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政府委員(
渡邊喜久造君) 現在におきまして今申しました程度のことをやっておりますが、これで十分であるかどうかという点につきましては、これはいろいろ議論があろうと思っております。保険会社といたしまして、これは主として銀行局の所管でありますが、一応消防施設が改善されまして、それによりまして損害の率が減りますれば、結局保険会社としては非常に有利になるわけでございますから、その意味におきまして、消防施設の改善につきましては、保険会社としては応分の協力をするということは、これはまあいわば保険会社のためにもなることであり、われわれは積極的に
考えるべきじゃないか。ただ消防施設税の問題につきましては、
大蔵省としましては、実は反対の態度をとったのでございますが、
考え方の基礎といたしましては、こういうことを実は
考えているわけでございます。現在の保険料率は、御
承知のように過去の損害率を元にしまして、そうして事業量を
考え、同時に営業費を
考えまして保険料率がきまっていく。しかし現在の保険料というものは何と申しましても、私は銀行
当局でありませんけれども、いわばしろうとの
考えですが、高い。これはもっとどんどん下げていくべきじゃないか。これは
大蔵省としまして二十九年十月、三十年四月、三十年十月、これはものによってやった場合がありますが、非常に逐次、最近のデーターをずっととりながら保険料率の引き下げをやってきております。それで将来も保険料率のさらに
相当引き下げに大いに
努力すべきであり、やっていくべきじゃないか。従いましてそういったように最近の損害の率をやはり考慮に入れながら保険料率をどんどん引き下げていくという
努力をまずすべきじゃないか。そういう場合におきまして、今度最近の損害の率ということになりますれば、結局消防施設の充実というものと結びつけながら、そのうらはらとしてこういうものが出てくるわけだと思います。これが保険料率がある程度固定した姿になる時期でありますれば、消防施設を改善しただけ保険会社自身がそれだけ有利な
立場に立つわけで、当然そこに施設の改善に対しての利益が保険会社に出るわけでございますから、従ってそれに対してどうかといった問題があるわけでございます。しかし最近のように保険料率を下げたい、最近の実績においてどんどん下げていきたい、こういうことに
考えております場合におきましては、もし保険税のような格好のものが入りますれば、やはりこれを保険料率の計算の基礎にどうしても入れなければならない、こういうことになるように思うのでございます。そういうことになりましてどうも保険料の引き下げが保険税のためにある程度チェックされる。あるいは十引き下げられるものが五の引き下げに終るということになりますれば、結局保険税というものが保険料を負担する人の負担ということになるのじゃないか。消防施設そのものを改善することは、これはやはり一般的に住民がその利益に浴するものである。保険料を支払う人だけが特別に大きな負担をするということになるのはちょっとおかしいのじゃないか。まあそういったような
考え方がわれわれの方にあるものでございますから、
あとから
あとから保険料率をできるだけ改訂しながら引き下げていきたいという
努力——その機会に保険税を取るようなことになりますれば、どうしても保険税の額だけは保険料率の引き下げの場合に
考えなければならない。そういうことになれば、いよいよ保険料を支払うものだけが特別に負担する、それはどうもおもしろくないじゃないか、そういうような意味におきまして、われわれは遺憾ながら保険税に賛成できないということの意思表示をいたしました。ただ、先ほど来申しておりますように、消防施設が改善されることによりまして、起る損害の率が減れば、これは当然保険会社自身にそれだけ有利になるわけであります。保険会社といたしましても、そうした火災事故のできるだけ起きないようにあらゆる協力をするというのは、これは当然のことであるというふうに
考えられます。その意味におきまして、保険税といったようなそうしたものでなくて、さらに別途そうした寄付のような名前の形におきましてそうした方面に協力する、あるいは消防債の形において協力する、これは積極的に
大蔵省としても
考えたい、かように
考えております。