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1956-03-20 第24回国会 参議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十日(火曜日)    午前十一時十七分開会     —————————————    委員異動 三月十四日委員榊原亨君及び中山福藏辞任につき、その補欠として笹森順 造君及び岸良一君を議長において指名 した。 三月十五日委員伊能芳雄君、堀末治 君、小幡治和君及び小笠原二三男君辞 任につき、その補欠として、酒井利雄 君、木村守江君、泉山三六君及び永井 純一郎君を議長において指名した。 三月十六日委員酒井利雄君及び木村守 江君辞任につき、その補欠として堀末 治君及び中川以良君議長において指 名した。 三月十九日委員中川以良君辞任につ き、その補欠として伊能芳雄君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松岡 平市君    理事            伊能 芳雄君            小林 武治君    委員            笹森 順造君            佐野  廣君            田中 啓一君            堀  末治君            安井  謙君            加瀬  完君            森崎  隆君            館  哲二君            鈴木  一君   政府委員    自治政務次官  早川  崇君    自治庁行政部長 小林與三次君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    自治庁財政部財    政課長     柴田  護君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選地方財政再建等のための公共事業に  係る国庫負担等臨時特例に関する  法律案内閣送付予備審査) ○地方財政法等の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○地方自治法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○地方自治法の一部を改正する法律の  施行に伴う関係法律整理に関する  法律案内閣送付予備審査) ○新市町村建設促進法案内閣提出)     —————————————
  2. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 委員会を開きます。  委員異動を御報告申し上げます。三月十五日付、委員小幡治和君、伊能芳雄君、堀末治君、小笠原二三男君はそれぞれ辞任せられました。後任として泉山三六君、酒井利雄君、木村守江君、永井純一郎君がそれぞれ委員に任命されました。三月十六日付、委員酒井利雄君、木村守江君はそれぞれ辞任されて、新たに堀末治君、中川以良君委員に任命されました。三月十九日付で委員中川以良君辞任せられ、伊能芳雄君が新たに委員に任命されました。     —————————————
  3. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に、理事補欠互選の件についてお諮りいたします。  理事伊能芳雄君が正月十五日付をもって委員辞任いたされましたので、理事一名欠員を生じておりましたところ、昨十九日付をもって再び伊能君が委員となられました。よって伊能君を理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。     —————————————
  5. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に、地方財政再建等のための公共事業に係る国庫負担等臨時特例に関する法律案地方財政法等の一部を改正する法律案地方自治法の一部を改正する法律案地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案、以上いずれも内閣提出予備審査議案でございます。  便宜この四案を一括して議題に供して政府提案理由説明を聴取いたします。
  6. 早川崇

    政府委員早川崇君) 地方財政再建等のための公共事業に係る国庫負担等臨時特例に関する法律案提案理由及びその内容概略について御説明申し上げます。  御承知通り政府地方財政の窮状を打開し、その再建推進するため、今般地方行財政制度の全般にわたって、能う限りの改革措置を行なったのでありますが、その一環として、国または地方公共団体が行う公共事業にかかる国の負担または補助割合を引き上げることにより、地方負担軽減をはかることとし、公共事業等にかかる国の負担または補助割合について特例規定するとともに、受益者分担金の徴収及び公共事業費補助負担金算定基礎について特別措置を設けることといたしたのであります。ただ、公共事業等にかかる国の負担または補助割合等は、いずれも慎重な検討の上定められているものであり、軽々しく変更すべきものではありませんので、今回の措置も、一応地方財政が立ち直るまでの臨時的措置として三カ年間に限ることといたしたのであります。これが、本法律案提案する理由であります。  次に、本法案内容について、その概略を御説明申し上げます。第一は、公共事業にかかる国の負担または補助割合特例に関する事項であります。今回の公共事業関係費補助率等の引き上げは、地方公共団体財政負担軽減をはかり、地方財政再建促進するという意味において行なったものであり、地方公共団体管理責任を負う河川、砂防、治山、道路、港湾、漁港等公共施設の整備のための事業に限ることとし、これらのうち、各法律において補助負担割合について規定のあるものについて特例規定を設けることといたしました。従って道路その他政令補助負担割合の定めのあるもの等については本法案規定を設けておりませんが、これらについては、いずれも政令等所要特例を定めることといたしております。  第二は、受益者分担金等についての規定であります。地方公共団体実施する公共事業によって利益を受ける者から、その利益を受ける限度において分担金等を徴収することができるということは、地方自治法道路法等規定されているのでありますが、現在この制度は、地方公共団体ごと運用が区々であり、その運用も明確を欠いている面もありますので、その本旨に従った運用を確保し、収入の充実をはかるよう、政令でそのおおよその標準を定めることができるようにするとともに、都市計画税軽油引取税創設等受益者負担制度の拡充の措置と相まって、地方公共団体は努めて受益者分担金等を徴収するよう努力すべきことを規定したのであります。  第三は、事業費算定特例に関する事項であります。現行制度によれば、補助金等の額は、その事業に要した費用から、地方公共団体が徴収した受益者分担金等の額を控除した額に一定率を乗じて算出することとされているのでありまして、分担金等を多額に徴収すれば補助金等の額が減少することとなっておりますが、今回これを改めて、地方公共団体が徴収した受益者分担金等の額は、負担金または補助金算定基礎となる事業費から控除しないものとし、受益者分担金制度の活用をはかり、地方財政負担軽減をはかることとしたのであります。  以上が、本法律案内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されんことをお願いいたす次第であります。  次に、地方財政法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を簡単に御説明申し上げます。  御承知のように、政府地方財政の窮乏を打開し、その再建促進するため、今般地方行財政制度について能う限りの改革措置を講ずることといたしたのでありますが、その一環として、多年の懸案事項でありました義務教育職員恩給に要する経費の半額を国庫負担する制度を創設することといたしましたことに伴いまして、地方財政法経費負担区分に関する規定を整備する必要が生じて参りましたのと、同法中の都道府県実施する事業につき受益市町村から負担金を徴収することができる旨の規定に関し、「事業」の範囲について疑義の生ずるおそれがありますので、これを「土木その他の建設事業」に改め、その範囲を明確にいたす必要がございますので、同法の一部に所要改正を行うこととしたのであります。また、地方財政再建促進特別措置法成立が予定より遅れました関係上、同法の成立を見越して、すでに職員整理実施した赤字団体退職手当の財源に充てるため起した地方債につきましては、現行法では、財政再建債としての取扱いができないために利子補給の対象とならないのでありますが、これらの団体財政再建を円滑に促進するためには、これらの退職手当債につきましても利子補給を行う必要がありますので、同法の一部に所要改正を加えることといたしたのであります。  以上が、本法律案提案する理由及び内容概略でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されんことをお願いいたす次第であります。  次に、地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  地方制度改革につきましては、昭和二十八年十月、地方制度調査会から、とりあえず当面とるべき措置に関して答申がなされました。その答申の大部分は、今までに実現されたのでありますが、地方自治法に関する部分は未だ実現を見ておらず、昨年十二月の同調査会答申においても、すみやかにその実現を期すべきものとされておるのであります。この答申を中心として、地方行財政現状にかんがみ、さらに検討を加えまして、民主的で、しかも合理的かつ能率的な自治運営を確立して、行政経費の節減と行政効果充実をはかり、真に住民福祉を積極的に向上させるような地方自治の健全な発展を期したいと存ずるものであります。これがため、一、都道府県市町村との地位権能を明らかにし、二、議決機関及び執行機関を通じて地方公共団体組織及び運営適正合理化簡素能率化をはかり、三、国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の関係に関する規定を整備し、四、大都市に関する事務配分特例を設け、その他必要な改正をいたしたいと考えております。  以下、改正法案の主要な事項につきまして概要を御説明申し上げます。第一は、都道府県市町村との地位権能を明らかにしたいのであります。現行地方自治法上は、都道府県及び市町村はひとしく普通地方公共団体としてその地位権能に区別が認められていない結果、ややもすれば両者の適正な関係について理解を欠くうらみがあったのでございます。しかしながら、市町村基礎的な地方公共団体でありますが、都道府県は、市町村を包括し、市町村と国との中間に位する広域の地方公共団体でありまして、両者地位権能はおのずから異なるものがあり、それぞれその権能責任とを分担しながら、相互に相協力すべきものと考えられますので、都道府県の処理すべき事務市町村の処理すべき事務との原則を明らかにし、相互に競合しないようにしたいのであります。  第二に、議決機関及び執行機関を通じて地方公共団体組織及び運営適正合理化及び簡素能率化をはかりたいと考えております。まず、地方公共団体の議会について申し上げますと、その一は、現在定例会回数は、都道府県及び市町村を通じて一律に年四回とされておりますが、これを毎年四回以内において条例で定める回数と改めまして、それぞれの地方公共団体の実情に即して、定例会を開くことができるようにしたのであります。その二は、常任委員会は、条例で、人口段階に応じ十二ないし四以内において置くことができるものとし、なお、その種類はすべて条例で自主的に定めるようにしたのであります。その三は、議員当該地方公共団体に対する請負については、長と同様の規制を加えることとしたのであります。すなわち議員は、当該地方公共団体またはその機関に対し、請負をするか、または主としてこれらに対して請負をする法人の役員となることができないものとしたのであります。  次に、地方公共団体執行機関について申し上げますと、その一は、都道府県局部現状は複雑に過ぎると認められますので、その規模に応じて、数の限度を法定し、法定数以上に局部を設けようとするときは、あらかじめ内閣総理大臣に協議するものとして、その簡素化をはかりたいと考えております。その二は、各種の委員会または委員事務局またはその管理に属する機関を通じて、組織、予算の執行財産管理等内部管理に属する事務について、総合的な運営を確保することができるようにするために、長に最小限度調整的機能を与えるようにいたしたいと考えております。  その三は、地方公共団体行政運営の公正を確保するために、監査委員制度につきまして、監査機能充実するに必要な改正を加えたいと存じます。第三は、国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の関係に関する規定を整備しようとするものであります。その一は、法令の違反または義務懈怠等の真にやむを得ない場合に、地方公共団体の反省を求める意味合いにおいて、内閣総理大臣がその是正または改善のため必要な措置を講ずことを求めることができるものといたしたいのであります。市町村に対する措置については、原則として都道府県知事をして行わせるものとし、市町村において都道府県知事措置異議がある場合には内閣総理大臣意見を求めることができるものといたしました。その二は、国の公務員都道府県公務員または義務教育職員との間において、恩給等の支給の基礎となる在職期間通算措置を講ずることとし、なお都道府県公務員市町村公務員の間においては、これに準じて通算措置を講ずるように努むべきものといたしたいと考えております。  第四は、大都市及びその機関に対して事務配分特例を設けたいと考えております。大都市制度については、かねて特別市問題をめぐり論議が多かったのでありますが、現在の府県制度のもとにおいては、適正な事務配分を行うことにより府県との間の調整をはかることが最も適切な解決と考えられますので、政令で指定する人口五十万以上の指定都市においては、社会福祉保健衛生、建築、都市計画等市民生活に直結した事務については、都道府県またはその機関の権限に属する事務は、政令の定めるところにより、市またはその機関において処理するものとし、なお指定都市に関する行政監督について特例を設けたいと考えております、右に伴い、特別市に関する規定は削除いたしたいと考えております。  そのほか、地方自治法中の行政争訟については、訴願前置の建前をとることとし、また給与その他の給付及び財務運営合理化のため規定を整備する等、地方行政運営合理化するために、必要と認められる若干の改正をいたしたいと存じます。なお、右の地方自治法改正中、指定都市についての特例その他の改正に伴いまして、関係法律中の規定整理する必要がありますので、地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案によりまして一括整理いたしたいと考えております。  以上が二法律案提案の趣旨及び内容概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いいたします。
  7. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ただいま説明を聴取いたしました四案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  8. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に、新市町村建設促進法案議題に供します。  まず、政府提案理由説明を聴取いたします。
  9. 早川崇

    政府委員早川崇君) ただいま議題に供されました新市町村建設促進法案につきまして、提案理由並びにその内容概要を御説明申し上げます。  各位の格別の御努力により、町村合併促進法が制定されましてから二年数カ月になったのでありますが、幸いにして、国民各位理解協力によって、町村合併歴史的事業は全国的に着々として進捗し、すでに計画の八割五分を達成し、約九千六百の町村が現在では約四千三百町村となり、約五千三百余町村が減少し、その間に二千に近い新市町村が誕生したのであります。今や大勢は、町村合併促進から新市町村建設段階に入ったと申してもよいのであります。  申すまでもなく、町村合併本旨は、町村規模を適正ならしめて、その基礎を強化し、市町村が時世の進運に応じて基礎的地方公共団体としての機能を十分に発揮し、住民福祉を増進することにあるのでありまして、新市町村が新しい地域基礎として、すみやかにその一体的態勢を確立し、町村合併によって強化された行財政能力を活用して、その建設計画的かつ効果的に行い、地域社会発展向上に努め、国民生活充実国民経済発展基礎を固くすることが深く期待されるのであります。従いまして、新市町村自身がその建設に自主的な努力をするとともに、国、都道府県等においても協力援助をさらに適切に行い、新市町村建設を着実に進めて参りますことは現下の要務であり、町村合併歴史的事業の成果を全うするゆえんであると存じます。よって、町村合併促進法がこの九月末に三年の有効期間を終えようとするのにかえまして、この際、新市町村建設基本となるべき事項を明らかにするとともに、これに対する国または都道府県協力援助措置を明らかにすることによりまして、新市町村建設促進し、その健全な発展基礎を固めるために必要な立法措置を講じようとするものであります。なお、新市町村建設と関連いたしまして、町村合併に伴う争論を合理的に解決するために、あっせん調停等制度を設けるとともに、町村合併促進法有効期間中に合併が行われない小規模町村に対する合併推進についても、あわせて必要な措置規定し、町村合併完遂とこれをめぐる争論合理的解決を期そうとするものであります。  以下、法案内容につきましてその概要を申し上げます。第一は、新市町村建設と経営の基本となる事項についてであります。すなわち、新市町村は、基礎的な地方公共団体としての機能を十分発揮して住民福祉を増進するために、その基盤となっている地域の自然的、経済的、文化的その他の特性に即して総合的にその建設計画を進るめことを基本として、新市町村建設計画計画的、効果的に実施されるよう必要な調整を加え、特に支所出張所の廃止、統合、小、中学校統合その他新市町村一体性を確立し、組織及び運営合理化に努めるとともに、新市町村建設推進力とするために新市町村に新市町村建設審議会を置くことができる旨を定めようとするものであります。  第二は、新市町村建設計画実施促進に関する国、都道府県及び公共企業体協力援助に関する措置についてであります。すなわち、国は新市町村に対して、その新市町村建設計画の合理的な調整促進するための補助金及び支所出張所並びに小、中学校統合に伴う補助金を交付するものとするほか、おおむね町村合併促進法におけると同様に、財政上の援助、起債の許可その他国の行政機関の行う処分について、新市町村に対し優先的に配慮すべきものとするとともに、郵便局等、国の地方行政機関所管区域と新市町村区域とが適合することとなるように措置するものとし、都道府県におきましても、国の行う措置に準じて必要な措置を講ずべき旨を規定しようとするものであります。日本電信電話公社等も、新市町村建設に資するため電話加入区域変更等措置を行い、国は、これを行うために必要な資金の融通措置を講ずるものとし、新市町村住民の便益をできる限りすみやかに確保しようとするものであります。なお、内閣総理大臣及び都道府県知事は、新市町村建設計画調整または実施に関して必要な基準を定め、または助言、勧告をすることができるものとし、このため及び未合併町村町村合併推進に関する諮問機関として、国に新市町村建設促進中央審議会を置き、都道府県に新市町村建設促進審議会を置くことができることといたしたのであります。  第三は、新市町村建設計画実施促進するための諾法律特例についてであります。すなわち、現行町村合併促進法と同様に、新市町村は、新市町村建設計画に掲げる事業については地方債を起すことができ、また合併関係町村相互の間の衡平を保持するための不均一課税をすることができることとし、国は、新市町村に交付する地方交付税算定に当り、合併に伴い臨時に増加する行政経費について特別の補正を行うことができるものとし、なお、小、中学校統合に伴い必要な経費についても配慮するものとするほか、国有財産払い下げ、特に新市町村基本財産を造成する目的で行う国有林野払い下げについて、その条件につき特別の措置規定することとしたのであります。  第四は、町村合併に伴う争論の処理及び夫合併町村町村合併推進に関してであります。町村合併をめぐり、新市町村の名称、役場位置等に関して当夢者閥に協議が進まず、ときに争論の因となっている場合もありますので、その円満な解決をはかるために、都道府県知事が新市町村建設促進審議会委員中から町村合併調整委員を命じて、これにあっせん又は調停を行わせ、さらに特に必要があるときは裁定することもできるものとし、町村合併に関する争論の適切な解決をはかって新市町村の円満な運営に資することといたしたいのであります。  また、いわゆる分村問題が町村合併をめぐるもっとも著しい問題点の一つでありますので、同様に町村合併調整委員あっせん調停制度を採用し、町村合併促進法におけるとほぼ同様に、都道府県知事の請求に基く選挙人投票による境界変更の手続について規定を整備し、分村問題の合理的な解決をはかりたいと存じております。なお、町村合併促進法が効力を失った後においても、その規模が適正を欠き、町村合併を行うことが必要であり、かつ可能である町村合併を行わないものがあるときは、都道府県知事は、新市町村建設促進審議会意見を聞き、内閣総理大臣に協議して町村合併勧告をするものとし、これについては、都道府県知事が特に必要があると認めるときは選挙人投票に付することができるものとするとともに、都道府県知事申請により、内閣総理大臣においても町村合併勧告をすることができる旨を規定し、もって町村合併完遂を期そうとするものであります。このほか、町村合併に関して関係市町村申請があるにもかかわらず、都道府県知事処分が行われない場合の内閣総理大臣処分等について、現行町村合併促進法に準ずる規定を設けることといたしたいのであります。  最後に、この際町村合併に伴う議員の任期の延長の特例人口五万未満の市の町村合併に準用することとし、また都道府県知事勧告を受けて市町村を編入する十五万未満の市についても町村合併促進法を準用することとするほか、この法律施行に伴い必要な条文の整理を行うために町村合併促進法の一部をこの法律の附則で改正いたしたいと存じております。  以上、提案理由並びに内容概略を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  10. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  11. 松岡平市

    委員長松岡平市君) それでは速記を始めて。  次に、政府委員より、ただいまの新市町村建設促進法案についての補足説明を聴取いたします。
  12. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) お手元にお配りいたしました新市町村建設促進法案要綱につきまして御説明申し上げたいと思います。それからあとからお配りしました資料につきまして簡単につけ加えたいと思います。  「第一、総則に関する事項、一、この法律は、町村合併を行なった市町村の新市町村建設計画実施促進して、新市町村の健全な発展をはかり、あわせて未合併町村町村合併を強力に推進することにより、地方自治本旨の十分な実現に資することを目的とすること。」、これは目的で御説明申し上げることはありません。「二、新市町村は、その地域の自然的、経済的、文化的その他の条件に即して総合的に建設を進めることを基本方針として、その一体性を確立し、組織及び運営合理化をはかり、健全な財政運営に努め、建設計画的かつ効果的に進めるべき旨を明らかにすること。」これは新市町村建設基本的な考え方を書きたいということでございます。そこで、それは新市町村としての地域的なあらゆる条件を総合的に考えて計画を立てるとともに、新市町村の内部の一体的な体制を確立し、組織運営合理化をはかり、そうして健全な財政運営に基いて建設計画的、合理的にやるべきことを趣旨としたいのであります。「三、新市町村関係機関、その区域内の公共的団体等は、相互協力して新市町村建設に当らなければならないものとし、その住民は、一の地方公共団体住民たるの自覚をもって、進んでその負担を分任して新市町村建設に当るべき旨を明らかにすること。」、これは従来の合併促進法にもあった規定でございます。  「第二、新市町村建設計画実施に関する事項、一、新市町村は、その建設を第一の二の趣旨に適合して進めるため、必要があると認めるときは、新市町村建設計画調整、変更するものとし、この場合には、特にその組織及び運営合理化に努め、これにより、新市町村建設計画に掲げる事業の財源を確保するようにしなければならないものとすること。」、それで、合併の際に、前の促進法に基きまして、建設計画を作っておるのでございまして、これはきわめて合理的に確実な計画を作っておるところと、それからまず合併前の各市町村の協議できめるので、いささか財政計画を無視した計画もあるわけでございます。そこで新市町村になりましてから、やっぱり一つの目で、一つの意識で考え直すべきものは考え直して、ほんとうに合理的なものにして、この建設促進して行くということが基本的な考え方だろうと思うのでございまして、その点をここに書いたのでございます。もっとも、計画調整すると言いましても、従来それぞれ合併の際考えました計画を圧縮するとか、縮減するという意味でこれはないのでありまして、これはそれぞれ合併後、恒久的に実現をすべきものでありますが、差しあたりの年度別実施計画というものをきちんとやる、その緩急、順序、先後その他を合理的に考えて実現性を考えていく、こういう意味で、新市町村建設計画調整ということを考えておるのでございます。その調整そのものについて国、府県がこれを強力に、重点的に援助、助成をしていく、こういう建前で今後の建設を進めて参りたいと存ずるのであります。「二、新市町村は、建設計画調整をしようとするときは、新市町村建設審議会審議及び議会の議決を経、あらかじめ都道府県知事に協議しなければならないものとし、調整をした計画は、都道府県知事を経由して内閣総理大臣に提出するものとすること。」、この建設計画実施は、自主的な市町村の経営計画であるとともに、国及び府県のこれに対する財政的その他の援助が必要でありますので、その計画につきましては、県とも十分協議をして、そして問題を考えていく、なお中央にも連絡して、中央におきましても各省と連絡協議してこの実現をはかっていく、こういう中央、地方を通ずる総合的な協力態勢ということを進めたいと存ずるのであります。「三、新市町村支所または出張所については、事情の許す限り、廃止、統合に関する計画を定め、住民の利便が低下することとならないように適当な考慮を払って、なるべくすみやかにこれを実現するものとすること。新市町村は、経営の合理化と教育効果の向上を図るため、小学校または中学校規模を適正化することが適当と認められるものについては、その統合等に関する計画を定めてその実現に努めるものとし、また統合を行わない場合においても、必要な通学区域の変更の措置を講ずるものとすること。」、合併市町村におきましては、できるものなら支所出張所統合いたす、学校もほんとうの一体性を確保するためにも、また学校の合理的な経営の見地からも、これを統合する必要のあるものは統合を考えていく、そういうものにつきましても、国としてもできるだけ援助を払っていく、こういうことを基本的に考えたいと思うのでございます。これにつきまして、今度新らしくそれぞれ予算上の措置も文部省及び自治庁において講ずることにいたしておりまして、この点はなおこれから御説明申し上げます。「四、新市町村区域内の公共的団体等は、その目的の達成と機能の発揮に寄与すると認められる場合には、新市町村一体性の確立に資するため、統合整備を図るものとすること。ただし、主務大臣が当該公共的団体等の統合整備について別段の定めをした場合は、この限りでないこと。」、合併をやれば、市町村単位のいろんな各種の団体等も新らしい市町村で再編成することは、これは当然望ましいのでございまして、ただし、その団体によりましては、いろいろ趣旨、性質が違うものもある、団体目的機能を達成するためにも必要があり、なお市町村の立場から考えても当然に一体化すべきものはすみやかに統合整備をはかりたいと存ずるのでございます。「五、新市町村建設計画調整その他その実施に関し必要な調査及び審議を行うため、新市町村市町村長の諮問機関として、新市町村建設審議会を置くことができること。」、これは特に申し上げることはありません。  「第三、新市町村建設計画実施促進に関する事項、一、国は、新市町村建設計画調整促進するため、新市町村及び都道府県に対して補助金を交付することができるものとすること。」、これは計画の再調整並びに府県の指導育成のための補助規定でございます。これに伴いまして、自治庁におきまして所要の予算を今度計上いたしておるのでございます。「二、国は、新市町村組織及び運営合理化促進するため、支所出張所の廃止、統合に伴い必要となる通信及び連絡施設の整備、小学校、中学校統合または通学区域の変更のため必要な校舎の建築、その他これらの統合等を進めるため直接必要となる土木施設の整備等の事業に対して補助金を交付することができるものとすること。」、これは支所出張所統合いたしましても、住民に不便になってはこれは意味がないのでございまして、それでそういうものを廃止すれば、かわりに通信連絡施設の整備等を考えて住民の利便福祉を考える。そのために必要な予算的な補助措置改正、なお小学校、中学校統合につきましても、統合自体についての措置を講ずるとともに、なお統合に伴ういろいろなあるいは通信、運輸施設等の整備の必要がありまするので、そういうものにつきましても、あわせて補助金交付の道を考えたい。こういうふうに存じておるのであります。「三、国は、新市町村建設計画実施促進するため、おおむね現行町村合併促進法第二十九条におけると同様に、新市町村建設計画に掲げる事業に対する財政上の援助措置、国の直轄事業実施、起債の許可その他国の行政機関の行う処分等について、新市町村のために特別の配慮をするものとすること。」、この規定は、従来の促進法にもありましたのとほとんど同様の規定でございまして、それぞれの事業実施する場合において、既定予算を新市町村重点主義で運用することを建前とする規定でございます。「四、国は、国の地方行政機関所管区域が新市町村区域基礎とすることとなるように、その変更等措置をすみやかに講ずるものとすること。」、この中心は郵便局の管轄区域と存じます。その他なお出先機関で考えられるもののありますものは、新市町村区域基礎とするよう、その変更をできるだけ早く実現いたしたい。郵便局の統廃合に関しましては、今度国の予算としてこれは相当の金額を計上されております。これはあとから一括して御報告申し上げます。「五、都道府県は、新市町村建設計画実施促進するため、前三項に準じて必要な措置を講ずるものとし、その他新市町村に対して必要な協力をしなければならないものとすること。」、これは都道府県の役割でございまして、国はそれぞれ国の補助事業あるいは直轄事業その他で考えると同時に、府県府県として市町村に対する補助事業あるいは府県の直轄事業について市町村の育成を中心に考えることを明らかにしたものであります。「六、日本電信電話公社その他の公共企業体は、新市町村建設に資するため必要な措置を、事情の許す限りすみやかに講ずるものとし、国は、日本電信電話公社が加入区域変更等措置計画的に講ずるために必要な資金の融通について配慮しなければならないものとすること。」、これは問題になっております電話局の統合の問題でございまして、これも電電公社としても一緒に御協力を願っておるのでありますが、これに対する財政上の措置についての規定を設けたのでございます。「七、内閣総理大臣は、新市町村建設計画調整その他その実施に関して、必要な助言または勧告等をするとともに、新市町村建設促進中央審議会意見を聞いて、新市町村建設計画調整及び実施に関して必要な基準を定めることができるものとすること。この場合において、国の関係行政機関が所掌する事務に関する事項については、あらかじめ当該行政機関の長に協議するものとすること。八、内閣総理大臣の諮問に応じて、新市町村建設計画調整その他その実施促進及び未合併町村町村合併推進に関し必要な事項を調査審議するため、新市町村建設促進中央審議会を置くこと。」、これは特に申し上げることもありません。一応各省相協力して建設促進をいたしたい、これが基本的な考え方でございまして、そこで必要な建設の基準を定めたり、その他建設計画調整実施について、中央で相協力して促進をいたしたいと考えるのでございます。「九、都道府県知事は、新市町村建設計画調整その他その実施促進に関して、必要な助言、勧告等の措置を講じ、なお新市町村建設計画調整又は実施に関して必要な基準を定めることができるものとすること。十、都道府県は、新市町村建設計画調整その他その実施促進及び未合併町村町村合併推進に関し必要な調査及び審議を行うため、条例都道府県知事諮問機関として新市町村建設促進審議会を置くことができること。」、これは同じ問題であります。  第四は、「他の法律特例に関する事項」、以下他の法律特例を一括して審議して新市町村建設促進したいと存ずるのであります。「一、現行町村合併促進法におけると同様に、新市町村建設計画に掲げる事業について地方債を財源とすることができるようにすること。」、地方債の道を合併計画全般に及ぼしておるのであります。町村建設計画全般について……。「二、新市町村は、これを構成する従前の市町村相互の間に地方税の賦課または基本財産もしくは負債の額に著しい差異がある場合においては、現行町村合併促進法におけると同様に、町村合併の次年度より三カ年度に限り不均一の課税をすることができるようにすること。」、これは未合併町村にもありますが、過去の町村にもあるのでありますが、合併する町村相互間の間において税の賦課率あるいは財産所有の状況、負債の類等に非常にアンバランスがある場合において、なかなか話が円滑に進まない、その間の実質的な均衡を保つために、ほんの三カ年間でございますが、不均一の課税をすることができるという道を開くことにして、合併の円滑と関係町村負担の公平というものを考えたいのでございます。これを要望する声が相当強かったので、少し規定を整備して入れることにしたのであります。「三、新市町村については、町村合併に伴い臨時に増加する行政に要する経費の需要を基礎として、基準財政需要額の測定単位の数値を補正して地方交付税の額を算定するようにすること。なお、小、中学校統合を行なったときにも、その統合に伴い必要な経費地方交付税の額に含まれることとなるように配慮すること。」、これは合併後の新市町村に対する交付税配分の問題でございますが、従来の促進法におきましては、御承知通り合併しなかったものとして計算をして交付税を配りました従来の交付税の額を確保するという建前をとっておるのであります。しかしながら、新市町村につきましては、むしろ合併前の状態を基礎とするのじゃなしに、合併後の新市町村の新しい財政需要というものを前提にして交付税の必要な配付も考えるということがむしろ筋でありまして、新市町村を土台とした交付税の基本的な態勢を整備して行くという方向に、できるだけすみやかに近づいて行くことが根本的な要件だろうと思うのであります。それで今度は、とりあえずの間は合併補正というような形で、合併に伴う新しい需要を見て交付税の配分も考えて行きたい、これが三でございます。なお、小中学校統合のことを特に書きましたのは、現在の交付税法によりますというと、小中学校が、財政需要上算定が学校一人当り幾ら、学級数幾らという規定がございまして、これは統合するというと逆に減る計算になりますので、これを実質上補う必要がある。そこで合併統合すればその当座はいろいろ施設費とか、その他の経費も要りますので、そういう意味でその経費を補てんをして、実質上統合したがためにすぐ損になるというような形をとらずに、交付税の配付を考えたいということで特に特記いたしたわけであります。「四、現行町村合併促進法におけると同様に、新市町村が新市町村建設計画実施に当り永久の利益となるべき施設の用に供する場合には、国有財産特別措置法の例によって町村合併後五カ年間に限り、国有財産の譲渡または貸付ができるようにすること。」、これは国有財産の貸付の規定で、大体従来の規定通りでございます。それから五は、「現行町村合併促進法におけると同様に、新市町村建設計画による基本財産の造成のため必要があるときは、町村合併後五カ年間に限り、新市町村国有林野を売り払い、または交換することができるようにすること。なお、売払代金の支払いは五カ年据え置き、二十カ年以内の年賦償還とし、国有林野整備臨時措置法及び町村合併促進法規定により売り払いを受けた市町村合併したときも、これに準じて売払条件を改めることができるものとすること。」、これは今回の改正で実質的に改正した重要な問題の一つでございます。林野の払い下げの問題はかねてから問題になっておるのでございまして、ぜひわれわれはもっと強力に進めたい、林野庁の方にも積極的な協力を願いたい、こういう考えを持っておるのでありますが、なお払い下げ条件がやや重いから、なかなか話が進まぬという面がありますので、その条件をできるだけ緩和さしたい、そうして市町村の実際の実情に合うようにいたしたい、こういう考え方で、今度の改正につきましても、林野庁とも積極的なあっせん協力、協議を進めて参ったのでございます。そこで従来の建前によりますと、五カ年据置で十五年以内の年賦償還になっておったのを、十五年ではどうも短か過ぎるので、それを五カ年間延ばしまして、二十カ年間にする、これが一つ、それからもう一つは、年賦償還になったものにつきましては、従来六分五厘の利率を払って参ったのでございます。そこでこの利子の支払いに非常に町村としては困っておるという事情がありまして、立木の売り払いが、円滑に木材の値段がうまく行っている時代はいいのでありますが、このごろなかなかそう売り払いが円滑に行かぬという事態で、売り払いに非常に困っておるという実情もありますので、六分五厘という利率を一様にきめられては因る。そこでその山の実情によりまして、六分五厘、五分五厘、四分五厘という三段階を設けることにいたしまして、樹齢が十年未満ですぐに売れないようなものは四分五厘にする、それから樹齢がそれ以上でありますが、伐木の適齢期に達していないのは五分五厘とする。伐木適齢期にきたものは六分五厘にするというように三段階段階を設けまして、利子の負担を緩和いたしたいということに相談がまとまったのであります。これは利子の問題でありますから法律で書くのはいかがかと、ほかの立法令と同様に実際の金利の状況であんばいしなければなりませんので、これに基く政令で、それぞれ農林大臣と大蔵大臣、自治庁長官とが三者協議して実際に定める。その辺は今申し上げました基準で問題を考えようということで話をつけたのでございます。なお、これにつきまして町村会あたりで時価より安い値段で払い下げることができるようにせよという要求が相当あったのでありますが、これは結局町村基本財産、永久財産として所得するわけでありまして、単に公用財産、公共用財産として学校のような建物に使うとか、そういう場合の問題と違いますので、これはやはり適正な時価で払い下げていいのじゃないか。ただしかしながら、その支払いの条件だけが実情に合うようにした方が適当であろう、こういう考え方で町村会方面の御意見もありましたが、この際とるべきではないという結論に達したのでございます。それから、なおこの規定改正で重要なのは、これは過去に促進法で売り払いを受けた町村に対して、さらにその前に、国有林野整備臨時措置法で十二、三万町の林野が町村払い下げになっておるのでありますが、その払い下げを受けた代金の支払いに非常に困っている。それが据置期間も大体五年か、六年くらいで非常に短くて、おまけに利子が六分五厘で非常に困っておる実情にありますので、こういう個々のものにつきましても、それが合併町村ならば今度の条件緩和の規定を遡及して適用しようということで、これは林野庁の非常な好意ある理解も得まして、その規定をこの後段に入れることにいたしたのでございます。  それから第五は、町村合併に伴う争論の処理及び未合併町村町村合併推進に関する事項、それからあとは未合併町村の場合、それから合併に伴う跡始末と申しますか、そういうものにつきまして、必要な規定を整備して問題の合理的処理をはかりたいという事項でございます。「一、町村合併をしようとするに当り、または合併後に、市町村の名称、事務所の位置、財産処分等について争論があるときは、都道府県知事は、新市町村建設促進審議会委員のうちから任命する町村合併調整委員あっせん、または調停を行わせることができるものとし、あっせんまたは調停による解決の見込みがないときは、特に必要な場合に限り、町村合併調整委員意見をきいて都道府県知事が当該争論の裁定をすることができるものとすること。」、これは合併後にもしばしば名称とか、役場の位置等について議論が起り、最初話がついておったのが合併後でまたひっくり返すとか、ひっくり返さぬとかいうような事例もあります。それからまた合併につきましても、合併はいいけれども、こういう条件が整わぬために事が進まないというような場合がありますので、そうした問題を合理的に解決するために町村合併調整委員という制度を設けることにいたしました。しかしこれはまた特に設けるというのはよけいなことでありますので、この建設促進審議委員のうちから任命をして、あっせん調停、裁定の措置を講じて問題を合理的に解決いたしたい、こういうふうに存ずるのであります。それから、「二、新市町村とこれに隣接する市町村との間において市町村境界変更に関する争論があるときは、昭和三十二年三月三十一日までの間に限り、都道府県知事は、町村合併調整委員あっせんまたは調停を行わせることができるものとし、その調停境界変更選挙人投票に基いて定めるものとしているとき、またはあっせんまたは調停により解決の見込みがない場合において特に必要があると認めるときは、都道府県知事は、新市町村建設促進審議会意見をきいて、当該地域内の選挙人投票により境界変更の決定をすることができるものとすること。この場合、市町村の選挙管理委員会投票執行しないときは都道府県選挙管理委員会がこれを行うことができるものとすること、なお、都道府県の境界にわたる市町村境界変更についても同様の手続を定めること。」、合併に関連しまして、いわゆるこの分村問題というのが一番めんどうな問題になっておるわけでございまして、この分村問題をできるだけうまく解決いたしたい、こういうのでこの調停あっせん制度、場合によっては結局その地域住民の総意に基いて事をきめるより仕方がない。そこで住民投票規定も整備いたしたいというのがこの規定でございます。しかしながら、この問題もいつまでも尾を引いておっちゃいけませんので、切り上げるべきときには切り上げなくちゃいかぬ。そこでこの制度につきましては、三十二年三日二十一日という一応時間的な区切りをつけまして、その間に解決すべきものは解決するという態勢で参りたいと存ずるのでございます。これは府県の境界にわたる市町村の分村の問題につきましても同じ問題がありますので、同様に考えたい、こう存じております。それから、「三、都道府県知事は、町村合併促進法の失効後においても、なお、規模が適正を欠き、諸般の事情に照して町村合併を行うことが必要であると認められる町村がある場合においては、昭和三十二年三月三十一日までの間において、新市町村建設促進審議会意見をきき、内閣総理大臣に協議して、町村合併計画を定め、これを関係市町村勧告するものとすること。勧告を受けてもこれに基く関係市町村の議決がない場合において、特に必要があると認めるときは、都道府県知事は、新市町村建設促進審議会意見をきいて、当該市町村選挙人投票により市町村合併を行うことができるものとすること。」、まあ大体の考え方は、促進法が九月一ぱいで切れますが、それまでに合併は自主的に進められると存じておるのでございます。特にこの新しい新町村建設促進法が出れば、いよいよ合併も進捗すると思いますが、しかしいろいろの事情がありまして残るものがあるかもしれない。そういうものの跡始末をどうするか、そういうのがこの規定でございまして、残るもののうちには、それは地域的な事情その他で万やむを得ぬものもあるかもしれんし、しかしながら、所によってはむしろやっぱり合併した方がよろしいと考えられるものもあるかもしれん、そこでそういう意味で促進法失効後におきましては、むしろ全国的な調整をはかってどうするかということを最後にもう一ぺん考え直しまして、どうしても必要だと思うものにつきましては、知事の勧告なり、必要ならば総理大臣の勧告権を発動させて、自主的に問題を解決いたしたい。ただし、まあ問題は市町村住民が一般的には合併を希望しているが、理事者とか、議会の一部でなかなか動きがつかぬというような場合もあり得るので、そういう場合には、むしろ住民の総意に聞いて問題を解決したらよかろうという場合にはその道も開きたい、こういうふうに存ずるのでございます。もっとも、それは勧告に従わなければ、もちろんそれはそのままの問題でございます。それから「四、内閣総理大臣は、都道府県知事勧告を受けた日から四カ月を経過しても、なお、町村合併を行わない市町村について、都道府県知事申請があったときは、新市町村建設促進中央審議会意見をきいて、町村合併勧告をすることができるものとし、この勧告によっても町村合併を行わないものについては、小規模町村であることにより行われる国の財政上の援助措置は行われないことがあるものとすること。」、これは総理大臣が勧告をいたしましてもなお合併が進まない、こういう場合の始末でございまして、そういう場合にはもちろん地方自治体の性質上強制合併等のことは、これはまあ考えることは適当ではない。しかしながら、町村の意思でどうしても自力でやって行くということになりますれば、むしろそういう町村につきましては、今後合併がほとんど完成いたしまして、どうしても合併ができないという町村があるような場合につきまして、そういう町村も自立できるように国としては当然問題を考えて行く必要がある、そういうような場合には、合併すべくしてしなかったものにつきましては、特別の措置というものは必ずその町村の自主的な責任にまかせる、こういう点をはっきりさしたいと思うのでございます。それから「五、内閣総理大臣は、都道府県知事勧告にかかる町村合併に関し、関係市町村から合併申請があった場合において、申請の日から四カ月以内に都道府県知事処分が行われないときは、新市町村建設促進中央審議会意見をきいて、現行町村合併促進法におけると同様に、町村合併処分を行うことができるものとすること。都道府県の境界にわたる市町村の境界の変更に関し、関係市町村申請があった日から、四カ月以内に関係都道府県申請が行われないときも同様とすること。」、これは大体現行法にもございますが、関係市町村は完全に話がまとまっておる、しかしながら、府県段階において事が進まない、府県会あたりで反対の議決をするというような場合におきましては、内閣総理大臣に裁定の申請の道を開いたのでございます。現行法通りでございます。  それから「第六、その他の事項、一、町村合併促進法が効力を失うまでに、同法に定める町村合併について処分申請をしている市町村があるときは、その町村合併については、この法律規定を適用すること。」、大体この促進法は、町村合併促進法有効期間中、それに基いてでき上った市町村について適用あることを基本にいたしておるのでございます。しかしながら、ちょうど九月のまあ下旬頃に町村合併の議決をいたしまして申請をした、まあ県の手続がおくれて十月になってしまったというような市町村につきましては、当然この法律の恩典も浴せしむべきでございますので、その点をこの一項で明らかにしたのでございます。それから「二、町村合併促進法が効力を失った後においても都道府県知事または内閣総理大臣勧告に基く町村合併を行なった市町村については、この法律規定を適用するものとすること。」、それ以後かりに残った町村につきましても、あとで知事や総理大臣が勧告をして、そうしてやった場合には、これはやっぱりこの法律の恩典に浴せしむべきであるというのが二項でございます。「三、町村合併促進法中、町村議会の議員の任期の延長の特例人口五万未満の市が町村を編入する場合に準用し、また知事が町村合併促進審議会の意見をきいて勧告した町村合併については、人口十五万未満の市について毛、町村合併促進法規定を準用するものとし、その他この法律施行に伴い不要となる規定整理等、必要な経過規定を設けること。」、これは現在の促進法のうちで、議員の任期延長の特例がございますが、町村にだけ規定を適用しておるのでございます。市の場合は、市が新設された場合にだけ規定をいたしておるのでございまして、既存の市へ町村が編入した場合は、この規定の適用がないわけでございます。そこでその点で、現実の事例でなかなか話がうまく行かない、この規定の適用を要望する事例がありますので、そこでこの際五万未満の市が町村を編入する場合にも、両市町村で話がつけばこの特例の道を開いてもいいのじゃないか、こういうのが前段でございます。それから後段は、この人口五万以上十五万未満、非常に大きな市への合併については促進法の規定の適用がないのでございますが、やっぱり十五万未満の市くらいにつきましては当然入れて、そのほかに入れようがないようなところにつきましては、この法律の適用の恩典に浴さしめた方がいいと考えるのでございまして、これもかねてから市長会とか、市の議長会からの要望が強いところでございまして、現にこれで合併が進まぬという事例もございまして、そういう地元の強い要望もありますので、この際十五万未満の市についても促進法の規定を準用することにいたしたいと存ずるのでございます。「四、この法律は、公布の日から施行し、五カ年間に限り効力を有すること。」、これはやはり新市町村建設臨時立法でございますので、やはり時限法としてある程度の期間を限るべしというのがわれわれの考え方でございます。五カ年で、それなら新市町村ができ上るか、これは新市町村の経営は永久の問題でございますが、ともかく合併に伴うとりあえずの基本的な整備態勢をやるためには、ある程度の期間を限って組織的に計画的にやるべきでありまして、それからあとはほんとうの市町村自治一般の振興の問題として考えるべきであると思うのでございます。その以後はそういう基本的な市町村経営の態勢に持って行くことにして、こうした臨時措置というものは一応五カ年間を限度にして限りたいというのがこの法律の趣旨でございます。  なお、これに関連いたしまして、本年度この新市町村建設促進法ができ上るということが前提になって、国も合併を直接相手にした補助金が各方面で多少計上されたのであります。一つは自治庁でございますが、自治庁自身は事業官庁ではありませんので、事業費を持つことが運営上適当ではありません。ただ先ほど申しました支所出張所の統廃合等の問題は役場機構の問題でございますので、そういう統廃合を促進するために必要な経費自治庁の予算でまかないたい、こういうので、金額はたくさんではありませんが、一億七千万円計上してございます。それから一般の新市町村の指導育成に要する、特に府県のいろいろな指導費として五千万円組んでおります。なお一般の合併促進経費は七億幾らくらい組んでおります。これは従前通り経費でございます。それから文部省の方で小中学校統合に件う直接の校舎新築に要する補助として三億計上されております。それから郵政省の郵便局の統合に対する経費は四億七千万、電電公社関係として電話局の統合に要する経費は十億、それから無電話部落解消に要する経費として二億、こういう経費が直接この新市町村を中心に計上された経費でございます。なお、御承知の農林省の新農林建設計画経費として十四億五千万円でございますか、この運用ももちろんこういう新市町村建設と総合的な関係において運用されるべき経費だと存じております。その他はそれぞれの各省の所管の経費自治庁の交付金なり、あるいは起債等の詮議方針として新市町村を重点的に考えて行く、こういう態勢で事を進めたいと存ずるのでございます。これはもうそれぞれの各省がそれぞれの所管行政について総力態勢で事を考えていただく、こういう基本方針で進んで参りたいと思うのでございます。  それからお手元にお配りいたしました資料につきまして、ちょっと簡単に、これはごらん願えば大体わかりますが、一つは町村合併の進捗状況等調べ、これは大体国の計画と県の合併計画基礎にいたしまして、三月一日現在の合併の数、進捗率、それから今後合併を予定されておる数字をあげてございます。国の合併計画では八五%、都道府県計画では七七%、残っておるのは九百二十九、府県では千五百六十五、こういうことになっております。これらの府県計画も従前作られました計画でございまして、それぞれ合併の実際にかんがみまして、なお最終段階においては再調整すべきものがこれはあろうと思うのであります。そういう点は今県の方でも最後の合併の総仕上げの段階におきまして、そういう点を考慮しつつあるようでございます。そこらの数字はまだ確定的なものは参っておりません。それから次は新市町村の数並びに町村の平均人口及び平均面積に関する調べで、これはごらん願えばわかると思います。三番は、町村合併による三役及び議員の減少状況、今まで当然に減った三役と議員の数をここに書いてございます。合せまして三役一万五千、議員が六万七千、合併が完了すれば一万八千と九万の職員が減少する、こういう数字になるわけでございます。  それからその次は各都道府県における町村合併進捗状況でございまして、これをごらん願えば、計画に対する各府県別の進捗状況並びに減少した町村の数を一番右に書いてございます。ごらんいただきたいと思います。  次は、未合併町村に関する調べでございまして、今の計画上残っておる町村につきまして、一応人口段階別にどうなっておるかということを調べたのでございます。今後合併計画を予定されておるのが二千二百、そのうちで人口八千未満が千八百でございます。これは八千以上のものもございますが、結局八千以上の町村へ隣接の小さい町村をくっつけざるを得ないというので、こういう数字になるわけであります。千八百残っておるものをさらにこまかい段階別をここに書いてございまして、やはり三千とか、四千とか、あるいは五千未満といったようなものがきわめわ多いのでございまして、今後残っておる町村はおおむね弱小町村と言えるのでございまして、そういうものの合併はやはり何とか考える必要があろうと存じております。  それから次は国有林野払い下げ状況に関する調べ、これは促進法に基きまして林野の払い下げが現実に行われた数字でございます。林野庁の資料でございますから一番正確であります。全体で八千町歩、件数が百五件、これはなお希望はこれよりずいぶん多いのでございますが、今まで行われた数字でございます。  それからそのうしろに、国有林野整備臨時措置法に基いて国有林の払い下げがあったもの、御承知通り、この林野整備臨時措置法と前の町村合併促進法とが期間的に重複して払い下げが行われたのでございますが、その林野整備臨時措置法に基きますと、町村に対しては大体十二万町歩の払い下げが行われておるのでございます。この払い下げが行われたものにつきまして、結局木を伐ってしまって売り払ったりなどしたというので、林野庁の非常に感情を害しておる、管理がうまく行っておらぬ、そこで町村に売るというとかえって山を荒らすじゃないかというような声が、批判が一部に起りまして、それが新市町村に対する払い下げを非常に戸惑いさしておるということが実情であったのでございます。しかしこれも先ほどの、今度の規定によりまして、あの条件規定を緩和するとともに、逆に、そのかわりに払い下げを受けたものにつきましては施業計画をきちんと立てて、みだりに処分ができないというコントロールの規定も、促進法に入っておるのをそのまま適用させまして、そうして払い下げを受けるべきものは受けて、あとは基本財産として適正に管理経営をして行くという基本態勢を整えて、さらにこの払い下げの問題を積極的に進めたいと、こういうふうに考えておるのでございます。林野庁も大体そういう考え方で、ほんとうに受け入れ態勢と準備を整えて健全な経営計画、施業計画を持っておれば、できるだけ協力しようという考え方でおられますので、そういう方向に一般の新市町村も考えていただいて、健全な経営のために山を取得するという態勢で今後一そう強力に進めて行きたい。この点につきましては、なお委員会各位の格別の御協力とごあっせんをお願いいたしたいと考えておるところでございます。  その次は、郵便局の集配区域統合状況等に関する調べでございまして、今まで、二十九年度、三十年度に行われたものの数でございます。なお電電公社の問題がありますが、印刷がちょっとおくれましたから、これはでき次第、あしたでき上るはずでございますから、すぐお届けいたします。郵便局の集配区域統合も、電電公社の区域統合も非常に主管省では積極的にこれはやってもらっておるのでありますが、一つは、やっぱり合併が固まらないというと区域がきまらぬ、まずそういう基本的な問題がございまして、その合併の実際の進捗に沿うて行くより仕方がない、そういう問題が一つと、それからなおこういう統合には当然に金がかかる、特に電電公社では多額の資金を要しますので、その資金の許す範囲で逐次やって行くよりしょうがない。そういう面が一つあります。  それからさらに、一般的には統合を主張しておきながら、いざということになりますというと、存外地元の市町村で反対運動が起る。こういう事例も最近見受けられるのでありまして、これはまあ町村会とか、町村議長会を通じて強くその点を今地方にも注意してもらっておるのでございますが、そういうことでは、とうていこの統配合も円滑に進むはずがないのでございます。そういう点も考えながら、これは逐次新市町村基礎にして早く統配合の実を上げたいというふうに存じておるのでございます。  それから、なおこの新市町村建設計画の実際の概要、これは前にもお配りしたことがあろうと思いますが、御参考のために、これはまあ二十九年度と三十年度の事業計画内容とその実施の進捗率というものの資料をお配りいたしておいたのであります。これの第一ページの総括表をごらん願いますというと、二十九年度の事業計画及び事業実施額といたしましては、計画事業が三百九十三億に対して実施額が百八十四億ですか、それで実施割合四七%、こういうことになっておりまして、それは要求から見ればなお隔たっておりますけれども、やっぱり逐次計画が進みつつあるということを御了承願いたいのであります。  で、これから以後の問題は、今度の促進法でさらに再検討すべきものは再検討した計画基礎にして、こうした資料もなお整備し、それを計画的に進めて行きたい、こういうふうに存じておるものでございます。
  13. 松岡平市

    委員長松岡平市君) これより質疑に入ります。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  14. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を始めて。暫時休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      —————・—————    午後一時五十分開会
  15. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 委員会を再開いたします。午前に引き続き新市町村建設促進法案議題に供します。御質疑のおありの方は御発言を願います。
  16. 小林武治

    小林武治君 この法律は時限法になっておりますが、今の予想で五年たったらどうするか。
  17. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはこの五年がいいのか悪いのかという議論は実はいろいろありまして、五年でこの新市町村建設ができるはずがないという文句も実はあるわけでございますが、やはりこの合併に伴う跡始末の基礎を固めるというところにこういう特別の立法をする値打ちがあるのでございますので、とりあえずその基礎を固めるに必要な、まあ五年ぐらいで問題を片づけるという方針でやっていきたい。ただしこのあとで問題が残るのは、たとえば今の交付税の問題というのは、もうそうなれば全部の市町村合併してしまうわけでありますから、そうなればしちまったあとの市町村基礎にして、基本的な市町村財政需要というものを根本的に変えて、市町村自体の基準財政需要額をその実情に合うように変えてしまって、そして基本体制にむしろ切り変えるべきではないか。まだ現在の段階はしておるものとしておらぬものとありますから、どうしてもこういう応急的措置を考えていくより仕方がない、こういうふうに考えているわけであります。  それから今のほかにあります山の売り払いとか、財産特別措置などというものは、まあやればそれだけでけりがつく問題でありますし、大体けりがつきましたあとは、残る問題というようなものは主として交付税が中心になりゃしないだろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  18. 小林武治

    小林武治君 今の交付税の関係ですが、交付税は合併後五カ年と、こういうことになっておりますね。この点は今まで自治庁にもいろいろ陳情があったと思いまするが、五年で打ち切られるとは非常に酷であると、従ってこの点について何らかの緩和手段をお願いしてほしいと、こういうことでありますが、何か方法ありますか。
  19. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それでその五年と区切られますのは、要するに従来の促進法では五年間は合併しなかったものとして計算する措置で、新しい需要を過去の計算で見るという建前で従来来ておったわけなんです。そういう合併しなかったものとして五年も六年もの前の町村の状態を基礎にして計算するのは、交付税の建前からはむしろおかしいではないか。それよりも新しい町村基礎にして、どうせ流れる金は流さんといかぬのですから、そういう金を新しい財政需要で計算すべきではないか。そういう考え方で今度今の合併補正と申しますか、そういう形でまずとりあえず財政需要をとらまえて、そして金を流すことを考えよう。要するに従来市町村にいっておった金は合併が進んだって当然やるべきものでありますから、そういう考え方で実はこの案を考えたわけでありますが、しかしこの案もまだ基本的なものではないのでありまして、ほんとうに合併が終ってしまえば、ほんとうにその市町村の姿をとらまえて、その市町村の姿に即するようにむしろ交付税法の本則を変えて、あそこの市町村の基準財政需要を、従来流されておった額を確保するように、根本的に変え直すということが、私は一番基本的だろうと思うのです。そこで、しかし今日の段階ではすぐそこへいくわけにはいきません。いくというと合併する町村合併しない町村と同一に扱わなければならないものですから、そういう意味で要するにこれは一種の中間段階だと思いますが、この中間段階でこの法律五カ年間いきますから、従来の五カ年とこの法律による五カ年圏が実質上できまずから、町村会側であれを十年に延期してくれという陳情の要求にもこれで大体満たす。そしてその間に合併が全部落ちついてしまえば、その事態を基礎にしてむしろ本則をそれに合うように考えたらどうだと、こういう考え方にしておるわけです。
  20. 小林武治

    小林武治君 今の合併後の五カ年と、この法律が今後五カ年効力があるからそれをプラスされたものになる、こういうお話ですか。そういうことになるのでしょうか。
  21. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは今まで合併してからまあ五年たつかたたぬかということが今非常に問題になっている。ことし生きる町村も幾つかあります。来年になるとまた幾らかふえるわけです。そういう町村をまずこの法律は全部五年間の効力がありますから、全部引き受けて、この町村の、この法律の今の交付税の算定の基準が全部引っかかりますから、そういう意味で過去にあったやつは全部延びてしまうわけです。ただこれから合併というものがあるとすれば、それはこの法律だけですから五カ年閥で切るということになってしまいます。その間に少し食い違いがあるのじゃないかということで、合併が全部終った来年なら来年に、もし必要ならばもっとそのときの町村の実態を基礎にして、むしろ基準法にこの間に乗り移っていく、この法律を五カ年間動かしていく間に基本法に乗り移っていく、こういう考え方でいくべきじゃないか、こういう趣旨でございます。ですから今まで五年間たっておったものはプラス五カ年間ということにはなっておるわけです。(「なっておるのか」と呼ぶ者あり)
  22. 小林武治

    小林武治君 今の点が私了解できないが、附則の五ですね。附則の五に町村合併の行われた年と、それから五カ年の間に限るとこう書いてあるから、この法律施行後の五カ年間がそれにプラスされることになるのかならぬのか。
  23. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはこの御質問の趣旨はわかりましたが、この附則の五項は今のように何条ですか、交付税法の特例を入れます。二十三条でございます。二十三条で全部の市町村について合併補正という建前で全部適用するわけでございますね。そこでこれをやりますと、市町村に流れる交付税の総額を全部こういう形で流しますから、市町村としては総額は影響ないわけです。しかし個々の町村では計算上多少のでこぼこというものはこれはあり得ると思うわけです。多くなる場合もあるし多少少くなる場合もこれはあり得る。そこで従来合併促進法で五カ年間は合併前と一緒だという建前で既得権を保証していますから、この新しい方式でいってプラスになる分はもちろんプラスしてやるが、仮に少しでも減るということになるとそれは既得権の建前から言っておかしいじゃないか、その分だけは従前通りの額だけは必ず保証してやろうというのが附則の五項です。それから従来の恩典と言いますか、それはみんな二十三条で行きますからこれは五カ年当然生きておりますから、そういうわけで実質上五カ年延びるというのがわれわれの考え方でございます。
  24. 小林武治

    小林武治君 今の点ですね、まあ地方の心配しておるのもある程度私は理由があると思いますが、この点を、たとえば本法の施行期限を七年にするとかあるいは五年というものをある程度修正するとか、そういうふうな方法によってああいう懸念を解消することはできませんか、どうでしょうか、その点は。
  25. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 結局この附則の五年間をどうするかという問題と、もう一つのこの法律そのものの有効期限をどうするかという問題、今二つの点があるだろうと思うのです。私はこの附則の問題につきましては、要するに今のこの計算の方式が、五年前の状態を基礎にして町村人口を調べたり何々を調べたりして算定がえをしてやるわけですから、そんな状態を五年も六年もいつまでも続けていくというのは、いかにも不自然だろうと思います。そこでそういう方式はそんな形をとらずに、市町村財政需要というものをとらえて、そこで合理的に流していく方式に一日も早く乗り移るべきではないか。その考え方がこの二十三条になってこれは現われているわけなんです。それですからこの二十三条にはなるべく早くみんな乗り移って、この態勢でいくことを私は考えるべきだろう、そういう意味で附則の五項は、これは五年間従来やっておったんですから、その間だけの問題にして打ち切るのが筋ではないか。そこでそうなるというと二十三条で新しい方式で流れていくのが五年間になっているから、五年間たったらまたとたんに減るのじゃないかという問題が次に起ってくるわけでございまして、その場合にわれわれはむしろ基本的にもう合併が段落がついてしまった事態ですから、そのときに市町村に従来流しておった交付税を府県に流したりする理由はこれは一つもありません。あくまで市町村財政需要を確保してやるのが筋でありまして、合併が完了した事態を基礎にして、もう一ぺん市町村基本的な財政需要というものを考え直して、従来市町村に流れておった総ワクはそのまま市町村にゆくように基本を変えるべきではないか。こういう考え方を持っておりまして、それでありますからこの法律は一応五年間にしておいて、その間に基本的な態勢への振りかえを考えるのが本筋じゃないだろうか、交付税の扱いから見て毛、市町村の経営から見ても、本筋じゃないだろうか、というのがわれわれの考え方なんです。でありますから実質的にこれで恩恵か何か知らぬが、五年間で落ちてしまうということを考えておるわけではないのでありまして、そういうものをさらに基本的な市町村の交付税の態勢に乗り移らせるための、いわば過渡的措置ということで御了承を願うべきものじゃないか、われわれとしてはこういう考え方を持っているわけであります。
  26. 小林武治

    小林武治君 今の点は追ってまた協議するつもりですが、合併が進捗しているが、しかしまた非常に困難なものがある。これについて地方で事情を聞くと、むしろ強制措置をとってもらいたいということを非常に強く町村側から述べられておりますが、これはやっぱりこの程度に遠慮しなければなりませんか。
  27. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) その意見はわれわれもしばしば聞きますし、この法律案を立案するときにもずいぶん議論になったわけです。政府部内でもなりましたし、いろいろな方面で議論をされたわけでございますが、そこでわれわれとしましてはやはり自治団体ですからなるべく自主的な方法をとりたい。しかしまあだれが考えてもやらなくてはならぬということで、いろいろな個人的な立場とか、そういう事情でがえんじないものもあることは事実なんです。そういう問題をどうさばきをつけるかという、いわば従来よりも進んだやや強い準強制と申しますか、強制にはいかぬが方式をどこまで考えるか、こういうことで実は考えた一つがこの勧告権、勧告に従わなければあとの特別な措置は考えないぞということが一つ。それからもっと進んだ方法が何か考えられないか、かりにいえば関係市町村の議決がかりになくても、何かほかの方法でやるということが考えられるかという問題がございまして、まあとりあえずのところは住民の総意で、住民投票はこれは当然考えていい。町の問題ですから町民の意思で決定することは当然考えていいというふうにそこまで考えたのです。今度はそれ以上に町村の意思を無視して、もしかりにやるとすれば県議会の議決でやるとか、あるいは総理大臣がきめてしまうとかいう方式が考えられないわけではないのです。昔御承知通りこれはちょっとひどいかもしれませんが、内務大臣が市町村に対しては、県の議会の意見を聞いて合併をやるという建前をとっておった時代もありますが、あんなむちゃなこともできぬかもしれませんが、そういう方式も考えられないわけでもないので、それに準ずるような考え方が相当議論になったわけです。しかしまあ大体今度のような促進措置と、それから強い勧告権、住民投票措置を講ずればおおむね問題が片がつくのじゃないだろうかというのが一般の態勢で、それからまたその後かりにどういうことになるか、まあ十月までたってみなければ情勢もわからぬのでありますから、それを今すぐここでもっとやるというのもどんなものだろうかという意見が結局支配的になりまして、まあこの程度でこの際やって、そしてぜひ自主的に合併を進めたいという結論になったわけでございます。
  28. 小林武治

    小林武治君 今の問題もほとんど異口同音にある程度の強制措置をとってもらいたいというのが地方の希望であります。それから合併のできない一番の原因はやはり一部の理事者、これらだけの関係で、住民の多くがこれの支障になっておるのはきわめて少い。こういうふうに思うから、私どももある程度強制したらどうかというように思っておったが、一応その点はそのままにしておきましょう。  それでこの合併の進行をどの程度に考えておるか。たとえばこれでは昭和三十二年の三月三十一日でもって一応打ち切る、こういうふうになっておりますが、その後はどうするかということはどう、でしょうか。
  29. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはわれわれといたしましては、一応この法律のワク内でもう全部すべきものほしてしまうという前提でものを考えておるわけです。もうこれ以上まず、残るものは事実上こういう形の法的な措置ができれば、実際はまずまず考えられぬのじゃないか。考え方は非常にあまいかもしれませんが、少くとも促進法の有効期間……あとはこの新しい促進法ですべての合併を一応完結するという、その基本的な考え方と意気込みで全部ゆくべきであろうという前提に立って事を考えておるわけでございます。
  30. 小林武治

    小林武治君 ここの規定に「昭和三十二年三月三十一日」、こうありまするが、その後ほどうされるんですか。
  31. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それでございますから、三十二年といいますのは、結局九月までたって、九月までに百パーセントゆくか、多少切れるかということになったら、その残ったものについて各県がもう一ぺん合併計画を練り直して考え直す、でそれについては中央も参画をして中央、地方の審議会で両方意見をきめて、ほんとうにすべきものか、場合によってはその要がないものかというふるい分けをいたしまして、そしてすべきものとすれば、みんなこの法律に書いてある期間内に勧告指貫等によって合併をぜひやってもらうという考え方でやっておるわけですから、残る町村につきましては、合併すべきものは全部この措置をとる、この指貫によっておそらくはみんな問題は片がつくだろうという期待を持って規定を作っておるわけでございます。
  32. 小林武治

    小林武治君 今の点私どもは六カ月は少し短い、せめて来年の上半期というふうな考え方ができないものか、これはどうですか。
  33. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはやはり六カ月をもう少し長くしたらどうかという意見も実はあったんですが、これはむしろ、残っておるものについてもう一ぺん早く計画を考え直して、発動すべきものは発動しろという趣旨の期間でございまして、実際の合併は必ずしもその間に行われるとは私は限らぬと思うわけであります。勧告規定とか、そういう規定の発動の期間を押えたわけでありまして、それから実質上の合併の進捗は多少おくれるということは当然にあり得るだろう。それで今お話のように六カ月でなしに九カ月になるか、もっとになるか、実際の問題が最終的に片がつくのはそのあとでもよろしい、こういう考え方を持っておるわけであります。
  34. 小林武治

    小林武治君 それでこの合併自体がおくれると、この法律施行期間が過ぎてから、なお交付税交付金等についての期限が残るものがあると思いますが、そういうものはどうですか。
  35. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) この九月から以降残ったものについて、まあ三十二年の三月までに必要な勧告規定をみんな発動します。そうして発動してもその合併が事実上それよりも後に残る、そういうものでも今度規定を入れまして、いやしくも知事か総理大臣の勧告に基いて合併が行われれば、その時期は多少のあと先を問わず、当然この法律の適用をするということを明文で規定することにしたわけでございます。
  36. 小林武治

    小林武治君 そうするとこの法律が効力を失っても、この規定だけは残る、こういうことですか。
  37. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今小林委員のおっしゃいましたのは、五年たってもまだ残っているという場合でございますね。
  38. 小林武治

    小林武治君 たとえばこの法律施行後、一年も二年もたってから合併が行われたとすれば、五カ年後というものは、この法律有効期間中には完了しないというような問題も起きはせんか。
  39. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) わかりました。それはこの法律は、勧告は六カ月で、その勧告後一年も二年もまだ残って、それから合併するということまでわれわれ予想はしておらぬので、まあ六カ月以内に勧告をやれば、それから三カ月とかあるいは半年とかに問題は片がつきはせんかという期待をしておるわけです。しかしそれがかりにそうでなしに、もっとおくれて二年たってやった、それは極端な場合ですが、そういう場合にはさらにそれから五カ年間になるか、こういうことになりますと、それはちょっとこの法律自体は五カ年間にはならぬ規定になっております。ただ問題によって、合併の年から五カ年間と書いた規定は、これはちょっとそこまで私も考えておりませんでしたが、ひょっとしたら読めるかもしれませんが、法律自体は一応五カ年間でぴしっと切れるという建前にはいたしております。
  40. 小林武治

    小林武治君 実際問題として必ず出ますよ、それは……。この法律施行後まだ二年たっても二年たっても合併というものが残って、またその実効があるということは必ずこれはあると思う。あなたはこれは六カ月で大体できるというふうに期待はされておりますが、なかなか実際問題としてそういうふうに進行しないと思う。そうすると今の交付税の関係などは二年か三年で打ち切られるという場合が出てくると思いますが、それはやむを得ない、こういうことですか。
  41. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは私は今日の立法措置としてはむしろやむを得ないと考えるべきでありまして、いつまででも二年でも三年でもずるずるとたっていくという前提で今日法律を作るということは、これは合併促進するゆえんでもありませんし、それは数年後のことは必要があればまた数年後で事態を考えるべきで、今日の段階におきましてはこの法律の予想する通りに事柄が進む、また進ませなければならぬ、こういう前提で事を進めるべきものだと考えております。
  42. 小林武治

    小林武治君 今の全国的にいろいろな問題が起きているのは、これは紛争問題、さっきの説明にもありましたが、これはよく住民投票というようなことをいいますが、住民投票というものは非常に民主的のようでいて、実行問題になると困難な問題、あるいは村の対立とか非常な不和を来たしたり混乱を来たしたりしますが、やはりたよるところは住民投票とこういうふうに考えておりますか。
  43. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは仰せの通りでございまして、特に区域が小さくなればなるほど、その小区域での住民投票はいろいろ問題があると思います。相当広範な区域であるなら問題は深刻化いたしませんが、そういうことが実例に徴しましてもあります。ですからわれわれといたしましても、これは好む方法じゃないのでございまして、結局その事前におけるあっせんとか調停とかというような、あるいはやむを得ぬ場合は裁定とかという方法で問題を片をつけたい。そこでこういう制度もはっきりさしたわけです。しかし最後は結局やはり住民の総意というものを基礎にしてきめざるを得ぬ場合もあり得るし、またそういうものを前提にして調停とかあっせんとかということを進めなければ、なかなかやはり話がきまりつかぬということもありますので、まあ最後の保障として投票の道だけはつけておきまして、そうしてできる限りあっせん調停という事前の措置によって問題を処理いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。従来の例を見ましても、分村の勧告をやれば、大ていはその勧告だけで関係町村が議決しておる駐例が大半であるわけです。勧告があれば大体町村もそれに従っておるというのが大半でございます。ただ少しはやはり従わぬという例があって、なお投票を行なっておるという事例もあることはございます。で、投票をめぐってはいろいろ問題もあります。特に従来、たとえば投票についての取締りの規定とか何とかという問題がいろいろ論議もあったりして、問題になるものもありますが、今度はそういうものにつきましても選挙法の規定は百パーセント準用することにして、やるものははっきりけじめをつけてやる態勢に持っていきたいという考えでございます。  それからさらにもう一つ申しますと、投票を命じましても地元の町村で選挙管理委員会がやるべき投票手続もやらぬ、こういう事例も全国にたくさんありませんけれども、やはり事例がございます。町村が反対しておるものだから選挙管理委員会投票はやらぬという事例もございまして、もう動きがつかぬ。これは明らかに法律違反でありますけれども、動きがつかぬという事例もあったのですが、そういう場合には県の選挙管理委員会がやむを得ず投票の手続をやり得るという道を開くことにしたわけですが、これは現にこういう規定を入れるということで手続が進んだわけですから、事実上問題が解決しておる例が現にございます。今まで分村をめぐってずいぶん議論があった、山梨の都留市の問題なども、こういう立法措置が出るならば、一つ自主的に前にやろうじゃないかというので、二、三日前ですか、実際問題を解決をうけたという例もございまして、私はこういう立法措置は結局それが最後の保障としてあれば、その前にいろいろ事実上話を進めていく非常な有力な手がかりになる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  44. 小林武治

    小林武治君 今何か具体的な例をあげましたね、どこですか。
  45. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 山梨の都留の問題です。都留と大月との間に分村問題が、市制を施行するときから議論があった問題でございまして、これは知事が分村の勧告をやったわけです。それについて市側がその区域のとり方が妙だとか何とか言って、投票をずっとやらなかったわけです。それで長い間問題が紛糾しておったのですが、こういうことになるというのなら一つ事前に話を進めようというので、何か二、三日前に投票をやらないで問題のけりをつける方向に進んだというふうに聞いております。
  46. 小林武治

    小林武治君 今具体的の問題が出たので、私も一つ出して恐縮ですが、静岡県の清水と静岡市の問題です。これはどういうふうな御感想をお持ちになっておりますか。
  47. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今の投票のことだろうと思いますが、これは実は私らの方にはあまり来ておらずに、現地でずいぶん問題になっておるということを聞いておりまして、県の方に一任されて、県の方で裁定をするという段取りになっておるのが、その裁定についてさらにいろいろ文句があるという話を聞いております。しかしあの事件につきましては、われわれの方へ詳細に報告とか相談とかというものを受けておりませんので、ちょっと今具体的にどうこうということは申し上げかねる状況でございます。
  48. 小林武治

    小林武治君 今の合併した町村の一部をまた他に結局分村、要するに境界変更ですね、こういうことについては法律的の根拠は何もないでしょう。要するに通常の手続に従って両方の議会が議決する、これしかないわすですね、裁定とか調停とかそういう規定はありませんですね。
  49. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) はい、現在は裁定、調停規定はありません。ただ町村間の問題なら、自治法に自法紛争調停委員制度がありますが、両町村の間の紛争ならば、調停委員制度でもってある程度考えるべきことにはなっています。しかし問題は、分村の場合は部落の、住民の意思の問題がありまするから、そこで従来の自治紛争調停委員だけではなかなか問題が百パーセント扱い切れない問題が実はあったと思います。それでまあ今度の規定はそれも考えまして、調停委員をはっきりしておいて、させる道を開いたらどうだろうかというのが、この二十七条の規定を入れたゆえんでございます。
  50. 小林武治

    小林武治君 今の問題は、まあ問題の起きたのは過去でありまするが、この法律が通れば係争中の問題についてもこれが適用になるということですか。
  51. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) その通りでございます。
  52. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 小林委員から問題になりました、この二十三条の、総理府令でやることになっておりますが、こういうものは大てい政令でやるのが例になっているのですが、総理府令でやるというのは何か理由があるのですか。「総理府令で定めるところにより、」というのは……。
  53. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは現在の補正の方法が実はこれはいいか悪いか、いろいろ御議論があろうかと思いますけれども、一般的なものは皆総理府令でやっておりますので、それに合わせたものでございます。たとえば交付税法の十三条ですか、総理府令で現在皆やっておりますので、それに合わせただけでございます。
  54. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと御質疑中ですが、早川政務次官は、衆議院の懲罰委員会でぜひ出席してもらいたいという要求が来ております。(「異議なし」と呼ぶ者あり)質疑の関係上、次官おいでにならなくてもよろしいと思いますから、退席を許します。どうぞ、お帰りになってけっこうでございます。
  55. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 総理府令にはどんな内容のことを考えておりますか。
  56. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはまだ実はこの成案ができておらぬのでございますが、結局まあ大づかみに申しますというと、従来の合併促進法で合併しなかったものとして配った金額が六十億かになるわけです。その六十億くらいの金を特別の配分方法でやっておったわけです。そこで結局その金額を新市町村にそのまま流れる方式を考えないといかぬ。そういう金額を基礎として今の新市町村財政需要を、どういうまあ単位をとりますか、それはこれからの技術上の問題ですが、その単位の数値は今後の問題ですが、そうしてしかも新市町村へその金額が皆流れるように考えようと、こういうまあ前提でものを考えておるわけでございます。
  57. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そこで今の六十億円という数字が出ましたが、合併促進法の十五条によって、特例によって、本来ならば減るべきものを減らさずにおる額ほどのくらいあるのですか。
  58. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今申し上げました六十億というのはそれでございます。ほんとうならば行かぬはずですが、合併しなかったものとして計算をやる結果、その町村へ行くという数字がそれでございます。
  59. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 今までにそれが一番大きい額なんで、これは五年たって、前にやったやつは五年たつともとに戻って来るわけで、そうするとその六十億というのは、この去年がたてば本来なくなるべき、交付税の本来の建前からいえばなくなるべき額である。こういうふうに考えていいわけですね。
  60. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今の交付税法の上からいえばそうだと言えると思います。
  61. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 その数字が大体百億ぐらいだというふうに聞いたことがあるのですが、六十億という数字は……、大体はしたの数字ならともかくも、単位がちょっと違うように思うのですが、どうですか。
  62. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今の数字は財政課で調べた数字で、三十年度の予想でございまして、結局まあ合併をする町村の大小と、それからもう一つは合併の形と申しますか、小さな町村がたくさん集まるというと、その金額が非常に大きくなるのです。そういう数字によって、ちょっと変動があると思いますが、一応財政課で調べた数字がその数字でございます。あるいはそのほかの、場合によっては特別交付税で見ている数字も入っての百億という数字かもしれません。普通交付税で行く分と、それから普通交付税で見れぬ分は特別交付税で考えておりますから、その金額を見ればそのくらいの数字になるわけでございます。
  63. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 その第二項の方には、中、小学校の問題を扱っていますが、これにはそういうような総理府令であるとか、政令というようなことでなくて、「配慮するものとする。」というような、非常に抽象的な言葉を使っているのですが、どういうふうに配慮するのか、多少内規的なものを考えなくちゃならぬと思うのですが、どんなふうな考えで配慮しますか。
  64. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは普通交付税の第一項の方式に織り込めたら織り込もう、ところが総理府令の形式上なかなかものによっては全部織り込みにくいものもあると思います。もう一つは、この金額は、現在の交付税法で小学校一校当り何十万円とかという、あるいは学級数、一学級何万円というものの問題でございまして、織り込めるだけ一項で織り込み、どうしても織り込めなかったらば特別交付税で考えざるを得ないと、こういう考え方でござ・います。
  65. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 こういうものは、できるだけはっきりした形で標準を、基準を出しておいてもらいたいということは、こういうものがはっきり出てないと、交付税というものがややもすれば非常に陳情政治の温床になってくるのです。こういうふうになってみますと、多少それはしゃくし定木の感はあっても、何か基準になるものを出しておかないと、陳情をして、うまく話した方が勝ちだということになってはまずいので、いろいろなケースがあるので、ケース・バイ・ケースでやらなければならぬことが多いと思うけれども、何らかのそういう形のものを出しておいて、そうしてそれによってこうしたのだということの説明がつかないと、結局陳情をうまくやったやつが勝ちだということになってはいかんので、こういう「配慮するものとする。」という言葉は、ややもすれば地方から出てきた人をさんざ引っぱり回しておいて、そうしてわずかばかりの恩をきせてやるという形になったのでは、これは陳情政治の悪い面ばかりを出してしまう。この点をほんとうは政務次官と大臣に書いたいところだけれども、これは一つぜひそういう点を十分はっきり出せる程度の基準、標準というものを出してもらいたいということを要求します。  次に、いわゆる合併による引き継ぎ赤字というものがあるのですが、これは財政課長がいないとあるいはわからぬでしょうが、どうですか、合併に持ち込んでいる赤字が相当あった。二十九年度の決算は、あのときの決算の報告によると相当の額、予定されてない赤字が出たということを説明しておった。この引き継ぎ赤字と言われるものが、どのくらいありますか。
  66. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 引き継ぎ赤字は、調査課で調べた資料がございます。これは合併市町村、つまり合併市町村の全体のこれは赤字でございますが、それが百四十四億でございます。その中で引き継ぎ赤字、旧町村の引き継ぎ分は九十五億、こういう数字が出ております。この資料は二十九年度決算で、二十六年の四月から三十年の三月末までに合併した市町村について調べた数字でございます。これは印刷物でありますから、後刻資料としてお配りいたしたいと思います。
  67. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうしますと、九十五億くらいのものはいわゆる引き継ぎ赤字と言われるものですか。そういうことですか。
  68. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そうです。
  69. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そこで、再建促進特別措置法ですか、あれによってだんだんあの手続をしてくるものがあると思うのですが、その中に合併町村がどのくらいあるかわかっていますか、手続をすでにしたもので。
  70. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) ちょっと今資料がございませんから、これはまた再建整備の申請がきておる市町村はそれほど多くございませんが、きておるものにつきましてこれはすぐに調べて御報告申し上げます。
  71. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 その再建整備にかけた理由が、もとからみなどの村も、前の合併する前の町村がみな赤字で苦しんでおったのばかり集まってできたのであるか。あるいは合併の機会に、いわゆる引き継ぎ赤字のようなもので赤字を非常に大きくして、それが再建整備をする理由になったか。この点は促進法がうまく運用されたかどうかという点に非常にかかってくると思うのです。この点も一つ何らかのそういう表のようなものができたら作ってみてもらいたいと思う。……大体の趣旨わかりますね。
  72. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) わかりました。大体合併市町村の赤字問題につきましては、われわれといたしましても、大へんこれは気にしておるわけでございまして、まあ従来の合併市町村につきまして、赤字の原因とか額とか、あるいは引き継ぎ前であるか後であるかとかいったような資料は、まあ数字がちょっと正確を欠くことがあるかもわかりませんが、大体わかるものを作っておりますから、これまたあらためてお配りしたいと思います。
  73. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 今度の法案によりますと、建設促進のために中央に建設促進中央審議会というのができますが、この審議会のメンバーとして一応考えられているような人は、現在の合併促進審議会のメンバーと同じような範囲を考えているか、あるいはそれ以外の人を、こういう方面の人をというのを求めているか、その点伺いたい。
  74. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) まだはっきりした人選まで考えておりませんが、大体の考え方としては、やっぱり現在の町村合併促進審議会、あるいは推進本部のような人たちが中心でありまして、関係各省の責任者、それから関係団体団体その他農協とか農業委員会とかその他の関係団体の人たち、それから一般の学識経験者、そういう人たちを考えておるわけでございます。
  75. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 従来の合併促進法によるこの審議会の運営は、各省のいろいろこれに協力する意味においては非常にうまくいっていたか、あるいは多少こういう点において遺憾であったというようなことが考えられる点があるか、この点を伺いたいと思う。
  76. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはまあ今まで中央にありますのは、促進法にございませんで、閣議決定で実は置いておったわけです。府県以下のやつは法律に書いてありましたが、それを町村合併推進本部という形で置いておきまして、もちろん各省の方もみんな入っていただいておったわけであります。これはやっぱり問題は、閣議決定などでそういう機構をきめるべきものでもありませんし、全体をはっきりさせまして、そして各省にも一つ十分責任をとっていただくという考え方で今度法律に書くことにしたのでございまして、これは従来でもこの法律そのものの制定とか、その他新町村の予算とか、合併計画だとか、あるいは団体統合の方針だとか、そういうものをいつも推進本部にかけまして各省の御協力を願ってきておったわけでございます。しかし一般的にまあ自治庁だけで、各省はあまり合併協力していないじゃないかという一般的な批判もあったことも事実でございまして、そういう体制をもっとはっきりさして御協力を願うようにいたしたいという考え方で今後問題を進めていきたい、各省もぜひ委員に入れてくれという申入れの所もございます。これはできるだけ各省に加わっていただきまして問題を円滑にやっていきたい、こういうように考えております。
  77. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 法案の中に書くわけにはいかぬわけでしょうが、そういうことを協力しなければならないような意味のもっと強い現わし方はなかったものですか。審議会のメンバーが……。
  78. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは委員の問題は各省の問題ですから、まあ国の責任とか、団体責任とか、公社の責任ならまあはっきり書きましたが、各省どうこうというのもいかがかと思ってそこまでは書いてないわけであります。
  79. 小林武治

    小林武治君 この促進中央審議会ですか、これはメンバーとして国会議員を入れるとか、入れないとかいろいろなことが何か問題になっておりますか。
  80. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは国会議員のそういう問題もやはりないわけでもございません。それでこれは国会は両院の議決を得れば委員にもなっていただける問題と思いますが、国会と行政機関との関係をどうするというようなことで、なるべくこれは国会方面の御意向も聞かぬといかぬと思います。法律に書くまでもなく、必要ならば運用上入っていただくということの道が十分あるわけでございます。
  81. 小林武治

    小林武治君 自治庁としての考え方はどうですか。
  82. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) われわれはこれは今までの考え方におきましては、まあむしろこれを実施上の問題が多いから、もちろん国会において御協力、御支援を願った方がいいだろう、一応そういうふうに考えております。しかしまだ具体的に人選につきまして決定的な方針を自治庁としてもきめておるわけではございません。
  83. 加瀬完

    ○加瀬完君 前に委員の方からすでに御質問になっておる問題でございますが、交付税の問題について私も多少伺いたいと思います。  行政部長の御説明によりますと、今までは合併促進法によりまして旧町村の交付税の収入は、それをもとに五カ年間延長を認めておったわけですね。で、今度はそれを新しい町村をもとに需要額をはかって交付税をきめていく、こういうことですね。
  84. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そうです。
  85. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういたしますと、小林委員から御質問もあったのでありますが、前の五カ年間というものはそのまま続いて、それが終ったあとで新しい測定単位の計算による需要額をはかっての交付税の配付ということになるのでしょうか。
  86. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そうではございませんで、この法律が出ますと、この法律の二十三条で全部やるわけです。あまり町村によって扱いを別にするわけにもいきませんから。ただしこの付則の五項を入れましたのは、従来促進法でいきますと、今おっしゃいましたように現地の十五条の建前では、合併しなかったものとして計算することになっておりますから、その現実の額とこの二十三条でやる額とが全体としてはバランスが合いますが、個々の町村ではでこぼこがございます。そこで多くなったものはそれはもちろんそれでいいのですが、少くなったものは、前の法律で保証しておるのだからして、多少少額でも少くなったらおかしいじゃないか。そこでそれはそのまま付則で救おう、こういうのが付則でございます。
  87. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういう付則が作られておるわけでありますから、先ほど伊能委員の方から御質問になりました六十億円程度ですか、こういう金額というものは新しい測定単位になりましても、そのまま新しく配分される、こういうお立場をとられておるように伺ったわけですが、実際そういうふうにうまくいきますか。
  88. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは結局そういうことになるように二十三条で考えたい、それがいわば合併補正というか、そういう考え方で出したいという考え方でございます。
  89. 加瀬完

    ○加瀬完君 交付税の総額は変りないですね。そのうちで測定単位をかえまして前に合併町村に支給をいたしておりました六十億円というものが肩がわりに新しい計算によって新しい町村に配分が可能であると、こういうふうに了解してよろしいんですか。
  90. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そういうことでございます。結局普通の交付税の配分方式が一般にきまっておる上にこの二十三条を適用して、いわゆる合併補正という形で補正をして、そして従来ばらばら計算でやっておったような額をこの方式で実質的に流れるようにしようと、こういう考え方でございます。
  91. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは、先ほど御説明の個々の町村によりますと相当でこぼこができてくる。でこぼこができてきて減った方の、減額された方の分は減額されないように埋め合せをするというと、その分だけは交付税がふくらむということになりませんか。
  92. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 結局そのでこぼこはどれだけでこぼこになるか、まだわれわれの方ははっきりしないわけですが、しかしまあかりにそうなったらやっぱり既得権だけは保証しなければならぬという考え方になっておりますからこの補正の仕方が非常に巧妙にやればあんまり問題はない。どれだけ巧妙にやってもどうせ形式的な方法でやりますから、多少そういう問題はあり得ると思います。
  93. 加瀬完

    ○加瀬完君 結局作業をしてみてどうも数字が合わないので、今までの五カ年間ある特典があったわけだけれども、結局その特典がある程度セーブされてくるという結果になってしまうということは万ないということになりますか。
  94. 柴田護

    説明員(柴田護君) この規定は行政部長の御説明があったと思いますけれども、大体まあ今まで交付税で五年間は交付税が下らない。つまり合併をしなければしないとしても受けるであろう交付税をやるという規定が今まで促進法にあったわけでございますが、そうしますと五年間一つの特別の権利の上に眠ってしまうような格好になる。で、合併のために特にああいう規定が設けられた趣旨からいいますと、それによって合併による効果というものをむしろ推進しながら、既得権と申しますか、従来計算による交付税の額までは保証して、そして合併町村合併効果というものの顕現に資するようにというのが本旨であります。ところが中にはその権利の上に眠っているものもある。ところがまた五年間たちますとぴたりとその点がなくなるものですから、一ぺんに急激に激減するわけです。そういたしますと実際の町村財政状況からいいますと、五年間たちましてもなおかつどうしても経費が要るとか、あるいは合併町村としての新しい財政需要が起ってくるとかいったような事情があるわけでございます。財政の立場からいいますと合併によって生み出された新しい財力というものを、そういった住民福祉増進のための投資的経費に使っていくということが望ましいのであって、ただ既得権をそのまま守り続けて従来の財政の構造をかえないということじゃ困るのでありまして、そういう面からいいますと経費の使い方というものを指導する意味におきましても、また一ぺんに急激な激減を来たしますということを防ぐ意味からいいましても、やはり合併町村の特殊なやはり投資的な経費を中心とする財政的な需要を見ていく方法があるんじゃないかというような観点からこういう規定ができたのでありまして、合併町村の新市町村建設計画を進めていく上におきまする特別の財政状況、主として投資的経費でございますが、そういうものを中心に考えていこうというのが二十三条の趣旨でございます。従って今御質問になりました総額の問題がでこぼこができて云々というお話でございますが、これはまあ定率計算して一定の補正係数を作って、その係数によって補正していくわけでございますので、個々の町村についてこの係数を使って計算いたしますならば、あるいはそういったでこぼこが出てくるかもしれません。しかしながら大体におきましては従来の特例計算が消えてしまいますとことっと落ちるわけでございますから、その分が浮くわけでございます。それをある程度こういう規定によって、投資的経費の中に回すような財政負担をしよう、こういうわけでございます。総額におきまして私はそんなに狂いはないと思います。
  95. 加瀬完

    ○加瀬完君 今御説明の基準財政需要額の測定単位の数字を変化させて行くことは情勢の変化で当然やっていかなければならない問題だろうと思う。もっと率直に言うならば新しくこの二十三条ですか、作らなくてもこれは政府としては経済情勢その他の変化によりまして補正していかなければならない問題が生ずるのではないか、それでそうしてある程度変化していって結局地方によれば地方交付税をよけい受けられるということになるわけです。で、だんだんそれのふえる分に今までのいわば既得権というものを流れ込ませて結局縮減されてしまうことになるんではないか。
  96. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは結局さっき財政課長が申したように従来の方式では合併しないものとしてやる、何としても消費的経費というもの、そういうものも全部流れておる、そういうものは交付税の考え方からいっても市町村計画からいってもこれは減らすべきものは減らす、結局市町村建設事業の面でそっちに質的に転換させなくちゃいかない、交付税の配り方も実体に合うように、規定合理化されるように持っていかなくちゃならない、こういう基本的な考え方がある。そこでこの交付税の配分方式をこういうふうに変えちゃって投資的な経費を中心にして新しい需要を見てこれが流れるように考えていこう、こういう考え方が二十三条でございます。そのほかに合併とかかわりなくそもそも財政需要がふえて行くのじゃないかと、こういうことは別途あり得ると思う。これは交付税一般の問題で、ここでは直接合併町村に行くものを、建設的な事業を中心にした財政需要というものの質的な転換を行なって確保して行くべきではないか、考えて行くべきではないか、こういう考え方になっております。
  97. 加瀬完

    ○加瀬完君 それで結論だけ申し上げますが、今までの合併町村でいわゆる特典とされて与えておりました五カ年間は旧町村の交付税をそのまま取得することのできるとこういうふうな有利な条件というものを、新しい計算方法によりましても矛盾しない既得権がやはりそのまま新法文によりましても残って行くんだと、こういうこともはっきり何といいましょうか受け合えるのですか。
  98. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) その既得権という言葉の使い方もいろいろありますが、そこで先ほど申し上げました付則の五項というのをごらん願えれば今加瀬先生のおっしゃいました心配したような点は心配しないように考えてございます。この新しい方式の計算とばらばら計算の方式とをかりに計算してみて食い違ったらそいつも考えていこうという考えをとっておる点から考えましても、先生のおっしゃいましたような御心配は全然要らんので、新しい事態を基礎にして新しい財政需要を中心にして必要な経費を見ていこう、こういう考え方で行っているわけです。
  99. 加瀬完

    ○加瀬完君 その後の補正分というものを特別交付税か何かで見られるという形で交付税と特別交付税を合せて見ると、結局減らされておるということにはなりませんか。
  100. 柴田護

    説明員(柴田護君) 既得権ということは実はちょっと何ですけれども、要するに合併をいたしました場合に交付税がふえる場合と減る場合とある。減る場合においては、合併しなかったら受け取るであろう交付税の額まで考えてやろう、こういうのが促進法の趣旨でございます。交付税は毎年変動しますから、必ずしも過去において受け取った交付税をそのまま受け取るわけじゃございませんけれども、計算方法はそういうことを考えております。それは合併した五カ年間くらいというものは混乱期だから、そういうことを考えてよかろう、五年くらいたちますと、新市町村は新市町村としての形態ができ上ってくるので、それから投資的経費というものを中心に財政の質的転換をしていくべきじゃないか、そうなってきますと、そのときにとたんに五年の特例が切れてしまって、がたっと落ちることは困るだろう、だからその部分については特別の配慮をして、投資的経費をみていく必要があるのじゃないか、こういうことからこの法文ができております。また五カ年間の特例規定の適用を受けるときにおいて、この規定を適用したときに、特例計算をいたしておりますから、損になるというときには特例計算を優先せしめるというのが附則の五項にあるわけであります。従いまして御心配になることは私はないと思います。
  101. 加瀬完

    ○加瀬完君 それから法律特例に関する事項の御説明の中に、地方債をある程度財源として認めるということがあるわけであります。それからその他の条項の中にも、新町村の積極的な建設計画というものが相当出ておるわけです。しかし先ほど伊能委員の方から御指摘もありましたが、新市町村といいますか、の中にも赤字団体が相当あって、再建法を適用しなければならない団体というものが当然生じてくる。再建法によりましては、新規事業といったようなものはある程度押えられます。それから地方債といったようなものもこれはそう多くを見込むことができなくなって参ると思う。再建法の適用団体でありましても、新市町村であるならば、新市町村のいろいろ条件としてあげられておりまする建設促進法案内容が先に生きる、こういうことになるのですか。
  102. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはまあそこのところは再建計画の問題になってきまして、合併町村はかりに赤字であってでも、新市町村として緊急に措置する問題がいろいろあろうと思います。結局それを再建計画の中でどう織り込んで具体化していくか、こういう問題だろうと思います。やっぱり再建計画で赤字があるのですから、全く財政を無視してでたらめをやってもいいというわけにはこれはもちろんいきません。しかしながら普通の町村と違った特殊事情ということもこれは当然考えなければならない。そういう意味で再建計画の具体的な立て方の問題として十分その趣旨を考えながら、しかもすみやかに財政再建ができるように指導していかなければいかぬし、考えていかなければならない、こういうふうに考えます。
  103. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと私聞きますが、関連さしていただきたいけれども、再建整備法の適用について、それぞれ再建整備法の適用を申請してきた、特にここではいわゆる新市町村、これは今自治庁作業していらっしゃるその中でこの新市町村建設促進法に盛ってある精神、すなわち合併した新市町村というものをいろいろな面からまあ財政的にも援助してやろう、こういう精神を再建法の今の折衝段階で、実際具体的にはどういうふうに生かすかというと、これはちっともわからない。これは現在それぞれの新市町村と折衝しておられる過程に手心で、あるところはそういうものを盛り込んでやるだろうし、あるところは盛り込んでやらぬだろう。それは何も基準はない。そういう点について自治庁は再建法の適用について、今われわれが審議しておる法の中に盛られておる精神をどういう形でどういう程度で考慮しておるかということを一つこの機会に関連質問いたしますから、はっきりしておいていただきたい。どういう程度に、どういう基準で考え折衝しておるか。
  104. 柴田護

    説明員(柴田護君) 現在再建団体がいろいろ持ってきておりますのは、まだ合併市町村のそういったお尋ねのような事例の問題もまだ持ってきておりませんけれども、現在までの状況では、私たちの気持といたしましては、先ほど行政部長からお答え申しましたような気持で、大体は合併市町村にやはり緊急やむを得ないいろいろな仕事があるだろう、再建団体である合併市町村がそれを頭に置いた上で財政再建計画を立てる。その財政再建計画というものを合併によります新市町村建設計画部分についてはできるだけ尊重しようじゃないか、こういう気持でおります。まだ具体的にお尋ねのような点につきまして、この点はこうする、あの点はああするというような基本的な方針はきめておりませんが、まだその事例はございませんのできめておりませんが、大体は財政を全然無視するわけにもいきませんけれども、新市町村建設計画を頭に置いて立てて参った再建計画というものをできるだけ尊重する、こういう建前で進んでおります。
  105. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 重ねてお聞きします。できるだけ尊重するとおっしゃるけれども、それはあなた方の気分の問題、たとえば先ほど町村合併の結果何千万円の赤字をかかえた。そういうものは、これはそれぞれ貧乏な町村が赤字をかかえたままで合併したのだから、この分だけは特別にみてやる方針である、あるいはそういうものの解消についてはこうするのだ。これは何か全国に向って一つの基準で再建整備に当っておられる。個々の町村についてはいろいろの特質はありましょうけれども、とにかくこういう法律を片っ方で出していらっしゃる。片っ方では再建整備の作業を進めていかなくちゃならない。そこの中であなた方係の人たちが気分的に何とかみてやるつもりだとおっしゃるけれども、一定の標準がなければならぬだろう。少くとも、たとえば今のように合併のためにかかえた赤字というものは特別にみてやる方針にすでに省議がきまっておる、何かそういうものがあるだろうと思う。それはその折衝に当っていらっしゃる調査課とか、あるいは財政部の係の人たちが漠然とそういう気持を持っていらっしゃるという理由だけでは、これは非常にありがたい場合もありましょうが、その気持の恩典に浴しない場合がたくさんあるだろう。その例はないとおっしゃるが、近く例は出てくる。すぐ出てくるという予定も私は知っております。そういう際に、そういうものについては、今提出して今私たちに審議させておるこの法律の精神からこの程度のものはみてやるのだ、少くともみてやるという一定の標準があるのだろうと思う。それがあるかないか。
  106. 柴田護

    説明員(柴田護君) ちょっと私は誤解しておりましたようでございますが、再建団体合併市町村という場合におきまして、引き継ぎ赤字等の問題につきましては、やはり二十九年度末現在で押えます。その押えました赤字が幾らになるかということは、引き継ぎ赤字も全部ぶち込んで計算したつまり再建整備の対象になる赤字額というものを確定する場合におきましては、引き継ぎ赤字も一般の赤字も区別しない、全部一緒だ、そのかわり、つまり消極的において援助しているわけになるだろうと思います。あとその赤字額を解消していく場合の再建計画というものは、その再建団体が新市町村計画ともにらみ合して、赤字の解消計画を立てるわけであります。それを極力尊重した上で計画されたものを認める。あとはその計画を実行する過程においてどのように起債をつける、どのように交付金を計算するかという問題、これにつきましては、特に再建団体だからということで特別の考慮を払うのではなくして、一般の合併市町村としての考慮を払っていけばいい、そういうふうに考えております。だから引き継ぎ赤字をどうするかという問題につきましては、一般の赤字と同じ扱いをいたします。特別な扱いをいたしません。言いかえますれば、出て参った赤字というものをできるだけ再建整備に載せていくと、こういう方針で進んでおります。で後、再建計画の実行の場合におきましては、これは健全な団体と同じように計算をし、同じように援助をしていく、こういうことでございます。
  107. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 赤字は一つの例ですが、あなた方は先ほどから再建整備の適用を受けるものでも、いわゆる新市町村合併した市町村についてはこの法律の精神を十分に織り込んだ計画を立ててやると、こうおっしゃっていらっしゃるが、そのどういう点で織り込んで下さるかということは、今ただ一つ明らかになったのは、かかえ込んだ赤字というものは二十九年度までのやつは一般赤字と同じに再建債の対象に考えてやるのだということだけがようやく今明らかになった。特別な恩典でございます。(笑声)そのほかにはこういうふうに再建整備の場合にもこの法律の趣旨……これは再建整備がさきにきまってしまうのですよ。実は急ぐものは、もうこの年度のものは三月末日までにどんどんきまってしまう。この法律施行はきまった後出てくる。ところがあなた方の再建整備の折衝いかんによっては、再建整備をしないで、もっと後になってこの法律の適用を受けるということになった方が得かもしれない。こういう状態になってくると、新市町村再建整備を受けることを急がしてはいかぬということになる。だから私の申し上げておるのは、新市町村の場合においては再建整備の場合にもこれこれのことは特に考えてやるという何かの基準がありそうだと思ったけれども、それはまだなさそうですけれども、少くとも私はこの機会に政府側は再建整備の場合にも、新しく合併促進法に基いて合併した市町村については、再建整備に基く特別の考慮を払うつもりであるということだけは、今日は政府委員だけですけれども、責任を持ってお答えになられるかどうか。その点を明らかにしていただきたい。
  108. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは今委員長お尋ねの通りでありまして、問題は過去の赤字の問題をむしろこれからの建設事業というものを、再建計画にどう織り込んでいくかという積極面だろうと思います。
  109. 松岡平市

    委員長松岡平市君) その通り
  110. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) その積極面につきましては財政の健全化というまあ一つの基本方針がありますが、やっぱり合併市町村としての特殊事情がございますから、その特殊事情はできるだけ織り込んで、しかも財政再建が可能なように、それはできるだけわれわれとしても考えなければいけない。そういう基本的な考え方は持っておるわけでございます。ただまあそれがまだ今のところすぐ数字的にとか何とかいうことまでの具体的なものは持っておりませんが、自治庁といたしましては基本的にそういう考え方で再建計画を指導していきたい、こういうふうに思っております。
  111. 加瀬完

    ○加瀬完君 合併促進法が生まれます前提には、行政をささえられない地方財政の貧困といいますか、行政と財政のアンバランスといいますか、こういうものが一つの有力な原因であったと思う。従いまして合併した市町村も、貧弱市町村合併いたしましても急に財源的には大きな力を獲得をしたということにはならないで、相変らず、合わさっても貧弱市町村であるという現状が多いと思う。そういたしますと、その中の多くのものは再建団体とならざるを得ないということにもなると思うのです。再建団体になりますれば当然再建法が適用されるわけでありますが、今提案になっております新市町村建設促進法案を適用しようといたしますと、再建法と新法案内容というものは相当競合する事項というものが出てくると思う。そうであるならば、新しい法案提案に当っては、当然再建法とのにらみ合いといいますか、かね合いといいますか、このつながりをどう解決するかという、委員長も御指摘になりましたような基準なりあるいは方法なりというものは、ある程度腹案というものが固まっていなければならぬと思います。そうでありませんと、促進法案が生まれましても再建団体に限っては促進法案はまことに絵にかいた餅ということでありましては、新しい新市町村建設促進法案というものは、かつての合併促進法というものの精神というものを事実においては裏打ちするものでないということになりまして、これは今までの合併町村がどうもうき目をみるということにならないとも限らないという心配があるわけでありますけれども、その点は今すぐどうこうというお答えをお願いしても御無理と思いますが、委員長の御指摘のような点も十分お考えいただきまして、競合した面のこの解決の方法なり基準なりというものを後ほどでも明確にお出しいただきたいと思います。その点まあお願いいたしておきます。  それから次の質問でありますが、支所出張所といったようなものの統廃合、これは当然のことと思います。それから小中学校などの学校機関に対しましての統廃合といいますか、こういうことをお進めになるのも当然だと思います。ところがこの法案の中には盛られておらない事項で非常に特殊な事例かはしれませんが、市町村によりましては困っている問題がある、といいますのは、東京近郊の町村では合併計画を進めて、新しい市になり、あるいは大きな町村になる。そこで都市計画を進める、そうすると住宅としての非常な適地だというので、住宅公団なりあるいはそれぞれの大がかりの住宅の激増がありまして、児童層、生徒層というのが当然ふえてくる、これでは小中学校統合ではなくて、小中学校の何といいましょうか、新設増といいますか、分裂をさせなければ、どうにも市町村経営ができないという事態もあるのです。こういうふうな新市町村に対しましては、交付税で現在計算されている以外には別に特殊な財源的な恩恵というもの、恩典というものはないわけです。しかし新市町村建設していく上には非常に大切な問題であるし、また解決のできない困る問題なんです。これらの点は何らか自治庁でこの法案を制定するときにお話し合いにでも出していただきまして、あるいはこれらに対する何か具体的な御対策をお考えいただきまして、この点については、お話をいただきたいと思います。
  112. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今加瀬先生のおっしゃいましたことは、これはしごくごもっともな問題であろうと思います。ただまあこの促進法の、合併に直接伴ういろいろな問題を解決していきたいというので、今お話のようなことは、合併の有無にかかわらず都会地の近郊で住宅地などが急激に増加してきておるという傾向があり得るのでありまして、これはそういう問題として特別に考えていくべき問題だろうと思います。そこでそういう東京近郊地その他へ急にどかっと住宅公団なんかが住宅を作ってきて、そのためにいろいろな関連する、学校の例はその一つの例で、ほかにも道路の問題があったりいろいろの問題があったりして、当然に事業増がそれに関連してくることもありましょうと、それにつきましては、それに対する特別の措置として起債なりその他の一般の特殊な財政上の問題として、これは財政上その他の面でもそれぞれ事情に合うように考慮して積極的にしてもらわなければならない、こういうふうに存じております。
  113. 加瀬完

    ○加瀬完君 まあしいて言えば、十三条の中にそれらが含まれているといえばいえないこともないと思うのでありますが、これは新市町村がどんなに自分の行政計画やあるいは財政計画というものを合理的に持っていっても、他の条件で変化を及ぼされるのでどうにもならないという事態になっているのですが、今お話の中にそれらのものはある程度地方債が非常に窮屈になっていますけれども、優先的に地方債などのめんどうをみていただけるというふうに了解してよろしゅうございましょうか。
  114. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは当然に自分の意思によらずに、住宅公団なり、何なり、あるいはまあ県営住宅ということもあるかもしれません。どかっと大きくやったら、それが動くようにするだけの事業、施設というものは、当然の地元の町村としては考えざるを得ない。そういう前提で自治庁としましてもその仕事ができ上るように、できるだけの援助は当然すべきものだと考えます。
  115. 加瀬完

    ○加瀬完君 次にこの前の合併促進法ができますときに、適正規模ということが非常に言われたわけであります。この適正規模という内容としては、人口なり面積なりというふうなものが言われましたけれども、この行政区域の適正規模というふうな面ばかりが強調されて、どれだけの一体財源というものを備えなければ適正な市町村とはならないかどうかというふうな点の財政の問題については、あるいは財源の問題については、あまり論議がされなかったように思うのです。今度この新促進法案によりましても、市町村にどれだけの財源的な力を持たせるかという点については、触れられておらないようでありますが、今一番の問題は、貧弱町村が幾ら集めても財源的な目的は少しも達せられておらないということが町村合併の悩みなんですが、この点については交付税の一応測定単位の数値は変えましたけれども、それ以外に何か有力な財源を新市町村に付与して財源的に適正規模を与えてやろうという構想は全然なかったのかどうか、この点……。
  116. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それはまあむしろ市町村一般のそういう経済構造というか、財政構造をどうするかというような問題になろうと思います。もっともそれは地方自治における根本的な、基本的な問題だろうと思っております。そういう問題は、当然根本的になお検討すべき問題があろうと思いますが、今度の促進法によりましては、まあともかくも直接合併をめぐる前後の事情をしんしゃくして問題を考えようとしたのでございまして、加瀬委員のおっしゃいましたような問題にまでは残念ながらこれは触れておりません。もっと基本的に自治一般の基礎構造の問題としてさらに検討すべき問題であろうと存じております。
  117. 加瀬完

    ○加瀬完君 といいますのは、この法案でいろいろの恩恵といいますか、恩典というようなものが付与されておるわけでありますが、それは予算の範囲内においてとか、「事情の許す限り」という言葉が必ずついておる。そうなってくると、これは悪い言葉で、もらったようなもらわないようなみたいなはっきりしない点がありますので、今言ったような、地方にもっと財源を与えるとか、あるいは財源的に独立をさせるといったような気持が強調されておるならば、この点も非常に有利に解釈できるのでありますが、そうでないとすると、こればまた繰り返すようでありますが、再建法の方が優先してしまうということであっては困る。極端にいうならそういうふうな疑問が生じますので伺いを立てたわけです。
  118. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはごもっともでございまして、むしろ市町村合併が完了した姿が、これは近いうちにできると思いますが、その姿を基礎にして合併はこれだけやったけれども、なおかつ市町村として一体財政的にどれだけ成り立つかというその姿を前提にした行政上、財政上の財源の配分とか調整の問題として根本的に考えるべき問題だと存じております。だから早く合併をぜひ完結させまして、そのあとの姿を基礎にして、さらに大きな検討を加えたいと存じております。
  119. 加瀬完

    ○加瀬完君 この新市町村建設促進法案要綱の御説明の中に、私の聞き違いかもしれませんが、小規模町村の育成——町村合併が一切済んでしまってそれでも取り残された、あるいは町村合併をすることに相当無理のある小規模町村に対しては、ある程度育成するのであるというふうに解釈できるような御説明がありましたが、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  120. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは合併は今加瀬委員がおっしゃいました通りでございまして、すべきものはしますが、地勢とか、島とか、えらい山奥とか、事実上合併不可能な町村、しかもそういう町村は平地以上に貧困な町村に違いないわけです。人口も少い。しかしながらほかは全部合併して平均一万三、四千人から一万五、六千人になる。ある町村は二千人か三千人でとどまらなくてはいけない。しかしながらやっぱりそういう町村でも普通の合併した町村並みにある程度生きていくことは考えさせなくてはならない。そういうような問題が合併完結後に当然出てくるだろうと思うわけです。そういうときに、そういう弱小町村といえども一応一般町村並みに生きていけるようなそれぞれの措置というものは、これは考えなくてはならない。そういうことのときを前提として申し上げたわけでございます。
  121. 加瀬完

    ○加瀬完君 最後に紛争といいますか、あるいはいろいろ問題のある市町村に対しましては、今度は争論の処理及びその他の問題についての委員会が新しく設けられるようでございますが、町村合併調整委員というのですか、この前の促進法によりまして、県にも町村合併促進審議会が法律によって権限が付与されて設けられたわけでありますが、どうもこの審議会と県議会などが権限の争奪みたいな縄張り争いをいたしまして、実質的には審議会で決定をすれば非常に公平ないいものができるのに、県会の、悪い言葉で言うならば、政治的勢力が介入して争乱を大きくしているというふうな点がないわけでもないと思うのです。今度できまする調整委員というものは相当の権限を与えてもらわないと、やはりあの審議会のような形になって、議会にかえって引きずられるということになることを私はおそれる。この点審議会の運営からみて、今度の新しい争論の処理等を扱うところの委員会の権限というものについて、どんなような政府は立場で、あるいは権限を付与して、お臨みになろうとお考えですか。
  122. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今加瀬委員のおっしゃいましたような事例は、正直に申して、ないわけでもないと思います。それは審議会の構成にもよりますし、審議会の動き方にもよります。両者協調をもって円満にいっているところもありますし、場合によっては局部的な利害でなかなか事がスムーズにいかぬという事例もあろうと思います。それで、この町村合併調整委員は、そういう点も考えまして、普通の審議会なら審議機関ですから、いろいろな方面に意見を公平に反映させる必要がございますが、これはむしろ具体的に起っている町村の問題のさばきをつけることが中心でございますから、それで人数も特に少くして、そうして最もその利害に関係のない中正な、公平な人を選ぶことにして、特に町村合併調整委員という資格を与えまして、争論についてのあっせん権、調停権、場合によっては裁定権も与えて、その地位と資格をきちんとさせたい。今加瀬委員のおっしゃいました心配のないように問題を片づけたい、こういう考えでございます。
  123. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  124. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十一分散会