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1956-05-10 第24回国会 参議院 地方行政委員会 第32号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十日(木曜日)    午前十一時九分開会   —————————————   委員異動 五月九日委員井村徳二辞任につき、 その補欠として大屋晋三君を議長にお いて指名した。 本日委員大屋晋三君、後藤文夫君及び 松浦清一辞任につき、その補欠とし て川村松助君、高瀬荘太郎君及び木下 源吾君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松岡 平市君    理事            伊能 芳雄君            宮澤 喜一君            森下 政一君            小林 武治君    委員            大谷 贇雄君            川村 松助君            佐野  廣君            堀  末治君            加瀬  完君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            野田 俊作君   政府委員    自治政務次官  早川  崇君    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁行政部長 小林與三次君    常任委員会専門    員       福永与一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○市町村職員共済組合法の一部を改正  する法律案内閣送付予備審査) ○地方自治法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○地方自治法の一部を改正する法律の  施行に伴う関係法律整理に関する  法律業内閣送付予備審査) ○連合審査会開会の件   —————————————
  2. 松岡平市

    委員長松岡平市君) これより委員会を開きます。委員異動を御報告申し上げます。五月九日付、委員井村徳二君が辞任せられ、新たに大屋晋三君が委員に任命せられました。本日付委員大屋晋三君、後藤文夫君、松浦清一君がそれぞれ辞任せられ、新たに川村松助君、高瀬荘太郎君、木下源吾君が委員に任命せられました。   —————————————
  3. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 本日は、まず市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案内閣提出予備審査)の議案議題に供します。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  4. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記起して。網本案は、三月二十三日に予備審査のため当委員会に付託されております。本案につきまして、この際、政府提案理由説明を聴取いたします。
  5. 早川崇

    政府委員早川崇君) ただいま議題に供されました市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由並びに内容概略を御説明申し上げます。  市町村職員共済組合法は、市町村職員に対しても、国家公務員及び都道府県職員並み共済給付を保障することを目的として一昨年制定されたものでありますが、今回、健康保険法及び国家公務員共済組合法改正が行われるに伴い、これに照応して必要な改正を行い、その他組合運営実情にかんがみ、若干の改正を行う必要があると認めましたので、本法律案提案した次第であります。  次に、本法律案内容概略を申し上げます。  第一は、健康保険法改正に伴う改正でありまして、療養給付について、健康保険の例にならない、組合員にその費用の一部を負担させるものとし、組合は、当分の間、これより生じた余裕財源範囲内で、一部負担金払い戻しその他の措置規約で定めるものを行うことができることとし、その他必要な改正を行おうとしております。  第二は、国家公務員共済組合法改正に伴い、必要な改正を行おうとするものでありまして、そのおもなものをあげますと、その一は、退職一時金を受けた者が再び組合員となり、再退職した場合において、組合員であった前後の期間合算すれば年金を受けることができる年数に達することとなるときは、恩給法におけると同様に、期間合算をしようとするものであります。その二は、退職年金を受ける権利を有する者の再就職による年金改定額は、従前年金額に再就職期間にかかる部分についての加算を行なった額を下回らないものとしようとするものであります。その三は、廃疾一時金を受けた者の廃疾程度退職の時から五年以内に増進し、廃疾年金を受けることができる程度となったときは、廃疾年金支給しようとするものであります。その四は、直系姻族養子となったときは、遺族年金を受ける権利を失わないものとし、その五は、船員保険の被保険者である組合員に対しては、原則として共済組合法による給付を行い、本人が選択した場合にのみ船員保険法による給付を行うようにしようとするものであります。  第三は、その他組合運営実情にかんがみ必要な改正を行おうとするものでありまして、その一は、組合規約変更のうちで軽易な事項については、自治庁長官認可を要しないものとし、その二は、組合福祉事業を行うに当っては、町村職員恩給組合と共同して行う等市町村職員福祉を増進するための事業が総合的に行われるように努めなければならないものとし、その三は、組合を組織している市町村とその他の市町村とが合併した場合における組合健康保険組合との関係調整に関する規定を整備しようとするものであります。  以上、本法案を提出いたしました理由並びに本法律案内容概略を申し述べたのでありますが、何とぞよろしく御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  6. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  7. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を起して。  なお、ただいまの提案理由説明に加えて、本改正法律案要綱について、政府説明を求めます。
  8. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) お手元にお配りしてございます「市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案要綱」に基きまして、改正概略を御説明申し上げます。  今度の改正は、一つ健康保険法の一部改正に伴うもの、それから国家公務員共済組合法の一部改正に伴うもの、それからこの組合だけの技術的な改正と、三点に分れているのでございます。  第一の健康保険法の一部改正に伴いますものは、「療養給付について、健康保険の例にならい、組合員にその費用の一部を負担させるもの」といたしまして、「なお、組合は、当分の間、これにより生じた余裕財源範囲内で、一部負担金の払戻しその他の措置をとることができるもの」といたしたいのでございます。これは、社会保険一般の扱いと同様に、共済制度というものの運営考えるべきものと考えられますので、健康保険につきましていろいろ議論がありますが、健康保険の健全な運営をはかるために、組合員費用の一部負担制度をとることになって、現に健康保険法改正案審議されているわけでございます。それに照応する規定をこちらに入れたい。ただし、特に払い戻し等措置をとることができるものといたしましたのは、健康保険と違いまして、この問題は、各組合がそれぞれ組合規約で実際の運営をやっているわけでございまして、組合によって財政の状況も必ずしも同一ではない。そこで、その余裕財源がある場合においては、これはできる限り組合員負担を軽減した方がよろしいのでございますから、払い戻し等措置も講じ得るということにいたしたいと考えるのでございます。  それからその次は、「詐欺その他不正な行為により給付を受けた者があるときは、組合は、その者から給付に要した費用を徴収できるもの」としたいのであります。「この場合において、その給付保険医の虚偽の診断書によって行われたものであるときは、その保険医に対しても、連帯責任を負わせることができるもの」としたいのであります。これは不正の行為による給付救済措置でございまして、これは問題があることはないと存じております。  その(三)は、医療機関等についての規定の整備で、これは規定のほとんど技術的な改正ですが、これは健保の改正に右へならえでございます。  それから第二は、国家公務員共済組合法の一部改正に伴うものでございまして、その(一)は退職給付で、「退職一時金の支給を受けた者が再び組合員となり、再退職した場合において、前後の組合員であった期間合算すれば年金を受ける権利を有することとなるときは、前後の組合員であった期間合算するものとすること。この場合における退職年金額は、前に支給を受けた退職一時金を返還した場合を除き、当該退職一時金の額を基準として定めた額を控除した額とするものとすること。」この共済制度におきましては、恩給と違いまして、合算規定が従来これはなかったのでございます。しかしながら、再就職ということは、当然これはあり得るのでございまして、そういう場合には、合算措置を講じてやることがむしろ適当だと考えられますので、そういう意味改正でございます。  それから(二)は、「退職年金若年停止中の者が廃疾状態となったときは、若年停止を解除するものとすること。」これは若年停止規定がございますが、それが不幸にして廃疾状態になれば、その停止を解除して支給を可能にいたしたいという規定でございます。  三番目は、退職年金額改定した場合の改定年金額は、従前年金額に再就職期間に係る部分についての加算を行った額を下らないものとすること。」これは、年金額改定規定でございまして、いずれもこれらの改正は、組合員のために合理的に退職給付を与えようという改正でございます。  二は、廃疾給付に関する規定でございまして、その(一)は、「廃疾一時金を受けた者の廃疾程度退職の時から五年以内に増進し、廃疾年金を受けることができる状態となったときは、廃疾年金支給するものとすること。」これは廃疾状況が違った場合に、廃疾年金を受けることができる状態でやっていい場合には、廃疾年金支給させる、こういうことをはっきりさせたいのであります。  その次は、「退職一時金または廃疾一時金の支給を受けた者に廃疾年金支給する場合における廃疾年金の額は、前に支給を受けた一時金を返還した場合を除き、当該一時金の額を基準として定めた額を控除した額とするものとすること。」まあ廃疾年金支給の額の規定をはっきりさしたわけです。  (三)は、「二以上の廃疾状態が併存するときは、併合した廃疾程度により給付を決定するものとすること。」廃疾状態が二つあった場合の給付規定でございます。  (四)は、廃疾年金受給者廃疾程度が減退したとき、または退職の時から五年以内に増進したときは、年金額改定するものとすること。」廃疾年金は、廃疾状態に応じて支給すべきものでございますから、増進した場合は増進し、減退した場合は減退する、そういう改定規定を明らかにしたのであります。  (五)は、「廃疾年金受給者が再就職したときは、年金支給停止し、再退職した際なお廃疾状態にあるときは、前後の組合員期間合算し、その廃疾程度に応じて年金額改定するものとすること。なお、この場合の年金額改定については、一の(三)に準ずるものとすること。」これは廃疾年金受給者の再就職の場合の合算規定でございます。  これらはいずれも、組合員のために廃疾給付支給を合理的に行えるように規定を歌正したわけでございます。  それから、「その他」いたしまして、「支払未済遺族給付があるときは、当該遺族が死亡した場合にのみ他の遺族に支払うものとすること。」支払未済遺族給付に関する支給規定でございます。  (二)は、「組合員が死亡した際、その者が組合に対して支払うべき金額があるときは、その者の遺族支給すべき給付金から当該金額を控除することができるものとすること。」これは、一般の場合でも、組合員から支払うべき金額の控除の規定がございますが、死亡した場合に、遺族にやる場合にも同じ趣旨規定をはっきりさしたわけでございます。  (三)は、「直系姻族養子となったときは、遺族年金受給権を失わないものとすること。」遺族年金受給権規定です。  (四)は、「船員保険の被保険者である組合員に対しては、原則として共済組合法による給付を行うものとし、本人が選択した場合にのみ船員保険法による給付を行うものとすること。」これは、船員保険との競合の場合に、共済組合によるか、船員保険によるか、そこをあいまいにしておいてはいけませんので、建前をはっきりして、なお、本人の選択によって、いずれの道も選び得るということにしたわけでございます。  (五)は、「給付支給停止する期間は、時効は進行しないものとすること。」これはまあ当然の規定だろうと思います。  まあその他、規定を若干技術的に整備したわけでございます。  その次は、この市町村職員共済組合法独自の改正でございます。  その(一)は、「組合規約変更のうち政令で定める事項については、自治庁長官認可を要しないものとすること。」現行規定では、組合規約変更などは長官認可事項になっておるのでございますが、きわめて軽微な問題も少くないので、そういうような問題はみんな不要認可にいたしたい。そうして事務簡素化いたしたいという考えでございます。  (二)は、「組合福祉事業を行うに当っては、町村職員恩給組合と共同して行う等市町村職員福祉を増進するための事業が総合的に行われるように努めなければならないものとすること。」これは、この前御審議願いました職員恩給組合法とも関連いたしておりますが、要するに、同じ市町村職員を対象にいたしておりますので、福祉事業をやるような場合に、相協力して総合的にやる趣旨を明らかにしたのでございます。  次は、「組合を組織している市町村が、組合を組織していない市町村に合併された場合における組合健康保険組合との関係調整を、政令で定めるものとすること。」これは合併に伴う事務引き継ぎと申しますか、その調整関係をはっきりさせたいという規定でございます。  その他若干の技術的な改正でございます。  いずれも、健康保険法改正に伴うものにつきましては、いろいろ御論議がございましょうが、その他の規定につきましては、組合員に対する給付を適正かつ有利にしようという趣旨と、組合運営をなるべく簡素合理的にやろう、こういう趣旨に基く改正でございます。
  9. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 本案に対する質疑は、他日に譲ることにいたします。   —————————————
  10. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に、地方自治法の一部を改正する法律案地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案、以上いずれも内閣提出予備審査、両案を便宜一括して議題に供します。両案につきましては、すでに提案理由説明は聴取いたしておりますので、本日は、政府よりさらに詳細説明を聴取いたします。
  11. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) お手元にお配りしてございます「地方自治法の一部を改正する法律案要綱」につきまして、御説明申し上げたいと思います。  第一は、地方公共団体権能に関する問題でございます。その一つは、「市町村は、基礎的な地方公共団体として一般的に事務処理する権能を有することを明らかにするとともに、二により都道府県権能に属する一般市町村処理することが不適当であると認められる事務についても、その規模及び能力に応じて、自ら処理することができるものとすること。」次の問題と関連した方がいいと思いますので、あわせて申し上げますが、「市町村を包括する広域地方公共団体たる都道府県地位権能を明らかにするため、主として都道府県処理すべき事務として広域にわたる事務例総合開発)、統一的な処理を要する事務例試験免許等)、市町村に関する連絡調整事務及び一般市町村処理することが不適当であると認められる事務例高等学校、病院及び療養所設置等)を例示するものとすること。」これは要するに、府県市町村というものの地位権能というものが、現行地方自治法によりますというと、ひとしく普通地方公共団体として同じ平面的に、区別なく規定されておるのでございます。しかしながら、府県市町村とは、おのずからその地位、職能というものが相違あるべきものでございまして、市町村は基礎的な地方公共団体として、市民に直結した一般的な行政事務を広く広範に処理することを建前とし、府県市町村を包括した地方公共団体でございますので、ここに例記してありますような広域的な事務は統一的な処理を要する、あるいは市町村に関する連絡調整事務、その他一般市町村では処理することが不適当であるというような事務処理すべきものといたしたのでございます。それで、府県府県らしい仕事市町村市町村らしい仕事をそれぞれ専念いたしまして、両者の協同連絡と申しますか、それぞれ分担を明らかにして、相協力すべき点を明らかにいたしたのでございます。  それから第二は、議会に関する問題でございまして、その一つは、「議会議決事項中、条例で定める財産取得契約等条例で定める重要な財産取得契約等とするものとすること」現在、議会議決事項のうちに、条例で定める財産取得契約等につきましては、個々の処分でございましても、議会議決を必要とするのでございます。しかしながら、その趣旨は、すべての財産取得契約等議会議決事項にする趣旨ではないのでございまして、こういう執行に関する問題は、原則として執行機関責任である、しかしながら、そのうちで重要な財産取得契約というものもあり得るわけでございますので、そういう重要なものにつきましては、議会議決事項とすべき趣旨を明らかにいたしたのでございます。  それから次は、定例会の問題でございまして、「定例会回数は、四回以内において条例で定めるものとすること」現行法は、御承知のごとく、定例会は年四回、すべての都道府県及び市町村を通じて一様に釘付けになっておるのでございます。しかしながら、団体規模、大小、事務繁閑等によりましては、必ずしも四回と釘付けにする必要がないのでございまして、それぞれ一団体の実際の必要に応じて、自主的に定例会回数を定め得るということにいたしたのでございます。  それから三は、議会常任委員会でございまして、「議会常任委員会は、人口段階に応じて条例で、都にあっては十二以内、道及び人口二百五十万以上の府県並びに人口百万以上の市にあっては八以内、人口百万以上二百五十万未満府県及び人口三十万以上百万未満の市にあっては六以内、人口百万未満府県及び人口三十万未満の市並びに町村にあっては四以内において置くことができるものとすること。なお、議員は一箇の常任委員となるものとすること。」現行常任委員会は、御承知通り条例によって作り得るわけでございまして、それぞれの行政部門建前にして作ることになっておるのでございます。しかしながら実際は、常任委員会の数は相当これは多いのでございますが、国会法改正にも照応いたしまして、これをある程度、数を合理的に調整し、それからなお、常任委員会仕事建前行政部門別にするという建前法律で書くことをやめまして、それぞれ条例によって自主的に、いわゆる国会と同様に、予算決算等のような全般的な常任委員会を作ってもよし、あるいはまた、それぞれの専門別に作ってもよし、それらの問題は全部自治体の条例にまかせよう、ただその数だけは一応限度をきめたい、こういうのがこの改正でございます。この数の限度は、都道府県部制につきましては、御承知のごとく現行法でも、人口段階別に部の数が一応きまっておりまして、その部に応ずるようにこの数をきめたのでございます。それからなお、市につきましては、都道府県議員数と照応させまして、それぞれ議会規模を基礎にいたしまして、常任委員会の数をきめたい、こういう考えでございます。「なお、議員は一箇の常任委員となるものとすること」で、これは国会におきましても、根本原則はみなそういうことになっておりますので、その趣旨によって明らかにいたしたい、こういうことでございます。  それから四は、「委員会議会閉会中の審査は、議会から付議された特定事件に限るものとすること。」これはいわゆる継続審査の問題でございまして、これは、当然議会というものの合議体である性質、あるいはいわゆる会期不継続原則、こういうようなことから、いわゆる継続審査というものは、特に議会から付議された事件に限るのが根本趣旨であるべきでございまして、現行法でもそういう趣旨で、議会から特に付議された事件という建前になっておるのでございますが、その意味、精神をはっきりさせるために、議会から付議された特定事件を特に継続審査にまかせることを明らかにして継続審議をやらせたい、そういうことによって、議会活動というものの節度というものをはっきりさせたい、こういう考え方でございます。  それから次は、「議案提出及び修正の動議並びに懲罰の動議については、議員定数の八分の一以上の者の賛成を要するものとすること。」これは、現行法では、こうした動議については数の制限が全然ございません。しかしながら、合議制議会運営のためには、やはりある程度の数の制限が必要でございまして、これは国会法改正にも照応いたしまして、議員定数の八分の一以上、こういうことにいたしたのでございます。これは国会は、数は何十人と定数できまっておりますが、地方議会は、議員の数が団体によって違いますので、それで、議員の数に対する割合をもってこの数を表わしたい、こういう考えでございます。  次は、「議員は、当該地方公共団体又はその機関に対して請負をするか又は主としてこれらに対して請負をする法人の役員となることができないものとすること。」この請負関係の禁止でございますが、これは、執行機関の長等につきましては、従来からある規定でございます。地方議会議員につきましては、その規定が最近なくなっておるのでございますが、地方議会国会と違いまして、一般の直接的なこまかい予算議決するだけではなしに、先ほど申し上げました通り、重要な契約とか、財産取得等につきましても、議会議決事項にこれはなっておるのでございます。その意味におきまして、そうした直接当該団体に対して請負をするような行為をなるべくやめて、議会議員としての活動の信用も高め、あるいは執行についての疑いもなくしよう、こういう建前でございます。この趣旨改正は、今度は他の執行機関につきましても、あとから申し上げますが、すべての執行機関について、その事務に関しては、当該団体との請負関係は遠慮する建前を一貫いたしたい、こういうふうに考えております。  それから次は、「議員は、自己又は近親者の従事する業務に直接の利害関係のある事件議題となる場合においても議事に参与することができないものとすること。」これは除斥規定でございまして、今の規定が必ずしもはっきりしておりませんので、直接の利害関係のある事件には参与できないということを明らかにしたのでございます。  次は、「地方公共団体の長は、議会予算に関する説明書その他当該地方公共団体事務に関する説明書提出しなければならないものとすること。」現行法では、こういう書類は提出し得る建前になっておるのでございますが、こういうものは当然予算審議上必要でございますので、提出を義務づけることにいたしたわけでございます。  これが主要な改正でございます。  その次は、執行機関に関する問題でございまして、その一つは、「都道府県機構簡素化を図るため、現行法定局部の数をこえて局部を設けようとするときは、予め内閣総理大臣に協議するものとすること。」現在、都道府県の部につきましては、自治法で、いわゆる標準部という形で、人口段階別に一応部をきめておるのでございます。しかしながら、その標準にかかわりなく、増減が自由にできる建前になっておりますので、相当数の部がたくさんふえております。しかしながら、都道府県機構は、できるだけ合理的に簡素化をする。他の府県とのバランスも考える。こういうことが必要でございますので、一応局部の数を押えまして、その範囲内において自主的に問題をきめる。しかしながら、その範囲をこえたい場合においては、特にやむを得ぬ場合は、総理大臣に協議して部を置くことができるようにしよう、こういう改正でございます。  それから次は、地方公共団体の長は、各執行機関を通じて組織及び運営の合理化を図り、その相互の間に権衡を保持するため必要があるときは、地方公共団体委員会若しくは委員事務局又は委員会若しくは委員の管理に属する事務を掌る機関の組織等について必要な措置を講ずべきことを勧告することができるものとし、委員会等はその事務局の組織等の一定の事項について規則その他の規程を定め又は変更しようとする場合においては、予め地方公共団体の長に協議しなければならないものとすること。」現在地方には、いろいろな独立の執行機関がたくさんございます。教育委員会とか公安委員会、その他の執行機関がございますが、これらは、それぞれ内部の組織その他をきめるには、全然自主的にきめる体制になっておるのでございます。しかしながら、いずれもこれは、地方公共団体機関でございますから、そうした機関として、組織または運営というものは、全体として権衡のとれることが必要でありまして、ある委員会だけはよけいに部を置くとか課を置く、他の執行機関の部局は非常に合理化する、こういうちぐはぐがあっては、これは事柄の性質上非常におかしいのであります。そういう意味で、長といたしましては、最小限度調整というものができるようにする必要があるのでございまして、そうしたその組織等につきまして、ある程度の勧告権を認めたい、こういうふうに存ずるのでございます。これは、もちろん執行機関の個々の活動につきまして何ら干渉したり、関与する問題ではないのでございまして、そういうものはそれぞれ執行機関として独立的に行使する。ただし内部の課の活動をどう、するとか、部をどの程度置くとかということは、他の部局との権衡を保持されたい。そういういわゆる内部組織と申しますか、そういうものについての調整規定にすぎないわけでございます。  それから次は、「三 地方公共団体委員会事務局の組織は、地方公共団体の長の補助部局との間に均衡を失しないようにすべき旨を規定すること。」これは同じ趣旨でございます。「四 地方公共団体委員会委員又は委員については、その職務に関し、当該地方公共団体又はその機関に対する請負に立つ場合、長と同様の規制を加えること。」これは、先ほど申し上げたところでございます。「五 選挙管理委員会委員は、自己又は近親者の従事する業務に直接の利害関係のある事件議題となる場合においても議事に参与することができないものとする。」こと  これは議会の除席に類する規定でございます。  「六 常勤の監査委員の資格は、特に事業の経営管理又は会計事務に知識又は経験を有し、且つ、地方自治について識見をそなえた者とし、なお、地方公共団体の長、副知事又は助役と親子、夫婦又は兄弟姉妹の関係にある者は監査委員となることができないものとすること。」今度の改正では、自主的な監査機構を充実強化しようということが一つの目的になっておりまして、自治体の運営を合理化するためには、なるべく自主的にその合理化をはかりたい。それがためには、監査制度というものがございますので、この監査制度の機能をできるだけ充実して、その自主的な監査の成果をあげさしたい、こういう考えでございまして、一つは、監査委員の資格をなるべく専門的な知識技能を有する者から選ぶということを明らかにしたのであります。それとともに、執行機関責任者等と特殊の姻戚、親戚関係にある者は、これは避けなければいかぬ、こういうことを明らかにしたわけです。  「七 監査委員の任期は、議会議員の中から選任された者にあっては議員の任期によるものとし、学識経験を有する者の中から選任された者にあっては三年とすること。」これも同じ趣旨でございまして、現在その任期は二年ということになっておるのでございます。しかしながら、監査委員はやっぱり専門の経験と知識というものがある程度あることが必要でございまして、二年では十分目的を達成しがたい。それでこれを三年に改めたい。まあ議会から選ばれた者は、これは当然議会議員としての任期によるべきものと考えられるのでございます。  「八 監査委員については、当該地方公共団体が元利の保証及び利子補給等の財政的援助を与えているものの会計についても監査することができるものとし、関係人の出頭、記録の提出等を求めることができるものとするとともに、自己若しくは近親者の一身上に関する事件又はこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、監査することができないものとする等、監査機能の適正な行使を図ること。」大体監査といたしまして、いやしくも自治体が何らかの財政的支出ないし負担をしている以上は、その事務については監査できるようにする必要があろうとともに、監査の機能を果し得るようにするために必要な記録の提出等を求めるというようなことにいたしたのでございます。  その他執行機関簡素化及び合理化に資するために若干の技術的な改正を行なっております。  その次は、給与その他の給付に関する問題でございます。  二 非常勤の職員に対する報酬は、議会議員を除き、その勤務日数に応じて支給しなければならないものとすること。  「二 議会議員に対しては、条例で、期末手当を支給することができるものとすること。  「三 地方公共団体が常務の職員に対して支給すべき手当の種類を法定するとともに、職員に対するいかなる給与その他の給付法律又はこれに基く条例に基かずには支給できない旨を明らかにすること。」これが中心でございまして、その一つは、地方公共団体職員に対する給与の問題を法律上どの程度規制するか、これが一つの問題点でございます。しかしながら、給与の基本原則だけは、やはり国家公務員に準じてこれは定める必要があるのではないか。現に地方公共団体の給与につきましては、国は財政上の責任を負っております。常に国家公務員に準ずる給与というものを保証するということを基本の建前にいたしております。それでありますれば、それに伴う基本原則だけは合わせておく必要があろうと思います。そういう意味でその一つは非常勤の職員に対する報酬で、これは国家公務員につきましても、御承知通り、みなその勤務日数に応じて支給することになっております。給与の建前上給与というものは勤務に対する対価でございますから、勤務の態様に応じて給与の態様もこれは変るべきものでございまして、非常勤の職員に対して、通常の常勤の職員と同様に、月給等をやるということは、これは建前としてはおかしいのでございます。そこで国家公務員の給与制度と同様な制度をここに地方につきましても作ることにいたしたのでございます。ただ「議会議員を除き」とございますが、これは、国の場合におきましても、議員につきましては、歳費という制度が確立いたしておりまして、地方でも従来歳費というような観念でおおむねずっと前から行われておりますので、国との関係も考慮して、これを除くことにいたしたわけでございます。  それからその次の問題は、給与の種類の問題でございまして、先ほど申しましたように、基本的な地方公務員の給与は国の公務員の右にならい、そういう建前から給与の種類も、これは種類だけは国の場合と同様に法定いたしたい。国の場合も常に法律でなくては給与を出せないのでございまして、それと同様に、国がやる以上は地方の職員にもこれは当然やるべし、そういう意味国家公務員に対する給与と同じ種類の給与を自治法で法定することにいたしまして、ただその内部の額の運営は、これは団体によっておのずから相違がありましょうから、団体の自主的決定にまかせる。ただ種類を法定した以外は、これは出すことができない。この基本原則は、もう国家公務員の給与については確立されておるところでございます。その二点だけをこの際明らかにいたしたい。そうして一面におきまして、給与というものの適正な運営とともに、国家公務員に準ずる給与というものに対する保証もあわせて考えたい、こういう考えでございます。  その次は、財務に関する問題でございます。  「一 財産取得文は設置、管理及び処分について、その統一的且つ効率的運用を図るため、地方公共団体の長が委員会等に対し報告を求め、実地について調査し、又はその結果に基いて必要な措置を講ずべきことを求め、又は土地建物の取得、営造物の設置等につき事前に協議を受ける等必要な規定を設けること。これは、先ほど申しました各執行機関に対する長との関係の一部の問題でございまして、それぞれの執行機関は、現在では、財産取得、設置、管理処分等につきまして、長とかかわりなく、どうでもやれることにこれはなっておるのでございます。しかしながら、これはいずれも地方公共団体の金であり、いずれも地方公共団体財産をそれぞれ管理処分するのでございますから、どうしても地方公共団体として、その財産全般についての総合的な統一的な運営ということをはかることが、当然必要と思われる問題でございまして、これは現に国におきましても、国有財産法で、大蔵大臣はたとい国会財産であろうが、裁判所の財産であろうが、こういうものにつきまして、ある程度の総合調整権を持っておるのでございます。そういう程度のことは長も当然持ってしかるべし、そういうことによって、財産の合理的な運営をはかりたいと思うのでございます。そのための最小限度規定を入れることにしたわけでございます。  それから次は「地方公共団体予算について繰越使用の制度を認めること」これは国は現に認めておることでございますが、地方にこの制度がございません。それで年度末になってきますと、いろいろ無理をいたしておるのでございまして、これははっきりと繰越しすべきものは繰り越しをする、そうでないものはそうでない、会計年度とのけじめもつけ、会計経理の適正な執行をはっきりさせたいという考えでございます。  三は「地方公共団体は、法令又は条例に準拠し、且つ、予算で定めるところによらなければ、特に議会議決を得た場合を除く外、当該地方公共団体の債務負担の原因となる契約その他の行為をしてはならないものとすること。」これはまあ当然の原則でございまして、地方公共団体が債務負担行為をやる場合は、当然法令、条例に準拠するか、あるいは予算の定めるところによる、ないしは特に予算外の、つまり議会議決というものによるべきでございます。これは当然の原則でございますが、ままこれが乱れて、地方の財政を混乱させておるという事例もあるのでございまして、この当然の財政運営原則を明確にして誤りなきを期したい、こういうふうに考えております。  それから四は「地方公共団体の長が委員会等の予算執行について報告を求め、実地について調査し、又はその結果に基いて委員会等に対し、必要な措置を講ずべきことを求める等予算執行の適正化を図り、地方公共団体の財政運営の統一を保持するための必要な規定を設けること。」これも執行機関に対する長との関係規定一つでございまして、これは予算執行についてのある程度の統一的な調整権能考えたのでございます。このことも国におきましては、財政法、会計法等におきまして、大蔵大臣が、国会につきましても裁判所につきましても同様な権限を持っております。これは同じ団体予算執行する以上、金繰りその他の関係などは、当然にこれはあり得るのでございまして、きまった予算はもちろん使い得ることは当りまえでございますが、それぞれ全体の資金の状況等によって、長としてある程度調整が当然考えられてしかるべき問題でございます。要するに各執行機関につきましては、今度の長との関係は、この予算執行並びに財産の管理、それから組織というほんとうの内部の管理運営事務につきまして、最小限度自治体としての統一的な運営をはかりたい、こういう考え方でございます。それぞれの行政委員会の行政権限の執行につきましては、もちろん何ら触れるところがないのでございます。それぞれ執行機関として独立的に活動を当然にすべきものだと心得ております。要するに内部運営につきましては、国においてそれぞれ所管大臣が持っておると同様に、最小限度調整は当然に考えるべきものだと、こういうふうに考えたのでございます。  五は「地方公共団体の長が新たに歳入歳出予算を伴うこととなる条例案等を議会提出しようとするとき又は長、委員会若しくは委員が規則その他の規定を制定若しくは改正しようとするときは、これがため必要な予算措置が講ぜられることとなるまでの間は、行うことができないものとすること。」これも大体基本的な考え方ははっきりしておるのでございまして、要するに歳入歳出を伴うような条例とか規則とかいうものをきめようとする場合には、あわせて必要な予算措置というものを当然並行して考えるべきものでございまして、その点を明らかにしたのであります。条例を出すならば必ず予算措置もあわせて考えて、そして条例審議と並行して願う、これは行政、財政というものは当然一体的に運営さるべき問題でございまして、その基本的な原則を明らかにしたわけでございます。  六、「地方公共団体の長は、決算を議会の認定に付するに当っては、主要な施策の成果その他予算執行の実績について報告しなければならないものとすること。」これも当りまえだといえば当りまえでございますが、現在決算を認定する場合には、予算の数字と決算の数字というだけの問題で、間々事柄が扱われておりますけれども、問題はそうじゃなしに、自治団体として具体的にどういう仕事をやって、どういうサービスを住民に実現したかという行政の実績、こういうものがこれは基本にならなくちゃいかぬのでございまして、単に帳面づらを合せるだけでなしに、ほんとうに住民に役立つ行政に効果を上げて実を結んだその姿が、決算認定の基本になるべきだろうと思うのでございます。そういうう趣旨のことをあわせて報告をして、議会審議を仰ぐということにいたしたわけでございます。まあ大体それが主要な問題でございます。  それからその次が国と地方公共団体との関係及び地方公共団体相互間の関係に関する問題でございまして、一は「内閣総理大臣は、地方公共団体又はその長の事務処理又は管理及び執行が法令の規定に違反している場合又はその義務に属する事務の管理及び執行を明らかに怠り、若しくは確保すべき収入を不当に確保しない等著しく事務の適正な執行を欠き、且つ、明らかに公益を書している場合においては、その是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができるものとし、内閣総理大臣措置は、主務大臣の請求に基いて行うものとすること。市町村事務処理又はその長の事務の管理及び執行に係るものについては、内閣総理大臣措置は、原則として、都道府県知事をして行わせるものとし、都道府県知事のした措置について異義があるときは、市町村長は、内閣総理大臣に対し、その意見を求めることができるものとすること。」これは地方公共団体と国との関係に関する規定でございまして、要するに地方公共団体は当然に自治団体として自主的に事をおさむべきことは言うまでもないところでございます。しかしながら地方公共団体が当然法律に基いて国の法令を執行することが主たる任務になっている団体でございますので、当然国の法律の誤まりない執行ということを建前にして、その公共活動を展開すべきものなのでございます。それで、万が一にもそうした法令の違反等があり、あるいはまたこれに準ずるような非常に明らかな不都合な問題があって、公益を害している、そういうような場合におきましては、一応内閣総理大臣といたしましては、最小限度の何らかの調整の権限を持つ必要が、これはあり得るのでございます。しかしながら、これは地方自治というものの建前とも両立する限度でものを考える必要がありますので、ここで内閣総理大臣に、そうした違反があった場合に、是正または改善のため必要な措置を講ずることを求める、いわば自治体に対しまして、不正の事件について反省を求めて、是正を考えてもらう、こういういわば権限を認めることにしたのでございます。権力的にいわば管理したり、指揮したり、命令したり、権限を執行したりするというようなことは、これは自治の建前上行き過ぎでございますが、自主的に考えて直すことを求めるというようなことは、行政の最高責任者として、内閣総理大臣としては当然に負うべき責務であろうと思うのでございます。市町村につきましては、総理大臣がその一々をやるわけにいきませんので、この総理大臣の指示は原則として知事をして行わせる、ただし、市町村におきまして、知事の処分に文句があるときは、総理大臣に意見を求めることができる、こういうことにいたしてございます。  それから次は二、「内閣総理大臣又は自治庁長官は、市町村に対する地方自治法中に定める勧告の権限を行使する等のために、都道府県知事をして特に指定する事項の調査に当らせることができるものとすること。」これは総理大臣とか自治庁長官は、現在自治法中にいろいろ勧告の権限がこれはございます。それからなおそれに基いて、いろいろな財務につきまして調査する権限をこれは持っているのでございますが、その権限は総理大臣みずからやらなくちゃならぬ場合もありますが、たくさんの市町村につきましては、知事を援助してやらせる必要もこれはあろうと思うのでございます。ある程度事実上やっているところでございますが、その点を制度としてはっきりさしたい、こう考えておるのでございます。  次に三、「主務大臣又は都道府県知事は、地方公共団体に対する検査又は監査を自ら行わないで、監査委員をして行わせることができるものとし、又自ら検査又は監査を行う場合には、監査委員に通知し、監査委員はこれに必要な資料を提供するものとする等、国の監査と地方の監査との協力を緊密にするための措置を講ずること。」これは自主的な監査制度をなるべく強化して、われわれといたしましては、国が、各省がそれぞれの立場で、ばらばらにいろいろな検査とか監査の権限を行使することをできるだけチェックしたい、できたらやめさせたいという基本的な考えを持っておるのでございます。しかしながら、まだ今日自主的な監査はそれほどの実力も発揮しておりませんので、直ちにそこにいくわけにも参りませんが、少くとも中央各省がばらばらにやる場合には、必ず監査委員の自主的な監査というものと調子を合せて、協同してやらせる体制に持っていきたい、場合によっては、自分たちが出ていくかわりに監査委員に監査をしてもらった方が、中央のためにも地方のためにもはるかにこれは便利で都合がよいのでございまして、そういう道も開きたい、要するに、自主的な監査というものを主体にいたしまして、中央各省がばらばらにやるということをなるべく制御し、統制し、調節をはかっていきたい、という考えでございます。  四、「災害その他臨時に特別の必要がある場合に地方公共団体の間に職員の派遣による協力を円滑ならしめるため所要の措置を講ずること。」これは、地方公共団体相互間に臨時に職員を派遣するというような必要が現実にあるのでございますが、その場合に、身分関係、給与関係恩給関係等をどうするかという問題がありますので、そうした点に心配のないような保障を与えまして、相互に相協力してやっていく体制を確保いたしたい、これが四でございます。  五、「国及び都道府県の公務員並びに義務教育職員の間における人事の交流を円滑ならしめるため、恩給等の支給の基礎となる在職期間の通算の措置を講ずること。なお、都道府県市町村との間においても在職期間を通算する措置を講ずるように努めなければならないものとすること。」これは、いわゆる恩給通算の問題でございまして、これはかねてからいろいろ要望のあった問題でございます。それで今日の段階におきましては、ともかく国と都道府県の公務員、都道府県相互の間というものは、恩給を無条件に通算する。なお、市町村職員でも、義務教育職員につきましては、これは都道府県が給与を負担いたしておりまして、給与に関する問題はみな都道府県条例でやっておるわけでございます。また事実人事交流の必要もきわめて多いので、そこでこの三者につきましては恩給を自由に通算する建前法律できめたいのであります。なお、問題は市町村職員都道府県職員との間における恩給通算の問題があるのでございまして、これはまあ皆さんのお手元にもいろいろ来ておると思いますが、特に高等学校の職員につきまして、具体的に要望が非常に強いのでございます。これは、われわれもその必要を十分に考えておるのでございますが、問題は市町村との問題になってきますというと、単に教員だけの問題じゃない。要するに、市町村吏員と都道府県吏員の通算関係をどうするか、こういう問題をあわせて考える必要があるのでございます。ところが、実際問題は、市町村によりましては給与の基礎が非常にでこぼこがある。さらに恩給期間が非常に長短があるのでありまして、所によっては十年そこそこで恩給をつけておる。普通の所では十七年でつけておる。そういう非常な食い違い、アンバランスがございまして、これを現在の段階で直ちに無条件で法律でくぎづけにするということは、かえって実情に合わぬ面がこれは出てくるのでございます。しかしながら、似たような所では、できるだけ人事の交流がある以上は通算をさせたいというのが基本的な考え方でございまして、そこで今回の法律で、ともかくも同様な措置を講ずるように努める建前法律で明らかにいたしまして、そして事情の許す限り、自主的に通算措置を講じさせよう、そういうことによって、おのずから足並みをそろえまして、その実情を基礎といたしまして、将来恩給制度の通算をさらに検討いたしたい。とりあえずのところは、こういうことによって自主的におおむね問題のある所は解決し得るのじゃないか、また解決し得るように、われわれといたしましてもできるだけ指導をいたしたい、こういう考えでございます。  それから第七は、大都市の特例に関する事項で、「政令で指定する人口五十万以上の市(指定都市)又はその機関は、左に掲げる事務の中都道府県又はその機関事務とされているものを、政令で定めるところにより、その事務として処理することができるものとすること。」「1 児童福祉に関する事務」「2 民生委員に関する事務」「3 身体障害者の福祉に関する事務」「4 生活保護に関する事務」「5 行旅病人及び行旅死亡人の取扱に関する事務」「6  母子福祉資金の貸付等に関する事務」「7 伝染病の予防に関する事務」「8 寄生虫病の予防に関する事務」「9 食品衛生に関する事務」「10 墓地埋葬等の規制に関する事務「11 興行場、旅館及び公衆浴場の営業の規制に関する事務」「12 結核の予防に関する事務」「13 都市計画に関する事務」「14 土地区画整理に関する事務」「15 屋外広告物の規制に関する事務」「16 建築基準行政の実施に関する事務」ここに掲げてあります十六項目につきましては、これは大都市に移譲してその処理にまかしたい、この大都市の特例に関する問題は、ずいぶん従来特別市の問題として議論があったところでございますが、特別市問題は、現在の府県制度を前提にして自治法考えておるような特別都市を作るということは、これはいかにも無理がある。そこで地方制度調査会におきましても、その事務移譲によって問題を解決すべしという議論が出ており、これはだいぶ多数の業者なども賛成しておるところでございまして、われわれといたしましてもそういうことによって問題を解決したい。特別市という問題は、必ずしも実施するわけにはいかないが、しかし大都市の実情に応じまして、その力のあるものに市民生活に密接したものはこれはもうまかせるという基本的の考え方で問題を考えたいので、ここに書いてありますような民主関係とか衛生関係、あるいは建築関係とか、都市計画等の行政につきましては、原則として大都市にまかせるということで、事務を、合理的に市民に直接した民主的な処理をはかりたい、こういう考えでございます。  それからそれに伴いまして、二は、「指定都市又はその機関処理する事務に関する都道府県知事又は都道府県委員会が行う指揮監督は、政令の定めるところにより、受けることを要しないこととし又は直接主務大臣の指揮監督を受けるものとすること。」「右に伴い、五大都市行政監督の特例に関する法律を廃止すること。」一は事務の移譲でございますが、これはいわゆる指揮監督をできるだけ排除したい、二重監督の弊をなるべく排除して、力のあるものに責任を持たせる、こういうので、現在でも五大都市行政監督特例で一部の事務につきまして特例を設けておりますが、これをもう少し広範に考えまして、五大都市の実態に即した行政の運営をはかりたい、これが二でございます。  三、「指定都市又はその機関に対する事務移譲に伴い、その事務に従事している府県職員はそれぞれ指定都市の相当の職員となるものとし、恩給退職年金等の算定の基礎となる在職年数は指定都市の職員の在職年数として通算する等該当職員の身分保障について必要な経過措置を講ずること。」これは、事務を移譲いたしますれば、当然その事務に専従しておりました職員をも移譲させる必要が、身分を移す必要がございますので、その場合における恩給の通算、退職年金の通算、その他身分保障について必要な経過措置を講じたいというのが三でございます。  四、「第三編第一章の規定(特別市に関する規定)を削除し、関係規定整理すること。」これは、先ほど申し上げました通り、大都市の問題は、取りあえず事務移譲並びにできるだけ監督権というものも排除する、そうして自治体が自分の力に合うような行政を自主的にやっていける体制にいたしたい、こういうので指定都市の特例を作りましたので、従来あります特別市の規定はこれを削除することにいたしたのでございます。これにつきましては、いろいろ議論があるようでございますが、特別市の問題は、要するに府県制度根本改正の一環としてこれは考えらるべし、現在の府県制度のもとにおいては事務移譲によって解決すべしと、これは基本的な考え方でございまして、その基本的な考え方にのっとって事務移譲をやる以上は、同じ大都市を対象にした規定を存置しておくことは、これは適当でないので、この規定を削除することにいたしたわけでございます。  それからその次は争訟手続に関する事項として、行政争訟の手続に関する規定を整備し、争訟の早期かつ合理的な解決に資するため、地方公共団体機関の行う地方自治法中の処分について訴願前置の建前によるものとすること。なお、訴願裁決の公正をはかるため、自治紛争調停委員制度を活用することとし、訴願を提起した者から要求があったとき、または必要があると認められるときは、その審理を経た上、裁決すべきものとすること。これは行政事件に関する争いの問題でございまして、現行法では、問題は特別の規定があるものは訴願の規定がございますが、そういうものがないものは一般的に行政裁判として、行政事件訴訟特例法で争われることになっておるのでございます。しかしながら、行政事件をできるだけ早期に合理的に解決するためには、むしろ、行政上の手続で最初に問題を考えた方が問題の解決が合理的にいく場合が多いのでございまして一そこで訴願前置の建前をはっきりとると、それから最後にもし残って、どうしても争いが残るものは裁判で争う、こういう体制をとりたいと思うのでございます。  それからその他、他の法律の改廃に伴い、別表を整理する等所要の規定を整備すること。これは条文の整理でございます。  備考として、本改正に伴い、地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律により、必要な関係法律整理を行うこと。これはもう自治法に右にならえする他の法律の技術的な修正でございます。以上が今度の自治法改正の大要でございますが、そのいずれもが、地方制度調査会が、当面自治団体の組織及び運営の合理化をはかるために改正すべきものとして、出した答申が骨子になっておりまして、その答申の趣旨にのっとりまして、なお他の問題につきましても必要な配慮工夫を加えまして、同じ趣旨のものをここに取り上げることにいたしたのでございます。
  12. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  13. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記起して。両案について質疑をいたしたいのでございまするが、これは後刻質疑を行うことといたします。   —————————————
  14. 松岡平市

    委員長松岡平市君) この際連合審査会の開会についてお諮りをいたします。ただいま文教委員会において審査中の地方教育行政の組織及び運営に関する法律案、地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案の両案につきまして、文教委員会に対し、連合審査会開会の申し出をいたすことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時等は、両委員長において協議いたすこととなっておりますので、これらにつきましては、便宜委員長に御一任願っておきたいと思いまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めて、さように取り計らいます。暫時休憩いたします。    午後零時十六分休憩    ————・————    午後二時三十四分開会
  17. 伊能芳雄

    ○理事(伊能芳雄君) 委員会を再開いたします。午後委員長が所要のため委託を受けました理事の私が委員長の職務を行います。午前に引き続いて地方自治法の一部を改正する法律案地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案、以上二案を一括議題に供します。これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  18. 加瀬完

    ○加瀬完君 地方自治法の一部を改正する法律案は、今までも何回か提案されたりあるいは提案される以前のような状況に何度か至っておるわけでありますが、それで今まで出されましたいろいろの案、今度の地方自治法の一部を改正する法律案として提案されました内容等を見ますと、相当の隔たりもありますし、それからどうしてこういうふうな変化をしたかという問題点も、私どもただいままでの提案説明あるいは法案関係についての御説明の中では十分にまだ納得し得ない点もございますので、累次の変化あるいは結論といたしまして、今次提案のような内容になりました結果につきまして、つまびらかに御経過を承わりたいと思うのであります。こういう点を承わりたいとわれわれが希望いたしますのは、どうしてこういうような変化を見たかということの経過を承わりませんでは、この法案そのものの審議にも判断のめどがつきかねる点もございますので、そういう意味合いで伺っておるわけでございますから、なるべくできまするならばそういった変化の資料をもいただきたいのでございますが、資料が御提出いただけないというならば、資料にかわる程度に詳しく御説明いただきたいと思うのであります。
  19. 早川崇

    政府委員早川崇君) このたびの地方自治法改正は、私は二つの重要なアイデアが含まれておると思うのであります。第一は、一がいに地方自治体と申しますが、終戦後の自治法の精神は、府県というものと市町村というものとの間の明確な観念の区別がなかった。それで従ってこのたびの自治法一つの大きいアイデアは、自治体の基本的な姿は市町村である。従って府県というものは自治体ではありまするが、その市町村と国との間に立った一つの性格を持っているという面を明らかにいたしまして、そのアイデアからいたしますると、たとえば指定都市のごときものでは、それだけの十分な力がございまするので、譲るべき事務を譲っていく、また市町村府県の職能の明確化というようなものも明らかにしていこうと、私はこれは一つの大きい終戦以来の飛躍だろうと思います。  もう一つは地方財政の逼迫という問題に関連いたしまして、できるだけ執行機関もまた議決機関も能率的でしかも簡素化、本来あるべき適当な規模あるいは機能にこれを直していこう。こういう理念がこの自治法の中に貫かれて参っておるわけでございまして、これがこのたび自治法改正の中に盛られました基本的なわれわれの考え方のアイデアでございまして、経過といたしましては御承知のようにこの前にも流れまして、その中で当時特に議論のありましたのは執行機関を抑えないで議決機関ばかりの権限縮小をする、制約を加えるという強い議会当局の反対意見がありまして、また先ほどの指定都市の問題に関しましても、府県と指定都との間に十分な了解がつかない。それが議会に反映をいたしまして、結局ああいうことになったのでありますが、このたびは一歩前進いたしまして、議会だけじゃなくて執行機関というものの簡素合理化とあわせまして、バランスのとれました成案を得まして、幸い六団体の協力も得られる案がここに出て参りました。さらに特に指定都市と府県との問題は、例の特別市の規定というものが紛争の根源になっておりまするので、これをこの際は削除いたしまして、府県制度全般に関しましては、地方制度調査会に答申しておる通り根本的に再検討するということになりまして、ここに指定都市と府県というものの一応の妥結点が見出されたわけであります。われわれといたしましては、先ほど最初申し上げました、あくまで自治体は市町村を充実しようという線でそのアイデアに沿いまして、権限の移譲ということをはかることにいたしたわけでございまして、そういったことがこのたび自治法提案いたしましたアイデアであり、また経過の一端でございます。
  20. 加瀬完

    ○加瀬完君 概略はわかったのでありますが、先ほど行政部長から御説明がありました点と、この前配布されました現行法との対照の表などから、大体いま政務次官の御説明になりました点は一そう了解されるわけでございますが、私どもの伺いたいのは二十二国会でございますか、出されました地方自治法の一部改正案と、このたび出されました地方自治法の一部を改正する案と、これを比べますと結局どういう点をどう修正されたのであるか、それはまたどういう理由であるかということの明細が知りたいのであります。それは参考にお配りいただきました一部改正案現行法との対照と同じような形式で、現行法とそれから二十二国会の案と今国会の案とこういう対比したものでも表にしていただければ幸甚なんでございますが、その点お願いできますか。
  21. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今お尋ねの前国会提案した法律との比較は簡単にできますから、それはすぐに御提出いたしたいと思います。
  22. 加瀬完

    ○加瀬完君 それらを十分いただきまして検討の上、またいろいろの点も伺いたいと思いますから一応資料をお願いしてその質問は今日はこれでとどめます。
  23. 伊能芳雄

    ○理事(伊能芳雄君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  24. 伊能芳雄

    ○理事(伊能芳雄君) 速記をつけて下さい。  両案に対する質疑はさらに次回に行うこととして本日はこれにて散会いたします。次回は明十一日本会議散会後から開会いたします。    午後二時四十七分散会