をやるべきだ、全般上げろなんと私は言っていないのです。この給与法に該当する勤務成績の優秀な、これに相当する勤務期間を経過した者に対しては当然上げなければならない。その面については上げるべきだ。大蔵省は実はそういう点について、この予算は、この法律に対しては、自分たちは反対なんだ、だから法律改正されることを望むのだ、自分たちの予算編成はもう一歩先に全部上げるのじゃない、条件をちゃんと備えておる人に対しても昇給昇格されることができないような予算を編成をしていますというようなはっきり答弁をしておる。それを浅井さんがこの席上で、さりながら大蔵省を代弁するようなそういう答弁をするようじゃ、あなたがせっかく努力をされると言ってもこれはわれわれも期待できない、公務員も期待できない。それではいかぬ。まあしかしこれ以上この問題は突っきませんが、ではその次に移ります。もう一つは、今給与担当の倉石国務大臣なんかは、一方では給与は上げない。上げないかわりに、しかし昇給昇格はさせる、何か倉石公務員制度担当大臣のごときは公務員法を知らないのです、給与法を知らない。昇給昇格させるから、だから給与改訂をしなくてもいいじゃないかというのですが、条件が違うのです。これは昇給させるという条件と給与改訂を行うという条件条件が違う。それを混同して、どっちにしても上るのだから何とかいいじゃないか、こういうふうな御答弁です。一方では国会における答弁におきましても、物価は横ばいですからと言う、物価は横ばいですから給与は上げなくてもいいじゃないか、これが唯一の政府の言いぐさなんです。唯一の理由なんです。この問題について私は浅井さんの責任を追及しなければならぬ。去年の七月に出された人事院の勧告からいきますと、なお公務員の現行給与が実施された昨年一月以降の物価は全般的におおむね停滞の状態を呈している、こう言っております。これは重要な問題の点だと思うのです。いいですか、浅井さんも御承知の通りに、今の給与が決定されたのはなるほど二十九年の一月です。しかし人事院があの当時給与改定の勧告をされた、その基準は二十八年の三月です。二十八年の物価と民間賃金の状態とを勘案して人事院は給与改訂の勧告をされた。おそらく淺井さんは、いやそれも国会で最終結論が出たのだから、国会の御意思がそうでございますからと逃げるかもしれませんけれども、これは逃げられない、どうしてかというと、浅井さんも前に委員会ではっきり答弁されたように、二十八年の三月の物価もしくは賃金を基準として給与はかくあらねばならないという勧告をされた人事院が、その次の段階において給与改訂に関する条件、給与改訂に関する基準は二十八年の三月を基準として勧告された。その二十八年三月を基準として、その次の勧告なりその改訂云々が論議されなければならないと淺井さんもはっきりこの委員会で述べておる、当時の人事委員会で……。ところがここにこういう、まあ少し極端な言葉かもしれませんが、ここにこういうばかばかしい表現が行われておる。一方から言うとこれは非常に悪意を持った表現が行われておる。公務員の給与が改訂された二十九年の一月から物価は動いていない、停滞の状態、これが今の政府の唯一の口実になっておるのです。現実に二十八年の三月を基準にして物価の状態を見ると、上って少し横ばい、少し下降したけれども今日なお高いということは、この委員会で人事院の給与局長がはっきりと答弁されておるのです。そうなるとこの条章は非常に公務員諸君にとって気の毒な結果になりつつあるということを考えなければならぬと思うのです。私はこの点を淺井さんになんのかのと文句を言いたいために言っているのじゃないのです。私はこういう点もあるから、公務員は現実に非常に不利益に陥っている、だから私はこの際人事院としては贖罪のためにもさっきのお話のように、まだその用意はないとか、まだ調査は完了していないとか、そんなことを言わずに人事院としては罪のつぐないのためにも、今までのようにいつでも三月なんという基準を考えずに、十二月でもいい、一月でも私は早急に人事院としては勧告をして、公務員の生活を守ってやるという態度をとらなければならぬと思う、いかがでしょう。
  65. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 御趣旨はよくわかるのでありますけれども、人事院といたしましては毎年三月一日現在で民間給与の調査をいたしておる。これは今日まだやっておりません。そこで人事院としてこれは勧告をいたします場合は、やはり国民の世論を納得せしめるだけの資料は持たなければならぬと思っておりますので、まだその資料も得られないときに、今日において勧告をするとかしないとかということをここの席上ではっきり申し上げることはできないと思います。
  66. 千葉信

    千葉信君 淺井さん、去年もおととしも公務員諸君はずっと定員定額制に切りかえられて、しかも給与の調整費ががたっと落ちてからあと、ほとんど昇給はストップしている。ひどいのになるともう二回も三回もその昇給ストップにひっかかっている。その実際の状態について、実施官庁としての人事院が知らないはずがないです。知っているはずです。そのためにこうむっている不利益は一体どれくらいになっていますか。
  67. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お言葉でありますけれども、私は昨年度においてさように昇給昇格が非常に全般にわたってストップしている、そういうふうにはどうも報告を受けていないのでございます。
  68. 千葉信

    千葉信君 とんでもない話だな。大蔵省でさえも定員定額制に切りかえて給与の調整額を削ってから三十億も三十億以上ももうかってきているということを言っているじゃありませんか。国家財政に寄与したと言っているじゃありませんか。国家財政に寄与したかしれませんけれども、公務員諸君はその分だけ昇給の停止ということになっているのですよ。首切りという格好にもなっているのですよ。淺井さんはそういうものを防ぐために、そうして防がなければならぬ立場に立っているあなたが、今のような答弁じゃ、それでは話にならんじゃないですか。瀧本さんどうですか。その停止によってこうむっている不利益の状態はどれくらいとあなたは計算されていますか。
  69. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 今御指摘のいわゆる調整額を国会におきまして給与法を改訂されますときにカットになったという点は御指摘の通りでございます。しかしその後におきまして事実上非常にむずかしい事態が生じておるというようなものにつきましては国会の暗黙の了承を得たようにわれわれ考えておったのでありますけれども、すべて原状にまで復したということはございませんけれども、われわれのところでやり得る程度のまあ回復ということはいたしておるのであります。今の問題はそのずっと昔の調整額を切り落したときのお話と昨年のお話がすぐ結びついているようにちょっと伺ったのでございますけれども、昨年の状況を申しますると総裁が申し上げましたように、昨年におきましては当初予算が策定されました折にはよほど昇給昇格が窮屈になるのではなかろうかという予想がございました。しかしながらこれは実施官庁の実施面における工夫もあったでありましょうし、またわれわれとしましてもいろいろ工夫もいたしたのでございますけれども、結果におきましては三十年度においてそれほど昇給昇格が停止されたというふうにはなっていないのではなかろうか、まあこれはまだ三十年度が終っておらぬのでありますから的確なことは申されないのでありますけれども、おおむねの見通しといたしましては五%前後の昇給昇格というものが行われているということは一応言えるのじゃなかろうかというふうにわれわれ考えておる次第であります。
  70. 千葉信

    千葉信君 どうも苦しそうでこれ以上言うのはどうかと思われるけれども、実際にその昇給ストップの状態というものを人事院の方は今の御答弁からいうと調べておらんのじゃないか、調べていればそういう答弁はできないはずだし、それからまた人事院でも御承知のように各省庁が去年おととしあたり非常にその調整額が減って、定員定額制に切りかえられたために昇給昇格ができないじゃないか、実施官庁という立場からこの問題を何とかしてほしいという頼みは人事院は受けているはずなんです。いいですか。その話が全然人事院に申し込まれておらんなんということを言わせませんよ。ところが今年は、今度の三十一年度の予算の関係では各省から人事院に対してそういう話が全然来ないでしょう。来ないというのは去年より少し楽になったからです。去年よりもちょっぴり楽になったものだから、楽になった分だけは何にも人事院に頼まなくてもいいのだから、ことしはそんなことについて人事院に何のかんのといって来ないでしょう、現実に。そういう事態ですよ。これは人事院の方の立場として、今一方では人事院を廃止するとかしないとかいう問題までもち上っているし、今までの人事院の非常に温厚な立場からいっても、あんまりはっきりしたことが言えないのは、僕はわかるけれども、しかし実際に昇給の関係等でいかに各省が昨年、一昨年苦しんだか。ことしはその調整額が四程%度になったので、それで少し息をついているという格好で、去年は三%やっとというところがたくさんあった。ですから今私は急にその数字をここではっきりしてもらいたいということは言いませんから、人事院としては、去年、おととし実際に起っている昇給ストップの状態ですね、非常に騒いでいるのですから、その問題について。だからこれを一つ急いでその実態というものをこっちの方へ出してもらいたい。私はその問題と人事院が勧告をしなければならぬ問題と結びついておると思う。そういう点が明らかになった機会にもう一回この問題について御足労を願って、この委員会で少しお尋ねをしたいと思うのです。今日は時間の関係もありますから、これくらいで打ち切っておきます。
  71. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 別に御発言がなければ、本件につきましては、本日はこの程度にしておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議がなければ、さように決定いたします。  本日はこの程度で散会いたします。     午後零時五十三分散会      —————・—————