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1956-03-23 第24回国会 参議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十三日(金曜日)    午後一時三十八分開会     —————————————    委員異動 三月二十二日委員伊能芳雄君、田中啓 一君及び佐野廣辞任につき、その補 欠として植竹春彦君、山縣勝見君及び 長島銀藏君を議長において指名した。 本日委員長島銀藏君、植竹春彦君及び 山縣勝見辞任につき、その補欠とし て佐野廣君、伊能芳雄君及び田中啓一 君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松岡 平市君    理事            伊能 芳雄君            森下 政一君            小林 武治君    委員            笹森 順造君            佐野  廣君            田中 啓一君            安井  謙君            後藤 文夫君            鈴木  一君   政府委員    自治政務次官  早川  崇君    自治庁行政部長 小林與三次君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    経済企画政務次    官       齋藤 憲三君    林野庁長官   石谷 憲男君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    林野庁林政部長 奥原日出男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選離島振興法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○新市町村建設促進法案内閣提出) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)     —————————————
  2. 松岡平市

    委員長松岡平市君) これより委員会を開きます。  委員異動について御報告を申し上げます。二十二日付委員伊能芳雄君、田中啓一君、佐野廣君はそれぞれ辞任せられまして、後任に植竹春彦君、山縣勝見君、長島銀藏君が任命せられました。  本二十三日委員長島銀藏君、山縣勝見君、植竹春彦君はそれぞれ辞任せられまして、新たに佐野廣君、田中啓一君、伊能芳雄君が委員に任命せられました。     —————————————
  3. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 理事補欠互選についてお諮りいたします。理事伊能芳雄君が昨日委員辞任いたされましたところ、本日再び委員となられました。よって伊能君を理事に指名いたすことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 本日は、まず離島振興法の一部を改正する法律案議題に供します。これより政府提案理由説明を聴取いたします。
  6. 齋藤憲三

    政府委員齋藤憲三君) ただいま議題と相なりました離島振興法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  離島振興法の成立以来、政府は、離島における道路、港湾、漁港、電気導入等の施設に対し特別の助成を行なって参りましたが、離島民日常生活改善にさらに一歩を進めるため、今回、簡易水道について、特別の助成を行うことといたしたのであります。  離島には、一般に、適当な自然水源が乏しいため、簡易水道を布設する必要が強いのでありますが、離島における簡易水道工事費は、本土に比べて割高であるのが通例であり、しかも、離島経済力がきわめて低いため、問題の解決は、なかなか困難であったのであります。そこで、現在簡易水道を布設する事業に対して二割五分以内の国庫補助を行なっておりますのを、離島につきましては特別に三割五分以内を補助することにいたしたいというのが、この法律案を提案した理由であります。  何とぞ慎重御審議のうえ、すみやかに御賛成をいただきますよう切望いたす次第であります。
  7. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 本案に対する質疑は他の機会に譲ることといたしたいと存じます。     —————————————
  8. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に、前回に引き続き、新市町村建設促進法案議題に供します。前回自治庁に対する質疑は大体お済みのようでありましたが、特に農林省に質疑をしたいということでありましたので、本日は奥原林政部長出席いたしております。質疑のおありの方は順次御発言願います。なお林野庁長官政務次官も、衆議院の農林水産委員会出席しておって、出席がおくれるそうでありますが、奥原林政部長が大体の御質疑には説明ができるだろうということでありましたから、もし政務次官なり、あるいは林野庁長官政府委員が来なければ質問ができないということであれば延ばしますが、もしよければ奥原君でお済ましを願いたいと思います。
  9. 笹森順造

    笹森順造君 原則的なことでは、大臣あるいは次官にお尋ねしたい思ったのでありますが、ただいま委員長の御報告で、林政部長奥原君がお見えになっているそうでありますが、できれば今、大臣あるいは次官等が答えられる点をもお答えを願えたら仕合せだと思います。私どもが今審議しておりますのは、新市町村建設促進法案でありますが、すでに御案内の通りに、町村合併促進法が出ておるのを、さらにこの建設促進法案が出たわけであります。従いまして特に今林政部長にお尋ねしたいと思いますのは、この法律関係いたしておりまする国有林野法特例に関してであります。つきましては今申しましたこの促進法と、今度提案されておりまする建設促進法との間にどういうような、何か変った特別な御配慮がなければならぬと思うのでありますが、このことについて、二つ法案を比べて、国有林野法特例に関することで適用上どういう心構えを持っておられるか、先に原則的なことをお尋ねしたいと思います。
  10. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) まず問題の第一は、第二十五条によりまする、国有林野合併市町村に対しまする売り払いの関係であると、かように存ずるのであります。売り払いの条件に関しまして、従来売り払い後五カ年間据え置き、十五年の年賦償還というものを、さらに五年間延長いたしまして、売り払い後五カ年間は据え置き、その後二十カ年以内の年賦償還とするということに改めましたのが第一点でございます。  さらに、従来の町村合併促進法でなかった規定といたしましては、新市町村がその林野または立木を売り払いまして、その代金を収入いたしましたときは、売払代金支払に充てていただくということを、法律規定の上ではっきりといたした次第でございます。もう一つの問題として残っております点は、合併市町村に対して部分林を設定いたしまする際におきまして、国の補助金交付するという規定を、予算の上においていかに確保するかという、こういう問題でございます。この問題に関しましては、大蔵省との間に交渉を重ねまして、今年度より、予算の上におきましても一般造林補助金を、町村合併の場合のみならず、一般部分林にも振り向けて使用することができるということにとりきめて運用いたしておる次第であります。
  11. 笹森順造

    笹森順造君 なお、売払代金お話でありますが、支払は五カ年据え置きで、従来の法律による十五年を二十年にしたということで、残る問題は利子の問題があると思いますが、この利子の点で、もう少し詳しく御説明を願いたいと思います。
  12. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 二十五条の第二項の規定によりまして、売り払いの条件につきましては、年賦償還のほか政令で定めることができるということに相なっておるのであります。延納に相なっておりまするものの利子に関しましては、われわれといたしまして、現在の国有財産処分の場合の金利及び地方債金利等一般的に六分五厘ということに相なっておるのでありまして、国有林野の売り払いの場合におきましても、その金利を踏襲していくべきものであろうかと、かように考えるのであります。ただ全然さら地を売買いたしましたような場合、あるいはまた幼齢林を大部分といたしまする林地を売り払いました場合におきましては、これは金利の上におきまして何らか特別の措置を講ずべきではないかというふうな問題を目下部内において検討いたしておるのでありますが、なおこの点に関しましては、大蔵省との間の協議をも要する次第でございまするので、目下部内において検討いたしておるということで御了承いただきたいと存じます。
  13. 笹森順造

    笹森順造君 ただいまの部内における検討というお話でありますが、私もある機会に受けました報告では、三段階にきめておると、そうしてそれらのものは、あるいは六分五厘、あるいは五分五厘、あるいは四分五厘という工合に、そういう案本出ているということを聞くのでありますが、私どもは、利子の問題は、特にこういう国有財産等払い下げを受けた場合には、よほど大きな考慮を払って低額の利子ということに配慮しなければならぬことだと思いますが、ただいまのところでは、まだ六分五厘という線で、はっきりしないようなことでありますけれども、もう少し率直に打ち明けて、できる範囲で御説明願いたいと思います。
  14. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) ただいま笹森先生お話にござましたように、われわれが利子についての低減措置を実施いたすといたしますれば、当然裸地国有林を売り払いました場合を一番低くし、幼齢林を主とする国有林を売り払いました場合には、六分五厘の伐期に到達しておる林地を主とする場合の金利との間に一段階区切らるべきではないかと、かように検討いたしておるのでありますが、なお政府としては決定を見ておりませんので、その程度で一つ御了承をいただきたいと存じます。
  15. 笹森順造

    笹森順造君 今のお話で、いずれ明確になったときにはわかると思いますが、大体さら地のようなものは、新らしく造林するにしても相当の長年月がかかる。あるいはまた雑木林にいたしましても、木炭を作るためには十年、十五年、あるいはそれ以上かかる地帯もありましょう。さらに用材にするならば、よほど年代がかかるだろうと思う。従いましてこれは希望でありますが、特にそういうことを詳しく勘案されて、その土地の利用が真に払い下げを受けたものにそれが利益になるという算定は十分御配慮を願いたい。これば希望いたしておきます。  そこでその次にお尋ねしたいと思いますのは、払い下げのこの当時の価格についてであります。これは時価ということはどういうことであるか。この時価というものは、国有財産としての帳簿価格との間に何か相違がないのかどうか。それらの意について説明願いたいと思います。
  16. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 時価に関しましては、土地価格と、それから立木価格二つに分けて御説明をいたす必要があろう、かように存ずるのであります。土地価格につきましては、必ずしも固定資産税課税台帳価格近傍類似民有地について定められておりまするその価格による二となくして、真に適正な時価というものを財務局、あるいは勧業銀行森林組合等の第三者の評価を求めまして、これを基礎にして決定をいたして参りたいと、かように考えているのであります。  立木評価に関しましては、近隣の市場価格から、その市場まで出しまするのに必要な所要経費を差し引きました逆算の価格によって一般に求めるのでありまするが、しかしなぶら幼齢林に関しましては、造林費その他の原価を基準として計算をして求めると、かような方針をとっているのでございます。
  17. 笹森順造

    笹森順造君 問題を転じまして、もう一つ重要なことについてお尋ねしたいと思います。それは、こちらの、今度の法律の第二十五条と、前の町村合併促進法の第十七条とが照合される箇条だろうと思うのでありますが、その中に「新市町村の区域に係る国有林野国土保安上及び国有林野経営上必要なものを除くほか、」とこうありますが、ここがいつでも実際の問題に突き当りますると、地方の要望と、それから政府との間になかなか食い違いの起る点だと思います。そこで実は一番先に私がお尋ねいたしましたのは、この前の法律と、今度の法律との間に特に新らしい法律は、新市町村建設、健全な発展をはかるということの強い意味が特に盛られているので、この点に関する従来のいろいろないきさつで、一般地方自治体が希望するものについて、国がなかなか同意をしないというような点が相当緩和されてなければならぬと思うのでありますが、今申しました「国有林野国土保安上及び国有林野経営上必要なものを」ということの考え方がちっとも変らないのか、あるいは今度の法律で非常にこれが大幅にまた緩和されるのか、これらの点についての心がまえを、もしも林政部長お答えできるならばお伺いしたいと思います。
  18. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 町村合併促進法に基きまする国有林野の売り払いは、昭和三十年度になりましてから、審議対象に上って参ったのでございます。と申し上げまするのは、従来国有林野整備臨時措置法という法律がございまして、その法律によりまして、市町村を第一の順位といたしまして、一定の条件に該当いたしまする国有林を売り払うことができることにいたしておったのでありますが、その法律の時限が昭和三十年の三月末日をもって切れることに相なっておりましたので、その法律措置を急いでおったのでございます。国有林野整備臨時措置法によりまして処分いたしましたものは、全体で十二万八千九百町歩であったと記憶いたしておりますが、そのほとんど九割は市町村に売り払われたのでございます。しかしそういう法律の実施を急いでおりました関係上、町村合併に基きまするものについての処分は、今年度審議し、今着々と決定をいたしているような次第であります。そこで町村合併促進法国有林野の売り払いと、それから今度の新しい新市町村建設促進法による国有林野の売り払いとの間に基準の上に差異があるのかというお問いに関しましては、われわれといたしましては、この法律法源相違によって差異はないのではないかと、前の町村合併促進法のこの規定の上におきましても、この新らしい新市町村建設促進法に示されているような町村基本財産を、その町村町作りあるいは村作り計画に基いて育成していくということに対して、国が援助の手を差し伸べるという趣旨においてはかわりはないとかように考えるのでありまして、具体的にはこれについての基準差異を設ける考えはないのでありますが、いずれにいたしましても、この両法律趣旨に従いまして、われわれといたしましては、真に町村基本財産の造成を真剣に考えられる限りにおいては、国有林野経営上必要でないものを売り払いをしていくという措置を進めて参りたいと、かように考えております。
  19. 笹森順造

    笹森順造君 ただいまのお話では、法源が二通りに出ておっても、結局適用においてはかわりはないのだというようなお答えでありますが、それは法理的にそういう御解釈を持っておられるかもしれません。ただ、私の従来の経験あるいはまた具体的な例から申しますると、もっと根本に問題があるのではなかろうか。つまり、国土保安にいたしましても、あるいはまた、国有林野経営にいたしましても、これは政府のみではできないので、必ずその行政区画の自治体内における住民協力なしには、これはできていかない、従いまして、この根本の問題について、どうも今まではその地方自治体住民の期待に沿わないような措置が非常に多かった。故に、今のお話のごとく、法源は、二つ趣旨においては違わないにしても、もっと根本にさかのぼって、一体国土保安であるとか、あるいは国有林野経営というものは、その地方住民の力によるものだということについての認識がもっと深まってくるのでなければ、これは私は、この法律自体をもっと掘り下げていかなければならないというような気がする。これは部長お答えできれば、お答えできるかできないかしれませんけれども、これはむしろ大臣次官かに聞くべきだと思いますけれども、この根本問題についてもう少し懇切丁寧に、しかも、この国有林というのは国のものだ、国民のものだという意識まで掘り下げてこなければ、従来のような問題が依然として解決しないのではないか、ここを実は聞きたかったので、その点についてお答えできるならば、この際お答え願いたいと思います。
  20. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 国有林経営自身地元町村の支持及び町村民協力なくしては果し得ないということは、われわれ痛切に感じておるところでございます。そういう意味におきまして、国有林野の現在の経営全体を通じて見ますると、そのすみずみまで地元との間の協力ということが貫いておるように、かように考えるのであります。たとえば、一つの例を申し上げますれば、国有林材処分につきまして、これを競争入札にまかせることなく、実際は六割ないし七割くらいの数量のものを特売をいたしておるということは、これは地元の産業を育成していこう、こういう趣旨が非常に大きく、その一つ原因をなしておるのでございます。この点あたりもその一つの現れであろうかと存ずるのであります。また国有林自身が、国有林材の搬出の際に道路を作りまする場合におきましても、地元林道等道路との間のつながりということを常に考慮いたしまして、両者を総合的に価値判断をして開通するべきであるということを決定しました路線については、国有林におきましても、民有林との間の適当なる負担の区分によりまして、その道路建設を、手を握っていくということをやるべきでありまして、たとえば私事を申し上げておそれ入りますが、私は最近まで営林局長をいたしておりました四国について、高知県の奥地に非常に道路が入っており、あるいは徳島県のほとんど奥地の開発がおくれておるということの原因も、やはりそこらあたりに、私は国有林の分布というところに原因があるように考えるのでございます。さらにまた国有林は、国有林自身経営のみならず、国有林経営から出て参りまするところの財政力というものを、一方においては一般民有林振興あるいは地方行政に対する協力ということにささげるべきものであると、かように考えるのでありまして、公有林野宮造林法をこの国会において改正をいたしまして、契約の対象範囲を広げて参ったのでありますが、第二次の官行造林三十万町歩を国の手で植林をして、市町村あるいは部落との間に分収をしていこうという方針を掲げましたのも、そういう認識に基いておるのでございます。まあその他数え立てればいろいろ問題があると存ずるのでございますが、たとえば従来地元交付金の問題に関しましても、今回国有財産等交付金制度の一環といたしまして、しかも固定資産税交付対象となっておらない保安林にまで、国有林交付金を出すというようなことに踏み切りましたのも、これもまた保安林について地元町村に同じくお世話になるという認識に基くものでございまして、まあその諸点を一部の例として申し上げたのでございますが、林野庁は、末端の営林局署に対しましても、こういう認識の浸透に努めておりますような次第でございます。
  21. 笹森順造

    笹森順造君 私は、まだ大臣次官等への質疑を保留いたしまして、部長に対しての質疑はこれで終ります。
  22. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ほかに御質問ございませんか——。林政部長に申し上げますが、ただいまのあなたの答弁は、大体林野庁長官なり、あるいは農林大臣なりも了承せられることだと思いまするけれども、あなたは政府委員ではない、きょう便宜政府委員がおられないので、説明員としてあなたの答弁を求めたわけであります。あなたがここで答弁された趣旨をそのまま大臣にお伝え願って、政府委員である政務次官、あるいは林野庁長官がすみやかにこの委員会出席して、あなたが説明せられたことは政府の意思であるということをはっきり言明せられるようにお取り計らいを願いたいと思います。
  23. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 承知いたしました。
  24. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 私から二、三お尋ねしたいのは、大体法律内容については委員各位から質疑があって、質疑も大体尽きたようでありまするが、私は逐条審議することも必ずしも必要でないと思ったのでありまするが、一、二内容について、これはごく字句的なこと、あるいは法文の体裁のことでありますが、政府に所見をただしたい。まず第一は、第五条の二項、これは大体小林自治庁行政部長は、本院の法制局から一応聞いておられることだと思うのでございまするが、それを私がここで質疑することですから、意見を言っていただけばよろしい。この二項の二行目の「職員の構成及び配置等適正化並びに事務処理方法改善等」、この「並びに」というのはどういう必要があって特にお書きになったかということなんです。
  25. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはまあ特に特別必要というわけでもございませんが、ただまあ字句の続き上、政府法制局が相談の結果、そういう字句が入ったわけでございます。別に特別の意味もなければ、特別の理由もございません。
  26. 松岡平市

    委員長松岡平市君) これは例示してあるのを並べてあるので、「並びに」というのがない方がかえっていいんじゃないかと思うのだが、あなた方は法律体裁からいったら、こういうものがあった方がいいのですか。むしろこういうものがない方が適切ではないかと思うのですが。
  27. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは今委員長のおっしゃった通り、なくても私はいいと思います。どっちがよりいいかということについては、いろいろ議論がありましょうが、こういうときにはないのが普通かもしれません。
  28. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 私がお聞きしたいのは、これはない方が普通じゃないかと、こう考えるのです。初めの行政機関からずっと例をあげてあるだけであって、一番しまいに「及び」とか「並びに」とかいうものを、こういうものは書く必要のない字句のように私は思うのだが。
  29. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) もう一度申し上げます。これはなくても済むと思います。こういう考え方を入れましたのは、前段の方が組織のことを主として書いてありまして、だから機関職員組織配置等、それから後段の方にまあ事務処理方法等運営面を書いたものですから、それでここに「並びに」とつけたわけでございます。これを初めから取りまして、べた並べにして、下で「等」と区切っても、それはそれでよろしいと思いますが、そういう一応の趣旨でございます。
  30. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に第六条の同じく二項と三項の関係ですが、三項の「都道府県知事は、前項規定により新市町村建設計画提出があったときは、」、こう書いてあります。これは前の二項の「前項規定により新市村建設計画調整をした……その調整した計画」、こういうことで、「新市町村建設計画」というのとちょっと違うのじゃないかと、こういう感じがするのですが、「新市町村建設計画」というのは、あなたの方は、二項の「調整した計画」を直ちに「新市町村建設計画」と、こう言っておられる。方々に新市町村建設計画という言葉がたくさんあるのだが、ここの中では「前項の」というやつは、前項規定により調整した計画、こういうことだろうと思うのだが、この表現が少し正確を欠くおそれがないかどうか、意見を聞きたい。
  31. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは今お尋ねの通り、それは調整した新市町村建設計画という意味でもちろんございますが、そういうふうに「新市町村建設計画」というように書いてももちろんいいと思います。ただ前に「新市町村建設計画調整をしたときは、」と書いてありますから、それを受けて「調整した計画」としただけで、別段特別の意味はございません。
  32. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に、第九条の一番最後の「ただし、法令の規定により当該公共的団体等を監督する主務大臣がその統合整備について別段の定をした場合は、この限りでない。」というこのただし書き、前の本文が「その統合整備を図るように努めなければならない。」という訓示的規定であることはおわかりだと思うのだが、これにただし書きが要りますか。ただし書きがあれば整備をはかるように努める必要はない。努める必要はないという、そのただし書きが要るかどうかということです。
  33. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはごもっともな御質疑でございますが、この規定は実は、まあ正直な話を申し上げますと、作ったときにいろいろ折衝した規定でございまして、自主的に統合整備をはかるようにそれぞれ考えることは、これはもう当然に考えていい。しかしその統合整備につきましては、場合によっては他の法令で、あるいはその他これに関する主管官庁が統合整備につきまして、いろいろ方針なり計画なりを持つことはこれはあり得るわけでありまして、そういう場合につきましては、それぞれ主務大臣の定めた方針に従って考える、そういう趣旨を明かにする必要がある。こういうので、ただし書きを入れたわけでございます。それでございますから、全然無意味ではもちろんないのでございます。この書き方につきまして、「この限りでない。」というような言い方がいいか悪いかというのは、これは御議論があり得ると思います。しかしその趣旨は、主管大臣統合整備について方針をきめた場合にはそれに従ってやるようにという趣旨が基本でございます。
  34. 松岡平市

    委員長松岡平市君) だから、「ただし……この限りでない。」ということになれば、本文を打ち消すことでしょう。その統合整備をはかるように努める必要はないと、こういうただし書きは、これは私は本文を打ち消すものだと思います。あなたのおっしゃることはよくわかりますが、それなればこういう表現の方法というものは、これはただし書きですから、どうしても本文を打ち消すより以外は私は精神はないと思います。あなたのおっしゃるようなふうに、その他の、監督主務大臣が別段の定めをした場合はどうしろということをお書きになればいいのだが、これを本文の打ち消しに使うというのは、少しこれはどうも法文の体裁上納得いかぬというような気がするのだが、一応お考えを願う必要があると特にこの点について思います。  こうやっていきますと、まだだいぶいろいろな点がありますが、時間が非常にかかるようでありますから、この点についてはあとで一つ政府と私の方でいろいろ私の疑義のあるところをただしていきたいと思いますが、大体そのほかなお相当の点、法文の体裁その他において多少疑いがあるものがあるということを申し上げておきます。それから特に内容について、これは別な委員から御質問がありましたが、例の問題の二十一条の規定です。二十一条は、政府答弁によれば、合併促進法で与えられておる特典をこの法律で失わないようにこういう特例を認めるのた、こういうことでございます。その点は了承しておりますが、起ってくることが、まず第一は、これが三月三十一日に施行されるとして、本年の四月一日から九月三十日までの間に合併した新市町村では、これが五年間、この法律は今添うように時限法で五年間だが、受け得る恩典の期間が減りますね、合併促進法で与えられておる恩典よりも。というのは、合併促進法十五条であったと思うが、十五条の規定によるというと、「町村合併の行われた日の属する年度及びこれに続く五箇年度に限り、」と書いてある。その年度とほかに五年間付加してある。そうすると、この三月三十一日までにやってしまったものはこれに該当することになるのだろうと思う。それから後また合併促進法の期間は九月末日まである、あるにもかかわらず、四月一日以後やったものについては当該年度というものの特典がなくなってしまう、こういうことが一つ。これについてはもう今までやらなかったから、その当該年度の恩典はなくてもいいんだという考えがはっきりしておるのかどうか。それからその前に、本年の三月三十一日以前に合併した新市町村は、合併促進法の恩典のほかこの特例で恩恵を受けることが規定してある。ところが合併の時期次第によって受ける恩典の期間が不平等になってくる、これは当然出てきますね。そういうことは政府としては初めから予定しておられるのか。特に第二の点で、これも九月末日までの間に合併したものが当該年度の恩典を受けないという、そういう点についてはどういうふうに解釈しておられるか。
  35. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今委員長のお尋ねの通りな問題があるのでございまして、二十一条では、現在の促進法とそこの点の規定が違っております。その違いましたのは、一つは積極的に従来合併をいたしまして、まあ天体五年で終るものも出てきますけれども、まあ従来の状況では、なおこの特例を認めさしてやる必要がある。いわば積極的に五年の期間を延ばす結果になるわけでございます。それがその後趣旨をはっきりさせるためにやめたわけです。それから逆にいえば、四月以降やったものについてはぎりぎり五年になって、少し短かくなるという結果も実はこれはあるのでありますが、それは五年後の将来の、あとの運営のことは別として、今日の段階においては、むしろ一応そうしておいた方がいいかと、こういう解釈もあったのでございます。この点はこの問題だけでなしに、あとの二十四条なりその他二十五条にも関連しますが、つまり合併五カ年間に限るという規定は、これは促進法のときも入っておったわけでございますけれども、ところがこの法律自体が有効期間が五年間ということになっておりますから、かりにことしの九月なら九月に合併をするというと、まるまる五年にはならずに、促進法が四月一日限り施行になれば、それからの五年間で数カ月ちょっと短かくなるのです。そういうことも実はあり得るのでして、一応は促進法の有効期間をどうするかという問題にからんでくるのでありますが、われわれの考えといたしましては、促進法の有効期間は一応五年と、こういうことで区切りをつけてやったらどうだろうか。そのために合併を非常に早くやったところと、おくれてやったところで、多少その間に違いがありますが、これはやむを得ない。早くやった方に厚くいくのはやむを得ん筋ではないか。あとは促進法そのものに有効期間としてなお必要があれば、それは別途その問題として必要な時期に必要な方法で考えることにしたらどうだろうかと、一応そういう極言で立案したわけでございます。
  36. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 私は、合併促進法の方で、当該年度とあと五年というやつがくっついて、促進法の有効期間は九月末日まであるわけですから、こういうものが出なければ、あとの五年間は促進法でいけばいけるわけです。そういうものを実は逆に言えば、早くやらなかったのは何も急ぐ必要はないのだ、九月末日までにやれば、あなた方の出した法律では、当該年度とあと五年間をくっつけるという法律であったのではないか、そのつもりでしておった。そうしたならば、促進法にかわって今度は新市町村建設促進法というものを出して、当該年度を切っちゃったらはなはだ迷惑だ、こういうだだをこねたときにはどう言うか。
  37. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そういうことを言われるというとちょっと困りますけれども、こういうことで一日も早く合併を促進させたい趣旨である。それだから早くやっていただきたいというふうにお願いいたそうと思われるのでございます。
  38. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記とめて下さい。   〔速記中止〕
  39. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を起して。  ただいま林野庁長官委員会出席いたしました。林野庁長官に申し上げますが、あなたが衆議院の委員会に行って留守でありましたが、この委員会の進行上、あなたの方の奥原林政部長説明員として当委員会に呼びまして、委員との間に質疑応答をいたしました。あなたは、その内容については、おそらく奥原林政部長からお聞きであったと思います。私は、先ほど質疑応答の次第を大臣もしくは政務次官、あるいは林野庁長官に詳細報告せられて、あなたの応答がそのまま政府意見であるかどうかということを政府委員から当委員会で発言するようにしてもらいたい、こういうことを言っておきました。従って内容については大体御承知だと思いまするが、さらにその重要な部分については委員から質疑をいたしますから、御答弁を願いたいと思います。
  40. 笹森順造

    笹森順造君 ただいま委員長からお話のごとく、林政部長との間に質疑応答を重ねたのでありますが、ただいま政府委員出席だというので、原則的なことについて二、三お尋ねしたいと思います。  私どもは、ただいま新市町村建設促進法案審議しておるわけでありますが、その法律は御案内のごとく町村合併促進法と表裏するものであり、さらに一歩を進めて、この目的を遂げて新たにでき上りました市町村の健全な発展をはかるというのが目的であるわけでありますが、この二つ法律は、その出発点を異にいたしましても、ことに後段において申し上げました、新市町村の健全な発展をはかるというこの認識において今質疑を進めておるわけでありますが、これに関連して国有財産特別措置法の特例がここに出てくる次第であります。従いまして二つ法律の出たことにおいて、今申しましたこの国有財産特別措置法の特例に関する適用において、何らか心がまえにおいて相違があるか、あるいは特別に配慮するつもりか、その点をまずお尋ねしたいと思います。
  41. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) ただいま委員長から御指摘をいただきましたように、午後、私の方の林政部長が当委員会に呼ばれまして、いろいろお答え申し上げたことに関しましては、私ただいまつぶさにここに出席いたします途中で聞いたのでございますが、御説明申し上げたこと自体、全く私の考えておる通りのことでありますので、その点は私から特に申し上げておきます。それから特に新市町村の育成のために、すでに林野整備臨時措置法の例にならいまして、国有林野を逐次売り払って参っておるわけでございますが、今回のこの新らしい法律によりまして、従来措置いたしております五年据え置き、十五年の年賦償還、こういった形のものが五年据え置き、二十年以内ということに相なり、さらにその場合等におきまして、従来は御承知のように、一般国有財産の売り払いをいたしまする場合に、延納を承認いたしまするには、一応年八分の延納利息ということが原則になっておったのでございまするけれども、私どもが預かりますこの種のものの売り払いは、当然営利を目的としない、利益をあげない用途に供するといったような場合に準じて取扱うべきものだということで、従来六分五厘の利子を用いておったわけであります。今まで売って参りましたもの自体につきましては、大体直ちに伐採することのできるような対象のものが売り払い数量の約七割近くに相当しておるというような状況でございますが、中には一部かなり若い林を含めて売っておるというような状況でございまするし、さらに今後また事態によりましては、荒地を売り払うというような場合も出て参ります。自来林業の経営というものが非常に長期にわたりまして、しかも非常にその収益率が低いといったような本性を持っておりますような関係上、基本財産としてこれを取得せられ、さらにそれに対しましてその代金を支払って参られるといったような場合におきましても、売り払いまする対象によりましては、従来のように六分五厘一本でいくといったようなことにつきまして、やや妥当性を欠くというような見解も実は私どもといたしましても持っておるわけでございます。売り払いまする対象によりましては、さらにこれらの延納の場合の利息の引き下げを考えて参る、こういつたことで運用して参りたい、こういう考え方でおるわけであります。
  42. 笹森順造

    笹森順造君 具体的なお話しに入って御説明伺ったのでありますが、その前に、もう一つ基本的なことでお尋ねしておきたいと思うのであります。それは私どもが国会で審議しております問題の大きな点の一つは、地方自治体の財政難、あるいは財政の赤字の解消、この問題がいつでも大きく取り上げられるのでありますが、これは特に町村合併において、できるだけその所有の財産をふやして、そうして財源を養おうということに一つ理由もあると思うのでありますが、その地方自治体の財政が貧弱だということは、国家の所有しておりまする同地区における財産とのアンバランスというものが非常な原因をしておるように思う。つまり今度の新しく提案されました法律が、国有財産の特別措置法の特例というものを設ける趣旨がそこにあるのじゃないかということであります。従いましてこのアンバランスのものをバランスを取り得るようにしていくというその趣旨において特に配慮されたものと覚えておるわけであります。従いまして、この国有林の場合を全般的にごらんになって、日本全国の国有林というものが、地方自治体の有しておりまする林野とのそのバランスについて、一体どういう認識をお持ちになっておるのか、これでいいというのか、将来根本的にこれをどう一体変えていこうという考え方があるのか、この出発点がはっきりしなければ、枝葉末節のことだけではこの問題が解決せぬのではないか、こう思うのでございますので、根本的に一つの対策と申しましょうか。現政府が、国の財産というものと地方自治体の財産というものとの関係、このことについて一つ政府の見解を述べていただきたいと思います。
  43. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 私たちといたしましては、林業の振興の見地からいたしまして、御承知のように、現在国の約三分の一の森林の地域を占めておりまする国有林野というものがあるわけであります。残余の三分の二の地域がいわゆる民有林ということでございまして、その中には公有林及び私の持っております林、それがすべて含まれるわけであります。そこで一体一つの問題といたしましては、全森林面積の三分の一を占めておる国有林野というものの一体あり方が適正妥当であるかどうかということが問題でございまするが、御承知のようにわが国におきまして、国有林野の成立、沿革と申しまするか、その経緯を見ますというと、必ずしも一つの目的に従いましてああいった国有林野を形成せしめたものでありません関係上、かなり地方によりましては、ずいぶん妙な形をとっておるわけであります。大体中部以東の地域に非常に多いわけでございまして、なかんずく北海道、東北地方におきましては、全林野の中で占めております国有林野の比率というものは非常に高いわけであります。それに対しまして、中部以西の本土につきましては非常に少くなっておる。さらに南九州の地方におきましてかなり低くなっておる。こういったような状況でございまして、全体の林野配置といったような見地からいたします国有林野の現在の姿が決して妥当なものではない、私どもは実はかように考えておるわけでありまして、実は昭和二十六年に成立いたしまして、昨年の三月に失効いたしました国有林野整備臨時措置法、あの法律の実施過程を通じまして、でき得る限り非常に国有林野の占めております比率が大きくて、それだけ有形無形の異常な影響力というものを地方の財政に与え、地方の経済に与えておるといったような地域における国有林は、可能な限りあの基準に照らしまして、希望の町村払い下げて参る半面、また西日本の面におきまして、あまりにも国有林野というものが少い、かつ非常に荒れておるというような林地でございまして、一応国がこれを持って経営するのがしかるべきだというようなものにつきましては、国の財源をもって買い上げるというようなことでございまして、買い上げの方は現に進行中であるというような次第でございます。さような事態におきまして、やはり国有林野のあり方、本来の姿というものを全体の林業振興の立場から再配置するという意味合いのいわば本格的な林野整備と称すべきものをなるべく早く立案実施いたすことが必要な段階であると、私どもはかような認識に立っておるわけでございます。それと同時に、半面現在の民有林野でございまするが、一部私有林の中には、非常に優秀な内容を持った森林の経営をいたしております地帯も少くはないのでございまするけれども、その中の相当部分を占めておりまするいわゆる公有林野——市町村林野あるいは部落有林野と呼ばれております森林の中には、かなり荒廃をいたしておりまして、早急に造林をし、資源の育成をはかっていかなければならないといったような対象が実はあるわけでありまして、こういった対象に対しましては、私どもといたしまして、でき得る限りその造林の促進に努めて参りたい、かような考え方の下に、実は先般公有林野官行造林法の一部改正等もいたしまして、荒廃した部落有林に対しまして、その希望によりましては、国の手で造林を実施して参る、こういったような道も実は開いたわけでございます。従いまして将来やはりあるべき森林の姿といたしましては、ただいま申し上げましたように、国有林民有林全部を通ずる再配置の問題というものが考えられまして、その中において公有林野のあるべき姿というものが当然はっきりと打ち立てられて参らなければならないということに相なると思うのでありまするが、現状をもっていたしますならば、現に市町村、部落有林でありまするものが非常に荒廃をいたしておるという現状に対しまして、すみやかにこの原状回復の措置を強力に実施して参るということが政策の重点になろうかと、かように考えておるわけであります。
  44. 笹森順造

    笹森順造君 ただいまの御答弁で、今後に対する大体の構想が明らかにされたように思うのでありますが、お話のごとく、全国的にこれを見ますると、国有林地方自治体の所有しております林野との間の比率が非常な違いがある、これだけは確かにお認めのようでありまして、それで、今度の町村合併になりまする行政区域を持っておりまする多くの土地で、この比率が非常に違う、でこぼこがある、従ってそういう土地があるがゆえに、特に地方自治体が財政的に困難して、今貧弱なところであるというものを私どもは見るわけであります。従いましてそういうようなところには、この法律において特に配慮するという考えであるのか、その点を、将来の大きな計画ばかりでなくて、今提出されておりまするこの法案適用に当って、そういう配慮をする腹がまえであるかどうかという点を、実は実際の問題として伺いたいわけであります。それは今二対一の割合で国有林地方自治体の所有であるのが一般的なことであるが、ある地方においては、今お話のごとく五割以上、あるいは六割、七割五分というはどこの国有林が全林野の地域を占めておるという地方、県さえあるという状況でありますので、そういう地方において、しかもそれが非常な貧弱な市町村であるならば、その面に特別な配慮をするということを考えるのか、どうか、そういう点をもう少し明らかにしていただきたいと思います。
  45. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 私どもといたしましては、やはり最優先に売り払いを考慮いたしたいという市町村は、何といいましても現に国有林の占めております比率が非常に高い、従いましてその半面に市町村有林の占めておる比率が非常に低いという町村を考えたいと思うのでございまして、それは最優先にやはり考慮して参りたいと考えております。
  46. 笹森順造

    笹森順造君 今の最優先に考えるということで、一応こちらの方は理解したわけでありますが、さらに歴史的に申しましても、国有林野になった当時のことは、実際あいまいなことが非常に多いと思います。昔の藩林であったものが、あるいはまたただちに国有林になったとか、あるいは私有林であったものがいつの間にか国有林になったとか、あるいは帳簿洩れではっきりわからない所で、どうも処分ができぬというような、非常にあやふやなところが相当ある。これらの諸問題、歴史的な問題については、林政史を見てみましてもまた疑問のところがたくさんある。こういうところで特に配慮してもらうということが私は住民の希望であるがゆえに、今のお話で一応了解したのでありますが、さらに次の問題で、民有林に解放され、あるいは部落有林になり、地方自治体所有の林野になりましたものの中には、非常に荒廃したものがあるという非難を私どもは多く耳にするのでありますが、これはなるほど一面には非難されるものもありましょうが、今後国の財産である森林が地方自治体の方に移譲されたのちにおいて、これに対する配慮は、やはり同様な非難を受けないような配慮がなければ意味をなさぬのじゃなかろうか。その点で実は相当な疑問があるのじゃないかと思っておるわけであります。つまり部落有林なり、あるいはその他の地方自治体所有の林野というものに対するその後の育成がやはり国家的な配慮が十分でなかったから、そういうことになったのじゃなかろうか。その育成に対して、植林その他造林等についての国家的な配慮が単なる法規の上だけでもって、財政的にもっとすべきことをしていなかったという点がないのかどうか、あるいはそういうことを国有林と同様な配慮においてやってもできなかったのか、その点についてはどういう認識を持っているのか、私疑問に思うので、お尋ねしたいと思うのであります。
  47. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) ただいま私申し上げましたのは、現に相当荒廃しているものが相当多いということの事実を一つ申し上げました。  それからやはり沿革的に申しましても、いわゆる市町村有林、部落有林の姿で維持経営されておりましたものの中には、確かに荒廃したものが多かったのであります。従いまして大正九年には、公有林野官行造林法という特別の法律を制定いたしまして、国との文書契約によってそれらの土地を資源化するというようなこともいたし、現に明年度をもちまして三十万町歩の契約目標を達するというようなことに相なっているわけであります。さらに本三十年度からは、拡大された規模のものをこれらの対象に向けまして、継続実施いたして参るような運びに実はいたしているわけでありまして、国といたしましては、さらにそのような官行造林方式を通じまして、公有林の資源化については特別な配慮を実はいたしているわけであります。それで先ほども説明申し上げましたように、この森林事業と申しまするのは、かなり長期にわたりましてきわめて低位な収益しか期待できないというようなことのために、なかなかこれを合理的に維持管理しながら、適切な収入を確保していくといったようなことにつきましては、よほどの詳細綿密な計画の上に、はっきりした方針に従ってやって参りませんと、そのときどきの事情によりまして、よく荒廃に陥りやすいことは、私から申し上げるまでもないのでありますが、近年におきまして、そのような事態に当面することが非常に多かったというようなことも、最近町村林野の荒廃という問題が非常に大きくいわれている一つ原因じゃないかと、かように考えているわけでありますので、私どもといたしましては、やはり将来の新市町村基本財産といったような意味合いにおきますならば、やはり森林の経営のごときものは、実に適切な財産であると、かように考えますので、従いましてそれらのものが非常に維持管理されて、将来の市町村の財政の基礎の上に大きな役立ちをすることにつきましては十分な期待ができるものだ、かように考えております。
  48. 笹森順造

    笹森順造君 それに関係してもう少し具体的にお尋ねしておきたいのは、今度国の財産が地方自治体の方に移されました場合に、その林野立木の伐採あるいは売り払い等をする場合には、国の承認を得なければならないという点は強調されておりますが、そのあとに来たるところの問題、つまり今お話になりました、えてして地方に移譲されたあとに荒廃に帰するというようなことがありがちだということは、やはりそのあとの配慮が十分でないからでなかろうか、つまり国有林でありますれば、それに必要なる予算をやって、国の費用を注いでそれを育成するというわけでありますが、地方自治体においては、そこから立木等を伐採した場合に、あとの育成はやはり国家が配慮するがごとく、同様に配慮してもらわなければ、この育成強化ができないのじゃないか、その点を実は先ほどからお尋ねしておりますので、この法案が成立した後においては、単にその売り払いのときの国の承認ばかりでなくて、進んでその造林育成強化等についても力を入れるというようなことがあるのかどうなのか、この法律にもそれが裏付けとして……その点のことを実はお尋ねしているわけであります。特別にこの法律によってそういうことが考えられるかどうか、それは従来の通り法律だけの適用でいくのかということをお尋ねしたいと思うのであります。
  49. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) この法律によりまして売り渡したものが適当な時期に伐採されて、計画的な経営対象となって運営されて参る。そうしていわゆる伐採跡地に対しまして何らかの特別の措置が行われるかということにつきましては、このために特に特別の措置を考えるといったようなことば私どもといたしては取り上げておらないわけでございます。  それから私どもといたしましては、決していたずらに伐採を禁止するといったようなことは、森林の経営の上にいい意味合いの役立ちをするものじゃない。適当な時期に適当な伐採というものはやはり継続実施されるべきものと、かように考えております。要するにいっときの用に供しますために、跡地の造林の見通しがないような伐採が一挙に敢行されるというようなことにつきましては、やはり厳にこれを戒めなければならないというような意味からいたしまして、まお売り払い等の場合におきまして国が承認をする、こういうような建前を実はとっております。  ただ、繰り返して申し上げることに相なるわけでございまするが、えてしてなかなか補助造林等の場合におきましても、いわゆる自己負担分というものが相当に多くなりまするので、貧弱な財政の市町村等におきましては、なかなかそれも実は調達できかねるといったようなことで、みすみす造林がおくれているというような場合におきましては、ただいま申し上げましたいわゆる公有林野官行造林といったようなことの措置によりまして、すみやかに町村の希望によって造林をして参る、こういうことにいたすような措置も開かれまするので、その点は一般の私有林の場合とは非常に趣きが違っておる点だろうと、かように私は考えるのであります。
  50. 笹森順造

    笹森順造君 跡地の育成について、少し問題は展開するかもしれませんが、一つだけお尋ねしておきたいと思います。日本の国のこの自然の林相を見ますると、樹種の改良ということが非常に必要だと思う。従って特にこの跡地のことをお世話していただくことになりますると、もっと日本で必要とする樹種にこれをかえるということに、特にこの方面に力を入れてもらえないものか。つまり新市町村として将来財源にせよ、あるいはまた実際の木材の利用にせよ、地方的な要求に自然にまかしておくと、とにかくうまい工合にいかない。従って樹種の改良に関する指導ということに対しては、特に跡地の育成ということで考えておられると思うので、少し問題は展開しましたけれども、お尋ねしておきたいと思います。
  51. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 御承知のように国有林に対しまして、民有林の荒廃の程度が激しいということをよく言われるわけでございまするが、要するに荒廃度というものを指標いたしまする一つの尺度は、いわゆる単位面積当りの立木の蓄積量でございます。国有林が四百三十数石に対しまして、民有林が百八十石程度、いわゆる大体二・五対一というようなのが民有林の蓄積だ、こういうことがたとえばその荒廃の程度を指標するものだと、こう言われておるわけでありますが、この民有林がなぜ非常に低い単位当りの生産量しか持っておらぬかということをいろいろ検討いたして参りまするというと、民有林の約半分は薪炭林の経営でございます。いわゆる薪炭材の供給林として大体民有林の面積の約半分がこれに供されているという現状でございます。私どもが新市町村に対しまして売り払いますものは、決して薪炭林のような低位な生産物を生産してもらうことを目的として売り払うものではないわけでございまして、あくまでもやはり将来の基本財産の造成ということになりますと、やはり用材林を主として参るということになろうと思います。従いまして現状そのようなものが適当なものがありまする場合には、もちろんそういうものを最初に取り上げまして売り払うということでありますが、地域々々によりますというと、必ずしも現状は内容のよい用材林というものでない場合もあります。あるいは荒れ地に近いようなところをお分けするという場合もありますし、あるいは相当程度にいわゆる雑木をもって占められているような森林を売り払うという場合も現実の場合出て参るということになりますが、そういう場合におきましては、ただいまの御質問にありましたように、やはり何とかしてこれを生産性の高い針葉樹の林に切りかえていくというような問題が当然出て参ります。そこで現在私どもが造林の推進をはかっておるわけでございますが、やはり主体はいわゆる補助造林という方式でやっております。この場合国が三割と地方が一割の四割を補助金といたしまして、残りの六割を自己負担するということで造林をいたしておるわけでございますが、実際の運用面においては、国三割の地方一割、合計四割というものが、一割八分ないし六割の範囲に分れております。これはただいまの御指摘にありましたように、実際この樹種をかえましたり、あるいは林相をかえましたりする場合におきましては、造林費というものが相当大きくかかるわけでありまして、補助の程度もかえなければならぬというような現実の問題も起きております。そういう場合におきましては、大いに樹種の転換あるいは林相の転換というものをはかりまして、針葉樹の優位なる造林地というものをふやしまして、これらがよろしく基本財産としての用を足すという意味合いに達しますように実際交付します点で操作をいたしまして、これらの要望にこたえて参りたい。むしろ私ども方針といたしましては、積極的にそういう資源化の推進をはかりたい、かような考え方をいたしております。
  52. 笹森順造

    笹森順造君 そこで私は、もう一つお尋ねして私の質問を終りたいと思いますが、こうして特例法を設けて、公有林野が新市町村の方に移りました場合に、一番問題になりまするのは、やはり直ちにその新市町村の財政をどう援助するか、またそれを強化するかという問題に帰着する、だろうと思います。従いまして先ほどからだんだんお話がありましたように、公有林野は直ちに今ある木を切るというようなこともございましょうけれども、長年月にわたって永久にこの新市町村の財政を助けるということが目的であるから、すべてそういう観点に立つ必要があるだろう。従ってこの窮迫しております地方自治体の新市町村が助けられるためには、やはり長い目でもってこのものは助けられなければならぬ。ゆえに地方の要望として、せっかくこの法律が出るならば、据え置きが五年でなくて十年にしてもらいたい、こういう要望も出ている。この点の配慮が一体できるかどうか。さらにまた、先ほどもちょっとお尋ねしたのでありますが、先ほどの代金の支払いについての利息の点でありますが、八分が六分五厘になったというお話ですけれども、これをもっと金利を安くするというようなことに対する要望も非常に強く出ている。従ってこの点について、せっかくこういう法律が、新市町村建設促進の法律が出て、これに照応して、ほんとうに目的を達するためには、国家がほんとうに新市町村に対する理解と援助の手を差し伸べるとするならば、そういう方面にもう少し努力して、そうしてそういう要望にこたえるというようなことをしていくのがほんとうではなかろうか。これはこの法律を出すに当っての審議の過程において、どの程度までの配慮をされたか、またこれが審議された場合に、私どもはこれを決定する段階には、ぜひとも聞いておかなければならぬ点で、その点の見解を一つ伺っておきたいと思います。
  53. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) これは、基本財産造成のために取得されます森林というものは、先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、おおむね従来の実績によりまするというと、七割程度というものは、現在直ちに伐採可能だというようなことを言われておる現状でございます。従いまして私どもといたしましては、一応売り払い後五年間を据え置きまして、さらにその後二十カ年以内の年賦償還というような措置をいたしますならば、これは十分に経営の循環というものを考えていく場合の事態に対応できるものと、こういうような認識の上に立ちまして、こういうことに相なったものと私ども考えておるわけであります。おそらく全然荒地を取得いたしまして、そうしてやって参るという場合におきましても、条件のいいところにおきましては、大体二十年くらいたちますると伐期に達し、いわゆる新しい循環が始まるということに相なるわけでありますので、大体こういったようなことで現状に十分合うのじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。  それから一体売り払いましたものにつきまして、延納の場合のいわゆる利子が高いのではないか、もう少し引き下げることが可能じゃないか、特に新市町村の育成という見地からしますれば、引き下げてしかるべきではないか、こういうような意味の御質問だと思いまするが、要しまするに私どもといたしましては、国有財産一般の売り払いというものを、十分にそういったものを取り扱っていく場合の目安に置かなければならぬ。これらとの均衡も大体得なければならないというように相なると思います。それからさらには、私どもだけではなかなかこれは決定し得る問題ではありませんので、と言いながらも、やはり新市町村を育成いたしまするための措置といたしましては、実態に合うようにできる限りのことはやはり考えるべきだというようなことに基きまして、必ずしも従来の六分五厘に拘泥をしませんで、対象によってやはり引き下げというものの可能な限度を求めまして、区分をいたして、早急に結論を得たいということを現在せっかく検討をさせておるのでございます。
  54. 松岡平市

    委員長松岡平市君) なお一言、私から林野庁長官に、質問といいますか、希望を申し述べておきたいと思います。  この法律で、国有林を合併新市町村払い下げる目的は、新市町村基本財産の造成、こういう目的のためだと思います。先ほど来、笹森委員から、るるその点について特別な考慮をしてもらいたいというお話がありましたが、この点については、これは目的がどこまでも新市町村、しかも御承知のように、今日地方公共団体、特に末端の町村は財政的に非常な困窮を来たしておりまして、これらが確実な自己財源を持たないということについて非常な悩みがある、それらのものに、さしあたり国有林払い下げ等によって、相当長期にわたるけれども、ある程度の財源を持たせたいということなのですが、これについては、やはり特別な考慮を林野庁でもしていただきたい。これは当委員会の全部の希望でございます。ぜひ一つそういう特殊の目的であるということを念頭に置いて、事務を処理していただきたい。お願い申し上げます。  それから払い下げのやはり非常な障害になっておるものは、御説明を聞いておるというと、公共団体、部落有あるいは町村有というような森林が、ややもすれば荒廃に帰しておる。今までの実績から、なるべく国有林野国有林野のままにしておきたい、こういうのが払い下げを幾らかおくらかすといいますか、進めない非常に大きな原因のように先ほど来聞いておりますが、これはそういうふうな払い下げを受けて、自後の管理その他がうまくいかぬところについてまで、当委員会は、ぜひやってほしいという希望はいたしません。しかしながら町村で、従来、町村有、部落有等の林野の管理が十分行き届いておるというようなところで、しかも、そういうところで、相当の国有林野払い下げをやれば、将来十分それらの新市町村の財源として生きてくる、こう思われるものについては、私はこの機会に、本法でこういう特別の措置を講ずる趣旨から考えて、ぜひ一つあまりいろいろと文句をつけずに、思い切った措置を講ずるようにしていただきたい。これも当委員会の全委員の希望であると私は考えて、あえて申し上げますが、この点について林野庁長官はどういうふうにお考えなのか。今私の申し上げました二点について御答弁を願っておきたいと思います。
  55. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 第一点の問題でございますが、いわゆるこの法律案に基きますところの売り払いそれ自体が、おっしゃる通り趣旨のものでございますから、十分にお説を体しまして、趣旨に沿うように私どもいたしたいと、かように考えます。  それから第二点の問題でございますが、私がしばしばの機会に、非常に荒廃をしておるという現状を御説明を申し上げましたので、従ってそういう一般論によって、私どもが非常に売り惜しみをいたしておるというふうに、あるいは誤解を受けるかと思いまするが、私どもはそういうつもりは毛頭ないわけであります。あくまでも個々のケースでございまして、そういった中にも、十分に従来からの市町村林野というものをよく管理されて、将来の計画のためにいろいろと御苦心をなさっておる市町村も決して少くないわけでございまするし、あるときは確かに荒廃に陥っておったというような森林をかかえて、そのことのもたらす影響を十分に認識せられまして、やはり森林経営はかくおるべきだという考え方のもとに、今後再びそのような過誤を犯さないという意味で、非常に林野の取得に期待を持たれるような市町村もございます。あくまでもそういった実態に即しまして、可能な限り法律に照しまして、私どもは強力に推進して参りたい、こういう考えでございます。従来往々にいたしまして、どうも自治庁でお調べになったような場合と、私の方でお聞き取りしておるような場合の希望の面積に大きな食い違いがあるというような実態もあったのでございますが、これはたとえば自治庁におきまして、県を通じてお調べになるというような場合には、相当大きな数字が上りながらも、私どもの現地機関を通じまして吸い上って参ります数字の上には、そういう申し出等がないために、かなり小さいものがあるというようなことがございまして、従来私どもといたしましても、そういう取扱いにはこまかく気を配りまして、少くとも口頭で申し出が現地機関にありましたようなものについては、全部そのまま私どもの方に問題が吸い上って参っております。そこで御承知の、中間に営林局という機関がございますが、ここと林野庁の私どもとが十分協議いたしまして、そうしてすみやかに事柄を処置して参りたい、こういうことで現に実施いたしておりますので、ここ当分の間に大巾に進捗いたすものと、かように御期待いただいてけっこうと思います。
  56. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 他に御質疑もないようでありますから、特に委員会の希望によって御出席を願いました林野庁長官並びに関係説明員質疑はこれで一応終了いたします。大へん御苦労でありました。ぜひ一つ、ただいま長官がおっしゃったような趣旨で、強力にお進め下さいまして、御承知のように、合併促進法に出ておっても、なかなか実効が上らぬということで、委員会は従来やきもきしておりました。ぜひこの新市町村建設促進法では、林野庁の御好意に当委員会が感謝できるように、事務の推進をぜひこの機会にお願い申し上げます。大へん御苦労でございました。     —————————————
  57. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 少し時間がありますので、ただいまより地方税法の一部を改正する法律案議題に供します。  本案につきましては、すでに政府提案理由説明は聴取いたしておりますので、本日はまず詳細説明を聴取いたします。
  58. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お手元にお配りいたしております地方税法改正事項細目というプリントに従って御説明いたします。  第一は総則でありますが、「道府県が個人の道府県民税とあわせて徴収した個人の市町村民税または市町村が個人の市町村民税とあわせて徴収した個人の道府県民税で、納税者または特別徴収義務者の過納または誤納にかかるものがある場合には、道府県または市町村は、その過納または誤納にかかる市町村民税または道府県民税を当該納税者または特別徴収義務者の未納の道府県または市町村地方団体の徴収金に充当することができることとする」ものであります。本来道府県の税金を市町村の未納の税金に充当することができないわけでありますけれども、両者は一体として徴収しておりますので、相互の便宜をおもんばかりまして、徴収した団体の未納の税金に充当することができる道を開いておこうと考えているわけであります。  次に、「道府県内に寮、宿泊所等のみを有する法人等に対しても均等割を課するものとすること。」、温泉地区等には会社が寮や宿泊所等を設けている場合が多いわけであります。しかしこれらは事務所や事業所でございませんので、道府県民税は課せられません。法人税割の分割の基礎にもならないわけでありますが、均等割程度のものは課税した方が、当該市町村等の結びつきから考えまして適当であろうかと考えたわけであります。  事業税でありますが、「法人でない社団または財団で、代表者または管理人の定めのあるものの行う事業に対しては、法人として課税することをとりやめ、個人の事業税として課税すること。」、こういうものにつきましては、所得税法はあくまでも個人として所得税の対象にして参るわけであります。事業税の課税標準であります所得は、法人税や所得税の課税標準になります所得の計算の上にのっかることにしておりますので、所得税の場合に準じまして、やはり法人でありません以上は、こういうものを個人として扱って行きたい、かように考えるわけであります。  自動車損害賠償責任保険に対する収入金額は正味収入保険料の百分の十とすること、自動車損害賠償責任保険法が昨年十一月から実施されたわけであります。その保険が強制加入を建前といたしておりますし、また保険の料率をできる限り下げることを建前にして料率をきめている等の関係もございますので、この保険に対しまする事業税課税に当りましては、収入金額が課税標準でありますけれども、正味収入保険料の百分の三十五となるところを百分の十とすることにいたしたいわけであります。これによりまして、七百万円程度の軽減になるわけでございます。  四、不動産取得税、住宅の定義を、人の居住の用に供する家屋または家屋のうち人の居住の用に供する部分とすることでありまして、現行法では市町村居住の主として人の居住の用に供する家屋となっております。主として人の居住の用に供する家屋でありますと、不動産取得税の課税に当りまして、百万円基礎控除されるわけでありまして、しかしそれが該当するかどうかということにつきましては、人の居住の用に供されているか、あるいは営業等の用に供されているかということで、どちらに多く使用されているか、そういうことで判定するわけであります。従いまして、そこにはどちらに多く使用されているかということについて争いが絶えないわけであります。そのような事情にかんがみまして、居住の用に供してさえいれば、その部分については必ず百万円基礎控除をするということにいたしまして比率を明確にしたい、かように考えているわけであります。  五は、娯楽施設利用税、(一)が学生、生徒、児童または幼児のスケート場の利用に対しては、娯楽施設利用税を課することができないものとすることとしようとしているわけでありまして、スポーツという見地から、こういうものに課税いたさない。約四千万円程度の軽減になるわけであります。(二)は、娯楽施設利用税の徴収の方法について、パチンコ場等で利用物件等を課税標準とする場合には、普通徴収の方法にもよることができるものとすること、現在は申告納付の方法によっていますために、どの税率が適用されるものであるかということも自分で判断をする。その結果は府県との間にいろいろ争いが起っているわけでございますので、こういうような台数等で課税して行きます部分については、府県側で徴税令書を作成して納税義務者に交付する、そういう形で徴収できるようにいたしたいと考えるのであります。  六、遊興飲食税、(一)特別徴収義務者が申告納入の期限までに遊興、飲食及び宿泊並びにその他の利用行為にかかる料金及び遊興飲食税の全部または一部を受け取ることができなかったことにより、その納入すべき遊興飲食税にかかる地方団体の徴収金の全部または一部を納入することができないと認める場合は、特別徴収義務者の申請により、その納入することができないと認められる金額を限度として、三月以内の期間を限って徴収猶予をすることができるものとすること。この場合には延滞金及び延滞加算金を免除するものとすること。」、公給領収証制度がとられました結果、売り掛けになっている部分も明確になっているわけでありますので、そういう場合には三月以内の期間を限って徴収猶予する、延滞金もとらない。そのかわりまた売り掛けになっているものも明確に公給領収証となるべきものに記載してもらう、こういう考え方であります。「(二)、特別徴収義務者が遊興、飲食及び宿泊並びにその他の利用行為にかかる料金及び遊興飲食税の全部または一部を受け取ることができなかったことについて、正当な理由があると認める場合または徴収した遊興飲食税額を失ったことについて、天災その他避けることができない理由があると認める場合においては、特別徴収義務者の申請により、その遊興飲食税額がすでに納入されているときは、これに相当する額を還付し、遊興飲食税がまだ納入されていないときはその納入の義務を免除するものとすること。この場合における道府県知事の措置に不服がある者は、異議の申し立て及び出訴をすることができるものとすること。」、遊興飲食税が売り掛けになっておったところが、相手方が倒産してしまった、そういう場合には料金ももらえませんし、従って遊興飲食税だけを立てかえて払えということは酷にすぎるわけでございますので、そういう場合には納入の義務も免除しようということであります。こういたしまして、遊興飲食税の特別徴収が発生主義にのっとっておるわけでありますが、多くの部分について現金主義的な取扱いをして行きたいと、こう考えておるわけであります。  七、自動車税、「(一)、自動車について所有権留保付売買があった場合においては、自動車税の賦課徴収については、売主及び買主を共有者とみなすこととすること。」、自動車の月賦販売におきまして、月賦額が完済されるまでは所有権は買主に移らない。しかもまた租税は一切買主において負担すると、こういうような契約のもとに売買される例が非常に多くなっているわけであります。従いまして、こういう場合には買主も共有者と見なしまして、これに自動車税を課して行けるようにいたしたい、かように考えるのであります。「(二)、軽油引取税の創設に伴い、「揮発油を燃料とする自動車」以外の自動車に対する自動車税の標準税率を「揮発油を燃料とする自動車」に対する自動車税の標準税率まで引き下げるものとすること。」、現行は、五割増しになっておるわけであります。「(三)、自動車税の賦課後に自動車の承継があった場合には、それぞれ月割をもって自動車税を課するものとすること。現行は、前の納税者が後の納税義務者の納付すべき自動車税の全部又は一部を納付しているときは、その納付にかかる部分については、前の納税者の納税をもって後の納税義務者の納税とみなして、月割課税を行わない。」、前の納税者が一部を納入しているかどうかということによって、あとの納税義務者の負担する部分が変って参りますので、いろいろといざこざが起っておるわけでありますので、完全な月割課税にいたしたいと考えるわけであります。「(四)、自動車税の賦課期日後に自動車の用途等の変更により適用税率に異動があった場合においては、それぞれ月割をもって算定した額の合計額により自動車税を課するものとすること。現行は賦課期日現在における自動車税の税率により課する。」、たとえば自家用車が営業用車になりますと、料率が下ってくるわけであります。従って、そういう場合には自家用車であった期間が何カ月であり、営業用車であったのが何カ月であったかということによって税額をきめたいということに考えたわけであります。「(五)、同一の自動車についての道府県において納税義務が消滅し、他の道府県において納税義務が発生した場合においては、それぞれの道府県が月割によって自動車税を課することとすること。この場合においては現行法は納税義務が発生した道府県は、納税義務が消滅した道府県において賦課した部分については、自動車税を課することができない」、ということにいたしているわけでありまして、賦課したか、賦課しなかったかということによって税額が変ってくることは穏当でございませんので、その場合にも完全な月割にいたしたいというふうに割り切ったわけでございます。  八、市町村民税、「(一)、市町村内に寮、宿泊所等のみを有する法人等に対しても均等割を課するものとすること。」、これは府県民税の場合と同じであります。「(二)、市町村は、給与所得者のうち支給期間が月をこえる期間により定められている給与のみの支払を受けていること、その他これに類する理由により特別徴収をすることが著しく困難であると認められる事情があるものに対しては、当該給与所得者にかかる市町村民税を普通徴収の方法によって徴収するものとすること。」、たとえば恩給等のみを受けている人でありますと、年二回なり四回なりに分けて支払いを受ける、そういうものにつきましても、源泉で徴収をさしておくらせるということは非常に繁雑でありますので、そういう場合には、市町村がその人に徴税令書を渡して徴税して行く方法によりたい、かように考えておるわけであります。  九、固定資産税、「(一)、国が農地法の規定により、買収した未墾地等についても、農地の場合と同様に当該未墾地等を他人に売りわたすまでの間は、当該未墾地等の使用者(無償で使用する者を除く。)に対して課税することができるものとすること。」、使用者課税の範囲が若干広がるわけであります。この場合でも、未墾地等の使用者がカッコ書きで書きましたように、無償で使用する者につきましては使用者課税をいたさない、こういう場合には負担させないようにいたしたいと考えているわけであります。「(二)、日本放送協会及び日本中央競馬会にかかる固定資産は非課税の範囲から除くものとすること。」、三公社課税と同じように、非課税の範囲からこういうものについても除くわけであります。「(三)、日本放送協会が所有する固定資産で直接その本来の事業の用に供するものに対して課する固定資産税の課税標準については、当該固定資産に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の二分の一(昭和三十一年度分の固定資産税に限り四分の一)の額とするものとすること。」、三公社の場合と全く同じ建前にいたそうといたしているわけであります。その次は、納期限の特例でありますので省略いたします。  十、電気ガス税、「(一)、日本国有鉄道が直接一般交通のための旅客または貨物の運送の用に使用する電気に対しては、電気ガス税を課さないものとすること。」、一般の私鉄につきましては、すでに電気ガス税を課さないようにいたしているわけでありまして、今般日本国有鉄道に対しましても、固定資産税相当額の納付を求めることにいたしましたので、電気ガス税は一般私鉄なみに課さないようにいたしたいと考えております。「(二)、電気またはガスを使用する者が電気ガス税の課税部分と非課税部分とをあわせて使用する場合において、その部分の区分ができないときは、製品または鉱物の数量等を基準として政令で定めるところにより、電気ガス税を課することができる部分の電気またはガスの料金を算出するものとすること。」、鉱物の掘採のうちで、課税されるものと課税されないものと一緒に行なっている場合がございます。そういう場合には、課税される部分の鉱物の掘採に使っている電気がどのくらいあるかというふうなことを、政令で、たとえば産出された鉱物の価格で按分する等の方法により算出することができるようにいたしたいと考えているわけであります。  十一、目的税、「(一)、軽油引取税、1、課税の目的、道府県は、道路に関する費用に充てるため、及び道路法第七条第三項に規定する指定市」これは五大市であります。「に対し道路に関する費用に充てる財源を交付するため、軽油引取税を課するものとすること、」  2、用語の意義、「(1)、「軽油」とは、摂氏十五度において〇・八〇一七をこえ、〇・八七六二に達するまでの比重を有する炭化水素油をいい、政令で定める炭化水素油を含まないものとすること。」、こういう比重だけで規定いたしますと、灯油の一部分がこの中に入ってきたりいたしますので、そういうものを除外するために、さらに政令で蒸留度その他から除外できるような規定を置こうとするものであります。「なお、軽油引取税がまだ課されていない軽油に炭化水素油以外のものを混和するときは、その混和により生じたものを軽油とみなすものとすること。」、(2)、(3)、(4)は「元売業者」、「特約業者」、「営業所」のこれは定義であります。一般に元売とか、特約とかいっているわけでありますので、省略いたします。  3、課税団体、「特別徴収の方法による場合にあっては、当該軽油にかかる引渡の業務を営む軽油引取税の特別徴収義務者の営業所所在地の道府県、申告納付の方法による場合にあっては、」、元売業者や特約業者が自家消費に充てるものについては申告納付するわけであります。そういう場合には、「当該軽油の消費について直接関係を有する事務所または事業所所在地の道府県、」、それから次に、免税軽油を購入したものが他の者に譲り渡した場合には、やはりその部分だけは申告納付するわけになるのでありますが、「当該軽油にかかる免税証を交付した道府県」、さらに免税軽油を他の用途に充てた場合にも申告納付になるわけでありますが、そういう場合には、「当該軽油の消費または譲渡について直接関係を有する事務所または事業所所在の道府県」ということにいたしているわけであります。原則的には特約店から買う場合に、特約店が買った人間から料金と一緒に軽油引取税も徴収しているのでありまして、特約店の営業所所在地の道府県に申告納入することになって参ります。  4、課税客体、「(1)、特約業者または元売業者からの軽油の引取とし、特約業者の元売業者からの軽油の引取及び元売業者の他の元売業者または特約業者からの軽油の引取を除くものとすること。」、一般に製造段階の元売から特約業者が買いまして、これを特約業者が消費者に売るか、あるいはさらに不特約店あるいは小売店に卸して行くわけであります。この特約店の段階で課税をして行きたい、これが全国で二千くらいあるわけであります。元売業者として規定しようとしておりますのは約三十と考えております。三十の段階から大よそ二千の特約業者が引き取ってくるわけであります。この特約店から小売業者なり、消費者なりが引き取る場合には課税をしようとしているわけでございます。二番目は、「次の各号に掲げる場合の行為は軽油の引取とみなすものとすること。(イ)、特約業者が元売業者からの引取にかかる軽油をみずから消費する場合における当該軽油の消費、」、自家消費であります。「(ロ)、元売業者が軽油をみずから消費する場合における当該軽油の消費、(ハ)、免税軽油の引取を行なった者が他の者に当該引取にかかる軽油を譲渡する場合における当該軽油の譲渡、」、免税軽油を引き取りながら他に譲り渡す場合であります。「(ニ)、免税軽油の引取を行なった者が免税用途以外の用途に供するため引取にかかる軽油をみずから消費する場合における当該軽油の消費、(ホ)、特約業者及び元売業者以外の者が軽油を輸入して、当該輸入にかかる軽油をみずから消費し、または他の者に譲渡する場合における当該軽油の消費または譲渡」、これだけの場合が課税の対象になるわけであります。(3)は、「特約業者または元売業者が軽油を使用して、軽油以外の炭化水素油を製造する場合における軽油の使用は、(2)(イ)または(ロ)の軽油の消費には含まれないものとすること。」、この中の課税対象には含まれないということであります。たとえば軽油を四割くらい、B重油を六割くらいまぜましてA重油にいたしまして消費する場合がございます。そういう場合には課税の対象にはいたさないということであります。主として自動車用の軽油を課税対象にする関係もございまして除外することにいたしております。  5、納税義務者は一般的には軽油の引取を行うものでありますが、自家消費いたしましたりする場合には、特約業者や元売業者自体が納税義務者となって参るわけであります。  6は、「課税免除、(1)、次の各号に掲げるものについては、道府県知事の承認を得た場合に限り、課税しないものとすること。(イ)、軽油の引取で本邦からの輸出として行われたもの」には課税をしないわけであります。「(ロ)、特約業者からの引取で当該特約業者が他の特約業者から引取を行なった軽油にかかるもの」、すでに前段階で課税されているわけでありますから、二重課税を避けるという意味で承認を受けた場合には課税しないことといたしております。「(ハ)、すでに引取について軽油引取税を課された軽油にかかる引取」、一般的にはさらにこういう規定を設けまして二重課税を避けることができるようにいたしております。「(2)、次の各号に掲げるものについては、免税証の交付があった場合及び13(1)の道府県知事の承認があった場合に限り、課税しないものとすること、(イ)、船舶の使用者が当該船舶の主たる推進機関の動力源に供する軽油の引取、(ロ)、海上保安庁が航路標識法第二条の規定により設置し及び管理する航路標識の光源用に供する軽油の引取、(ハ)、日本国有鉄道、地方鉄道事業または軌道事業を営む者その他政令で定める者が鉄道用車両、軌道用車両またはこれらの車両に類するもので政令で定めるものの主たる推進機関の動力源に供する軽油の引取、(ニ)、農業または林業を営む者が動力耕うん機その他の政令で定める機械の動力原に供する経由の引取、(ホ)、陶磁器製造業その他の政令で定める事業を営む者が陶磁器の製造工程における焼成の用途その他政令で定める用途に供する軽油の引取、」  7、課税標準、「引取にかかる軽油の容量」が課税標準となります。「ただし、特別徴収の場合における課税標準量は、引取にかかる軽油の数量から当該引取の際減少すべき軽油の数量として政令で定める数量を控除した数量とするものとすること。」、たとえば、特約業者から他の販売業者が引き取って行く、それから消費者に渡る場合にはかなり蒸留度の強いものでありますから、欠減してくることが考えられるわけであります。そういう意味で特約業者が税金を申告納入します場合の課税標準につきましては、一%程度の欠減を見る予定をいたしておるわけでございます。  8、税率、「軽油一キロリットルにつき六千円とするものとすること。」、揮発油税が地方道路税と合わせまして一万三千円でありますので、その二分の一弱にしたいという考え方であります。  9、徴収の方法は原則的には特別徴収でありますが、例外的には申告納付の方法によっているわけであります。  10、徴収の手続、「(1)、特別徴収の方法による場合においては、次の各号に掲げるところによるものとすること。(イ)、道府県は、当該道府県の条例の定めるところにより、当該道府県内に営業所を有する特約業者または元売業者その他徴収の便宜を有する者を特別徴収義務者として指定し、これに軽油引取税を徴収させるものとすること。(ロ)、軽油引取税の特別徴収義務者は、毎月十五日までに、前月の初日から末日までの間において徴収すべき軽油引取税にかかる課税標準量、税額及び免税にかかる数量その他必要な事項を記載した納入申告書に免税証その他免税数量を証するに足りる書面を添付して、当該特別徴収義務者の営業所所在の道府県の知事に提出し、及びその納入金を当該道府県に納入するものとすること。(ハ)、前各号に掲げるもののほか特別徴収の手続等については、他の特別徴収にかかる道府県税の例によるものとすること。(2)、申告納付の方法による場合においては、次の各号に掲げるところによるものとすること。(イ)、4(1)(イ)(ロ)及び(ホ)に掲げる場合にあっては、納税者は、毎月十五日までに、前月の初日から末日までの間において消費にかかる軽油引取税の課税標準量税額その他当該道府県の条例で定める事項を記載した申告雷を当該納税者の当該消費または譲渡について直接関係を有する事務所または事業所所在地の道府県の知事に提出し、及び申告した税額を当該道府県に納付するものとすること。(ロ)、4(1)(ハ)及び(ニ)に掲げる場合にあっては、納税者は、当該事由の発生した日から十五日以内に、当該譲渡または消費にかかる軽油引取税の課税標準量、税額その他当該道府県の条例で定める事項を記載した申告書を当該軽油にかかる免税証の交付をした道府県知事に提出し、及びその申告した税額を当該道府県に納付するものとすること。」特約業者や元売業者の自家消費の場合には、(イ)で毎月十五日までに前月分を申告納付いたします。それから(ロ)で免税軽油を他に譲り渡したという場合には、当該事由の発生した日から十五日以内に申告納付するということにしたわけでございます。  11、免税の手続、「(1)、6(2)各号に掲げる用途に供するため、免税軽油の引取を行おうとする者は、政令で定めるところにより、免税軽油の数量、免税軽油の引取を行おうとする販売業者の事務所または事業所所地及び氏名は名称その他必要な事項を記載した申請書を当該免税軽油使用者の主たる事務所または事業所所在地の道府県知事に提出して免税証の交付を受け、その免税証を軽油引取税の特別徴収義務者に提出するものとすること。ただし、免税軽油使用者は、特別の事情によりこれによりがたい場合にあっては、政令で定めるところにより、主たる事務所または事務所以外の裏業所所在地の道府県知事に免税証の交付を申請することができるものとすること。」原則として免税軽油の引取を行おうとする営業所所在地の道府県知事に免税証の交付を申請するわけですが、しかし二府県以上に事務所、事業所を持っておりまして、一府県で免税証を全部受けてしまいたい場合には、そういうこともできる道を開いておこうというわけであります。「(2)、道府県知事は、申請があった場合においては、免税軽油使用者が引取を行おうとする軽油の数量がその用途及び使用期間に照らし、適出なものであると認めるときは、免許証を交付するものとすること。免税証には、免税軽油の数壁、有効期間並びに免税軽油使用者が申請書に記載した販売業者の事務所または事業所所在地及び氏名または名称を記載するものとし、その様式は、総理府令で定めるものとすること。」、必要なだけの免税証は交付しなければならないという義務を課しているわけでございます。「(3)、免税軽油の引取は、免税証に記載された販売業者から行うものとすること。ただし、船舶の使用者等が当該販売業者の事務所または事業所所在地以外の地において軽油の引取を行う必要が生じたこと、その他やむを得ない理由がある場合においては、免税軽油使用者は、引取を行う販売業者の事務所または事業所所在地の道府県の条例の定めるところにより、他の販売業者から引取を行うことができるものとすること。」、免税軽油を引き取るということを申請する場合にはっきりさせておくことにいたしております。それをそのまま免税証に記載をいたしまして、記載された販売業者の所から免税軽油を買わなければならない。こういうことにいたしまして、免税証の横流しを防止したい、同時にまた免税証がなくても免税軽油をすっかり使い果しました場合には、便宜譲り渡しを受けられるルートもつけてお幸たいというふうに考えたのであります。「(4)、免税軽油使用者が免税証を軽油引取税の特別徴収義務者である者以外の軽油の販売業者に提出して、免税軽油の引取を求めた場合においては、当該販売業者は、当該免税軽油使用者にかわって、当該免税証を軽油引取税の特別徴収義務者である販売業者に提出して免税軽油の引取を行うものとすること。」、特約業者が特別徴収義務者にたるわけでございまして、その他の小売業者は特別徴収義務者にはなりません。しかし小売業者の段階におきましても免税軽油は引き取れる、小売業者は消費者にかわって特約業者から免税軽油の引き渡しを受けるのだという趣旨をうたってあるわけであります。「(5)、免税軽油使用者が当該道府県以外の道府県に事務所または事業所が所在する販売業者から当該免税軽油の引取を行うため免税証の交付を申請したときは、当該道府県知事は、遅滞なく、政令で定めるところにより、当該免税証に記載された数量その他必要な事項を当該道府県知事以外の道府県知事に通知するものとすること。」、たとえば静岡で買う免税軽油について東京都で免税証の交付を受けますときに、東京都知事は静岡県知事に対しまして、そういう免税証を交付したということを通知しなければならないということにいたしてあるわけでございます。  12、徴収猶予、「道府県知事は、軽油引取税の特別徴収義務者が軽油の代金、軽油引取税の全部または一部を10(1)(ロ)の納期限までに受け取ることができなかったことにより、その納入すべき軽油引取税にかかる地方団体の徴収金の全部または一部を納入することができないと認める場合において、当該特別徴収義務者が政令で定めるところにより担保を提供したときは、当該特別徴収義務者の申請により、その納入することができないと認められる金額を限度として、二月以内の期間を限ってその徴収を猶予するものとすること。」、手形による売買等が通常でありますので、二月以内の期間を限りまして担保の提供があった場合には、売りかけになっておる部分については全部徴収猶予するということにいたしておるわけであります。  13、「納税義務者がその引取にかかる軽油を返還した場合及び免税軽油使用者が引取後において免税用途に免税軽油以外の軽油を供した場合における措置、(1)、軽油引取税の特別徴収義務者から軽油の引取が行われた後販売契約の解除により、その引取にかかる軽油の全部または一部を当該特別徴収義務者に返還した場合において、その引取にかかる軽油の軽油引取税額がまだ納入されていないときは、当該軽油の引取は行われなかったものとみなし、すでに軽油引取税額の全部または一部が納入されているときは、道府県知事は、当該納入にかかる軽油引取税額のうち、当該返還された軽油に対応する部分の金額を、当該特別徴収義務者の申請により、還付するものとすること。(2)、免税軽油使用者が免税証の交付を受けた後当該免税証に記載された数量をこえる数量の軽油を免税用途に供した場合において、その事実及び数量を免税証の交付を受けた道府県知事に証明してその承認を得たときは、道府県知事は、軽油引取税の特別徴収義務者の申請により、当該軽油にかかる軽油引取税額がまだ納入されていない場合にあってはその納入を免除し、すでに軽油引取税の全部または一部が納入されている場合にあってば当該納入にかかる軽油引取税額のうち、当該使用にかかる軽油に対応する部分の金額を当該特別徴収義務者に還付するものとするものとすること。」、前者については税金を還付いたしますし、後者につきましては免税証を追加して交付するということにいたしておるわけであります。  14、「特別徴収義務者の記帳義務、軽油引取税の特別徴収義務者は、営業所ごとに、軽油の貯蔵数量、引渡を受けた軽油の数量、引渡を行なった軽油の数量その他必要な事項を帳簿に記載しなければならないものとすること。」、揮発油税の場合に準じた記帳義務を課しておるわけであります。  15は、徴税吏員の質問検査権等、16は、自治庁職員質問検査権、17は罰則であります。18は犯則取締、19は使途等、(1)は指定市に対する交付、「(イ)、指定市を包括する道府県(以下「指定府県」という)は、総理府令で定めるところにより、当該指定府県の軽油引取税額に相当する額に政令で定める率を乗じて得た額に当該指定市の区域内に存する道路(一級国道及び二級国道並びに都道府県道をいう。)の面積を当該指定府県の区域内に存する道路の面積で除して得た数を乗じて得た額を当該指定市に対して交付するものとすること。」、要するに、五大府県が徴収いたしました軽油引取税から、徴収に要した経費を差し引きました額を五大府県内の通路の中で、五大市の中にある道路の面積の割合がどれくらいであるか、この五大市の中にありまする道路の面積の占めております割合、これを乗じた額を五大府県から五大市に交付するわけであります。「(ロ)、前項道路の面積は、総理府令で定めるところにより、補正することができるものとすること、(2)、使途、道府県は当該道府県の軽油引取税額に相当する額(指定府県にあっては、当該指定府県の軽油引取税額に相当する額から、(1)(イ)により指定市に交付した額を控除した額)から軽油引取税の徴収に要する費用として総理府令で定める額を控除した額を、指定市は(1)(イ)により交付を受けた金額をそれぞれ道路に関する費用に充てなければならないものとすること。」  20、施行期日、「軽油引取税に関する部分は、昭和三十一年六月一日までの期間内で政令で定める日から施行するものとすること。」  21、その他、「(1)、元売業者の指定、特別徴収義務者の指定、登録及び証票の交付、並びに免税証の交付等は、軽油引取税に関する部分の施行の日前においても行うことができるものとすること。(2)、軽油引取税に関する部分の施行の際、軽油引取税の特別徴収義務者でない販売業者が一キロリットル以上の軽油を所持している場合においては、当該販売業者が当該部分の施行の口に、特約業者から引取を行なったものとみなして、軽油引取税を課するものとすること。」、買いだめを防止するという趣旨におきまして、小売業者等がたくさんな軽油を持っています場合には、子の部分については課税できるようにいたしておきたいのであります。  (二)、都市計画税、1、課税の目的、「市町村は都市計画法に基いて行う都市計画事業または土地区画整理法に基いて行う土地区画整理事業に要する費用に充てるため、都市計画税を課することができるものとすること。」  2、課税客体、「都市計画法第二条の規定により都市計画区域として決定された区域のうち当該市町村の条例で定める全部または一部の区域内に所在する土地及び家屋とすること。」、市町村内の家屋でありましても、都市計画事業と全く何らの関係もないと思われるような山林等につきましては、課税をはずそうと思えば、条例できめればはずせるようにいたしておきたいと考えているわけであります。  3、納税義務者、「前項によって都市計画税の課税客体となるべき土地及び家屋の所有者とすること。」  4、非課税の範囲、「(1)、国並びに都道府県、特別市、市町村、特別区、これらの組合及び財産区に対しては課することができないものとすること。(2)、固定資産税を課することができない土地または家屋(免税点をこえないため課することができないものを含む。)に対しては課することができないものとすること。」、固定資産税と一体として運用して行きたいと考えておるわけでありますから、非課税の範囲も合わせておるわけであります。  5、課税標準、「課税客体である土地及び家屋にかかる固定資産税の課税標準となるべき価格(課税標準の特例規定適用を受ける土地または家屋にあっては、その価格にそれぞれの率を乗じて得た額)とすること。」、たとえば発電所でありますと、最初の五年間は三分の一、次の五年間は二分の一というふうに軽減措置を講じておるわけでありまして、課税標準はやはりその特例適用した後の額を課税標準とすることにいたしたいと思うのであります。  6、税率、「百分の〇・二をこえることができないものとすること。」  7、徴収の方法等、「(1)賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とすること。(2)、納期は、原則として、四月、十一月、十二月及び二月中において、当該市町村の条例で定めるものとすること。(3)、賦課徴収は、固定資産税の賦課徴収の例によるものとし、特別の事情がある場合を除くほか、固定資産税の賦課徴収とあわせて行うものとすること。」、一枚の徴収紙で固定資産税と都市計画税を合わせて両方を徴収しようと考えております。(4)、賦課徴収に関する異議の申立及び出訴は、固定資産税の賦課徴収に関する異議の申立及び出訴の例によるものとすること。(5)、都市計画税にかかる地方団体の徴収金の納付は、固定資産税にかかる地方団体の徴収金の納付の例によるものとし、特別の事情がある場合を除くほか、固定資産税とあわせて納付しなければならないものとすること。(6)、都市計画税を固定資産税とあわせて賦課徴収する場合においては、左によるものとすること。(イ)、納期前納付に対する報奨金、延滞金または延滞加算金の計算については、両税の合算額によって行うものとすること。(ロ)、都市計画税及び固定資産税にかかる地方団体の徴収金の納付があったときは、その納付額から督促手数料及び滞納処分費を控除した額々両税の額に按分した額の納付があったものとすること。(ハ)、両税をあわせて収納する場合における国庫出納金等端数計算法の適用については、両税を一の地方税とみなすものとすること。(ニ)、都市計画税の徴税令書、納期限変更告知書、督促状その他の文書は、固定資産税のこれらの文書とあわせて作成するものとすること。(ホ)、固定資産税の納期限を延長したときは、都市計画税の納期限も同一期間延長されたものとすること。(ヘ)、固定資産税またはその延滞金額を減免したときは、都市計画税又はその延滞金額も、固定資産税またはその遅延金額に対する減免額の割合と同じ割合によって減免されたものとすること。(7)、都市計画税の脱税に関する罪、滞納処分に関する罪及び滞納処分に関する検査拒否の罪に対する罰則の適用については、固定資産税の場合における罰則と同一とすること。」  (三)、水利地益税、「市町村は、都市計画税を課する場合においては、都市計画法に基いて行う事業の実施に要する費用に充てるための水利地益税を課することができないものとすること。」、現行の水路地益税では都市計画事業のためにこれを起すことができるようになっております。しかし同じ目的のために二つの事業を興すことは不適当でありますから、都市計画税を起すためには、そういう意味の地益税は起すことができないことにいたすわけであります。  (四)、国民健康保険税、「課税額の限度額を五万円(現行三万円)に引き上げること。」、三万円ときめましてから後に、国民健康保険税が全体として四割五分くらい増額になって参ってきております。同時にまた給付額も八割くらいふえて参ってきておるようでありますので、最高額をこの程度引き上げたいと思うわけであります。  十二、その他、「(一)、昭和二十九年における事業税の改正に際し新たに所得を課税標準とすることとなった外航船舶を運航する法人の行う事業の所得の計算については、昭和二十九年四月一日の属する事業年度分から、従前より法人税の例による所得の計算が行われていたものとして同年度分以前の繰越欠損金及び減価償却不足額について、法人税で認められる繰越の措置を事業税においても認めることとして算定するものとすること。」二十九年から所得の課税標準が変ったわけであります。ところが、これらの事業は莫大な償却不足額をかかえております。これをいつから損金に落すかということにつきまして、法人税の計算に所得計算を合わせるわけでありますから、この償却不足額の損金算入のやり方も、全く法人税に合わした方が税務計算上簡素になるのじゃなかろうかというふうな考え方から、従前から法人税の例による所得の計算が行われていたものとして、将来にわたって所得計算をしていく、その結果は、償却不足額は二十九年以後、直ちに全部損金に算入しようとすれば算入できるということになるわけでございます。そういうこととの関連から、繰越し欠損金につきましても同じような措置を認めたい、海運事業の中には減価償却額は完全に損金として落していく、その結果相当大きな赤字を計上しておった企業がございます。赤字を計上しないために減価償却額を損金に立てない、そうした場合に、その減価償却額は将来損金に見られた、ところが赤字にしたばかりに、将来損金に扱われないということは不公平でありますので、繰越し欠損金も同じ扱いにしたい、かように考えているわけであります。「(二)、昭和三十一年度分の市町村民税及び固定資産税に限り、個人の均等割の税率及び大規模の償却資産に対する市町村の課税限度額の決定基準となる人口は、昭和三十一年三月三十一日までの間に昭和三十年国勢調査の結果が官報に公示された場合は、当該公示に係る人口によるものとすること。」、新国勢調査の人口によることにいたしたいわけであります。これらはいずれも一月一日現在できめることになっているわけでありますが、国勢調査の人口の公示がおくれているわけでありますので、このような規定を設けたいわけであります。「(三)、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う地方税法の臨時特例に関する法律の一部を改正して、軽油引取税にあっては合衆国軍隊及び国際連合の軍隊等が当該軍隊等の用に供する軽油の引取、都市計画税にあっては当該軍隊等が所有する土地及び家屋に対しては課税しないものとすること。(四)、日本中央競馬会に対する固定資産税の課税に伴い、国庫納付金率を百分の十(現行 百分の十一)に引き下げるよう日本中央競馬会法の一部を改正すること。(五)、その他規定整備を図ること。」  以上であります。
  59. 松岡平市

    委員長松岡平市君) それでは本法案に対する質疑は自後に譲りまして、本日はこの程度で散会いたします。    午後四時四分散会