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1956-04-13 第24回国会 参議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十三日(金曜日)    午後一時四十分開会   —————————————   委員の異動 本日委員堀末治君及び永岡光治君辞任 につき、その補欠として苫米地義三君 及び小笠原二三男君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松岡 平市君    理事            伊能 芳雄君            森下 政一君            小林 武治君    委員            小幡 治和君            佐野  廣君            田中 啓一君            堀  末治君           小笠原二三男君            加瀬  完君   国務大臣    運 輸 大 臣 吉野 信次君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    国家消防本部長 鈴木 琢二君    自治政務次官  早川  崇君    自治庁税務部長 奥野 誠亮君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君    大蔵省主計局法    規課長事務代理 中尾 博之君    運輸政務次官  伊能繁次郎君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件地方行政の改革に関する調査の件  (参議院議員通常選挙期日の件) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 松岡平市

    委員長松岡平市君) これより会議を開きます。  昨日の委員会におきまして、森下理事から御要求がございました参議院議員通常選挙期日の件につきまして、御要求によって根本官房長官出席いたしました。本日は、まずこの件について御質疑を願います。
  3. 森下政一

    森下政一君 昨日、参議院議員通常選挙の件につきまして、政府お尋ねしたい、自治庁長官もしくは根本官房長官の御出席を得たいということを要請しておいたのですが、要請にこたえられて、きょうは、根本官房長官が御出席いただきまして、大へんけっこうだと思います。それで、官房長官お尋ねしたいのですが、すでに四月も三分の一以上を経過いたしました。この国会会期は、大体もし延長されることがなければ、来月の十七日をもって満了すると承知いたしておりまするが、この段階になりますると、本年行われることの予想されております参議院通常選挙の日取りというものがほぼいつごろであろうかということにつきましては、政府当局においてもおそらくほぼその見当をおつけになってしかるべき時期ではないかということを考えまするし、ことに当委員会といたしましては、昨日、地方税法改正法律案衆議院審査を経て、こちらに回付されて、本審査に今まさに入らんとする段階でありまするが、その他衆議院でまだ審議が終らぬために、予備審査にあるところの法案相当多くかかえておるというふうな状況でありまするので、かたがたこれらの法案審議にも重要な関係のあることでありますから、参議院通常選挙は大体いつごろになるかという見通しをはっきりさして、当委員会法案審議日程等もにらみ合して勘案し、決定をまたなければならぬではないか。おそらくこれは、ひとり当委員会委員のみならず、参議院議員全体が非常に重大な関心をもっておることだと思いますので、すでに今日となってみれば、大体の政府見通しを承わってしかるべき時期が来たと私は思いまするので、その点について一つ官房長官からお見通しを承わっておきたい、かように存じて、ここへ御出席をお願いしたわけなんです。
  4. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) お答え申し上げます。本第二十四国会は、昨年の十二月二十日召集されまして、国会法第十条の規定によりまして、来たる五月十七日に百五十日の会期が終了いたすことになっておるのでございます。また参議院議員任期満了日は六月三日であります。公職選挙法第三十二条一項の規定によりまして、通常選挙は、議員任期が終る日の前三十日以内に行うことが建前でございます。しかしながら、なお、同条第二項の規定によりますれば、通常選挙を行うべき期間参議院開会中あるいは参議院閉会の日から三十日以内にかかる場合におきましては、通常選挙は、参議院閉会の日から三十一日以後三十五日以内に行うこととなっておるのであります。従いまして、今回の通常選挙は、この第二項の規定する場合に該当するものと考えているのでございます。そういたしますれば、閉会の日から三十一日以後三十五日以内は、六月十七日から六月二十一日までの間になるのでありまして、その間において選挙が行われるものと、こう考えている次第でございます。
  5. 森下政一

    森下政一君 先のことだからはっきり御言明なさりかねるのかと思いますが、そうすると、大体のお話では、大体この国会延長されるなんていうようなことはないとした場合、今のお話のようなことになると思いますが、今のところでは、国会会期延長されるなんていうことは、政府は予想しておいでにならん、こう了解してよろしうございますか。
  6. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 政府といたしましては、今国会会期中に、政府提案の一切の議案並びに条約案が通過することをひたすら念願しておりまして、現在会期延長政府から申し入れるというような立場には立っていないのでございます。なお、国会会期は、これは国会できめることでありますので、政府としては、現在延長されることを予定して、いろいろの法案その他を審議をお願いしているわけではございません。
  7. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 速記がついて、木で鼻をくくったような答弁をする段になれば、今のような答弁でけっこうなんです。しかし、口と心が全然ばらばらな話をして、五年も六年もお互い議員をやっているものの中で、切りきちょうめんな御答弁を聞きたいために、わざわざあなたをここへお呼び申し上げたわけではない。そんなことは百も承知おいでになりながら、法律上の建前をとって、きれいごとで御答弁になるという段階であるかどうか、そういろ点がわれわれとして問題であるから、この際それがいいとか悪いとかいう批判ではなくして、率直に、どういう運びになっているかということを聞いておかなければ、これは、法案審議といい、あるいは参議院議員選挙そのものに関連していることですから、委員会運営といい、重大な点が起ってくる、こういうことで聞いている。まして当委員会は、選挙法関係を扱ってきている専門委員会であり、今後もまた、大きな法案審議される委員会なんですから、そうそう木で鼻をくくったような御答弁で、さようでございますか、わかりました、お帰りくださいというわけにはいかんですわ、それは。大体岸幹事長をはじめとして政府与党幹部は、会期はぎりぎりまで延長さるべきである。ただ国会運営の都合上、それは表面化すべきじゃないというふうに種々論議が加えられているということは、新聞紙上でも伝えられ、各般の幹部の談話として公表されている部分があるのです。そういう点からいえば、政府としては、会期延長国会が自発的にきめることだと言っていますけれども、この際の会期延長の問題は、国会といっても、衆議院がその議決については優先されるのです。しかし、参議院のこれは選挙に関することであり、参議院議員の今後のいろいろなその行動の上からいって、国政運営上影響のあることは、現実上避けられないんです。そういう点からいえば、政府としてもこれだけの山積した法案を持っておって、今日会期延長はしない、議院の方へ政府が出したものだけは、全部上げてもらいたいということが言える段階であるかどうか。この当委員会で見ても、実態をごらんなさい。今から地方税審議をします。それから、予算に関連する法案はまだ三本くらいあるんです。まだ衆議院は上ってきません。その地方自治法の膨大な法案があります。そして公職選挙法のあの大きな問題があるんです。五月十七日までにわれわれ委員会にこれを審議せいというのですか。できるというのですか。参議院審議権というものが十分尽されて、なおその審議ができるとお考えですか。そういうふうに私たちはまたねじ込んで聞きたくなる。そんなこと、あんたが委員長でここへ座っててやったってできっこないことですわ、五月十七日までにこれだけの法案全部完了せいということは。国会がそれこそ自主性を持っているんですから、小なりといえども野党もおるんですから、それはできませんよ。で、どっちにウエイトがあるのかという問題なんだ。これは、会期延長しないでやっていけるということで、もしも延長しなければならぬ場合においても、それをやめてでも、参議院選挙を一応きちっと予定される期日に行えるように政府が執行していこうとするのか、そして臨時国会等で残った法案を十分審議するという建前をとるのか。どうしてもこの情勢では、参議院議員任期のある限り会期延長することを与党として考えてもらってですね、そして所期の目的されておる法案の通過を得たいというのか、どっちが政府としての本心なのかということは、もっと率直にお話になっていただいていいと思う。ここは議運でないんですから、会期延長は、これはけしかるとか、けしからぬとかいうことを言うんじゃない。われわれは、どっちの方が選挙という時期に大体なるのかというめどさえつけば、議員行動もそれに即応して考えられる、法案審議もそれに即応して考えられると思うのです。ここであなたがあとの方だと、延びる方だと言えば、じゃあ野党の方はゆっくり審議しようなどということで、松岡委員長をいじめてやるというほど、手練手管をもってきいてることじゃない。もっと率直な御答弁を願いたい。法律解釈はわかりましたから。
  8. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 法律解釈と同時に、現在政府といたしましては、会期中に法案が上ることを念願しておるということには、うそ偽わりございません。従いまして、われわれといたしましては、政府として現在会期延長考えていないということも事実でございます。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、五月十七日までに上げ得るように政府法案提出でも、あるいは衆議院における政府与党は絶府多数なんですから、そういう意味で、法案審議について、参議院支障のないような御努力が今日までになされておりましたか。
  10. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 政府としましては、いずれの法案についても、すみやかに審議結了して、成立していただくように、あらゆる努力をしておる次第でございます。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ具体的にお尋ねしますが、この地方税法などはそういう努力がありましたか。約束された通りに、参議院の方にあるめどを持った時期に、この法案が回ってくることができ得なかったじゃないですか。じゃ、そのことは、衆議院における地方行政委員会審議が熱、心のあまりそういうことだったか。そうじゃない。政府与党である、あなたの方の与党である内部における問題が解決しないで、じんぜん日がおくれて、地方税法案がようやくきのうきょう本格的に審議になろうとしつつある。衆議院は何日この地方税法案審議に時間をとっておりますか。日数をとっておりますか。大部分をとっておる、予算に間に合せるためというならば、三月三十一日に参議院が完了するくらいの意気込みを持ってやるべきはずなんです。この空白は何日あったと思いますか。それを国会における、参議院に来て、追い込みにかかって、われわれの審議権も十分尽さないで、この法案が予定されるときまでに上げてもらいたい。また、あとには上げる法案がいろいろ押しかけてきている。現に委員長もそういう気持で、早くこれを上げてほしいということは、十分審議しながらも、早く上げてほしいということは、それはわれわれは、要請されておる委員長気持もわかる。われわれも努力する。しかし、あなたが言葉ぎれいに言っているような事態で、われわれが十分審議することのできるだけの時間を与えられたかというと、事実はそうではない。あなたの現に言っていることはうそなんです。それは、衆議院自体の問題、衆議院地方行政委員会審議そのものが十分尽されることのために、そういう事態を引き起したということを言えますか。私の聞いているのは、あなたはあらゆる努力を今日までしておったと、そして、その通りなってきつつあるというやの意見だから、具体的に一例をあげてお尋ねをしたんです。努力が成功して、きちんきちんとこっちの方へ、衆議院半分、参議院半分なら半分と、予定される日数のうちで振り合いがついて、審議できるように上ってきていますか、法案が。そうではないんですからね。そういう点から言えば、私は、あまり言葉ぎれいなことばかりでなく、さっき聞いた通り、この情勢をこのまま推移していくということになれば、これは、会期延長ということを国会としてやってもらいたいという時期が早晩来るのではないだろうかと思われるが、そういうことは、そのときになって考えてみなければならぬというだけの意見であるということを、あなたは固執なさるならなされてもいいのです。しかし、そうならば、必ず関係する各種法案で残る部分が出てくる。そういうこともまあ確実に、これは申し上げることはできると思う。これは、超党派で、どの委員だって、五月十七日までに今案件となっておるものは全部上るのだということは保証できないと思う。そういう、この委員会運営の上からいって、もう少しあなたの方からも積極的に御答弁を願いたいと思う、さっきの答弁にからんで。
  12. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 私が申し上げましたのは、政府としてはあらゆる努力をしたということでございまして、その結果が政府の期待した通りにいかなかったということもありましょう。しかしこれは、国会審議権国会にあるのでございますので、それについて、われわれはかれこれ申し上げることはできないと思います。会期の問題につきましても、先ほど申した通りでございまして、現在政府としては、会期中に政府提出法律案が成立することをひたすらに期待しておるという段階でございます。
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、まあ参議院選挙とか何とかいうことは技術的な問題なんで、参議院議員は少々御迷惑があろうとも、そういうことは今のところは何も問題として考えていない、御迷惑があろうがなかろうが、結局は、国会の自主的な決定会期延長をされることもあるだろうし、そうなればなったで、政府は、当然選挙期日が繰り延べられたあとで、その執行のための準備をすればいいんだ、あくまでもこんなものは……、こういう国会議員選挙期日などはいつであろうが、事務的なことなんだ、法に  よってただやっていきゃいいんだという意味合いに聞きとれますが、そうですか。
  14. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 技術的な問題であると同時に、法律事項でございます。従いまして、政府国会審議権あるいは国会運営の問題と、技術的な、法律的な問題とを比較して、どっちが上だとか何とかいうことは、政府として言うべきことではないと考えます。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたの答弁では、いろいろ私も参考になる点がありました。そういう話をする段取りになれば、われわれだって、法律上なり国会法上の問題をたてにとって委員会運営をやるだけです。われわれだけ個人の、国会審議権は絶対放棄しません委員長が何を言おうが、政府がどう要請しようが、十分国会審議権は発揮してやらなくちゃならない。今後政府として、官房長官として、陰であれ公式であれ、当委員会運営に制約を加えるような各種行動慎しんでもらいたい。あなたは、あくまでも政府立場で、政府与党与党で全然別だ、政府とは関係ないんだ、何の因果関係も持たんという答弁で事足りるというなら、われわれも本然の姿に立ち返って、そういう運営をしますから。しかし、あなたは絶対、私たちにそういう言明をした限り、直接といい間接といい、この国会運営なり委員会運営に対して制約し、あるいは影響を与えるような言動は慎しんでもらいたい。もしもそういうことがどこかで起ってきたということなら、再度御出席願って、私は、この問題はあなたにお尋ねしたいということは留保しておきます。もうわかりました。
  16. 加瀬完

    加瀬完君 小笠原委員質問で、問題は尽きているような形に見えますが、しかし政府といたしましても、いろいろの仮説を立てたことにはお答えできない、こう御答弁なさるかもしれませんけれども、一応予想される事態というものに対しては、相当検討も十分なされておらなければならないと思います。そこで、確かにスムースに国会が進むならば、官房長官のおっしゃったようなことで問題が起らないわけです。しかし、現在の国会審議状態で、官房長官のお考えになっておられるように、何ら問題のない会期というものの見通しがつくか、こういう点が一つ。  もしもそれが国会延長とかその他の問題が起るということが予想されるとすれば、どういうふうな点を検討し、また選挙期日等についてお考えになっておるか。これは相当検討されておると思いますが、もっと紋切り型ではない、こういう点、ああいった点という、具体的な検討の経過を御説明いただきたいと思うのです。
  17. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 現在、御承知のように、五月十七日までの会期でございまするので、相当期間があるのでございます。従いまして、これは国会審議に関しまして、われわれは、でき得るだけ国会審議に便利なように政府努力をいたしまして、そうして会期中に、先ほど申し上げましたように、政府提出案件、その他の案件が成立することに現在力を集中するということが現在の段階でございまして、従いまして、政府として、ただいま会期延長とかいうことは考えていないということを申し上げておる次第でございます。
  18. 加瀬完

    加瀬完君 それは、先ほどの御説明でよくわかりました。しかし、現在の進行状態で、全然会期延長されなくても済むか、かりに延長されるとすれば、どのくらいの日数が予定されるか、あるいはまた、どうしたら参議院選挙期日というものが、どういうふうに変化されるか、こういうことを、政府当局与党というものの上に乗っておるわけですから、その党との関係においても、いろいろ党のそれぞれの責任者が一応御発表をもしておる点もあるわけでございますので、検討されておらないはずはないと思う、それらの点も、もう十七日で一切打ち切るんだ、十二分に十七日で問題の解決がつくように審議努力をして、これで打ち切るんだ、こういうようなお立場ですか、それ以外は一歩も出ない、そういうことですか。
  19. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 与党幹部政府会期の問題について、具体的に協議はいたしておりません。従いまして、政府といたしましても、会期の問題を閣議で相談をいたしておらないのでございまして、われわれは、この百五十日、この会期中にあらゆる案件が最もスムースに審議が進んで、その会期中に成立することに現在専心いたしておる次第でございます。
  20. 加瀬完

    加瀬完君 その専心と、また、そういうふうに済ませたいという希望はよくわかります。それならば、前にいろろ与党幹部が発表したように、六月三日の期限一ぱいぎりぎりまで会期延長するというふうなことは、いかなる事態が生じようともあり得ない、政府としては、そういうことは考えておらない、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  21. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) そこまで申されますと……政府会期をきめるわけではございませんから、政府会期をどうすれば延ばさない、延ばすということは、これは行政府として言える立場ではないと考えております。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 行政府として言う立場ではなくても、政府のお立場としては、それならば十七日に、一切の便宜をはかって、審議努力して、切り上げたいということで、それならば十七日になるか、二十日になるか、三十日になるかということは、これは、国会のきめることで、わからないということは言い得るわけです。しかしながら、政府としては、一応十七日というものの最終日めどにして一切の努力をする。そうであるならば、政府のお立場考えて、それは国会で、参議院会期一ぱいというふうなことを考えたとしても、政府としては、そういうふうな点は、与党に働きかけて、いろいろの技術的な点あるいはその他の点でも反対である、あるいはそういう方法には持っていきたくない、こういう政府の御意思というものは発表できる、この点はどうですか。
  23. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 会期は、法律上百五十日にきまっております。従って、この期間内に一切の案件が成立することを政府努力をするということは、当然政府の責務であると考えておる次第であります。従いまして、会期の問題を、政府から今延長するとか、ましてこれを短縮するということなどは、これは言われることではございません。
  24. 加瀬完

    加瀬完君 会期の問題を言っておるのではなくて、参議院通常選挙期日をいつにするかと、これとからんでくる場合に、会期が問題になるので、あわせて聞いておるのです。参議院通常選挙期日をいつにしようというお考えなのか、国会との関係とにらみ合せて、最大限この辺を押えなければならないというふうなことが検討されておるはずだと思う。それを聞いておるのです。
  25. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 先ほど申しましたように、政府といたしましては、会期中にすべての案件の成立を期待し、従って、公職選挙法第三十二条の二項の適用が受けられることでありますから、その期間選挙が行われるものとして、現在その準備を進めておるという状況でございます。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、もう選挙期日のことはわかりました。  官房長官お尋ねしますが、私昨日、太田自治庁長官の当委員会への出席を求めました。それが到底できなかった。従って明日ということで、本日の出席要求しております。これも、先ほど委員長から非公式に伺いますと、出られないということであります。あなたは先ほど、法案審議支障を来たさないように、専心これがために協力するということをお話しになっている。法案審議はできない。本審査になって、総括質問をすべき相手の長官がおらぬのであります。こういう委員会運営は、少くとも参議院の当委員会において、過去においてなかったと申し上げていいのです。私は従って、官房長官の先ほどの御言明があります  から、本日は、さっそく太田自治庁長官出席していただくように官房長官要請いたします。ようござんすな、きょう……。
  27. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 要請ありましたから、連絡しておきます。で、これは答弁というか、私は、今の御要請に対してお答え申し上げたいと思います。  太田自治庁長官も、国会審議には非常な努力をしておるのでありまするが、衆議院委員会と競合した場合におきましては、これはやはり、両委員会同時出席ということは物理的に不可能でありますので、そういう場合においては、政務次官なり関係当局をどちらかにおいて融通していただくか、あるいはまた、時間の融通ができるようにしていただいて、円滑に運営をはかるようにお願いしたいと思います。
  28. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 官房長官は御退席下すってけっこうでございます。速記をしばらくとどめて下さい。   〔速記中止
  29. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を始めて。  次に、地方税法の一部を改正する法律案を議題に供します。本件につきましても、昨日の委員会におきまして、委員各位から御要求がございましたので、本日、運輸大臣並びに大蔵省主税局長出席を求めて、ただいま出席いたしております。  これより質疑に入ります。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  30. 小林武治

    小林武治君 自治庁長官、お見えになりませんので、やむを得ず税の内容について運輸大臣一つお尋ねをいたしますが、運輸省自動車局では、今回のこの軽油引取税について賛成でない、こういうふうな書面が出ておるのでありまするが、この書面は、一月六日付で自動車局から出ておりまするが、この考え方は、今でもお持ちになっているかどうかということをお伺いいたします。
  31. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) 軽油引取税に関する自動車局意見意見でございますが、私は、これはやむを得ないものと思って、原案に賛成をしておるわけであります。
  32. 小林武治

    小林武治君 私は、今回のこの軽油引取税というものはきわめて適当でない、こういうふうに考えております。ことに軽油につきまして、これを目的税としたということは、反面から申しますれば、ただ自動車にのみ課税するためにかような苦肉の策をとったのではないかということさえ邪推をされるのでありまして、最近におきまして、運輸省は、非常に弱腰と申しまするか、ガソリン税をとられ、また地方道路税を取られ、また最近、今度は軽油引取税というような膨大な税を取られることになったのであります。私ども、地方行政立場から申しますれば、地方のために財源を確保するということは好ましいのでありまするが、しかし、その確保するにもおのずから方法があるのでありまして、今回のような税は、きわめて私は不適当であると思う。ことにこれを取るならば、これはよろしく国税として、そうしてこれを地方に譲与する、こういうような方法がとられたならば、今回のような混乱をきたす心配はなかった、こういうふうに考えるのでありまするが、この点について、運輸省当局は何らかの努力、あるいはそういう点についての自治庁との話し合いがされたかどうか。すなわち、私は、まず第一に、この目的税にしたことがきわめて不適当であるというふうに考えますが、いかがですか。
  33. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) 運輸省立場から言えば、税はない方がいいし、また、あっても軽いほどよろしいのですけれども、とにかく地方の財政というものをどうするかということは、これは一つの大きな問題でございまして、その間にどう調節をするかという関係である。そこで、目的税についてはお話もございましたけれども、しかし、とにかくこの軽油税をやったからといって、すぐにあすの日からバス事業の方に有利になるということはございませんけれども、やはり終局においては、やはりこれは目的税であって、道路の改良というものに使われるのですから、結局バス業者というもののためにも利益になるのだ、こう考えまして、私も、その目的税というのはそんなに悪いものとは実は考えておりませんのです。そういう関係で、この程度のものは、まあ好んでやるわけじゃございませんが、やむを得ず地方財政というものの赤字補てんというものをどう調節するかという大局に立って、運輸省としてはこれに賛意を表した、こういうことでございます。
  34. 小林武治

    小林武治君 あなたは、そういうことをおっしゃるが、何も地方財源を確保するのに、運輸省ばかり負担する必要はないので、ほかにもいろいろ、幾らもあると思うのでございますが、最近の様子を見ると、どうも自動車関係に非常に重くかかってくる、こういう傾向があります。ことにこういうふうな、私は税そのものとしては、同じ種類の軽油について、あるものは課税し、あるものは課税しない、こういうことはきわめてよろしくない、私はこういうふうに思うのでありまして、ことに道がよくなるのはけっこうだということは、それはその通りでありまするが、何も軽油引取税を取らぬからして道が悪くなる、こういう結論にはならないのです。従来とも、そういうものがなくても、けっこう道路の維持はされてきておる、こういうふうに思うのでございます。ことに今申しますような、私どもは、これは自動車に課税するために目的税にしたのじゃないかというふうなことまで言わざるを得ない。しかもそのために、これを地方税にしたために、全国の何万という軽油販売業者にまで非常な混乱をきたす、これをガソリン税のように譲与税にすれば、さような心配はむしろなかったと思うのでありますが、かような方法をとったことがおかしいじゃないか。これは、軽油税を取るなら取るで、国税にした方がよかったと思いますが、これはあなたにはおわかりになりませんかもしれないが、自治庁の次官はどういうふうに思われるか。
  35. 早川崇

    政府委員(早川崇君) 自治庁といたしましては、地方財政再建の大きいプリンシプルといたしまして、できるだけ自主的財源を地方に与えたいというアイデアから地方税にいたしまして、府県あるいは地方が取り扱うというように実はいたしたのであります。その結果、もう一つの副産物的な利点は、非課税範囲が若干でございますが、技術的にも、そういった面の点も、むしろ地方税にした方が整備しやすい、こういう利点もございまして、地方税にいたしたのであります。ただ各市町村間の、あるいは地方自治体間のアンバランスということをあるいは御心配になられる向きもあられるのでありますが、この軽油税に関する限りは、いろいろ調べましたところ、ほとんどひどいアンバランスは各地方団体間に出てこない、こういう結論が出まして、その結果、自主財源として地方税にいたした、こういうことになっておるわけであります。
  36. 小林武治

    小林武治君 従来運輸省は、ディーゼル車がガソリン車に比べて非常に有利だということで、これの製造方を非常に奨励したのでありますが、今回のように、一挙に一キロリットル六千円も取っては、この有利性というものは相当なくなるのじゃないが、こういうふうに思うのですが、その点はどうですか。
  37. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) ただいまお尋ねの点につきましては、全くその通りでありまして、従来、ガソリン自動車と軽油自動車との差異は、御承知のように、軽油自動車は、価格におきましても、また修理費、従って償却等においても、一般よりは高いのでありまして、そのために、政府としては、軽油自動車に対する生産上の、あるいは助成保護措置をとって参ったわけでございましたが、今回一躍六千円の課税がされますと、これによって運賃採算の面におきましても、ただちに四%もしくは五%の重大な影響を受けることに相なりまして、われわれ政府部内におきまして、この点につきましては、御承知のように、数次にわたって折衝いたし、その間に、当初は目的課税でなかったものが、いろいろな経緯を経て、こういう形になりましたことについては、はなはだ遺憾でありますが、これによって各軽油自動車運営上、採算の面にそれだけの大きな影響を来たすことになりまして、われわれといたしましては、非常にこの点に対する対策に苦慮いたしておる状況であります。
  38. 小林武治

    小林武治君 今の点で、お話がありましたが、これで、この課税の結果、ディーゼル車の有利性がなくなった、あるいはまだ多少残っている、この点はいかがですか。
  39. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 一般的な議論はなかなかむずかしいわけでありますが、私どもとしては、ディーゼル車の有利性というものは著しく減殺された、かように考えております。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して。日本乗合自動車協会から、この税の反対陳情の第一理由といたしまして、ディーゼール、ガソリン両自動車の担税能力は限度に達しておるということから、反対であるとする向きがあるのであります。その担税能力が限度にきておるという点をカバーして、なお六千円を納めようという場合に、今言った四%なり五%の運賃そのものに影響が起ってくるということになると思うのですが、その際には運輸当局としては運賃値上げ等の問題を許可しなけりゃならぬという事態になるかと思いますが、いかがですか。
  41. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 御指摘の点については、すでに衆議院等においてもいろいろと御論議をいただいたわけでありまするが、乗合自動車、路線トラック、一般トラック、タクシー、ハイヤー等は別でございますが、他の自動車交通事業については、昭和二十六年七月以来約四年半にわたって運賃値上げをいたしておりません。その間に日本国有鉄道においては、二回にわたって運賃値上げをいたしておるのでありまするが、バス事業、トラック事業、路線トラック事業等については、あらゆる観点から経営の合理化その他指導的な行政措置をとって参りまして、かろうじて値上げをせずに参ったんでありますが、昨年以来、さいぜん御指摘がございましたが、自動車税あるいは道路に関する受益者負担金、また道路協力費あるいはガソリン税、また今回軽油税ということで、この数年間に特に自動車に対する課税負担が重加されたように私ども存じております。これらの問題については、政府部内としては課税負担の公平ということをわれわれは協力主張して参ったのでありまするが、いろんな事情からそういうことに相なりましたので、今日の状態におきましては単に自動車交通事業だけでなく、他の民間の地方鉄道その他の事業におきましても、すでに昨年来個々の業体につきましては運賃値上げを認めております。現に本年に至りましても、東京都電、地下鉄あるいは名古屋市電、大阪市電等につきまして、三割なりもしくはそれに近い運賃値上げもいたしておりますので、今回この目的税による軽油税の課税というようなことが決定いたします場合においては、個々の会社の経営状況等もにらみ合せて、やむを得ざるものについては運賃値上げの措置も講ぜざるを得まい、かように私は考えております。
  42. 小林武治

    小林武治君 私は今のように答弁を聞きますると、運輸省当局と自治庁と通謀して、そしてこんな軽油引取税を認めたんじゃないかというふうなことまで考えられるのでありまして、たとえば運輸大臣はもう鉄道運賃を値上げしたいと始終新聞に言うております。私ども聞くところによれば、今度の鉄道のいわゆる納付金につきましても、鉄道は三十六億、年間平年度七十億ものいわゆる納付金の負担をしなけりやならぬ、これに対する反対も鉄道当局は一番軽微であった。こういうことまで聞いておるのでありますが、運賃を値上げする突破口としてかようなことに応じたのじゃないかというような邪推をしておる人もありますが、どうですか、運輸大臣
  43. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) それはまったく邪推でございます。
  44. 小林武治

    小林武治君 私は七十何億も一体簡単に負担するということがどうかと思っているんですが、また今回のこれでも、まあ年間の場合によれば四十億も自動車業者が負担する、こういうものを黙って、黙っていたわけじゃありませんが、これを大したこともなしにやむを得ないというようなことで認めておる。道路がよくなればけっこうだけれども、道路はこんなものをやらなくてもよくなります。これはあなたが目的税で払っても従来とっておった一般税が全部抜けてしまう。これはただ一般財源の肩がわりをするだけに過ぎないのじゃないか。これがプラスになるなら自動車業者のために非常に有利になる。従ってこれを承諾されてもいいが、この前の地方道路税を見ても、やはり一般財源が抜けている、こういうふうな事態になると運輸省はお人よしだと言わざるを得ないのでありまして、あなたはこの財源が従来の道路財源にプラスして使用されると、こういうふうにお考えになっておりますか。
  45. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) 私はそう希望しておるわけです。
  46. 小林武治

    小林武治君 希望ではだめでありますから、お確かめになって。これは道路税いわゆる目的税の意味をなさない。一般財源が抜けてしまってそれに肩がわりするということになれば、これは単に地方財源を補てんしてやるということに過ぎないと思うのでありますが、これでは要するに弱い者あるいは税の取りやすい所から取って、そうして地方財源をふやすということだけになってしまう。むしろ自動車業者の犠牲じゃないかというふうに思いますが、その点について、あるいは財政当局に対してこれがプラスになるように要求されておりますか。
  47. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) その問題は自治庁長官に私からよく話してあります。従来目的税であってもその方に何も使われないのは困る。今度はとにかくこれだけのことをするのだから、必ず目的税に沿うように措置してもらわなければ困るということを厳重に自治庁長官に伝えてありますから、おそらくここに御出席政府委員はそれを承知して善処することと私は信じます。
  48. 小林武治

    小林武治君 これは自治庁当局もいわば前科者、前のガソリンのときも必ずしもそういうふうになっておりません。一般財源は抜けている。それで今度も同じような結果になりはせんか。こういうことを考えますが、どうですか、そういうことについては何らか保証はありますか。
  49. 早川崇

    政府委員(早川崇君) 運輸大臣の言われましたように、この目的税の二十二億というものは道路以外に絶対使えない保証された財源になるわけでありまして、従来まま地方財政が非常に苦しいために、府県の道路に使う費用が年々ほかに転用されていたというような事態が、今後これによって起り得なくなるという意味におきまして、私は道路政策上やはりプラスになる、かように考えておるわけであります。
  50. 小林武治

    小林武治君 そういう保証を自治庁はどうしてされますか。地方団体は、たとえこれが目的税であってもこの財源は使った、そうして従来の財源は全部ほかに持っていってしまったということについて、自治庁は何も手を加えることはできないと思いますが、どうですか。
  51. 早川崇

    政府委員(早川崇君) もちろんこの軽油引取税の目的税分は、絶対に今後ほかに使うということはあり得ないわけであります。御質問の趣旨は、従来起債財源によってまかなわれておった道路費というものが、一部これによって肩がわりされるのじゃないか、こういう御心配でございますが、これは私はあり得ると思います。そういうことを、従来の一般財源をそのまま残しておけという保証はむろん、しかし地方財政が赤字になっておりますから、道路財源が、もしこういう目的税が創設されなかったならば、いちずに減少の過程をたどるということは、もう火を見るよりも明らかであります。そういう意味におきまして、このたび運輸当局の御了解によってこの税ができたということは、やはり地方の道路修築上有益な税だと、かように考えております。
  52. 小林武治

    小林武治君 そういうことでありまするならとにかく、私はこれが自動車経営というものに相当大きな影響を与えて、また運賃のはね返りが三%、二%、こういうことでありますが、先ほど小笠原君がお尋ねになりましたが、運賃の値上げということは、もうすでにある程度こういう税の加重がなくても限界にきているというふうなことを承わっておりますが、これが実施されれば運賃の値上げを阻止するという理由がなくなる。こういうふうに思いますが、これは大臣はどうですか。大臣は運賃を上げたい方かもしれませんが、運賃を上げるということは政府の政策でもいずれかと申せば避けたい、こういうことを言ってきておるのでありますが、これは出てきたらもう止むを得ない、こういうふうにお考えになりますか。
  53. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) まあ数学的に三%、四%上ったから必ずそれだけ運賃にはね返るものとはいちずには言えないと思います。やはり事業の経営というものはもう少し、申すまでもないことでございますけれども弾力性がございますから、ある程度合理化して吸収するものもございましょう。しかし今政務次官も申した通り、何せ二十六年以来上げておりませんのですから、所によってはだいぶ苦しい経営の所もあります。しかしまた大都市周辺には相当まだ現在でも利益を上げておる所もございますから、これはやはり一つの何と申しますか、ケース・バイ・ケースでやはり判断をいたしまして、そうして必要やむを得ないものは、やむを得ない限度において運賃を上げることもやむを得ないのだと、かように考えております。
  54. 小林武治

    小林武治君 先ほどからのお話のように、この負担というものは非常に大きなものでありまして、これは大臣も御承知のように、まあ自動車と鉄道は大体兼営になっておる。ところが私鉄の外形標準の課税についても、鉄道の方面では大騒ぎしておる。全額を所得課税に直してもせいぜい四億か五億であります。ところがこの軽油の問題は一躍四十億になる、こういうような負担の増を来たすのでありますが、私はいかにも大きいというふうに思うのでありますが、そういうふうにお思いになりませんか。運輸当局は少し過大じゃないでしょうか、この課税は。
  55. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) それはお話通り、決してなまやさしい課税だとは思っておりません。
  56. 小林武治

    小林武治君 鉄道関係では、これは目的税などということにしたために、鉄道や軌道用の軽油については免税になる、こういうことになりまするが、これは今申すように、大体自動車と兼営をしておる、そちらの油がこっちに流れる、こういうことについては何かこれを防止する方法はありますか。
  57. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 鉄軌道用の軽油につましては、御承知のように免税をしようといたしておるわけでありますが、年間においてどれくらい消費するものであるかということは比較的はっきりしております。従いまして免税軽油として許しました分と消費実績とを比べまして、比較的容易に、かりに横流しがある場合には発見することができるのではないか、従ってまたそういうことはいたさないのじゃなかろうか、こういうように考えております。
  58. 小林武治

    小林武治君 自治庁は非常に人がいいからそういうことを言っておりますが、わずか一万一千円のものが六千円も課税されるということになれば、普通の人ならやはり横流しする、流用するということはおそらく工夫をされる。こういうふうに思うわけでございまして、それについても私は、価格に比べて税が高い、こういうことを言わざるを得ないのでありまするが、それで運輸当局に対しては大体その程度のことにしておきますが、今度の軽油引取税が一番問題になるのは何かというと、要するに目的税にしたために免税の油が相当多くなる、このことが一番大きな私は障害と申しまするか欠点だと思う。このために全国の軽油取扱い業者が猛烈な反対をしておるのは御承知通りでありまするが、何とかそう  いうことが、たとえこれにいろいろな罰則を作って取り締っても、なかなかそれはできない、従ってこれは、私は目的税をやめたらどうかと思うのでありまするが、そういうことについて一つ自治庁は何かお考えはありませんか。この際はとにかくとして将来ともこれで押し通すつもりであるかどうか。
  59. 早川崇

    政府委員(早川崇君) 実はいろいろ考えたのでございますが、先般の合同審査でも申し上げました、たとえば漁業の船舶用の軽油が一番分量が多いのでありますが、御承知のように沿岸漁業はもう一本釣りの危機まで来ておりまして、これをたとえば漁港修築にこの金を使うようにして、六千円だけ同じように上げるということ、またエンジンを付けかえるときには、国庫補助金としてそれだけを回す、いろいろ考えましたが、何分四割も原価が上るということは、一本釣りのポンポン漁船の経済ではとうてい不可能だ、それだけの弾力性はない。こういうように考えたのでございまして、結局道路というものに転嫁する、バス、自動車、トラックというものを中心として、目的税に相当するもの以外は非課税とするということを、社会全体の立場から考えざるを得なかったという次第でありまして、むろんいろいろ検討はいたしておるわけでありますが、現在までそういうよき結論が出ないものでありますから、今回提案をいたしたような次第になっておるわけであります。
  60. 森下政一

    森下政一君 ちょっと関連して。今、早川政務次官から御答弁がありましたが、小林君の質問されるように、私は目的税にしたために免税の部分がかなりあるということが、税法に非常に苦心をされたのだと思うが、いろいろな処罰、罰則というか、こういう場合にこういうふうに罰するとか何とかいうような規定を非常に多く作らなければならぬことになったのじゃないかと思う。むしろ小林君の言う通り、全面課税にする、そのかわり、税率をうんと下げられるということの方が、かえってすっきりした形になって合理的なものになり、かつまた目的を達せられるということになるのじゃないか。今のような税率で一本釣りのポンポン船なんかに課そうといったところで、それは無理だということになるでしょうけれども、もっと税率が非常に低いものになるということになって、そうして全般的なものになるということになれば、横流しを心理したような、いろいろな場合を予想する必要もないし、法律も守られるし、すっきりしたものになるのじゃないかというふうに考えるのですが、それはどうですか。
  61. 早川崇

    政府委員(早川崇君) お説のように、税務行政上は森下委員のお説の通りでございます。しかしながら先ほど申し上げしたように、主として免税の、非課税の主力を占めるのが漁民、それから零細農民、農耕用の軽油、こういうことになっておりますので、やむなくこういう非課税規定を設けて、目的税といたしたのでありまして、その結果、税法上取締りが非常にきつくなった、それからまた脱税その他が非常に起るのじゃないかという御質問に対しましては、税務部長からお答えいたしたいと思います。
  62. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) お話のように、一部でも非課税の範囲を設けますと、取扱いが区々になって参りますので、多少煩瑣になって参るわけであります。そういう意味で運営上もいろいろと苦心をいたしておるわけでございまして、購入する場合にも、免税軽油の使用者から購入店を一応申し出させて、その店あてに免税書を発行していきたい、こういうことによって取引のルートをつけていきたい、ルートをつけていけば、自然横流しというような事例も、ある程度防げるのじゃないかというふうに思っておるわけであります。罰則規定の多い問題も、そういうところからも起ってくるわけでありますけれども、特別徴収の制度をとっております関係上、納税義務者のほかに特別徴収義務者ももう一つ出て参りますので、従って罰則規定が一般的な問題と二つ重なってくる。こういうことになりますので、規定の上では多少見苦しいという姿をなしておるわけでありますが、実体的には特に罰則がきついということがなくても、こういう面で一そう見苦しくなってくるということは言えると思うのであります。
  63. 森下政一

    森下政一君 もう一点だけ。衆議院地方行政委員会で、大阪府の播磨税務部長ですかの公述しておるところによると、府県当局としても、免税の証明の発行申請があった場合に、これは果して免税していいものかどうかということの判断はかなりむずかしいということを、取扱い上困るということを言うておるのですが、私実際その衝に当る者としてはそうであろうと思うのです。それでいろいろ税法であなたは見苦しいという言葉を使われたが、罰則規定とか何とか作っておっても、必ず横流しという現象が起ってくる、あるいはいろいろな疑獄めいたようなことが起ってきはせぬかと、そういう憂いがあるのじゃないか。そういうふうに多分に憂いのあることが初めから予想されるようなものはやめた方がいいのじゃないか。そういう憂いがない、また不必要な罰則なんかを規定しなくても済むというふうな、すっきりした形にすることの方がはるかにいいのじゃないかという考えがあるのです。なぜ、こんな目的税にしたばっかりに、そして一部に免税のものがあるということのために、いろんな場合を予想した税法を作らなければならないという道を選ぶかということですね。これはその必要はないのじゃないか。こんな道を選ばなくても目的を達することはできるのじゃないか、こういうふうに思えるのです。この点いかがでしょう。
  64. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 大阪の税務部長が免税の取扱いにつきましていろいろ心配しておりましたのも、これももっともなことだと思うのであります。従いましてまた免税の取扱いにつきましては非常に苦心を払っておるつもりでありまして、免税の範囲もかなりしぼっているわけであります。しかもまた漁業でありますと、漁船のエンジン用でありますから何馬力のエンジンであるかというふうなところからある程度消費を推定できると思います。農業用の関係でありましても、農業用の機械を指定しているわけでありまして、そういう機械を何台持っているか、その台数に応じまして免税証を発行していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。でもとより政務次官からもお話がありましたように、一律に課税をいたします方が税務行政上はすっきりして参るというふうに思います。しかしながら軽油税というものをどういう性格の税に考えていくか、いろいろ考え方はあろうかと思うのであります。しかしながらたとえば鉄道軌道の上にディーゼル・エンジンが走っている。そのエンジンに使う動力であります。動力になぜ課税をするか、あるいは漁船のエンジンあるいはまた農業機械のエンジン、その原動力になぜ課税をするのか、なかなか私は実際問題として納得がいかないのじゃないかというふうに思うのであります。やはりどうしても道路との受益関係、現に揮発油税なり地方道路税なりが目的税ないし目的税的に運営されて参っているわけであります。道路がよくなればやはり業者も利益してくるのじゃないか。また自動車が道路をこわしてきているのじゃないか。そういうようなことから、要するに道路の使用分量は揮発油の消費分量によって表現されていくのじゃないか。従って揮発油に課税していくこと、あるいは軽油に課税していくことが道路の損傷度合、あるいは将来の利益工合ということに比例してくるのじゃないか。こういうところに私は初めて課税の一つの意義が見出されるのじゃないかというふうに思うのでありまして、非課税の範囲を設けることは非常に複雑でございます。複雑でございますけれども、反面また全面課税ということについても意義が見出しがたいのじゃないか。また揮発油との間に課税上の均衡問題があるのじゃないか。また日本の道路が非常に悪いのじゃないか。いろいろ考えて参りますと、やはり現在政府案として考えておりますような格好に落ちつかざるを得ないのじゃないか。もちろんそういうことでこの案を決定いたしたわけでございます。
  65. 小幡治和

    ○小幡治和君 運輸大臣にお願いするのですが、さっき小林委員からいろいろお説もあり御質問もあったのですが、私はむしろその目的税としてこういう措置をやってもらうことが必要じゃないかという気持を持っておるのですが、実際の運営上を見ますと、道路とそれから自動車というものが競争している格好になっている。それで大体これぐらいな道路ならば一般の車で大体いいといって道路を作っておる。そこへ自動車というものが最近非常に大型になってきている。非常にまた馬力が強くなってきている。そういうわけで普通これならばいいものが、自動車の工業の方がどんどん発達するものですから、それに追いつかせて道路というものがさらに整備していかなければいけないということになっておる。それからもう一つは最近バス事業なんかで普通の車のバスならばこのトンネルは通れる。しかしそれを国鉄バスなんかにもあるのですけれども、非常に経営の合理化ということをやって、そして小さな自動車を二度走らせるよりは、むしろ大きなバスを一度でやった方が経営上、得だということでやっていることだろうと思うのです。そうすると結局そういう大きなバスを作るということになるとそのトンネルをくぐれないということで、それをやるためにトンネルを今度は広くしていかなければならない。そうするとほんとうのバスというものの大きさが、どんどん大きくなるということだけのために、トンネルというものを大きくしなければならない。そういう場合に、それでは国鉄バスでどれだけそれを負担してくれるかというと、さっぱり負担してくれない。そうすると今度はおれの方はバスの大きさを大きくしたのだ。そっちの村に行くのにこのトンネルは通れなくなったから今度はそっちの村には行けなくなったということを言われれば、どうしても地方庁としては相当な金をかけてこれをやらなければならぬ。そうすれば直ちに、バスが大きくなったということのために、そういう意味において今の道路の整備状況というものと、それからパス、トラックがどんどん大型になっていくというものとの歩調が合わないのじゃないかという気がしておる。われわれは、もう少し道路というものが全面的に整備されるまでは、自動車営業の方があまりとっぴに大きく改善されることは、ある程度制限しなければいけないのじゃないか。たとえば府県別にでもある程度制限しなければいかぬというぐらいのことを思うぐらい、自動車の方が発達し過ぎておる。そういう面で道路というものがうしろからしりをたたかれる格好になっておる。そういう面はどうしても目的税としてやはり自動車業者の人たちに負担してもらわなければいかぬ問題じゃないか。たとえば軌道なんかの問題は、これは同じ軌道を走っておるからそれほどそれが改善されたって別にどうということはないが、道路を走る自動車は、自動車が現在の道路、普通ならそれで間に合う道路を、ただその自動車、トラックなりバスなりが大きくなった、また馬力が非常に強くねったということのために非常に道路が損傷する、あるいは今まで通れた道路が通れなくなるということでまた改良しなければならぬというものが出てきますと、これは当然なことじゃないか。そういうふうに考えてくると、結局バスやトラックが大きくなるということは、これは営業費を少くすることですから、先ほど伊能次官が言われましたが、今度この軽油税によってすぐ直ちに、何割かというものを運賃値上げしなければならぬという計算にはなってこないのじゃないか。むしろそういう営業費というものを少くしたからこそ道路というものを広げさせる、直させる、それの負担をするということは当然なんじゃないかというふうに私は見ておるのですけれども、その点について大臣はどうお考えになりますか。すぐこれが運賃値上げになるということは私は考えられないということと、それからもう一つはある程度の地域、ほんとうのいなかなんかの所は、国鉄バスにしろ何にしろ大きさをあまり無制限にするということを制限してもらいたいということが、一体できないものかどうか、この二点をお伺いしたい。
  66. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) 第一の点、先ほども申しました通りこれだけの税が高くなったからといって数学的にすぐそれ炉はかられるものじゃない、今申しましたように十分考慮しなければならぬと考えております。  それから第二点の、車体の方の技術上の進歩によって大型になるということ、これを放任していいかどうかということ。これは放任していいとも言えないし、さればといってこれを規制するのだといってもなかなかむずかしい問題である。実はこの問題についてお話が出ましたから簡単に申し上げますが、それ以外にも車体が大型化したという意味だけでなしに、やはり道路運送というものの国鉄に対する競争の関係というものが、全国的に今や顕著になって参りました。そこで一体運輸省として交通行政を担当する場合に、この国鉄というものと道路運送というものをばらばらにしちゃいけないわけです。しかしそれを今二つは持っておりますけれども、ただ持っておるのは、両方の手に別なものを持っておるというのが現状なんであります。その二つの行政を有機的にどうするということはまだやっていないわけでありまして、これはしかしどうも実際私も日が浅いのですけれども、府県単位にバス営業のできている所が多うございまして、これはどうしても全国的なやはり統一的な行政の網をかぶせないと僕はいけないものじゃないかと実は考えたのです。しかしこれは非常に業体も企業の数も多いのでございまして、今の現状でさればといってどこからどう手を付けるかということがなかなかできかねるのでございまして、私のただぼんやりした考えでは、取りあえずやはりこういうものは全国幾つかの区に統合しまして、一つのまず前提として、民間業というものの合併といいますか、統合といいますか、大規模の企業体というものがまずもってできなければいかぬものだ。その上に立って国が今度は今言ったような全体のことを統一的に考える。その場合に車体をどの程度にするか、今のお話のありました通り、もし車体が大きいために、たとえば国道なら問題ないでしょうけれども、県道なんかについてそういう問題ができたら、その負担をどうするかというようなこともどうしてもこれはきめなければいかぬ問題だ、こう考えております。直接の答弁にはなりませんけれども、しかし非常なそれは重要な問題であって、しかも緊切な問題であるということは私も気が付きまして、しかし何とも手がつきにくいものですから考えておる、こういう現状でございます。
  67. 小幡治和

    ○小幡治和君 今の鉄道との問題ですが、今のバスの問題じゃなくて、長距離トラックというやつが今非常に発達してきている。それでこれを無制限にやっておれば、だんだんこのトラックというものが大きくなってきて、ほんとうに地方の道路の性質に合致しなくなると私は思う。そういうようなものは、国家的に長距離のものは鉄道でやらせて、そして短距離のものだけトラックでやらせるというか、そういう規制というものを一つ考えていただかないと、今大臣の言われたように、鉄道と競争してトラックがどんどん長距離輸送で大きな規模でやられたら、今の道路というものは全面的に金かけて直さなければならんものが大へんなものだと思う。その問題を一つ考えいただきたいのと、もう一つ大きな問題じゃなくて地方の小さい問題ですが、先ほど申しましたように、村へ入るというときに何もそんな所を大きくしなくたっていいのです。まあこれは民間バスは別ですけれども、国営バスなんか大きくしなくてもいい。それを大きくしてそしてそのトンネルに入れぬからそいつを直せ、また直せなければそこへ行かないというような難題を申し込まれることは困る。その地方民としてはどうしても来てもらわなければいかぬというから広くする、そのときに国鉄当局としてどれだけ負担するかというとほとんど負担しない、実に横暴きわまる。そういう意味における負担というものを一つ考えていただきたいと思うのですが、それは大臣として規律できませんですか。
  68. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) よく一つ考えまして、くわしいことは政務次官の方がくわしいと思いますから。
  69. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) さいぜんの車の問題と道路の関係についてのお話がございましたが、この点については、政府部内におきましても建設省当局運輸省で数次にわたって協議中でございまして、ただ、バス並びにトラックにつきましては、単に国内的な問題だけではございませんで、国際的な輸出規格もございまして、東南ア等におきましては、アメリカもしくはヨーロッパの自動車と販売競争も相当やっておりますような関係上、どうしても大きくなりがちでございます。まあ特殊な、今御指摘になりました国鉄バスがとてつもない大きいなどというのは、おそらくトレーラー・バスなんかは、東京都内を走っております、中央線、杉並地区から東京駅まで参りますトレーラー・バスなんか最も大きなものでありますが、その他は大体六十人乗りというものを限度に考えておりますので、ああいうトレーラー・バス以外については特に今後大きくなるとも私ども考えておりませんが、一般的傾向としては御指摘のように大きくなっている。そこで道路の規格と車の大きさという問題につきましては、御承知のように路線バス、路線トラックについては、これは明確な規制ができると思うのでありますが、一般トラック並びに観光バスあるいはその他の自動車等については、発地から着地が定路線になりませんために、どこへ注文に応じて行くかわからん。そういうものについては、現状においてただちに道路と車両の関係をいきなり規制するということは非常に困難である。従って一応現状を基準として今後逐次道路上の車両運行の制限をして行こうじゃないかということで、私ども建設省とは話し合っているのでありますが、この点は非常にむずかしい問題であります。  それから第二段の国鉄バスについて御指摘がありましたが、これは国鉄当局は道路をよくしてその上へ国鉄バスを通すというので、民間の業者は道路負担金もしくは協力費等相当とられておりますが、国鉄バスだけについては、各府県において自分の方でこの道路は県道であるがまだ規格が悪いので、ここのぜひ道路は、自動車を通したいという国鉄の希望、並びに一般の地方民の希望がありました際には、相当額の道路整備協力費というものを国鉄だけは出しております。これは毎年予算相当額計上せられておりますので、国鉄については逆に一般の府県からは喜ばれており、地方の民間バスは道路負担金とか協力費という面で税金以外にいろいろな負担はいたしておりますが、その面の調整は、どういう具体的な事例がございましたか、私御指摘いただけば調べても差しつかえないと思いますが、どちらかといえば、国鉄の方が道路の直接の共同負担の面においては多いわけでありますが、そんな寒村の地方へ大きなバスを通すというのは、観光バスもしくは特殊なトラック以外にはあまり例がないと思うのでございますが、具体的な事例によって調査をいたしてみたいと存じます。  それからもう一つ。自動車の道路損傷の面では、これは数はたいしたことはありませんが、この頃は自衛隊等の特殊トラックが、キャタピラのついたものや三十トン、四十トンの米軍並びに自衛隊のああいう大きなものが通るということが非常に大きな影響がありますので、これらについては建設当局その他でも非常に苦慮している。その影響をそれじゃ自動車業者だけがこうむるということは、非常にわれわれとしては迷惑千万と考えております。
  70. 小林武治

    小林武治君 要するにこの問題で一番困るのは免税のものが非常に多いということでありまして、これは結果的に申せば、政府がまたわざわざ統制みたいなことをして、そうしてそのいろいろの財源をつくる、こういう結果になるのでありまして、私はある程度それはとることを全然反対するのじゃありませんが、とるならむしろ庫出税のように国税としてとって、そうしてこれを譲与すれば一番めんどうがない。われわれに対する陳情もほとんど免税が問題になってきているのでありまして、なぜこういうめんどうなことまでして、そうして地方に財源を与える。これは自主的なようなものであって、しかしそのために世間にも非常に大きな迷惑を及ぼす。それで県庁の役人も免税の申請があれば、これをほとんど書面審査で認めなければならんというふうな格好になっておって、私はまた先ほどお話があったように、こんなことのために汚職とか疑獄という問題が起きてくると思うのでありますし、また軽油の取扱い業者も非常に迷惑する。ガソリン税に現に例があるのだから、今のような庫出税でもっておやりになったらよかったのじゃないか。こういうふうに思うのでありますが、私は、目的税にしてしかも今のような地方税にしたということが、非常に誤まりだということを重ねて申したいのでありますが、今の地方の県当局等が適当に免税切符を出せる、こういうふうに甘く自治庁当局考えておられるわけでありますか。
  71. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) たとえば農業でありますと、農業用の機械を政令で指定することにいたしておるわけであります。その機械の種類と台数に応じまして、年間の軽油消費量というものは、大体推定できるのじゃないかというふうに思っております。そういうふうな形において、免税証を発行して参りますし、もとよりそれで不足でありますならば、実際の消費に応じまして免税証をさらに交付をしていくわけであります。追加交付をしていくわけであります。そういたしますと、自然これらの免税証自体が横流しになりやしないだろうかという心配が持たれますが、先ほど申しましたように、販売店と消費者との間にルートをつけていくことによって、免税証をかき集めてみても、その購入先がそれぞれ食い違っておるのでありますから、あまりそういうような違反行為もやれないのじゃないかというふうに考えておるわけであります。そういうような仕組みを講ずることによって円滑に運営する努力をしていきたい、大体今考えておりますような構想によって、混乱というようなことを予想しないでやれるのじゃないかというふうに思っているわけであります。
  72. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと申し上げますが、参議院の運輸委員会から、至急に運輸大臣出席を私の方に要求してきております。なるべく早く運輸委員会運輸大臣の御出席を取り計らいたいと思いますので、小林委員の御要求によって、特にきょうはいろいろな関係があったにもかかわらず、運輸大臣に御出席を願っております。ぜひ一つ運輸大臣質疑を先にお済ましを願って、あと質疑にお入り願いたい。
  73. 小林武治

    小林武治君 それなら一つ私は運輸大臣に注意しておきますが、私がここで述べたことによって、税が不適当である、また過大である、こういうふうな印象をお持ちになったか、こういう点を一つお聞きして、もしそれなら、今後運輸当局としてもなすべきことがあろうと思いますが、私はこの税はきわめて不適当である、また初めての税としてはきわめて過大である、そしてこれは一般課税にすれば、われわれ聞くところによれば、最初三千円で済むと、こういうふうなことも聞いておりますし、これは別の面から言えば、こういうふうな目的税にしたために、自動車業者だけが過大な負担をする、こういうふうな結果になった、われわれの希望するところはこれは一つ国税に直したらいいじゃないか、こういうことを考えておりますが、いかがお考えですか。
  74. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) 今お話の点は、これは政府部内でこれをきめるときにいろいろ出ました。私もよく承知しております。あまり内輪の楽屋裏の話を、ここで大っぴらに申し上げるのはどうかと思いますが、よく承わっておきます。
  75. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大臣御退席になられるようですから、私は聞く機会がないからお尋ねしますが、小林委員の最初の質問に対して、やむないとして了承したということです。しかしあなたは運輸大臣として、道路交通の確保なり発展なり、そういう方面を所管なさる方で、地方財政に対しては責任のないお方なんです。ところが地方財政の窮迫しているという事態があって、やむなく了承したというのです。それであなたの方の専門的な所管からすればどうなるかということをお伺いするのですが、今日ガソリン税あるいは地方道路税というような地方税ですが、そういうようなもので、それらの自動車運送の方の業者の道路の損壊なりあるいは利用なりに対して負担している部分は十分だということではなくて、また軽油引取税で六千円のそれで負担する分が妥当である、運送業者としてそれだけのものを出すことはもう妥当である、まだまだ道路の整備その他に業者から出してもらわなければならぬところなんだけれども、これくらいのものは業者から出してもらっても、運賃にも影響もないし、営業上も影響がないし、まあ仕方ないところなんだ、こういう考えなんですか。率直い尋ねます。
  76. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) 今まで取っているので足りなくてというほどのことは実は考えておりません。ただ運輸大臣ではありますけれども、一つの国務大臣として、地方財政というものをどこでどういうふうに調節するかということもございましたので、ただ運輸行政一点張りにこの問題をきめるというわけにもいかないし、それからまた将来の問題として、とにかく目的税ですから、従来目的税が適当にその目的に使えないといううらみがあることは、私も承知しておりますから、今度はそういうことがないように、せっかく相当多額の税を取るのですから、道路の方に向けてもらう。そのことがすなわちバスその他の道路運送というものに対して、究極するところ利益になるだろう、こういう見地でここに提出した。こういういきさつであります。
  77. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 国務大臣として閣議に列席して、地方財政一般についてお考えになられる点はわかります。しかしそれをよろしいとされる、それはやはり運輸大臣としての職責をもって、行政長官としての職責をもって、なおまたよろしいとしている、それで、所管上のことにこの問題が振りかえって考えられる場合には、こういう自動車の運送業者の税負担というものが、道路の事業等から見て適正であるかないか、あるいはその業者の営業上、国民一般に影響を与える運賃の値上り等を来たさいなで、これは企業の合理化とか、経営内容の刷新というようなことでやり得るのだ、そうしてまたこのくらいのものは当然出すべきであるというそのお考え等が全面的にあって、御決定になられるというのが私は正しい、と思う。あなたがさつきから言っているように、地方財政もあれなんだから、国務大臣として考えざるを得なかったと言いますが、そういう場合考えるのには、何か軽油引取税という運輸省関係のものにばかりぶち当って責任を負わなければならない問題でもないのですから、一般の国税の上からそれは論ずればいいことなんで、私はそういう意味のことでは聞いていない。で、端的に伺いますが、この程度の軽油引取税六千円というものが、自動車運送業者の負担となることは、今の道路の改良あるいは改修というような面の負担としては、至当な限度であるというふうにお考えですかどうかということなんです。
  78. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) まあその至当かどうかという標準もいろいろそこに問題があると思いますが、これはやむを得ないのだという程度に考えたと、こういうわけです。
  79. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると本法は自動車局等から出ている通りにこれは反対なんだ、そういうこともあるが、政治情勢上やむを得なかったのだ、運輸当局意見はと、開き直って聞かれたら、こんな税はやめてもらいたい、望ましくない、そういうことなんですか。それですから先ほど申し上げました通り、もっぱら運輸行政からいえば、税は安いほどいいし、ない方がよろしい。しかしですね、しかし全体から見て、それは運輸省だけの考えじゃございませんけれども、地方財政というものを再建するために、全体から見てこの程度のものをやると、そのことが道路運送というもののために、結局目的税ですから、その方にやってもらえれば、結局はいわゆるバス業者その他の方が利するだろう、こういう見解でこの程度のものはやむを得ない、こう考えたのです。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これはもう、自治庁事務当局あと質問して資料は出してもらいますが、一般財源で道路費をまかなっておったものが、ガソリン税で——。この道路整備五カ年計画でやってきてから、じゃあそれが一般財源にプラスしてガソリン税財源というものになって道路費が出ているかといえば、そうではなくて、そのガソリン税をもって、一般道路に充てるべき財源というものが肩がわりされて、抜けておるのですよ。しかもさっきから小林委員も言っておる通り、整備五カ年計画で地方そのものに初めから渡す部分の金も、その金自身が道路財源として使われなかった都道府県があったんです「事実としてあったんです。それでなおこの軽油引取税というもので何億出るんだということになれば、その何億という金が従来の道路費にプラスされて道路の改良、改修というのが行われるのではない。その分の目的税としての財源が投入される分は、一般財源が抜けていく。当然国民のために——自動車だけでなくて国民のために必要であるとする一般財源の方が少くなってくる。しかも傾向としてはこういう目的税がガソリン税、軽油引取税二つとも出てくれば、この自然増収をもってだけで道路費に充てるという傾向が将来には出てきて、目的税がちゃんとあるのだからその中で始末すればいいことで、一般財源まで投入する必要はないのだ、建前はそういうふうにいくのだというふうになっても、どこからも文句の言いようがないのです。逆に突き詰めて申し上げておくと、積極的に道路費というものに一般財源を投入するほど地方もまた協力をしてもらえるということなら、これらの目的税というものは非常に効率を発揮すると思いますけれども、単に一般財源に肩がわりされ、あるいはその道路財源としてはガソリン税並びに軽油引取税だけを代替体にしてやるのだということに惰性でなっていくようになったら、運輸大臣のおっしゃるようなことは水泡に帰する。傾向はそうなんですから。だから運輸大臣のお見通しというもの、道路の改良、改修ということのお見通しというものは甘いと思わざるを得ない。これについて、あなたはいやそうでなくやらせるのだと言うたところで、何ら保証がない、地方のやることですから。どうなさるつもりなんです。
  81. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) いろいろなお話で、せっかくこれは目的税にしても何にもならないのだということであると、これは私も大いに考えなければならぬのですけれども、私はとにかく自治庁長官との間には目的税であるからその方にいかなければならぬのであって、道路の改善になるのだと、そういうふうに今度は善処しようということで、この税というものについて同意をしたということは、先ほど申し上げた通りでございまして、今お話のようにそれが実際そうであるかないかということは、これは事実問題ですが、これは一つ自治庁の方から、私はそういうふうに了解していないのですけれども、もし私の了解が非常に甘くて、非常に違っているのだということなら、自治庁の方からお聞き願います。
  82. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは最後に一つだけ伺います。  そうしますと自治庁長官との了解は、今の一般道路費にプラスされてこの財源が使われるのだ、積極的に。そういう御了解ですか。
  83. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) そこまで今現実に抜けているか抜けていないのだかということまでは、私は話しておりません。ただ今度の目的税というものは、どうしても今までは目的税と言うてもそれに使われないうらみがたくさんあったということを聞いておるものですから、そういうことがあっちゃ困る。今度のやつは現実にことごとく道路の方に向けていかなければならぬのだ、そういうふうに特別に考慮を払おう、こういう話し合いをしたわけであります。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 貨幣にはしるしがついていませんから、たとえば三億なら三億軽油引取税で取った、収入があった。しかし道路費は十億かかっておる。そういう場合には、形式上それは流用しないで使ったのだ、道路費に入っていると言われればそれまでのことです。ところが従来はそういうものを取らないでも、十億なり十一億なり使っておった。それに、金が総体としては入ってきたという計算になって、一般財源がそれだけ他に引き上げられて使われるのです。だからこれは道路財源だとは言ってもそうではなくて、今の地方財政の赤字補てんであります。窮迫のためにプラスする財源だという方が正しいのです。あったってなくたって道路費は設定しなくちゃならぬのですよ。程度の差はあったって地方の満足するだけの最低の保障はしなくちゃならぬのですから、こういう軽油引取税があってもなくても。だからこの軽油引取税そのものは目的税だ目的税だというけれども、大きな立場で言えば地方の赤字補てんのための財源だと思うのです。そういうことだけになることで運輸当局は御了承になっておるのですか。私はそういう意味からプラス・アルファーとしてこの金が道路費として使われるということなら、はっきり目的税とも言い得るだろうけれども、そうでない使い方ならば、運輸当局が期待しているようなものではないのだということをあなたに申し上げる。
  85. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) そのプラス・アルファーかどうかということは私もよくわかりませんが、ただ私の思うには、従来道路のために幾らか金を使っておったと言うても、それはしかし将来同額もしくはそれ以上のものは必ず出すという保証もないわけでありますから、それだから必ずプラス・アルファーであって、今までのものは必ず出すものは出すのであって、プラス・アルファーというところまでには私はちょっと考えにくいのですけれども、しかしとにかくこれは道路というもののために使うのですから、この金は。それだからそういう了解ですから、私は自治庁の方としては何らかの措置によってこれが有効に道路の改善のために使われるものだということを固くいまだに信じておるわけであります。
  86. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 非常にくどいのですけれども、ここは将来の運用上重大なことですから伺うのですが、そうすると従来は道路費にさまざま国からも補助なりその他の形式で行く金もありますが、一般に道路費としてかりに百億なら百億予算面に出ておるというものが、このガソリン軽油引取税が出て、それの全額でなくとも、百億前年度であったならば、今回は税が二十四億なら百二十四億をやってもらいたいが、しかし百十億でもよろしい、百十五億でもよろしい、この税が設定されたに件う道路費の増という形で出てくべきものだというお考えだけは、運輸大臣は堅持しておられますか。
  87. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) 私はそう考えておったのです。ただ、今のお話しの、それはまあ言う必要もないのですけれども、百億なら百億は、必ずその来年も百億だという必ずしも保証はないのですけれども、大体今まで使うものあるいはこういうものが出れば若干その肩がわりするということもあり得るでしょう。しかしながらともかくこれに対して取った税というものは道路というものは道路というものの改善のために使われるものだ、こういう了解でそういうことをまたお願いをして、これにまあ同意をした、こういうことです。
  88. 加瀬完

    加瀬完君 大臣に伺いますが、さっき小林委員質問の中に、今問題になっております軽油引取税あるいは固定資産の納付金、こういうものの支出に伴って、運賃値上げが問題になってくるというふうな御説明があったように伺ったのでありますが、この点念を押してもう一度伺いたいのでありますが、軽油引取税あるいは固定資産の納付金の平年度の支出総額はどのくらいになりますか。そして、これの支出方法は現在どのようにお考えになっておられますか。
  89. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) お答えいたしますが、今の問題は、国有鉄道と民間の鉄道会社、あるいはバス会社を分けて考えませんと……。
  90. 加瀬完

    加瀬完君 国鉄関係だけでけっこうです。
  91. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 国鉄関係だけでありますと、本年度は、御承知のように、下半期予定徴税額の二分の一、三十六億ということに相なっておりまするし軽油の方は、現在千三百両ないし千四百両国鉄がバスを持っております。ディーゼル動車その他は非課税対象でございますから、これは税金はかかりませんが、バスの千三、四百両のうち、約六割は国鉄においてはディーゼル動車だと存じますので、これは相当の私こまかいことはここで記憶しておりませんが——相当の課税になると思います。二億と聞きましたが、かなりの多額に税金を取られる、かような状況になっております。
  92. 加瀬完

    加瀬完君 それは平年度になりますとさらにふえると思いますが、それだけの支出を現在の経理の中でまかなっていける額は一体どのくらいで、あるいは運賃に転嫁しなければどうしてもならない額はどのくらいであるか、このあとの方の運賃にどうしても転嫁しなければならないという額、あるいは転嫁しなければならない理由、それらについてもう少し御説明願いたいのです。
  93. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 加瀬君に申し上げますが、大臣いなくてもよくはないかと思いますが、いかがですか。
  94. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 大へんむずかしい御質問で、今頭の中ですぐお答えをするには資料がございませんが、御承知のように国鉄の予算の算定というものは、根本の問題として、今タコの足を食べているように、償却期限というものを、耐久年限を延長しておりますので、第二次再評価の観点から言えば、本年度においては大体ほんとうにやりたい仕事を工事費に計上するためには、千二百億もしくは最小限度千億ぐらいの金が必要である、かように考えておりましたが、本年度の予算では五百五十億程度しか予算上計上されません。従いまして、そういう問題について、国鉄の経理当局から、今のお尋ねの点については一度計数を明らかにして資料で御答弁した方がよかろうと存じますが……。さよう御了承いただきたいと思います。
  95. 加瀬完

    加瀬完君 詳しい資料は、今伊能次官のおっしゃられたようにあとでお示しいただくとしまして、結局、今問題になっておりまする地方税関係の支出に伴って、どうしても運賃を上げなければならない、あるいは上げるという前提で、軽油引取税あるいは納付金といったようなものを御承知になられたのか、この点をはっきりさせていただきたい。
  96. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) そうじゃございません。先ほどもどなたか言いました通り、国鉄の全体の予算の収支から申しますと、平年度にいたしましても六、七十億だけの今の固定資産税に見合う納付金の関係でございますから、それがあの大世帯の上においてすぐに運賃にそれだけはね上りがあるというほどまでには考えておりません。今いろいろ国鉄の経営というものの合理化の面を考えております。ただ、鉄道運賃の値上げというお話が出ましたが、今の納付金の関係だけについては考えておりませんけれども、私は自分としては、国会でも機会あるごとに申し上げておりますけれども、やはり国鉄というものが、今の公社の形、自主経営の形をするものなら、どうもあの経営の現状から見れば、若干値を上げるのが当然だと私は思っております。ただ、鉄道の運賃の値上げというものは、ほかにいろいろ関係がございまして、また世間には理屈のいかんにかかわらず値を上げちゃ困る、こういう論も相当強いのですから、それで、今度の内閣の予算案のときにおいてはそれを考えないのですけれども、しかし、いつのときにか、いかなる程度にか、いかなる方法においてか、やはり私はそういうものを考えませんというと、国鉄の自主独立の経営というものは立っていかないと思う。端的に申せば、こういうことをして、運賃を値上げしないで、今日の現状のままなれば、これはインフレの要因になると思うのです。莫大な工事費を使うのですから、それを運賃という収入をもって巻き上げないということになれば、それがすぐにインフレになるということは言い切れないのですけれども、いろいろな原因でインフレというものは参るものですから。インフレの要因になるということは、これは私は経済学の通論だろうと思う。ですから、私の信念としては、若干上げる方が国鉄というものの経営のためにはよろしいのだということは思っておりますけれども、ただ、今申しましたような状況で、非常に複雑でございまして、いろいろ心理的の問題もございますから、私は今度の年度においてはそれは考慮しない、こういうことを申し上げておきます。それですから、納付金のことにつきましても、それだけ納付金をやるから、すぐ運賃値上げするのだということには考えておりませんが、その程度のものは、私はできるなら経営の合理化というものによって、その程度だけの問題としたら生み出して、運賃の値上げまでは、その程度のものとしては持っていきたくないと考えております。
  97. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 運輸大臣大へん御苦労さまでございました。
  98. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 目的税の問題が非常に問題になったあとですが、同じ目的税の中で、地方制度調査会からの答申によれば、消防施設税というのを取るべきであるということになっておる。この方はなぜ落したのか、その理由をまず早川政務次官から伺いたいと思います。
  99. 早川崇

    政府委員(早川崇君) 当時すでに保険会社が消防のために納付金という形で寄付金を納めておりますので、この上は、特に消防施設税というものを取らないで収入が予定されている程度上がるかと考えましたので提案いたさなかったのでございます。
  100. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 その納付金というのは、今まで、二十九年度でも三十年度の実績でも、どのくらい出しておって、それをどういうふうに使われておったのか、説明できませんか。
  101. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 正確な数字は今覚えていないのでありますが、たしか数千万円程度のものだと思うのでありまして、都市に対してポンプの購入費の補助として与えておったように承知しております。
  102. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 それは国から出している補助金をどういうふうな使い方をしておったのですか。
  103. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 消防に出しております寄付金の配分に関しまするたしか委員会を設けておったと思いますが、そして国の補助金と必ずしも直接の関連はなかったのじゃないかというふうにも思っているわけであります。消防施設税を結局設けませんでしたのは、この間も大臣もお話になり、また政務次官お話になったのですが、要するにそういう話は政府部内で結論を得る段階に至らなかったということであります。
  104. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 その関係主税局長あるいはほかの大蔵省政府委員あるいは説明員で、もっとよくおわかりの方があったら御説明願いたい。
  105. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 一つの御質問は消防会社がどれだけの金を拠出していたかという御質問ですが、これは大体三つに分けて一応金額が出ておりますが、一つは消防施設の寄付金、これは主としてボンプとかそういうものを買って寄付した、それから協力費、これは消防協会に対して寄付した、それは消防協会が消防関係のためにいろいろ事業をする、そのための寄付金、府県が消防のためにいろいろ防火講演とかその他の宣伝をするための金、この三つに分けて一応いろいろ寄付をしたのですが、その数字が一応わかっておるので申し上げます。横に申し上げた方がいいと思いますが、二十七年には消防施設のための寄付金が二百四十七万円、それから消防協会への寄付が千十六万円、それから予防宣伝のための府県に対する寄付が千百六十一万円、この合計が二千四百二十六万円、二十八年は第一の項目が二千七百八万円、第二の項目が千百七十六万円、第三の項目が千七百五十万円へ合計五千六百三十六万円、二十九年度は第一の項目が五千二百四十八万円、第二の項目が九百四十五万円、第三の項目が千七百八十一万円、合計七千九百七十五万円、三十年度は第一の項目が三千八百五十二万円、第二の項目は二千五百四十七万円、第三の項目は千七百六十一万円、合計八千百六十万円、本年度につきましてはまだ具体的にはっきりきまっておりませんが、合計でいうと大体一億円くらいを予定しております。なおこのほか損害保険会社の協力といたしましては、消防債の名前によりまして二十九年度に消防の起債に応じた額が三十年度は一億三千万円、これは本年度は最終決定には至っておりませんが、約二億円を予定しておる、こういう数字でございます。
  106. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 消防施設と火災損害というものは常識的に言えば反比例する、こういうふうに考えていいと思う。ですからそういう意味から消防施設に対する保険会社の負担というものは、これはもう諸外国でもあるいは税の形であるいはそういう寄付金の形で納めている例が非常に多い、特にロンドンの消防なんていうのは火災保険が始めたと言われておるくらいです。その程度の火災保険の負担で現在の発達した消防に対して貢献していると言えるかどうか、その点について主税局長の御意見を伺いたい。
  107. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在におきまして今申しました程度のことをやっておりますが、これで十分であるかどうかという点につきましては、これはいろいろ議論があろうと思っております。保険会社といたしまして、これは主として銀行局の所管でありますが、一応消防施設が改善されまして、それによりまして損害の率が減りますれば、結局保険会社としては非常に有利になるわけでございますから、その意味におきまして、消防施設の改善につきましては、保険会社としては応分の協力をするということは、これはまあいわば保険会社のためにもなることであり、われわれは積極的に考えるべきじゃないか。ただ消防施設税の問題につきましては、大蔵省としましては、実は反対の態度をとったのでございますが、考え方の基礎といたしましては、こういうことを実は考えているわけでございます。現在の保険料率は、御承知のように過去の損害率を元にしまして、そうして事業量を考え、同時に営業費を考えまして保険料率がきまっていく。しかし現在の保険料というものは何と申しましても、私は銀行当局でありませんけれども、いわばしろうとの考えですが、高い。これはもっとどんどん下げていくべきじゃないか。これは大蔵省としまして二十九年十月、三十年四月、三十年十月、これはものによってやった場合がありますが、非常に逐次、最近のデーターをずっととりながら保険料率の引き下げをやってきております。それで将来も保険料率のさらに相当引き下げに大いに努力すべきであり、やっていくべきじゃないか。従いましてそういったように最近の損害の率をやはり考慮に入れながら保険料率をどんどん引き下げていくという努力をまずすべきじゃないか。そういう場合におきまして、今度最近の損害の率ということになりますれば、結局消防施設の充実というものと結びつけながら、そのうらはらとしてこういうものが出てくるわけだと思います。これが保険料率がある程度固定した姿になる時期でありますれば、消防施設を改善しただけ保険会社自身がそれだけ有利な立場に立つわけで、当然そこに施設の改善に対しての利益が保険会社に出るわけでございますから、従ってそれに対してどうかといった問題があるわけでございます。しかし最近のように保険料率を下げたい、最近の実績においてどんどん下げていきたい、こういうことに考えております場合におきましては、もし保険税のような格好のものが入りますれば、やはりこれを保険料率の計算の基礎にどうしても入れなければならない、こういうことになるように思うのでございます。そういうことになりましてどうも保険料の引き下げが保険税のためにある程度チェックされる。あるいは十引き下げられるものが五の引き下げに終るということになりますれば、結局保険税というものが保険料を負担する人の負担ということになるのじゃないか。消防施設そのものを改善することは、これはやはり一般的に住民がその利益に浴するものである。保険料を支払う人だけが特別に大きな負担をするということになるのはちょっとおかしいのじゃないか。まあそういったような考え方がわれわれの方にあるものでございますから、あとからあとから保険料率をできるだけ改訂しながら引き下げていきたいという努力——その機会に保険税を取るようなことになりますれば、どうしても保険税の額だけは保険料率の引き下げの場合に考えなければならない。そういうことになれば、いよいよ保険料を支払うものだけが特別に負担する、それはどうもおもしろくないじゃないか、そういうような意味におきまして、われわれは遺憾ながら保険税に賛成できないということの意思表示をいたしました。ただ、先ほど来申しておりますように、消防施設が改善されることによりまして、起る損害の率が減れば、これは当然保険会社自身にそれだけ有利になるわけであります。保険会社といたしましても、そうした火災事故のできるだけ起きないようにあらゆる協力をするというのは、これは当然のことであるというふうに考えられます。その意味におきまして、保険税といったようなそうしたものでなくて、さらに別途そうした寄付のような名前の形におきましてそうした方面に協力する、あるいは消防債の形において協力する、これは積極的に大蔵省としても考えたい、かように考えております。
  108. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 本年はもっとその納付金を増加させるようなお考えはありませんか。
  109. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) その点につきましては、将来そうした寄付金なり、あるいは消防債の増加につきましては、大蔵省としても会社の方とよく話し合って、これを増額する方向に向うように努力したい、かように考えております。
  110. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 料率を下げることに努力することはもちろんですが、今の火災保険会社の経営というものは、まあ聞くところによると、かなり放漫な点もあるということをずいぶん聞くんです。そうしてしかも相当な利潤を上げて、配当も相当やっているという状態から見て、都市といわず、自治体の消防施設を強化すれば強化するほど、火災の損害は少くなるという事実は明らかなことなんですから、料率を下げて一般の火災保険加入者にサービスすることはもちろんであるけれども、同時に消防施設というものに対して、循環して考えてやらなければならぬということも当然私は考えなければならぬことであると思います。そこで消防施設税が、私は直ちにとまではここでは申しませんけれども、とにかく地方制度調査会もそういう答申を出しているほど客観的にも考えられている問題ですから、合理的な納付金を出すことに努力を願いたいとともに、この納付金が、こういうものはやはりいわゆる寄付金の一種ですから、ややもすれば不明朗な使い方をされることもある、この点は消防本部あるいは自治庁と御相談の上、もっと合理的な納付金の出し方、そうして使い方を御研究願いたいと思うのです。国さえも今何億という施設の補助を出しておるのですから、なるべく施設の補助ということに主として向けて、そうして明朗な合理的な利用の仕方を同時にお考え願いたい、こういうことを特に希望して私のこの問題に対する質問を終ります。
  111. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) ちょっと一言、保険会社の保険料率の関係が、まあもっと下げてもいいと思われる限度まで下げ切らぬという点につきましては、保険会社の内容が非常にいい会社と、必ずしもそうでない会社とあるといったような事情も実はあるのじゃないか、そういう意味からしまして、保険行政そのものについて根本的にどう考えるかといったような課題も一つあるように思います。それで、寄付金とか消防債のような問題でございますれば、結局内容のいい会社はそれだけ力がありますから余分に負担するといったような便宜も実はあるわけでありまして、これが保険税ということになりますれば、これはどこの会社も一律といったような点もありますので、非常に窮屈な形になりますが、しかし一面今お話のようにその施設がよくなり、火災事故の発生が減れば、当然保険会社はそれで利益を受けるわけでございますから、従って今後ともそういう方面に力を注ぐように、大蔵省としても保険会社とよく話していきたい。それから今のお話の寄付金とかあるいは消防債ということになりますと、税と違いますので、とかく不明朗なことになりはせぬかという御心配はごもっともでございますが、現在におきましても消防庁の総監を顧問にいたしまして、規約を作りまして、一応の委員会のようなものを作りまして、関係の役人あるいは会社の人等一応関係者が集まって、その醵出した額について、これをどういうふうに配分をしていくかということにつきましては、相当大きな場で協議をしましてやっております。御心配のような点は今後とも起らないように、一そうこの点については努力して参りたい、かように考えております。   —————————————
  112. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 委員の異動がありましたから御報告申し上げておきます。委員堀末治君は辞任せられまして、新たに苫米地義三君が委員に任命せられました。  本日はこれから委員長理事打合会を開きたいと思いますので、会議は本日はこれにて散会いたしたいと思います。会議を散会いたします。    午後四時五分散会