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国務大臣(
太田正孝君) 二十二
国会に
提案されました
地方自治法の
改正案と今
国会に出しました、御
審議を今お願いしておる第二十四
国会提案の
地方自治法の
改正との相違の問題でございますが、今、
伊能委員の言われる意味におきまして、もうだいぶんに骨抜きになったのじゃないか。あるいは後退したではないかというふうなお声も聞いております。私
どもとしては、総じて申しますと、いろいろ疑義のあった点を調整いたしまして今回の案にしたわけでございまして、
自治法の
改正案としてはいろいろな問題に触れていると思います。項目分けにいたしますと、ここに書いてあります
通り、議会の問題、
執行機関の問題、給与、財務の問題、国と
地方団体との調整の問題、大都市の特例問題等六つに分けられておりますが、一番大きな項目の方では議会に関することと、
執行機関に関することと大都市の問題が一番議論の多かった点かと存じます。議会に関する事項での今回のと前の
提案との違った点を申しますと、
一つは定例会の制度であります。もう
一つは
委員会の制度でございます。なお二つばかりありますが、おもな点は定例会と
委員会の問題でございます。前のときには定例会、臨時会の制度を改めまして、通常会、臨時会の制度にしようとしたのでございます。今回はやはり定例会、臨時会の制度を置きまして、通常会、臨時会の制度はやめました。定例会についての大
原則は毎年四回以内でございます。四回以内において各地の
条例で
定める、こういうことにしたのでございます。つまり定例会制度を続けますが、四回以内ということにしたのが前の通常会、臨時会の制度を改めた点でございます。
次の
委員会制度の方でございますが、
委員会を俗にいう横割りにして数を制限しようというのがこの前の
考え方でございます。横割り、すなわち各省別のようなものでなくて、法規
委員会、歳入、歳出、決算というような、横に事柄を割っていこうというのが前
の
考え方でございましたが、今回は現在の縦割りも置いて、横割りをとりたければとってもよい、御自由、ただし数におきまして、都が十二以内、道が
八以内、それから人口百万以上二百五十万未満の府県、三十万以上百万未満の市は六以内、人口百万未満の府県、人口三十万未満の市及び町村が四以内、つまり十二、八、六、四の以内におきまして都道府県、市町村のその数を制限していく、中味のことにつきましては自由でありまして、
自治体にまかす、こういうのでございます。もう
一つの違った点は、
議員は
一つの常任
委員にしかなれない、こういうことでございます。議会制度におきましては、なお少数者の
意見を尊重するという意味におきまして動議を出す場合に、前の場合は六分の一以上の賛成を要するとしたのを、八分の一以上の賛成を要することでいいことにしたのでございます。それから前案では議会の
事務局長、書記長、書記その他の
職員は、長の補助部局の
職員をもって兼ねさせることができるとありましたのを、こういう
改正は行わないことにいたしました。なお、この議会制度の中で、前と同じように存しておるのは、請負を
議員においてする場合の禁止規定は依然として前
通りございます。大体におきまして定例会の問題と
委員会制度、これが今回の案が前の案と違った点でございます。
第二は
執行機関のことでございますが、この点につきましては大きな問題は例の不信任案の制度でございますが、
過半数の
同意をもって足るということに改めようといたしましたが、現行
通りにいたしまして、三分の二以上
出席のもとにその四分の三、これもいろいろな世間の声によりまして前の
改正をやめて現状
通りにしたわけでございます。例の監査
委員の任期でございますが、二年を四年にこの前延ばそうといたしましたが、
議員でない者の方、すなわち学識経験者の方も三年にしただけでございまして、
議員たる監査
委員の任期は
議員の任期による、こういうようにしたのでございます。
執行機関に関する点は、前のものと今回ではかような差があるだけでございますが、例の部数を制限することは前
通りで、今回の
改正案にも入っておるわけでございます。一定の部数以上につきましては、「
内閣総理大臣に協議しなければならない。」こういうことになっております。議会制度と
執行機関に関する制度はかような点でございます。
給与に関した問題は、今回——前にはなかったのですが、——期末
手当を
支給することをきめたのでございます。それから前と今度と両方を通じてありまするものは、給与の種類を法定するという問題でございます。
第四の財務に関することは、先ほど行政部長がお話しされましたが、ずいぶん議会をそっちのけにして
執行機関の方で借金したりいろいろなことをするので、それはいけない、国の制度も同様でございますが、「
地方公共団体は、法令又は
条例に準拠し、且つ議会の議決を経た場合の外、予算で
定めるところによらなければ、」 「債務の負担の
原因となる契約の締結その他の行為をしてはならない。」、議会そっちのけでいろいろな事業を起したり契約をしたりする場合がありまするのでそれはいけない、これは
執行機関に対する制限でございます。
その第五は、先ほど来問題になりました国と
地方公共団体との
関係及び
地方公共団体相互間の
関係に関するいわゆる調整問題でございます。で、法令に違反したものとか、あるいは義務を怠ったというような場合におきまして、前の
改正では都道府県については
内閣総理大臣、市町村については都道府県知事がその是正改善を求めるということになっておりました。今回のはそれを少し変えまして、市町村に対しては
内閣総理大臣のやることを、知事をして行わしめ、市町村長がこれに
異議あるときは
内閣総理大臣に
意見を求めることができると、少しその点が変っております。それから
事務移譲の問題が総理大臣のあっせんによって調停または裁定を行うということが府県と市町村との問題について起っておりましたが、この規定は今度は設けぬことにいたしました。その三番目は恩給の問題でございますが、今回新たに設けまして府県と市町村の間及び市町村相互間におきましては、その
職員の退職年金等の基礎となるべき在職期間を相互いに通算する
措置を講ずるように努めなければならぬと改めて、いわゆる恩給通算の制度をここに確立しよう、こういうのでございます。これはもちろん国から府県へいく場合と市町村の場合と二つありますが、主たるものは何と申しましても第一の場合が多いかと思います。
第六が大都市の特例に関する問題。これが長い問題として答申案の線によって今回
事務移譲ということをしたのでありますが、前の
改正のときには十八項目を移譲しよう、こういうのを、今度は十六項目になっております。その理由は、教科書の問題及び給食
関係につままして、別途の教育に関する
法律の方で
定めておりますので、十六項目となっております。実質におきましては十八項目でございます。で、申し上げるまでもなく、このむずかしい問題は一応
事務配分で解決する。現行の府県制度のもとにおきましては特別市は適当でないという判断のもとに、今度は削除いたしたのでございます。
大体、議会、
執行機関、六大都市等に関しまして今回改めた点、前の点と変った点を申し上げたのでございます。協調して方々の
意見を入れたという点については、後退かも存じませんが、かような点におきまして議会制度におきましてもまた
執行機関におきましても、恩給の問題につきましても、大都市の問題につきましても、ここにこういう新しい線を立てた次第でございます。
以上御報告申し上げます。