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久保等君 これは私、今たまたま三
公社という言葉を使って御質問しておりますが、三
公社の中でもいろいろこれはまた事情が違うと思うのですよ。特に専売等の場合は、これはまたおのずから
考え方が違うのです。本質的に
事業の性格その他の面から違うと思います。それをやはり同じような形で扱われたということについて、私はやはり
郵政大臣として電通
事業に対する理解の仕方が、一体どういう
考え方でおられるか、ここに非常に問題があると思うのですよ。よく
大臣御存じだと思いますが、かつて
昭和九年に特別会計
制度が実施せられて、そのときに大蔵省は、今日の大蔵省以上に非常に羽ぶりのいい大蔵省でもあるしするので、交換条件という形でやはり
一般会計に対する納付金という
制度を作って、当時は七千八百万円
程度の納付金を実は取り上げておったという歴史があるのですが、それがその後ずっと年々歳々増額されていって、
昭和十九年ごろの最終段階においては、二億二、三千万
程度の金額が、年々電通
事業から実は取り上げられておったという
経過があるのですが、その当時のわずか十年か十一年くらいで、総額にしても実に十三億に近い金額が
一般会計並びに当時の軍事費
予算の中に取り上げられておったという歴史があるのですよ。それで十二、三億といっても、今日の貨幣価値に見積れば五、六千億の金になると思う。今日の
電気通信事業がどういう状態に置かれておるかというと、その当時の
一つの大きなしわ寄せが、ある
程度今日の非常に立ちおくれた結果を招来した原因にもなっておると思います。これはこの間の、この間というか、
昭和九年から
昭和十九年ごろまで実は続けられておった
制度であります。そのことが、あるいは通信復興のおくれた原因にもなるし、それからまた、今日の立ちおくれた原因にもなっておるといわれておる。しかも、その
経過をたどってみると、当初の繰り入れ七千八百万円というものがだんだんふくれていって、最後には二億二、三千万
一般会計に繰り入れておる。それにプラス軍事
予算ということになったから、非常に金額がふえたという結果になって、やはり今日、年々五、六千億に上る莫大な金額が当然
一般会計、軍事
予算に吸い上げられたということは、通信
事業にとって非常に取り返しのつかない今日の実態を招いておると思うのです。今度たまたままた、こういう
制度を復活というか、こういう歴史から
考えると、復活にもひとしいのですが、やはり地方自治体の財政の窮迫をしておるしわ寄せを、こういった
電気通信事業に求めるということは言語道断だと思う。地方税法三百四十八条の中には、当然これから取ってもいいと思われるところがある。商工
会議所の
関係については、これは非課税の対象になっておる。その他いろいろ帝都高速度交通営団とか、ああいう
方面も当然含まれておると思います。それに似通ったようなものがたくさんあるわけであります。従って私は、そういう税制の
均衡というか、体系という問題から
検討しても、相当本質的に問題があるのじゃないか。そこに加えて、
電気通信事業の
現状というものを十分
郵政大臣として特に御理解と御認識をいただかなければならぬと思うのであります。昨年というか本年度の、
昭和三十年度の
予算の成立した
経過を調べてみても、昨年の今ごろだったと思いますが、当時の前
郵政大臣あたりの
見解では、今日非常に大きな問題になっておる例の町村合併の問題についても、全然それに対する建設資金というものが閣議で削除せられた、ゼロになっておるということをこの
委員会で報告せられて、それはとんでもないことだ、これだけ大きな社会問題化し、政治問題化しておる町村合併に伴う通信の整備というものは非常に大きな問題だと思う。それについて資金がないからというので一銭も回さないということでは、とんでもないことだ。初年度からそういうことだと、永久に見通しが立たないから、あらん限りの尽力を願いたいということをお願い申し上げ、激励もし、結論的に五億円というものが、難産に難産を重ねて、五億円
程度の電信電話債券の発行を認めようということで大蔵省が譲歩せられたという報告があったのですが、あれは五億円をめぐっての問題だと思う。そういう
経過をよく見てみますと、七億七千万円という金額は、今日の
電気通信事業からいって、出し得る金額だということはさらさら言えない。御存じのように、すでに電信電話拡充五カ年計画というものは、
昭和三十一年度で第四年度目に入るわけです。さらに次の七カ年計画なりを策定しなければならぬという実情にある。私は、そういう建設途上非常に重要な時期において、この
委員会なり前の電通
委員会で、衆参両院ともに累次、建設資金の確保について
政府は格段の努力をしろということは、口がすっぱくなるほど、決議を何回やったか知れない。そういう実情の中で新しく、地方自治体の財政が窮迫しておるからという
理由で、電電
公社に対しても地方税という形で、形はどういう形であろうと課税をして、そこから吸い上げていくということは、私は
郵政大臣として結論的に了承したからということは、いかなる
経過があったにしても、絶対に承服し得ない問題だと思う。そういう過去の
経過等もあり、今日伝えられるそういう七億七千万円の問題は、非常に資金難にあえいでおる実態からいって、大蔵省当局に対して、なぜ
一般資金の財政支出なり、あるいは財政投融資をやらぬかということを常にやかましく言われておる問題であります。なお電信電話の債券の公募とか、利益者負担という問題も、この問題もいつまでもそういう形に頼ってはいけないと思う。そういう問題をかかえ込んでおりながら、今度は無条件で、のしをつけて税金を納めますということは、今の
電気通信事業の実態からいって、いかなる形をもってしても成り立ち得ないと思う。理論的な根拠についても明確でないという御
説明が先ほどあったのですが、理論的な根拠こそ十二分に明確であっても、今日の実態はそういうものに応じ切れない実情にある。ましてや、理論的な問題をうやむやにされながら、金が足りないからよこせということで了承したというのでは問題じゃない。今年度限りということなら、また
考えられないこともないが、しかし、
制度化されるという問題については、絶対承服できない今日の実態ではないかと思う。御
承知のように電話の普及状態などを例にとっても相変らず世界で二十二番目だとか二十三番目の状態にある。こういう状態にあるから、建設資金というものは決してぜいたくだから建設するという段階ではない。建設しなければ
電気通信事業というものの
運営が円滑に
運営できないという実情だと思うのです。なまじっか建設資金だから、
一般公社なり他の
事業なんかで
考えると、余裕があれば建設していくのだというような印象を、しろうと
考えには持たれる危険性があると思うのであります。建設資金といえ
どもこれは最大限に確保して、これは建設計画そのものがある
程度ここのところでもう十年したら一応建設計画が終るのだ、十五年したら終るのだという見通しが少くとも立ち得る段階まで早く持っていくべきだと思う、
政府としては。ところが、年々歳々五里霧中で、今いくら建設しても泥沼みたいなものだというような状態にしか今ない。そういう状態における建設資金の確保ということは、これは非常に重大な問題だと思う。従来何らの財政支出なり財政投融資がなされていない、その上に持っていって今度は現ナマというか、それこそ貴重な建設資金を向うに持っていくというようなことは、かりにどういう
立場から
考えても承服しがたいと思う。
郵政大臣いかがですか。