○
国務大臣(
村上勇君) それでは私から
所管事項につきまして概略御
説明申し上げます。
まず、
郵便事業について申し上げますと、近年おおむね順調な
歩みをたどり、サービスの点におきましても施設の面におきましても、ほぼ戦前の水準近くまでこぎつけることができたのであります。しかし、これで十分であるとは申せないのでありまして、今後とも
事業の
整備拡充をはかって参りたいと
考えております。
郵便局は現在、全国に一万五千余局ありますが、その
局舎は、老朽、狭隘のもの、あるいは、明け渡しを要求されているもの、
都市計画による移転を迫られているもの、仮復旧のまま放置されている
戦災局舎等も多く、その上、最近では
町村合併に伴う
郵便区調整のために
改善を要するものも
相当数に及んでおりますので、御
承知のように昨
年度から
郵便局舎改善八カ年
計画を樹立いたしまして、鋭意その
改善に努力いたしております。
なお、
お年玉つき郵便はがきにつけられた
寄付金を交付する
範囲が狭すぎるきらいがありますので、これを拡張して、より広い
社会的要請にこたえるようにいたしますとともに、
寄付金の使途を明確化する等のために、
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する
法律の一部を改正する
法律案を本
国会に
提出いたすことといたしておりますので、その節は、よろしく御
審議をお願いいたします。
次に、
郵便貯金について申し上げますと、
郵便貯金の現在高はついに五千億円を突破するに至ったのでありますが、御
承知の
通り、この金は
資金運用部を通じて
財政投融資に充てられ、わが国の
再建復興に大きく役立っているのでありまして、本
年度は新たに一千百億円
増加を
目標として強力に推進いたして参ったのであります。ところが、本
年度頭初風来十二月初旬頃までの増勢は著しく不振でありまして、その後やや好転して参りましたものの、
年度頭初から一月
末日までの
増加高は、八百三億余円で、
目標額の七三%、前年同期の
実績の八一%にしか達しない
実情でありますので、
成績で不振の原因を把握いたしまして、でき得る限り
目標額に近づけるよう努力中であります。
次に、
簡易生命保険及び
郵便年金について申し上げますと、両
事業ともおおむね順調な
歩みをたどっておりまして、昨年一月から十二月末までの
実績は、
簡易生命保険の新
契約第一回
保険料は十五億六千八百万円で、
目標額の一一六%を占め、また、
郵便年金の新
契約掛金額は、六億九千九百万円で、
目標額の一四〇%に達しております。
次に、
簡易生命保険及び
郵便年金の
積立金の
運用について申し上げますと、この
積立金は
郵便貯金と同様に
財政資金として大いに役立っているのであります。本
年度の
簡易生命保険、
郵便年金積立金の
運用原資は、
総額五百五十六億円でありまして、その
融資状況は、十二月
末日までに
地方公共団体に四百十一億円を融通承認いたし、そのうち二百二十六億円を
起債前貸しとして、すでに
融通済みでございます。そのほか、住宅金融公庫に対しましては、
貸付予定額三十億円全額を、
契約者貸付といたしましては三十六億円を、それぞれ貸し付けいたしております。一方、
日本住宅公団に対する二十億円、
郵政事業特例会計に対する五億円も近く融資する
見込みであります。なお、
資金の
余裕金を
地方公共団体に短期で延五百二十三億円を融資いたしまして、残高は百五十八億円となっております。
また、来
年度の
運用計画につきましては、
昭和三十一
年度の
財政投融資計画案によりまして、
地方公共団体に三百九十億円、住宅金融公庫に六十億円、
日本住宅公団に四十一億円、農林漁業金融公庫に五十五億円、
郵政事業特別会計に十八億円、合計五百六十四億円と策定いたしております。この
運用計画は、近く
資金運用部資金運用審議会に諮問する予定でありますが、
総額において、
昭和三十
年度より六十一億円の
増加となっておりまして、従来の融資対象のほか、新たに農林漁業金融公庫に対しても融資することといたした次第であります。
次に、
郵政省職員の給与問題について申し上げますと、昨年十一月に全逓信従業員組合から郵政職員の給与の不合理、不均衡是正並びにベースアップに関する要求の
提出があったのでありますが、省側といたしましては、組合案の方式に賛成しがたく、かつ、予算上の余裕もありませんので、団体交渉の結果、右要求を拒否しましたので、組合側は同年末に至り中央調停
委員会に調停を申請し、目下調停
継続中であります。
次に、
昭和三十一
年度の
郵政省所管予算の概要につきまして申し上げます。
まず、
郵政事業特別会計予算について申し上げますと、この会計の予算
総額は一千二百六十二億四千万円でありまして、その歳出予算の内訳を申し上げますと、
郵政省において取り扱う
郵便、
郵便貯金、簡易保険及び
電気通信等諸業務に要する業務費が九百八十三億八千余万円、収入印紙、失業保険印紙等の収入をそれぞれの会計に繰り入れる業務外の支出経費が二百二十九億二千余万円、公債及び借入金の償還金が一億三千万円、予測しがたい経費の支出に充てるため予備費として五億円、
郵便局舎等の建設費といたしまして、四十三億円を計上いたしております。
次に、定員
関係について申し上げますと、
郵政事業特別会計における三十一
年度の予算定員は、二十五万六千百一人でありまして、前
年度に比べ、三千五百五十人の増員となりますが、この増員は、
郵便業務並びに
電気通信業務の特定局における勤務時間に関する仲裁裁定の実施に伴う人員千六百二十二人、
郵便業務量の
増加及び特定局における電話施設の
増加に伴う人員千六百八十一人、保険業務量の
増加等に伴う人員二百四十七人となっている次第であります。
次に、歳入予算について申し上げますと、歳入予算
総額は歳出予算と同額の一千二百六十二億四千余万円でありまして、その
内容といたしましては、郵政固有業務収入及び雑収入が四百五十六億四千万円、為替貯金、保険年金、
電気通信の各業務の
運営経費に充てるため他の会計から繰り入れられる他会計からる受け入れ収入が五百四十九億五千余万円、
郵便局舎の建設財源に充てるため
郵便貯金特別会計、
簡易生命保険及び
郵便年金特別会計の両会計から受け入れる設備負担金が九億一千万円、
郵便局舎等の建設財源に充てるための借入金が十八億円、以上のほか、収入印紙等の売りさばきに伴う業務外収入が、二百二十九億二千万円となっております。
次に、
郵便貯金特別会計予算は、歳入歳出ともに四百六億八千余万円を計上いたしております。次に、
簡易生命保険及び
郵便年金特別会計予算は、歳入が、一千八十三億五千余万円で、歳出は三百八十五億九千余万円を計上いたしており、歳入超過額六百九十七億六千万円は、
法律の定めるところによりまして、
積立金として
処理することとなっております。
次に、当省所管
一般会計予算について
説明申し上げますと、歳出予算
総額は十五億七百万円でありまして、これを前
年度予算額十四億四千六百万円に比べますと六千百万円の
増加となっております。この
増加のおもな事項といたしましては、無線局の検査並びに
電波監視業務において、機械器具の整備及びその他の経費として二千八百万円、海外放送交付金において一千四百万円、その他一千九百万円であります。
次に、これら業務の
運営に必要な定員について申し上げますと、本
年度予算定員は二千九百四十七人で、前
年度予算定員二千九百十一人に比へ三十六人の
増加となっております。この
増加は、
電気通信監理並びに無線局の検査業務の拡充強化等に伴うものであります。
次に、
電波関係について申し上げます。
まず、最近のわが国の無線局開設について、簡単に申し上げますと、戦後、
電波技術の進歩に伴いまして、
電波の利用が著しく増大いたしまして、無線局の開設も
増加の一途をたどり、昨年末で二万になんなんとしており、一昨年末と比較しますと、一年間で実に四千局の
増加となっております。このように、無線局は今後ますます
増加する傾向にありますが、割当られる
電波には限りがありますので、当省といたしましては、
電波が能率的に、かつ、公平に利用されるよう研究し、努力したいと
考えている次第であります。
次に、放送法の問題について申し上げますと、現行放送法は、わが国が占領下にあった時期において、かつ、商業放送及びテレビジョン放送等の発足をみない時期において制定されたものであり、今日においては著しく事情が異ることになりましたので、今や、その再検討を行なってみるべき段階に達したものと思われるのでありますが、何分にも事はきわめて重要でありますので、これが作業に当っては、慎重を期し、広く各方面の意見を聞き、世論の帰するところに基いて、要は最善の案を作るという
考えのもとに事を進める必要があると思っているのでありまして、このような
手続を経て結論を得次第、
国会に提案いたしたいと
考えている次第であります。
次に、放送
関係について申しあげますと、標準放送局で現在
運用中のものは、昨年十二月末で総計二百三十四局でありまして、そのうち日本放送協会所属のものが百七十五局、商業放送が三十八社五十九局となっております。これを一昨年末と比較いたしますと、日本放送協会所属のものが七局、商業放送局が五局の
増加となっております。日本放送協会のものは、難聴区域の聴取状態
改善のため開設したものでありまして、同様の目的のために開設するもので、現在予備免許中のものが五局あり、同協会におきましては、これらの新設ならびに一部放送局の空中線電力の増強等により、鋭意聴取状態の
改善に努力している次第であります。
一方、これを普及
状況の面からみますと、昨年十一月末における全国受信
契約者数は、一千二百九十七万二千となっており、これは全国総世帯数の約七二・二%に当っておりまして、一年前に比べますと、
契約者数において七十三万の増となっております。
なお、日本放送協会の
昭和三十一
年度の収支予算、
事業計画及び
資金計画につきましては、追って本
国会に
提出する予定でございますので、その節は、よろしく御
審議をいただきますようお願いいたします。
また、本年六月は放送局の再免許の時期に当っておりますが、外国
電波の新たな出現等のため混信を受けている放送局も
相当数にのぼっており、また、ラジオ受信機が逐次スーパー化しつつある現状でありますので、現行の周波数割当
計画に再検討を加える必要があり、その毒編成について検討を進めております。
テレビジョン放送につきましては、現在免許を与えられているものは五局で、その内訳は、日本放送協会所属のものが、東京、大阪、名古屋に各一局ずつ、商業放送が東京に二社二局でありまして、このほか予備免許を与えられ、目下建設中のものが、大阪、名古屋に商業放送局一局ずっとなっております。また、テレビジョンの受信
契約者数は、昨年十二月末現在、約十三万四百でありまして、順調な普及をたどっているものと
考えられます。なお、テレビジョンの全国的周波数割当
計画につきましては、ただいま鋭意作成中であります。
次に、国際放送について申しあげますと、国際放送は、諸外国にわが国の
実情を伝え、各国の理解と支援を得るとともに、文化の交流をはかり、国際親善を深める上にきわめて大事なものでありまして、当省といたしましても、その拡充につきましては、常に意を用いているところでありまして、
昭和三十
年度におきましては、六月に一方向、放送時間一日一時間ふやしまして、十三方向、一日十三時間とし、また、送信電力につきましても、七方向に対しては、百キロワットに増力いたしました結果、海外における受信
状況は大いに
改善せられました。
次に、不法
電波の監視
状況について申し上げますと、無免許で
電波を発射する不法無線局が数多く出現しておりまして、これら不法無線局は、合法無線局の
運用を阻害し、空界を混乱に陥れるものでありますので、この取締りの徹底を期するため、種々努力をしている次第であります。
次に、
昭和三十二年から行われます国際地球観測年における、わが国の
電波研究
関係について申し上げますと、これは、当省
電波研究所が主として担当することとなっておりまして、おもな仕事としましては、電離層の観測、世界日
関係、太陽雑音及び空電の観測等でありまして、国内の各
電波観測所で実施するとともに、南極において、電離層観測、オーロラ及び散乱現象の観測を行う予定になっております。観測年の意義にかんがみ、また、南極観測は、わが国としては最初の試みであるので、所期の目的を達するため、学術会議その他の
関係方面とも密接に連絡をとりつつ、観測機器の整備、設計を開始するなど、
準備の万全を期している次第であります。
次に
日本電信電話公社関係について申し上げます。
まず、電信電話の拡充五カ年
計画の実施
状況についてでありますが、本
年度は、第三年目に当りまして、現在までの成果を見ますに、サービス工程面においては
計画工程を上回る
実績を収めておりますが、電話
局舎建設等基礎工程の面におきましては、
資金面の制約もありまして、若干後
年度に繰延を余儀なくされている
実情であります。今後ますます増大する熾烈なる要望に対処するために、基礎設備の拡充を完全に達成し得るよう実行することといたしております。
次に、三十一
年度公社予算と建設工程の概要につきまして申し上げますと、損益勘定におきまして収入は一千二百九十三億五千万円、支出は一千百六十億二千二百万円、差引百三十三億二千八百万円の収支差額を生じますが、これは建設財源及び債務償還に充てるため、資本勘定へ繰り入れることになっております。
建設勘定におきましては建設改良のための財源として外部
資金百八十三億七千三百万円、うち、公募債券八十五億円、加入者及び受益者引受債券五十五億三千万円、電話設備負担金四十三億四千三百万円、自己
資金三百七十一億三千六百万円、うち、減価償却引当金二百二十九億円、損益勘定より受入百十六億九千四百万円、資本剰余金十三億四千二百万円、資産充当十二億円、合計五百五十五億九百万円が建設改良のための
資金であります。同じく支出としては総係費五十五億三千七百万円、工事費四百九十九億七千二百万円、となっております。
この建設改良工事につきましては、ただいま申し上げました五百五十五億九百万円をもちまして、加入者開通十八万五千名、六大都市とその江郊都市との即時通話サービスを含めまして公衆線が四十三万九千キロ、電話局の建設では、
年度内にサービスを開始するもの二十一局、
継続工事にして次
年度以降にサービスを開始するもの十七局、新規着工のもの三十八局等の主要工程のほかに、来
年度は特に、
町村合併に伴う区域合併局六十九局、市外線増設八千八百九十キロ、及び無電話部落対策として二百十六件の工事を
計画いたしております。
なお、今後経済諸活動の活発化、国民所得の拡大によりまして、電話の
需要は今後とも
継続的に増大する
見込みであり、他方離島、農山村等に対する通信施設の普及等、今後は特にこのような公共的な
需要にも対応していかなければならないのでありますが、一方、現行の電話設備費負担臨時措置法による設備負担金及び電信電話債券の利用者負担制度は、
昭和三十
年度末まで実施されることとなっており、公社建設
資金の調達
状況及び加入電話の
需要量等を勘案すれば、右制度はなお相当長期間存続する必要があると
考えられるのであります。そこで
昭和三十五
年度末までこの期限を延長すると同時に、現行法は加入電話の種類変更の場合の規定がないので、種類変更を認めている公衆
電気通信法との統一調和をはかることのために、電話設備費負担臨時措置法を一部改正する
法律案を本
国会に
提出することといたしておりますので、その節は、よろしく御
審議をお願いいたします。
次に、国際
電気通信関係について申し上げますと、本
年度、大阪−テヘラン間、東京−コロンボ間、東京−ローマ間等に対外直通回線を増設し、他方賃貸回線業務、放送中継業務を拡張し、なお、東京関門局も竣工いたしまして、サービスの充実を加えている次第であります。
次に、客年十一月認可いたしました
国際電信電話株式会社の第五期利益金の
処分について申し上げますと、当
会社は設立以来第三
年度を迎えますます順調に推移し、客年九月末第五期決算を終了しました。この概要を申し上げますと、営業
成績は貿易好調の波に乗って全般的に順調な経緯をたどっており、その損益
計算は営業総収入二十五億六千七百万円、営業総支出二十一億一百万円、差引利益金は四億六千六百万円となっておりますが、これに基きまして従来
通り年八分の
配当を認可したわけであります。
なお、第五期における設備
計画の実施
状況は、その建設支出額七億三千一百万円でありまして、年間予定瀬十五億九千万円の四六%相当を完了したこととなっております。
御
承知の
通り、現在国が保有している国際電信電話株引
会社の
株式のうち、発行
株数の五分の一
相当部分を
日本電信電話公社に保有せしめることを
内容とする
日本電信電話公社法の一部を改正する
法律案が、去る第二十二回特別
国会において衆議院
逓信委員会から
提出され、同院本会議において全会一致で可決され、参議院
逓信委員会におきまして引き続き現在
継続審議となっております。その法案に
関係いたします五分の一
相当部分を除く他の
政府保有の
株式の
売却処分につきましては、
政府は、公社法付則の規定に従い、
昭和三十一年一月十六日
関東財務局において
一般競争入札により、売り払い
処分に付したのでありますが、その結果
処分株式総数は一百四十八万四千七百四十株、
落札総額は約八億九千八百万円であり、従いまして
落札平均価格一株につき六百四円七十六銭になっております。右の
売却代金の全額は公社に交付されることとなっており、これを公社の建設
資金に充当せしめるため、目下予算措置について
関係当局と取り運び中であります。
次にエカフェにおいて
電気通信を取り上げるべき問題につきましては、かねがね
郵政省において研究中でありましたが、本年一月初旬バンコックにおいて開催された第五回内陸運輸
委員会に、当省からも代表二名を送り
電気通信に関する諸問題の具体的な取り上げ方等につき討議に参加せしめたのでありますが、その結果同
委員会は域内の
電気通信の諸問題を討議するよう付託条項を拡張するとともに、具体的研究事項の優先順位を採択し、おおむね所期の目的を達し得たものと
考えます。なお、本
委員会における採択事項は、二月初旬インドのバンガロールにおいて開催される総会に
報告決定されることとなっております。
以上をもちまして、私の
報告を終りたいと思いますが、なお、詳細の点につきまして御
質問により
お答え申し上げたいと存じます。