○森下政一君 今度の小
選挙区制というものは、憲法
改正とは何にも
関係がないということを鳩山文相は言われるし、また皆さんも
大臣以下そういうことを
衆議院でもしばしば
答弁をしておられる。過日の
質疑においても総理は文教
委員会でそういう御
答弁をされた。そうだろうと思う。だけれども、どうも小
選挙区制というものを今出さなければならぬ、
提案しなければならぬということについての緊要性、緊急性の必要性というものがどうも私には納得ができないので、そうなってくるといろいろの客観的な事実を並べ上げてみると、憲法
改正との
関係があるのじゃないか。しばしば総理の言明にかかわらず、
太田長官の言明にかかわらずそういうことを疑いたくなるというのが、私どもの偽わらざる気持なのであります。本年の一月の中ごろでしたか、共立講堂で鳩山総理みずからが
演説をされて、憲法
改正の必要性を力説され、同時に
社会党は自民党ほどの勢力は持っていないでも、微弱ではあるけれども、憲法
改正を妨害するだけの勢力を持っておるから、これをもっと減殺しなければならぬということを卓をたたいて強調された。これはまぎれもない事実であります。だから憲法を
改正したいという意図を持っておられる。そのためには妨害をする
社会党を現在よりももっと減らさなければならぬ。そのためには諸君
一つ協力してほしいということを言うておられる。そうするとまあ万人の常識として、今は撤回されたけれども、自民党で用意されたような
区割による小
選挙区制度が実施されたなら、万人の見るところ将来はともかくとして
社会党が激減するだろうということは世間の常識だと思う。それで自民党の
区割というものはあまりに勝手過ぎるじゃないかという非難がごうごうとして世間に巻き起って、
政府も反省され、自民党も反省されましてあの案を撤回するに至ったものだと思いますが、そうすると
区割は撤回されたけれども、一応小
選挙区制を実施しましたならば必ず革新に不利だということはいえる、こう私は思う。この機会に
社会党を小
選挙区制によって減殺して、憲法
改正のかねての案件を達成しようという意図があるのじゃないかと世間も疑い、われわれもそういうふうに疑うというのも、これは私は立場を変えてお
考えになれば当然だと思われるに違いないと思うのであります。
そこで先刻来私が申しますように、どうも今小
選挙区制にしなければならぬということに対する緊急性ですね、急がなければならぬ、こうこうこういうので急がなければならぬという理由がどうも納得できない限りにおいては、私はそういう邪推もしたくなる。憲法
改正のためにこういうことを急ぐのだというふうに、あなた方から見ればそれは曲げた解釈だとおっしゃるかもしれぬが、そういう解釈がしたくなってくるわけであります。
それから中
選挙区制のもとにおいては小党分立になると言われるが、現在のように自民党という大きな
政党、これに対立する
社会党というこの二大
政党でありますが、この二大
政党をかかえておる場合の山
選挙区制による
選挙というものは、わが国では一ぺんも経験したことはないのじゃないですか。革新と保守とが対立しておるという二大分野に分れて、中
選挙区制のもとに
選挙したことは一ぺんもない。おそらく中
選挙区制のもとにおいて一ぺん
選挙をすれば、私は
社会党はさらに躍進してくるだろうと思う。そうして自民党に接近してくるだろうと思いますが、
太田長官しばしば英国ではということを言われる。私ははなはだ寡聞にしてイギリスのことをよく知りませんけれども、イギリスにおける保守党なり労働党の比率というものは、今のわが国における自民党と
社会党のような比率ではない。もっと接近しているのではないかと思うのです。大体長年の訓練で、国民の色分けも、一部は保守を支持するし一部は労働党を支持する。ところが、どっちにもついていない中間層というものが、浮動票がある、それが時の
政府あるいは
政党のやり方を見ておって、大体勝敗をきめるということに非常に得立っておるのじゃないかと思いますが、そうだとするならば、私はもう一回か二回中
選挙区制で
選挙をやってもいいのじゃないか。両大
政党をもっと接近させることの方が、かえって私は二大
政党対立のほんとうの政治の発展を促すゆえんじゃないかと思います。今、自民党でもまだ
選挙の洗礼を受けていない。
自由党と
民主党が寄った寄り合い世帯に過ぎないことを
考えてみると、私は一ぺん
選挙の洗礼を受けていいのじゃないか。
社会党も左右に分裂しておったが、合同して
選挙の洗礼を受けておらぬというならば、これも一ぺん
選挙の洗礼を受けてもいいのじゃないか。そうして私は大体中
選挙区制によるところの
選挙をやって、もう少し両方接近さすぐらいがいいのじゃないか。あるいは憲法
改正に対する国民の総意を聞く。小
選挙底制を実施したいと思うが、それに対する国民の総意はどうか、判断はどうかということを題目に掲げて、この中
選挙区制のもとにおいて
一つ選挙をやらしても、決して私は日本の政治が後退するとは思わぬ。二大
政党対立の状態にあって中
選挙区制のもとにおいて
選挙をして、依然として小党分立という傾向が出てくるか、一ぺん対決してもいいのじゃないかというぐらいに私は
考える。だからどうしても小
選挙区制を
提案して、今これをものにしておかなければならぬというふうな緊急性がわからぬので、ついそういう
考えを持つわけなんですが、どうでしょう、私の
考え方は違いますか、間違っておりますか。