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1956-03-27 第24回国会 参議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十七日(火曜日)    午後二時二十二分開会     —————————————    委員異動 三月二十四日委員泉山三六君辞任につ き、その補欠として小幡治和君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松岡 平市君    理事            石村 幸作君            伊能 芳雄君            森下 政一君            小林 武治君    委員            小幡 治和君            笹森 順造君            佐野  廣君            堀  末治君            加瀬  完君            館  哲二君            鈴木  一君   委員外議員   政府委員     小林 政夫君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有資産等所在市町村交付金及び納  付金に関する法律案内閣送付、予  備審査)     —————————————
  2. 松岡平市

    委員長松岡平市君) これより地方行政委員会を開きます。  委員異動について御報告申し上げます。三月二十四日付、委員泉山三六君は辞任せられ、新たに小幡治和君が委員に任命されました。
  3. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案を議題に供します。本案につきましては、すでに政府提案理由説明は聴取いたしておりますが、この際政府委員より簡単に補足説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めます。
  5. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) お手元に、この関係法律要綱細目のプリントをお配りいたしておりますので、それに基いて御説明申し上げます。十一ページのガリ版刷りであります。  「一国又は地方公共団体は、毎年度、前年の三月二十一日現在において所有する固定資産で次の各号に掲げる固定資産に該当するものについて、公社は、毎年度、前年の三月三十一日現在において所有する固定資産について、それぞれ当該固定資産所在市町村に対して、国又は地方公共団体にあっては、国有資産等所在市町村交付金交付し、公社にあっては公社有資産所在市町村納付金を納付する」わけでありますが、国の交付金対象となりますものは、(1)、(2)、(3)に掲げましたように、第一には貸付資産であります。第二は国有林野であります。第三は発電施設であります。林野国有林野だけに限っておりまして、府県有林野には広げていないわけであります。府県有林野につきましては、現在府県市町村との間におきまして伐採した場合に、若干の金額地元市町村交付する等の方法をとっておりますので、それには触れないことにいたしております。  二は「国又は地方公共団体は、」貸付資産国有林野でありますが、そのうち、「次の各号に掲げるものについては、市町村交付金交付しない」。さらに「公社は、その所有する固定資産のうち、病院及び診療所の用に供するもの、直接職員の教育の用に供するもの、」さらに皇室の用に供しております御料車のようなものであります。それからアメリカ合衆国軍隊等使用さしているものであります。そういう資産に類するもので、政令で定めるものについては、やはり納付金を納付しないということにいたしております。固定資産税につきまして、非課税といたしておりまするような種類のものは、やはり交付金対象にしない、納付金対象にもしないという考え方をとっているわけであります。  交付金対象にいたしませんものは、(イ)が「皇室の用に供する固定資産」であります。  (ロ)が「国家公務員のための国設宿舎に関する法律第十条の公邸及び同法第十二条の無料宿舎の用に供する固定資産」でありまして、一種義務宿舎でございます。  (ハ)は、国有財産法によりまして、地方公共団体生活困窮者収容の用に供しております固定資産であります。  (ニ)は、「地方税法第三百四十三条第五項の土地又は農地で、国が買収し、又は収納した日から国が当該土地又は農地を他人に売り渡し、その所有権が売渡の相手方に移転する日までの間において国が所有するもの、」こういうものにつきましては、地方税法で、使用者固定資産税を課することにしております関係から、はずしているわけであります。  それから(ホ)は、国有林野で、地方公共団体造林者でありますものにかかる土地であります。  (ヘ)は、アメリカ合衆国軍隊等に貸しております固定資産であります。  (ト)は、前各号に掲げるもののほか、地方税法固定資産税を課さないことにしておりますような固定資産、すなわち道路でありますとか、堤塘であるとか、そういう種類のものであります。  (チ)は、「前各号に掲げるもののほか、これらに類する固定資産政令で定めるもの」ということにいたしております。  三は、「交付金額又は納付金額算定は次によるものとすること。(1)市町村交付金とじて交付すべき金領又は市町村納付金として納付すべき金額は、交付金算定標準額又は納付金算定標準額に、それぞれ百分の一・四を乗じて得た額によるものとすること。」百分の一・四というのは、固定資産税標準税率であります。  (2)は、「前号の交付金算定標準又は納付金算定標準額は、固定資産価格によるものとすること」  (3)は、「前号の固定資産価格は、次によるものとすること。(イ)国又は地方公共団体所有する固定資産にあっては、原則として国有財産台帳又は地方公共団体財産台帳に記載された当該固定資産価格」とする。市町村長が決定するのではなしに、交付金交付する側で帳簿に記載しております額、これを基礎にすることにいたしておるわけであります。国と市町村との関係等から、このような形がよろしいのではないかというふうに考えておるわけであります。しかしながら、これに対しましては、別途に不服のある場合に申し出をする道を開いているわけであります。なお、二行目の下でありますが、「当該台帳価格類似固定資産固定資産税課税標準となるべき価格と著しく異なるときは、各省各庁の長又関係地方公共団体の長が当該固定資産所在地市町村長通知した価格」とする。帳簿価格は取得したときの価格のままであって、減価償却額を控除していません場合には、やはり交付金計算になる額は、減価償却額控除後の額であるべきでありますので、そういう場合には、各省各庁の長から交付金算定上の価格通知することができるようにいたしておるわけであります。「発電変電若しくは送電の用に供する固定資産その他二以上の市町村にわたって所在する固定資産については、当該固定資産を管理する各省各庁の長又当該固定資産所有する地方公共団体の長が、当該固定資産所在市町村に配分し、当該市町村市町村長通知した価格とするものとすること。」  「(ロ) 公社所有する固定資産にあっては、自治庁長官評価し、当該固定資産所在市町村に配分した価格によるものとすること。」自治庁長官評価する場合には、地方税法の中に書いてあります固定資産税課税標準となるべき価格評価基準、これは自治庁長官市町村に示すことになっております。この評価基準に基いて評価するものといたしております。  「(4) (1)の固定資産のうち住宅用土地及び家屋に係る交付金算定標準額は、当該土地及び家屋価格政令で定める住宅に係るものにあっては十分の二、その他の住宅に係るものにあっては十分の四の額とすること。」第二種公営住宅につきましては、国が三分の二の補助をいたしております。この部分につきましては十分の二の額を算定標準額といたしまして、その他の住宅につきましては十分の四の額を算定標準額にするわけであります。いずれも国庫補助金相当額については交付金算定標準にいたさないというような考え方と、国の住宅政策を加味しまして、このような軽減措置をとろうとしておるわけであります。  「(5) 発電所変電所または送電施設の用に供する固定資産に係る交付金算定標準額は、地方税法第三百四十九条の三第一項の規定の例によって算定した額」これは最初の五年間は三分の一、あとの五年間は三分の二、十一年目からは普通に計算するという規定でございます。それのさらに十分の五の額によるものとする。これは災害防除等いろいろな目的から。発電施設を作っておるわけでございますので、多少他の地域の発電施設よりはコストが高くつくわけでございます。そういうような多目的なダム等の事情を考慮して、十分の五の額に軽減しようとしているわけであります。  「(6) 公社固定資産に係る納付金算定標準額は、当該固定資産価格の十分の五(昭和三十一年度分に限り十分の二・五)の額によるものとすること。」採算——戦後経営しております等の関係で十分の五とし、さらに激変緩和という意味で、昭和三十一年度分は四分の一にするというわけであります。  「四 各省各庁の長がそれぞれ管理し、」四は、これは固定資産税の場合、大規模償却資産については、一定限度をこえる部分府県固定資産税を課することにいたしております。これを同じような趣旨で、市町村規模から見まして大きな資産であります場合には、一定限度をこえる部分については、府県交付金納付金交付または納付するという制度にしているという趣旨であります。  「五 市町村交付金交付方法は次によるものとすること。」  「(1) 市町村長は、総理府令の定めるところによって、国が所有する固定資産については当該固定資産を所管する各省各庁の長に、地方公共団体所有する固定資産については当該固定資産所有する地方公共団体の長に、公社所有する固定資産については当該公社に対して、それぞれ毎年四月三十日までに、固定資産価格当該固定資産に係る公付金算定標準額及び交付金額又は当該固定資産に係る納付金算定標準額及び納付金額その他必要な事項を記載した交付金交付請求書又は納付金納額告知書送付するものとすること。」  「(2) 前号の交付金交付請求書送付を受けた場合においては、各省各庁の長又地方公共団体の長は、毎年六月三十日までに、」年一回であります。この当該交付金交付請求書に記載された交付金額を年一回交付するわけであります。公社の場合には年二回にしてあるわけでございまして、「毎年五月三十一日及び十月三十一日までにそれぞれ当該納付金納額告知書に記載された交付金額の二分の一に相当する額を、それぞれ固定資産所在市町村交付する」  「その他」の(1)は、「市町村長は、国有財産台帳等価格が記載されていない固定資産がある場合」価格記載漏れになっているわけであります。「又は国有財産台帳等に記載された価格当該固定資産類似する固定資産固定資産税を課されるものに係る固定資産税課税標準基礎となるべき価格と著しく異なると認められる固定資産がある場合においては、前年の十二月三十一日までに、当該固定資産を所管する各省各庁の長又当該固定資産所有する地方公共団体の長に対して、当該固定資産価格を記載し、」記載漏れの場合には記載し、「又は」、著しく違っています場合には、「交付金算定標準額基礎とすべき当該固定資産価格通知すべき旨を申し出ることができるもの」としております。  「(2) 前項の場合において各省各庁の長又地方公共団体の長は、その申出について正当な理由があると認めるときは、交付金算定標準額基礎とすべき固定資産価格を、」価格通知するわけであります。「また、その申出について正当な理由がないと認めたため交付金算定標準額基礎とすべき固定資産価格通知しないときは、その旨及びその理由を、当該固定資産所在地市町村長に対し通知しなければならない。」同時にまた「当該申出に対する通知がないとき又は当該通知に係る事項について不服があるときは、市町村長自治庁長官に対してその旨を申し出ることができるもの」としております。そうして現地において解決しない場合には、中央において問題の解決をほかろう、こういう二段階の仕組みをとっているわけであります。  「(3) 各省各庁の長若しくは地方公共団体長又公社は、交付金額又は納付金額算定について違法又は錯誤があると認める場合においては、」それぞれやはり修正を求める道も開いておるわけであります。  「(4) 各省各庁の長又地方公共団体の長は、総理府令で定めるところによって前年の三月三十一日現在において国有財産台帳等に記載された当該固定資産価格その他交付金額算定に関し必要な事項を前年の十一月三十日までに当該固定資産所在地市町村長通知するものとする、」普通の税金の場合の一種申告義務であります。  「(5) 公社は、その所有する固定資産について、総理府令で定めるところにより、前年の三月三十一日現在において公社財産目録に記載された当該固定資産価格その他納付金額算定に関し必要な事項を前年の十一月三十日までに自治庁長官に申告するものとする」、公社資産につきましては、自治庁長官評価するわけでありますので、申告義務自治庁長官にしているわけであります。  「(6)は、大規模償却資産に該当するものにつきましては、交付金納付金都道府県にするのだということを書いているわけであります。  「(7)は、「地方公共団体は、その所有する」貸付資産の「使用料等限度額について法律の定がある場合において、当該限度額算定基礎固定資産税相当額が含まれていないときは、当該法律規定にかかわらず、条例で定めるところにより、当該固定資産に係る市町村交付金又は都道府県交付金相当額当該限度額に加算した額をもつて当該法律規定する使用料等限度額とすることができるものとすること。」貸付料につきまして限度額が定められており、しかも固定資産税が含まれていない、そういう場合には、固定資産税相当額だけは限度額を引き上げることができることにいたしておるわけであります。従ってまた、使用者に転嫁させようと思えばさせることができるということになるわけであります。  (8)は、一の(1)、これは貸付資産であります。(3)は発電施設であります。これら「固定資産所有する市町村又は都道府県当該固定資産に係る市町村交付金又は都道府県交付金交付されるべき市町村又は都道府県である場合において、」これは自分団体内に交付金納付金対象となる資産自分のものとして持っている場合であります。その場合には、「当該固定資産特別会計に所属するものであるときは、当該市町村又は都道府県は、市町村交付金又は都道府県交付金相当額特別会計から一般会計に繰り入れることができるものとすること。」自分のものを自分の一方のところから他方のところに入れる、こういうことになるわけであります。固定資産につきましては、相互に権衡を保持する必要も生じて参りますので、こういう必要を感ずる都道府県市町村でありまする場合には、そのような形をとろうと思えばとれるという根拠を置いておこうと考えたのでございます。  「七国及び地方公共団体所有する固定資産で、国または地方公共団体以外の者が使用しているものに係る昭和三十一年度分及び昭和三十二年度分の市町村交付金算定基礎となる交付金算定標準額特例国有財産等台帳がまだ整理されておりませんので、三十一年度と三十二年度だけは、計算について特例を設けておこう、その間に整理してもらいたいという考え方に立っておるわけであります。  (1)は、「国が所有する固定資産で一(1)に掲げるものに係る、」すなわち、貸付資産であります。貸付資産にかかる「昭和三十一年度分及び昭和三十二年度分の市町村交付金に限り、各省各庁の長は、毎年十二月三十一日までに、」本来の方式にかかわらず、「政令の定めるところによりその所管に属する固定資産使用料等総額政令で定める率を乗じて得た額を当該固定資産価格総額」とする。評価が十分行われておりませんから、使用料から逆算して評価額を求めるわけであります。「これに百分の一・四を乗じて得た額をそれぞれ当該年度において交付すべき市町村交付金総額とし、これを当該固定資産所在市町村ごと使用料等合算額にあん分して得た額を当該市町村に対して交付する」ことといたそうとするわけであります。  (2)は、府県有の場合等でありまして、「地方公共団体所有する固定資産で、」貸付資金にかかる「昭和三十一年度分及び昭和三十二年度分の市町村交付金に限り、地方公共団体の長は、本則によって交付金額算定し、これに交付することとしないで、その規則で定めるところによって前項規定に準じて算定した額を、当該市町村に対して交付することができるものとすること、」要するに使用料から逆算して価格総額を求める、これに一・四を乗じた額を関係市町村ごと使用料の額に按分して交付金の額を決定するわけでございます。
  6. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記をとどめて。    午後二時四十三分速記中止      ——————————    午後三時二分速記開始
  7. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を起して。  これより、ただいま政府委員より説明いたしました国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案について質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。小林政夫議員から申し出がありますので、この際委員外議員発言についてお諮りいたします。議員小林政夫君より、委員外議員として発言を求められておりますが、小林君の発言を許可することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めます。小林君。
  9. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) まず本案国有財産所在市町村に対して交付金を出す、こういう観念ですね。どういうことで所在市町村に対して交付金を出すということを考えられたのか、その考え方根拠、これを伺います。
  10. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一つには、国有あるいは公社有資産でありましても、火災を予防するために消防施設の恩恵に浴しているとかいうような受益関係があると考えるのであります。第二は、地方財政が全体として非常に急迫しておりますので、ある程度自主財源の増加をはかりたい、かたがた他類似固定資産負担とにらみ合せまして均衡をはかっていくという必要があるのではなかろうか、そうすることによって納税秩序を維持していくことが可能になるのではなかろうかというようなところから、思い切って課税方式にかえまして交付金なり納付金なりの制度をとろうとしたわけでございます。
  11. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 国または地方公共団体が直接使用しておる以外のものについて固定資産税相当額交付金を出す、こういうことでありますが、その直接使用とそうでないということの区別ですね、それはどういうところで区別をしておられますか。
  12. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 国と市町村との関係からいたしまして、直ちに相互課税の形式をとることにつきましてはいろいろな問題があるわけであります。しかし今回この問題の解決に一歩前進したわけであります。前進するに当りましては、その範囲最小限度に限っておきたい、最小限度に限るといいますことは、全く同じような固定資産であり、同じような使用関係にあるにもかかわらず、だれが所有しているかということによって一方は固定資産税負担し、他方は全然これを負担しない、こういうことはおもしろくないから、これを是正することにとどめよう、こういうことから、国有資産につきましては、林野発電施設は別でございますけれども、貸付資産に限ろう、こう考えたわけでございます。
  13. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 林野発電所というものは、国が直接使用しておるというか、所有使用しておるものでも当該固定資産税相当するものを交付する、それでその他のものについては、まあいろいろここに一号から八号まで該当しないものがあげてあるわけでありますが、交付金交付しない、その線の引き方が今の説明だけでは十分でないのじゃないか。何か使用状態等がこの線の引き方の中に考えられておるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  14. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今も申し上げたわけでございますが、同種固定資産との負担均衡上、範囲をそこにしぼりまして交付金制度をとろう、こうしたわけでございます。発電施設でございますと、大部分が現に固定資産税課税対象になっておるわけであります。市町村相当の犠牲を払ってそこに発電施設ができて参った、たまたま府県有であるか、あるいは電力会社有であるかということによって、当該団体税収入が入ってくるか入ってこないかという違いが生じてくる。これはどうしても不均衡だ。また林野という問題を考えて参りますと、多くものが民有林野である。全く林野の経営の面から見ますと、その限りにおきましては同じ資産であり、同じように運営されておるわけであります。それがたまたま国有であれば、所在市町村に何らの財源も入ってこない。しかも現に国有林野所在市町村交付金制度予算措置で行われて参ってきた経緯もございますので、この際にこれを制度的なものにして参りたい、こう考えたわけであります。その次に、同種固定資産との関係において負担均衡が論議される問題といたしますと、やはり貸付資産でありまして、使用料を徴収しておりますようなもの、これは使用料負担するけれども、固定資産税相当額がその中に入ってこないということになりますというと、借り受けておる人が国有資産を借りるか、民有資産を借りるかということによって非常な差が生じて参るわけであります。使用者負担を同じにしますと、国が固定資産税相当額自分収入にしていながら、それを市町村に渡して行かない、こういう不合理が生じて参るわけであります。そういうところから、使用料を徴収して参りますような貸付資産につきましては、やはり固定資産税相当額交付金として所在市町村に国から交付してもらうことが穏当ではなかろうか、こういうように考えたわけであります。要するに同種固定資産というところに範囲を広げたわけでございます。
  15. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) それでは端的に、この第二条第三項の交付金交付しない国または地方公共団体所有する固定資産一号から八号まで、これを一つどういう意味交付しないのかということを、一号々々説明してもらいたいと思います。
  16. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一号は皇室用資産でありまして、皇室の内部に立ち入りまして、使用関係をせんさくすることは、国民感情からいたしまして適当ではないと考えたわけでございます。  二号の国設宿舎は、これは宿舎ではございますけれども、むしろ庁舎に類する義務宿舎でございますので、庁舎と同じような扱いをすることを適当と考えたわけでございます。  三号のほうは、生活困窮者収容の用に供する固定資産でありまして、使用料を徴収したりするような資産ではございませんので、これも社会政策的な意図等も考えあわせまして除外したわけでございます。  四号のほうは、これは、使用者に対しまして固定資産税を課することにいたしておりまするので、重複しないように、交付金制度対象からははずすようにいたしたわけでございます。  五号のほうは、地方公共団体造林者になっておるわけでございますので、ことさらそれにつきまして交付金をくっつける必要はないのじゃないだろうか、お互いの契約で、必要分収入とすればよろしいのじゃないだろうかというふうに考えたわけでございます。  六号は、国以外のものに使用さしているわけでありますが、アメリカ合衆国軍隊使用さしている、これは安全保障条約に基いておるわけでございますが、自衛隊の使用しておりまする固定資産類似の性格を持っておるのじゃないだろうか。自衛隊の使用しておりまする固定資産に対しましては、やはり交付金対象にいたしませんので、それとの関係もございまして、はずしておるわけでございます。  七号のほうは、現に地方税法の上におきまして固定資産税を課していないもの、これを拾っているわけでありまして、固定資産税を課されないものであるから、従ってまた交付金対象にしない。道路でありますとか、堤防でありますとかいうような、そういうような種類のものでございます。  八号は、以上のものに類するもので政令で拾っていくわけでありまして、無償貸付資産などがこの中に入っているわけでございます。
  17. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 交付金交付する理由として、当該所在市町村に対して相当行政負担をかける、こういうことが一つ交付金を出す理由になっておるわけですが、そういう見地から考えると、自衛隊あるいはこの駐留軍の駐も、こういうもので当該市町村相当の行政負担がかかると思うのですね。こういう点については、自治庁としてはどういうふうに考えておりますか。
  18. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御指摘のように、自衛隊等の所在する市町村は、その関係で道路が特にいためられますとか、その他いろいろな点において財政支出が多いわけであります。こういう関係もありまして、沿革をたどって参りますと、昔は海軍助成金が軍港所在地市町村等に交付されておった、あるいはまた工廠所在地でありますとか、軍隊所在地でありますとか、そういうところに対しまして、軍関係市町村交付金といいましたか、そういう制度がとられたこともございます。そういうふうに特別な財政援助の制度を設けるべきではないか、これは過去においてとられたこともございますし、現にまた強くとなえられておる問題でございます。今回国有資産等所在市町村交付金制度を作りますに当りましては、もう一歩範囲を広げられないものだろうか、こういうことも考えたわけでございますけれども、この制度を作ること自体につきましても、関係各省間にいろいろな問題がございまして、ようやくこういう格好で制度をまとめあげたわけでございますので、今直ちにそれに広げていくというようなことにつきましては、なかなかこの法案そのものがまとまらないおそれもある、こういうことで断念したわけであります。現状におきましては、御承知のように、地方交付税の特別交付税を配分いたします際に、そういう所在市町村の特別な財政事情というものも考慮して額を決定することにいたしております。やはりさらに一歩進めて、何らか制度的なものにしなければならないと思いますし、その場合に交付金対象に入れることも一つ方法ではないだろうか、こういう考えも持っておるわけでありまして、将来にわたる研究問題として、私たちはなお検討を続けておるわけであります。
  19. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 御説明の模様だと、自治庁当局ではその必要を認めておられる。できれば自衛隊あるいは駐留軍所在当該市町村に対して、本法案に盛られている交付金と同じような趣旨のものを交付するように考えたいという気持があるように推測できるのですが、いろいろ関係当局との折衝において、この案自体の運命にも関係するようになっては困るということで、この際はほこをおさめたのだのだというふうにとれるのですが、その関係当局との話し合いというのは財源の問題なのか、ほかにも問題があるのか、その点はいかがでしょう。
  20. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) そういうような施設所在市町村に対しまする財政援助の方式をどのようなものに求めるか、これに一つの問題があろうかと思います。第二には、御指摘のように、そういたしました場合に、その財源がもっぱら国庫から支出されるということになるのではなかろうかと思います。第三には、かりにそういう制度をとった場合に、どの範囲まで対象を広げていくのかという問題がございます。たとえて申し上げますと、飛行場のような所も対象に入れてくるか。あるいは飛行場のようなものは直ちには対象には入れないで、住宅関係あるいは特別な、何といいましょうか、軍事施設といいましょうか、そういうような関係のものだけにしぼっていくかというような問題などもあろうかと思うのでありまして、いろいろな方面から、次の機会までには、私たちとしては解決の努力を払って参りたいものだという気持は強く持っております。
  21. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) その対象をどの範囲にするかという問題は、あなたの方で彼此勘案して妥当な線を考えられれば済むことで、そう他の方面との交渉あるいは関連において躊躇しなければならんという問題でもないと思うのですね。そこで問題は財源の問題、これは当然国で出さざるを得ないと思うのですけれども、出すのを、たとえば自衛隊関係費用から出すとか、あるいはその出す先をどこの主管において出すかということは研究を要するかもしれませんが、しかし、一応問題は財源の問題で、昔のような海軍の助成金が海軍の予算の中から出たというように、どこから出すとしても、結論的には国の負担において出さなければいけない。そういうその財源の問題さえ解決すれば、あなたの言われる関係方面との折衝云々という問題は、これは大した問題ではないのだ、こう思うのですが、その点はどうですか。
  22. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 私は、やはり範囲の問題がかなりデリケートな問題ではなかろうかというふうに思っております。たとえばアメリカ軍隊が使っておるものでありましても、あるいは自衛隊が使っておるものでありましても、そこに庁舎的な費用にかかるものもあろうかと思います。庁舎的な費用にかかるものについて交付金対象にする、あるいは特別な財政負担をそこに求めるということになりますと、他の役所の庁舎等にもその範囲が広がっていくわけであります。従いまして、やはり国庫財政を担当するものの立場、その他から考えました場合に、範囲をどうするかということについては、かなり今後検討を要するのではないかというふうな気持を持っておるわけであります。しかしいずれにいたしましても、御指摘のように国庫が支出するわけでありまして、アメリカ軍隊関係のものにつきましては、調達庁が現にその費用の支出に当っておるわけであります。さらに自衛隊に広げていくということになりますと、防衛庁の関係になってくるのではないかというふうに思っておるわけであります。若干話し合いがあったのでございますけれども、しかしまだ今後、今申し上げましたような点から検討していかなければならないというふうに考えております。
  23. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) その庁舎的なといいましても、防衛庁本庁でおとなしく静かに事務をとっているものと、兵隊がそこへ入って、特車等でどんどんどんどん演習等をやっておるというのとでは、同じ建物でも、だいぶ使用の実態が違うわけですね。こういうような点から考えれば、おのずと他の振合いから考えて、妥当な線が引けるのではないだろうか、こういうふうに私は考えるのです。それはいろいろ、そうきょうすぐ線を引くというわけにはいかぬかもしれませんが、その頭でやるという腹でやれば、その問題は大した問題じゃない。そうすると結局財源の問題になってくると思うのです。それでその線の引き方にもよりますけれども、これはすぐにそういう数字が出せるかどうかは疑問ですが、出せないかもしれませんが、次の機会までに、その自衛隊及びアメリカ駐留軍、国連軍の使用しておる国有財産に対して、本法案の交付金と同じような交付金を出すとすれば、どれだけの財源が要るのか、この計算をしてもらいたいのです。
  24. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) アメリカ合衆国軍隊と国際連合の軍隊使用しております固定資産につきまして、かりに交付金制度をとるとするならば、どれくらいの交付金額になるだろうかということを、土地、建物、工作物、船舶機械全部について見ました場合に、二十億二千九百万円くらいになるのではなかろうかというふうな推定をいたしております。
  25. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) さらにそれらの当該所在市町村においては、そういう駐留軍がおると、あるいは国連軍がおるということによって、特別交付金を受けておりますね。あるいはこれだけのものを出せば交付団体になるということで、今までの交付金及び特別交付金を差し引きますと、どれだけ増加財源を要するかという数字が出る、この点そういう計算はなさっておりますか。
  26. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今お話のような数字は持っておりませんけれども、特別交付税は、限られた財源でございますので、その範囲内に入っておりますのはごくわずかで、この二十億とはちょっと比較にならない数字でございます。
  27. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 特別交付金はそうでしょうが、こういう国連あるいはアメリカ駐留軍の所在市町村に、その国有財産の固定資産相当する交付金交付するとすれば、その二十億二千九百万を支出するとすれば、当該市町村交付団体になる。そうすると、今まで出ておった特別交付金というものは要らなくなる、こういう場合があると思うのです。その結果として、差引き国の負担においてどういうふうになるか。
  28. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今申し上げました数字は、全体についての計数でございます。これを所在市町村ごとに分別するということは、ちょっと容易ならぬことでございまして、関係市町村も非常に数が多いわけでありまして、ちょっと計算がむずかしいのじゃないかというふうに思います。若干の市町村について計算をいたします場合には、ある程度調べもあろうかと思いますけれども、今わずかな期間に、市町村ごとにこの計数をどうするかということは、とてもできないのじゃないかというふうに思っております。
  29. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 一銭一厘違うという計算をする必要はないので、大体の概数でも次の機会までに出してもらいたいということと、さらに今の二十億二千九百万円というのは、国連軍及びアメリカ駐留軍所在市町村関係だけのように聞きましたが、自衛隊とかというものは含むのか、どうなのか。
  30. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 自衛隊については、こういう資料を現在のところ持っておりません。もし調べられれば、調べてみたいと思います。
  31. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  32. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を起して。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十八分散会      ——————————