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1956-04-17 第24回国会 参議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十七日(火曜日)    午前十一時九分開会   —————————————   委員異動 本日委員藤野繁雄君、佐藤清一郎君、 小幡治和君、永井純一郎君及び土田國 太郎君辞任につき、その補欠として安 井謙君、宮田重文君、最上英子君、森 崎隆君及び岸良一君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松岡 平市君    理事            伊能 芳雄君            森下 政一君            小林 武治君    委員            笹森 順造君            佐野  廣君            田中 啓一君            堀  末治君            安井  謙君            宮田 重文君            加瀬  完君            松澤 兼人君            野田 俊作君   政府委員    自治政務次官  早川  崇君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税方の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国有資産等所在市町村交付金及び納  付金に関する法律案内閣提出、衆  議院送付)   —————————————
  2. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 委員会を開きます。  委員異動を御報告申し上げます。本日、委員永井純一郎君が辞任せられました。新たに森崎隆君が委員に任命されました。同じく委員土田國太郎君が辞任せられて、新たに岸良一君が委員に任命されました。なお、委員藤野繁雄君、佐藤清一郎君、小幡治和君がそれぞれ辞任せられました。新たに安井謙君、宮田重文君、最上英子君が委員に任命せられました。
  3. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 昨日に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案、以上二案を便宜一括して議題に供します。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 森下政一

    森下政一君 大臣のお見えになったときに、私くることができなかったので、質疑をよういたしませんでしたが、それから、今後これらの法案を審議している間に、また土曜日とか月曜日に大臣が来られることがあるかもしらんと思うけれども、そのときに、お目にかかることができるかどうかちょっとわからん、これははなはだ残念に思うのですが、そこで、一番詳しいのだから、奧野君に一つお尋ねをしておきたいと、こう思うのです。  今度の地方税法改正ですね。政府として非常に力を込めて説いておられることは、何としても地方財政赤字を解消することのために、自主財源強化しなければならない。そこで、今度もそれに努めたということを提案理由説明の中にも述べておられると思うのですが、その自主財源強化したとして、政府が力説しておいでになる点は、どれとどれがその自主財源強化ということに該当するのであるか、それをまず聞きたいのです。
  5. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今度の税法改正によりまして相当な増収をもたらすもの、これはすべてそういう見地から行なっているわけでございまして、三公社課税でありますとか、あるいは軽油引取税でありますとか、あるいは都市計画税でありますとか、そういうものは、今お話のような見地で臨んでおるわけであります。
  6. 森下政一

    森下政一君 今、三つあなたおあげになりましたが、大臣のこの地方税法提案理由説明の中に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金というものを一緒に説明しておられる。これはやはり法案名前は別々になっておるけれども、あわせて同時に考えていいのだと私は思うのですが、今あなた、交付金納付金制度新設、あるいは軽油引取税新設、それから都市計画税という、この三つをあげられた、今度のこの税法改正の主眼というのはこの三つだと思う。ほかにもいろいろなことがあるけれども、大体一番主なものはこの三つ、こう考えて間違いないですか。
  7. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) その通りでございます。
  8. 森下政一

    森下政一君 そこで、今度地方財政赤字解消のために、自主財源強化しなければならぬというので勘案されたのが、今おっしゃった三つであるということ、それはわかるのです。今度の大臣説明の中に、同様にこういうことが力説されておると私は思うのです。国民税負担というものは、限界にきておるということを言われておる。そこで、国民負担限界にきておるということは、これはもうほとんど常識であって、だれも異論はないと思う。ところが、せっかくこの自主財源強化すると言われる三つのものを考えるときに、私は、過日のいつかの機会の質問にも、結局一体これらはだれが負担するのかということが一番肝心な点だと思うということを申し上げた。ということは、国民税負担というものは限界にきておるのだ、こういうときに企てられておるいわゆる自主財源強化というものが、結局私は、一般国民大衆負担に帰するということになってこやせんか、結局そうなっておるのじゃないか。これで、一面において国民税負担限界にきておるということを憂いながら、しかもその上に負担を加重していって、そうして自主財源強化して、地方財政はこれで助かると、安閑として看過するわけには私はいかないのじゃないか、抜本塞源的な考え方というものは、もっとほかに考えるところがなくてはならぬ。たとえば今日すでに国が取っておるある種の税というものを地方に委譲してしまうというような、何らかのほんとうの根本的な考え方というものが行われ得なかったならば、ちっとも救われることにならぬのじゃないか。結局自分たちに累加されて、そうして地方財政が助かるなんと言っても、地方住民国民も、国税負担する者も、それから地方税負担する者も、同じだということを考えてみると、私は、政府の施策というものに一つの大きな過誤がありはせんかということを考える。その点についてのお考えはどうでしょうか。
  9. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御指摘なりましたように、国民租税負担がかなり重くなって参っているわけであります。しかし、他方地方財政の状況から考えて参りますると、それも増額しなければならぬ。増額しなければならないけれども、国民負担見地から見ますと、一般的な増税は適当でない。一般的な増税は適当でないけれども、国民租税負担あり方を見てみますと、そこにやはり穴になっているところがあるのじゃないだろうか、その穴になっているところをねらっていく。要するに税制改正の目標として申し上げておりますように、一つには、課税規定を整理しながら、租税負担均衡をはかっていくと同時に、増収を期待するという問題でありますし、他方には、施設によって受益している者があるならば、受益者には若干よけい負担してもらってもいいんじゃないか。そのかわり、それらの財源というものは、関係施設に充当していきたいということでございます。なお、国の財政地方財政との間に調整をはかるべきじゃないか、国の財源地方に譲ることによって問題を解決すべきじゃないかという御意見でございます。ただ従来から、国民租税負担を国と地方との間でどう使っておったかということを見て参りますと、地方別体自分地方税として徴収しますもの、国税として徴収しますものを地方交付税のような形あるいは譲与税のような形で交付を受けますもの、あるいは国から仕事の指定は受けますが、二分の一なり三分の二なり国庫補助金として交付を受けまして、要するに地方団体として使って参りますものが国民の総租税負担のうちで何パーセントになっているかということを見て参りますと、戦前におきましては、四六%から四八%ぐらいでございます。これが現在どんどんふえて参ってきているわけでございまして、三十一年度の計画においては、六三%に上っております。国みずからが使います部分は三七%でありまして、これを経過的に数字で申し上げますと、戦前におきましては、地方団体が使いますものが、今申し上げましたように、四六%ないし四八%であります。これが職後だんだんにふえまして、昭和二十五年の改革におきましては、五四%になっております。二十八年には五九%、二十九年には六二%、三十年には六二・五%、三十一年に六三%というふうになって参ってきているわけでありまして、反面国がみずから使います部分は、それだけどんどん減って参ってきているわけであります。なお、国家財政あり方地方財政あり方、個々の経費を取り出しまして、議論は多々おありだろうと思うのでございますけれども、こういう傾向から考えまして、あながち国から地方財源に譲ることによって、今後の地方財政の問題を解決できるのだとは簡単には言ってしまえないのじゃないか、そういうところに今度の税制改正の苦心もあったのだと、こうお答え申し上げたいのであります。
  10. 森下政一

    森下政一君 今の御説明に対する質疑はまたちょっと別として、前段にあなたのおっしゃったことの中に、一般的な増税を断行するのじゃない。どっかにその穴があると見なければならん、その穴を埋めることは必ずしも無理じゃない。一部特別に利益を受ける者があったときには、その受益者利益範囲内において負担をなさしめて、その事業に充当するということは妥当じゃないかというようなお話があったが、私は、その穴があるときに、それを埋めるという意味の増徴ということは一向差しつかえないじゃないかと言われるが、それに一体該当するものはどれなんだろうということを説明してもらいたいと思うことと、都市計画税のごときものは、これは前々から、受益者負担金という名前受益者負担せしめるということがあったが、これは一応理屈のあることだと思うのですけれども、非常にここに一つ困ることは、受益しておるかもしらぬけれども、たとえば都市計画事業を行なって、道路が非常に拡張されたとかというふうなことのために、これに隣接しておる土地を持っておるものは、その地価が上ってくるということで利益を得ておる。その上った地価範囲内において、道路構築費の一部を負担することは当然であるということは確かに理屈はあるが、困ったことは、その受けた利益を具体化するということは、土地を処分しないことには、現実に自分のふところに入ってこない。地価は上ったかもしらぬけれども、それは処分して、始めてなるほどそれは具体化されて手に入ってくるのだけれども、ただ上ったというだけで、負担を強いられるというときには、ほかに何も余分の財源を持っていない場合には、その土地を処分すること以外に負担を果すことはできないということが一つの大きな私は矛盾だと思うのです。確かにそうだと思うけれども、そういうことで、私は、さなきだに税の負担限界に達しておるといわれておるときに、こういう負担を強いるということは、果して妥当であろうかということを私は疑わざるを得ない。また、その他交付金納付金制度のごときも、これは、なるほど着想としては無理からぬところがある。たとえば国なりあるいはその他の公共団体資産が他の市町村にあるがために、その所在しておる市町村が、いろいろな関係で、その所在しておること自体経費の原因となっておる。だから、その一部を負担するのが当り前じゃないか、これは確かに理屈はそうだと私も思います。思うけれども、結局それはだれの負担になるのだということを考えてみると、すでに負担限界にきておるものに、さらにこれ以上の負担を強いること以外に道はないのだということを考えると、あなたの言われる、穴のあるどころに土を盛っていくのは一向差しつかえないじゃないかというのは、これは該当せんように思うのです。あなたは、これをそうじゃないと思うのですか。
  11. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 第一の問題は、穴があるというけれども、必ずしもそうじゃないじゃないかというような御意見でございますが、先ほども申し上げましたように、焦点は、一般的な増税を避けながら、比較的こういう際においても、負担を求めてもやむを得ないというふうなものを指したつもりでございます。たとえて申し上げますと、軽油引取税のごとく、自動車が揮発油を使っておれば、一キロリットルについて一万三千円の租税負担しなければならないのを、軽油を使っておると、むしろ軽油使用の方がずうたいが大きいから、道路の損傷がはなはだしいと思います。それにもかかわらず、一文の負担もしないのは、これは負担しないということは、これは負担均衡を欠いておるのではなかろうか、こういう感じを私たちは持つのであります。しかも、これは多年論議された問題であると、私たち承知しておるのであります。国会におきましても、すでに指摘された点であったと記憶しております。また、三公社のうちの日本国有鉄道に対する納付金制度にいたしましても、私鉄運賃を認可するのに、やはり国鉄運賃一つの基準になるものと承知しておるのであります。国鉄経営あり方につきまして、他の部分は何ら改善されることなく、ただ納付金だけが経費にプラスになっていくのだということであれば、御指摘のように、それだけある意味において国民負担がかかってくるのかもしれませんが、しかし国鉄経営あり方はこれでいいのかといえば、私はいろいろ問題があると思うのでありまして、原価を構成するものにつきまして、ただ国鉄なるが故に負担が軽減されていく、これでは、いつまでたっても真の企業合理化というものは期待できないのではないだろうか。また、私鉄と健全なる形において企業経営あり方というものを比較できないのじゃないだろうか、こういう感じを税を担当する側から考えられるのであります。企業合理化なり、あるいはまた金利負担の低減なり、いろいろなもので吸収することは可能なのじゃないだろうか、少くとも私鉄を中心に考えた場合には、原価を構成すべき負担であるならば、それは負担した上で国に納むべきではないだろうかと思います。こういう感じを持っておるわけであります。  第二点は、都市計画税のようなものを起しても、なるほど受益はあるかもしらぬけれども、別に所得がふえるわけでもなく、支払い能力がふえるわけでもないじゃないかという御指摘でございます。その通りだと私たちも思うのでございます。財産税的なものにつきましては、一般的に御意見のような欠陥がございます。なるほど財産評価額そのもの財産価値のふえるに伴ってふえるだろうけれども、持っておる限りにおいては、別に所得がふえるわけでもなく、直ちに支払い能力がふえるわけでもないじゃないか、こういう御意見はごもっともだと思います。しかし、一般的にいいました場合に、財産価値がふえれば、それだけその人の担税力がふえてくることになると思うのでございます。非常に冷たいものの言い方をいたしていけないのでありますが、その物を持っておるけれども、何らそれを有効に活用できない、こういう人が死蔵しておるということは社会全体のためじゃないじゃなかろうか。確かに、昭和二十五年固定資産税を作りましたときに、土地家屋を本来利用できる人の手に移して、そして国民経済全体から見て、活用できる人に持っていくべきじゃないか、使用能力のある人に渡すべきじゃないか、それが国民経済全体から考えた場合はいいのじゃないか、こういう御意見もあったわけでございまして、これは非常に冷たいものの言い方で、恐縮なのでございますけれども、そういう言い方もできるのでございまして、価値が上ればその人の担税力もふえてきているということは言えるのではないかと思います。ただ一時だけを押えて考えた場合には、それによってすぐ賃貸料がふえるわけでもないでしょうし、特に自家使用の場合は、そういうことはないのでありまして、支払い能力がふえたわけではない、こういうことが言えると思いますけれども、長い目で見た場合には、担税力がふえてきたということは言えると思います。
  12. 森下政一

    森下政一君 お話を聞いておると、だんだんいろいろな疑問が発展して、いろいろなことを申し上げたくなったのですが、たとえば都市計画税ですね。あなた先刻にも御存じのことですが、あるところの道路を新たに構築しようというようなときに、過剰地帯収用ということをやったことがあるのです。盛んに都市がやった。つまり幅員十メートルなら十メートルの道路を新たに構築しようというときに、その十メートルの路線の両側の沿線の土地を余分に買いとる。そうして道路が完成した暁には、その余分の土地は必ず地価が上る、その資産価値が上ったものを公共団体希望者に売り渡す、処分する。そうしてそれによって得ました利益によって、道路構築の費用をまかなう。こんなのは、私は確かに必要を感じて、高いのを承知の上で買うという人があって、その人に売るのだから、一向差しつかえないことだと思うのです。そういうやり方なら私は納得がいくのであります。だけれども、先刻も申しましたように、確かに地価は上ったかもわからぬけれども、別にそれで所得がふえたわけでもない。結局負担しなければならぬものは、その土地を処分する以外に負担の方法がないということに追い詰められたものは、これまで大都市などが都市計画事業を断行する、その受益者負担に困った者が枚挙に例がないぐらいそういうことがあった。これはもうあなた御存じだろうと思います。だから、私はどうも、さっそくに妥当な財源であるというふうな工合賛意を表しかねる、賛意を表することにちゅうちょせざるを得ない点がある、こう私は思うのです。  それから、先刻も、二十五年以後三十一年に至るまでの国が徴収しておるものを、地方と国とどっちがどういう割合で使っておるかというパーセンテージをお示しになって、地方の方がどんどんふえておる、三十一年度では六三%にも及んでおるということをおっしゃった。なるほどそうだと私も思うのです。ところが、これは、後ほど交付税法改正という法律案がこの委員会の審議にかかるから、そのときに私はお尋ねしたいと思うておることなんですが今の交付税制度それ自体に私は一つの疑義を持っておる。ということは、これは平衡交付金という制度がとられて、しばらく実施してみたけれども、これではどうも際限なく負担をしていかなければならない心配があるというので、交付税制度というものに改められたと思うのですが、この制度が実施されて、結局これは、私は自主財源ということができないと思うのです。地方が使ってはいる、地方のために投じておるには違いないけれども、憲法が地方自治という一章をわざわざ設けて、自治の進展ということをうたっておる国柄としては、私は、依存財源である、この制度あるがために中央集権で、中央から左右されるということが非常に多いと思うのです。地方はこれにたよらざるを得ない。たよる財源で、依存財源である。決して自主財源ではない。つまり地方が思うように取って、そうして法律で、たとえば固定資産税のような工合に、あるいは住民税のような工合に、法律できめられるところによって十分に取って、そこで、これをみずからの裁量によって自由に使える。何に使うかということを、それぞれの地方に最も妥当だと思う使途を研究して、これに振り分けていくというような財源がだんだんふえることでなければいかぬ、今の私は交付税財源になっておるものを……。だから、どういう形でどうするかという  具体的な案を今持っておりませんけれども、結局これだけのものを地方が自由に取れるようにする。しかも、それが自由に使えるということになるなら、自治は私は非常に進展して行くだろうと思う。現在はそうではない。交付税制度はあるけれども、これは国が握っておる。だから、これをどうかして少しでもよけいにもらうようにしなければならぬというので、なるべく地方中央に向って陳情しなければならない。陳情行政の私は大きな禍根がここにあると思います。だから私は、これを直ちに自主財源だということば承服しがたい。どんなに国が取っておるものを地方がかえってよけいに使うといっても、自由に使えるわけでも何でもない。これは中央が握っておって、地方を左右しておる。私はよくない傾向だと思うのです。のみならず、ここの委員会で先般来、たとえば早川政務次官に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案について質疑を重ねていくうちに、たとえば地方公共団体経営しておる公営住宅のようなものの所在しておる市町村に対し負担するものは、さなきだに赤字で困っている地方団体がその交付金というものを生み出すということはできないから、結局これは入っておるものに転嫁をすることによって収得する以外に道はなかろう。そうすると、結局家賃も高くなるのではなかろうかということを申し上げたときに、少くとも第二種住宅については、もし地方団体が  どうしたものだろうと相談にくるようなことがあったら、転嫁しないように指導したいと思うというようなことを言われる。私は、この言葉は非常にいやなんです。自治庁地方団体を指導する、中央がああせい、こうせいということを指図する、これは要らぬことだ。どこに一体自治の伸長があるのか。そんなことを言っていたり、そうかと思うと、一面において、転嫁するも、あるいはせずに、一般財源からまかなっていくも、そこに自由の道を開いておるところに自治の妙味があるなんということを言うておられる。もしどうしたものだろうというような相談を受けたら、指導して、転嫁しないようにしたいと思うというようなことを言われますけれども、そういう根性が私は、もうすでに自治というものを曲げておる、こういうふうに思うのです。だから、先刻、せっかく、国が取っておるものを地方が使う分の方が多いのだという、パーセンテージをあげての説明がありましたけれども、私は、それだから非常に自治団体強化されているというふうには考えない。これがいかぬのだ。今の制度の一番の大きな欠点だ。これを何とか打ち破って、この制度を根本的に改革をするということが、私はほんとうの抜本塞源的な地方財政赤字をなくする道ではないかということを痛切に感じておる。平衡交付金制度というようなものが創設されて、それまでそんなことがなかったから、そんなものをいまだに交付税という形で残しておる。中央地方を支配するという根性を、この建前というものを破壊していかなければならないということを痛切に感ずる。あなたは、同じ考えをお持ち下さるわけにいかぬでしょうかということが一つ。  それからもう一つは、例の軽油引取税、これは結局道路維持管理していくのに必要な財源に充当するという目的税だという説明を聞いておるわけですが、現在揮発油税に税金をかけて、道路譲与税というものが設けられている。それで大体道路維持管理についてはまかなっておるのじゃないかと思うのです。ことに業者あたりがいろいろな陳情をしてきているところを見ると、それにゆとりがあって、多額に剰余金が出ておるということを言うておるが、足らないために、この目的税を新たに創設して、道路維持管理に、あるいは建設等財源に充当しようとするのか、その一体経理関係はどういう状態になっておるのかということを一点、詳細に聞かしてもらいたいと思います。
  13. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) ただいまの点について、一応私どもの考えているところをお答えいたしたいと思います。  第一には、都市計画税がいいか悪いかということを御判断いただきます場合には、いろいろな角度から考えてい、ただきたいものだというふうに考えておるのでございます。一つは、都市計画事業が非常におくれている。やはり都市計画事業そのものを強力に推進していかなければならないのじゃないか、こういう問題があるわけでございます。都市計画事業が進展していきまして、当該地方がかなり発展していく、土地家屋価値そのものも増強されていく、そういう場合に、固定資産税は価格の一・四%を標準税率にしているわけでございますけれども、こういう都市計画事業の進展していく地帯の  租税負担は、都市計画が何ら行われていない地帯の租税負担とは、ある程度その間に開きがあっていいのじゃないかと思うのでございます。そうしますと、やはり都市計画事業の行われているような地域については、固定資産税にプラス・アルファがあってもいいのじゃないか。それが都市計画税一つのねらいでございまして、租税負担の地域間の均衡をはかりながら、しかも必要な都市計画事業を推進をしていく、こういうふうに存じているわけでございます。直ちに支払い能力がふえたわけでもございませんので、従って税率は、〇・二%に押えるというふうな配意も払っているわけでございまして、固定資産税とこれを合せました総額を、なお固定資産税創設当時の標準税率にとどめる、こういうふうな苦心もいたしております点を御了解願いたいと思います。  第二番目の、地方交付税制度についてのお考え、これは大体私も同じような考え方を持っているわけでございます。それでは、今度の改正において、地方交付税のような依存財源を増額していく、独立税収入はむしろ少くなっていくのじゃないか、こういう御疑問をお持ちになってもいけませんので、国民租税負担のうちで、地方団体自分で徴収する税金、要するに独立税収入であります。これの割合がどう変遷して参っておるかということを御参考に申し上げておきたいと思います。  昭和二十五年、シャウプ勧告に基きまして、画期的な税制改正を行なった時でありますが、この時の国民租税負担、この中にはたばこの専売益金もみな入っておりますけれども、総租税負担のうちで、地方の独立税収入が二五%でありましたものが、二十八年度は二六%、二十九年度、三十年度それぞれ二八%、三十一年度は二九%というふうにふえて参ってきておるわけでございます。反面、これを地方歳入全体の中で独立税収入がどれだけ占めておるかということを見ますと、三十年度におきましては三五・九%でありましたものが、三十一年度におきましては三八%に伸びておるわけでございます。こういうことにおいては、森下さんのお考えに合致して参ってきておるのじゃなかろうかというふうに思います。  第三は、軽油引取税に関連いたしまして、別にこういうものを起さなくとも、道路財源というものは今まで足りているのじゃないか、こういうような趣旨の御意見だったと思います。道路財源が足りているか、足りていないかは別といたしまして、今まで地方財政上、臨時的な建設事業をやる多くの部分を起債に財源を仰いで参ってきておりました。これが今日、元利償還費の増大となりまして、地方財政を非常に圧迫しておる。これは御承知の通りだと思うのであります。従って従来のやり方では、にっちもさっちも行かなくなったのが地方財政の現状だと思うのでありまして、ほおっておいて、なお建設的な事業に必要な財源を得られるわけでもございませんので、今までと同じように、起債ばかりやっておったのじゃ、ますます地方財政は泥沼の中に入り込んでしまうのであります。そういう問題のほかに、それでは道路費というものはどれくらいになっておるかということを御参考に申し上げますと、三十一年度の都道府県及び五大市の道路事業費でありますが、直轄事業も含めまして、四百九十四億円であります。そのうち国庫負担金が二百八十四億ございますので、差額の二百二十八億円というものが地方負担額であります。これは少し計数が入り組んでおりますが、地方財源はとにかく二百二十八億円であります。これに対します特定財源としまして、地方道路譲与税が七十四億円ございます。そのほかに今回軽油引取税を起しまして、二十四億円がプラスになるわけであります。両方合せましてもまだ百億円くらいでありますから、都道府県と五大市だけで、他の一般財源から持ってこなければなりませんのが百二十億円くらいあるという状況であります。しかもなお、道路は非常に悪いというような姿になっておるわけでございます。
  14. 森下政一

    森下政一君 都市計画を施行することによって土地の時価が上ると、そういうような地域の固定資産税というようなものは、おのずからこれは固定資産税によって、都市計画事業を実施したことによって増収をはかられるというようなことを考えることはできますね。従って、それで満足するというわけにはいかぬですか。プラスアルファでないといかぬということになるのですか。それはどうですか。
  15. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) これは森下さんの方がむしろ詳しいくらいなんですが、都市計画事業といいますものは、街路事業にいたしましても、水利事業にいたしましても、全地域にわたって一ぺんに手をつけるということはこれは不可能なことでございます。従いまして、漸次前進していく、何十年もかかって都市計画事業を完成さしていくものだろうと思うのであります。そうしますと、一部の地域にその費用を全部持たせるということにしますと、財産をほんとうに処分してしまわなければ、それだけの財源負担できないのじゃないかと思うのであります。これは、やはり先ほど来おっしゃっておりますような結果が出て参りますので、経常的に財源負担していきたい。しかも、全地域が共同して負担をしながら、実施は一部の地域に限られるだろうけれども、多年にわたって全地域に押し及ぼしていくのだ、こういう方式をとりますので、自然、御指摘のように、評価の上ったところだけの負担でいいのじゃないかというわけには参らない。もしそれだけにしようといたしますと、財産処分をしなければならないような負担を求めざるを得なくなるのじゃないか、こう思っておるわけでございます。
  16. 森下政一

    森下政一君 まあいろいろ見解の違いがあって、議論が方々に飛ぶことになりますが、さらに、もう一つ確めておきたいと思うことは、どうもこの国有資産等所在市町村交付金及び納付金ですね。過日この法案審議の参考に資するために、御承知のように、ここで参考人に来てもらって、それぞれ意見を述べてもらった。その時に、三公社の代表人の言うことを聞いても、あるいはその他の人の言うことを聞いても、結局私は、その負担が大衆にやがては転嫁されると、今はそうでなくても、やがては転嫁されるというふうな印象を受けたわけなんです。三公社の代表にしても、将来たとえば国鉄の料金の値上げの一つの理由になり得るという印象を私は受けたわけですから、そういったわけで、今直ちにそうでないまでも、将来そういうふうに理由づけられる私は原因をここに与えることになるのじゃないかということが考えられる。  そうかと思うと、たとえばしばしば公営住宅のことを私申しますが、たとえば兵庫県なら兵庫県が県営住宅を神戸市内に設けておる。これは、当然神戸市に対して、兵庫県は交付金交付しなければならぬものだと私は思いますが、そうしてそれは、いかに自治庁が指導されても、絶対のものではないのだから、兵庫県が公営住宅の賃借人の賃借料の値上げという形で転嫁するということがあっても、これは、これを罰するわけにも、どうするわけにもいくものじゃない。ところが、そうなってくると、私はもう必然的に、さなきだに財政の苦しい県としては、一般財源から交付金をまかなうなんということはできないということになるので、必ず私は転嫁が行われて、賃借人が、この前あなたがおっしゃったように、いろいろ段階はあるようだけれども、額に違いはあるようだけれども、負担の増加を忍んでいかなければならぬということになる。ところが、神戸市みずからが市営の公営住宅を神戸市内に持っているという場合には、これは別段交付金を出さんければならぬと  いうわけではないのですから、何も賃借料の値上げをこれはする必要はない。こういう機会に、非常に古く建てたものと、あるいは新しく建てたものとの間に、いろいろ賃貸料の懸隔があるのを何とか調整しようなんということは考えるかもしらぬけれども、直接交付金負担しなければならぬというわけのものではない。そうすると、同じように家がなくて、そうして公営の住宅を賃借することによって、その日の生活を営んでおるというものでありながら、大体同じような階層の人が、一方はたまたま県営のものに入っていることによって賃借料が非常に上ってくる。一方は市の経営しておるものに入っているために、その迷惑をこうむらずに済むというふうな区別がこの結果起ってくるということがあり得るのじゃないだろうか。どうも私はそういうふうに思える。そういうふうなことが一体妥当であるのかということを考えると、そこにも私は一つの疑義を持たざるを得ない、こういうふうに思うのですが、そういうことはあり得ませんか。
  17. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 第一点は、三公社課税によりまして、国鉄納付金というものが結局料金値上げの口実になるのじゃないか、こういうふうなお話でございます。たびたび申し上げておりますように、納付金というものも原価を構成するものだ、料金を計算いたします場合には、当然納付金制度の生まれました場合には納付金を支払うべきものとして、料金の原価を算定すべきものだと思っております。しかしながら、現在はいろいろな点において、国有鉄道等は国の政策からくる恩典を受けておるわけであります。それらを考慮して、料金が果して現状でいいのか悪いのか、今までの料金はこれだけだけれども、逆にまた金利負担が軽減してくるんじゃないか、あるいはまた企業経営をさらに合理化することによって経費の節減ができるんじゃないかと、いろいろな問題が私は総合的に検討されなければならないと思うのでありまして、私鉄側からもそういうような意味においていろいろな不満がもたらされて参ったように聞いておるわけであります。要するに料金を上げるか上げないかということは総合的に検討せらるべき問題であり、納付金制度というものは、料金という観点から考えていくならば当然料金原価の中に算入していくべきものだと、それじゃあ現在の料金というものがそれを算入したら当然上るものかというと、私たちはそうは考えない。大臣もその点については御答弁になっておる通りでありまして、企業合理化による吸収という問題は当然検討されなければならない問題だというふうに思っておるわけであります。  第二点の、同じような公営住宅でありながら県営であるか市営であるかということによって家賃の食い違いが出てきやしないだろうか、こういうお話でございます。この点につきまして、私は現在の家賃がすでに非常に大きな食い違いがあるじゃないかと、民営の家賃と第一種公営住宅との間に非常に大きな開きがある。だからこそ公営住宅が作られますと入居希望者というものが非常に押しかけてくる。何十倍という率で当選者がきめられるので、公営住宅に入れること自身が非常な特権になっているように思うのであります。また第一種公営住宅と第二種公営住宅との間にも大きな家賃の違いがあるじゃないか、あるいはまた公営住宅じゃなしに、これに準ずるものとして協会住宅というものがございます。これと公営住宅との間にもかなりの食い違いがあるじゃないか、こういうふうに思っておるわけであります。また第  一種公営住宅その他におきましても、そこに地方団体のいろいろな住宅政策があるものでございますから、若干の食い違いもございまして、法律には限度額を定めてあるだけであります。国の住宅政策というものが、低額所得者については全部無償で住まわせるのだと、ここまで徹底した政策でありますならば、今度の交付金制度というものがこれに正面からぶつかることになるのかもしれません。しかしながら、国の住宅政策というものは、第一種公営住宅であれば二分の一を補助する、第二種公営住宅であれば三分の一を補助する、この部分は家賃の計算に入れてはいけない、残りの部分については、地方団体はもっぱら地方公債でまかなう場合が多いだろうから、それについては利子相当額を加えて家賃を計算するという建前になっておるわけでありまして、今度の交付金相当額につきましては、国の政策というものを十分考慮して、固定資産税相当額の二割ないし四割にとどめるというようなやり方をする。しかも、それを直ちに使用者課税的なやり方をいたしませんで、一応まあ地方団体負担をしてもらって、しかし家賃に転嫁しようと思えば転嫁できる、そこに住宅政策を採用できる余地は残しておる。しかし原則的には、これも家賃をきめます場合の原価の中に入ってくるのではなかろうか  というふうに思っておるわけでござい  ます。
  18. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  19. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を始めて下さい。   暫時休憩いたします。    午後零時七分休憩    ————・————    午後一時三十六分開会
  20. 伊能芳雄

    ○理事(伊能芳雄君) 委員会を再開いたします。  委員長がちょっと所用で出席できませんので、委員長の委託によりまして理事の私がしばらくの問委員長の職務を行います。  午前に引き続き地方税法の一部を改正する法律案国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案の二乗について質疑を行います。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  21. 森下政一

    森下政一君 大臣も政務次官もおられませんので、奧野さんに答えてもらうのは気の毒だと思うようなことはちょっとお尋ねいたしかねるのですが、自然従って問題が別のことになってくることは御了承願いたいと思います。  この今度のいわゆる自主財源強化、午前中にも奧野さんから三つの点をあげてお答えになりましたが、大臣提案理由説明その他を通じてうかがわれることは、これらの措置は、たとえば国有資産等所在市町村交付金あるいは納付金、あるいは軽油引取税、こういったような、今度新たに改正をして設けようといったようなことは、政府が思いつきでやったんではない、これは地方制度調査会とかあるいは税制調査会等でそれぞれ答申があって、かねてからこういうことをやるべきだということをいわれておる、それを採択したのであって、世論も大体こういうことの妥当性を認めているということを折に触れておっしゃったことがあったように思うんです。何かどこかで  読んだように思うのですが、そこで特に奧野君が午前中に指摘せられたこの三つ自主財源強化ですね、これらについて、これらのたとえば地方制度調査会等あたりで論議が行われて、当然そうすべきだという結論に達したということについては、奧野さんはおそらく臨席して聞いておられたのじゃないかと思うんですが、そこで大要を一ぺん説明していただくと非常にわかりよくなると思うんです。それをお尋ねしたいんですがね。
  22. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) お話のように、今度の改正政府案を作成いたしますに当りましては、地方制度調査会と臨時税制調査会の答申を基礎にいたしているわけでございます。両調査会におきましてこれらの問題が論議されたわけであります。基本的には、とにかく現在の地方財政の混乱を救うためにはいろいろな方策を講じなければならないが、なかんずく財源が不足している、この財源の不足を何によって補てんをするか、国から財源を譲るとか、あるいは別途に増収をはかるとか、いろいろな考え方があるわけでありますけれども、国から財源を譲るといっても、国の財政は数年前と違って、相次いで減税を行なって参ってきておりますし、また別途財政需要の増加もありますので、とうていその余裕がない、こういう基本的な問題が一つあったと承知しております。そこでどうしても何らかの形において財源を得たい、こういうことが、自主財源を増額することに政府として特に力を入れなければならない、また両調査会におきましてもそういう意味地方財政の対策が深く検討されたというふうに御承知いただきたいと思います。  なお三公社課税の問題につきましては、単に両調査会において議論が始まったのではございませんで、昭和二十五年前後からシャウプ税制使節団が参りましていろいろな勧告をいたしております。あの時分から非常に問題になっておったのでありまして、総司令部の内部におきましても両論が実は対立しておりまして、運輸関係を担当している部局と財政を担当している部局と両部局間に論争があったわけでありまして、日本政府の部内にも論争がございました。こういうことが解決されないままにきたわけでございまして、昨年両調査会でもこの問題を再び取り上げて、今のような基本的な事情が基礎になったと思うのでありますが、自主財源を増強しなければならぬ、その場合に三公社課税を思い切ってやるべきだ、こういう結論になって参ったわけでございます。  軽油課税の問題は、これは揮発油税が増徴されるたび、ことに軽油課税をどうするかということが議論になって出ております。国会におきましてもそのたびに主として委員会としては大蔵委員会でございますが、議論になっておりました。昭和二十九年にこの問題を軽油自動車税の増率という形において一応問題の解決に一歩踏み出したわけであります。それを今回さらに一そう合理的な姿にするために、昨年調査会の答申も出て参りまして、軽油課税になって参ったわけでございます。  都市計画税の問題は二十五年に一応廃止いたしております。そのときは都市計画税というものはあらゆる税について都市計画税が課されておったわけでありまして、たまたま地租や家屋税を廃止しまして、固定資産税を作るに当って一挙に土地家屋負担が二倍半になった関係もありまして、都市計画税を廃止したわけであります。しかしながらその後都市計画事業を非常に進展させなければならないというような状態にもなり、建設省当局におきましてもそれに必要な財源を確保しなければならない、そういうようなところから、都市計画税を言い始め、従ってまた調査会でもその問題を取り上げて、いわゆる答申になって参ったわけでございます。
  23. 森下政一

    森下政一君 大要わかりました。そこでそういうことが調査会あたりで主張されたたきに、午前中から私が申しておりますような、さなきだに税の負担限界にきておると思われるときに、今度こういう新しい税を設けることによって負担が加重する、そのことは地方住民あるいは国民といいますか、の立場から考えると、かなり過酷な措置であるというふうな点については、何も論議がそれに触れることはなかったのですか。
  24. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今おっしゃいますように負担が過酷になるということが、あるいは私よく理解していないのかもしれませんが、全体としては国民租税負担が重いのだけれども、しかし中には均衡を失している面があるのじゃないか、その均衡を失している面に着目して税収入の増加をはかっていきたい、こういう考え方でございます。特に過酷というと語弊がございますが、三つの点だけに限局して申し上げますと、土地家屋負担は、都市計画税を設けることによって実質的には加重することになる。土地家屋負担が現状で軽いか重いか、そういうことから考えて参りますと、土地家屋負担がかなり重くなり、多少気の毒な面が出てくるのじゃないか、こういう意見がありました。しかしながら他面また土地家屋負担が現在の固定資産税のままであると、午前中ちょっと申し上げましたように、都市計画事業の進展している所と進展していない所と、これが同じような固定資産税の標準でいってはかえって負担均衡を得ていないのじゃないか、実質的には得ていないのじゃないか。だからそういうような地域においては、都市計画税を設けることによってむしろ負担の地域間のバランスが得られるという意見が強く出て参っておったわけでございます。
  25. 森下政一

    森下政一君 それからもう一つ私この機会に、大臣あたりが調査会の意見も尊重してこれを取り入れたということを、こういう措置を講じた大きな理由に数えておられることについて尋ねておきたいのですが、おそらく調査会が答申していること——私一々見ませんけれども——の中には、もっとこういうことをやれ、こういう税の面での提唱があったのだろうと私は思うのです。たとえば何パーセントどうせいということであるかしらんけれども、一例をあげてみれば、たばこ消費税のごとき必ず論議の対象となる、また結論として調査会は一つの提言をしているのに違いないが、そういう点は政府はあえて取り入れようとしていない。これはこういうことをあなたに聞くことは、ちょっと私の質問が無理になってくるのじゃないかと実は憂えるのですが、この前もここであなたにただして、私の記憶が間違いでないことを確かめたのですが、それはかつて二十八年度か、地方制度調査会は、ひとり入場税のみならず遊興飲食税もこれを国税として取り上げて、そうして地方財政調整の財源として与えることが妥当だということを提唱したと思うのです。ところがせっかくそういうふうな結論になったが、そのうちの一部分だけを、つまり入場税だけを取り上げて、そうして遊興飲食税はそのままにしておったというふうなことは、これは私は当時の調査会で論議検討した人たちのこの結論を導き出した点から考えてみると、非常に政府のやったことは片手落ちだった、何にもならぬ、——何にもならぬと言っては語弊があるかもしらぬけれども、両方共に実施して初めて値打のあることを、一方しかやらないということに非常に無理があったというふうな印象は、どうしても避けられないと思うのです。同様にやはり地方財政強化という点から、調査会の進言していることの中でも、たとえばたばこ消費税のパーセンテージをもっとふやして府県市町村にも多くを与えるというふうな答申がなされておって、しかもこれは採択しようともしないことの中に、そこに片手落ちがある。片手落ちどころじゃない、午前中に私が申しました自主財源強化ほんとう自主財源強化ということは、こういうやり方が一番自主財源強化なんだ、こう私は思うのですが、だからそういうものを採択することに欠けている点がありゃせんか、欠けている点というのは一体どういう点か、  あなたよく御承知になっているのだと思うから伺っておきたいのです。
  26. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 率直に御返事を申し上げていきたいと思います。地方制度調査会の答申には御指摘のようにたばこ消費税の税率をふやせということを言っております。地方制度調査会の方はどちらかといいますと、地方自治に重点を置いて物事を考えていくようなお答申になっております。臨時税制調査会の方の答申においては、たばこ消費税の増率は触れておりません。むしろ税制調査会の空気は反対であります。それよりもさらに法人事業税を国税に移してしまって、人口按分で譲与したらどうかとかいうような式の意見がずいぶん強かったわけでありまして、その結果は単純にたばこ消費税をふやすのじゃなくして、国にそういうような意味で法人事業なり法人税割りなりを移せば、移した分量をたばこ税に置きかえるというような、結果的に、答申になっていると思います。言いかえれば臨時税制調査会の方は財源偏在の是正ということがずいぶん強く言われたものであります。私たち考え方財源偏在の是正という言葉自身が地方自治を十分に理解していない言葉だというまでに思っているわけでありまして、しかし税源配分を合理化していかなければならない、そういう問題は取り上げてしかるべきだ、しかし国の財政の立場から見ますと、地方財政が困っているから財源を与えなければならない、そこで専売益金をさきまして、たばこ消費税をふやしたといたしますと、元来なら国で最小限度の財源を保障しなければならないという意味で、めんどうをみなければならない団体以外の団体にまで財源を与えていくことになるわけであります。言いかえれば、国の財政の立場から考えますと、専売益金をさいて地方にたばこ消費税の形で財源を譲る、それは効率的な財源の譲り方ではない、それよりはむしろ地方交付税をふやした方が同じ金を地方団体にさく場合でも、効率的に財源を移せるのだ、こういう考え方があるわけであります。同じようなことを、国の財源を犠牲にしないでも、地方財政の持っておる財源だけでも、やり繰りすることによってこの問題が解決できるのじゃないか、この場合の強い考え方が法人税や法人税割りを国に移して、そのかわりに国からたばこ消費税を地方団体に与えていく、こういう答申になっているわけであります。従いましてたばこ消費税の考え方については、地方制度調査会と税制調査会との間には食い違いがございます。政府として問題を具体化しますに当りましては、財源偏在の是正とか、あるいは税源配分の合理化という問題について、臨時税制調査会が答申したほどの思い切ったことはやっておりませんで、入場譲与税の譲与額の制限程度にとどめております。地方制度調査会の答申になっておりますような単純にたばこ消費税をふやすというような案もとり得なかったわけでございます。そういうような考え方の相違から起ってきた問題でございまして、一部だけとって他を捨てるというような単純な考え方をもって決定したわけではないということは、御了承願いたいと思います。  なお入場税と遊興飲食税の問題は、これは御指摘通り両税を移譲するというのは答申でございます。答申でありますが、率直に申し上げますと、当時入場税の関係におきましては映画会社のうちで松竹でありますとか、あるいは大映でありますとか、そういうような大規模の映画会社はむしろ国税移譲を私は望んでおったと思います。と申しますのは、末端にプリントを配給していきますその場合に、配給収入を歩合で分ける、そうすると映画館の入場税というものは的確に把握されておりますと、歩合収入もまた的確に自分のふところに入ってくる、地方で適当にやられておったのでは、自分の収入が少い、こういうような点があったように私は当時感じておりました。末端の映画劇場はこれはむしろ入場税の移譲を強く反対しておりました。しかし少くともそういう意味においては入場税国税移管については業者の中に対立があった、少くとも考え方に相違があった点は見受けられます。遊興飲食税の場合には業者の数が非常に多いのでありますが、ほとんど一致して国税移譲に反対しておったようであります。こういうようなやはり現実に税金を扱う業者の方々の意見というものもある程度政府案をきめる場合には尊重せざるを得なかったということは言えると思います。
  27. 森下政一

    森下政一君 この事業税の、法人事業税を移すとかいう、あるいは法人割りですね、これを取り上げる、これもやはり地方制度調査会の答申にあるわけなんですか、そういうことは。
  28. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 地方制度調査会はそういう考え方に反対であります。臨時税制調査会の方はそれを尊重しております。
  29. 森下政一

    森下政一君 ああそうですか。それで今度はとりやめにはなりましたけれども、当初は政府は一時地方財政の窮状打開のために、その税制調査会の方の答申を、ただいま申しました法人事業税を取り上げるとか、法人割りを移すとかいうふうなことを、一応取り入れようと考えたわけなんですか。
  30. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 政府案は結局入場譲与税の譲与額の制限ということできまったわけでありますが、それがきまりまする過程におきまして大蔵省の考え方一つございました。自治庁考え方もございました。結局最終的には今度の政府案になったわけであります。その過程におきまして大蔵省の方の考え方は、法人事業税の一部を国税に吸収してしまうんでしたでしょうか。それから法人税割りは、府県分も市町村分も半分を国に吸収してしまうかわりに、この部分についてはたばこ消費税で補てんする。入場譲与税をやめてしまって、全部地方交付税の中に入れる、こういう考え方であったように思います。各委員にも大蔵省の案として提出されております。当時自治庁考え方は、法人事業税の一部を国税に移して、その部分については大蔵省案と違いましてたばこ消費税をもらう、一言いかえれば専売益金をそれだけ減額するわけであります。法人税割りは国には移さないが県と市町村との間で移しかえをやって、そのかわり市町村の方にたばこ消費税をふやしていく、入場譲与税はやめない、入場税を地方交付税財源にはしない、こういうような考え方でございました。最終的には現在の政府案になっておるわけであります。
  31. 森下政一

    森下政一君 最終的に現在の政府案になったということはわかりますが、そうすると、この今あなたからおっしゃった自治庁考え方と大蔵省の考え方は、必ずしも一緒ではなかったけれども、これらのつまり法人事業税とか、法人税割りとかいう問題は、今はもちろんさたやみになったけれども、これでもう死んでしまった、もう再びそういうことは考えられないんだと断定的に受けとってしまうことはなお危い、そういうことをさらに来年度あたりに考え直される余地がないわけではない、こう考えておらぬといかぬですね。そう考えておった方が安全なんじゃないですか。
  32. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 両答申を受けて今度の政府案を作ったわけでありますから、それは一応それで済んでおると思っております。しかしいろいろな考え方があるわけでありますから、常に出て参ったような案はまたいろいろな人によってさらに主張されるということはあり得るだろうと思います。しかし政府としてそれにこだわって考えておるということは毛頭ございません。
  33. 伊能芳雄

    ○理事(伊能芳雄君) 速記をとめて。    午後一時五十八分速記中止    ————・————    午後二時十三分速記開始   〔理事伊能芳雄君退席、委員長着席〕
  34. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を起して。  散会いたします。    午後二時十四分散会