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政府委員(
小林與三次君) お手元にお配りいたしました新
市町村建設促進法案要綱につきまして御
説明申し上げたいと思います。それからあとからお配りしました資料につきまして簡単につけ加えたいと思います。
「第一、総則に関する
事項、一、この
法律は、
町村合併を行なった
市町村の新
市町村建設計画の
実施を
促進して、新
市町村の健全な
発展をはかり、あわせて未
合併町村の
町村合併を強力に
推進することにより、
地方自治の
本旨の十分な
実現に資することを
目的とすること。」、これは
目的で御
説明申し上げることはありません。「二、新
市町村は、その
地域の自然的、経済的、文化的その他の
条件に即して総合的に
建設を進めることを
基本方針として、その
一体性を確立し、
組織及び
運営の
合理化をはかり、健全な
財政運営に努め、
建設を
計画的かつ効果的に進めるべき旨を明らかにすること。」これは新
市町村建設の
基本的な考え方を書きたいということでございます。そこで、それは新
市町村としての
地域的なあらゆる
条件を総合的に考えて
計画を立てるとともに、新
市町村の内部の一体的な体制を確立し、
組織運営の
合理化をはかり、そうして健全な
財政運営に基いて
建設を
計画的、合理的にやるべきことを趣旨としたいのであります。「三、新
市町村の
関係機関、その
区域内の公共的
団体等は、
相互に
協力して新
市町村の
建設に当らなければならないものとし、その
住民は、一の
地方公共団体の
住民たるの自覚をもって、進んでその
負担を分任して新
市町村の
建設に当るべき旨を明らかにすること。」、これは従来の
合併促進法にもあった
規定でございます。
「第二、新
市町村建設計画の
実施に関する
事項、一、新
市町村は、その
建設を第一の二の趣旨に適合して進めるため、必要があると認めるときは、新
市町村建設計画を
調整、変更するものとし、この場合には、特にその
組織及び
運営の
合理化に努め、これにより、新
市町村建設計画に掲げる
事業の財源を確保するようにしなければならないものとすること。」、それで、
合併の際に、前の
促進法に基きまして、
建設計画を作っておるのでございまして、これはきわめて合理的に確実な
計画を作っておるところと、それからまず
合併前の各
市町村の協議できめるので、いささか
財政計画を無視した
計画もあるわけでございます。そこで新
市町村になりましてから、やっぱり一つの目で、一つの意識で考え直すべきものは考え直して、ほんとうに合理的なものにして、この
建設を
促進して行くということが
基本的な考え方だろうと思うのでございまして、その点をここに書いたのでございます。もっとも、
計画を
調整すると言いましても、従来それぞれ
合併の際考えました
計画を圧縮するとか、縮減するという意味でこれはないのでありまして、これはそれぞれ
合併後、恒久的に
実現をすべきものでありますが、差しあたりの年度別
実施計画というものをきちんとやる、その緩急、順序、先後その他を合理的に考えて
実現性を考えていく、こういう意味で、新
市町村建設計画の
調整ということを考えておるのでございます。その
調整そのものについて国、
府県がこれを強力に、重点的に
援助、助成をしていく、こういう建前で今後の
建設を進めて参りたいと存ずるのであります。「二、新
市町村は、
建設計画の
調整をしようとするときは、新
市町村建設審議会の
審議及び議会の議決を経、あらかじめ
都道府県知事に協議しなければならないものとし、
調整をした
計画は、
都道府県知事を経由して
内閣総理大臣に提出するものとすること。」、この
建設計画の
実施は、自主的な
市町村の経営
計画であるとともに、国及び
府県のこれに対する
財政的その他の
援助が必要でありますので、その
計画につきましては、県とも十分協議をして、そして問題を考えていく、なお中央にも連絡して、中央におきましても各省と連絡協議してこの
実現をはかっていく、こういう中央、地方を通ずる総合的な
協力態勢ということを進めたいと存ずるのであります。「三、新
市町村は
支所または
出張所については、事情の許す限り、廃止、
統合に関する
計画を定め、
住民の利便が低下することとならないように適当な考慮を払って、なるべくすみやかにこれを
実現するものとすること。新
市町村は、経営の
合理化と教育効果の向上を図るため、小学校または
中学校の
規模を適正化することが適当と認められるものについては、その
統合等に関する
計画を定めてその
実現に努めるものとし、また
統合を行わない場合においても、必要な通学
区域の変更の
措置を講ずるものとすること。」、
合併市町村におきましては、できるものなら
支所、
出張所も
統合いたす、学校もほんとうの
一体性を確保するためにも、また学校の合理的な経営の見地からも、これを
統合する必要のあるものは
統合を考えていく、そういうものにつきましても、国としてもできるだけ
援助を払っていく、こういうことを
基本的に考えたいと思うのでございます。これにつきまして、今度新らしくそれぞれ予算上の
措置も文部省及び
自治庁において講ずることにいたしておりまして、この点はなおこれから御
説明申し上げます。「四、新
市町村の
区域内の公共的
団体等は、その
目的の達成と
機能の発揮に寄与すると認められる場合には、新
市町村の
一体性の確立に資するため、
統合整備を図るものとすること。ただし、主務大臣が当該公共的
団体等の
統合整備について別段の定めをした場合は、この限りでないこと。」、
合併をやれば、
市町村単位のいろんな各種の
団体等も新らしい
市町村で再編成することは、これは当然望ましいのでございまして、ただし、その
団体によりましては、いろいろ趣旨、性質が違うものもある、
団体の
目的と
機能を達成するためにも必要があり、なお
市町村の立場から考えても当然に一体化すべきものはすみやかに
統合整備をはかりたいと存ずるのでございます。「五、新
市町村建設計画の
調整その他その
実施に関し必要な調査及び
審議を行うため、新
市町村は
市町村長の
諮問機関として、新
市町村建設審議会を置くことができること。」、これは特に申し上げることはありません。
「第三、新
市町村建設計画の
実施の
促進に関する
事項、一、国は、新
市町村建設計画の
調整を
促進するため、新
市町村及び
都道府県に対して
補助金を交付することができるものとすること。」、これは
計画の再
調整並びに
府県の指導育成のための
補助の
規定でございます。これに伴いまして、
自治庁におきまして
所要の予算を今度計上いたしておるのでございます。「二、国は、新
市町村の
組織及び
運営の
合理化を
促進するため、
支所、
出張所の廃止、
統合に伴い必要となる通信及び連絡施設の整備、小学校、
中学校の
統合または通学
区域の変更のため必要な校舎の建築、その他これらの
統合等を進めるため直接必要となる土木施設の整備等の
事業に対して
補助金を交付することができるものとすること。」、これは
支所、
出張所を
統合いたしましても、
住民に不便になってはこれは意味がないのでございまして、それでそういうものを廃止すれば、かわりに通信連絡施設の整備等を考えて
住民の利便
福祉を考える。そのために必要な予算的な
補助措置の
改正、なお小学校、
中学校の
統合につきましても、
統合自体についての
措置を講ずるとともに、なお
統合に伴ういろいろなあるいは通信、運輸施設等の整備の必要がありまするので、そういうものにつきましても、あわせて
補助金交付の道を考えたい。こういうふうに存じておるのであります。「三、国は、新
市町村建設計画の
実施を
促進するため、おおむね
現行町村合併促進法第二十九条におけると同様に、新
市町村建設計画に掲げる
事業に対する
財政上の
援助措置、国の直轄
事業の
実施、起債の許可その他国の
行政機関の行う
処分等について、新
市町村のために特別の配慮をするものとすること。」、この
規定は、従来の
促進法にもありましたのとほとんど同様の
規定でございまして、それぞれの
事業を
実施する場合において、既定予算を新
市町村重点主義で
運用することを建前とする
規定でございます。「四、国は、国の
地方行政機関の
所管区域が新
市町村の
区域を
基礎とすることとなるように、その
変更等の
措置をすみやかに講ずるものとすること。」、この中心は郵便局の管轄
区域と存じます。その他なお出先
機関で考えられるもののありますものは、新
市町村の
区域を
基礎とするよう、その変更をできるだけ早く
実現いたしたい。郵便局の統廃合に関しましては、今度国の予算としてこれは相当の金額を計上されております。これはあとから一括して御報告申し上げます。「五、
都道府県は、新
市町村建設計画の
実施を
促進するため、前三項に準じて必要な
措置を講ずるものとし、その他新
市町村に対して必要な
協力をしなければならないものとすること。」、これは
都道府県の役割でございまして、国はそれぞれ国の
補助事業あるいは直轄
事業その他で考えると同時に、
府県も
府県として
市町村に対する
補助事業あるいは
府県の直轄
事業について
市町村の育成を中心に考えることを明らかにしたものであります。「六、日本電信電話公社その他の
公共企業体は、新
市町村の
建設に資するため必要な
措置を、事情の許す限りすみやかに講ずるものとし、国は、日本電信電話公社が加入
区域の
変更等の
措置を
計画的に講ずるために必要な資金の融通について配慮しなければならないものとすること。」、これは問題になっております電話局の
統合の問題でございまして、これも電電公社としても一緒に御
協力を願っておるのでありますが、これに対する
財政上の
措置についての
規定を設けたのでございます。「七、
内閣総理大臣は、新
市町村建設計画の
調整その他その
実施に関して、必要な助言または
勧告等をするとともに、新
市町村建設促進中央審議会の
意見を聞いて、新
市町村建設計画の
調整及び
実施に関して必要な基準を定めることができるものとすること。この場合において、国の
関係行政機関が所掌する
事務に関する
事項については、あらかじめ当該
行政機関の長に協議するものとすること。八、
内閣総理大臣の諮問に応じて、新
市町村建設計画の
調整その他その
実施の
促進及び未
合併町村の
町村合併の
推進に関し必要な
事項を調査
審議するため、新
市町村建設促進中央審議会を置くこと。」、これは特に申し上げることもありません。一応各省相
協力して
建設促進をいたしたい、これが
基本的な考え方でございまして、そこで必要な
建設の基準を定めたり、その他
建設計画の
調整実施について、中央で相
協力して
促進をいたしたいと考えるのでございます。「九、
都道府県知事は、新
市町村建設計画の
調整その他その
実施の
促進に関して、必要な助言、
勧告等の
措置を講じ、なお新
市町村建設計画の
調整又は
実施に関して必要な基準を定めることができるものとすること。十、
都道府県は、新
市町村建設計画の
調整その他その
実施の
促進及び未
合併町村の
町村合併の
推進に関し必要な調査及び
審議を行うため、
条例で
都道府県知事の
諮問機関として新
市町村建設促進審議会を置くことができること。」、これは同じ問題であります。
第四は、「他の
法律の
特例に関する
事項」、以下他の
法律の
特例を一括して
審議して新
市町村の
建設を
促進したいと存ずるのであります。「一、
現行町村合併促進法におけると同様に、新
市町村建設計画に掲げる
事業について
地方債を財源とすることができるようにすること。」、
地方債の道を
合併計画全般に及ぼしておるのであります。
町村建設計画全般について……。「二、新
市町村は、これを構成する従前の
市町村相互の間に地方税の賦課または
基本財産もしくは負債の額に著しい差異がある場合においては、
現行町村合併促進法におけると同様に、
町村合併の次年度より三カ年度に限り不均一の課税をすることができるようにすること。」、これは未
合併町村にもありますが、過去の
町村にもあるのでありますが、
合併する
町村相互間の間において税の賦課率あるいは
財産所有の状況、負債の類等に非常にアンバランスがある場合において、なかなか話が円滑に進まない、その間の実質的な均衡を保つために、ほんの三カ年間でございますが、不均一の課税をすることができるという道を開くことにして、
合併の円滑と
関係町村の
負担の公平というものを考えたいのでございます。これを要望する声が相当強かったので、少し
規定を整備して入れることにしたのであります。「三、新
市町村については、
町村合併に伴い
臨時に増加する行政に要する
経費の需要を
基礎として、基準
財政需要額の測定単位の数値を補正して
地方交付税の額を
算定するようにすること。なお、小、
中学校の
統合を行なったときにも、その
統合に伴い必要な
経費が
地方交付税の額に含まれることとなるように配慮すること。」、これは
合併後の新
市町村に対する交付税配分の問題でございますが、従来の
促進法におきましては、御
承知の
通り、
合併しなかったものとして計算をして交付税を配りました従来の交付税の額を確保するという建前をとっておるのであります。しかしながら、新
市町村につきましては、むしろ
合併前の状態を
基礎とするのじゃなしに、
合併後の新
市町村の新しい
財政需要というものを前提にして交付税の必要な配付も考えるということがむしろ筋でありまして、新
市町村を土台とした交付税の
基本的な態勢を整備して行くという方向に、できるだけすみやかに近づいて行くことが根本的な要件だろうと思うのであります。それで今度は、とりあえずの間は
合併補正というような形で、
合併に伴う新しい需要を見て交付税の配分も考えて行きたい、これが三でございます。なお、小
中学校の
統合のことを特に書きましたのは、現在の交付税法によりますというと、小
中学校が、
財政需要上
算定が学校一人当り幾ら、学級数幾らという
規定がございまして、これは
統合するというと逆に減る計算になりますので、これを実質上補う必要がある。そこで
合併統合すればその当座はいろいろ施設費とか、その他の
経費も要りますので、そういう意味でその
経費を補てんをして、実質上
統合したがためにすぐ損になるというような形をとらずに、交付税の配付を考えたいということで特に特記いたしたわけであります。「四、
現行町村合併促進法におけると同様に、新
市町村が新
市町村建設計画の
実施に当り永久の
利益となるべき施設の用に供する場合には、
国有財産特別措置法の例によって
町村合併後五カ年間に限り、
国有財産の譲渡または貸付ができるようにすること。」、これは
国有財産の貸付の
規定で、大体従来の
規定通りでございます。それから五は、「
現行町村合併促進法におけると同様に、新
市町村建設計画による
基本財産の造成のため必要があるときは、
町村合併後五カ年間に限り、新
市町村に
国有林野を売り払い、または交換することができるようにすること。なお、売払代金の支払いは五カ年据え置き、二十カ年以内の年賦償還とし、
国有林野整備
臨時措置法及び
町村合併促進法の
規定により売り払いを受けた
市町村が
合併したときも、これに準じて売払
条件を改めることができるものとすること。」、これは今回の
改正で実質的に
改正した重要な問題の一つでございます。林野の
払い下げの問題はかねてから問題になっておるのでございまして、ぜひわれわれはもっと強力に進めたい、林野庁の方にも積極的な
協力を願いたい、こういう考えを持っておるのでありますが、なお
払い下げの
条件がやや重いから、なかなか話が進まぬという面がありますので、その
条件をできるだけ緩和さしたい、そうして
市町村の実際の実情に合うようにいたしたい、こういう考え方で、今度の
改正につきましても、林野庁とも積極的な
あっせん、
協力、協議を進めて参ったのでございます。そこで従来の建前によりますと、五カ年据置で十五年以内の年賦償還になっておったのを、十五年ではどうも短か過ぎるので、それを五カ年間延ばしまして、二十カ年間にする、これが一つ、それからもう一つは、年賦償還になったものにつきましては、従来六分五厘の利率を払って参ったのでございます。そこでこの利子の支払いに非常に
町村としては困っておるという事情がありまして、立木の売り払いが、円滑に木材の値段がうまく行っている時代はいいのでありますが、このごろなかなかそう売り払いが円滑に行かぬという事態で、売り払いに非常に困っておるという実情もありますので、六分五厘という利率を一様にきめられては因る。そこでその山の実情によりまして、六分五厘、五分五厘、四分五厘という三
段階を設けることにいたしまして、樹齢が十年
未満ですぐに売れないようなものは四分五厘にする、それから樹齢がそれ以上でありますが、伐木の適齢期に達していないのは五分五厘とする。伐木適齢期にきたものは六分五厘にするというように三
段階に
段階を設けまして、利子の
負担を緩和いたしたいということに相談がまとまったのであります。これは利子の問題でありますから
法律で書くのはいかがかと、ほかの立法令と同様に実際の金利の状況であんばいしなければなりませんので、これに基く
政令で、それぞれ農林大臣と大蔵大臣、
自治庁長官とが三者協議して実際に定める。その辺は今申し上げました基準で問題を考えようということで話をつけたのでございます。なお、これにつきまして
町村会あたりで時価より安い値段で
払い下げることができるようにせよという要求が相当あったのでありますが、これは結局
町村の
基本財産、永久
財産として所得するわけでありまして、単に公用
財産、公共用
財産として学校のような建物に使うとか、そういう場合の問題と違いますので、これはやはり適正な時価で
払い下げていいのじゃないか。ただしかしながら、その支払いの
条件だけが実情に合うようにした方が適当であろう、こういう考え方で
町村会方面の御
意見もありましたが、この際とるべきではないという結論に達したのでございます。それから、なおこの
規定の
改正で重要なのは、これは過去に
促進法で売り払いを受けた
町村に対して、さらにその前に、
国有林野整備
臨時措置法で十二、三万町の林野が
町村に
払い下げになっておるのでありますが、その
払い下げを受けた代金の支払いに非常に困っている。それが据置期間も大体五年か、六年くらいで非常に短くて、おまけに利子が六分五厘で非常に困っておる実情にありますので、こういう個々のものにつきましても、それが
合併町村ならば今度の
条件緩和の
規定を遡及して適用しようということで、これは林野庁の非常な好意ある
理解も得まして、その
規定をこの後段に入れることにいたしたのでございます。
それから第五は、
町村合併に伴う
争論の処理及び未
合併町村の
町村合併の
推進に関する
事項、それからあとは未
合併町村の場合、それから
合併に伴う跡始末と申しますか、そういうものにつきまして、必要な
規定を整備して問題の合理的処理をはかりたいという
事項でございます。「一、
町村合併をしようとするに当り、または
合併後に、
市町村の名称、
事務所の位置、
財産処分等について
争論があるときは、
都道府県知事は、新
市町村建設促進審議会の
委員のうちから任命する
町村合併調整委員に
あっせん、または
調停を行わせることができるものとし、
あっせんまたは
調停による
解決の見込みがないときは、特に必要な場合に限り、
町村合併調整委員の
意見をきいて
都道府県知事が当該
争論の裁定をすることができるものとすること。」、これは
合併後にもしばしば名称とか、役場の位置等について議論が起り、最初話がついておったのが
合併後でまたひっくり返すとか、ひっくり返さぬとかいうような事例もあります。それからまた
合併につきましても、
合併はいいけれども、こういう
条件が整わぬために事が進まないというような場合がありますので、そうした問題を合理的に
解決するために
町村合併調整委員という
制度を設けることにいたしました。しかしこれはまた特に設けるというのはよけいなことでありますので、この
建設促進審議会
委員のうちから任命をして、
あっせん、
調停、裁定の
措置を講じて問題を合理的に
解決いたしたい、こういうふうに存ずるのであります。それから、「二、新
市町村とこれに隣接する
市町村との間において
市町村の
境界変更に関する
争論があるときは、
昭和三十二年三月三十一日までの間に限り、
都道府県知事は、
町村合併調整委員に
あっせんまたは
調停を行わせることができるものとし、その
調停で
境界変更を
選挙人の
投票に基いて定めるものとしているとき、または
あっせんまたは
調停により
解決の見込みがない場合において特に必要があると認めるときは、
都道府県知事は、新
市町村建設促進審議会の
意見をきいて、当該
地域内の
選挙人の
投票により
境界変更の決定をすることができるものとすること。この場合、
市町村の選挙
管理委員会が
投票を
執行しないときは
都道府県選挙
管理委員会がこれを行うことができるものとすること、なお、
都道府県の境界にわたる
市町村の
境界変更についても同様の手続を定めること。」、
合併に関連しまして、いわゆるこの分村問題というのが一番めんどうな問題になっておるわけでございまして、この分村問題をできるだけうまく
解決いたしたい、こういうのでこの
調停、
あっせんの
制度、場合によっては結局その
地域住民の総意に基いて事をきめるより仕方がない。そこで
住民投票の
規定も整備いたしたいというのがこの
規定でございます。しかしながら、この問題もいつまでも尾を引いておっちゃいけませんので、切り上げるべきときには切り上げなくちゃいかぬ。そこでこの
制度につきましては、三十二年三日二十一日という一応時間的な区切りをつけまして、その間に
解決すべきものは
解決するという態勢で参りたいと存ずるのでございます。これは
府県の境界にわたる
市町村の分村の問題につきましても同じ問題がありますので、同様に考えたい、こう存じております。それから、「三、
都道府県知事は、
町村合併促進法の失効後においても、なお、
規模が適正を欠き、諸般の事情に照して
町村合併を行うことが必要であると認められる
町村がある場合においては、
昭和三十二年三月三十一日までの間において、新
市町村建設促進審議会の
意見をきき、
内閣総理大臣に協議して、
町村合併の
計画を定め、これを
関係市町村に
勧告するものとすること。
勧告を受けてもこれに基く
関係市町村の議決がない場合において、特に必要があると認めるときは、
都道府県知事は、新
市町村建設促進審議会の
意見をきいて、当該
市町村の
選挙人の
投票により
市町村の
合併を行うことができるものとすること。」、まあ大体の考え方は、
促進法が九月一ぱいで切れますが、それまでに
合併は自主的に進められると存じておるのでございます。特にこの新しい新
町村建設促進法が出れば、いよいよ
合併も進捗すると思いますが、しかしいろいろの事情がありまして残るものがあるかもしれない。そういうものの跡始末をどうするか、そういうのがこの
規定でございまして、残るもののうちには、それは
地域的な事情その他で万やむを得ぬものもあるかもしれんし、しかしながら、所によってはむしろやっぱり
合併した方がよろしいと考えられるものもあるかもしれん、そこでそういう意味で
促進法失効後におきましては、むしろ全国的な
調整をはかってどうするかということを最後にもう一ぺん考え直しまして、どうしても必要だと思うものにつきましては、知事の
勧告なり、必要ならば総理大臣の
勧告権を発動させて、自主的に問題を
解決いたしたい。ただし、まあ問題は
市町村の
住民が一般的には
合併を希望しているが、
理事者とか、議会の一部でなかなか動きがつかぬというような場合もあり得るので、そういう場合には、むしろ
住民の総意に聞いて問題を
解決したらよかろうという場合にはその道も開きたい、こういうふうに存ずるのでございます。もっとも、それは
勧告に従わなければ、もちろんそれはそのままの問題でございます。それから「四、
内閣総理大臣は、
都道府県知事の
勧告を受けた日から四カ月を経過しても、なお、
町村合併を行わない
市町村について、
都道府県知事の
申請があったときは、新
市町村建設促進中央審議会の
意見をきいて、
町村合併の
勧告をすることができるものとし、この
勧告によっても
町村合併を行わないものについては、
小規模町村であることにより行われる国の
財政上の
援助措置は行われないことがあるものとすること。」、これは総理大臣が
勧告をいたしましてもなお
合併が進まない、こういう場合の始末でございまして、そういう場合にはもちろん
地方自治体の性質上強制
合併等のことは、これはまあ考えることは適当ではない。しかしながら、
町村の意思でどうしても自力でやって行くということになりますれば、むしろそういう
町村につきましては、今後
合併がほとんど完成いたしまして、どうしても
合併ができないという
町村があるような場合につきまして、そういう
町村も自立できるように国としては当然問題を考えて行く必要がある、そういうような場合には、
合併すべくしてしなかったものにつきましては、特別の
措置というものは必ずその
町村の自主的な
責任にまかせる、こういう点をはっきりさしたいと思うのでございます。それから「五、
内閣総理大臣は、
都道府県知事の
勧告にかかる
町村合併に関し、
関係市町村から
合併の
申請があった場合において、
申請の日から四カ月以内に
都道府県知事の
処分が行われないときは、新
市町村建設促進中央審議会の
意見をきいて、
現行町村合併促進法におけると同様に、
町村合併の
処分を行うことができるものとすること。
都道府県の境界にわたる
市町村の境界の変更に関し、
関係市町村の
申請があった日から、四カ月以内に
関係都道府県の
申請が行われないときも同様とすること。」、これは大体
現行法にもございますが、
関係市町村は完全に話がまとまっておる、しかしながら、
府県の
段階において事が進まない、
府県会あたりで反対の議決をするというような場合におきましては、
内閣総理大臣に裁定の
申請の道を開いたのでございます。
現行法通りでございます。
それから「第六、その他の
事項、一、
町村合併促進法が効力を失うまでに、同法に定める
町村合併について
処分の
申請をしている
市町村があるときは、その
町村合併については、この
法律の
規定を適用すること。」、大体この
促進法は、
町村合併促進法の
有効期間中、それに基いてでき上った
市町村について適用あることを
基本にいたしておるのでございます。しかしながら、ちょうど九月のまあ下旬頃に
町村の
合併の議決をいたしまして
申請をした、まあ県の手続がおくれて十月になってしまったというような
市町村につきましては、当然この
法律の恩典も浴せしむべきでございますので、その点をこの一項で明らかにしたのでございます。それから「二、
町村合併促進法が効力を失った後においても
都道府県知事または
内閣総理大臣の
勧告に基く
町村合併を行なった
市町村については、この
法律の
規定を適用するものとすること。」、それ以後かりに残った
町村につきましても、あとで知事や総理大臣が
勧告をして、そうしてやった場合には、これはやっぱりこの
法律の恩典に浴せしむべきであるというのが二項でございます。「三、
町村合併促進法中、
町村議会の
議員の任期の延長の
特例を
人口五万
未満の市が
町村を編入する場合に準用し、また知事が
町村合併促進審議会の
意見をきいて
勧告した
町村合併については、
人口十五万
未満の市について毛、
町村合併促進法の
規定を準用するものとし、その他この
法律施行に伴い不要となる
規定の
整理等、必要な経過
規定を設けること。」、これは現在の
促進法のうちで、
議員の任期延長の
特例がございますが、
町村にだけ
規定を適用しておるのでございます。市の場合は、市が新設された場合にだけ
規定をいたしておるのでございまして、既存の市へ
町村が編入した場合は、この
規定の適用がないわけでございます。そこでその点で、現実の事例でなかなか話がうまく行かない、この
規定の適用を要望する事例がありますので、そこでこの際五万
未満の市が
町村を編入する場合にも、両
市町村で話がつけばこの
特例の道を開いてもいいのじゃないか、こういうのが前段でございます。それから後段は、この
人口五万以上十五万
未満、非常に大きな市への
合併については
促進法の
規定の適用がないのでございますが、やっぱり十五万
未満の市くらいにつきましては当然入れて、そのほかに入れようがないようなところにつきましては、この
法律の適用の恩典に浴さしめた方がいいと考えるのでございまして、これもかねてから市長会とか、市の
議長会からの要望が強いところでございまして、現にこれで
合併が進まぬという事例もございまして、そういう地元の強い要望もありますので、この際十五万
未満の市についても
促進法の
規定を準用することにいたしたいと存ずるのでございます。「四、この
法律は、公布の日から
施行し、五カ年間に限り効力を有すること。」、これはやはり新
市町村建設の
臨時立法でございますので、やはり時限法としてある程度の期間を限るべしというのがわれわれの考え方でございます。五カ年で、それなら新
市町村ができ上るか、これは新
市町村の経営は永久の問題でございますが、ともかく
合併に伴うとりあえずの
基本的な整備態勢をやるためには、ある程度の期間を限って
組織的に
計画的にやるべきでありまして、それからあとはほんとうの
市町村の
自治一般の振興の問題として考えるべきであると思うのでございます。その以後はそういう
基本的な
市町村経営の態勢に持って行くことにして、こうした
臨時の
措置というものは一応五カ年間を
限度にして限りたいというのがこの
法律の趣旨でございます。
なお、これに関連いたしまして、本年度この新
市町村建設促進法ができ上るということが前提になって、国も
合併を直接相手にした
補助金が各方面で多少計上されたのであります。一つは
自治庁でございますが、
自治庁自身は
事業官庁ではありませんので、
事業費を持つことが
運営上適当ではありません。ただ先ほど申しました
支所、
出張所の統廃合等の問題は役場機構の問題でございますので、そういう統廃合を
促進するために必要な
経費は
自治庁の予算でまかないたい、こういうので、金額はたくさんではありませんが、一億七千万円計上してございます。それから一般の新
市町村の指導育成に要する、特に
府県のいろいろな指導費として五千万円組んでおります。なお一般の
合併促進の
経費は七億幾らくらい組んでおります。これは従前
通りの
経費でございます。それから文部省の方で小
中学校の
統合に件う直接の校舎新築に要する
補助として三億計上されております。それから郵政省の郵便局の
統合に対する
経費は四億七千万、電電公社
関係として電話局の
統合に要する
経費は十億、それから無電話部落解消に要する
経費として二億、こういう
経費が直接この新
市町村を中心に計上された
経費でございます。なお、御
承知の農林省の新農林
建設計画の
経費として十四億五千万円でございますか、この
運用ももちろんこういう新
市町村の
建設と総合的な
関係において
運用されるべき
経費だと存じております。その他はそれぞれの各省の所管の
経費、
自治庁の交付金なり、あるいは起債等の詮議方針として新
市町村を重点的に考えて行く、こういう態勢で事を進めたいと存ずるのでございます。これはもうそれぞれの各省がそれぞれの所管行政について総力態勢で事を考えていただく、こういう
基本方針で進んで参りたいと思うのでございます。
それからお手元にお配りいたしました資料につきまして、ちょっと簡単に、これはごらん願えば大体わかりますが、一つは
町村合併の進捗状況等調べ、これは大体国の
計画と県の
合併計画を
基礎にいたしまして、三月一日現在の
合併の数、進捗率、それから今後
合併を予定されておる数字をあげてございます。国の
合併計画では八五%、
都道府県の
計画では七七%、残っておるのは九百二十九、
府県では千五百六十五、こういうことになっております。これらの
府県の
計画も従前作られました
計画でございまして、それぞれ
合併の実際にかんがみまして、なお最終
段階においては再
調整すべきものがこれはあろうと思うのであります。そういう点は今県の方でも最後の
合併の総仕上げの
段階におきまして、そういう点を考慮しつつあるようでございます。そこらの数字はまだ確定的なものは参っておりません。それから次は新
市町村の数並びに
町村の平均
人口及び平均面積に関する調べで、これはごらん願えばわかると思います。三番は、
町村合併による三役及び
議員の減少状況、今まで当然に減った三役と
議員の数をここに書いてございます。合せまして三役一万五千、
議員が六万七千、
合併が完了すれば一万八千と九万の
職員が減少する、こういう数字になるわけでございます。
それからその次は各
都道府県における
町村合併進捗状況でございまして、これをごらん願えば、
計画に対する各
府県別の進捗状況並びに減少した
町村の数を一番右に書いてございます。ごらんいただきたいと思います。
次は、未
合併町村に関する調べでございまして、今の
計画上残っておる
町村につきまして、一応
人口段階別にどうなっておるかということを調べたのでございます。今後
合併の
計画を予定されておるのが二千二百、そのうちで
人口八千
未満が千八百でございます。これは八千以上のものもございますが、結局八千以上の
町村へ隣接の小さい
町村をくっつけざるを得ないというので、こういう数字になるわけであります。千八百残っておるものをさらにこまかい
段階別をここに書いてございまして、やはり三千とか、四千とか、あるいは五千
未満といったようなものがきわめわ多いのでございまして、今後残っておる
町村はおおむね弱小
町村と言えるのでございまして、そういうものの
合併はやはり何とか考える必要があろうと存じております。
それから次は
国有林野の
払い下げ状況に関する調べ、これは
促進法に基きまして林野の
払い下げが現実に行われた数字でございます。林野庁の資料でございますから一番正確であります。全体で八千町歩、件数が百五件、これはなお希望はこれよりずいぶん多いのでございますが、今まで行われた数字でございます。
それからそのうしろに、
国有林野整備
臨時措置法に基いて国有林の
払い下げがあったもの、御
承知の
通り、この林野整備
臨時措置法と前の
町村合併促進法とが期間的に重複して
払い下げが行われたのでございますが、その林野整備
臨時措置法に基きますと、
町村に対しては大体十二万町歩の
払い下げが行われておるのでございます。この
払い下げが行われたものにつきまして、結局木を伐ってしまって売り払ったりなどしたというので、林野庁の非常に感情を害しておる、
管理がうまく行っておらぬ、そこで
町村に売るというとかえって山を荒らすじゃないかというような声が、批判が一部に起りまして、それが新
市町村に対する
払い下げを非常に戸惑いさしておるということが実情であったのでございます。しかしこれも先ほどの、今度の
規定によりまして、あの
条件規定を緩和するとともに、逆に、そのかわりに
払い下げを受けたものにつきましては施業
計画をきちんと立てて、みだりに
処分ができないというコントロールの
規定も、
促進法に入っておるのをそのまま適用させまして、そうして
払い下げを受けるべきものは受けて、あとは
基本財産として適正に
管理経営をして行くという
基本態勢を整えて、さらにこの
払い下げの問題を積極的に進めたいと、こういうふうに考えておるのでございます。林野庁も大体そういう考え方で、ほんとうに受け入れ態勢と準備を整えて健全な経営
計画、施業
計画を持っておれば、できるだけ
協力しようという考え方でおられますので、そういう方向に一般の新
市町村も考えていただいて、健全な経営のために山を取得するという態勢で今後一そう強力に進めて行きたい。この点につきましては、なお
委員会各位の格別の御
協力とご
あっせんをお願いいたしたいと考えておるところでございます。
その次は、郵便局の集配
区域の
統合状況等に関する調べでございまして、今まで、二十九年度、三十年度に行われたものの数でございます。なお電電公社の問題がありますが、印刷がちょっとおくれましたから、これはでき次第、あしたでき上るはずでございますから、すぐお届けいたします。郵便局の集配
区域の
統合も、電電公社の
区域の
統合も非常に主管省では積極的にこれはやってもらっておるのでありますが、一つは、やっぱり
合併が固まらないというと
区域がきまらぬ、まずそういう
基本的な問題がございまして、その
合併の実際の進捗に沿うて行くより仕方がない、そういう問題が一つと、それからなおこういう
統合には当然に金がかかる、特に電電公社では多額の資金を要しますので、その資金の許す
範囲で逐次やって行くよりしょうがない。そういう面が一つあります。
それからさらに、一般的には
統合を主張しておきながら、いざということになりますというと、存外地元の
市町村で反対運動が起る。こういう事例も最近見受けられるのでありまして、これはまあ
町村会とか、
町村議長会を通じて強くその点を今地方にも注意してもらっておるのでございますが、そういうことでは、とうていこの統配合も円滑に進むはずがないのでございます。そういう点も考えながら、これは逐次新
市町村を
基礎にして早く統配合の実を上げたいというふうに存じておるのでございます。
それから、なおこの新
市町村建設計画の実際の
概要、これは前にもお配りしたことがあろうと思いますが、御参考のために、これはまあ二十九年度と三十年度の
事業計画の
内容とその
実施の進捗率というものの資料をお配りいたしておいたのであります。これの第一ページの総括表をごらん願いますというと、二十九年度の
事業計画及び
事業実施額といたしましては、
計画事業が三百九十三億に対して
実施額が百八十四億ですか、それで
実施割合四七%、こういうことになっておりまして、それは要求から見ればなお隔たっておりますけれども、やっぱり逐次
計画が進みつつあるということを御了承願いたいのであります。
で、これから以後の問題は、今度の
促進法でさらに再
検討すべきものは再
検討した
計画を
基礎にして、こうした資料もなお整備し、それを
計画的に進めて行きたい、こういうふうに存じておるものでございます。