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1956-03-13 第24回国会 参議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十三日(火曜日)    午前十一時七分開会     —————————————    委員異動 三月十日委員斎藤昇君及び北勝太郎辞任につき、その補欠として小幡治和 君及び館哲二君を議長において指名し た。 本日委員笹森順造君及び岸良一辞任 につき、その補欠として榊原亨君及び 中山福藏君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松岡 平市君    理事            石村 幸作君            伊能 芳雄君            森下 政一君            小林 武治君    委員            小幡 治和君            榊原  亨君            佐野  廣君            田中 啓一君            堀  末治君            安井  謙君           小笠原二三男君            加瀬  完君            若木 勝藏君            館  哲二君            中山 福藏君            鈴木  一君   政府委員    自治政務次官  早川  崇君    自治庁行政部長 小林與三次君    自治庁選挙部長 兼子 秀夫君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○入場譲与税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○地方公務員法等の一部を改正する法  律案内閣提出) ○公職選挙法の一部を改正する法律案  (第二十三国会本院提出、衆議院送  付) ○国会議員選挙等執行経費基準  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 委員会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。三月十日付、委員北勝太郎君、斎藤外書がそれぞれ辞任されまして、新たに館哲二君、小幡治和君が任命されました。三月十三日付、委員笹森順造君、同じく岸良一君がそれぞれ辞任されまして、新たに榊原亨君、中山福藏君が委員に任命されました。     —————————————
  3. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 本日はまず入場譲与税法の一部を改正する法律案を議題に供します。  本案につきましてはすでに政府提案理由説明は聴取いたしておりますが、この際政府委員より簡単に補足説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めます。
  5. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 入場譲与税法の一部を改正する法律案の第一条の改正は、従来建前が入場税の九割相当額入場譲与税にすることになっておりましたのを全額に改める改正でございます。  それから第二条第二項は入場譲与税制度のもっております財源調整機能を強化するために地方交付税計算上不交付団体になります団体譲与額を減額いたしまして、他の団体に振り向ける規矩でございます。その場合に、前年度の地方交付税計算上、基準財政収入額基準財政需要額を超過した額、これを基礎にいたしまして、その二割相当額、その額に政令で定める割合を乗じた額を減額するわけでありますけれども、一応その政令で定める割合は十分の二と考えておるわけであります。十分の二と考えておりますのは、東京都につきましては、今回の地方税法改正によりまして、相当財源が増加するわけでありますけれども、他面府県税につきましては、市町村財源ほど増額にもなりませんので、大阪府等から減額する余地に乏しいわけでございます。そういうところから、東京都については全額に当るけれども、他の団体についてはできる限り減額分を少くしたい、そういうようなところから二割相当額ということを予定しているわけでございます。なおその計算につきまして前年度地方交付税計算基礎にいたしておりますのは、理論的には当該年度を使います方が実際の財政事情に合うわけでありますけれども、当該年度計算は八月になりませぬと確定いたしませんので、いつまでたっても府県入場譲与税の額が不安定な状態に置かれる、そういう事情がございますので、前年度の地方交付税計算基礎にして減額分を算定することにいたしておるわけであります。しかし当該年度におきまして、制度改正によりまして、大きな相違が生じてくるような場合がございますので、そういう場合には三項に書いてありまするところによりまして、「総理府令で定めるところにより、必要な補正をすることができる。」というようにしておるわけでございます。前年度を使うわけでありますが、当該年度事情制度改正によって非常に違って参ります場合には、前年度につきまして必要な補正を加えまして、なるたけ現実当該年度財政事情に適合させるように持っていきたい、かように考えておるわけでございます。  第四項は減額いたしました額は他の団体に再配分していくという趣旨の規定であります。  第三条の三項に書いてありまする部分は、減額分をいつの譲与分から減額していくのかということを明らかにいたしますために、最初に譲与する部分から順次控除していくのだと、そうしますことによって控除額がはっきりしていくというふうに考えておるわけであります。  附則でこの改正は三十一年度分の入場譲与税から適用するということにいたしております。
  6. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 国務大臣の説明要旨に基いてちょっとお尋ねしたいのですが、まあ大筋に分けて改正点入場譲与税全額譲与するということ、並びにこの不交付団体財政調整をやるというようなことのようですが、原則としては第一の問題が主たる問題だと私は思うのです。そうしますと入場譲与税で全部地方に渡すというのと、初めから従来やっておった地方税入場税を取るということと、地方自治なり地方財政という問題からいえば、原則としては、根本的には入場税で各府県が取るべきであるということに戻っていくのじゃないかと思いますが、そうでなくて、やはり入場譲与税は国が一たん取らなくちゃならぬということなら、それは徴税事務等の、あるいは徴収率等にからんだ便宜的な事務的な問題しか残らんじゃないかと思うのですが、その辺のところはどうなります……。  いやまずこれは大綱のところだから政府の所信を承わりたい。
  7. 早川崇

    政府委員早川崇君) これはやはりわれわれといたしましては、人口配分になっておりますので、第二段の財源調整機能を決してわれわれは軽視しているわけではございません。また入場譲与税というものが大都市に偏在しないように、各府県で自主的に取るということによって生ずる偏在ということをも考慮いたしまして、現在のところむしろ財源調整的な入場譲与税の取り方、分け方ということを変える意思はございません。
  8. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう意味だとするならば、交付税交付金の中に一本にして、財源調整という立場で人口割り配分するという原則のもとに配分する仕方と、こういうふうに名前だけは入場譲与税と抜き出しているやり方とは、大綱においてそう違いはないじゃないか。考え方としては交付税交付金考え方になるのじゃないですか、その点はどうですか。
  9. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一つ入場税税金全額地方財源考えているか、あるいはその財源を国と地方との共有に属するものと考えているか、これに大きな違いがあろうと考えているのであります。入場税はその全額入場譲与税にするわけでございますので、地方財政の状況ともからみ合せまして、入場税はやはり地方財源に将来とも使っていきたい、それの増減をはかる余地を存することになろうかと思うのでございます。かりにそれが所得税法人税のように国と地方共有的な財源でありますと、国の需要によって所得税法人税の増収をはかります場合には繰入割合を下げる、逆な場合には繰入割合を上げる、こういうことになるわけでありまして、あくまでもこの財源全額地方財源である、こういう考えのもとに運営して参りたい、これが基本的な一つの違いであります。  もう一つ地方交付税配分に当りまして、あくまでも基準財政需要額基準財政収入額の関係によって交付率をきめていきたい、入場譲与税のような人口按分配分していく行き方地方交付税それ自体の中に入れていくという行き方は、この配分方式を二途に出でさせるということになるのじゃないかというふうに思うわけであります。地方交付税の中に入れてしまいますれば、人口按分でいきました方が、地方団体の方で自主的な感じを、そうしてまた安定的な感じをより強く持つのじゃないだろうか。地方財政の現状から考えますと、自主的な精神をよけい持っていただかなければならないときでございますので、やはり譲与税的な配分方式を続けていきたい、しかもまた入場譲与税につきましては、基準財政収入額基準財政需要額全額を取り上げてしまうわけではございませんので、制度改正ともにらみ合せて、若干その財源調整機能を強化する程度にとどめておきたい、こう考え方を持っておるわけであります。
  10. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 入場譲与税の成立の過程からいえば、これは地方財源として全部使われるものではない、国と地方共有のものであるという形だったのであろうと思うのですね、ただ徴税率というようなことでは理論的にはなかったと思うのです。それがこういうふうに全額がもう地方のものだということが、ここ一、二年便宜なものであって、地方財政のいかんによってはまた引き上げるのだというようなことも予想せられるのなら、入場譲与税というこの性質はこれは生きているかもしれません。しかしもう全額耕してしまうのだということであれば、何でこういうふうに名目だけ残し、これだけひもにつけてそうして配分しなければならぬか、あなたは人口割で云々と言いましたけれども、一体として交付税交付金の中でも、人口制であるいはその単位費目によっては分けているものもあるのですから、プールしてしまって使う分においては、そう何がこうだ、かにがこうだという縦分けはしないはずなんです。交付税交付金にこれが交付されてしまって、そうしてその中でいろんな配分措置がきめられることと何の違いがあるかということです。私の申し上げるのは理論的に税として筋が立たないのではないか、持ってきたり持っていったり、半額にしたり、今度は全部渡してしまって、あまりに経験がないという考え方でこれはお尋ねしておる。奧野税務部長ともある人が、この際根本的に入場譲与税というものは、もう譲与の仕方は特殊のものがあるけれども、入場税として全部地方のものだということになる場合には、もっと根本的にこれは考え直してしかるべきものじゃないか。あるいはいつの口にかは今度は引き上げるという場合もあるのかないのか。まあその裏返しにして聞けば、将来引き上げるという場合もあるのかないのか、この点を聞いておきたい。
  11. 早川崇

    政府委員早川崇君) 奧野税務部長の言われたことをちょっと補足いたしますが、われわれといたしましては、入場譲与税のような格好の税は、全部国税に引き上げて、交付税にぶち込めという御意見は、国の方には非常に強いのでございます。しかしわれわれといたしましては、大蔵当局のそういう強い意向にもかかわらず、半ばと申しますか、地方自主財源、半分は自主財源の形に理解できまするこの譲与税を残して、人口配分によって財源調整の役もあわせて果すという意味におきまして、将来これを国へ引き上げる、あるいは交付税にぶち込むというようなやり方に対しては、われわれ地方側に立ちまして、あくまで反対いたしていきたい、かように考えております。交付税というものは地方の完全な自主性のない税であります。入場譲与税は、そういう意味では半ば地方税的性格を持った税でございますので、あくまでこれは尊重していきたい、こういう趣旨でございます。
  12. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は入場譲与税交付税交付金の中にぶち込んで予算的な運用をやれということを私の主張として申し上げているのではない。こういう形になるなら、理論的には交付税交付金の中にぶち込んで操作するということが、理論的にはもう一貫性が出てくるのじゃないかということを言っておる。それで、じゃもう一度お尋ねしますが、こういう形式をとるようになれば、遊興飲食税のように、税の捕捉が十分でない、こういうようなものも徴税機構の備わっておる国が一たん取り上げて、そうしてこれも再配分していく、こういうやり方理論的には成り立ってくるわけです。そういうことであったら、あなたはこれは地方財源性格がある、地方税性格があるとは言っておるけれども、そういうことをみんなやっていったら、地方自治というものはどういうことになるか。やはり独自の税源を与えるなら、初めからその課税から徴収から、全部地方に与えるべきなんです。理論的に言えばそれをとるものはとって、そして国が地方に再配分するというなら、全部そういうふうにとったらいいじゃないか。そうして国が適正だと思われる方法配分したらいいじゃないか、こういう理屈になってくるのです。だからこの法案はあまりに便宜的じゃないか。しかもこの点は第一の質問です。便宜主義じゃないかということ、しかも、いやそうでないのだ、地方税性格を持たせるのだ。そうしてこの名称も残り、こういう特殊な入場譲与税というものは必要なんだ。こういうことであるならば、東京大阪等からその財源調整で吸い上げてくるというやり方は、理論的に成り立たんのです。それこそが、かえって東京大阪から攻撃されるんです。あまりに便宜的であるから、だからそういう一貫した地方税体系というものとにらんで、こういう措置が適正であるかどうかということに私は疑問を持つのです。そういう意味でお尋ねしておる。東京大阪税源調整をする根拠は何ですか。ここの表面上説明されているものでなくて、そうやり得る、そういうことをやっていいんだという根拠は何ですか。国税だから自由にくれてやるんだ、自由に使わせてやるんだということで済みますか。
  13. 早川崇

    政府委員早川崇君) お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、この入場譲与税は、県の完全な自主財源にいたしますと、非常に偏在が多い性質のものでございます。同時に、これを全部完全な国税方式にぶち込みますと、これまた自主財源という利点を失うわけでございます。従ってこの入場譲与税は、この両者の財源調整自主財源という二つの中間的な税としてわれわれに残していきたい、かように考えておるのであります。それから東京都その他のあれを全部取り上げるというのは理論に合わないじゃないか、こういう御質問でございますが、そもそも人口によってこれを按分するということ自体が、すでに財源調整の大きい意味を果しておりまするので、われわれは基本的には自治体同士財源調整というよりも、むしろ国地方との税源調整をやろうというのが主体でございまするが、本年度予算におきましては、財源が非常に国においては供出が少なかったわけであります。やむを得ず東京とか大阪とかいうような、いわゆる黒字団体と申しますか、不交付団体と申しまするか、そういった所から、非常に困っておりまする交付団体赤字団体に若干財源調整のお手伝いを願いたい。そこでこの入場譲与税全額の大体二割でございますが、二割分でも東京は十四億幾らになるのでございます。大阪は二億幾らという程度財源調整をお願いしたいと、こういうことになっております。理論と実際の、自治体同士のアンバランスの調整という現実とにらみ合せましてこのような措置をいたしたのでございまして、すでに人口配分という点においては、財源調整の上に、さらに若干そういう考慮をいたした、こういうことになっておりますので、御了承を願いたいと思います。
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、税の偏在している遊興飲食税について、なぜやらぬのですか。なぜこの方式をとらぬのです。
  15. 早川崇

    政府委員早川崇君) 先ほど申し上げましたように、こういう中間的な性格の税は、なるべく実はふやしたくないので、完全な自主財源というものを残していきたい。ただ入場譲与税に関する限りは、まあそういう中間的な、妥協的な性格を持っておりますので、遊興飲食税までそういう財源調整という面に重点を置いて国税に取り上げて入場譲与税のような格好にするということは、われわれとしては現在考えておりませんし、今後もそういうやり方は少し行き過ぎじゃないか、かように考えておるわけであります。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 非常に今の御答弁を聞くと、財源調整のためのこれは税だというふうに聞えてきますが、そもそもの発足は何だったのですか。これは……。
  17. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 小笠原先生、すでに御承知の通りだと思うのでありますけれども、できるだけ後進地域団体に対しまして独立税を与えたいが、そうかと言って、完全な独立税だとどうしても税収入がふえて来ない。他面また入場譲与税のような税金が特定の地域に非常に収入が片寄っている。こういうような問題がございまして、両方を総合して、地方税国税に移し、そのかわり人口按分譲与することによって、今の財源調整的な役割を果す。しかもまた後進地域団体に対しましても比較的自主的な財源を供与して行きたい、こういうような考え方になったわけであります。この点は今、政務次官からもお話がございましたように、従来の地方自治の観念から考えて見ますと、できるだけ避けたいところであります。避けたいところでありますが、後進地域団体に対しましては完全な独立税の形において引当の財源を供与することは困難でありますし、またそれを極度にやろうといたしまする場合には、片寄っている税金のことでありますから、国民租税負担が全体として高くならざるを得ない。やはり租税負担が重い際でありますから、国民租税負担をできるだけ効率的に使いたい。そういうような両方の要請から、やむを得ず譲与税形式を採用することにしたわけであります。従いましてまたそういうような性格のものでもありますので、許される限りは譲与税形式というものは拡張すべきものではなかろう、こういうような考え方もわれわれは、今、政務次官から話しましたように、持っておるわけであります。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは将来、三十二年度ですか、国と地方を通ずる税体系を根本的に改革するという考え政府にあるようですが、実はこの通常国会にそれが出る予定であったはずなんですが、そういう将来の見通しと、この入場譲与税が将来どういうことになって来るかということについてはどういう考えを持っているのですか。
  19. 早川崇

    政府委員早川崇君) 現在のところは、この入場譲与税というものを具体的に税制根本改革の場合にどうするかという結論はむろん得ておりません。ただこの税制根本改革というのは、これはまあ非常にわれわれも考えたいのは、要するに地方自治体と国家が持っておる税源というものが非常に私は偏在しておると、私個人は思っておるのであります。従って今までは、大蔵当局なんか特にそうでありましたが、自分たちの、国の財源を確保するには最もいい税種なり、とりよい税というものをとって、あと地方にちびちび譲って行くというような考え方は、ほんとうの根本的な税制改革の場合には、これは一つ広く有識者に訴えまして根本的な解決をやりたい。私はそう思っておるのでありまして、そういった一つの一環といたしまして、入場譲与税をどう見るかということもあわせて考慮いたしたいと存じまするが、これはすべて総合した関連を持っておりますので、この問題に対して具体的にどうするのだという結論はまだ得ておりません。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 具体的にはどうするのか御言明できないにしても、自治庁当局として、地方税のあり方がこうあってほしいという日ごろの考え方があるわけなんです。それに照らして見れば、この入場譲与税というものは、この形式新税法でもやはり主張したいというお考えなのか、あるいは地方固有税種として地方に戻して行くというのか、この点はっきりしてもらわなければ、これは本年一年限りのものになる、あるいは将来こういうものは永続されて、地方財政再建の計画の中に、これは大体収入見込みを前年の割でやりますから、大体そろばんをはじけば、自分の県の収入はわかるんですから、そういう見通しを持つ上から言っても、この点をある程度はっきりしてもらいたい。財政再建という五カ年なり、六カ年の見通しの上に立って、やはり考えられる税種なんですから……。
  21. 早川崇

    政府委員早川崇君) 私は、入場譲与税というものは、地方自治体としてはこれは絶対離せない税源だと思います。従って入場譲与税というものは、もしこれにかわるよりよき一つ税源が、もし見つかれば別でございますが、現在は入場譲与税というものを国税の方にぶち込むと、完全な地方自主性をなくするというような方向にはあくまで反対して行きたいと、かように考えております。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃあ入場譲与税形式で、この改正法案のような趣旨で行きたいということですか。
  23. 早川崇

    政府委員早川崇君) よりよきかわりの税源、あるいは方法がございますれば検討いたしまするが、もしそういうものが見つからなければ、再検討という場合においても、この線で行きたいと、こういう意味でございます。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで全額地方に渡すという点は動かないと大体了承しますが、不交付団体からある種の調整金を吸い上げる、そうして再配分すると、こういう行き方はある場合にはなくもなり、ある場合には残るんだ。変動があるということですが、これも動かない。理論的にはこういうものが出てきたら常にこういうやり方でやるんだということですか……。ということは、その前にこれは反対の場合ですが、義務教育費などについても、理論的には不交付団体にもやらなくちゃならぬ、それで渡す。それをそうであっては地方財政全体として困る。吸い上げなくちゃならぬというような場合に、国会では非常に大きな問題になった。そういうことで、いつでもこの国会がゆさぶられる、そういうものはうまくないんですね。われわれとしては迷惑だ。そのときどきの都合で、そのときの政府与党の便宜的な考え方で操作されることは困るんです。この点はどうなんですか。
  25. 早川崇

    政府委員早川崇君) その点は小笠原先生の御趣旨に私も同感でございまして、本体は人口配分という明確な方法で行くということがあれでございまして、従ってもし財源調整というものが、自治体間に必要がないという事態が参りましたら、むろんこういった黒字額の二割をどうこうというようなことは、この法律自体としてもすっきりいたしませんので、むろんないようにわれわれは考えたいと、かように思っております。
  26. 森下政一

    森下政一君 先刻小笠原君の質疑しましたことに関連しますが、この入場譲与税というものが、地方財政財源調整形式で、これが入場譲与税というものになってきましたが、その点から行くと、私は早川政務次官は、ちょっと行き過ぎだと考えると言われたけれども、遊興飲食税のごときは、より以上に地方財政財源調整方式としてふさわしいところの税金じゃないかと、税種じゃないかということをむしろ考えるのです。だから入場税だけを国税として取り上げて、そうしてその大部分地方人口に按分して返すということに改めた際に、入場税だけにして遊興飲食税を置き去りにしたということは片手落ちのことであって、むしろ同時にこれを同様の扱いをすべきでなかったかということを考える。たとえば、東京都で飲み食いをする、大阪飲み食いをするということは、大阪府民だけじゃない、東京部民だけじゃない。むしろ私は近接の各府県、あるいは東京のごときは全国的に、全国から集まってくる者が飲み食いする。それを納めるところの遊興飲食税というものは、東京都民の払うものよりはより以上にパーセンテージは多いのじゃないかという点から考えると、私は地方財政調整方式を目途とするならば、この方がむしろふさわしい税種じゃないかと思うのですが、ぜひそうあるべきじゃないかと思う。もし私の記憶が間違いでなければ、地方制度調査会の二十八年度の答申のときには、そういう意味のことを答申しておりはせぬかと思うのですが、時の政府はそういうことがないでもなかったけれども、料理屋のおかみさんとか、お茶屋のおかみさんというのが与党の幹部を包囲攻撃して、そういうことのないように陳情したということがとうとう実を結んで遊興飲食税を置き去りにされた、入場税だけが国税に移されたというふうに私は記憶する。ですからその点からいくと、これは私は早川政務次官の言われる遊興飲食税までもそういう考え方で扱うということは行き過ぎじゃないかと思うとおっしゃられるけれども、それは私は逆じゃないかと思うのですが、いかかでしょう。
  27. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 入場税遊興飲食税両方国税に移管して、譲与税形式地方公共団体譲与したらどうだろうかという地方制度調査会の答申のあったことは市出火でございます。この問題をめぐりまして賛否両論ございましたし、また入場税遊興飲食税のどちらかを譲与税形式にする場合にも、どちらをした方がよろしいかということにつきましても、いろいろ議論はあろうかと思うのであります。ただ御承知のように入場税の場合よりも遊興飲食税の場合の方が、確かに徴収義務者となる人の数が非常に多い。その点からいいますと、やはり民主的な運営といいましょうか、あるいは地方自治行政に対する批判といいましょうか、そのからいえば地方税に置いておいた方がいいのじゃないかと思うのであります。もちろんこれは見方によりましてどちらともいえるのでありまして、まあどちらか一つにするという場合には、税務行政の見地からいいますと、入場税の方がはるかによいと思います。そういう意味から申しますと、地方公共団体入場税を残しておいた方がいいという意見があったと思います。しかし反対があって、特に遊興飲食税の業者からの反対が熾烈であったということは、逆にまた遊興飲食税の関係業者というものが、非常にまあ数が多くて、地方行政のあり方に対しては相当な発言力も持っている、またそれに対する批判力も持っている、こういうことにもなるのじゃなかろうかと思うのでありまして、まあ見方の問題ではなかろうかと思うのでありますが、最小限度にとどめるという意味でなくて、入場税だけが移管されたわけであります。将来やはりこういう形式というものはあまりやっていきたくない、そういう意味政務次官遊興飲食税まで渡していくということは行き過ぎではなかろうか、さように考えて、そうお答えになったと思うのであります。
  28. 森下政一

    森下政一君 どうも今の答弁では、税務行政の難場からいえば、これは言うまでもなくそんなことはだれに開くまでもなく入場税の方が取りやすい、楽だということはよくわかるのですが、だからといって理屈の上では、財源調整の役割を果さしめるためには税種としては私は遊興飲食税の方がむしろ妥当なんじゃないかということを考えるのです。税務行政の難場を中心にしてものを判断してきめていくというのは私は妥当じゃないと思う。これはもう幾ら議論してもしようがないことですから、私ははなはだ片手落ちなことをしておられる、こう思うのです。むしろそれなら私は入場税地方税として還元したらいい、こう思うのです。  それはさておいて、今度地方財政調整というもので地方財政の赤字対策というものについて政府は非常に苦慮された。結局入場譲与税の一部改正が出てきたわけですが、これが出る前にうわさされるところによると、たとえば法人事業税を取り上げるとか、あるいは大都市の法人税割を取り上げるとかいろいろなことがうわさされたですね。あれは一体反対が非常に多くてさたやみになりましたけれども、政府の一応考えておった構想というのはどういうことを考えておったのですか。そうして一体どれぐらいの金を国に取り上げようとしておったか、それを聞きたいのです。
  29. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 政府の中でも自治庁の考えておりました点と大蔵省の考えておりました点との間には大きな違いがございまして、従いまして政府として統一した考え方がまとまる段階に至らなかったわけでございます。そうして結局この入場譲与税法改正でいこう、こういうことに結論的にはまとまったわけでございます。大蔵省の考えておりました考え方は、法人事業税の標準税率一二%でありましたが、この四%分を地方交付税の中にぶち込んでしまう。それから法人税割の半分を国税に移しましてそうして同等額をたばこ消費税で補てんしていく、こういう考え方でございます。正確な数字は記憶しておりませんが、初年度でその結果いわゆる不交付団体から八十数億円の財源をとることになります。平年度で百五十億円の財源をとることになるわけであります。自治庁の事務当局で考えておりました点は、法人事業税の四%分を国税に移しまして同等額をたばこ消費税で補てんしていく、それから市町村民税の法人税割を半分程度府県法人税割に移しまして、その半面、府県の方からたばこ消費税を市町村に譲与していく、こういう考え方でありまして、初年度二十数億、平年度四十数億をいわゆる不交付団体から持ってくるということになって参ったわけでございます。
  30. 森下政一

    森下政一君 その考え方はこの年度ではさたやみになった。反対が非常に強くて結局これは政府与党が動いたのだと思う。大蔵省案と自治庁案との両方の妥協もできず、政府の意見がまとまっていないところに、この話を聞くやいち早く大府県、大部市あたりが反対陳情したということが実って結局さたやみになったと思うが、これはことしさたやみになっただけか、また来年こういう考え方が起ってくるわけですか。政府の態度はどうなんですか。もうやめですか。
  31. 早川崇

    政府委員早川崇君) この問題は実は先ほども私が申し上げましたように、自治体同士財源調整というものは私は好ましくないという基本的な考えを持っております。ただ緊迫した赤字状態の地方白流体が出ましたので、国の方の財源手当が十分にいかぬものですから、やむを得ず最小限度の財源調整をやったという消極的な立場でわれわれは考えておるわけであります。  ただそこで大蔵省と見解が若干違いますのは、大蔵省は積極的に財源調整をやりたい。言葉をかえて言えば、国の方の財源をできるだけ節約するために、地方を貧乏の平等という、極端な表現をするならば、そういうような国の財政中心の考え方で積極的にこれを推進したいという意図がございました。そこで自治庁と大蔵省とこの問題に対しては立場が逆の立場からやっておりますので、われわれは事業税というような大きな税を財源調整にその三分の一ないし四分の一というふうなものを使うということ自体に対しては、原則上賛成はしておらないのであります。従って財源調整の問題は、基本的な来年度の税源調整の場合においても、われわれあくまで国が現在持っている税源地方自治体全体の税源とをいかに調整するかということを基本においてこの問題は考えたい。自治体同士の悪平等という意味財源調整として事業税とかいろいろなものを使うということは原則としてはこれを阻止する方向に行きたいと思う。ただ今年度は先ほど申したことを繰り返しますが、どうしてもそれが赤字団体の利便をやむを得ざるものとしてわれわれはここに入場譲与税というものの最小限度に財源調整をいたした次第であります。そういうアイデアでおりまするので、御了承願いたいと思います。ただし、税制根本改革というものがどういう姿でいくかということは予測できませんので、これは一つ原則論ということで御了承願いたいと思います。
  32. 森下政一

    森下政一君 ただいまの御答弁では、将来どうなるかということについて安心感を持つわけにはいかぬのですが、しかし税制改正がどうなるかわからぬと言われたので、これは今あなたにどんな言明をしてもらってもどうにもならぬことだと思うが、自治体相互の間における財源調整なんということはやめていきたいという御方針なら、それは自治庁としては堅持するというような努力をしてもらいたいと思う。  それからもう一つ私が伺いたいのは、この入場譲与税というものを——譲与税というものは初め国に取り上げる、そしてこれを地方財政調整のために配分するために、一割は残して九割ということであったのですが、その一割残したという一割というのはどういう意味だったのですか。初めから全額譲与税にせずに、そして初めから全額財政調整の役には立たせずに一割残したというのは一体どういうわけなんですか。
  33. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 全額地方団体譲与してしまいますと、国としては幾ら努力いたしましても、自分のふところの財源にはなって来ないわけでありまして、その結果国税当局者が意識すると意識しないとにかかわらず、入場税の税務行政につきまして幾らかでも怠りがちな格好になっては困る。従ってまた、その一部でも国の財源にしておいた方がこの税務行政の運営が円滑にいくんじゃないか、相当に力を入れてもらうことが保障されることになるのじゃないか、こういう考え方があったわけでございます。そういう意味で、たしか地方制度調査会の答申は八割を地方譲与すると、こういうことになっておったんじゃないかと思いますが、そういう意見もございました。最終的に一割になったわけでありますが、しかし運営してみた結果そういう懸念はいささかもないし、地方財政の状況は非常に苦しいことでもございますので、全額譲与することが本則になり今回改正しようということになっております。
  34. 森下政一

    森下政一君 そうすると、結局何もうま味がなくても国の方は一生懸命やってくれる、こういうことがはっきりしてきたというわけですね。大蔵省は非常に忠実な税務吏員が多いということがはっきり出てきたわけですか。
  35. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 税務行政の結果から見て参りますと、どういうところに使われるかということでその努力に差異が設けられるということはない、かようなことがわかって参ったということでございます。
  36. 森下政一

    森下政一君 もう一つ伺いたいのですが、東京都の基準財政需要額収入がオーバーしている。それから大阪府、神奈川県、それぞれどれだけの額なんですか。
  37. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 昭和三十年度分の計算で申し上げまして、東京都の場合には府県分と市町村分とを合算いたしまして差し引きをいたしております。その結果、東京都の超過額が九十七億三千八百万円、大阪府の超過額が十八億九千百万円であります。ところが、大阪府の場合には大阪市から移譲を受けました警察費の負担は、昭和三十年度分においては七月以降でありますから九カ月分であります。昭和三十一年度分は全額負担になりますので、基準財政需要額は当然警察費相当分の加算をいたさなければならない。これを加算して再計算いたしますと十一億六千七百万円ということになります。神奈川県の方は三億九千七百万円でありますが、警察費につきましては横浜市から引き継いでいきます部分が三カ月分ふえますので、これを計算に入れますと八千百万円が超過している、こういうことになるわけであります。
  38. 森下政一

    森下政一君 富裕府県だといわれている不交付団体ですね、その不交付団体である県あるいは大都市というものの言い分が、すでに御承知の通り交付税の不交付団体だからして決して余裕があるわけじゃないのだ。結局それは地方交付税のいわゆる財政需要の算定方式というものに言い分がある。それらの団体側からいえば言い分がある。すなわち、それぞれのこれらの団体のもっている特殊な事情による必要経費というものが財政需要としての算入の中に加えられていない。大都市の場合も同様であって、大都市の実態とかけ離れたような計算の仕方がしてあるために、いかにも財源に余裕があるような工合に言われているけれども、実はさような余裕というものはないのだ。むしろ非常な困難をそれがために味わいつつあるのだ。これは私は過日東京都をたずねたときにも、東京都の当局がその点についてもっと具体的な資料をわれわれに示して、ほんとうに富裕団体といわれているけれども、財政的にはむしろ困難が多いのだというような陳情がありそうなものに思ったのですが、私どもが相当引き出そうと思ってしゃべったり、水を向けてみたけれども、案外ぴんとくるような説明がなかったというので、むしろこちらの方がびっくりしたような工合であったのですが、自治庁はどう考えておられるのですか。やはり富裕団体といわれているものの言いますところの基準財政需要額の算定方式というものに実態とかけ離れたところがある、そこに無理があるのだという言い分は、これは妥当だとお考えになりませんか。
  39. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 地方交付税計算に当りまして、基準財政需要額というものを測定するわけでありますが、この基準財政需要額をどのように測定するのが法の趣旨であるか、これに私は根本の問題があろうかと思うのであります。要するに生活保護費を与えます場合に、各人の最低生活費というものを計算するわけでありますが、最低生活費的な考え方でいくのか、あるいはそれぞれの身分に応じて生活費に差等を設けていくのか、こういう考え方があろうかと思うのでありますが、やはり基準的な、行政を行うためには最小限度どれくらい要るだろうか、こういう考え方基準になるのじゃないか。実態に合わないのじゃないかという批判よりも、基準財政収入額基準財政需要額をこえているから、すぐにそれだけで結論として富裕だという言い方をする方が私は間違っているのじゃないか、こういう法の建前についての考え方を持っておるわけであります。しかし将来基準財政需要額をどういうふうに計算していくかということにつきましては、いろいろ考え方はあろうかと思います。ただ私は現在の地方交付税法の基本的な考え方は、やはり基準的な行政を行うために財政需要がどれくらい要るか、それを保障すればいいのであって、それ以上はそれぞれの団体が税財源程度に応じていろいろ自治運営をやっていけばよろしいのじゃないか、こういうふうに考えておるのでございます。  第二に、基準財政需要額を測定いたします場合に、投資的な経費につきましては償却費の計算で財政需要額を見ているわけであります。東京都のような場合には大きな戦災を受けまして、復興していかなきゃならないものが非常に多いわけであります。学校一つを取り上げましてもほとんど全部焼かれてしまったのを建て直して、しかも人口はどんどんどんどんふえていく、これに今直ちに必要とする財政需要額というものをそのまま基準財政需要額に入れていくという考え方じゃなしに、児童数に応じまして、毎年々々の何でいけばどれくらい金が要るかという考え方基準財政需要額というものをはじいているわけであります。  しかもまた第三には、今の建前からできる限り健全財政を堅持さしていきたい。大きな団体であればできる限り、国が借金しませんと同じように借金させないで、そういうような税財源でまかなっていかなければならないような府県であれば、できるだけ借金させないで、一般財源でまかなっていきたい、こういう考え方をとっておるわけでありますので、現実需要基準財政、需要額と比べてみました場合には、制度的にもかなり大きな食い違いが出てくるのが当りまえじゃないかと、こう思っておるわけであります。大体におきまして富裕だといわれておるような団体、こういう団体が大きな戦災を受けているのであります。逆にまた人口がだんだん増加してきておるのでございます。そういう団体におきまして二部教授なんかやっている数字は非常に大きいようであります。その辺にいろいろな問題があるのではないかと思っております。
  40. 森下政一

    森下政一君 もちろん、実態がこうだからというので、直ちにそれだけのものが基準需要でいかなければならぬと、そんなことなら、非常に放漫なことをやらしておけば、それが富裕団体の実態であると、何でもかんでも基準財政需要として取り上げていかなきゃならぬということでは、これはどうもつじつまが合わぬことになる、おっしゃる通りなんです。これは当然そうだと私は思う。だけれども、たとえば都市の場合に、人口十万ぐらいの標準の財政というものを基準にして、それで画一的に大都市の基準財政需要額というものを算定するということ自体は私は無理だと思うのです。これは、この大都市の特殊性というものを考慮の中へ入れていないということになると思う。そういう点は、だから一方的に自治庁の言っておることだけが正しいというわけに私はいかぬと思う。財政的にかなり現実には悩みがあると思われるところの富裕府県というものが、こういうふうに財源調整の名のもとに、せっかく人口に按分して与えておるものをまたその名目をもとにして取り消されてしまう。東京都のごときはたまたま入場譲与税全額に該当するということになるのであるから一文ももらわぬということになる。やらずぶったくるという結果になってしまうということで、私は自治庁としても考え直さなければならないと思う。これ以上議論しても水かけ論になりますからやめますが、私の言うておることも必ずしも無理じゃないと思う。地方財政の非常な赤字のときに、困っておる者が多いときに、地方税のためにどれくらいになるかしれませんが、総額から言えば当初大蔵省が、あるいは自治庁が計画しておった本年度の計画は破れて、結局最後にはここに落ちついたんだと思う。その点からいうと、金額からいけばはるかに期待にそむくことになったと思う、まあ地方財政の赤字の多いときだからやむを得ないと思いますが、将来考え直してもらいたいということを希望意見として強く申し上げておきまして私の質問を終ります。
  41. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 他に御発言がなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  なお本案に対する討論、採決は後刻行うことにいたします。     —————————————
  43. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に地方公務員法等の一部を改正する法律案を議題に供します。  本案は、去る三月八日に質疑を終局しておりますので、これより討論、採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお付帯決議案等がありましたら討論中に御提出を願います。
  45. 加瀬完

    ○加瀬完君 私はただいまの案件に対しまして、社会党を代表いたしまして反対の意を表します。以下理由を申し述べます。  このたびの地方公務員法の一部改正の大体の主要点は、公平委員会の廃止、それに加えまして停年制度、あるいは待命制度等が一番の間極点であろうと思います。  反対の第一点は、停年制についての政府の御説明を承わりますと、これは新陳代謝と地方財政の合理化を目的といたしておる、こういうのでございますが、政府の資料によりますると、国家公務員と地方公務員との高年令者の構成比等を比較いたしましても、新陳代謝の必要が、地方公務員は国家公務員に比べましてはなはだしく必要であるという判断は出て参らないように思われるのでございます。しかも国家公務員の一般行政職には、このたび提案されましたような停年制というものはございませんので、新陳代謝を必要とする理論的な根拠というものが非常に薄弱だと思うのでございます。  反対の第二点は、停年制の一つの別の性格といたしまして、停年まではその生活が、あるいはその勤務条件が保障されるという目的があるのでございますが、このたびの政府提案の停年制には、停年制をしく基準も、あるいはしかれる基準というものも明瞭ではございませんで、一方年令的にその生活を保障するという条件はもちろん少しも引き出されておりません。しかも地方団体の現状を見ますと、ことに教職員のごときに至りましては、女子などは四十五才、あるいは四十八才という年令をもって勧奨退職がひんぴんとして行われております。しかも国はこれらを別に許容しておるような態度でございまして、勢い指示もあるいは指導もいたしておりません。このような地方事情というものが見過ごされるといたしますと、しかれる停年制というものはますます年令が若い方に傾きますし、あるいは退職年金制度との関連を考慮すると言いましても、こういうふうな具体的な考慮というものが全然怠られるというふうなことになろうと思うのでございます。  反対の第三点は、地方財政の合理化をするのであると、こう言われるのでございますが、それならば停年該当者を何人と見込んで、これによる節減額はどれくらい見込まれるのか、こういった財政的な合理化の数字を示されたいという質問が何回も繰り返されたわけでありますが、これに対する政府の御答弁は一度も明確なものはございません。こういうふうな具体的な節減方式、あるいは節減額というものももちませんで、それぞれ地方にまかせますというと、そうでなくても地方財政の赤字に悩んでおります地方団体にとりましては、停年制なり、あるいは待命制というものによりまして、地方財政の合理化のために不当な停年制、不当な待命制というものがひん発するということもおそれられるわけであります。  反対の第四は、昨年度以来地方財政の赤字が問題になりまして、政府の指導方針などを見ましても地方財政の再建法というものが打ち出されまするし、あるいはこれに対するところの再建計画策定などの具体的な要領といったようなものも指示されております。あるいはまた三十一年度財政計画を見ますると、機構の縮小、停年制、給与費の合理化、負担金制度の改革といったようなことが強く上げられまして、そうしていかにして給与費を切り下げて地方財政の合理化をはかるかということに指導の中心が置かれておるように思われるのでございます。こういう方法が、ここに地方公務員法の一部改正によって打ち出されました、停年制あるいは待命制度というものとからみ合いますときには、改正法の第二条三項の「職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員」については、その職員の意に反して待命を命ずることができる。こういったような待命制度等がもう数多く適用されるというふうな傾向を生むと思うのでございます。しかも先ほども申し述べたのではありますが、保護制度と申しますか、保障制度というものが全然打ち出されておらないということになりますると、今まで地方公務員といたしまして地方行財政に貢献をいたしました人人の犠牲によりまして、問題の地方の赤字を解消していくということが強く打ち出される形になりますので、これはどう考えましても適当な方法であるというふうには考えられないのでございます。  さらに終りに反対の点で強調いたしたいと思いますのは、停年制あるいは待命制というものが極端に使われて参りますると、いかなる職種に対象が向けられるかという点であります。当面の問題が人件費の制約あるいは給与費の合理化ということになりますと、人件費なり給与費なりの一番の幅をとっておりまする義務教育職員というものに対象が向けられてくると思われるのであります。実員実額主義というものを一応自治庁は堅持をいたしておりまするが、昨年の財政計画と本年の財政計画を比較いたしますると、実員実額といっておりましても三十年度の計画定員よりは三十一年度の計画定員は減少をいたしております。この方向は大蔵省が前々から主張をいたしておりまする定員定額の方向に移行をしておるということもいえると思うのであります。で、停年制なり待命制なりというものが、定員定額の方向を実現するために方法として使われて参りますときには、国民の最低の権利でありまするひとしく教育を受けるという権利までもある程度の制約を受けざるを得ないという形になると思うのであります。自治庁は再建整備法などにおきましても、最小必要限度の行政措置は確保すると言っておりますけれども、少くも義務教育におきましては、最小必要限度を割るような行政措置が停年あるいは待命という制度の強行によって、具体的には個々の自治団体が行わざるを得ないということになりかねないと思うのでございます。  以上の理由からいたしましてただいま問題になりました地方公務員法の一部改正につきまして反対をいたし、ます。
  46. 小林武治

    小林武治君 私は本法案に賛成するものであります。しこうしてこの法案の中の停年制につきましては、職員の身分に重大な影響を及ぼすことでありまするので、これが実施に当っては特に慎重を期してほしいと、こういう趣旨からいたしましてこの法案に付帯決議を付したいと存じます。付帯決議案を朗読いたします。    附帯決議案   停年制の実施に当っては左記事項につき政府は格別の考慮を払うべきである。   一、教職員については、その特殊性にかんがみ、停年制の急激な影響を避けるため予め特別の考慮を加え、本制度の実施により教育を阻害することなきよう努めること。   二、条例の実施については相当の猶予期間を置くこと。   三、海外引揚者又は長期にわたり兵役に服した者又は他の者をもって代うべからざる知識技能を有する者等については、これが適用につき相当の斟酌を加えること。   四、停年者には過渡的に待命制度等を考慮すること。   五、単純労務に従事する者については停年年令につき特別の斟酌をすること。  右決議する。  以上の付帯決議を付して本法案に賛成するものであります。
  47. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  48. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を起して。
  49. 早川崇

    政府委員早川崇君) 地方公務員法等の一部を改正する法律案の附則第四項の第四行、すなわち「第五十一条の二第二項の規定の適用」の「第二項」というのを、「第一項の規定の適用に」と二を一にここで御訂正願いたいと思います。
  50. 加瀬完

    ○加瀬完君 何ページですか。
  51. 早川崇

    政府委員早川崇君) 地方公務員法等の一部を改正する法律案の八ページ、附則第四の四行目に「第五十一条の二第二項」という第二項は第一項の誤りで、手続はいたしているのですが、まだ……。
  52. 加瀬完

    ○加瀬完君 第二項を第一項に改めるのですね。
  53. 早川崇

    政府委員早川崇君) そうです。以上を御訂正申し上げます。
  54. 松岡平市

    委員長松岡平市君) これはすでに政府から議長のもとに訂正の申し出があっておりましたが、印刷物がお手元に配付されておりませんので、この機会に特に委員各位の御注意を促しておきます。速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  55. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を始めて。
  56. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 私は本案に対しまして、現在の地方制度の運営の状況または地方財政の状況等から考えまして賛成いたすものであります。ただ停年制の実施に当りましては、小林委員から付帯決議が付されましたが、なお老婆心から申し上げますならば、この停年制の実施によりまして若朽の者が安定してしまうというようなことがあっては、五十五才なら五十五才という停年ができたというので、五十五才まではほとんど安定してしまって、若朽の者がどうにもならないというような事態に至らないように、運営上指導に御注意願いたいということであります。この点はさらに小林委員の付帯決議に付するというほどのことでもありませんが、運営指導上政府の御注意を要望しておきます。(「そんな指導をする権限はないぞ」と呼ぶ者あり)  以上をもって本案に賛成いたします。
  57. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ほかに御発言ございませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御発言なければ討論は終局したものと認めてこれより採決に入ります。  地方公務員法等の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  59. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に討論中小林君より提出されました付帯決議案を議題といたします。小林君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  60. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 多数と認めます。よって小林君提出の付帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他事後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     伊能 芳雄  石村 幸作     小幡 治和  榊原  亨     佐野  廣  田中 啓一     堀  末治  安井  謙     小林 武治  館  哲二
  62. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御署名漏れはございませんか……。御署名漏れはないと認めます。     —————————————
  63. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に公職選挙法の一部を改正する法律案(第二十三回国会参第一号、衆議院修正送付)及び国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案の二案を便宜一括して議題に供します。
  64. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  65. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を起して。両案につきましては、前回の委員会におきましてすでに質疑は終局しておりますので、これより両案について討論に入ることに御異議ございませんか。ちょっと速記とめて下さい。   〔速記中止〕
  66. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を始めて下さい。討論に入ります前に一寸申上げますが、前回の委員会におきまして、各党この案をどう扱うかということについては、それぞれ党の意見をまとめて、本日討論あるいは採決に入る前に協議し合うということにいたしておりますので、一応速記をとどめて各党の態度を表明して御協議を願うことにいたします。  速記をとめて下さい。    午後零時四十分速記中止      —————・—————    午後一時三十六分速記開始
  67. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を始めて。暫時休憩いたします。    午後一時三十七分休憩      —————・—————    午後三時十五分開会
  68. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 午前に引き続き委員会を再会いたします。  午前中質疑を終局いたしております入場譲与税法の一部を改正する法律案を議題に供します。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——特に御発言なければ討論は終局したものと認めてこれより採決に入ります。  入場譲与税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  69. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続等につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  それから報告書に多数意見者の署名を付することになっておりますから、全員順次御署名を願います。   多数意見者署名     田中 啓一  小幡 治和     榊原  亨  館  哲二     安井  謙  加瀬  完    小笠原二三男  石村 幸作     伊能 芳雄  佐野  廣     小林 武治  中山 福藏     堀  末治  若木 勝藏     森下 政一
  71. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御署名漏れはございませんか。——御署名漏れはないと認めます。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  72. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を起して下さい。  議題を提出する前に、私自治庁御当局にお聞きしたい。午前の委員会において、午後は正二時半に委員会を再開するということを、懇談ではありましたが申し上げておきました。委員はごらんの通り全員そろって、三時十分前から待っております。午前の委員会におきましても、私は金曜日の委員会において予告をしてあるにもかかわらず、政府当局が御出席しなかったために、質疑応答を、委員が全部そろっておるにかかわらず、やらなかった。そういうことでは困るということを私午前の、会議開始前にここで御注意を申し上げた。政府はこういう事態についての御所見はどうであるか、お聞きしたい。どれくらいこの問題が委員会において論議されておったかということ、その内容もよく御承知である。全委員が非常な憤激を持っておられる。政務次官の御所見を承わりたい。
  73. 早川崇

    政府委員早川崇君) まことに申しわけございません。委員会がこれは衆議院でも錯綜しておりまして、政府委員室に連絡を依頼しておったのでありますが、十分連絡がつきませんでして、この前も金曜日ちょうど私参りましたら散会しておりまして、その点は政府側の重々の手落ちでございまして、この機会に深甚なるお詫びを申し上げます。
  74. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 政府御当局が職務御多忙であることはわれわれも了承しております。しかし当委員会がどういう議案がどういう審議の過程にあるかということは、よく政府は御承知であります。もし二時半に御出席困難であるような事情が突発したとかりにいたしますれば、その旨適当に委員長なりあるいは委員部なり調査室なりあなたの方で連絡をなさる道は幾らでも講じ得られると思う。何らの処置も講じないままに委員全部をここでこの長い時間待たして、そうして審議が御承知のような大へん重大な過程に入っておる、そういう際に、何らの連絡をせずに待たしておられるというがごときことは、当委員会の運営上はなはだ迷惑であります。自今、委員会については、政府はもっと連絡を密にせられて、のみならず委員会の出席については十分なる御注意をお払い願うように、この機会に強く注意いたしておきます。     —————————————
  75. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 午前に引き続きまず公職選挙法の一郎を改正する法律案(第二十三回国会参第一号、衆議院送付)を議題に供します。  本案につきましては、午前中速記をとどめて懇談をいたしました。いかが取り計らいますか。委員会の御決定に従って結論をつけたいと思います。本案につきましては、討論に入ることの宣言まで御異議なく済んでおります。
  76. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 前回の場合質疑を打ち切っております。今この段階に至っては、討論採決によって可否を決定するよりほかには扱う方法はない、こう考えます。
  77. 松岡平市

    ○要員長(松岡平市君) そこではこれより討論に入って採決をすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めます。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  79. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ただいま議題になっております公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院送付案に、日本社会党は反対いたします。理由は大きく二つに分けて申し上げます。  一つは、これが議員立法になり、また審議の経過等からして、日本社会党としてはこういう結果に立ち至ったことに対して不本意という点で反対するのであります。このことは午前の委員会でも申し上げたのでありますが、これは前々回の国会におきまして不肖私当委員会委員長をしております際に、自由党、民主党、緑風会三派の共同提案として公職選挙法の一部を改正する法律案が提出せられ、継続審査となって審議すべき筋合いにあったのであります。ところが当時重要法案が他に山積し、またこの原案の内容とするところが著しく各会派間において意見の相違を見ておったのであります。従って委員会の審議の進行の都合上、まとまり得るものならば各会派一本の形でこの公職選挙法をまとめ上げ、来たるべき参議院選挙における投票並びにルールを全体としてきめて、フェアーで一つ選挙をとり行うのが至当であろうということで、委員長としまして各会派代表の委員諸君にいろいろその間の事情説明申し上げて御同調を願ったのでありますが、全会派異議なく御同調願えましたので、個々の条文についてそれぞれの忌憚のない会派の意見を出していただいて、最終的には九分九厘のまとまりを円満裏に得たのであります。そして最後に残ったものが、問題になっております政党並びに政治団体の活動に関する規制の条項であったのでありまするが、これは原案としては、現行法の政党並びに政治団体が自由な活動をなし得る点を規制し、一政党のみにこれをとどめるという極端なる制限規定であったのであります。従って一方社会党の立場としては、今日の現行法のよってきておる主権在民の憲法の立場からこの民主政治の基礎である選挙においてそういう制限——団体を規制することは、選挙の公正を著しく阻害するものとして、もとより反対しておったものでありますので、この点については幾多の対立を繰り返しておった問題であります。しかし最後のまとまりを得る段階で、この部分がそれをなし得ないからということで御破算にして、そうして自民、緑三派共同提案のこの強硬な改正案を原案として審議する場合においては、その審議を渋滞し、他の法律案の審議に影響を及ぼすことは、火を見るよりも明らかであって、この点は全会派ひとしく認め合っておったところであります。従って私としましては、一種の妥協案をここに提案いたしまして、各会派の御了承を得たいということでお話し申し上げたら、会派に諮ってということであって、その返事がそれぞれ全会派とも異議がないという決定を得たのであります。ただしかし、私は委員長であった建前上、参議院において全会派が異議がないとしましても、少くとも委員長発議として本会議に直ちに提案して、満場一致の御賛成を得るということは、その前提としてやはり衆議院側においても、これが同調を非公式にも願っておいてスムーズにこの法律案の通過ということを期待するということが私の一つのやっぱり義務でもあると考えまして、その点は各会派に再三お願いをして、衆議院に会派を持つ委員の間においては、会派の党議決定を得て、衆議院においてもかりにこれが通過して参ります際に、異議がないというように取り扱ってもらって、応諾を得られることを要請したのであります。それがない限りは、委員長発議を軽々にすることはできないということで、口を幾日か過ごしたのであります。しかるところ各会派の理事におきましては、衆議院とも話し合って異議がないということになったという公式の御報告を委員長としていただきましたので、社会党本来の立場に立つ、また社会党に属する私としましては、幾多不本意な点はありますけれども、これがやはり参議院の運営の上に、また来たるべき選挙を公正にフェアにとり行うということのために、全会一致で法律案が通過するということが最も望ましいことであると考えまして、委員長の立場として参議院本会議に提案申し上げ、これが通過いたしまして、衆議院に送付されたのであります。衆議院の事情によりまして臨時国会に継続審査になっておりましたものが流れ去りまして、その後この案は、また再び参議院各会派の同意を得てどうしてもこのまま成立を期待したいということで、現在の松岡委員長がやはり全会一致の同意を得て委員長発議としてこれを参議院を通過せしめたものと思う。これが衆議院に回って、そしてわれわれが非常に苦労し、非常に各会派として話し合いを進めて一致点を見出しましたこの選挙法の最も眼目となっておった政党並びに政治団体の規制の条項だけは、参議院の妥協をせられました案を一切放擲して、自、民、緑風三派の先に提案しておりました通りに、一切の政治団体の活動を禁止する規定となって衆議院から送付せられたというのが現行の修正案であります。私はこういう審議の過程を通しまして反省してみますと、少くとも参議院の各会派が全会一致をもって二度もこれを議員発議することに同意せられ、そしてしかも参議院の地方行政委員会を主宰する委員長が参議院の役員として本会議に提案して、二度も満場一致の議決を得たものであります。それが衆議院において異なる議決がなされて、参議院に送付せられてきました。院と院とが自由にして独立した審議権を持ち、こういう結果になる形式には私は何ら異論は申し上げないのであります。しかし内面的に政党政治としてそれぞれの会派に所属する者として、当時は自由党、民主党はばらばらでありましたが、各両党とも党としてこの参議院の議決を了承しておったのでありまして、今日自由民主党になったからといって、それで異なる態度を打ち出さなければならない何らの党内の事情もなければ、客観的な選挙情勢もないのであります。われわれはこの案に妥協したのは、もとの二派の提案したことで規制するということが、現行法におけるいろいろな欠陥を排除するという主張でありましたが、これが欠陥であるかないかについては、議論のあるところでもある。しかしまた段階的にそれならば一応の意向はいれて、一つ暫定的な選挙をやってみて、その批判に待ってまた規制すべき点があるならば規制し、緩和すべき点があるならば緩和すべきものとして民主的な暫定的な手続をとろうとしてこういう案になったのでありまするから、そのことを認め合った会派において、その後の客観情勢として異なる態度を打ち出さなければならない何らの理由はないと私は考えるのであります。で、私の考えといたしましては、衆議院が修正したものであるから、参議院は事態ここまで至った以上、これを承認しなければならないという考え方が一部に、いな、だいぶの会派におありのようであります。しかし私は衆議院、参議院がおのおの独立した院として法律案審議をしています場合に、異なる議決が行われ、そしてあくまでもそれが固執されるという場合もあり得ると考えます。しかも参議院としては一度院議をもって決したものが、そしてしかも衆議院側の各会派の了解もかつてつけておったものが、こういう事態になってきて、それではその通りにいたしましょうという前に、まだ残された参議院としての主張すべき手続があると考えます。それは四つに分れると思います。一つは結局この修正案をのめないということで、参議院の原案のようにこれを引き戻して衆議院側に回付するということ以外にはまず今のところないのであります。ところがそこから出てくる結果は四通りあると思います。衆議院においてそれはのめないということで、三分の二議決をもって衆議院の修正通り議決するという方法もあります。あるいは三分の二を得られずして、議決の結果廃案になるという場合もあり得ます。あるいはまた参議院のこの案を衆議院がのむという場合もありましょう、また最終的には両院の意思を疎通し、民主的に一本化した結論を得たいと、願うならば、これは両院協議会という方法もございましょう。私はそういう結果として幾多考えられる手順がいまだ残っておると思う。私たちは院議を尊重し、また院議たらしめたわれわれの本心、それから各会派間の信義と責任という問題を考えるならば、私は党所属の立場も尊重されなければなりませんが、参議院の運営、地方行政委員会の運営として、一議員として、責任をもってそれに参画をした議員の責任を明らかにする態度こそが、参議院の態度を明確ならしめ、また二院制度における妙味も発揮し得るものと考えます。しかし私の申し上げているのは、この特殊な、いろいろな事情によって衆議院から出たことが参議院で承認せられる、あるいはいろいろな形があって、一般論としては言えない点のあることも十分了承した上で申し上げておる。今回の場合はまことに特殊なケースであって、こういうあり方が将来参議院の運営に先例としては悪例として残るものであると断ぜざるを得ないのであります。何のためにわれわれが議員の職責をもってこういう発議をし、そうして何のために二度も参議院の議決をしたか、もしも衆議院の意向がそういうことであるとするなら、衆議院の意向を前もって織り込んだ一つの議員立法もなせばなし得たのであります。ところが形式は参議院の意思はあくまでも主張したがごとく見えて、結果としては委員長発議というものが一部重大な蹉跌を来たすような結果になった。こういう扱いは私は今後において慎しまなければならぬと考えます。そういう意味において、まことにこの法律案の審議の過程とその結果とを比較しますというと、不明朗そのものである。各会派間の信義にもとるものであるように私には感ぜられます。私といい、あるいは現委員長といい、いかなる会派のいかなる方が立場を委員長の地位にかえてこの問題を審議します場合においても、こういう結果になることは、たんたんとして、平然としておれないだろうと思うのです。これもまたやむなしとしてはおられぬだろうと思うのであります。ただ松岡委員長の場合におきましては、その当時のいきさつは午前中に伺いまして、そうして民主的な決定を得たいということでありますから、それも一つの態度であろうと思いますので、これ以上のことは申し上げませんが、社会党としましては他党の信義を重んじてくれるだろうという考え方から、衆議院のそれぞれの機関にも諮り、衆参両院一体となっておる両院議員総会等にもたびたび諮って異論のある中から最終的なこの妥協、結論を得たのであって、そういう意味からいえば、結果としては、公党と公党間の信義というものはみじんも尊重されることなく踏みにじられたものと断ぜざるを得ないのであります。この間において緑風会も委員の方々が参議院だけに所属せらるる立場から、これが原案通り通過せらるることに幾多の御努力があったということも聞き及んでおりますが、まことに私は感謝にもたえませんし、敬意を表せざるを得ません。その努力が、結果として努力したという形が示されるならばこれは首尾一貫してまことにわれわれとしては欣快にたえないところであります。以上が第一に申し上げます反対の理由であります。  それから第二の反対の理由といたしましては内容的な問題であります。この点についてはもう前々回の国会で論議しておる過程において社会党の立場というものは申し上げておりますから、委員各位には繰り返してわが党の立場を申し上げる必要はないでございましょう。しかも政党並びに政治活動の制限あるいは禁止の問題につきましては、第一の理由を申し上げる過程で一部触れておきましたから、この際この点は申し述べないことといたします。少くとも私はこの結果がどうなるか今の段階においてわかりません。わかりませんが、今後においてはもっとこの種の問題に対しては、やはり政党政治を基盤とする民主政治である限り、国会運営である限り、やはり信義と責任が重んぜられるという慎重さがあくまでもなければならぬと思います。自分の都合がよくなれば都合通りやる。都合が悪くなればまた悪くなったで考え直す、こういうようなことで、どうして国会のルールなり政治道義なりというものが確立しましょうか。私はこういうことを申し上げれば社会党も今後においてそういう信義をしからば重んずるかというお話もあるいはあるかもしれませんが、少くとも私たち委員としましては、自己の意思あるいは個人の考えでそれぞれの他会派あるいは他の委員の方々と重大な取りきめをしたり折衝をしたりすることは断じてあり得ない。常にその点だけは天下の公党としての責任をもって処置して参ったつもりでありますし、今後においても社会党として不都合なことが生じようと、約束したこと、きめられたことは、その通り守るでありましょう。私はそういうことでなければわが党といえどもあるいは信を国民につなぐことはできないと思います。そういう意味におきまして、多数をもってまかり通れば何半をやってもいいということについては、私は不同意でありますし、そうお考えになっておるわけはないと思います。もしも衆議院送付案に御賛成になられるお方々があるにしましても、事情やむを得ないというそれぞれの理由があろうと思います。しかしその大筋において、参議院というものの立場、地方行政委員会というものの立場というものを考えるならば、私は結果としてこういうふうになることなく、中途において円満解決せらるる道もあったのではないか。結局私はこう言えば失礼でありますが、政府与党さんの方々に非常な熱意をもって御努力願えたことは了といたしますけれども、少くとも他会派に対する信義という問題から言えば、これは議員の職責をかけてでも党内において一本筋が打ち込まれるということであったならば、結果として有終の美を発揮し得たものと考えまして、まことに遺憾にたえないところであります。いろいろ申し述べれば切りのないことでありまして、もしもそれが感情なりの問題となり、そして単にそういう意味で対立するという形になってこの選挙法が通ることを私は不幸だと考えます。従って私の発言は今日とめまして、そして将来においていかようであろうとも、選挙はフェアーにとり行うということで、各会派ともそういうことを十分考慮せられることを、私の方としても十分考えますとともに、お考えを願いたいと思うのであります。  以上るる申し述べました諸点から、実はこの法律案の採決にも参画したくないとさえ思われる、一言にして言うならば、不信であるというふうにも考えられますけれども、結果を見てまたわれわれの立場を明らかにする機会もあり得ようと存じますので、あえて反対討論を申し上げる次第であります。
  80. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 私は自由民主党を代表いたしまして、賛成の討論をいたしたいと存じます。  ただいま小笠原委員からるるこの法案の経過につきましてお述べになりまして、私どもはこの点につきましては認めることにやぶさかなるものではございません。従いましてこの共同提案の線が実現されることを期して私どもも及ばずながら十分努力して参ったのであります。衆議院はこの二回にわたる参議院の決議に対しましても、この点は譲れないということでついにこういう修正をして送ってきたわけでありまして、ここに至りましては私どもが当初念願いたしました参議院選挙に備えて行なったこの改正案が成立するかしないかという関頭に立ってきたのであります。事態はもうこれ以上遷延することはできませんし、同時に両院協議会その他の手続を考えましても、私どもが今までこれだけ努力してさえもこの修正を行なった衆議院は絶対に譲歩するということの見通しを私どもつきません。従いましてここに成立か不成立か、どちらかを選ばなければならないというこの場合におきまして、私どもは初めから念願しましたこの改正案をぜひ早期に成立させて、そうして参議院議員の通常選挙に間に合わせなければならないという立場から、しかも問題になっておりまする団体の規制の問題は、東へ行く道を西へ行くというのではなしに、東の方へ行っておるのです。団体の規制をやろう、私どもは妥協して二つにしたけれども、衆議院がもっと制限を強くして一つにしよう、東へ行く方向には間違いない、われわれの参議院における決議と全然方向の違うことを決議をしたのではないので、そういう立場から、私は共同提案の趣旨に、その点におきましてはまことに遺憾な点がございますけれども、先ほど来申し上げましたように、早期に成立をさせて、来たるべき参議院の通常選挙に間に合わせなければならないというこの段階におきまして、賛成いたす次第であります。
  81. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ほかに御発言はございませんか。御発言がなければ討論は終局したものと認めて、これより採決に入ります。公職選挙法の一部を改正する法律案を議題に供します。念のため申し上げますが、本法律案の原案は衆議院修正点をも含めたものでございます。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  82. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。     —————————————
  83. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。本案につきましてこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言がなければ討論は終局したものと認めて採決に入ります。  国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  84. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま可決されました両案に対しまするところの本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  それから報告書に多数意見者の署名を付することになっておりますから、両案を可とされた方は順次御署名を願います。  多数意見者署名    堀  末治  田中 啓一    安井  謙  中山 福藏    館  哲二  小林 武治    榊原  亨  佐野  廣    小幡 治和  伊能 芳雄    石村 幸作
  86. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御署名漏れはございませんか。——御署名漏れはないと認めます。     —————————————
  87. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に先に採決いたしました地方公務員法の一部を改正する法律案に関連して付せられました、小林委員より提案されました付帯決議案について、政府側の御所見を承わりたいと存じます。なお付帯決議案のほか、引き続いてお述べになって伊能委員の御所見についてもあわせて御意見を伺いたいと存じます。
  88. 早川崇

    政府委員早川崇君) ただいま決定されました付帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、停年制の円滑なる実施に万遺憾なきを期したいと、かように考えておる次第でございます。  なお伊能委員の御希望に対しても、(小笠原二三男君「一々意見に対しても所見を述べるか。それならわれわれも討論中に意見を言うぞ。」と述ぶ)伊能委員の御希望に関しましては、直接停年制の実施ということとは関係はございませんが、当然勤務の制限をするとか、いろいろな規定は、当然これに無関係に実施——現状通り行われるものと期待しております。
  89. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  90. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を始めて下さい。  本日の会議はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会      —————・—————