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1956-04-19 第24回国会 参議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十九日(木曜日)    午前十一時六分開会   —————————————   委員異動 四月十八日委員笹森順造君、佐野廣君 及び最上英子辞任につき、その補欠 として松野鶴平君、岩澤忠恭君及び小 幡治和君を議長において指名した。 本日委員岩澤忠恭君、松野鶴平君、小 幡治和君及び宮田重文辞任につき、 その補欠として佐野廣君、笹森順造 君、吉田萬次君及び石村幸作君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松岡 平市君    理事            伊能 芳雄君            森下 政一君            小林 武治君    委員            石村 幸作君            笹森 順造君            佐野  廣君            田中 啓一君            堀  末治君            吉田 萬次君           小笠原二三男君            加瀬  完君            松澤 兼人君            中田 吉雄君            鈴木  一君   政府委員    国家消防本部長 鈴木 琢二君    自治政務次官  早川  崇君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    国家消防本部総    務課長     横山 和夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部改正に関する請願  (第三号) ○発電税創設に関する請願(第一一六  号) ○農業事業税設定反対に関する請願  (第一四〇号 第一七〇号 第四一  〇号) ○消防施設税新設等に関する請願(第  二九〇号) ○公衆浴場業に対する事業税軽減の請  願(第三八四号 第五四六号 第九  八七号 第一一六八号) ○私鉄事業税所得課税とするの請  願(第五二一号 第五三六号 第五  四四号 第五五〇号 第五五一号  第五五二号 第六三〇号 第六三一  号 第六三二号 第六三三号 第六  三四号 第九〇四号第九〇五号) ○写真業に対する事業税軽減請願  (第八七二号 第九八八号) ○注文洋服仕立加工業事業税指定事  業種目変更に関する請願(第八八六  号) ○公給領収証交付義務制度廃止に関す  る請願(第四八四号 第六六五号  第八七一号) ○地方税法第百十四条の四改正に関す  る請願(第九五九号 第九八二号  第一〇一一号第一〇四二号) ○軽油引取税創設反対に関する請願  (第五〇二号 第五三五号 第八三  九号 第九六八号) ○大規模償却資産税道府県移譲緩和の  地方税法改正に関する請願(第六二  二号 第六五八号 第七〇六号 第  七一五号 第七一六号 第七八二号  第八四〇号第九二六号) ○木材取引税撤廃に関する請願(第三  三一号 第三五六号 第五九二号) ○公衆浴場業に対する固定資産税軽減  の請願(第三八五号 第五四五号) ○地方税法第七十三条改正に関する請  願(第五九九号) ○旧軍港市の特殊税財政事情に関する  請願(第七八六号) ○質屋営業に対する固定資産税軽減の  請願(第八一七号) ○入場税の一部を所在都市交付する  の請願(第七六一号) ○旅館宿泊等遊興飲食税減免に関  する請願(第一〇一七号) ○地方税法第百十五条第一項改正に関  する請願(第一一七〇号) ○市に軽油引取税の一部交付請願  (第一〇七三号) ○娯楽施設利用税の一部を所在都市に  交付するの請願(第一〇七四号) ○石綿鉱業電気ガス税免除に関する  請願(第一一五三号) ○府県営発電事業用施設に対する固定  資産税賦課反対請願(第一二一一  号) ○国有資産等所在市町村交付金及び納  付金に関する法律案中一部修正に関  する請願(第九一一号 第一二一二  号 第一二一三号 第一二一四号  第一二一五号 第一二一六号) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国有資産等所在市町村交付金及び納  付金に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○消防団員等公務災害補償責任共済基  金法案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 松岡平市

    委員長松岡平市君) これより会議を開きます。  委員異動がありましたから報告いたします。昨十八日付、委員最上英子君、笹森順造君、佐野廣君がそれぞれ辞任せられました。新たに小幡治和君、松野鶴平君、岩澤忠恭君の三名が委員に選任されました。  本日付、委員岩澤忠恭君、松野鶴平君はそれぞれ辞任せられ、新たに佐野廣君、笹森順造君が委員に任命されました。   —————————————
  3. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 本日は、前回に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案、及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案審査を願うわけでありますが、法律案審査に入ります前に、両案に関連のあります請願相当数付託になっております。  この際、法律案審査参考とする意味におきまして、これら請願審査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 福永与一郎

    専門員福永与一郎君) ただいま委員長よりお話のございました請願につきまして、お手元に差し上げてございます一覧表順序によって、簡単に御説明申し上げます。  この一覧表は、税目の順序に従って大体まとめまして、同種の件はそれぞれ同一項目にまとめておりますから、その順序で申し上げます。  第一は、事業税関係でございまして、第百四十号、第百七十号であります。この両件は、農業事業税設定計画があるやに聞くが、これは、農業に対して非常な負担を課することになるので、その創設には反対であるという趣旨のものでございます。本年一月、二月初めごろの請願でございます。  それから次は第四百十号、件名は同じく農業事業税設定反対請願であります。  その次は第三百八十四号、第五百四十六号、第九百八十七号、第千百六十八号、四件でございます。いずれも公衆浴場業に対する事業税を現在第一種になっておりまするものを第三種事業に移して、税を軽減していただきたい、こういう趣旨のものでございます。  その次は、第五百二十一号以下数件ございますが、私鉄事業税を現在の外形標準課税から所得課税にぜひ改めてもらいたい、こういう趣旨のものでございます。  その次は、写真業に対する事業税軽減請願であります。これも現在第一種になっておりますものを第三種に移して、ことに所得五十万円以下の零細業者に対し、特別税率三%とせられたいという趣旨のものでございます。  その次は、八百八十六号、注文洋服仕立加工業事業税指定事業種目変更に関する請願、これも、自己の労働による工賃収入に依存しておる零細業者であるので、事業税事業種目を変更して、税の軽減をはかっていただきたい、こういう趣旨のものでございます。  次は、娯楽施設利用税の一部を所在都市交付する請願娯楽施設利用税都道府県税になっておりますが、これを地元都市にも交付できるように法律改正を望むというものでございます。  その次は、公給領収証交付義務制度廃止に関する請願遊興飲食税における公給領収書交付義務の新制度は、弱い者いじめになっておる悪制度であって、非常にそのために混雑、混乱が起きておるので、これを一日も早く廃止せられたい、こういう趣旨のものでございます。  その次は、地方税法第百十四条の四、すなわち遊興飲食税免税点が現在二百円となっておりますが、これを三百円に引き上げる改正を望むものでございます。  その次は、旅館宿泊等遊興飲食税減免に関する請願でございます。  その次は地方税法第百十五条第一項の改正に関する請願、これは現在芸者の花代に対する税が百分の三十になっておりますが、現在そのために芸者類似のものがたくさん続出する傾向にありますので、芸者の料金を対象とする遊興飲食税を全面的に一割均一課税改正せられたい、こういうものでございます。  その次は、最近リヤカーとか荷車にかわって、オート三輪車、小型自動車その他軽自動車等が激増して、道路整備その他施設の面に必要な経費が地方の大きな負担になっておるので、そのリヤカー荷車税に、かわるものとして、これらの小型車両自動車税から分離して、市町村税に移譲するように法律改正を望むというものであります。  その次は、大規模償却資産税道府県移譲緩和地方税法改正に関するものでありまして、償却資産所在都市行政財源を与えるために、基準財政需要額算定適正化財政補償増額等措置を講ぜられたい、地元財政がもっと潤うようにしていただきたいというものでございます。  その次は、同じく大規模償却資産税道府県移譲緩和の問題でありますが、内容は少し違いまして、これは電源開発関係でございます。御承知のように、現在地方税法特例規定が設けられておりますが、これをもっと進めまして、発電開始後五ヵ年間に限り所在市町村課税権の全額を付与し、さらに六年目から毎年基準財政需要額の百分の百七十が課税できるように関係法律改正せられたいというものであります。  その次は、軽油引取税創設反対に関する請願でありまして、立論の根拠は多少の違いはありますが、いずれもそれぞれの理由から軽油引取税創設反対の旨を訴えるものであります。  それから軽油引取税関係最後の千七十三号は、市に軽油引取税の一部を交付せられたいというものであります。すなわち道路費負担が重いのは道府県五大市道路ばかりではない、市道の損傷もまたはなはだしいので、一般の市に対しても軽油引取税の一部を交付するように立法措置を講ぜられたい。  その次は、発電税創設に関する請願、福島県会議長からの請願であります。  それからその次は、消防施設税新設等に関する請願消防施設強化国庫補助を大幅に増額するとともに、地方制度調査会答申にあります消防施設税新設を望むというものであります。  その次は、公衆浴場業に対する固定資産税軽減請願公衆浴場零細性にかんがみて軽減していただきたい。  それからその次は、不動産取得税でありますが、これはいわゆる建ち売り住宅に対して、その敷地に対する課税軽減の取扱いをしていただきたいというものであります。  その次は、旧軍港市の特殊税財政事情に関するもので、説明は省略いたします。  その次は、質屋営業に対する固定資産税軽減質屋営業特殊性にかんがみて、将来の点をお願いするということであります。  それから府県営発電事業用施設に対する固定資産税賦課反対請願公営府県営発電事業に対する固定資産税は困るというものであります。  その次は、電気ガス税石綿鉱業に対して免除せられたい、こういう問題であります。  その次は、木材引取税撤廃でありまして、多年の業者要望であるその撤廃を望むというものであります。  その次の五百九十二号も木材引取税撤廃。  第九百十一号、これは公営住宅に対する市町村交付金のために、家賃に転嫁されるのは困るというものであります。もし転嫁されるようなことがあっても、少くとも本法案の区分を十五坪以下の公営住宅には適用を免除するように、適用外にするように法案を修正していただきたい、こういう趣旨のものであります。  その次、住宅協会等住宅に対して、同じく公営住宅と同じように家賃に転嫁されないようにお願いしたい。  その最後一つ入場税の一部を譲与税所在都市にも交付せられるように請願する、これが最後でございます。
  5. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ただいま専門員から説明いたしました請願は、これはもう両法案の審議の際、それぞれ問題になった点でございまするが、この機会に、政府として御意見がおありであれば、お述べを願いたいと思う。ごく簡略に、それぞれについて御意見を伺いたい。
  6. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 農業事業税の問題は、政府案として地方制度調査会臨時税制調査会答申もあったわけでありますけれども、現在のところ取り上げていないわけであります。  公衆浴場業に対しまする問題、私鉄事業税課税方式の問題、写真業の問題、注文洋服仕立加工業等の問題、いずれも事業税全体に通ずる負担均衡の問題であると思うのでございまして、そういう意味で、次の機会までに十分事態をさらに調査をいたしまして、必要な改善措置を考究いたしたいというふうに考えております。  娯楽施設利用税の一部を都市交付いたしまする問題は、できる限り一つの税を分けたくないというふうな考え方があるわけでありまして、そういう意味で、現在府県独立税にしておるわけであります。遊興飲食税の問題につきましては、税負担軽減するという問題。軽減をいたします場合には、反面納税秩序を確立していかなければならないという要請も加わってくるわけでございますが、そういう問題を合せまして、遊興飲食税全体に対して、国会内部におきましてもいろいろと御論議がございますので、さらに検討善処をいたしたいという考え方を全体について持っているわけでございます。  自動車税につきましては、従来軽油自動車として取り扱われておりました部分も、一部を原動機付自転車の範囲に加えまして、市町村税にしておるわけであります。道路運送取締法ですか、その中で自動車に扱われておるものは自動車税にするが、それからはずされる限りにおいては市町村税にもっていくという建前をとっているわけでございます。  固定資産税の問題につきましては、これもいろいろ御論議がございまして、大規模償却資産所在実態をさらに深く検討いたしまして、善処して参りたいというふうに存じております。  軽油引取税の問題につきましては、現に政府案を御提出しておりますので、政府案が適当だというふうに考えておるわけでございます。市に一部を交付いたしますことは、なるたけ道路整備を重点的に行なっていきたいという考え方に反するわけでございますので、五大市だけに限定しているわけであります。  発電税の問題につきましては、大臣からたびたび御答弁がありましたように、いろいろ問題がございますので、軽々に許可をするわけには参らないのじゃないか。しかし、所在市町村の使用する水利その他につきまして問題があるわけでございまして、これらの問題につきましては、自治庁としても必要なる配慮を加えていきたいというふうに考えております。  消防施設税の問題についても、政府部内で話合いがつかなかったわけでございますが、将来にわたる研究の問題と私たち考えておるわけであります。  固定資産税軽減する問題。ある事業に対しまする固定資産税軽減するという問題につきましては、他の固定資産との均衡の問題もございますので、非常にむずかしい問題というふうに存じております。  不動産取得税住宅についての軽減をとっているようなものを新築住宅の場合には土地にも広げろ、こういう御趣旨のように承わったわけでございます。不動産取得税につきまして軽減措置をとっておりまするのは、住宅新設を促進していくという意味からとっているわけでございますので、すでに建った家屋であれば、土地についてはさらに軽減の必要はないじゃないか。全体的に軽減する必要はよくわかるのでありますけれども、現在とっておりまする家屋土地についての課税標準についての特例規定は、住宅をどんどん建てさせていきたいという考え方からとっているのでございますので、すでに新築されておる住宅であります限りにおいては、土地についてまで特例をさらに広げることは適当ではないではないかというふうに思っておるわけでございます。  旧軍港市の問題、これは交付金制度改善の問題として、さらに努力をして参りたいつもりでおります。  質屋営業に対する固定資産税軽減の問題は、公衆浴場の問題などと同じように思っておるわけでございまして、なかなか均衡の問題で、むずかしいことであるというふうに存じております。なおこういう問題全般にわたって検討して参りたいと思います。  府県営発電事業用施設に対する固定資産税の問題は、これは現在政府案も出しておるわけでございます。  石綿鉱業電気ガス税の問題は、御意見承わっておるわけでございますので、関係面との均衡考えながら、なお次の機会善処をするよう研究いたしたいと思っております。  木材引取税の問題は、木材に関する何らかの税は必要と思っておるわけでありますが、今の木材引取税の姿そのままでよろしいとは思っていないのであります。この点につきましても、課税方式について検討善処をいたしたいというふうに思っております。  その次の国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律は、政府案がよろしいというふうに存じておるわけであります。  入場譲与税の問題は、一部の市町村交付いたしましても、それだけ交付税が減額されることになるわけでありまして、この趣旨は、譲与税として交付しないで、入場税収入の上った所在都市に還元せよ、こういうことかと思うのでありますが、現在の財政事情はそれを許さないのじゃないかというふうに存じておるわけでございます。
  7. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ただいま説明並びに意見を聴取いたしました請願について、質疑がありましたらば質疑願います……。別に御発言がなければ、本件につきましては、この程度にいたします。  それでは、請願の願意を参酌されまして、法律案審査をお願いいたしたいと思います。  なお、この際御報告申し上げますが、当院運輸委員長左藤義詮君から要望書が参っております。お手元に写しを印刷して配付いたしております。一応朗読いたします。本要望書につきましても十分御参考の上、法案審査を願いたいと存じます。
  8. 松岡平市

    委員長松岡平市君) それでは法律案審査に入ります。両案を一括して議題に供します。質疑のある方は順次御発言願います。  速記をしばらくとどめて。   〔速記中止
  9. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を始めて。
  10. 松澤兼人

    松澤兼人君 ちょっと病気で休んでおりまして、重複するところもあるかと思います。まあ数点ちょっとお尋ねしてみたいと思うのです。まあ中心は税法の問題ですけれども、私いつも不思議に思っておりますことは、自治庁で作っております地方財政計画策定といいますかの問題ですが、従来は、こういう地方財政に対する計画というようなものはなかったように思うのです。もちろんある意味におきまして、基準財政収入あるいは支出というものを大きく把握するということは必要なことですけれども、特にそういうことをすれば、地方財政というものの自主性が失われますし、ある程度までは地方自主性にまかせておいていいんじゃないか、こう思います。特にこういう地方財政計画というものの策定を必要とするというその理由ですが、これは全く地方行財政初歩だと思う。こういう問題を特に取り上げて質問するということもおかしな問題ですけれども、初歩の問題であるから。また従って、この問題が十分に納得がいかなければ地方財政の窮乏という問題も片づかない。このことについて政務次官、どうお考えですか。
  11. 早川崇

    政府委員早川崇君) 地方自治並びに財政の基本問題にわたる御質問でございますが、私たちといたしまして、本来地方自治とは何ぞやという観点から申し上げますと、一切国は関与しないで、たとえば交付税というような千六百億に上る国税を地方に流すならば、千六百億円というものを市町村なり府県自主財源に何か税を設けてやったらいいじゃないか。また国からいろいろな援助の予算措置がとられまするが、そういうお金がありましたならば、市町村地方自治体自体に税源を与えたらいいじゃないか、私はこの主張は非常に根拠があるものと存じます。しかしながら、御承知のように、農村地帯と、あるいは都市、商業、工業という地域に、資本主義経済の必然的結果といたしまして、広範なアンバランスが出て参ります。そういう関係から、御承知のように、交付税なり、あるいは予算上のいろいろな国家からの地方自治体財政に対する援助なり、また措置がとられているわけでございます。この措置が額として多いか少いかということは別といたしましても、これは、自治体相互均衡という点からやむを得ない措置でありまして、そういう関係ができる以上、市町村としては一体最低、自治体として、自治行政として、どういう基準が必要か、そういう計画、すなわち財政計画が立たない以上、どこの町村にどれだけの交付税を与えろということもできないでしょう。また税の財源調整、問題になりました財源調整もできないでございましょう。そういう観点に立ちました場合に、財政計画という、強制力を持たない、義務付けではないのでございまするが、そういった地方自治体全体の財政計画が必要になる。これに基きまして交付税なり財源調整をいろいろやる、こういうことになった次第でございます。この計画自体に従来非常なずさんな点があった、こういう御意見がございまして、幸い今年度は、皆様方の御協力によりまして、実態に即した財政計画を立てることができるようになりました。そういった立場に立って、われわれは財政計画考えているのであります。
  12. 松澤兼人

    松澤兼人君 全く率直な言い方をしますと、この地方財政計画というものを策定するということが始まってから地方財政が窮乏し出したと、まあそう言えないことはないと思うのですが、どうですか。
  13. 早川崇

    政府委員早川崇君) それは、必然的な因果関係は実はないのでございまして、地方財政計画が、実情から非常に無理な計画が立っておったという事実は認めます。さればといって、財政計画がなければ地方自治は窮乏しなかったであろうという論理には飛躍できないと思います。
  14. 森下政一

    森下政一君 関連質問……、松澤君の質問した地方財政計画という点ですが、これは、私も同様の疑問を実は持っておるわけなんです。太田長官とあなたが同じ考えを持っておられるかどうかはわからぬが、地方自治の伸張をはかるということのために一番肝心なことは、私は、地方自主財源を強化するということ、これ以外にないと思うのです。今、あなたの御答弁の中にも、千六百億にも上る交付税財源があるならば、そういうものは、むしろ何らかの形で自主財源を強化することにしたらいいのじゃないかというような考え方もあるとおっしゃいましたが、まさにそれは必要なことだと私は思うのです。と申しますことは、元来が平衡交付金制度というものが取り入れられて、それ以後、おっしゃるように平衡交付金配分その他のために、一つ財政計画というものが必要になる、どうも平衡交付金じゃいかぬということになって、交付税制度に改まったが、さらにいよいよ財政計画というものがないことには、交付税配分も困難だ、よりどころがないということになって、こういう制度が設けられたと思うけれども、さればとて、今おっしゃったように、今度はこれまでと違って、財政計画の立て方が変ってきた、実態に即したものが得られるようになったとおっしゃるけれども、それは従来との比較の問題だけであって、果してそれなら、三十一年度の財政計画が、三十一年度の各地方公共団体財政上の決算が他日明らかになったときに、それと一体隔たりがあるかないかということになってくると、隔たりがあるのは私は当然だと思うのです。ほんとうに近接した決算計画とを得るというようなことは、私は全くこれはいつまでたっても望み得ないことだと思うのです。それは、それぞれの地方公共団体のいろいろな異なった諸般の事情があるわけなんですから、大づかみな一つの見通しをするというだけのことであって、そうその決算計画とを一致せしめるなんということは、これは到底不可能に近いことなんだということを考える。そこで、従来と比較すると、よほど実態に即したものに計画はなるに違いないけれども、さてその計画ができて、政府地方財政計画をここに明らかにしたならば、直ちにそれによって大阪府の財政計画というものはどうあるべきなのか、あるいは東京都の財政計画はどうなんだ、埼玉県はどうなんだと、鏡に物を映すような工合にぴったりそれで割り出されてくるかというと、必ずしもそうでないと私は思うのです。そうなってくると、これはまるで政府だけのひとりよがりのような格好になる。しかも、各地方団体からすれば、ことに大都市所在府県とか、あるいは大都市自体の考え方などからすると、大都市の持っておる特殊性なんというものは、全然財政計画に考慮されていないという、現に多分の不満を持っておるという事実がある。人口十万の都市というようなものを標準にして、画一的にその計数をどんどん考慮の中に入れておこうというだけのことでは、これはいろいろな不満が起ってくるということは私は当然のことだと思う。そういうものを作って、一体何になるのだろうか、どこに一体信憑性があるのだろうかと、私はこれは大へん疑問に思うわけです。従って、将来地方税法改正をなさるというときには、政府は一大英断をもって、今の制度というものを根本的に改める、交付税制度というものを改めてしまうというくらいのことを断行されないことには、私はどうしてもうまくいかぬと思う。地方財政の調整というようなことで、おのずから財政計画が必要なようなお話があった。また交付税というものも、そういうことのために必要だと言われるけれども、また、地方財政の調整ということが必要ならば、これは調整財源というものを求めて考慮することも悪くはないと思うけれども、しかしながら、全国の各地方団体を均等のレベルに財政的に追い込んでいくというような必要はちっともないことだと私は思うので、これは、根本的に一つその制度を改める必要があるのじゃないかというふうに考える。そうなってくれば、地方財政計画というようなものも必要なくなってくるのじゃないか、こう私は思うのですが、その点どうでございますか。
  15. 早川崇

    政府委員早川崇君) 先ほど松澤委員の申されましたこと、今、森下委員の申されましたことで、私の非常に同意をいたしたい点は、財政計画自身が地方財政を窮乏せしめたということよりも、むしろ交付税方式、平衡交付金方式というものが、自治体の安易な国家依存の風潮を高めまして、最後は国がしりぬぐいをしてくれる、こういう意識が終戦後の自治体の長になかったと私は言えないと思う。それがひいては地方財政を放漫に陥れ、また財政を窮乏せしめた、こういう意味におきましては、私は全く一面の真理を認めるのでございます。従って、森下先生の言われましたように、大きい政策といたしましては、私のみならず、大臣もむろんそうでございまするが、ややもすれば従来の官僚諸君が、できるだけ自治体というものを統制したいという風潮が私は従来なかったとは言えないのであって、そういう意味の、何と申しまするか、国家統制あるいは財政上の統制ということは、厳にわれわれとしては警戒をしなければならない。それなれば、むしろ仰せのように、各市町村に千六百億円に及ぶ、おそらく二千億になんなんとする国家からの資金を各町村に平等に配分できるような税源が見つかるならば、むしろそれに大部分を移した方がいいのではないか、これがまた自治の本旨になるのではないかと、かように傾向的には私は言えるのではないか、かように思っておるわけでございまして、交付税も、すでに所得税、法人税、酒税の二割五分という、非常な大きなところまできておりまして、一部の人が言われるように、さらにこれを二八%にしょう、さらにこれを引き上げろということ自体によっては、私は健全な自治というものができ上らない。大臣も、従ってただ交付税をふやして、自治体財政危機を乗り切るという方針は、われわれとしてはもうとらない。それだけふやすならば、自主財源を探していこう、まあこういう基本方針を確立しておるわけでございます。ただこれを全廃ということになりますと、これまた非常に極端な問題でございまして、なるほど大阪とか東京とかという、力のある自治体はそれでいいのでありますけれども、現在むしろ交付税方式によって救  われている十万以下の小さい市町村というものをどうするか、この問題は非常にむずかしい根本問題に触れまするので、森下委員の御趣旨の、言われました点を十分そんたくをいたしまして、できれば従来の税制調査会というお考えのもっと飛躍した立場でいい方法が見つかりますれば、根本的に再検討もあえて辞さない、こう思っておるわけでございまして、今ここで、しからばどういう具体的な計画があるかと言われましても、直ちにお答えする対策は持ちませんけれども、大きい方向としては、われわれはそのように考えておるということを御了解願いたいと思うのでございます。また、ほんのそういった方向に関する一部分の試みでありますけれども、三公社の金にいたしましても、また軽油課税を地方財源にいたしました趣旨にいたしましても、その他いろいろなこのたびの税制改革は、そういった方向への一つの、ささやかではございまするが、試みとして見ていただきたいと、かように考えておる次第であります。
  16. 森下政一

    森下政一君 今のお話の中で、私非常に心強く感じますことは、ややもすれば従来官僚が、地方自治体を統制というか、支配していくというふうなことに熱心になり過ぎるというような傾きがなかったとは言えぬとおっしゃいましたが、そうだと私も思う。その点から考えると、交付税なんというものは莫大な金額であるけれども、結局これは自主財源とはいえない。地方団体からいえば、国家に依存しなければならぬという財源、依存財、源という名前を使っては、適当であるかどうかわかりませんけれども、結局依存財源だと思う。そうなると、中央に向って陳情これ努めて、何とかしてまた、交付税配分を受けるのに、多額に受けられるようにしたいというような気持になるということはあたりまえのことでありまして、だから、先刻おっしゃいましたが、交付税の総額を、二五%を二八%にするとか三〇%にするとかということによって自治を伸張するとは思わぬとおっしゃったが、私もその点はきわめて同感なんです。そういうやり方というものは、地方をして中央に依存せしめることをだんだん深からしめるだけであって、自治の伸張にはならぬ、むしろ逆行するんだと私は思う。そこで、たとえば今例に引かれた三公社の納付金とか、あるいは今度の交付金制度、こういうのはまことに新しい試みで、自主財源の強化で、その方に一つ前進したつもりだとおっしゃる。確かにそうだと私は思う。それは、私は容認することにやぶさかでないけれども、税の負担がすでに限界にきているという際なんだから、国の取っておりますところのどれかの税収をもっと少くするように税の負担軽減しておいて、この国有資産等所在市町村交付金とか、あるいは納付金という制度をやられるなら、これは私は納得がいくけれども、ところが、一方に限界に達しているものは少しも緩和せずにおいて、しかもこういう制度を設けるということになってくると、一体だれが最後負担するかということになってくると、やはり大衆である。大衆だということになってくると、私は、その点で非常に限界に達している大衆の負担・国民の負担が強化されることになるというところに、私はこれをこのまま承服しがたいところがあると思うわけなんです。これは、必ずしも御答弁をお願いしませんけれども、大体考え方が一致しておるようなお考え方のように思いますから、英断をもって、三十二年度には抜本的な考えをやりたい、地方税法の上にもやりたいということをしばしば言明しておられますから、ぜひ一つ勘案してもらいたい。もとより、そんならどういう方法があるかということを聞かれても、私自身も具体的にこうしたらどうだという案は持っておりません。だけれども、傾向としては、そういうふうな考え方一つ持ってもらいたいということを、関連質問として私は強く要望しておいて、松澤君に譲ります。
  17. 松澤兼人

    松澤兼人君 森下君からだいぶ意見の入った質問があったのですが、私が先ほどちょっとナンセンスみたいな言い方をして、財政計画ができてから地方財政の窮乏が起ったのじゃないかということをまあ申し上げたわけですけれども、その一つの例としまして、もちろんわれわれの立場からいえば、地方財政を全く野放しにしていいとは考えません。もし社会党政権ができれば、ある程度やはり地方財政というものに対してワクをはめるであろうということは考えられます。しかし、現在やっていらっしゃるような計算漏れだとか、あるいは算定が低過ぎるとかいったようなことで、あとからあとからこれを修正しなきゃならぬというようなずさんな計算というもので、実情に即しない、実情よりはよっぽど内輪に縛ろうとする、そういう官僚的統制というものがある限り、これは赤字が出るのは当然じゃないかと、実際の実情に即していないで、内輪にワクをはめようと思うから、はみ出すのがあるのは当然だと私は思う。そういう点、三十年度も地方制度調査会などの意見を尊重されて、幾分是正されておりますけれども、このまま三十一年度、全く赤字が出ないということの保障は私はできないのじゃないかと、こう思うのですが、今後その内輪に見積られている財政需要と、大きめに見積られている財政収入というものとの関係というものをどういうふうに調整なさるか。それじゃ今後赤字が生じないという保障が果して言明できるかどうか。この点についてはいかがですか。
  18. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 基準財政需要額を各地方団体について測定いたしまして、そこまでは一般財源を保障していく。足りなければ、国から地方交付税交付していくと、こういうことになっているわけでありますが、この基準財政需要額の算定が不適正じゃないかという御指摘だと思います。また、そういうところから、今日地方財政の混乱が起っているのじゃないかという御意見もあったわけであります。昭和二十五年からこの制度が始まったわけでありますが、最初に基準財政需要額をきめます場合には、地方団体が全体として使っていける財源がどれくらいあるか。しかしまた反面、地方団体として一様に行政をやって行くためには、幾ら金があればよろしいか。両方にらみ合わせてきまって来た問題だというふうに思っております。国民所得のあり方からして、国民の最低生活費というものがきまって来るというようなことと似たり寄ったりの問題だと思うのです。その後、地方財政の立場から考えますと、今託されている仕事をやっていくためにはもっと金が要るのだけれども、国の方では、地方団体で非常にむだな使い方をしているのじゃないかと、たとえば給与費にしても、非常に高く支払い過ぎている、もっと下げるべきだと、こういうような意見もあったようでありまして、こういう問題をめぐって、地方財源の増額についての争いが絶えなかったわけであります。そういうようなところから、基準財政需要額に算入されるべき給与費につきましても、どちらかと言いますと、不足勝ちであったと思うのでありまして、そういう問題がようやく今回ある程度解決を見たわけでありまして、この解決に従いまして、基準財政需要額の算定に当って、給与費、あるいはまた投資的経費、そういうものを引き上げたわけであります。また、引き上げるに要するだけの財源が今回の制度改正によって得られたと思うのであります。こうやって、最小限度必要だと考えられる基準財政需要額というものは、従来よりはかなり適正化されて来たのじゃないかというふうに思っております。しかしながら、この基準財政需要額というものは、あくまでも最低行政費の保障でありまして、それぞれの地方団体の実態に即した財政需要額ということじゃなしに、要するに社会保障的な考え方からいえば、最小限度の生活費の保障は、その人が過去にどういうような身分であったかということによって、最低生活費を上げたりするべきものじゃないというふうに思っております。
  19. 松澤兼人

    松澤兼人君 その基準財政需要と、その基準財政収入との見合いの計算ということ。計算は一応バランスがとれているということだから、過不足ないようにできているけれども、しかし一年たち、あるいは二年たちするうちに、地方財政の赤字というものは非常に膨大なものになっていくということは、結局その財政計画それ自体に欠陥があるのじゃないかと、私はこう思うのです。そこであなた方に言わせれば、結局財政需要というものはこうでなければならないのに、しかし、公選知事や、あるいは公選市町村長というものが選挙目当ての政策をやっているから、こういうふうになるんだ。こういったような指導といいますか、干渉がましい発言をなさり、あるいは給与費がこうであるといったようなことを言って、そういうときどきの現象をつかんで、結局はこうだから、もっとワクをきつくしなければいけないんだというふうにして、国家的な統制というものを強化していく、そういう手がかりになさろうとするお考えがあるのじゃないかと、こう考えるのです。特に私が申し上げたいことは、まあ地方債、地方債はある程度、もちろん国の金融政策もありますし、あるいは財政政策というものもあるしするから、どこかでこれを規制しなければならぬということはよくわかるのですが、これを財政収入の中できちっと計算してしまって、そうしてその埋め合せに地方債を使うというのじゃなくて、初めから基準財政収入の方で地方債というものを基準に入れて、それをもってバランスをとるという方法、こういう方法をとっている間は、地方財政はだんだんと借金がふえていって、しまいには元利の償却に困難になるというふうに考えるのですが、この地方債というものをそれほどまでに考えなければ、収支のバランスが立たないような現状であるかどうか。この点はいかがですか。
  20. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御指摘のように、政府に大きな権限を与えますと、どうしてもお役人がそれを悪用する虞れが生ずるので、できるだけ政府に権限を与えない方がよろしいという点については同感であります。そういう危険を防ぎますために、また地方交付税法の中に、地方交付税交付に当っては、何らかの制限をつけたり、使い道を制限したりしてはならないという明文までおいているわけであります。自治を育成する役所が、こういう制度を運用することによって、そういう弊害をできるだけ避けて行こうという配慮もなされているものだと思います。  地方債の問題につきましては、御指摘のように、従来これを財源的に運用しておった。そのことが今日地方財政を非常に混乱さしてきているんだということ、同感であります。インフレ時代におきましては、地方債は、実態的には一種の財源的なものだと思います。差しあたり借金でやって行きましても、返えすときにはただみたいな金になってしまいます。それだけに、資金の効用というものは絶大であり、また資金をなかなかつかみにくい。不用意に資金を乱発すると、逆にインフレを助長するということにもなってくるのでありまして、ある時期におきましては、国は健全財政を維持しながらも、地方財政において地方債を財源的に考えて参ったと思います。こういうことでは困りますので、今回、地方債につきましては、漸減方針をたてることにいたしたわけでありまして、同時にまた、地方債の運用に当りましても、従来のように財源的に配分するのではなしに、地方債を必要とするような事業について、その地方団体の財政能力も勘案して配分して行くと、こういうようなやり方をいたして参りたいというふうに考えております。従いましてまた、投資的な企業につきまして、財源を保障する基準財政需要額の算定に当りましても、この点を加味して、相当増額するというような単位の費用改正を試みておるわけであります。  それでは地方債を地方財政計画に取り込まなくてもよろしいというのかと申しますと、これはやはり取り入れなければならないと思うのでありまして、たとえば弱小の町村が三十年、四十年に一ぺんしかない学校の改築をやる。これを税収入でまかなえと言いましても、困難なことでございまして、これは、やはりさしあたり地方債でまかなっておきまして、三十年、四十年なりの世代の人たちが分担して支払っていく、こういう格好になるだろうと思うのでありまして、あるいはまた、その仕事に伴いまして増収を期待できるようなもの、こういうものは、差しあたり地方債でやってもいいじゃないかと思います。この問題は、財源がないために、やむを得ず地方収入で仕事をしていくんだ、要するに財源の補てん的にこれを使っていくということは避けなければならないと思います。そういう計画に一歩強く、今度の地方財政計画は前進さしたものだということを私たち考えております。
  21. 松澤兼人

    松澤兼人君 この地方債のうちで、何というのですか、普通の地方債と言っては……、経常的な意味地方債、そういうものはなるほど百八十五億の減少ですが、ですけれども、そのほかに、再建債だとか、あるいは公営企業の分として合計すると、やはり減って  いないのじゃないですか。これは減っていますか、総額において。
  22. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 公営企業債などを入れて参りますと、総体は大同小異でありまして、自治庁といたしましては、むしろ公営企業債はもっともっとふやしていきたい。そして住民の利便をはかり得るような施設を充実していきたいという考え方を持っておるわけでございます。
  23. 松澤兼人

    松澤兼人君 先ほど、早川政務次官のお話を、同僚森下君は相当にその御答弁を高く買っていらしたようですけれども、私はどうも政務次官の話を聞いておりまして、全くその現状と言いますか、あるいは狭い現実というものだけのお話でありましで、私は、この地方財政計画というものを変更するとか、あるいはまたはこれをやめるとかということのためには、もっと地方行財政の大きい視野からこれを議論し欺ければならないと思うのです。  それで、たとえば交付税あるいは平衡交付金というものの必要なことは、資本主義的に恵まれておる所もあるし、恵まれていない所もあるし、恵まれていない所には、そういうもので操作して、財政資金を流してやるという制度が必要であるし、それがなければ、貧弱府県なりあるいは貧弱市町村なんというものが成り立っていかないんだ、こういうお話なんです。しかし、全く冷たい客観的な考え方からするならば、町村に対しましては、町村合併促進という一つの現れ方があるのです。貧弱町村であるからといって、ただ中央からめんどうをみてやるというだけのことでは、私は済まないと思うので、済ましちゃならないと思うので、一方では、町村合併促進という一つの国の国是として方針があるとするならば、その方針をやはり強めていく、全く冷酷な言い方ですけれども、自然淘汰というか、あるいはまた自然競争というか、生存競争というか、そういった一つ考え方にも徹して、そうしてそれでやはりやっていけない場合は、町村合併ということを考えなきゃならぬし、あるいは府県の場合でも、私は、そういう段階がきているのじゃないか。貧弱府県であるからといって、やはり中央でばかりめんどうをみてやるという、いわば、何と言いますか、不公平な公平というような、そういうやり方が、国の方針として果して妥当であるかどうか。そういう貧弱県というものは、それ自体やはり立地条件に恵まれていないとか、いろいろなことで、古い行政区画というものが現実に即してないから、これを町村合併と同じような考え方から、府県の統合なりあるいは府県の合併なりということを考える段階じゃないか。いつまでも、存在しているから、これに対して国家が世話をしなければならんという、そういう考え方は、これはいけないのじゃないかと、こういうふうに考えるのです。この点は、先ほどのお話よりも飛躍した、ワクの大きい視野から考えるべきであって、こういう点については、政務次官、いかがにお考えでございますか。
  24. 早川崇

    政府委員早川崇君) 私の森下松澤両先生にお答えいたしました趣旨も、そういう線に沿った考え方でありますが、ただ松澤委員は、それをさらに徹底しろという御意見でございます。私はそこまではちょっと踏み切れない。いわば市町村自治体も、こういう表現が誤まりかもしれぬが、もしそれを使用することをお許し願えれば、市町村も資本主義的に強いものはどんどんやって、あまり国家は援助するな、それの方が本当の自治が育つのだという御見解とも受け取れるのであります。われわれはそれは少し自信がありませんので、いわば修正資本主義的な自治体の育成の仕方、こういう含みの、表現が適当かどうかは別といたしましても、意見を申し述べたわけでありまして、むろん自力が強まるという方向、これは基本であります。その線で町村合併も促進をいたし、必要あれば、国有林野の払い下げも実行し、自主財源もふやしていくという方向をたどっておるわけでありますけれども、それによって、どうしても自治体のアンバランスがとれない面がありますので、交付税を全部自主財源にかえるというところまでは、今少し総合的な検討をお許し願いたい、こう申し上げたのでございます。ただその場合に、もう一つ考え願いたいのは、これは地方自治体自治行政自体に対する問題点でありまするが、本当は、松澤委員の言われますように、自治体が起債に財源を頼らないでいこう、こういうためには、やはりもう一つ飛躍いたしまして、国というものと自治体という関係でございます。ここまで国の政策が大きく再検討されなければ根本的解決は得られない。先ほど部長が、学校は一つの町村で四十年、五十年かかるのを、一度に出すのは困るから起債をしなければならぬ場合がある……、その通りであります。しからば国家において官庁の、防衛庁のビルディングとか、いろいろビルディングができたのでありますが、あのビルディングは、四十年、五十年やっぱりもつのであります。今現在の国民が、しからばその費用を税金で全部負担しなければならぬか。同じ理屈から言えば、国家も起債によっていい面が多いのであります。国家はそういう起債を一切やらないで、国民から取り上げました税財源でまかなっておる。こういう不合理を予算委員会で伊能委員から指摘されました。私はその通りだと思います。そういった国と地方という問題の財源調整、また公債政策の全般的なアンバランスの是正というようなものが全部含まれまして、ここに初めて私は、真の意味地方財政の、自治体の充実というものが生れてくるのではなかろうか、むろん公債政策におきましても、確かに昨年度よりは是正をいたしまして、低金利長期への借りかえとか、また、一般財源の起債を減らすとか、いろいろいたしましたが、まだまだ今後に残された問題は多いのでございまして、方向といたしましては、松澤委員の言われました、自治体自体の力を加えていく、つけていく。他力依存的な風潮を是正するような、何といいますか、ためにならぬ温情主義はやめた方がいいという点は、根本においてはむろん私は全面的に賛成をしておるわけでございまして、今後その方向に地方行政が進んでいきまするように、御協力をお願いいたしたいと思う次第であります。
  25. 松澤兼人

    松澤兼人君 私が市町村なり、あるいは府県なりというものを自由競争なり、あるいは自然淘汰なりというものにまかせたらいいじゃないか、こういうふうに考えますことは、人間の場合と違うのですね。人間の場合は、あれは少くとも最低生活、生まれてきた以上は、やはり国家が面倒をみなければならぬということなのですが、しかし、府県の区画であるとか、あるいは市町村の区画であるとかいうものは、これは絶対的なものじゃない。まあ生活共同体という一つのワクはありますけれども、これは絶対のものではないのですから、府県制などというものも、相当長い間に実情に即しないように、府県制が生れた当座から見ると、少くとも産業的に、あるいは資本主義的に条件がいろいろ変っていると思うのです。そこで、この問題をやはり解決するということは、地方行財政の問題を解決する最も大きな手がかり、出発点ではないかと思うのです。今のお話で、府県の統合という、そういう問題について触れてお答えがありませんでしたので、重ねてこの問題について、どういうお考えか、承わりたいと思います。
  26. 早川崇

    政府委員早川崇君) 地方自治体の力の充実の一環としての府県の統合というのは、むろん最も重要なアップ・ツー・デートな問題になっております。地方制度調査会に、このたびあらためまして、府県制度の問題をどうするかという問題を諮問いたした次第でございまして、本年中、早ければ七月中には結論が出てくるのではなかろうかと、さように思うわけでございまして、明治四神に作りました、飛行機も汽車もない時代の府県の区域というものが、現在の交通、産業状態で果して妥当かどうか。むろん非常な私は疑問だと思っております。
  27. 松澤兼人

    松澤兼人君 それではその問題については、またあらためて議論をすることにしまして、遊興飲食税の問題について、自由民主党の方では、公給領収証は今回は見送る。次の国会において、これは何らかの措置を講ずるということを決定されたという話を聞いております。これはどのような決定をされたのか。
  28. 早川崇

    政府委員早川崇君) 党の決定は抽象的でございまするから、具体的には御答弁申し上げかねまするが、要するに付帯決議として、衆議院の地方行政委員会式において、「遊興飲食税につき再検討を加え、とくに公給領収証の使用義務制については、実施の状況に鑑み、改廃の措置を講ずること。」こういう衆議院の付帯決議がなされておるわけです。われわれといたしましては、実施後わずかに三ヵ月で朝令暮改をすることは、断じて承服いたしかねるところでございまして、このたびの税法改正におきましては、これを拒否いたします。将来実施の状況において、特に公給領収証その他の問題でいろんな欠点が出て参りまするならば、衆議院の付帯決議の趣旨を尊重いたしまして、再検討を加えたいと、こういう心組みでおります。
  29. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういたしますと、再検討するということは、全く白紙で再検討されるということでございますか。あるいは改廃ということですけれども、「改」の方に重点を置いて、それで再検討されるということでありますか。党の中においてはどういう決定でございますか。
  30. 早川崇

    政府委員早川崇君) 私は党の代表でございませんので、その点の御答弁は申し上げかねますが、政府といたしましては、白紙の状況に立ちまして、われわれは、この半年、一年の実施の状況を見て、すでに公給領収証につきましては、若干手続その他で欠点があるということも指摘されているのは事実でございます。そういうことを白紙で検討いたしまして、結論が出ますれば、改廃ということも考えたいと思います。現在は白紙でございます。
  31. 松澤兼人

    松澤兼人君 部長から、実施の状況及び手続上の欠陥というものを、前にお話があったかもしれませんが御説明願いたいと思います。
  32. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 実施後、遊興飲食税負担がどう変ったかということを見て参りますと、前年の同月と比較した数字を出すことが一番適当だろうと思うのであります。税率の引き下げあるいは免税点の拡大とかというような措置が行われたわけでありますが、芸者及びこれに類する者の花代関係では、十一月から実施になったわけでありますが、八・三%の増、十二月が二四%の増、一月は三三・八%の増、こういうことになっております。また料理店等におきましては、十一月が三一・三%の増、十二月が四九・四%の増、一月が四九・二%の増ということになっております。またキャバレー等におきましては、十一月が四七・九%の増、十二月が六〇・三%の増、一月が五三・五%の増ということになっております。旅館は二種類ございまして、普通旅館は減っております。前年同月の数字の十一月は六〇・九%・十二月は六八・九%、一月は七一・三%というように減っております。温泉地に所在しますいわゆる割烹旅館等におきましては、十一月は同じ、十二月は一一・四%の増、一月は一一・二%の増ということになります。それから普通の飲食店においては、十一月が前年同月の六九・五%でありますから、三〇%以上減っておるわけであります。十二月は七八・七%でありますから、二一・三%減っております。一月は六一・二%でありますから、三〇数%減っておるわけであります。こういうことで、税収入総額として、十一月は九九・八%、十二月は一一三・六%、一月は一一一・二%、こういうことになっているわけであります。  この長所として取り上げられることを申し上げますと、従来遊興飲食税のありますことを客が知らない。税としてはなかなかもらいにくい、そういうようなことから、出血納税ということが言われております。業者が自腹を切って納めておるのだということが言われました。これがお客さんからもらって、それをそのまま納めていくということから、納めやすくなったという意見を聞いております。  もう一つは、今までは一種の割当で、税金でありながら、税率もきまっておりながら、押し合いへし合いで税額をきめていた。こういうような不明朗なことがなくなって、ただ実績をそのまま納めてもらっておる。こういうことで、業者と税務担当者とのあつれき、またその間の相談にはいろいろな人が入ってくる、いろいろな人が介在しておった、そういうこともなくなって、明朗になってきた、こういうような話を聞いております。  欠陥としては、税負担が非常に不備になっておるものだから、領収書を出す場合においてもなかなか頭がそこまで回らない、従って非常に繁雑だというようなこと、あるいはまた、現金売買をやっている上におきまして、領収書を必ずしも出さない、客も受け取らない、そういう点があるものだから、そちらの負担が、不均衡に低くなっていやしないだろうか、どうしても領収書を出さざるを得ないような法人関係を相手にしている方面においては正確に徴収されるので、これとの間に不均衡が出てくるのじゃないか、こういうような意見もあったりするわけでございます。
  33. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ただいまの質問政務次官は、政府与党はいかように考えておろうとも、政府としては今回は断固拒否したのだ。拒否したという限りは、何を政府与党が要望したかということは、あなたは答弁しなくてもはっきりしている。これは公給領収書制を廃止するということを断固として拒否したということなんです。断固として拒否したということが速記に残っているんです。だから語るに落ちているわけなんで、自民党としては公給領収書制を廃止したいという意向があったということは隠れもない事実なんです。ところが断固としてこれを拒否した政府側の答弁として、今後白紙の上に立ってこれを検討の上、そして付帯決議の線、要望の線を検討して改廃ということを考えるのだという御答弁なんです。私はこの点はふに落ちない。今日遊興飲食税は一般に悪税である、この点はわれわれも指摘しておるところなんです。ですから公給領収書制を云々という前に、この遊興飲食税という税そのものについて根本的に検討を加えられ、廃止するとするか、またあるいは遊興という名に値いする行為に対して課税せられるようにその範囲が縮小されるか、その方向をたどる以外には、どうしても……、税が残っておる限りは・公給領収書制で公正な徴税秩序を打ち立てるという方向以外に他の方法が、−徴税義務者であり、あるいは税を納める側であり、両者ともに公正な何らかの措置がとられるという方法が——ない限りは、この公給領収書制は技術的には廃止できない。それを他のよい方法に乗り移るために廃止するということでなくて、ただ現状のままでこれを廃止するということになれば、あるいは割当課税であり、あるいは零細飲食業者に対する税の転嫁になってくる、そういう意味で、当委員会としても、これは議員立法でやむなくこの種の措置に出たが、その経過を見ては、政府としてはこのやり方が望ましい形のものであったことは再三これを言明しておる。それを、今や白紙に立ってこれの改廃のための検討をするというのはどういうことですか。政府はこの公給領収書制は他に方法のない限りは、その手続その他部分的ないろいろ血直すべき点はあっても、公給領収書制度そのものはこれは存置しなければならないという積極的な意思を堅持しておるのですか。それともこれはやめる方向に、他の方法をとろうということで、検討しようとしておるのですか。政府の所信を承わっておきたい。(「それがはっきりしないよ」と呼ぶ者あり)
  34. 早川崇

    政府委員早川崇君) 先ほど申し上げましたのは、いやしくも一つの税の良否の判定というものは、わずか二カ月、三ヵ月ということで是非を論すべきではございません。遊興飲食税は御承知のように間接税でございまして、これを公給領収書という方式をとるのがいいか悪いか、ただいま私はここに公給領収書を持っておりますが、何か立てかえ金というような形の脱税もすでに行われているわけであります。そういう点でわれわれといたしましては、実施の状況は、少くともかすに半年、一年の実施を待たなければ、たとえこれに欠陥があるという党の御意向がありましても、また衆議院のここに先ほど申し上げました本会議の付帯決議がありましても、直ちに今度の税法改正でこれをどう改めるとか、あるいは廃止するとか、選択性にするとかいうことは、政府としては受け付けられない、こういう立場を明らかにいたしたわけでございます。むろん将来この公給領収書というものが若干の期間の実績で、こういう点が悪いということが出てくれば、その場合には、われわれは白紙の立場に立って検討をしてもよろしい、これが院議を尊重するゆえんである、こうお答え申し上げましたので、その点はそのように御了解願いたいと思います。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのようにということがさっぱりわからぬのですがね。現状では、じゃ政府は公給領収審制度そのものはいいと思っていますか、これはいけないと思っていますか。徴税成績とか、あるいは領収書の発行の仕方がそれがここにいろいろな詐術が行われているとか、行われぬとか、そんなことはどうでもいい、制度そのものが現状においていいと思いますか、これはだめなものだと思いますか。
  36. 早川崇

    政府委員早川崇君) 申すまでもなく、これは今改正するというのでありませんから、いいと思っているわけであります。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いいと思うならば、一番最初に松澤委員に対して答弁した今後白紙に立ってこれが改廃を検討しているという言葉は、今後調査の上その手続その他の欠陥等を調査もし、あるいは徴税成績等もかみ合って考えていくということで、今のことではないというのか、それからあなたはここ二、三カ月や一年でということを言っておりますが、そうしますと、長い一年をとれば、去年の十一月ですから、ことしの十一月以降なんですか、そのあたりからぼつぼつと検討を始めるということなんですから、ここ一年やそこらで抜本的に改正はないというふうに了解してようがすか。政府の案として。国会の意思は別です。
  38. 早川崇

    政府委員早川崇君) これは御承知のように前の国会で参議院で御修正になられました法律でございまして、われわれといたしましては、その線で現在実施しているわけであります。従ってむろんわれわれは今国会で改正する意思はないのですから、これをいいと認めていることは明らかでございますが、同時に、そのほかに税の価値判定というものはいろいろ議論があるのでございます。価値判定はわずかに三カ月その他の実施状況ではいいとも悪いとも言えない節もあるわけでありまして、われわれはそういう考慮もいたしまして、断固として拒否した、こういうわけでございます。将来これを一年ぐらいやって、いろいろ弊害が出てくれば、これはわれわれといたしましてはそのときの情勢で判定いたしたい。たとえ異論があっても、いろいろセールス・タックスという問題がありましたのですが、外国のようにどんどん領収書を出してくれる国民性であればあれでいいのですが、日本では向かないというようなことで廃止になったというようなことも知っておりますし、まあそういったことを総合的に検討するのは、半年、一年の実績を見なきゃいけない、こう申し上げましたので、その額面通りのこと以外には考えておりません。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは一年くらい慎重にその経過を見るという慎重な政府の態度というものは、これは望ましい、そういうことを言うのでありますから、まずことしはこの公給領収証制度は廃止されないということになるわけなんで、まあ一応のめどがついたと考えますが、そういう税ではない、徴税方法についてかれこれといじくる前に、この際遊興飲食税そのものについて検討を加えるというもう時期ではないんですか。公給領収証制を廃止してもらいたいというような運動が起ったり、それが政府与党内で大きく問題になったりすることは、根本としてもう遊興飲食税というものについて検討を加える時期がきているということを証明しておると思う。まず公給領収証制度による徴税方式を検討するということよりも、根本問題を検討を加えるという意思は、政府にはあるのですか、ないのですか。
  40. 早川崇

    政府委員早川崇君) ちょっと御趣旨がわからぬのでございますが、遊興飲食税というものを廃止するのか、また遊興飲食税地方税から国税にした方がいいという御意向なのかわかりませんが、われわれといたしましては地方税として遊興飲食税自体は廃止する意思を持っておりません。ただ税制調査会におきまして、たとえばこういう問題が、われわれは合理的だと思われるのは、たとえば温泉地帯というもので、遊興飲食税を取りまするが、これが全部府県税になる。そういった面は若干改めまして、その温泉なり観光施設に、そのうちの一部を分けるとか、そうすることによって一般的な道路の改築ができるとか、そういう配慮は私は非常におもしろい意見だと思っておるわけでありまして、これも国税に取り上げて交付税式にやれというような一部の意見は、これは先ほど松澤先生なりに申し上げましたように、これは原則としてわれわれは国税に移すということには反対をいたしておるわけであります。そういった点を勘案いたしまして再検討するということは、むろんわれわれは反対する理由はございませんので、ただこれを廃止したり国税にしたりという点は、基本的にはわれわれはまだ問題にしておらぬということを申し上げます。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると今の地方税体系の中で、遊興飲食税の廃止の考えはないということが明らかになりましたが、遊興飲食税の範囲、これについても何ら考慮する必要がないということですか。と申しますのは、料理店の中でも各種の料理店がある。同じ風俗営業といっても、戦前のようなそれとは違った各種の形態がある。あるいはキャバレーもある、バーもある。その半面麺類、すしその他の軽飲食と申しますか、大衆飲食店もある。この大衆の方はほんの零細な所得による大部分の勤労者諸君と申しますか、庶民大衆の利用しておるものの大衆課税になっておる。こういうものもまた遊興飲食税は廃止しないという方向で考慮せられない、検討の要がないというのですか。
  42. 早川崇

    政府委員早川崇君) 今のはそういう意味ではございません。遊興飲食税自体、そういったものをなくすることは問題にしないと申し上げましたので、たとえば零細なおすし屋さんとかあるいは大衆食堂の遊興飲食税免税点を引き上げるとか、そういった税の合理化、税負担の合理化とわれわれは申しておりますが、そういったことは、当然再検討いたしたい。徴税方式なりそういった問題、そういった点は、いろいろな欠点がありますればわれわれは直す、こう考えております。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 奧野税務部長に伺いますが、そういう俗に言う大衆課税となるべき飲食店の方のそれは、将来どの程度の免税点の引き上げなりあるいは税の廃止なり、そういう方向に行くべきが望ましいとお考えになっておりますか。
  44. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 遊興飲食税をどういう階層の人に負担してもらうかという問題が基本の問題だろうと思っております。そういう意味ではある程度業態を整備いたしまして、こういう店において消費する人たち税負担をしてもらうというようなことがはっきりすれば、一番運用が円滑に行くんじゃないかと思っております。そういう意味で業態整備には力を入れて  いきたい。同時にまたそういう店はなるだけ範囲を狭くした方がいいのではないだろうかというような感じを持っておるわけでございまして、そういう意味では免税点を引き上げれば、自然遊興飲食税関係のない店がだんだん多くなってくるわけでございます。またそういうこともあって、大衆飲食業界からは現在の免税点を三百円に引き上げてもらいたいという、こういう陳情を出しておられるようでございます。そういう考え方財政状態が許せば、もっともなことだと思いますし、また今申し上げましたような業態を整備し、遊興飲食税の対象になるような店を限定して行くという考え方にも合してくるのではないかというふうに思っております。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 われわれこの委員会では、昨年免税点の引き上げでこの四月以降は二百円ということにきめたと考えますが、その際においても自治庁としては特段に変更を加えられて、三十一年度実施の前にこの二百円が三百円という要請に一段と向くように引き上げを考慮せられることを強く希望しておいたのですが、それができなかった。多分それは財政上の点も大きくあるだろうと思うのですね。で、さっき資料として御報告になった大衆飲食の方の税収が下ってきますね、その状況を見て、最近の統計ではどれくらいの税収になっておりますか、この方の分は。
  46. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 普通飲食店におきまする税額が、これはレストラン等も皆入っておるわけでございますが、十一月には一億九千九百万円、十二月には二億三千九百万円、一月分二億八百万円ということでございます。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで二百円が三百円に引き上げられる場合の影響としてはどの程度の税収減になるというふうに見込まれますか。
  48. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 公給領収証制度を実施後の、二百円を境にしたあるいは三百円を境にした調査をいたしておりませんので、ちょっと今数字はわかりかねます。
  49. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 しかし税務部長はエキスパートなんですから、大体の予想見込みというものはどういうことになりますか。
  50. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今そういう資料を持っておりませんので、検討した上で小笠原さんに御連絡さしていただきます。(「いや委員会でやって下さい、委員会で」「休憩」と呼ぶ者あり)
  51. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ時間もきたようですから、質問は留保しておきます。
  52. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 暫時休憩いたします。    午後零時五十一分休憩    ————・————    午後二時二十七分開会
  53. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 委員会を再開いたします。  消防団員等公務災害補償責任共済基金法案を議題に供します。  質疑に入ります前に、前回審査の際問題となりました第九条の「契約を締結するものとする。」の意義及び基金に対する掛金の支払い方法等の問題につきまして、政府においては、その際各委員の注意によって意見をまとめられたと思いますので、この際その意見について明瞭なる政府答弁をお願いいたします。  私からお尋ねいたします。第一に、第九条の「契約を締結するものとする。」というのはどういう意味であるか、前回これが義務である、義務でないというようなことで、いろいろな論議がありましたが、この機会に、政府から明確なる答弁をしていただきたい。
  54. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 第九条の規定の解釈につきまして、前回の本委員会で御説明申し上げました点は、必ずしも十分でなかったかと存じますので、整理をいたしまして、もう一度説明さしていただきたいと思います。  第九条の規定は、基金と全市町村とが消防団員等の公務災害補償を的確に実施するという目的を遂行するために、共済契約を結ぶものであることを、制度上の原則として宣言した規定であると解しております。従いましてこの共済契約の締結は、いわゆる強制的な義務づけの意味ではありません。しかしながら基金の制度は全国的な規模における危険分散の制度でありますから、少額の掛金で多額の補償に要する経費の支払いを受けることができますし、また基金に対する国庫の補助の道も開かれており、さらにはまた消防組織法等の改正によりまして、従来条例で定めておりました補償を、「政令で定めるところ」に従いまして、その基準を全体として増額したいと考えておりますので、この引き上げられた額による補償を完全に実施いたしますためにも、市町村は基金と進んで契約を結ぶものと確信いたしております。
  55. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に、同じく前回問題となりましたのは、ただいまの九条の市町村の契約締結に関連して十条のただし書き、掛金を支払わない市町村に対しての問題でありましだ。この点についても政府答弁は必ずしも明確でなかったということになっておりますが、この際、その点を政府から明確に答弁していただきたい。
  56. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 基金の健全な運営を確保するための一つの方途といたしまして、政令あるいは定款等の内容を次のように定めたいと考えております。  第一に、市町村の掛金の額及び掛金の支払いは、年度を単位として決定するものとする。  第二に、一年度の期間の掛金の納期は当該年度の五月三十一日とする。  第三に、基金の支払いは、納期までに掛金を支払った市町村の当該年度内に起った事故について責任を負うが、納期以後に掛金を支払った市町村については、当該市町村の掛金を支払った日以後の事故についてのみ支払いを行うものとする。  第四に、すでに契約を締結しながら、一年度を越えて掛金を支払っていない市町村は、不払いの分についての掛金をすべて支払わなければ、基金は、支払いをしないものとする。この場合におきまして、基金は、掛金の不払い期間に発生した事故については、さかのぼって支払いを行わないものとする。  第五に、おくれて契約を結ぶ市町村は、当該市町村が当初から契約を結んだものとみなして支払うべきであった掛金の全額に相当する金額を支払わなければ、基金からの支払いは行われないものとする。この場合におきましても、右支払いの日の前に発生した事故については、基金は、さかのぼって支払いを行わない。  大体そういった内容のことを政令及び定款等におきまして定めたいと考えております。
  57. 松岡平市

    委員長松岡平市君) なお、この法案について御質疑がおありになれば御質疑を願います。
  58. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 こういう共済基金という法人を作る建前として、他の公団やその他においてもこういう手続で作られているのかどうかということをお伺いしたい。というのは、設立委員が内閣総理大臣からあげられて設立の定款を作る前に、前もって内閣総理大臣から理事監事たるべき者が任命され、理事長たるべき者が互選せられておる、こういうやり方は、政府関係のこういう団体としては一般的な手続ですか。
  59. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) まあ御指摘の設立準備過程におけるやり方の問題でございますが、これはただいま小笠原委員の御指摘の中にもありましたように、いろいろなやり方があるかと思います。で、私の方ではまあいろいろな例を一応検討いたしまして、たとえて申しますと、学校給食会等のやり方の例、あるいは町村職員の公済組合のやり方というな例に一つのモデルをとりまして、設立委員を任命し、それが理事となるべき者に引き継いでやっていくというような建前にしたわけでございます。   —————————————
  60. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 質疑の途中ですが、委員異動がありましたから御報告申し上げます。  委員小幡治和君が辞任されまして新たに吉田萬次君が委員に任命せられました。   —————————————
  61. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、法文上では理事、監事あるいは理事長たるべき者と設立委員というものは無関係な立場になっていますね。しかし今の説明ですと、設立委員にはそういう役員たるべき者をあらかじめ想定して充てるというふうにも想像されるのですが、ところがこれで見ると、そういう理事、監事あるいは理事長たるべき者に対して、設立委員が定款を作成し、内閣総理大臣のまあ認可を得れば、直ちに業務開始ですから、そういう役員の方に一切のそれを引き継がなければならぬとあるんですね。そうすると全然別個の人間が出て、準備して、設立をするまでのものは設立する者のグループでやり、できたものの上に乗っかる人は乗っかる人で別だというふうにも、この法文では見られるのですが、この関係はどうなりますか。
  62. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 御指摘の通りの疑念が起るのでありますが、実は設立委員につきましては、実際に基金を発足させるについてのこまかい定款を作りましたり、その他諸般の準備がありますので、これは事務に堪能なそういう経験のある方に設立委員になっていただいたらという考えを持っております。同時にもう一つは、今御指摘のように設立委員が作りまして、その上に理事があとから乗っかるということでは、設立過程におけるいろいろこまかい打ち合せの問題なり、あるいは今後の運営等について瀞初からこまかくタッチしておられないということになると、責任をもって理事会を運営していく理事としてもまずいというような点もあるかと考えまして、設立準備委員の構成の仕方は、先ほど申し上げましたこの事務的に明るい堪能の士と同時に、将来任命を受けて理事になっていただくと予想せられる、そういう推薦をいただけるという方にも入っていただいて設立委員をやっていただく。そうして引き継ぎという関係をうまくしていくならば、過去の設立当初の事情もおわかり願えるし、正式に発足後において運用がスムースにいくのではないか、こういうふうに考えているのであります。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃそういう人がごっちゃに入って設立準備をやっている過程においても、理事や監事、あるいは理事長たるべき者が任命なり互選をされると、こういうことですか。
  64. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 正式に理事、監事が任命を受けますのは、これは基金が発足しなければ、いわゆる正式な任命という格好にはならないかと思うのでありますが、その前の段階におきまして、それぞれの全国的な組織団体から、理事となるべき者等の推薦を受けましてやっていく、それが発足後におきまして正式にそれぞれの役員として任命を受ける、こういうように運んでいったらと考えておるわけであります。
  65. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから時間的には、定款が認可されて発足する前に、その種の人は指名せられ、あるいは選ばれると、こういうことなんですね。
  66. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 正式にいわゆる任命ということではありませんが、そういう、なるべき者としての選定ということは行われると思います。
  67. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、設立準備過程においては、実際的に理事長たるべき人が設立準備の仕事を統裁し、理事たるべき人がまた設立委員というものになる、あるいは常務理事ですか何ですか、そういう専務すべき人が、設立準備の事務長的な形で準備していくと、実際はそうなるわけですね。
  68. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) まあ設立準備に当るこの準備委員の任命の時期と、理事となるべきもの全員についての任命の時期でありますが……任命の時期でなくて、なるべき者の、何と申しますか、選定の時期については、全員については若干のズレはあるかと思いますが、ある部分については、そういう今御指摘のような格好になるかと思います。
  69. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その設立準備のための人は何名くらいをもって構成するというお考えでありますか。
  70. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) まだかっちりと何名ということの考え方はまとまっておるわけではないのでございますが、一応市町村の掛金をある程度期待しておるというようなこともありますし、各方面の方々に入っていただく方が、今後における運営も十分いけるのではないかというような考え方で、できるならば相当たくさんの方にお入りをいただいたらという一つの基本的な考えを持っております。で、それを何名にかっちりと押えるかということは、まだ今日の段階では明確にはいたしておらないのでありますが、一応まあ二十人程度を、設立委員におなりいただくならばというような、ばく然とした考え方は持っております。
  71. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その二十人のうち、市町村関係の全国的なあるいは地方的な団体なり、直接利害の伴う団体から入る人と、いわゆる学識経験者といわれる方々で入る人とは、どれくらいの比率が望ましいとお考えになっていますか。
  72. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 先ほど申し上げましたように、基金設立後における円滑な運営というものを確保いたす意味におきまして、全町村長なり、あるいは町村会の議長なり、その他全国的な連合組織から推薦を受けますところの方々をむしろ多くし、さらにはそうした団体において現実に事務をとっておられる事務局のエキスパートの方々にもお入りをいただいていくという方向に重点を置く方がいいのではないか、こういうように考えておるわけであります。なおそれ以外に、実際に定款の作成段階において詳細の規定を必要とするものもありますし、技術的な問題も盛り込む必要がありますと思いますので、少数ではありますけれども学識経験者で、経験のある有能な人にお願いしたい、こういうつもりでございます。
  73. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ここに役員の問題がありますが、市議会あるいは町村議会を代表する議員をこういう団体の理事たらしめる理由はどこにありますか。
  74. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 役員の構成は第八条に「市長を代表する者、市議会の議長を代表する者、町村長を代表する者、町村議会の議長を代表する者、消防団員を代表する者」それに「学識経験者」こういうことになっておりますが、この制度は、いわば全体の市町村のものといってもいいような性質の制度でございますので、そのいわば当事者と申しますか、そういった立場にある方々で役員を構成をしていただく、そうして最も民主的な役員の構成にしたい。そういう考え方であります。
  75. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 民主的はわかるのですが、政府が設立するこの種の団体に、議会の議員が役員の構成員になっているという例がありますか。そういうような意味合いから私お尋ねしているのです。
  76. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) この例はほかにどこにあるかということは、今直ちに実は御返事できないのでございますが、大体先ほど申し上げたような趣旨で研究いたしまして、その目的達成のためには、こういう役員の構成が一番いいのじゃないかということで、こういう結果になったわけでございます。
  77. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは、最も民主的だということで地方議会の議長として議会を代表する者が入るということは、その掛金等の予算上のことにごたごた異議が起らぬように、まあ一つポストを持ってもらおうということだと思うのだ、正直なところ。それなら国が、最もこれに補助をしなければならない国が、予算的に規制すれば、運営もできない、国を代表する者はなぜ入らぬ。
  78. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) これは総理大臣が監督権を持っておりますので、特に政府を代表する者を入れるという規定はないものですから。
  79. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから、それはいわゆる執行機関として内閣が監督している、だから入る必要はないのだと、その通りだと思うのです。地方だってほんとうにあなたが言う通り民主的だというなら、これは執行機関である理事者が入っていることが民主的だ、議決機関までがどうして入る必要がありますか、そういう意味で言うなら。
  80. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 先ほど申し上げましたように、あくまでも民主的に運営していきたいということで、こういう役員の構成を考えたわけでございます。
  81. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 民主的にということは、掛金がよく集まり、補助もよく出されて、十分な運営ができれば民主的なんだ、何も民主的とか民主的でないとか言わぬでも、政令をもってその補償する率でも何でもきまることなんですから、そのきまった通り、ただ計算してそろばんをはじいて金さえあれば出してやればいいのです。それ以外の何の仕事もないのです、これは。そういう点からいえばちょっと私は、民主的、民主的ということはまことにけっこうですけれども、ほんとうにそれぞれ機関の任務として、それぞれが持っておる仕事を混淆しないということも民主的であるというならば、この種のものは各地方公共団体でも、理事者をもって代表せしむるということが民主的じゃないかというのです。金がほしいために、民主的な点からいえば、議会のそれを入れておくことも、これは非常に文句なしで、満場一致各市町村議会がこの掛金額について議決してもらえるから、それはいいだろうと思うのですが、民主的だ、団体を代表するのだということなら、理事者が代表するのが正しいのですよ。そういう意味で私お尋ねしておるのですよ。
  82. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 民主的ということを考えたのはもちろんでございますし、さらにこの制度の運営が最も円滑にいきますように、衆知を集めて、みんなの力でこの制度を運営していくという考え方から、こう広く役員の構成を考えた次第でございます。
  83. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 課長に伺いますが、現在消防関係の全国的な団体は、どういう名称の団体がありますか。
  84. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 補償の関係の団体としましては、全国的な団体というものは、公務災害補償に関してはありませんが、府県におきまして、市町村が一部事務組合によってやっておりますものが三十一あります。それから任意団体による補償会という名称のもとにやっておりますものが十九あるわけであります。補償関係の団体は。
  85. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私が聞いているのは、それもそうだが、一般の……
  86. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) なおそれ以外の一般の消防の団体といたしましては、消防団員の約三百万余のものを構成員といたします日本消防協会というのが中央にありますし、各府県には府県の消防協会、府県内の団員を構成員といたしますところの府県の消防協会というものがあります。なお都市の消防で、制服を着ております有給の常設消防の長、チーフを構成員としますところのものが、全国都市消防長連絡協議会というものが中央にありまして、地方も大部分のところにおきましては、各ブロックにいわゆる支部というものを作っております。ただしこの支部は所によってはまだ完全にできていないという所もありますが、大部分においては支部を作っておるという現在の段階におきましては、他の関係の団体と申しますと、今の二つのものが考えられます。
  87. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その消防協会並びに市関係の連絡協議会、これらの団体の代表としてこの「消防団員を代表する者」という中で理事を出すことになりますか。
  88. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) この考え方は消防団員の代表という考え方でございます。  それから先ほど総務課長が御説明申し上げました都市消防の方の関係は、この制度は……。
  89. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 該当しない。
  90. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 該当しないわけであります。
  91. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると正規の非常勤消防団員でないとこの基金の中にはどういう形でも入ることはないのですね。
  92. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 非常勤の消防団員並びに消防協力者、この二者を対象にした制度でございます。
  93. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 消防協力者というのはどこに該当するのです。
  94. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 第一条に「この法律は、消防組織法第十五条の四の規定による非常勤消防団員に係る損害補償及び消防法第三十六条の二の規定による消防作業に従事した者に係る損害補償」この二つを対象にしております。
  95. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私聞いておるのは、受益者の範囲を聞いておるんじゃ  ない。役員です。私の聞いたのは、消防協会というのがある、この代表を役員として推薦するということで、この中からも取るのかと、そういう意味でお聞きして、消防団員を代表する者という範疇にそれは入るのかと聞いたら、あなたの御答弁では、正規の消防団員に限るんだと、こういう御答弁だったから重ねてお尋ねしたわけなんです。要するにそういう団体には、消防団員ではなくても、いろいろな関係で有識者と申しますかなんというか、そういう人がたが役員や最高の代表者にもなったりしておる。だからそういう意味で聞いているのです。
  96. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 消防団員以外の人がもし役員になるとすれば、この第八条に書いてあります学識経験者の中に場合によっては入ります。
  97. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではお尋ねします。学識経験者という範囲はどういうものを指して言っておりますか。私こういうことをしつこく聞いておるのは、消防関係をやった役人とかなんとかいう人が常務理事にすぽっと横すべりしてなるのか、ならないのかということをだんだん聞いていく途中なんですよ。
  98. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 先ほど政府委員から御説明申し上げましたように、理事になるものとして、「消防団員を代表する者」と申しますのは、現在消防に席を持っておるいわゆる団員以外の者から、代表する者として選ぶということはありません。ただ学識経験者ということになりますと、これは消防の経験をもっておる者は学識経験者でないということにはなりかねますので観念上は学識経験者という中には、消防団員の身分を持ってなくても、消防の経験者もやはり学識経験者ということには考え得られると思います。ただ、ここで主としてわれわれが学識経験者と考えておりますものは、先ほど来申し上げましたように、基金を運営するにつきましては、いろいろまあ何といいますか、公金を動かす、いろいろ複式によるところの帳簿をつけ、的確なる補償を実施することを、何といいますか共済していくわけでございますから、そういう面についての経験のある人方から学識経験者というのを選んでいくのが適当でないかと、こういう考え方をわれわれは漠然とではありますが、もっております。
  99. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、特に常務理事なんというのは計数に明るく、帳簿の記載にも明るく、公金の管理も非常に厳正であるというエキスパートのような人がなることのように聞こえますから、そうしますと、消防庁その他におられるような法科出身の役人はこの常務理事にはもうなり得ない、なり得ないというふうに私了承しておきたいのですが、そうですか。
  100. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 現職の消防庁の職員が常務理事になるということは、もちろん、これはこの規定からも考えられませんし、そういうことは毛頭ないわけでございます。ただ、法科の出身の者でも、消防経験のある者で、今申しましたような要件に合うような者でありますと、これは消防の経験をもったからここでいう学識経験者には入れないのだということにはなりませんので、要素がそろっておるならば、これは法科出身でもシャット・アウトすることはできないわけであります。
  101. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 横山君の名答弁だ。みんなのために大いに利益を擁護してそういう答弁をするのもいいだろうが、実際上、この種の団体が最近どしどし法律の上でできてくる。できてくると、それぞれ役人であった人、あるいは役人である者が退職その他によって、恩給を取りながら老後の適宜な職として横すべりする、こういうことは、まっこうからわれわれは反対なんです。そういうやり方は、衆議院の方でも付帯決議の中に、中央集権的な弊に流れざるようというのですが、人事上の問題もこれは関係全国の非常勤消防団員、恵まれない人方のための制度なんですから、なるべくそれらの方々の利益が擁護され、それらの方々の実態がわかっておられる方々によって、これが民主的に運営されることをわれわれは期待する、そういう意味で、紋切り型の今の役人のことを私は例にあげて言いませんが、昔のような天下り的な命令で支配しておったような役人が、こういう中心ポストにつくことはまっこうから避けていただきたい。この点はどうですか。
  102. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 常務理事の選考は一番この制度の運営のためには大事なことと思いますので、十分御趣旨を体しまして、慎重に常務理事の選考をいたしたいと考えております。
  103. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから、学識経験者という中でも、従来の消防関係に功労のあった者とかいうようなことで、その地位その他にかんがみて、いろいろこの種の団体の理事としてお入り願わなければならぬというような、義理人情等も起ってくるものと思うのです。やはりそういうこともあり得ることもまた避けられないかもしれませんが、少くとも正規の消防団員、消防関係の団体等に所属しておった人であるならば、そういう人を入れる前には、現役の直接消防そのものに関係しておる人の代表をよけいとってもらうということも、私たちとしては希望したいところなんです。ただ名誉的に、前歴その他等によって、消防関係団体の上層部等に据えられておったというだけのことで、この種の基金の中の重要なポストに、そのまんまお入り願うというようなことについては、慎重に御考慮を願いたい、こう思います。  それから次にお尋ねしたいことは、さっきも委員長がお尋ねしているようですが、補償の方は、政令で定めるところにより算定した額を支払わなければならないとあり、それからその基礎をなす、政府が補助すべき点は、予算の範囲内でその業務に要する経費の一部を補助することができるとある。だから補助しないこともできる。そうしますと、なお予算の範囲内容ですから、そういう意味では政令で支給金額を、支給率を下げることによって補助する必要を認めないという操作も、政府が自由勝手にできるということになりませんか、そういう心配はありませんか。
  104. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 十二条の、「経費の一部を補助することができる。」という言葉を使っておりますが、将来とも、もちろん国が基金に対しては、毎年補助をするということを考えております。
  105. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう一回はっきり。ここのところは魂なんですからね。
  106. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 政令で定める支給の金額は、毎年変えるということはしないようであります。
  107. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 毎年変えられては困りますな。変えないという御答弁は、それはそれでお聞きしておきますが、予算がなくて財源が足りないというとき、どういうふうに配分しますか。そのとき政府が出すという保証がありますか。この法律の条文上付則の第四条で、「第十六条の規定の例により最初の事業年度の事業計画書を作成して内閣総理大臣の承認を受けなければならない。」とありますから、この法律が施行され、そして基金が発足する、そうなりますと、発足するためには、最初の事業年度の事業計画を出して承認を受けるのです。その事業計画の内容というものは、地方の掛金、あるいは国の補助金を目当てとし、政令はこれほどに定まるのだからということで出てくると思うのです。大体この設立される前に、この法律が発足すると同時にいろいろな政令が出ますか。設立に必要な、事業計画を立てるに必要な補償の金額等を決定する政令が出なければ、この事業計画も立たないのですが、これは出ますか。そうするとこれは一人の人が、予算を出すのも内閣総理大臣である、それからその支給の金額をきめるのも総理大臣である、事業計画を承認するのも総理大臣である、そういう関係の中で十分な金が出されるということが、これは保証されますかというのです。政令との関係はありますが、それはあとで聞きます。
  108. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 「この法律は、公布の日から起算して六ヵ月をこえない範囲内で政令で定める日から施行する。」ということが付則の第一条にありますが、この六ヵ月をこえない範囲内で、もちろん政令その他関係の規定を作る予定でおります。なお国庫補助の問題につきましては、法文にははっきり毎年必ず出すというようなことはうたってはもちろんおりませんが、大蔵省当局とは十分打ち合せております。
  109. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大蔵当局とは十分打ち合せ済みと言いますから、私はじゃお尋ねしますが、地方からの掛金はどれだけ上り、また国からは十分打ち合せて大蔵省からはどれだけもらうという予想のもとに、この政令の補償金額はどれだけにすると御決定になっておられるのですか。
  110. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 基金の業務に要する経費の総額は、概算いたしまして大体一億六百余万円程度と推定いたしております。市町村からの掛金として見積っておりますのは六千六百余万円、それから国庫からの補助金といたしまして四千万円程度を考えております。
  111. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、政令の内容たるべき傷害補償、遺族補償、葬祭補償、打ち切り補償、これらの基準はどういうふうになっていますか、医療補償、休業補償もそうです。
  112. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 先般お手元に資料として差し上げたと存じておりますが、その中におきましては消防団員が死亡いたしました場合の補償金につきまして、一応のわれわれ現在考えております線を盛ってあります。これは消防団長以下消防団員までを一応三つのランクにわけまして、団員で拝命後五年未満の者につきましては、死んだ場合におきまして四十五万円余りという点を考えております。それから分団長、班長の中間の段階におきましては、殉職いたしました場合においては五十三万円余り、なお団長で二十五年以上古く勤めた人についての殉職いたしました場合は、七十七万円余りという点を一応考えてみておるのであります。ただしこれは最初の委員会のときに伊能先生からも御指摘があったのでありますが、団長と副団長の責任の度合による分け方というものについて、再考すべきであるという考えも持っておりますし、なおまた今申しました一番上の七十七万円と下の四、十五万円との開きをもう少し技術的に検討する必要があるのじゃないか。こういうような御意見もあるかと思いますので、それらの点の調整につきましては、具体的に政令を固めていきます段階においてまとめたい、このように考えております。また殉職以外のその他の負傷の関係につきましては、これは現在国家の公務員に対する場合、あるいは地方の公務員に対する場合等の例に準じまして、これとの関連においてこまかに定めて参りたい、このように考えております。
  113. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことで一億何がしかの金で発足するようですが、現在の予算には四千万円までは盛っておらない。それでこれは年度内に始末をつけるということの十分な打ち合せということになっておるのですか。
  114. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 大蔵省とそのように打ち合せております。
  115. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると補正予算をこの内閣は組むということになるわけですが、そういう打ち合せになっておるのですか。
  116. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 大蔵省との打ち合せは、何らかの方法によって四千万円の予算措置をするという打ち合せになっております。
  117. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では前回にそれがやられておるようですから、十分この点は、当委員会等に困ったというような泣き言をあなたたちの方から言わぬように、大蔵省の方とはしっかり折衝して、すみやかに付帯決議のように予算措置を講じてもらうように強く希望しておきます。  次に監督の問題でありますが、さきに学校給食会かの例を定款等の問題であげておりましたが、その種の団体とこれは同じような監督の方式ですか、報告及び検査の事項等は。
  118. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 学校給食会と完全な一致というわけではありませんが、給食会なりあるいはその他類似の、たとえて申しますと、厚生省所管の医療関係の支払い基金というようなものその他の例にとりまして、大体われわれの検討いたしました線ではこの線に似たような監督をしたい、このように考えております。
  119. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 十九条の四項ですが、「第一項又は第二項の検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」などというただし書きさえもつけなければならないような、この条文は相当問題があるから誤解を避けるということでこういうただし書きができておると思うのです。他の法律にもどこかこの種のものがあったと思うのですが、こういう条文さえ載っけておけば、第一項第二項のことはやり得るという根拠はどういうところにあるのですか。四項のようなただし書きさえあれば、一項二項のような権限は内閣総理大臣が持ったってかまわぬ、こういう根拠はどこにあるのですか。
  120. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 先ほど総務課長からお話し申し上げましたように、大体ほかのこういった制度の例を検討いたしまして、こういう監督規定を設けた次第であります。
  121. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのことはわかったから今お尋ねしているのです。
  122. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 今申し上げましたように、他の例文等につきましても、一応こうした公法人を作りますと、それを所管しておる大臣が、職員をして立ち入り検査も行わしめますし、あるいは書類について、その他の物件についても検査はさせ得るということは、最近のこの種立法例の例文になっておるようでございます。ごく手近な例をとりますと、つい最近成立をいたしました日本道路公団法というものにつきましても、大体ここに規定しておりますと同じような規定の仕方になっておるようであります。御質問の、そうしたものを規定し得る何といいますか根拠といいますか、そうした点でございますが、まあこれは少くともこれの所管の大臣として監督責任を持つということになりますと、やはり  一応職員をして立ち入り検査もさせ得るし、あるいは必要な書類、物件等も検査はさせ得るということになるのが当りまえではないかという考え方を持っておるわけであります。ただし、これは三項にも書いてありますように、身分を示す証票の携帯なり、あるいはその他運営上の問題につきましては、十分注意をすべきでありますけれども、一応監督責任を果す意味合いにおきまして、この程度の規定は置かれるべきものではないか、こういう考え方を持っておるわけであります。
  123. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 掛金あるいは補助金との相対の比較からいっても、おそらくこの規定は、相当消防関係団体なり地方公共団体なりにおいて、それらの関係者によって自主的な運営をさせるということは望ましい姿であろうと思うのですね。それが他の例文にあるからということで、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないなどという、自分がやることを自分で変な規定をしてまで、立ち入り検査をしなければならぬというようなことは、この規定そのものを非常に何と申しますか、信頼しないという形も法文上は見える。いわゆる中央集権的な弊害に流れざるよう努めることという付帯決議などの趣旨も、この辺のところにある。役所の監督行政がこの種の団体にまで強く入っていくということについては、相当問題があると思うのです。そういう意味では、まあよそでもやっているのだからこういうことがあるのだというだけのことではなくて、この扱いについては相当慎重な扱いをすべきであろうと思います。少くとも内閣総理大臣といったところで、実際上これを指揮命令するのは政府委員並びに課長なのです。あなたたち二人の扱い方いかんによっては、これはとんでもない団体になってしまう。そういう意味で、まあ当面の監督の責任に立つ政府委員の所見を聞いておきたい。どういうふうにこの条文を扱っていく考えですか。
  124. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) この監督の規定は他の例と比べまして、必ずしもきつい監督規定とは考えておりませんが、これの運営に当りましては、お話にもございましたような中央集権的になったり、その他官僚的になるような弊害の絶対にないように、十分運営に気をつけていきたい、さように考えております。
  125. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたも官僚なんだから、官僚的な弊にならぬようにということですが、よほどやはり官僚というのはうまくないということを自認せられておる御答弁のようでもありますが、そういう意味でなく、善意に私は聞いておきたい。   —————————————
  126. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 委員異動がありましたから御報告申し上げておきます。委員宮田重文君が辞任せられまして、新たに石村幸作君が委員に任命せられました。   —————————————
  127. 松澤兼人

    松澤兼人君 この法案そのものに直接関係があるわけじゃないのですが、私いつも考えるのですが、消防団員が選挙に際して、個人々々で政治的な信条を持つということは、これは当然のことなんです。ところが選挙に際して、団体として政治的な一つの示威運動をやるというようなことが、大きい選挙になりますと常に見られる。県全体の消防団長、消防団の協会の長が立候補するというと、もう末端の町村の消防団員が、消防の出ぞめのときでもないのに古ぼけた車を引っぱり出したり、あるいは自動車ポンブを五台も六台も連ねて示威運動をするというようなことは、明らかに県全体の消防団の協会の長で立候補しておる人を応援しておるということがわかる。そういうようなことが今までもありましたし、あるいは次の選挙などにおいても出てくるのじゃないかと思う。われわれは個人の団員の政治的な信条をどうこうというわけじゃありませんが、団体が明らかに特定の候補者を支持しておると見せるような示威的な行動をするということは、これは消防団として権限を逸脱した行為だと思う。こういうことについてお聞き及びの点がありますか。あるいは将来そういうことについてどういうお考えですか。
  128. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 消防団が団体として、その目的以外のことに行動をとることに対しましては、厳重にそういうことのないように指導いたしております。
  129. 小林武治

    ○小林武治君 今のに関連の点ですが、これは去年も一昨年もこの委員会で問題にして、消防庁の反省というか注意を促しておりますが、何か具体的に消防庁として行動というか指示したことがありますか、今のことについて。
  130. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 全国の県の消防担当課長会議等を通じまして、厳重に警告いたしております。
  131. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういうことを過去においてお聞き及びの点がございますか。たとえば県の消防協会の協会長といいますか、団長といいますか、これが立候補した、そのために消防が時ならぬ出ぞめの式をあちらこちらでやったとかというような話をお聞きになったことがありますか。
  132. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 具体的に聞いたことはございません。
  133. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういうばかなことはないと思うのです。少くとも県の消防を代表する協会長というような人は、あなた方がだれだれと数えることができると思うのです。そういう人がたとえば参議院なり、あるいはその他の大きな選挙に立候補したということは、あなたの方で手にとるようにわかっていなければならない。そういう立候補者があった場合に、特に団員が団として時期でもないのに出ぞめをやるというようなことは、それはまあ始終消防車の手入れをするということは必要なことでしょうが、いかにも他の候補者から見れば当てつけな行動というようなことをとっておる。そういうことがわからぬはずはない。お聞きになったことはないですか。
  134. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 具体的に聞いてはおりませんが、もしそういったような事実がございましたら、かりにあるといたしましたら、厳重に警告いたしたいと考えます。
  135. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは参議院選挙をやったときです。そういうことをちっとも知らぬというのなら鳥取県に行って調査する。選挙の終盤戦になったら全県下出ぞめ式を、酒を配ってもう明らかにやっておる。そんなこと全然聞き及ばぬということでは一体監督行政はどうなりますか。それは全く終盤戦に全県下にわたって出ぞめ式をやっております。もう明らかにやっておるのです。これまでのことは仕方がないのですが、近い参議院の選挙のときには団としてこういう公共的な性格のものがそういう行動をとるということになると、信頼その他にも非常に影響すると思う。明らかにやりました。私はだから数百人集まっているところにマイクを備えつけて手きびしいなにをやりましたが、それはもうなまなましいのですよ。四月の四日です、私体験したのですからね。それを全然本部長知らぬというのでは火も消せませんよ。(笑声)それでやはり参議院選挙も目睫に迫っているのですから、団としては中立性を守るようにはっきりした指示をしてもらいたいのです。個人的な政治的な心情で行動することは自由ですが、消防団長にずっと鐘を打って回ったり、それからなかなか大量の酒を配給して、鳥取県です、二千万も使ったのです。そこまでいかなければ使い切れない。それは相当行動しています。
  136. 小林武治

    ○小林武治君 今のことですが、一体消防本部というものは、消防団員が団員として今の選挙運動をすることはいけないと思いますが、そういうことについて何か力がありますか。あなたの方は何か処置する道がありますか。
  137. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 委員長からもお尋ねしますが、先ほど消防本部長は、そういうことを聞き及んだときには厳重に戒告するとかいうようなことをおっしゃったが、そういう権限はおありになるかどうか。どういう権限でそういうことをおやりになるか、そういう点もこの機会に明らかにして答弁していただきたいと思います。
  138. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 消防の責任は各市町村が全面的に持っておるわけでございますが、国家消防本部長といたしましてはこれに対して指導、助言、勧告の権限を持っております。その権限によって指導をいたす次第でございます。
  139. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは消防組織法の雑則の第二十条に出ている条文によって根拠がありとするのでしょうが、指導、助言以上のものであってはならぬのです。さっきあなたは警告といったが、どこにそういう権限がありますか。
  140. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 私の申し上げましたのは監督という意味でそういう言葉を、あるいは不適当だったかもしれませんが、勧告という意味で申し上げました。
  141. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どこへあなたは勧告するのですか。
  142. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 消防組織法の第二十条にありますように都道府県を通じて市町村に対して勧告をいたす次第でございます。
  143. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 選挙上の問題で勧告するためにこういう勧告の規定が出たのですか。
  144. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 私が先ほど申し上げましたのは、消防団が消防団の本来の目的以外に、消防団というものがその本来の軌道を踏みはずさないように、そういう意味で勧告を、もしそういう踏みはずすようなことがありましたら勧告いたしたいと、こう申し上げたわけでございます。
  145. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 消防団員が団として計画的にある種の特定候補のための選挙運動をしてはならないという根拠がどこにありますか。何も消防団の総会とか何とかいっても団には決議機関も何もないのですから、酒席の間に幹部が集まってそういう相談をして、じゃやろうじゃないかということで納得ずくなそれぞれの手ずるで運動する、その種のものを規制する根拠がどこにありますか、消防本部長として。
  146. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 先ほど申し上げましたように消防の責任は市町村にありますので、あくまでも国防消防本部長として警告、勧告あるいは指導、助言をいたしますのは市町村長に対してやる次第でございます。
  147. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたはさっき、そういう選挙が行われておる、消防団員が特定候補をかついで選挙運動をしている、これはどうだと聞かれましたら、警告すると言った。それは今言い直して勧告するのだ。その勧告というのは、二十条に根拠があって勧告する。しかしその勧告の範囲は消防に関する事項についてですよ。選挙に関する事項についてなどとはどこにも書いてない。しかもわれわれは消防団員が非公式であろうが、何であろうが、団体的に、組織的に特定候補をかついで選挙運動をすることは望ましいとは思われない。そういう意味で先ほどの委員も御発言になったと思うが、しかしこれを規制し、警告し、勧告するということの前に、いけないならいけないという根拠が別になくちゃならぬ。消防団員はそういうことをしてはならぬという根拠がなければならぬ。それがどこにあるかということを第一点にお尋ねしたい。  それから第二点としては、消防に関する事項についてという中には選挙運動をやってはならぬということも含まれているのかということなんです。
  148. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 先ほど私が申し上げましたのは、そういう選挙運動をやっているという事実を聞いたことがないということを申し上げたのと、それから選挙についてどうこうということを御答弁申し上げておりません。消防団としてその任務以外のことに消防団が団としての行動を踏みはずしてはいけない。こういうことを申し上げた、そういうためにもしも消防団が消防団の本来の任務以外の所にその行動を踏みはずすようなことがありましたら、市町村長に対して勧告をいたしたい、いたすつもりでおるということを申し上げました。
  149. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも話がわからなくなってきたのですが、それではあらためてお尋ねしますが、消防団員が世間に言われておるような選挙運動をすることについて本部長はどうお考えになっていますか。
  150. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 選挙法の関係は私実は詳しく存じませんので、消防団との関係がどういうふうになっておるか詳しく申し上げることはできませんが、消防団員について特に選挙関係の特別な禁止規定はないと私考えております。しかし消防団としてそういった行動、選挙運動を団としてやるというようなことは、おそらく各市町村とも消防団条例等でこれは認めていないと存じております。
  151. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから条例等で認めていないと思いますというだけのことで、団体として決議をあげて運動をしておる消防団はどこにもない、日本じゅう。そういうことをあなたたちは思うならば、消防団に対するそれは侮辱ですよ。けれども、そうでない形で現実には消防団という組織の持っている威力をもって選挙運動をしている現実というものはある。しかしそれは法律上あるいは消防本部長の権限として押える根拠はどこにありますか。ないです。それはあなたは勧告するとか警告するとか、そういうことこそ官僚としてのよけいな越権行為です。何かすると地方の団員に対してでも団に対してでも、いかようなことでもなし得るのだと思っている。そういう考え方は間違っています。われわれは何とか規制したいということを心から望んではいる。それとあなたがやろうとすることとは問題は別です。ここに消防に関する事項について、ということはほんとうに消防に関する法律根拠のあること等を指して言うのであって、それ以外の、消防団員を一々個々に具体的な問題について規制することをここで指しているはずはないのだ、法の条文は。だからもしもそんなことがあったら勧告するとか厳重に警告するとか、取り締るとか、そういうような人が本部長になっておられることは消防行政上困るのですよ、これは、逆に言うて。だからわれわれ社会党から追及されたからといって、何でもかんでもはあそうします、そうします、なんて言わない方がまたりっぱな役人なんです。
  152. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 私は先ほど選挙に関連して特に今おっしゃったようなことを申し上げたつもりはございません。あくまで二十条によって消防団の行動によって消防に支障を来たすようなことがあった場合には、この二十条の条文によって勧告するということを一般的に申し上げたのでございまして、特に私は選挙に関連してお答え申し上げたのではございません。一般的に申し上げたわけでございます。
  153. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よくわかりました。では今あなたが言ったことと、前に松澤氏あるいは中田君あるいは小林君の質問によって、あなたが警告する、そして現に過去においてやったことがあるから都道府県関係課長に対してやったと言う。それから派生してこの問題が起ってきておるのだが、その意味で言ったのではないということを今言っておる。速記録をあとで見て、もしもそういう意味で言ったということで私が質問しておることの方がほんとうな場合には、そのときあなたの責任は追及する。
  154. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 私は先ほど申し上げましたように、一般的な意味で申し上げたのでございまして、特に選挙に関連してどうこうということで御答弁申し上げたつもりはございませんけれども、もしもそういったふうにとれるようなことがありましたら、私は今申し上げたような一般的な意味で御答弁申し上げたというふうに御理解を願いたいと存じます。
  155. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 委員長から鈴木政府委員に申し上げますが、先ほどのあなたのお答えになったことは、委員質問に対してお答えになった。やはり速記録を見れば明らかですけれども、委員質問したことはちゃんと明らかであります。それに対してあなたが答弁された。そうしてあなたは、その答弁はそういう意味ではなかった、こう答えますと、政府委員としてその答弁は非常に当委員会としては迷惑です。もしあなたの答弁が誤まっておれば、その答弁は間違いであったと私はすなおに御訂正になればよろしいが、しかしあなたは自分の答弁はそういう答弁でなかったんだということになれば、委員質問があなたに徹底しなかった、こういうことにもなって参りまして、委員質問の権威にも関してくる。私は委員長としてここに坐っておって松澤委員の発言を許し、これに関連して小林委員質問があり、さらに中田委員から質問がございました。これはいずれも選挙について消防団員の行動がおもしろくない。これに対して国家消防本部長はいかに考えておられるか、あるいはいかに処置せられたか、いかに処置せられるつもりであるか、こういうことの御質問であったと私は了承しておる。これに対してのあなたの答弁はそれに対しての答弁ではなかったのだということになりますと、はなはだ委員会としても迷惑する。
  156. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 前に私が申し上げましたことが間違っておりましたら、大へん恐縮でございますが、訂正さしていただきます。
  157. 松澤兼人

    松澤兼人君 念のためにちょっと質問いたしますが、小笠原委員から別の面でああいう発言があったということは、これも私は真実だと思う。私なりあるいは小林君あるいは中田君の言ったこともこれもまた真実だと思うのです。消防団というものは消防団という一つの特定の、あるいは固有の目的のために専念しなければならないということがある。この目的なりあるいは任務なりを逸脱するということはこれは厳に慎しまなければならない。その意味からいえば、消防活動に専念すべしということは、あなたは勧告できるのです。こういう意味からいって、世間から疑われるような、選挙時における、全く示威運動にまがうようなそういう消防的な行動というものは、これは少くとも選挙期間中は考えなければならない。つまり消防本来の目的からいって、何人もそれに対して疑惑を差しはさむようなことのないように、固有の任務に専念すべきであるということを、あなたの権限としては私は言えることだと思う。ですからあなたは一般的な問題として、選挙に関係した問題じゃないと、こうおっしゃるけれども、私は選挙に関係した問題としても、あなたとして固有の任務に専念すべきであるということは言えると思うのです。少なくともそういうことが、あなたの勧告ということによって、市町村長に届くならば、私はそれでもいいと思う。(笑声)しかし個々の団に逸脱した行為があったというようなことは、これは市町村なりあるいは府県なりあるいは本部長なりが、これは厳重に私は勧告すべきだと思う。
  158. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 将来とも消防団の指導につきましては十分遺憾のないようにいたしたいと存じております。
  159. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 松澤さんのおっしゃることも私は賛成ですが、本部長自身がそういうことをおやりになる前に、この国家消防本部の所属する国家公安委員会が、一般的な問題としてこれは取り扱うならば取り扱える根拠があると思うのです。ですからお帰りになったら当委員会で御発言のあった趣旨については、国家公安委員長にも申し上げて、御相談の上に適宜な措置をするということでおやりになれば、あなたはもう完璧だと私は思います。(「賛成」「よしよし、それでいい」「ほんとうに完璧だ」「それでよかろう」と呼ぶ者あり)それでようございますか。(「了解丸々」と呼ぶ者あり)
  160. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) ええ。
  161. 加瀬完

    ○加瀬完君 この法律適用の点について、一点伺いたいのです。それは非常勤の消防団員が応援して、水防などの場合にも応援に出る、むしろ事故は水防の応援などの方が多い場合がある。この法律でいきますと、そういうような場合どういうふうになるか、この法律適用がそのまま受けられるか。
  162. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 非常勤の消防団員が、水防に関係して、そういった障害がありました場合は、水防もやはり消防の任務になっておりますので、当然これによって救済されるわけでございます。
  163. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 他に御質疑はございませんか。……他に御質疑がなければ本案については質疑は終局したもと認めて差しつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議がないようでありますから、本法案についての質疑は終局したことを宣言いたします。討論は他の適当な機会にいたしたいと思います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  165. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を起して下さい。本日はこれにて散会いたします。    午後四時八分散会