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1956-03-13 第24回国会 参議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十三日(火曜日)    午後一時三十四分開会     —————————————   委員異動 三月八日委員島津忠彦辞任につき、 その補欠として西田隆男君を議長にお いて指名した。 三月九日委員野田俊作辞任につき、 その補欠として高良とみ君を議長にお いて指名した。 三月十日委員西田隆男君及び高良とみ 君辞任につき、その補欠として島津忠 彦君及び野田俊作君を議長において指 名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松平 勇雄君    理事            島津 忠彦君            宮田 重文君            久保  等君            柏木 庫治君    委員            石坂 豊一君            石原幹市郎君            瀧井治三郎君            津島 壽一君            最上 英子君            永岡 光治君            三木 治朗君            山田 節男君            野田 俊作君            八木 幸吉君   国務大臣    郵 政 大 臣 村上  勇君   政府委員    郵政省電気通信    監理官     松田 英一君    郵政省電気通信    監理官     平山  温君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    日本電信電話公    社総裁     梶井  剛君    日本電信電話公    社副総裁    靱   勉君    日本電信電話公    社営業局長   吉澤 武雄君   参考人    日本放送協会会    長       古垣 鐵郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選電話設備費負担臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○放送法第三十七条第二項の規定に基  き、国会の承認を求めるの件(内閣  送付予備審査)     —————————————
  2. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) これより逓信委員会を開会いたします。  前回以後の委員異動について御報告いたします。三月八日及び九日に島津忠彦君、野田俊作君がそれぞれ委員辞任され、補欠として西田隆男君及び高良とみ君が選任されたのでありますが、三月十日左記両君はいずれも再び委員に復帰されました。以上御報告申し上げます。     —————————————
  3. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) それではこれより本日の議事に入ります。  まず、ただいま御報告いだしました通り島津君の理事辞任に伴い、理事補欠互選いたしたいと存じます。互選方法は前例によりこれを委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 御異議ないと認めます。それでは島津忠彦君を理事に指名いたします。
  5. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 次に、電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  本案は去る三月八日、衆議院において可決した上、本院に送付されたものであります。なお本案につきましては、衆議院逓信委員会において付帯決議が付されたのでありますが、その内容はお手元に配付の資料により御承知願いたいと存じます。  それでは本案質疑を継続いたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 八木幸吉

    八木幸吉君 電話で今幾らもうかっておりますか。
  7. 吉澤武雄

    説明員吉澤武雄君) 御質問趣旨がちょっと……。
  8. 八木幸吉

    八木幸吉君 つまり電信電話を分けて、電話だけとすると、年間幾らぐらいの利益がありますか。
  9. 吉澤武雄

    説明員吉澤武雄君) 今手元資料がございませんですが、二十九年度決算、それから三十年度決算、こういうものによると大体わかると思いますが、今手元にありませんから、取り寄せましてお答えをいたしたいと思います。
  10. 八木幸吉

    八木幸吉君 それからもう一つ伺いたいのですが、この加入者負担をやめて公債だけ持たしたら、どういう不都合がございますか。
  11. 吉澤武雄

    説明員吉澤武雄君) これは公社側として実はお答えをいたすわけでございますが、政府の提案でございますから、政府の方からお答えを願った方が適当だと存じますが、公社側の考えといたしましては、ぜひこのような法案を延長してやっていただきたい、こう考えておるわけであります。と申しますのは、現在の電話需要から見ますというと、設備資金の制限が実はあるわけでございます。従って受益者にこのような負担をかけないでも……そのような意味負担をしていただいて、電話を一個でもつけたい。こういう意図に出ておるのでございます。従って東京で申しますと、社債で六万円ちょうだいいたします。これは十年のうちに償還をするわけでございます。五年間は据え置きでございまして、年六分五厘ずつの利率をつけております。あとの五年間に抽せん償却をいたしまして、最後の十年目には全部償還する、こういう形で六万円を、あと三万円というものは負担金現金でちょうだいいたします。ただし、電話をつけまして五年以内におやめになったときには、それの三万円をお返しする、こういうことになっているのが負担金の三万円なのでございます。  そこで今電話大体一個をつけますのにどのくらいかかるかと申しますと、大体いろいろ分け方がございますが、私ども全国平均いたしまして、土地から建物から交換設備から、さらに線路、電話機から考えますと、一個を新設いたしますというと、約二十五万円くらいかかるのでございます。その意味から申しまして、その一部分負担金をちょうだいし、かつまた、社債を持っていただく、こういうことによって今の電話需要をできるだけ満たしたい、こう考えておるのであります。
  12. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の負担金の三万円を公債を持たす六万円に加えて、三万円の負担金をやめて公債を九万円持たせるということにすれば、公社側としてどんな不便がございますか。
  13. 吉澤武雄

    説明員吉澤武雄君) 大体年間社債の方をお引き受け願いますのは約五十億、こういうふうに考えております。負担金の方が約四十億程度というふうになっております。従って私ども実はこの資金関係から言いまして、設備費というものを初めちょうだいしておったわけであります。当初の負担法社債のことは考えてないのです。その後依然として電話需要は多く、かつまたそれを満たすに十分な数がなかなかつけにくいというようなことから、たまたま公社としまして社債発行ができることになった、そこで社債負担していただいたわけです。やはり本来ならばこのような負担金というものはできるだけなくなしたいというのが本筋でございまして、ただいま申しましたような五カ年計画も遂行中でございますし、さらに第二次五カ年計画もどうしてもやらなくちゃいかんというようなことを考えますと、これを社債で全額いただくということになりますと、やはりこれは全部をお返しするということになる。そういうようなことから考えますと、ある程度二十五万円ということを考えますと、一部分現金でいただくこういうことがやむを得ないのじゃないかということで、三万円の負担金はそのままちょうだいしておるというように考えております。また、従来電話の始まって以来今日までの電話設備費に対しまして、当時一番高いとき、関東大震災以後におきまして、そのときに千五百円という現金をちょうだいしたわけです、そのときは。今の金にいたしますれば約四十五万円くらいであると思います。そこでその当時は、すっかりその設備の金を全部もらったというような形でございまして、自後それをなるべく政府資金によってまかなっていくということで、下げて参ったのです。終戦後このような負担制度をやめましたときでも九百円ちょうだいしておったのです。そういうようなわけで、やはり電話拡張というものが非常に必要なわけです。設備資金がないというようなことが、過去の今までの現象でございまして、   〔委員長退席理事宮田重文君着席〕 その意味ではやはり負担金に相当する金は一部分ちょうだいしたいというふうに考えております。
  14. 八木幸吉

    八木幸吉君 この電話拡張計画に、三万円の負担金加入者に持たせるという場合と、それから全部公社社債を持たせるという場合との、金利等の、あるいはその他のものも入れて、予算も入れて、公社利害得失ですね、一体それだけ社債全部を持ち得るかどうか、消化の見込、簡単なものでけっこうですから、数字的な資料一つこしらえて出していただきたいと思います。
  15. 吉澤武雄

    説明員吉澤武雄君) 御趣旨に沿ったような資料ができますれば差し上げたいと思いますが、ただ、その負担金社債の問題でございますが、社債をたとえば九万円持っていただくということになりますと、少くとも加入者におきましては、その社債の処分とか、いろいろなことも考えられます。今日はだいぶん社債の値も上って参りました、安定はしておりますが、以前は非常に安かったようなこともあります。そういうようなことも考えていただかなければならないというようなふうに考えております。
  16. 八木幸吉

    八木幸吉君 それからもう一つ電話一個というのも非常にむずかしいのですが、ある経済単位があるとすると、一個設備するのに二十万円かかるとか、二十五万円かかるとか、十五万円で済むとか、いろいろ相当前に議論になったことがあるのですが、これは計算の立て方で非常に違うのですが、大体一本についてどれくらいの費用がかかるという、これも簡単なものでけっこうですけれども資料にしていただきたい、こう思います。お願いできますか。
  17. 吉澤武雄

    説明員吉澤武雄君) 簡単なものでしたらできると思います。
  18. 宮田重文

    理事宮田重文君) じゃ大臣がお見えになりましたから。
  19. 山田節男

    山田節男君 これは私前回欠席しておりますので、あるいは質問が重複しておった場合には、あえて御答弁を求めません。後日速記で見ますからそのおつもりで御答弁を願いたいと思います。  第一は、去る三月七日に、衆議院逓信委員会付帯決議の中にも述べられておるように、電話設備費負担臨時措置法というのは立法以来時限立法です。従ってこれは一つ臨時制度であります。そこに時限立法にするという目的があるのだと思います。で、衆議院付帯決議を見ましても、ここに書いてあるように、「電話加入申込者等受益者負担にまつことは、事業公共的性格からいって、努めて避けなければならない。」これは私はこの付帯決議は非常に正しいと思います。これは私は前回に出席しましたときに、大臣質問申し上げました。従来この電信電話国営であった。それが三年前に公社になった。われわれが公社にしたゆえんは、いわゆる自主独立採算主義でありまして、そしていわゆる官僚主義でない、ほんとうの前だれ式のサービスを提供するという意味でこの法律を作った。しかるにこういったような以前官営であった時代にあったような、電話設備費負担臨時措置法、こういうものが今日あるということ、これは私何と申しますか、電電公社が依然として旧套を脱しないと、こういう意見を私は申し上げたのであります。この点に関しての大臣御所感はどういうものでしょうか。
  20. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御指摘の通り、できる限りこの需給の関係もスムースにいくようにはからなければなりませんし、またかような負担金につきましても、なるべくすみやかに、これらの負担がなくてもいけるように努力いたさなければならないと思います。今回の臨時措置法におきましても、ただいま衆議院における付帯決議お話がありましたように、大体一般経済情勢ともにらみ合せまして、できる限り外部資金の獲得に努力をいたしまして、なお公社経営合理化、あるいはその合理化による資金を捻出いたしまして、早くこれが一般加入者負担のかからないように努力いたしたいと思っております。ただ、ここで弁護するわけではないのでありますが、どうしても非常な、需要者が今非常に殺到していますので、これを少しでも満たしていくためには相当な無理もしなければならない。と申しますのは、ただ利益の上る、利潤の上る都市中心にやられたのでは、公社目的に沿いませんし、どうしても全国的に少しでも一般国民の求めに応ずるようにするためにば、相当採算のとれない方面にも重点を置かなければなりません関係上、いろいろと経営上そこに負担がかかって参りますし、こういう関係でしばらくの間この負担法を延長していただきたいというのが今回のお願いでありますが、国営時代でありましても、これはいささかの設備費というものはちょうだいいたしておった次第でありまして、その程度の、一つ当分の期間この程度負担お願いいたしたい、お願いするのはやむを得ないのではないかと、私意見を求められれば、私はそういう感じがいたしております。
  21. 山田節男

    山田節男君 これはまあ大臣としてその程度のことしか言えないかもしれませんが、この前に申し上げたように、公社にしたということは、従来の国営官営時代のからを脱して、いわゆる自主独立に、しかもサービスをよくするということでこれは実は公社にしたわけです。ですから官営時代負担金をして、当時としては何百万、何千万というようなことを今言われましたが、そういうようなものを負担したというやり方は、これは一事であって、万事すべて官僚系統のものに対して、いわゆる拡充計画というものも求めなければならないし、サービスもせねばならない、施設の改善もできないということで公社にした。その根本精神から言えば、受益者負担をさせるということは、これは私は寡聞ですけれども少くとも私の見た英、米、ドイツ、こういう電話の最も普及発達したところではこういう例を見ない。われわれが公社を作ったのは、やがてはそういうふうにゆくべきものだという方針で作ったのです。従ってこの電話設備負担臨時措置法時限立法でやったのはそこにあったのです。しかるに今回法律に見ると、この時限が五カ年になっておる。これはちょうど靱副総裁にもお聞きしたいのだが、この公社発足以来第一次五カ年計画というものを作っているわけです。これは昭和三十二年度には第一次五カ年計画が終るわけです。で、これは大臣政府とすれば今第二次の五カ年計画を敢行するのはこれは非常な異例であり、公社趣旨に反するわけです。せめて第一次五カ年計画の完了までは、これは非常に悪いことであるけれども許さざるを得ない。今大臣のおっしゃったような必要からこの理由は私はある程度納得できると思うのです。しかるに五カ年と申しますと第二次の五カ年計画に入っている。なお三年間この受益者負担をさせなければならないというような、なぜそういうことをしたのか。これは私どもこの立法に携わった者としてまことに了解に苦しむのです。この二年にするか、あるいは五年にするか、そういうことについて政府は、何かもっと明確な方針をもってこういう五年にしたのか、その間のいきさつは私はいろいろあるのじゃないかと思う。われわれが法を作った意に反したようなことを政府がやるというようなこと、しかも大臣がおっしゃったような、こういうようなものは衆議院付帯決議にあるように、努めてこれは避けなければならぬという制度を、五カ年もやるというその根本的な理由がどこにあるのか、一つ大臣に明らかにしてもらいたいと思います。
  22. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これはお手元にお配りいたしておりまする資料によっておわかりいただけると思いますが、第一次五カ年計画終了時におきまして、これから二年かかるわけですが、その二年先にも電話サービス、並びにこれに引き続く第二次の五カ年計画を必要と私どもは思っております。で、それを遂行するに必要な建設資金の調達がなかなか思うようにいかないのじゃないかというような実情から見まして、どうしてもこの法律を延長していただいて、もう少し、もうしばらく御負担を願いたいというように思っております。
  23. 山田節男

    山田節男君 ただいまの大臣のおっしゃることは何ら私は理由にならぬと思います。これははなはだ失礼ですけれども、この法律ができた当時に大臣逓信委員であったかどうか存じませんが、今申し上げたように、この公社が発足いたしまして、いわゆる電話施設の急速な設備普及発達のために第一次五カ年計画を立て、それに所要の資金計画というものがあるわけなんです。ですから第一次五カ年計画は、これはどうしても完成しなければならぬというのは、これは国民から見ても焦眉の問題であります。私はこういったような受益者負担をさせるということは絶対に反対ですけれども、しかし第一次五カ年計画は、これはやむを得ない。これは実情から申してやむを得ぬ点もありますが、第二次五カ年計画に入って、三年間もこういう悪い習慣を存続せしむるということが私はわからない、立法趣旨に反している。万一昭和三十二年度を終えまして、諸般経済情勢がどうしてもできないということになれば、そのときにこれは考えるべき問題です。今大臣がおっしゃるように、第二次に入ってからのことまで経済事情を心配することはいいけれども、これはどう変動があるかわかりません。そこまで考えることはむしろ行き過ぎである。むしろ客観的な妥当性を失わせることになるのではないか、こう思うのですが、ただなるべく長くこの金を負担をさせる方が拡充のためにいいんだというのでは、これは依然として昔の官営主義の旧殻を脱しないと思うのですがどうですか。その点どうも大臣の今おっしゃることでは、二年にすべきものだ、どういうことで五年にしたかということの理由が私ははっきりいたしません。
  24. 村上勇

    国務大臣村上勇君) その点は衆議院におきましても一番問題になった点でありますが、大体ただいまの国の財政状態から見ましても、どうもこの方に国家が金を回すというような状態でもないようにも思いますし、それから実際に電電公社があげて努力いたしておりますし、相当実績も上っておりますけれども、しかし今日の需要者の数から見まして、果してここで二年先に全然負担を願わないでいけるかというようなことはちょっと常識的にも、また実際数字の上からも考えられないというので、こういうようなお願いをしておるのであります。もし幸いにして政府公社に対する資金の流れが非常によくなったり、あるいはまた、その他の方法でこれがりっぱに経営が成り立っていくような状態になりますれば、その二年先に、あるいは三年先に、どういうような措置でも政令等によってできると思いますので、その際にはそうしていきたい、衆議院付帯決議のように、これはあくまでも尊重して少しでも負担を軽く、また、でき得れば負担がないようにしたいということは考えておる次第でありますが、現状からこれを推理いたしますと、どうしてもこのような法案を提出せざるを得なかった次第であります。
  25. 山田節男

    山田節男君 これは今年度の電電公社の繰入資本が百九十七億ですね。その中で電信電話債券の公募によるものが八十五億円、しかしその他の合計百十一億というものは全部受益者負担の形になっているわけですが、これはちゃんと電電公社から出した説明資料として出ているわけです。この一例々見ましても、今私初めから何度も申し上げているように、電電公社の将来向くべき傾向としてむしろこれは逆行しているのではないか。繰入資本を五五%もそういったような形で受益者負担させているということは、公社を設立した趣旨に反するということなんです。これはせめて三五%、四〇%ならば、これは今申し上げているように第一次五カ年計画の完了するまでは、諸般事情から見て私はこれはまだ耐え忍ぶべきだと思うのですが、この三十一年度を見て、繰入資本が五五%というものを受益者負担させるということは、これはおよそ文明国家として逆の立場である。そこを私は申し上げているのです。そこにやはり依然として官営時代のそういったような色が濃いと申しますか、ほんとう独立採算主義でやるという傾向が顕著にならないという一つの証明じゃないかということで、私は非常に不安を感じるわけです。この点どうですか。
  26. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お話はよくわかりますが、いわゆる電話普及を全国的にあまねく普及するために、今日の国民要望等に照しますというと、相当これに要する建設資金等も必要になって参りまして、先ほど公社国営とのお話も出ましたが、私はそれの是非につきましては、ここでしばらく意見を申し述べることを差し控えますが、国営時代でも少くとも千円とか千五百円とかいうような一部負担があったのでありまして、今日あまねく公共の福祉に少しでも沿うという立場電話普及をいたしますことになりますと、どうしても採算を度外視して全国的にこれが建設計画をしなければなりませんので、そのためにやはり一部の加入者の人々の御負担については、これはもうしばらくはやむを得ないことと私は思っております。
  27. 山田節男

    山田節男君 これはまあ言葉尻をつかまえるわけではありませんが、今のような郵政大臣の御見解あるいは御意見だと、これはスケールが違いますけれども、たとえば日本放送協会放送法の第一条によってラジオをあまねく普及せしめなくちゃならない。これに基いてわが国の各地方にある難聴地区に対して、経費を度外視して放送法第一条の建前によってやれと、当委員会で再三われわれ強く要望した結果、次第にその難聴地区現行予算の範囲内によってこれはやっているわけです。今大臣のような筆法でいきますと、たとえばラジオ普及について難聴地区もございましょう。これもまた経済的には非常に負担が多いにかかわらず、公共性にかんがみてやれと、これは採算を度外視してやっているに違いないと思う。そうであるかどうか私は確めませんが、とにかく当委員会としては強くそういうことを申し上げた。またテレビジョンを今後これを普及させるということになりますと、どうもやはり現行放送法からいえば、利害打算を度外視して、これまた普及させなくちゃならぬということになると、この経費はもっと莫大なものになりはせんか。今の大臣のような御意見ですと、たとえば公共放送事業に関して、どうしてもこれは難聴地区に対してテレビジョン放送網拡張するには料金を上げてもらわなくちゃいけません。あるいは料金を上げなくても、何か電話と同じように、特別な負担視聴者からもらわなくちゃならぬということになれば、大臣はこれに対してやはり同意されるのかどうか。スケールは違っても、サービスというふうなことに関して、これは性質は同じなんです。そういう場合はどうなんでしょう。放送事業に関しての大臣の御意見を伺いたい。
  28. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは同一にすべきものであるかないかということについては、お答え申し上げかねますが、放送事業にいたしましても、難聴区域の解消もできない、またサービスにしてもできないということになれば、結局料金の上に検討を加える以外にないと思います。
  29. 山田節男

    山田節男君 副総裁にちょっとお伺いしますが、これはまあ、副総裁も当時次官であって、公社法立法については、当委員会意見もいろいろ聞いておられるわけです。で、今大臣に御質問申し上げたように、今回のこの電話設備負担臨時措置法公社趣旨からいえばせいぜい二カ年です。これだけ努力して作られた五カ年計画を終えるまで、こういう異例な、また従来最も官営であり、悪いやり方であったものは、これはどうもしようがない。しかしながら第一次五カ年計画以後においては、こういうものはもう公社になった原因からみても許されぬ、私はこういう御方針があってしかるべきだと思うのですが、なぜ公社として五年ということにして、おそらく私は郵政大臣に対して五カ年ということを主張されてこうなったのだろうと思うのですが、今大臣質問したことに関連して、電電公社としては、これに対する意見といいますか、所信をどういう工合にお持ちになっておるのか、これをお伺いしたいと思います。
  30. 靱勉

    説明員(靱勉君) 私どもわが国の電話のように、過去におきましては、ほとんど設備に要する経費は全額を加入者負担に仰いだ。例を申し上げますれば、千円、千五百円、三百倍で計算しますれば四十五万円というような多額の、それによって全部の設備ができるというような負担加入者にしいたという点が、わが国の電話普及しなかった一大原因であったと思いまするが、これはまあ、電信電話に対する全体の認識が足りなかったと申しますか、あるいは国の経済というものがそこまでいかなかったのか、ともかくいずれにしましても他の国に例のない電話権利というものが発生し、電話の売買ということで、電話というものが一つの財産だという形になっておったわけであります。終戦後これに対しましては、一時全然負担金はちょうだいしないということにいたしたこともありましたが、と同時に譲渡禁止をするというようなポツダム政令も御案内のようにあった次第でございます。これはまあ、非常な理想で、私どももちろんこういうことにならなければならぬと考えた次第でございますので、終戦後当時わが国の財政の力と申しますか、経済の力から、なかなか電話事業にのみ多額の政府の援助もできないというようなことで、しかも需要は非常に膨大であった。従って若干の金は負担しても早く電話をつけてもらいたい、当時の情勢では、申し込んで五年たってつくか、六年たってつくかわからないというような需要と供給のアンバラがあったのでございますので、当時臨時立法としてこの負担法ができまして、できるだけ大きなワクにおきまして加入者の御要望に沿うと、こういう態勢になったわけでございます。そこでその後五カ年計画というものが作られまして、ちょうど設備負担は五年でございましたが、三年で切れてしまうということになったわけでございますが、過去におきまして一番因った問題は、結局計画が不安定であるということでして、建設資金が確実に得られまして長期の計画が立つということが、電話事業の健全な発達のために根本的に必要である、こういうふうなことを私ども痛感いたした次第であります。従いまして五カ年計画を設定しまして、一応の資金計画等も負担法に基きまして作った次第でございますが、これも御案内のように、二十八年度はようやくある意味において相当大規模で出発しましたが、二十九年度は直ちにデフレ政策の影響を受けて外部資金も四十二億五千万円しか得られない。いわゆる一般の外部資金でございますが、そういうふうな状況で、公社としましては、とにかく加入者あいるは市外回線の増設等によりまして、できるだけ直接利用される設備拡充によりまして収入をよけい得るということによって、この欠陥を補いまして、第一年度から第三年度までここに経過しておるような次第でございますが、三十一年度、三十二年度におきましては、どうしてもこの第一次五カ年計画を完成したいという意味合いにおきまして、どうしても、はなはだ理想とは遠い次第でございますが、負担法の延長をお願いしたいということがまず第一のお願いでございました。そこで第一次五カ年計画が、当初たとえば加入者を例にとりますれば、十四万というような目標でやりましたが、これは事実上十九万、二十万近く架設せざるを得なかった。その理由は非常に需要が多かったということと、もう一つどもは収入を得なければならんというような要請で、そういうような基礎設備をおくらしても、やむを得ずそういう方向にいかざるを得なかった。ところがこういう十九万、あるいは二十万程度、三十一年度、三十二年度にやって参りまして、わが国の電話というものはようやく二百五十万ということになりまして、人口百人で当りますと三・八と現在世界で二十二番目といわれておりますが、ようやく十九番目くらいになる。これは三十二年度の末の現在の負担法そのままの需要を予測してみますと、三十二年度に十九万程度つけたとしましても、四十八万という電話が残ってしまう。二八%程度しか充足できない。これは国民から見ますれば、第一次五カ年計画も何もないのでありまして、もう申し込んでから、三〇%充足しますれば、申し込んで三年間は、一番あとの人はつかんと、こういう形になるわけでございますので、どうしても第一次五カ年計画の規模を落すわけに参りません。そこで第二次五カ年計画を現在考えておりますが、これはお手元に第一次五カ年計画の概要と、第二次五カ年計画の大体のところをごらんに入れている次第でございますが、これも年々五百六十億くらいの建設資金を投じまして、加入電話の例にとりますならば、十九万程度五カ年間やって参ります。その結果わが国の電話はようやく三百四十五万ですか、この程度になりますが、これをもってしましても、現在の人口割で五・五ぐらい、これでようやく世界の十七位ぐらいになりますので、私どもこの五カ年計画の規模というものは、決して需要に対しては大きいものであるとは考えていないわけであります。  そこでこの五カ年計画を設定します場合に、いつも問題になりますのは、一体われわれが予定したように資金が得られるかどうかという点でございまして、長期計画を立てましても、資金がぐらぐら動くのでは、これは全く紙にかいたもちみたいなもので、計画が何ら進捗するに至らんということで、毎年々々そのときの状況によって左右されなければならない。もちろん電話といたしましても、産業あるいは一般の景気不景気の変動は受ける次第でありますが、過去におきましては決してそうじゃなくて、需要は非常にある。しかしながらやはり一般財政政策にのりまして、まあ電話はしばらく待てというようなことで落されてくる。こういうようなことでは困りますので、私どもできるだけ安定した確実な資金を確保いたしたい。今回、来年度の予算としましては八十五億ということで、外部資金をようやく政府の方の御承認を得て、国会で現在審議にかかっておる次第でございますが、公募社債でいくと申しますれば、これもやはり一定のワクがあるのでございまして、本年度におきましては二百億程度、これは国鉄と両方で分け合うという形になっております。ところが来年度におきましてこれを三百億程度のワクに拡大されたのでございますが、国鉄の方の政府資金の援助がそうできないということで、やはり二百億以上、二百四十億というものは国鉄の方に配分される。私どもの方は八十五億、この八十五億につきましても、なかなかそう容易な金ではないのでありまして、この外部資金がどういうふうに決定されるかによって計画がぐらんぐらん動く、こういう形になっておるのでありまして、山田委員のおっしゃる通り、わが国の電話の形態というものは、決して理想の態勢ではない。しかしながら過去の立ちおくれというものを取り返していくということにいたしますならば、この際どうしてもある程度加入者の方にも御協力を願わざるを得ない。これはまあ全般論といたしましては、私は決していい政策だとは考えていない次第でございますが、こういう非常に当初において多額の固定資本を投下しなければならぬ他の設備、ガス、電気水道等の例におきましても、若干、あるいは相当の負担を利用者にお願いしておる。私どもはこれはなるべく避けたいという意味合いでございました。当時国会の御審議におきましても、これはともかく一時、金を借りるのだという体制でございまして、負担金の東京におきまする三万円につきましても、五年間に加入を離れる、すなわち、加入した電話を要らんと返される方には三万円そのままお返しする。それから六万円の社債につきましては、現在の金利から見てどうかと思いますが、六分五厘という金利をつけまして、必ずこれは返済して参るというような格好にいたしておりますので、あくまでこれはできるだけ負担の方に御迷惑のかからんような態勢に、現在の法律がなっておる次第でございます。まあしかし、これはまた当時政令を作りまして、最高額をきめたものであります。でありますから外部資金の獲得いかんによりましては、あるいは自己資金拡充いかんによりましては、これはできるだけ下げていくというような考えでありましたので、この五年間でも、ある程度政令によって減額できますれば、私ども最もこれは望むところであったのでございますが、ただいま申したような、三十一年度、三十二年度の状況並びに今後五カ年間の状況を見ましても、容易にこの事態が解消できないというような次第でありますので、まあ臨時立法としましては、あるいは最高限でありますが、もう五カ年間お願いする。しかしながら監督官庁であります郵政省におきましても、政令で最高領をきめてあるのであるから、できるだけ早い機会においてこれを軽減するような措置をとらなければならぬというような御趣旨もありますし、私どもといたしましても、もちろんそういうような心がまえで今後最善の努力をいたしまして、実際上の負担をできるだけ少くしていかなければならぬ、こういう考えに立っておるのであります。山田委員の御指摘のように、公社を作りましたのは、過去の何と申しますか、国営の非常に悪い点を直していくという点にあることは、私ども絶対に忘れていない次第でございますが、何と申しましても多額の資本を投下しなければなりませんし、また、これに対して国も一挙に応ずるということは、とうてい許されない。しかも計画というものは、かなり安定して長期の見通しのもとにやっていかなければならぬというような、いろいろな事案を考えまして、ある意味においてはやすきにつくと言われるかもしれませんが、しばらくこういうような制度の存置をお願いしまして、さらに第二次五カ年計画に入りますと、かなり前途の見通しもはっきりして参りますので、その際におきましては、さらにこれらの制度についてもよく考えて、検討していかなければならぬ。しかしながら第二次五カ年計画も、かなり早く設定せにゃならぬ。そういうような際におきまして、現在の外部資金の状況というものは、必ずしもそう楽観を許さぬというふうに考えております。またいろいろとこの問題を中心としまして、現在の装置料というものは四千円程度になっておりますが、この負担法が消滅しますれば四千円しかちょうだいできないという形になってくる。電話普及発達のためには非常な支障でございますが、平均二十五万円の建設資金が個々にかかるというようなことを考えますと、これらの施設がかなりそれぞれの加入者の直接の利益にも及ぼす点が非常に緊密な関係にあるというような事態を考えまして、この際私どもとしては、できるだけ軽減する努力はいたしますが、この二十五年度末までにおきまして全廃するというような情勢がうかがわれないというような立場から、やむを得ず五カ年間はお願いいたしたい、こういうような次第であったのでございます。
  31. 山田節男

    山田節男君 今るる御説明がありまして、また私ども復唱しましたように、これは昭和三十三年度で第二次五カ年計画の第一年度に入る。この五カ年計画という、時限にしますと、第二次五カ年計画の初年度から三年度まではこの負担臨時措置法を生かしてもらいたい、そうすると第二次五カ年計画の第四年度、第五年度においては、もうこういうような、何と申しますか、きわめて封建的な、官営時代の旧套を脱してやるという自信があるから、この第二次五カ年間の三年度までは生かしていくけれども、その以後はどんなことがあってもこういう異例な依存心を清算する、こういう意味でおやりになっているのかどうですか、この点について。
  32. 靱勉

    説明員(靱勉君) 何と申しましても、先ほど御指摘がありましたように、これはあくまで臨時措置でございますので、私ども第二次五カ年計画の第三年度をもって、この法律は一応今回かりに提案のごとく成立いたしましても、その後におきましては私ども根本的に改正を考えなければならぬ。これは第二次五カ年計画の実施中におきまして、十分各面から検討いたしまして、こういうような制度を存続させないような努力をいたさなければならぬ、こういう考えに立っております。
  33. 山田節男

    山田節男君 そうしますと、いろいろ靱副総裁の話を開きまして、この事業公共性から見てやむを得ない、こういうような御趣旨の御答弁があったように私は了解するのです。そこで、これはまあ繰り返して申し上げるようになりますが、一体この計画というものは、これはもう日本の自由民主党の経済計画は、十年か二十年というようなことの計画をやっておりますが、まあ通念からすれば五年ないし四年、三年、これも経済事情の変動ということも考えて大体限らなければならぬ。しかもこれは公社においては、いわゆる五カ年計画ということでやっておいでになる。しかも少くとも第一次五カ年計画によって公社としての立場からの経営において自信を強める、あるいは非常にこれは不安であるということは、五カ年計画の遂行の過程において少くとも四年度、五年度になれば、ほぼ私は見通しがつくのじゃないか。そうして現五カ年計画は過去の経験に顧みて、どうしてもこれは手放しではいけない。これはやはり負担金によって資金を確保するほかにはしようがないということが私は言い得ると思うのです。ところがまだ五年も先のことを今心配している。これは石橋をたたいてやることになるかもしれませんが、こういったような性格の事業を担当する者としては、これはあまりに何と申しますか、慎重過ぎるといいますか、一面において非常に依存心がある。もし普通の民間の事業家だったら、そんなことをしようと思ったってできないのです。ところがこれが国家の大黒柱があるためにそれができる、それを利用する。これは国民のためであるから利用することはもちろん反対ではありませんが、しかし、こういうことをさらに五カ年間これを延長するということは、どうもこれは公社の責任者として、まあ用心に用心しようという意味がありましょうが、しかしあまりに僕はこういう受益者負担に依存するという気持が強いからこういうことになるのじゃないかと思うのです。これは梶井総裁もお見えになりましたが、梶井総裁はこういう民間事業の御経験もあり、ですから今靱副総裁からも決していいことじゃない、衆議院のこの法案に対する付帯決議においてもこれを努めて避けなければならない、こういって明らかにこういうことのあくまで臨時的のものであることをうたってあるのですが、梶井総裁に伺いますが、靱副総裁と、これはまあお聞きになったかどうか知りませんが、御意見は全く同じものであるかどうか、一つ確かめたいと存じます。
  34. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) 時限立法としまして最大限五年をお願いしているわけであります。ただいま副総裁からお答えいたしましたように、私どもとしましては現在における事業から申しますると、二年後において直ちに社債あるいは負担金というものを全廃してやっていくということはとてもできそうもない。少くも現在国民の要望しておられます電話の増設関係におきましては、現在程度の幅の拡充でありましても、なおかつ積滞が年々歳々相当数残るという状況でありますので、第一次五カ年計画が済みましても、さらにあらためて第二次五カ年計画をやっていかなくちゃならない。その際にいわゆる財源といたしましては、現在新しい加入者に迷惑をかけております社債、または負担金というものを全廃したんでは、著しく規模が小さくなり、ますます積滞が増加していくということが予想せられるわけであります。ただいま山田委員お話しの通りに、もしこれが民間企業であるといたしまするならば、もちろんかような場合におきましては資本の増加によってやるとか、あるいは他からの長期借入金によってやるとかいうような、いろいろな方法があるわけでありますが、私どもとしましてはすでに公募社債を得る道が開かれておりますので、一面におきまして公募社債を募集しておりますけれども、しかしこれも金融界の情勢によって、ある限度があるのでありまして、過去における経験から申しましても、必ずしも大きな金額を望んでも、やはり消化難に陥ってしまう。そういたしますると、現在のようにある程度加入者に一時負担していただくという方法が避けられない状態にあるわけであります。本来ならば、この場合、われわれとしましては政府から運用部資金を借り入れるという道もないわけではありませんのですが、現在の国家財政の状況から考えまして、なかなかその金額を得ることも困難であり、またたとえ得られたとしましても、財源としてそう大きな金額が得られるとも思われませんのです。また、政府が投資するという道もなかなか困難な事情にありますので、やむを得ずかような五カ年の延長をお願いした次第でありまして、私どもとしましては、今日までの収支状況から見まして、極力自分らの能率を上げて、そして収支の差益をもって拡充財源に充てたいという心持ちでやって参っております。その結果は多少なり結果として現われておりまするけれども、これもそう百億というような収益が上るわけのものでもありませんのです。そういうわけでやむを得ずかようなお願いをしておるわけであります。しかし、一面におきまして、社債を東京ならば六万円というのは、これは最高限度がきめられておるわけでありまして、私どもは第二次五カ年計画を目下着々研究しておりますが、第二次五カ年計画を実施するに当りまして、もしも財源として他の道が開かれてくるならば、われわれとしましては政令によってその社債金額を減らすことができるという見込みがありますので、私どもは今後運用部資金をできるだけ政府から了解を得てもらうということと、もう一方におきまして、一そう能率を上げまして、そうして収益の方から財源を作り出していくという二つの道に全力を上げて参りまして、もしその目的が十分達せられそうでありましたならば、政令によって社債を減額する措置をも講じたいという心持ちを持っておりまするけれども、今からそのことをはっきり申し上げることができるほどの確信がある計画ができておりませんので、やむを得ずかようなことをお願いしたわけであります。
  35. 山田節男

    山田節男君 これは先ほど八木委員からもちょっと質問されたと思うのですが、三十一年度の借入資本金の合計百九十七億円の中で、装置料等を内容とする設備負担金が十三億円、それから受益者に引き受けさせる負担金が五十五億円、合計六十八億円余になるわけですが、これは今、靱副総裁は五カ年以内に電話の加入を停止した場合にはこの金を返すということを言っておられますが、これは明らかに一つ受益者に対するタックスである、課税である。むしろ公社の建前からいえばこれは全部債券化すべきものである、債券でいい。電信電話債券の形式で受益者負担させるというのが、公社経営からすれば正しいんじゃないかと思うのです。今のように負担金の一部は五カ年間以内に加入を停止した場合には返すということになると、むしろほんとうのビジネスなマネージメントとすれば、公社の性質からいっても、むしろ全部債券化してしまう、そうして償還するのだ、その方が僕は正しいのじゃないかと思うのですが、こういう点について梶井総裁はどういったようなお考えをお持ちなのか。なおまた、先ほど靱副総裁から、この五カ年以内に電話の加入を停止したものに負担金を返すと言いますけれども、年間どのくらいそういう金が返還されるか。もし額がおわかりになれば、参考のためにお示しを願いたい。
  36. 靱勉

    説明員(靱勉君) 負担金社債にしてはどうかという御意見でございますが、これはそもそも、この負担法のできる出発におきましては、まず負担金ができまして、それからさらに社債という形になったわけであります。装置料の四千円というものが妥当であるかどうか、一切特別の負担加入者の方にお願いしないという態勢におきましては、とにかく設備としまして、市内電話で平均十八万円、市外設備等加えまして二十五万円というような金が、ほとんど大部分個人の利益に属するという形になりますので、この点につきましては四千円が妥当であるかどうかという問題が、負担金とにらみ合いで起ってくるのではないだろうかというふうに考えております。一方におきまして、これは料金問題にも関係して参るのでございまして、現在社債につきましては六分五厘の利息をお払いして、さらに元金を十年間にお返しするという制度になっておりますので、東京の効外地域と申しますか、住宅電話におきましては、あるいは月に千円程度という加入者も非常に多いのでございまして、そういうふうに計算してみまして、かりに六万円、だけを計算してみますと、これは年に四千五、六百円の金利がつくわけでございまして、従いまして大体四分の一と申しますか、三分の一でございますか、年に一万二千円程度の実は使用料ということになりますと、現実の料金としましては、まあ三分の二程度というような形になるわけであります。二十五万円かかるものについて、利子、減価償却等、あるいは運営費等考えてみますと、これはなかなかその程度の収入ではペイせぬということで、負担金の三万円というものは、自己資金の要するに金利のつかない金と合わさって、そういう設備に還元されておるわけでございますが、私ども三万円が適当であるかどうか、装置料の形として考える場合にどの程度が適当かは、なお検討せねばなりませんが、そういう意味合いにおきまして、実は負担金を全部社債に直すということについては、今の料金体系からみまして、直ちにこれは納得できない問題じゃないか、こう考えておるのでございます。  そこで現在この負担金はどのくらい返しているかという御質問でございますが、今度の法律の改正によりまして、種別の変更につきましてこれを認めるような形になっておりますので、今後加入から脱退する方はあまりないと思いますが、現在におきましては、一応単独電話を脱退して共同電話になるというような形になっておりますので、予算的に申しますと、二億円程度の金というものを負担金の返済として立てておるわけでございます。過去の実例におきましても、一億から二億の間を返済いたしておる、こういう形になっております。
  37. 山田節男

    山田節男君 それでは、私一応これで打ち切ります。
  38. 久保等

    ○久保等君 きょう、私は大蔵大臣と自治庁長官の御出席を願って、この負担法の問題とも重要な関係があります新しく作られようとしております納付金制度の問題について、質問いたしたいと思っておったのですが、御出席がないので、私非常にその点では遺憾に思うわけです。なお、当委員会にかかっておりまするNHKの予算につきましても、同じように固定資産税の問題に関連して、自治庁長官なりあるいは大蔵大臣の御出席を願って、十分に質疑をかわしたいと思いましたが、本日御出席がありませんので、郵政大臣に二、三御質問いたしたいと思います。ただいま問題になっておりまする負担法の問題でありまするが、今るる電気通信事業実情等についてのお話があり、御説明があったわけでありますが、第二次五カ年計画をぼつぼつ設定しなければならぬという状態に置かれておりますが、しかし見通しとしては、ますます資金的な面での確保が非常に重要視されておるのが今日の状況じゃないかと思います。ところで今度この負担法が、いろいろ問題があると考えられまする長期の五カ年間にわたって延長せざるを得ないという実情にあるわけでありますが、そういうこの負担法の施行期間を延長しようという今回の御提案と相並行して、同じ国会に、納付金に関する法律案が国会に出されておるのですが、私はこの問題の両者の関連性を政府当局でどのように考えられておるのか。また、先般郵政大臣から、交付金に関する法律案の問題についての、閣議における模様等も御説明を伺ったのですが、私は強くぜひ一つ、せめて何とかこの交付金の法律案については、時限立法という形にすべきではないかということを強く実は申し上げておいたのですが、閣議での決定という状態には至らなかったという御説明を伺っておるのですけれども負担法の問題についても、当然閣議にかけられ、閣議での決定が当然あったはずでありますが、一体どのように内閣がこの問題について考えておられるのか。すなわち、私は見方によると、負担法という法律によって、受益者が債券なり、あるいはまた負担金というものを負担しなければならぬという法律が施行せられて今日に至っておるわけでありますが、受益者にしてみれば、自分の電話をつけるために債券を買わなければならぬ、あるいは負担金負担しなければならぬ、しかも相当な金額に上るわけでありますが、そういうことも、しかし電話をつけるという直接的な目的のためにはやむを得ないという気持で、あるいは私は納得されると思うのですが、その資金が集められて、何ら電信電話拡充に使われない。全然違った他目的の、市町村なんかのいわば赤字財政の補てんのためにこういう資金が使われるということについては、私はこれは非常に政府の、むしろ悪くいえば国民をだまして負担金という形、あるいはまた、電話をつけるための債券を買えという形で買わしておいたその資金が、とてつもない全然違った他の会計に納付金という形で納められるということは、これは明らかに私は文字通りの欺瞞という結果になってくるのじゃないかと思います。負担法は、今日の国家財政の現状から、残念ながら十分な財政投融資も行えない、従ってその加入者、その受益者に直接料金なり、あるいはまた新しく加入をしようとする人たちには、債券なり負担金というものを負担してもらうという政府の切なる誠意が、実はそういう面としてすなおに考えられるとするならば、少くともその資金というものが全然他の会計に回されていくということは、これは一体、国民として納得できるかどうか考えた場合、私はおそらくどなたも実は納得できないと思うのであります。三十一年度の予算にもうすでに計上されております七億円、あるいは三十二年度以降には少くとも十四億、あるいはそれを確かに上回ると思いますが、とにかくそういった莫大な金額が吸い取られていくという点については、非常に重要な問題じゃないかと思うのです。こういった点について、郵政大臣がどういうようにお考えになっておるか、御所見を一つ承わりたいと思います。
  39. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 電電公社を主管しております私の立場から申しますならば、全くあなたと同じ見解になります。しかしながら、国の全体の問題ということになりますと、また私の考え方をもう一歩進めて考えなければならないと思うのであります。これは単にこの電話の問題だけでなく、鉄道その他の面にもこうした矛盾したかのごとく見える状態があるのでありますが、ともかくも国全体の財政のとり方というような点からは、こういう処置もまたやむを得ないのではないか、私はかように思っております。
  40. 久保等

    ○久保等君 まあやむを得ないということだけでは、私は済まされない問題があると思うのですが、特に自治庁の所管の問題でございまするから、私はまあ自治庁長官にもとくと御意見を承わりたいと思っておるのですが、しかし郵政大臣自体も直接的な御所管でもございまするから、なお重ねてお伺いしたいと思うのですが、町村の合併問題が、町村合併促進法の施行せられまして以来、今日非常に大きな社会問題、あるいは政治問題化しておることも、おおうべくもない事実だと思うのです。しかもそのことと相並行して、何といっても町村合併等の行われるようなことが、比較的僻遠のいなかであるはずであるし、そういうところで、非常に重要な通信の整備拡張という問題が非常に大きな問題になっておると思うのです。現実にこういった問題を解決するとするならば、非常に莫大な資本が必要だといわれておりますし、数百億に上るといわれております。町村合併に伴う通信施設の整備問題、こういう状況に地方の自治団体そのものが置かれているわけです。従ってその当該市町村にとってみまするならば、私は何としてでもその市町村のもし財政負担においてでも、何とかその通信の整備をやってもらいたい。加入区域の統合等をやってもらいたいという問題が、非常に焦眉の急としてそれぞれ全国的に、これは国会等に対する陳情はもちろんのこと、私は関係方面に対して強い要望が出て参っておると思うのです。従って地方自治団体にいたしますならば、全く赤字財政に今日悩んでおるのですが、しかしなおかつ、何とか一つ資本をかき集めてでも、早くこの問題を解決してもらいたいという要望があると思うのです。   〔理事宮田重文君退席、委員長着席〕  従ってただいま私の質問いたしておりますることは、地方の赤字財政の補てんのために、負担法の施行によって集められた資金というものが、国民の希望とそれから考え方と相反した形で赤字財政に埋められるという問題のみならず、地方自治団体にとっては、むしろ逆に、何とか一つ自分自体の問題としての通信施設の改善をはかってもらいたいという要望があるわけですから、そういった立場からするならば、この際そういった方面に対する通信施設を、むしろ逆に地方自治体から実質的には何とか一つ導入して、その要望に沿っていかなければならぬという実情に私はあると思うのです。従って今国鉄等の問題が例に引かれましたけれども、そういう実情とはまた違った、特にここ一、二年前、町村合併促進法が実施せられましてからのこれは私は非常に一つの特異な事実があると思うのです。そういう面からしまするならば、一体負担法負担した資金というものは全然別途の方へ使われ、かたや地方自治体は皮肉なことに実はその負担法で集めた資金をもらっている。一面において、実は電話をつけてもらいたい、あるいは加入区域を一緒にしてもらいたい、あるいは電話局の局舎を作ってもらいたいという問題があるわけです。従って私はこの一つの矛盾、現実に対する政策のやり方にも非常に大きな私は矛盾がおおうべくもない事実としてあるわけで、そういった点に対して私は国家財政の全般的と言われましたが、その国家財政を全般的にながめればながめるほど、地方自治体のそういう問題を総合的な判断の中に加えていただくならば、むしろそういう何のいわば地方自治体には電信電話拡充という形で早く一つ施設をつけてもらいたい。資金の問題については、第二義的にさえ地方自治体としてみれば考えているほどの重大な問題がますます阻害せられる結果に、この交付金制度の実施に伴って出て参っているのではないかと思うのです。従ってそういった面が私は特に自治庁あたりでどういうふうに考えておられるのか。また、当然そのことが閣議等においても、私は当然この負担法の延長問題が閣議に上程せられた際には議題になったであろうし、問題になったでありましょうし、内閣としてはどういう一体御判断をなさったのか、そのあたりのことを私はもう少し理解のできやすいように御説明を願いたいと思うのですが、もちろん詳しい自治庁そのものの考え方は、これは大臣からお聞きするよりも自治庁長官等からお伺いをいたしたいと思っておりますのでけっこうなんですが、ただ町村合併関係施設を早急に拡充し改善して参らなければならないという立場に置かれておりまする電気通信事業を所管する大臣立場から、私はお考えになって、いかにお考えになるか、承わりたいと思います。
  41. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私の考えとしては、久保委員のお考えと全く同じであります。私は町村合併にいたしましても、あなたの御指摘のような意見を持っておりましたし、また閣議におきましてもこの問題がのせられました際に、そういうような意見も申し上げたのでありますが、地方市町村の財政の逼迫は必ずしも私の考えとは相一致いたしておりません。学校の教育問題とか、あるいは治山治水等の問題、いろいろな緊急、非常に緊急な問題が差し迫って参っておりますので、とうてい私らの考え通りにいかなかったのであります。この点は自治庁長官等からよく御説明願いたいと思いますが、私の立場から申しますならば、久保さんのお考えと全く同様でございます。しかし、いずれを優先すべきかということについては、全体から考えまして私の考え方というものがそこに優先されなかった次第であります。
  42. 久保等

    ○久保等君 まあ大臣のお考えは、何か私の先ほど来申し上げていることと同じだったというお話しでございますから、郵政大臣にこれ以上いろいろとお尋ねをいたしましても、ただいまの御答弁以上の御答弁を得ることもできかねると思うのですが、ただしかし、私が申し上げることと郵政大臣の御判断が同じだとするならば、そのことがなぜ私は政府当局として総体的な考え方にまで及ぼし得ないのかというところに、非常にやはり何か納得できないものを感ずるのですが、そのことはまたいずれそれらのそれぞれ所管大臣にも御意見を十分に私はお尋ねしてみたいと思います。  そういう点でこの問題といいますか、ただいまの質問につきましての御答弁は以上でけっこうですが、次にすでにこの負担法衆議院で採決も行われ通過いたしまして、こちらの方に回って参っておるようでありますが、衆議院では付帯決議がつけられておるようであります。その内容は要するに先ほどもいろいろ質疑応答の中でかわされた問題でありますが、この負担法の延長問題については、できるだけ一つ加入者負担を軽減するような適当の方策を、延長期間内においても一つ講ぜよといったような、講ずべきであるといったような付帯決議がつけられております。そのことに対して、私、大臣から一応お考えを承わりたいと思うのですが、本院といたしましても、またこの法案を扱うについての一つの基準ともなると考えますので、大臣から承わりたいと思います。
  43. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先ほどもお答えいたしましたように、この延長期間の途上におきましても、今後運用部資金等を借りることができたり、また公社自体の経営合理化、あるいはその努力によって、そこにいささかでも余裕を生ずるようなことになりますれば、第一次五カ年計画の終了後におきましては、さような措置を考えなければならないのであります。しかしながら第一次五カ年計画の経過等をも見なければ、これは私もはっきり申し上げることはできませんが、その時期におきまして、なお当委員会等で慎重に御検討をいただくことといたしたいと思っております。
  44. 久保等

    ○久保等君 大臣もそういう方向で御努力をされようという意味の御答弁だと思うのですが、そうするならば、私はやはり方法は具体的に考えられなければならんと思います。先ほども質問いたしました、やはり私は負担金法律の早期打ち切りを、これはもちろんこの法律案はまだ成立いたしておりません。が、もし不幸にしてかりに成立をいたしますならば、私はやはり加入者負担を軽減するという一つ方法としては、何といっても目的外に支出される面の支出を押えてやるということは、私は第一義的に考えなけばならん一つ方法だと思います。これに加えてなおかつ足らない資金の面については、政府が今日まで財政投融資ついて、特にここ最近におきましては全然実はなされておらない、財政投融資がなされておらないという問題は、これは何としてでも政府がよほどこの面に対する施策を強行していかなければ、資金の確保というふうなものは非常に困難ではないかと思います。その点は特に郵政大臣は保険の積立金の運用問題については、これまた特別の権限を持っておられる立場にもありますし、そういう面での財政投融資についても、私は単に他力本願的な立場だけではなくて、郵政大臣独自の立場だけでも、財政投融資の問題については相当お考え願える余地があると思う。この今私の思いつく方法として考えてみましても、ただいま申し上げたような二つの問題は、これは郵政大臣として、私、少くとも最大限の御尽力を願って、そうしてでき得る限りこういった臨時措置法であるといいながら、ほとんど見通しのないような形で、長期にわたって引き延ばされていくというようなことは、とうていこれはもう受益者のみならず、一般国民立場から考えましても納得できないと私は思うのですが、単に衆議院における決議というものが、尊重せられると申しましても、それにかわるべきやはり方法を考えておかなければ、また考えなければ、問題は私は実施することが困難だと思うのですが、ただいまお尋ねいたしました二つの問題、すなわち少くとも電気通信事業以外の目的に支出する支出は、これはできる限り早急にやはり私は押えてゆく、こういうことと、それから郵政大臣の権限を持っておられる財政投融資の問題についても格段の御尽力を願い、それと見合った形で早急にこの負担法を軽減ないしは廃止して参るという方向に進んでいかなければならないと思う。その点についての郵政大臣のお考えを承わりたいと思います。
  45. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御趣旨通り、十分との点に関しましては、今後努力を続けていきたいと思っております。
  46. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 他に御発言ございませんか。……それでは本案につきましては、本日はこの程度にとどめることにいたします。     —————————————
  47. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件(予備審査)を議題といたします。本件につきましては、前回政府提出の説明を聴取いたしましたので、本日はまず日本放送協会当局から、昭和三十一年度の収支予算事業計画等について御説明お願いいたします。
  48. 古垣鐵郎

    参考人(古垣鐵郎君) 最初に本委員会におきまして、日本放送協会昭和三十一年度収支予算事業計画及び資金計画について御審議をいただいておりますことを厚くお社申し上げます。  お許しにより、ただいまから明年度の事業計画等の大綱につきまして概略御説明いたしたいと存じます。  まず、ラジオの分野におきましては、全国あまねく受信できるように、難聴地域の解消、老朽設備の改善並びに報道、教養、慰安放送及び地域社会に直結する放送番組の内容充実をはかりますとともに、受信者の普及を促進することに主眼を置いております。次に、テレビジョンの分野におきましては、できるだけすみやかに全国の農山漁村にまで普及をはかるため、本年度中には札幌、函館、静岡、岡山、小倉、松山の各地域にテレビジョン局を建設するとともに、熊本、鹿児島テレビジョン局の建設並びに福岡局の五キロワットの増力工事を着手する計画でございます。また、テレビジョン番組につきましては、その社会的な影響力を考えまして、公正かつ迅速な情報の提供、教育、教養番組の強化、拡充、健全明朗な慰安番組の充実に一そうの努力を傾注する所存でございます。また、国際放送の分野におきましては、国際文化の交流、貿易の振興に資するために、広く我が国の実情を紹介して諸外国の理解を深めるよう番組の拡充、強化をはかることといたしております。また協会の使命に照らして特に重要な技術研究並びに放送文化の研究につきましては、わが国放送文化の進歩、発達をはかるため一そう拡充強化する計画でございます。  次に、ただいま申し述べました計画のうち特に重要な事項につきまして、さらに御説明申上げたいと存じます。まず第一は、難聴地域の解消についてであります。協会は放送法に基き新法人として再発足いたしましてから、その使命の最も重要なものの一つとしてこの問題を取り上げ、一日も早く全国あまねく受信できるよう放送施設の建設改良の長期計画を立てて、年々中継放送局の建設、第二放送施設の整備、放送電力の増力等の計画を促進し、百パーセントの良聴化を目ざして施設拡充改善をはかって参りました結果、三十年度末には良聴区域が第一放送におきましては九九%に、また第二放送におきましては九四・二%に達する予定でございます。しかしながら、御承知の通り最近外国電波の混信が国内の各所に発生し、聴取困難な地域が拡大して参りましたので、明年度はこの点を考慮いたしまして特に札幌大電力工事を繰り上げ着手する外、またわずか残されている聴取困難な地域に対しまして、中継放送局五局の建設、第二放送五局の整備をはかり、また福岡大電力の継続工事を完成いたしますので、明年度末におきましては良聴区域が第一放送においては九九・二%、第二放送においては九五・三%までに広まる計画を立てておるので、ございます。  第二といたしましては、番組の編成についてでございますが、公共放送の使命にかんがみ、広く国民の要望にこたえわが国文化の向上に寄与するために、青少年の教育放送、社会、婦人、農事、産業等の教養放送、迅速正確な報道放送、健全明朗な慰安放送につきまして、NHKが多年にわたり力を尽して参ったところでございますが、三十一年度におきましてはさらにこれが刷新充実に努める所存でございます。また、地域社会に直結するローカル放送におきましては、地域社会に必要な情報の提供、地域性ある慰安番組の制作を行い、地方文化の向上発展に寄与するよう努めておりますが、明年度はさらにこれを強化いたしまするとともに、ローカル教育番組、高等学校通信教育講座、僻地における教育放送番組等の増設拡充を行う計画でございます。  第三といたしましては、ラジオ受信契約者の普及についてでございます。受信者の普及は三十一年一月末現在で、全国総世帯に対し七八・七%に達しまして、世界的にも有数の普及率を示しておりますが、三十一年度におきましても、一そう受信者の加入開発を積極化して、新しく五十五万の受信者の増加を目標といたしております。しかしながら、普及の向上に伴う未加入世帯の減少等によりまして、受信者の開発は年々困難となり、他方最近は特に雑音障害の発生が増加の傾向にありますので、明年度は特に雑音障害の防止及び除去対策、受信機改善対策に重点を置き、受信者に対するサービスの向上をはかる計画でございます。  第四といたしましては、テレビジョンについてでございます。テレビジョン放送局は既設の東京、大阪、名古屋の三局に加えまして、来たる三月二十二日にはさらに広島、仙台の二局、四月一日には福岡局のテレビジョンが放送を開始する予定でありまして、これによりましてテレビジョンカバレージは、全国総世帯の三五%に拡大されることとなるのでございます。  次に、三十一年度のテレビジョンの置局計画は、既定長期計画のうち札幌、函館、静岡、岡山、小倉及び松山地域に新設するとともに、福岡テレビジョン局を五キロワットに増力する予定でございます。さらに電電公社のマイクロウェーブ拡充計画の進展に伴いまして、熊木、鹿児島にもテレビジョン局の建設に着手し、また東京、大阪、名古屋の各局施設の改善も行うことといたしております。従いましてこれら各局が完成の暁には、NHKのテレビジョン放送網は日本全国を縦貫し、そのカバレージは全国総世帯数の四三%に達する予定でございます。またテレビジョンの番組につきましては、その特殊性及び影響力を十分考慮して、公共放送としての協会の特色を発揮するよう教育、教養放送の拡充、健全明朗な慰安放送及びニュース、スポーツ放送その他の中継放送等に重点を置くとともに、ラジオテレビジョンの兼営の妙味を発揮して、両者の有機的連繋を一そう深め、豊富多彩な番組を編成いたしたいと計画しておるのでございます。  次に、テレビジョン受信者の普及開発についてでございますが、メーカーその他関係方面の努力が実りまして、良質安価の受像機の量産化が軌道に乗って参りました。受信契約者数もすでに本年度当初計画の見込み数をこえて、一月末をもって十四万に達する状況でありますので、受像機の生産台数ともにらみ合せ、三十一年度におきましては年間十八万の純増を予定いたしておりますが、今後の受像機の普及対策といたしましては、かねて御高配を得ております受像機の物品税の軽減と、受像機の量産化による価格の低廉化が特に要望されておるのでございます。また、受像機の維持の面においては、技術指導、修理技術者の養成、共同聴視施設に対する技術指導、受信障害、雑音防止運動の実施等について、強力な施策を実行する計画でございます。  第五といたしまして、国際放送につきましては、御承知の通り戦後昭和二十七年二月に再開しましてから、この二月で満四カ年を経過いたしました。との間、当初は五方向、一日五時間、二カ国語使用という状況でございましたが、各方面の御理解と御同情によりまして、年々その規模も拡大され、昨年の六月から十三方向、十三時間、十五カ国語に強化され、八月からは待望の百キロワット増力も実現して、聴取状態も漸次改善されて参りましたが、昭和三十一年度におきましては、現状の十三方向、十三時間の範囲のままでありますので、飛躍的な拡充は望めませんが、協会といたしましては番組内容を一そう充実し、全世界にわが国の実情を伝えるとともに固有文化を紹介して、各国の理解を深めて国際親善をはかり、一方貿易の振興に寄与して祖国の経済復興の一助といたしたい所存でございます。  第六といたしましては、研究部門についてでございますが、放送の将来の発展のために、技術並びに番組の基礎的並びに実用的研究の拡充強化をはかる必要があるものと考えますので、三十一年度においては、技術の研究面では放送音質の改善、機器の能率化、施設の自動化、受信機並びに受像機の簡易低廉化、テレビジョン撮像管の研究、UHF帯テレビジョンの研究、トランジスターの研究、新型機器の試作、国産化の研究、なかんずくカラーテレビジョンの実験研究に重点を置いております。また、放送文化の研究面では科学的世論調査の実施、放送番組の研究、放送博物館の整備拡充等に主眼を置き、その成果を広く内外に公開して、我が国技術水準の向上と放送の進歩発達に寄与せんとする計画でございます。  第七といたしましては、経営管理の面でございますが、三十一年度におきましてもできる限り事務の簡素化と業務の合理化を行いまして、事業の運営を一段と能率化する所存でございます。また、従業員の待遇の問題につきましては、先年来当委員会において御熱心な御審議をいただき、また予算承認の際にも従業員の待遇改善の付帯決議をいただきましたので、微力ではございましたが要請の御趣旨にのっとり、事業の健全な発展のために鋭意努力を続けてきた心意でございます。その結果、昭和三十年度における従業員の平均賃金は月額一万九千二百七十円になるのでございます。これに対し、日本放送労働組合から月額二千四百円の待遇改善の要求を受けております。協会といたしましては、社会経済情勢や類似関連産業との比較と協会財政の現状とを勘案して、三十一年度のベースアップは見送らざるを得ない状態ではございますが、定期昇給分についてこれを予算化することにいたしております。しかし、従業員の待遇改善につきましては、現状をもって十分とは考えてはおりませんので、なお一そうの努力を払い、能率向上による企業経営の改善により、極力増収、節約をはかって従業員の待遇改善をはかりたい所存でございます。  最後に、放送設備建設資金中、置局、増力等に要する分については、ラジオにおいて放送債券二億円、借入金一億円を、テレビジョンにおいて放送債券四億五千万円の発行を予定し、また、テレビジョン事業資金の不足に対しては、借入金三億五千万円を予定しております。なお受信料につきましては、ラジオ受信料は月額六十七円、テレビジョン受信料は月額三百円と前年通り据え置くことといたしております。  以上が昭和三十一年度の事業計画の大要でございますが、公共放送として重運大な使命を負っておりますNHKの昭和三十一年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、当委員会委員各位の格別の御理解と御同情のもとに御審議をいただきまして、何とぞすみやかに御承認をたまわりますよう、切にお願いをいたしまして御説明を終ります。
  49. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) それではこれより本件の質疑に入ります。郵政省当局のほか参考人として日本放送協会から古垣会長及び岡部理事が出席されておりますから、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。速記をとめて。    午後三時二十五分速記中止      —————・—————    午後三時五十八分速記開始
  50. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 速記を始めて下さい。  別に御発言もないようでありますから、質疑は後日に譲り、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会      —————・—————